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7478375ターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構
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  • -ターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構 図1
  • -ターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構 図2
  • -ターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構 図3
  • -ターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構 図4
  • -ターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構 図5
  • -ターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構
(51)【国際特許分類】
   G21K 5/08 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
G21K5/08 A
G21K5/08 C
G21K5/08 R
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020060052
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021156838
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504151365
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】518156392
【氏名又は名称】株式会社アクセルレーター
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(72)【発明者】
【氏名】森川 祐
(72)【発明者】
【氏名】山本 将博
(72)【発明者】
【氏名】保住 弥紹
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-238598(JP,A)
【文献】特開2013-206726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 5/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットディスクを1枚以上装填する空間部を形成した筒状部と、前記筒状部の一端側に設けられた開口部と、前記筒状部の他端側を塞ぎ、放射線を前記空間部内に通過させる通過部を有する閉鎖部とによって密封された容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体と、
前記ターゲットディスクを前記閉鎖部に押し付ける装填部材と、
を備え、
孔状又は切欠き状の被保持部が2か所以上形成されたターゲットディスクを前記閉鎖部に押し付ける装填部材は、前記被保持部に係入されるロッドであり、
前記閉鎖部には、前記通過部を薄肉に形成した薄肉部と、前記ロッドの先端部が挿入される連結用孔を形成した厚肉部とが設けられている、ターゲットホルダー。
【請求項2】
前記筒状部は、外形が多角形の角筒状に形成されている、
請求項1に記載のターゲットホルダー。
【請求項3】
前記ロッドは、雄ネジが先端側に形成され、前記ターゲットディスクが前記蓋体に対向する表面に当たる頭部が基端部に設けられたボルトであり、
前記連結用孔には、前記ロッドの雄ネジが螺合する雌ネジが形成されている、
請求項1または請求項2に記載のターゲットホルダー。
【請求項4】
前記筒状部の一端側の端面には、蓋体固定用孔が複数か所に形成され、
前記蓋体は、前記開口部内に嵌入され、周方向の溝が形成された嵌入部と、前記筒状部の一端側の端面に重なる鍔部であって、前記蓋体固定用孔に連通するビス孔が形成された鍔部と、前記溝に嵌め込まれたガスケットとを有している、
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載のターゲットホルダー。
【請求項5】
前記筒状部は、中間部に形成された縮径部と、一端側に形成された拡径部と、前記縮径部と前記拡径部との境界部に形成された段差部と、一端側の端面の複数か所に形成された蓋体固定用孔とを備え、
前記蓋体は、前記筒状部の拡径部内に嵌入される嵌入部と、前記筒状部の一端側の端面に重なる鍔部であって、前記蓋体固定用孔に連通するビス孔が形成された鍔部と、前記嵌入部の先端面に装着され、前記段差部に密着するガスケットとを有している、
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載のターゲットホルダー。
【請求項6】
少なくとも前記容器本体は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって成形されている、
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載のターゲットホルダー。
【請求項7】
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載のターゲットホルダーの前記筒状部を両側から挟むように接近し、かつ、前記筒状部の両側から離れるように離間する一対のステージと、
を備え、
前記一対のステージは、前記筒状部の外面に沿うように溝状に形成された内面部を有し、前記筒状部を介して前記空間部内の前記ターゲットディスクを冷却する、
ターゲットホルダー保持機構。
【請求項8】
前記ターゲットホルダーは、水平姿勢とされ、
前記一対のステージは、前記筒状部を載せるボトムステージと、前記ボトムステージに載せられた前記筒状部に当たるように下降した位置と、前記筒状部の上方の位置との間を昇降するトップステージとを備えている、
請求項に記載のターゲットホルダー保持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子線やX線、ガンマ線などの放射線が照射されるターゲットディスクを装填するためのターゲットホルダー及びこのターゲットホルダーを保持するターゲットホルダー保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
線形粒子加速器によって生成される高エネルギー放射線を用いて、モリブデン-100(100Mo)ターゲットからモリブデン-99(99Mo)を製造する装置が特許文献1に記載されている。この装置は、線形加速器(ライナック)と、制動放射変換器ステーションと、ターゲットホルダーと、真空チャンバ(ターゲット照射部)と、冷却システムと、ターゲットアセンブリ部とを備えている。
【0003】
線形加速器は、少なくとも5kWから約100kWまでの電力を有する電子線(特許文献1では「電子ビーム」)を生成する。制動放射変換器ステーションは、タンタルプレートを含み、電子線を受け、少なくとも20MeVから約45MeVまでの流束を有する制動放射光子を生成する。ターゲットホルダーは、複数の100Moターゲットディスクを収容し、真空チャンバ内に収納される。真空チャンバは、制動放射変換器ステーションを組み込み、ターゲットホルダーを受け入れる。
【0004】
冷却システムは、タンタルプレートと、ターゲットホルダーと、100Moターゲットディスクと、を冷却するために冷却水を循環する。ターゲットアセンブリ部は、シールド部に覆われ、複数の100Moターゲットディスクを収容したターゲットホルダーを内部に取り付けて、生成される高エネルギー放射線を水冷式変換器によって遮断する。
【0005】
ターゲットホルダーに収容された複数の100Moターゲットディスクには、制動放射変換器ステーションによって生成される制動放射の光子流束が照射される。100Moターゲットは、光核反応によって99Moを製造する。高エネルギー放射線によって掛る大きな熱負荷は、制動放射変換ステーションによって放散される。制動放射の光子流束が照射される100Moターゲットディスクは、冷却システムによって熱負荷が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2016-520194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された装置は、循環する冷却水がタンタルプレートの間や100Moターゲットディスクの間を通過する。この冷却水は、放射線分解が生じたものになる。放射線分解が生じた冷却水は、爆発の危険性を生む水素ガスを生成し、さらには、99Moに対して腐食性のある過酸化水素を生成する。これにより、100Moターゲットディスクからの潜在的に実現可能な99Mo収率が大きく減少する。
【0008】
また、特許文献1に記載されたような装置は、万一の漏洩においても放射能汚染範囲を低減するため、装置を設置する照射室自体をも密閉し、さらに換気施設には放射性物質除外のためのフィルターを付与するなどの対応が必要となる。そうすると、放射線を遮蔽する対象が広範囲に及び、設備の設置費用や維持費用が高額になる。
【0009】
さらに、99Moは、装置から容易に持ち出すことができない。また、放射能を含む物質が発生したり、異常時において99Moが溶解したり、飛散したりすると、真空チャンバ内が放射線で汚染されたり破損されたりする。このような真空チャンバを修理したりすることは、安全面からも危惧される。
【0010】
本発明は、ターゲットディスクを装填するターゲットホルダーにおいて、ターゲットディスクから発生する放射性物質の外部への漏れを抑制し、安全性を担保したターゲットホルダー及びこのターゲットホルダーを保持するターゲットホルダー保持機構を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るターゲットホルダーは、
ターゲットディスクを1枚以上装填する空間部を形成した筒状部と、前記筒状部の一端側に設けられた開口部と、前記筒状部の他端側を塞ぎ、放射線を前記空間部内に通過させる通過部を有する閉鎖部とによって密封された容器本体と、
前記開口部を開閉する蓋体と、
前記ターゲットディスクを前記閉鎖部に押し付ける装填部材と、
を備えている。
【0012】
前記本発明に係るターゲットホルダーにおいて、
前記筒状部は、外形が多角形の角筒状に形成されている。
【0013】
前記本発明に係るターゲットホルダーにおいて、
孔状又は切欠き状の被保持部が2か所以上形成されたターゲットディスクを前記閉鎖部に押し付ける装填部材は、前記被保持部に係入されるロッドであり、
前記閉鎖部には、前記通過部を薄肉に形成した薄肉部と、前記ロッドの先端部が挿入される連結用孔を形成した厚肉部とが設けられている。
【0014】
前記本発明に係るターゲットホルダーにおいて、
前記ロッドは、雄ネジが先端側に形成され、前記ターゲットディスクが前記蓋体に対向する表面に当たる頭部が基端部に設けられたボルトであり、
前記連結用孔には、前記ロッドの雄ネジが螺合する雌ネジが形成されている。
【0015】
前記本発明に係るターゲットホルダーにおいて、
前記筒状部の一端側の端面には、蓋体固定用孔が複数か所に形成され、
前記蓋体は、前記開口部内に嵌入され、周方向の溝が形成された嵌入部と、前記筒状部の一端側の端面に重なる鍔部であって、前記蓋体固定用孔に連通するビス孔が形成された鍔部と、前記溝に嵌め込まれたガスケットとを有している。
【0016】
前記本発明に係るターゲットホルダーにおいて、
前記筒状部は、中間部に形成された縮径部と、一端側に形成された拡径部と、前記縮径部と前記拡径部との境界部に形成された段差部と、一端側の端面の複数か所に形成された蓋体固定用孔とを備え、
前記蓋体は、前記筒状部の拡径部内に嵌入される嵌入部と、前記筒状部の一端側の端面に重なる鍔部であって、前記蓋体固定用孔に連通するビス孔が形成された鍔部と、前記嵌入部の先端面に装着され、前記段差部に密着するガスケットとを有している。
【0017】
前記本発明に係るターゲットホルダーにおいて、
少なくとも前記容器本体は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって成形されている。
【0018】
本発明に係るターゲットホルダー保持機構は、
前記本発明に係るターゲットホルダーの前記筒状部を両側から挟むように接近し、かつ、前記筒状部の両側から離れるように離間する一対のステージと、
を備え、
前記一対のステージは、前記筒状部の外面に沿うように溝状に形成された内面部を有し、前記筒状部を介して前記空間部内の前記ターゲットディスクを冷却する。
【0019】
本発明に係るターゲットホルダー保持機構において、
前記ターゲットホルダーは、水平姿勢とされ、
前記一対のステージは、前記筒状部を載せるボトムステージと、前記ボトムステージに載せられた前記筒状部に当たるように下降した位置と、前記筒状部の上方の位置との間を昇降するトップステージとを備えている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ターゲットディスクを保持するターゲットホルダーにおいて、ターゲットディスクから発生する放射性物質の外部への漏れを抑制し、安全性を担保したターゲットホルダー及びこのターゲットホルダーを保持するターゲットホルダー保持機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構の一実施形態を示す断面斜視図であって、作業中の状態を示す概略断面斜視図である。
図2】本発明に係るターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構の一実施形態を示す断面斜視図であって、作業前又は作業後の状態を示す概略断面斜視図である。
図3】本発明に係るターゲットホルダーの一実施形態を示す断面正面図である。
図4】本発明に係るターゲットホルダーに備えられた容器本体の一実施形態を示す断面斜視図である。
図5】本発明に係るターゲットホルダーに備えられた容器本体の一実施形態を示す側面図である。
図6】本発明に係るターゲットホルダーに備えられたロッドがターゲットディスクを係入した状態の一実施形態を示す斜視図である。
図7】本発明に係るターゲットホルダーに備えられた蓋体の一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係るターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構の一実施形態について図1乃至図7を参照して説明する。図1は、本発明に係るターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構の一実施形態を示す断面斜視図であって、作業中の状態を示す概略断面斜視図である。図2は、本発明に係るターゲットホルダー及びターゲットホルダー保持機構の一実施形態を示す断面斜視図であって、作業前又は作業後の状態を示す概略断面斜視図である。図3は、本発明に係るターゲットホルダーの一実施形態を示す断面正面図である。図4は、本発明に係るターゲットホルダーに備えられた容器本体の一実施形態を示す断面斜視図である。図5は、本発明に係るターゲットホルダーに備えられた容器本体の一実施形態を示す側面図である。図6は、本発明に係るターゲットホルダーに備えられたロッドがターゲットディスクを係入した状態の一実施形態を示す斜視図である。図7は、本発明に係るターゲットホルダーに備えられた蓋体の一実施形態を示す斜視図である。
【0023】
ターゲットホルダー1は、モリブデン-100(100Mo)ターゲットディスク(以下、主として「ターゲット」という。)Tを装填する(入れる)密閉容器である。ターゲットホルダー1は、電子線放射による放射化を低減するためにアルミニウム又はアルミニウム合金によって成形される。図3に示すように、ターゲットホルダー1は、容器本体11と、蓋体12と、装填部材13と、を備えている。容器本体11は、ターゲットTを1枚以上装填する空間部111を形成した筒状部112と、この筒状部112の一端側に設けられた開口部113と、筒状部112の他端側を塞ぐ閉鎖部114とによって真空チャンバのように設けられる。
【0024】
ターゲットTは、円盤状で、孔状の被保持部Taが2か所以上に形成されている。このターゲットTは、図示したような薄いタイプと厚いタイプだけでなく、図示しない様々の厚さのタイプがある。被保持部Taは、直径の両端付近に孔状に形成されている。ただし、被保持部Taは、図示しない円弧形などの切欠き状に形成されていてもよい。
【0025】
図6に示すように、ターゲットTは、複数枚重ねられる。図6では、薄いターゲットTと厚いターゲットTとが交互に重ねられている。しかし、複数枚の薄いターゲットTがまとめて重ねられ、あるいは複数枚の厚いターゲットTがまとめて重ねられてもよい。さらに、厚さが中間のターゲットTが挟まれてもよい。あるいは、ターゲットTは、薄いタイプのみ、厚いタイプのみ、あるいは中間の厚さのタイプのみ重ね合わされてもよい。あるいは、ターゲットTは1枚のみであってもよい。
【0026】
複数枚のターゲットTは、装填部材13によって一まとめに重ね合わされる。ターゲットTには、孔状や切欠き状の被保持部Taが形成されているため、装填部材13は、この被保持部Taに係入するロッドが使用される。以下、装填部材13は、主としてロッド13として説明する。被保持部Taが図示したように2か所に形成されるときは、ロッド13は2本備えられる。図示しないが、被保持部Taが6か所に形成されるときは、ロッド13は6本備えられる。ロッド13はボルトであり、先端側に雄ネジ131が形成され、基端部に頭部132が設けられている。頭部132には、六角穴加工が施されている。頭部132の座面は、空間部111内に装填されたターゲットTのうち最も外側、すなわち開口部113側のターゲットTの表面に当たる。
【0027】
容器本体11の筒状部112は、ターゲットTを装填する円筒状の空間部111内の奥側乃至中間部に形成された縮径部112aと、一端側に形成された拡径部112bと、縮径部112aと拡径部112bとの境界部に形成された段差部112cと、を備えている。拡径部112bは、ターゲットTの外径よりもわずかに大きな内径で、蓋体12(具体的には後述する嵌入部121)よりも長く形成されている。拡径部112bは、縮径部よりもわずかに大きな内径とされている。筒状部112の一端側の端面112dには、蓋体固定用孔112eが複数か所(図面では8か所)形成されている。
【0028】
筒状部112は、外形が多角形(以下、図面に合わせて正八角形として説明する。)の角筒状に形成されている。ターゲットホルダー1は、容器本体11を水平姿勢として使用される。外形が正八角形の容器本体11の外面は、使用状態において、水平向きの下面及び上面と、鉛直向きの一対の側面と、下側の一対の下側斜面と、上側の一対の上側斜面とによって八面有する。上面と下面との間隔など筒状部112の幅は、全長に亘って同じとされている。
【0029】
容器本体11の閉鎖部114には、中心側に形成された通過部114aと、周辺側に形成された厚肉部114bとが設けられている。通過部114aは、電子線を前記空間部111内に通過させる薄さに形成された薄肉部114aとされる。薄肉部114aは、閉鎖部114の中心で、空間部111の他端側の内面が平坦になるように設けられる。したがって、閉鎖部114の外端側には、窪み部114dが形成された形状となる。
【0030】
厚肉部114bには、ロッド13の先端側の雄ネジ131が挿入される連結用孔114cが形成されている。ロッド13が2本備えられることで、連結用孔114cは少なくとも2か所に備えられればよい。しかし、図5に示すように、被保持部Taが6か所に形成され、6本のロッド13によってターゲットTが係止されても使用できるように、連結用孔114cは6か所に設けられる。連結用孔114cには、ロッド13の雄ネジ131に螺合する雌ネジが形成されている。
【0031】
容器本体11の一端側に設けられた開口部113は、蓋体12によって開閉される。蓋体12は、開口部113内に嵌入される嵌入部121と、筒状部112の一端側の端面112dに重なる鍔部122と、を有している。鍔部122の外周部には、蓋体固定用孔112eに連通するビス孔122dが形成されている。ビス孔122dは、筒状部112の蓋体固定用孔112eと同じ数(図面では8か所)に形成される。鍔部122の中心部には、窪み部が設けられている。
【0032】
窪み部には、2条ネジなどの雌ネジ(以下、主として「蓋体の雌ネジ」という。)123aが形成されている。蓋体の雌ネジ123aには、トランスファロッド(図示せず)の先端部が挿入される。すなわち、蓋体12が容器本体11の開口部113を閉じた状態のターゲットホルダー1は、トランスファロッドの先端部に掴まれる。嵌入部121の長さ方向の中間には、全周に溝121aが形成されている。この溝121aにはガスケット124が嵌め込まれる。ガスケット124は、拡径部112bの内面に密着する。
【0033】
ターゲットホルダー1は、ターゲットホルダー保持機構(以下、主として「保持機構」という。)2に保持される。図1及び図2に示すように、保持機構2は、一対のステージ21,22を備えている。一対のステージ21,22は、ボトムステージ21と、トップステージ22とである。ボトムステージ21は、水平姿勢とされたターゲットホルダー1の筒状部112を載せる。外形が八角形に形成されている筒状部112は、下面となる面と上面となる面が水平向きとなる。
【0034】
ボトムステージ21は、筒状部112の下側の外面に沿うように溝状に形成された内面部211を有し、ターゲットホルダー1内に装填されたターゲットTを冷却する。ボトムステージ21の内面部211は、水平姿勢の筒状部112の下面に内面が当たる下側水平部と、筒状部112の一対の下側斜面に内面が当たる一対の下側勾配部と、筒状部112の一対の側面の下部を挟むような一対の下側凸条部とによって上向き変形コ字状に形成されている。ボトムステージ21の下側水平部には、座ぐり付きの孔部212が形成されている。
【0035】
ボトムステージ21は、下側水平部の下面の中心において円柱状の下側回転軸23に支持される。下側回転軸23の上端部には、ボトムステージ21の座ぐり付き孔部212に連通する雌ネジ231が形成されている。ボトムステージ21の座ぐり付き孔から下側回転軸23の雌ネジ231にボルト(図示せず)が締められることで、ボトムステージ21と下側回転軸23とが一体化される。下側回転軸23の内部中心軸には、内管と外管の二重管232が設けられている。内管又は外管は冷却水の往路とされ、外管又は内管は冷却水の復路とされている。
【0036】
トップステージ22は、筒状部112の上側の外面に沿うように溝状に形成された内面部221を有し、ターゲットホルダー1内に装填されたターゲットTを冷却する。トップステージ22の内面部221は、水平姿勢の筒状部112の上面に内面が当たる上側水平部と、筒状部112の一対の上側斜面に内面が当たる一対の上側勾配部と、筒状部112の一対の側面の上部を挟むような上側凸条部とによって下向き変形コ字状に形成されている。トップステージ22の下側水平部には、座ぐり付きの孔部222が形成されている。
【0037】
トップステージ22は、上側水平部の上面の中心において円柱状の上側回転軸24に支持される。上側回転軸24の上端部には、ボトムステージ21の座ぐり付き孔部222に連通する雌ネジ241が形成されている。ボトムステージ21の座ぐり付き孔から上側回転軸24の雌ネジ241にボルト(図示せず)が締められることで、ボトムステージ21と上側回転軸24とが一体化される。下側回転軸23の内部中心軸には、内管と外管の二重管242が設けられている。内管又は外管は冷却水の往路とされ、外管又は内管は冷却水の復路とされている。上側回転軸24は、トップステージ22がボトムステージ21に載せられた筒状部112に当たるように下降した位置(図1参照)と、ボトムステージ21に載せられた筒状部112の上方の位置(図2参照)との間を昇降する。
【0038】
ボトムステージ21とトップステージ22とを備えた保持機構2に隣接して線形加速器(図示せず)が配備されている。線形加速器は、電子線発生源を備えている。電子線発生源は、ボトムステージ21とトップステージ22とに挟まれた状態の容器本体11の閉鎖部114と対向するように配備される。
【0039】
ここで、ターゲットホルダー1を使用して、100MoターゲットTからモリブデン-99(99Mo)を製造する方法について説明する。
【0040】
図6に示すように、ロッド13がターゲットTに形成された2か所の孔状の被保持部Taに係入されることで、複数枚のターゲットTは、ロッド13によって一まとめに重ね合わされる。ロッド13の雄ネジ131の先端部は、重ね合わされたターゲットTの一方の表面から突出している。
【0041】
保持機構2から離れた所定の場所において、図3に示すように、複数枚のターゲットTは、筒状部112の空間部111内に装填される。ターゲットTの一方の表面は、閉鎖部114の内面に接触する。ロッド13の先端側の雄ネジ131は、ターゲットホルダー1の閉鎖部114に形成された連結用孔114cに挿入される。ロッド13の頭部132の六角穴に六角レンチが挿入され、六角レンチが回されることで、ロッド13の先端側に形成された雄ネジ131が連結用孔114cに形成された雌ネジに締め付けられる。ロッド13の頭部132は、重ね合わされたターゲットTの他方の表面を閉鎖部114の方へ押す。複数枚のターゲットTは、空間部111の閉鎖部114側で固定される。最も奥側(図3では左側)のターゲットTの表面は、閉鎖部114の内面に密着する。
【0042】
筒状部112の開口部113は、蓋体12によって閉じられる。蓋体12の一端側の端面の外周縁が筒状部112の空間部111に形成された段差部112cに当たらない。蓋体12の鍔部122が筒状部112の一端側の端面112dに重なる。蓋部の鍔部122に形成されたビス孔122dと筒状部112の一端側の端面112dに形成された蓋体固定用孔112eとが連通し、ビス14が蓋体固定用孔112eからビス孔122dに通されることで、蓋体12が筒状部112に一体化される。蓋体12の嵌入部121に形成された溝121aにはガスケット124が嵌め込まれているため、このガスケット124が容器本体11の拡径部112bの内面に密着する。したがって、容器本体11に形成された空間部111は、閉じられた蓋体12によって密閉される。
【0043】
このように複数枚のターゲットTが空間部111内に装填された筒状部112は、蓋体の雌ネジ123aにトランスファロッドの先端部が挿入され、トランスファロッドが操作されることで、所定の位置にセットされる。ボトムステージ21上に載せられる。図2に示すように、筒状部112の一対の下側斜面がボトムステージ21の一対の下側勾配部に当たり、筒状部112の一対の側面の下部がボトムステージ21の一対の下側凸条部に挟まれた状態となる。
【0044】
図1に示すように、他方、上方の位置で待機していたトップステージ22は、下降して、内面部221がボトムステージ21上の筒状部112に当たる。すなわち、トップステージ22の上側勾配部が筒状部112の一対の上側斜面に当たる。トップステージ22の上側凸条部が筒状部112の一対の側面の上部を挟む状態となる。ボトムステージ21の下側凸条部とトップステージ22の上側凸条部とは離れている。こうすることで、ボトムステージ21とトップステージ22とが筒状部112をほぼ全周挟む。
【0045】
下側回転軸23の二重管内と上側回転軸24の二重管内を冷却水が流れることで、ボトムステージ21とトップステージ22とが冷却され、筒状部112のほぼ全面が冷却される。そうすることで、空間部111内が冷却される。
【0046】
容器本体11の閉鎖部114は、線形加速器の電子線発生源と対向する。電子線発生源から出射された電子線は、容器本体11の閉鎖部114の薄肉部114aを通過して空間部111内のターゲットTを照射する。これにより、ガンマ線が発生する。ターゲットTは、光核反応によって100Moから99Moを製造する。
【0047】
この時、ターゲットTは、発熱する。しかし、最も奥側のターゲットTの表面が容器本体11の閉鎖部114の内面に密着していることから、ターゲットTの熱が閉鎖部114から筒状部112に伝熱される。ターゲットTで発生した熱は、閉鎖部114から容器本体11の筒状部112を介して、筒状部112に接触しているボトムステージ21とトップステージ22に吸熱される。
【0048】
99Moが製造された後、電子線発生源からの電子線の照射が停止される。そして、トップステージ22が上昇し、ターゲットホルダー1が保持機構2から取り出される。すなわち、トランスファロッドの先端部が蓋体の雌ネジ123aを掴むことで、ターゲットホルダー1が保持機構2内から排出される。このターゲットホルダー1は、ターゲットTからの放射能漏れを抑制した状態で中間経路を経由して、放射能漏れが許容される所定の輸送部まで運ばれる。輸送部においては、放射能漏れを気遣うことなく、ターゲットホルダー1の蓋体12が筒状部112の開口部113から外され、ターゲットTが筒状部112内から取り出される。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は何ら前記実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。また本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更や上記実施の形態の組み合わせを施してもよい。
【0050】
前記実施の形態では、ターゲットホルダー1は100Moから99Moを製造するために電子線を100MoターゲットTに照射するとした。しかし、ターゲットホルダー1は、100MoターゲットT以外のターゲットTを容器本体11内に装填し、原子の種類に合わせてX線やガンマ線などの放射線が容器本体11の薄肉部114aを透過するようにしてもよい。容器本体11の薄肉部114aは、電子線やX線、ガンマ線などの放射線が透過できる薄さに形成される。また、ターゲットホルダー1は、100MoターゲットTでなく、化学物質、ウイルスや細菌などの生物試料などを装填することもできる。
【0051】
また、前記実施の形態では、筒状部112は外径が多角形に形成されるとした。しかし、筒状部112は、円筒状や球体状に形成されてもよい。この場合は、ボトムステージ21とトップステージ22の内面部211,221は、曲面形状に形成される。
【0052】
また、前記実施の形態では、蓋体12の嵌入部121の中間に溝121aが形成され、この溝121aにガスケット124が嵌め込まれ、気密性を確保するようにした。しかし、図示しないが、蓋体12の嵌入部121の中間に溝121aを形成せず、嵌入部121の先端面と筒状部112の段差部112cとの間にリング状のアルミガスケットのような金属ガスケット又は円盤状の金属ガスケットを介在するようにすることで、耐放射線性を向上させるようにしてもよい。この場合は、段差部112cは、図3に示した段差部113cよりも幅広とされることが好ましく、容器本体11の縮径部112aは、図3に示した縮径部112aよりも小さくされる。また。リング状のガスケットの内径は、容器本体11の縮径部112aと同じとされる。また、蓋体12の先端面の外周には、リング状のガスケット又は円盤状のガスケットの外周部が嵌る段差が設けられる。
【0053】
また、前記実施の形態では、筒状部112は拡径部112bと縮径部112aと段差部112cとを備えるとした。しかし、筒状部112は、全長に亘って同じ内径に形成されてもよい。また、開口部113には雌ネジが形成され、蓋体12の嵌入部121には雄ネジが形成されてもよい。
【0054】
また、ターゲットTは、孔状や切欠き状の被保持部Taを備えていなくてもよい。この場合の装填部材13は、ロッド13に替えて、圧縮バネのような付勢部材を使用する。付勢部材は、蓋体12と最も外側のターゲットTとの間に介在し、ターゲットTを容器本体11の閉鎖部114に押し付ける。この場合は、ロッド13を使用しないため、閉鎖部114は、連結用孔114cを形成した厚肉部114bを設ける必要がない。したがって、閉鎖部114は、全面が薄肉部114a、換言すれば、通過部114aとなる。なお、装填部材13として圧縮部材が使用される場合であっても、孔状や切欠き状の被保持部Taを備えたターゲットTを装填してもよい。
【0055】
また、前記実施の形態では、ロッド13がボルトであり、頭部132に六角穴加工が施されるとした。しかし、ロッド13の頭部132はプラスネジやマイナスネジのような溝が形成されてもよい。さらに、ロッド13は、先端部に雄ネジ131を形成していない単なる軸としても。この場合は、閉鎖部114に形成される連結用孔114cは、雌ネジが形成されないロッド13の先端部を挿入するだけの滑面とされる。
【0056】
また、前記実施の形態では、ターゲットホルダー1はアルミニウム又はアルミニウム合金によって成形されているとした。しかし、ターゲットホルダー1は、銅又は銅合金などを使用してもよい。
【0057】
また、前記実施の形態では、ターゲットホルダー保持機構2はターゲットホルダー1を水平姿勢保持するボトムステージ21とトップステージ22とを備えるとした。しかし、ターゲットホルダー保持機構2は、ターゲットホルダー1を鉛直姿勢又は傾斜姿勢に保持する一対のステージ21,22を備えてもよい。一対のステージ21,22は、前記筒状部112を両側から挟むように接近し、かつ、前記筒状部112の両側から離れるように離間する。この一対のステージ21,22も、前記筒状部112の外面に沿うように溝状に形成された内面部221を有し、前記筒状部112を介して前記空間部111内の前記ターゲットディスクTを冷却する。
【0058】
以上まとめると、本発明が適用されるターゲットホルダー1及びターゲットホルダー保持機構2は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
【0059】
すなわち、ターゲットホルダー1は、
ターゲットディスクTを1枚以上装填する空間部111を形成した筒状部112と、前記筒状部112の一端側に設けられた開口部113と、前記筒状部112の他端側を塞ぎ、放射線を前記空間部111内に通過させる通過部114aを有する閉鎖部114とによって密封された容器本体11と、
前記開口部113を開閉する蓋体12と、
前記ターゲットディスクTを前記閉鎖部114に押し付ける装填部材13と、
を備えている。
【0060】
このターゲットホルダー1は、閉鎖部114の薄肉部114aが線形加速器に向き合うように配置されることで、線形加速器から出射される放射線が閉鎖部114の通過部114aを通過する。ターゲットディスクTは、、装填部材13によって閉鎖部114に押し付けられることで動かないように空間部111内に装填される。このターゲットディスクTには、線形加速器から出射された放射線が照射される。ターゲットホルダー1は、装填されたターゲットディスクTから放射性同位体を製造することができる。
【0061】
前記本発明に係るターゲットホルダー1において、
前記筒状部112は、外形が多角形の角筒状に形成されている。
【0062】
このターゲットホルダー1は、筒状部112の外形が多角形の角筒状とされることで、筒状部112の外面と筒状部112の内面との肉厚が厚くならず、筒状部112を囲むボトムステージ21とトップステージ22とからの冷熱が筒状部112内の空間部111に伝えられやすく、ターゲットディスクTの熱がボトムステージ21とトップステージ22とに逃げやすいようにすることができる。さらに、角筒状の筒状部112は、転がらないため、ボトムステージ21とトップステージ22とに安定して挟まれる。
【0063】
前記本発明に係るターゲットホルダー1において、
孔状又は切欠き状の被保持部Taが2か所以上形成されたターゲットディスクTを前記閉鎖部114に押し付ける装填部材13は、前記被保持部Taに係入されるロッド13であり、
前記閉鎖部114には、前記通過部114aを薄肉に形成した薄肉部114aと、前記ロッド13の先端部が挿入される連結用孔114cを形成した厚肉部114bとが設けられている。
【0064】
ターゲットディスクTは、2か所以上に形成された孔状又は切欠き状の被保持部Taに装填部材13であるロッド13が係入され、ロッド13の先端部が閉鎖部114の厚肉部114bに形成された連結用孔114cに挿入されることで、空間部内に113動かないように装填される。
【0065】
前記本発明に係るターゲットホルダー1において、
前記ロッド13は、雄ネジ131が先端側に形成され、前記ターゲットディスクTが前記蓋体12に対向する表面に当たる頭部132が基端部に設けられたボルトであり、
前記連結用孔114cには、前記ロッド13の雄ネジ131が螺合する雌ネジが形成されている。
【0066】
このターゲットホルダー1は、ロッド13に形成された雄ネジ131が連結用孔114cに形成された雌ネジに螺合し、ターゲットディスクTが筒状部112の空間部111内に装填される。ロッド13が締められることで、ロッド13の頭部132がターゲットディスクTを筒状部112の閉鎖部114の内面に押し付ける。ターゲットディスクTが閉鎖部114の内面に密着することで、ターゲットホルダー1は、ターゲットディスクTの発熱を吸熱することができる。
【0067】
前記本発明に係るターゲットホルダー1において、
前記筒状部112の一端側の端面112dには、蓋体固定用孔112eが複数か所に形成され、
前記蓋体12は、前記開口部113内に嵌入され、周方向の溝121aが形成された嵌入部121と、前記筒状部112の一端側の端面112dに重なる鍔部122であって、前記蓋体固定用孔112eに連通するビス孔122dが形成された鍔部122と、前記溝121aに嵌め込まれたガスケット124とを有している。
【0068】
このターゲットホルダー1は、蓋体12の嵌入部121が筒状部112の開口部113内に嵌入され、蓋体12の鍔部122が筒状部112の一端側の端面112dに重なり、鍔部122に形成されたビス孔122dから筒状部112の一端側の端面112dに形成された蓋体固定用孔112eにビス14が締められることで、蓋体12が筒状部112から抜けないようにすることができる。蓋体12の溝121aに形成されたガスケット124が筒状部112の開口部113の内面に密着することで、空間部111の気密性を確保することができる。
【0069】
前記本発明に係るターゲットホルダー1において、
前記筒状部112は、中間部に形成された縮径部112aと、一端側に形成された拡径部112bと、前記縮径部112aと前記拡径部112bとの境界部に形成された段差部112cと、一端側の端面の複数か所に形成された蓋体固定用孔112eとを備え、
前記蓋体12は、前記筒状部112の拡径部112b内に嵌入される嵌入部121と、前記筒状部112の一端側の端面に重なる鍔部122であって、前記蓋体固定用孔112eに連通するビス孔122dが形成された鍔部122と、前記嵌入部121の先端面に装着され、前記段差部112cに密着するガスケットとを有していてもよい。
【0070】
このターゲットホルダー1は、蓋体12に備えられたガスケットが筒状部の縮径部112aと拡径部112bとの境界部に形成された段差部112cに密着することで、空間部111の気密性を確保することができる。
【0071】
前記本発明に係るターゲットホルダー1において、
少なくとも前記容器本体11は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって成形されている。
【0072】
このターゲットホルダー1は、容器本体11がアルミニウム又はアルミニウム合金によって成形されていることにより、放射線照射による放射化を低減することができる。
【0073】
本発明に係るターゲットホルダー保持機構2は、
本発明に係るターゲットホルダー1の前記筒状部112を両側から挟むように接近し、かつ、前記筒状部の両側から離れるように離間する一対のステージ21,22と、
を備え、
前記一対のステージ21,22は、前記筒状部112の外面に沿うように溝状に形成された内面部211,221を有し、前記筒状部112を介して前記空間111部内の前記ターゲットディスクTを冷却する。
【0074】
このターゲットホルダー保持機構2は、ターゲットホルダー1が一対のステージ21,22に挟まれた状態に保持される。一対のステージ21,22は筒状部112を介してターゲットディスクTを冷却することで、空間部111内のターゲットディスクTは発熱温度が下げられる。
【0075】
本発明に係るターゲットホルダー保持機構2において、
前記ターゲットホルダー1は、水平姿勢とされ、
前記一対のステージ21,22は、前記筒状部112を載せるボトムステージ21と、前記ボトムステージ21に載せられた前記筒状部112に当たるように下降した位置と、前記筒状部112の上方の位置との間を昇降するトップステージ22とを備えている。
【0076】
このターゲットホルダー保持機構は、水平姿勢とされたターゲットホルダー1の下側がボトムステージ21の溝状に形成された内面部211内に嵌まり込み、水平姿勢とされたターゲットホルダー1の上側がトップステージ22の溝状に形成された内面部221内に嵌まり込む。すなわち、ターゲットホルダー1は、ボトムステージ21とトップステージ22とに挟まれた状態に保持される。
【符号の説明】
【0077】
1・・・・・・ターゲットホルダー
11・・・・・容器本体
111・・・・空間部
112・・・・筒状部
112a・・・縮径部
112b・・・拡径部
112c・・・段差部
112d・・・端面
112e・・・蓋体固定用孔
113・・・・開口部
114・・・・閉鎖部
114a・・・通過部(薄肉部)
114b・・・厚肉部
114c・・・連結用孔
12・・・・・蓋体
121・・・・嵌入部
121a・・・溝
122・・・・鍔部
122a・・・ビス孔
124・・・・ガスケット
13・・・・・装填部材(ロッド)
131・・・・雄ネジ
132・・・・頭部
2・・・・・・ガスケット保持機構(保持機構)
21・・・・・ステージ(ボトムステージ)
211・・・・内面部
22・・・・・ステージ(トップステージ)
221・・・・内面部
T・・・・・・ターゲットディスク(ターゲット)
Ta・・・・・被保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7