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特許7478376準備作業管理装置、準備作業管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】準備作業管理装置、準備作業管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20240425BHJP
   G06Q 10/0639 20230101ALI20240425BHJP
【FI】
G06Q50/12
G06Q10/0639
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020065472
(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公開番号】P2021163289
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年6月14日、北陸千代田株式会社が、令和元年度AI・IoTを活用した業務効率化・省力化支援事業における補助金の申請のため、石川県に発明内容を記載した申請を行った。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年10月1日、日本経済新聞社が、日本経済新聞の令和元年10月1日付朝刊第35面にて、発明の内容を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年10月14日、日本経済新聞社が、日本MJの令和元年10月14日付第6面にて、発明の内容を公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和元年10月10日、北陸朝日放送が、令和元年10月10日17時36分から放送した番組「HABスーパーJチャンネル」にて、発明の内容を公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】518377182
【氏名又は名称】北陸千代田株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518118714
【氏名又は名称】株式会社エヌジェイシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】蓑 篤史
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 康智
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-149931(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105512862(CN,A)
【文献】特開2006-099235(JP,A)
【文献】特開昭63-070375(JP,A)
【文献】特開2008-004053(JP,A)
【文献】特開2013-182393(JP,A)
【文献】特開2004-145591(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0177041(US,A1)
【文献】特開2005-025496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
客室の準備作業を行う作業員それぞれについて、準備作業の生産能力を示す生産能力情報を格納する生産能力格納部と、
複数の現場それぞれに割り当てられた作業員を特定する割当特定部と、
前記生産能力格納部に格納された生産能力情報と、前記現場それぞれの客室の準備に要する作業量を示す作業量情報と、前記割当特定部により特定された作業員とに基づいて、複数の前記現場それぞれについて、準備作業に必要な作業員の充足度を示す充足度情報を生成する充足度判定部と、
前記充足度判定部により生成された複数の現場の充足度情報を出力する充足度出力部と
前記作業員それぞれが客室の準備作業に要した時間を実績値として取得する実績値取得部と、
前記実績値取得部により取得された各作業員の実績値に基づいて、前記生産能力格納部に格納されている生産能力情報を更新する生産能力更新部と
を有し、
前記充足度判定部は、前記生産能力更新部により更新された生産能力情報に基づいて、充足度情報を生成し、
前記充足度判定部は、宿泊施設毎に、又は、1つ以上の宿泊施設が存在する地域毎に、前記充足度情報を生成し、
前記充足度出力部は、前記充足度判定部により生成された充足度情報を、これらの充足度情報に対応する色で、複数の宿泊施設又は複数の地域について一覧表示する
準備作業管理装置。
【請求項2】
前記実績値取得部は、作業員それぞれについて、準備作業の開始時刻及び終了時刻を取得し、
前記実績値取得部により取得された開始時刻及び終了時刻に基づいて、各作業員の労務管理情報を生成する労務情報生成部
をさらに有する請求項1に記載の準備作業管理装置。
【請求項3】
前記実績値取得部は、作業員それぞれについて、準備作業の開始時刻及び終了時刻を取得し、
前記実績値取得部により取得された開始時刻及び終了時刻に基づいて、各作業員の給与計算を行う給与計算部
をさらに有する請求項1に記載の準備作業管理装置。
【請求項4】
コンピュータが、客室の準備作業を行う作業員それぞれについて、準備作業の生産能力を示す生産能力情報を格納する生産能力格納ステップと、
コンピュータが、複数の現場それぞれに割り当てられた作業員を特定する割当特定ステップと、
コンピュータが、前記生産能力格納ステップにより格納された生産能力情報と、前記現場それぞれの客室の準備に要する作業量を示す作業量情報と、前記割当特定ステップにより特定された作業員とに基づいて、複数の前記現場それぞれについて、準備作業に必要な作業員の充足度を示す充足度情報を生成する充足度判定ステップと、
コンピュータが、前記充足度判定ステップにより生成された複数の現場の充足度情報を出力する充足度出力ステップと
コンピュータが、前記作業員それぞれが客室の準備作業に要した時間を実績値として取得する実績値取得ステップと、
コンピュータが、前記実績値取得ステップにより取得された各作業員の実績値に基づいて、前記生産能力格納ステップにより格納された生産能力情報を更新する生産能力更新ステップと
を有し、
前記充足度判定ステップは、前記生産能力更新ステップにより更新された生産能力情報に基づいて、充足度情報を生成し、
前記充足度判定ステップは、宿泊施設毎に、又は、1つ以上の宿泊施設が存在する地域毎に、前記充足度情報を生成し、
前記充足度出力ステップは、前記充足度判定ステップにより生成された充足度情報を、これらの充足度情報に対応する色で、複数の宿泊施設又は複数の地域について一覧表示する
準備作業管理方法。
【請求項5】
客室の準備作業を行う作業員それぞれについて、準備作業の生産能力を示す生産能力情報を格納する生産能力格納ステップと、
複数の現場それぞれに割り当てられた作業員を特定する割当特定ステップと、
前記生産能力格納ステップにより格納された生産能力情報と、前記現場それぞれの客室の準備に要する作業量を示す作業量情報と、前記割当特定ステップにより特定された作業員とに基づいて、複数の前記現場それぞれについて、準備作業に必要な作業員の充足度を示す充足度情報を生成する充足度判定ステップと、
前記充足度判定ステップにより生成された複数の現場の充足度情報を出力する充足度出力ステップと
前記作業員それぞれが客室の準備作業に要した時間を実績値として取得する実績値取得ステップと、
前記実績値取得ステップにより取得された各作業員の実績値に基づいて、前記生産能力格納ステップにより格納された生産能力情報を更新する生産能力更新ステップと
をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記充足度判定ステップは、前記生産能力更新ステップにより更新された生産能力情報に基づいて、充足度情報を生成し、
前記充足度判定ステップは、宿泊施設毎に、又は、1つ以上の宿泊施設が存在する地域毎に、前記充足度情報を生成し、
前記充足度出力ステップは、前記充足度判定ステップにより生成された充足度情報を、これらの充足度情報に対応する色で、複数の宿泊施設又は複数の地域について一覧表示する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、準備作業管理装置、準備作業管理方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、宿泊施設の複数の部屋を清掃する清掃計画を作成する清掃計画作成装置において、前記複数の部屋を清掃する清掃員の勤務状況、各部屋に宿泊する宿泊者のチェックアウト時刻、各部屋毎の清掃状態、各部屋毎の清掃作業時間を管理するデータテーブルと、前記宿泊施設の清掃計画作成指示を行う手段と、清掃計画作成指示が行われた場合、前記データテーブルを参照し勤務中の個々の清掃員が担当する範囲内で始めに清掃する部屋と清掃開始時刻を決定すると共に、宿泊者が滞在せず、かつ未清掃の全部屋について、清掃順序を決定するためのポイント値を算出する手段と、算出されたポイント値に基づいて清掃員毎の各部屋の清掃計画を作成する手段とを具備したことを特徴とする清掃計画作成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-67509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、客室の準備作業の効率化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る準備作業管理装置は、客室の準備作業を行う作業員それぞれについて、準備作業の生産能力を示す生産能力情報を格納する生産能力格納部と、複数の現場それぞれに割り当てられた作業員を特定する割当特定部と、前記生産能力格納部に格納された生産能力情報と、前記現場それぞれの客室の準備に要する作業量を示す作業量情報と、前記割当特定部により特定された作業員とに基づいて、複数の前記現場それぞれについて、準備作業に必要な作業員の充足度を示す充足度情報を生成する充足度判定部と、前記充足度判定部により生成された複数の現場の充足度情報を出力する充足度出力部とを有する。
【0006】
好適には、前記作業員それぞれが客室の準備作業に要した時間を実績値として取得する実績値取得部と、前記実績値取得部により取得された各作業員の実績値に基づいて、前記生産能力格納部に格納されている生産能力情報を更新する生産能力更新部とをさらに有し、前記充足度判定部は、前記生産能力更新部により更新された生産能力情報に基づいて、充足度情報を生成する。
【0007】
好適には、前記充足度判定部は、宿泊施設毎に、又は、1つ以上の宿泊施設が存在する地域毎に、前記充足度情報を生成し、前記充足度出力部は、前記充足度判定部により生成された充足度情報を、これらの充足度情報に対応する色で、複数の宿泊施設又は複数の地域について一覧表示する。
【0008】
好適には、前記実績値取得部は、作業員それぞれについて、準備作業の開始時刻及び終了時刻を取得し、前記実績値取得部により取得された開始時刻及び終了時刻に基づいて、各作業員の労務管理情報を生成する労務情報生成部をさらに有する。
【0009】
好適には、前記実績値取得部は、作業員それぞれについて、準備作業の開始時刻及び終了時刻を取得し、前記実績値取得部により取得された開始時刻及び終了時刻に基づいて、各作業員の給与計算を行う給与計算部をさらに有する。
【0010】
本発明に係る準備作業管理方法は、客室の準備作業を行う作業員それぞれについて、準備作業の生産能力を示す生産能力情報を格納する生産能力格納ステップと、複数の現場それぞれに割り当てられた作業員を特定する割当特定ステップと、前記生産能力格納部に格納された生産能力情報と、前記現場それぞれの客室の準備に要する作業量を示す作業量情報と、前記割当特定部により特定された作業員とに基づいて、複数の前記現場それぞれについて、準備作業に必要な作業員の充足度を示す充足度情報を生成する充足度判定ステップと、前記充足度判定部により生成された複数の現場の充足度情報を出力する充足度出力ステップとを有する。
【0011】
本発明に係るプログラムは、客室の準備作業を行う作業員それぞれについて、準備作業の生産能力を示す生産能力情報を格納する生産能力格納ステップと、複数の現場それぞれに割り当てられた作業員を特定する割当特定ステップと、前記生産能力格納部に格納された生産能力情報と、前記現場それぞれの客室の準備に要する作業量を示す作業量情報と、前記割当特定部により特定された作業員とに基づいて、複数の前記現場それぞれについて、準備作業に必要な作業員の充足度を示す充足度情報を生成する充足度判定ステップと、前記充足度判定部により生成された複数の現場の充足度情報を出力する充足度出力ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、客室の準備作業の効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】準備作業管理システム1の全体構成を例示する図である。
図2】準備作業管理装置3の機能構成を例示する図である。
図3】(a)は、作業員情報を例示する表であり、(b)は、勤怠情報を例示する表であり、(c)は、準備作業実績情報を例示する表である。
図4】(a)は、宿泊施設情報を例示する表であり、(b)は、各宿泊施設の客室の準備に係る作業量情報を例示する表であり、(c)は、充足度情報を例示する表である。
図5】準備作業管理装置3による充足度情報生成処理(S10)を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0015】
図1は、準備作業管理システム1の全体構成を例示する図である。
図1に例示するように、準備作業管理システム1は、準備作業管理装置3、作業入力端末5(作業入力端末5A~作業入力端末5C)を含み、ネットワーク7を介して互いに接続している。
準備作業管理装置3は、コンピュータ端末であり、宿泊施設(ホテルA、旅館B、及びホテルC)の客室準備を行う作業員が充足しているか否かを判定する。具体的には、準備作業管理装置3は、客室準備を行う作業員の生産能力と、客室準備の作業量とに基づいて、必要な作業員の充足度を出力する。本発明に係る準備作業とは、宿泊施設の客室の準備作業をいう。また、準備作業管理装置3は、作業員の生産能力を管理し、準備作業の実績値に基づいて、作業員の生産能力を更新する。実績値とは、作業入力端末5により送信される実際の準備作業時間をいう。さらに、準備作業管理装置3は、準備作業の実績値に基づいて、労務情報及び給与情報を管理する。
作業入力端末5は、コンピュータ端末であり、客室準備を行う作業員が操作する端末である。具体的には、作業入力端末5は、準備作業の開始時刻及び終了時刻を準備作業管理装置3に送信する。より具体的には、作業入力端末5は、各作業員が携帯し、作業員を識別する作業員番号と準備作業の開始時刻及び終了時刻とを関連付けて準備作業管理装置3に送信する。
【0016】
図2は、準備作業管理装置3の機能構成を例示する図である。
図2に例示するように、本例の準備作業管理装置3には、準備作業管理プログラム30がインストールされると共に、生産能力格納データベース600(生産能力格納DB600)、作業量情報格納データベース610(作業量情報格納DB610)、及び充足度情報格納データベース620(充足度情報格納DB620)が構成される。生産能力格納データベース600は、本発明に係る生産能力格納部の一例である。
準備作業管理プログラム30は、割当特定部300、充足度判定部302、充足度出力部304、実績値取得部306、生産能力更新部308、労務情報生成部310、及び給与計算部312を有する。
なお、準備作業管理プログラム30の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよく、また、OS(Operating System)の機能を一部借用して実現されてもよい。
【0017】
準備作業管理プログラム30において、割当特定部300は、複数の現場それぞれに割り当てられた作業員を特定する。具体的には、割当特定部300は、複数の現場に割り当てられた各作業員に関連付けられる作業員番号を特定する。ここでいう現場とは、宿泊施設における準備作業を行う客室をいう。
充足度判定部302は、生産能力格納DB600に格納された生産能力情報と、現場それぞれの客室の準備に要する作業量を示す作業量情報と、割当特定部300により特定された作業員とに基づいて、複数の現場それぞれについて、準備作業に必要な作業員の充足度を示す充足度情報を生成する。生産能力とは、各作業員の客室準備作業時間と客室準備作業の精度とを表す。作業量情報は、作業量情報格納DB610に格納され、宿泊施設毎の各客室における客室の準備作業量を示す。
また、充足度判定部302は、生産能力更新部308(後述)により更新された生産能力情報に基づいて、充足度情報を生成する。具体的には、充足度判定部302は、宿泊施設毎に、又は、1つ以上の宿泊施設が存在する地域毎に、充足度情報を生成する。例えば、充足度情報は、割合(%)により表示され、宿泊施設毎、又は地域毎に充足度情報を、日別及び月別で生成する。充足度判定部302は、生成した充足度情報を充足度情報格納DB620に格納する。
【0018】
充足度出力部304は、充足度判定部302により生成された複数の現場の充足度情報を出力する。具体的には、充足度出力部304は、充足度判定部302により生成された充足度情報を、これらの充足度情報に対応する色で、複数の宿泊施設又は複数の地域について一覧表示する。具体的には、充足度出力部304は、充足度85%~115%の宿泊施設又は地域を緑色で表示し、充足度70%~84%の宿泊施設又は地域を黄色で表示し、充足度70%未満の宿泊施設又は地域を赤色で表示し、充足度116%以上の宿泊施設又は地域を紫色で表示する。緑色で表示された宿泊施設又は地域は、適正な人員配置がなされており、コストが安定していることを示す。黄色で表示された宿泊施設又は地域は、作業員の負担が増加しており、残業が発生していることを示す。赤色で表示された宿泊施設又は地域は、作業員の労働時間が長くなり、社会保険等の経費が増大していることを示す。紫色で表示された宿泊施設又は地域は、作業員の配置人数が過多であり、交通費等の経費が増加していることを示す。これにより、作業員の配置に対策が必要な宿泊施設又は地域を視覚的に把握することが可能である。ここでは、充足度に応じて、宿泊施設又は地域を赤、黄、緑、及び紫色で表示したが、充足度に対応していればこれに限定されない。
【0019】
実績値取得部306は、作業員それぞれが客室の準備作業に要した時間を実績値として取得する。具体的には、実績値取得部306は、作業員それぞれについて、準備作業の開始時刻及び終了時刻を取得する。例えば、実績値取得部306は、作業員が携帯する作業入力端末5から送信された、作業員番号に関連付けられた準備作業開始時刻及び終了時刻を受信する。
生産能力更新部308は、実績値取得部306により取得された各作業員の実績値に基づいて、生産能力格納DB600に格納されている生産能力情報を更新する。生産能力情報とは、作業員の準備作業の速度と作業の精度とをいうが、これらを能力値として数値化して表してもよい。具体的には、生産能力更新部308は、各作業員の日別、及び月別の実績値に基づいて、生産能力情報を更新する。
【0020】
労務情報生成部310は、実績値取得部306により取得された開始時刻及び終了時刻に基づいて、各作業員の労務管理情報を生成する。具体的には、労務情報生成部310は、作業員の実績値と、生産能力情報とに基づいて、日別の客室準備の総生産量を算出する。
給与計算部312は、実績値取得部306により取得された開始時刻及び終了時刻に基づいて、各作業員の給与計算を行う。これにより、タイムカードを打刻した時刻ではなく、実際の稼働時間に基づいて、給与計算を行うことができる。
【0021】
図3(a)は、作業員情報を例示する表であり、(b)は、勤怠情報を例示する表であり、(c)は、準備作業実績情報を例示する表である。
図3(a)に例示するように、準備作業管理装置3は、作業員情報を管理する。準備作業管理装置3は、作業員情報として、作業員を識別する作業員番号、作業員名、作業員が所属する宿泊施設、作業員の区分、作業員の給与区分、準備作業の速度(作業速度スキル)、準備作業の精度(作業精度スキル)、及び、準備作業の速度、準備作業の精度に基づいた能力値を関連付けて管理する。従業員情報として生産能力情報を管理しているため、人員の作業時間の予測をより正確に立てることができる。
【0022】
生産能力情報は、作業員情報のうち、作業員の客室一部屋の準備作業速度(作業速度スキル)と、準備作業のチェック時間を示す準備作業精度(作業精度スキル)とをいい、これらを数値化した能力値を含めてもよい。生産能力情報は、生産能力更新部308により、各作業員の実績値に基づいて算出され、例えば、5段階の数字表記で表される。具体的には、能力値は、1~5で表示され、数値が大きくなるほど生産能力が高いことを示す。
準備作業管理装置3は、作業員の生産能力を管理しているため、作業員別の課題を抽出が容易である。また、生産能力情報は、実績値に基づいて更新されるため、作業員のスキルが向上しているか否かを把握できる。
図3(b)に例示するように、準備作業管理装置3は、作業員の勤怠情報を管理する。準備作業管理装置3は、勤怠情報として、作業員番号、1週間の出退勤、勤務時間、休憩時間、及び1日の準備作業量を関連付けて管理する。勤怠情報は予定を示す。
【0023】
準備作業管理装置3は、作業員の準備作業実績情報を管理する。宿泊施設の準備作業を担当する作業員は、準備作業の開始時刻と終了時刻とを作業入力端末5から準備作業管理装置3へ送信する。図3(c)に例示するように、作業員から送信された情報に基づいて、準備作業実績情報が格納される。準備作業管理装置3は、準備作業を行った作業員の作業員番号、作業員名、準備作業を行った日付、準備作業を行った宿泊施設、準備作業を行った客室番号、準備作業の開始時刻、及び終了時刻を関連付けて管理する。作業員情報、勤怠情報、及び準備作業実績情報は、生産能力格納DB600に格納される。
作業員情報、勤怠情報、及び準備作業実績情報は、準備作業管理装置3において表示可能であるため、管理者は、これらを確認可能である。
【0024】
図4(a)は、宿泊施設情報を例示する表であり、(b)は、各宿泊施設の客室の準備に係る作業量情報を例示する表であり、(c)は、充足度情報を例示する表である。
準備作業管理装置3は、宿泊施設情報と、各宿泊施設の客室の準備に要する作業量情報とを管理する。具体的には、図4(a)に例示するように、準備作業管理装置3は、宿泊施設情報として、宿泊施設を識別する宿泊施設コード、宿泊施設名、宿泊施設の住所、及び宿泊施設の地域(エリア)を関連付けて管理する。
さらに、図4(b)に例示するように、準備作業管理装置3は、作業量情報として、各宿泊施設の客室番号、客室タイプ、作業量に応じた時給、基準準備作業時間、及び客室の曜日毎の稼働率を関連付けて管理する。準備作業管理装置3が、シングルルーム、ツインルール、又はキングサイズ等の客室タイプを管理することにより、客室の広さ、タオル及びシーツの交換量、アメニティの補充及び交換量が明確になり、作業量を把握できる。また、客室タイプ毎の基準作業時間を管理しているため、作業時間の予測を立て易い。ここでは、客室タイプ、及び基準準備作業時間を作業量情報としているが、客室タイプ、及び基準準備作業時間に基づいて作業量を数値化して表示してもよい。宿泊施設情報、及び作業量情報は、作業量情報格納DB610に格納される。
【0025】
準備作業管理装置3は、準備作業に必要な作業員の充足度を示す充足度情報を管理する。具体的には、図4(c)に例示するように、日付毎の各宿泊施設の充足度を管理する。充足度は、割合で表され、充足度が85%~115%である場合は、割り当てた作業員と作業人数とが適切であったことを示す。充足度70%~84%は、作業員の負担が増加していることを示す。充足度70%未満は、作業員の労働時間が長くなり、社会保険等の経費が増大していることを示す。充足度116%以上は、作業員が過剰であることを示す。具体的には、準備作業管理装置3は、充足度が85%未満である宿泊施設の遅延した日付の準備作業の総作業量と、準備作業の遅延時間、準備作業が遅延した客室番号を解析し、出力する。また、準備作業管理装置3は、充足度が115%を超えた場合に、予測を下回った日の宿泊施設の総作業量と、準備作業が予定よりどのくらい早く完了したのか、予定より早く清掃が終了した客室番号を解析し、出力する。これらの詳細な情報に基づいて、次の適正な作業員の配置を計画できる。充足度情報は、充足度格納DB620に格納される。
宿泊施設情報、作業量情報、及び充足度情報は、準備作業管理装置3において表示可能であるため、管理者は、これらを確認可能である。
【0026】
図5は、準備作業管理装置3による充足度情報生成処理(S10)を説明するフローチャートである。
図5に例示するように、ステップ100(S100)において、宿泊施設における客室の準備作業の作業員は、実際の客室準備作業の作業開始時刻と作業終了時刻を作業入力端末5から準備作業管理装置3に送信する。より具体的には、作業入力端末5は、作業開始時刻と、作業終了時刻とに、作業員の作業員番号と宿泊施設を特定する情報と準備作業を行った客室番号とを関連付けて送信する。
ステップ105(S105)において、割当特定部300は、受信した情報に基づいて、作業員と準備作業内容とを特定する。
ステップ110(S110)において、一つの宿泊施設における1日の全ての準備作業の実績値を受信した場合に(S110:Yes)、充足度情報生成処理(S10)は、S115へ移行し、一つの宿泊施設における1日の準備作業の実績値を受信していない場合に(S110:No)、待機する。
【0027】
ステップ115(S115)において、生産能力更新部308は、実績値取得部306により取得された各作業員の実績値に基づいて、生産能力情報を更新する。具体的には、生産能力更新部308は、準備作業の開始時刻と終了時刻とに基づいて、作業員情報の作業速度スキル、作業精度スキル、及び能力値を更新する。
ステップ120(S120)において、充足度判定部302は、割当特定部300により特定された作業員の客室の準備に要する作業量を作業量情報から取得する。
ステップ125(S125)において、実績値取得部306により取得された準備作業の実績値と、充足度判定部302により取得された作業量を示す作業量情報と、割当特定部300により特定された作業員の生産能力とに基づいて、充足度判定部302は、準備作業に必要な作業員の充足度を算出する。
ステップ130(S130)において、請け負っている全ての宿泊施設の1日の準備作業の充足度を算出した場合に(S130:Yes)、充足度情報生成処理(S10)は、S135へ移行し、全ての宿泊施設の1日の準備作業の充足度を算出していない場合に(S130:No)、待機する。
ステップ135(S135)において、充足度出力部304は、充足度判定部302により生成された全ての宿泊施設の充足度情報を出力する。
ステップ140(S140)において、労務情報生成部310は、準備作業の開始時刻と終了時刻とに基づいて、労務情報生成し、給与計算部312は、準備作業の開始時刻と終了時刻とに基づいて、実際の労働時間に対する給与を計算する。
【0028】
以上説明したように、準備作業管理装置3は、各作業員の生産能力と、作業量と、宿泊施設における客室の準備作業の実績値とに基づいて、配置した作業員の充足度情報を生成する。これにより、作業量に対して配置した作業員の能力及び人数が適切であったか否かを判断することができる。すなわち、準備作業管理装置3によれば、充足度情報に基づいて、効率よく作業員の配置計画を立てることが可能になる。さらに、準備作業管理装置3は、実績値として作業開始時刻と作業終了時刻とを管理し、実績値に基づいた勤怠管理、及び給与計算が可能となるため、宿泊施設の客室準備に係る管理業務を広く支援することが出来る。さらに、実績値を蓄積しているため、AIによる各宿泊施設毎の稼働の予測を立てることでより精度の高い作業員の配置計画を立てることも可能である。また、準備作業管理装置3によれば、生産能力情報、作業量情報の可視化により、数値で判断可能なため、コスト管理や作業員の指導における負担が軽減される。
【0029】
以上、上記実施形態では、作業量情報として、各宿泊施設の客室番号、客室タイプ、作業量に応じた時給、基準準備作業時間、及び客室の曜日毎の稼働率を関連付けて管理しているが、これに限定されるものではなく、例えば、客室の準備作業のチェック時間、客室間の移動時間、宿泊施設内の階の移動時間、及び宿泊施設の棟の移動時間をさらに管理してもよい。これらの管理により、より精度の高い作業員の準備作業時間の予測が可能となる。
【符号の説明】
【0030】
1 準備作業管理システム
3 準備作業管理装置
5 作業入力端末
7 ネットワーク
30 準備作業管理プログラム
300 割当特定部
302 充足度判定部
304 充足度出力部
306 実績値取得部
308 生産能力更新部
310 労務情報生成部
312 給与計算部
600 生産能力格納データベース
610 作業量情報格納データベース
620 充足度情報格納データベース
図1
図2
図3
図4
図5