(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】異種金属の接合方法
(51)【国際特許分類】
B23K 20/12 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
B23K20/12 364
(21)【出願番号】P 2020152456
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】596091956
【氏名又は名称】冨士端子工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517132810
【氏名又は名称】地方独立行政法人大阪産業技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100109472
【氏名又は名称】森本 直之
(72)【発明者】
【氏名】長岡 亨
(72)【発明者】
【氏名】京田 猛
(72)【発明者】
【氏名】三輪 哲司
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-266182(JP,A)
【文献】特開2016-215267(JP,A)
【文献】米国特許第6051325(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに種類が異なる第1の金属部材と第2の金属部材を重ね、軸回転する回転工具により上記第1の金属部材の側から摩擦攪拌加工を行って、上記第1の金属部材と上記第2の金属部材の境界面を接合する方法であって、
上記第2の金属部材に隣接させて、上記境界面に対応する接合予定面と実質的に面一になる支持面により上記第1の金属部材を支持する支持部材を配置し、
上記第2の金属部材と上記支持部材のあいだに、上記第2の金属部材の端面を上記支持面側に露呈させる端面露呈空間を上記端面に沿うように存在させ、
上記接合予定面から上記支持面にかけて上記第1の金属部材を重ね、
上記摩擦攪拌加工を、上記接合予定面に加え、上記端面露呈空間に対応する領域に対しても行う
ことを特徴とする異種金属の接合方法。
【請求項2】
上記支持部材は、上記摩擦攪拌加工により、上記第1の金属部材および第2の金属部材に対して接合されにくい材質から構成される
請求項1記載の異種金属の接合方法。
【請求項3】
上記第1の金属部材を、第2の金属部材よりも硬度が低い金属とする
請求項1または2記載の異種金属の接合方法。
【請求項4】
上記第1の金属部材を、第2の金属部材よりも融点が低い金属とする
請求項1または2記載の異種金属の接合方法。
【請求項5】
上記端面露呈空間にも第1の金属部材をあらかじめ配置しておく
請求項1または2記載の異種金属の接合方法。
【請求項6】
上記端面露呈空間に第2の金属部材よりも硬度が低い第3の金属部材を配置しておく
請求項1または2記載の異種金属の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに種類が異なる2つの金属部材を重ね合わせ、摩擦攪拌により接合する異種金属の接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
摩擦攪拌接合は、部材の接合技術のひとつである。円筒状の回転工具を用い、上記回転工具を回転させながら、部材同士の接合部に侵入させることによって接合する。上記回転工具を侵入させる際に発生する摩擦熱で部材を軟化させ、上記回転工具の回転力で接合部の周辺を塑性流動させることにより、複数の部材を一体化する。
【0003】
例えば、2枚の金属板を重ね合わせて摩擦攪拌接合で接合する先行技術文献として、出願人は下記の特許文献1を把握している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
上記特許文献1は、重ね継手の摩擦攪拌接合方法に関するものであり、下記の記載がある。
[0005]
本発明の目的は、融点が異なる金属の摩擦攪拌接合による重ね接合を可能にすることにある。
[0006]
[課題を解決するための手段]
本発明は、複数の部材の重ね接合において、上板側にのみ接合ツールを押圧し、上板の表面近傍のみを摩擦熱により攪拌させ、その摩擦熱により重ね合わせ面の温度を上昇させ、対向する部材同士の拡散反応により接合することにある。
[0008]
一方の部材側にのみ接合ツールを圧入して重ね接合する方法においては、摩擦攪拌により重ね面に押圧力が作用して、重ね面が密着される。さらに、摩擦熱により、重ね面において上板の金属と下板の金属とが拡散反応により反応層が形成される。これにより上板と下板とが接合される。この方法によれば、異種金属の接合も可能になる。また、同種材の接合では、接合面に反応層は形成されず、部材間の相互拡散により接合が行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1は、単に上板と下板を上下に重ねて接合ツールを押圧して接合する方法を開示するに留まる。ところが、目的や用途によっては、上板と下板が完全に重ならない状態で接合することが行われる。このような場合、下板の端部と上板の接合状態が不安定になり、この部分に微小隙間が残ることがある。このような微小隙間が存在すると、そこに腐食を生じやすく、機械的な強度も低下し、信頼性を低下させる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、つぎの目的をもってなされたものである。
互いに種類が異なる2つの金属部材を重ね合わせ、摩擦攪拌を利用して良好に接合できる異種金属の接合方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の異種金属の接合方法は、上記目的を達成するため、下記の構成を採用した。
互いに種類が異なる第1の金属部材と第2の金属部材を重ね、軸回転する回転工具により上記第1の金属部材の側から摩擦攪拌加工を行って、上記第1の金属部材と上記第2の金属部材の境界面を接合する方法であって、
上記第2の金属部材に隣接させて、上記境界面に対応する接合予定面と実質的に面一になる支持面により上記第1の金属部材を支持する支持部材を配置し、
上記第2の金属部材と上記支持部材のあいだに、上記第2の金属部材の端面を上記支持面側に露呈させる端面露呈空間を上記端面に沿うように存在させ、
上記接合予定面から上記支持面にかけて上記第1の金属部材を重ね、
上記摩擦攪拌加工を、上記接合予定面に加え、上記端面露呈空間に対応する領域に対しても行う。
【0009】
請求項2記載の異種金属の接合方法は、請求項1記載の構成に加え、下記の構成を採用した。
上記支持部材は、上記摩擦攪拌加工により、上記第1の金属部材および第2の金属部材に対して接合されにくい材質から構成される。
【0010】
請求項3記載の異種金属の接合方法は、請求項1または2記載の構成に加え、下記の構成を採用した。
上記第1の金属部材を、第2の金属部材よりも硬度が低い金属とする。
【0011】
請求項4記載の異種金属の接合方法は、請求項1または2記載の構成に加え、下記の構成を採用した。
上記第1の金属部材を、第2の金属部材よりも融点が低い金属とする。
【0012】
請求項5記載の異種金属の接合方法は、請求項1または2記載の構成に加え、下記の構成を採用した。
上記端面露呈空間にも第1の金属部材をあらかじめ配置しておく。
【0013】
請求項6記載の異種金属の接合方法は、請求項1または2記載の構成に加え、
下記の構成を採用した。
上記端面露呈空間に第2の金属部材よりも硬度が低い第3の金属部材を配置しておく。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の異種金属の接合方法は、互いに種類が異なる第1の金属部材と第2の金属部材を重ね、軸回転する回転工具により上記第1の金属部材の側から摩擦攪拌加工を行って、上記第1の金属部材と上記第2の金属部材の境界面を接合する方法である。
まず、上記第2の金属部材に隣接させて、上記境界面に対応する接合予定面と実質的に面一になる支持面により上記第1の金属部材を支持する支持部材を配置する。これにより、第1の金属部材の一部を支持部材で支持し、他の部分を第2の金属部材に重ね、この重ねた部分を摩擦攪拌加工によって接合できる。
ついで、上記第2の金属部材と上記支持部材のあいだに、上記第2の金属部材の端面を上記支持面側に露呈させる端面露呈空間を上記端面に沿うように存在させる。この状態で、上記接合予定面から上記支持面にかけて上記第1の金属部材を重ねる。そして、上記摩擦攪拌加工を、上記接合予定面に加え、上記端面露呈空間に対応する領域に対しても行う。このようにすることにより、上記摩擦攪拌加工の際に、第1の金属部材の塑性流動により、第1の金属部材の一部が上記端面露呈空間に充填されて接合される。このため、上記第2の金属部材の端面において、上記第1の金属部材との接合状態が安定する。この部分に微小隙間が残ることによる強度や信頼性の低下を防止できる。
【0015】
請求項2記載の異種金属の接合方法は、上記支持部材は、上記摩擦攪拌加工により、上記第1の金属部材および第2の金属部材に対して接合されにくい材質から構成される。
摩擦攪拌加工によって第1の金属部材と第2の金属部材を接合したあとは、上記支持部材をとりはずせばよく、切削等の後加工が必要ない。
【0016】
請求項3記載の異種金属の接合方法は、上記第1の金属部材を、第2の金属部材よりも硬度が低い金属とする。
塑性流動時の粘性が小さい第1の金属部材だけに回転工具を侵入させるため、回転工具への金属の付着が抑制され、回転工具のメンテナンスの頻度を減らすことができる。また、塑性流動を生じさせるために必要なエネルギーが小さくて済むため、動力の節減に有利である。
【0017】
請求項4記載の異種金属の接合方法は、上記第1の金属部材を、第2の金属部材よりも融点が低い金属とする。
仮に、回転工具を侵入させる第1の金属部材のほうが融点が高ければ、第1の金属部材が塑性流動するまで高温になったころに相手材である第2の金属部材が溶融しはじめ、接合不良や欠陥が生じるおそれがある。上記回転工具を侵入させる第1の金属部材を、第2の金属部材よりも融点が低い金属とすることにより、上記のような不都合の発生を防止できる。
【0018】
請求項5記載の異種金属の接合方法は、上記端面露呈空間にも第1の金属部材をあらかじめ配置しておく。
この構成により、端面露呈空間だけの場合に比べて第1の金属部材が充填される必要が無いので、減肉を避けることができる。
【0019】
請求項6記載の異種金属の接合方法は、上記端面露呈空間に第2の金属部材よりも硬度が低い第3の金属部材を配置しておく。
これにより、第1の金属部材だけではなく第3の金属部材をも異種金属接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の異種金属の接合方法の第1実施形態を説明する図である。
【
図2】上記第1実施形態の第1工程を説明する図である。
【
図3】上記第1実施形態の第2工程を説明する図である。
【
図4】上記第1実施形態の第3工程を説明する図である。
【
図6】第1の金属部材と第2の金属部材の接合状態を示す図である。
【
図7】本発明の異種金属の接合方法の第2実施形態を説明する図である。
【
図8】本発明の異種金属の接合方法の第3実施形態を説明する図である。
【
図9】本発明の異種金属の接合方法の第4実施形態を説明する図である。
【
図10】本発明の異種金属の接合方法の第5実施形態を説明する図である。
【
図11】本発明の異種金属の接合方法の第6実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
つぎに、本発明を実施するための形態を説明する。
【0022】
◆第1実施形態
〔基本工程〕
図1は、本発明の異種金属の接合方法の実施形態を説明する図である。
【0023】
本発明では、互いに種類が異なる第1の金属部材10と第2の金属部材20を重ね、軸回転する回転工具30により摩擦攪拌加工を行って、上記第1の金属部材10と上記第2の金属部材20の境界面3を接合する。図において符号1は金床1であり、符号40は支持部材40である。
【0024】
図示した例では、上記第1の金属部材10、上記第2の金属部材20、上記支持部材40はいずれも長方形の板状である。
【0025】
〔第1工程〕
図2は第1工程を示す。上記金床1の上で、上記第2の金属部材20に隣接させて上記支持部材40を配置する。上記支持部材40は、上記境界面3に対応する接合予定面21と実質的に面一になる支持面41により上記第1の金属部材10を支持する。
【0026】
このとき、上記第2の金属部材20と上記支持部材40のあいだに、上記第2の金属部材20の端面22を上記支持面41側に露呈させる端面露呈空間5を上記端面22に沿うように存在させる。上記端面露呈空間5は、上記端面22の長手方向において実質的に等しい幅寸法に設定するのが好ましい。つまり、上記第2の金属部材20の上記端面22と支持部材40との間に等しい寸法の隙間が設けられる。
【0027】
〔第2工程〕
図3は第2工程を示す。上記第1の金属部材10と上記第2の金属部材20を重ねる際に、上記第2の金属部材20の接合予定面21から上記支持部材40の支持面41にかけて、上記第1の金属部材10を重ねる。このようにすることにより、上記端面露呈空間5は、上記第1の金属部材10で覆われることになる。
【0028】
〔第3工程〕
図4および
図5は第3工程を示す。軸回転する回転工具30により上記第1の金属部材10の側から摩擦攪拌加工を行って、上記第1の金属部材10と上記第2の金属部材20の上記境界面3を接合する。
【0029】
上記摩擦攪拌加工では、上記回転工具30を、第1の金属部材10の表面から厚み方向に侵入させる。このときの侵入深さは、最大、第1の金属部材10の厚み寸法までとする。その状態で、上記回転工具30を上記接合予定面21と上記端面22に対して平行に移動させる。これにより、上記第1の金属部材10と上記第2の金属部材20との境界面3の上記接合予定面21を接合する。
【0030】
このとき、上記摩擦攪拌加工を、上記接合予定面21に加え、上記端面露呈空間5に対応する領域に対しても行う。このとき、上記第1の金属部材10は、上記回転工具30による摩擦攪拌作用によって塑性流動し、上記端面露呈空間5に充填され、上記第2の金属部材20の端面22に対しても上記第1の金属部材10が接合される。
【0031】
図6は、上記第1工程~第3工程による第1の金属部材10と第2の金属部材20の接合状態を示す。第2の金属部材20の接合予定面21と端面22に対し、上記第1の金属部材10が摩擦攪拌接合によって接合される。
【0032】
〔金属材料〕
上記第1の金属部材10を、第2の金属部材20よりも硬度が低い金属とするのが好ましい。このようにすることにより、塑性流動時の粘性が小さい第1の金属部材10だけに回転工具30を挿入するため、回転工具30への金属の付着が抑制される。また、塑性流動を生じさせるために必要なエネルギーが小さくて済む。
【0033】
上記第1の金属部材10を、第2の金属部材20よりも融点が低い金属とするのが好ましい。このようにすることにより、接合不良や欠陥の発生を防止できる。仮に、回転工具30を挿入する第1の金属部材10のほうが融点が高ければ、第1の金属部材10が塑性流動するまで高温になったころに相手材である第2の金属部材20が溶融しはじめ、接合不良や欠陥が生じるおそれがある。上記回転工具30を挿入する第1の金属部材10を、第2の金属部材20よりも融点が低い金属とすることにより、上記のような不都合の発生を防止できるのである。
【0034】
たとえば、上記第1の金属部材10としてアルミニウム系の材料を使用し、上記第2の金属部材20として銅系の材料を使用することができる。もちろん、本発明を上記の組み合わせに限定する趣旨ではない。
【0035】
〔支持部材40〕
上記支持部材40は、上記摩擦攪拌加工により、上記第1の金属部材10および第2の金属部材20に対して接合されにくい材質から構成される。具体的には、上記第1の金属部材10としてアルミニウム系の材料を使用し、上記第2の金属部材20として銅系の材料を使用した場合、上記支持部材40は、鋼やセラミックス材料を使用することができる。
【0036】
〔第1実施形態の効果〕
上記第1実施形態の異種金属の接合方法は、互いに種類が異なる第1の金属部材10と第2の金属部材20を重ね、軸回転する回転工具30により上記第1の金属部材10の側から摩擦攪拌加工を行って、上記第1の金属部材10と上記第2の金属部材20の境界面3を接合する方法である。
まず、上記第2の金属部材20に隣接させて、上記境界面3に対応する接合予定面21と実質的に面一になる支持面41により上記第1の金属部材10を支持する支持部材40を配置する。これにより、第1の金属部材10の一部を支持部材40で支持し、他の部分を第2の金属部材20に重ね、この重ねた部分を摩擦攪拌加工によって接合できる。
ついで、上記第2の金属部材20と上記支持部材40のあいだに、上記第2の金属部材20の端面22を上記支持面41側に露呈させる端面露呈空間5を上記端面22に沿うように存在させる。この状態で、上記接合予定面21から上記支持面41にかけて上記第1の金属部材10を重ねる。そして、上記摩擦攪拌加工を、上記接合予定面21に加え、上記端面露呈空間5に対応する領域に対しても行う。このようにすることにより、上記摩擦攪拌加工の際に、第1の金属部材10の塑性流動により、第1の金属部材10の一部が上記端面露呈空間5に充填されて接合される。このため、上記第2の金属部材20の端面22において、上記第1の金属部材10との接合状態が安定する。この部分に微小隙間が残ることによる強度や信頼性の低下を防止できる。
【0037】
上記第1実施形態の異種金属の接合方法は、上記支持部材40は、上記摩擦攪拌加工により、上記第1の金属部材10および第2の金属部材20に対して接合されにくい材質から構成される。
摩擦攪拌加工によって第1の金属部材10と第2の金属部材20を接合したあとは、上記支持部材40をとりはずせばよく、切削等の後加工が必要ない。
【0038】
上記第1実施形態の異種金属の接合方法は、上記第1の金属部材10を、第2の金属部材20よりも硬度が低い金属とする。
塑性流動時の粘性が小さい第1の金属部材10だけに回転工具30を侵入させるため、回転工具30への金属の付着が抑制され、回転工具30のメンテナンスの頻度を減らすことができる。また、塑性流動を生じさせるために必要なエネルギーが小さくて済むため、動力の節減に有利である。
【0039】
上記第1実施形態の異種金属の接合方法は、上記第1の金属部材10を、第2の金属部材20よりも融点が低い金属とする。
仮に、回転工具30を侵入させる第1の金属部材10のほうが融点が高ければ、第1の金属部材10が塑性流動するまで高温になったころに相手材である第2の金属部材20が溶融しはじめ、接合不良や欠陥が生じるおそれがある。上記回転工具30を侵入させる第1の金属部材10を、第2の金属部材20よりも融点が低い金属とすることにより、上記のような不都合の発生を防止できる。
【0040】
【0041】
この例では、第2の金属部材20の上において、上記第1の金属部材10の端面12に沿って第2の支持部材45を配置する。上記第1の金属部材10の端面12と上記第2の支持部材45との間には、実質的に等しい幅の隙間6を設けることができる。この状態で上述した摩擦攪拌加工を行う。それ以外は上記第1実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付して説明を省略している。
【0042】
この例では、上記第1の金属部材10の端面12部分の流動が、上記第2の支持部材45によって押えられるので、上記第1の金属部材10の端面12部分に、隙間等の欠陥を生じさせず、第2の金属部材20との接合状態を安定させることができる。それ以外は上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0043】
【0044】
この例では、上記支持部材40は、上記第2の金属部材20の端面22と対向する部分に、上広がりの斜面42が形成されている。これにより、上記端面露呈空間5は、奥に行くほど狭い逆三角形状になっている。
【0045】
また、上記第2の支持部材45は、上記第1の金属部材10の端面12と対向する部分に、上広がりの斜面46が形成されている。これにより、上記隙間6は、奥に行くほど狭い逆三角形状になっている。
【0046】
それ以外は上記第2実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付して説明を省略している。
【0047】
この例では、上記端面露呈空間5が奥に行くほど狭く、第1の金属部材10の塑性流動による充填状態が良好になって、良好な接合状態となる傾向が得られる。また、上記隙間6が奥に行くほど狭くなるため、第1の金属部材10の塑性流動による接合状態が奥に行くほど良好になる傾向が得られる。それ以外は上記第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0048】
【0049】
この例では、上記第2の金属部材20がブロック状である。それに合わせて支持部材40もブロック状に形成されている。そして、上記ブロック状の支持部材40の支持面41に、上記第2の金属部材20の端面22に沿うように切欠7が形成され、上記切欠7によって端面露呈空間5が形成されている。それ以外は上記第2実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付して説明を省略している。この例でも、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0050】
【0051】
この例では、上記端面露呈空間5に第1の金属部材と同種材料50をあらかじめ配置しておくことで、端面露呈空間だけの場合に比べて第1の金属部材が充填される必要が無いので、減肉を避けるという作用効果を奏する。それ以外は上記第1実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付して説明を省略している。
【0052】
【0053】
この例では、上記端面露呈空間5に第2の金属部材よりも硬度が低い第3の金属部材60を配置しておくことで、第1の金属部材だけではなく第3の金属部材をも異種金属接合する作用効果を奏する。それ以外は上記第1実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付して説明を省略している。
【0054】
〔他の変形例〕
以上は本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は図示した実施形態に限定する趣旨ではなく、各種の態様に変形して実施することができ、本発明は各種の変形例を包含する趣旨である。
【符号の説明】
【0055】
1:金床
3:境界面
5:端面露呈空間
6:隙間
7:切欠
10:第1の金属部材
12:端面
20:第2の金属部材
21:接合予定面
22:端面
30:回転工具
40:支持部材
41:支持面
42:斜面
45:第2の支持部材
46:斜面
50:第1の金属部材と同種材料
60:第3の金属部材