(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】釣り糸止め具及び釣り糸止め具セット
(51)【国際特許分類】
A01K 87/00 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
A01K87/00 640D
(21)【出願番号】P 2023184521
(22)【出願日】2023-10-27
【審査請求日】2023-10-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523408628
【氏名又は名称】株式会社R・H
(74)【代理人】
【識別番号】100206184
【氏名又は名称】幅 敦司
(74)【代理人】
【識別番号】100114834
【氏名又は名称】幅 慶司
(72)【発明者】
【氏名】御手洗 裕
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-169030(JP,A)
【文献】特許第7149584(JP,B2)
【文献】特許第3838441(JP,B2)
【文献】特開2012-34676(JP,A)
【文献】実公昭49-41107(JP,Y2)
【文献】特表平8-501450(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2017-0004139(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端面を含む凸状の第1端部を有し、当該第1端部の表面を構成する法線方向に弾性変形可能な第1挟持面を有する第1挟持部材と、
第2端面を含む凸状の第2端部を有し、当該第2端部の表面を構成する法線方向に弾性変形可能な第2挟持面を有する第2挟持部材と、
結合軸線を有する加圧結合構造と、を備え、
前記第1挟持面は、
前記第1端部の基端側に位置する第1外周と、前記結合軸線が中心軸である環状の第1内周と、前記第1外周と前記第1内周との間に延在
し且つ前記第1端面に含まれる先端面であって前記結合軸線に実質的に垂直な環状の第1接触面と、前記第1外周から内方且つ斜めに立ち上って前記第1接触面に至るように延在する第1斜面と、を含み、
前記第2挟持面は、
前記第2端部の基端側に位置する第2外周と、前記結合軸線が中心軸である環状の第2内周と、前記第2外周と前記第2内周との間に延在
し且つ前記第2端面に含まれる先端面であって前記結合軸線に実質的に垂直な環状の第2接触面と、前記第
2外周から内方且つ斜めに立ち上って前記第2接触面に至るように延在する第2斜面と、を含み、
前記第1挟持部材と前記第2挟持部材とが、前記第1内周と前記第2内周とが同軸状になり、且つ、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触するように配置されており、
前記加圧結合構造は、前記結合軸線が中心軸である円柱状の孔部と、前記結合軸線が中心軸であって前記孔部と嵌合する円柱状の軸部と、を含み、
前記孔部が、前記第2挟持部材に、前記第2内周の開口面に開口するように設けられるとともに、前記軸部が、前記第1挟持部材に前記第1内周の開口面から突出するように設けられており、且つ、
前記軸部が前記孔部に螺入されるか又は前記軸部が前記孔部に圧入されることによって、前記第1挟持部材と前記第2挟持部材とが、前記加圧結合構造によって、前記結合軸線に沿った方向に互いに加圧された状態で、前記孔部に嵌合された前記軸部を介して互いに結合されている、釣り糸止め具。
【請求項2】
前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材が弾性体で構成されている、請求項1に記載の釣り糸止め具。
【請求項3】
前記第1挟持部材又は前記第2挟持部材に、当該第1挟持部材又は当該第2挟持部材を釣竿に取り付けるための取り付け部が設けられている、請求項1又は2に記載の釣り糸止め具。
【請求項4】
第1端面を含む凸状の第1端部を有し、当該第1端部の表面を構成する法線方向に弾性変形可能な第1挟持面を有する第1挟持部材と、
第2端面を含む凸状の第2端部を有し、当該第2端部の表面を構成する法線方向に弾性変形可能な第2挟持面を有する第2挟持部材と、を備え、
前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材は、それぞれ、第1中心軸線及び第2中心軸線を有する加圧結合構造を含み、
前記第1挟持面は、
前記第1端部の基端側に位置する第1外周と、前記第1中心軸線が中心軸である環状の第1内周と、前記第1外周と前記第1内周との間に延在し且つ前記第1端面に含まれる先端面であって前記第1中心軸線に実質的に垂直な環状の第1接触面と、前記第1外周から内方且つ斜めに立ち上って前記第1接触面に至るように延在する第1斜面と、を含み、
前記第2挟持面は、
前記第2端部の基端側に位置する第2外周と、前記第2中心軸線が中心軸である環状の第2内周と、前記第2外周と前記第2内周との間に延在
し且つ前記第2端面に含まれる先端面であって前記第2中心軸線に実質的に垂直な環状の第2接触面と、前記第
2外周から内方且つ斜めに立ち上って前記第2接触面に至るように延在する第2斜面と、を含み、
前記加圧結合構造は、前記第2中心軸線が中心軸である円柱状の孔部と、前記第1中心軸線が中心軸であって前記孔部と嵌合する円柱状の軸部と、を含み、
前記孔部が前記第2挟持部材に前記第2内周の開口面に開口するように設けられるとともに、前記軸部が前記第1挟持部材に前記第1内周の開口面から突出するように設けられており、
前記第1挟持部材と前記第2挟持部材とを、前記第1中心軸線と前記第2中心軸線とが実質的に一致して結合軸線になり、前記第1内周と前記第2内周とが同軸状になり、且つ、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触するように配置した状態において、前記軸部を前記孔部に螺入又は圧入することによって、前記第1挟持部材と前記第2挟持部材とを、前記結合軸線に沿った方向に互いに加圧した状態で、前記軸部を介して互いに結合することが可能な、釣り糸止め具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り糸止め具及び釣り糸止め具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から釣り糸を釣竿に止める釣り糸止め具が知られている。例えば、特許文献1には、全体が洗濯バサミ状に形成された糸止め具が提案されている。この糸止め具では、対象物を挟む挟持部の内面に弾性部材が設けられている。そして、釣り糸を、釣竿に、当該釣竿の長さ方向に沿わせ、その状態で釣竿と釣り糸とを一緒に糸止め具の挟持部で挟むことによって、釣り糸を釣竿に止める。これにより、釣りを休んでいる時に、釣り糸が釣竿から離れるのを防止することができる。
【0003】
また、リールを用いた釣りにおいては、ラインストッパが用いられる。ラインストッパは、リールに巻き取ったライン(釣り糸)が緩むのを防止する道具である。ラインストッパには、リールに設けられるタイプとリールとは別個の単独で用いられるタイプとがある。リールとは別個の単独で用いられるタイプのラインストッパは、本体とライン止め部とを有する。このようなラインストッパの一例では、ライン止め部が、折り畳むようにU字状に折り曲げられた針金で構成され、当該針金のU字状部分にラインを通すと当該U字状部分によってラインが挟持される。また、ラインストッパの他の例では、本体を構成する弾性の板状体の一辺から内部に向けて、ライン止め部を構成する切れ目が形成されていて、この切れ目にラインを通すと当該切れ目によってラインが挟持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平08-051899号公開公報(特に
図5参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の糸止め具では、糸止め具による加圧力がフルに作用する部分が、釣竿の周面の法線と糸止め具の挟持部の内面の法線とが一致する線状部分のみであること(特許文献1の
図5参照)と、釣り糸を挟持する一方の面が釣竿の周面であって実質的に法線方向に弾性変形しないことから、例えば、釣り糸が細い場合に釣り糸に作用する止め力が十分でない場合がある。
【0006】
また、上記従来の単独で用いられるラインストッパにおいては、ラインが通っていない状態においてライン止め部に加圧力が作用していないので、例えば、釣り糸が細い場合に釣り糸に作用する止め力が十分でない場合がある。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、釣り糸が細い場合でも釣り糸に止め力が十分に作用する釣り糸止め具及び釣り糸止め具セットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のある形態(aspect)に係る、釣り糸止め具は、第1端面を含む凸状の第1端部を有し、当該第1端部の表面を構成する法線方向に弾性変形可能な第1挟持面を有する第1挟持部材と、第2端面を含む凸状の第2端部を有し、当該第2端部の表面を構成する法線方向に弾性変形可能な第2挟持面を有する第2挟持部材と、結合軸線を有する加圧結合構造と、を備え、前記第1挟持面は、前記第1端部の基端側に位置する第1外周と、前記結合軸線が中心軸である環状の第1内周と、前記第1外周と前記第1内周との間に延在し且つ前記第1端面に含まれる先端面であって前記結合軸線に実質的に垂直な環状の第1接触面と、前記第1外周から内方且つ斜めに立ち上って前記第1接触面に至るように延在する第1斜面と、を含み、前記第2挟持面は、前記第2端部の基端側に位置する第2外周と、前記結合軸線が中心軸である環状の第2内周と、前記第2外周と前記第2内周との間に延在し且つ前記第2端面に含まれる先端面であって前記結合軸線に実質的に垂直な環状の第2接触面と、前記第2外周から内方且つ斜めに立ち上って前記第2接触面に至るように延在する第2斜面と、を含み、前記第1挟持部材と前記第2挟持部材とが、前記第1内周と前記第2内周とが同軸状になり、且つ、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触するように配置されており、前記加圧結合構造は、前記結合軸線が中心軸である円柱状の孔部と、前記結合軸線が中心軸であって前記孔部と嵌合する円柱状の軸部と、を含み、前記孔部が、前記第2挟持部材に、前記第2内周の開口面に開口するように設けられるとともに、前記軸部が、前記第1挟持部材に前記第1内周の開口面から突出するように設けられており、且つ、前記軸部が前記孔部に螺入されるか又は前記軸部が前記孔部に圧入されることによって、前記第1挟持部材と前記第2挟持部材とが、前記加圧結合構造によって、前記結合軸線に沿った方向に互いに加圧された状態で、前記孔部に嵌合された前記軸部を介して互いに結合されている。
【0009】
この構成によれば、釣り糸を張った状態で、第1挟持部材の第1挟持面又は第2挟持部材の第2挟持面に沿って、加圧結合構造の軸部に向けて移動させると、先ず、釣り糸が第1挟持部材の第1挟持面又は第2挟持部材の第2挟持面に案内され、次いで、釣り糸が、第1挟持部材の第1接触面と第2挟持部材の第2接触面とによって挟持される。この場合、第1挟持部材の第1接触面と第2挟持部材の第2接触面とが互いに面接触して加圧されており、且つ、第1接触面及び第2接触面の双方が各々の法線方向に弾性変形するので、釣り糸が細い場合でも釣り糸に止め力が十分に作用する状態で釣り糸を釣り糸止め具に止めることができる。また、この構成によれば、第1挟持部材と第2挟持部材とを加圧結合させるための別個の部材が不要であり、加圧結合構造が簡素化される。
【0012】
前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材が弾性体で構成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、簡単な構成で、第1挟持部材の第1挟持面及び第2挟持部材の第2挟持面をそれぞれ法線方向に弾性変形可能にすることができる。
【0014】
前記第1挟持部材又は前記第2挟持部材に、当該第1挟持部材又は当該第2挟持部材を釣竿に取り付けるための取り付け部が設けられていてもよい。
【0015】
この構成によれば、取り付け部を利用して釣り糸止め具を釣竿に取り付けることができ、その結果、釣りを休んでいる時に、釣り糸が釣竿から離れるのを防止することができる。
【0016】
また、本発明の他の形態(aspect)に係る、釣り糸止め具セットは、第1端面を含む凸状の第1端部を有し、当該第1端部の表面を構成する法線方向に弾性変形可能な第1挟持面を有する第1挟持部材と、第2端面を含む凸状の第2端部を有し、当該第2端部の表面を構成する法線方向に弾性変形可能な第2挟持面を有する第2挟持部材と、を備え、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材は、それぞれ、第1中心軸線及び第2中心軸線を有する加圧結合構造を含み、前記第1挟持面は、前記第1端部の基端側に位置する第1外周と、前記第1中心軸線が中心軸である環状の第1内周と、前記第1外周と前記第1内周との間に延在し且つ前記第1端面に含まれる先端面であって前記第1中心軸線に実質的に垂直な環状の第1接触面と、前記第1外周から内方且つ斜めに立ち上って前記第1接触面に至るように延在する第1斜面と、を含み、前記第2挟持面は、前記第2端部の基端側に位置する第2外周と、前記第2中心軸線が中心軸である環状の第2内周と、前記第2外周と前記第2内周との間に延在し且つ前記第2端面に含まれる先端面であって前記第2中心軸線に実質的に垂直な環状の第2接触面と、前記第2外周から内方且つ斜めに立ち上って前記第2接触面に至るように延在する第2斜面と、を含み、前記加圧結合構造は、前記第2中心軸線が中心軸である円柱状の孔部と、前記第1中心軸線が中心軸であって前記孔部と嵌合する円柱状の軸部と、を含み、前記孔部が前記第2挟持部材に前記第2内周の開口面に開口するように設けられるとともに、前記軸部が前記第1挟持部材に前記第1内周の開口面から突出するように設けられており、前記第1挟持部材と前記第2挟持部材とを、前記第1中心軸線と前記第2中心軸線とが実質的に一致して結合軸線になり、前記第1内周と前記第2内周とが同軸状になり、且つ、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触するように配置した状態において、前記軸部を前記孔部に螺入又は圧入することによって、前記第1挟持部材と前記第2挟持部材とを、前記結合軸線に沿った方向に互いに加圧した状態で、前記軸部を介して互いに結合することが可能である。
【0017】
この構成によれば、第1挟持部材と第2挟持部材とを、第1内周と第2内周とが同軸状になり、且つ、第1接触面と第2接触面とが互いに接触するように配置した状態において、軸部を孔部に螺入又は圧入することによって、第1挟持部材と第2挟持部材とを、結合軸線に沿った方向に互いに加圧した状態で、前記軸部を介して互いに結合することによって、釣り糸が細い場合でも釣り糸に止め力が十分に作用する釣り糸止め具を得ることできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、釣り糸が細い場合でも釣り糸に止め力が十分に作用する釣り糸止め具及び釣り糸止め具セットを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る釣り糸止め具の構成の一例を示す外観図である。
【
図2】
図2は、
図1の第1挟持部材の構成の一例を示す外観図である。
【
図3】
図3は、
図1の第2挟持部材の構成の一例を示す外観図である。
【
図4】
図4は、
図1の釣り糸止め具の縦断面を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図1の釣り糸止め具の作用効果を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図1の釣り糸止め具を釣竿に取り付けるためのOリングの構成を示す外観図である。
【
図7】
図7は、
図1の釣り糸止め具を釣竿に取り付けた状態を示す外観図である。
【
図8】
図8は、釣竿に取り付けられた釣り糸止め具に釣り糸を止めた状態を示す外観図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態3に係る釣り糸止め具の構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、以下の図は、本発明を説明するための図であるので、本発明に無関係な要素が省略される場合、誇張等のために寸法が正確でない場合、簡略化される場合、複数の図において互いに対応する要素の形態が一致しない場合等がある。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0021】
(実施形態の概要)
本発明に係る釣り糸止め具は、釣竿に取り付けられて釣り糸を止める実施形態1と、実施形態1に係る釣り糸止め具を最終組み立てしない状態で提供する実施形態2と、ラインストッパとして構成される実施形態3と、実施形態3に係る釣り糸止め具を最終組み立てしない状態で提供する実施形態4と、その他の実施形態と、を含む。
【0022】
(実施形態1)
【0023】
[構成]
図1は、本発明の実施形態1に係る釣り糸止め具100の構成の一例を示す外観図である。
図2は、
図1の第1挟持部材1の構成の一例を示す外観図である。
図3は、
図1の第2挟持部材2の構成の一例を示す外観図である。
図4は、
図1の釣り糸止め具100の縦断面を示す断面図である。
図4には、
図1における結合軸線A0を含む釣り糸止め具100の長手方向の断面が示されている。
図1~3は、図示対象物をスケッチして作成された図である。
【0024】
図1を参照すると、釣り糸止め具100は、第1挟持部材1と、第2挟持部材2と、を備える。
図4を参照すると、釣り糸止め具100は、さらに、結合軸線A0を有する加圧結合構造10を備える。
【0025】
{第1挟持部材1}
≪構造≫
図2を参照すると、第1挟持部材1は、本体11と軸部12とを含む。本体11の全体形状は、以下に述べる第1挟持面Fp1を有すれば、特に限定されない。本体11は、例えば、半球状の形状を有する。本体11では、この半球状の形状の基端面が第1挟持面Fp1を構成している。第1挟持面Fp1は、基端である第1外周Co1と、第1中心軸線A1が中心軸である環状の第1内周Ci1と、第1外周Co1と第1内周Ci1との間に延在する先端面であって第1中心軸線A1に垂直な環状の第1接触面Fc1と、第1外周Co1から内方且つ斜めに立ち上って第1接触面Fc1に至るように延在する第1斜面Fs1と、を含む。第1斜面Fs1は、後述するように、釣り糸5を案内する役割を果たす(
図5及び
図8参照)ので、平滑であることが必要であるが、それ以外は特に限定されない。第1斜面Fs1は、ここでは、一定の傾斜を有する傾斜面である(
図4参照)が、傾斜が基端から先端に向かって緩くなる斜面であってもよい。また、第1挟持面Fp1は、法線方向に弾性変形が可能である。また、本体11の半球面状の先端面に、第1挟持部材1を第2挟持部材2に螺合させる際の手がかりとなる部分(図示せず)が形成されていてもよい。このような手がかりとなる部分として、例えば、適宜な形状(例えば十字状)のリブ、梨地、等が挙げられる。また、本体11を多角錐状に形成し、基端面に第1挟持面Fp1を形成してもよい。この場合、先端面における多角錐の稜部が上記手がかりとなる部分になる。
【0026】
本体11には、第1接触面Fc1の第1内周Ci1の開口面から突出するように軸部12が設けられている。軸部12では、第1中心軸線A1が中心軸である。軸部12の外周面には雄ねじが形成されている。ここでは、軸部12の外周が第1接触面Fc1の第1内周Ci1と一致している。なお、軸部12の基部が、雄ねじを有しない短円柱状に形成されていてもよい(実施形態3及び
図9参照)。この効果については、後述する。
【0027】
≪材質≫
第1挟持部材1は、少なくとも外側部分が弾性体で構成される。従って、第1挟持面Fp1は、法線方向に弾性変形可能である。
【0028】
この弾性体の材料として、合成ゴム、天然ゴム等のゴム類が例示される。合成ゴムとして、例えば、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムが挙げられる。これらのうち、シリコーンゴムが特に弾性体の材料として好ましい。シリコーンゴムは、摩擦力が大きいからである。
【0029】
弾性体の弾性は一般的なレベルであればよい。ゴム類に関しては、この弾性の「一般的なレベル」とは、一般に取引されているゴム類製品の弾性レベルを意味する。ゴム類の弾性は、便宜的に、引張強さで代用することができる。第1挟持部材1の好ましい引張強さ(試験方法:JISK6301)の範囲として、シリコーンゴムの場合、40~100Kgf/cm2の範囲が例示される。また、天然ゴムの場合、30~300Kgf/cm2の範囲が例示される。さらに、ゴム類一般の場合、20~300Kgf/cm2の範囲が例示される。また、ゴム類の弾性は、便宜的に、JIS硬さで代用することもできる。第1挟持部材1の好ましいJIS硬さ(試験方法:JISK6301)の範囲として、シリコーンゴムの場合、30~90の範囲が例示される。また、天然ゴムの場合、10~100の範囲が例示される。さらに、ゴム類一般の場合、10~100の範囲が例示される。以上のゴム物性については、URL:<https://kayo-corp.co.jp/common/pdf/rub_propertylist.pdf>の資料を参照されたい。
【0030】
本実施形態に従って作成された一実施例では、弾性体がシリコーンゴムで構成され、引張強さが96Kgf/cm2であった。なお、上記弾性の範囲は、例示であり、この範囲以外の弾性であってもよい。
【0031】
第1挟持部材1は、全体が弾性体で構成されてもよく、外側部分が弾性体で構成されるとともに内側部分が剛体で構成されてもよい。第1挟持部材1は、ここでは、全体が弾性体で構成されている。
【0032】
{第2挟持部材2}
≪構造≫
図3を参照すると、第2挟持部材2は、本体21と孔部22と取り付け部23とを含む。本体21の全体形状は、以下に述べる第2挟持面Fp2を有すれば、特に限定されない。本体21は、例えば、短円柱状の形状を有する。本体21では、この短円柱状の形状の一方の端面が第2挟持面Fp2を構成している。第2挟持面Fp2は、基端である第2外周Co2と、第2中心軸線A2が中心軸である環状の第2内周Ci2と、第2外周Co2と第2内周Ci2との間に延在する先端面であって第2中心軸線A2に垂直な環状の第2接触面Fc2と、第2外周Co2から内方且つ斜めに立ち上って第2接触面Fc2に至るように延在する第2斜面Fs2と、を含む。第2斜面Fs2は、後述するように、釣り糸5を案内する役割を果たす(
図5及び
図8参照)ので、平滑であることが必要であるが、それ以外は特に限定されない。第2斜面Fs2は、ここでは、傾斜が基端から先端に向かって緩くなる斜面である(
図4参照)が、一定の傾斜を有する傾斜面であってもよい。また、第2挟持面Fp2は、法線方向に弾性変形が可能である。
【0033】
本体21には、第2接触面Fc2の第2内周Ci2の開口面に開口するように孔部22が設けられている。孔部22は、第2中心軸線A2が中心軸とする円柱状に形成されている。孔部22の内周面には、第1挟持部材1の軸部12の雄ねじと螺合する雌ねじが形成されている。孔部22は、第1挟持部材1の軸部12の長さに相当する深さと同等以上の深さに形成されている。また、孔部22が、第1挟持部材1の軸部12の長さに相当する深さ以上の深さに形成されている場合、孔部22の先端部(奥部)が、雌ねじが形成されていない短円柱状の空間22aに形成されてもよい。この空間22aは、直径が雌ねじの谷(溝)の径より大きく形成される。これらの効果については、後述する。
【0034】
なお、
図4を参照すると、本体21の他方の端面は浅い凹状に形成されているが、この凹状部を省略してもよい。
【0035】
また、本体21の互いに反対の側面の下部には、当該反対の側面の下部から本体21の径方向外方に突出するように一対の取り付け部23,23が設けられている。一対の取り付け部23,23の形状は、本体21を釣竿4に取り付けることができれば、特に限定されない。ここでは、一対の取り付け部23,23は、それぞれ、L字状の縦断面を有するように形成されている。これら一対の取り付け部23,23の立ち上がり部23aは、後述するように、釣り糸止め具100を釣竿4に取り付ける際に、補助具としてのOリングが係止される部分である(
図7参照)。
【0036】
≪材質≫
第2挟持部材2の材質は、第1挟持部材1の材質と同様である。
【0037】
{加圧結合構造10}
図4を参照すると、加圧結合構造10は、第1挟持部材1の軸部12と第2挟持部材2の孔部22とを含む。軸部12は第1挟持部材1の第1内周Ci1の開口面から突出するように設けられ、孔部22は第2挟持部材2の第2内周Ci2の開口面に開口するように設けられている。従って、軸部12と第1内周Ci1との間に間隔があってもよい。例えば、第1内周Ci1と軸部12との間に環状の凹部が形成されていてもよい。また、孔部22と第2内周Ci2との間に間隔があってもよい。例えば、第2内周Ci2の内側が凹部に形成され、当該凹部に孔部22が開口していてもよい。
【0038】
釣り糸止め具100においては、例えば、製造会社の作業者又はユーザが、普通の力で第1挟持部材1の軸部12を第2挟持部材2の孔部22に基端まで螺入すると、第1挟持部材1及び第2挟持部材2の弾性変形によって、その弾性変形に応じた加圧力で第2挟持部材2に第1挟持部材1が締結される。この場合、第1挟持部材1と第2挟持部材2とが、第1内周Ci1と第2内周Ci2とが同軸状になり、且つ、第1接触面Fc1と第2接触面Fc2とが互いに接触するように配置された状態において、結合軸線A0に沿った方向に互いに加圧された状態で、軸部12及び孔部22を介して互いに結合されている。この状態においては、第1挟持部材1の第1中心軸線A1及び第2挟持部材2の第2中心軸線A2が、実質的に結合軸線A0に一致している。従って、この加圧結合構造では、軸部12及び孔部22の中心軸は実質的に結合軸線A0であり、第1接触面Fc1及び第2接触面Fc2は実質的に結合軸線A0に垂直であり、且つ、第1内周Ci1及び第2内周Ci2は実質的に結合軸線A0に垂直である。
【0039】
ここで、第2挟持部の孔部22の深さが第1挟持部材1の軸部12の長さに相当する深さより深く形成されている場合、さらに、孔部22の先端部(奥部)が雌ねじの谷の径より大きい径の短円柱状の空間22aに形成されている場合には、上記のように普通の力で第1挟持部材1を第2挟持部材2に締結した状態から、さらに、力を込めて、第1挟持部材を回転させて第2挟持部材2に第1挟持部材1を締め付ける(以下、「増し締めする」という)ことができる。
【0040】
[作用効果]
図5は、
図1の釣り糸止め具100の作用効果を示す断面図である。
図5を参照すると、以上のように構成された釣り糸止め具100によれば、釣り糸5を張った状態で、第1挟持部材1の第1挟持面Fp1又は第2挟持部材2の第2挟持面Fp2に沿って、加圧結合構造10の軸部12に向けて移動させると、先ず、釣り糸5が第1挟持部材1の第1挟持面Fp1又は第2挟持部材2の第2挟持面Fp2に案内され、次いで、釣り糸5が、第1挟持部材1の第1接触面Fc1と第2挟持部材2の第2接触面Fc2とによって挟持される。この場合、第1挟持部材1の第1接触面Fc1と第2挟持部材2の第2接触面Fc2とが互いに面接触して加圧されており、且つ、第1接触面Fc1及び第2接触面Fc2の双方が各々の法線方向に弾性変形するので、釣り糸5が細い場合でも釣り糸5に止め力が十分に作用する。
【0041】
[使用方法]
また、上述のように、増し締めすると、この止め力がより増大する。また、釣り糸5が特に細い場合は、釣り糸5を軸部12に巻き付けることが望ましい。それによって、釣り糸5に対する止め力を増大させることができる。
【0042】
図6は、
図1の釣り糸止め具100を釣竿4に取り付けるためのOリング3の構成を示す外観図である。
図7は、
図1の釣り糸止め具100を釣竿4に取り付けた状態を示す外観図である。
図8は、釣竿4に取り付けられた釣り糸止め具100に釣り糸5を止めた状態を示す外観図である。
【0043】
図6を参照すると、釣り糸止め具100を釣竿4に取り付ける補助具として、例えば、Oリング3を用意する。当該補助具は、釣り糸止め具100の一対の取り付け部23,23の立ち上がり部23a,23aに引っ掛けて釣り糸止め具100を釣竿4に取り付けることができれば、特に限定されない。補助具として、例えば、輪ゴム、ゴム紐等を用いてもよい。
【0044】
図5~
図8を参照すると、先ず、釣り糸止め具100を釣竿4の外周面に置く。次いで、釣り糸止め具100の一対の取り付け部23,23の一方の立ち上がり部23a(
図3参照)にOリング3の一端を引っ掛ける。次いで、Oリングを引き伸ばしながら釣竿4に巻き付け、Oリング3の他端を、釣り糸止め具100の一対の取り付け部23,23の他方の立ち上がり部23aに引っ掛ける。これにより、釣り糸止め具100が釣竿4に取り付けられる。
【0045】
次に、例えば、釣竿4に取り付けられるとともに釣り針7及び錘6が装着された釣り糸5を適宜引っ張って、釣り糸止め具100の第1挟持部材1の第1挟持面Fp1又は第2挟持部材2の第2挟持面Fp2に沿って、加圧結合構造10の軸部12に向けて移動させる。この場合、釣り糸5を釣り糸止め具100の軸部12に巻き付けてもよい。なお、上述のように、軸部12の基部に雄ねじを有しない短円柱状の部分が形成されていると、釣り糸5が軸部12の基部に巻き付けられた時に釣り糸5が雄ねじの谷に食い込むことが防止される。
【0046】
これにより、釣り糸5が釣り糸止め具100に止められる。次いで、釣り針7を第1挟持部材1の球状の端面に差し込んで止める。
【0047】
これにより、釣りを休んでいる時に、釣り糸5が釣竿4から離れるのを防止することができる。その結果、例えば、釣りの場所を移動するときに、釣り糸が周囲の物に絡まるのを防止することができる。
【0048】
(実施形態2)
実施形態2では、実施形態1に係る釣り糸止め具100の第1挟持部材及び第2挟持部材2が、結合されていない状態で、釣り糸止め具セットとしてユーザに提供される。
【0049】
このような実施形態2によれば、ユーザが第1挟持部材1と第2挟持部材2とを、加圧結合させることによって、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0050】
(実施形態3)
本発明の実施形態3は、実施形態1の釣り糸止め具100をラインストッパとして構成した形態を例示する。具体的には、実施形態3の釣り糸止め具300は、以下の点が実施形態1の釣り糸止め具100と異なり、その他の点は実施形態1の釣り糸止め具100と同様である。以下、この相違点について説明する。
【0051】
図9は、本発明の実施形態3に係る釣り糸止め具300の構成の一例を示す断面図である。
図9を参照すると、実施形態3の釣り糸止め具300においては、第2挟持部材2が本体21と孔部22とを含み、実施形態1の釣り糸止め具100の取り付け部23を含まない。また、第1挟持部材の本体11の全体形状と第2挟持部材2の本体21の全体形状とが互いに同様に半球状に形成されている。第1挟持部材1の本体11の基端面には、実施形態1の釣り糸止め具100の第1挟持部材1の本体11の第1挟持面Fp1と同様の第1接触面Fc1及び第1斜面Fs1を含む第1挟持面Fp1が形成されている。第1挟持部材1の軸部12は、実施形態1の第1挟持部材1の軸部12と同様に形成されているが、軸部12の基部12aが、雄ねじを有しない短円柱状に形成されている。この短円柱状の基部12aは、雄ねじの谷の径より小さい径及び雄ねじの1~2ターン分の長さを有する。これにより、釣り糸5が軸部12の基部12aに巻き付けられた時に釣り糸5が雄ねじの谷に食い込むことが防止される。
【0052】
第2挟持部材2の基端面には、第1挟持部材1の本体11の第1挟持面Fp1同様に構成された第2挟持面Fp2が形成されている。すなわち、第2挟持面Fp2は、それぞれ、第1接触面Fc1と同様に形成された第2接触面Fc2及び第1斜面Fs1と同様に形成された第2斜面Fs2を含む。第2挟持部材の孔部22は、実施形態1の釣り糸止め具100の第1挟持部材1の孔部22と同様に形成されている。
【0053】
なお、第1挟持部材1の先端面Ff1及び第2挟持部材2の先端面Ff2の少なくともいずれかに、第1挟持部材1を第2挟持部材2に螺合させる際の手がかりとなる部分(図示せず)が形成されていてもよい。このような手がかりとなる部分として、例えば、適宜な形状(例えば十字状)のリブ、梨地、等が挙げられる。また、第1挟持部材1及び第2挟持部材2の少なくともいずれかを多角錐状に形成し、少なくともいずれかの基端面に第1挟持面Fp1又は第2挟持面Fp2を形成してもよい。この場合、先端面Ff1又はFf2における多角錐の稜部が上記手がかりとなる部分になる。
【0054】
[作用効果]
以上のように構成された本実施形態3の釣り糸止め具300は、実施形態1の釣り糸止め具100と較べると、実施形態1の釣り糸止め具100の一対の取り付け部23,23を有しない点で異なるだけであるので、実施形態3の釣り糸止め具300の作用効果は、
図5に示された実施形態1の釣り糸止め具100の作用効果と同じである。
図5及び
図9を参照すると、以上のように構成された釣り糸止め具300によれば、釣り糸5(
図5及び
図10参照)を張った状態で、第1挟持部材1の第1挟持面Fp1又は第2挟持部材2の第2挟持面Fp2に沿って、加圧結合構造10の軸部12に向けて移動させると、先ず、釣り糸5が第1挟持部材1の第1挟持面Fp1又は第2挟持部材2の第2挟持面Fp2に案内され、次いで、釣り糸5が、第1挟持部材1の第1接触面Fc1と第2挟持部材2の第2接触面Fc2とによって挟持される。この場合、第1挟持部材1の第1接触面Fc1と第2挟持部材2の第2接触面Fc2とが互いに面接触して加圧されており、且つ、第1接触面Fc1及び第2接触面Fc2の双方が各々の法線方向に弾性変形するので、釣り糸5が細い場合でも釣り糸5に止め力が十分に作用する。なお、釣り糸止め具300は、全体が球状であるので、デザイン的に優れている。
【0055】
[使用方法]
ラインストッパの使用方法は周知であるので、以下、簡単に釣り糸止め具300の使用方法を説明する。
図10は、
図9の釣り糸止め具300に釣り糸5を止めた状態を示す外観図である。
図9及び
図10を参照すると、釣りにおいて、リールから繰り出された釣り糸(ライン)5の適所を、適宜な張力を加えた状態で、釣り糸止め具300の第1挟持部材1の第1挟持面Fp1又は第2挟持部材2の第2挟持面Fp2に沿って、加圧結合構造10の軸部12に向けて移動させる。この場合、釣り糸5を釣り糸止め具300の軸部12に巻き付けてもよい。
【0056】
これにより、釣り糸5が釣り糸止め具300に止められる。次いで、リールを操作して、釣り糸5を、釣り糸止め具300がリールの釣り糸5の繰り出し口に当接するまで巻き取る。そして、釣り糸止め具300がリールの釣り糸5の繰り出し口に当接したら、釣り糸5をロックする。これにより、例えば、釣りの場所を移動するときに、釣り糸5が周囲の物に絡まるのを防止することができる。
【0057】
(実施形態4)
実施形態4では、実施形態3に係る釣り糸止め具300の第1挟持部材1及び第2挟持部材2が、結合されていない状態で、釣り糸止め具セットとしてユーザに提供される。
【0058】
このような実施形態4によれば、ユーザが第1挟持部材1と第2挟持部材2とを、加圧結合させることによって、実施形態3と同様の効果を得ることができる。
【0059】
(その他の実施形態)
実施形態1乃至4のいずれかにおいて、第1挟持部材1に孔部22が設けられ、第2挟持部材2に軸部12が設けられてもよい。
【0060】
実施形態1乃至4のいずれか、又はその他の実施形態において、軸部12の外周及び孔部22の内周が平滑であって、孔部22に軸部12が圧入されて孔部22と軸部12とが嵌合することによって、第1挟持部材と第2挟持部材2とが加圧結合されてもよい。
【0061】
実施形態1又は実施形態2の釣り糸止め具100をラインストッパとして用いてもよい。
【0062】
実施形態3又は実施形態4の釣り糸止め具300の第1挟持部材1の先端面Ff1又は第2挟持部材2の先端面Ff2に、実施形態1の釣り糸止め具100の一対の取り付け部23,23を設けてもよい。これにより、この釣り糸止め具300を釣竿4に取り付けて用いることができる。
【0063】
実施形態1乃至4のいずれかにおいて、釣り糸5が太い場合、第1挟持部材1と第2挟持部材2との螺合の程度を調整して第1接触面Fc1と第2接触面Fc2との間に隙間を設けてもよい。これにより、太い釣り糸を好適に釣り糸止め具100,300に止めることができる。この場合、孔部22及び軸部12が弾性を有するので、第1接触面Fc1と第2接触面Fc2との間の隙間が好適に維持される。
【0064】
上記説明から、当業者にとっては、多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の釣り糸止め具及び釣り糸止め具セットは、釣り糸が細い場合でも釣り糸に止め力が十分に作用する釣り糸止め具及び釣り糸止め具セットとして有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 第1挟持部材
1a 凹部
2 第2挟持部材
2a 凹部
3 Oリング
4 釣竿
5 釣り糸
6 錘
7 釣り針
10 加圧結合構造
11,21 本体
12 軸部
12a 基部
22 孔部
A0 結合軸線
A1 第1中心軸線
A2 第2中心軸線
23 取り付け部
Ci1 第1内周
Ci2 第2内周
Co1 第1外周
Co2 第2外周
Fb1 第1基端面
Fb2 第2基端面
Fc1 第1接触面
Fc2 第2接触面
Ff1,Ff2 先端面
Fp1 第1挟持面
Fp2 第2挟持面
Fs1 第1斜面
Fs2 第2斜面
100,300 釣り糸止め具
【要約】
【課題】釣り糸が細い場合でも釣り糸に止め力を十分に作用させる。
【解決手段】釣り糸止め具100は、第1挟持面Fp1を有する第1挟持部材1と、第2挟持面Fp2を有する第2挟持部材2と、結合軸線A0を有する加圧結合構造10と、を備える。第1挟持面Fp1は、第1接触面Fc1と、第1斜面Fs1と、を含む。第2挟持面Fp2は、第2接触面Fc2と、第2斜面Fs2と、を含む。第1挟持部材1と第2挟持部材2とが、第1挟持面Fp1の第1内周Ci1と第2挟持面Fp2の第2内周Ci2とが同軸状になり、第1接触面Fc1と第2接触面Fc2とが互いに接触するように配置されており、第1挟持部材1と第2挟持部材2とが、加圧結合構造10によって、結合軸線A0に沿った方向に互いに加圧された状態で、孔部22に嵌合した軸部12を介して互いに結合されている。
【選択図】
図4