(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/90 20060101AFI20240425BHJP
B21D 43/05 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B65G47/90 A
B21D43/05 U
(21)【出願番号】P 2022079260
(22)【出願日】2022-05-13
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000207816
【氏名又は名称】大豊精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】597066452
【氏名又は名称】株式会社アイサク
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆
(72)【発明者】
【氏名】中野 透
(72)【発明者】
【氏名】吉村 航
(72)【発明者】
【氏名】倉重 健一
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-047829(JP,U)
【文献】特開2000-071034(JP,A)
【文献】米国特許第05383348(US,A)
【文献】特開2003-290850(JP,A)
【文献】特開平10-137876(JP,A)
【文献】特公平02-012656(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 - 47/96
B21D 43/00 - 43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駆動源を有する第1ガイドレールと、
前記第1ガイドレールに平行に配置され、第2駆動源を有する第2ガイドレールと、
前記第1ガイドレールに移動可能に配置され、前記第1駆動源により前記第1ガイドレールに沿って移動する第1移動部材と、
前記第2ガイドレールに移動可能に配置され、前記第2駆動源により前記第2ガイドレールに沿って移動する第2移動部材と、
前記第1移動部材に揺動可能に配置された第1リンク部材と、
前記第2移動部材に揺動可能に配置された第2リンク部材と、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とをつなぐように前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材に接続され、ワークを保持するクロスバーと、
を備え、
前記第1移動部材及び前記第2移動部材の移動により、少なくとも2つのプレス機の間で前記ワークを搬送するワーク搬送装置であって、
前記クロスバーは、
上下に対面するように配置された2枚の板状部材及び2枚の前記板状部材を上下方向に間隔を開けて接続する接続部材を有するバー本体部と、
前記バー本体部に移動可能に配置され、前記ワークを保持する第1保持部と、
前記バー本体部に移動可能に、前記第1保持部と前記バー本体部の長手方向に離間して配置され、前記ワークを保持する第2保持部と、
前記バー本体部に配置され、前記第1保持部及び前記第2保持部をそれぞれ独立して前記バー本体部の長手方向に移動させる位置調整機構と、
を備え、
前記位置調整機構は、
2枚の前記板状部材の間に配置され、前記第1保持部を搬送する第1ベルトと、
前記第1ベルトを駆動する第1電気モータと、
2枚の前記板状部材の間に配置され、前記第2保持部を搬送する第2ベルトと、
前記第2ベルトを駆動する第2電気モータと、
を備える、
ワーク搬送装置。
【請求項2】
前記バー本体部は、複数の前記接続部材を備え、
複数の前記接続部材は、
前記板状部材の長手方向一端部に位置する一端側接続部材と、
前記板状部材の長手方向中央部に位置する中央接続部材と、
前記板状部材の長手方向他端部に位置する他端側接続部材と、
を含み、
前記第1ベルトは、前記一端側接続部材と前記中央接続部材との間に配置され、
前記第2ベルトは、前記中央接続部材と前記他端側接続部材との間に配置されている、
請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
2つの前記プレス機が対向する方向を前後方向とすると、
前記バー本体部には、2枚の前記板状部材で区画され、前記一端側接続部材と前記中央接続部材との間に形成された前後方向に開口する第1収容室、及び2枚の前記板状部材で区画され、前記他端側接続部材と前記中央接続部材との間に形成された前後方向に開口する第2収容室が形成され、
前記第1保持部は、
前記第1ベルトに連動するように前記第1収容室に配置された第1ベース部と、
前記第1ベース部から前方に延びる第1足部と、
前記第1ベース部から後方に延びる第2足部と、
前記第1足部及び前記第2足部のそれぞれの先端部に設けられ、前記ワークを吸着する第1吸着部と、
を備え、
前記第2保持部は、
前記第2ベルトに連動するように前記第2収容室に配置された第2ベース部と、
前記第2ベース部から前方に延びる第3足部と、
前記第2ベース部から後方に延びる第4足部と、
前記第3足部及び前記第4足部のそれぞれの先端部に設けられ、前記ワークを吸着する第2吸着部と、
を備える、
請求項2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記位置調整機構は、
前記中央接続部材に回転可能に支持され、前記第1ベルトが前記一端側接続部材に向けて折り返すように巻き付けられた第1ローラ部材と、
前記中央接続部材に回転可能に支持され、前記第2ベルトが前記他端側接続部材に向けて折り返すように巻き付けられた第2ローラ部材と、
を備える、
請求項2又は3に記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
相対的に下側に配置された前記板状部材の上面には、2本のレールが設けられ、
前記第1ベース部及び前記第2ベース部には、それぞれ、前記レールに対向配置されたレール対向部が設けられ、
前記レール対向部は、前記クロスバーが前記ワークを保持していないときには、前記レールと離間し、前記クロスバーが前記ワークを保持しているときには、前記レールと当接するように構成されている、
請求項3に記載のワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのプレス機の間でワークを搬送するワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つのプレス機の間でワークを搬送するワーク搬送装置は、例えば特開2005-211965号公報に記載されている。ワーク搬送装置はクロスバーを備え、当該クロスバーには、ワークを保持する保持部が設けられている。保持部は、例えば複数の吸着部を含んで構成され、ワークを着脱可能に構成されている。ワーク搬送装置は、保持部でワークを保持し、クロスバーを移動させてワークを搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プレスラインにおいて、1つのワーク搬送装置で搬送できるワークの種類(形状等)は限られている。したがって、例えばワークの形状によっては、搬送するにあたり、各種部品(例えばクロスバー等)又は装置自体を交換する必要がある。これによれば、作業効率やコストの観点で改良の余地がある。また、クロスバーは搬送時にプレス機の内部を通るため、上下方向の厚さが薄いことが好ましい。また、2つのガイドレール間にクロスバーが配置される構成において、クロスバーは軽いことが好ましく、またワークを搬送する際に、各部品の撓みが発生したとしても、当該撓みを許容可能な構成であることが好ましい。
本発明の目的は、搬送可能なワークの種類を増やすことができ、且つプレス機とプレス機の間を搬送することに適したワーク搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のワーク搬送装置は、第1駆動源を有する第1ガイドレールと、前記第1ガイドレールに平行に配置され、第2駆動源を有する第2ガイドレールと、前記第1ガイドレールに移動可能に配置され、前記第1駆動源により前記第1ガイドレールに沿って移動する第1移動部材と、前記第2ガイドレールに移動可能に配置され、前記第2駆動源により前記第2ガイドレールに沿って移動する第2移動部材と、前記第1移動部材に揺動可能に配置された第1リンク部材と、前記第2移動部材に揺動可能に配置された第2リンク部材と、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材とをつなぐように前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材に接続され、ワークを保持するクロスバーと、を備え、前記第1移動部材及び前記第2移動部材の移動により、少なくとも2つのプレス機の間で前記ワークを搬送するワーク搬送装置であって、前記クロスバーは、上下に対面するように配置された2枚の板状部材及び2枚の前記板状部材を上下方向に間隔を開けて接続する接続部材を有するバー本体部と、前記バー本体部に移動可能に配置され、前記ワークを保持する第1保持部と、前記バー本体部に移動可能に、前記第1保持部と前記バー本体部の長手方向に離間して配置され、前記ワークを保持する第2保持部と、前記バー本体部に配置され、前記第1保持部及び前記第2保持部をそれぞれ独立して前記バー本体部の長手方向に移動させる位置調整機構を備え、前記位置調整機構は、2枚の前記板状部材の間に配置され、前記第1保持部を搬送する第1ベルトと、前記第1ベルトを駆動する第1電気モータと、2枚の前記板状部材の間に配置され、前記第2保持部を搬送する第2ベルトと、前記第2ベルトを駆動する第2電気モータを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、位置調整機構により第1保持部の位置と第2保持部の位置を独立して調整することができる。例えば、第1保持部と第2保持部とのバー本体部での位置を変更することで、両者の離間距離を変更することも可能となり、保持できるワークの種類を増やすことができる。本発明によれば、ベルトにより保持部の位置が無段階で調整可能となる。また、本発明によれば、板状部材とベルトを利用してクロスバーが構成されているため、クロスバーの小型化、特にクロスバーの上下方向の厚みを小さくすることができる上、クロスバーの軽量化が可能となる。また、ワークの荷重によりバー本体部に撓みが発生しても、ベルトは容易に変形できるため、位置調整機構の破損は抑制される。つまり、位置調整機構は、バー本体部の撓みを許容できる構成となっている。本発明によれば、プレス機とプレス機の間でワークを搬送するワーク搬送装置に適した構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態のワーク搬送装置の構成図(平面図)である。
【
図2】本実施形態のワーク搬送装置の一部を示す構成図(側面図)である。
【
図3】本実施形態の吸着ユニットの構成図(平面図)である。
【
図4】本実施形態の吸着ユニットの構成図(側面図)である。
【
図5】本実施形態のクロスバーの構成図(平面図)である。
【
図6】本実施形態のクロスバーの構成図(正面図)である。
【
図7】本実施形態のワーク搬送装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の一実施形態であるワーク搬送装置1を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。また、
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、及び
図6は概念図であり、縦横の比率等は実際のものとは異なることがある。また、一部の構成の表示が省略されている図面があり、例えば、
図4及び
図6では吸着部の表示が省略され、
図5では上側のベルトの表示が省略されている。また、図面において、一部透視した状態で表示されている。
【0009】
図1に示すように、本実施形態のワーク搬送装置1は、2つのプレス機91、92の間でワークWを搬送する装置である。
図1~
図8に示すように、ワーク搬送装置1は、第1ガイドレール21と、第2ガイドレール22と、第1移動部材31と、第2移動部材32と、第1リンク部材41と、第2リンク部材42と、クロスバー5と、制御装置10と、を備えている。制御装置10は、CPUやメモリ等を備えるコンピュータであって、各種制御(例えば電気モータの制御や吸着力の制御等)を実行する。以下、説明において、プレス機91からプレス機92に向かう方向を前方とし、その反対方向を後方とする。
【0010】
第1ガイドレール21は、2つのプレス機91、92をつなぐように前後方向に延伸している。第1ガイドレール21は、レール本体部211と、第1駆動源としての電気モータ212と、動力変換機構としてのボールねじ機構213と、を備えている。レール本体部211は、2つのプレス機91、92をつなぐように前後方向に延伸している。電気モータ212は、サーボモータであって、その本体部分はレール本体部211の一端部(後端部)に固定されている。ボールねじ機構213は、電気モータ212の出力軸の回転運動を第1移動部材31の直線運動に変換する機構である。電気モータ212は、レール本体部211に設けられたボールねじ機構213を介して、第1移動部材31をレール本体部211に沿って移動させる。
【0011】
第2ガイドレール22は、2つのプレス機91、92をつなぐように前後方向に延伸している。第2ガイドレール22は、第1ガイドレール21に平行に配置されている。第2ガイドレール22は、レール本体部221と、第2駆動源としての電気モータ222と、動力変換機構としてのボールねじ機構223と、を備えている。レール本体部221は、2つのプレス機91、92をつなぐように延伸している。電気モータ222は、サーボモータであって、その本体部分はレール本体部221の一端部に固定されている。ボールねじ機構223は、電気モータ222の出力軸の回転運動を第2移動部材32の直線運動に変換する機構である。電気モータ222は、レール本体部221に設けられたボールねじ機構223を介して、第2移動部材32をレール本体部221に沿って移動させる。
【0012】
第1移動部材31は、第1ガイドレール21のレール本体部211に移動可能に配置され、電気モータ212によりレール本体部211に沿って移動する部材である。第2移動部材32は、第2ガイドレール22のレール本体部221に移動可能に配置され、電気モータ222によりレール本体部221に沿って移動する部材である。第1移動部材31及び第2移動部材32(以下「移動部材31、32」ともいう)は、2つのプレス機91、92の間を前後方向に移動する。
【0013】
第1リンク部材41は、第1移動部材31に揺動可能に配置された部材である。第1リンク部材41は、アーム部材ともいえ、第1移動部材31から下方に延びている。第1リンク部材41には1つ以上の関節が設けられている。本実施形態の第1リンク部材41は、上端部が第1移動部材31に回転可能に取り付けられた上方リンク部411と、上方リンク部411の下端部に回転可能に取り付けられた下方リンク部412と、を備えている。上方リンク部411の上端部には、上方リンク部411を第1移動部材31に対して回転(揺動)させる電気モータ(図示略)が設けられている。下方リンク部412の上端部には、下方リンク部412を上方リンク部411に対して回転(揺動)させる電気モータ(図示略)が設けられている。
【0014】
第2リンク部材42は、第2移動部材32に揺動可能に配置された部材である。第2リンク部材42は、第1リンク部材41と同様の構成であり、アーム部材ともいえ、第2移動部材32から下方に延びている。第2リンク部材42には1つ以上の関節が設けられている。本実施形態の第2リンク部材42は、上端部が第2移動部材32に回転可能に取り付けられた上方リンク部421と、上方リンク部421の下端部に回転可能に取り付けられた下方リンク部422と、を備えている。上方リンク部421の上端部には、上方リンク部421を第2移動部材32に対して回転(揺動)させる電気モータ(図示略)が設けられている。下方リンク部422の上端部には、下方リンク部422を上方リンク部421に対して回転(揺動)させる電気モータ(図示略)が設けられている。
【0015】
クロスバー5は、第1リンク部材41と第2リンク部材42とをつなぐように、第1リンク部材41と第2リンク部材42とに接続され、ワークWを保持する部材である。より詳細に、クロスバー5は、バー本体部6と、第1保持部71と、第2保持部72と、位置調整機構8と、を備えている。バー本体部6は、一端が第1リンク部材41の下方リンク部412に接続され、他端が第2リンク部材42の下方リンク部422に接続されたバー状部材である。バー本体部6は、左右方向が長手方向となるように全体として直方体形状に形成されている。バー本体部6の詳細構成は後述する。
【0016】
(保持部)
第1保持部71及び第2保持部72(以下「保持部71、72」ともいう)は、それぞれ、バー本体部6に移動可能に配置され、ワークWを保持可能に構成されている。各保持部71、72は、複数の吸着ユニット70で構成されている。
図3及び
図4に示すように、各吸着ユニット70は、ベース部701と、ベース部701に固定された1つ又は複数の足部702と、各足部702の先端に設けられた吸着部703と、一対のレール対向部704と、を備えている。
【0017】
ベース部701は、1つ又は複数の足部702を支持する部材であって、ベルトの移動に連動するように構成されている。本実施形態のベース部701は、一対の板部材701aと、一対の板部材701aを接続する2つの接続部701bと、ベルトを保持するためのベルト保持部701cと、を備えている。一対の板部材701aは、前後方向に対面するように平行に配置されている。
【0018】
本実施形態の各ベース部701には、2つの足部702が固定されている。ベース部701において、一方の足部702は一方の板部材701aから前方に突出し、他方の足部702は他方の板部材701aから後方に突出している。一方の足部702は、一方の接続部701bに対応する位置に設けられ、他方の足部702は、他方の接続部701bに対応する位置に設けられている。
【0019】
ベルト保持部701cは、平板状の部材であって、一対の板部材701aを跨ぐように配置されている。ベルト保持部701cは、接続部701bと上下に対面するように配置されている。ベルト保持部701cと接続部701bとの間に、保持対象のベルト(後述する第1ベルト811又は第2ベルト821)が挟み込まれることで、吸着ユニット70はベルトを保持することができる。
【0020】
足部702は、接続部701bに対応する位置で、ベース部701に固定されている。本実施形態の足部702は、主に、ベース部701から前方又は後方に延びる第1部と、第1部から下方に延びる第2部と、第2部の下端から前方又は後方に延びる第3部を備えている。複数の足部702は、左右方向に間隔を開けて、前方と後方とに交互に突出するように並んで配置されている。
【0021】
吸着部703は、ワークWを吸着する手段であって、足部702の先端に配置され、ベース部701及び足部702と一体的に移動する。吸着部703は、例えば、吸着カップ又は吸着パッド(真空パッドとも呼ばれる)である。各吸着部703には、制御装置10の制御に応じて、負圧による吸着力が発生する。各吸着ユニット70は、図示略の配線により制御装置10と接続されている。クロスバー5は、吸着部703にワークWを当接させ且つ吸着力を発生させて、ワークWを保持する。クロスバー5とワークWは、制御装置10の制御により着脱可能である。
【0022】
レール対向部704は、後述する下側の板状部材62の上面に設けられたレール62aに対向するように配置された部材である。レール対向部704は、レール62aの上方に位置している。レール対向部704は、吸着ユニット70がワークWを保持していないときには、レール62aと離間しており、吸着ユニット70がワークWを保持しているときには、レール62aと当接してワークWの荷重をバー本体部6に伝える。これにより、位置調整時には摺動抵抗なくスムーズに保持部71、72が移動可能となり、ワークWを保持した際には、ベルトに加わる負荷の増大を抑制することができる。なお、レール対向部704は、ワークWを保持していないときも、レール62aと当接するように構成されてもよい。この場合、位置調整のためのベルト駆動に対して、レール対向部704は、レール62a上を摺動する。
【0023】
また、複数の吸着ユニット70は、左右方向に連結されていてもよい。例えば、第1保持部71を構成する複数の吸着ユニット70が連結され、第2保持部72を構成する複数の吸着ユニット70が連結されていてもよい。この場合、連結した分だけ、ベルト保持部701cは不要となる。
【0024】
位置調整機構8は、バー本体部6に配置され、第1保持部71及び第2保持部72をそれぞれ独立してバー本体部6の長手方向(左右方向)に移動させる機構である。位置調整機構8の詳細構成については、後述する。
【0025】
(クロスバーの詳細構成)
バー本体部6は、2枚の板状部材61、62と、複数の接続部材63、64、65(以下「接続部材63~65」ともいう)を備えている。2枚の板状部材61、62は、上下に対面するように配置されている。板状部材61、62は、左右方向が長手方向となるように延びる例えば長方形平板状に形成されている。板状部材61、62は、例えば金属で形成されている。
【0026】
各接続部材63~65は、2枚の板状部材61、62を上下方向に間隔(隙間)を開けて接続している。各接続部材63~65は、2枚の板状部材61、62を一体に固定する固定部材ともいえる。接続部材63は、板状部材61、62の長手方向一端部に位置している。接続部材64は、板状部材61、62の長手方向中央部に位置している。接続部材65は、板状部材61、62の長手方向他端部に位置している。
【0027】
バー本体部6は、2枚の板状部材61、62により、前方と後方に開口部が形成されるように構成されている。換言すると、バー本体部6には、2枚の前記板状部材61、62及び接続部材63~65により、前後方向に開口した(前後方向に壁がない)収容室66、67が形成されている。一方の収容室66はバー本体部6の長手方向中央部よりも一方側に形成され、他方の収容室67はバー本体部6の長手方向中央部よりも他方側に形成されている。このように、バー本体部6は、足部702が左右に移動可能となるように、前後方向に貫通する貫通孔を有している。
【0028】
板状部材62の上面における収容室66、67に対応する位置には、それぞれ、長手方向に延びる2本のレール62aが設けられている。なお、レール62aは、板状部材62の長手方向一端部から他端部まで連続して延びていてもよい。また、バー本体部6の接続部材の数は、上記に限られず、任意に設定できる。
【0029】
位置調整機構8は、バー本体部6の長手方向中央部よりも一方側に配置された第1調整ベルトユニット81と、バー本体部6の長手方向中央部よりも他方側に配置された第2調整ベルトユニット82と、を備えている。
【0030】
(第1調整ベルトユニット)
第1調整ベルトユニット81は、第1ベルト811及び第1電気モータ812を有し、第1保持部71をバー本体部6に沿って移動させる。第1ベルト811は、2枚の板状部材61、62の間に配置され、第1保持部71を搬送するように構成されている。第1ベルト811は、バー本体部6の収容室66内に配置されている。つまり、第1ベルト811は、接続部材63と接続部材64との間に配置されている。
【0031】
第1ベルト811には、第1保持部71がベルトに連動するように配置されている。第1ベルト811と第1保持部71との連動には、例えば両者間の摩擦力が利用されている。第1ベルト811は、第1保持部71を保持しているともいえる。このように、第1ベルト811には、第1保持部71の各ベース部701が第1ベルト811に連動するように配置されている。したがって、第1ベルト811の移動に連動して、第1保持部71(各ベース部701)は移動する。
【0032】
図6に示すように、第1ベルト811は、バー本体部6の長手方向に延び、内周面が上下に対面するように環状に形成されている。上側の第1ベルト811に、ベース部701が固定されている。環状の第1ベルト811の一端部の内周側には、第1電気モータ812の出力軸に連動するローラ部材813が配置され、第1ベルト811の他端部の内周側には、第1ベルト811が巻き付けられたローラ部材814が配置されている。本実施形態では、ローラ部材814が接続部材64に回転可能に支持されている。つまり、接続部材64がローラ部材814の支持部材も兼ねている。換言すると、ローラ部材814の支持部材が、2枚の板状部材61、62の接続部材としても機能している。第1ベルト811とローラ部材813、814とは、例えば両者間の摩擦力によって連動するように構成されている。
【0033】
第1電気モータ812は、サーボモータであって、ローラ部材813を介して第1ベルト811を駆動する。第1電気モータ812は、バー本体部6の長手方向一端部に配置されている。第1電気モータ812の出力軸は、第1ベルト811の面に平行で且つバー本体部6の長手方向に直交するように延びている。第1電気モータ812の作動は、制御装置10により制御されている。第1電気モータ812の本体部分は、バー本体部6の長手方向一端部(例えば接続部材63)に固定されている。第1電気モータ812の出力軸に連動するローラ部材813は、接続部材63に回転可能に支持されている。
【0034】
第1電気モータ812の出力軸が回転すると、ローラ部材813が回転し、第1電気モータ812の力(トルク)が第1ベルト811に伝達され、第1ベルト811が移動(回転)するとともにローラ部材814が回転する。これにより、第1保持部71が移動する。ローラ部材813、814は、プーリー部材とも呼ばれる。第1電気モータ812とローラ部材813との間に減速機構が設けられてもよい。
【0035】
(第2調整ベルトユニット)
第2調整ベルトユニット82は、第2ベルト821及び第2電気モータ822を有し、第2保持部72をバー本体部6に沿って移動させる。第2ベルト821は、2枚の板状部材61、62の間に配置され、第2保持部72を搬送するように構成されている。第2ベルト821は、バー本体部6の収容室67内に配置されている。つまり、第2ベルト821は、接続部材65と接続部材64との間に配置されている。
【0036】
第2ベルト821上には、第2保持部72が第2ベルト821に連動するように配置されている。第2ベルト821と第2保持部72との連動には、例えば両者間の摩擦力が利用されている。第2ベルト821は、第2保持部72を保持しているともいえる。このように、第2ベルト821には、第2保持部72の各ベース部701が第2ベルト821に連動するように配置されている。したがって、第2ベルト821の移動に連動して、第2保持部72(各ベース部701)は移動する。
【0037】
第2ベルト821は、バー本体部6の長手方向に延び、内周面が上下に対面するように環状に形成されている。上側の第2ベルト821に、ベース部701が固定されている。環状の第2ベルト821の一端部の内周側には、第2ベルト821が巻き付けられたローラ部材824が配置され、第2ベルト821の他端部の内周側には、第2電気モータ822の出力軸に連動するローラ部材823が配置されている。本実施形態では、ローラ部材824が接続部材64に回転可能に支持されている。つまり、接続部材64がローラ部材814、824の両方の支持部材を兼ねている。換言すると、ローラ部材814、824に共通する支持部材が、2枚の板状部材61、62の接続部材としても機能している。第2ベルト821とローラ部材823、824とは、例えば両者間の摩擦力によって連動するように構成されている。
【0038】
接続部材64は、例えば、前後方向に対面する板状部材を含む部材(例えば断面コの字状の部材)と2つの回転軸部材とで構成され、板状部材の間で、対応する回転軸部材にローラ部材814、824が回転可能に支持されている。バー本体部6の長手方向中央部に位置する1つの接続部材64で、2つのローラ部材814、824が回転可能に支持されている。
【0039】
第2電気モータ822は、サーボモータであって、ローラ部材823を介して第2ベルト821を駆動する。第2電気モータ822は、バー本体部6の長手方向他端部に配置されている。第2電気モータ822の出力軸は、第2ベルト821の面に平行で且つバー本体部6の長手方向に直交するように延びている。第2電気モータ822の作動は、制御装置10により制御されている。第2電気モータ822の本体部分は、バー本体部6の長手方向他端部(例えば接続部材65)に固定されている。第2電気モータ822の出力軸に連動するローラ部材823は、接続部材65に回転可能に支持されている。
【0040】
第2電気モータ822の出力軸が回転すると、ローラ部材823が回転し、第2電気モータ822の力(トルク)が第2ベルト821に伝達され、第2ベルト821が移動(回転)するとともにローラ部材824が回転する。これにより、第2保持部72が移動する。ローラ部材823、824は、プーリー部材とも呼ばれる。第2電気モータ822とローラ部材823との間に減速機構が設けられてもよい。
【0041】
(ワーク搬送装置の作動)
ワーク搬送装置1の作動は、制御装置10により制御されている。一例として、ワーク搬送装置1は、一方のプレス機91内で保持部71、72によりワークWを保持し、リンク部材41、42によりワークWを上方に移動させ、移動部材31、32を他方のプレス機92に向けて移動させる。ワーク搬送装置1は、他方のプレス機92内の所定位置でリンク部材41、42によりワークWを下方に移動させ、ワークWの保持を解除する。同様に、ワーク搬送装置1は、プレス機92内のワークWをプレス機91内に搬送することもできる。このように、ワーク搬送装置1は、ワークWを2つのプレス機91、92の間で搬送するように構成されている。
【0042】
制御装置10は、第1電気モータ812を制御して、第1ベルト811を駆動し、第1保持部71の位置を調整する。また、制御装置10は、第2電気モータ822を制御して、第2ベルト821を駆動し、第2保持部72の位置を調整する。ワークWの最適な保持位置は、ワークWの形状や種類等により異なる。したがって、制御装置10は、例えば、ユーザの操作、予め設定されたプログラム、又はカメラ(図示略)等で検出した搬送対象のワークWの形状等に応じて、第1保持部71の位置及び第2保持部72の位置を調整する。
【0043】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、位置調整機構8により第1保持部71の位置と第2保持部72の位置を独立して調整することができる。例えば、第1保持部71と第2保持部72とのバー本体部6での位置を変更することで、両者の離間距離を変更することも可能となり、保持できるワークWの種類を増やすことができる。本実施形態によれば、ベルト811、821により2つの保持部71、72の位置が独立して無段階で調整可能となる。また、本実施形態によれば、板状部材61、62とベルト811、821を利用してクロスバー5が構成されているため、クロスバー5の小型化、特にクロスバー5の上下方向の厚みを小さくすることができる上、クロスバー5の軽量化が可能となる。また、ワークWの荷重によりバー本体部6に撓みが発生しても、第1ベルト811及び第2ベルト821は変形できるため、位置調整機構8の破損は抑制される。つまり、位置調整機構8は、バー本体部6の撓みを許容できる構成となっている。本実施形態によれば、プレス機91、92で用いるワーク搬送装置に適した構成を実現することができる。
【0044】
また、バー本体部6が少ない部品(板状部材61、62及び接続部材63~65)で実現可能な構成であるため、クロスバー5を薄くすることや軽量化が容易となる。また、バー本体部6は、ベルトや保持部が配置される前後方向に開口する収容室66、67を形成しやすい構成である。前後方向に開口があることで、足部702を持つ保持部71、72の位置調整の自由度は高くなる。また、中央の接続部材64が、ローラ部材814、824の支持部材を兼ねることで、さらなる軽量化が可能となる。
【0045】
(本実施形態の構成まとめ)
本実施形態のワーク搬送装置1は、電気モータ212(第1駆動源)を有する第1ガイドレール21と、第1ガイドレール21に平行に配置され、電気モータ222(第2駆動源)を有する第2ガイドレール22と、第1ガイドレール21に移動可能に配置され、電気モータ212により第1ガイドレール21に沿って移動する第1移動部材31と、第2ガイドレール22に移動可能に配置され、電気モータ222により第2ガイドレール22に沿って移動する第2移動部材32と、第1移動部材31に揺動可能に配置された第1リンク部材41と、第2移動部材32に揺動可能に配置された第2リンク部材42と、第1リンク部材41と第2リンク部材42とをつなぐように第1リンク部材41及び第2リンク部材42に接続され、ワークWを保持するクロスバー5と、を備えている。
【0046】
ワーク搬送装置1は、第1移動部材31及び第2移動部材32の移動により、少なくとも2つのプレス機の間でワークWを搬送する装置である。クロスバー5は、上下に対面するように配置された2枚の板状部材及び2枚の板状部材を上下方向に間隔を開けて接続する接続部材を有するバー本体部6と、バー本体部6に移動可能に配置され、ワークWを保持する第1保持部71と、バー本体部6に移動可能に且つ第1保持部71とバー本体部6の長手方向に離間して配置され、ワークWを保持する第2保持部72と、バー本体部6に配置され、第1保持部71及び第2保持部72をそれぞれ独立してバー本体部6の長手方向に移動させる位置調整機構8を備えている。
【0047】
位置調整機構8は、2枚の板状部材61、62の間に配置され、第1保持部71を搬送する第1ベルト811と、第1ベルト811を駆動する第1電気モータ812と、2枚の板状部材61、62の間に配置され、第2保持部72を搬送する第2ベルト821と、第2ベルト821を駆動する第2電気モータ822を備えている。
【0048】
バー本体部6は、複数の接続部材63~65を備えている。複数の接続部材63~65は、板状部材61、62の長手方向一端部に位置する接続部材63(一端側接続部材)と、板状部材61、62の長手方向中央部に位置する接続部材64(中央接続部材)と、板状部材61、62の長手方向他端部に位置する接続部材65(他端側接続部材)を含んでいる。第1ベルト811は、接続部材63と接続部材64との間に配置され、第2ベルト821は、接続部材64と接続部材65との間に配置されている。
【0049】
2つのプレス機91、92が対向する方向を前後方向とすると、バー本体部6には、2枚の板状部材61、62で区画され、接続部材63と接続部材64との間に形成された前後方向に開口する第1収容室66、及び2枚の板状部材61、62で区画され、接続部材65と接続部材64との間に形成された前後方向に開口する第2収容室67が形成されている。第1保持部71は、第1ベルト811に連動するように収容室66(第1収容室)に配置されたベース部701(第1ベース部)と、ベース部701から前方に延びる足部702(第1足部)と、ベース部701から後方に延びる足部702(第2足部)と、足部702のそれぞれの先端部に設けられた吸着部703(第1吸着部)を備えている。第2保持部72は、第2ベルト821に連動するように収容室67(第2収容室)に配置されたベース部701(第2ベース部)と、ベース部701から前方に延びる足部702(第3足部)と、ベース部701から後方に延びる足部702(第4足部)と、足部702のそれぞれの先端部に設けられた吸着部703(第2吸着部)を備えている。
【0050】
位置調整機構8は、接続部材64に回転可能に支持され、第1ベルト811が接続部材63に向けて折り返すように巻き付けられたローラ部材814(第1ローラ部材)と、接続部材64に回転可能に支持され、第2ベルト821が接続部材65に向けて折り返すように巻き付けられたローラ部材824(第2ローラ部材)を備えている。
【0051】
相対的に下側に配置された板状部材62の上面には、2本のレール62aが設けられ、ベース部701には、レール62aに対向配置されたレール対向部704が設けられ、レール対向部704は、クロスバー5がワークWを保持していないときには、レール62aと離間し、クロスバー5がワークWを保持しているときには、レール62aと当接するように構成されている。
【0052】
(その他)
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、ベルト811、821は、例えば、内周面に複数の歯が形成されたタイミングベルトであってもよい。この場合、ベルト811、821は、例えば、対応するローラ部材813、814、823、824の外周面の歯にかみ合うように構成される。また、バー本体部6は、上下平行に延びる第1ベルト811の上側ベルト部分、及び上下平行に延びる第2ベルト821の上側ベルト部分を、移動可能に(摺動可能に)支持する支持部材(例えば台座部材)を備えてもよい。支持部材は、保持部71、72の移動の妨げにならない位置に設けられる。支持部材は、保持部71、72がワークWを保持していないときには、ベルト811、821に当接しないように配置されてもよい。ワーク搬送装置は、3つ以上のプレス機の間を搬送するように構成されてもよい。電気モータ812、822は、例えば、ステッピングモータや、エンコーダ付きモータ等であってもよい。また、電気モータ812、822の作動は、例えばユーザのオンオフ操作により手動で行われてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…ワーク搬送装置、21…第1ガイドレール、22…第2ガイドレール、31…第1移動部材、32…第2移動部材、41…第1リンク部材、42…第2リンク部材、5…クロスバー、6…バー本体部、71…第1保持部、72…第2保持部、8…位置調整機構、811…第1ベルト、812…第1電気モータ、821…第2ベルト、822…第2電気モータ、91、92…プレス機、W…ワーク。