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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】加力支援具
(51)【国際特許分類】
   A01G 23/08 20060101AFI20240425BHJP
   B65G 7/12 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
A01G23/08 501C
B65G7/12 A
A01G23/08 501E
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022018331
(22)【出願日】2022-02-08
(65)【公開番号】P2023115867
(43)【公開日】2023-08-21
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】522053023
【氏名又は名称】有限会社近藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】近藤 忠
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-127789(JP,U)
【文献】実開平03-050682(JP,U)
【文献】実開昭63-141239(JP,U)
【文献】実開昭61-054051(JP,U)
【文献】実開昭51-127429(JP,U)
【文献】特開2012-121133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 23/00 - 23/14
B65G 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の力を固体物に対して加えることを支援するための加力支援具であり、
前記固体物を固定するための固定部と、
前記固定部に接続された接続体と、
前記接続体に回動可能に連結された柄と、を含み、
前記柄は、肩に掛けることが可能な肩掛部材を取り付けるための肩掛部材係留部が設けられている加力支援具。
【請求項2】
使用者の力を固体物に対して加えることを支援するための加力支援具であり、
前記固体物を固定するための固定部と、
前記固定部に接続された接続体と、
前記接続体に回動可能に連結された柄と、
前記柄に装着され、肩に掛けることが可能な肩掛部材とを含み、
前記固定部に前記固体物を固定し、前記肩掛部材を肩に掛け、手で柄を持ち、手及び肩の力を前記固体物に加えることを支援する加力支援具。
【請求項3】
使用者の力を固体物に対して加えることを支援するための加力支援具であり、
前記固体物を固定するための固定部と、
前記固定部に接続された接続体と、
前記接続体に回動可能に連結された柄と、を含み、
前記固定部に前記固体物を固定した状態で、前記柄に肩掛部材を装着し、前記肩掛部材を使用者の肩に掛けるとともに使用者が手で柄を持ち、手及び肩の力を前記固体物に対して加えることを支援する加力支援具。
【請求項4】
請求項1~のいずれかにおいて、
前記接続体と前記柄とは、複数の方向に対して回動可能である加力支援具。
【請求項5】
請求項1~のいずれかにおいて、
前記柄、前記接続体および前記固定部を直線状に整列させたときに、整列方向の軸を中心として、前記柄を前記固定部に対して360度の方向に動かすことが可能である加力支援具。
【請求項6】
請求項1~のいずれかにおいて、
前記接続体は、前記固定部と回動軸を介して連結された固定部連結部を含み、
前記回動軸を軸として、前記固定部と前記接続体とは、回動可能に設けられている加力支援具。
【請求項7】
請求項1~のいずれかにおいて、
前記接続体は、自在継手を有し、
前記柄は、前記自在継手に連結している加力支援具。
【請求項8】
請求項1~のいずれかにおいて、
前記接続体は、二つの自在継手を有し、
少なくとも二つの自在継手は、直列的に接続され、自在継手間は固定軸継手で連結された複数のジョイント構造である加力支援具。
【請求項9】
請求項またはにおいて、
前記自在継手は、クロス型のユニバーサルジョイントである加力支援具。
【請求項10】
請求項のいずれかにおいて、
前記自在継手は、ボールジョイントである加力支援具。
【請求項11】
請求項10のいずれかにおいて、
前記接続体は、回転軸継手を含み、
前記回転軸継手は、前記自在継手と前記固定部との間に設けられ、
前記固定部は、前記回転軸継手を中心として回転可能である加力支援具。
【請求項12】
使用者の力を固体物に対して加えることを支援するための加力支援具であり、
前記固体物を固定するための固定部と、
前記固定部に接続された接続体と、
前記接続体に回動可能に連結された柄と、を含み、
使用者が柄に加えた力を前記固体物に加えることを支援するものであり、
前記接続体は、自在継手を有し、
前記柄は、前記自在継手に連結しており、
前記接続体は、回転軸継手を含み、
前記回転軸継手は、前記自在継手と前記固定部との間に設けられ、
前記固定部は、前記回転軸継手を中心として回転可能である加力支援具。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかにおいて、
前記加力支援具は、前記固体物を移動することを支援するものである加力支援具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体物に使用者の力を加えることを支援する加力支援具に関する。
【背景技術】
【0002】
ロープを木材に巻き付け、伐採木引張ロープにより引っ張ることが行われている(特許文献2参照)。また、木材を運搬する場合に、人力で木材を牽引したり、フォークリフトなどの動力を利用して木材を牽引することが行われている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-239870号公報
【文献】実公昭52-23807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、容易に固体物に力を加えることが可能な加力支援具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の加力支援具は、
使用者の力を固体物に対して加えることを支援するための加力支援具であり、
前記固体物を固定するための固定部と、
前記固定部に接続された接続体と、
前記接続体に回動可能に連結された柄と、を含み、
使用者が柄に加えた力を前記固体物に加えることを支援するものである。
【0006】
本発明の第2の加力支援具は、
使用者の力を固体物に対して加えることを支援するための加力支援具であり、
前記固体物を固定するための固定部と、
前記固定部に接続された接続体と、
前記接続体に回動可能に連結された柄と、を含み、
前記柄は、肩に掛けることが可能な肩掛部材を取り付けるための肩掛部材係留部が設けられているものである。
【0007】
本発明の第3の加力支援具は、
使用者の力を固体物に対して加えることを支援するための加力支援具であり、
前記固体物を固定するための固定部と、
前記固定部に接続された接続体と、
前記接続体に回動可能に連結された柄と、
前記柄に装着され、肩に掛けることが可能な肩掛部材とを含み、
前記固定部に前記固体物を固定し、前記肩掛部材を肩に掛け、手で柄を持ち、手及び肩の力を前記固体物に加えることを支援するものである。
【0008】
本発明の第4の加力支援具は、
使用者の力を固体物に対して加えることを支援するための加力支援具であり、
前記固体物を固定するための固定部と、
前記固定部に接続された接続体と、
前記接続体に回動可能に連結された柄と、を含み、
前記固定部に前記固体物を固定した状態で、前記柄に肩掛部材を装着し、前記肩掛部材を使用者の肩に掛けるとともに使用者が手で柄を持ち、手及び肩の力を前記固体物に対して加えることを支援するものである。
【0009】
本発明の加力支援具において、
前記接続体と前記柄とは、複数の方向に対して回動可能であることができる。
【0010】
本発明の加力支援具において、
前記柄、前記接続体および前記固定部を直線状に整列させたときに、整列方向の軸を中心として、前記柄を前記固定部に対して360度の方向に動かすことが可能であることができる。
【0011】
本発明の加力支援具において、
前記接続体は、前記固定部と回動軸を介して連結された固定部連結部を含み、
前記回動軸を軸として、前記固定部と前記接続体とは、回動可能に設けられていることができる。
【0012】
本発明の加力支援具において、
前記接続体は、自在継手を有し、
前記柄は、前記自在継手に連結していることができる。
【0013】
本発明の加力支援具において、
前記接続体は、二つの自在継手を有し、
少なくとも二つの自在継手は、直列的に接続され、自在継手間は固定軸継手で連結された複数のジョイント構造であることができる。
【0014】
本発明の加力支援具において、
前記自在継手は、クロス型のユニバーサルジョイントであることができる。
【0015】
本発明の加力支援具において、
前記自在継手は、ボールジョイントであることができる。
【0016】
本発明の加力支援具において、
前記接続体は、回転軸継手を含み、
前記回転軸継手は、前記自在継手と前記固定部との間に設けられ、
前記固定部は、前記回転軸継手を中心として回転可能であることができる。
【0017】
本発明の加力支援具において、
前記加力支援具は、前記固体物を移動することを支援するものであることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、固体物の状態(たとえば傾斜状態や移動領域の状態など)に応じて固体物に力を加えやすいように柄の位置や柄の方向を調整することができる。これにより、固体物に容易に力を加えることができ、その結果、固体物を操ることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)は実施の形態に係る加力支援具を模式的に示す平面図であり、(B)は実施の形態に係る加力支援具を模式的に示す側面図である。
図2】(A)は実施の形態に係る加力支援具を模式的に示す平面図であり、(B)は実施の形態に係る加力支援具を模式的に示す側面図である。
図3】実施の形態に係る加力支援装置の使用例を説明するための図である。
図4】実施の形態に係る加力支援装置の使用例を説明するための図である。
図5】実施の形態に係る加力支援装置の使用例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1および図2を参照しながら加力支援具10を説明する。加力支援具10は、使用者の力を固体物60に対して加えることを支援するためのものである。加力支援具10は、固体物60を固定するための固定部40と、固定部40に接続された接続体30と、接続体30に回動可能に連結された柄20と、を含む。使用者が柄20を持ち、使用者が柄20に加えた力を固体物60に加えることを支援するものである。加力支援具10は、固体物60を移動することを支援するものとすることができる。
【0022】
肩掛部材50を柄20に装着することで、固定部40に固体物60を固定し、肩掛部材50を肩に掛け、柄20を手に持った状態で、手及び肩の力を固体物60に加えることができる。柄20は、肩に掛けることが可能な肩掛部材50を取り付けるための肩掛部材係留部22が設けられていることができる。肩掛部材係留部22に肩掛部材50を装着することで、肩掛部材係留部22が柄20の伸びる方向に移動するのを防ぐことができる。肩掛部材50は、たとえば、ショルダーベルトなどにより構成することができる。
【0023】
接続体30と柄20とは、複数の方向に対して回動可能であることができる。柄20、接続体30および固定部40を直線状に整列させたときに、整列方向の軸を中心として、柄20を固定部40に対して360度の方向に動かすことが可能なものとすることができる。接続体30は、固定部40と回動軸36aを介して連結された固定部連結部36を含み、回動軸36aを軸として、固定部40と接続体30とは、回動可能に設けられていることができる。
【0024】
接続体30は、自在継手を有することができ、柄20は、直接的に、または、固定軸継手を介して自在継手に連結していることができる。接続体30は、二つの自在継手を有し、少なくとも二つの自在継手は、直列的に接続され、自在継手間は固定軸継手で連結された複数のジョイント構造(たとえばダブルジョイント)とすることで、固体物60が置かれている状態に応じて柄20の角度を制御しやくすなるとともに、固体物60の所定方向に移動させることがより容易となる。
【0025】
自在継手は、たとえば、クロス型のユニバーサルジョイントやボールジョイントにより構成することができる。
【0026】
接続体30は、回転軸継手34を含むことができる。回転軸継手34は、自在継手と固定部40との間に設けられ、固定部40は、回転軸継手34を中心として回転可能とすることができる。図1および図2に示す加力支援具10の例では、接続体30は、固定部4040の側から固定部連結部36、回転軸継手34、第1のユニバーサルジョイント32a、第2のユニバーサルジョイン32bという順で構成されているが、この態様に限定されない。
【0027】
柄20は固体物60の重さを考慮して適宜選択され、特に限定されないが、ゴルフ用のシャフトを利用することができる。
【0028】
固定部40は、固体物60を固定するものであれば特に限定されないが、たとえば、ラチェット式バックルや公知の荷締め器を適用することができる。ラチェット式バックルは、バックルとバックルの一端に固定されたベルト42とを含み、ベルト42の他端は、バックルに固定可能ものであり、バックルを回動させることでベルト42が締められていくものである。固定部40は、ローブなどを固体物60に巻き付けて固定部40としての機能を実現してもよい。
【0029】
本実施の形態によれば、地面の状況や移動領域の妨害物などを避けながら木や竹などの固体物を移動させるのが容易となる。木や竹を切る際にも切られる木や竹を所定方向に力を加えるための加圧が容易となる。
【0030】
本願発明者が発明に至った背景を説明する。本願発明者は、長年にわたって環境保全の実践をし続けているところ、近年全国的にみられる放置竹林(林)増加による様々な諸問題(高齢化、担い手不足、放置竹林拡大、農地荒廃、害獣被害等)の緩和に貢献したいという考えを持った。実際の竹林等(整備)に注目してみると、その多くが山林に近く作業に危険が伴う傾斜地で個人所有の小規模なものが多いこと、また伐採後の運搬には危険と重労働が伴うことを認識した。
【0031】
そこで、(女性やお年寄りを含む)多くの方が安全かつ楽に、気軽に竹林整備に関われることを目指し、危険と労働を軽減させるための器具が必要だと考えた。伐採時、倒れ暴れる竹の根本を安全な距離に保ち、倒れる途中で引っ掛かった竹を引っ張ることで安全に地面に倒伏させることができ、そのまま任意の場所へ安全かつ少ない労働で移動が可能なもので、また軽く持ち運びやすく、固定部の操作も簡単であるものの必要性を見出した。つまり、伐採された木や竹を簡便に人力で簡易に運ぶ道具がないという課題を着想し、実施の形態に係る加力支援具10を完成するに至った。木や竹が伐採されるところは、傾斜地や他の樹木などの障害となる物が多く、木や竹を運びだすことが非常に困難である。木や竹は重量があり、地面に追従して動いてしまう。このため、固定部40に固定された木や竹が地面に沿って動いたとしても、柄20が固定部40に対して回動し、持ち手の位置を変えずに動かすことができれば、容易に木や竹を運ぶことができることを見出し、本実施の形態を完成した。
【0032】
また、本願発明者は、柄20に肩掛部材50を装着することで、手の他に、肩の力も利用することができ、力を加えようとする固体物60に手だけの力ではなく、より体全体を使って力を加えやすくことも見出した。
【0033】
加力支援具10の使用方法としては、たとえば、次の態様がある。(1)第1の態様として、図3に示すように木や竹などの伐採中に伐採しようとする物を引っ張るために使用する態様。(2)第2の態様として、伐採した木や竹を引っ張る際に利用する固体物60を引張るために使用する態様。図5に示すように、複数の者がそれぞれ加力支援具10を持ち、同時に固体物60を動かす際に使用してもよい。
【0034】
加力支援具10は、たとえば、移動領域の状態に影響を受けやすい長尺物などの長い物に好適に使用され、木や竹(たとえば伐採木)を運ぶ際に特に有用である。
【0035】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 加圧支援具
20 柄
22 肩掛部材係留部
30 接続体
32a 第1のユニバーサルジョイント
32b 第2のユニバーサルジョイント
34 回転軸継手
36 固定部連結部
36a 回動軸
40 固定部
42 ベルト
50 肩掛部材
60 固体物



図1
図2
図3
図4
図5