(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】物品把持装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
B25J15/08 Z
(21)【出願番号】P 2020043975
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】大林 勇次郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 修一
(72)【発明者】
【氏名】山中 文浩
(72)【発明者】
【氏名】山本 眞悟
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-153884(JP,A)
【文献】特開平03-111193(JP,A)
【文献】特開2019-126875(JP,A)
【文献】特開2018-095286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品の群である物品群の状態を変更する状態変更部材と、
前記状態変更部材によって状態が変更された前記物品群から、前記物品群の少なくとも一部を把持する把持部材と、
前記状態変更部材と前記把持部材の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部が、前記状態変更部材に前記物品群の少なくとも一部を持ち上げた後に降ろす動作をさせることで、最終的に前記物品群において周囲よりも盛り上がっている凸部が形成されるようにし、その後前記把持部材が前記凸部から前記物品群の少なくとも一部を把持するように制御
し、
前記状態変更部材は、前記物品群における前記物品の密度を小さくする、
物品把持装置。
【請求項2】
複数の物品の群である物品群の状態を変更する状態変更部材と、
前記状態変更部材によって状態が変更された前記物品群から、前記物品群の少なくとも一部を把持する把持部材と、
前記状態変更部材と前記把持部材の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部が、前記状態変更部材に前記物品群の少なくとも一部を持ち上げた後に降ろす動作をさせることで、最終的に前記物品群において周囲よりも盛り上がっている凸部が形成されるようにし、その後前記把持部材が前記凸部から前記物品群の少なくとも一部を把持するように制御し、
前記状態変更部材は、前記物品群における前記物品の間の隙間の寸法を大きくする、
物品把持装置。
【請求項3】
前記状態変更部材は、前記物品群に横から当たった後に上方に移動することで、前記物品群の状態を変更する、
請求項
1又は2に記載の物品把持装置。
【請求項4】
前記状態変更部材は、前記物品群を挟んで対称的な動作を行う一対の部材を有する、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の物品把持装置。
【請求項5】
前記物品群が載せられる載置部材と、
前記載置部材を振動させる振動機構と、
をさらに備える、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の物品把持装置。
【請求項6】
前記載置部材に載せられている前記物品群を所定の方向に押して移動させる押し付け部材をさらに備える、
請求項
5に記載の物品把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2017―30834号公報)に開示されるように、把持部材によって物品を挟み込んだり吸着したりすることで物品を把持する装置が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような装置を用いて、刻みネギ及び麺等の互いに絡まりやすい物品を所定量把持しようとする場合、物品の状態によっては安定的な把持が難しいことがある。例えば、把持部材によって把持された物品に余分な物品が付着したり、把持の際に把持部材の先端が物品を押し退けたりすることがある。
【0004】
本発明の目的は、物品を安定的に把持することができる物品把持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る物品把持装置は、状態変更部材と、把持部材とを備える。状態変更部材は、複数の物品の群である物品群の状態を変更する。把持部材は、状態変更部材によって状態が変更された物品群から、物品を把持する。
【0006】
この物品把持装置は、物品を把持しやすいように物品群の状態を変更することで、物品を安定的に把持することができる。
【0007】
本発明の第2観点に係る物品把持装置は、第1観点に係る物品把持装置であって、状態変更部材は、周囲よりも盛り上がっている凸部が形成されるように物品群の形状を変更する。
【0008】
本発明の第3観点に係る物品把持装置は、第2観点に係る物品把持装置であって、把持部材は、物品群の凸部から、物品を把持する。
【0009】
本発明の第4観点に係る物品把持装置は、第1乃至第3観点のいずれか1つに係る物品把持装置であって、状態変更部材は、物品群における物品の密度を変更する。
【0010】
本発明の第5観点に係る物品把持装置は、第1乃至第3観点のいずれか1つに係る物品把持装置であって、状態変更部材は、物品群における物品の間の隙間の寸法を変更する。
【0011】
本発明の第6観点に係る物品把持装置は、第1乃至第5観点のいずれか1つに係る物品把持装置であって、状態変更部材は、物品群に横から当たった後に上方に移動することで、物品群の状態を変更する。
【0012】
本発明の第7観点に係る物品把持装置は、第1乃至第5観点のいずれか1つに係る物品把持装置であって、状態変更部材は、物品群の少なくとも一部を持ち上げた後に降ろすことで、物品群の状態を変更する。
【0013】
本発明の第8観点に係る物品把持装置は、第1乃至第7観点のいずれか1つに係る物品把持装置であって、状態変更部材は、物品群を挟んで対称的な動作を行う一対の部材を有する。
【0014】
本発明の第9観点に係る物品把持装置は、第1乃至第8観点のいずれか1つに係る物品把持装置であって、物品群が載せられる載置部材と、載置部材を振動させる振動機構とをさらに備える。
【0015】
本発明の第10観点に係る物品把持装置は、第1乃至第9観点のいずれか1つに係る物品把持装置であって、押し付け部材をさらに備える。押し付け部材は、載置部材に載せられている物品群を所定の方向に押して移動させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る物品把持装置は、物品を安定的に把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る物品把持装置100の概略上面図である。
【
図2】容器移動機構14が第1位置にある場合の物品把持装置100の概略側面図である。
【
図3】容器移動機構14が第2位置にある場合の物品把持装置100の概略側面図である。
【
図4】凸部Bが形成されていない物品群Aを横から見た状態を表す。
【
図5】凸部Bが形成されている物品群Aを横から見た状態を表す。
【
図8】状態変更部材20によって物品群Aの状態を変更しない場合の問題点を説明するための図である。
【
図9】変形例Aにおける把持部材130の概略側面図である。
【
図10】変形例Aにおける把持部材130の動作を示す図である。
【
図11】変形例Aにおいて、状態変更部材20によって物品群Aの状態を変更しない場合の問題点を説明するための図である。
【
図12】変形例Cにおいて、押し付け部材40の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
(1)物品把持装置100の全体構成
物品把持装置100は、所定の場所に載置されている物品を把持して、把持した物品を別の所定の場所に載置する。物品把持装置100は、複数の物品の群(集まり)である物品群から、所定量の物品を把持する。例えば、物品が刻みネギである場合、物品群は、複数の刻みネギ片からなる塊であり、物品が麺である場合、物品群は、複数本の麺からなる塊である。物品が、刻みネギ及び麺等の互いに絡まりやすい食材である場合、物品把持装置100は、複数の物品が互いに絡まりあった状態の物品群から、所定量の物品を把持する。本実施形態では、物品は、刻みネギ及び麺等の互いに絡まりやすい食材である。
【0020】
図1に示されるように、物品把持装置100は、主として、載置部材10と、状態変更部材20と、把持部材30と、制御部(図示せず)とを備える。載置部材10は、物品把持装置100が把持する対象である物品からなる物品群Aが載せられる部材である。状態変更部材20は、載置部材10に載せられている物品群Aの状態を変更する。把持部材30は、状態変更部材20によって状態が変更された物品群Aから、所定量の物品を把持する。
【0021】
(2)物品把持装置100の詳細な構成
(2-1)載置部材10
載置部材10は、主として、載置容器12と、容器移動機構14とを有する。載置容器12は、物品群Aが載せられる容器である。載置容器12には、所定量の複数の物品からなる物品群Aが予め載せられている。容器移動機構14は、載置容器12を所定の経路に沿って往復移動させるための機構である。容器移動機構14は、例えば、モータの駆動力によって、載置容器12をレールに沿ってスライドさせる。
【0022】
本実施形態では、
図1に示されるように、載置容器12は、容器移動機構14によって、
図2に示される第1位置と、
図3に示される第2位置との間を往復する。載置容器12が第1位置にある場合、載置容器12は、状態変更部材20の下方に位置する。載置容器12が第2位置にある場合、載置容器12は、把持部材30の下方に位置する。
【0023】
(2-2)状態変更部材20
状態変更部材20は、第1位置にある載置容器12に載せられている物品群Aの状態を変更する。物品群Aの状態とは、例えば、物品群Aの形状である。本実施形態では、状態変更部材20は、周囲よりも盛り上がっている凸部Bが形成されるように物品群Aの形状を変更する。具体的には、状態変更部材20は、
図4に示される状態から、
図5に示される状態になるように、物品群Aの形状を変更して、物品群Aの状態を変更する。
図4に示される状態では、物品群Aには凸部Bが形成されておらず、物品群Aの上面は、ほぼ平らに均されている。
図5に示される状態では、物品群Aには凸部Bが形成されており、凸部Bの頂部は、
図4に示される物品群Aの上面よりも高い位置にある。状態変更部材20が、載置容器12に載せられている物品群Aの状態を変更した後、容器移動機構14は、載置容器12を第1位置から第2位置に移動させる。
【0024】
図6(A)~
図6(D)に示されるように、状態変更部材20は、物品群Aを挟んで対称的な動作を行う一対のほぐし部材22を有する。ほぐし部材22は、物品群Aの一部を一時的に絡み取ることができる形状を有している。ほぐし部材22は、例えば、
図2及び
図3に示されるように、先端部が分岐しているフォーク形状を有している。一対のほぐし部材22の先端部は、互いに近付くように湾曲している形状を有している。
【0025】
(2-3)把持部材30
把持部材30は、第2位置にある載置容器12に載せられている物品群Aから、物品群Aに含まれている所定量の物品を把持する。具体的には、把持部材30は、状態変更部材20によって形成された凸部Bから、物品を把持する。
【0026】
図7(A)~
図7(E)に示されるように、把持部材30は、鉛直方向に延びている複数の爪32を有する。爪32の先端は、尖っていることが好ましい。把持部材30は、爪32間の距離(爪間距離)を調整するための機構を有する。把持部材30は、第1状態と第2状態とを切り替えることができる。第1状態の爪間距離は、第2状態の爪間距離よりも長い。複数の爪32に囲まれた空間は、把持部材30によって把持される物品が挟み込まれる物品貯留空間34である。第1状態の物品貯留空間34は、第2状態の物品貯留空間34よりも大きい。
【0027】
(2-4)制御部
制御部は、物品把持装置100の本体フレーム内に配置されるコンピュータである。制御部は、主として、CPU、ROM、RAMおよび補助記憶装置(HDDおよびSSD等)を有する。制御部は、載置部材10、状態変更部材20及び把持部材30の動作を制御する。
【0028】
(3)状態変更部材20の動作
状態変更部材20が物品群Aの状態を変更する動作について説明する。
【0029】
最初に、
図6(A)に示されるように、状態変更部材20は、一対のほぐし部材22を下降させて、第1位置にある載置容器12に載せられている物品群Aの両側まで、一対のほぐし部材22を移動させる。このとき、一対のほぐし部材22の間隔は、物品群Aの寸法程度であるか、物品群Aの寸法よりも大きい。
【0030】
次に、
図6(B)に示されるように、状態変更部材20は、一対のほぐし部材22の間隔を小さくして、一対のほぐし部材22を横から物品群Aに当てる。一対のほぐし部材22が物品群Aの両側部に当たると、物品群Aは、一対のほぐし部材22によって挟まれる。これにより、物品群Aの寸法が小さくなる。このとき、ほぐし部材22の先端部が、物品群Aに差し込まれて、ほぐし部材22の先端部に、物品群Aに含まれる一部の物品が引っ掛かる。
【0031】
次に、
図6(C)に示されるように、状態変更部材20は、一対のほぐし部材22を、物品群Aに当たった状態で上方に移動させる。このとき、一対のほぐし部材22に物品群Aが挟まれた状態で、ほぐし部材22の先端部に、物品群Aに含まれる一部の物品が引っ掛かっている。そのため、物品群Aの物品が互いに絡まりあっている場合、一対のほぐし部材22が上方に移動することで、ほぐし部材22の先端部に引っ掛かっている物品と共に、当該物品と絡まりあっている他の物品が上方に移動する。これにより、一対のほぐし部材22によって、物品群Aの一部の物品が持ち上げられる。
【0032】
その後、
図6(D)に示されるように、一対のほぐし部材22によって持ち上げられた物品は、重力によって、一対のほぐし部材22の間から載置容器12に徐々に落下する。物品が載置容器12に落下すると、その衝撃で物品群Aの一部が崩れ、
図5に示されるように、周囲よりも盛り上がっている凸部Bが形成される。
【0033】
これにより、状態変更部材20は、物品群Aの少なくとも一部の物品を持ち上げた後に降ろすことで、凸部Bが形成されるように物品群Aの形状を変更して、物品群Aの状態を変更する。具体的には、状態変更部材20は、物品群Aにおける物品の密度、又は、物品群Aにおける物品の間の隙間の寸法を変更することで、物品群Aをほぐして、物品群Aの状態を変更する。本実施形態では、状態変更部材20は、物品群Aにおける物品の密度(平均密度)が小さくなるように、又は、物品群Aにおける物品の間の隙間の寸法(平均寸法)が大きくなるように、物品群Aをほぐす。
【0034】
(4)把持部材30の動作
把持部材30が物品を把持する動作について説明する。把持部材30は、状態変更部材20によって凸部Bが形成された物品群Aから、物品を把持する。
【0035】
最初に、
図7(A)に示されるように、把持部材30は、第1状態の複数の爪32を下降させて、第2位置にある載置容器12に載せられている物品群Aに複数の爪32を差し込む。具体的には、把持部材30は、凸部Bの頂部付近において、鉛直方向上方から物品群Aに複数の爪32を差し込む。これにより、複数の爪32に囲まれた物品貯留空間34に、物品群Aの物品が入り込む。
【0036】
次に、
図7(B)に示されるように、把持部材30は、複数の爪32を第1状態から第2状態に切り替える。これにより、物品貯留空間34は小さくなるので、物品貯留空間34の物品Cは、複数の爪32によって挟み込まれて把持される。
【0037】
次に、
図7(C)に示されるように、把持部材30は、物品Cを把持した複数の爪32を上昇させる。これにより、複数の爪32に把持されている物品Cは、載置容器12に載せられている物品群Aから分離される。その後、容器移動機構14は、載置容器12を第2位置から第1位置に移動させる。
【0038】
次に、
図7(D)に示されるように、把持部材30は、物品Cを把持した状態で、複数の爪32を下降させる。把持部材30の下方には、把持した物品Cを載置するための包装容器50が予め置かれている。把持部材30は、複数の爪32を包装容器50の近傍まで下降させた後、複数の爪32を第2状態から第1状態に切り替える。これにより、物品貯留空間34は大きくなるので、物品貯留空間34の物品Cは、複数の爪32によって挟み込まれなくなり、複数の爪32によって把持されなくなる。そのため、
図7(E)に示されるように、把持部材30によって把持されていた物品Cは、重力によって、物品貯留空間34から落下して包装容器50の中に載置される。その後、把持部材30は、複数の爪32を上昇させて、容器移動機構14は、載置容器12を第1位置から第2位置に移動させる。
【0039】
(5)特徴
物品把持装置100によって把持される物品が、刻みネギ及び麺等の、互いに絡まりやすいものである場合、次に説明する問題が起こる場合がある。例えば、
図8に示されるように、把持部材30が複数の爪32を物品群Aに差し込もうとすると、物品群Aの物品が互いに絡まりあっていることにより、複数の爪32の先端部によって物品群Aが押し退けられるおそれがある。また、把持部材30が物品群Aから物品を把持することで、物品群Aから所定量の物品が取り除かれても、物品群Aの物品が互いに絡まりあっていることにより、物品群Aの上面が均されず、物品群Aに窪みが形成されるおそれがある。物品群Aに窪みが形成されている場合、把持部材30が、複数の爪32を物品群Aに差し込もうとする際に、複数の爪32の先端部が物品群Aの窪みに入り、物品とほとんど接触しなくなるおそれがある。これらの問題が発生すると、複数の爪32によって所定量の物品が把持されなくなるおそれがある。特に、物品群Aの物品の絡まりが強いほど、このような問題が発生しやすくなり、把持部材30が物品群Aから物品を把持する際に、物品貯留空間34に所定量の物品が入らなくなる可能性が高い。
【0040】
本実施形態の物品把持装置100は、状態変更部材20によって凸部Bが形成されるように物品群Aの形状を変化させることで、把持部材30が物品群Aから物品を把持する際に、物品貯留空間34に物品が入りやすいようにする。具体的には、状態変更部材20は、一対のほぐし部材22で物品群Aを軽く挟み込んだ状態で持ち上げて徐々に落下させることで、物品群Aに凸部Bが形成されるように、物品群Aの状態を変更する。そのため、物品群Aにおける物品の密度が小さくなり、又は、物品群Aにおける物品の間の隙間が大きくなるので、把持部材30の複数の爪32が物品群Aに差し込まれやすくなる。また、
図7(A)に示されるように、把持部材30が、凸部Bの上方から物品群Aに複数の爪32を差し込むことにより、物品貯留空間34に、物品群Aの物品が入り込みやすくなる。そのため、把持部材30は、複数の爪32によって所定量の物品を把持することができる。
【0041】
従って、物品把持装置100は、互いに絡まりやすい物品を安定的に把持することができる。これにより、物品把持装置100は、載置容器12から所定量の物品を把持して、包装容器50に安定的に載置することができる。
【0042】
(6)変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明には、次に説明する変形例の少なくとも1つを適用することができる。
【0043】
(6-1)変形例A
把持部材30は、複数の爪32で物品を挟み込んで把持する代わりに、物品を吸着して把持してもよい。次に、物品群Aの物品を吸着把持する把持部材130の構成及び動作について説明する。
図9に示されるように、把持部材130は、主として、吸入空間132と、物品貯留空間134と、吸着部材136とを有する。吸入空間132は、エアポンプ等によって空気が吸引される空間である。物品貯留空間134は、把持部材30によって把持される物品が一時的に貯留される空間である。吸着部材136は、吸入空間132と物品貯留空間134とを仕切り、孔を有する板状部材である。吸着部材136の孔は、吸入空間132に空気が吸引される力によって物品が容易に通過できない寸法を有する。物品貯留空間134から吸入空間132への空気の吸引が開始されると、物品貯留空間134の物品が吸着部材136に吸着される。これにより、把持部材130は、物品を吸着把持することができる。
【0044】
凸部Bが形成された物品群Aから把持部材130が物品を吸着把持する動作について説明する。
【0045】
最初に、
図10(A)に示されるように、把持部材130は、第2位置にある載置容器12に載せられている物品群Aの凸部Bが物品貯留空間134に入るように、自身を下降させる。これにより、物品貯留空間134に、物品群Aの物品が入る。
【0046】
次に、
図10(B)に示されるように、把持部材130は、物品貯留空間134から吸入空間132に吸引される空気によって、物品貯留空間134の物品Cを吸着部材136に吸着させる。これにより、物品貯留空間134の物品Cは、把持部材130によって把持される。
【0047】
次に、
図10(C)に示されるように、把持部材130は、物品Cを把持した状態で、自身を上昇させる。これにより、把持部材130によって把持されている物品Cは、載置容器12に載せられている物品群Aから分離される。その後、容器移動機構14は、載置容器12を第2位置から第1位置に移動させる。
【0048】
次に、
図10(D)に示されるように、把持部材130は、物品Cを把持した状態で、自身を包装容器50の近傍まで下降させる。把持部材130の下方には、把持した物品Cを載置するための包装容器50が予め置かれている。その後、把持部材130は、物品貯留空間134から吸入空間132への空気の吸引を停止させる。これにより、物品貯留空間134の物品Cは、把持部材130によって把持されなくなる。そのため、
図10(E)に示されるように、把持部材130によって把持された物品Cは、重力によって、物品貯留空間134から落下して包装容器50の中に載置される。その後、把持部材130は、自身を上昇させて、容器移動機構14は、載置容器12を第1位置から第2位置に移動させる。
【0049】
図11に示されるように、凸部Bが形成されていない物品群Aから把持部材130が物品を吸着把持しようとすると、把持部材130の先端部によって物品群Aが押し退けられるおそれがある。そのため、物品貯留空間134に、物品群Aの物品が入りにくくなり、把持部材130によって物品が吸着把持されにくくなる。
【0050】
本変形例では、物品把持装置100は、把持部材130が物品群Aから物品を把持する際に、物品貯留空間134に物品が入りやすいようにすることで、互いに絡まりやすい物品を安定的に把持することができる。
【0051】
(6-2)変形例B
物品把持装置100は、載置部材10を振動させる振動機構(図示せず)をさらに備えてもよい。振動機構は、載置容器12を水平方向に振動させることで、載置容器12に載置されている物品群Aを均す。物品把持装置100の把持部材30が、載置容器12に載置されている物品群Aから物品を把持して取り除いた後、載置容器12に載置されている物品群Aには、物品が取り除かれた位置に窪みが形成されやすい。この窪みによって、次に把持部材30が物品群Aから物品を把持する際に、物品貯留空間34に物品が入りにくくなるおそれがある。そのため、振動機構によって、物品群Aの上面を均して、物品群Aに形成された窪みを小さくするか無くすことで、次に把持部材30が物品群Aから物品を把持する際に、物品貯留空間34に物品が入りやすくなる。
【0052】
(6-3)変形例C
図12に示されるように、物品把持装置100は、押し付け部材40をさらに備えてもよい。例えば、押し付け部材40は、
図12の矢印の方向に沿って、載置部材10の載置容器12に載せられている物品群Aを所定の方向に押して移動させる。具体的には、押し付け部材40は、載置容器12の周囲の側壁12aに向かって物品群Aを押し付ける。これにより、物品群Aが水平方向に圧縮されて、物品群Aに凸部Bが形成されやすくなる。そのため、次に把持部材30が物品群Aから物品を把持する際に、物品貯留空間34に物品が入りやすくなる。
【0053】
本変形例では、物品把持装置100は、状態変更部材20として、一対のほぐし部材22の代わりに、押し付け部材40のみを有してもよい。この場合、例えば、状態変更部材20は、載置容器12に載せられている物品群Aを、両側から押し付ける一対の押し付け部材40であってもよい。
【0054】
(6-4)変形例D
状態変更部材20は、物品群Aにおける物品の密度、又は、物品群Aにおける物品の間の隙間の寸法が、所定の範囲内に収まるように、物品群Aをほぐしてもよい。この場合、所定の範囲は、物品の種類及び性質等に応じて適宜に設定される。物品の性質とは、例えば、物品の絡まりやすさである。
【0055】
本変形例では、状態変更部材20は、物品群Aにおける物品の密度(平均密度)が大きくなるように、又は、物品群Aにおける物品の間の隙間の寸法(平均寸法)が小さくなるように、物品群Aをほぐしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る物品把持装置は、物品を安定的に把持することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 載置部材
20 状態変更部材
30 把持部材
40 押し付け部材
100 物品把持装置
A 物品群
B 凸部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】