(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】押出し容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/76 20060101AFI20240425BHJP
B65D 51/18 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B65D83/76 110
B65D51/18
(21)【出願番号】P 2020099308
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000104526
【氏名又は名称】キタノ製作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】池本 健二
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-127221(JP,A)
【文献】特開2008-296947(JP,A)
【文献】特開2006-219174(JP,A)
【文献】特開2012-111525(JP,A)
【文献】特開2004-090970(JP,A)
【文献】特開2019-026313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00-83/76
B65D 47/12-47/20
B65D 51/18
B05C 17/01
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面の内周面が上下方向に断面形状が一定であり内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の上部に開口する開口筒部に取り付けられ上下方向を回転軸として軸周りに回転可能に装着された回転ツマミと、前記回転ツマミの中央に同軸に
連結され前記回転ツマミの回転に伴って軸周りに回転する螺軸部材と、前記螺軸部材と螺合し、前記回転ツマミの回転によって上昇移動する中皿部材が設けられ、前記回転ツマミには注出孔が形成され、前記回転ツマミを回転させることによって内容物が前記中皿部材に押し上げられて前記注出孔から押し出される押出し容器において、
前記回転ツマミと前記螺軸部材は別体であり、
前記回転ツマミの上面中央の裏面には、前記螺軸部材の上端部が挿入されて連結する筒状の前記回転軸である連結軸が一体に設けられて前記上面中央から下方に突出し、前記容器本体の前記開口筒部に前記回転ツマミを取り付けた状態で、前記連結軸の下端部は前記容器本体の内側に突出し、
前記容器本体の前記開口筒部の中心の、前記開口筒部の上面よりも下方に前記螺軸部材の上端部の先端が位置し、
前記連結軸の内周面と、前記螺軸部材の前記上端部には、互いに組み合わされる縦溝または突条が各々設けられ、前記回転ツマミの前記連結軸に前記螺軸部材の前記上端部を差し込むことで回転方向に連動可能に連結され、
前記注出孔は、前記回転ツマミに対する前記螺軸部材の軸方向投影位置の外周に、前記回転ツマミの前記
連結軸を中心として形成され、
前記連結軸の外周に沿って環状に設けられ、前記注出孔の内側には連結部が設けられて環状の前記注出孔で区切られた内側部分と外側部分とを連結し、
前記容器本体の上部には、前記回転ツマミ全体を覆うキャップが着脱可能に設けられ、前記キャップには、前記注出孔
を液密に密閉する密閉筒部が設けられ
、前記密閉筒部は円筒状であり、前記キャップを前記容器本体に閉じた時に前記注出孔を密閉することを特徴とする押出し容器。
【請求項2】
側面の内周面が上下方向に断面形状が一定であり内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の上部に開口する開口筒部に取り付けられ上下方向を回転軸として軸周りに回転可能に装着された回転ツマミと、前記回転ツマミの中央に同軸に連結され前記回転ツマミの回転に伴って軸周りに回転する螺軸部材と、前記螺軸部材と螺合し、前記回転ツマミの回転によって上昇移動する中皿部材が設けられ、前記回転ツマミには注出孔が形成され、前記回転ツマミを回転させることによって内容物が前記中皿部材に押し上げられて前記注出孔から押し出される押出し容器において、
前記回転ツマミと前記螺軸部材は別体であり、
前記回転ツマミの上面中央の裏面には、前記螺軸部材の上端部が挿入されて連結する筒状の前記回転軸である連結軸が一体に設けられ、
前記螺軸部材は、一定の深さ以上には前記連結軸に差し込まれず、上下方向に遊びを持ち、
前記螺軸部材の下端部周縁には、前記容器本体の底面に接して介在し、前記螺軸部材と前記底面の距離が近くなった時には撓んで縮み、距離が戻った時に復元する緩衝体が設けられ、
前記連結軸の内周面と、前記螺軸部材の前記上端部には、互いに組み合わされる縦溝または突条が各々設けられ、前記回転ツマミの前記連結軸に前記螺軸部材の前記上端部を差し込むことで回転方向に連動可能に連結され、
前記注出孔は、前記回転ツマミに対する前記螺軸部材の軸方向投影位置の外周に、前記回転ツマミの前記連結軸を中心として形成され、前記連結軸の外周に沿って環状に設けられ、前記注出孔の内側には連結部が設けられて環状の前記注出孔で区切られた内側部分と外側部分とを連結し、
前記容器本体の上部には、前記回転ツマミ全体を覆うキャップが着脱可能に設けられ、前記キャップには、前記注出孔を液密に密閉する密閉筒部が設けられ、前記密閉筒部は円筒状であり、前記キャップを前記容器本体に閉じた時に前記注出孔を密閉することを特徴とする押出し容器。
【請求項3】
前記注出孔の前記連結部は、前記回転ツマミの前記上面の表面から離れた位置に設けられ、
前記キャップを前記容器本体に閉じた時に、円筒状の前記密閉筒部は、環状の前記注出孔に差し込まれ、前記注出孔の環状の外周側に位置する内周面に密着する請求項1
又は2記載の押出し容器。
【請求項4】
前記螺軸部材の前記上端部は、上方に向かって細くなるようにテーパー部が設けられている請求項
1又は2記載の押出し容器。
【請求項5】
前記容器本体の前記開口筒部の外周面に、接線方向に突出する弾性体を設け、前記弾性体の先端部には前記接線方向に交差する当接面が設けられ、
前記回転ツマミの内周面には、前記回転ツマミを前記開口筒部に取り付けた状態で前記弾性体に接触する係止爪が設けられ、前記係止爪は、前記接線方向に対面する当接面と、前記当接面の反対側に位置する滑り面を有し、同形状の複数個の前記係止爪が内周面の円周に沿って等間隔に位置する爪車が設けられ、
前記回転ツマミは前記接線方向に回転可能であり、前記接線方向と反対側に回転させると、前記弾性体の前記当接面と前記係止爪の前記当接面が係合する請求項1
又は2記載の押出し容器。
【請求項6】
前記キャップは、前記容器本体へ螺合により取り付けられ、前記キャップの締め方向が、前記回転ツマミの回転不能な方向で前記接線の突出方向とは逆になる請求項5記載の押出し容器。
【請求項7】
前記螺軸部材と前記中皿部材の螺合は、前記中皿部材が前記容器本体の上面部あるいは前記回転ツマミと当接する位置またはその直前の上昇位置で、解除される請求項1
又は2記載の押出し容器。
【請求項8】
前記注出孔は前記開口筒部よりも小さな口径で形成され、上記回転ツマミの上面には、前記注出孔より取り出された内容物を直接塗布する塗布面が設けられている請求項1
又は2記載の押出し容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クリーム状の医薬品や化粧品等の半固形又は比較的粘性の高い内容物を入れ、使用時に内容物を押し出して吐出させることが可能な押出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クリーム状の内容物を入れる容器として、吐出口を有する円筒状の本体と、吐出口を着脱可能に覆う蓋が設けられたものがある。そして、容器の中には操作部により吐出口に向かって移動可能な中皿が設けられたものもある。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている中皿の上昇機構を備えた容器は、頂部に吐出孔を開口し内周面は下部から上部にわたって同形、同サイズの容器体が設けられている。容器体の底部には回転操作が可能な操作ハンドルが設けられ、操作ハンドルには、容器体内に立設する螺軸が設けられている。螺軸には、中皿が取り付けられ、中皿の内周縁は螺軸に螺着され、外周縁は容器体の内周面に摺動可能に嵌合され、操作ハンドルを回転させることにより螺軸の回転で中皿が上昇する。この容器は、内容物を取り出す時は、操作ハンドルを回転させることにより中皿を上方にスライドさせ、内容物を吐出孔から吐出する。
【0004】
また、特許文献2の吐出容器は、上端開口部を有する有底筒状の容器本体を有し、容器本体の上端開口部には、上端開口部を塞ぐ頂壁部を有する回転操作体が、容器本体に軸周りに回転可能に装着され、頂壁部には、内容物を吐出させる吐出口が形成されている。容器本体の内部には、回転操作体と共に容器軸周りに回転する回転体が設けられ、回転体には回転体の回転に伴って上昇移動する中皿が設けられている。この吐出容器は、内容物を取り出す時、回転操作体を容器軸周りに回転させることで中皿を上昇移動させ、内容物を押し上げて頂壁部の吐出口から吐出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-213859号公報
【文献】特開2012-111525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景技術の場合、何れも中皿が螺軸に螺合されており操作時以外は中皿が移動しないため、保管時に室温の変化等により内容物の体積が増えると、吐出孔から液漏れする恐れがある。キャップを取り付けて保管しても、内容物が漏れてキャップの内側に内容物が付着してしまう場合もある。また、内容物の体積が減る場合は、空気が容器内に流れ込んでしまい、使用する際に内容物が円滑に吐出されない恐れもある。オーバーキャップを取り付けて密閉することが考えられるが、上記各特許文献の容器は、内圧の緩和は考えられておらず、また誤操作によるトラブル等も考慮されていない。
【0007】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で簡単な操作により内容物を取り出すことができ、内圧を緩和し、保管時の内容物の漏れや、注出時の誤作動を防ぐことができる押出し容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、側面の内周面が上下方向に断面形状が一定であり内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の上部に開口する開口筒部に取り付けられ上下方向を回転軸として軸周りに回転可能に装着された回転ツマミと、前記回転ツマミの中央に同軸に設けられ前記回転ツマミの回転に伴って軸周りに回転する螺軸部材と、前記螺軸部材と螺合し、前記回転ツマミの回転によって上昇移動する中皿部材が設けられ、前記回転ツマミには注出孔が形成され、前記回転ツマミを回転させることによって内容物が前記中皿部材に押し上げられて前記注出孔から押し出される押出し容器である。前記回転ツマミと前記螺軸部材は別体であり、前記回転ツマミの上面中央の裏面には、前記螺軸部材の上端部が挿入されて連結する筒状の連結軸が一体に設けられて前記上面中央から下方に突出し、前記容器本体の前記開口筒部に前記回転ツマミを取り付けた時に、前記連結軸の下端部は前記容器本体の内側に突出し、前記容器本体の前記開口筒部の中心の、前記開口筒部の上面よりも下方に前記螺軸部材の上端部の先端が位置し、前記連結軸の内周面と、前記螺軸部材の前記上端部には、互いに組み合わされる縦溝または突条が各々設けられ、前記回転ツマミの前記連結軸に前記螺軸部材の前記上端部を差し込むことで回転方向に連動可能に連結され、前記注出孔は、前記回転ツマミに対する前記螺軸部材の軸方向投影位置の外周に、前記回転ツマミの前記連結軸を中心として形成され、前記連結軸の外周に沿って環状に設けられ、前記注出孔の内側には連結部が設けられて環状の前記注出孔で区切られた内側部分と外側部分とを連結し、前記容器本体の上部には、前記回転ツマミ全体を覆うキャップが着脱可能に設けられ、前記キャップには、前記注出孔を液密に密閉する密閉筒部が設けられ、前記密閉筒部は円筒状であり、前記キャップを前記容器本体に閉じた時に前記注出孔を密閉する。
【0009】
本発明は、側面の内周面が上下方向に断面形状が一定であり内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の上部に開口する開口筒部に取り付けられ上下方向を回転軸として軸周りに回転可能に装着された回転ツマミと、前記回転ツマミの中央に同軸に連結され前記回転ツマミの回転に伴って軸周りに回転する螺軸部材と、前記螺軸部材と螺合し、前記回転ツマミの回転によって上昇移動する中皿部材が設けられ、前記回転ツマミには注出孔が形成され、前記回転ツマミを回転させることによって内容物が前記中皿部材に押し上げられて前記注出孔から押し出される押出し容器である。前記回転ツマミと前記螺軸部材は別体であり、前記回転ツマミの上面中央の裏面には、前記螺軸部材の上端部が挿入されて連結する筒状の連結軸が一体に設けられ、前記螺軸部材は、一定の深さ以上には前記連結軸に差し込まれず、上下方向に遊びを持ち、前記螺軸部材の下端部周縁には、前記容器本体の底面に接して介在し、前記螺軸部材と前記底面の距離が近くなった時には撓んで縮み、距離が戻った時に復元する緩衝体が設けられ、前記連結軸の内周面と、前記螺軸部材の前記上端部には、互いに組み合わされる縦溝または突条が各々設けられ、前記回転ツマミの前記連結軸に前記螺軸部材の前記上端部を差し込むことで回転方向に連動可能に連結され、前記注出孔は、前記回転ツマミに対する前記螺軸部材の軸方向投影位置の外周に、前記回転ツマミの前記連結軸を中心として形成され、前記連結軸の外周に沿って環状に設けられ、前記注出孔の内側には連結部が設けられて環状の前記注出孔で区切られた内側部分と外側部分とを連結し、前記容器本体の上部には、前記回転ツマミ全体を覆うキャップが着脱可能に設けられ、前記キャップには、前記注出孔を液密に密閉する密閉筒部が設けられ、前記密閉筒部は円筒状であり、前記キャップを前記容器本体に閉じた時に前記注出孔を密閉する。
【0010】
前記注出孔の前記連結部は、前記回転ツマミの前記上面の表面から離れた位置に設けられ、前記キャップを前記容器本体に閉じた時に、円筒状の前記密閉筒部は、環状の前記注出孔に差し込まれ、前記注出孔の環状の外周側に位置する内周面に密着する。前記螺軸部材は、一定の深さ以上には前記連結軸に差し込まれず、上下方向に遊びを持ち、前記螺軸部材の下端部周縁には、前記容器本体の底面に接して介在し、前記螺軸部材と前記底面の距離が近くなった時には撓んで縮み、距離が戻った時に復元する緩衝体が設けられている。前記螺軸部材の前記先端部は、上方に向かって細くなるようにテーパー部が設けられている。
【0011】
前記容器本体の前記開口筒部の外周面に、接線方向に突出する弾性体を設け、前記弾性体の先端部には前記接線方向に交差する当接面が設けられている。前記回転ツマミの内周面には、前記回転ツマミを前記開口筒部に取り付けた状態で前記弾性体に接触する係止爪が設けられ、前記係止爪は、前記接線方向に対面する当接面と、前記当接面の反対側に位置する滑り面を有し、同形状の複数個の前記係止爪が内周面の円周に沿って等間隔に位置する爪車が設けられている。そして、前記回転ツマミは前記接線方向に回転可能であり、前記接線方向と反対側に回転させると、前記弾性体の前記当接面と前記係止爪の前記当接面が係合するものである。
【0012】
前記キャップは、前記容器本体へ螺合により取り付けられ、前記キャップの締め方向が前記回転ツマミの回転不能な方向で前記接線の突出方向とは逆になるものである。
【0013】
前記螺軸部材と前記中皿部材の螺合は、前記中皿部材が前記容器本体の上面部付近あるいは前記回転ツマミと当接する位置またはその直前の上昇位置で解除されるものである。
【0014】
前記注出孔は前記開口筒部よりも小さな口径で形成され、上記回転ツマミの上面には、前記注出孔より取り出された内容物を直接塗布する塗布面が設けられていると良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明の押出し容器は、簡単な構造で簡単な操作により内容物を取り出すことができる。内圧を緩和し、保管時の内容物の液漏れや、注出時の誤操作を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の一実施形態の押出し容器の縦断面図である。
【
図2】この実施形態の押出し容器の内容物をほぼ押し出した状態を示す縦断面図である。
【
図3】この実施形態の押出し容器のキャップを取り付けた状態を示す縦断面図である。
【
図5】この実施形態の押出し容器の開口筒部の斜視図である。
【
図6】この実施形態の押出し容器の回転ツマミを裏面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1~
図6はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の押出し容器10は、内容物を収容する筒状の容器本体12が設けられている。容器本体12は、PEやPP、PET等の適度な力を加えると弾性変形が可能な合成樹脂製である。
【0018】
容器本体12は、内周面が下部から上部にわたって断面形状が同形、同サイズの円筒形である側面14を有し、正立状態で側面14の上端部には、径が小さい円筒状のキャップ取付筒部16が上方に突出して一体に設けられている。キャップ取付筒部16の上端部には、キャップ取付筒部16からさらに径が小さい回転ツマミ取付筒部18が上方に突出して一体に設けられている。回転ツマミ取付筒部18の上端部には、回転ツマミ取付筒部18の挿通方向に交差する円板状の上面部22が設けられている。上面部22の中央には、回転ツマミ取付筒部18より径が小さい円筒状の開口筒部24が設けられ、開口筒部24は上面部22から上方に突出し内側の空間は上面部22の内外を連通する。キャップ取付筒部16の外周面には、後述するキャップ78を螺合する雄ネジ16aが形成されている。回転ツマミ取付筒部18の外周面には、後述する回転ツマミ62の係止凸部66aが差し込まれて抜けないように係止する係止凹部18aが一周して設けられている。なお、キャップ取付筒部16、回転ツマミ取付筒部18、開口筒部24は、側面14と同軸に形成されている。
【0019】
開口筒部24の外周面には、
図5に示すように弾性体26が一体に設けられている。弾性体26は一方向に長い角柱状であり、長手方向が開口筒部24の高さ方向に対して交差しており、長手方向の一方の端部は開口筒部24の外周面に連続し、自由端である他方の先端部26aは開口筒部24のほぼ接線方向に突出している。さらに弾性体26は、開口筒部24から離れるに従って開口筒部24を上方から見て反時計回りCCWに伸びた位置にあり、上面部22の周縁部近傍に位置している。先端部26aの先端面は、時計回りCWに対面する平面であり、後述する回転ツマミ62の係止爪67の当接面67aに当接し、回転ツマミ62が時計回りCWに回転することを係止する当接面26bとなる。弾性体26は6本設けられ、開口筒部24の円周に沿って互いに等間隔に設けられている。弾性体26の長手方向の形状は、僅かに開口筒部24から離れる方向へ膨らむように湾曲している。弾性体26は、後述する回転ツマミ62が反時計回りCCWに回転する際に、回転ツマミ62の係止爪67に押された時に弾性変形し、係止爪67が通過すると弾性変形が復元する。つまり弾性体26は、回転ツマミ62の回転方向である反時計回りCCWに、なびくように延出している。
【0020】
正立状態で容器本体12の下端部は開口し、開口した下端開口縁部から一定の幅に、外周面が一周して薄く切り欠かれて底キャップ取付筒部28が形成されている。底キャップ取付筒部28は、後述の底キャップ30を取り付けるものであり、底キャップ取付筒部28には、後述する底キャップ30の係止凸部30aが差し込まれて抜けないように係止する係止凹部28aが一周して設けられている。
【0021】
次に、容器本体12の底キャップ取付筒部28に取り付けられる底キャップ30について説明する。底キャップ30は、容器本体12の下端部の開口を閉鎖する円形の底面と、底面に連続する円筒形の側面が、一体に設けられ、側面の内周面には、容器本体12の底キャップ取付筒部28の係止凹部28aに差し込まれて抜けないように係止する係止凸部30aが形成されている。
【0022】
底キャップ30の、底面の裏面には、小さい直径の円筒形状の軸受け部32が一体に設けられている。軸受け部32は、底キャップ30の中心に位置し、底キャップ30の側面と同軸であり、底キャップ30から略垂直に側面の突出方向に突出し、突出長さは底キャップ取付筒部28の高さとほぼ等しい。軸受け部32の外側には、小さい環状の突部30bが形成され、底キャップ30の底面から軸受け部32の突出方向に小さく突出し軸受け部32から離間して一周している。
【0023】
次に、容器本体12の内側空間に設置される螺軸部材34について説明する。螺軸部材34は、適度な力を加えると弾性変形が可能な樹脂で作られている。螺軸部材34は、一方向に長い直線の棒体であり、一方の下端部34aは、押出し容器10を組み立てた時に底キャップ30の軸受け部32の内側に差し込まれるものであり、差し込まれた時に軸周りの回転が可能な僅かなゆとりを有する直径である。
【0024】
下端部34aの周縁には、下端部34aから少し上方に移動した位置に、緩衝体36が一体に設けられている。緩衝体36は、一方向に長い板体であり、長手方向の一方の端部は螺軸部材34に連続し、自由端である他方の先端部36aは、螺軸部材34を中心とする放射方向に延び、螺軸部材34から離れるに従って下方に向かって斜めに延出し、下端部34aを少し超える位置に達している。先端部36aは、螺軸部材34の軸方向に交差する面に沿うように、緩やかに外側へ折り曲げられている。緩衝体36は、ここでは4つ設けられ、4つの緩衝体36は螺軸部材34の同じ高さに設けられ、互いに等間隔に位置している。
【0025】
螺軸部材34の外周面には、緩衝体36より少し上から、下端部34aとは反対側の上端部34bの少し下の位置にかけて、雄ネジ38が設けられている。上端部34bの上面は、中央が高くなり円錐状のテーパー部40が設けられている。テーパー部40に隣接する外周面には、軸方向に沿う複数の縦溝42が形成されている。複数の縦溝42は、複数の突条によるものでも良く、互いに同じ形状で、テーパー部40と雄ネジ38の中間付近に達する長さであり、等間隔に一周して設けられている。雄ネジ38に近い約半分の部分は、縦溝42が設けられていない。
【0026】
次に、容器本体12の内側空間に、螺軸部材34に螺合されて設置される中皿部材44について説明する。中皿部材44は、容器本体12の上端部と、キャップ取付筒部16、回転ツマミ取付筒部18の内側空間に嵌合される外形状となる。まず中皿部材44には、側面14の内周面に嵌合される円筒状の取付部46が設けられ、取付部46は、底キャップ取付筒部28側の下端部46aと、開口筒部24側の上端部46bが、側面14の内周面に密着するように径が太く形成され、その中間部分は径が細く形成され、鼓状に形成され、弾性変形可能で側面14に密着する。
【0027】
取付部46の内周面の上端部46bよりも少し下の位置には、短い幅のフランジ部48が一周して中心に突出して設けられている。フランジ部48の内周面には、径が小さい円筒部50が上方に突出して一体に設けられている。円筒部50の上端部には、円筒部50よりさらに径が小さい円筒部52が上方に突出して一体に設けられ、円筒部52の上端部には、円筒部52よりさらに径が小さい円筒部54が上方に突出して一体に設けられている。
【0028】
円筒部54の上端部には、円筒部54の挿通方向に交差する円板状の上面部56が設けられている。上面部56の中央には、円筒部54より径が小さい円筒状の螺合部58が設けられ、螺合部58は、上面部56からくぼむように下方に突出している。螺合部58の下端部58aは、取付部46の軸方向の中間付近に位置し、螺合部58の内側空間は上面部56の内外を連通している。螺合部58の内周面は、下端部58aに近い約半分は螺軸部材34の雄ネジ38に螺合する雌ネジ60が形成され、上面部56に近い残りの部分は、内周面が円滑で雌ネジ60より少し内径が太い。取付部46、円筒部50,52,54、螺合部58は、同軸に形成されている。円筒部50,52,54は、容器本体12の側面14の上端部、キャップ取付筒部16、回転ツマミ取付筒部18の内側に適度なゆとりを有して嵌合可能な形状である。
【0029】
次に、容器本体12の回転ツマミ取付筒部18に取り付けられる回転ツマミ62について説明する。回転ツマミ62は、円形で中央部が少し外側に膨出するドーム状の上面64と、上面64に連続する円筒形の側面66が一体に設けられている。側面66の外周面には、縦方向に長いすべり止めのリブが複数個、円周に沿って等間隔に形成されている。
【0030】
側面66の内周面には、
図6に示すように容器本体12の、回転ツマミ取付筒部18の係止凹部18aに差し込まれて抜けないように係止される係止凸部66aが一周して設けられている。係止凸部66aの、少し上面64に近い位置には、複数の係止爪67が設けられている。係止爪67は、側面66の内周面から内側に向かって三角形に突出して形成され、同形の係止爪67が複数個、等間隔に一周して形成されている。各係止爪67には、押出し容器10の組立状態で、時計回りCW側に位置し反時計回りCCWに対面する平面である当接面67aと、反時計回りCCW側に位置し傾斜の緩い滑り面67bが設けられ、車爪となる。押出し容器10の組立状態、つまり回転ツマミ62を容器本体12の開口筒部24に取り付けた時、当接面67aは、容器本体12の弾性体26の当接面26bに当接し時計回りCWの回転を係止する。回転ツマミ62を反時計回りCCWに回す時は、滑り面67bが弾性体26を押して弾性変形させるために回すことができ、ラチェットになる。
【0031】
回転ツマミ62には、上面64の中央で上面64の裏面に、螺軸部材34の上端部34bが挿入されて連結する筒状の連結軸68が設けられている。連結軸68は上面64の中心に位置し、側面66と同軸であり、上面64から略垂直に側面66の突出方向に突出し、突出長さは側面66よりも長く、下端部68aは側面66から下方に突出している。連結軸68の内周面は、下端部68aに近い約半分は螺軸部材34の縦溝42に組み合わされる縦溝70が設けられ、上面64に近い残りの半分は、内周面が円滑で縦溝70を有する部分よりも少し内径が細い。
【0032】
上面64には、連結軸68の外周に、上面64の内外を連通する注出孔72が形成されている。注出孔72は、回転ツマミ62の回転軸つまり連結軸68を中心として形成され開口筒部24よりも小さい口径であり、連結軸68の外周に沿って環状に設けられている。注出孔72の内側には、4か所の連結部72aが設けられ、環状の注出孔72で区切られた内側部分と外側部分とを連結している。連結部72aは、上面64の表面から離れた位置に設けられている。
【0033】
上面64の裏面には、注出孔72の外側に、小さい円筒状の密閉筒部74が設けられている。密閉筒部74は、回転ツマミ62の側面66と同心円に形成され、回転ツマミ62を容器本体12に閉じた時に、開口筒部24に差し込まれて内周面に密着する。また、上面64の裏面の、密閉筒部74の外側には、小さい環状の突部75が形成され、突部75は、密閉筒部74と同心円に形成され、回転ツマミ62を容器本体12に閉じた時に、開口筒部24の上面に液密に当接する。なお、上面64の表面が、注出孔72から押し出された内容物を直接塗布する塗布面64aとなる。
【0034】
次に、この実施形態の押出し容器10の組立方法について説明する。まず、螺軸部材34と中皿部材44を螺合させて互いに組み付ける。螺軸部材34の上端部34bを、中皿部材44の取付部46の下端部46a側から螺合部58に差し込み、上端部34b側の径の細い部分が螺合部58を通過した後、螺軸部材34または中皿部材44を軸周りに回転させて、中皿部材44の雌ネジ60に螺合させ、中皿部材44が螺軸部材34の緩衝体36に近い位置にくるまで回転させる。また、螺軸部材34の下端部34aを、底キャップ30の軸受け部32に差し込み、螺軸部材34と底キャップ30を組み付ける。この時、螺軸部材34の緩衝体36先端部36aは、底キャップ30の底板の突部30bに当接し、螺軸部材34は上下方向に移動可能となる。
【0035】
次に、互いに組み付けた螺軸部材34と中皿部材44、底キャップ30を、容器本体12に取り付ける。取り付けは、容器本体12の下端部から、螺軸部材34の上端部34bが開口筒部24に向くように入れ、底キャップ30の側面を底キャップ取付筒部28に重ね、係止凸部30aを係止凹部28aに差し込み、係止して、側面14の下端開口縁部を閉鎖する。中皿部材44の取付部46は、側面14の内周面に密着し、容器本体12の内側には、中皿部材44の上方に、収容空間76が形成される。そして、容器本体12の開口筒部24から収容空間76へ、クリーム状の内容物を充填する。内容物は、例えばクリーム状の医薬品や化粧品等である。開口筒部24の中心の下方には、螺軸部材34が位置するが、螺軸部材34の上端部34bは、テーパー部40が形成されているため、内容物の充填をさまたげることがない。
【0036】
所定量の内容物を充填した後、容器本体12に回転ツマミ62を取り付ける。この時、容器本体12の回転ツマミ取付筒部18に、回転ツマミ62の側面66を被せ、係止凹部18aに係止凸部66aを差し込み係止する。そして、容器本体12の開口筒部24を上面64で覆い、連結軸68の下端部68aは、回転ツマミ取付筒部18とキャップ取付筒部16の内側に突出する。螺軸部材34の上端部34bを連結軸68に差し込み、螺軸部材34の縦溝42が連結軸68の縦溝70に組み合わさり、同軸の回転軸となり軸方向に共に回るように連結する。開口筒部24の内周面に密閉筒部74が差し込まれ、密閉する。注出孔72は、容器本体12の収容空間76に連通し、内容物が通過可能である。
【0037】
この時、弾性体26の先端部26aは、側面66の内周面の近傍に達し、内周面に沿って等間隔に設けられた複数個の係止爪67の、一対の間に位置する。そして、回転ツマミ62を反時計回りCCWに回す時は係止爪67の滑り面67bが弾性体26を押して弾性変形させるために回すことができ、時計回りCWに回そうと力を加えると係止爪67の当接面67aが弾性体26の当接面26bに当接して係合し、回転を阻止するラチェット構造となる。また、回転ツマミ62を反時計回りCCWに回す時、弾性体26の先端部26aが係止爪67の滑り面67bに押されて弾性変形したり、滑り面67bを乗り越えて弾性変形が復元したりする際にクリック感と音が生じ、操作しやすく、回し過ぎることも防ぐ。
【0038】
螺軸部材34は、一定の深さ以上には連結軸68に差し込まれず、上下方向に遊びを持たせた状態になっている。回転ツマミ62を容器本体12に取り付けた時、螺軸部材34は回転ツマミ62の連結軸68に押されず、上下方向に摺動可能であるが、中皿部材44の取付部46と側面14の内周面の接触抵抗によって支持され、がたつきがない。螺軸部材34の下端部34aは底キャップ30の軸受け部32の内側に位置し、上下方向には摺動可能で、軸回りに回転可能に保持される。これで
図1に示す状態となる。
【0039】
そして、容器本体12のキャップ取付筒部16に、
図3に示すキャップ78を取り付ける。キャップ78は、円形で中央部が少し外側に膨出するドーム状の上面と、上面に連続する円筒形の側面が一体に設けられ、側面の内周面には、容器本体12の、キャップ取付筒部16の雄ネジ16aに螺合する雌ネジ78aが形成され、螺合して取り付けられる。螺合する方向は、時計回りCWに回転させると螺合して閉じ、反時計回りCCWに回すと開く。
【0040】
キャップ78の上面の裏面には、小さい円筒状の密閉筒部78bが設けられている。密閉筒部78bは、キャップ78の側面と同心円に形成され、キャップ78を容器本体12に閉じた時に、注出孔72に差し込まれ、注出孔72の側面66側、つまり外周側に位置する内周面に密着する。これにより、保管時に内容物が注出孔72から出ても注出孔72の側面66側の周囲に広がることを防ぐ。注出孔72の中には連結部72aが設けられているが、連結部72aは上面64から離れた位置に設けられ、また密閉筒部78bは短く形成され、連結部72aに達することがなく、支障なく差し込まれる。
【0041】
また、キャップ78の上面の裏面の、密閉筒部78bの外側には、小さい環状の突部78cが形成され、突部78cは、密閉筒部78bと同心円に形成され、キャップ78を容器本体12に閉じた時に、回転ツマミ62の上面64に当接し、回転ツマミ62を押さえて保管時に不用意に回転ツマミ62が容器本体12から浮き上がることを防ぐ。これで
図3に示す状態となる。
【0042】
容器本体12から内容物を取り出して使用する時は、キャップ78を反時計回りCCWに回して外し、
図1に示す状態となる。そして、容器本体12を保持して回転ツマミ62を反時計回りCCWに回転させる。すると、回転ツマミ62と一体に螺軸部材34が軸周りに回転する。螺軸部材34の下端部34aは、底キャップ30の軸受け部32に回転可能に保持されているため、安定して回転する。螺軸部材34に螺合している中皿部材44は、取付部46が容器本体12の内周面に密着し、また図示しない収容物が円筒部50,52,54、上面部56に接しているため、抵抗があり螺軸部材34の回転に伴って回転することはない。
【0043】
従って、中皿部材44は底キャップ30に近い位置にあるが、螺軸部材34が軸周りに回転すると、雄ネジ38に螺合する雌ネジ60が移動し、中皿部材44が上昇する。中皿部材44の上方の内容物が押し上げられ、回転ツマミ62の注出孔72から押し出される。上面64の表面は、内容物を直接塗布する塗布面64aであり、塗布面64aを皮膚などに当接しながら移動し、塗布面64aに押し出されて付着した内容物を塗る。また、注出孔72に押し出された内容物を指ですくって、皮膚等に塗布してもよい。
【0044】
回転ツマミ62を反時計回りCCWに回して内容物を取り出す際は、クリック感と音が生じ、操作しやすく、回し過ぎることも防ぐ。回転ツマミ62を、間違えて時計回りCWに回すと、弾性体26の当接面26bと、係止爪67の当接面67aが当接し、回転することがない。使用後は、キャップ78を時計回りCWに回して取り付けて密閉する。キャップ78を閉める方向は、回転ツマミ62の回転方向と逆であり、使用後にキャップ78を閉める時の摩擦により回転ツマミ62が連動しても、係止爪67により回転を止めることができる。
【0045】
使用を繰り返し、内容物が無くなると、
図2に示すように中皿部材44が上昇し、円筒部50,52,54、上面部56は、容器本体12の側面14の上端部、キャップ取付筒部16、回転ツマミ取付筒部18、上面部22の内側に当接し、螺合部58は、回転ツマミ62の連結軸68の外側に当接し、上昇位置となり、それより上昇しなくなる。この時、中皿部材44の雌ネジ60は、螺軸部材34の上端部34b近傍の雄ネジ38が設けられていない部分に位置し、螺合が解除される。螺合の解除は、中皿部材44が容器本体12または回転ツマミ62と当接する直前で解除されてもよい。螺合が解除されると回転ツマミ62を反時計回りCCWに回しても移動することがない。回転ツマミ62を回しても内容物が押し出されないことから、内容物が無いことが使用者にわかる。
【0046】
この実施形態の押出し容器10によれば、クリーム状の内容物を簡単にきれいに押し出して、使用することができる。回転ツマミ62の上面64の外側面は、注出孔72より取り出された内容物を直接塗布する塗布面64aであり、塗布面64aで直接塗布することにより手指を介さずに塗布することができる。
【0047】
回転ツマミ62は、連結軸68の外周に上面64を貫通する注出孔72が設けられ、注出孔72は、中央に連結軸68を有しながら回転軸つまり連結軸68を中心として円形でかつ小口径に設けられている。これにより、キャップ78を螺合する際に、キャップ78を回転させながら密閉筒部74により注出孔72を密閉することができる。保管時に室温の変化によって内容物が漏れる恐れがなく、キャップ78の密閉筒部78bにより注出孔72が密閉されているため内容物が出ることがなく、キャップ78の内側に内容物が付着することがない。また、室温の変化により空気が容器内に流れ込むこともなく、使用する際に内容物が円滑に吐出されない不具合が発生しない。キャップ78を閉めた状態では回転ツマミ62を操作することができず安全であり、キャップを閉めたまま不用意に注出操作が行われて容器本体12の内圧が上昇して内容物の漏洩や容器本体12の破損が起きることがない。
【0048】
螺軸部材34は、下端部34aは緩衝体36が底キャップ30の底面に接しており、緩衝体36が撓むことで螺軸部材34の上下方向への移動を可能にしている。上端部34bは、回転ツマミ62に上下方向に遊びを持たせて連結されている。これにより、キャップを閉めた状態で容器本体12が外気温の上昇等で加温されて内容物が膨張し、中皿部材44を下方に移動する力が働いたとき、中皿部材44を保持する螺軸部材34が移動し、内容物の内圧を緩和することができ、内容物の漏洩や容器本体12の破損が起きることがない。外気が常温に戻り、中皿部材44の下方への押力が無くなれば、緩衝体36の弾性によって元の位置に復元する。容器本体12が冷気に晒される等で内容物が減容した場合、螺軸部材34と連結軸68の上下方向の遊びによって螺軸部材34は上方に移動し、減圧によるエアーの流入や容器本体12の破損を防止する。
【0049】
回転ツマミ62は、ラチェット機構が備えられクリック感と音が生じ、爪車の係止爪67は等間隔に設けられているため、クリック感と音によって回転量を認知することができ、クリック感と音の回数で注出量を察知することが可能である。さらに、操作しやすく、回し過ぎることも防ぐ。回転ツマミ62を、間違えて時計回りCWに回すと、弾性体26の当接面26bと、係止爪67の当接面67aが当接し、回転することがないので、注出孔72から空気が入ったり、中皿部材44が底キャップ30を押して破損させたりする心配がない。キャップ78を閉める方向は、回転ツマミ62の回転方向と逆であり、使用後にキャップ78を閉める時の摩擦により回転ツマミ62が連動しても、係止爪67により回転を止めることができ、回転によるエアーの流入がない。また、係止爪67の当接面67aと弾性体26の当接面26bがしっかりと当接していない位置の時、キャップ78を閉めることで係合位置に戻すことができ、弾性体26の弾性変形による経時変化を防止することができる。
【0050】
回転ツマミ62の連結軸68と、螺軸部材34の上端部34bは、差し込むだけで縦溝70と縦溝42が組み合わされて回転方向に連動可能に連結される。これにより、容器本体12に内容物を充填後、回転ツマミ62を嵌着するだけで容易に連結が可能となり、組み立てが容易である。螺軸部材34の上端部34bにはテーパー部40が設けられているため、連結軸68の内側に差し込みやすく、連結がより容易になる。また内容物を充填する際は、螺軸部材34の上端部34bがテーパー部40となっているため、円滑に充填することができる。
【0051】
螺軸部材34と中皿部材44の螺合は、中皿部材44が容器本体12の上面部22等に当接する位置で解除されるので、更に回転ツマミ62を回しても移動することがなく、中皿部材44から過大な上昇荷重が加わって容器本体12を破損してしまうことがない。
【0052】
なお、この発明の押出し容器は、上記実施形態に限定されるものではなく、容器本体の内周面の形状は上下方向の断面形状が一定であれば良く、中皿部材の形状も、容器本体に密接するものであれば良い。螺軸部材の緩衝体は、螺軸部材と一体成形することが可能であるが、別体にすることも可能である。あるいは底キャップと一体にしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 押出し容器
12 容器本体
14 側面
24 開口筒部
26 弾性体
26b 当接面
34 螺軸部材
34a 下端部
34b 上端部
36 緩衝体
40 テーパー部
42,70 縦溝
44 中皿部材
62 回転ツマミ
64 上面
64a 塗布面
67 係止爪
67a 当接面
67b 滑り面
68 連結軸
72 注出孔
78 キャップ
78b 密閉筒部