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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】マスク除菌器
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20240425BHJP
   A61L 2/20 20060101ALI20240425BHJP
   A61L 101/10 20060101ALN20240425BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/20 100
A61L101:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020100793
(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公開番号】P2021194119
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】502333725
【氏名又は名称】太洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】佐野 丈太郎
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207323742(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0129650(US,A1)
【文献】特開2011-015822(JP,A)
【文献】特開2011-078678(JP,A)
【文献】特開2004-166875(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0098394(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0318457(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1148973(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第111202856(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00- 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリーツ型のマスクを少なくとも除菌するマスク除菌器であって
一面が開口するケース本体と、
そのケース本体に対しスライド移動して収納可能な引き出し部と、
前記ケース本体内の上方所定位置に取付けた下方に向けて紫外線を出射する第1紫外線照射ユニットと、
前記引き出し部内に着脱自在に装着するマスク台を備え、
前記マスク台は、プリーツが開いて膨らんだ姿態の前記マスクを、その膨らんだ状態でセット可能に構成し、
前記マスク台は、表面が凸状態で突出する湾曲面状の部分を有し、
前記マスク台を前記引き出し部に収納する際には、前記表面を上にした状態で行うようにし、
前記マスクのセットは、前記マスク台の前記表面側に、前記プリーツの開いた前記マスクの内面側を対向するようにして行うようにし、
前記ケース本体の内底面側には上方に向けて紫外線を出射する第2紫外線照射ユニットを設け、
前記マスク台には、前記第2紫外線照射ユニットから出射された前記紫外線が通過するための貫通孔を有するマスク除菌器。
【請求項2】
プリーツ型のマスクを少なくとも除菌するマスク除菌器であって
一面が開口するケース本体と、
そのケース本体に対しスライド移動して収納可能な引き出し部と、
前記ケース本体内の上方所定位置に取付けた下方に向けて紫外線を出射する第1紫外線照射ユニットと、
前記引き出し部内に着脱自在に装着するマスク台を備え、
前記マスク台は、プリーツが開いて膨らんだ姿態の前記マスクを、その膨らんだ状態でセット可能に構成し、
前記マスク台は、表面が凸状態で突出する湾曲面状の部分を有し、
前記マスク台を前記引き出し部に収納する際には、前記表面を上にした状態で行うようにし、
前記マスクのセットは、前記マスク台の前記表面側に、前記プリーツの開いた前記マスクの内面側を対向するようにして行うようにし、
前記マスク台の裏面は、凹状態で窪んだ湾曲面状の部分を有し、
前記マスク台を前記引き出し部に収納する際には、前記裏面を上にした状態で行うようにし、
前記マスクのセットは、前記マスク台の裏面側に、前記プリーツの開いた前記マスクの外面側を対向するようにして行うようにしたマスク除菌器。
【請求項3】
前記ケース本体の内底面側には上方に向けて紫外線を出射する第2紫外線照射ユニットを設け、
前記マスク台には、前記第2紫外線照射ユニットから出射された前記紫外線が通過するための貫通孔を有する請求項2に記載のマスク除菌器。
【請求項4】
前記マスク台は、前記紫外線を透過する材質で形成される請求項1または3に記載のマスク除菌器。
【請求項5】
前記第1紫外線照射ユニットと前記第2紫外線照射ユニットのいずれか一方は、オゾンを発生させる機能を備える請求項1または3に記載のマスク除菌器。
【請求項6】
前記第1紫外線照射ユニットと前記第2紫外線照射ユニットは、同じ波長の紫外線を出射するものである請求項1または3に記載のマスク除菌器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク除菌器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、使い捨て用として販売されているマスク等を除菌でき、マスクの繰り返し使用を可能にするマスク除菌器としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示されたマスク除菌器は、例えば要約の欄に記載されるように、マスク除菌器はマスクを入れる容器と、その容器内に少なくとも一つ設けられたマスクホルダーと、前記マスクホルダーに保持されたマスクを除菌する殺菌用UVランプと、前記殺菌用UVランプを電源に接続する接続手段とを備えており、必要に応じて、前記容器は、二つのケースを蝶番で連結し開閉可能に構成した2枚貝状の形状として構成している。
【0003】
そして使用に際しては、例えば段落[0014]には、以下の内容が開示されている。容器を開き、マスクホルダーに使用済みのマスクを二つ折にしてマスクホルダーを挟むように装着してスイッチを入れると、UVランプが点灯し、この光によって網目状のマスクホルダーを介してマスク内面を残すところなく殺菌する。また容器に取り付けたUVランプも同時に点灯するためマスクの外側も同様に殺菌することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-78678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のマスク除菌器は、使用済みのマスクを二つ折りにしてマスクホルダーに取付け、その後にそのマスクホルダーごと二つのケースで挟み込むようにしてケースを閉じるので、二つ折りして対向する部位同士が接近し、その全面にUVランプの光が照射されにくくなり、十分な除菌・殺菌効果が得られないおそれがある。
【0006】
特に、プリーツ型マスクの場合、プリーツの部分が折り重なり合ってしまい、例えばマスクの多くの領域を占めるプリーツの折り返し部分等に対する除菌・殺菌効果が十分に得られないおそれがある。
【0007】
さらに、使用済みのマスクを二つ折りにしてマスクホルダーに取付け作業が煩雑である。また、マスクを二つ折りする際には、例えばマスクの表面にユーザの手指等が触れてしまうおそれが高い。すると、マスクの除菌作業を行う際に、マスクの表面等に付着している菌等が手指に移ってしまう危険性がある。使い捨てマスクを取り外す場合、例えば耳紐部分をもって顔から取り外すようにし、マスクの表面を触らないことが推奨されているが、それに反してしまう。
【0008】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明のマスク除菌器は、(1)プリーツ型のマスクを少なくとも除菌するマスク除菌器であって、一面が開口するケース本体と、そのケース本体に対しスライド移動して収納可能な引き出し部と、前記ケース本体内の上方所定位置に取付けた下方に向けて紫外線を出射する第1紫外線照射ユニットと、前記引き出し部内に着脱自在に装着するマスク台を備え、前記マスク台は、プリーツが開いて膨らんだ姿態の前記マスクを、その膨らんだ状態でセット可能に構成した。
【0010】
マスク台には、使用後のプリーツが開いて膨らんだ状態のマスクを例えばそのまま置いてセットし、その状態で引き出し式の引き出し部を押し込んでケース本体に収納する。すると、マスクが第1紫外線照射ユニットに対向する。そしてマスク台にセットされたマスク1の表面に対して第1紫外線照射ユニットから出射された紫外線が照射され、除菌・殺菌等が行われる。このとき、使用済みのマスクは、プリーツが開いているため、折り畳まれたプリーツで隠れることも無く隅々に紫外線が届き、除菌・殺菌等が行われる。
【0011】
また、マスクをマスク台の上に置くとともに、引き出し部を押し込むことでマスクをケース本体内に配置、除菌処理が行えるため、ユーザが除菌等する前のマスクの表面等に誤って触れるおそれも可及的に抑制される。
【0012】
(2)前記マスク台は、表面が凸状態で突出する湾曲面状の部分を有し、前記マスク台を前記引き出し部に収納する際には、前記表面を上にした状態で行うようにし、前記マスクのセットは、前記マスク台の前記表面側に、前記プリーツの開いた前記マスクの内面側を対向するようにして行うようにするとよい。このようにすると、マスクの外面側を簡単かつ安全に除菌等することができる。
【0013】
(3)前記マスク台の裏面は、凹状態で窪んだ湾曲面状の部分を有し、前記マスク台を前記引き出し部に収納する際には、前記裏面を上にした状態で行うようにし、前記マスクのセットは、前記マスク台の裏面側に、前記プリーツの開いた前記マスクの外面側を対向するようにして行うようにするとよい。このようにすると、マスクの内面側を簡単かつ安全に除菌等することができる。
【0014】
(4)前記ケース本体の内底面側には上方に向けて紫外線を出射する第2紫外線照射ユニットを設け、前記マスク台には、前記第2紫外線照射ユニットから出射された前記紫外線が通過するための貫通孔を有するようにするとよい。このようにすると、マスクの内面及び外面を同時に除菌等できるので良い。
【0015】
(5)前記マスク台は、前記紫外線を透過する材質で形成されるとよい。このようにすると、第2紫外線照射ユニットから出射された紫外線によるマスクに対する除菌効果等がより向上する。
【0016】
(6)前記第1紫外線照射ユニットと前記第2紫外線照射ユニットのいずれか一方は、オゾンを発生させる機能を備えるとよい。
【0017】
(7)前記第1紫外線照射ユニットと前記第2紫外線照射ユニットは、同じ波長の紫外線を出射するものとするとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プリーツ型のマスクであっても、プリーツの部分を除菌等することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るマスク除菌器の好適な第1実施形態を示す斜視図である。
図2】その分解斜視図である。
図3】(a)はその平面図、(b)はその右側面図、(c)はその背面図、(d)は(a)図中のd-d線矢視断面図、(e)は(a)図中のe-e線矢視断面図である。
図4】(a)は引き出し部の斜視図(その1)、(b)はその斜視図(その2)、(c)はその平面図、(d)は(c)図中のd-d線矢視断面図である。
図5】マスク台を示す図である。
図6】(a)は引き出した引き出し部にマスクをセットした状態を示す斜視図、(b)はマスクをセットした引き出し部をケース本体内に収納した状態の図3(d)に対応する断面図、(c)は同じく図3(e)に対応する断面図である。
図7】マスク台を、裏面側を上にして引き出し部にセットした状態の作用を説明する図である。
図8】本発明に係るマスク除菌器の好適な第1実施形態を示す分解斜視図である。
図9】使用状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0021】
図1から図7は、本発明に係るマスク除菌器の好適な第1実施形態を示している。本実施形態のマスク除菌器は、略矩形状で一面が開口するケース本体11と、そのケース本体11の開口部11aからケース本体11内に着脱自在に装着可能な引き出し部12と、ケース本体11の内面の所定位置に取付けた第1紫外線照射ユニット13と、引き出し部12内に着脱自在に装着するマスク台14等を備える。
【0022】
ケース本体11は、上下で2分割された第1ケース21と第2ケース22とを突き合わせることで構成される。上側に位置する第1ケース21は、下面と、一方の短辺側の側面が開口した中空の矩形箱状からなる。下側に位置する第2ケース22は、上面と、一方の短辺側の側面が開口した中空の矩形箱状からなる。そして、第1ケース21と第2ケース22は、上下の開口した端面同士を突き合わせた状態で、ねじ等で固定し、一方の短辺側の側面に開口部11aを有する中空のケース本体11が形成される。
【0023】
引き出し部12は、上部開口したトレー状の略矩形箱体からなり、長手方向の両端すなわち短辺側の一方の面が前面12aとなり、他方の面が奥面12bとなる。この引き出し部12は、その奥面12bをケース本体11の開口部11a内に挿入し、そのまま奥に押し込むことで、引き出し部12はケース本体11内に収納される。また、このように奥まで押し込んで引き出し部12を収納した際には、引き出し部12の前面12aが、ケース本体11の開口部11a内に入り込み、開口部11aを閉塞する。
【0024】
第1ケース21の内周面の天面21aの所定位置に、第1紫外線照射ユニット13を取り付ける。第1紫外線照射ユニット13は、扁平矩形状の基板25の一方の第1面25aに、操作ボタン26や、報知LED27等を配置し、反対側の第2面25bに第1紫外線発光部29を配置し、それら第1面25aと第2面25bの一方或いは両方に、報知LED27や第1紫外線発光部29の発光を制御する制御回路や電源回路などの所定の回路を設ける。
【0025】
報知LED27は、発光色や点滅状態を変えることで、第1紫外線照射ユニット13の動作状態等を報知するもので、本形態では複数(例えば3個)を一直線上に等ピッチで配置する。この報知LED27の発光の制御は、例えば、3個の内の1個を第1紫外線発光部29の発光状態を報知するLEDに割り当て、例えば第1紫外線発光部29の点灯/消灯に応じて発光色を変えたり、例えば第1紫外線発光部29が点灯しているときは報知LED27も点灯させ、第1紫外線発光部29が消灯しているときは報知LED27も消灯するようにしたりするとよい。また、後述するように、第1ケース21には、充電可能なバッテリーを内蔵し、そのバッテリーからの電源供給を受けて、報知LED27や第1紫外線発光部29の点灯や、その他各機器の動作を行う。また、3つの報知LED27をインジケータのように、動作開始からの経過時間に伴い発光する報知LED27を増やしていき、3つ点灯したり、点滅したり場合には、例えば、除菌が十分に行われたと判断できるように構成するとよい。
【0026】
3つの報知LED27の延長線上に操作ボタン26を配置する。操作ボタン26は、例えばプッシュ式のボタンスイッチである。この操作ボタン26は、例えば電源スイッチとして機能し、電源オンに伴いマスク除菌器が動作開始する。例えば、第1紫外線発光部29の点灯を制御する制御回路は、例えば、第1紫外線発光部29が消灯時にこの操作ボタン26を押下すると第1紫外線発光部29が発光し、第1紫外線発光部29が発光時にこの操作ボタン26を押下すると第1紫外線発光部29が消灯する。また、このように操作ボタン26を押下する毎に、点灯状態と消灯状態とを繰り返すのでは無く、例えば、操作ボタン26を短押しした場合に第1紫外線発光部29が発光し、操作ボタン26を長押しした場合に第1紫外線発光部29が消灯するように制御するとよい。このようにするとユーザが、操作ボタン26を2度押ししたり、動作中に誤って操作ボタン26を押したりしたとしても、第1紫外線発光部29が消灯せず発光を継続できるのでよい。そして、第1紫外線発光部29の発光中に、意図的に消灯したい場合には、ユーザは意識して長押しすることでOFFにできる。
【0027】
さらに、第1紫外線発光部29を点灯した後、所定時間経過すると消灯する機能を備えるとよい。所定時間は、例えばマスクに対して除菌或いは殺菌等するのに十分な時間とするとよい。このようにすると、マスクの除菌等が終了しても継続して点灯し、内蔵バッテリーの電池容量が無駄に消費されるのを抑制できるのでよい。
【0028】
さらにまた、報知LED27の制御回路は、バッテリーの残容量に応じて報知LED27の点灯状態を異ならせるとよく、例えば、残容量に応じて報知LED27の数を増減するとよい。また、充電中の場合には、それを知らせるために適宜のパターンで点灯し、現在のバッテリー容量がわかるように点灯させるとよい。
【0029】
上述したように、第1紫外線照射ユニット13は、第1ケース21の内周面の天面21aに固定するが、このとき第1紫外線照射ユニット13の基板25の第1面25aを天面21aに対向するように装着し、操作ボタン26並び報知LED27に対向する天面21aの部位には貫通孔21bを設け、操作ボタン26並び報知LED27が外部に露出するように構成する。
【0030】
一方、第1紫外線発光部29は、基板25の第2面25bに対し、1個或いは複数個を所定パターンで配置する。第1紫外線発光部29は、除菌や殺菌ができる紫外線を発光するランプやLED等からなり、例えば、100~280nmのUV-Cの波長領域の発光体を用いると良く、本実施形態では、260nmの紫外線LEDを用いた。この第1紫外線発光部29から出射された紫外線の照射領域は、ケース本体11の内部空間のほぼ全域に行き渡るように、設置位置・配置パターンを設定するとよい。本形態では、長手方向に沿って所定の間隔をおいて2箇所に配置する。なお、1箇所に配置するLEDの個数は任意である。
【0031】
また、第1ケース21の長辺側の一方の側面21cには、充電用の電源供給口30を備え、この電源供給口30の裏面側にUSB雌型コネクタを配置する。そしてこのUSB雌型コネクタは、充電回路を介して内蔵するバッテリーに接続する。この電源供給口30に配置したUSB雌型コネクタに所定の充電ケーブルの雄型コネクタを装着することで、バッテリーを充電可能とする。
【0032】
第2ケース22の内底面22aには、長手方向に沿って延びる2本のレール部23を備える。2本のレール部23の高さは等しくし、そのレール部23の上に引き出し部12が載るように構成される。すなわち、引き出し部12は、レール部23に支えられた状態でケース本体11内を移動する。引き出し部12と、第2ケース22の内底面との接触抵抗を減らし、小さい力で引き出し部12をケース本体11内に挿入セットしたり、引き出したりすることができる。また、第2ケース22の内底面22aと、引き出し部12の下面との間には、レール部23の高さ分だけ空間が空く。
【0033】
第2ケース22の内周側の奥面22bには係止突起部24を設ける。一方、引き出し部12の奥面12bの、係止突起部24に対向する位置には、ロック機構部20が設けられる。ロック機構部20は、係止突起部24と連結・離脱可能な機構であり、引き出し部12の挿入に伴いロック機構部20が係止突起部24に接触し、その状態のままさらに押し込むと係止突起部24に連結し、ロックされる。ロック機構部20は、スプリングが内蔵されていて、引き出し部12を押し込んで係止突起部24と連結した状態で当該引き出し部12を少し前方に押し返す。このロック状態では、引き出し部12は、係る押し返された状態でケース本体11内に留まる。そして、このロック状態にある引き出し部12は、その前面12aが開口部11aを閉塞した状態を保持する。一方、ロック状態のときに前面12aをケース本体11内に押すと、スプリングの弾性変形により引き出し部12は所定量だけ押し込まれ、ロック機構部20の係止突起部24のロックが解除され、その後は、そのまま引き出し部12を手前側に移動することで、ケース本体11の外部に突出させ、さらには引き出し部12の全体をケース本体11の外に取り出すことができるように構成する。
【0034】
また、第2ケース22の長辺側の一方の側面22c(第1ケース21の側面21cと同じ側)には、通気口部22dを設け、その通気口部21dを設けたケース内面側に、乾燥用のファン28を備える。このファン28が動作すると、ケース本体11の内部空間の空気を外部に放出する。後述するように内部にマスクをセットした際、当該マスクの乾燥を図る。また、このファン28の動作は、例えば第1紫外線照射ユニット13の第1紫外線発光部29の動作と連動し、第1紫外線発光部29が点灯しているときはファン28も動作し、消灯するとファン28も停止するようにするとよい。このようにすると、ファン28用の独立したスイッチが不要となり、第1紫外線発光部29が発光して除菌・殺菌処理中は、ファン28も動作して乾燥を図ることができる。
【0035】
通気口部22d,ファン28の設置にあわせて、引き出し部12の一方の側面12cの奥面12b側には、一段内部に入った凹所12dを設けるとともに、その凹所12dの下方所定位置に内外に貫通する換気口部12eを備える。この換気口部12eは、引き出し部12をケース本体11内に収納し、ロック状態になった際に、ファン28,通気口部22dに対向する位置に形成する。これにより、引き出し部12をケース本体11内に収納し、除菌処理等をする際に、引き出し部12の内部空間内の空気を外にスムーズに排気し、マスク1の乾燥を効率よくはかることができる。
【0036】
マスク台14は、表面14a側が凸形状にし、それに伴い裏面14b側が凹形状とし、より具体的には、その頂点部分の中央部位31が平坦面となり、周縁からその中央部位に至る周辺部位32は、表面側に突出する湾曲面に形成する。
【0037】
マスク台14の平面視の外周縁の寸法形状は、引き出し部12の内周面の底面と略同一か小さくする。本形態では、若干小さくしている。さらに、マスク台14は、一方の短辺の中央には凹状切り欠き部14cが形成されている。この凹状切り欠き部14cは、マスク台14を引き出し部12にセットした際に、ロック機構部20の凸部に干渉しないレイアウトにしている。また、頂点部分の中央部位31には、長手方向の両端付近に貫通孔34をそれぞれ形成する。
【0038】
後述するように、マスク台14は、表面14aを上にした凸状態と、裏面14bを上にした凹状態の何れの姿態でも引き出し部12に収納可能としている。そして、引き出し部12の内底面12fには、裏面14bを上にした凹状態の姿勢で収納したマスク台14の2つの貫通孔34に対向する位置に、それぞれ上下に貫通する貫通孔35を形成し、さらに内底面12fの貫通孔35の外周縁に沿って無端状の凸部36を形成する。このリング状の凸部36の外径は、マスク台14に形成した貫通孔34の内径と同一かやや広くする。これにより、マスク台14を、裏面14bを上にした凹状態の姿勢で引き出し部12に収納すると、マスク台14の貫通孔34内に引き出し部12の凸部36が入り込み、マスク台14が位置決めされる。そして、凸部36の外径と貫通孔34の内径を略等しくすることで、両者の嵌め合いでマスク台14が固定されるのでよい。
【0039】
引き出し部12の内周面の平面形状ひいてはマスク台14の外周縁の寸法形状は、プリーツ型のマスク1に対応する寸法形状にする。より具体的には、一般にマスク1は、複数のサイズが用意されているため、全てのサイズに使用可能にするため、大きいサイズにあわせた寸法形状とするとよい。さらに、使用済みのプリーツ型のマスク1は、プリーツが開くため未使用状態の略平坦状の時の寸法形状よりも広がる。そこでマスク台14は、係る広がった形態の寸法形状に併せるとよい。このようにすると、使用済みのマスク1をそのままマスク台14に載せた場合に、マスク1がマスク台14からはみ出ないようになる。
【0040】
さらに、湾曲面の形状・曲率は、使用によりプリーツが広がり湾曲したマスク1の形態に沿うようにする。これにより、例えば、マスク台14の表面14a側に、プリーツの開いたマスク1の内面側を対向するようにしてマスク1をセットすると、使用後のプリーツが開いて膨らんだ状態のマスク1が、マスク台14の表面14aに沿うように置かれる(図6等参照)。なお、マスク台14の表面14aに沿うとは、マスク1の内面が接触してもよいが、必ずしも接触する必要は無く一定の空間をおいて沿うようにしてもよい。
【0041】
よって、係るマスク台14が引き出し部12に収納された状態で、引き出し部12をケース本体11内に収納すると、マスク1の外面側が第1紫外線発光部29に対向する。そして、マスク台14の表面14a側を上にして第1紫外線発光部29の照射領域は、図6(b),(c)中、二点鎖線で示すように放射状に広がるように進み、マスク台14の表面14aの全域に照射される。よって、マスク台14の表面14aにセットされたマスク1の外面に対してもその全域に対して第1紫外線発光部29から照射された紫外線が照射され、除菌・殺菌等が行われる。しかも、使用済みのマスク1は、プリーツが開いているため、折り畳まれたプリーツで隠れることも無く隅々に紫外線が届き、除菌・殺菌等が行われる。
【0042】
なお、図示の都合上、図6(b),(c)等において、マスク台14とマスク1との間の隙間を大きくし、マスク1を上にずらして描画している。その結果、マスク1の表面が、紫外線の照射領域(二点鎖線で示す)よりも上方に位置する部分があるが、実際には、上述したようにマスク1の外面側は、その全面が紫外線の照射領域内になるとよい。
【0043】
また、実際の使用に際しては、例えば図1(a)に示すように、マスク台14の表面14aを上にした状態で当該マスク台14を引き出し部12に装着する。その状態で図6(a)に示すように、マスク1をマスク台14の上にセットし、そのまま引き出し部12をケース本体11内に収納するようにするとよい。このようにすると、ユーザが、除菌する前のマスク1の表面を誤って触る可能性が可及的に抑制できる。
【0044】
一方、所定時間点灯して紫外線を照射し、除菌処理が行われたならば、引き出し部12をケース本体11から取り出し、マスク1を露出させる。ユーザは、例えばマスク1の耳紐2等を摘まみ、マスク1を取り出す。また、このマスク1を取り出す際に、ユーザがマスク台14上で露出するマスクの外面に接触したとしても、既に除菌が完了した状態であるので良い。
【0045】
また、マスク台14の表面14aを上にした姿勢で、引き出し部12に着脱する際、例えば頂点部分の中央部位31に設けた貫通孔34内に指等を挿入し、マスク台14を把持するようにすると、簡単に行える。
【0046】
本実施形態では、第1紫外線照射ユニット13から出射される紫外線でマスク1に対する除菌処理等を行うため、上述した処理ではマスク1の外面側のみが除菌等され、内面側は未除菌のままとなる。マスク1の内面側を除菌したい場合、マスク台14の裏面14b側を上にした状態で引き出し部12に収納する。すると、図7(a)等に示すようにマスク台14の上方空間は、凹状の窪みが形成される。そこで、使用後のプリーツが開き膨らんだマスク1の外面をマスク台14の裏面14bに対向するようにしてマスク1をセットすると、使用後のプリーツが開いて膨らんだ状態のマスク1が、マスク台14の裏面14bに沿うように置かれる(図7(b)等参照)。
【0047】
マスク台14の裏面14bを上にした姿勢で引き出し部12内に収納すると、マスク台14の外周縁がケース本体11の上方付近に位置するため、第1紫外線発光部29から照射された紫外線は、外周縁端までは至らない。本実施形態では、ラインLよりも下側の領域に紫外線が照射される。そこで、マスク1の全体が、ラインLよりも下に位置するようにマスク1をセットするとよい。
【0048】
引き出し部12に収納されたマスク台14内に、膨らんだ外面を下にしたマスク1をセットした状態で、引き出し部12をケース本体11内に収納すると、マスク1の内面側が第1紫外線発光部29に対向する。そして、マスク台14の裏面14b側を上にして第1紫外線発光部29の照射領域は、図7(c),(d)中二点鎖線で示すように放射状に広がるように進み、マスク台14の裏面14bのラインLよりも下側、奥側の領域に照射される。よって、マスク1をマスク台14にセットする際にラインLより下側に位置するようにすると、マスク台14の裏面14bにセットされたマスク1の内面に対してもその全域に対して第1紫外線発光部29から照射された紫外線が照射され、除菌・殺菌等が行われる。しかも、プリーツが開いているため、折り畳まれたプリーツで隠れることも無く隅々に紫外線が届き、除菌・殺菌等が行われる。
【0049】
なお、マスク1の外面側はその全面に菌等が付着する可能性が均等にあることから、マスク1の外面を上にした姿勢で除菌する場合には、マスクの全面に紫外線が照射させるのがよい。これに対し、マスク1の内面側の場合には、特にユーザの口部分が対向する中央付近に菌等が付着したり、汚れたりする可能性が高く、マスクの周縁はさほど汚染等されていない可能性がある。よって、マスク台14の裏面14bにマスク1をセットする場合において、仮にマスク1の周縁部分がラインLより上方に位置した場合であっても、第1紫外線発光部29の下方に位置するマスク1の内面側の中央側はしっかりと除菌等できるのでよい。但し、マスク1の全体が、ラインLより下側にセットできるようにするとよい。
【0050】
また、マスク台14の裏面14bを上にした姿勢で引き出し部12に装着したマスク台14を取り外す場合、例えばマスク台14の外周縁を把持したり、凹状切り欠き部14cの隙間に指等を挿入したりして引き上げるとよい。
【0051】
図8以降は、本発明の第2実施形態を示している。本実施形態では、上述した第1実施形態を前提とし、ケース本体11の内周面の下方、すなわち第2ケース22の内底面に、第2紫外線照射ユニット40を備え、マスク1に対し上下から紫外線を照射可能とする。
【0052】
第2紫外線照射ユニット40は、第1紫外線照射ユニット13と同様に、基板41の一方の面に第2紫外線発光部42を備える。この第2紫外線発光部42は、第1紫外線発光部29と同様に所定波長の紫外線を出射するもので、同じ定格の紫外線LEDを用いるとよい。これにより同じ波長の紫外線を出射する。
【0053】
この第2紫外線照射ユニット40は、第2紫外線発光部42を設けた面を上にした状態で一対のレール部23に挟まれた領域に設置する。さらに第2紫外線発光部42は、本実施形態では長手方向に沿って所定の距離を置いて2箇所に設ける。この2箇所は、マスク台14に設けた貫通孔34に対向する位置にしている。また、マスク台14は、紫外線を透過する材料で構成する。例えば、透明な部材、例えばアクリル板などを用いて形成するとよい。
【0054】
また、この第2紫外線照射ユニット40を駆動するための電源電圧は、例えば、第1紫外線照射ユニット13と同様に内臓バッテリーから受けるとよい。また、この第2紫外線照射ユニット40の駆動は、例えば第2紫外線照射ユニット40等に別途設けたスイッチにより第1紫外線照射ユニット13とは独立してON/OFFするようにしてもよいが、本実施形態では第1紫外線照射ユニット13に設けた操作ボタン26の操作に基づき第1紫外線照射ユニット13と一体にON/OFFするようにした。このようにすることで、第2紫外線照射ユニット40の点灯し忘れにより未照射の事態の発生を可及的に抑制できる。なおその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、対応する部材に同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0055】
このようにすると、例えば図9(a),(b)に示すように、表面14aを上にした凸の状態の姿勢で引き出し部12に収納されたマスク台14にマスク1をセットし、引き出し部12をケース本体11内に収納すると、マスク1の外面側は、第1実施形態で説明したように第1紫外線発光部29から出射される紫外線により除菌等される。
【0056】
そして、第2紫外線発光部42から出射された紫外線は、マスク台14の貫通孔34内を通過し、マスク1の内面の所定領域に照射される。よってその照射された部位は、第1実施形態と同様の作用で除菌等される。そして、本実施形態では、マスク台14の上方とマスク1の間に空間が径背されているため、紫外線が照射される範囲は貫通孔34よりも広い。さらに本実施形態では、マスク台14を、紫外線を透過する部材で形成したため、マスク1の内面側もその全体に紫外線が照射される。よって、マスク台14を透過する際に紫外線の一部が吸収されたとしても、残部により一定の除菌・殺菌効果が発揮する。
【0057】
一方、例えば図9(c),(d)に示すように、裏面14bを上にした凹の状態の姿勢で引き出し部12に収納されたマスク台14にマスク1をセットし、引き出し部12をケース本体11内に収納すると、マスク1の内面側は、第1実施形態で説明したように第1紫外線発光部29から出射される紫外線により除菌等される。
【0058】
そして第2紫外線発光部42から出射された紫外線は、マスク台14の貫通孔34内を通過し、マスク1の外面の所定領域に照射される。よってその照射された部位は、第1実施形態と同様の作用で除菌等される。また、貫通孔34以外の部分に照射された紫外線の一部が透過してマスク1に照射されると、その部位も除菌等される。
【0059】
また、上述した実施形態では、第2紫外線発光部42も第1紫外線発光部29と同じ定格のものを用いたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、165nmの波長の紫外線を用いることで、オゾンを発生させることができる。このオゾンを利用することで、マスク1に対する消臭等することができるのでよい。或いは、それとは逆に第1紫外線発光部29から出射する紫外線にオゾンを発生するようにしてもよい。
【0060】
また、上述した各実施形態では、ファン28をケース本体11の側面に取り付けたが、例えばケース本体11の底面など各種の場所に取り付けるとよい。ファン28は、マスク1を乾燥させるためのもので、特に、ユーザの呼吸などにともないマスク1の内面の方が湿気ることがある。そこで、マスク台14を上に凸の状態で、マスク1の外面を上にした姿勢で除菌等した場合に、底面側にファン28を配置すると、効率よくマスク1の内面側を乾燥させることができるのでよい。
【0061】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0062】
1 :マスク
11 :ケース本体
11a :開口部
12 :引き出し部
13 :第1紫外線照射ユニット
14 :マスク台
14a :表面
14b :裏面
21 :第1ケース
22 :第2ケース
26 :操作ボタン
27 :報知LED
28 :ファン
29 :第1紫外線発光部
34 :貫通孔
35 :貫通孔
36 :凸部
40 :第2紫外線照射ユニット
42 :第2紫外線発光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9