(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】遊技機の演出装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2020106353
(22)【出願日】2020-06-19
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】末廣 義典
【審査官】奥田 雄介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-187203(JP,A)
【文献】特開2015-144707(JP,A)
【文献】特開2012-105892(JP,A)
【文献】特開2016-042893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を離して一対の支軸を突設してなる可動装飾体と、該支軸の間隔と同じ間隔を離して少なくとも4つの軸受部を設けてなる固定レール体と、前記可動装飾体を前記固定レール体に沿って移動させる移動機構を備え、前記軸受部は前記支軸を保持可能または離脱可能にする開閉手段が設けられ、該開閉手段により隣り合う軸受部を交互に開閉させて前記支軸を隣り合う軸受部で交互に支持することにより、前記可動装飾体が前記固定レール体に沿って転回動しつつ移動するようにしたことを特徴とする遊技機の演出装置。
【請求項2】
前記移動機構は、第1駆動源により前記固定レール体の長手方向に沿って移動する移動基部を設けるとともに、該移動基部に該固定レール体の長手方向と直交する方向に進退動する進退動基部体を設け、該進退動基部体に回転自在なるように回転基部体を設け、該回転基部体にスライダーを設け、該スライダーに前記可動装飾体を前記一対の支軸を結ぶ直線と平行な方向に摺動可能に支持してなることを特徴とする請求項1に記載した遊技機の演出装置。
【請求項3】
前記固定レール体は円環状または円弧状に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載した遊技機の演出装置。
【請求項4】
前記開閉手段は開閉伝動体を第2駆動源によって前記固定レール体の長手方向に沿って移動するように設け、該開閉伝動体に係合し開閉作動をする開閉弁体を前記軸受部に設けてなることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載した遊技機の演出装置。
【請求項5】
前記可動装飾体に回転自在に回転装飾部材を設け、該回転装飾部材に歯車伝動手段を介して伝動レバーを該可動装飾体から突出するように設けるとともに、前記開閉伝動体に係合突部を形成し、該係合突部が該伝動レバーに係脱することで該回転装飾部材が回転動するようにしたことを特徴とする請求項4に記載した遊技機の演出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機,アレンジボール,雀球遊技機,テレビゲーム機等の種々の遊技機に設けられる演出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば周知のパチンコ遊技機は、所定の入賞口に遊技球が入ると大型液晶ディスプレイ等の可変表示装置に複数種類の図柄が変動表示され、一定時間後にその変動が停止し、停止した図柄の組み合わせが例えば[7、7、7]等になると、[大当り]となり、大入賞口が開かれ大量の景品球を獲得可能にする特別遊技状態とするようにしている。したがってこの種の遊技機では、大当りを招来させる過程をいかに演出し、遊技者を楽しませることができるかが重要である。
【0003】
そのため、例えば下記特許文献1に示されたパチンコ遊技機では、可変表示装置の外周を囲うよう多数のリンク部材からなる環状の形態の可動演出装置を設け、該各リンク部材を特定時期に該可変表示装置の表示と連動して可動させて星型に変形するようにし、こうした変形作動により遊技にインパクトを与え、興趣が高められるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし遊技機に設けられる上記のような従来の演出装置は、動作が常に一様であって変形に乏しいので、一度見てしまうと遊技者は短時間で飽いてしまうという問題があるとともに、演出装置の動作を可変表示装置の表示と連動させるようにしても、その連動も単調にならざるをえず、面白みをもたせられないといった問題がある。したがって従来の演出装置では、この種の遊技機の盛りたてが十分にできていないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、上記のような問題点を解決し、演出効果を大いに発揮できる演出装置を提供しようとするものである。
そのために本発明に係る遊技機の演出装置は、所定の間隔を離して一対の支軸を突設してなる可動装飾体と、該支軸の間隔と同じ間隔を離して少なくとも4つの軸受部を設けてなる固定レール体と、前記可動装飾体を前記固定レール体に沿って移動させる移動機構を備え、前記軸受部は前記支軸を保持可能または離脱可能にする開閉手段が設けられ、該開閉手段により隣り合う軸受部を交互に開閉させて前記支軸を隣り合う軸受部で交互に支持することにより、前記可動装飾体が前記固定レール体に沿って転回動しつつ移動するようにしたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記演出装置において、前記移動機構は、第1駆動源により前記固定レール体の長手方向に沿って移動する移動基部を設けるとともに、該移動基部に該固定レール体の長手方向と直交する方向に進退動する進退動基部体を設け、該進退動基部体に回転自在なるように回転基部体を設け、該回転基部体にスライダーを設け、該スライダーに前記可動装飾体を前記一対の支軸を結ぶ直線と平行な方向に摺動可能に支持してなることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記演出装置において、前記固定レール体は円環状または円弧状に形成したことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記演出装置において、前記開閉手段は開閉伝動体を第2駆動源によって前記固定レール体の長手方向に沿って移動するように設け、該開閉伝動体に係合し開閉作動をする開閉弁体を前記軸受部に設けてなることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記演出装置において、前記可動装飾体に回転自在に回転装飾部材を設け、該回転装飾部材に歯車伝動手段を介して伝動レバーを該可動装飾体から突出するように設けるとともに、前記開閉伝動体に係合突部を形成し、該係合突部が該伝動レバーに係脱することで該回転装飾部材が回転動するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
可動装飾体が斬新な動きを可能にするため、遊技者を飽きさせることなく楽しませることができ、遊技機の遊技性、趣向性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る演出装置の可動装飾体の表側からの斜視図。
【
図2】本発明に係る演出装置の可動装飾体の裏側からの斜視図。
【
図3】本発明に係る演出装置の可動装飾体の表側からの分解斜視図。
【
図4】本発明に係る演出装置の可動装飾体の裏側からの分解斜視図。
【
図6】本発明に係る演出装置の表側からの分解斜視図。
【
図9】本発明に係る演出装置の裏側からの分解斜視図。
【
図11】本発明に係る演出装置の初期状態の正面図。
【
図12】本発明に係る演出装置の初期状態の要部の正面図。
【
図13】本発明に係る演出装置の初期状態の要部の拡大正面図。
【
図14】本発明に係る演出装置の第1可動状態の正面図。
【
図15】本発明に係る演出装置の第2可動状態の正面図。
【
図16】本発明に係る演出装置の第2可動状態の要部の正面図。
【
図17】本発明に係る演出装置の第3可動状態の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の実施形態を説明する。先ず可動装飾体1の構成を
図1~
図4に従い説明する。可動装飾体1は、
図3および
図4の分解斜視図に示したように、回転装飾部材2と、表板3と、蓋板4と、歯車伝動手段5と、ケース体6とからなり、該ケース体6の裏面にスライダー7を介して回転基部体8が設けられる。該回転装飾部材2は略長方形のプラスチック製薄板状に形成され、表面にゲーム内容に従い適宜な図柄2a,2aが描かれ、中央に取付孔2bが開設される。表板3は前記回転装飾部材2よりも少し長めの略長方形薄板状にプラスチックで形成され、該表板3の中央に小孔3aが開設され、前記回転装飾部材2の裏面に当接した際に滑りをよくするために複数の小突起3bが該小孔3aを囲むように形成されている。該表板3の両縁寄りにも適宜な図柄3c,3cが描かれる。また、該表板3の裏面には
図4に示すように該表板3の周縁部から少し内側に位置するように一定高さのリブ3dが一体に形成され、該リブ3dの内側に4本の筒状小支柱3eが一体に形成される。また蓋板4は前記表板3と同じくプラスチックにより略長方形薄板状に形成され、中央に透孔4aが開設され、四隅に前記筒状小支柱3eを貫挿させる小孔4bが形成される。また、歯車伝動手段5は、プラスチック製の小歯車5aと、一対のプラスチック製の扇形伝動体5bとからなり、該扇形伝動体5bに形成された扇形歯5dが該小歯車5aに噛合する。また該扇形伝動体5bに一体に伝動レバー5eおよびバネ係合片5fが形成される。そして、該小歯車5aに一体に形成された軸部5cを前記透孔4aおよび前記小孔3aに遊嵌し、該軸部5cの先端を前記取付孔2bにビス(図示せず)により止着する。これにより該軸部5cの先端に前記回転装飾部材2が固着され、前記小歯車5aが回転すると該回転装飾部材2が回転する。
【0014】
また、ケース体6は、前面が開口した長方形の浅皿状にプラスチックにより形成され、内面の中央に前記小歯車5aを回転自在に軸支するためのボス6aが形成され,前記扇形伝動体5bを回転自在に軸支するためのボス6bがその両側に形成され、前記伝動レバー5eを裏側に突出させるための窓孔6cが形成され、さらにストッパ6dおよびバネ係合片6eが形成されている。また、該ケース体6の裏面の両端部付近に所定の間隔Hを離して一対の支軸6f,6kを突設している。なお、該各支軸6f,6kの先端部は拡径状にして係合部6jを形成している。また、該ケース体6の裏面の中央部に二対の軸受片6gを突設してなる。6hは一対のコイルばねを示す。そして、該ケース体6内に前記小歯車5a、扇形伝動体5bを収納し、該コイルばね6hを前記バネ係合片5fと前記バネ係合片6eの間に張設するとともに、前記透孔4aに貫挿したビス(図示せず)を該ケース体6の四隅に形成された止孔6iに螺着し、前記蓋板4を該ケース体6に閉着する。これにより可動装飾体1が組み立てられる。前記コイルばね6hは弾性により扇形伝動体5bを牽引し、該扇形伝動体5bが前記ストッパ6dに当接した初期状態では扇形歯5dに噛合する小歯車5aが図示した回転状態にあって前記回転装飾2は表板3とは互いの長手方向が略々一致した状態となる。即ち、回転装飾部材2は表板3と同じ横長状の姿勢となる。
【0015】
前記スライダー7は前記軸受片6gに摺動自在に貫挿し得る一対の直線状の金属製の丸棒7aからなる。また前記回転基部体8はプラスチック製で長方形枠状に形成され、中央に一体に形成された連通部8dに回転中心軸8aを一体に形成してなる。そして、前記各丸棒7aを前記軸受片6gに摺動自在に貫挿するとともに該各丸棒7aの両端部を該回転基部体8に開設された止孔8bに固着することで前記回転中心軸8aを挟む両側に前記一対の丸棒7aが平行に装着されるようにする。こうすることで該回転基部体8に対し前記可動装飾体1は前記一対の支軸6f,6kを結ぶ直線と平行な方向に摺動可能なるように支持される。なお、8cは回転中心軸8aに被着される弾性ブシュを示す。
【0016】
次に前記可動装飾体1を転回動させつつ移動させるための当該演出装置の要部の構成を
図5以下に従い説明する。
図5では、中央部に大型液晶ディスプレイ等の可変表示装置(図示せず)を臨ませるための窓孔10aが形成された取付板10の前面に複数のボス10cを突設し、該ボス10cに当該演出装置を支持した状態を示す。
図6~
図10に分解斜視図に示すように、この実施形態に示した演出装置は、裏側レール基盤11と表側レール基盤12とを重合することにより形成される略環状の固定レール体13を前記ボス10cにビス(図示せず)により固定するとともに、裏側レール板14と表側レール板15とを重合することにより形成される略環状のガイドレール16を該固定レール体13の前面にビス(図示せず)により固定したものである。裏側レール基盤11は、
図7および
図10にも示すように、円環状に形成された環状レール部11aの外周四隅にタブ部11b~11eを一体に形成し、上部一方のタブ部11bに移動機構を構成する第1駆動源たる駆動用モータ11fを固設し、該駆動用モータ11fの回転出力軸に駆動歯車11gを固設している。また、該タブ部11bの裏側にコ字状枠11hを固設し、該コ字状枠11hに該駆動歯車11gの回転出力軸を支持するとともに該駆動歯車11gの回転位置を検出するフォトセンサを取着している。また上部他方のタブ部11cにも後述するフォトセンサ11jを固設している。また、該環状レール部11aの背面には
図10に示すように内歯歯車11mを一体に形成している。また、該環状レール部11aの内周に6つの軸受部11n~11sを互いに60度の開き角度を離して形成している。なお、このように6つの軸受部11n~11sを等角間隔に形成することにより、該各軸受部11n~11sの間隔Pが前記支軸6f,6kの間隔Hと同じになるようにする。また、該環状レール部11aの前面に同様に6本の突軸11kを等角間隔で形成している。また、前記タブ部11d、11eの背面にもそれぞれフォトセンサ11vが設けられる。
【0017】
また、裏側レール基盤11の背面に突設した複数の小さな支軸11tに複数のプーリ11uを回転自在に設け、該プーリにより大径の円環状に形成された駆動輪17を囲うことで該駆動輪17を回転自在に支持する。そして
図10に示すように該駆動輪17に一体に形成された伝動歯車17aに前記駆動歯車11gを噛合する。また、該駆動輪17の内周の一部を張り出して移動基部17bを形成し、該移動基部17bの背面中心部に形成された支持軸17cに遊星歯車17dを回転自在に設け、該遊星歯車17dを前記内歯歯車11mに噛合させる。なお、該遊星歯車17dは背面の偏心位置に偏心軸17eを突設してなる。また、該移動基部17bの背面両側縁部に一対のリニヤスライダ17fを固着し該リニヤスライダ17fを介して進退動基部体17gを該移動基部17aに取着する。これにより該進退動基部体17gは駆動輪17の半径方向に進退動自在なるように支持される。そして該進退動基部体17gに形成された長穴17hに前記偏心軸17eを遊嵌する。このため遊星歯車17dが回転すると前記偏心軸17eを介して該進退動基部体17gが駆動輪17の半径方向に進退動するようになる。なお、17kは移動基部17bの対称位置に固着したバランス重錘、17mは前記フォトセンサ11vを作動させるため該駆動輪17に設けた遮光片である。
【0018】
そして前記進退動基部体17gの前面に支持板17nをビス(図示せず)により固着し、該支持板17nの前面中央に突設された支持部17pに前記回転基部体8の回転中心軸8aを貫挿し該回転基部体8を該進退動基部体17gに回転自在なるように設ける。
【0019】
次に前記軸受部11n~11sに設けられ前記可動装飾体1の支軸6f,6kを受入可能または離脱可能にする開閉手段の構成を説明する。前記表側レール基盤12は円環状に形成された環状レール部12aの上部片隅にタブ部12bが形成され、該タブ部12bに第2駆動源たる駆動用モータ12cを固設し、該駆動用モータ12cの回転出力軸に駆動歯車12dを固設してなる。
【0020】
18は前記裏側レール基盤11と表側レール基盤12との間に設けられる大径の円環状に形成された開閉伝動体で、該開閉伝動体18には円弧状の長穴18aが等角間隔で6箇所形成され、該長穴18a中に摺動可能に遊嵌したカラー18bに前記突軸11kを嵌合することで、該開閉伝動体18は前記環状レール部11aの前面に該長穴18aの範囲内で回転自在なるように配置される。該開閉伝動体18の外周には前記駆動歯車12dと噛合する伝動歯18cが一体に形成されている。また、該開閉伝動体18の内周には等角間隔で6つの円弧状のラック歯18dが一体に形成されている。また、該開閉伝動体18の前面であって該各ラック歯18dの間隔部位に係合突部18eを突設している。19n~19sは前記軸受部11n~11sに回転自在に軸支される開閉弁体で、該各開閉弁体19n~19sには、
図8に拡大して示したように、前記ラック歯18dと噛合する円形歯車部19aを形成しているとともに該円形歯車部19aの前面に弁部19bを一体に形成し、該弁部19bは先端部に内向フランジ19cを形成してなり、該弁部19bに切欠筒状の閉部19d、および正面視で略90度の範囲を開放してなる開口部19eを形成している。
また、前記表側レール基盤12は、環状レール部12aに前記係合突部18eが遊嵌し得る円弧状の長穴12eを形成しているとともに、該環状レール部12aの内周に前記開閉弁体19n~19sを抱持し得る切欠筒状部12n~12sを形成している。また該環状レール部12aの外周縁に前方に起立する縁部12gを形成するとともに該縁部12gの内側にボス12hを形成している。
このため、前記駆動用モータ12cの駆動歯車12dにより開閉伝動体18を回転させるとラック歯18dが開閉弁体19n~19sを回転させ弁部19bの前記開口部19eの向きが変動し、前記支軸6f,6kを保持可能または離脱可能にする。なお、このように各軸受部11n~11sに設けられた開閉弁体19n~19sは、隣り合うものについて交互に開閉するようにラック歯18dを該各開閉弁体19n~19sに噛合させてある。即ち、6つの開閉弁体19n~19sのうち開閉弁体19n,19p,19rが開状態であるときは、他の開閉弁体19o,19q,19sは閉状態となり、開閉弁体19n,19p,19rが閉状態であるときは開閉弁体19o,19q,19sは開状態となるように、ラック歯18dを各開閉弁体19n~19sに噛合させてある。このため駆動用モータ12cによって開閉伝動体18を回転させることによっては、その開閉状態が一斉に反転する。
【0021】
次に前記ガイドレール16を説明する。前記裏側レール板14は、内周縁を略六角形状に切除した円環形に形成され、その六角辺の交点に内側に張り出す三角形部14aが形成され、該内周縁よりも一定幅だけ内側に前方に起立するリム14bを一体に形成してなる。表側レール板15は、裏側レール板14と同様に内周縁が略六角形状に切除された円環形に形成され六角辺の交点に内側に張り出す三角形部15aを形成し、外周縁に前方に起立するリム15bを一体に形成してなる。該裏側レール板14と表側レール板15とは重合して前記ボス12hにビス(図示せず)止めすることにより固定レール体13の前面に固設される。このように裏側レール板14と表側レール板15とを重合することにより形成されるガイドレール16は内周縁に
図5に示すように一定幅のガイド溝16bを形成する。なお、こうして該固定レール体13を止着するに際しては前記三角形部14aおよび三角形部15aがちょうど前記軸受部11n~11sの前方に位置するようにしている。そして、該ガイド溝16bに前記蓋板4の周縁部が入り込むように前記可動装飾体1を配設し、該可動装飾体1の裏面に突設する前記支軸6f,6kが前記開口部19eから弁部19b内に挿入されたときに該可動装飾体1は前記開閉弁体19n~19sのいずれかに支持されるようにしている。
【0022】
このように構成した演出装置は、
図5および
図11~
図13に示した初期状態では、可動装飾体1の一方の支軸6fは前記軸受部11nにある開状態の開閉弁体19nの弁部19b内に位置し、他方の支軸6kは隣の軸受部11oにある閉状態の開閉弁体19oに支持される。なおこのとき前記係合部6jは該支軸6f,6kが該開閉弁体19n,19oから前方へ離脱するのを防いでいる。そこで、駆動用モータ11fを作動させ駆動輪17を回転させると
図11に矢印Aで示したように可動装飾体1は軸受部11oを支点として下方に旋回し、駆動輪17を約60度回転させた時点で
図14に示したよう内方に張り出した状態(第1可動状態)となる。即ち、駆動輪17が回転すると前記進退動基部体17gも回転し同時に前記内歯歯車11mに噛合している遊星歯車17dを自転させるので、偏心軸17eが該進退動基部体17gを該駆動輪17の半径方向(言い換えると固定レール体13の長手方向と直交する方向)に進退動させる。なおリニヤスライダ17fはこの進退動を許容する。このため、支持板17nの支持部17pに支持された回転基部体8は回転し、さらに該回転基部体8にスライダー7を介して支持された可動装飾体1は
図14に示したような内方張出状態となり得る。この状態からさらに駆動輪17を回転させると
図14に矢印Bで示したように可動装飾体1は軸受部11oを支点としてさらに回転し、支軸6fが前記軸受部11pの開状態にある開閉弁体19pに受け入れられ、可動装飾体1は
図15に示したような反り返ったような状態(第2可動状態)となる。この状態から前記駆動用モータ12cを作動させ開閉伝動体18を正面視で反時計方向に回転させ開閉弁体19n~19sを半回転させると、開閉弁体19n,19p,19rが閉状態となり開閉弁体19o,19q,19sは開状態となる。そこで駆動用モータ11fを回転させることにより
図15に矢印Cで示したように該可動装飾体1は今度は軸受部11pを支点として回転し、図示しないが該可動装飾体1の支軸6kが軸受部11qに支持されるようになる。同様の駆動をすることで該可動装飾体1はさらに軸受部11rから軸受部11sに次々支点を変えつつ移動させることができる。言い換えれば可動装飾体1は固定レール体13の内周に沿って周回する。
【0023】
なお、可動装飾体1が
図15の状態にあるときに開閉伝動体18を正面視で反時計方向にさらに回転させることによっては、
図16に示した係合突部18eが伝動レバー5eに当って扇形伝動体5bをコイルばね6hの弾性に抗して回転させ小歯車5aを90度程度回転させ回転装飾部材2を
図17に示したように90度回転した状態とすることができる。このため、例えば大当りの直前であるような格別な遊技状態になったときにこのように回転装飾部材2を回転させた第3可動状態にすることで、遊技を一層盛り上げることができる。なお、駆動輪17の回転角度は前記フォトセンサ11vによって検知されて制御され、開閉伝動体18の回転角度はフォトセンサ11jによって検知され制御される。従って駆動用モータ11f、駆動用モータ12c等を逆回転させることによっては可動装飾体1を逆方向に周回させ初期状態に戻すこともできる。
【0024】
このようにこの演出装置では、駆動輪17と開閉伝動体18を制御回路からの指示に基づき所定の順序で所定方向に所定角度回転させることにより、可動装飾体1を固定レール体13に沿っていずれの方向にも転回動しつつ移動させることができ、その動きが特有であることから、非常に斬新な演出効果が得られる。
【0025】
なおこの実施形態は、遊技機に設けられる可変表示装置の周囲を囲うように円環状の固定レール体13を形成し、その内周に沿って可動装飾体1が移動するようにしたが、本発明の演出装置はこうした配置に限らず可動表示装置の外周やガラス枠など設置箇所はいずれであってもよい。また、固定レール体13を円弧状の形態にしてもよく、或いは該固定レール体を直線状の形態にしてもよい。なお、その際でも、該固定レール体には可動装飾体1の一対の支軸6f,6kの間隔Hと同じ間隔Pを離して少なくとも4つの軸受部を設けることにより、可動装飾体1を上記のような意外性のある特有の動きをさせることができる。
【0026】
そして、上記移動機構は、第1駆動源11fにより固定レール体13の長手方向に沿って移動する移動基部17bを設けるとともに、該移動基部17に該固定レール体13の長手方向と直交する方向に進退動する進退動基部体17gを設け、該進退動基部体17gに回転自在なるように回転基部体8を設け、該回転基部体8にスライダー7を設け、該スライダー7に前記可動装飾体1を前記一対の支軸6f,6kを結ぶ直線と平行な方向に摺動可能に支持することにより、上記支軸6f,6kを常にスムースに軸受部11n~11sに支持させることができる。
【0027】
また、可動装飾体1に回転自在に回転装飾部材2を設け、該回転装飾部材2に歯車伝動手段5を介して伝動レバー5eを該可動装飾体1から突出するように設けるとともに、前記開閉伝動体18に係合突部18eを形成し、該係合突部18eが該伝動レバー5eに係脱することで該回転装飾部材2が回転動するようにすることによっては、遊技者に一層斬新で面白みのある動作を見せることができる。
なお、この実施形態では一対の伝動レバー5eを設けたため、転回動する可動装飾体がいずれの向きに停止していても、一方の伝動レバーが係合突部に係脱することになるが、所定の停止位置のみで係脱することができるよう単一の伝動レバー5eであってもよい。
また、この実施形態では一対の伝動レバー5eは単一の小歯車5aに係合するようにしているが、それぞれの伝動レバー5eに係合するように一対の小歯車5a及び回転装飾部材2を設けることで所定の停止位置で異なる回転装飾部材を回転させることもできる。
【0028】
要するに本発明に係る演出装置では、可動装飾体1が特有な動作で固定レール体13に沿って前進動や後退動させ、停止位置を行き来させたり、意外な動作をさせられ、停止位置により現在の遊技状況を示唆することも自由にできるなど、遊技全般にわたり演出を高めることができる。また、遊技機の例えば大型液晶ディスプレイ等の可変表示装置の図柄変動と連動させるに際しても多様な組み合わせが可能になり、遊技者を常に飽きさせることなく楽しませることができるようになる。
【符号の説明】
【0029】
1…可動装飾体、 2…回転装飾部材、 2a…図柄、 2b…取付孔、 3…表板、 3a…小孔、 3b…突起、 3c…図柄、 3d…リブ、 3e…筒状小支柱、 4…蓋板、 4a…透孔、 4b…小孔、 5…歯車伝動手段、 5a…小歯車、 5b…扇形伝動体、 5c…軸部、 5d…扇形歯、 5e…伝動レバー、 5f…バネ係合片、 6…ケース体、 6a…ボス、 6b…ボス、 6c…窓孔、 6d…ストッパ、 6e…バネ係合片、 6f,6k…支軸、 H…間隔、 6j…係合部、 6g…軸受片、 6h…コイルばね、 6i…止孔、 7…スライダー、 7a…丸棒、 8…回転基部体、 8a…回転中心軸、 8b…止孔、 8c…弾性ブシュ、 10…取付板、 10a…窓孔、 10c…ボス、 11…裏側レール基盤、 11a…環状レール部、 11b~11e…タブ部、 11f…第1駆動源(駆動用モータ)、 11g…駆動歯車、 11h…コ字状枠、 11j…フォトセンサ、 11m…内歯歯車、 11n~11s…軸受部、 P…間隔、 11k…突軸、 11v…フォトセンサ、 11t…支軸、 11u…プーリ、 12…表側レール基盤、 12a…環状レール部、 12b…タブ部、 12c…第2駆動源(駆動用モータ)、 12d…駆動歯車、 12e…長穴、 12n~12s…切欠筒状部、 12g…縁部、 12h…ボス、 13…固定レール体、 14…裏側レール板、 14a…三角形部、 14b…リム、 15…表側レール板、 15a…三角形部、 15b…リム、 16…ガイドレール、 16b…ガイド溝、 17…駆動輪、 17a…伝動歯車、 17b…移動基部、 17c…支持軸、 17d…遊星歯車、 17e…偏心軸、 17f…リニヤスライダ、 17g…進退動基部体、 17h…長穴、 17k…バランス重錘、 17m…遮光片、 17n…支持板、 17p…支持部、 18…開閉伝動体、 18a…長穴、 18b…カラー、 18c…伝動歯、 18d…ラック歯、 18e…係合突部、 19a…円形歯車部、 19b…弁部、 19c…内向フランジ、 19d…閉部、 19e…開口部、 19n~19s…開閉弁体