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特許7478443少なくとも1つの微生物を、その染色反応速度に従って検出するための方法および装置、ならびに検出支持体
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  • 特許-少なくとも1つの微生物を、その染色反応速度に従って検出するための方法および装置、ならびに検出支持体 図1
  • 特許-少なくとも1つの微生物を、その染色反応速度に従って検出するための方法および装置、ならびに検出支持体 図2
  • 特許-少なくとも1つの微生物を、その染色反応速度に従って検出するための方法および装置、ならびに検出支持体 図3A
  • 特許-少なくとも1つの微生物を、その染色反応速度に従って検出するための方法および装置、ならびに検出支持体 図3B
  • 特許-少なくとも1つの微生物を、その染色反応速度に従って検出するための方法および装置、ならびに検出支持体 図4A
  • 特許-少なくとも1つの微生物を、その染色反応速度に従って検出するための方法および装置、ならびに検出支持体 図4B
  • 特許-少なくとも1つの微生物を、その染色反応速度に従って検出するための方法および装置、ならびに検出支持体 図5
  • 特許-少なくとも1つの微生物を、その染色反応速度に従って検出するための方法および装置、ならびに検出支持体 図6
  • 特許-少なくとも1つの微生物を、その染色反応速度に従って検出するための方法および装置、ならびに検出支持体 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】少なくとも1つの微生物を、その染色反応速度に従って検出するための方法および装置、ならびに検出支持体
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/04 20060101AFI20240425BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
C12Q1/04
C12M1/34 B
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021517590
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019076869
(87)【国際公開番号】W WO2020070265
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】18/59253
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521123828
【氏名又は名称】レッドベリー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピアキン,ジョゼフ
【審査官】鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-029793(JP,A)
【文献】特表2015-510394(JP,A)
【文献】特表2013-524770(JP,A)
【文献】国際公開第2017/115768(WO,A1)
【文献】特表2015-528283(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105432(WO,A1)
【文献】PLOS ONE, 2014, Vol.9, No.1, Article No.e85177
【文献】G3 Genes Genomes Genetics, 2017, Vol.7, pp.279-288
【文献】Scientific Reports, 2015, 5:15983
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00-1/70
C12M 1/00-1/42
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体検出支持体(1、21)上で、分析すべきサンプル(3)中に存在し、少なくとも1つの細胞マーカー(4)によって発現する細菌、酵母またはカビタイプの少なくとも1つの微生物(2)を検出するための方法であって、少なくとも以下の、
a)分析すべき前記サンプル(3)を前記固体検出支持体(1、21)上に堆積させるステップと、
b)前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)を発現させることができる光放射(6)で前記固体検出支持体(1)を少なくとも1回照射するステップと、
c)少なくとも10mmの長さ×少なくとも10mmの幅の視野を標的とする光学撮像装置(7)を用いて、前記固体検出支持体(1,21)の少なくとも一部で前記サンプル(3)の第1のフェーズPにおいて少なくとも1つの画像(I)を取得するステップと、
d)固体検出支持体(1、21)を介して前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)の制御された放出を実行して、前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)を前記微生物(2)と接触させるステップと、
e)前記微生物(2)の染色反応速度の変化に従って前記微生物(2)を検出するように、前記光学撮像装置(7)を用いて、前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)の前記制御された放出のステップの後、少なくとも1つの後続のフェーズPにおいてPで画像が取得された前記固体検出支持体(1、21)の各部分の画像(I)(i≧1)を取得するステップと、
f)Pで取得された前記画像(I)と少なくとも1つの後続のフェーズPで取得された各画像(I)との間で前記固体検出支持体(1、21)の部分ごとに比較分析を実行し、前記サンプル(3)中の少なくとも1つの前記微生物(2)の存在または不在に関して結論を引き出すステップと、をこの順序で含むことを特徴とする、検出するための方法。
【請求項2】
前記固体検出支持体(1、21)は、P、Pで画像が取得されるたびに光放射(6)で局所的に照射されることを特徴とする、請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
固体検出支持体(1、21)上で、分析すべきサンプル(3)中に存在し、少なくとも1つの細胞マーカー(4)によって発現する細菌、酵母またはカビタイプの少なくとも1つの微生物(2)を検出するための方法であって、
少なくとも以下の、
a1)分析すべき前記サンプル(3)を前記固体検出支持体(1、21)の上に堆積させるステップと、
b1)前記固体検出支持体(1、21)を前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)を発現させることができる光放射(6)によって局所的に照射するステップと、
c1)前記照射するステップb1)と同時に、少なくとも10mmの長さ×少なくとも10mmの幅の視野を標的とする光学撮像装置(7)を用いて、前記固体検出支持体(1、21)の少なくとも一部で前記サンプル(3)の第1のフェーズPにおいて少なくとも1つの微生物の微少コロニーを含む画像(I0、I´)を取得するステップと、
d1)前記固体検出支持体(1、21)を介して前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)の制御された放出を実行して、前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)を前記微生物(2)と接触させるステップと、
e1)前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)の前記制御された放出のステップd1)の後の5秒未満の経過時間の範囲内で、前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)を発現させることができる前記光放射(6)で前記固体検出支持体(1、21)を局所的に照射するステップと、
f1)前記照射ステップe1)と同時に、前記光学撮像装置(7)を用いて、前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)の前記制御された放出のステップの後、少なくとも1つの後続のフェーズPにおいてPで画像が取得された前記固体検出支持体(1、21)の微生物の微少コロニーを含む画像(I、I´)を取得するステップと、
g1)前記光放射(6)で前記固体検出支持体(1、21)を少なくとも1回局所的に再照射するステップと、
h1)前記再照射するステップg1)と同時に、前記微生物(2)の染色反応速度の変化に従って少なくとも1つの前記微生物(2)を検出するために、前記光学撮像装置(7)を用いて、少なくとも1つの第2の後続のフェーズPでPおよびPで画像が取得された前記固体検出支持体(1、21)の微生物の微少コロニーを含む画像(I、I´)を取得するステップと、
i1)Pで取得された前記画像(I、I´)と少なくとも2つの後続のフェーズPおよびPで取得された前記画像(I、I´;I、I´)との間で前記固体検出支持体(1、21)の部分ごとに比較分析を実行し、前記サンプル(3)中の少なくとも1つの前記微生物(2)の存在または不在に関して結論を引き出すステップと、をこの順序で含むことを特徴とする、検出方法。
【請求項4】
前記固体検出支持体(1、21)は、前記固体検出支持体(1、21)を空間的に異なる複数の部分を観察する目的で、別個の経路に沿ってn回の移動を受け、ここで、nは、20以下の整数であり、
前記固体検出支持体(1、21)全体の画像は、少なくとも2つのフェーズPおよびPで取得される、
請求項1~3のいずれかに記載の検出方法。
【請求項5】
光学撮像装置(7)が、少なくとも20メガピクセルで使用されることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の検出方法。
【請求項6】
少なくとも1つの前記微生物(2)が前記サンプル(3)に存在すると結論付けられた場合、前記サンプル(3)中に存在する前記微生物(2)の列挙が実行されることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の検出方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)が蛍光マーカーであることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の検出方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)は、カプセル化手段(8)にカプセル化されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の検出方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)は、粉末の形態の固体形態でカプセル化手段(8)にカプセル化されること、および前記固体検出支持体(1)は、前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)を溶解するための溶媒を含むことを特徴とする、請求項8に記載の検出方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)は液体の形態でカプセル化されていることを特徴とする、請求項8に記載の検出方法。
【請求項11】
前記カプセル化手段(8)は熱感受性であり、
前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)の制御された放出が、熱感受性の前記カプセル化手段(8)を、溶融することができる温度上昇に曝すことによって実行される、請求項8~10の一項に記載の検出方法。
【請求項12】
感熱性の前記カプセル化手段(8)を溶融する温度は、最高温度45℃であることを特徴とする、請求項11に記載の検出方法。
【請求項13】
液体溶液中の前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)は、制御された方法で、分析すべき前記サンプル(3)を含む前記固体検出支持体(21)まで運ばれることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の検出方法。
【請求項14】
分析すべき前記サンプル(3)の10~2000μLの間に含まれる容積が前記固体検出支持体(1、21)上に直接堆積されることを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の検出方法。
【請求項15】
分析すべき前記サンプル(3)は、0.2~0.45μmに含まれるカットオフ閾値、を有する濾過膜(5、25)を通して濾過され、前記濾過膜(5、25)は、前記固体検出支持体(1、21)内に位置していることを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の検出方法。
【請求項16】
分析すべき前記サンプルを受け取った前記固体検出支持体(1、21)上で微生物を塵から区別するために、以下のステップ、
-各画像の取得後、検出された発光ピクセルまたはピクセルのクラスターの輝度を測定するステップと、
-前記各画像において検出された各発光ピクセルまたはピクセルのクラスターの輝度を比較するステップと、
-前記染色反応速度中で、少なくとも2つの連続する画像において実質的に変化しない輝度を有するピクセルまたはピクセルのクラスターを識別するステップと、
-前記染色反応速度中で、変化する輝度を有するピクセルまたはピクセルのクラスターを分析およびカウントするステップと、が実施されることを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の検出方法。
【請求項17】
分析すべきサンプル(3)に存在する細菌、酵母またはカビタイプの少なくとも1つの微生物(2)を検出するためのものであり、請求項1~16のいずれかに記載の方法を実施することが可能な装置(14)であって、
少なくとも、
-少なくとも1つの前記微生物(2)を含みやすい分析すべき前記サンプル(3)を受け取ることが意図された固体検出支持体(1、21)と、
-前記微生物(2)の少なくとも1つの細胞マーカー(4)を貯蔵する貯蔵手段と、
-前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)を分析すべき前記サンプル(3)と接触させるための前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)の制御された放出のための手段(15)と、
-前記固体検出支持体(1、21)を照射する手段(6)と、
-前記固体検出支持体(1、21)の少なくとも一部の画像を取得するための光学撮像装置(7)であって、少なくとも10mmの長さ×少なくとも10mmの幅の視野を有する光学撮像装置(7)と、
-少なくとも1つの前記微生物(2)の染色反応速度の変化に従って、前記サンプル(3)中に潜在的に存在する少なくとも1つの前記微生物(2)を検出するために、前記光学撮像装置(7)によって取得された前記画像をメモリに記憶し、比較し、分析するための手段と、を備えることを特徴とする、検出するための検出装置(14)。
【請求項18】
前記光学撮像装置(7)の下に前記固体検出支持体(1、21)を移動させるための手段を備えることを特徴とする、請求項17に記載の検出装置(14)。
【請求項19】
前記固体検出支持体(1、21)が、ガラス繊維支持ディスク(13、23)上に載っている少なくとも1つの濾過膜(5、25)を含むことを特徴とする、請求項17または18のいずれかに記載の検出装置(14)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)を貯蔵する手段(19)が、固体検出支持体(1)に含まれ、カプセル化手段(8)にカプセル化された前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)によって形成されたマイクロカプセル(9)の層で構成されており、マイクロカプセル(9)の前記層は、ガラス繊維支持ディスク(13)と濾過膜(5)との間に配置されることを特徴とする、請求項19に記載の検出装置(14)。
【請求項21】
前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)の制御された放出のための前記手段は、検出装置(14)の内部で温度上昇を生じさせることができ、また前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)をカプセル化する前記カプセル化手段(8)を溶融させることができる加熱手段と、温度制御および調整手段とを含むことを特徴とする、請求項20に記載の検出装置(14)。
【請求項22】
前記検出装置(14)は、前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)を前記貯蔵手段から前記固体検出支持体(21)に運ぶための手段を備えることを特徴とする、請求項17~19のいずれかに記載の検出装置(14)。
【請求項23】
前記少なくとも1つの細胞マーカー(4)の制御された放出のための前記手段(15)は、少なくとも1つの制御された流れポンプを含むことを特徴とする、請求項22に記載の検出装置(14)。
【請求項24】
前記光学撮像装置(7)は、0.5mmの焦点深度を有することを特徴とする、請求項17~23のいずれかに記載の検出装置(14)。
【請求項25】
前記光学撮像装置(7)は、CMOSセンサカメラである請求項17~24のいずれかに記載の検出装置(14)。
【請求項26】
前記光学撮像装置(7)は25mm*25mmの視野を有することを特徴とする、請求項17~25のいずれかに記載の検出装置(14)。
【請求項27】
前記光学撮像装置(7)は、少なくとも20メガピクセルに等しい、解像度を有することを特徴とする、請求項17~26のいずれかに記載の検出装置(14)。
【請求項28】
請求項1~15のいずれかに記載の検出方法において使用されるか、または請求項17~27のいずれかに記載の検出装置(14)に含まれる固体検出支持体(21)であって、少なくとも1つの液体供給ライン(26a)および少なくとも1つの液体吸引および排出ライン(26c)が中を通る剛性ベース(26)で少なくとも構成されており、
前記供給ライン(26a)は、前記ベース(26)から突出し、一方では、前記ベース(26)の上の剛性で透過性の支持手段(24)の中に作成された第1のオリフィス(24a)の中を通り、他方では、ガラス繊維で作成された可撓性の支持ディスク(23)内に作成された第2のオリフィス(23a)の中を通る通気孔(26b)によって延長されており、前記ディスク(23)は、前記剛性で透過性の支持手段(24)上に位置し、0.2~0.45μmの間に含まれるカットオフ閾値を有し、かつ微生物(2)を保持することが可能な濾過膜(25)を支持しており、前記固体検出支持体(21)は、それが前記ベース(26)と一体になるように固定され、前記ベース(26)、前記剛性で透過性の支持手段(24)、前記支持ディスク(23)および前記濾過膜(25)を一緒に保持するクランプリング(27)をさらに備えることを特徴とする、固体検出支持体(21)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固相中の細菌、酵母、カビタイプなどの微生物を検出する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、産業微生物学の分野、例えば、これらに限定されないが、製薬、バイオテクノロジー、化粧品もしくは食品加工産業、または臨床または環境微生物学の分野に主に適用可能である。
【0003】
本発明は、より詳細には、適切な支持体上の固相中の微生物を、その増殖のために微生物を培養する必要なしに、極めて早期に検出するための装置および方法に関する。
【0004】
現在、テストすべきサンプル中の細菌などの汚染物質を検出するために多くの技術が実施されている。
【0005】
最も古く、最も一般的な方法は、栄養寒天増殖培地の表面上に、サンプルを任意選択で濾過した後に堆積させることで構成されており、これは、1つまたは複数のタイプの微生物に対して多かれ少なかれ選択的である可能性がある。
【0006】
次に、培地は、作業者が肉眼で見えるコロニーを「手作業で」数える前に、所望の微生物を成長させるのに適切な温度で、しばしば最大で数日間、インキュベートされる。
【0007】
このような方法は、感度が高く、単一の生存可能で培養可能な汚染物質を元のサンプル内で検出することを可能にするが、寒天上に形成されたコロニーを肉眼で検出できるようにするために比較的長いインキュベーション期間を必要とするという欠点がある。
【0008】
固体寒天の代わりに、別の可能性は、微生物の成長が、濁度測定によって、インキュベーション後に検出される液体培地に接種することを含み、例えば濁度測定によって測定された吸光度は、培地中に存在する微生物の濃度に比例する。
【0009】
液相検出技術の欠点は、10または10細胞/mL未満の微生物濃度を検出しないことである。したがって、そのような細胞濃度に到達するために、サンプルを可変の期間にわたって再度インキュベートしなければならない。
【0010】
特定の微生物は、例えば熱ストレスなどのストレスの影響下で、またはサンプル中の阻害剤の存在の結果として、増殖するのに特に長い時間がかかる場合があり、したがって、それらが従来の培養技術を使用して検出可能になる所定の時間の瞬間をさらに引き延ばす場合があることにも留意されたい。
【0011】
従来技術における別の既知の方法は、PCR増幅としても知られるポリメラーゼ連鎖反応を実施して、DNAまたはRNA配列の増幅によってサンプル中の特定の微生物の存在を判定することを含む。
【0012】
しかしながら、これらの方法には、核酸の複数の鎖、すなわち、サンプル中の複数の汚染微生物、および一般に少なくとも数十の微生物を必要とするという欠点がある。したがって、そのような方法は、微生物の成長に基づく従来の培養技術よりも感度が低い。
【0013】
したがって、従来の成長ベースの技術の感度を維持しようとしながら、微生物を検出する速度を上げるために、近年、多くの方法が開発され、完成されてきた。
【0014】
これらの方法のほとんどは、特有の蛍光化学物質、フルオロフォアまたは蛍光色素によって放出される蛍光を検出することに基づいており、これらは、さまざまな染色技術によって、検出すべき微生物の細胞機能または構造(核酸、タンパク質、酵素など)に結合される。
【0015】
これらの方法では、「DEFT」(直接落射蛍光フィルタ技術)用の顕微鏡やサイトメータなど、特定の検出装置を実装する必要がある。
したがって、フローサイトメトリーの技術が現在、サンプルに存在する微生物を検出し、カウントするために一般的に使用されている。
【0016】
この技術では、細胞または粒子は、フルオロフォアで染色して液体に懸濁させることができ、単一細胞ストリームの形で次々に分離される。次に、それらは一つずつ、高速で、光源、例えばレーザからの光ビームの中に通される。
【0017】
細胞によって拡散および放出された光は、所与の波長でのその励起後にフルオロフォアで染色した場合に蛍光を発し、サイトメータの光学装置を構成するミラーおよびフィルタのシステムによって一組の光検出器に向けて誘導される。これらの検出器は、特に、光信号を電気信号に変換し、この電気信号をその後コンピュータで分析して、例えば細胞の物理的特徴に関するデータを生成することができる光電子増倍管を組み込んでいる。
【0018】
現在市販されているフローサイトメータは、1秒あたり数百の細胞、つまり「イベント」をリアルタイムで分析することが可能であり、これらの機器の一部は、細胞または粒子をその光学特性に応じて分類することを可能にするように構成することができる。
【0019】
ただし、フローサイトメトリーを実施する場合でも、顕微鏡技術を実施する場合でも、まれにしか起こらないイベントの検出は複雑になることがよくある。
【0020】
実際、フローサイトメトリーの感度は限られており、最良のシナリオでは、懸濁液1mLあたり10~10細胞と推定され、これは母材に依存する。
【0021】
「DEFT」技術では、分析すべきサンプルは、サンプルに含まれやすい微生物を保持する膜を通して濾過される。
【0022】
次に、微生物は、DNAまたはRNAと相互作用する蛍光色素、例えばアクリジンオレンジで染色され、次いで、落射蛍光顕微鏡を使用して膜の複数の領域の視覚的分析によってカウントされる。
【0023】
蛍光顕微鏡の場合、カウントが膜の小さい部分のみで実行されること(全体のサイズの10%未満)、および細胞の均一な分布が前提とされており、確実ではないことを念頭に置くと、代表的な結果を得るには、25mmの直径を有する膜上に少なくとも10個の細胞が存在する必要があると推定される。
【0024】
しかしながら、産業微生物学または臨床微生物学の一部の用途では、サンプル内の単一の汚染物質または少数の汚染物質の存在を早期に検出することが特に重要になり得る。実際、このタイプの業界で製造および/または改造された製品は、特にその最終的な目的(食品、消費者の健康など)の結果として、とりわけ影響されやすい。したがって、可能な限り迅速に、その非の打ちどころのない微生物学的品質を確保することが不可欠であり、そうでない場合は、汚染源を迅速に特定できることが不可欠である。
【0025】
レーザースキャニングサイトメトリーとしても知られる固相サイトメトリー法は、特にこれらの理由から近年開発され、濾過可能なサンプルに適用可能である。これは特に、特許文献1の主題である。
【0026】
この方法では、適切な膜上でサンプルを濾過する最初のステップの後、膜上に潜在的に存在する微生物は、フルオロフォアを使用して染色ステップにかけられる。
【0027】
次に、膜の表面全体をレーザービームでスキャンしてフルオロフォアを励起させ、放出された蛍光を測定することによって、分析すべき元のサンプルに潜在的に存在し、生存可能であるいかなる微生物もカウントする。
【0028】
ChemScan RDI(登録商標)として知られるこの装置は、この固相サイトメトリー法を実施する。
【0029】
しかしながら、固相サイトメトリー技術を実施するために現在市販されている装置、ならびに必要な試薬は、とりわけ高価であり、多額の投資を必要とする。その結果、この手法はすべての研究所で利用できるわけではない。
【0030】
さらに、微生物の検出および列挙(enumeration)が行われると、細胞代謝に使用される試薬の毒性効果が、微生物を識別するためのその後の培養を妨げる可能性がある。
この固相サイトメトリー法は濾過可能な母材のみに適用可能であること、固体支持体上にサンプルを堆積させてから、固体支持体上に存在する微生物の列挙で結果が得られるまでに必要な時間が相対的に長く、必要とされる時間は、実際には少なくとも90分と見積もられ、用途によっては最大4時間に達する場合もあることにも留意されたい。
【0031】
最後に、フローサイトメトリー技術を使用するか、固相サイトメトリー技術を使用するかにかかわらず、検出される偽陽性率は比較的高いままである。確かに、微生物ではない不活性粒子、例えば塵もまた、自然の蛍光を発する傾向があり、あるいは蛍光色素と結合して干渉する蛍光を発する傾向もある。
これは、用途の分野によっては、偽陽性であることが判明したサンプルがさらなる調査を必要とすることになり、時間の点でコストがかかり、とりわけ、調査の期間中、生産ライン(例えばバイオ医薬品など)を運転停止にする必要がある場合、重大な経済的影響を与える可能性がある限りにおいて、既存の方法の真の欠点を構成する。
【0032】
一般に、フルオロフォアによる細胞染色を実施する方法では、資格のある担当者がサンプルを手で取り扱い、同様に蛍光試薬も手で取り扱い、検出すべき微生物と接触させる必要があり、これにより、必然的にサンプルが汚染されるリスクが生じる。
【0033】
また、これらすべての作業、およびサンプル準備の上流で実行される作業、特に濾過、活性化、染色および洗浄などは、必然的に作業者による手で処理するかなりの時間を必要とし、これも同様に、潜在的な汚染が検出される瞬間を遅らせることにも留意されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【文献】欧州特許第0713087号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明は、分析すべき元のサンプルに潜在的に存在する1つまたは複数の微生物(複数可)を極めて早期に、必要に応じてほぼ瞬時に検出するための方法および装置を提案することにより、先行技術の前述の様々な欠点を少なくともある程度克服する可能性を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明の方法および装置は、制御された方法で、かつ特にサンプルの汚染を引き起こしやすい時間のかかる手作業なしに送達される細胞マーカーによって、潜在的な微生物の染色反応速度(staining kinetics)を検出および分析することに基づいている。
【0037】
この目的のために、本発明は、固体検出支持体上で、分析すべきサンプル中に存在し、少なくとも1つの細胞マーカーによって発現する細菌、酵母またはカビタイプの少なくとも1つの微生物を検出するための方法に関し、方法は、少なくとも以下のステップ、
a)分析すべきサンプルを固体検出支持体上に堆積させるステップと、
b)少なくとも1つの細胞マーカーを発現させる(reveal)ことができる光放射で検出支持体を少なくとも1回照射するステップと、
c)少なくとも10mmの長さ×少なくとも10mmの幅の視野を標的とする光学撮像装置を用いて、検出支持体の少なくとも一部でサンプルの第1のフェーズPにおいて少なくとも1つの画像Iを取得するステップと、
d)検出支持体を介して少なくとも1つの細胞マーカーの制御された放出を実行して、マーカーを微生物と接触させるステップと、
e)微生物の染色反応速度の変化に従って少なくとも1つの微生物を検出するように、光学装置を用いて、前記マーカーの制御された放出のステップの後、少なくとも1つの後続のフェーズPにおいてPで画像が取得された検出支持体の各部分の画像I(i≧1)を取得するステップと、
f)Pで取得された画像Iと少なくとも1つの後続のフェーズPで取得された各画像Iとの間で検出支持体の部分ごとに比較分析を実行し、サンプル中の少なくとも1つの微生物の存在または不在に関して結論を引き出すステップとをこの順序で含んでいる。
【0038】
好ましくは、検出支持体は、画像がP、Pで取得されるたびに、光放射で局所的に照射される。
【0039】
1つの特に有利な例示的な実施形態では、本発明の方法は、少なくとも以下のステップ、
a1)分析すべきサンプルを固体検出支持体上に堆積させるステップと、
b1)少なくとも1つの細胞マーカーを発現させることができる光放射によって検出支持体を局所的に照射するステップと、
c1)照射ステップb1)と同時に、少なくとも10mmの長さ×少なくとも10mmの幅の視野を標的とする光学撮像装置を用いて、検出支持体の少なくとも一部でサンプルの第1のフェーズPにおいて少なくとも1つの画像I、I´を取得するステップと、
d1)検出支持体を介して少なくとも1つの細胞マーカーの制御された放出を実行して、マーカーを微生物と接触させるステップと、
e1)細胞マーカーの制御された放出のステップd1)の後の5秒未満の経過時間の範囲内で、少なくとも1つの細胞マーカーを発現させることができる光放射で検出支持体を局所的に照射するステップと、
f1)照射ステップe1)と同時に、光学装置を用いて、マーカーの制御された放出のステップ後、少なくとも1つの後続のフェーズPにおいてPで画像が取得された検出支持体の各部分の画像I、I´を取得するステップと、
g1)光放射で検出支持体を少なくとも1回局所的に再照射するステップと、
h1)照射ステップg1)と同時に、微生物の染色反応速度の変化に従って少なくとも1つの微生物を検出するために、光学装置を用いて、
少なくとも1つの第2の後続のフェーズPでPおよびPで画像が取得された検出支持体の各部分の画像I、I´を取得するステップと、
i1)Pで取得された画像I、I´と少なくとも2つの後続のフェーズPおよびPで取得された画像I、I´;I、I´との間で検出支持体の部分ごとに比較分析を実行し、サンプル中の少なくとも1つの微生物の存在または不在に関して結論を引き出すステップとをこの順序で含んでいる。
【0040】
本発明の方法の特定かつ非限定的な特徴によれば、
-検出支持体は、検出支持体をn+1の部分に空間的に分割する目的で、別個の経路に沿ってn個の移動を受け、その画像は、少なくとも2つのフェーズPおよびPで取得され、ここで、nは、20以下の整数である、
-少なくとも20メガピクセルに等しい、好ましくは100メガピクセルを超える解像度を有する光学撮像装置が画像取得ステップc)およびe)またはc1)、f1)およびh1)において使用される、
-ステップf)またはi1)において少なくとも1つの微生物がサンプル中に存在すると結論付けられる場合、サンプル中に存在する微生物の列挙が実行される、
-細胞マーカーは蛍光マーカーである、
-ステップd)またはd1)において制御された方法で放出された細胞マーカーは、例えば粉末の形態の固体形態のカプセル化手段にカプセル化され、検出支持体は、マーカーを溶解させるための溶媒を含む、
-細胞マーカーは、液体形態のカプセル化手段にカプセル化される、
-カプセル化手段は熱感受性であり、ステップd)またはd1)において、熱感受性カプセル化手段にカプセル化された細胞マーカーの制御された放出は、例えば、温度を周囲温度から最高温度45℃まで上昇させることによってカプセル化手段を、熱感受性カプセル化手段を溶融することができる温度上昇に曝すことによって実行される、
-液体溶液中の細胞マーカーは、制御された方法で、分析すべきサンプルを含む固体検出支持体まで運ばれる、
-分析すべきサンプルの10~2,000μLに含まれる容積が検出支持体上に直接堆積される、
-分析すべきサンプルは、0.2~0.45μmに含まれる、好ましくは0.3μmに等しいカットオフ閾値を有する濾過膜を通して濾過され、濾過膜は、検出支持体内に直接位置決めされる。
【0041】
本発明はさらに、分析すべきサンプルを受け取った検出支持体上で微生物を塵から区別するための方法に関し、これは、
-各画像の取得後、検出された発光ピクセルまたはピクセルのクラスターの輝度を測定するステップと、
-異なる画像において検出された各発光ピクセルまたはピクセルのクラスターの輝度を比較するステップと、
-染色反応速度中で、少なくとも2つの連続する画像において実質的に変化しない輝度を有するピクセルまたはピクセルのクラスターを識別するステップと、
-染色反応速度中に変化する輝度を有するピクセルまたはピクセルのクラスターを分析およびカウントするステップとによって特徴付けられる。
本発明はさらに、本発明の検出方法を実施することが可能であり、分析すべきサンプル中に存在する細菌、酵母またはカビタイプの少なくとも1つの微生物を検出するための装置であって、少なくとも、
-少なくとも1つの微生物を含みやすい分析すべきサンプルを受け取ることが意図された固体検出支持体と、
-微生物の少なくとも1つの細胞マーカーを貯蔵する手段と、
-マーカーを分析すべきサンプルと接触させるための細胞マーカーの制御された放出のための手段と、
-検出支持体を照射する手段と、
-少なくとも10mmの長さ×少なくとも10mmの幅の視野を有する、検出支持体の少なくとも一部の画像を取得するための光学装置と、
-少なくとも1つの微生物の染色反応速度の変化に従ってサンプル中に潜在的に存在する少なくとも1つの微生物を検出するように、光学装置によって取得された画像をメモリに記憶し、比較し、分析するための手段とを備える装置に関する。
【0042】
好ましくは、本発明の装置は、光学撮像装置の下に検出支持体を移動させるための手段を備える。
【0043】
有利なことに、本発明の検出装置において、
-固体検出支持体は、ガラス繊維支持ディスク上に載っている少なくとも1つの濾過膜を含む、
-細胞マーカーを貯蔵するための手段は、検出支持体内に含まれ、カプセル化手段にカプセル化された細胞マーカーによって形成されたマイクロカプセルの層で構成されており、マイクロカプセルの層は、ガラス繊維支持ディスクと濾過膜との間に配置され、そのような場合、細胞マーカーの制御された放出のための手段は、装置の内部で温度上昇を生じさせることができ、また細胞マーカーをカプセル化するカプセル化手段を溶融させることができる加熱手段と、温度制御および調節手段とを含む、
-細胞マーカー貯蔵手段は、検出支持体とは別個の液体細胞マーカー溶液の予備で構成され、検出装置は、細胞マーカーを貯蔵手段から検出支持体に運ぶための手段を備え、そのような場合、細胞マーカーの制御された放出のための前記手段は、少なくとも1つの制御された流れポンプを含むことができる、
-光学撮像装置は、0.5mmオーダーの、または0.5mmに等しい焦点深度を有する、
-光学撮像装置は、CMOSセンサカメラに基づいている、
-上記の光学撮像装置の視野は25mm*25mmである、
-光学撮像装置は、少なくとも20メガピクセルに等しく、好ましくは100メガピクセルを超える解像度を有する。
【0044】
本発明はさらに、本発明による検出方法において実施することができるか、または本発明による検出装置の組成物の一部を形成することができる検出支持体であって、少なくとも1つの液体供給ラインおよび少なくとも1つの液体吸引および排出ラインを通過する剛性ベースから少なくとも構成されており、供給ラインは、ベースから突出し、一方では、ベースの上の剛性で透過性の支持手段の中に作成された第1のオリフィスの中を通り、一方では、ガラス繊維で作成された可撓性の支持ディスク内に作成された第2のオリフィスの中を通る通気孔によって延長されており、ディスクは、剛性で透過性の支持手段上に位置決めされ、0.2~0.45μmの間に含まれるカットオフ閾値を有し、かつ微生物を保持することが可能な濾過膜を支持しており、検出支持体は、それがベースと一体になるように固定され、ベース、剛性で透過性の支持手段、支持ディスクおよび濾過膜を一緒に保持するクランプリングをさらに備える。
【0045】
本発明には多くの利点がある。一方で、微生物の染色反応速度の評価に基づく本方法は、サンプルを準備した後、最大で数分または数十分以内に、かつ培養を必要とせずに、サンプル中の1つまたは複数の生きている微生物の存在または不在をほぼ即座に検出し、その一方で、非常に信頼できる方法で、これらの微生物と塵などの潜在的な人工物とを区別することを可能にする。
【0046】
他方、本発明は、サンプルを手で扱うことが非常に少なく、またいずれの場合も、その作業が、複雑であり、資格のある要員を必要とし、サンプルを汚染する無視できないリスクを生み出す細胞マーカーを手で扱うことも全く必要としない。
本発明の他の特徴および利点は、添付の図を参照して与えられる、本発明の非制限的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、固体検出支持体上にサンプルを堆積させる2つの特有の実施形態の異なるステップを図式的に示す図であり、これらのステップは、本発明による少なくとも1つの微生物を検出するための方法において実施することができる。
図2図2は、特に、検出支持体上にサンプルを堆積するステップと、このサンプルを染色する前にP画像を取得するステップと、細胞マーカーの制御された放出後、PからPの複数の画像を連続して取得するステップと、様々な画像の比較分析を実行することで分析結果を生み出すステップとを含む、本発明の検出方法の様々なステップを実施する特有の方法を図式的に示す図である。
図3A図3Aは、本発明の方法または装置で使用することができる検出支持体の2つの非限定的な例示的実施形態の完全な図式的な分解組立斜視図である。
図3B図3Bは、本発明の方法または装置で使用することができる検出支持体の2つの非限定的な例示的実施形態の中央断面を通る図式的な分解および斜視図である。
図4A図4Aは、図3Aおよび図3Bに示されるものとは異なっており、本発明の方法または装置で使用することができる検出支持体の、とりわけ好ましい実施形態の全体の図式的な分解組立斜視図である。
図4B図4Bは、図3Aおよび図3Bに示されるものとは異なっており、本発明の方法または装置で使用することができる検出支持体の、とりわけ好ましい実施形態の中央断面を通る図式的な分解組立斜視図である。
図5図5は、テストすべきサンプルが、マイクロカプセルの形態でカプセル化された細胞マーカーと接触させられ、細胞マーカーは、外部刺激の作用下で制御された方法で放出されて、サンプル中に潜在的に存在する微生物を検出することを可能にする、本発明の検出方法の特有の実施形態を示す図である。
図6図6は、培養段階の後の枯草菌の微小コロニーの一連の画像の取得を示しており、左側のIの画像は細胞マーカーの放出前に取得されているのに対して、他の画像IからIは、マーカーの制御された放出に続く定期的な間隔で取得され、これらの連続した画像取得を介して枯草菌コロニーの染色反応速度を評価することを可能にする図である。
図7図7は、一方では塵が存在し、他方ではテストサンプル中で検出すべき細胞、この場合、カンジダ属とアルビカンス種に属する酵母が存在している、検出支持体の、参照I´からI´で示される、一連の5つの連続した画像の取得を示す図である。 支持体は、本発明の方法に従って、細胞マーカーの放出前(画像I´)およびこのマーカーの制御された放出後(画像I´~I´)に写真撮影され、 この図はさらに、3つのプロファイルPr、Pr2aおよびPr2bを示しており、これは画像I´からI´の取得と並行して、染色後、時間の関数として、特に連続する画像取得の関数として、細胞マーカー(Pr)を吸収できる塵および酵母(Pr2aおよびPr2b)よって放出される光強度の変化(グレーレベルで表され、ピクセルの輝度を表し、0(黒)から255(白)で符号化される)をグラフで示しており、2つの連続した画像取得は20秒間隔で行われ、染色後に塵から放出される光強度は、強力であり経時的に静止する強度に急激に増加するのに対して、酵母によって放出される光強度は、それが、光退色としても知られる、光強度の低下の前に最大強度のピークに達するまで、マーカーが細胞によって同化されるのにつれて徐々に増加することを示している。
【発明を実施するための形態】
【0048】
添付の図面の図1図7に示されるように、本発明はまず、固体検出支持体1、21上で少なくとも1つの微生物2、または場合によっては、テストすべきサンプル3に潜在的に、しかし必ずしも存在するわけではないが、複数の微生物2を検出するための方法に関する。
【0049】
本発明の検出方法において、1つまたは複数の微生物2は、これより前の培養段階の後に単細胞形態で存在するか、または微小コロニーの形態で存在するかにかかわらず、少なくとも1つの細胞マーカー4と接触させられる。
【0050】
「細胞マーカー」という用語は、以下の説明において、発光によって、特に蛍光によって、任意選択で生物発光によって、またはさらには染色によって、テストすべき元のサンプルに潜在的に存在する微生物を発現させることができる物質であると理解され、この細胞マーカーは、好ましくは、生存可能な微生物のみを発現させることができる、生存可能な微生物と生存不可能な微生物を区別することができる、あるいはさらには目的の特定の病原性微生物のみを染色することができる蛍光マーカーであり得ることが理解される。
【0051】
テストすべきサンプル3は、例えば、但し非制限的な方法で、製薬または食品加工産業に由来し得るか、または臨床または医療微生物学におけるヒト起源のサンプル、または環境起源のサンプルで構成される場合があり、このサンプル3で検出すべき微生物2は、主に細菌、酵母、またはカビタイプである。
【0052】
本発明による検出方法の第1のステップa)において、テストすべきサンプル3は、好ましくは少なくとも1つの濾過膜5、25を備える固体検出支持体1、21上に堆積される。
【0053】
図1の下部に示される、本発明の方法のステップa)の一例の実施形態では、分析すべきサンプル3は、1mL~500mLの範囲の容積を有する液体母材で構成され、少なくとも1つの濾過膜5を備える検出支持体1を介して濾過され、前記支持体1は、濾過に適した装置Dの上に位置決めされている。
【0054】
膜5は、サンプル3に潜在的に存在する微生物2を保持し、一方ではこのサンプル3の残留液体を主に除去するため、また場合により他方では、そのサイズがカットオフ閾値よりも小さい、中に含まれる不純物を主に除去するために適切なカットオフ閾値を有する。
【0055】
したがって、本発明の方法の第1のステップa)を実施するために選択された実施形態にかかわらず、膜5、25は、好ましくは、0.20~0.45μmの間に含まれるカットオフ閾値を有する。さらにより好ましくは、この膜5、25のカットオフ閾値は、0.30μmに等しい、または0.30μmオーダーである。
【0056】
そのようなカットオフ閾値は、サイズが約0.5~約10μmの間で変動し、かつサンプル3中に存在しやすい細菌、酵母またはカビタイプの全ての微生物2を膜5、25の表面上に保持することを可能にする。
【0057】
しかしながら、このようなカットオフ閾値を使用すると、サンプル3の残りの部分からの微生物2の分離が促進されるだけでなく、同様にサンプル3に元々存在している大半の不活性粒子(塵など)の保持も向上することに留意されたい。
【0058】
図に示されていない、本発明の方法のステップa)の第2の例示的な実施形態では、1~500mLの間に含まれる容積を有する液体サンプル3が、適切な濾過装置D上の濾過膜5を通して濾過され、膜5は、0.20~0.45μmの間に含まれる、好ましくは0.3μmに等しいカットオフ閾値を有する。
【0059】
サンプル3が濾過されると、濾過膜5は濾過装置Dから取り外され検出装置1上に置かれる。
【0060】
検出支持体1はまた、透過性材料、例えばガラス繊維で作成された少なくとも1つの支持ディスク13で補足される場合もある。
【0061】
この例示の実施形態では、固体検出支持体1を形成するために、濾過膜5が装置Dから取り外された後、濾過膜5が任意選択で載せられるそのような支持ディスク13は、特に添付の図3Aおよび図3Bに示されている。
【0062】
より小さい容積、典型的には10~2000μLのサンプル3に適用される第3の例示的な実施形態では、サンプル3は、図1の上部に示されるように、少なくとも膜5、25と、支持ディスク13、23とを備える検出支持体1、21に直接接種される。
【0063】
次に、好ましくは、検出支持体1は、本発明の方法を実施することができる完全に自動化された検出装置14に挿入される。装置14については、以下でより詳細に説明する。
【0064】
1つの特に有利な例示的な実施形態では、サンプル3を堆積するステップa)は、この作業専用であり、かつ検出装置14の外部にある濾過装置Dを使用せずに、10~2000μLの間に含まれる少量のサンプル3の濾過膜25上での堆積、または2,000μLを超える、通常は100mLまでのより大きな容積のサンプル3の直接濾過のいずれかを好ましくは可能にするように構成された検出支持体21を使用することに留意されたい。
サンプル3は、濾過膜上に少量が堆積している場合でも、検出装置14において自動化された方法で濾過することができる。
【0065】
検出支持体21は、図4Aおよび図4Bを参照して、以下の説明において詳細に説明される。
【0066】
従来の方法では、サンプル3を手で扱い、支持体1、21上に堆積させるこれらの作業は、好ましくは、例えば図1に見ることができる生物学的に安全なキャビネットBSC性において作業を実行することによって無菌環境で作業者によって実行することができることに留意されたい。
【0067】
添付の図2に示される本発明による検出方法のステップb)において、サンプル3を含む検出支持体1、21は、細胞マーカー4を観察する、または発現させるのに適した光放射6で少なくとも1回照射される。
【0068】
実際、本発明の検出方法の1つの特有の例示的な実施形態では、方法の実施全体を通して検出支持体1、21の連続照射が実行可能である。しかしながら、以下の説明で詳細に説明されるように、検出支持体1、21を局所的に照射すること、および各画像取得と同時に、またはほぼ同時に照射することが、さらにより好ましい。
【0069】
この照射ステップb)の後、およびステップc)において、サンプル3の少なくとも1つの画像I、I´が、第1のフェーズPにおいて、検出支持体1、21の少なくとも一部で取得され、画像I、I´の2つの例を図6および図7で見ることができる。
【0070】
本発明の方法において行われる画像取得は、好ましくは、20メガピクセル以上、好ましくは100メガピクセルを超える光学分解能を有し、少なくとも0.5μmに等しいサイズを有する染色された微生物が所定の表面で検出されることを可能にする光学撮像装置7によって実行される。
【0071】
特に重要な方法において、光学装置7は、実際に比較的広い視野を有し、典型的には、少なくとも10mmの長さ×少なくとも10mm幅であり、さらにより好ましくは、この視野は25*25mmであり、例えば、検出支持体1、21全体を単一の画像で取得することができる。
【0072】
また、好ましくは、光学装置7は、検出支持体1、21の膜5、25のいかなる潜在的な平面度の欠陥も克服するために、+/-0.5mmの焦点深度を有することにも留意されたい。
【0073】
したがって、優先的に、ステップc)において、検出支持体1、21の表面全体の単一の画像I、I´が取得される。
【0074】
本発明の方法において、検出支持体1、21のサイズが大きすぎて単一の画像取得によって観察することができない場合、および非標準的な光学装置に投資して、これによりはるかに不利な経済的条件を生み出すことなく、より広い視野を観察できるようにするために、検出支持体1、21に別個の経路に沿ったn個の移動を受けさせることが考慮される場合もあり、ここで、nは、1より大きく20以下、さらにより好ましくは10以下の整数である。
【0075】
別個の経路に沿ったこれらのn個の移動によって、検出支持体1、21は、n+1の部分に空間的に分割され、部分のそれぞれは、画像取得時に、特にPで、および以下でより詳細に記載される少なくとも1つの後続のフェーズPの間に少なくとも1つの画像取得の対象であり、したがって、異なる部分の画像取得の合計によって、異なるフェーズP、Pのそれぞれで検出支持体1、21全体を観察することが可能になる。
【0076】
実際、この支持体1、21の全体を一回で、またはそれ以上の回数で観察する能力は、少数の微生物が検出されることを保証する、またはさらにはテストすべきサンプル3に最初に存在する単一の微生物さえも検出されることを保証するために特に興味深い。
【0077】
画像I、I´の取得に続いて、ステップd)が、検出支持体1、21を介する、少なくとも1つの細胞マーカー4の制御された放出のために実行され、その結果、マーカー4は、元のサンプル3に潜在的に存在し、支持体1、21上に堆積された微生物と接触するようになる。
【0078】
この制御された放出ステップd)の1つの特有の実施形態は、より具体的に図5に示されている。
【0079】
好ましくは、本発明の方法で実装される細胞マーカー4は、蛍光マーカーである。
【0080】
このマーカー4は、当業者によって、それについてよく知られており、例えば、現在のサイトメトリー技術で一般的に使用される全ての細胞マーカーの中から当業者によって有利に選択することができる。
【0081】
したがって、細胞マーカーは、例えば、以下のマーカーから選択することができる。アクリジンオレンジ、DAPI(4´、6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)、PI(ヨウ化プロピジウム)、DRAQ7*(ディープレッドアントラキノン7)、7-AAD(7-アミノアクチノマイシンD)、TO-PRO-1*、TO-PRO-3*、SYTOX*、LDS751、臭化エチジウム、エオシン-5´-マレイミド(EMA)などのDNAマーカー、「Zombie Fixable*」、「Fixable Viability Dye eFluor*」、「LIVE/DEAD Fixable dead*」、「Viobility Fixable*」、「Horizon Fixable Viability*」、「Ghost*」などのアミノ反応マーカー、カルセインAM(アセトキシメチル)、cFDA(カルボキシフルオレセインジアセテート)、「CellTracker Green CMFDA*」などのエステラーゼ活性マーカー、レサズリンやテトラゾリウム塩などのレドックスマーカー、または「LIVE/DEAD Viability*」キットなどのキットでの細胞マーカーの中から選択することができ、この段落に記載されている試薬の名前、およびそれに続くアスタリスクは登録商標である。
【0082】
上記のものからの複数の細胞マーカーの組み合わせを使用することもできる。
【0083】
本発明の方法において蛍光細胞マーカー4が使用される場合、光放射6は、レーザービームおよび1つまたは複数の発光ダイオードから選択され、後者の解決策が特に好ましいことに留意されたい。
【0084】
本方法の代替の一実施形態では、ステップd)において、存在する1つまたは複数の潜在的な微生物2はまた、少なくとも1つの非蛍光性であるが目で見ることができ検出可能な細胞マーカー4と接触させることもできる。
【0085】
細胞マーカー4はさらに生物発光マーカーで構成される場合があり、このシナリオでは、本発明の微生物を検出するための方法は、検出支持体1、21を照射する1つまたは複数のステップを取り除くことによって実施されることを理解されたい。言い換えれば、支持体の照射を除いて、本明細書に詳細に記載されている本発明の方法の他のすべてのステップ、代替の実施形態および例示的な実施形態は、これが、適用され実行可能であり、当然のことながら、好適な生物発光マーカーを実装することが証明されるならば、適切な生物発光マーカーを実装する生物発光によって微生物を検出するための方法に適用可能である。
【0086】
いずれにせよ、特に有利な方法で、制御された放出のステップd)の第1の厳密かつ非限定的な実施形態において、本発明の方法において制御された方法で放出すべき細胞マーカー4は、カプセル化手段8にカプセル化され、したがって、例えば、100μmオーダーの直径を有するマイクロカプセル、マイクロビーズ、またはミクロスフェア9を有利に形成する。
【0087】
好ましくは、カプセル化手段8は、それを破裂させ、細胞マーカー4を放出させる外部刺激10の適用に敏感である。
【0088】
したがって、好ましくは、カプセル化手段8は、感熱性脂質ワックスによって形成されており、カプセル化手段8が溶融し、マーカー4を放出して検出すべき潜在的微生物2と接触するように、カプセル化手段8に徐々に温度上昇を加えることによって、カプセル化マーカー4の放出が実現される。
【0089】
このような場合、感熱カプセル化手段8がさらされる温度は、周囲温度から45℃を超えない温度まで徐々に上昇させることができ、それを超えると、特定の微生物2が破壊される可能性がある。
【0090】
本発明において、細胞マーカー4の放出は、好ましくは、自動化された方法で実行され、したがって、それは汚染源を構成するいかなる手作業からも解放され、また、適切な量のマーカー4で、かつ微生物2を効率的に染色するための正しい反応速度で行われるように制御される。
【0091】
第1の代替実施形態によれば、細胞マーカー4は液体形態でカプセル化され、したがって、マイクロカプセル9は、マーカー4に加えて、その溶解のための溶媒も含む。
【0092】
第2の代替実施形態では、細胞マーカー4は、固体形態、特に粉末形態でカプセル化される。細胞マーカー4の放出に続いて、後者は次に、微生物2の染色を行うことができるように、適切な溶解溶媒、例えば水の存在下に置かれる。
【0093】
好ましくは、この代替の実施形態では、固体細胞マーカー4を溶解させるための溶媒は、ガラス繊維支持ディスク13に含まれ、サンプル3が通過した濾過膜5は、支持ディスク13の上に配置される。
【0094】
したがって、濾過膜5が支持ディスク13の上に置かれた後(サンプル3の表面的な濾過後)、またはサンプル3が堆積され、検出支持体1内の濾過膜5上で直接濾過された後、サンプル3の容積に関わらず、細胞マーカー4を含むマイクロカプセル9の層は、膜5とディスク13との間に位置決めされ、支持ディスク13は、適切な溶媒に浸されて、細胞マーカー4がそのカプセル9から放出されると、(例えば温度を上げることによって)カプセルが溶解することを可能にする。
この例は図3Bに示される。
【0095】
図3Bに示される構成では、支持ディスク13はまた、適切な溶媒に浸され、カプセル化層8を溶融させることができる温度に保たれ、したがって、カプセル化された細胞マーカー4を固体粉末形態で放出し、同時にそれを溶解させて膜5上の微生物2の潜在的な存在を発現させることができる。
【0096】
いずれにせよ、固体または液体の形態の細胞マーカー4を含むマイクロカプセル9の層が支持ディスク13の上に位置決めされる場合、その主な機能は、マイクロカプセル9の破裂後、拡散によって、膜5の下での前記マーカー4の分布を均質化にすることであり、膜はそれ自体マイクロカプセル9の層の上に配置される。
したがって、膜5に存在しやすい各微生物2は、本発明の方法によって発現されるであろう。
【0097】
ステップd)のこの実施形態において、および小さい容積(10~2000μL)を有するサンプル3を堆積するステップa)が、同様にマイクロカプセル9の層を取り囲む少なくとも1つの支持ディスク13および濾過膜5によって形成することができる固体検出支持体1上で直接実行される際、支持ディスク13は、堆積中に濾過された液体と共に放出されるのを防ぐためにマイクロカプセル9を支持する機能もさらに果たすことに留意されたい。
【0098】
図3Aでは、マイクロカプセル9の層は、例えばガラス繊維で作成された支持ディスク13の下に配置され、ディスク13は、細胞マーカーが制御された方法で放出されると、マイクロカプセル9または細胞マーカー4の毛細管拡散を確実にし、ならびにこれらのマイクロカプセル9の均質な分布が濾過膜5の下に拡散されることを確実にする。
【0099】
マーカー4が含まれるカプセル化手段8を破壊することによる細胞マーカー4の制御された放出は、特に興味深いことが証明されているが、本発明の方法のステップd)の唯一の実施形態であると見なすべきではない。
【0100】
実際、このステップd)の第2の実施形態では、細胞マーカー4は、液体溶液の形態で、かつ制御され自動化された方法で、例えば、制御された流れポンプなどの適切な手段によって制御された流量で直接運ばれ、検出支持体1、21の濾過膜5、25の表面に存在する1つまたは複数の微生物2と接触させられる。
【0101】
この場合、細胞マーカー4を制御された方法で1つまたは複数の微生物2と接触させるために選択された放出様式に関わらず、マーカー4は、それが好ましくは蛍光性であるか、代わりに生物発光性であるか、またはそれ以外であっても、好ましくは膜5に潜在的に存在する微生物2に対して最小限の毒性を有する。
【0102】
実際、この方法の実施中にサンプル3の汚染が検出された場合、および特定の用途、特に工業薬学の分野においては、検出された微生物2をその後に識別する能力は特に興味深いものであり得る。
【0103】
したがって、図2に示されるそのような識別ステップ12は、特に濾過膜5、25を除去することによって、検出後にサンプル3を培養し、微生物が増殖することを可能にする適切な栄養寒天培地にそれを堆積させ、その後、当業者によく知られている従来の識別方法、次に例えば質量分析法を実施することによって実施することができる。
【0104】
本発明による1つまたは複数の微生物を検出するための方法において、少なくとも1つの細胞マーカー4の制御された放出のステップの終わりに、ステップe)において、およびフェーズPに続く少なくとも1つのフェーズPの間に少なくとも1つの画像I(ここで、iは1以上の整数である)が取得される。
【0105】
図6および図7は、フェーズPの間に、およびPの後の複数の後続のフェーズの間に取得された一連の画像、それぞれI~IおよびI´~I´を示している。
【0106】
少なくとも1つの後続のフェーズPの間に取得された各画像Iは、適切な場合、検出支持体1、21の部分にカットされる。
【0107】
細胞マーカー4の制御された放出による微生物2の染色前に1つ(例えばI)が取得され、この放出後に少なくとも1つ(I)が取得される、このような一連の画像の取得により、マーカー4の存在しない画像Iの最初の取得と、マーカーの放出後の画像Iの少なくとも2回目の取得との間で、これらの微生物2の染色反応速度を特徴付けることが可能になり、言い換えれば、これによるマーカー4の同化に対応する挙動の変化、特に、好ましくは微生物の蛍光の変化、場合により生物発光の変化を特徴付けることが可能になる。
【0108】
これにより、例えば自然蛍光を発しやすい不活性粒子、例えば塵の挙動を、方法の実施の間に効果的に染色された微生物2と区別することが可能になる。
【0109】
実際、潜在的な微生物2が蛍光細胞マーカー4によって発現されるこの仮説では、生来蛍光性であり、濾過膜5上に保持されている不活性粒子または塵は、マーカー4の制御された放出前、画像Iにおいて観察可能かつ検出可能であり、またこの放出後少なくとも1つの画像Iにおいて観察可能かつ検出可能であり、一方、微生物2は、画像I、特に画像IまたはI´においてのみ観察可能で検出可能である。
【0110】
画像IおよびI、特に少なくともIまたはI´の比較分析が実行される次のステップf)は、元のサンプル3内の微生物2の存在または不在に関して結論を引き出すことを可能にするであろう。
【0111】
フェーズPの間に、検出支持体1、21が別個の経路に沿ってn個の移動を受けたという仮説を考慮すると、この支持体1、21は、フェーズPの間に、PとPでそれぞれ取得された画像IおよびIを後続の比較分析ステップ(ステップf)において比較することができるように、n個の同一の移動を再び受ける。
【0112】
さらに、同様のロジックが、存在する場合は後続の画像に適用される。
実際、図6および図7に示される1つの好ましい実施形態では、第1の後続のフェーズPの間の画像I、I´の最初の取得後、数秒から数十秒ほどの、例えば10秒~30秒の間の可変の時間経過後に、フェーズPおよびPの間に画像が取得された支持体1の各部分から画像I、I´が再度取得される。
【0113】
したがって、本発明の検出方法において、画像Iを取得するステップe)は、細胞マーカー4の制御された放出のステップd)の後、かつ画像I、I´;I、I´;I、I´などの画像の比較分析のステップf)の前に、実行可能かつ有利に数回繰り返すことができ、画像Iの連続取得は、10秒~30秒の間に含まれる、好ましくは20秒に等しい時間の経過によって間隔を置かれている。
言うまでもなく、各画像は、特に比較のために、後続の処理作業のために装置14によってメモリに格納される。
【0114】
好ましくは、その画像が、後続の画像取得フェーズP、P、およびPのそれぞれの間にPで取得された検出支持体1、21の各部分の3つの画像I、I´;I、I´;I、I´を生成するように、本方法のステップe)は、比較分析ステップf)の前に連続して3回繰り返される。
【0115】
さらにより好ましくは、I~Iまで、またはI´~I´までの5つの画像(ただし、画像I´図7には示されていない)は、フェーズPの間に観察される検出支持体1、21の各部分から生成される。
【0116】
したがって、特に独自の方法で、サンプル3を検出支持体1、21に堆積させた後、およびフェーズPで画像Iを最初に取得した後、細胞マーカー4を放出することにより、サンプル3に仮想的に存在する微生物2は、微生物2による細胞マーカー4の同化反応の反応速度に対応して、好ましくは単細胞マーカー段階の初期に、数分のオーダーの短い経過時間の間に染色され、したがって、様々なフェーズP、Pなどの間に染色した後の支持体1、21の画像I、I´;I、I´、などを連続して取得することによって迅速な検出結果を獲得することになる。
【0117】
方法のステップd)で使用される細胞マーカー4の性質に応じて、微生物2によるその同化の生化学的反応は、特に、酵素反応、または酸化還元反応、あるいはさらには核酸の塩基間に前記マーカーを挿入する反応であり得る。
【0118】
テストすべきサンプル3に潜在的に存在する微生物2の染色反応速度の特徴付けはまた、自然に蛍光を発しやすい不活性粒子または塵の挙動を、微生物2の挙動から迅速に区別することを可能にし、従来技術で提案されたシステムと比較して偽陽性の有意な減少をもたらす。
【0119】
上記から、本発明の方法の実施は、当業者によって使用される専門用語に従って、CFU、すなわちコロニー形成単位に対応する、元のサンプル3に含まれている可能性がある、単一の汚染物質の検出を可能にすることも明らかである。
【0120】
サンプル3が汚染されているかどうかに関する結論は、第1のフェーズPの間に取得された画像I;I´と少なくとも画像I(例えば、画像I;I´)との間で比較分析を実行するステップf)の終わりに引き出され、このステップは、この説明において上記で既に言及されており、画像検出および処理アルゴリズム11によって有利に実施される。
【0121】
この分析ステップf)の間に少なくとも1つの汚染微生物2の存在が検出された場合、サンプル3および検出支持体1、21上に存在する1つまたは複数の微生物2を列挙するステップg)を実行することができることにも留意されたい。
【0122】
このオプションのステップg)は、アルゴリズム11によって実行することもできる。
したがって、このアルゴリズム11は、特に、経時的に微生物2の挙動の変化を評価することによって、およびそれらを潜在的な人工物、特に塵から区別することによって、画像I、I´、I、I´などにおける微生物2の存在または不在を可能な限り正確に迅速に検出することを可能にする必要があり、そして次にこれらの微生物2を列挙することを可能にする必要がある。
【0123】
さらに、アルゴリズム11は、好ましくは、光学撮像装置7のセンサの解像度のオーダーまたはそれ以下の寸法を有する要素(塵、微生物など)を検出することが可能である。
【0124】
これは、本発明の主な利点の1つであり、微生物2による細胞マーカー4の同化の反応速度に基づく方法の使用は、光学分解能の要件をある程度克服する。
【0125】
確かに、染色反応速度に起因する蛍光強度の変動は、単一のピクセルで検出することができる。したがって、微生物2のサイズは、必ずしもピクセルのサイズよりも大きいとは限らない。場合によっては、ピクセルよりも小さい微生物2によって放出される光強度は、ピクセルを照射するのにちょうど十分である。この強度は、微生物2を確実に検出するには不十分である可能性があるが、染色中の強度の変動は、それを検出するのに十分であり得る。
【0126】
好ましくは、細胞マーカー4の制御された放出後の検出支持体1、21の画像Iを取得するステップe)は、典型的には20~300秒、例えばアクリジンオレンジで染色した場合、好ましくは80~160秒の間に含まれるマーカー4の放出後の時間遅延で実行される。
マーカー4の制御された放出後、およびしたがってこのマーカー4が検出支持体上に潜在的に存在する微生物2と接触させられた後、それぞれ画像Iが取得される前のそのような時間遅延は、微生物2がマーカー4を正しく同化したことを確実にすることを可能にする。
【0127】
1つの非常に好ましい例示的な実施形態では、検出支持体1、21は、画像取得の各々、すなわち第1のフェーズPにおけるステップb)の画像I、I´の両方の最初の取得が実行されるのと同時に、またはほぼ同時に、および少なくとも1つの後続のフェーズPで行われる画像Iの取得と同時に、細胞マーカー4の発現を可能にする光放射6によって局所的に照射される。
【0128】
言い換えれば、画像取得フェーズPおよびPの外では、検出支持体1、21は、光放射6によって照射され得ない。
好ましくは、本発明の方法は、少なくとも以下のステップをこの順序で含むことに留意されたく、
a1)分析すべきサンプル3を固体検出支持体1、21上に堆積させるステップと、
b1)少なくとも1つの細胞マーカー4を発現させることができる光放射6によって検出支持体1、21を局所的に照射するステップと、
c1)照射ステップb1)と同時に、少なくとも20メガピクセルに等しい解像度および10mm以上の長さx10mm以上の幅の視野を有する光学撮像装置7を用いて、検出支持体1、21の少なくとも一部でサンプル3の第1のフェーズPにおいて少なくとも1つの画像I、I´を取得するステップと、
d1)検出支持体1、21を介して、細胞マーカー4の制御された放出、あるいは一連の細胞マーカー4または試薬の制御された放出を実行して、マーカー4を微生物2と接触させるステップと、
e1)細胞マーカー4の制御された放出のステップd1)の後の5秒未満の経過時間内に、少なくとも1つの細胞マーカー4を発現させることができる光放射6で検出支持体1、21を局所的に照射するステップと、
f1)照射ステップe1)と同時に、その画像I、I´が、マーカー4の制御された放出のステップ後の少なくとも1つの後続のフェーズPにおいてPで取得された検出支持体1、21の各部分の画像I、I´を取得するステップと、
g1)光放射6で検出支持体1、21を少なくとも1回局所的に再照射するステップと、
h1)照射ステップg1)と同時に、微生物2の染色反応速度の変化に従って少なくとも1つの微生物2を検出するために、その画像I、I´がPで取得され、その画像I、I´が少なくとも1つの第2の後続フェーズPにおけるPで取得された検出支持体1、21の各部分の画像I、I´を取得するステップと、
i1)検出支持体1、21の部分ごとに、Pで取得された画像I、I´と少なくとも2つの後続のフェーズPおよびPで取得された画像I、I´;I、I´との間で比較分析を実行し、サンプル3における少なくとも1つの微生物2の存在または不在に関する結論を導き出すステップとを、この順序で含むことに留意されたい。
画像I、I´を取得するためのステップg1)およびh1)は、好ましくは、画像I、I´が取得されたステップf1)の後、20~300秒、好ましくは80~160秒の経過時間内に実施される。
説明において上記のステップa)~f)の代替の実施形態または好ましい例は、上記の段落に提示された方法の対応するステップa1)~i1)にも適用可能であることに留意されたい。
そのような方法は、一方で、以下の
-例えば、蛍光または生物発光を自然に放出し、細胞マーカー4の制御された放出のステップd1)の前に第1のフェーズPにおいて取得された画像I、I´に観察される不活性粒子または塵の最初のカテゴリ、
-自家蛍光ではない(したがって、画像I、I´において観察することはできない)が、制御された放出後に細胞マーカー4を急速に吸収する不活性粒子または塵であって、この塵は画像I、I´においてはっきりと観察することができる第2のカテゴリとの間の効果的な区別を可能にするため特に興味深い。
-分析すべき元のサンプル3に潜在的に存在し、画像I、I´において観察することができない1つまたは複数の微生物2は、低い光強度で画像I、I´に現れ始める場合があり、これは、その後、より高い光強度で、画像I、I´および潜在的な後続の画像においてはっきりと観察することができ、ステップg1)およびh1)は、後続のフェーズP、Pの間に画像を取得するために必要な回数だけ繰り返すことができることが理解される。
【0129】
図7は、画像I´~I´の一連の取得を示し、これらの画像、特に画像I´~I´に見ることができる要素の一部と一致しており、プロファイルPr、Pr2aおよびPr2bは、細胞マーカー4が制御された方法で放出され、サンプル3内および固体検出支持体1、21上に存在する要素、この場合は塵やカンジダアルビカンス酵母と接触させられる瞬間(横軸は0)の後の時間の関数としての、問題の要素の光強度の変化を示している。
【0130】
細胞マーカー4の制御された放出のステップの前に取得された画像I´では、要素は観察することができない。したがって、この画像I´は、元のサンプル3に自然に発光する塵が存在しないことを示している。
【0131】
以下の画像I´~I´では、染色後、サンプル3に存在するいくつかの要素は、染色ステップ後、強力であり、経時的にほぼ一定である光強度を有することが分かる。この場合、連続する画像I´~I´を比較すると、これは細胞マーカーを吸収した塵であるという結論に至り、そのプロファイルPrは、光の特定されたスポットに関連してグラフで示される。
【0132】
染色後の画像I´~I´の連続では、他の要素も見られ、この場合は微生物であり、プロファイルPr2aおよびPr2bに示されているその光強度は、光退色現象に対応して、この光強度が、これも段階的なやり方で減少する前に、微生物2(この場合はカンジダアルビカンス酵母)による細胞マーカー4の段階的な同化に対応する強度ピークに達するまで経時的に徐々に増大する。
【0133】
本発明の方法の第1のステップa1)において、不活性粒子、例えば、自然に発光する塵が検出支持体1、21上に堆積された場合、これは、画像I´および後続のすべての画像I´において観察可能である。したがって、そのような塵もまた、本発明による検出方法を実施することによって微生物2と区別することが可能である。
【0134】
本発明はさらに、テストすべきサンプル3に潜在的に存在し、上記の検出方法のステップを実施することができる、細菌、酵母またはカビタイプの少なくとも1つの微生物2を自動的に検出するための装置14に関する。
【0135】
有利には、本発明による装置14は、
-少なくとも1つの微生物2を含みやすい分析すべきサンプル3を受け取ることが意図された固体検出支持体1、21を少なくとも含む。この支持体1、21は、好ましくは、サンプル3が通過する少なくとも1つの濾過膜5、25、および膜5、25がその上に置かれる支持ディスク13、23で構成される。
図3Aおよび図3Bに示される実施形態では、検出支持体1は、保護カバー16によって、および支持体1のすべての要素を剛性支持プレート18上に保持するための手段によって補完することができ、保持手段は、フープの形態17を採ることが可能である。
【0136】
図4Aおよび図4Bにより具体的に示される別の実施形態では、ガラス繊維の支持ディスク23上に載っている濾過膜25を含む検出支持体21は、
・剛性であり、特にプラスチック材料で作成され、複数の円形の穿孔および/または長方形の穿孔の存在を通じて透過性である支持手段24であって、剛性支持手段24は、以下の説明においてドレイン24としても参照され、ドレインは、支持ディスク23および濾過膜25のものと類似の、または幾分類似した形状および寸法を有する支持手段24と、
・例えばプラスチック材料で作成された剛性ベース26であって、一方では、液体、この場合は細胞マーカー4を供給する供給ライン26aが中を通っており、ライン26aは、ベース26から突出し、ドレイン24に作成された第1のオリフィス24aおよび例えばガラス繊維で作成された支持ディスク23に作成された第2のオリフィス23aの中を通る通気孔26bによって延長されており、また一方では、液体用の吸引および排出ライン26cが中を通っており、このライン26cは、適切な手段によって、その後の処理またはその廃棄を目的として排出された残留液体を受け取るための容器に接続されている剛性ベース26と、
・検出支持体21のすべての構成要素を互いに一体になるように一緒に保持するクランプリング27であって、この目的のために、クランプリング27およびベース26は好ましくはねじ山を有し、検出支持体21のすべての構成要素を締め付けることができるクランプリング27と、
・検出支持体21の漏れ防止シーリングを保証するために追加することができるガスケット28と、によって補完される。
-少なくとも、微生物2の少なくとも1つの細胞マーカー4を貯蔵する手段。
【0137】
図3Aおよび図3Bに示される一実施形態では、貯蔵手段19は検出支持体1に含まれる。より具体的には、そのような貯蔵手段19は、濾過膜5の下に、好ましくは膜5とガラス繊維支持ディスク13との間に優先的に位置決めされる。そのような貯蔵手段19は図5にも示され、有利には、マイクロカプセル9の層の形態を採り、層内の各マイクロカプセル9は、カプセル化手段8にカプセル化された細胞マーカー4によって形成されている。この貯蔵手段19はまた、濾過膜5がその上に直接置かれるガラス繊維支持ディスク13の下に実行可能に位置決めされる場合もある。
【0138】
別の実施形態では、検出装置14は、図4Aおよび図4Bに示される検出支持体21を含み、細胞マーカー4を貯蔵するための手段は、マーカー4の液体溶液の予備で構成され、この予備は、検出支持体21とは別個であり、したがって、装置14は、細胞マーカー4を貯蔵手段から検出支持体21に搬送するための手段を備える。したがって、細胞マーカー4を液体の形で運ぶこれらの手段は、適切な接続手段によって、検出支持体21のベース26の液体供給ライン26aに接続されている。供給ライン26aを介して、次に、オリフィス24aを介してドレイン24の中を通り、オリフィス23aを介して支持ディスク23の中を通るベース26の通気孔26bを介して、液体形態の細胞マーカー4は、このシナリオでは、検出すべき微生物2を含みやすい濾過膜25の下の支持ディスク23の頂部に直接運ばれる。
-少なくとも、マーカー4を分析すべきサンプル3と接触させるための細胞マーカー4の制御された放出のための手段15。
【0139】
そのような手段は、例えば、少なくとも1つの細胞マーカー4を貯蔵するための手段がマイクロカプセル9の層の形態を採る実施形態において、温度を制御し調整する従来の手段と関連付けられた検出支持体1を加熱する手段を含むことで、温度上昇を適用してカプセル化手段8を溶融させマーカー4を放出することができる。
【0140】
別の例示的な実施形態では、好ましくは液体形態の細胞マーカー4は、適切な時間に、別個の予備から検出支持体1、21に、その下から、特に支持体ディスク13、23の下から徐々に運ばれ、マーカー4を膜5、25上に保持することができる微生物2と接触させるために、ディスク13、23による毛細管現象によって拡散させることができる。そのような場合、図2に注射器の形で極めて図式的に示される制御された放出の手段15は、液体マーカー4を吸引するための手段および供給流量を調節するための手段、例えば、流量が制御されたポンプで構成することができ;
-特にレーザービーム、またはさらにより好ましくは高出力発光ダイオードに基づいて、細胞マーカー4を発現させることができる、検出支持体1、21を照射する手段6と、
-検出支持体1、21の少なくとも一部の画像を取得し、この支持体1、21の上に位置決めされる光学装置7であって、好ましくは少なくとも20メガピクセルに等しい、より好ましくは少なくとも100メガピクセルに等しい解像度を有する光学装置7と、を含む。この光学装置7は、観察すべき検出支持体1の平面度に関する欠陥を克服するために、より好ましくは、0.5mmオーダーまたは0.5mmに等しい焦点深度を有する。それは、有利には、CMOSセンサを備えたカメラで構成され、特定の視野を有し、その寸法は、例えば、少なくとも10mmの長さ×少なくとも10mmの幅であり、さらにより好ましくは、25*25mmである。
【0141】
検出支持体1、21はさらに、染色の前後の画像を取得するため、およびより広い視野を観察するために検出支持体1、21を複数の部分に分割する必要がある場合、検出支持体1、21をこの光学撮像装置7の下に移動させる手段と協働することができる。これらの移動手段は図には示されていない。
-少なくとも1つの微生物2の染色反応速度の変化に従ってサンプル3に潜在的に存在する少なくとも1つの微生物2を検出するように、光学装置7によって取得された画像をメモリに記憶し、比較し、分析するための手段。そのような分析手段は、好ましくは、画像検出および処理アルゴリズム11で構成される。
【0142】
図4Aおよび図4Bは、少なくとも1つの微生物2を含みやすい分析すべきサンプル3を受け取ることが意図された固体検出支持体21の特に好ましい実施形態を示しており、これは、本発明による検出方法において実施することができるか、またはこの方法のステップを実施することができる検出装置14の一部であり得る。
【0143】
図4Aおよび図4Bに示されるように、この検出支持体21は、サンプル3が通される少なくとも1つの濾過膜25と、膜25が上に載っているガラス繊維支持ディスク23とで構成される。
そのような検出装置はまた、複数の円形の穿孔および/または長方形の穿孔を通して透過可能である剛性の支持手段24、またはドレイン24を備えている。濾過膜25の下に位置決めされたガラス繊維支持ディスク23は、このドレイン24上に載っている。したがって、これらの3つの要素、支持ディスク23、ドレイン24、および濾過膜25は、有利には、本質的に円形であり、同様のまたはいくらか同様の寸法である形状を有する。
【0144】
そのような剛性で透過性の支持体24はとりわけ、本発明の方法を実施するとき、またはサンプル3の膜25の表面上での堆積により、残留液体の吸引などにより、支持体によって支持される可撓性要素、ディスク23および膜25の平面度を維持する。さらに、多数の穿孔が存在するため、この支持体24を通して液体を排出することができる。
【0145】
剛性支持体またはドレイン24は、それ自体が剛性ベース26に取り付けられており、その中を少なくとも1つの液体供給ライン26aが通っており、また少なくとも1つの液体吸引および排出ライン26cが通っている。
【0146】
供給ライン26aの目的は、液体細胞マーカー4を検出支持体21に運ぶことであり、ライン26aは、液体細胞マーカー4を濾過膜25と、したがって潜在的にそこに含まれる微生物2と直に接触させるように、ベース26から突出し、一方では、ドレイン24に作成された第1のオリフィス24aの中を通り、一方では、ガラス繊維支持ディスク23内に作成された第2のオリフィス23aの中を通る通気孔26bによってさらに延長されている。
【0147】
供給ライン26aに加えて少なくとも1つの吸引および排出ライン26cも同様に、濾過膜25と接触させた後の過剰な液体細胞マーカー4であるか、または他の任意の液体、例えば、膜25による濾過後のサンプル3の残留液体、あるいは洗浄液であるかどうかにかかわらず、液体のためにベース26の中を通っている。
【0148】
検出支持体21のすべての構成要素を互いに一体になるように一緒に保持するクランプリング27、および任意選択でガスケット28が支持体21を補完する。
【0149】
検出支持体1、21に関して選択された実施形態にかかわらず、濾過膜5、25は、放出された光と濾過膜5、25の暗い色合いとのコントラストによって、細胞マーカー4の蛍光または生物発光の最適な発現を可能にするために、有利には色が暗く、好ましくは黒色であることに留意されたい。
【0150】
本発明の検出方法または検出装置14が単細胞ステージで細胞または微生物2を検出する目的で実施される場合、ポリエステルまたはポリカーボネートで作成された膜5、25が好ましいが、培養段階後の微小コロニーの形態の細胞のクラスターを検出するでは、ニトロセルロースまたはエステルで作成された膜5、25が好ましい。
【0151】
一般的に言えば、検出方法について上記で説明した要素は、これが適切かつ実行可能であることが証明された場合、本発明による検出装置および検出支持体1、21に適用することができ、逆もまた同様である。
【0152】
言うまでもなく、本発明は、上記に示され、説明された例に限定されるものではなく、これらの例には、本発明の範囲内になおも留まったままで代替案および修正を加えることができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7