(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】機能的編組複合ヤーン
(51)【国際特許分類】
D04C 1/02 20060101AFI20240425BHJP
H01F 5/00 20060101ALI20240425BHJP
H01G 4/00 20060101ALI20240425BHJP
H01Q 1/08 20060101ALI20240425BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
D04C1/02
H01F5/00 F
H01G4/00 Z
H01Q1/08
H01H36/00 J
(21)【出願番号】P 2021534742
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 US2019066327
(87)【国際公開番号】W WO2020131634
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-12
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521261843
【氏名又は名称】ノーチラス ディフェンス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オーウェンズ,ジェームズ ビー.,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,ゼーン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィン,パトリック エム.
【審査官】中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02625599(FR,A1)
【文献】実公昭14-004174(JP,Y1)
【文献】特開2017-120863(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102006051001(DE,A1)
【文献】特表2001-511290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04C、H01F、H01G、H01Q、H01H
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の多構成要素ファイバ束を含む編組複合ヤーンであって、前記各1つまたは複数の多構成要素ファイバ束が、編組の前にボビン上に一緒に並列に共巻きされ
た1つまたは複数の
第1の構成要素および少なくとも1つの
第2の構成要素を含み、
前記第1の構成要素が、選択された機能的特性を前記編組複合ヤーンに提供する第1の材料からなり、前記第2の構成要素が、選択された機械的特性を前記編組複合ヤーンに提供する第2の材料からなり、前記1つまたは複数の
第1構成要素の少なくとも1つが
、絶縁された導体を含む、編組複合ヤーン。
【請求項2】
前記1つまたは複数の
第1の構成要素の少なくとも1つが、プラスチック、ガラス
、ニッケル-チタン合金、ニッケル-クロム合金
、導電性ヤーン、および圧電ヤーンからなるグループから選択される
前記第1の材料を含み、前記少なくとも1つの
第2の構成要素が
、パラ-アラミド、メタ-アラミド、シリカ、石英、ナイロン、ポリエステル、綿、およびウールからなるグループから選択される
前記第2の材料を含む、請求項1に記載の編組複合ヤーン。
【請求項3】
前記第1の材料が
、添加剤、コーティング、またはめっきを含む、請求項
1に記載の編組複合ヤーン。
【請求項4】
前記添加剤、コーティング、またはめっきが、前記第1の材料の電気的、機械的、光学的、表面、または視覚的特性を変更するように構成された、請求項3に記載の編組複合ヤーン。
【請求項5】
前記少なくとも1つの
第2の構成要素の最大破断伸びが、前記1つまたは複数の
第1の構成要素の弾性限界未満である、請求項1に記載の編組複合ヤーン。
【請求項6】
前記1つまたは複数の多構成要素ファイバ束が、追加の
第2の構成要素と共に編組され
た、請求項1に記載の編組複合ヤーン。
【請求項7】
1つまたは複数の電子デバイスまたは電磁デバイスの少なくとも一部を形成するように構成された、請求項1に記載の編組複合ヤーン。
【請求項8】
前記各デバイスが、インダクタ、コンデンサ、アンテナ
、伝送線路
、集積回路間(I
2C)ネットワーク、データネットワーク
、イーサネットネットワーク、電力ネットワーク、アクティブ加熱素子、抵抗ジュール加熱器、電力線
、チョーク
、センサ
、分散センサネットワーク、
およびセンサアレイ
からなるグループから選択される、請求項7に記載の編組複合ヤーン。
【請求項9】
コアを含む、請求項1に記載の編組複合ヤーン。
【請求項10】
前記コアが
、導電性、誘電性、絶縁性、強磁性、超弾性、形状記憶性、およびパラ-アラミドからなるグループから選択される1つまたは複数の特性を有する、請求項9に記載の編組複合ヤーン。
【請求項11】
前記コアが、張力下での前記編組複合ヤーンの変形を制限する、請求項9に記載の編組複合ヤーン。
【請求項12】
請求項1に記載の前記編組複合ヤーンを使用する方法であって、前記方法が、前記編組複合ヤーン
をテキスタイルに組み込むことを含む方法。
【請求項13】
前記編組複合ヤーンを前
記テキスタイルに縫い付けること、前
記テキスタイルの経糸もしくは緯糸に前記ヤーンを織り込むこと、CNC刺繍、テーラードファイバ配置、またはCNC機械を使用することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記編組複合ヤーンがコンピュータ支援設計(CAD)を使用して
設計される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記縫製ステップが、縫製または刺繍機のボビン機構に装填された前記編組複合ヤーンとともに上糸を使用して形成された直線縫いステッチを使用して前記ヤーンを前
記テキスタイルに取り付けることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記上糸がメタ-アラミド糸またはパラ-アラミド糸である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記編組複合ヤーンを、前
記テキスタイルに取り付けられた電子構成要素またはプリント回路基板(PCB)貫通孔に直接はんだ付けすることをさらに含み、
絶縁された前記1つまたは複数の
第1の構成要素の少なくとも1つから絶縁体が、はんだ付けデバイスからの熱を使用して除去されることで、はんだ付けの前に
、絶縁された前記少なくとも1つの
第1の構成要素から前記絶縁体を剥離することは必要とされず、
前記少なくとも1つの
第2の構成要素が、はんだ付け温度よりも高い分解温度を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
編組複合ヤーンを製造する方法であって、前記方法が、
第1の多構成要素ファイバ束を形成するために、1つまたは複数の
第1の構成要素および少なくとも1つの
第2の構成要素を並列に巻き付けるステップと、
前記第1の多構成要素ファイバ束を第2の多構成要素ファイバ束および/または
第2の構成要素で編組するステップとを含
み、
前記第1の構成要素が、選択された機能的特性を前記編組複合ヤーンに提供する第1の材料からなり、前記第2の構成要素が、選択された機械的特性を前記編組複合ヤーンに提供する第2の材料からなり、前記1つまたは複数の第1構成要素の少なくとも1つが、絶縁された導体を含む、方法。
【請求項19】
前記巻き付けステップが、前記多構成要素ファイバ束を単一の編組ボビンに巻き付けることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記編組するステップが、前記編組複合ヤーンにコアを組み込むことを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記プラスチックが押出導電性ポリマーを含む、請求項2に記載の編組複合ヤーン。
【請求項22】
前記アンテナが、折り畳み可能なアンテナ構造体を含み、
前記伝送線路が、ツイストペア伝送線路、またはシリアルデータバスを含み、
前記センサが、静電容量式タッチセンサまたは歪みセンサを含み、または、
前記インダクタが、電磁石または変圧器を含むことを特徴とする請求項8に記載の編組複合ヤーン。
【請求項23】
前記コアが、中実または中空であることを特徴とする請求項9に記載の編組複合ヤーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年12月17日に出願された米国仮特許出願第62/780687号明細書の出願の優先権および利益を主張し、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、例えば、テキスタイル集積電子システム(TIES)の構築に使用することができる、導電性ヤーンまたは糸を含む、編組複合ヤーンまたは糸に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の編組複合ヤーンおよび糸は、伝統的な電気および電子素子のテキスタイルへの統合を可能にする。それらは、縫製、刺繍、テーラードファイバ配置、および製織に適合し、または伝統的および技術的なテキスタイルおよびテキスタイルシステムの両方の動作要件を満たすかまたは超える。
以下の説明は、いくつかの刊行物および参考文献を参照することができることに留意されたい。本明細書におけるそのような刊行物の議論は、科学的原理のより完全な背景のために与えられており、そのような刊行物が特許性決定の目的のための先行技術であることの承認として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、1つまたは複数の多構成要素ファイバ束を含む編組複合ヤーンであり、各1つまたは複数の多構成要素ファイバ束は、1つまたは複数の機能的構成要素および少なくとも1つの構造的構成要素を含む。1つまたは複数の機能的構成要素の少なくとも1つは、好ましくは導体を含み、導体は好ましくは絶縁されている。導体は、好ましくは、層状ポリウレタンおよび/またはポリアミド絶縁体で絶縁された44AWG銅線を含む。導体は、任意選択的に、抵抗ジュール加熱に適した十分に高い抵抗率および十分に低い抵抗温度係数を伴う材料を含む。1つまたは複数の機能的構成要素の少なくとも1つは、好ましくは、プラスチック、ガラス、光ファイバ材料、ニッケル-チタン合金、ニッケル-クロム合金、押出導電性ポリマー、導電性ヤーン、および圧電ヤーンからなるグループから選択される材料を含む。材料は、任意選択的に、その電気的、機械的、光学的、表面、視覚的、または他の特性を変更するための添加剤、コーティング、またはめっきを含む。少なくとも1つの構造的構成要素は、好ましくは、合成、天然、結合パラ-アラミド、メタ-アラミド、シリカ、石英、ナイロン、ポリエステル、綿、およびウールからなるグループから選択される材料を含む。少なくとも1つの構造的構成要素の直径は、好ましくは、1つまたは複数の機能的構成要素の直径の少なくとも約2倍である。少なくとも1つの構造的構成要素の最大破断伸びは、好ましくは、1つまたは複数の機能的構成要素の弾性限界未満、好ましくは約10%未満である。少なくとも1つの構造的構成要素は、好ましくは、編組複合ヤーンが張力を受けているときに平坦になることである。1つまたは複数の多構成要素ファイバ束は、任意選択的に、追加の構造的構成要素と共に編組される。1つまたは複数の機能的構成要素は、好ましくは、編組複合ヤーンの表面でアクセス可能である。編組複合ヤーンは、任意選択的に、1つまたは複数の電子または電磁デバイスの少なくとも一部を形成するように構成され、各デバイスは、好ましくは、インダクタ、コンデンサ、アンテナ、折り畳み可能なアンテナ構造体、伝送線路、集積回路間(I2C)ネットワーク、データネットワーク、シリアルデータバス、イーサネットネットワーク、電力ネットワーク、アクティブ加熱素子、電力線、電磁石、チョーク、変圧器、センサ、静電容量式タッチセンサ、歪みセンサ、分散センサネットワーク、センサアレイ、およびフィルタからなるグループから選択される。1つまたは複数の多構成要素ファイバ束のうちの1つの1つまたは複数の機能的構成要素は、任意選択的に、ツイストペア伝送線路を形成する2つの導体を備える。編組複合ヤーンは、任意選択的に、コアを含み、コアは、好ましくは、中実、中空、導電性、誘電性、絶縁性、強磁性、超弾性、形状記憶性、およびパラ-アラミドからなるグループから選択される1つまたは複数の特性を有する。コアは、好ましくは、張力下で編組複合ヤーンの変形を制限する。
【0005】
本発明の別の実施形態は、請求項1に記載の編組複合ヤーンを使用する方法であって、本方法は編組複合ヤーンを活性テキスタイルに組み込むことを含む方法である。本方法は、任意選択的に、編組複合ヤーンを活性テキスタイルに縫い付けることを含む。縫製ステップは、好ましくは、紡績糸またはマルチフィラメント糸、好ましくは、メタアラミド糸を含む上糸の直線縫製ステッチを使用してヤーンを活性テキスタイルに取り付けることを含むことが好ましい。ステッチは、好ましくは、周期的であり、それによってヤーンの機械的に隔離されたサブドメインを形成する。隣接するステッチは、好ましくは、約1mm~2mmの間で離間される。編組複合ヤーンは、好ましくは、縫製または刺繍機のボビンに装填される。代替的に、本方法は、活性テキスタイルの経糸または緯糸にヤーンを織り込むことを含む。本方法は、任意選択的に、活性テキスタイルに取り付けられた電子構成要素またはプリント回路基板貫通孔に編組複合ヤーンを直接はんだ付けすることを含み、この場合、はんだ付けの前に絶縁体を剥離する必要なく、好ましくは、はんだ付けデバイスからの熱を使用して、1つまたは複数の機能的構成要素の少なくとも1つから絶縁体が除去される。少なくとも1つの構造的構成要素は、好ましくは、はんだ付け温度よりも高い分解温度を有する。本方法は、好ましくは、エポキシポッティング化合物を使用して電子構成要素を活性テキスタイルに直接封入することを含み、好ましくは、コンピュータ支援設計(CAD)を使用して編組複合ヤーンを引き回すことを含み、それによって、組み込みステップは、CNC刺繍、テーラードファイバ配置、またはCNC機械を使用することを含む。
【0006】
本請求項の別の実施形態は、編組複合ヤーンを製造する方法であって、本方法は、第1の多構成要素ファイバ束を形成するために、1つまたは複数の機能的構成要素および少なくとも1つの構造的構成要素を並列に巻き付けるステップ、ならびに第1の多構成要素ファイバ束を第2の多構成要素ファイバ束および/または構造的構成要素で編組するステップを含む。巻き付けステップは、好ましくは、多構成要素ファイバ束を単一の編組ボビンに巻き付けることを含む。巻き付けステップは、好ましくは、張力下で行う。編組するステップは、任意選択的に、第1の多構成要素ファイバ束を含む第1の編組ボビン、および第2の多構成要素ファイバ束または構造的構成要素を含む第2の編組ボビンを、バランスのとれたハーフキャリア構成で編組機に装填することを含む。編組するステップは、好ましくは、回転、紐、正方形、半径方向、2軸、3軸、2次元、および3次元からなるグループから選択される編組機を使用することを含む。編組するステップは、任意選択的に、編組複合ヤーンにコアを組み込むことを含む。編組するステップは、好ましくは、編組ボビンキャリヤの回転速度に対する編組機の引き取り速度を選択すること、および1つまたは複数のガイドリングを使用することを含む。
【0007】
本発明の目的、利点および新規な特徴、ならびにさらなる適用範囲は、添付の図面と併せて挙げられた、以下の詳細な説明に部分的に記載され、部分的には以下を検討することによって当業者に明らかになり、または本発明の実施によって習得され得る。本発明の目的および利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される手段および組み合わせによって実現および達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の実施形態の実施を示し、説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は、本発明の特定の実施形態を例示するためのものにすぎず、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0009】
【
図1A】本発明の多構成要素ファイバ束の同時並列巻き付けの方法を示す図である。
【
図1B】編組ボビンに巻き付けられた
図1Aの多構成要素ファイバ束の拡大図を示す。
【
図2】本発明の編組複合ヤーンの編組の方法を示す図である。
【
図5】TIESテキスタイルに送られ、縫い付けられた本発明の編組複合ヤーンの写真である。
【
図6】編組複合ヤーンのTIESテキスタイルへの取り付けを詳述する
図5の拡大図である。
【
図7】エポキシポッティング化合物を使用してテキスタイル基板に直接封入されたプリント回路基板(PCB)を示す写真である。
【
図8】別個のアドレス指定可能な発光ダイオード(LED)に相互接続するためのデータ、電力、および接地線を形成するために布地の緯糸に織られた本発明の3本の編組複合ヤーンを含む織布を示す写真である。
【
図9】インダクタを形成するように構成された本発明の編組複合ヤーンを示す図である。
【
図10】本発明の編組複合ヤーンを布地に製織した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つまたは複数の実施形態は、好ましくは、1つまたは複数の導体および1つまたは複数の構造的ヤーンを1つまたは複数のボビンに同時並列に巻き付けるステップ、およびボビンを編組機に装填して、機械的に拘束された導体を伴うコアレス糸構造を製造するステップを含む、編組複合ヤーンおよび糸ならびにその製造の方法である。本発明のいくつかの実施形態の利点は、直接的なはんだ付け、ならびに機械的および電気的に健全なはんだ継手の形成を可能にする、体積によるヤーンまたは糸の高い導体含有量のために、個々の導体の直接操作が不要であること、導体の絶縁の局所的な除去は、はんだ付けプロセス中の熱の印加によって達成することができ、完全に封入された経路を伴うテキスタイル集積電子システムの構築を可能にすること、可撓性および剛性の両方のPCBと貫通孔取り付け部との互換性、高速製造作業中および使用中の高い機械的および電気的信頼性、ならびにツイストペア伝送線路、空気および強磁性コアインダクタ、コンデンサ、およびアンテナを含む集積電磁構造との互換性である。
【0011】
本明細書および特許請求の範囲を通して使用される場合、「ヤーン」という用語は、ヤーンまたは糸を意味する。本明細書および特許請求の範囲を通して使用される場合、ヤーンの構成要素ファイバを指す「構造的」という用語は、耐荷重性を意味し、機械的構造および安定性を提供する。本明細書および特許請求の範囲を通して使用される場合、ヤーンの構成要素ファイバを指す「機能的」という用語は、電気的、電子的、光学的、電磁的、感知、加熱、作動、化学的または物理的機能などを提供することを意味する。本明細書および特許請求の範囲を通して使用される場合、「複合」という用語は、構造的および機能的構成要素の両方を含むことを意味する。本明細書および特許請求の範囲を通して使用される場合、「多構成要素ファイバ束」という用語は、編組の前にボビン上に一緒に並列に共巻きされる1つまたは複数の機能的構成要素および少なくとも1つの構造的構成要素を意味する。本明細書および特許請求の範囲を通して使用される場合、「活性テキスタイル」という用語は、電気的活性テキスタイル、電気的に機能的テキスタイル、eテキスタイル、スマートテキスタイル、テキスタイル統合電子システム(TIES)、ソフトシステム、機能化ソフトシステム、複合システム、構造統合システム、スマートテキスタイル、衣類などを意味する。
【0012】
本発明の編組複合ヤーンは、テキスタイルの表面領域にわたる電子デバイスの選択的な配置および相互接続を可能にし、機能化ソフトおよび複合システム、例えばスマートテキスタイル、統合された構造的ヘルスモニタリングを伴う複合体、または従来の電気的、電子的、および電磁的能力を、ミッションクリティカルな作業に適した、従来の機械的目的のみに使用される材料の構築に直接統合する他のデバイスの開発を可能にする。電子的能力の追加により被るテキスタイル一体化コストおよび関連する能力低下要素を最小限に抑えることにより、編組複合ヤーンは、広範囲の分散型ソフトおよび構造一体化システムの探究および開発を可能にする。これらの編組複合ヤーンによって可能になる有望な能力には、分散センサネットワーク、折り畳み可能なアンテナ構造、構造統合データおよび電力ネットワーク、構造統合アクティブ加熱、および広域コンフォーマルセンサアレイが含まれる。
【0013】
本発明の編組複合ヤーンは、好ましくは、システムのテキスタイルまたは電気性能特性に悪影響を及ぼすことなく、テキスタイルおよび電子システムの異なる要件の間のバランスをとるように設計される。それらは、好ましくは、従来のテキスタイルおよび電子製造方法および機械に適合し、それらの大規模な適用を可能にする。
【0014】
図1Aに示すように、本発明の多構成要素ファイバ束の一実施形態は以下のようにして製造される。機能的構成要素、例えば絶縁銅線(好ましくは44AWG)がスプール120、160に巻き付けられる。中央スプール140は、例えば結合されたTex21パラ-アラミド(Kevlar(登録商標))ヤーンなどの構造的構成要素で巻かれている。スプール120、160からの機能的構成要素およびスプール140からの構造的構成要素は、好ましくは並列巻き付け機を使用して、単一の編組ボビン180上に並列同時に共巻されて、
図1Bの編組ボビン180の拡大図に示される、連続した多構成要素ファイバ束130を形成することが好ましい。並列共巻きは張力下で行われることが好ましく、多構成要素ファイバ束130は編組ボビン180上で張力を維持したままであるため、多構成要素ファイバ束の機能的構成要素は、その後の製造ステップで構造的構成要素から分離しない。
図1A~
図1Bに示す実施形態では、多構成要素ファイバ束130は、2つの機能的構成要素170および1つの構造的構成要素150を含む。しかしながら、多構成要素ファイバ束は、任意の数の機能的構成要素および任意の数の構造的構成要素を含んでもよい。複数の個別の導体は、システムの信頼性を高め、電流容量を増加させるための冗長性を提供する。編組プロセスの前に多構成要素ファイバ束を形成するための導体およびパラ-アラミドヤーンの同時並列巻きは、製造中および製造後の両方で、導体が受けるねじれおよび結果としての応力を低減する。
【0015】
図2に示すように、一実施形態では、4つの編組ボビン210、220、230、240が同様の方法で準備され、その後、それらは、好ましくは、ボビン210、220が時計回りに移動し、ボビン230、240が蛇行運動で反時計回りに移動するように、バランスのとれた
クオーターキャリア構成でメイポール編組機に装填される。次いで、編組機は、好ましくはコアまたはマンドレルを使用せずに、機械的に拘束された機能的構成要素を伴い、最小限のねじれおよび小さな編組角度で螺旋状に絡み合ったヤーン構造を形成する。任意の数のこのような編組ボビンを使用することができ、編組ボビンは、同じまたは異なる多構成要素ファイバ束を含むことができる。構造的材料のみを含む1つまたは複数の他の任意選択のボビンは、任意選択的に、所望の糸サイズおよび構造でヤーンを編組するために、必要に応じて編組機に追加で装填されてもよい。この構成は、2軸または2次元(2D)編組を製造するが、本発明の実施形態は、3軸または3次元(3D)編組機で製造することができる。
【0016】
結果としての編組複合ヤーンは、ヤーンの構造内の運動の範囲を制限することによって、埋め込まれた機能的構成要素に固有の張力緩和を提供する。これらのヤーンの編組運動学は、多構成要素ファイバ束の長手方向軸に垂直な圧縮力を加えて張力をかけると、その直径が減少するようなものである。これは、主要な耐荷重構成要素として機能する構造的構成要素に寄与し、機能的構成要素を望ましくない荷重および損傷から保護する。機能性材料は、好ましくは、構造部材に拘束されて保持され、テキスタイル製造プロセスおよび使用中に機械的に一貫した安定した構造を可能にする。機能的構成要素に対する構造的構成要素の比は、意図された用途に必要とされるようにヤーンの機械的または電気的特性を調整するために変えることができる。
【0017】
本発明の編組複合ヤーン内に含まれる機能性材料の機械的保護にも寄与するのは、好ましくは組み込まれた機能的構成要素の直径の少なくとも2倍である、構造的構成要素の選択である。これは、破断につながる可能性がある摩耗および曲げ半径から機能的構成要素を保護するのに役立つ。破損前の構造的構成要素の最大伸びは、好ましくは、機能的構成要素の弾性限界未満であり、したがって、編組複合ヤーンが機能的構成要素の変形または疲労およびその後の劣化に起因して破損しないことを確実にする。したがって、構造的構成要素は、ヤーンの主要な耐荷重構成要素として機能し、導体または他の機能的構成要素を望ましくない応力および損傷から保護する。この特徴は、編組構造の運動学と組み合わされて、編組複合ヤーンが張力を受けている間に機能性材料が塑性変形または破壊を受けないことを確実にする。これらの特徴は、好ましくは、縫製、刺繍、および製織を含むテキスタイル製造プロセスを通して、ならびに動作使用中に機械的に一貫した安定した構造を可能にする。
【0018】
可能であれば、本発明の複合編組ヤーンにおける構造的構成要素として使用するために、連続した複数のフィラメントから構成される結合ヤーンまたはヤーンが好ましい。しかしながら、構造的構成要素は、目的の用途のための所望の機械的特性を達成するために必要な任意の材料を含むことができる。パラ-アラミドなどのこれらの材料の多くは、それらの分子結晶性および構造的連続性のために10%未満の破断伸びを有する。構造的構成要素内のねじられた連続フィラメントの表面に塗布された接着剤は、構造的構成要素が製造中に均一な幾何学的形状を維持することを確実にする。これは、編組複合ヤーンが張力を受けているときに平坦化、あるいは変形する材料の能力を著しく制限せず、これは、機能的構成要素に歪みを与えることなく機能的構成要素の動きを制限する構造的構成要素の能力に寄与する。この効果はまた、各多構成要素ファイバ束内の構造的材料の長さに沿った機能性材料の並列集積によって支援される。
【0019】
本発明の編組複合ヤーンは、好ましくは、直径を小さくするためにコアレスであり、既存の導電性ヤーンでは対処できない用途を可能にする。加えて、導体がコアにある既存のヤーンとは異なり、本発明の編組複合ヤーンは、ヤーンの外部で相互接続するために、機能性材料、例えば導体に直接アクセスすることを可能にする。
【0020】
本発明の編組複合ヤーンは、それらの機能的および構造的材料を選択し、材料の含有比率を変えることによって、様々な用途のために設計することができる。例えば、本発明のいくつかの実施形態は、データおよび電力の送受信のために設計され、テキスタイル集積電気システムの構築を可能にする。この用途のために、ヤーンは、好ましくは、別個の44AWG銅、銅合金、または層状ポリウレタンおよびポリアミド絶縁体を伴う銅めっき導体、ならびに結合されたTex21パラ-アラミドヤーンを含む。テキスタイル統合データおよび電力ネットワークを超えて、抵抗の低温係数(ニクロムなど)または超弾性(ニチノールなど)を示すように設計された合金などの他の機能性材料および構造を利用することにより、ヤーンは、加熱、作動および感知などの用途に使用することができる。製造されるヤーンの所望の機械的特性を達成するために、異なる構造的材料を選択することができる。
【0021】
本発明の編組複合ヤーンは、好ましくは、連続ヤーンとして機能的であり、構築中に織物の経糸または緯糸に選択的に直接一体化することができる。これらの機能化織物は、衣類、剛性複合材、可撓性複合材、または織布を組み込んだ任意の他のシステムの構築に使用することができ、追加の電気的、電子的、または電磁的能力が価値を提供する。同様に、編組複合ヤーンは、可撓性および剛性複合材料の構築に使用するためのより大きな編組構造の部材として組み込むことができる。
【0022】
編組複合ヤーンは、機能性材料のファイバ処理経路を編組内に選択的に組み込むことによって、一体化された電磁構造および電子構造で設計することができる。これらのファイバ経路の幾何学的形状は、組み込まれたコア材料の直径(使用される場合)、構造的構成要素の直径および量、キャリアの回転速度に対するブレイダーの引き取り速度、ガイドリングの量、直径、および位置の使用、ならびに編組された多構成要素ファイバ束が交錯する角度を変更することによって変えることができる。次いで、機能性材料の量および種類を選択して、インダクタ、コンデンサ、アンテナ、および伝送線路を含む設計された電磁および電子構造を伴う編組複合ヤーンを製造することができる。本発明の編組複合ヤーンはまた、テキスタイルの表面積を活用して、集積テキスタイル回路の通電容量をさらに分配および増加させて、電気的に並列に接続することができる。
【0023】
編組複合ヤーンがテキスタイルになり、例えば一体化されたテキスタイルデータおよび電力ネットワークを形成する経路、およびその上の相互接続位置は、コンピュータ支援設計(CAD)を使用して設計することができる。次いで、これらの設計は、好ましくは、デジタル化ソフトウェアにインポートされ、適切なステッチおよびシーケンスが各経路に対して構成され、CNC刺繍、テーラードファイバ配置、またはCNC機械によって使用されるファイルフォーマットに変換される。好ましくは、これらの経路を作成するために従来の直線ステッチのみが採用され、市販の大型CNC縫製およびキルティング機をそれらの構築に採用することを可能にする。加えて、本発明の編組複合ヤーンは、好ましくは、いかなる3次元ステッチも作成する必要なく、従来の直線縫いステッチのみを使用して固定される。採用される縫合されたステッチ構造はまた、好ましくは、一体化された編組複合ヤーンの長さに沿って機械的サブドメインを形成することによって、機械的なステッチ間分離を支援する。この利点は、編組複合ヤーンを織物に組み込むときにも観察される。
【0024】
はんだ付けは、信頼性のある恒久的な電気機械的相互接続を形成する好ましい方法である。本発明の編組複合ヤーンは、従来の相互接続方法および特定用途向け相互接続方法の両方を使用して、電子構成要素に直接はんだ付けすることができる。これは、好ましくは、ヤーンの導体含有量、パラ-アラミドなどの構造的材料の高い分解温度、および熱の印加によって除去可能な導体のポリマー絶縁によって可能になり、それによって導体へのアクセスを得るための2次の機械的または化学的剥離プロセスの必要性を排除する。編組複合ヤーンの構造はまた、除去を必要とするコアまたは下層に導体を組み込む典型的なはんだ付け可能な導電性ヤーンとは異なり、はんだ付けされる導体と電子構成要素との間のギャップ距離が小さい信頼性のある相互接続のために、外部の導体にアクセスすることを可能にする。典型的なはんだの高い湿潤能力および低い表面張力は、それが流れて編組複合ヤーン内に組み込まれた導体に適合することを可能にする。
【0025】
編組複合ヤーンは、従来のPCB貫通孔に直接はんだ付けされて、一体化された機械的張力緩和を伴うはんだ接合部を形成することができる。そのようなはんだ付けのための多くの異なる方法を使用することができるが、一実施形態では、編組複合ヤーンのループが、ステッチまたは他の機械的手段によって所望の接続位置に形成される。このループは、ヤーンが接続される穴を通してPCBに挿入される。錫めっきされた銅線または銅編組などのはんだ付け可能な材料片は、ループを通過し、好ましくは、編組複合ヤーン内に含まれるすべての導体への熱伝達を助けるためにループに結び付けられる。ループの動きを制限するために、残りの弛みをループから除去することが好ましい。次いで、相互接続される材料は、はんだ融点、典型的には摂氏376度まで加熱される。はんだは接合部で流れて局所的なはんだ槽を形成し、好ましくは、相互接続位置に存在するすべての導体に接触する。最後に、熱源を取り除き、接合部を冷却して固化させてから運動させる。
【0026】
本発明の編組複合ヤーンを使用してシステムを設計および製造するために採用される方法は、TIESテキスタイルの表面積全体にわたる電子デバイスの選択的な配置および相互接続を可能にし、ミッション作業に適した機能化ソフトシステムの開発を可能にする。電子的能力の追加により被るテキスタイル統合コストおよび関連する能力低下要素を最小限に抑えることにより、これらの方法は、衣類および構造統合分散センサネットワーク、生理学的モニタリングシステム、アクチュエータネットワーク、折り畳み可能なアンテナ構造、データおよび電力ネットワーク、アクティブ加熱、および広域コンフォーマルセンサアレイなどの広範囲の分散ソフトシステムの探究および開発を可能にする。すべてのヤーンおよび糸は、好ましくは、国内で製造された材料を使用して構築され、好ましくは完全にベリーに適合している。
【0027】
本発明の編組複合ヤーンは、テキスタイル基板の動作性能および保守性に最小限の影響を与える方法および材料を使用して、従来の電気的、電子的、および電磁的要素のテキスタイルへの統合を可能にし、テキスタイル集積配電ネットワークで使用することができ、機械的劣化または2次プロセスなしで従来の電子構成要素への直接はんだ付けされた相互接続を形成することができ、テキスタイル集積回路間(I2C)、SPI、ならびにUSB2.0(またはそれ以上)シリアルデータバスおよびデバイス間通信のためのイーサネットネットワーク(シングルスレッドを使用して最大50’で実証されている)として使用することができ、テキスタイルベースの静電容量式タッチ入力に使用することができ、無線電力およびデータ転送のためのテキスタイル集積アンテナ構造を形成することができ、スレッドベースの静電容量および歪み感知を提供でき、テキスタイル集積加熱ネットワークを形成することができ、シーム、テープ、およびラミネーション技術を使用したヤーンの遮蔽および隠蔽を可能にすることができ、剛性構成要素のテキスタイル付着局所的封入化に適合し、可撓性テキスタイルシステムへの従来の電子構成要素の分散した、スケーラブルな統合を可能にし、ならびに従来のテキスタイルと電子機器製造および統合方法で使用するために設計されることが好ましい。
【0028】
本発明のシステムは、好ましくは、以下の利点の1つまたは複数を有する、すなわち、直接はんだ付けを可能にするために、体積による導体含有量のために、個々の導体の直接操作は不要である(単一の糸を伝送線路として使用する場合、導体は、好ましくは、グループ化され、ペアで終端されることに留意されたい)、はんだ接合部は、構造的構成要素によって提供される張力緩和およびヤーンの高い導体含有量により、機械的および電気的に健全である、導体の絶縁体の局所的な除去は、はんだ付けプロセス中に熱を加えることによって達成され、完全に封入された経路を可能にする、貫通孔取り付け部を伴う可撓性および剛性の両方のPCBとの互換性、導体の機械的負荷は、編組構造、構造的材料の伸びの低さ、および機能性材料と構造的材料の直径の間の関係によって最小限に抑えられる、ならびにツイストペア伝送線路、空気および強磁性コアインダクタ、コンデンサ(「ギミック」コンデンサと同様に、PTFE絶縁電線のツイストコアを組み込んでいる可能性がある)、およびアンテナを含む設計された電磁構造の製造を可能にする。
【0029】
TIESは、迅速に展開可能な機能的構造、分散コンフォーマルセンサネットワーク、および機能化複合材料を構築するために利用することができる。カスタムのロールツーロールCNC縫製機を使用して、これらのシステムは、様々な用途のために連続した長さで構築することができる。テキスタイルが従来から採用されている場合に加えて、TIESは、機械的強度、耐久性、および持続的な可撓性、小体積への充填能力、ならびに幾何学的形状および体積を迅速かつ繰り返し変化させる能力を必要とするシステムに新規な能力を追加することができる。
【0030】
(実施の形態)
(実施の形態1)
図3Aおよび
図3Bに示すように、本発明の編組複合ヤーン300は、機能的構成要素として、それぞれ層状ポリウレタンおよびポリアミド絶縁体で絶縁された2つの44AWG銅導体330、360、390、ならびに構造的構成要素として、それぞれKevlar(登録商標)ヤーン320、350、380と結合された1つのTex21とを各々が含む3つの多構成要素ファイバ束310、340、370から編組された。
【0031】
(実施の形態2)
図4Aおよび
図4Bに示すように、本発明の編組複合ヤーン400は、機能的構成要素として、それぞれ層状ポリウレタンおよびポリアミド絶縁体で絶縁された2つの44AWG銅導体420、440、460、480、ならびに構造的構成要素として、それぞれKevlar(登録商標)ヤーン415、435、455、475と結合された1つのTex21とを各々が含む4つの多構成要素ファイバ束410、430、450、470から編組された。この構成は、2つのペアの多導体ツイストペアを形成し、これは、RS422およびイーサネットなどの差動シグナリング用途に使用することができ、あるいは代替的に、単一の編組複合ヤーンに電力および信号ペアを形成するために使用することができる。この構成は、単一ヤーンを使用して50フィートでは10mbps、および6フィートで100mbpsを伝送することができた。
【0032】
(実施の形態3)
図5は、CNC刺繍機を使用してTIESプロトタイプの1000デニールのナイロンCordura(登録商標)織布に適用された実施の形態2のストレートステッチ編組複合ヤーンの経路を示している。Tex27紡績Nomex(登録商標)メタ-アラミド糸を、その機械的構造および性能のための最上糸として使用した。紡績構造は、複合編組を捕捉するときに糸を平らにすることを可能にし、結合糸またはモノフィラメント糸よりも広い表面積にわたって張力を分散させ、したがって複合編組における導体に対する過度の応力を防止する。編組複合ヤーンは、製造プロセス中にヤーンが最小限の歪みを受けることを確実にするために、上糸と交錯する一連のループを形成する刺繍機のボビン機構に排他的に装填された。上糸は、典型的には、針が反転する方向にあるときに圧縮の期間を経過するが、ボビン上の編組複合ヤーンは、常に張力を受けており、したがって、編組複合ヤーンの機能的構成要素にいかなる望ましくない変形も伴わずに信頼できる粘着の形成を確実にする。編組複合ヤーンを使用して、2つのPCB630、640の間にDC電力線610および集積回路間データネットワーク620を形成した。ヤーンはまた、静電容量式タッチセンサ650として、振動モータ660、スピーカ670、およびLED680を駆動するために使用された。PCB640が外部の5VDC電源に接続されたときに、電力線610を使用して電池690も充電された。各静電容量式タッチセンサの起動により、左の2つの静電容量式タッチセンサ650ならびに振動モータ660およびスピーカ670それぞれに対するタッチの持続時間にわたって、そのセンサの上方の出力デバイスを動作させた。LED680の下の右端の静電容量式タッチセンサ650の起動は、1個、2個、3個、およびゼロ個のLED680の連続的な起動を介して循環した。すべての電子構成要素を編組複合ヤーンに直接はんだ付けした。
図6は、Tex27紡績Nomex(登録商標)糸を使用してTIESプロトタイプのテキスタイル基材に縫い付けられた編組複合ヤーンの詳細を示す。
【0033】
(実施の形態4)
露出した電子構成要素および導体の環境および物理的保護は、システムの信頼できるフィールディングにとって重要である。これは、エポキシポッティング化合物などのコンフォーマル封入剤を使用して達成することができる。基礎となる電子機器へのアクセスがミッション作業にとって価値がある環境的に強化された筐体も開発することができる。
図7は、エポキシポッティング化合物を使用してテキスタイル基板に直接封入されたPCBを示している。
【0034】
(実施の形態5)
図8に示すように、布地の緯糸に織られた実施の形態1の3本の編組複合ヤーンを含む織布を構築した。システムの電子機器筐体800の左側で終端するのは、個別のアドレス指定可能な赤緑青(RGB)発光ダイオード(LED)810に相互接続するためのデータ、電力、および接地線を形成する3本の編組複合ヤーンである。電子機器筐体800の右側で終端する編組複合ヤーンは、静電容量式タッチセンサとして機能し、各タッチでプログラムされた色シーケンスを通してLED810をステッピングする。電子機器筐体800の右側に元々存在していた緯糸に織り込まれた上側および下側の編組複合ヤーンを切断して除去した。
【0035】
(実施の形態6)
図9は、インダクタを形成するように構成された本発明の編組複合ヤーンを示している。編組複合ヤーン900は、2つのTex21結合Kevlar(登録商標)ヤーン950、960および2つの多構成要素ファイバ束915、935から編組され、各多構成要素ファイバ束は、機能的構成要素として、それぞれ層状ポリウレタンおよびポリアミド絶縁体で絶縁された2つの44AWG銅導体920、940を含み、構造的構成要素として、それぞれ1つのTex21結合Kevlar(登録商標)ヤーン910、930を含み、すべてコア(図示せず)の上に編組された。ヤーンのいくつかは、コアとしてTex21結合Kevlar(登録商標)ヤーンを含み、いくつかはパーマロイ(強磁性)コアを含んでいた。コアのサイズおよび材料は、インダクタの所望の電磁特性を生成し、編組の所望の直径を達成するように選択された。構築中、多構成要素ファイバ束915、935を含む2つの編組ボビンは時計回りに移動し、Kevlar(登録商標)ヤーン950、960を含む2つの編組ボビンは反時計回りに移動した。この実施の形態の編組角度は、より密なコイルを形成するために実施の形態1および2の編組角度よりも高く、導体の長さ当たりの巻数を増加させ、それによってインダクタンスを増加させる。コアは、そうでなければ張力下で大幅に形状が変化する、高い編組角度ヤーンを安定化させるのに役立った。
【0036】
(実施の形態7)
図10は、テキスタイル集積回路の形成においてデータ、電力、および接地線として使用するための横糸として選択的に織られた3本の水平編組複合ヤーンを伴う織物を示している。
【0037】
(実施の形態8)
抵抗ジュール加熱と容量性近接感知の両方を必要とする用途のために、多機能性の多材料編組複合ヤーンが構築されている。編組複合ヤーンは、3つの多構成要素束を使用して構成され、2つの束はそれぞれ、1つのTex21結合Kevlar(登録商標)ヤーンおよび1つの絶縁44AWG Cu55Ni45合金電線を含んでいた。残りの多構成要素束は、1つのTex21結合Kevlar(登録商標)ヤーンおよび1つの絶縁44AWG銅導体を含んでいた。44AWG Cu55Ni45合金電線は、フラックスおよびSn96.5Ag3.5はんだを使用して編組複合ヤーンの一方の終端部で一緒にはんだ付けされ、したがって残りの終端部で抵抗ジュール加熱のための適切な回路への接続を可能にし、完全な電気回路を形成した。残りの44AWG銅導体は、スイッチングまたは他の用途のための静電容量センサとして使用するために、編組複合ヤーンのこの同じ端部で適切な回路に終端された。
【0038】
(実施の形態9)
直径0.003インチの超弾性ニチノールコアを伴う編組複合ヤーンは、歪みセンサを形成するように構成されている。ヤーンは、3つのTex21Kevlar(登録商標)ヤーンならびに1つのTex21結合Kevlar(登録商標)ヤーンおよびニチノールコアの周りに一緒に編組された1つの44AWG絶縁導体を含む1つの多構成要素束を含んでいた。ニチノールコアを、フラックスおよびSn96.5Ag3.5はんだを使用して編組複合ヤーンの一方の終端部で44AWG導体にはんだ付けした。ニチノールコアの残りの終端部と44AWG絶縁導体との間の電気抵抗を適切な回路によって測定した。Tex21Kevlar(登録商標)の構造的構成要素および編組角度は、その寿命にわたってニチノールコアの一貫した歪み抵抗感知応答を確実にするために、編組複合ヤーンの最大伸びが8%以下であるように選択された。編組複合ヤーンは、8%の機械的限界まで伸長すると、電気抵抗の予測可能な変化を示し、したがって歪みセンサとしての使用に適していることを示した。
【0039】
明細書および特許請求の範囲において、「約」または「およそ」とは、引用された数値の20パーセント(20%)以内を意味する。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「機能的グループ」への参照は、1つまたは複数の機能的グループを指し、「方法」への参照は、当業者によって理解および認識されるであろう同等のステップおよび方法への言及などを含む。
【0040】
本発明は、開示された実施形態を特に参照して詳細に説明されているが、他の実施形態も同じ結果を達成することができる。本発明の変形および変更は当業者には明らかであり、すべてのそのような変更物および均等物を網羅することが意図されている。上記で引用したすべての特許および刊行物の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。