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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】車載オーディオシステム
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240425BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B60R11/02 C
G01C21/36
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023194640
(22)【出願日】2023-11-15
【審査請求日】2023-11-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596078256
【氏名又は名称】フジ電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岡 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】垂水 伸行
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3104005(JP,U)
【文献】特許第7343949(JP,B1)
【文献】特開2013-244955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
G01C 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載表示装置に複数の信号線によって車両状態情報を送信する車載オーディオシステムであって、前記複数の信号線のうち少なくとも一つに接続されて車両走行中に前記車載表示装置の視聴を可能にするためのテレビキャンセラ機能を少なくとも有する車両情報制御装置を備えており、
前記車両情報制御装置が前記車載表示装置の視聴を可能にする車両状態情報を当該車載表示装置に送信している状態から、当該車載表示装置の視聴を不可とする操作または制御が行われた際、前記車載表示装置に送信される前記各信号線からの車両状態情報を少なくとも所定期間一致させる信号処理を前記車両情報制御装置が行い、当該所定期間は前記各信号線からの車両状態情報が一致していることを前記車載表示装置が認識するまでの期間とされていることを特徴とする車載オーディオシステム
【請求項2】
車載表示装置に複数の信号線によって車両状態情報を送信する車載オーディオシステムであって、前記複数の信号線のうち少なくとも一つに接続されて車両走行中に前記車載表示装置の視聴を可能にするためのテレビキャンセラ機能を少なくとも有する車両情報制御装置を備えており、
前記車載表示装置の視聴を不可とする車両状態から、当該車載表示装置を視聴するための操作または制御が行われた際、前記車載表示装置に送信される前記各信号線からの車両状態情報を少なくとも所定期間一致させる信号処理を前記車両情報制御装置が行い、当該所定期間は前記各信号線からの車両状態情報が一致していることを前記車載表示装置が認識するまでの期間とされていることを特徴とする車載オーディオシステム
【請求項3】
請求項1または2記載の車載オーディオシステムにおいて、
前記一致した車両状態情報を前記各信号線から前記車載表示装置へ送信する状態を継続した際に前記車載表示装置の視聴が不可となる条件が成立している場合、前記各信号線からの車両状態情報を一致させる前記所定期間の終了タイミングは、前記車載表示装置の視聴が不可となる状態に移行するタイミングよりも早いタイミングに設定されていることを特徴とする車載オーディオシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載オーディオシステムに係る。特に、本発明は、複数本の信号線によって車両状態情報を車載表示装置に送信するシステムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において運転を行わない助手席や後部座席の同乗者が車両走行中にテレビ視聴(DVD、HDMI(登録商標)、VTR、外部入力等の利用による視聴も含む)を可能にするためのテレビキャンセラが提案されている。従来の一般的なテレビキャンセラは、特許文献1にも開示されているように、車両走行中において車載ナビゲーション装置(車載表示装置)に対して送信している信号(車両が走行していることを表す信号(アナログ信号またはCAN-BUS信号))に代えて、車両が停止(停車)していることを模擬する模擬信号を送信することにより、車両走行中であるにも拘わらず、車両が停止していると車載ナビゲーション装置に判断させ、これによって、車両走行中のテレビ視聴を可能にしている。以下、この車両走行中のテレビ視聴を可能にする状態をテレビモードと呼ぶこととし、車両走行中のテレビ視聴が制限される純正状態をノーマルモードと呼ぶこととする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-244955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数本(例えば2本)の信号線によって車両状態情報(例えばパーキングブレーキのON/OFFの情報や車速情報等)を車載ナビゲーション装置に送信するシステムが知られている。このシステムに対してテレビキャンセラを適用する場合、例えば、複数本の信号線のうちの1本または複数本にテレビキャンセラを接続し、この信号線を利用して前述した模擬信号を車載ナビゲーション装置に送信して、車両走行中のテレビ視聴を可能にすることになる。
【0005】
しかしながら、このシステムにあっては、テレビキャンセラによる信号の処理(前記模擬信号の生成および送信の処理)に起因し、各信号線によって車載ナビゲーション装置に送信される車両状態情報が不一致となることがある。
【0006】
一例として、例えば図10に示すシステムの場合について説明する。この図10に示すシステムは、パーキングブレーキ信号に応じてテレビキャンセラcから送信される信号(例えば前述した模擬信号)が制御されるものとなっている。尚、これに限らず、車速信号やGPS信号等に応じてテレビキャンセラcから送信される信号が制御されるものもある。
【0007】
図10に示すシステムは、パーキングブレーキ信号送信部aと車載ナビゲーション装置bとの間にテレビキャンセラcを介在させたものであり、第1信号線dにテレビキャンセラcを接続し(第1信号線d上にテレビキャンセラcを介在させ)、パーキングブレーキ信号送信部aと車載ナビゲーション装置bとを第2信号線eによって接続した(テレビキャンセラcを介在させることなく接続した)構成となっている。
【0008】
例えば、パーキングブレーキがブレーキ状態(以下、この状態をパーキングブレーキON状態と呼ぶ)にあって、テレビモードでのテレビ視聴中には、図10(a)に示すように、各信号線d,eからは車両が停止していることを表す信号(以下、停止状態信号という)が車載ナビゲーション装置bに送信されている。この状態で、パーキングブレーキON状態からブレーキ解除状態(以下、この状態をパーキングブレーキOFF状態と呼ぶ)に移行された場合(例えば、車両発進時におけるパーキングブレーキの操作時等)、図10(b)に示すように、第2信号線eからは走行状態信号が車載ナビゲーション装置bに送信されるのに対し、第1信号線dからは停止状態信号(テレビ視聴を継続するための模擬信号)が車載ナビゲーション装置bに送信される状況となり、車載ナビゲーション装置bに送信される各信号線d,eからの車両状態情報が不一致となる。このような状況になると、車載ナビゲーション装置bの内部処理としては、システムに何らかの異常が生じていると判断される可能性があり、それに起因する不具合が生じる(車載ナビゲーション装置bにおいて所望の処理が行われない)状況に陥る可能性があった。
【0009】
このように各信号線d,eによって車載ナビゲーション装置bに送信される車両状態情報が不一致となる状況は、テレビモードでのテレビ視聴中にパーキングブレーキON状態(車両が停止していることを表す車両状態情報が車載ナビゲーション装置bに送信されている状態)からパーキングブレーキOFF状態(車両が走行していることを表す車両状態情報が車載ナビゲーション装置bに送信されている状態)に移行した場合だけでなく、パーキングブレーキOFF状態(車両が走行していることを表す車両状態情報が車載ナビゲーション装置bに送信されている状態)で乗員がテレビモードへ移行する操作を行った場合等においても生じる可能性がある。また、テレビキャンセラcが複数本の信号線(前記各信号線d,e)に接続されるシステムにおいても前述と同様の課題が生じる可能性がある。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車載ナビゲーション装置(車載表示装置)に送信される各信号線からの車両状態情報が不一致となる条件が成立した場合であっても、車載表示装置が車両状態情報の不一致を認識しない、または、その認識を解消するようにすることで、車両状態情報の不一致の認識に起因する不具合を回避または解消できる車載オーディオシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、車載表示装置に複数の信号線によって車両状態情報を送信する車載オーディオシステムであって、前記複数の信号線のうち少なくとも一つに接続され且つ車両走行中に前記車載表示装置の視聴を可能にするためのテレビキャンセラ機能を少なくとも有する車両情報制御装置を備えており、前記車両情報制御装置が前記車載表示装置の視聴を可能にする車両状態情報を当該車載表示装置に送信している状態から、当該車載表示装置の視聴を不可とする操作または制御が行われた際、前記車載表示装置に送信される前記各信号線からの車両状態情報を少なくとも所定期間一致させる信号処理を前記車両情報制御装置が行い、当該所定期間は前記各信号線からの車両状態情報が一致していることを前記車載表示装置が認識するまでの期間とされていることを特徴とする。
【0012】
ここでいう「車載表示装置の視聴を可能にする車両状態情報を当該車載表示装置に送信している状態」の一例としては、車両情報制御装置が車載表示装置に、車両が停止していることを表す信号を送信している状態が挙げられる。また、ここでいう「車載表示装置の視聴を不可とする操作または制御が行われた」ことの一例としては、車両の運転者がパーキングブレーキON状態からパーキングブレーキOFF状態に操作したことや、自動でパーキングブレーキOFF状態に切り換わったこと等が挙げられる。
この特定事項によれば、車載表示装置に送信される各信号線からの車両状態情報を少なくとも所定期間一致させる信号処理を行うことにより、車載表示装置は、各信号線からの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消されることになる。これにより、車載表示装置が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合を回避または解消することができる。
より具体的には、車両情報制御装置が車載表示装置の視聴を可能にする車両状態情報を当該車載表示装置に送信している状態から、当該車載表示装置の視聴を不可とする操作または制御が行われた際、車載表示装置に送信される各信号線からの車両状態情報を少なくとも所定期間一致させる信号処理が行われることにより、車載表示装置は、各信号線からの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消される。これにより、車載表示装置が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合を回避または解消することができる。
更に、前記所定期間が、各信号線からの車両状態情報が一致していることを車載表示装置が認識するまでの期間とされていることにより、車載表示装置が、各信号線からの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消される状況を確実に確保することができ、車載表示装置が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合の回避または解消を保証することができる。
【0016】
前記の目的を達成するための本発明の他の解決手段は、車載表示装置に複数の信号線によって車両状態情報を送信する車載オーディオシステムであって、前記複数の信号線のうち少なくとも一つに接続されて車両走行中に前記車載表示装置の視聴を可能にするためのテレビキャンセラ機能を少なくとも有する車両情報制御装置を備えており、前記車載表示装置の視聴を不可とする前記車両状態から、当該車載表示装置を視聴するための操作または制御が行われた際、前記車載表示装置に送信される前記各信号線からの車両状態情報を少なくとも所定期間一致させる信号処理を前記車両情報制御装置が行い、当該所定期間は前記各信号線からの車両状態情報が一致していることを前記車載表示装置が認識するまでの期間とされていることを特徴とする。
【0017】
ここでいう「車載表示装置の視聴を不可とする車両状態」の一例としては、パーキングブレーキOFF状態であることが挙げられる。また、「車載表示装置を視聴するための操作または制御が行われた」ことの一例としては、車両の乗員が車載表示装置の視聴を要求する操作を行ったことや、自動で車載表示装置の視聴状態に切り換わったこと等が挙げられる。
【0018】
この特定事項によっても、各信号線からの車両状態情報を少なくとも所定期間一致させる信号処理が行われることにより、車載表示装置は、各信号線からの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消される。これにより、車載表示装置が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合を回避または解消することができる。
【0020】
本解決手段においても、前記所定期間が、各信号線からの車両状態情報が一致していることを車載表示装置が認識するまでの期間とされていることにより、車載表示装置が、各信号線からの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消される状況を確実に確保することができ、車載表示装置が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合の回避または解消を保証することができる。
【0021】
また、前記一致した車両状態情報を前記各信号線から前記車載表示装置へ送信する状態を継続した際に前記車載表示装置の視聴が不可となる条件が成立している場合、前記各信号線からの車両状態情報を一致させる前記所定期間の終了タイミングは、前記車載表示装置の視聴が不可となる状態に移行するタイミングよりも早いタイミングに設定されている。
【0022】
ここでいう「一致した車両状態情報を各信号線から車載表示装置へ送信する状態を継続した際に車載表示装置の視聴が不可となる条件が成立している場合」の例としては、前記一致した車両状態情報それぞれが車載表示装置の視聴を不可とする情報(例えば車両が走行していることを表す信号)である場合や、前記一致した車両状態情報それぞれが車載表示装置の視聴を可能にする情報(例えば車両が停止していることを表す信号)であるものの、他の信号線からの車両状態情報との不一致に起因して車載表示装置の視聴が不可となる場合等が挙げられる。
【0023】
この特定事項によれば、各信号線からの車両状態情報を一致させたことに起因して車載表示装置の視聴が不可となってしまうことを回避または解消することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、車載表示装置に送信される各信号線からの車両状態情報が不一致となる条件が成立した際、車載表示装置に送信される各信号線からの車両状態情報を少なくとも所定期間一致させる信号処理を行うようにしている。これにより、車載表示装置は、各信号線からの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消されることになり、車載表示装置が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合を回避または解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る車両情報制御装置を含む車載オーディオシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態において車載表示装置に送信される車両状態情報を説明するための図であり、図2(a)はパーキングブレーキON状態におけるテレビモードでのテレビ視聴中の状態を、図2(b)はパーキングブレーキON状態からパーキングブレーキOFF状態に移行した際における車両状態情報一致制御の実施時の状態を、図2(c)は車両状態情報一致制御の解除時の状態をそれぞれ示す図である。
図3】第1実施形態における車両状態情報の処理手順を示すフローチャート図である。
図4】第2実施形態に係る車両情報制御装置を含む車載オーディオシステムの概略構成を示すブロック図である。
図5】第2実施形態において車載表示装置に送信される車両状態情報を説明するための図であり、図5(a)はパーキングブレーキOFF状態でのノーマルモードの状態を、図5(b)はテレビモードに移行した際における車両状態情報一致制御の実施時の状態を、図5(c)は車両状態情報一致制御の解除時の状態をそれぞれ示す図である。
図6】第2実施形態における車両状態情報の処理手順を示すフローチャート図である。
図7】第3実施形態における図5相当図である。
図8】第3実施形態における車両状態情報の処理手順を示すフローチャート図である。
図9】第4実施形態における図2相当図である。
図10】従来技術における課題を説明するための車載オーディオシステムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の複数の実施の形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する各実施形態は、パーキングブレーキ信号に応じて車両情報制御装置から出力される信号(車載表示装置に送信される信号:パーキングブレーキ信号)が制御されるものとなっている。尚、本発明は、これに限らず、車速信号またはGPS信号等に応じて車両情報制御装置から出力される信号(車速信号またはGPS信号等)が制御されるようになっていてもよいし、これらパーキングブレーキ信号、車速信号およびGPS信号のうちの複数の信号それぞれを、車両が停止していることを表す信号または車両が走行していることを表す信号の何れかで同一にし、その信号に応じて車両情報制御装置から出力される信号が制御されるものとなっていてもよい。
【0027】
-第1実施形態-
先ず、第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る車両情報制御装置3を含む車載オーディオシステム1の概略構成を示すブロック図である。車載オーディオシステム1は、パーキングブレーキ信号送信部2、車両情報制御装置3、および、車載表示装置(ディスプレイオーディオとも呼ばれる)4が信号線L1,L2によって接続された構成となっている。尚、この図1は、車両情報制御装置3を含む車載オーディオシステム1のうち、車両走行中であっても車載表示装置4の視聴や操作を可能にするための構成および本発明における特徴部分の構成を抜粋して示している。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る車載オーディオシステム1は、パーキングブレーキ信号送信部2と車載表示装置4との間に車両情報制御装置3を介在させたものである。パーキングブレーキ信号送信部2、車両情報制御装置3、および、車載表示装置4の接続状態としては、第1信号線L1に車両情報制御装置3を接続し(第1信号線L1上に車両情報制御装置3を介在させ)、パーキングブレーキ信号送信部2と車載表示装置4とを第2信号線L2によって接続した(車両情報制御装置3を介在させることなく接続した)構成となっている。
【0029】
各信号線L1,L2としては、一方がアナログ信号線であり、他方がCAN-BUS(Controller Area Network-BUS)信号線(車両ネットワーク信号線)となっている。尚、車両ネットワーク信号線による通信形態としては、CAN-BUS通信に限らず、AVC-LAN(Audio Visual Communication-Local Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)等を採用してもよい。また、各信号線L1,L2は、共にアナログ信号線であってもよいし、共にCAN-BUS信号線(車両ネットワーク信号線)であってもよい。これにより、第1信号線L1は、パーキングブレーキ信号送信部2からのパーキングブレーキ信号を車両情報制御装置3に送信し、車両情報制御装置3からのパーキングブレーキ信号(車両情報制御装置3において制御されたパーキングブレーキ信号:車両状態情報)を車載表示装置4に送信するようになっている。また、第2信号線L2は、パーキングブレーキ信号送信部2からのパーキングブレーキ信号(車両状態情報)を車両情報制御装置3を経ることことなく車載表示装置4に送信するようになっている。尚、以下の説明においては、第1信号線L1として、パーキングブレーキ信号送信部2と車両情報制御装置3とを接続している第1信号線L1と、車両情報制御装置3と車載表示装置4とを接続している第1信号線L1とを区別して説明する必要がある場合には、前者を第1信号線L1aとし、後者を第1信号線L1bとする。
【0030】
(パーキングブレーキ信号送信部)
パーキングブレーキ信号送信部2は、図示しないパーキングブレーキの状態を検出し、それに応じた信号をパーキングブレーキ信号として出力する。このため、パーキングブレーキ信号送信部2は、パーキングブレーキがブレーキ状態(パーキングブレーキON状態)となっている場合には、パーキングブレーキON信号を各信号線L1(L1a),L2に出力し、パーキングブレーキがブレーキ解除状態(パーキングブレーキOFF状態)となっている場合には、パーキングブレーキOFF信号を各信号線L1(L1a),L2に出力するようになっている。
【0031】
このパーキングブレーキ信号送信部2は、図示しない車両ECUにおける機能部として構成されていてもよいし、車両ECUから独立した信号送信機能部として構成されていてもよい。
【0032】
(車載表示装置)
車載表示装置4は、ナビゲーション部41、ディスプレイ42、テレビチューナ43、パーキングブレーキ信号受信部44等を備えている。
【0033】
ナビゲーション部41は、乗員が車載表示装置4を操作することによって設定された目的地に向けての経路を設定する公知のナビゲーション機能を有する。ディスプレイ42は、設定された経路の地図情報の表示やテレビ視聴時のテレビ画像の表示を行う。テレビチューナ43は、図示しないテレビアンテナと接続されており、当該テレビアンテナによって受信された複数のテレビ放送波の中からユーザの選択に応じて、目的の放送局のチャンネルを選局し、選局されたテレビ放送波に基づいた放送内容を示す画像データをディスプレイ42に送信する。パーキングブレーキ信号受信部44は、各信号線L1b,L2からのパーキングブレーキ信号を受信可能となっている。
【0034】
そして、この車載表示装置4の特性としては、受信するパーキングブレーキ信号が変化したタイミングやモードが切り換えられたタイミング(例えばノーマルモードからテレビモードに切り換えられたタイミング)において各信号線L1b,L2からのパーキングブレーキ信号(車両状態情報)が不一致となった場合には、車載オーディオシステム1に何らかの異常が生じていると判断し、車載表示装置4のテレビ視聴を不可とするものとなっている。また、このタイミング以外のタイミングにおいて、第1信号線L1bからパーキングブレーキON信号を受けている場合には、第2信号線L2から受けているパーキングブレーキ信号に関わらずテレビ視聴を可能とするものとなっている。
【0035】
(車両情報制御装置)
車両情報制御装置3は、パーキングブレーキ信号送信部2や車両ECUから送信された信号に応じて、車載表示装置4の走行中の視聴や操作を可能にする条件を満たすための情報(テレビモードでの情報)や自車両の位置認識のための情報(ノーマルモードでの情報)を車載表示装置4に送信または送受信する装置である。
【0036】
また、車両情報制御装置3には、モード切換スイッチ5が信号線L3によって接続されている。モード切換スイッチ5は、車室内に設置され、乗員によって操作されるスイッチであって、車両情報制御装置3を含む車載オーディオシステム1のモードをテレビモードとノーマルモードとの間で切り換えるためのものである。尚、モード切換スイッチ5に代えてステアリングスイッチの操作によってテレビモードとノーマルモードが切り換えられる構成となっていてもよい。
【0037】
車両情報制御装置3は、内蔵されたROM等の記憶媒体に記憶された制御プログラムによって実現される機能部として、信号送受信部31、モード切換スイッチ信号入出力部32および信号制御部33を備えている。
【0038】
信号送受信部31は、パーキングブレーキ信号送信部2から送信されたパーキングブレーキ信号を第1信号線L1aを介して受信可能となっている。また、この信号送受信部31は、信号制御部33によって制御された信号(パーキングブレーキ信号)を第1信号線L1bを介して車載表示装置4に送信可能となっている。この信号制御部33によって制御される信号の詳細については後述する。
【0039】
モード切換スイッチ信号入出力部32は、モード切換スイッチ5からの操作情報が入力される。例えば、車載オーディオシステム1のモードがノーマルモードであった場合にモード切換スイッチ5が操作された場合には、モード切換スイッチ信号入出力部32にモード切換スイッチ信号が入力されることでテレビモードに切り換えられる。一方、車載オーディオシステム1のモードがテレビモードであった場合にモード切換スイッチ5が操作された場合には、モード切換スイッチ信号入出力部32にモード切換スイッチ信号が入力されることでノーマルモードに切り換えられることになる。
【0040】
信号制御部33は、その基本機能(テレビキャンセラとしての基本機能:本発明でいう、車両走行中に車載表示装置の視聴を可能にするためのテレビキャンセラ機能)として、テレビモードでの走行中における車載表示装置4の視聴や操作を可能にする条件を満たすための情報を車載表示装置4に送信する機能を有している。具体的に、この信号制御部33は、車載オーディオシステム1のモードがテレビモードであった場合に、信号送受信部31がパーキングブレーキ信号送信部2から受けた信号(パーキングブレーキ信号)に対し、走行中における車載表示装置4の視聴や操作を可能にする信号に変換する。つまり、パーキングブレーキ信号としてはパーキングブレーキが作動した(ブレーキ状態にある)ことを示すパーキングブレーキON信号に変換する。そして、このパーキングブレーキON信号は信号送受信部31から車載表示装置4に送信されることになる。
【0041】
また、信号制御部33は、テレビモードでの走行中において、テレビモードからノーマルモードへの切り換え要求が生じた際、信号送受信部31がパーキングブレーキ信号送信部2から受けた信号(パーキングブレーキ信号)を変換することなく信号送受信部31へ出力する機能を備えている。つまり、この場合、パーキングブレーキ信号(車両が走行していることを表す信号)をそのまま車載表示装置4に送信する処理を実施する。
【0042】
また、本実施形態における特徴として、信号制御部33は、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2からの車両状態情報(本実施形態の場合にはパーキングブレーキ信号)が不一致となる条件が成立した際、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2からの車両状態情報を所定期間一致させる信号処理を行う機能部でもある。
【0043】
前述したように、パーキングブレーキON状態にあって、テレビモードでのテレビ視聴中には、図10(a)に示すように、各信号線d,eからは停止状態信号が車載ナビゲーション装置bに送信されている。この状態で、パーキングブレーキON状態からパーキングブレーキOFF状態に移行された場合、図10(b)に示すように、第2信号線eからは走行状態信号が車載ナビゲーション装置bに送信されるのに対し、第1信号線dからは停止状態信号(テレビ視聴を継続するための模擬信号)が車載ナビゲーション装置bに送信される状況となり、車載ナビゲーション装置bに送信される各信号線d,eからの車両状態情報が不一致となる。このような状況になると、車載ナビゲーション装置bの内部処理としては、システムに何らかの異常が生じていると判断される可能性があり、それに起因する不具合が生じる(車載ナビゲーション装置bのテレビ視聴が不可となる)状況に陥る可能性があった。
【0044】
この点に鑑み、本実施形態では、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2からの車両状態情報が不一致となる条件が成立した際、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2からの車両状態情報を少なくとも所定期間一致させる信号処理を行うようにしている。
【0045】
具体的に、信号制御部33は、パーキングブレーキON状態にあってテレビモードでのテレビ視聴中の状態において、パーキングブレーキON状態からパーキングブレーキOFF状態に移行された際(本発明でいう、車載表示装置に送信される各信号線からの車両状態情報が不一致となる条件が成立した際)、走行状態信号(パーキングブレーキOFF信号)を生成して信号送受信部31に出力する。これにより、信号送受信部31は、走行状態信号を第1信号線L1bに出力することになる。第2信号線L2からは、パーキングブレーキON状態からパーキングブレーキOFF状態に移行されたことに伴って走行状態信号(パーキングブレーキOFF信号)が車載表示装置4に送信されているので、各信号線L1b,L2からは、共に走行状態信号が車載表示装置4に送信される状態となる。つまり、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2からの車両状態情報が一致することになる。これにより、車載表示装置4は、各信号線L1b,L2からの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消される(車両状態情報が不一致であることを認識した後、直ちに車両状態情報が一致していることを認識する)。その結果、車載表示装置4が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合(テレビ視聴が不可となること)を回避または解消することができる。
【0046】
信号制御部33が、パーキングブレーキON状態からパーキングブレーキOFF状態に移行されたことを認識するための手段としては、パーキングブレーキ信号送信部2から受けた(第1信号線L1aを経て受けた)パーキングブレーキ信号を検知することで認識するようになっていてもよいし、他の信号線を経て受けたパーキングブレーキ信号を検知することで認識するようになっていてもよい。更には、各信号線L1b,L2からの車両状態情報が不一致となっていることの情報を車載表示装置4から受信することで、車両情報制御装置3から第1信号線L1bに走行状態信号を出力するようになっていてもよい。
【0047】
図2は、車載表示装置4に送信される車両状態情報を説明するための図である。パーキングブレーキON状態にあって、テレビモードでのテレビ視聴中には、図2(a)に示すように、各信号線L1b,L2からは停止状態信号(パーキングブレーキON信号)が車載表示装置4に送信されている。この状態から、パーキングブレーキOFF状態に移行された際、図2(b)に示すように、第2信号線L2からは走行状態信号(パーキングブレーキOFF信号)が車載表示装置4に送信される。この際、信号制御部33は、走行状態信号を生成し、この走行状態信号が信号送受信部31から車載表示装置4に送信される。これにより、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2からの車両状態情報が一致することになる。
【0048】
また、信号制御部33は、各信号線L1b,L2からの車両状態情報を一致させる所定期間を規定している。具体的に、この所定期間は、各信号線L1b,L2からの車両状態情報が一致していることを車載表示装置4が認識するまでの期間として設定されている。各信号線L1b,L2からの車両状態情報が一致していることを車載表示装置4が認識するまでの期間は、車載表示装置4の機種によって異なることが想定されるので、この所定期間は、車載オーディオシステム1に採用されている車載表示装置4に応じて設定されることになる。例えば、車載表示装置4が一定期間毎に車両状態情報を認識するものであった場合、前記所定期間(各信号線L1b,L2からの車両状態情報を一致させる所定期間)は、この一定期間よりも僅かに長い期間として設定されることになる。
【0049】
また、各信号線L1b,L2からの車両状態情報を一致させる前記所定期間の終了タイミングは、車載表示装置4の視聴が不可となる状態に移行するタイミングよりも早いタイミングに設定されている。つまり、図2(b)に示すように車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2からの車両状態情報を一致させた場合、この車両状態情報は走行状態信号であることから、車載表示装置4では、各信号線L1b,L2からの車両状態情報が一致していることを認識した後、所定時間経過後に車載表示装置4の視聴が不可となる。このことを考慮し、車載表示装置4の視聴が不可となる状態に移行するタイミングよりも早いタイミングで、車両状態情報が一致している状況を解消し、第1信号線L1bからの車両状態情報として、本来のテレビモードに対応した停止状態信号に戻して車載表示装置4に送信する。このタイミングにあっては、車載表示装置4は、車両情報制御装置3から受信した車両状態情報に応じた処理が行われるようになっているので、テレビ視聴が可能となる(テレビ視聴が継続される)。図2(c)は、このようにしてテレビ視聴が可能とされた場合における、車載表示装置4に送信される車両状態情報を示している。この図2(c)に示すように、第2信号線L2からは走行状態信号が車載表示装置4に送信されているのに対し、第1信号線L1bからは停止状態信号が車載表示装置4に送信されており、これによってテレビ視聴が可能となっている。
【0050】
(情報処理動作の手順)
次に、本実施形態に係る車両情報制御装置3における情報処理手順を図3のフローチャートに沿って説明する。
【0051】
先ず、ステップST1において、車載オーディオシステム1の現在のモードがテレビモードとなっているか否かを判定する。現在のモードがテレビモードではなく(例えばノーマルモード等であり)ステップST1でNO判定された場合には、テレビ視聴の要求はないとして、そのままリターンされる。
【0052】
現在のモードがテレビモードでありステップST1でYES判定された場合には、ステップST2に移り、パーキングブレーキON状態からパーキングブレーキOFF状態に移行されたか否かを判定する。パーキングブレーキON状態が維持されており、ステップST2でNO判定された場合には、そのままリターンされる。
【0053】
パーキングブレーキON状態からパーキングブレーキOFF状態に移行され、ステップST2でYES判定された場合には、ステップST3に移り、走行状態信号(パーキングブレーキOFF信号)を第1信号線L1bに出力する。これにより、各信号線L1b,L2からは、走行状態信号が車載表示装置4に送信される状態となる。つまり、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2からの車両状態情報が一致され、車載表示装置4は、各信号線L1b,L2からの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消される。
【0054】
その後、ステップST4に移り、車両情報制御装置3に予め備えられたタイマを作動させる。このタイマは、各信号線L1b,L2からの車両状態情報を一致させておく処理の実施期間を規定するためのものである。
【0055】
ステップST5では、所定時間を経過してタイマがタイムアップしたか否かを判定する。この所定時間が経過するまでは、各信号線L1b,L2からの車両状態情報を一致させておく処理が継続される。
【0056】
所定時間が経過し、ステップST5でYES判定された場合には、ステップST6に移り、停止状態信号(パーキングブレーキON信号)を第1信号線L1bに出力する。これにより、第1信号線L1bから車載表示装置4に走行状態信号が送信され続けることが解消され、車載表示装置4の視聴が不可となることが回避される。つまり、テレビ視聴が可能となる。以上の動作が繰り返される。
【0057】
(実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態では、テレビモードでのテレビ視聴中において、パーキングブレーキON状態からパーキングブレーキOFF状態に移行された場合、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2からの車両状態情報を所定期間一致させる信号処理を行うようにしている。これにより、車載表示装置4は、各信号線L1b,L2からの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消されることになり、車載表示装置4が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合(テレビ視聴が不可となること)を回避または解消することができる。
【0058】
-第2実施形態-
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、車両情報制御装置3の配設形態およびパーキングブレーキ信号の送信処理が前述した第1実施形態のものと異なっている。その他の構成および動作は第1実施形態のものと同様であるので、ここでは第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0059】
図4は、本実施形態に係る車両情報制御装置3を含む車載オーディオシステム1の概略構成を示すブロック図である。本実施形態にあっても、車載オーディオシステム1は、パーキングブレーキ信号送信部2、車両情報制御装置3、および、車載表示装置4が信号線L1,L2によって接続された構成となっている。
【0060】
図4に示すように、本実施形態に係る車載オーディオシステム1にあっても、パーキングブレーキ信号送信部2と車載表示装置4との間に車両情報制御装置3を介在させたものであるが、パーキングブレーキ信号送信部2、車両情報制御装置3、および、車載表示装置4の接続状態としては、第1信号線L1および第2信号線L2それぞれに車両情報制御装置3を接続した(第1信号線L1上および第2信号線L2上に車両情報制御装置3を介在させた)構成となっている。
【0061】
本実施形態にあっても、第1信号線L1として、パーキングブレーキ信号送信部2と車両情報制御装置3とを接続している第1信号線L1と、車両情報制御装置3と車載表示装置4とを接続している第1信号線L1とを区別して説明する必要がある場合には、前者を第1信号線L1aとし、後者を第1信号線L1bとする。また、第2信号線L2として、パーキングブレーキ信号送信部2と車両情報制御装置3とを接続している第2信号線L2と、車両情報制御装置3と車載表示装置4とを接続している第2信号線L2とを区別して説明する必要がある場合には、前者を第2信号線L2aとし、後者を第2信号線L2bとする。
【0062】
パーキングブレーキ信号送信部2および車載表示装置4の構成および機能は第1実施形態のものと同様である。以下、本実施形態における車両情報制御装置3の特徴について説明する。
【0063】
本実施形態にあっても、信号制御部33は、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が不一致となる条件が成立した際、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2bからの車両状態情報を所定期間一致させる信号処理を行う機能部である。
【0064】
一般に、車両の走行中にあってはパーキングブレーキはブレーキOFF状態にあり、パーキングブレーキ信号送信部は各信号線に走行状態信号を送信している。この状態で、乗員がテレビモードへ移行する操作を行う等した場合、従来技術(図10で示したシステム)にあっては、テレビキャンセラ(車両情報制御装置)からは停止状態信号を送信することになる。つまり、第1信号線からは停止状態信号が車載ナビゲーション装置(車載表示装置)に送信されるのに対し、第2信号線からは走行状態信号が車載ナビゲーション装置に送信される状況となり、車載ナビゲーション装置に提供される各信号線からの車両状態情報が不一致となる。このような状況になると、車載ナビゲーション装置の内部処理としては、システムに何らかの異常が生じていると判断される可能性があり、それに起因する不具合が生じる(車載ナビゲーション装置のテレビ視聴が不可となる)状況に陥る可能性があった。
【0065】
この点に鑑み、本実施形態にあっても、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が不一致となる条件が成立した際、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2bからの車両状態情報を少なくとも所定期間一致させる信号処理を行うようにしている。
【0066】
具体的に、信号制御部33は、パーキングブレーキOFF状態にあって乗員がモード切換スイッチ5を操作する等してテレビモードに移行された際(本発明でいう、車載表示装置に送信される各信号線からの車両状態情報が不一致となる条件が成立した際)、停止状態信号(パーキングブレーキON信号)を生成して信号送受信部31に出力する。これにより、信号送受信部31は、停止状態信号を第1信号線L1bおよび第2信号線L2bに出力することになる。つまり、テレビモードに移行されたことにより、車両情報制御装置3から第1信号線L1bにテレビ視聴のための停止状態信号が出力されるのに対し、パーキングブレーキOFF状態であるにも拘わらず、車両情報制御装置3から第2信号線L2bに停止状態信号が出力される。つまり、各信号線L1b,L2bからは、停止状態信号が車載表示装置4に送信される状態となる。従って、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が一致することになる。これにより、車載表示装置4は、各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消される。その結果、車載表示装置4が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合(テレビ視聴が不可となること)を回避または解消することができる。また、本実施形態にあっても、信号制御部33は、各信号線L1b,L2bからの車両状態情報を一致させる所定期間を規定している。つまり、この所定期間を、各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が一致していることを車載表示装置4が認識するまでの期間として設定していると共に、各信号線L1b,L2bからの車両状態情報を一致させる前記所定期間の終了タイミングを、車載表示装置4の視聴が不可となる状態に移行するタイミング(車載表示装置4が第2信号線L2bからの車両状態情報が停止状態信号となっていることを認識して視聴が不可となる状態に移行するタイミング)よりも早いタイミングに設定している。
【0067】
図5は、本実施形態において車載表示装置4に送信される車両状態情報を説明するための図である。パーキングブレーキOFF状態にあっては、図5(a)に示すように、各信号線L1b,L2bからは走行状態信号(パーキングブレーキOFF信号)が車載表示装置4に送信されている。この状態から、乗員がモード切換スイッチ5を操作する等してテレビモードに移行された際、図5(b)に示すように、停止状態信号(パーキングブレーキON信号)が第1信号線L1bおよび第2信号線L2bに出力され、この停止状態信号が車載表示装置4に送信される。これにより、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が一致することになる。
【0068】
このように、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2bからの車両状態情報を一致させた場合、この車両状態情報は停止状態信号であることから、車載表示装置4の視聴は可能であるものの、他の信号線(例えば車両ECUに繋がる信号線)からの車速信号を受信した場合には、この他の信号線からの車速信号と第2信号線L2bからの車両状態情報とが不一致となっていることを車載表示装置4が認識し、所定時間経過後に車載表示装置4の視聴が不可となる可能性がある。このことを考慮し、車載表示装置4の視聴が不可となる状態に移行するタイミングよりも早いタイミングで車両状態情報が一致している状況を解消し、図5(c)に示すように、本来のテレビモードに対応した車両状態情報に戻して車載表示装置4に送信する。つまり、第1信号線L1bからは停止状態信号が車載表示装置4に送信され、第2信号線L2bからは走行状態信号が車載表示装置4に送信される状態にする。これによってテレビ視聴が継続して可能となる。
【0069】
(情報処理動作の手順)
次に、本実施形態に係る車両情報制御装置3における情報処理手順を図6のフローチャートに沿って説明する。
【0070】
先ず、ステップST11において、現在のパーキングブレーキの状態がパーキングブレーキOFF状態となっているか否かを判定する。現在、パーキングブレーキOFF状態となっておらず(パーキングブレーキON状態であり)ステップST11でNO判定された場合には、そのままリターンされる。
【0071】
現在、パーキングブレーキOFF状態となっておりステップST11でYES判定された場合には、ステップST12に移り、ノーマルモードからテレビモードに移行されたか否かを判定する。ノーマルモードが維持されており、ステップST12でNO判定された場合には、そのままリターンされる。
【0072】
ノーマルモードからテレビモードに移行され、ステップST12でYES判定された場合には、ステップST13に移り、停止状態信号(パーキングブレーキON信号)を第1信号線L1bおよび第2信号線L2bに出力する。つまり、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が一致され、車載表示装置4は、各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消される。
【0073】
その後、ステップST14に移って前記タイマを作動させ、ステップST15において、所定時間が経過してタイマがタイムアップしたか否かを判定する。この所定時間が経過するまでは、各信号線L1b,L2bからの車両状態情報を一致させておく処理が継続される。
【0074】
所定時間が経過し、ステップST15でYES判定された場合には、ステップST16に移り、走行状態信号(パーキングブレーキOFF信号)を第2信号線L2bに出力する。これにより、第2信号線L2bから車載表示装置4に停止状態信号が送信され続けることが解消され、車載表示装置4の視聴が不可となることが回避される。つまり、テレビ視聴が可能となる。以上の動作が繰り返される。
【0075】
本実施形態にあっても、前述した第1実施形態と同様に、車載表示装置4が、各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消されることになり、車載表示装置4が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合(テレビ視聴が不可となること)を回避または解消することができる。
【0076】
-第3実施形態-
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態は、各信号線L1b,L2bからの車両状態情報を所定期間一致させる信号処理が前述した第2実施形態のものと異なっている。その他の構成および動作は第2実施形態のものと同様であるので、ここでは第2実施形態との相違点について主に説明する。
【0077】
本実施形態における車両情報制御装置3に備えられた信号制御部33は、パーキングブレーキOFF状態にあって乗員がモード切換スイッチ5を操作する等してテレビモードに移行された際、停止状態信号(パーキングブレーキON信号:テレビ視聴を可能にするための車両状態情報)を生成するのではなく、走行状態信号(パーキングブレーキOFF信号)を信号送受信部31に出力する。従って、信号送受信部31は、走行状態信号を第1信号線L1bおよび第2信号線L2bに出力することになる。これにより、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が一致する(一致した状態が継続する)ようにしている。これによっても、車載表示装置4は、各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消され、車載表示装置4が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合(テレビ視聴が不可となること)を回避または解消することができる。
【0078】
図7は、本実施形態において車載表示装置4に送信される車両状態情報を説明するための図である。図7(a)の状態は、前述した図5(a)の状態と同一である。
【0079】
図7(a)の状態から、乗員がモード切換スイッチ5を操作する等してテレビモードに移行された際、図7(b)に示すように、走行状態信号(パーキングブレーキOFF信号)が第1信号線L1bおよび第2信号線L2bに出力され、この走行状態信号が車載表示装置4に送信される。これにより、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が一致することになる。
【0080】
このように、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2bからの車両状態情報を一致させた場合、この車両状態情報は走行状態信号であることから、この状態が維持されてしまうと車載表示装置4の視聴が不可となる状態が継続されてしまう。このことを考慮し、所定時間経過後に、車両状態情報が一致している状況を解消し、図7(c)に示すように、本来のテレビモードに対応した車両状態情報に戻して車載表示装置4に送信する。つまり、第1信号線L1bから停止状態信号が車載表示装置4に送信される状態にする。これによってテレビ視聴が可能となる。
【0081】
(情報処理動作の手順)
次に、本実施形態に係る車両情報制御装置3における情報処理手順を図8のフローチャートに沿って説明する。このフローチャートにおけるステップST11,ST12,ST14,ST15の動作は、前述した第2実施形態で説明した図6のフローチャートにおける各ステップ(ST11,ST12,ST14,ST15)の動作と同一であるのでここでの説明は省略する。
【0082】
ステップST12においてノーマルモードからテレビモードに移行されてYES判定された場合には、ステップST23に移り、走行状態信号(パーキングブレーキOFF信号)を第1信号線L1bおよび第2信号線L2bに出力する。つまり、車載表示装置4に送信される各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が一致され、車載表示装置4は、各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消される。
【0083】
また、前記タイマが作動した後、所定時間が経過し、ステップST15でYES判定された場合には、ステップST26に移り、走行状態信号(パーキングブレーキOFF信号)を第2信号線L2bに出力した状態のまま、停止状態信号(パーキングブレーキON信号)を第1信号線L1bに出力する。これにより、テレビ視聴が可能となる。以上の動作が繰り返される。
【0084】
本実施形態にあっても、前述した各実施形態と同様に、車載表示装置4が、各信号線L1b,L2bからの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消されることになり、車載表示装置4が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合(テレビ視聴が不可となること)を回避または解消することができる。
【0085】
-第4実施形態-
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態は、車載表示装置4の特性として、車両情報制御装置3から異なるタイミングで車両状態情報が送信された場合に、後から送信された(直近に受信した)車両状態情報を優先して使用するものとなっている。以下の説明では、この特性を有する車載表示装置4が採用された車載オーディオシステム1に、前述した第1実施形態の技術を適用した場合について説明する。
【0086】
図9は、本実施形態において車載表示装置4に送信される車両状態情報を説明するための図である。パーキングブレーキON状態で、乗員がモード切換スイッチ5を操作する等してテレビモードに移行された際、図9(a)に示すように、車両情報制御装置3から第1信号線L1bを経て停止状態信号(パーキングブレーキON信号)が車載表示装置4に送信される。この信号が優先して使用されることで、車載表示装置4のテレビ視聴が可能な状態となる。
【0087】
この状態から、パーキングブレーキOFF状態に移行された際、図9(b)に示すように、第2信号線L2からは走行状態信号(パーキングブレーキOFF信号)が車載表示装置4に送信される。この信号が優先して使用されることで、テレビ視聴が不可となる。
【0088】
この際、信号制御部33は、走行状態信号を生成し、図9(c)に示すように、この走行状態信号が車両情報制御装置3から第1信号線L1bを経て車載表示装置4に送信される。従って、各信号線L1b,L2からの車両状態情報が一致することになる。これにより、車載表示装置4が、各信号線L1b,L2からの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消されることになる。
【0089】
そして、その後、図9(d)に示すように、車両状態情報が一致している状況を解消し、第1信号線L1bからの車両状態情報として、本来のテレビモードに対応した停止状態信号に戻して車載表示装置4に送信する。この信号が優先して使用されることで、テレビ視聴が可能となる。
【0090】
本実施形態にあっても、前述した各実施形態と同様に、車載表示装置4が、各信号線L1b,L2からの車両状態情報が不一致となっていることを認識しない、または、その認識が解消されることになり、車載表示装置4が車両状態情報の不一致を認識することに起因する不具合(テレビ視聴が不可となること)を回避または解消することができる。
【0091】
-他の実施形態-
尚、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
【0092】
例えば、前記各実施形態では、車載表示装置4に車両状態情報を送信する信号線として2本の信号線L1,L2を備えさせた場合について説明した。本発明はこれに限らず、3本以上の信号線によって車載表示装置4に車両状態情報を送信するものに適用することも可能である。この場合、各信号線からの車両状態情報を一致させる信号処理としては、全ての信号線からの車両状態情報を一致させることになる。
【0093】
また、前記各実施形態では、「車載表示装置の視聴を不可とする操作または制御が行われた」ことの一例として、車両の運転者がパーキングブレーキON状態からパーキングブレーキOFF状態に操作したことを例示したが、これに限らず、自動でパーキングブレーキOFF状態に切り換わったこと等も含まれる。
【0094】
また、前記各実施形態では、「車載表示装置を視聴するための操作または制御が行われた」ことの一例としては、車両の乗員が車載表示装置4の視聴を要求する操作(モード切換スイッチ5の操作)を行ったことを例示したが、これに限らず、自動で車載表示装置4の視聴状態に切り換わったこと等(例えばエンジン始動時に視聴状態に切り換わるもの等)も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、複数本の信号線によって車両状態情報を車載表示装置に送信する車載オーディオシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 車載オーディオシステム(システム)
3 車両情報制御装置
33 信号制御部
4 車載表示装置
L1 第1信号線
L2 第2信号線
【要約】
【課題】車載ナビゲーション装置に送信される各信号線からの車両状態情報が不一致となる条件が成立した場合であっても、車載表示装置に車両状態情報の不一致を認識させない。
【解決手段】車載表示装置4に複数の信号線L1,L2によって車両状態情報を送信する車載オーディオシステム1に適用される車両情報制御装置3であって、車載表示装置4に送信される各信号線L1,L2からの車両状態情報が不一致となる条件が成立した際、各信号線L1,L2からの車両状態情報を所定期間一致させる信号処理を行う。この所定期間は、各信号線L1,L2からの車両状態情報が一致していることを車載表示装置4が認識するまでの期間であり、且つ車載表示装置4の視聴が不可となる状態に移行するタイミングよりも早いタイミングに設定されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10