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  • 特許-配管劣化診断装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】配管劣化診断装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/00 20190101AFI20240425BHJP
【FI】
G01M13/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024019394
(22)【出願日】2024-02-13
【審査請求日】2024-02-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】110004303
【氏名又は名称】弁理士法人三協国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-241356(JP,A)
【文献】特開2008-209297(JP,A)
【文献】特開2022-10971(JP,A)
【文献】特開2015-190825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M13/00-99/00
G01H1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気が流れる配管の劣化を診断する配管劣化診断装置であって、
診断対象である配管に蒸気を流すことによって生じる前記配管の振動を検知し、当該振動に応じたアナログ信号を出力する振動センサと、
前記アナログ信号を増幅して出力する、ゲインが可変の増幅回路と、
前記増幅回路の出力信号をディジタル信号に変換する、所定のダイナミックレンジを有するAD変換回路と、
前記蒸気の流量を示す流量情報と、前記ディジタル信号で示される振動値とに基づいて、前記配管の劣化を診断する診断部と、
前記ゲインを設定するゲイン設定部と、
を備え、
前記ゲイン設定部は、前記配管が劣化する前に実行する初期設定において前記ゲインを設定することにより、基準流量の蒸気を前記配管に流したときの前記振動値を、前記ダイナミックレンジの中央値に設定する、
配管劣化診断装置。
【請求項2】
前記配管が劣化する前の前記流量と前記振動値との関係を示す正常特性の特性情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記診断部は、前記診断において、
前記振動値が前記正常特性未満である場合には、前記配管の劣化の要因として前記配管の内面の腐食を特定し、
前記振動値が前記正常特性超である場合には、前記配管の劣化の要因として前記配管の内面へのスケールの沈着を特定する、
請求項1に記載の配管劣化診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管劣化診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気配管系を備えたプラント等においては、熱交換又は放熱等によって配管系内に復水(ドレン)が生じることがある。この復水を配管系内に滞留させると運転効率が低下する原因となるため、一般には、配管系の適所にスチームトラップを設置し、このスチームトラップによって復水を配管系の外部に排出するようにしている。
【0003】
経年劣化又は作動不良等によってスチームトラップのシール性能が損なわれると、蒸気配管系内の蒸気がスチームトラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招くこととなる。そのため、1年に1回等の定期的に、スチームトラップの状態を点検する作業が行われる。
【0004】
下記特許文献1には、スチームトラップの状態を診断するための計測装置及び診断装置が開示されている。計測装置は可搬型の計測装置であり、診断装置はタブレット端末又はノートパソコン等であり、計測装置と診断装置とは相互に無線通信が可能である。計測装置は、各スチームトラップの表面温度を計測する温度センサと、各スチームトラップの振動強度を計測する振動センサと、温度センサ及び振動センサから出力された計測データを記憶する記憶部と、当該計測データを診断装置に送信する通信部と、表示部とを備えている。診断装置は、計測装置から受信した計測データに基づいて各スチームトラップの状態(正常又は異常)を診断し、その診断の結果を示す診断データを計測装置に送信する。計測装置は、診断装置から受信した診断データに基づいて、各スチームトラップに関する診断の結果を表示部に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-84418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術に係る診断装置によると、スチームトラップの劣化状態を診断することはできるが、蒸気が流れる配管の劣化状態を診断することはできない。
【0007】
本発明は、蒸気が流れる配管の劣化を診断することが可能な診断装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に係る診断装置は、蒸気が流れる配管の劣化を診断する配管劣化診断装置であって、診断対象である配管に蒸気を流すことによって生じる前記配管の振動を検知し、当該振動に応じたアナログ信号を出力する振動センサと、前記アナログ信号を増幅して出力する、ゲインが可変の増幅回路と、前記増幅回路の出力信号をディジタル信号に変換する、所定のダイナミックレンジを有するAD変換回路と、前記蒸気の流量を示す流量情報と、前記ディジタル信号で示される振動値とに基づいて、前記配管の劣化を診断する診断部と、前記ゲインを設定するゲイン設定部と、を備え、前記ゲイン設定部は、前記配管が劣化する前に実行する初期設定において前記ゲインを設定することにより、基準流量の蒸気を前記配管に流したときの前記振動値を、前記ダイナミックレンジの中央値に設定する。
【0009】
第1態様によれば、蒸気の流量を示す流量情報と、ディジタル信号で示される振動値とに基づいて、配管の劣化を診断することができる。また、ゲイン設定部は、基準流量の蒸気を配管に流したときの振動値がダイナミックレンジの中央値となるようにゲインを設定するため、振動値が正常値より低下する態様の配管の劣化、及び、振動値が正常値より増大する態様の配管の劣化の双方を検出することができる。
【0010】
本発明の第2態様に係る診断装置は、第1態様において、前記配管が劣化する前の前記流量と前記振動値との関係を示す正常特性の特性情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記診断部は、前記診断において、前記振動値が前記正常特性未満である場合には、前記配管の劣化の要因として前記配管の内面の腐食を特定し、前記振動値が前記正常特性超である場合には、前記配管の劣化の要因として前記配管の内面へのスケールの沈着を特定する。
【0011】
第2態様によれば、配管の劣化要因として、配管の内面の腐食、及び、配管の内面へのスケールの沈着の双方を検出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蒸気が流れる配管の劣化を診断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る配管劣化診断装置の構成を簡略化して示す図である。
図2A】劣化した配管の内部状態を模式的に示す断面図である。
図2B】劣化した配管の内部状態を模式的に示す断面図である。
図3】初期設定時において配管劣化診断装置が実行する動作を示すフローチャートである。
図4】流量と振動値との関係を示す図である。
図5】実運用時において配管劣化診断装置が実行する動作を示すフローチャートである。
図6】流量と振動値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る配管劣化診断装置1の構成を簡略化して示す図である。図1には、配管劣化診断装置1の構成とともに、診断対象である配管100の断面図を示している。配管劣化診断装置1は、蒸気配管系を備えたプラント等において、蒸気が流れる配管100の経時劣化を診断する。配管劣化診断装置1は、診断対象である配管100に固定的に設置されても良いし、作業者による持ち運びが可能な可搬型の診断装置として構成されても良い。
【0016】
図2A及び図2Bは、劣化した配管100の内部状態を模式的に示す断面図である。配管100には、不純物の多い工業用水を用いて生成された蒸気が流されることがあるため、長期間の使用によって配管100は経時劣化する。図2Aには、配管100の内面が腐食して内面全体に腐食層201が形成された劣化態様を示している。図2Bには、配管100の内面に部分的にスケール202が沈着した劣化態様を示している。スケール202は、水に溶解していたイオン等が析出したもので、代表的な成分としては、炭酸カルシウム(CaCO)又はタルク(MgSi10(OH))等が挙げられる。
【0017】
配管100内に蒸気が流れると配管100は振動し、単位時間あたりの蒸気の流量(つまり流速)が大きいほど配管100の振動値も大きくなる。配管100の内面全体に腐食層201が形成されると(図2A)、実質的に配管100の内径が小さくなるため、配管100内を流れる蒸気の流量に応じた振動値は、劣化前より低下する傾向が強い。一方、配管100の内面に局所的にスケール202が沈着すると(図2B)、配管100内を流れる蒸気の流量に応じた振動値は、劣化前より増大する傾向が強い。なお、一旦形成された腐食層201は自然には除去されないが、配管100の内面にスケール202が沈着しても、配管100内を流れる蒸気の圧力によってスケール202が剥がれて除去される場合もある。
【0018】
図1を参照して、配管劣化診断装置1は、振動センサ11、増幅回路12、制御回路13、通信部14、表示部15、及び入力部16を備える。
【0019】
振動センサ11には、振動プローブ20が接続されている。振動プローブ20は、例えばステンレス製の円筒状パイプの外観形状を有している。振動プローブ20は、診断対象である配管100の外面に当接されることによって、配管100の振動を振動センサ11に伝達する。
【0020】
振動センサ11は、例えば圧電型加速度センサを用いて構成される。振動センサ11は、診断対象である配管100に蒸気を流すことによって生じる配管100の振動を、振動プローブ20を介して検知し、当該振動を電気信号に変換したアナログ信号S1を出力する。
【0021】
増幅回路12は、振動センサ11から入力されたアナログ信号S1を増幅することにより、増幅されたアナログ信号S2を出力する。増幅回路12は、図略の可変抵抗を有し、設定情報D4に基づいて可変抵抗の抵抗値を調整することにより、アナログ信号S1を増幅する際のゲイン(増幅度)を可変に設定可能である。
【0022】
制御回路13は、マイクロコントローラ等を用いて構成される。制御回路13は、AD変換回路31、データ処理部32、及び記憶部33を有する。
【0023】
AD変換回路31は、増幅回路12の出力信号であるアナログ信号S2をディジタル信号D1に変換する。AD変換回路31は、振動値の階調数に相当する所定のダイナミックレンジDRを有する。本実施形態の例では、ダイナミックレンジDRは、最小値の振動値L1から最大値の振動値L400までの400階調に相当する。この例の場合、ダイナミックレンジDRの中央値は振動値L200となる。
【0024】
データ処理部32は、CPU等のプロセッサを用いて構成される。データ処理部32は、プロセッサがプログラムを実行することによって実現される機能として、設定部41及び診断部42を有する。
【0025】
設定部41は、増幅回路12のゲインを設定するゲイン設定部として機能する。設定部41は、配管100が劣化する前に初期設定を実行する。初期設定において設定部41は、基準流量Q0の蒸気を配管100に流したときの振動値が、AD変換回路31のダイナミックレンジDRの中央値(振動値L200)となるように、増幅回路12のゲインを設定する。基準流量Q0は、実運用時に配管100に流すことが想定される蒸気の流量であり、ユーザによって所望値に設定可能である。
【0026】
また、設定部41は、増幅回路12のゲインの設定が完了した後、配管100が劣化する前の複数の流量Qと複数の振動値Lとの対応関係を示す正常特性K0を生成する。設定部41は、生成した正常特性K0を示す特性情報D3を、記憶部33に記憶する。
【0027】
診断部42は、実運用時に配管100に流す蒸気の流量Qを示す流量情報D2と、実運用時にAD変換回路31から取得したディジタル信号D1で示される配管100の振動値Lと、記憶部33から読み出した特性情報D3とに基づいて、配管100の経時劣化を診断する。
【0028】
入力部16は、任意の入力装置を用いて構成され、ユーザによって入力された流量Qの設定値に基づいて、当該流量Qを示す流量情報D2を生成する。流量Qは、基準流量Q0又は実運用時の流量Q1を含む。
【0029】
診断部42は、診断において、振動値Lが正常特性K0未満である場合には、配管100の劣化の要因として配管100の内面の腐食を特定し、振動値Lが正常特性K0超である場合には、配管100の劣化の要因として配管100の内面へのスケール202の沈着を特定する。診断部42は、診断結果を表示部15に表示する。診断部42は、診断結果を通信部14から外部の管理装置に送信しても良い。管理装置は、クラウドサーバ又はオンプレミスサーバ等であっても良い。なお、表示部15及び入力部16は、配管劣化診断装置1に代えて管理装置が備えても良い。
【0030】
図3は、初期設定時において配管劣化診断装置1が実行する動作を示すフローチャートである。
【0031】
まずステップSP11において設定部41は、基準流量Q0の設定値を示す流量情報D2を、入力部16から取得する。
【0032】
次にステップSP12において設定部41は、設定情報D4によって増幅回路12のゲインを任意に設定する。
【0033】
振動センサ11は、配管100に基準流量Q0の蒸気を流すことによって生じる配管100の振動を、振動プローブ20を介して検知し、当該振動を電気信号に変換したアナログ信号S1を出力する。増幅回路12は、振動センサ11から入力されたアナログ信号S1を、ステップSP12で設定されたゲインで増幅することにより、増幅されたアナログ信号S2を出力する。
【0034】
次にステップSP13において制御回路13は、増幅回路12からアナログ信号S2を取得する。
【0035】
次にステップSP14においてAD変換回路31は、ステップSP13で取得されたアナログ信号S2をディジタル信号D1に変換する。
【0036】
次にステップSP15において設定部41は、ディジタル信号D1で示される振動値Lが、AD変換回路31のダイナミックレンジDRの中央値(振動値L200)に一致するか否かを判定する。
【0037】
振動値Lが中央値に一致しない場合(ステップSP15:NO)は、次にステップSP16において設定部41は、振動値Lが中央値より大きいか否かを判定する。
【0038】
振動値Lが中央値より大きい場合(ステップSP16:YES)は、次にステップSP17において設定部41は、設定情報D4によって増幅回路12のゲインを一定割合又は一定レベルだけ下げる。その後、ステップSP13以降の処理を繰り返し実行する。
【0039】
振動値Lが中央値より小さい場合(ステップSP16:NO)は、次にステップSP18において設定部41は、設定情報D4によって増幅回路12のゲインを一定割合又は一定レベルだけ上げる。その後、ステップSP13以降の処理を繰り返し実行する。
【0040】
図4は、流量Qと振動値Lとの関係を示す図である。配管100の振動値Lは、流量Qの増加に伴って二次関数的又は指数関数的に増大する。特性K1は、正常特性K0に相当するゲインよりも過大なゲインが設定された時の特性である。特性K2は、正常特性K0に相当するゲインよりも過小なゲインが設定された時の特性である。
【0041】
振動値Lが中央値(振動値L200)より大きい例えば振動値L280である場合、設定部41は、矢印A1で示すように、設定情報D4によって増幅回路12のゲインを一定割合又は一定レベルだけ下げる。
【0042】
振動値Lが中央値(振動値L200)より小さい例えば振動値L170である場合、設定部41は、矢印A2で示すように、設定情報D4によって増幅回路12のゲインを一定割合又は一定レベルだけ上げる。
【0043】
このようなゲインの再設定処理を繰り返し実行することにより、やがて振動値Lは中央値(振動値L200)に一致する。
【0044】
振動値Lが中央値に一致する場合(ステップSP15:YES)は、次にステップSP19において設定部41は、増幅回路12のゲインをその時の設定値に固定し、流量Qを様々に変化させて各流量Qに対応する振動値Lをプロットすることにより、正常特性K0を生成する。設定部41は、生成した正常特性K0を示す特性情報D3を、記憶部33に記憶する。
【0045】
図5は、実運用時において配管劣化診断装置1が実行する動作を示すフローチャートである。
【0046】
まずステップSP21において診断部42は、実運用時の流量Q1の設定値を示す流量情報D2を、入力部16から取得する。
【0047】
次にステップSP22において診断部42は、記憶部33から特性情報D3を読み出すことによって取得する。
【0048】
振動センサ11は、配管100に流量Q1の蒸気を流すことによって生じる配管100の振動を、振動プローブ20を介して検知し、当該振動を電気信号に変換したアナログ信号S1を出力する。増幅回路12は、振動センサ11から入力されたアナログ信号S1を、初期設定で設定されたゲインで増幅することにより、増幅されたアナログ信号S2を出力する。
【0049】
次にステップSP23において制御回路13は、増幅回路12からアナログ信号S2を取得する。
【0050】
次にステップSP24においてAD変換回路31は、ステップSP23で取得されたアナログ信号S2をディジタル信号D1に変換する。
【0051】
次にステップSP25において診断部42は、ディジタル信号D1で示される振動値Xが、流量Q1に応じた正常特性K0上の振動値Lに一致するか否かを判定する。
【0052】
振動値Xが正常特性K0上の振動値Lに一致する場合(ステップSP25:YES)は、次にステップSP26において診断部42は、配管100に劣化は生じていないと判定する。
【0053】
振動値Xが正常特性K0上の振動値Lに一致しない場合(ステップSP25:NO)は、次にステップSP27において診断部42は、振動値Xが正常特性K0上の振動値Lより大きいか否かを判定する。
【0054】
振動値Xが正常特性K0上の振動値Lより大きい場合(ステップSP27:YES)は、次にステップSP28において診断部42は、配管100が劣化しており、その劣化の要因が配管100の内面へのスケール202の沈着であることを特定する。
【0055】
振動値Xが正常特性K0上の振動値Lより小さい場合(ステップSP27:NO)は、次にステップSP29において診断部42は、配管100が劣化しており、その劣化の要因が配管100の内面の腐食であることを特定する。
【0056】
図6は、流量Qと振動値Xとの関係を示す図である。振動値X2は、流量Q1に応じた正常特性K0上の振動値X1より大きい。この場合、診断部42は、配管100の劣化の要因が配管100の内面へのスケール202の沈着であることを特定する。振動値X3は、流量Q1に応じた正常特性K0上の振動値X1より小さい。この場合、診断部42は、配管100の劣化の要因が配管100の内面の腐食であることを特定する。
【0057】
ステップSP28,SP29に続いて、ステップSP30において診断部42は、配管100が劣化していること、及びその劣化の要因を示す劣化情報を、表示部15に表示する。
【0058】
本実施形態によれば、蒸気の流量Q1を示す流量情報D2と、ディジタル信号D1で示される振動値Lとに基づいて、配管100の劣化を診断することができる。また、設定部41(ゲイン設定部)は、基準流量Q0の蒸気を配管100に流したときの振動値LがダイナミックレンジDRの中央値(L200)となるように増幅回路12のゲインを設定するため、振動値が正常値より低下する態様の配管100の劣化、及び、振動値が正常値より増大する態様の配管100の劣化の双方を検出することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、配管100の劣化要因として、配管100の内面の腐食、及び、配管100の内面へのスケール202の沈着の双方を検出することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 配管劣化診断装置
11 振動センサ
12 増幅回路
13 制御回路
31 AD変換回路
32 データ処理部
33 記憶部
41 設定部
42 診断部
100 配管
S1,S2 アナログ信号
D1 ディジタル信号
D2 流量情報
D3 特性情報
K0 正常特性
DR ダイナミックレンジ
L(L1~L400) 振動値
Q0 基準流量
Q1 流量
【要約】
【課題】蒸気が流れる配管の劣化を診断することが可能な診断装置を得る。
【解決手段】配管劣化診断装置は、診断対象である配管に蒸気を流すことによって生じる前記配管の振動を検知し、当該振動に応じたアナログ信号を出力する振動センサと、前記アナログ信号を増幅して出力する、ゲインが可変の増幅回路と、前記増幅回路の出力信号をディジタル信号に変換する、所定のダイナミックレンジを有するAD変換回路と、前記蒸気の流量を示す流量情報と、前記ディジタル信号で示される振動値とに基づいて、前記配管の劣化を診断する診断部と、前記ゲインを設定するゲイン設定部と、を備え、前記ゲイン設定部は、前記配管が劣化する前に実行する初期設定において前記ゲインを設定することにより、基準流量の蒸気を前記配管に流したときの前記振動値を、前記ダイナミックレンジの中央値に設定する。
【選択図】図1
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6