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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】検知装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/38 20080401AFI20240425BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20240425BHJP
   B60T 7/02 20060101ALI20240425BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20240425BHJP
   B60K 26/04 20060101ALI20240425BHJP
   B60K 23/02 20060101ALN20240425BHJP
【FI】
G05G1/38
G05G1/30 E
B60T7/02 D
B60T17/22 Z
B60K26/04
B60K23/02 M
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020164098
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2021128749
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2020022339
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】廣川 裕次郎
(72)【発明者】
【氏名】松井 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】治儀 政弘
(72)【発明者】
【氏名】打尾 陽平
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-136736(JP,A)
【文献】特開2018-017573(JP,A)
【文献】特開2012-091700(JP,A)
【文献】特開2017-087750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/38
G05G 1/30
B60T 7/02
B60T 17/22
B60K 26/04
B60K 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルの可動量に応じた出力値を示す信号を出力する検知部と、
前記検知部から出力される前記信号を取得する処理部と、を備え、
前記処理部は、前記検知部から出力された前記信号が示す出力値に基づいて、前記ペダルの可動量が、前記ペダルへの踏み始めの可動量に対応する領域である第1領域と、前記第1領域の踏み込み量よりも大きい踏み込み量で、前記ペダルが可動する領域である第2領域と、前記ペダルが可動する前記第1領域及び前記第2領域以外の領域である第3領域とのうちのいずれの領域であるかを判定し、当該判定した結果を出力する
検知装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記ペダルの可動量が前記第1領域にあるときの、前記ペダルの可動量に対する変化率である前記出力値の出力勾配が、前記ペダルの可動量が前記第2領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配よりも大きくなるように前記信号を出力する
請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記第3領域は、前記第1領域に対して前記第2領域側とは反対側の領域である第1故障領域と、前記第2領域に対して前記第1領域側とは反対側の領域である第2故障領域とを有する
請求項1又は2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記ペダルの可動量が前記第2領域にあるとき、前記ペダルの可動量に対する変化率である前記出力値の出力勾配を2以上有するように前記信号を出力する
請求項1又は2に記載の検知装置。
【請求項5】
前記ペダルは、車両に搭載されたブレーキペダルである
請求項3に記載の検知装置。
【請求項6】
前記第1領域は、第4領域と第5領域とを有し、
前記検知部は、
前記ペダルの可動量が前記第5領域にあるときの、前記ペダルの可動量に対する変化率である前記出力値の出力勾配が、前記ペダルの可動量が前記第4領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配よりも大きく、
前記ペダルの可動量が前記第5領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配が、前記ペダルの可動量が前記第2領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配よりも大きく、
前記ペダルの可動量が前記第2領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配が、前記ペダルの可動量が前記第4領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配よりも大きくなるように前記信号を出力する
請求項5に記載の検知装置。
【請求項7】
前記検知部から出力された信号が示す出力値が、第1所定値以上である場合、前記車両のブレーキランプが点灯され、
前記第1所定値は、前記ペダルの可動量が前記第5領域にあるときの前記出力値である
請求項6に記載の検知装置。
【請求項8】
前記検知部は、前記第1故障領域、前記第1領域、前記第2領域及び前記第2故障領域の順に前記出力値が大きくなるように前記信号を出力し、
前記処理部は、
前記検知部から出力された信号が示す出力値が、第2所定値未満である場合、前記第1故障領域を示す判定結果を出力し、
前記検知部から出力された信号が示す出力値が、前記第2所定値よりも大きい第3所定値未満である場合、前記第1領域を示す判定結果を出力し、
前記検知部から出力された信号が示す出力値が、前記第3所定値よりも大きい第4所定値未満である場合、前記第2領域を示す判定結果を出力し、
前記検知部から出力された信号が示す出力値が、前記第4所定値以上である場合、前記第2故障領域を示す判定結果を出力する
請求項7に記載の検知装置。
【請求項9】
前記第1故障領域と前記第4領域との間に遷移領域を有し、
前記検知部は、前記ペダルの可動量が前記遷移領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配が、前記ペダルの可動量が前記第1故障領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配よりも大きく、かつ、前記ペダルの可動量が前記遷移領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配が、前記ペダルの可動量が前記第4領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配よりも大きくなるように信号を出力する
請求項8に記載の検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の特許文献1には、回転軸を中心に回転駆動されるマグネットによって磁界の変化を検出する磁気検出部と、磁気検出部で検出された磁界の変化により回転軸の回転角に対応する出力値を算出する出力演算部と、回転角の立ち上がり部分の出力特性(出力値/回転角)を大きくする補正処理を行なう補正処理部とを備えるストロークセンサが開示されている。このストロークセンサでは、出力信号の傾きを補正することによって、ペダルの踏み始めの感度を向上させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-87750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ストロークセンサとしての上記特許文献1の検知装置では、出力信号の傾きを一点補正するだけで、ペダルの踏み始めの検知と、ペダルを踏み込み中の検知と、ペダルの故障の検知とを一体的に実現することは困難である。
【0005】
そこで、本開示は、ペダルの踏み始めの検知と、ペダルを踏み込み中の検知と、ペダルの故障の検知とを一体的に行うことができる検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る検知装置は、ペダルの可動量に応じた出力値を示す信号を出力する検知部と、前記検知部から出力される前記信号を取得する処理部と、を備え、前記処理部は、前記検知部から出力された前記信号が示す出力値に基づいて、前記ペダルの可動量が、前記ペダルへの踏み始めの可動量に対応する領域である第1領域と、前記第1領域の踏み込み量よりも大きい踏み込み量で、前記ペダルが可動する領域である第2領域と、前記ペダルが可動する前記第1領域及び前記第2領域以外の領域である第3領域とのうちのいずれの領域であるかを判定し、当該判定した結果を出力する。
【0007】
なお、これらのうちの一部の具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体を用いて実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせを用いて実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の検知装置によれば、ペダルの踏み始めの検知と、ペダルを踏み込み中の検知と、ペダルの故障の検知とを一体的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1におけるペダルシステムを搭載した車両の車室内を示す模式図である。
図2図2は、実施の形態1における検知装置を示すブロック図である。
図3A図3Aは、実施の形態1におけるペダルシステムのブレーキペダル及び検知部の一部を示す斜視図である。
図3B図3Bは、実施の形態1におけるペダルシステムの、ペダル本体の軸心と検知部の回動レバーの軸心との関係を示す図である。
図4図4は、実施の形態1におけるペダルシステムの検知部を示す分解斜視図である。
図5A図5Aは、実施の形態1のペダルシステムにおける検知部の出力値とペダル本体の回転角度との関係を示す図である。
図5B図5Bは、実施の形態1のペダルシステムにおける検知部の出力値とペダル本体の回転角度との関係を別の例で示す図である。
図6図6は、実施の形態1における検知装置の処理を示すフローチャートである。
図7図7は、図6のステップS2の処理の詳細を示すフローチャートである。
図8図8は、実施の形態1の変形例1のペダルシステムのクラッチペダルにおける検知部の出力値とペダル本体の回転角度との関係を示す図である。
図9図9は、実施の形態1の変形例2のペダルシステムのクラッチペダルにおける検知部の出力値とペダル本体の回転角度との関係を示す図である。
図10図10は、実施の形態1の変形例3のペダルシステムのアクセルペダルにおける検知部の出力値とペダル本体の回転角度との関係を示す図である。
図11図11は、実施の形態2のペダルシステムにおける検知部の出力値とペダル本体の回転角度との関係を示す図である。
図12図12は、その他変形例等のペダルシステムにおける検知部の出力値とペダル本体の回転角度との関係を示す図である。
図13図13は、その他変形例等のペダルシステムにおける検知部の出力値とペダル本体の回転角度との関係を示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様に係る検知装置は、ペダルの可動量に応じた出力値を示す信号を出力する検知部と、前記検知部から出力される前記信号を取得する処理部と、を備え、前記処理部は、前記検知部から出力された前記信号が示す出力値に基づいて、前記ペダルの可動量が、前記ペダルへの踏み始めの可動量に対応する領域である第1領域と、前記第1領域の踏み込み量よりも大きい踏み込み量で、前記ペダルが可動する領域である第2領域と、前記ペダルが可動する前記第1領域及び前記第2領域以外の領域である第3領域とのうちのいずれの領域であるかを判定し、当該判定した結果を出力する。
【0011】
これによれば、ペダルの可動量に応じて、第1領域、第2領域及び第3領域のいずれであるかを判定することができる。
【0012】
具体的には、ペダルの可動量が第1領域であれば、ペダルへの踏み込み開始時点を検知することができる。このため、例えば車両に適用した場合、テールランプ等を点灯させるトリガとすることができる。
【0013】
また、ペダルの可動量が第2領域であれば、ペダルの踏み込み量を検知することができる。このため、例えば車両に適用した場合、この検知装置では、ペダルの踏み込み量に応じて、回生協調ブレーキを制御することができる。
【0014】
さらに、ペダルの可動量が第3領域であれば、ペダルへの踏み込みによる可動範囲外にペダルが位置していることを検知することができる。このため、例えば車両に適用した場合、この検知装置では、ペダルの可動異常、ペダルと接続する検知部の回動レバーの脱落等による、ペダル機構の故障を検知することができる。
【0015】
したがって、この検知装置では、ペダルの踏み始めの検知と、ペダルを踏み込み中の検知と、ペダルの故障の検知とを一体的に行うことができる。
【0016】
特に、この検知装置では、1つの検知部からそれぞれの領域に対応する複数の信号を出力させることで、第1領域、第2領域及び第3領域のいずれであるかを判定することができるため、ブレーキペダルの状態を容易に判定することができる。
【0017】
また、本開示の他の態様に係る検知装置において、前記検知部は、前記ペダルの可動量が前記第1領域にあるときの、前記ペダルの可動量に対する変化率である前記出力値の出力勾配が、前記ペダルの可動量が前記第2領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配よりも大きくなるように前記信号を出力する。
【0018】
これによれば、ペダルの僅かな踏み込みでも、第1領域から第2領域への遷移を精度よく検知することができる。
【0019】
また、本開示の他の態様に係る検知装置において、前記第3領域は、前記第1領域に対して前記第2領域側とは反対側の領域である第1故障領域と、前記第2領域に対して前記第1領域側とは反対側の領域である第2故障領域とを有する。
【0020】
これによれば、ペダルの可動量が第1領域の可動量よりも小さすぎる場合(第1故障領域)、ペダルの可動量が第2領域の可動量よりも大きすぎる場合(第2故障領域)、ペダル機構の故障として検知することができる。このため、この検知装置では、ペダル機構の故障を精度よく検知することができる。
【0021】
また、本開示の他の態様に係る検知装置において、前記検知部は、前記ペダルの可動量が前記第2領域にあるとき、前記ペダルの可動量に対する変化率である前記出力値の出力勾配を2以上有するように前記信号を出力する。
【0022】
例えば軸心周りに回転するペダルの回転角度を可動量として検知部が検知する場合において、検知部がペダルの回転角度を検知するための軸心とペダルの軸心とが一致(同軸)すれば、ペダルの回転角度は、検知部が検知する回転角度と等しくなる。しかし、ペダルの軸心と検知部の軸心とが異なる場合、ペダルの回転角度は、検知部が検知する回転角度と乖離する。
【0023】
本開示では、例えば第2領域における前記出力値の出力勾配を複数設けることで、ペダルの軸心と検知部の軸心とが異なる場合でもペダルの回転角度を精度よく検知することができるようになる。
【0024】
また、本開示の他の態様に係る検知装置において、前記ペダルは、車両に搭載されたブレーキペダルである。
【0025】
これによれば、検知装置をブレーキペダルに適用することができる。
【0026】
また、本開示の他の態様に係る検知装置において、前記第1領域は、第4領域と第5領域とを有し、前記検知部は、前記ペダルの可動量が前記第5領域にあるときの、前記ペダルの可動量に対する変化率である前記出力値の出力勾配が、前記ペダルの可動量が前記第4領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配よりも大きく、前記ペダルの可動量が前記第5領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配が、前記ペダルの可動量が前記第2領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配よりも大きく、前記ペダルの可動量が前記第2領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配が、前記ペダルの可動量が前記第4領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配よりも大きくなるように前記信号を出力する。
【0027】
これによれば、ペダルの僅かな踏み込みでも、第4領域と第5領域との間での切り替わり、及び、第2領域と第4領域及び第5領域との間での切り替わりを精度よく検知することができる。
【0028】
また、本開示の他の態様に係る検知装置において、前記検知部から出力された信号が示す出力値が、第1所定値以上である場合、前記車両のブレーキランプが点灯され、前記第1所定値は、前記ペダルの可動量が前記第5領域にあるときの前記出力値である。
【0029】
これによれば、出力値が第1所定値以上であればブレーキランプを点灯することができる。
【0030】
また、本開示の他の態様に係る検知装置において、前記検知部は、前記第1故障領域、前記第1領域、前記第2領域及び前記第2故障領域の順に前記出力値が大きくなるように前記信号を出力し、前記処理部は、前記検知部から出力された信号が示す出力値が、第2所定値未満である場合、前記第1故障領域を示す判定結果を出力し、前記検知部から出力された信号が示す出力値が、前記第2所定値よりも大きい第3所定値未満である場合、前記第1領域を示す判定結果を出力し、前記検知部から出力された信号が示す出力値が、前記第3所定値よりも大きい第4所定値未満である場合、前記第2領域を示す判定結果を出力し、前記検知部から出力された信号が示す出力値が、前記第4所定値以上である場合、前記第2故障領域を示す判定結果を出力する。
【0031】
これによれば、複数の所定値を規定することで、出力値に応じた領域を適宜設定することができる。つまり、ペダルの可動量を細分化することで、ペダルの状態を精度よく判定することができる。
【0032】
また、本開示の他の態様に係る検知装置において、前記第1故障領域と前記第4領域との間に遷移領域を有し、前記検知部は、前記ペダルの可動量が前記遷移領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配が、前記ペダルの可動量が前記第1故障領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配よりも大きく、かつ、前記ペダルの可動量が前記遷移領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配が、前記ペダルの可動量が前記第4領域にあるときの前記出力値の前記出力勾配よりも大きくなるように信号を出力する。
【0033】
これによれば、遷移領域における出力値の出力勾配を第1故障領域及び第4領域のそれぞれの出力値の出力勾配よりも大きくすることで、第1故障領域と第4領域との間での切り替わりを精度よく検知することができる。
【0034】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0035】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略L字等の表現を用いている。例えば、略L状は、完全にL字状であることを意味するだけでなく、実質的にL字状である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略L字状は、本開示による効果を奏し得る範囲においてL字状という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0036】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0037】
(実施の形態1)
<構成:ペダルシステム10>
図1は、実施の形態1におけるペダルシステム10を搭載した車両1の車室内を示す模式図である。
【0038】
図1に示すように、ペダルシステム10は、例えば自動車等の車両1等に搭載され、ユーザによって踏み込まれたペダルの動きを検知し、検知に応じて車両1の走行を制御する。ペダルは、例えば、ブレーキペダル11、クラッチペダル13、及び、アクセルペダル12等である。本実施の形態では、特に言及しない限り、ブレーキペダル11について説明する。
【0039】
図2は、実施の形態1における検知装置を示すブロック図である。図3Aは、実施の形態1におけるペダルシステム10のブレーキペダル11及び検知部20の一部を示す斜視図である。
【0040】
図2及び図3Aに示すように、ペダルシステム10は、ブレーキペダル11と、検知部20と、処理部30とを備える。検知部20及び処理部30は、検知装置3を構成する。
【0041】
[ブレーキペダル11]
図3Aに示すように、ブレーキペダル11は、ユーザの踏み込みによる可動量(操作量と呼ばれることもある)に応じて、車両1の車輪の回転力に対して制動力を付与する。ユーザの踏み込みとは、ユーザが足によりブレーキペダル11を踏みこむことであり、ユーザによるブレーキ操作である。
【0042】
ブレーキペダル11は、車両1側に配置された軸心J1に対して回転可能に支持される。ブレーキペダル11は、運転者がブレーキ操作するために、所定位置からの踏み込みによって軸心J1周りで回転することで、車両1に制動力を付与する。
【0043】
ブレーキペダル11は、ペダル本体11aと、ペダルブラケット11bとを有する。
【0044】
図3Bは、実施の形態1におけるペダルシステム10の、ペダル本体11aの軸心J1と検知部20の回動レバー22の軸心J2との関係を示す図である。
【0045】
図3A及び図3Bに示すように、ペダル本体11aは、長尺上のペダルアームと、ユーザによって踏み込まれる図2のペダルパッドとを有する。ペダル本体11aは、一端側(車両1側)に設けられる軸部22aが軸心J1周りで回転可能に軸支され、他端側にペダルパッドが取付けられる。具体的には、ペダル本体11aの一端側は、車両1に固定されるペダルブラケット11bに軸心J1周りで回転可能に軸支される。
【0046】
図3Bに示すように、ペダル本体11aは、ペダル本体11aをユーザの足側に近づく姿勢で支持される第1姿勢(実線で示す)と、ペダル本体11aがユーザによる踏み込みの可動限界に達した第2姿勢(二点鎖線で示す)との間で回転する。第1姿勢は、ペダル本体11aがユーザの足で踏まれていない場合の、ペダル本体11aの姿勢である。第2姿勢は、ペダル本体11aユーザの足で可動限界まで踏み込まれて、ペダル本体11aが回転しなくなった場合の、ペダル本体11aの姿勢である。
【0047】
また、ペダル本体11aは、ペダル本体11aの回転とともに検知部20の回動レバー22を回転させるための接続部11cを有する。接続部11cは、ペダル本体11aの一端側に支持され、検知部20の回動レバー22と接続するように延び、回動レバー22と直接的に接続するための柱状突出部11dを有する。
【0048】
ペダルブラケット11bは、ペダル本体11aを軸心J1周りで軸支する。ペダルブラケット11bは、略L字形状の対向する一対の側壁部と、一対の側壁部を接続する板状の接続板とを有し、略断面逆U字形状に形成される。一対の側壁部の間には、ペダルアーム及び検知部20の回転を許容する空間が形成され、検知部20、ペダル本体11aの軸部22a及び接続体等が配置される。
【0049】
[検知部20]
図2及び図3Aに示すように、検知部20は、ブレーキペダル11の可動量を検知し、可動量に応じた出力値を示す信号を出力するストロークセンサである。具体的には、検知部20は、ブレーキペダル11が踏み込まれることで図3Bの第1姿勢から第2姿勢に遷移する場合、軸心J1回りで回転したブレーキペダル11のペダル本体11aの回転角度(開度)を可動量として検知する。可動量は、ペダル本体11aの第1姿勢を基準として、第1姿勢から軸心J1周りで回転したときの所定の姿勢までの回転角度を含む。
【0050】
なお、検知部20は、ブレーキペダル11への踏み込みが解除されることで、ブレーキペダル11が図3Bの第2姿勢から第1姿勢に遷移する場合も、軸心J1回りで回転したペダルの回転角度を可動量として検知してもよい。
【0051】
また、検知部20は、ブレーキペダル11の可動量として、図3Bのブレーキペダル11の第1姿勢と第2姿勢との間の姿勢以外の姿勢となる場合も検知する。言い換えれば、検知部20は、踏み込みによるブレーキペダル11の正常な可動範囲以外の範囲に、ブレーキペダル11が位置する場合も検知する。つまり、検知部20は、ブレーキペダル11の故障によって、異常な姿勢となる場合(異常な可動範囲に位置する場合)も検知する。
【0052】
このため、可動量としての回転角度には、第1姿勢と第2姿勢との間の第1の回転角度範囲と、第1姿勢よりも第2姿勢側と反対側の第2の回転角度範囲と、第2姿勢よりも第1姿勢側と反対側の第3の回転角度範囲とがある。第2の回転角度範囲及び第3の回転角度範囲は、第1の回転角度範囲以外の範囲である。
【0053】
検知部20は、ペダルの可動量を検知すると、検知した可動量を示す信号を処理部30に出力する。検知部20は、処理部30と通信可能に接続される。
【0054】
図4は、実施の形態1におけるペダルシステム10の検知部20を示す分解斜視図である。
【0055】
図4に示すように、検知部20は、ペダル本体11aの回転を検知可能にブレーキペダル11に設けられる。検知部20は、本体部21と、回動レバー22と、磁石23と、弾性ばね24と、レバー係止部材25と、磁気検知部26と、カバー27とを備える。
【0056】
本体部21は、弾性ばね24、レバー係止部材25及び磁気検知部26を収容する収容体である。本体部21は、ペダルブラケット11bに固定され、回動レバー22を軸心J2周りで軸支する。
【0057】
回動レバー22は、軸心J2周りで回転可能に本体部21に設けられる。軸心J2は、軸心J1と異なる軸心であり、軸心J1と略並行である。回動レバー22は、ペダル本体11aの回転と連動して軸心J2周りで回転するように本体部21に設けられる軸部22aと、軸部22aの軸心J2と直交する方向に延びる二股状のレバー部22bとを有する。軸部22aには、磁気検知素子26aと対向する姿勢で、軸心J2上に磁石23が固定される。レバー部22bは、その二股部分の間に配置されるペダル本体11aの柱状突出部11dと接続される。レバー部22bは、回転する際に、柱状突出部11dが二股部分の間で摺動することを許容する。
【0058】
なお、本実施の形態では、回動レバー22とペダル本体11aとがリンク機構、ギア機構等の伝達機構を介して回転可能に接続される構成であってもよい。
【0059】
磁石23は、永久磁石であり、軸心J2周りで回転する軸部22aを中心にして回転駆動する。磁石23は、軸心J2と交差する位置に配置される。磁石23は、磁石23の磁束の一部が磁気検知素子26aを通過するように、軸部22aに固定される。
【0060】
弾性ばね24は、ブレーキペダル11への踏み込みに伴う、回動レバー22の回転に対して反発する応力を回動レバー22に付与する。例えば、ブレーキペダル11が第1姿勢では、弾性ばね24は、回動レバー22に応力を付加する。但し、回動レバー22は、ブレーキペダル11の第1姿勢での静止状態に伴い、静止している。また、第2姿勢では、弾性ばね24は、回動レバー22の回転方向に反する方向に応力を付加する。
【0061】
レバー係止部材25は、回動レバー22とで本体部21を挟むように、回動レバー22及び本体部21に係合される。つまり、レバー係止部材25は、回動レバー22が本体部21から脱落しないように、回動レバー22を係止する。
【0062】
磁気検知部26は、磁気検知素子26aと、回路基板26bとを有する。
【0063】
磁気検知素子26aは、磁石23と対向する姿勢で、軸心J2と交差する位置に配置される。磁気検知素子26aは、回路基板26bに実装され、回路基板26bにより姿勢が保持される。
【0064】
磁気検知素子26aの感磁面には、磁石23の磁束の一部が通過する。このため、磁石23が回転駆動すると、磁束が磁気検知素子26aの感磁面を回転する。これにより、磁気検知素子26aは、磁界の変化つまり磁束の方向変化に伴った出力をする。つまり、磁気検知素子26aは、回動レバー22の回転角の検知が可能となる。
【0065】
磁気検知素子26aは、検知した回動レバー22の回転角度の大きさに応じて信号の出力値を大きくする。信号の出力値は、例えば電圧値である。磁気検知素子26aは、回動レバー22の回転を検知すると、回動レバー22の回転角度の大きさに応じた信号を処理部30に出力する。当該信号は、実質的にブレーキペダル11の可動量を示す信号となる。
【0066】
本実施の形態の磁気検知部26は、1つ又は2つの磁気検知素子26aにより構成され、磁気検知素子26aから信号が出力される構成である。
【0067】
回路基板26bは、磁気検知素子26aを実装し、かつ、磁気検知素子26aが出力した信号を増幅する信号処理回路を実装する。回路基板26bは、磁気検知素子26aを磁石23と対向する姿勢で、本体部21に保持される。
【0068】
カバー27は、本体部21に収容した磁気検知部26を覆うための部材である。カバー27は、磁気検知部26を覆った状態で、ねじ等の固定部材によって本体部21に固定される。
【0069】
[処理部30]
処理部30は、検知部20から出力される信号であって検知部20が検知したブレーキペダル11の可動量を示す信号を取得し、取得した信号が示す可動量に応じて、ブレーキペダル11が可動している領域を判定する。具体的には、処理部30は、磁気検知部26で検知された磁界の変化による信号が示す出力値に基づいて、ペダル本体11aの回転角度に対応する領域を判定する。処理部30は、つまりブレーキペダル11の可動量が第1領域、第2領域及び第3領域のいずれの領域であるかを判定する。
【0070】
図5Aは、実施の形態1におけるペダルシステム10のペダル本体11aの回転角度を検知するための、検知部20の出力値とペダル本体11aの回転角度との関係を示す図である。図5Aは、縦軸が磁気検知部26の信号の出力値であり、横軸がペダル本体11aの回転角度である。
【0071】
本実施の形態では、図5Aでは、ブレーキペダル11の可動量が第1領域、第2領域及び第3領域のいずれの領域であるかを判定するためのグラフを示す。
【0072】
以下、第1領域、第2領域及び第3領域について説明する。
【0073】
第1領域は、ブレーキペダル11への踏み始めの可動量に対応する領域である。踏み始めの可動量は、図3Bのペダル本体11aが第1姿勢から僅かに第2姿勢側に所定の角度で回転した場合の、ペダル本体11aの回転角度である。第1領域は、ブレーキペダル11への踏み始めの可動量を検知(図2のブレーキランプ51を作動するためのスイッチングの検知)するための領域である。第1領域は、Switch Low信号の出力値と対応する。また、第1領域は、角度θからθ2bまでの角度で示される。第1領域の出力勾配(つまり第1領域全体の出力勾配)は、第2領域の出力勾配よりも大きい。つまり、検知部20は、ブレーキペダル11の可動量が第1領域にあるときの、出力値のブレーキペダル11の可動量に対する変化率である出力勾配が、ブレーキペダル11の可動量が第2領域にあるときの出力勾配よりも大きくなるように信号を出力する。
【0074】
また、第1領域は、ブレーキペダル11の故障とブレーキランプ51の消灯とを区別するための、Switch Low信号に対応する第1A領域(第4領域の一例)と、Switch Low信号からSwitch High信号に切り替えるための第1B領域(第5領域の一例)とを有する。
【0075】
第1A領域は、ブレーキペダル11への踏み始めの可動量と同等のブレーキペダル11の回転角度である。第1A領域では、実質的にSwitch Low信号と同等の出力値であり、出力勾配が小さい。また、第1A領域は、角度(θ2a~θ)で示される。ここで、出力勾配は、図5Aに示すグラフの、それぞれの領域に対応する傾きを示す。言い換えれば、出力勾配は、出力値の可動量(回転角度)に対する変化率である。
【0076】
第1B領域は、Switch Low信号からSwitch High信号に切り替わるまでのごく僅かなブレーキペダル11の回転角度である。第1B領域は、Switch Low信号からSwitch High信号に至るまでの急な出力勾配となる信号の出力値である。第1B領域の出力勾配は、第2領域の出力勾配よりも大きい。また、第1B領域は、角度(θ2b~θ2a)で示される。
【0077】
ここで、検知部20から出力されるSwitch High信号によって、車両1は、ブレーキランプ51の点灯又はクルーズコントロールの解除等が行われる。したがって、一般的にブレーキペダル11に近接して配置されるランプスイッチであって、ペダル本体11aの回転によりペダル本体11aの一端部分によって押下されることで、車両1のブレーキランプ51を点灯又はクルーズコントロールを解除させる信号を出力するプッシュ型のランプスイッチは、不要となる。
【0078】
第2領域は、第1領域での踏み込み量よりも大きい踏み込み量によって、ブレーキペダル11が可動する領域である。この大きい踏み込み量は、ペダル本体11aへの踏み始めた時の可動量から踏み込みによる可動限界までペダル本体11aが回転した場合の、ブレーキペダル11の回転角度を示す。第2領域は、ブレーキペダル11への踏み込みを検知(ペダルストロークを検知)することで、回生協調制御するための領域である。第2領域では、Switch High信号が検知部20から出力される。Switch High信号は、Switch Low信号よりも信号の出力値が大きい。第2領域は、角度(θ~θ2b)で示される。
【0079】
このように、第1領域及び第2領域の角度(θ~θ)がペダル本体11aの正常な可動領域である。
【0080】
第3領域は、ペダル本体11aが第1姿勢と第2姿勢との間に位置しておらず、踏み込みによってペダルが可動する第1領域及び第2領域以外の領域である。第3領域は、第1領域に対して第2領域側とは反対側の領域である第1故障領域と、第2領域に対して第1領域側とは反対側の領域である第2故障領域とを有する。
【0081】
第1故障領域は、ペダル本体11aが第1姿勢よりも第2姿勢側とは反対側に位置する場合の、ブレーキペダル11の回転角度である。第1故障領域は、角度(θ~θ)で示される。第1故障領域では、ペダル本体11aの可動範囲外を検知する領域であるため、Sensor Low Clamp信号が検知部20から出力される。Sensor Low Clamp信号は、Switch Low信号と区別するため、Switch Low信号よりも信号の出力値が小さい。なお、Sensor Low Clamp信号は、図5Aのグラフように、一定値にしなくてもよく、回転角度が小さくなるにしたがって出力値を小さくしてもよい。
【0082】
また、第2故障領域は、ペダル本体11aが第2姿勢よりも第1姿勢側とは反対側に位置する場合の、ブレーキペダル11の回転角度である。第2故障領域は、角度θよりも大きい角度で示される。第2故障領域では、ペダル本体11aの可動範囲外を検知する領域であるため、Sensor High Clamp信号が検知部20から出力される。Sensor High Clamp信号は、Switch High信号よりも信号の出力値が大きい。なお、Sensor High Clamp信号は、図5Aのグラフように、一定値にしなくてもよく、回転角度が大きくなるにしたがって出力値を大きくしてもよい。
【0083】
このように、第1故障領域の角度(θ~θ)及び第2故障領域の角度θよりも大きい角度は、ペダル本体11aの異常な可動領域である。
【0084】
なお、図5Aは、あくまでも一例であり、処理部30による領域の判定は、図5Aに限定されない。例えば、図5Aの第1B領域の出力勾配をさらに小さくしてもよい。
【0085】
また、磁気検知部26が2つの磁気検知素子26aで構成される場合、処理部30は、図5Bのようになる。図5Bは、実施の形態1のペダルシステム10における検知部20の出力値とペダル本体11aの回転角度との関係を別の例で示す図である。図5Bは、縦軸が磁気検知部26の信号の出力値であり、横軸がペダル本体11aの回転角度である。処理部30は、図5Bのように2つの磁気検知素子26aの一方の磁気検知素子26aから論理反転した信号を取得する。これにより、処理部30は、2つの信号を取得することで、一定値とならない場合に、検知部20の出力値に異常があると判定できる。
【0086】
説明を処理部30に戻す。処理部30は、図5Aに基づいて、第1領域、第2領域及び第3領域のいずれの領域であるかを判定した結果を、例えば車両制御装置50等に出力する。車両制御装置50は、例えば、車両1に搭載されるECU(Electronic Control Unit又はEngine Control Unit)である。車両制御装置50は、ブレーキランプ51の点灯及び消灯等を制御することができてもよい。
【0087】
<処理>
本実施の形態におけるペダルシステム10の処理について説明する。
【0088】
図6は、実施の形態1における検知装置3の処理を示すフローチャートである。
【0089】
図6では、ユーザが車両1のイグニッションスイッチをオンにした状態でのペダルシステム10の処理について説明する。
【0090】
まず、ユーザの足がブレーキペダル11を踏み始めると、図6に示すように、検知部20は、ブレーキペダル11の可動量を検知する(S11)。つまり、検知部20は、ブレーキペダル11への踏み込み量としての可動量を検知し、可動量に応じた出力値の信号を処理部30に出力する。
【0091】
次に、処理部30は、検知部20から信号を取得すると、取得した信号が示す出力値(可動量)が第1領域、第2領域及び第3領域のいずれの領域であるかを判定する(S12)。処理部30は、判定した結果を車両制御装置50に出力する。そして、処理部30は、処理を終了する。
【0092】
ここで、ステップS12の処理について詳細に説明する。この説明では、ユーザがブレーキペダル11を、一定量だけ踏み込んだ場合を想定する。また、ユーザがブレーキペダル11を徐々に踏み込む場合、検知部20から出力される信号の出力値が次第に変化する。
【0093】
図7は、図6のステップS12の処理の詳細を示すフローチャートである。
【0094】
まず、処理部30は、図7に示すように、検知部20から取得した信号の出力値がSwitch Low信号の出力値(つまり閾値)未満であるか否かを判定する(S21)。Switch Low信号の出力値は、第2所定値の一例である。
【0095】
取得した信号の出力値がSwitch Low信号の出力値未満であれば(S21でYES)、ブレーキペダル11が故障していることを意味する。このため、処理部30は、第3領域の第1故障領域であると判定する。処理部30は、第1故障領域であることを示す判定結果を車両制御装置50等に出力する(S22)。そして、処理部30は、処理を終了する。
【0096】
取得した信号の出力値がSwitch Low信号の出力値以上であれば(S21でNO)、処理部30は、Switch High信号の出力値(つまり閾値)未満か否かを判定する(S23)。Switch High信号の出力値は、第3所定値の一例である。
【0097】
取得した信号の出力値がSwitch High信号の出力値未満であれば(S23でYES)、処理部30は、第1領域であると判定する。処理部30は、第1領域であることを示す判定結果を車両制御装置50等に出力する(S24)。そして、処理部30は、処理を終了する。
【0098】
取得した信号の出力値がSwitch High信号の出力値以上であれば(S23でNO)、処理部30は、Sensor High Clamp信号の出力値(つまり閾値)未満か否かを判定する(S25)。Sensor High Clamp信号の出力値は、第4所定値の一例である。
【0099】
ステップS21の信号の出力値がSensor High Clamp信号の出力値未満であれば(S25でYES)、処理部30は、第2領域であると判定する。処理部30は、第2領域であることを示す判定結果を車両制御装置50等に出力する(S26)。そして、処理部30は、処理を終了する。
【0100】
取得した信号の出力値がSensor High Clamp信号の出力値以上であれば(S25でNO)、ブレーキペダル11が故障していることを意味する。このため、処理部30は、第3領域の第2故障領域であると判定する。処理部30は、第2故障領域であることを示す判定結果を車両制御装置50等に出力する(S27)。そして、処理部30は、処理を終了する。
【0101】
なお、ステップS23でYESの場合、処理部30は、当該信号の出力値に基づいて、第1A領域であるか否かを判定してもよい。当該信号の出力値が第1A領域である場合、処理部30は、ステップS24に処理を戻してもよい。また、当該信号の出力値が第1B領域である場合、処理部30は、ステップS24に処理を戻してもよい。
【0102】
<作用効果>
次に、本実施の形態における検知装置3の作用効果について説明する。
【0103】
以上のように、本実施の形態における検知装置3は、ブレーキペダル11の可動量に応じた出力値を示す信号を出力する検知部20と、検知部20から出力される信号を取得する処理部30と、を備え、処理部30は、検知部20から出力された信号が示す出力値に基づいて、ブレーキペダル11の可動量が、ブレーキペダル11への踏み始めの可動量に対応する領域である第1領域と、第1領域の踏み込み量よりも大きい踏み込み量で、ブレーキペダル11が可動する領域である第2領域と、ブレーキペダル11が可動する第1領域及び第2領域以外の領域である第3領域とのうちのいずれの領域であるかを判定し、当該判定した結果を出力する。
【0104】
これによれば、ブレーキペダル11の可動量に応じて、第1領域、第2領域及び第3領域のいずれであるかを判定することができる。
【0105】
具体的には、ブレーキペダル11の可動量が第1領域であれば、ブレーキペダル11への踏み込み開始時点を検知することができる。このため、例えば車両1に適用した場合、第1領域から第2領域への変位を検知することによってブレーキランプ51等を点灯させるトリガとすることができる。
【0106】
また、ブレーキペダル11の可動量が第2領域であれば、ブレーキペダル11の踏み込み量を検知することができる。このため、例えば車両1に適用した場合、この検知装置3では、ブレーキペダル11の踏み込み量に応じて、回生協調ブレーキを制御することができる。
【0107】
さらに、ブレーキペダル11の可動量が第3領域であれば、ブレーキペダル11への踏み込みによる可動範囲外にブレーキペダル11が位置していることを検知することができる。このため、例えば車両1に適用した場合、この検知装置3では、ブレーキペダル11の可動異常、ブレーキペダル11と接続する検知部20の回動レバー22の脱落等による、ペダル機構の故障を検知することができる。
【0108】
したがって、この検知装置3では、ブレーキペダル11の踏み始めの検知と、ブレーキペダル11を踏み込み中の検知と、ブレーキペダル11の故障の検知とを一体的に行うことができる。
【0109】
特に、この検知装置3では、1つの検知部20からそれぞれの領域に対応する複数の信号を出力させることで、第1領域、第2領域及び第3領域のいずれであるかを判定することができるため、ブレーキペダル11の状態を容易に判定することができる。
【0110】
また、本実施の形態における検知装置3において、検知部20は、ブレーキペダル11の可動量が第1領域にあるときの、ブレーキペダル11の可動量に対する変化率である出力値の出力勾配が、ブレーキペダル11の可動量が第2領域にあるときの出力値の出力勾配よりも大きくなるように信号を出力する。
【0111】
これによれば、ブレーキペダル11の僅かな踏み込みでも、第1領域から第2領域への遷移を精度よく検知することができる。
【0112】
また、本実施の形態における検知装置3において、第3領域は、第1領域に対して第2領域側とは反対側の領域である第1故障領域と、第2領域に対して第1領域側とは反対側の領域である第2故障領域とを有する。
【0113】
これによれば、ブレーキペダル11の可動量が第1領域の可動量よりも小さすぎる場合(第1故障領域)、ブレーキペダル11の可動量が第2領域の可動量よりも大きすぎる場合(第2故障領域)、ペダル機構の故障として検知することができる。このため、この検知装置3では、ペダル機構の故障を精度よく検知することができる。
【0114】
また、本実施の形態における検知装置3において、ペダルは、車両1に搭載されたブレーキペダル11である。
【0115】
これによれば、検知装置3をブレーキペダル11に適用することができる。
【0116】
(実施の形態1の変形例1)
本変形例の検知装置3について説明する。
【0117】
本変形例では、図1のブレーキペダル11の代わりに図1のクラッチペダル13に用いる点で、実施の形態1の検知装置3と相違する。また、本変形例では、第1領域が実施の形態1の第1A領域よりも大きい出力勾配を有する点で実施の形態1の検知装置3と相違する。
【0118】
図8は、実施の形態1の変形例1のペダルシステム10のクラッチペダル13における検知部20の出力値とペダル本体11aの回転角度との関係を示す図である。図8は、縦軸が磁気検知部26の信号の出力値であり、横軸がペダル本体11aの回転角度である。
【0119】
本変形例の検知装置3の構成は、特に明記しない場合、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0120】
クラッチペダル13は、通常の踏み込みによる可動限界近傍で、車両1のエンジンをオンにする構成である。
【0121】
具体的には、第1領域は、エンジンをオンにするときにエンジンの駆動を制御するために、クラッチペダル13の踏み込み量を検知する領域である。つまり、第1領域では、クラッチペダル13の回転角度を検知する。
【0122】
なお、第1領域は、図5Aのように第1A領域及び第1B領域を有していてもよい。この場合、図8に図示をしていないが、第1A領域はθ2aからθまでの回転角度で示されてもよく、第1B領域はθ2bからθ2aまでの回転角度で示されてもよい。
【0123】
第2領域は、クラッチペダル13への踏み込みによる可動限界近傍でエンジンをオンにするために、可動限界近傍のクラッチペダル13を検知する領域である。つまり、第2領域では、クラッチペダル13のフルストロークを検知する。第2領域における可動量(ペダル本体11aの角度範囲(θ~θ))は、第1領域における可動量(ペダル本体11aの角度範囲(θ~θ))よりも小さい。第2領域は、第1領域の出力勾配よりも小さい。
【0124】
本変形例でも上述の実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0125】
(実施の形態1の変形例2)
本変形例の検知装置3について説明する。
【0126】
本変形例では、ブレーキペダル11の代わりに図1のクラッチペダル13に用いる点で、実施の形態1の検知装置3と相違する。また、本変形例では、処理部30は、実施の形態1の変形例1における図8の代わりに図9を用いて、いずれの領域であるかを判定する点で実施の形態1の変形例1と相違する。
【0127】
図9は、実施の形態1の変形例2のペダルシステム10のクラッチペダル13における検知部20の出力値とペダル本体11aの回転角度との関係を示す図である。図9は、縦軸が磁気検知部26の信号の出力値であり、横軸がペダル本体11aの回転角度である。
【0128】
本変形例の検知装置3の構成は、特に明記しない場合、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0129】
クラッチペダル13は、通常の踏み込みによる可動限界近傍で、車両1のエンジンをオンにする構成である。
【0130】
具体的には、第1A領域は、スイッチングによる燃料の低減を抑制するために、クラッチペダル13の踏み始めの可動量を検知する領域である。第1A領域における可動量(ペダル本体11aの角度範囲(θ1b~θ1a))は、第1B領域における可動量(ペダル本体11aの角度範囲(θ~θ1b))よりも小さい。また、第1A領域は、第1B領域よりも出力勾配が小さい。
【0131】
第1B領域は、エンジンをオンにするときにエンジンの駆動を制御するために、クラッチペダル13の踏み込み量を検知する領域である。つまり、第1B領域では、クラッチペダル13の回転角度を検知する。
【0132】
第2領域は、クラッチペダル13への踏み込みによる可動限界近傍でエンジンをオンにするために、可動限界近傍のクラッチペダル13を検知にする領域である。つまり、第2領域では、クラッチペダル13のフルストロークを検知する。第2領域における可動量(ペダル本体11aの角度範囲(θ~θ))は、第1B領域における可動量(ペダル本体11aの角度範囲(θ~θ1b))よりも小さい。また、第2領域は、第1A領域と同等の出力勾配である。
【0133】
本変形例の検知装置3は、一般的にクラッチペダル近傍に設けられている、例えば、第1A領域を検知するクラッチアッパスイッチと、第1B領域を検知するクラッチストロークセンサと、第2領域を検知するクラッチロアスイッチなどを省くことが可能となる。
【0134】
本変形例でも上述の実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0135】
(実施の形態1の変形例3)
本変形例の検知装置3について説明する。
【0136】
本変形例では、ブレーキペダル11の代わりに図1のアクセルペダル12に用いる点で、実施の形態1の検知装置3と相違する。また、本変形例では、実施の形態1の図5Aの代わりに図10を用いて、処理部30がいずれの領域であるかを判定する点で実施の形態1と相違する。つまり、本変形例では、第1領域が第1A領域と第1B領域とを有さず、所定の出力勾配の領域である点で実施の形態1と相違する。
【0137】
図10は、実施の形態1の変形例3のペダルシステム10のアクセルペダル12における検知部20の出力値とペダル本体11aの回転角度との関係を示す図である。図10は、縦軸が磁気検知部26の信号の出力値であり、横軸がペダル本体11aの回転角度である。
【0138】
本変形例の検知装置3の構成は、特に明記しない場合、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0139】
第1領域は、最も出力勾配の大きい領域であり、アクセルペダル12の踏み始めから、可動限界近傍まで次第に増加する出力勾配を有する領域である。つまり、第1領域は、アクセルペダル12の踏み込み量を検知する領域である。
【0140】
第2領域は、第1領域よりもアクセルペダル12の回転角度が大きい第2A領域と、第2A領域よりもアクセルペダル12の回転角度が大きい第2B領域とを有する。
【0141】
第2A領域は、エンジンの出力が全開状態となる領域である。第2A領域は、Switch High信号の出力値と同等であり、出力勾配が第1領域よりも小さい。
【0142】
第2B領域は、アクセルペダル12の可動限界近傍の状態であり、エンジンの出力を低下させる領域である。第2B領域は、Switch High信号よりも出力値の小さいSwitch Middle信号の出力値と同等であり、出力勾配が第2A領域と同等である。
【0143】
本変形例では、アクセルペダル12が第2A領域の場合、検知部20がSwitch High信号を出力し、エンジンの出力を全開にする。また、さらにアクセルペダル12が踏み込まれて、可動限界に近い第2B領域となっても、検知部20は、Switch Middle信号と同等にして、車両1の加速を抑制する。
【0144】
本変形例でも上述の実施の形態1と同様の作用効果を奏する。
【0145】
(実施の形態2)
本実施の形態の検知装置3について説明する。
【0146】
図11に示すように、本実施の形態では、第2領域を複数の領域に分割する点で、実施の形態1の検知装置3と相違する。
【0147】
図11は、実施の形態2のペダルシステム10における検知部20の出力値とペダル本体11aの回転角度との関係を示す図である。図11は、縦軸が磁気検知部26の信号の出力値であり、横軸がペダル本体11aの回転角度である。
【0148】
本実施の形態の検知装置3の構成は、特に明記しない場合、実施の形態1等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0149】
処理部30は、多点補正を行うことで、第2領域を複数の領域に区分する処理を行う。言い換えれば、第2領域は、多点補正されることで、それぞれが異なる複数の出力勾配を有する、それぞれの領域に区分される。例えば、図11では、実線で示すように、第2領域は、3つの領域に区分され、3つの出力勾配で構成される。なお、第2領域は、2つの領域に区分されてもよく、4つ以上の領域に区分されてもよい。つまり、第2領域では、補正点数を任意に設定することができる。また、図11の破線で示すように、第2領域は、破線で示すように、曲線状となることが好ましい。
【0150】
検知部20は、ブレーキペダル11の可動量が第2領域にあるとき、出力値の出力勾配を2以上有するような信号を出力する。この信号は、ブレーキペダル11の可動量に対する変化率である出力勾配を有する。
【0151】
<作用効果>
次に、本実施の形態における検知装置3の作用効果について説明する。
【0152】
以上のように、本実施の形態における検知装置3において、検知部20は、ブレーキペダル11の可動量が第2領域にあるとき、ブレーキペダル11の可動量に対する変化率である出力値の出力勾配を2以上有するように信号を出力する。
【0153】
例えば軸心周りに回転するブレーキペダルの回転角度を可動量として検知部が検知する場合において、検知部がブレーキペダルの回転角度を検知するための軸心とブレーキペダルの軸心とが一致すれば、ブレーキペダルの回転角度は、検知部が検知する回転角度と等しくなる。しかし、本実施の形態のように、ブレーキペダル11の軸心J1と検知部20の軸心J2とが異なる場合、ブレーキペダル11の回転角度は、検知部20が検知する回転角度と乖離する。
【0154】
本実施の形態では、例えば第2領域における出力値の出力勾配を複数設けることで、ブレーキペダル11の軸心J1と検知部20の軸心J2とが異なる場合でもブレーキペダル11の回転角度を精度よく検知することができるようになる。
【0155】
本実施の形態でも上述の実施の形態1等と同様の作用効果を奏する。
【0156】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1~3に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1~3等に限定されるものではない。
【0157】
例えば、上記各実施の形態1に係る検知装置において、ブレーキペダルの代わりにクラッチペダルを用いた場合でも、処理部は、図5Aと同等の図を用いて、検知部の信号がいずれの領域であるかどうかを判定してもよい。この場合、第1領域は、スイッチングによる燃料の低減を抑制するために、クラッチペダルへの踏み始めの可動量を検知する領域であってもよい。また、第2領域は、エンジンをオンにするときにエンジンの駆動を制御するために、クラッチペダルの踏み込み量を検知する領域であってもよい。また、第1故障領域は、故障を検知する領域であり、ペダル本体が第1姿勢よりも第2姿勢側とは反対側に位置する場合であってもよい。また、第2故障領域は、故障を検知する領域であり、ペダル本体が第2姿勢よりも第1姿勢側とは反対側に位置する場合に故障を検知する領域であってもよい。
【0158】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1、2に係る検知装置は、検知部の回動レバーの軸心がペダル本体の軸心と一致する検知部を用いてもよい。この場合、回動レバーは、ブラケットの外側に配置されてもよく、ブラケットの一対の側壁部の間に配置されていてもよい。ペダル本体の回転角度は、回動レバーの回転角度と一致するため、第2領域における多点補正を行わなくてもよく、処理部の処理負担を軽減することができる。
【0159】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1、2に係る検知装置において、第1B領域は、第2領域よりも出力勾配が小さくてもよい。
【0160】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1、2に係る検知装置において、それぞれの領域の出力勾配は、任意に設定することができてもよい。
【0161】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1、2に係る検知装置において、図5Aに示すように、第1B領域の出力勾配は、第2領域の出力勾配よりも大きいことを例示したが、図5Aに示す通り、第1B領域の出力勾配は、第2領域の出力勾配だけではなく、第1A領域の出力勾配、第1故障領域の出力勾配、及び、第2故障領域の出力勾配よりも大きくてもよい。また、図5Aに示すように、第2領域の出力勾配が、第1A領域の出力勾配よりも大きくてもよい。
【0162】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1、2に係る検知装置において、第1A領域は、ブレーキペダル11の踏み始めから、Switch High信号が出力される第1B領域に至るまでのブレーキペダル11の回転角度範囲である。この第1A領域の出力勾配は、0又は0に近い比較的小さな値であり実質的に0でよい。
【0163】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1、2に係る検知装置において、図5Aに示すように、第1故障領域、第1領域(第1A領域、第1B領域)、第2領域及び第2故障領域の各信号の出力値は、この順に次第に大きくなる。これにより、各領域の判定を誤判定することを防ぎ、より確実な領域判定が可能となる。つまり、検知部20が出力する信号の出力値が、第1故障領域、第1領域(第1A領域、第1B領域)、第2領域及び第2故障領域のこの順に大きくなるため、図7に示すように、検知部20から取得した信号の出力値が所定値(閾値)未満であるか否かを判定することで、ブレーキペダル11の可動量が、第1故障領域、第1領域(第1A領域、第1B領域)、第2領域及び第2故障領域のいずれの領域であるかを判定することが可能となる。
【0164】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1、2に係る検知装置において、上述の図5Aの説明では、第2領域における最大の出力値であるSwitch High信号によって、車両1のブレーキランプ51の点灯又はクルーズコントロールの解除等が行われることを例示したが、上記以外の出力値で車両1のブレーキランプ51の点灯又はクルーズコントロールの解除等が行われてもよい。図12は、その他変形例等のペダルシステム10における検知部20の出力値とペダル本体11aの回転角度との関係を示す図である。例えば、図12に示すように、Switch Low信号と、Switch High信号の中間の出力値であるSwitch ON信号以上の出力値の場合に、車両1のブレーキランプ51の点灯又はクルーズコントロールの解除等が行われてもよい。なお、ブレーキランプ51の点灯に加えて、シフトロックの解除、ブッシュスタート許可等も併せて行われてもよい。Switch ON信号の出力値は、第1所定値の一例である。
【0165】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1、2に係る検知装置において、上述の図5Aの説明では、省略したが、図13に示すように、第1故障領域と第1A領域との間に遷移領域を有していてもよい。図13は、その他変形例等のペダルシステム10における検知部20の出力値とペダル本体11aの回転角度との関係を示す別の図である。検知部20は、ペダルの可動量が遷移領域にあるときの出力値の出力勾配が、ペダルの可動量が第1故障領域にあるときの出力値の出力勾配よりも大きく、かつ、ペダルの可動量が遷移領域にあるときの出力値の出力勾配が、ペダルの可動量が第1A領域にあるときの出力値の出力勾配よりも大きくなるように信号を出力してもよい。なお、遷移領域は、第1故障領域及び第1領域のいずれかに含まれていてもよく、いずれにも含まれていなくてもよい独立した領域であってもよい。具体的には、図13に示すように、遷移領域は、Switch Low信号とSensor Low Clamp信号とが切り替わるまでのごく僅かなブレーキペダル11の回転角度である。遷移領域は、Switch Low信号とSensor Low Clamp信号とが切り替わるまでの急な出力勾配となる信号の出力値である。遷移領域は、角度(θ1a~θ1b)で示される。なお、遷移領域の出力勾配は、第1故障領域の出力勾配よりも大きく、かつ、第1A領域の出力勾配よりも大きいことが好ましい。
【0166】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1、2に係る検知装置3において、第1領域は、第1A領域と第1B領域とを有し、検知部は、ブレーキペダル11の可動量が第1B領域にあるときの、ブレーキペダル11の可動量に対する変化率である出力値の出力勾配が、ブレーキペダル11の可動量が第1A領域にあるときの出力値の出力勾配よりも大きく、ブレーキペダル11の可動量が第1B領域にあるときの出力値の出力勾配が、ブレーキペダル11の可動量が第2領域にあるときの出力値の出力勾配よりも大きく、ブレーキペダル11の可動量が第2領域にあるときの出力値の出力勾配が、ブレーキペダル11の可動量が第1A領域にあるときの出力値の出力勾配よりも大きくなるように信号を出力してもよい。
【0167】
これによれば、ブレーキペダル11の僅かな踏み込みでも、第1A領域と第1B領域との間での切り替わり、及び、第2領域と第1A領域及び第1B領域との間での切り替わりを精度よく検知することができる。
【0168】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1、2に係る検知装置3において、検知部から出力された信号が示す出力値が、第1所定値以上である場合、車両1のブレーキランプ51が点灯され、第1所定値は、ブレーキペダル11の可動量が第1B領域にあるときの出力値であってもよい。
【0169】
これによれば、出力値が第1所定値以上であればブレーキランプ51を点灯することができる。
【0170】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1、2に係る検知装置3において、検知部は、第1故障領域、第1領域、第2領域及び第2故障領域の順に出力値が大きくなるように信号を出力し、処理部は、検知部から出力された信号が示す出力値が、第2所定値(Switch Low信号の出力値)未満である場合、第1故障領域を示す判定結果を出力し、検知部から出力された信号が示す出力値が、第2所定値よりも大きい第3所定値(Switch High信号の出力値)未満である場合、第1領域を示す判定結果を出力し、検知部から出力された信号が示す出力値が、第3所定値よりも大きい第4所定値(Sensor High Clamp信号の出力値)未満である場合、第2領域を示す判定結果を出力し、検知部から出力された信号が示す出力値が、第4所定値以上である場合、第2故障領域を示す判定結果を出力してもよい。
【0171】
これによれば、複数の所定値を規定することで、出力値に応じた領域を適宜設定することができる。つまり、ブレーキペダル11の可動量を細分化することで、ブレーキペダル11の状態を精度よく判定することができる。
【0172】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1、2に係る検知装置3において、第1故障領域と第1A領域との間に遷移領域を有し、検知部は、ブレーキペダル11の可動量が遷移領域にあるときの出力値の出力勾配が、ブレーキペダル11の可動量が第1故障領域にあるときの出力値の出力勾配よりも大きく、かつ、ブレーキペダル11の可動量が遷移領域にあるときの出力値の出力勾配が、ブレーキペダル11の可動量が第1A領域にあるときの出力値の出力勾配よりも大きくなるように信号を出力してもよい。
【0173】
これによれば、遷移領域における出力値の出力勾配を第1故障領域及び第1A領域のそれぞれの出力値の出力勾配よりも大きくすることで、第1故障領域と第1A領域との間での切り替わりを精度よく検知することができる。
【0174】
また、上記各実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1~3に係る検知装置に含まれる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0175】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0176】
なお、各処理部は、検知部20に一体に設けられてもよく、また、車両制御装置50又は車両1の他の装置に一体に設けられてもよい。
【0177】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0178】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0179】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0180】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0181】
その他、実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1~3に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態1、2及び実施の形態1の変形例1~3における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本開示は、例えば車両等に装備されているブレーキペダル、アクセルペダル又はクラッチペダルに利用可能である。
【符号の説明】
【0183】
3 検知装置
11 ブレーキペダル(ペダル)
12 アクセルペダル(ペダル)
13 クラッチペダル(ペダル)
20 検知部
30 処理部
51 ブレーキランプ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13