(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】海域堆積盆地に対する塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価方法
(51)【国際特許分類】
G01V 20/00 20240101AFI20240425BHJP
【FI】
G01V20/00
(21)【出願番号】P 2023184033
(22)【出願日】2023-10-26
【審査請求日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】2022115471350
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517455720
【氏名又は名称】青▲島▼海洋地▲質▼研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】袁勇
(72)【発明者】
【氏名】陳建文
(72)【発明者】
【氏名】曹珂
(72)【発明者】
【氏名】梁杰
(72)【発明者】
【氏名】王建▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】楊長清
(72)【発明者】
【氏名】李慧君
(72)【発明者】
【氏名】李清
(72)【発明者】
【氏名】張銀国
(72)【発明者】
【氏名】孫晶
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-037760(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0284945(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第115657129(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海域堆積盆地に対する塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価方法であって、
堆積盆地の層序体積モデルを確立し、垂直方向の評価深度範囲内の堆積地層を上方から下方へ所定の間隔でn個の計算ユニットに設定するステップAと、
核心パラメータを選択しその取得値を決定し、前記核心パラメータは、計算ユニット内の地層分布面積、地層の厚さ、砂岩地層比、砂岩の空隙率、二酸化炭素密度及び二酸化炭素貯留の有効係数を含み、
ここで、砂岩地層比Rは以下の方式で取得し、
最初に、堆積盆地内の各堆積相帯の掘削井中の砂岩の厚さの地層の厚さに占める百分率F
jを集計し、次に、各相帯の面積に基づいて重みA
j/Aを決定し、さらに加重平均により盆地の地層の砂岩地層比Rを計算し、式は次のとおりであり、
式中、F
jは盆地内の各堆積相帯の掘削井の砂岩の厚さの地層の厚さに占める百分率であり、A
jは盆地内の各堆積相帯の面積で、j=1,2,3,……,Qであり、Qは堆積相帯の数であり、Aは盆地の面積であるステップBと、
下式により各計算ユニットの二酸化炭素貯留容量を得て、累算して総貯留容量を取得することにより、二酸化炭素貯留容量の評価を実現し、
V
i=A
i×H
i×R
ここで、M
CO2は二酸化炭素貯留容量であり、V
iはi番目の計算ユニットの砂岩体積で、i=1,2,3,……,nであり、φ
iはi番目の計算ユニットの砂岩の空隙率であり、ρ
iは貯留条件下のi番目の計算ユニットの二酸化炭素密度であり、A
iはi番目の計算ユニットの面積であり、H
iはi番目の計算ユニットの地層の厚さであり、Rは砂岩地層比であり、Eは二酸化炭素貯留の有効係数ステップCとを含むことを特徴とする海域堆積盆地に対する塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価方法。
【請求項2】
前記ステップBで、i番目の計算ユニットの面積A
iは、当該計算ユニットの上面及び下面の平均値をそれぞれ計算することによって得られることを特徴とする請求項1に記載の海域堆積盆地に対する塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価方法。
【請求項3】
前記ステップBで、砂岩の空隙率φ
iは、各計算ユニットの深度範囲内の砂岩の空隙率の平均値として得られることを特徴とする請求項1に記載の海域堆積盆地に対する塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価方法。
【請求項4】
前記ステップBで、二酸化炭素密度ρ
iは、以下の方式で得られ、
ρ
k=(28.97γ(D
1+G
pD
k))/(ZR
g(T
1+G
TD
k))
ここで、28.97は空気の相対分子量であり、Zは圧縮係数であり、R
gは気体定数であり、γは二酸化炭素の相対密度であり、D
1は海底の圧力であり、G
pは盆地の圧力勾配であり、T
1は海底の温度であり、G
Tは盆地の地温勾配であり、D
kは海底以下の特定の深さであり、ρ
kは海底以下の特定の深さにおける二酸化炭素密度で、k=D
h,D
h+1,D
h+2,……,D
dであり、D
hはi番目の計算ユニットの上面の深さであり、D
dはi番目の計算ユニットの下面の深さであることを特徴とする請求項1に記載の海域堆積盆地に対する塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海域における二酸化炭素の地中貯留の分野に属し、具体的には、海域堆積盆地に対する塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国内外で海域の塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価基準は多く命名もまちまちであり(CSLF,2005,2007;USDOE,2010,2015;Bachu et al.,2007;郭建強ら,2014)、評価尺度及びデータの詳細度によれば、最大規模なレベルはいずれも堆積盆地全体を研究対象とする。
【0003】
現在、世界範囲で塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価方法は6つあり、それぞれ、炭素隔離リーダーシップフォーラム(CSLF)地質作業部会、米国エネルギー省(USDOE)地質作業部会、米国地質調査所(USGS)、米国カリフォルニア大学のZhou et al.(2008)、沈平平ら(2009)などの機関又は学者によって提案された。従来の評価方法として、堆積盆地全体に対する容量評価方法を提案しているのは米国エネルギー省地質作業部会、米国地質調査所及び炭素隔離リーダーシップフォーラム(CSLF)地質作業部会だけであり、メカニズム法及び体積法の2種類に大別される。メカニズム法の基本原理は、二酸化炭素が目的地質体に注入された後、層序捕捉、束縛捕捉、溶解捕捉、鉱物捕捉及び流体力学的捕捉の方式で貯留され、異なる貯留方式での二酸化炭素の地中貯留容量をそれぞれ計算して、総貯留容量を得ることである。体積法の基本原理は、二酸化炭素の地中貯留に利用可能な地質体内の全ての空隙空間を推定し、当該体積を対応する貯留条件での二酸化炭素の地中貯留容量に換算することである。
【0004】
従来のメカニズム法は、理論的には様々なメカニズムの性能を検討してはいるが、溶解捕捉、束縛捕捉及び鉱物捕捉の容量評価結果は時間要因の影響だけでなく、データの取得値の精度の影響も受けるため、地域規模が大きい場合は正確なデータを得にくい。現在、我が国では海域堆積盆地の調査度に差が大きく、全体的に探査度が低く、データ源が同じではなく、特に盆地の水文地質学的特徴などは調査度が低いため、メカニズム法を用いて評価する場合は核心パラメータが欠ける。また、従来の大規模な堆積盆地を対象とする体積法は、パラメータの選択が比較的単純であり、垂直方向でも平面でも、各パラメータにはいずれも単一の数値が選択され、評価パラメータは非常に一般化されており、精度が高くないため、容量評価結果の正確度は低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の体積法ではパラメータの選択が単純であり、精度が悪く評価結果の正確度が低いという問題、及び従来のメカニズム法ではパラメータの選択が複雑であり、探査度の低い海域堆積盆地の貯留容量評価に適さないという問題に対し、海域堆積盆地に対する塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価方法を提案し、評価における核心パラメータの精度の問題を効果的に解決し、海域盆地の塩水帯水層の二酸化炭素貯留の容量評価の科学性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の技術的解決手段を用いて実現される。海域堆積盆地に対する塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価方法であって、以下のステップを含む。
ステップAであって、堆積盆地の層序体積モデルを確立し、垂直方向の評価深度範囲内の堆積地層を上方から下方へ所定の間隔でn個の計算ユニットに設定する。
ステップBであって、核心パラメータを選択しその取得値を決定し、前記核心パラメータは、計算ユニット内の地層分布面積、地層の厚さ、砂岩地層比、砂岩の空隙率、二酸化炭素密度及び二酸化炭素貯留の有効係数を含む。
ステップCであって、下式により各計算ユニットの二酸化炭素貯留容量を得て、累算して総貯留容量を取得することにより、二酸化炭素貯留容量の評価を実現し、
V
i=A
i×H
i×R
ここで、M
CO2は二酸化炭素貯留容量であり、V
iはi番目の計算ユニットの砂岩体積で、i=1,2,3,……,nであり、φ
iはi番目の計算ユニットの砂岩の空隙率であり、ρ
iは貯留条件下のi番目の計算ユニットの二酸化炭素密度であり、A
iはi番目の計算ユニットの面積であり、H
iはi番目の計算ユニットの地層の厚さであり、Rは砂岩地層比であり、Eは二酸化炭素貯留の有効係数である。
【0007】
さらに、前記ステップBで、砂岩地層比Rは以下の方式で取得する。
最初に、堆積盆地内の各堆積相帯の掘削井における砂岩の厚さの地層の厚さに占める百分率F
jを集計し、次に、各相帯の面積に基づいて重みA
j/Aを決定し、さらに加重平均により盆地の地層の砂岩地層比Rを計算し、式は次のとおりである。
式中、F
jは盆地内の各堆積相帯の掘削井の砂岩の厚さの地層の厚さに占める百分率であり、A
jは盆地内の各堆積相帯の面積で、j=1,2,3,……,Qであり、Qは堆積相帯の数であり、Aは盆地の面積である。
【0008】
さらに、前記ステップBで、i番目の計算ユニットの面積Aiは、当該計算ユニットの上面及び下面の平均値をそれぞれ計算することによって得られる。
【0009】
さらに、前記ステップBで、砂岩の空隙率φiは、各計算ユニットの深度範囲内の砂岩の空隙率の平均値として得られる。
【0010】
さらに、前記ステップBで、二酸化炭素密度ρ
iは、以下の方式で得られる。
ρ
k=(28.97γ(D
1+G
pD
k))/(ZR
g(T
1+G
TD
k))
ここで、28.97は空気の相対分子量であり、Zは圧縮係数であり、R
gは気体定数であり、γは二酸化炭素の相対密度であり、D
1は海底の圧力であり、G
pは盆地の圧力勾配であり、T
1は海底の温度であり、G
Tは盆地の地温勾配であり、D
kは海底以下の特定の深さであり、ρ
kは海底以下の特定の深さにおける二酸化炭素密度で、k=D
h,D
h+1,D
h+2,……,D
dであり、D
hはi番目の計算ユニットの上面の深さであり、D
dはi番目の計算ユニットの下面の深さである。
【発明の効果】
【0011】
従来技術と比べて、本発明の利点及び有益な効果は次のとおりである。
(1)本技術的解決手段は、モデルの体積に基づいて盆地全体の容量を計算し、従来のメカニズム法と比べて、パラメータの選択が単純であり、計算プロセスが単純であり、しかも全ての計算パラメータが取得しやすいため、海域盆地は探査度が低く、データの蓄積が不完全であるため速やかな容量評価を行うことができないという問題を解決している。
【0012】
(2)また、堆積盆地を垂直方向において複数の計算ユニットに設定し、垂直方向において各計算ユニット内でパラメータの値を取得し、各計算ユニットの容量を評価して累算し、従来の体積法と比べると、評価パラメータの単一性及び非常に一般化されているという問題が避けられ、垂直方向における評価パラメータの精度を向上させており、結果の信頼性が向上する。
【0013】
(3)また、核心パラメータの砂岩地層比の値を取得する際は、相制御された砂岩地層比計算モデルを確立し、盆地内の各堆積相帯の代表的な掘削井の砂岩地層比を加重平均することにより、平面上の核心パラメータの精度が向上し、評価結果の精度が一層向上している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施例に記載の二酸化炭素貯留容量の評価方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の実施例の層序体積モデルの模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例に記載の相制御された砂岩地層比計算モデルの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の上記の目的、特徴及び利点を一層明瞭に理解することができるよう、図面及び実施例を参照して本発明をさらに説明する。以下の記述で、本発明の充分な理解のために多くの細部が記載されているが、本発明は、ここの記述と異なる他の方式で実施されてもよく、したがって、本発明は以下に開示される特定の実施例に限定されない。
【0016】
本実施例は、海域堆積盆地に対する塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価方法を開示し、
図1に示されるように、以下のステップを含む。
ステップAであって、堆積盆地の層序体積モデルを確立し、垂直方向の評価深度範囲内の堆積地層を上方から下方へ所定の間隔で複数の計算ユニットに設定する。
ステップBであって、核心パラメータを選択しその取得値を決定する。前記核心パラメータは、計算ユニット内の地層分布面積(A
i)、地層の厚さ(H
i)、砂岩地層比(R)、砂岩の空隙率(φ
i)、二酸化炭素密度(ρ
i)及び二酸化炭素貯留の有効係数(E)を含む。
ステップCであって、計算式により各計算ユニットの二酸化炭素貯留容量を得て、累算して総貯留容量を取得することにより、二酸化炭素貯留容量の評価を実現する。
【0017】
以下、本発明の技術的解決手段を一層明瞭に理解するために、特定の実施に係るプロセスを用いて本発明を詳細に説明する。
前記ステップAで、層序体積モデルは、垂直方向の評価深度範囲内の堆積地層を上方から下方へ所定の間隔h
iでn個の計算ユニットに設定するものであり、前記間隔は、実際の状況に基づいて任意に選択され、理論的には、間隔が小さいほど、パラメータの取得値及び評価結果の精度は高い。
図2に示されるように、各計算ユニットは、地層分布面積、地質体の体積、砂岩の空隙率、二酸化炭素密度が異なる。層序体積モデルを制約として、容量を評価する際は各計算ユニットの上記のパラメータをそれぞれ取得して、各パラメータの空間的な不均一性を記述し、容量評価の精度を向上させる。
【0018】
ステップBで、選択された核心パラメータは、地層分布面積(A
i)、地層の厚さ(H
i)、砂岩地層比(R)、砂岩の空隙率(φ
i)、二酸化炭素密度(ρ
i)、二酸化炭素貯留の有効係数(E)を含み、それらの対応する取得値は、具体的には、以下の方式で得られる。
A
iは面積であり、評価深度範囲内の堆積厚さマップに基づく。
図2中の各計算ユニットに基づいて上面及び下面の平均値をそれぞれ計算する。
H
iは地層の厚さであり、評価深度範囲内の堆積厚さマップに基づく。
図2中のh
iに等しい。
Rは地層の砂岩地層比で、砂岩と地層の厚さの比である。
【0019】
本実施例では、相制御された砂岩地層比計算モデルを構築する。地層の砂岩地層比は、容量評価における核心パラメータであり、海域掘削井データから、堆積相帯によって砂岩地層比が異なることが明らかになった。盆地の堆積相平面図を制約として、様々なタイプの堆積相及びその砂岩地層比の位置する評価ユニットに占める重みの計算モデルを確立し、
図3に示されるように、モデルでは、異なる色が異なる堆積相のタイプを表す。
【0020】
地層の砂岩地層比は、相制御された砂岩地層比の値を取得する方法から得られる(
図3)。最初に、盆地内の各堆積相帯の掘削井中の砂岩の厚さの地層の厚さに占める百分率F
jを集計し、次に、各相帯の面積に基づいて重みA
j/Aを決定し、さらに加重平均により盆地の地層の砂岩地層比Rを計算し、計算式は次のとおりである。
式中、Rは地層の砂岩地層比で、%であり、F
jは盆地内の各堆積相帯の掘削井の砂岩の厚さの地層の厚さに占める百分率で、%であり、A
jは盆地内の各堆積相帯の面積で、m
2であり、Qは堆積相帯の数であり、Aは盆地の面積で、m
2である。
【0021】
φ
iは砂岩の空隙率であり、
図2中の各計算ユニットは、当該深度範囲内の砂岩の空隙率の平均値とする。
ρ
iは二酸化炭素密度であり、
図2中の各計算ユニットは、当該深度範囲内の二酸化炭素密度の平均値とし、二酸化炭素密度は地層圧力及び温度の変化に従って大きく変化するものであるため、1メートルの間隔で海底以下の各深さの二酸化炭素密度を正確に計算し、計算式は次のとおりである。
ρ
k=(28.97γ(D
1+G
pD
k))/(ZR
g(T
1+G
TD
k))
式中、28.97は空気の相対分子量であり、Zは圧縮係数であり、R
gは気体定数であり、γは二酸化炭素の相対密度で、純粋な二酸化炭素の相対密度は1.15192であり、D
1は海底の圧力で、MPaであり、G
pは盆地の圧力勾配で、MPa/100mであり、T
1は海底の温度で、℃であり、G
Tは盆地の地温勾配で、℃/100mであり、D
kは海底以下の特定の深さで、mであり、ρ
kは海底以下の特定の深さにおける二酸化炭素密度で、kg/m
3であり、D
hはi番目の計算ユニットの上面の深さで、mであり、D
dはi番目の計算ユニットの下面の深さで、mである。
【0022】
Eは二酸化炭素貯留の有効係数である。当該係数は二酸化炭素の占める空隙空間の体積と総空隙体積の比率であり、国際エネルギー機関温室効果ガスR&Dプログラム(IEAGHG,2009)によって世界の2万カ所以上の石油及びガス貯留層のパラメータに基づいて確立されたモデルであり(Gorecki et al.,2009)、所定の注入速度(最大年間100万トン)で数学的シミュレーションを行って有効平面、有効貯留の砂岩層の厚さ、有効空隙率、有効体積、微視的置換効率などのパラメータを得て、さらにモンテカルロサンプリングシミュレーション法(Goodman et al.,2011)で計算して砕屑岩の塩水帯水層の信頼区間10%~90%における貯留の有効係数はそれぞれ1.2%~4.1%となり、信頼水準が90%、50%、10%である時は、それぞれ、1.2%、2.4%及び4.1%である。
【0023】
ステップCで、前記計算式は次のとおりである。
V
i=A
i×H
i×R
ここで、
M
CO2は二酸化炭素貯留容量で、tであり、
V
iはi番目の計算ユニットの砂岩体積で、m
3であり、
φ
iはi番目の計算ユニットの砂岩の空隙率で、%であり、
ρ
iは貯留条件下のi番目の計算ユニットの二酸化炭素密度で、kg/m
3であり、
A
iはi番目の計算ユニットの面積で、m
2であり、
H
iはi番目の計算ユニットの地層の厚さで、mであり、
Rは砂岩の厚さと地層の厚さの比で、%であり、
Eは二酸化炭素貯留の有効係数で、二酸化炭素の占める空隙空間の体積と総空隙体積の比率を反映する。
【0024】
以上から分かるように、本発明は、モデル体積法を用いて、即ち、モデルを利用して制約して、盆地の塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量を評価し、核心パラメータを決定し、特定の計算式に基づいて貯留容量の評価を実現するものであり、計算量が少なく、精度が高いため、海域の大規模な塩水帯水層の二酸化炭素貯留容量の評価というニーズを満たすことができ、幅広く普及及び利用しやすい。
【0025】
上述したのは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明に他の形式で限定を行ったものではなく、当業者であれば上記で開示されている技術内容に変更を入れ又は同等な変化のある等価な実施例に変形させて他の分野に用いることができ、なお、本発明の技術的解決手段の内容から逸脱せず、本発明の技術上の趣旨に基づいて上記の実施例に作った単純な補正、同等な変化と変形であれば、いずれも本発明の技術的解決手段の保護範囲に属する。
【要約】 (修正有)
【課題】海域盆地の塩水帯水層の二酸化炭素貯留の容量評価の科学性を向上させる。
【解決手段】堆積盆地の層序体積モデルを確立することにより、垂直方向の評価深度範囲内の堆積地層を上方から下方へ所定の間隔で複数の計算ユニットに設定し、核心パラメータを選択しその取得値を決定し、前記核心パラメータは、計算ユニット内の地層分布面積、地層の厚さ、砂岩地層比、砂岩の空隙率、二酸化炭素密度などを含み、各計算ユニットの二酸化炭素貯留容量を得て、累算して総貯留容量を取得することにより、二酸化炭素貯留容量の評価を実現する。
【選択図】
図1