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  • 特許-フィルタ枠、およびエアフィルタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】フィルタ枠、およびエアフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/52 20060101AFI20240425BHJP
   F24F 3/16 20210101ALI20240425BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B01D46/52 A
F24F3/16
F24F13/28
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018181948
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020049433
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-31
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000232760
【氏名又は名称】日本無機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100118094
【弁理士】
【氏名又は名称】殿元 基城
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】阪野 竜巳
(72)【発明者】
【氏名】茅嶋 健太郎
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】増山 淳子
【審判官】松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-150513(JP,U)
【文献】実開昭57-145527(JP,U)
【文献】特開2010-131580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-46/90
F24F 3/16,13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタパックをシール材によりフィルタ枠の内周面に固定した、熱収縮が発生する環境下で使用されるエアフィルタであって、
前記フィルタ枠は、
前記フィルタパックを囲むように矩形に組み合わされ、前記フィルタパックを通過する気流に直交する第一の方向に配置される枠材と、前記第一の方向に直交する第二の方向に配置される枠材を備え、
少なくとも前記第一の方向に配置される枠材は、粗面化された内周面を有し、
前記シール材は、前記フィルタパックと前記フィルタ枠の内周面とを接着する接着材を兼ねており、
前記フィルタパックは、プリーツ加工された濾材を有し、前記濾材はプリーツの折り目が延びる方向が気流方向に直交する方向に配置されており、
前記第一の方向に配置される枠材は、前記プリーツの折り目が延びる方向と直交する方向に配置され、
前記第一の方向に配置される枠材の内周面は、前記プリーツの折り目が延びる方向および気流方向に直交する方向に沿って線状に延びた複数条の凹凸形状が設けられることにより粗面化されたことを特徴とするエアフィルタ。
【請求項2】
前記第二の方向に配置される枠材の内周面は、線状に延びた複数条の凹凸形状が設けられることにより粗面化されたことを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ。
【請求項3】
前記濾材の前記プリーツの折り目が延びる方向の端部は、前記シール材で形成される層内に埋まっている、請求項1または2に記載のエアフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ枠およびエアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
空調用のエアフィルタとして、複数の枠材を組み合わせたフィルタ枠に濾材を収納したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。濾材とフィルタ枠との接触面は、シール材(接着材)により気密に接着されている。これにより、濾材とフィルタ枠との間の隙間をなくし、リークが生じることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-51510
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シール材は、上方及び下方のフィルタ枠内の全面に亘って塗布され、濾材とフィルタ枠とをシールしている。しかし、平滑なフィルタ枠面にシール材を付けると接着力が低くなり、剥離する虞がある。また、エアフィルタに熱収縮が発生するような環境下で使用された場合、シール材とフィルタ枠との間の熱膨張係数の違いにより、シール材とフィルタ枠との境界が剥離し、エアフィルタのシール性が維持できない虞がある。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、フィルタ枠およびフィルタパック間の気密性の低下を低減することができるフィルタ枠およびエアフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアフィルタは、上述した課題を解決するために、フィルタパックをシール材によりフィルタ枠の内周面に固定した、熱収縮が発生する環境下で使用されるエアフィルタであって、前記フィルタ枠は、前記フィルタパックを囲むように矩形に組み合わされ、前記フィルタパックを通過する気流に直交する第一の方向に配置される枠材と、前記第一の方向に直交する第二の方向に配置される枠材を備え、少なくとも前記第一の方向に配置される枠材は、粗面化された内周面を有し、前記シール材は、前記フィルタパックと前記フィルタ枠の内周面とを接着する接着材を兼ねており、前記フィルタパックは、プリーツ加工された濾材を有し、前記濾材はプリーツの折り目が延びる方向が気流方向に直交する方向に配置されており、前記第一の方向に配置される枠材は、前記プリーツの折り目が延びる方向と直交する方向に配置され、前記第一の方向に配置される枠材の内周面は、前記プリーツの折り目が延びる方向および気流方向に直交する方向に沿って線状に延びた複数条の凹凸形状が設けられることにより粗面化されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るフィルタ枠およびエアフィルタにおいては、フィルタ枠およびフィルタパック間の気密性の低下を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のエアフィルタを示す斜視図である。
図2図1に示すエアフィルタの一部を分解して示す分解斜視図である。
図3図2の領域IIIの拡大図であり、枠材の凹凸形状の説明図である。
図4】本実施形態の接続部材を示す図であり、(a)は接続部材を内周面側から見た図であり、(b)は接続部材を外周面側から見た図である。
図5図4に示す接続部材を気流方向から見た図である。
図6】本実施形態のエアフィルタの組立方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るフィルタ枠およびエアフィルタの一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るエアフィルタの斜視図である。本実施形態に係るエアフィルタ1は、フィルタパック70と、フィルタパック70を内部に収納する矩形のフィルタ枠2から構成される。
【0011】
フィルタパック70は、プリーツ加工された濾材50を有している。濾材50は、気体中の微粒子を捕集する、プリーツ加工された部材である。濾材50には、例えば、ガラス繊維または樹脂繊維の繊維材料からなる不織布または織布が用いられる。濾材50の具体例として、粒径0.3μmの粒子に対する捕集効率が、90~99.99%であり、厚みが0.4~0.9mmである。このような濾材50は、HEPAフィルタ(粒径0.3μmの粒子に対して99.97%以上の捕集効率を有し、かつ初期の圧力損失が245Pa以下であるフィルタ)、あるいは、HEPAに準じる性能のフィルタ(粒径0.3μmの粒子に対して90~99.99%の捕集効率を有するフィルタ)として用いることができる。
濾材50は、濾材シートを、山折りおよび谷折りを交互に繰り返し行うことによりジグザグ形状(V字が連続した形状)に形成されている。山折りおよび谷折りの折り目は、気流の上流側および下流側にそれぞれ表れる。特に制限されないが、フィルタパック70の外寸は、例えば、縦(図1のZ方向長さ)580mm×横(図1のY方向長さ)580mm×奥行き(図1のX方向長さ)50~290mmである。フィルタパック70のプリーツ間隔は2~10mm、折り幅は40~260mm、プリーツ数は60~240である。
【0012】
フィルタパック70は、さらに、プリーツ間隔の間隔保持材としてセパレータ60を有していることが好ましい。セパレータ60は、濾材50の隣り合う2つのプリーツ(山折りされた山部)の間のスペースごとに配置された複数の部材である。セパレータ60の材料としては、アルミニウム、ステンレス等の金属、あるいは紙が用いられる。セパレータ60は、プリーツ同士の間隔(図1のY方向に沿った間隔)を保持する部材である。セパレータ60は、波形状に折り曲げられて形成され、プリーツの折り目が延びる方向(図1のZ方向)と略平行な方向に延びるよう配置されている。フィルタパック70の第一の方向の両端には、濾材50が位置していることが好ましい。また、間隔保持材はホットメルト、スタビライザ、濾材50のエンボス加工などでも良い。
【0013】
フィルタ枠2は、矩形の各辺を構成する4つの枠材20、40および4つの接続部材3で形成される。枠材20、40は、フィルタパック70に対して気流に直交する第一の方向(以下、図1、2および6のY方向をいう)に2つの枠材20が対向して配置され、第一の方向に直交する第二の方向(以下、図1、2および6のZ方向をいう)に2つの枠材40が対向して配置されている。枠材20、40の詳細については、後述する。
接続部材3は、矩形の角部を形成し、第一の方向に配置される枠材(第一の枠材)20と、第二の方向に配置される枠材(第二の枠材)40を角部で接続する。接続部材3の詳細は、後述する。
【0014】
図2は、エアフィルタ1の一部を分解して示す分解斜視図である。枠材20、40は、枠板部22、42とカバー部24、44から構成される。
【0015】
枠板部22、42は、図2に示す例において、Y方向またはZ方向に板状に延びる部分である。枠板部22、42の内周面はフィルタパック70と当接し、外周面の一部は凸部30と当接する。枠板部22、42の外周面には、接続部材3の凸部30と接合するための凹部21、41が複数設けられる。第一の枠材20の凹部21は、Z方向に窪み、気流方向(以下、図1、2および6のX方向をいう)に沿って複数設けられている。第二の枠材40の凹部41は、Y方向に窪み、X方向に沿って複数設けられる。枠板部22、42に設けられる凹部21、41の数は、図2に示す例において4つであるが、その数は制限されない。
【0016】
凹部21、41はフィルタ枠2の外周面側に開放されるため、凸部30の位置を枠材20、40の特定の位置に正確に合わせる必要がない。これにより、例えば、接続部品と枠板を嵌合する場合に比べ、作業性がよく、エアフィルタ1の組み立てが容易になる。
【0017】
また、枠板部22、42は、枠板部22、42からY方向またはZ方向の外側に突出し、かつ、枠材20、40の長手方向に延びるリブ23、43を有する。図2に示す例において、リブ23、43は、3本設けられているが、その数は制限されず、凸部30の数に応じて設けられる。枠材20、40は、その寸法、形状によっては、フィルタパック70から力を受けることで、大きく変形する場合がある。これによって、フィルタパック70と、枠材20、40との間に隙間があくと、リークが生じるおそれがある。エアフィルタ1では、枠板部22、42にリブ23、43が設けられていることで、枠材20、40の長手方向に対する曲げ剛性が高くなり、フィルタパック70から力を受けても、枠材20、40の長手方向への変形量が大きくなりすぎない。
【0018】
カバー部24、44は、枠板部22、42のX方向の両端に設けられ、断面形状は略L字型である。カバー部24、44は、枠板部22、42のX方向の両端からZ方向またはY方向に向かって突出するガード部25、45を有する。ガード部25は、シール材がフィルタ枠2の内周面に塗布されるとき、シール材がフィルタ枠2外に漏れ出すのを防止する。
【0019】
枠材20、40のうち、フィルタパック70の濾材50のプリーツの折り目が延びる方向における両端と当接する枠材20(第一の方向に配置される枠材)は、枠板部22の内周面22aの全面に亘って、凹凸形状26を有している。図3は、図2の領域IIIの拡大図であり、枠材20の凹凸形状26の説明図である。
【0020】
凹凸形状26は、線状に延びた複数条の凹部26aおよび凸部26bからなる。凹凸形状26は、濾材50の奥行き方向(X方向)に沿って凹部26aおよび凸部26bが交互に表れている。凹凸形状26は、気流方向に直交する方向(Y方向)に沿って、線状に延びている。凹凸形状26は、例えば押出成形により形成される。凹部26aは、内周面22a上に塗布されたシール材が確実に凹部26aに行き渡るよう、断面形状が略円弧状である。
【0021】
接続部材3は、Y方向およびZ方向に突出し、枠材20、40の凹部21、41に挿入する複数の凸部30を有している。凸部30は、Y方向またはZ方向を向く面を有する板状の形状を有しており、X方向に沿って複数設けられる。接続部材3に設けられる凸部30の数は、図2に示す例において4つであるが、その数は制限されない。また、凸部30は、図2に示す例において、一定の曲率半径に沿った角部を有する形状に形成されているが、このような形状に制限されない。
【0022】
凸部30は、接続部材3と枠材20、40とが接合される際に、枠板部22、42の凹部21、41に対してY方向およびZ方向に沿って当接するように配置される。X方向に対して接続部材3の両端に位置する凸部30の端部は、カバー部24、44により覆われている。
【0023】
さらに、接続部材3は、フィルタ枠2の角部を形成する面(接続部材3の外周面32a)からY方向およびZ方向に突出し、接続部材3に接合した枠材20、40の外周面の方向に沿うように設けられた堰31を有する。堰31の詳細については、後述する。
【0024】
枠材20、40および接続部材3は、例えば、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフタルアミド等の樹脂材料を用いて作製される。
【0025】
図4は、接続部材3を示す図であり、(a)は接続部材3を内周面32b側から見た図であり、(b)は接続部材3を外周面32a側から見た図である。
【0026】
堰31は、第一の方向および第二の方向(接続部材3の長手方向に直交する方向)を向く面を有する板状の形状であり、複数の凸部30の面と平行に設けられる。堰31の長手方向の両端部は切り欠かれており、堰31の長手方向の長さは接続部材3の長手方向の長さよりも短い。切欠きは、枠材20、40と接続部材3の接合時に、カバー部24、44の端部と当接する。
【0027】
堰31は、接続部材3と枠材20、40の接続部分を覆うように設けられる。これにより、堰31はエアフィルタ1を組み立てる際に、凸部30の間から漏れ出したシール材がフィルタ枠2外へ漏れ出すのを防止することができる。
【0028】
図5は、接続部材3を気流方向から見た図である。
【0029】
凸部30は、図5に示す例では、先細りにされた先端部33を有している。これにより、凸部30の厚みが厚い場合であっても、エアフィルタ1を組み立てる際に、凸部30を凹部21、41に簡単に挿入することができる。先端部33は、図5に示す例において、厚み方向の片側のみ削り取られた形態を有しているが、厚み方向の両側において削り取られた形態が採用されてもよい。
【0030】
図6は、エアフィルタ1の組立方法を示す斜視図である。
【0031】
この具体例では、まず、第一の枠材20の両端に接続部材3のY方向に突出した凸部30を接合(挿入)し、エアフィルタ1の下辺をなす部分を作製する。接合した接続部材3のZ方向に突出した凸部30を上方(-Z方向)に向けて置き、枠板部22の内周面22aおよび接続部材3の内周面32b(内周面22aと同一面上に位置する面)に、例えばウレタン樹脂のシール材(兼接着材)を塗布する。接続部材3の内周面32bにまでシール材が塗布されることにより、接続部材3の内周面32bと第二の枠材40の端面(接続部材3と接する面)に隙間ができず、リークが発生しにくくなる。
【0032】
このとき、枠板部22の内周面22aには、凹凸形状26が設けられている。このため、内周面22aの表面積が、凹凸形状26がない場合に比べて大きくなる。その結果、シール材と内周面22aとの接着面積が増え、シール材と内周面22aとの接着性が増す。
【0033】
次いで、フィルタパック70を、横方向(濾材50の折り目と直交する方向)の両側から第二の枠材40で挟持して圧縮し、フィルタパック組立体80を作製する。フィルタパック70と第二の枠材40とは、接着剤により線接着されることで固定されている。線接着は、濾材50の折り目が延びる方向(Z方向)に沿った接着である。
【0034】
フィルタパック組立体80を、第一の枠材20に対して、Y方向に位置決めする。また、図6に示すように、第一の枠材20の気流の下流側の縁に、フィルタパック組立体80の気流の下流側の縁を合わせて、この縁を回動中心としてフィルタパック組立体80が回動されるよう仮固定する。この状態で、第一の枠材20の凸部30が、フィルタパック組立体80の第二の枠材40の凹部41に挿入されることを確認しながら、図6の矢印で示すように、フィルタパック組立体80を回動して、凸部30を凹部41に挿入し、フィルタパック70をシール材に接触させる。濾材50(フィルタパック70)は、シール材で形成される層内にプリーツの折り目が延びる方向の端部が埋まるように配置される。これにより、シール材は濾材50の折り目形状により区画されるようになっている。
【0035】
フィルタパック70を一旦シール材に接触させると、フィルタパック組立体80を第一の枠材20から離すことができなくなる。このため、仮に、フィルタパック組立体80が第二の枠材40に対してY方向にずれた状態で接着された場合は、エアフィルタ1の性能に問題が生じるような歪みとなる。本組立方法では、フィルタパック組立体80を、上述のように第一の枠材20に対して回動させられることで、フィルタパック組立体80を第一の枠材20に対して精度良く位置決めすることができる。
【0036】
次いで、第一の枠材20の両端に接続部材3のY方向に突出した凸部30を接合し、エアフィルタ1の上辺をなす部分を作製する。また、枠板部22の内周面22aに、例えばウレタン樹脂のシール材(兼接着材)を塗布する。その後、接合した接続部材3のZ方向に突出した凸部30を下方(+Z方向)に向け、フィルタパック組立体80の第二の枠材40の凹部41に挿入し、フィルタパック70をシール材に接触させる。以上のようにして、エアフィルタ1は組み立てられる。
【0037】
このような本実施形態におけるフィルタ枠2およびエアフィルタ1は、フィルタ枠2およびフィルタパック70間の密性の低下を低減することができる。すなわち、枠板部22の内周面22aに凹凸形状26を設けたことにより、内周面22aと、この内周面22aに配置されるシール材との接着性を向上させることができる。これにより、熱収縮(熱膨張)の影響を受ける環境下であっても、シール材と内周面22aとが剥離することを低減できる。
【0038】
また、シール材の収縮量が最も大きくなるのは、シール材の長さが長い領域である。上述したように、シール材の層は、濾材50のプリーツの折り目形状によりある程度区画されている。この区画された領域を内周面22aに平行する面上で見た場合、シール材の長さが最も長くなるのは気流方向に沿う方向の長さである。すなわち、濾材50のプリーツ形状が形成するV字の深さ(高さ)に相当する長さである。この収縮量が最も大きくなる領域を考慮して、本実施形態におけるフィルタ枠2およびエアフィルタ1は、気流方向に直交する方向に線状に延びた凹凸形状26を設けた。これにより、凹凸形状26は、気流方向に沿う内周面22aの長さを凹凸形状26の分だけ長くする、すなわち、シール材と内周面22aとの接触長さを長くしている。その結果、凹凸形状26は、最も収縮量が大きくなる方向の接着性を高めることができる。
【0039】
本発明のフィルタ枠、エアフィルタは上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更を行うことができる。
例えば、凹凸形状は、枠板部の内周面の全面に設けられていなくてもよい。凹凸形状は、平滑面でなければよく、単に面を粗くすることにより形成されてもよい。また、凹凸形状は、点状の凸や凹であってもよい。
凹凸形状は、第一の方向に配置される枠材に限らず、第二の方向に配置される枠材に設けてもよく、全ての枠材に設けてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 エアフィルタ
2 フィルタ枠
3 接続部材
20 第一の方向に配置される枠材(第一の枠材)
22、42 枠板部
22a 内周面
26 凹凸形状
26a 凹部
26b 凸部
40 第二の方向に配置される枠材(第二の枠材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6