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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】分離膜エレメント
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/10 20060101AFI20240425BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B01D63/10
B01D63/00 510
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018526601
(86)(22)【出願日】2018-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2018017105
(87)【国際公開番号】W WO2018221103
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-03-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2017106238
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017184498
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017184499
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】広沢 洋帆
(72)【発明者】
【氏名】西岡 琢治
(72)【発明者】
【氏名】北村 義之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 楓佳
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】松井 裕典
【審判官】金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-9182(JP,A)
【文献】特開2007-117949(JP,A)
【文献】特開平11-179352(JP,A)
【文献】国際公開第2016/137965(WO,A1)
【文献】特開2015-57273(JP,A)
【文献】国際公開第2015/064720(WO,A1)
【文献】特開2012-46831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D61/00-71/82
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも集水管と、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを備える分離膜エレメントであって、
前記供給側流路材は一方向に並んだ複数の繊維状物Aから構成される繊維状列Xおよび前記繊維状列Xとは異なる方向に並んだ複数の繊維状物Bから構成される繊維状列Yから構成され、
前記繊維状物Aは前記繊維状物Bと立体交差して交点を形成し、
前記繊維状物Aおよび/または前記繊維状物Bは、それぞれの繊維状列に平行な切断面において、隣接する交点間にネッキングした細径部および太径部を有し、
前記太径部が前記交点で交わっており、
前記供給側流路材の交点間隔に対する前記細径部の長さの比率が0.25以上0.80以下であり、
前記太径部は前記細径部の片端に配置される、分離膜エレメント。
【請求項2】
少なくとも集水管と、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを備える分離膜エレメントであって、
前記供給側流路材は一方向に並んだ複数の繊維状物Aから構成される繊維状列Xおよび前記繊維状列Xとは異なる方向に並んだ複数の繊維状物Bから構成される繊維状列Yから構成され、
前記繊維状物Aは前記繊維状物Bと交差して交点を形成し、
前記交点における前記供給側流路材の厚みは、前記繊維状物Aと前記繊維状物Bとの厚みの合計であり、
前記繊維状物Aおよび/または前記繊維状物Bは、それぞれの繊維状列に平行な切断面において、隣接する交点間にネッキングした細径部および太径部を有し、
前記太径部が前記交点で交わっており、
前記供給側流路材の交点間隔に対する前記細径部の長さの比率が0.25以上0.80以下であり、
前記太径部は前記細径部の片端に配置される、分離膜エレメント。
【請求項3】
前記太径部の平均径に対する、前記細径部の平均径の比率が0.17以上0.78以下である請求項1又は2に記載の分離膜エレメント。
【請求項4】
前記細径部の引張弾性率が200MPa以上1000MPa以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の分離膜エレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離膜エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
海水およびかん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術においては、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜は、その孔径や分離機能の点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、正浸透膜に分類される。これらの膜は、例えば海水、かん水および有害物を含んだ水などからの飲料水の製造、工業用超純水の製造、並びに排水処理および有価物の回収などに用いられており、目的とする分離成分および分離性能によって使い分けられている。
分離膜エレメントとしては様々な形態があるが、分離膜の一方の面に供給水を供給し、他方の面から透過流体を得る点では共通している。分離膜エレメントは、束ねられた多数の分離膜を備えることで、1個の分離膜エレメントあたりの膜面積が大きくなるように、つまり1個の分離膜エレメントあたりに得られる透過流体の量が大きくなるように形成されている。分離膜エレメントとしては、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などの各種の形状が提案されている。
【0003】
例えば、逆浸透ろ過には、スパイラル型分離膜エレメントが広く用いられる。スパイラル型分離膜エレメントは、集水管と、集水管の周囲に巻き付けられた分離膜とを備える。分離膜は、供給水(つまり被処理水)を分離膜表面へ供給する供給側流路材、供給水に含まれる成分を分離する分離膜および分離膜を透過し供給側流体から分離された透過側流体を集水管へと導くための透過側流路材が積層されることで形成される。スパイラル型分離膜エレメントは、供給水に圧力を付与することができるので、透過水を多く取り出すことができる点で好ましく用いられている。
【0004】
濃度分極による分離膜エレメント性能低下を抑制するためには、例えば供給側流路材の厚みを薄くし、供給水の膜面線速度を大きくして分離膜表面近くで乱流を生じさせ、濃度分極層を薄くすれば良いが、供給側流路材の厚みを薄くすると供給水中の不純物や微生物によるファウラントが供給側の流路を閉塞して分離膜エレメント性能が低下したり、分離膜エレメントの圧力損失が大きくなり、供給水を供給するポンプの必要動力が大きくなるため電力費が高くなったり、分離膜エレメントが破損するといった問題が生じるため、供給側流路材による分離膜エレメントの性能向上が提案されている。
具体的には、特許文献1および2では、供給側流路材中の繊維状物の配列を制御することで、流動抵抗を低減させたネットが提案されている。また、特許文献3では縦糸および横糸が非円形断面である織物状の流路材が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特表2015-525282号公報
【文献】日本国特開2000-000437号公報
【文献】日本国特開平10-118468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した分離膜エレメントは、供給側流路材の流動抵抗と乱流発生とのバランスが十分とはいえず、とりわけ繊維状物同士の交点付近の供給水の滞留の解消が十分でなかった。そこで、本発明は、特に高い圧力をかけて分離膜エレメントを運転した時の分離除去性能を安定化させることのできる分離膜エレメントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明によれば、少なくとも集水管と、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを備える分離膜エレメントであって、上記供給側流路材は一方向に並んだ複数の繊維状物Aから構成される繊維状列Xおよび上記繊維状列Xとは異なる方向に並んだ複数の繊維状物Bから構成される繊維状列Yから構成され、上記繊維状物Aは上記繊維状物Bと交差して交点を形成し、上記繊維状物Aおよび/または上記繊維状物Bは、それぞれの繊維状列に平行な切断面において、隣接する交点間に細径部および太径部を有する、分離膜エレメントが提供される。
【0008】
また本発明によれば、少なくとも集水管と、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを備える分離膜エレメントであって、上記供給側流路材は、繊維状物により区画され、網目状に連続した領域を有し、上記領域は、四つの略曲線からなり、内二つの該略曲線が、略放物線を形成し、該略放物線の両端を結ぶ直線を、直線Lとしたとき、上記直線Lおよび上記略放物線により囲まれた部位の面積をS1、前記領域におけるS1以外の部位の面積をS2、としたとき、上記S1および上記S2が、S1>S2の関係を満たし、上記繊維状物は、R1>R2の関係を満たす、径R1の太径部、径R2の細径部を有する分離膜エレメントが提供される。
【0009】
また、本発明の好ましい形態によれば、上記細径部は、上記供給側流路材の厚み方向において、上記太径部の中間に配置される分離膜エレメントが提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、上記太径部の径R1に対する、上記細径部の径R2の比率が0.17以上0.78以下である分離膜エレメントが提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、上記供給側流路材の交点間を結ぶ略放物線の長さに対する細径部の長さの比率が0.25以上0.80以下である分離膜エレメントが提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、上記細径部の引張弾性率が200MPa以上1000MPa以下である分離膜エレメントが提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、上記太径部は上記細径部の片端に配置される分離膜エレメントが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によって、分離膜エレメントを運転した際に生じるファウリングの進行を減速させ、供給側の流路が閉塞することによる差圧上昇を抑制できるため、運転安定性に優れた分離膜エレメントを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】分離膜エレメントの一形態を示す展開斜視図である。
図2】本発明の分離膜エレメントが備える供給側流路材の一例の平面図である。
図3】本発明の分離膜エレメントが備える供給側流路材の別の一例の平面図である。
図4】本発明の分離膜エレメントが備える供給側流路材の別の一例の平面図である。
図5】本発明の分離膜エレメントが備える供給側流路材における網目領域の一例である。
図6】本発明の分離膜エレメントが備える供給側流路材の別の一例の平面図である。
図7】本発明の分離膜エレメントが備える供給側流路材における網目領域の別の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<分離膜エレメント>
図1に示すように、分離膜エレメント(100)は、集水管(6)と、集水管(6)の周囲に巻回された分離膜(1)を備える。図1に示すx軸の方向が集水管の長手方向である。またy軸の方向が集水管の長手方向と垂直な方向である。
【0013】
<供給側流路>
(供給側流路材)
本発明の分離膜エレメントが備える供給側流路材の一態様は、図2に示すように一方向に並んだ複数の繊維状物A(21)から構成される繊維状列X、および、繊維状列Xとは異なる方向に並んだ複数の繊維状物B(22)から構成される繊維状列Yから構成され、繊維状物A(21)は繊維状物B(22)と複数の地点で交差している。
【0014】
繊維状物へのファウラントの付着や、分離膜表面の濃度分極を抑制するには、繊維状物周辺の乱流の程度を増すことが重要である。乱流により分離膜表面にまだ接触していない供給水が分離膜表面に供給されるからである。供給水は供給側流路材の繊維状物の間に沿って広がりながら流れるため、供給水の流れ方向と平行でない繊維状物は、供給水の流れの障害となり、乱流の程度を増す役割を果たす。一方で、供給水の流れ方向と平行でない繊維状物は流路を塞ぎ、供給水の流れを妨げることになるため流動抵抗が高くなる傾向にある。そこで、それぞれの繊維状列について、平面に対し上方から観察した際に、その中心を通るよう厚み方向に切断した際の切断面において、隣接する交点間に細径部(3)および太径部(4)を有することで、乱流強度と流動抵抗とのバランスが改善される。特に、図3のように細径部の片端に太径部が配置された構造であることでさらに効果が高まる。なお、太径部が細径部の片端に配置されている場合、太径部が配置されていない方は細径部のまま交点で交わっている。具体的には、繊維状物の一部が細径化することで流路が拡大し、流動抵抗が低減される。通常、流路が拡大されると供給水流速が減速し、乱流強度が低下するが、交点間の距離を広げて流路を拡大することなく、繊維状物の細径化によって流体を移動しやすくさせると、従来は偏流が生じていた交点付近の供給水が移動しやすくなるため、流動抵抗を低減しながら乱流強度は維持される。その結果、分離膜エレメントを運転した際に生じるファウリングの進行を減速させ、供給側流路が閉塞することによる差圧上昇を抑制できるため、運転安定性に優れた分離膜エレメントを得ることができる。なお、図3のように細径部の片端に太径部が配置される構造の場合、供給水が流入する方向によって、その供給水の流れ方は異なる(例えば、図3における(201)、(202)および(203))が、供給水の水質に応じて適宜変更できる。
【0015】
繊維状物Aおよび繊維状物Bのいずれも細径部を有することで、供給水が供給側の流路を流れる際に均一に広がるため流動抵抗の低減に効果的であり、一方、繊維状物Aおよび繊維状物Bのいずれかが細径部を有することで流れが不均一化し、分離膜表面の塩濃度を低減して浸透圧の影響を小さくする効果がある。すなわち、細径部の配置は供給水の水質や運転条件に合わせて適宜選択できる。
【0016】
また、本発明の分離膜エレメントが備える供給側流路材の別の一態様は、図4に示すように、繊維状物により区画された領域すなわち網目領域(50)が網目状に連続しており、その網目領域(50)は、図5に示すように四つの略曲線(51)、(52)、(53)、(54)からなり、内二つの該略曲線が、略放物線((51)および(54))を形成する。さらに、図5に示すように、該略放物線の両端を結ぶ直線を、直線Lとしたとき、直線Lおよび略放物線((51)および(54))により囲まれた部位の面積をS1、その網目領域(50)におけるS1以外の部位の面積をS2としたとき、S1およびS2が、S1>S2の関係を満たす。供給側流路材がこのような構造を有することで、供給水が区画を通過する際には直線Lを境界として流れを乱しつつ、繊維状物が略曲線であるため供給水の流れが繊維状物に沿いやすくなり、供給水の剥離を抑制できるため、流動抵抗を低減できる。その結果、繊維状物へのファウラントの付着や、分離膜表面の濃度分極を抑制する効果を有する。
特に、上記の効果を高めるためにはS1に対するS2の比率(S2/S1の値)は0.10~0.70が好ましく、0.33~0.55がより好ましい。
なお、上記S1、S2は、網目領域を無作為に選択し、市販のマイクロスコープを用いて観察し、面積測定モードにて測定することができる。
網目領域は、四つの略曲線により構成されているが、一の網目領域と、直線Lに対して垂直方向に隣接した網目領域において、従来の供給側流路材とは異なり、図6に示すように、各略曲線は各交点を結ぶ直線と同一線上に配置されない。その結果として、上述した流動抵抗やファウリング付着の低減、濃度分極抑制効果が高い供給側流路材が実現される。
【0017】
網目領域を区画する繊維状物は、R1>R2の関係を満たす、径R1の太径部、径R2の細径部(いずれも図示しない)を有する。
図2若しくは図3に示されるような態様の供給側流路材、または、図4等に示されるような態様の供給側流路材のいずれについても、供給水の流れを導きやすくするためには、太径部の平均径である径R1に対する、細径部の平均径である径R2の比率は、0.17以上0.78以下が好ましく、0.3以上0.5以下がさらに好ましい。
さらに、交点付近に滞留する供給水を下流側(分離膜エレメントの濃縮水排出部側)に移動しやすくするためには、供給側流路材の交点間隔に対する細径部の長さc(図2参照)の比率、または、供給側流路材の交点間を結ぶ略放物線の長さに対する細径部の長さ(図示しない)の比率は、0.25以上0.80以下が好ましく、0.35以上0.50以下がさらに好ましい。
【0018】
なお、上記のような供給側流路材が分離膜エレメントに適用された際には、供給側流路材が分離膜で包まれる構成になるが、細径部が、供給側流路材の厚み方向において太径部の中間に配置されることで、供給側流路材の繊維状物と分離膜との間に生じる空間量が多くなるので好ましい。
【0019】
(細径部と太径部の測定)
それぞれの繊維状物について、供給側流路材の平面に対し上方から観察した際に、その中心を通るよう、厚み方向に切断した際の切断面(以下、「切断面S」)において、図2等における細径部および太径部の厚みがそれぞれの径となる。すなわち、この切断面Sにおいて細径部と太径部が存在すればよく、例えばそれぞれの繊維状列について、平面に対し上方から観察した際に、厚み方向の中心を通るよう平面方向に切断した際の切断面に細径部と太径部が存在しなくてもよい。
交点間の繊維状物において、交点厚みの50%以上の太さを有する領域を太径部、その太径部の平均径に対して80%以下の太さを有する領域を細径部とする。なお、繊維状物の径は、市販のマイクロスコープで切断面Sを観察し、その厚みを測定することで求めることができる。なお、それぞれの平均径すなわち太径部の径R1および細径部の径R2は、測定モードを用いて細径部または太径部の無作為に選択した30箇所の径を測定して、その平均値としてそれぞれ算出することができる。
【0020】
(細径部の径の均一性)
供給側流路材と供給水との摩擦を低減し、ファウラントの付着を低減して排濁性を向上させつつ、供給水の流れに適度な乱れを与えるために、細径部の径の変動係数は1%以上11%以下が好ましく、1%以上7%以下がより好ましく、1%以上5%以下が更に好ましい。なお細径部の径の変動係数とは、細径部の径R2の算出で得られた30箇所の測定値の標準偏差を径R2の値で除し、百分率に変換することで求めることができる。すなわち、この数値が小さいほど、細径部の径の均一性が高いことになる。
【0021】
(細径部の引張弾性率)
従来の供給側流路材では製造工程における取り扱い性を維持するため、剛性を高める必要があったが、本発明の分離膜エレメントが備える供給側流路材では、太径部で供給側流路材の剛性を確保できるため、細径部を低弾性率化して供給水と接触した際に振動により撹拌させ、乱流強度を向上させることができる。なお、例えば図2若しくは図3に示されるような態様の供給側流路材においては、繊維状物Aおよび繊維状物Bのいずれもが、隣接する交点間において細径部と太径部とを有することで上記効果を高めることができる。そのため、細径部の引張弾性率は200MPa以上1000MPa以下が好ましく、300MPa以上600MPa以下がさらに好ましい。なお引張弾性率は、市販の引張試験機に細径部を取り付け、引張試験することで測定することができる。
【0022】
(供給水の流れ方向と繊維状物との角度)
供給水の流れ方向(すなわち集水管の長手方向)と繊維状物との角度が大きくなるにつれて乱流強度が増すものの、流動抵抗が増す傾向にあるため、角度は15°以上50°以下が好ましく、30°以上45°以下がさらに好ましい。
【0023】
(厚み)
供給側流路材の厚みとは、図2または図3に示されるような態様の供給側流路材においては、実質的に繊維状物Aおよび繊維状物Bの交点厚みに相当する。すなわち、繊維状物Aと繊維状物Bの厚みの合計である。また、図4等に示されるような態様の供給側流路材においては、略放物線の中央付近上に位置することとなる、繊維状物の交点厚みに相当する。供給側流路材の厚みは、薄くすれば、供給水の膜面線速度が大きくなり分離膜表面の流れが乱れるので、濃度分極層が薄くなり、分離膜エレメントの分離性能が向上し好ましい。しかしあまり供給側流路材の厚みを薄くすると、供給水中の不純物や、微生物などのファウラントが供給側の流路を閉塞する傾向がある。その結果、分離膜エレメントの造水量が低下したり、分離膜エレメントの流動抵抗が大きくなり、供給水を供給するポンプの必要動力が大きくなるため電力費が高くなったり、分離膜エレメントが破損するといった問題が生じるため、好ましくない。そこで、供給側流路材の平均厚さは、0.20mm以上1.5mm以下が好ましく、より好ましくは0.32mm以上0.85mm以下、さらに好ましくは0.50mm以上0.80mm以下である。
供給側流路材の平均厚みは、無作為に選択した10箇所以上の繊維状物の交点厚み、図2または図3に示されるような態様の供給側流路材においては繊維状物Aおよび繊維状物Bの厚みについて、精密厚みゲージ等で測定した平均値として算出することができる。
また、供給側流路材の厚みのばらつきが大きいことは、逆浸透膜の性能を均一に発揮させることができず好ましくないので、繊維状物Aおよび繊維状物Bの交点厚みは、いずれも供給側流路材の平均厚みの0.9倍以上1.1倍以下の範囲内であることが好ましい。
【0024】
(材料)
供給側流路材の材料は特に限定されないが、成形性の観点から熱可塑性樹脂が好ましく、特にポリエチレンおよびポリプロピレンは分離膜の表面を傷つけにくく、また安価であるので好適である。
【0025】
(分離膜表面との摩擦)
スパイラル型分離膜エレメントのように高圧で供給水を処理する場合、透過側流路材の圧縮や、分離膜のクリープ現象により供給側流路に隙間が生じ、供給側流路材が下流側に押流され、スパイラル型分離膜エレメントの端面から飛び出すことがある。そうすると、供給側流路が確保されないため、ろ過性能が急激に低下し、運転トラブルの原因となる。そのため、繊維状物の断面を非円形とし、分離膜表面との接触面積を増加させることで、運転時において供給側流路に隙間が生じても、分離膜表面との摩擦により下流側に押流され難くなる。
【0026】
(供給側流路材の繊維状物間の交点間隔)
図2または図3に示すように繊維状物A(21)および繊維状物B(22)を配列して形成される供給側流路材(2)において、複数の繊維状物A(21)はそれぞれほぼ平行に配置される。同様に、複数の繊維状物B(22)もそれぞれほぼ平行に配置される。
繊維状物A(21)と繊維状物B(22)により形成される交点は、その隣接する交点との間に一定の距離を有する。図2に示すように、繊維状物A(21)における交点間隔はa、繊維状物B(23)における交点間隔はbになる。つまり、交点間隔とは、ある交点の中央と隣接する交点の中央との距離である。
交点間隔が小さいほど流動抵抗が大きくなる傾向にあるが、供給側流路材全体として剛性が高くなる傾向にある。そのため、間隔は供給側流路材の厚みや供給水の性質に応じて様々に変更可能である。
交点間隔の測定方法としては、供給側流路材を厚み方向上部から観察し、例えばマイクロスコープにより距離を測定することができる
なお図2では繊維状物Aおよび繊維状物Bのいずれにも細径部が存在し、その両端に太径部が配置される構成であるが、上述したように繊維状物Aまたは繊維状物Bのいずれかにのみ細径部が存在する構成、細径部の片端のみに配置される構成においても同様である。
【0027】
(供給側流路材の網目領域における交点間距離)
網目領域における略放物線上により形成される交点は、その隣接する交点との間に一定の距離を有する。図7に示すように、網目領域における交点間距離dおよびeは、交点の中心と、隣接する交点の中心との距離である。
交点間距離が小さいほど流動抵抗が大きくなる傾向にあるが、供給側流路材全体として剛性は高くなる傾向にある。そのため交点間距離は、供給側流路材の厚みや供給水の性質に応じて様々に変更可能である。
交点間距離の測定方法としては、市販のマイクロスコープを用いて供給側流路材を厚み方向上方から観察し、測定することができる。
【0028】
(製造方法)
交点厚みが保たれたまま、交点間の繊維状物において糸径が異なる領域が存在する供給側流路材を、繊維径が比較的均一なネットの後処理にて製造する場合、繊維状物がネッキングを発生させるまで延伸処理する方法、エンボス加工やインプリント加工、プレス法などにより交点間の繊維状物を圧縮変形させる方法、金型に溶融樹脂を流延し取り出す方法を採用することができる。なお、ネッキングとは、高分子を伸長した際に、試料が均一に伸びず降伏後にくびれが生じる現象を指す。
また、本発明の分離膜エレメントが備える供給側流路材の製造には、3Dプリンターを用いても構わない。
【0029】
(供給水)
本発明の分離膜エレメントへの供給水は特に限定されず、予め処理された水道水でもよく、海水やかん水のように溶液中の不純物多いものでもよい。
【0030】
<透過側流路材>
透過側流路材を挟む分離膜同士の間には、透過側流路材によって透過側の流路が形成される。透過側流路材の材料としては限定されず、トリコットや不織布、突起物を固着させた多孔性シート、凹凸成形し、穿孔加工を施したフィルム、凹凸不織布を用いることができる。また、透過側流路材として機能する突起物を分離膜の透過側に固着させてもよい。
【0031】
<分離膜の形成>
分離膜は、上述したように、供給側の面が内側を向くように分離膜を折りたたむことで形成することされてもよいし、別々の2枚の分離膜が、供給側の面が向かい合うように封止で形成されてもよい。
「封止」する方法としては、接着剤またはホットメルトなどによる接着、加熱またはレーザなどによる融着、およびゴム製シートを挟みこむ方法が挙げられる。接着による封止は、最も簡便で効果が高いために特に好ましい。
【0032】
<分離膜エレメントの利用>
分離膜エレメントは、さらに、直列または並列に接続して圧力容器に収納されることで、分離膜モジュールとして使用されてもよい。
また、上記の分離膜エレメント、分離膜モジュールは、それらに流体を供給するポンプや、その流体を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、例えば供給水を飲料水などの透過水と分離膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、分離膜エレメントの供給流路、透過側の流路の保持性を考慮すると、分離膜モジュールに供給水を透過する際の操作圧力は、0.2MPa以上5MPa以下が好ましい。供給水温度は、高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上45℃以下が好ましい。また、供給水のpHが中性領域にある場合、供給水が海水などの高塩濃度の液体であっても、マグネシウムなどのスケールの発生が抑制され、また、分離膜の劣化も抑制される。
分離膜エレメントによって処理される流体は特に限定されないが、水処理に使用する場合、供給水としては、海水、かん水、排水等の500mg/L以上100g/L以下のTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」で表されるが、1Lを1kgと見なして「質量比」で表されることもある。定義によれば、0.45μmのフィルターで濾過した溶液を39.5~40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
【実施例
【0033】
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0034】
(供給側流路材の厚み)
ミツトヨ社製シクネスゲージ(品番547-360)を用いて、100mm×100mmの供給側流路材のサンプルの交点部分の厚みを測定し、各高さの値を総和した値を測定総箇所数で除した値とした。
【0035】
(供給側流路材の細径部と太径部の判定)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS-1100を用い、供給側流路材の平面及び切断面Sを倍率20倍で観察し、太径部および細径部の有無をそれぞれ確認した。具体的には、本観察の際に、交点間の繊維において20%以上の細径化が生じている領域があった場合、細径部と太径部が存在すると判断し、細い領域を細径部、太い領域を太径部とした。
【0036】
(細径部と太径部の平均径およびその比率)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS-1100を用いて、供給側流路材の細径部および太径部の径をそれぞれ30箇所測定し、その平均値を算出して細径部の径R2および太径部の径R1とした。次に、径R2を径R1で除した値を、太径部の径R1に対する細径部の径R2の比率とした。
【0037】
(交点間隔に対する細径部の長さの比率)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS-1100を用いて、無作為に選択した供給側流路材の交点の中心と、繊維状物方向に隣接する交点の中心間距離(図4に示されるような態様の供給側流路材においては、交点中心同士を結ぶ略放物線の長さ)を測定して交点間隔とした。その交点間に配された細径部の長さを測定し、その比率を求めた。この操作を、無作為に選択した他の交点間で合計30箇所実施し、その平均値を交点間隔に対する細径部の長さの比率とした。
【0038】
(細径部における繊維径の均一性)
細径部の径R2を算出する際に得られた30箇所の測定値の標準偏差を径R2の値で除し、百分率に変換して変動係数を算出した。
【0039】
(引張弾性率)
無作為に選択した供給側流路材の50箇所の細径部について、可能な限り繊維長が長い状態で採取し、その長さを測定長とし、引張試験機を用いて引張試験(引張速度5mm/分)を実施した。
各測定で得られた合計50個の引張弾性率について平均値を算出し、その数値を細径部の引張弾性率とした。
【0040】
(供給側流路材Aの作製)
ポリプロピレンを材料とした溶融成形により、図2または図3に示されるような態様のネット状サンプルを作製し、80℃の環境下にて二軸延伸を施して細径部と太径部を有する供給側流路材を作製した。なお、ネット状サンプルの編み目の大きさを変更しておき、得られる供給側流路材の構造制御を行った。各供給側流路材の特徴を表1~3にまとめた。
【0041】
(供給側流路材Bの作製)
ポリプロピレンを材料とした溶融成形により、図4に示されるような態様のネット状サンプルを作製し、45℃の環境下にて一軸延伸を施して、細径部と太径部とを有する供給側流路材を作製した。なお、ネット状サンプルの網目領域の形状等を変更しておき、得られる供給側流路材の構造制御を行った。
【0042】
(初期差圧)
ネット状サンプルを50mm×400mmに切り取り評価セルに取り付け、ネット状サンプルの平面方向片端から他端に向かって、供給水がネット状サンプルによって形成された流路を流れる状態にした。次に、蒸留水を評価セルに0.2L/分の流量で供給し、供給してから5分後の流路の入口から下流側へ10mmの位置、ならびに出口から10mmの位置に設置した圧力計が示す数値の差分を初期差圧(kPa)とした。なお、細径部の片端に太径部を有するネット状サンプルについては、供給水の流れ方向を図3における(201)とした。
【0043】
(差圧上昇)
初期差圧の測定と同じ評価セルを用いて、供給水として琵琶湖水を0.2L/分の流量で100時間供給し、流路の入口と出口とに設置した圧力計が示す数値の差分を読み取った。この差分から初期差圧を差し引いた値と差圧上昇(kPa)とした。
【0044】
(造水量)
抄紙法で製造されたポリエステル繊維からなる不織布(通気度1.0cc/cm/sec)上に、ポリスルホンの15質量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を室温(25℃)で、かつ塗布厚み180μmでキャストした後、ただちに純水中に5分間浸漬することによって基材上に多孔性支持層を形成し、多孔性支持膜を作製した。
次に、2-エチルピペラジンが2.0質量%、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムが100ppm、リン酸3ナトリウム1.0質量%になるように溶解した水溶液に10秒間浸漬した後、エアーノズルから窒素を吹き付けて余分な水溶液を除去した。このときのアミン水溶液のpHは、12.0であった。続いて70℃に加温した0.2質量%のトリメシン酸クロリドを含むn-デカン溶液を多孔性支持層の表面に均一塗布し、60℃の膜面温度で3秒間保持した後に、膜面温度を10℃まで冷却し、この温度を維持したまま空気雰囲気下で1分間放置し、分離機能層を形成した後、膜を垂直に保持して液切りした。得られた膜を60℃の純水で2分間洗浄して分離膜ロールを得た。
【0045】
このように得られた分離膜を、分離膜エレメントでの有効面積が1.8mとなるように折り畳み断裁加工し、表1に示すネットを供給側流路材として3枚の分離膜(幅920mm)を作製した。
得られたリーフの透過側の面に透過側流路材として表1に示す透過側流路材を積層し、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)製集水管(幅:1000mm、径:18mm、孔数40個×直線状1列)にスパイラル状に巻き付け、両端のエッジカットを行い直径が2インチの分離膜エレメントを作製した。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、供給水として、濃度200ppmの食塩水、pH6.5のNaCl水溶液を用い、運転圧力0.41MPa、温度25℃の条件下で15分間運転した後に1分間のサンプリングを行い、1日あたりの透水量(ガロン)を造水量(GPD(ガロン/日))として表した。なお、回収率は5%とした。
【0046】
(除去率(TDS除去率))
造水量の測定における1分間の運転で用いた供給水およびサンプリングした透過水について、TDS濃度を伝導率測定により求め、下記式からTDS除去率を算出した。
TDS除去率(%)=100×{1-(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}
【0047】
(実施例1)
作製した供給側流路材について評価セルを用い、また分離膜エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で評価したところ、結果は表1の通りであった。
【0048】
【表1】
【0049】
(実施例2~14)
供給側流路材を表1~3の通りにした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜エレメントを作製した。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表1~3の通りであった。
【0050】
(実施例15~21)
供給側流路材を表4の通りにした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜エレメントを作製した。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表4の通りであった。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
(比較例1、2)
供給側流路材を表3の通りにした以外は全て実施例1と同様にして、分離膜エレメントを作製した。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で各性能を評価したところ、結果は表3の通りであった。
すなわち、比較例1では供給側流路材の繊維状物X間の距離および繊維状物Y間の距離は実施例1~14と同等であるが、繊維状物の径が均一であるため、繊維状物が分離膜に接触する領域が大きく、差圧上昇が顕著であった。また、流動抵抗が大きいため造水量の低下が生じた。
【0055】
比較例2では繊維状物の径が均一であるものの、繊維状物X間の距離および繊維状物Y間の距離が広く、流路材が厚いため流動抵抗は低いが、供給側流路材による供給水の乱流化が不十分であり、差圧上昇および除去率の低下が顕著であった。
また、略放物線を有する網目領域からなる供給側流路材を適用した実施例15~21に対しても、差圧上昇が顕著であり、流動抵抗が大きいため造水量の低下が生じた。
【0056】
表1~表4に示す結果から明らかなように、実施例1~21の供給側流路材および分離膜エレメントは、供給水の流動を阻害せずに優れた分離性能を安定して備えているといえる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の分離膜エレメントは、特に、RO浄水器としての利用や、かん水や海水の脱塩に好適に用いることができる。
【0058】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2017年5月30日出願の日本特許出願(特願2017-106238)、2017年9月26日出願の日本特許出願(特願2017-184498)、及び2017年9月26日出願の日本特許出願(特願2017-184499)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 分離膜
2 供給側流路材
21 繊維状物A
22 繊維状物B
3 細径部
4 太径部
50 網目領域
51、52、53、54 略放物線を形成する略曲線
6 集水管
100 分離膜エレメント
201、202、203 供給水の流れ方向
a 繊維状物Aにおける交点間隔
b 繊維状物Bにおける交点間隔
c 細径部の長さ
d 網目領域における交点間距離
e 網目領域における交点間距離
L 略放物線の両端を結ぶ直線
S1 直線Lおよび略放物線により囲まれた部位の面積
S2 網目領域におけるS1以外の部位の面積
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7