(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】シール機構及び当該シール機構を備えた装置
(51)【国際特許分類】
F16C 33/78 20060101AFI20240425BHJP
F16J 15/3204 20160101ALI20240425BHJP
【FI】
F16C33/78 Z
F16J15/3204 201
(21)【出願番号】P 2019072419
(22)【出願日】2019-04-05
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2018074229
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】紀平 誠人
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 康展
(72)【発明者】
【氏名】桃井 直生
(72)【発明者】
【氏名】四十 薫
(72)【発明者】
【氏名】市浦 大進
(72)【発明者】
【氏名】片岡 佑介
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-006990(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017217136(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/78
F16J 15/3204
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸方向に沿って延びるシャフト部材と該シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースとの間をシールするシール機構であって、
前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、
前記ケースと該スリンガとの間に設けられたシール部材と、
前記スリンガに前記ケースの内側に向かう外力が作用することを抑制するために、前記スリンガの少なくとも一部の露出を防止するカバー部材と、
を備え、
前記スリンガは、前記回転軸方向における一端から他端まで円筒形状に形成されている筒状部と、前記筒状部の前記一端から前記シャフト部材の径方向内側に延伸するフランジ部と、から成り、
前記回転軸方向において、前記スリンガは、前記カバー部材から離間した位置に配置されて
おり、
前記シャフト部材の径方向において、前記カバー部材の高さは、前記スリンガの高さと同じかそれよりも低い、
シール機構。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記スリンガの端面の少なくとも一部を覆うよう構成される、請求項1に記載のシール機構。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記シャフト部材と一体に形成される、請求項1又は2に記載のシール機構。
【請求項4】
前記シャフト部材の径方向において、前記カバー部材の外周面と前記ケースの内周面との間の間隔が、伸展姿勢における前記シール部材の寸法よりも大きくなる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシール機構。
【請求項5】
回転軸方向に沿って延びるシャフト部材と、
該シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースと、
該シャフト部材と該ケースとの間をシールするシール機構と、
を備え、
前記シール機構は、
前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、
前記ケースと該スリンガとの間に設けられたシール部材と、
前記スリンガに前記ケースの内側に向かう外力が作用することを抑制するために、前記スリンガの少なくとも一部の露出を防止するカバー部材と、
を含み、
前記スリンガは、前記回転軸方向における一端から他端まで円筒形状に形成されている筒状部と、前記筒状部の前記一端から前記シャフト部材の径方向内側に延伸するフランジ部と、から成り、
前記回転軸方向において、前記スリンガは、前記カバー部材から離間した位置に配置されて
おり、
前記シャフト部材の径方向において、前記カバー部材の高さは、前記スリンガの高さと同じかそれよりも低い、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内にある流体の当該装置外への流出及び当該装置内への外部からの流体の流入を防ぐためのシール機構、及び、当該シール機構を備えた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転部材と該回転部材を収容するケースとの間をシールするシール機構が知られている。
【0003】
従来のシール機構が特開2009-150417号公報(特許文献1)に開示されている。同公報には、シール部材と、当該シール部材に取り囲まれたスリンガと、を有するシール機構が開示されている。当該スリンガは、継手装置の外側継手部材を取り囲むように設けられている。当該スリンガは、当該シール部材の継手装置への組み込み時にシール部材の変形を防止する役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のシール部材においては、スリンガが外部空間へ露出するように配置されている。このため、洗浄用水などによってスリンガに外力が作用することにより、当該スリンガが所定の設置位置からずれてしまうことがある。また、振動等によりスリンガが設置位置から脱落してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、外力がスリンガへ作用することを抑制することが可能なシール機構、及び、当該シール機構を備えた装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、シャフト部材と該シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースとの間をシールするシール機構に関する。当該シール機構は、前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、前記ケースと該スリンガとの間に設けられたシール部材と、前記スリンガの少なくとも一部の露出を防止するカバー部材と、を備える。
【0008】
本発明の一実施形態は、シャフト部材と、該シャフト部材の少なくとも一部を収容するケースと、該シャフト部材と該ケースとの間をシールするシール機構と、を備える装置である。当該装置において、前記シール機構は、前記シャフト部材の外周面に設けられたスリンガと、前記ケースと該スリンガとの間に設けられたシール部材と、前記スリンガの少なくとも一部の露出を防止するカバー部材と、を備える。
【0009】
本発明の一実施形態に係るシール機構では、カバー部材は、前記スリンガの端面の少なくとも一部を覆うよう構成される。
【0010】
本発明の一実施形態に係るシール機構では、カバー部材は、前記シャフト部材と一体に形成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係るシール機構では、前記シャフト部材の径方向において、前記カバー部材の外周面と前記ケースの内周面との間の間隔が、伸展姿勢における前記シール部材の寸法よりも大きくなる。
【0012】
本発明の一実施形態に係るシール機構では、前記シャフト部材の径方向におけるカバー部材の高さは、前記スリンガの同方向における高さと同じかそれよりも低くなる。
【0013】
本発明の一実施形態に係るシール機構は、前記スリンガと前記シャフト部材の外周面との間に設けられた弾性部材を備え、該弾性部材は凹部を有する。
【0014】
本発明の一実施形態に係るシール機構において、弾性部材は、筒状部を備え、前記凹部は、該筒状部に配置される。
【0015】
本発明の一実施形態に係るシール機構において、弾性部材は、筒状部と、該筒状部から該シャフト部材の径方向内側に延伸するフランジ部と、を備える。前記凹部は、該筒状部と該フランジ部との間の角部に配置される。
【0016】
本発明の上記一実施形態に係るシール機構は、様々な装置に好適に適用可能である。
【発明の効果】
【0017】
スリンガへの外力の作用を抑制することで、スリンガの設置位置からのずれや脱落を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態におけるシール機構の概略的な断面図である。
【
図2】本発明の別の実施形態におけるシール機構の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態におけるシール機構1を備えた装置10の断面図を示す。
【0020】
装置10は、シャフト部材4、ケース5、及びシール機構1を備える。本発明の一実施形態におけるシール機構1は、シャフト部材4とケース5との間をシールする。これにより、シール機構1は、装置10の内部空間を外部空間からシールする。
【0021】
装置10は、シール機構1、シャフト部材4、及びケース5を備えるが、装置10の構成要素はこれらに限られない。すなわち、当該装置10は、シール機構1、シャフト部材4及びケース5以外の構成部材を備えてもよい。
【0022】
装置10は、例えば、減速機である。装置10は、減速機以外の装置であってもよい。シャフト部材4は、例えば、減速機が作動することで回転する部材である。シャフト部材は、これ以外の回転可能な回転部材であってもよい。シール機構1は、特定の装置にのみ設けることを意図するものではなく、回転部材を備える任意の装置に適用可能である。
【0023】
本発明の一実施形態におけるシャフト部材4は、所定の回転軸周りに回転するよう構成される。シャフト部材4は、円柱状、円筒状、又はそれ以外の形状を有する。
図1には、シャフト部材4の回転軸に平行に延びる2本の矢印を示している。その矢印のうち1本(紙面の右側を向いている矢印)は、シャフト部材4の回転軸に平行な方向であって、ケース5の内部空間の内側を向いており、その矢印のうち一方(紙面の右側を向いている矢印)は、シャフト部材4の回転軸に平行な方向であって、ケース5の内部空間に向かう方向に向いており、その矢印のうち他方(紙面の左を向いている矢印)は、シャフト部材4の回転軸に平行な方向であって、ケース5の外部空間に向かう方向に向いている。
【0024】
本発明の一実施形態におけるケース5は、シャフト部材4と同軸に又はほぼ同軸に配置されている。本発明の一実施形態におけるシャフ卜部材4及びケース5の少なくとも一方は、回転軸周りに回転する。固定されたケース5に対してシャフト部材4が回転してもよいし、固定されたシャフト部材4に対してケース5が回転してもよい。
【0025】
本発明の一実施形態におけるケース5は、内部空間を有しており、この内部空間にシャフト部材4の一部が収容される。当該ケース5の内部空間には、装置10のシャフト4以外の構成部材が収容されてもよい。一例として、ケース5の内部空間には、シャフ卜部材4に連結され得る歯車ユニットが収容されてもよい。
【0026】
本発明の一実施形態におけるシール機構1は、シャフ卜部材4とケース5との間の環状の空間に設けられ、これにより、ケース5の内部空間を外部空間からシールする。
【0027】
本発明の一実施形態におけるシャフ卜部材4は、外周面14を有する。シール機構1の内周面は、このシャフ卜部材4の外周面14に密着する。
【0028】
本発明の一実施形態におけるケース5は、内周面15を有する。シール機構1の外周面23は、このケース5の内周面15に密着する。このように、シール機構1は、ケース5の内周面15とシャフト部材4の外周面14との間に挟まれるように配置される。
【0029】
本発明の一実施形態におけるシール機構1は、スリンガ2と、シール部材3と、を有する。スリンガ2は、円筒状の筒状部11と、当該筒状部11の端部からシャフト部材4の径方向内側方向に突出するフランジ部12と、を備える。スリンガ2は、筒状部11及びフランジ部12以外の構成部材を含んでいてもよい。一実施形態において、スリンガ2は、シャフト部材4の外周面14に密着するように設けられる。図示のように、スリンガ2は、弾性部材17を介してシャフト部材4の外周面14に設けられてもよい。弾性部材17は、ゴムなどの弾性変形可能な部材である。弾性部材17の材料として、弾性変形可能な公知の材料を適宜採用することができる。
【0030】
スリンガ2の筒状部11は、その一部又は全体が筒状に形成される。筒状部11の一端又は両端は、面取りされていてもよい。
【0031】
シール機構1は、スリンガ2の外部空間への露出を防止するように構成及び配置されたカバー部材16を備える。カバー部材16は、スリンガ2の少なくとも一部の露出を防止するように構成及び配置される。
【0032】
本発明の一実施形態に係る装置10において、カバー部材16によりスリンガ2への外力の作用を抑制することで、スリンガ2の設置位置からのずれや脱落を防止することが可能となる。
【0033】
図示の実施形態において、カバー部材16は、シャフト部材4と一体に設けられている。これにより、シール機構1を組み付けた後にカバー部材を後付けする場合と比べて、シール機構1の装置10への組込み作業を効率化することができる。
【0034】
本発明の一実施形態において、カバー部材16は、スリンガ2の端面2aの少なくとも一部を覆うよう構成される。これにより、スリンガ2の端面2aに対する外力の作用を抑制することができる。この端面2aは、ケース5の回転軸に沿う方向において、ケース5の内部空間とは反対側の端面を指す。カバー部材16によってスリンガ2の端面2aの少なくとも一部を覆うことにより、スリンガ2に対してケース5の内部へ押し込む方向の外力が作用することを効果的に防止できる。これにより、スリンガ2の設置位置からのずれを効果的に防止でき、特に、スリンガ2が本来の設置位置よりもケース5の内部へ移動することを防止できる。スリンガ2がケース5の内部方向へ移動してしまうと、装置10の他の部材とスリンガ2との干渉により、装置10が破損する原因となる。カバー部材16によって、スリンガ2の端面2aのケース5の内部方向への移動を防止又は抑制することで、装置10の破損を防止することができる。
【0035】
本発明の一実施形態においては、シャフト部材4の径方向(以下、単に「径方向」ということがある。)におけるカバー部材16の高さH1は、スリンガ2の同方向における高さH2と同じかそれよりも低い。スリンガ2及びシール部材3は、シャフト部材4の外周面14とケース5の内周面15との間に圧入される。カバー部材16の高さが高く、そのためにカバー部材16とシャフト部材4の外周面14との段差が大きくなると、圧入時にスリンガ2及びシール部材3の変形量が大きくなってしまい、スリンガ2及びシール部材3が破損しやすくなる。カバー部材16の高さH1をスリンガ2の同方向における高さH2と同じかそれよりも低くなるようにすることで、シール部材3及びスリンガ2の圧入時の破損を防止できる。本発明の一実施形態において、シャフト部材4の径方向におけるカバー部材16の高さH1は、弾性部材17の同方向における高さH3と同じかそれ以上となる。これにより、スリンガ2への外力の作用を抑制することができる。これにより、スリンガ2の設置位置からのずれや脱落を防止することができる。
【0036】
図1において、シール部材3は、シャフト部材4の外周面14とケース5の内周面15との間に圧入されているため、シャフト部材4の径方向において縮んでいる。シール部材3は、外部からの圧縮力が作用していないときには、自らの弾性により伸展姿勢をとる。よって、シャフト部材4の径方向におけるシール部材の寸法は、伸展姿勢を取っているときの寸法が
図1に示されている屈曲姿勢を取っているときの寸法よりも大きくなる。本発明の一実施形態において、径方向におけるカバー部材16の高さH1は、径方向におけるカバー部材16の外周面16aとケース5の内周面15との間の間隔が、伸展姿勢を取っているシール部材3のシャフト部材4の径方向における寸法よりも大きくなるように定められる。これにより、カバー部材16の外周面16aは、伸展姿勢を取っているシール部材3の径方向内側の端面又は端部よりもシャフト部材4の径方向内側に位置する。これにより、シール部材3を装置10への組込み際に、シール部材3とカバー部材16との干渉を防止することができる。このため、シール部材3の装置10への組み込み作業を効率化することができ、また、シール部材3の破損を防止することができる。
【0037】
次に、
図2を参照して、本発明の他の実施形態によるシール機構1について説明する。
図2に示されているシール機構1においては、弾性部材17が凹部13を有している点で
図1に示されているシール機構1と異なっている。スリンガ2は締め代を有するため、スリンガ2をシャフト部材4へ圧入するときに、スリンガ2にはシャフト部材4の外表面14からの摩擦抵抗が作用する。この抵抗が大きくなると、スリンガ2を規定の設置位置まで挿入できないという問題がある。また、無理にスリンガ2を圧入すると、スリンガ2の変形及び破損の原因となりえる。
【0038】
この問題に対応するために、
図2のシール機構1において、弾性部材17は、凹部13を備える。弾性部材17は、凹部13を一つだけ備えてもよいし、
図2に示されているように2つの凹部13を備えてもよい。凹部13は、弾性部材17のうちシャフト部材4の外周面14と対向する面に設けられてもよい。
【0039】
この凹部13により、スリンガ2を圧入する際にシャフト部材4から弾性部材17へ作用する抵抗力が大きくなった場合においても、弾性部材17が凹部13により画定される空間へ移動することで、スリンガ2に対するシャフト部材4からの抵抗を低減できる。このため、スリンガ2を規定の設置位置まで挿入することが容易になる。
【0040】
図示の実施形態では、弾性部材17は、シャフト部材4の回転軸を囲む筒状部18を備える。凹部13は、この筒状部18に設けられてもよい。
【0041】
図示の実施形態において、弾性部材17は、筒状部18の端部からシャフト部材4の径方向内側に延伸するフランジ部19と、筒状部18とフランジ部19と間にある角部28と、を備える。凹部13は、この角部28に設けられてもよい。これにより、スリンガ2を圧入する際に、角部28に設けられた凹部13で画定される空間に弾性部材17が移動できるため、スリンガ2を規定の設置位置まで容易に挿入することが可能となる。
【0042】
弾性部材17に設けられる凹部13の数及び寸法は、スリンガ2に作用する抵抗及びそれ以外の条件を考慮して適宜設定することができる。
【0043】
スリンガ2の筒状部11は、内周面21と、当該内周面21とは反対側の外周面20と、を備える。図示の実施形態において、筒状部11の内周面21とシャフト部材4の外周面14には弾性部材17が設けられている。この弾性部材17に代えて接着層を設けてもよい。この接着層によって、スリンガ2がシャフト部材4の外周面14に接着される。筒状部11の内周面21とシャフト部材4の外周面14には、接着層以外の部材を設けてもよい。
【0044】
スリンガ2をシャフト部材4に圧入する際には、シャフト部材4に対する設置位置を決める不図示の治具を使用してもよい。
【0045】
再び
図1を参照して、シール部材3についてさらに説明する。本発明の一実施形態におけるシール部材3は、シャフト部材4の回転軸周りを取り囲むリング状の主リング部24を有する。主リング部24は、円筒形状の円筒部241と、シャフト部材4の径方向において円筒部241よりも内側に設けられた内側端部243と、この円筒部241と内側端部243とを接続する接続部242と、を有する。接続部242は、概ねリング形状を有する。シール部材23は、この主リング部24の(円筒部241の)外周面23がケース5の内周面15に接するように配置される。内側端部243は、環状のメインリップ25と、環状のダストリップ26と、を有する。シャフト部材4の径方向においてメインリップ25の外側にはスプリングリング27が設けられている。
【0046】
ダストリップ26は、主リング部24の内側端部243から外部空間及びシャフト部材4の径方向内側に向けて斜めに突出する。ダストリップ26は、外部空間で浮遊する塵挨などの異物が内部空間に侵入することを防ぐ。
【0047】
当該ダストリップ26の先端は、筒状部11の外周面20に接する。シャフ卜部材4及びケース5のうち少なくとも一方が回転している問、ダストリップ26の先端は、筒状部11と擦れる。一実施形態において、スリンガ2は、シャフト部材4よりも耐摩耗性に優れた材料から形成される。このため、ダストリップ26との接触によるスリンガ2の摩耗を抑制できる。
【0048】
メインリップ25は、筒状部11の外周面20に接する。シャフト部材4の径方向においてメインリップ25の外側には、メインリップ25を取り囲むようにスプリングリング27が設けられる。スプリングリング27は、シャフト部材4の径方向内側に向かう力を、メインリップ25に加える。これにより、メインリップ25は、筒状部11の外周面20に密着する。これにより、内部空間に収容された液体(例えば、潤滑油)が、メインリップ25と筒状部11の外周面20との間から外部空間へ漏出することが防止される。
【0049】
シャフ卜部材4及びケース5のうち少なくとも一方が回転している間、圧接リング251は、スリンガ2の筒状部11と擦れる。上述のとおり、一実施形態において、スリンガ2は、シャフト部材4よりも耐摩耗性に優れた材料から形成される。このため、メインリップ25との接触によるスリンガ2の摩耗を抑制できる。
【0050】
シール機構1は、シール部材3に加えて、別のシール部材を有してもよい。この別のシール部材は、シール部材3に隣接するように設けられる。この別のシール部材は、シャフト部材4の回転軸を取り囲むように設けられる。この別のシール部材は、シャフト部材4の回転軸方向において外側(外部空間側)に配置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
上述の実施形態の原理は、様々な機械設備に利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 シール機構
2 スリンガ
3 シール部材
4 シャフト部材
5 ケース
10 装置
11 筒状部
12 フランジ部
13 凹部
16 カバー部材
17 弾性部材
18 筒状部
19 フランジ部
24 主リング部
25 メインリップ
26 ダストリップ
27 スプリングリング
28 角部