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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/36 20060101AFI20240425BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240425BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240425BHJP
   B65H 29/60 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B65H5/36
G03G21/16 133
B41J29/00 B
B65H29/60 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019239876
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107283
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹下 尚人
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-258063(JP,A)
【文献】特開2008-162761(JP,A)
【文献】特開2014-062950(JP,A)
【文献】特開2017-088378(JP,A)
【文献】特開2003-263076(JP,A)
【文献】特開2008-236215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0066014(US,A1)
【文献】特開2018-005198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/36
B65H 5/38
B65H 29/54-29/70
G03G 21/16
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載する積載部と、
前記積載部に積載されたシートを給送する給送部と、
前記給送部によって給送されたシートが搬送される搬送経路と、
鉛直方向において前記搬送経路よりも下方に設けられたトレイと
前記給送部によって給送されたシートが複数枚重なった重送状態であることを検出する検出手段と、
前記搬送経路に設けられ、回動することにより前記検出手段によって重送状態が検出されたシートを前記搬送経路から前記トレイへガイドするガイド部と、
前記ガイド部を回動可能に支持し、前記搬送経路におけるシート搬送方向において前記ガイド部の回動中心よりも下流側に設けられた回動中心によって回動可能であって、前記搬送経路を形成してシートをガイドするガイド位置と、前記ガイド位置よりも前記トレイに近い位置であって前記搬送経路を開放する開放位置と、に前記ガイド部と一体的に移動可能なガイドユニットと、を備える、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記鉛直方向において前記積載部よりも上方に設けられ、シートを積載する他の積載部と、
前記他の積載部から給送されたシートが搬送され、前記搬送経路と合流する他の搬送経路と、
前記鉛直方向において前記搬送経路と前記トレイとの間に前記給送部によって重送状態で給送されたシートを収容する収容部と、を備え、
前記搬送経路は、第1の曲率半径を有する第1湾曲部を有し、
前記他の搬送経路は、前記第1の曲率半径よりも小さい第2の曲率半径を有する第2湾曲部を有し、
前記第1湾曲部は、前記第1の曲率半径の中心を前記収容部内に有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記鉛直方向において前記積載部と前記他の積載部との間に設けられ、前記シート搬送装置に対して前記シート搬送方向の上流側に接続された他の装置から搬送されたシートを受け入れて搬送する中継搬送経路をさらに備える、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記鉛直方向において前記積載部よりも上方に設けられ、シートを積載する他の積載部と、
前記他の積載部から給送されたシートが搬送され、前記搬送経路と合流する他の搬送経路と、を備え、
前記ガイドユニットの回動中心は、前記搬送経路と前記他の搬送経路との合流点よりも前記シート搬送方向の下流側に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記ガイドユニットが前記ガイド位置に位置している状態で、前記ガイドユニットに設けられた第1の係合部材と係合する第2の係合部材と、
ユーザによって操作されることで、前記第1の係合部材と前記第2の係合部材との係合を解除する操作レバーと、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至の何れか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置から搬送されたシートに画像を形成する画像形成装置と、を備える、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記鉛直方向において前記画像形成部よりも下方に設けられ、シートを収容するシート収容部と、
前記シート収容部から前記画像形成部へ向けてシートが搬送されるシート搬送経路と、
前記画像形成装置において、前記シート搬送装置が接続されるに設けられ、開放されることで前記シート搬送経路アクセス可能となる扉部と、を有し、
前記扉部は、開放されることで前記搬送経路と前記トレイとの間に侵入する、
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置、及び、シート搬送装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置では、多種類のシートを大量に供給できるように、給紙カセット等のシート収容部を複数備えた給紙ユニットを、画像形成装置本体の側方に複数並設したものがある。そして、このような構成の画像形成装置では、これらの給紙ユニットからのシートが重送しても、できるだけ装置を停止させないようにする必要があることから、給紙ユニットの上に退避トレイを設け、この退避トレイに重送したシートを排出するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-279168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置においては、退避トレイにシートを搬送する経路について、画像形成装置本体に搬送する経路から上方に向かって分岐させており、退避トレイまでの経路が長くなることで、給紙ユニットが大型化するとの問題がある。
【0005】
本発明は、装置を大型化を低減できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシート搬送装置は、シートを積載する積載部と、前記積載部に積載されたシートを給送する給送部と、前記給送部によって給送されたシートが搬送される搬送経路と、鉛直方向において前記搬送経路よりも下方に設けられたトレイと前記給送部によって給送されたシートが複数枚重なった重送状態であることを検出する検出手段と、前記搬送経路に設けられ、回動することにより前記検出手段によって重送状態が検出されたシートを前記搬送経路から前記トレイへガイドするガイド部と、前記ガイド部を回動可能に支持し、前記搬送経路におけるシート搬送方向において前記ガイド部の回動中心よりも下流側に設けられた回動中心によって回動可能であって、前記搬送経路を形成してシートをガイドするガイド位置と、前記ガイド位置よりも前記トレイに近い位置であって前記搬送経路を開放する開放位置と、に前記ガイド部と一体的に移動可能なガイドユニットと、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置を大型化を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る画像形成システムの概略構成断面図。
図2】本実施形態に係る多段収納装置の正面図。
図3】本実施形態に係る多段収納装置の断面図。
図4】本実施形態に係る重送シート収容部の断面図。
図5】(a)は、本実施形態に係る退避レバーが形成位置に位置する状態を示す断面図、(b)は、退避レバーが開放位置に位置する状態を示す断面図。
図6】本実施形態に係る退避レバーにおいてロック爪とロックピンとが係合した状態を示す斜視図。
図7】本実施形態に係る退避レバーにおいてロック爪とロックピンとの係合が解除された状態を示す斜視図。
図8】(a)は、本実施形態に係る多段収納装置において、シートの重送が検出された状態を示す断面図、(b)は、(a)に示す状態からシートの搬送が進行した状態を示す断面図。また、(c)は、切換部材が第2案内位置に移動し重送したシートの搬送が開始された状態を示す断面図。
図9】本実施形態に係る多段収納装置の制御構成の一部を示すブロック図。
図10】(a)~(e)は、本実施形態に係る重送シート収容部に収容される重送したシートの挙動を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図1図10を参照しながら詳細に説明する。まず、本実施形態の画像形成システムについて、図1を用いて説明する。
【0010】
[画像形成システム]
図1は、本実施形態に係る多段収納装置及び画像形成装置を備える画像形成システムの一例を概略的に示す断面図である。以下の説明では、画像形成部を有する画像形成装置として、電子写真方式を用いたレーザプリンタシステム(以下単にプリンタと呼ぶ)を例に挙げて説明する。なお、画像形成システムを構成する画像形成装置は、プリンタ以外に、複写機、ファクシミリ、複合機などであっても良い。また、画像形成装置は、電子写真方式に関らず、インクジェット方式などの他の方式の構成であっても良い。
【0011】
本実施形態の画像形成システム1000は、画像形成装置100と、画像形成装置100に接続されたシート給送装置及びシート搬送装置としての多段収納装置200と、給送デッキ5000と、を有している。多段収納装置200は、詳しくは後述するように、それぞれが複数枚のシートを収納可能な複数の収納庫を有しており、各収納庫から画像形成装置100にシートを給送可能である。また、給送デッキ5000も複数枚のシートを収納可能な収納庫を有しており、シート搬送方向に関して、多段収納装置200の上流側に配置されている。また、給送デッキ5000から給送されるシートは、多段収納装置200に設けられた中継搬送装置400を介して画像形成装置100に搬送される。なお、シートとしては、普通紙、薄紙、厚紙などの紙、プラスチックシートなどが挙げられる。
【0012】
画像形成装置100は、画像形成装置本体101に接続された原稿読み取り装置102又は画像形成装置本体101に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)をシートに形成する。本実施形態の場合、原稿読み取り装置102は、画像形成装置本体101の上側に配置されている。
【0013】
原稿読み取り装置102は、原稿を読み取る際には、プラテンガラス103の上に載置された原稿に走査光学系光源によって光を照射すると共に、反射光をCCDに入力することにより原稿画像を読み取るようにしている。また、原稿読み取り装置102は、自動原稿搬送装置(ADF)104を備えており、トレイ105上に載置された原稿をADF104により自動的に原稿読み取り装置102の読み取り部に搬送して、原稿画像を読み取ることも可能である。そして、読み取った原稿画像は電気信号に変換されて、後述する画像形成部110のレーザスキャナ113に伝送される。なお、レーザスキャナ113は、上述したようにパーソナルコンピュータ等から送信されてくる画像データが入力される場合もある。
【0014】
画像形成装置100は、画像形成部110、複数のシート給送装置120、シート搬送装置130等を備える。画像形成装置100は、制御部140により各部が制御される。制御部140は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0015】
複数のシート給送装置120は、それぞれシートSを収納するカセット121と、ピックアップローラ122と、フィードローラ123及びリタードローラ124から構成される分離搬送ローラ対125とを備えている。カセット121内に収納されたシートSは、所定のタイミングで昇降動作して回転するピックアップローラ122と分離搬送ローラ対125とによって1枚ずつ分離されて給送される。
【0016】
シート搬送装置130は、搬送ローラ対131、レジストローラ対133を備えている。シート給送装置120から給送されたシートSは、搬送ローラ対131により、装置内でシートSが搬送される装置搬送経路としてのシート搬送経路134を通過させられた後、レジストローラ対133に導かれる。この後、シートSは、レジストローラ対133によって、所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。
【0017】
画像形成装置100は、装置の下方に設けられたシート給送装置120近傍において、後述する多段収納装置200側(シート搬送装置側)の壁が、開閉可能な扉部300となっている。扉部300は、開放されることでシート搬送経路134にアクセス可能となり、シート搬送経路134内においてシートSが滞留する、いわゆるジャムが発生した際に、ジャムを起こしたシートSを取り除くことができるようになる。
【0018】
扉部300は、開放される場合において、後述する重送シート収容部218に設けられた開口部218aより、重送シート収容部218を形成する空間内に侵入可能に構成されている。扉部300の開放時に侵入する空間を重送シート収容部218と共有することにより、画像形成システム1000は、画像形成装置100と多段収納装置200との間に扉部300を移動可能にする空間を別に形成する必要がなく、省スペース化を実現することができる。
【0019】
なお、後述する多段収納装置200や給送デッキ5000から搬送ローラ対201を介して搬送されるシートは、画像形成装置100との接続経路202を介して画像形成装置100内に搬送される。そして、多段収納装置200や給送デッキ5000から画像形成装置100内に搬送されたシートは、画像形成装置100内のシート給送装置120から搬送されるシートと同様に、レジストローラ対133を介して所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。
【0020】
画像形成部110は、感光ドラム111、帯電器112、レーザスキャナ113、現像器114、転写装置115、クリーナ117等を備えている。画像形成時には、感光ドラム111が図の矢印方向に回転駆動され、まず、帯電器112により感光ドラム111の表面が一様に帯電される。そして、画像信号に応じて発光されるレーザスキャナ113からのレーザ光が帯電された感光ドラム111に照射されることで、感光ドラム111上に静電潜像が形成される。さらに、このようにして感光ドラム111上に形成された静電潜像は、この後、現像器114によってトナー像として顕像化される。
【0021】
この後、感光ドラム111上のトナー像は、転写部116において転写装置115によりシートSに転写される。さらに、このようにトナー像が転写されたシートSは、定着装置150に搬送されてトナー像の定着が行われ、この後、排出ローラ151によって機外の排出トレイ152に排出される。
【0022】
シートSの裏面にトナー像を形成する場合には、定着装置150から排出されたシートSを反転搬送路160に搬送する。そして、反転搬送路160により表裏を反転した状態で、シートSを再度、画像形成部110の転写部116に搬送する。裏面にトナー像が転写されたシートSは、定着装置150に搬送され、トナー像の定着が行われた後、排出ローラ151により排出トレイ152に排出される。なお、転写後に感光ドラム111上に残った転写残トナーは、クリーナ117により除去される。
【0023】
[多段収納装置]
図1図10を用いて多段収納装置200の概要について説明する。多段収納装置200は、複数の収納庫210a~210c、中継搬送装置400等を備える。本実施形態では、3つの収納庫210a~210cを上下に3段並べており、一番下の収納庫210cと上から2番目の収納庫210bとの間に中継搬送装置400を配置している。
【0024】
一番上の収納庫210aから給送されたシートは、搬送経路212に搬送され、上から2番目の収納庫210bから給送されたシートは、搬送経路213に搬送され、一番下の収納庫210cから給送されたシートは、搬送経路214に搬送される。また、中継搬送装置400から搬送されたシートは、搬送経路215に搬送される。搬送経路213は、途中で搬送経路212に合流している。また、搬送経路212,214,215は、合流点216で合流し、搬送経路217を通って搬送ローラ対201に搬送され、接続経路202を介して画像形成装置100に搬送される。
【0025】
また、搬送経路213と合流後の搬送経路212、中継搬送装置400、搬送経路214には、それぞれシートの重送を検出する重送センサDFS1~DFS3(図3参照)が配置されている。そして、重送センサDFS1~DFS3により重送が検出されたシートは、搬送経路217まで搬送される。搬送経路217の下方には、重送が検出されたシートを収容する重送シート収容部(エスケープトレイ)218が配置されている。重送が検出され、搬送経路217に搬送されたシートは、搬送経路217に設けられた切換部材219により搬送経路が切り換えられることで、重送シート収容部に搬送される。重送が検出された場合の詳細については、後述する。
【0026】
図2は、多段収納装置200の正面図である。図2に示すように、多段収納装置200は、それぞれが複数枚のシートを収納可能なシート収納装置としての収納庫210として、複数の収納庫210a~210cを有する。収納庫210a~210cは、鉛直方向に複数段に並べて配置されている。収納庫210a~210cは、それぞれ多段収納装置200の筐体204に対して引き出し及び挿入可能である。
【0027】
ここで、収納庫210a~210cは、収納可能なシートの枚数が異なるだけで基本的な構成は同じであり、以下の記載において、特に区別を要しない場合には、添え字a~cを省略し、収納庫210のように総括的に説明する。なお、収納庫210a~210cは、収納可能なシートの枚数が同じ場合もある。
【0028】
収納庫210a~210cから給送されるシートは、搬送経路212,214,215を経由して接続経路202(図1参照)に搬送される。また、多段収納装置200は、制御部203(図1参照)により各部が制御される。制御部203は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。また、制御部203は、画像形成装置100の制御部140と通信可能であり、制御部140と通信することでシートの給送タイミングなどを制御する。
【0029】
多段収納装置200は、収納庫210a~210cの引き出し動作を行うための操作部としてのボタン205a~205cを有する。ボタン205a~205cは、収納庫210a~210cのそれぞれの前面に設けられている。例えば、操作者がボタン205aを押すと、収納庫210aを装着位置にロックしていたロック機構が解除され、不図示のバネにより収納庫210aが筐体204から押し出される。これにより、操作者が収納庫210aを、シートを収納可能な位置まで引き出すことができる。なお、ボタン205a~205cを押すことで、モータなどにより収納庫210a~210cが自動でシートを収納可能な位置まで移動する構成であっても良い。
【0030】
図3は、多段収納装置200に設けられたモータ、センサ、搬送ローラ等の各構成を示す断面図である。図3に示すように、収納庫210aは、シートを収納可能なシート収納部220aと、シート収納部220aから画像形成装置100に向けてシートを給送するシート給送部230aと、を有する。シート収納部220aは、シートが積載される積載トレイ221aを有する。積載トレイ221aは、モータMT15によって駆動される昇降機構240aにより上下方向に昇降可能である。積載トレイ221aは、シートを積載する際には所定位置まで下降し、積載されたシートが給送されると徐々に上昇していく。
【0031】
シート給送部230aは、シート給送手段としてのピックアップローラ231a、搬送ローラ232aとリタードローラ233aから構成される分離搬送ローラ対234a、搬送ローラ対235a等を有する。ピックアップローラ231a及び分離搬送ローラ対234aは、モータMT1によって回転駆動され、搬送ローラ対235aは、モータMT2によって回転駆動される。また、シート給送部230aには、分離搬送ローラ対234aの搬送方向下流側におけるシートの有無を検出するセンサS1と、搬送ローラ対235aの搬送方向上流側におけるシートの有無を検出するセンサS2と、が配設されている。
【0032】
ピックアップローラ231aは、積載トレイ221aの上方に設けられ、上昇した積載トレイ221aに積載されたシートの最上位シートと当接して給送する。このためにピックアップローラ231aは、シート搬送方向に関してシートの先端部近傍に、積載トレイ221a上の最上位シートに適宜の力で圧接可能となるように配置されている。そして、回転することで、最上位シートを送り出す。
【0033】
分離搬送ローラ対234aは、ピックアップローラ231aから2枚以上のシートが重なって給送された場合、つまり2枚以上のシートが重送された場合に、分離して1枚のみのシートを搬送する。即ち、分離搬送ローラ対234aの搬送ローラ232aは、シートを搬送する方向に回転し、ピックアップローラ231aから送られたシートを搬送する。一方、リタードローラ233aは、搬送ローラ232aとは逆方向に回転して、ピックアップローラ231aから送られた2枚以上のシートのうち、最上位シート以外のシートを積載トレイ221a側に押し戻す。なお、リタードローラ233aには不図示のトルクリミッタが内蔵されており、分離搬送ローラ対234aに送られたシートが1枚のみの場合には、搬送ローラ232aにより搬送されるシートによって連れ回るようになっている。
【0034】
分離搬送ローラ対234aに分離搬送されたシートは、搬送ローラ対235aにより搬送経路212に搬送される。搬送経路212には、それぞれモータMT7によって回転駆動される搬送ローラ対236,237と、それぞれモータMT8によって回転駆動される搬送ローラ対238,239と、が配設されている。また、搬送経路212には、搬送ローラ対236の搬送方向下流側におけるシートの有無を検出するセンサS7と、搬送ローラ対238の搬送方向上流側におけるシートの有無を検出するセンサS8が配設されている。また、搬送経路212は、搬送ローラ対237と搬送ローラ対238との間に、搬送経路213と合流する合流点241が設けられている。
【0035】
収納庫210bは、シートを収納可能なシート収納部220bと、シート収納部220bから画像形成装置100に向けてシートを給送するシート給送部230bと、を有する。シート収納部220bは、シートが積載される積載トレイ221bを有する。積載トレイ221bは、モータMT16によって駆動される昇降機構240bにより上下方向に昇降可能である。積載トレイ221bは、シートを積載する際には所定位置まで下降し、積載されたシートが給送されると徐々に上昇していく。
【0036】
シート給送部230bは、シート給送手段としてのピックアップローラ231b、搬送ローラ232bとリタードローラ233bから構成される分離搬送ローラ対234b、搬送ローラ対235b等を有する。ピックアップローラ231b及び分離搬送ローラ対234bは、モータMT3によって回転駆動され、搬送ローラ対235bは、モータMT4によって回転駆動される。また、シート給送部230bには、分離搬送ローラ対234bの搬送方向下流側におけるシートの有無を検出するセンサS3と、搬送ローラ対235bの搬送方向上流側におけるシートの有無を検出するセンサS4と、が配設されている。
【0037】
ピックアップローラ231bは、積載トレイ221bの上方に設けられ、上昇した積載トレイ221bに積載されたシートの最上位シートと当接して給送する。このためにピックアップローラ231bは、シート搬送方向に関してシートの先端部近傍に、積載トレイ221b上の最上位シートに適宜の力で圧接可能となるように配置されている。そして、回転することで、最上位シートを送り出す。
【0038】
分離搬送ローラ対234bは、ピックアップローラ231bから2枚以上のシートが重なって給送された場合、つまり2枚以上のシートが重送された場合に、分離して1枚のみのシートを搬送する。即ち、分離搬送ローラ対234bの搬送ローラ232bは、シートを搬送する方向に回転し、ピックアップローラ231bから送られたシートを搬送する。一方、リタードローラ233bは、搬送ローラ232bとは逆方向に回転して、ピックアップローラ231bから送られた2枚以上のシートのうち、最上位シート以外のシートを積載トレイ221b側に押し戻す。なお、リタードローラ233bには不図示のトルクリミッタが内蔵されており、分離搬送ローラ対234bに送られたシートが1枚のみの場合には、搬送ローラ232bにより搬送されるシートによって連れ回るようになっている。
【0039】
分離搬送ローラ対234bに分離搬送されたシートは、搬送ローラ対235bにより搬送経路213に搬送され、上述した通り、合流点241で搬送経路212と合流する。
【0040】
ここで、搬送経路212には、合流点241よりも搬送方向下流側で、かつ搬送ローラ対239の搬送方向上流側の位置に、2枚以上のシートが重送されているか否かを検出する重送センサDFS1が配設されている。合流点241よりも搬送方向下流側に配設されることで、重送センサDFS1は、収納庫210aから搬送されたシートが重送されている場合と、収納庫210bから搬送されたシートが重送されている場合と、にシートの重送を検出することができる。
【0041】
収納庫210cは、シートを収納可能なシート収納部220cと、シート収納部220cから画像形成装置100に向けてシートを給送するシート給送部230cと、を有する。シート収納部220cは、シートが積載される積載トレイ221cを有する。積載トレイ221cは、モータMT17によって駆動される昇降機構240cにより上下方向に昇降可能である。積載トレイ221cは、シートを積載する際には所定位置まで下降し、積載されたシートが給送されると徐々に上昇していく。
【0042】
シート給送部230cは、シート給送手段としてのピックアップローラ231c、搬送ローラ232cとリタードローラ233cから構成される分離搬送ローラ対234c、搬送ローラ対235c等を有する。ピックアップローラ231c及び分離搬送ローラ対234cは、モータMT5によって回転駆動され、搬送ローラ対235cは、モータMT6によって回転駆動される。また、シート給送部230cには、分離搬送ローラ対234cの搬送方向下流側におけるシートの有無を検出するセンサS5と、搬送ローラ対235cの搬送方向上流側におけるシートの有無を検出するセンサS6と、が配設されている。
【0043】
ピックアップローラ231cは、積載トレイ221cの上方に設けられ、上昇した積載トレイ221cに積載されたシートの最上位シートと当接して給送する。このためにピックアップローラ231cは、シート搬送方向に関してシートの先端部近傍に、積載トレイ221c上の最上位シートに適宜の力で圧接可能となるように配置されている。そして、回転することで、最上位シートを送り出す。
【0044】
分離搬送ローラ対234cは、ピックアップローラ231cから2枚以上のシートが重なって給送された場合、つまり2枚以上のシートが重送された場合に、分離して1枚のみのシートを搬送する。即ち、分離搬送ローラ対234cの搬送ローラ232cは、シートを搬送する方向に回転し、ピックアップローラ231cから送られたシートを搬送する。一方、リタードローラ233cは、搬送ローラ232cとは逆方向に回転して、ピックアップローラ231cから送られた2枚以上のシートのうち、最上位シート以外のシートを積載トレイ221c側に押し戻す。なお、リタードローラ233cには不図示のトルクリミッタが内蔵されており、分離搬送ローラ対234cに送られたシートが1枚のみの場合には、搬送ローラ232cにより搬送されるシートによって連れ回るようになっている。
【0045】
分離搬送ローラ対234cに分離搬送されたシートは、搬送ローラ対235cにより搬送経路214に搬送される。搬送経路214には、モータMT9によって回転駆動される搬送ローラ対242が配設されている。また、搬送経路214には、搬送ローラ対235cの搬送方向下流側におけるシートの有無を検出するセンサS9が配設されている。また、搬送経路214には、搬送ローラ対242よりも搬送方向上流側に、搬送経路214に2枚以上のシートが重送されているか否かを検出する重送センサDFS2が配設されている。
【0046】
中継搬送装置400では、モータMT14によって回転駆動されるコンベア243によってシートが装置内を搬送される。また、中継搬送装置400には、コンベア243よりも搬送方向上流側に、中継搬送装置400に2枚以上のシートが重送されているか否かを検出する重送センサDFS3が配設されている。
【0047】
コンベア243によって搬送されたシートは、モータMT12によって回転駆動される搬送ローラ対244と、モータMT13によって回転駆動される搬送ローラ対245と、によって搬送経路215内を搬送される。
【0048】
搬送経路215には、搬送ローラ対244の搬送方向下流側におけるシートの有無を検出するセンサS12と、搬送ローラ対245の搬送方向下流側におけるシートの有無を検出するセンサS13と、が配設されている。
【0049】
搬送経路212と、搬送経路214と、搬送経路215と、は、合流点216で合流し、搬送経路217に接続される。搬送経路217には、モータMT10によって回転駆動される搬送ローラ対246と、モータMT11によって回転駆動される搬送ローラ対201と、が配設されており、搬送ローラ対201から搬送されたシートが、接続経路202を介して画像形成装置100に搬送される。
【0050】
また、搬送経路217には、搬送ローラ対246の搬送方向下流側におけるシートの有無を検出するセンサS10と、搬送ローラ対201の搬送方向上流側におけるシートの有無を検出するセンサS11と、が配設されている。そして、搬送経路217には、ソレノイドSOLによって駆動し、搬送経路217に搬送されたシートを接続経路202に搬送する経路から重送シート収容部218に搬送する経路に切換可能な切換部材219が配設されている。
【0051】
[重送シート収容部]
重送シート収容部218は、収納庫210cからのシートを画像形成装置100に搬送するための搬送経路214,217と、接続経路202の下方及び搬送経路212,213と搬送経路214との合流点216の下方に配置されている。重送シート収容部214は、図3に示すように、搬送経路214,217を搬送されるシートの搬送方向における重送されたシートの収納領域が、画像形成装置100に隣り合う位置から収納庫210cに隣り合う位置までの広い範囲となっている。つまり、重送シート収容部218のうち搬送経路214,217を搬送されるシートの搬送方向の長さは、搬送経路214から合流点216、切換部材219を介して接続経路202に至るまでの長さとなっている。また、重送シート収容部218は、その高さ方向において、搬送経路214の位置、つまり切換部材219の位置から多段収納装置200の底面200aよりも低い位置までを重送されたシートの収納領域としている。
【0052】
このように、多段収納装置200は、重送シート収容部218の重送されたシートを収容する収容領域を、装置内において大きく形成していることで、大量のシートを重送シート収容部218に収容することができる。
【0053】
図4は、重送シート収容部218の詳細を示す断面図である。重送シート収容部218は、重送したシートが収容される収容トレイ302を有する。また、重送シート収容部218は、開口部218a(図1参照)に隣接した扉部300(図1参照)の表面を構成する案内面301と隣接している。案内面301には、切換部材219によって搬送経路が切り換えられたシートの先端が当接し、当接したシートの先端を収容トレイ302に向けて案内する。扉部300が、本実施形態における案内手段を構成する。
【0054】
また、重送シート収容部218の上方には、搬送経路214を構成するとともに、搬送経路214内にジャムが発生した際において、搬送経路214,217を開放する開放位置にユーザによって移動可能に構成された移動部材としてのガイドユニット500が設けられている。ガイドユニット500は、中心を重送シート収容部218内に有する第1の曲率半径の湾曲ガイド501が搬送経路214を形成しており、垂直方向の位置が異なるシート給送部230cと接続経路202とを接続している。
【0055】
ここで、湾曲ガイド501の曲率半径は、搬送経路212に設けられた湾曲部212a(図3参照)や搬送経路213に設けられた湾曲部213a(図3参照)よりも大きい曲率半径となっている。つまり、湾曲部212aの曲率半径(第2の曲率半径)は、第1の曲率半径よりも小さい曲率半径となっている。
【0056】
このような構成により、多段収納装置200では、湾曲ガイド501のうち合流点216の近傍において、湾曲ガイド501の傾斜が水平に近い傾斜となっており、湾曲ガイド501の下方に設けられた重送シート収容部218の空間を広く形成することができる。
【0057】
この、接続経路202よりも鉛直方向下方に設けられた収納庫210cが、本実施形態における第1シート収納部を構成し、接続経路202よりも鉛直方向上方に設けられた収納庫210aが、本実施形態における第2シート収納部を構成する。また、搬送経路214,217が、本実施形態における搬送経路及び第1搬送経路を構成し、搬送経路212が、本実施形態における第2搬送経路を構成する。また、湾曲ガイド501が、本実施形態における第1湾曲部を構成し、湾曲部212が、本実施形態における第2湾曲部を構成する。
【0058】
[退避レバー]
図5(a)は、ガイドユニット500が搬送経路214,217を形成する形成位置に位置する場合を示す概略断面図、図5(b)は、ガイドユニット500が形成位置から退避し搬送経路214,217を開放する開放位置に位置した場合を示す概略断面図である。また、図6は、ガイドユニット500に設けられたロック爪503が多段収納装置200の側壁251に設けられたロックピン502に係合した状態を示す図であり、図7は、ロック爪503とロックピン502との係合が解除された状態を示す図である。
【0059】
図5(a)に示すように、ガイドユニット500は、回動軸504に軸支され、搬送経路217を形成するガイド505が湾曲ガイド501に接続されている。ガイド505には、切換部材219が配設されている。また、湾曲ガイド501には、搬送ローラ対242のうちモータMT6(図3参照)によって駆動される駆動ローラ242aによって従動回転される従動ローラ242bと、搬送ローラ対246のうちモータMT7(図3参照)によって駆動される駆動ローラ246aによって従動回転される従動ローラ246bと、が配設されている。
【0060】
図5(a)、図6に示すように、ガイドユニット500は、湾曲ガイド501に軸507が軸支されている。軸507には、ロック爪503と、ユーザによって操作される操作レバー508と、が固定されている。ガイドユニット500は、操作レバー508が操作されることで、軸507とロック爪503とが操作レバー508と一体に回転する。操作レバー508と一体に回転することで、ロック爪503は、図5(b)、図7に示すように、ロックピン502との係合が解除される。
【0061】
また、軸507には、湾曲ガイド501と係合可能な係合部材509が固定されている。係合部材509は、図6に示すように、ロック爪503がロックピン502と係合した状態において、湾曲ガイド501に設けられた穴510の一方側の壁部510aからわずかに離間した位置に位置する。また、係合部材509は、図7に示すように、ロック爪503とロックピン502との係合が解除された状態において、穴510の他方側の壁部510bと係合した位置に位置する。
【0062】
係合部材509が壁部510bと係合することで、ガイドユニット500は、操作レバー508がロック爪503とロックピン502との係合を解除する方向に操作された際に、過度に操作されてしまうことが防止される。
【0063】
ロック爪503とロックピン502との係合が解除されることで、ガイドユニット500は、回動軸504を中心に回動可能となる。多段収納装置200では、ガイドユニット500が回動軸504を中心に、形成位置から退避し搬送経路214,217を開放する開放位置に向けて回動することで、ガイドユニット500に配設された切換部材219、従動ローラ242b,246bも開放位置に向けて移動する。これにより、多段収納装置200では、搬送経路214,217からガイドユニット500が退避し、搬送経路214,217を形成していた箇所に空間506が形成される。
【0064】
ここで、ガイドユニット500は、搬送経路217の下方に設けられた回動軸504を中心に、図5(a)、(b)中下方に向けて回動することで、形成位置から開放位置に移動するように構成されている。つまり、ガイドユニット500は、搬送経路217の下方に設けられた重送シート収容部218内(重送シート収容部内)に退避するように構成されている。
【0065】
このように、多段収納装置200は、搬送経路214,217に発生したシートの詰まり(ジャム)を取り除く場合において、搬送経路214,217の下方を形成しているガイドユニット500を移動して搬送経路214,217を開放させるための空間について、重送シート収容部218を構成する空間と共有するように構成されている。この構成により、多段収納装置200は、ガイドユニット500を退避させるための空間を重送シート収容部218とは別に設けることなくガイドユニット500を形成位置から開放位置に移動可能となり、装置を大型化することなく重送シート収容部218のための空間を広く形成することができる。このため、多段収納装置200は、重送シート収容部218に多くのシートを収容することができる。
【0066】
なお、本実施形態の多段収納装置200では、搬送経路214,217においてジャムが発生し、かつ重送シート収容部218に多量のシートが収容されていることで、ガイドユニット500を開放位置に移動できない場合、ユーザに重送シート収容部218に収容されているシートを除去することを報知する。多段収納装置200では、重送シート収容部218にシートが収容されていてガイドユニット500を退避できない可能性がある場合について、重送センサDFS1~DFS3の状態や、切換部材219の動作の有無から、判定可能に構成されている。
【0067】
[切換部材の動作]
図8は、収納庫210cから搬送されたシートが重送されていた場合における切換部材219の動作を示す図である。図8(a)に示すように、多段収納装置200では、搬送経路217内のシートを搬送ローラ対201,246によって搬送しており、切換部材219が、シートの下方に位置し搬送経路217内のシートを搬送方向の下流端の接続経路202に案内している状態となっている。この状態において、多段収納装置200では、重送センサDFS2によって収納庫210cから搬送されたシートが重送していることが検出される。
【0068】
図8(b)に示すように、多段収納装置200では、センサS10によって搬送ローラ対246の搬送方向下流側の切換部材219上にシートがあると検出されている間、切換部材219の位置が接続経路202にシートを案内する第1案内位置に維持される。また、多段収納装置200では、重送センサDFS2によってシートの重送が検出されたことから、モータMT5、MT6,MT9(図3参照)の駆動を停止し、ピックアップローラ231c、搬送ローラ232c、搬送ローラ対235c,242の回転駆動を停止する。これにより、多段収納装置200では、重送が検出されたシートの搬送が、搬送経路214内で一時的に停止される。
【0069】
図8(c)に示すように、多段収納装置200では、センサS10によって切換部材219上にシートがないと検出されたことに基づき、ソレノイドSOL(図3参照)が駆動され、切換部材219の位置が第1案内位置から、重送シート収容部218にシートを案内する第2案内位置に移動される。多段収納装置200では、切換部材219が第2案内位置に移動したことに基づき、モータMT5、MT6,MT9(図3参照)の駆動が再開され、ピックアップローラ231c、搬送ローラ232c、搬送ローラ対235c,242が回転駆動を再開する。そして、多段収納装置200では、搬送ローラ対242から搬送された重送したシートが、搬送ローラ対246によって切換部材219まで搬送され、重送したシートのすべてが切換部材219によって重送シート収容部218に案内される。
【0070】
[制御構成]
図9は、多段収納装置200の制御構成を示すブロック図である。図9に示すように、多段収納装置200を制御する制御部203には、センサS1~S13と、重送センサDFS1~DFS3と、モータMT1~MT17と、ソレノイドSOLと、が電気的に接続されている。制御部203は、センサS1~S13と、重送センサDFS1~DFS3と、から出力されるON/OFFの信号と、シートの搬送に係るプログラムと、に基づき、モータMT1~MT17とソレノイドSOLとの駆動を制御する。また、制御部203は、後述する重送発生時に行う制御処理において、経過した時間を計るために用いるタイマT1を有している。
【0071】
[重送シートの挙動]
図10は、収納庫210cから搬送されたシートが重送していた場合における重送したシートである重送シートDSの挙動を説明する図である。
【0072】
図10(a)は、搬送経路214から搬送された重送シートDSが切換部材219によって重送シート収容部218に案内開始された状態を示している。図10(a)に示すように、重送シートDSは、搬送ローラ対242,246と、搬送ローラ対235c(図3参照)と、によって切換部材219と当接しながら重送シート収容部218に向けて搬送されていく。ここで、切換部材219のうちシートと当接する面は、第2案内位置に位置する状態において、重送シート収容部218の案内面301に対して、鋭角の角度α1の傾きを有するように構成されている。重送シートDSは、案内面301に対して角度α1の傾きを有して重送シート収容部218内に搬送開始され、自重により案内面301と平行に近づく傾きを変化させながら、案内面301に近づく方向に搬送されていく。
【0073】
図10(b)は、重送シートDSが案内面301と当接した状態を示す図である。上述した通り、重送シートDSは、案内面301に対して角度α1よりも平行に近い傾きに変化しながら案内面301に近づくように搬送されている。このため、重送シートDSは、案内面301と当接した際において、案内面301との間に過度な抵抗が生じず、屈曲することなく案内面301に沿って重送シート収容部218内に搬送されていく。
【0074】
図10(c)は、重送シートDSの先端が収容トレイ302の搬送方向下流側の第1面302aに当接した状態を示す図である。図10(c)に示すように、重送シートDSは、案内面301と収容トレイ302の第1面302aとの交点に先端が当接し、重送シートDSの先端が整合される。なお、収容トレイ302に既にシートが収容されている場合、重送シートDSは、案内面301と収容トレイ302に収容されたシートとの交点に先端が当接し、重送シートDSの先端が整合される。
【0075】
ここで、第1面302aは、案内面301に対して鋭角の角度β1の傾斜を有するように構成されている。また、第1面302aよりも案内面301から離れた位置に設けられた第2面302bは、案内面301に対して角度β1よりも大きい角度β2を有するように構成されている。本実施形態において、第1面302aの角度β1は、シートが自重により案内面301と第1面302aとの交点に向けて移動可能な角度に設定されている。
【0076】
このような構成により、重送シート収容部218は、収容トレイ302の搬送方向上流側に位置し、重送シートDSの先端と当接しない第2面302bを、角度β1よりも大きく案内面301に対して垂直に近づく角度β2にすることで、重送シート収容部218の空間を広く形成することができる。なお、角度β2は、例えば、案内面301に対して垂直である90度に構成されていてもよく、第2面302bが案内面301に対して垂直に構成されていてもよい。
【0077】
図10(d)は、収容トレイ302に先端が当接した重送シートDSにおいて、自重により後端が収容トレイ302に向けて倒れ始めた状態を示す図である。また、図10(e)は、自重により倒れた重送シートDSの後端が、重送シート収容部218の搬送方向上流側の壁部303と当接し、重送シート収容部218への重送シートDSの収容が完了した状態を示す図である。
【0078】
図10(d)、(e)に示すように、収容トレイ302は、案内面301に対して鋭角な角度β1を有しており、案内面301側が壁部303側よりも上下方向において下方に位置するように傾斜している。このため、重送シート収容部218では、収容された重送シートDSの先端が、自重によって収容トレイ302の傾斜に沿って案内面301側に移動し、案内面301と収容トレイ302との交点で整合された状態が維持される。また、重送シート収容部218では、重送シートDSの後端が、壁部303に立てかけられた状態で収容されることで、重送シートDSの搬送方向の長さが長い場合でも、シートが折れ曲がり空間のロスが発生することなく、シートを収容することができる。
【0079】
以上のように、本実施形態の多段収納装置200は、搬送経路214,217に発生したシートの詰まり(ジャム)を取り除く場合において、搬送経路214,217の下方を形成しているガイドユニット500を移動して搬送経路214,217を開放させるための空間について、重送シート収容部218を構成する空間と共有するように構成されている。この構成により、多段収納装置200は、ガイドユニット500を退避させるための空間を重送シート収容部218とは別に設けることなくガイドユニット500を形成位置から開放位置に移動可能となり、装置を大型化することなく搬送経路214,217を開放することができる。
【0080】
また、多段収納装置200は、搬送経路214,217の下方に設けられた重送シート収容部218に重送されたシートを収容する際に、搬送経路217を切換部材219によって切り換え、切換部材219を通過したシートが他の搬送経路を通過することなく重送シート収容部218に収容されるため、重送シート収容部218に収容されるシートが搬送される距離を削減することで重送シート収容部218に収容されるシートの搬送不良が発生することを防止し、シートの搬送不良を低減できる。
【0081】
[他の実施形態]
なお、本実施形態において、多段収納装置200は、画像形成装置100の扉部300を案内手段として有しているが、これに限定されない。多段収納装置200は、重送シート収容部218の画像形成装置100側に、重送シート収容部218を覆う案内壁を案内手段及び案内面として有していてもよい。
【0082】
また、本実施形態において、湾曲ガイド501は、湾曲部212a,212bよりも大きい曲率半径を有するように構成されているが、これに限定されない。湾曲ガイド501は、湾曲部212a,212bと略同一の曲率半径を有するように構成されていてもよく、湾曲部212a,212bの曲率半径よりも小さい曲率半径を有するように構成されていてもよい。
【0083】
また、本実施形態において、シート搬送装置は、複数のシート収納部を有する多段収納装置200から構成されているが、これに限定されない。シート搬送装置は、1段のデッキから構成されていてもよい。また、シート収納部を有さず、シートを搬送する構成と、重送シート収容部と、移動部材と、を有するように構成であっても、本発明を適用し得る。
【符号の説明】
【0084】
100・・・画像形成装置/134・・・シート搬送経路(装置搬送経路)/200・・・多段収納装置(シート搬送装置)/210a・・・収納庫(第2シート収納部)/210c・・・収納庫(第1シート収納部)/212・・・搬送経路(第2搬送経路)/212a・・・湾曲部(第2湾曲部)/214,217・・・搬送経路(第1搬送経路)/218・・・重送シート収容部/218a・・・開口部/219・・・切換部材/300・・・扉部/500・・・ガイドユニット(移動部材)/501・・・湾曲ガイド(第1湾曲部)/S・・・シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10