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特許7478568寄せ書き情報処理装置、寄せ書き情報処理プログラム、寄せ書き情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】寄せ書き情報処理装置、寄せ書き情報処理プログラム、寄せ書き情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/02 20220101AFI20240425BHJP
   A63J 5/00 20060101ALI20240425BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240425BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20240425BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20240425BHJP
   G06F 40/103 20200101ALI20240425BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240425BHJP
【FI】
H04L67/02
A63J5/00
G06F3/0481
G06F3/0488
G06F3/16 620
G06F3/16 650
G06F40/103
G06Q50/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020059234
(22)【出願日】2020-03-28
(65)【公開番号】P2021157671
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】398002617
【氏名又は名称】ぴあ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230118500
【弁護士】
【氏名又は名称】南部 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠太
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】平野 淳
(72)【発明者】
【氏名】北野 祐基
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-015478(JP,A)
【文献】特開2019-087140(JP,A)
【文献】特開2006-127013(JP,A)
【文献】国際公開第2018/088319(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/02
A63J 5/00
G06F 3/0481
G06F 3/0488
G06F 3/16
G06F 40/103
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1投稿情報を取得する第1投稿情報取得手段と、
第2投稿情報を取得する第2投稿情報取得手段と、
前記第1投稿情報と、前記第2投稿情報とを識別可能に表示する識別処理を行う識別処理手段と、
前記第1投稿情報と、前記第2投稿情報とを、寄せ書きとして出力する寄せ書き出力手段と、
を備え、
前記第1投稿情報または前記第2投稿情報には、
音声により入力された情報を、文字または図形に変換した変換情報が含まれ、
前記変換情報は、
前記音声の大きさ、
または、前記音声の質、
または、前記音声の高低、
または、前記音声の震えの大小、
または、前記音声に含まれる喋りの速度、
に基づき表示形態が異なる、
ことを特徴とする寄せ書き情報処理装置。
【請求項2】
興行の被提供者からの第3投稿情報を取得する第3投稿情報取得手段と、
前記興行の被提供者からの第4投稿情報を取得する第4投稿情報取得手段と、
前記第3投稿情報と、前記第4投稿情報とを、寄せ書きとして出力する寄せ書き出力手段と、
前記第3投稿情報を顕著化する顕著化命令を取得した場合、前記第3投稿情報を前記第4投稿情報よりも顕著に表示する顕著化手段と、
を備える、
ことを特徴とする寄せ書き情報処理装置。
【請求項3】
興行の提供者からの投稿情報を取得する提供者投稿情報取得手段を備え、
前記顕著化手段は、前記提供者からの投稿情報を前記第4投稿情報よりも顕著に表示する、
ことを特徴とする請求項2記載の寄せ書き情報処理装置。
【請求項4】
前記第3投稿情報を顕著化した状態を保持する保持時間を取得する保持時間取得手段と、
前記第3投稿情報を顕著化してから前記保持時間経過後に、前記第3投稿情報を顕著にする前の状態に戻す手段と、
を備える、
ことを特徴とする請求項2記載の寄せ書き情報処理装置。
【請求項5】
前記顕著化命令を連続して行うことを防止するための連続命令防止時間データを取得する連続命令防止時間データ取得手段と、
前回顕著化した時刻と、前記連続命令防止時間データと、に基づいて、前記顕著化命令を許容するか否かを判断する許容判断手段と、
を備える、
ことを特徴とする請求項2記載の寄せ書き情報処理装置。
【請求項6】
前記許容判断手段は、
前記顕著化命令の発信者の同一性、または、前記顕著化命令の対象となった投稿情報の同一性、を判断要素にする
ことを特徴とする請求項5記載の寄せ書き情報処理装置。
【請求項7】
前記顕著化とは、
前記第3投稿情報または前記第4投稿情報の、
大きさを変更すること、
または、表示形態を変更すること、
または、色を変更すること、
または、背景を変更すること、
または、位置を変えること、
が含まれる
ことを特徴とする請求項2記載の寄せ書き情報処理装置。
【請求項8】
前記顕著化とは、
前記第3投稿情報の表示と前記第4投稿情報の表示とが重なり合う場合、前記第4投稿情報よりも前記第3投稿情報を優先して表示する処理である、
ことを特徴とする請求項2記載の寄せ書き情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寄せ書きに関する情報を処理するための装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
「ジョン・レノンの壁」と呼ばれる「寄せ書き」がある。これは、何の変哲もない普通の壁に、ファンがアーティストへの応援メッセージを自発的に書き込むことにより、各々の想いを表現・共有する現象(寄せ書き)である。
【0003】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社ホームページ/https://www.sonymobile.co.jp/product/smartproducts/g1109/special/messageboard/2020年2月22日検索
【文献】ソニービジネスソリューション株式会社ホームページ/https://www.sonybsc.com/press/2019/20190719.html/2020年2月22日検索
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、この寄せ書きをデジタルで実現する「デジタル寄せ書きシステム」も登場している。これは、ファンが手書き入力した寄せ書き(手書きのメッセージ情報)を取得し、プロジェクターを用いて、寄せ書きを壁に投影する装置である。
しかし、この「デジタル寄せ書きシステム」は、ただ単に、手書きメッセージ情報を取得して、プロジェクターを用いて壁に投影するだけのものである。
よって、これを各種イベントやライブ会場においてそのまま利用すると、種々のトラブルが予想され、且つ、面白味やエンタテインメント性に欠けるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためのものであり、従来のデジタル寄せ書きシステムを、各種イベントやライブ会場においてそのまま利用した場合に生じ得る種々のトラブルを防止するとともに、従来のデジタル寄せ書きシステムに面白味やエンタテインメント性を付加した装置等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本発明では、次の手段を備える装置、コンピュータを次の手段として機能させるプログラム、コンピュータが次のSTEPを行う方法が提供される。
(1) 第1投稿情報を取得する第1投稿情報取得手段と、第2投稿情報を取得する第2投稿情報取得手段と、前記第1投稿情報と、前記第2投稿情報とを識別可能に表示する識別処理を行う識別処理手段と、前記第1投稿情報と、前記第2投稿情報とを、寄せ書きとして出力する寄せ書き出力手段とを備える。
(2)前記第1投稿情報は、興行の提供者からの投稿情報であり、前記第2投稿情報は、前記興行の被提供者からの投稿情報である。
(3)前記興行の提供者には、前記興行の出演者、または前記興行の開催者が含まれ、前記興行の被提供者には、前記出演者のファン、または前記興行の観客、または前記興行の参加者、または前記興行の応援者が含まれる。
(4)前記第1投稿情報および前記第2投稿情報は、興行の被提供者からの投稿情報である。
(5)前記興行の被提供者には、前記興行の出演者のファン、または前記興行の観客、または前記興行の参加者、または前記興行の応援者が含まれる。
(6)前記寄せ書き出力手段は、興行の会場の内壁、または前記会場の外壁、または前記会場の天井、または前記会場の屋根、または前記会場の床、または前記会場内の柱、または前記会場外の柱、に前記第1投稿情報または前記第2投稿情報を投影する投影手段である。
(7)前記識別処理は、前記第1投稿情報と前記第2投稿情報との重複表示を防止するための処理である。
(8)前記識別処理は、前記第1投稿情報と前記第2投稿情報とを別の位置に表示するための処理である。
(9)前記識別処理は、前記第1投稿情報または前記第2投稿情報の投稿者が指定した表示位置を取得し、その表示位置に前記第1投稿情報または前記第2投稿情報を表示する処理である。
(10)前記識別処理は、前記第1投稿情報と前記第2投稿情報とを、異なる表示形態にする処理である。
(11)前記表示形態には、文字または図形の大きさ、または、文字または図形の形、
または、文字または図形の色、または、文字または図形の背景、が含まれる。
(12)前記第1投稿情報または前記第2投稿情報は、前記第1投稿情報または前記第2投稿情報を、投稿前に予め記憶するための投稿前情報記憶手段に記憶された情報である。
(13)前記第1投稿情報または前記第2投稿情報は、興行の会場に設置された複数の表示装置に表示される情報である。
(14)前記第1投稿情報または前記第2投稿情報には、手書きによる情報、または文字コードに基づき表現される文字データ、または画像データ、が含まれる。
(15)前記第1投稿情報または前記第2投稿情報には、音声により入力された情報を、文字または図形に変換した変換情報が含まれ、前記変換情報は、前記音声の大きさ、または、前記音声の質、または、前記音声の高低、または、前記音声の震えの大小、または、前記音声に含まれる喋りの速度、に基づき表示形態が異なる。
(16)興行の被提供者からの第3投稿情報を取得する第3投稿情報取得手段と、前記興行の被提供者からの第4投稿情報を取得する第4投稿情報取得手段と、前記第3投稿情報と、前記第4投稿情報とを、寄せ書きとして出力する寄せ書き出力手段と、前記第3投稿情報を顕著化する顕著化命令を取得した場合、前記第3投稿情報を前記第4投稿情報よりも顕著に表示する顕著化手段と、を備える。
(17)興行の提供者からの投稿情報を取得する提供者投稿情報取得手段を備え、前記顕著化手段は、前記提供者からの投稿情報を前記第4投稿情報よりも顕著に表示する。
(18)前記第3投稿情報を顕著化した状態を保持する時間を取得する保持時間取得手段と、前記第3投稿情報を顕著化してから前記保持時間経過後に、前記第3投稿情報を顕著にする前の状態に戻す手段と、を備える。
(19)前記顕著化命令を連続して行うことを防止するための連続命令防止時間データを取得する連続命令防止時間データ取得手段と、前回顕著化した時刻と、前記連続命令防止時間データと、に基づいて、前記顕著化命令を許容するか否かを判断する許容判断手段と、を備える。
(20)前記許容判断手段は、前記顕著化命令の発信者の同一性、または、前記顕著化命令の対象となった投稿情報の同一性、を判断要素にする。
(21)前記顕著化とは、前記第3投稿情報または前記第4投稿情報の、大きさを変更すること、または、表示形態を変更すること、または、色を変更すること、または、背景を変更すること、または、位置を変えること、が含まれる。
(22)前記顕著化とは、前記第3投稿情報の表示と前記第4投稿情報の表示とが重なり合う場合、前記第4投稿情報よりも前記第3投稿情報を優先して表示する処理である。
(23)興行の被提供者からの第5投稿情報を、インターネット回線を介して取得する第5投稿情報取得手段と、不適切な投稿を排除する排除手段と、前記排除手段により排除されなかった前記第5投稿情報を寄せ書きとして出力する出力手段と、を備える。
(24)前記排除手段は、前記被提供者が前記第5投稿情報を送信できる回数を制限する手段である。
(25)前記排除手段は、前記第5投稿情報と、記憶装置に記憶された排除すべき語を集めたデータとに基づき、前記第5投稿情報を表示すべきか否かを判断する手段である。
(26)前記排除手段は、前記被提供者が居る位置と、前記興行の会場の位置とに基づき、前記第5投稿情報を排除するか否かを判断する手段である。
(27)前記被提供者には、前記興行の出演者のファン、または前記興行の観客、または前記興行の参加者、または前記興行の応援者が含まれる。
【発明の効果】
【0008】
本発明を利用すれば以下の効果を得ることができる。
(1)本発明の寄せ書き情報処理装置等を利用すれば、ファン等からのメッセージや、アーティストからファンに向けたメッセージを、皆で共有することができるので、各種イベントやライブ活動を効果的に盛り上げることができる。
(2)本発明では、ファン等からのメッセージと、アーティストからファンに向けたメッセージとを識別可能に表示する。すなわち、本発明では以下の処理を行う。
・ファンからのメッセージとアーティストからのメッセージとの「重複表示」を防止する。
・または、コンピュータが自動的に判断して、両メッセージを別の位置に表示する。
・または、投稿者がメッセージの表示位置を指定することを可能にして、両メッセージを別の位置に表示する。
・または、両メッセージを異なる表示形態にする。
これにより、多数のファンが至るところに寄せ書きをしてしまい、肝心のアーティストのメッセージがファンのメッセージに埋もれてしまい見つからない(または、分かりにくくなる)等の不都合を回避できる。
(3)本発明では、複数のメッセージを各々識別可能に表示する。すなわち、本発明では以下の処理を行う。
・複数のメッセージの「重複表示」を防止する。
・または、コンピュータが自動的に判断して、複数のメッセージを各々別の位置に表示する。
・または、投稿者がメッセージの表示位置を指定することを可能にして、複数のメッセージを各々別の位置に表示する。
・または、複数のメッセージを各々異なる表示形態にする。
これにより、多数のファンが至るところに寄せ書きをしてしまい、ファンが自ら投稿したメッセージを見つけられない(または、見つけにくくなる)等の不都合を回避できる。
(4)本発明では、メッセージの表示形態の変更命令(顕著化命令)を行うことにより、特定の投稿者のメッセージを、他のメッセージと識別可能に、且つ、顕著に表示する。これにより、自ら投稿したメッセージに対し顕著化命令を行えば、自分の投稿を見つけられない(または、見つけにくくなる)等の不都合を回避できる。
さらに、「アーティストのメッセージと自らのメッセージ」と、「他のファンのメッセージと」を顕著に識別できるように表示すれば(「アーティストのメッセージと自らのメッセージ」だけを、同一または関連性のある表示形態にすれば)、ファンはアーティストとの個人的な繋がりを感じることができ、またアーティストと自分のメッセージだけを目立たせた寄せ書きを記念写真にする等の楽しみを持つことができる。
(5)本発明では、顕著化命令を一度行うと、同一のファンは所定時間内に再度顕著化命令を行えないようにしている。よって、ひとりのファンが顕著化命令を連打することより、他のファンが顕著化命令を行う機会が減少するという不都合を回避できる。
(6)本発明では、メッセージ投稿者は予め携帯端末やサーバー上にメッセージを保存することができる。よって、ファンは、イベント会場で突然考えた安易なメッセージではなく予めじっくり考えたメッセージや、凝った趣向のイラスト等を投稿することができる。
(7)投稿されたメッセージは、会場の壁などだけでなく、会場に設置された複数の表示モニタに表示される。これにより、イベントやライブに参加した際のワクワク感や高揚感を観客に与えることができる。
(8)本発明では、手書きメッセージと文字データ(テキストデータ)双方を投稿できる。よって、絵や字を描くことが得意な人は手書きメッセージを投稿でき、それらが不得手な人はテキストデータでメッセージを書き込むことができる。
(9)本発明では、音声を文字または図形に変換したメッセージを投稿できる。また、その音声の大きさ・質・高低・震えの大小等によりメッセージの表示形態が変わるので、自らの音声による他には存在しないユニークなメッセージを投稿できる。
(10)本発明は、インターネット回線を経由してメッセージを投稿できる。すなわち、誰でも投稿でき、且つ、何処からでも投稿できるものとなっている。よって、そのイベントに反感を持っている人がメッセージを投稿する可能性があり、誹謗中傷のメッセージや、過剰に多くのメッセージを投稿されることが予想される。そこで、本発明では、投稿回数を制限し、事前にメッセージ内容を確認して誹謗中傷メッセージが表示されないようにしている。
さらに、メッセージはイベント会場近辺でなければ投稿できないようにすることで、誹謗中傷メッセージや過剰に多くのメッセージの抑制を図っている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のハードウェア構成の一例を表す図である。
図2】投稿種別入力画面を表した図である。
図3】アーティスト用の手書きメッセージ入力画面を表した図である。
図4】ファン用の手書きメッセージ入力画面を表した図である。
図5】ファン用のテキストメッセージ入力画面を表した図である。
図6】識別処理された投稿情報を寄せ書きとして出力した図である。
図7】顕著化前の寄せ書き情報を出力した図である。
図8】顕著化後の寄せ書き情報を出力した図である。
図9】2つの投稿種別を顕著化した状態を表す図である。
図10】2つの投稿種別を顕著化した状態を表す図である。
図11】顕著化命令入力画面を表した図である。
図12】投稿種別データと投稿領域指定データを表した図である。
図13】第1投稿管理データを表した図である。
図14】第2投稿管理データを表した図である。
図15】第3投稿管理データを表した図である。
図16】第4投稿管理データを表した図である。
図17】第5投稿管理データを表した図である。
図18】不適切ワードデータと投稿可能距離データと投稿命令データとを表した図である。
図19】顕著化命令データと連続命令防止時間データと戻り時間データとを表した図である。
図20】音声文字変換データを表した図である。
図21】寄せ書き投稿から出力までの処理フローを表した図である。
図22】顕著化処理のフローを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0010】
本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例にて利用されるハードウェア構成の概略図である。
本発明は、電子的な寄せ書きシステムを提供する会社が運営する寄せ書き処理装置(ここでは「サーバー1」とする)と、プロジェクター等の投影装置2と、寄せ書きの投稿者が利用する情報端末(ここでは「投稿者端末3」とする)と、会場内に設置された情報入力装置(ここでは「会場端末4」とする)と、会場内に設置された情報表示装置(ここでは「会場内モニター5および6」とする)とからなる。
なお、投影装置2と、会場内モニター5および6とは、情報の出力装置(表示装置)として共通するが、本実施例では投影装置2が寄せ書きを出力する主装置である。これに対し、会場内モニター5および6は、いわゆる「サイネージディスプレイ」と呼ばれる表示装置であり、投影装置2を補完する副次的な役割を果たす装置である(ただし、これに限るものではない)。
【0011】
上記各装置(符号1から符号6に示す装置)はコンピュータである(或いは、コンピュータを内蔵している)。各装置の記憶装置には本発明を実現するためのコンピュータプログラム(アプリケーションソフト)や所定のデータが記憶されており、各装置はこのコンピュータプログラムの処理命令に従って所定の処理を行う。
また、投稿者端末3はGPS(global positioning system)等の位置を特定する手段を備えるものとする。
サーバー1と投稿者端末3とはインターネット等の通信回線で接続され、相互に情報の送受信が可能になっている。また、サーバー1と投影装置2・会場端末4・会場内モニター5および6とは、各々有線または無線の通信手段により接続されており、相互に情報の送受信が可能となっている。
【0012】
次に、各装置(端末)の表示画面に表示される内容について説明する。
なお、ここでは、あるアーティスト(興行の出演者)がライブを開催し、そのライブを盛り上げるため、多くのファンや出演するアーティストが寄せ書きを行うケースを例に説明する。アーティストは興行の提供者であり、興行の提供者には興行の開催に何らかの形で関与する「興行の開催者」も含まれる場合がある。さらに、ファンは興行の被提供者であり、興行の被提供者には興行の観客・興行に参加する参加者・興行を何らかの形で応援する応援者が含まれる場合があるものとする。
図2は、投稿者種別を入力するための表示画面である。
上段は、投稿者区分を入力する欄であり、メッセージの投稿者が、観客(ファン)であるか、またはアーティストであるかの区分を入力する。
下段は、投稿メッセージ区分を入力する欄であり、投稿するメッセージが、手書きメッセージか、または文字コードに基づいて表現される文字データ(テキストデータ)であるかの区分を入力する。なお、ここで写真、絵文字、スタンプ画像などの画像データを入力できるようにしてもよいが、ここではその処理を省略する。また、ここでは、手書きメッセージとテキストデータ(或いは、画像データ)のうち、1つしか選択できないこととしているが、手書きメッセージ・テキストデータ(或いは、画像データ)の中から複数(2つ、或いは3つ)を任意に選択し、手書きメッセージ・テキストデータ・画像データを好みに応じて混在させたバリエーションに富んだ投稿を行えるようにしてもよい。さらに、ここでは色を一色しか選択できないこととしているが、色も複数種類選択でき、好みに応じた色を複数混在させることを可能としてもよい。
【0013】
図3は、アーティストが寄せ書きのためのメッセージ(手書きメッセージ)を入力する画面である。
具体的には、この画面を用いて、投稿者番号と、メッセージの位置・大きさと、表示する色と、手書きメッセージとを入力する。
「投稿者番号入力」の欄には、予め投稿者に付与された、投稿者を特定するための情報(番号)を入力する。
「位置と大きさ指定」の欄は、メッセージを表示する位置や大きさを指定する欄である。
符号11は、寄せ書き全体の領域を表した全表示領域11である。
符号12はアーティスト専用の入力領域であり、ここでは全表示領域11の中心部に設定されているものとする。
符号13は、ファン専用の入力領域であり、ここは全表示領域11から符号12の領域を除いた領域である。図3はアーティストのメッセージ入力を受け付けるものであるため、符号13の領域はグレーで塗りつぶされていて、アーティストはここには入力できないことが示されている。
符号14は、図3において点線で囲まれた領域であり、アーティストが自らのメッセージを表示させたい位置や大きさを指定したものである。アーティストはタッチペンや自らの指などを使って符号14で示された領域を指定する。
表示形態は、メッセージをどのような形態で表示させるかを指定する欄である。なお、ここでは色を指定するものとする。
「入力メッセージ」の欄は、アーティストが手書きメッセージを入力する欄であり、アーティストはタッチペンや自らの指などを使って手書きメッセージを入力する。
【0014】
図4は、ファンが寄せ書きのメッセージ(手書きメッセージ)を入力する画面である。
具体的には、この画面を用いて、投稿者番号と、メッセージの位置や大きさと、表示する色と、手書きメッセージとを入力する。
「投稿者番号入力」の欄には、予め投稿者に付与された、投稿者を特定するための情報(番号)を入力する。
「位置と大きさ指定」の欄は、メッセージを表示する位置や大きさを指定する欄である。
符号11は、寄せ書き全体の領域を表した全表示領域11である。
符号12はアーティスト専用の入力領域であり、ここでは全表示領域11の中心部に設定されているものとする。図4はファンのメッセージ入力を受け付けるものであるため、符号12の領域はグレーで塗りつぶされていて、ファンはここには入力できないことが示されている。
符号13は、ファン専用の入力領域であり、ここは全表示領域11から符号12の領域を除いた領域である。
符号15は、図4において点線で囲まれた領域であり、ファンが自らのメッセージを表示させたい位置や大きさを指定したものである。ファンはタッチペンや自らの指などを使って符号15で示された領域を指定する。
表示形態は、メッセージをどのような形態で表示させるかを指定する欄である。なお、ここでは色を指定するものとする。
「入力メッセージ」の欄は、ファンが手書きメッセージを入力する欄であり、ファンはタッチペンや自らの指などを使って手書きメッセージを入力する。なお、本実施例では、ここで入力されたメッセージが「投稿情報」としての役割を果たす。この「投稿情報」には、手書き入力された文字や図形を表すイメージデータの他、文字コードに基づき表される文字データ(テキストデータ)、写真・絵文字・スタンプ画像などの画像データなどの各種データが含まれる(ただし、これに限るものではない)。
【0015】
図5は、ファンが寄せ書きのメッセージ(文字データによるメッセージ)を入力する画面である。
具体的には、投稿者番号と、メッセージの位置・大きさと、表示する色と、テキストメッセージとを入力する。
「投稿者番号入力」の欄には、予め投稿者に付与された、投稿者を特定するための情報(番号)を入力する。
「位置と大きさ指定」の欄は、メッセージを表示する位置や大きさを指定する欄である。
符号11は、寄せ書き全体の領域を表した全表示領域11である。
符号12はアーティスト専用の入力領域であり、ここでは全表示領域11の中心部に設定されているものとする。図5はファンのメッセージ入力を受け付けるものであるため、符号12の領域はグレーで塗りつぶされていて、ファンはここには入力できないことが示されている。
符号13は、ファン専用の入力領域であり、ここは全表示領域11から符号12の領域を除いた領域である。
符号16は、図5において点線で囲まれた領域であり、ファンが自らのメッセージを表示させたい位置や大きさを指定したものである。ファンはタッチペンや自らの指などを使って符号16で示された領域を指定する。
表示形態は、メッセージをどのような形態で表示させるかを指定する欄である。なお、ここでは色を指定するものとする。
「入力メッセージ」の欄は、ファンが文字メッセージを入力する欄であり、投稿者端末3のキーボード等を使ってテキストメッセージを入力する。
【0016】
図6から図10は、投稿された各メッセージを投影装置2から会場の壁などに投影したものである(詳しくは後述する)。
【0017】
図11は、顕著化命令を入力する画面である。
本発明に係るシステムは、アーティストのメッセージとファンのメッセージとを別の位置に表示すること、および、ファン同士のメッセージを別の位置に表示することが可能である。
しかし、その一方で、ファンが好みの場所にメッセージを自由に投稿できるようにすることも可能である。そして、その場合、ファン同士のメッセージが重複表示される可能性がある。よって、あるファンのメッセージが他のファンのメッセージの下に隠れて見えなくなる可能性がある。また、非常に多くのメッセージが投稿されると、自分のメッセージが他のメッセージに埋もれてしまい、自分のメッセージが見つけられなくなる可能性がある。そこで、投稿者が「顕著化命令」を行えば、自らのメッセージを最前面に表示させる、または自らのメッセージを目立つ色や形にして目立たせること(顕著化すること)ができるのである。
図11に従い、ファンは、投稿者番号と投稿番号を入力し、顕著化形態を選択して「顕著化命令送信」をタップまたはクリック等すれば、自らのメッセージの表示形態を変更して顕著化できる。
【0018】
次に、各装置に記憶されているデータについて説明する。
図12上段は、図2の投稿種別入力画面で入力されたことにより、投稿者端末3が生成した投稿種別データである。
図12下段は、図3から図5において区分けされている「アーティストの投稿の表示領域」と「ファンの投稿の表示領域」を表したものである。すなわち、アーティストの表示領域(図3の「位置と大きさ指定」において白く表されている領域、または、図4の「位置と大きさ指定」において灰色で表されている領域)を数値で示す位置情報であり、さらに、ファンの表示領域(図4の「位置と大きさ指定」において白く表されている領域、または、図3の「位置と大きさ指定」において灰色で表されている領域)を数値で示す位置情報である。
【0019】
図13から図17は、図3から図5などのメッセージ入力画面で入力されたことにより生成された投稿管理データである。
投稿番号は、サーバー1が各投稿管理データに付与するユニークな固有番号である。
投稿者番号は図3等のメッセージ入力画面で入力された番号である。
投稿時刻は、そのメッセージを投稿者端末3からサーバー1に送信した日時である。
投稿者位置は、投稿者の居る位置を示したものである。
投稿者区分は、図2の投稿種別入力画面で入力された区分である。
表示位置および表示面積は、図3等の「位置と大きさ指定」において投稿者が指定した位置や面積を数値化したものである。なお、本実施例では、サーバー1が、投稿者端末3や記憶装置から、この表示位置を取得してその位置に投稿情報を表示する処理を行う。
投稿メッセージ区分は図3等のメッセージ入力画面で入力されたデータである。
表示形態は図3等のメッセージ入力画面で入力された表示形態である。
前回顕著化命令時刻は、その投稿者が既に図11の顕著化命令を行っていた場合、その命令を行った時刻を記憶したものである。
投稿可否は、メッセージの適正性等を確認した後に付与される情報である。
入力メッセージは、図3等の寄せ書き入力画面で入力されたメッセージである。
本実施例では、図13の入力メッセージが、アーティスト(興行の提供者)から投稿された投稿情報(第1投稿情報・提供者投稿情報)としての役割を果たし、これを投稿者端末3や記憶装置から取得するサーバー1が、第1投稿情報取得手段・提供者投稿情報取得手段としての役割を果たす。
本実施例では、図14図17の入力メッセージが、ファン(興行の被提供者)から投稿された投稿情報(第1投稿情報から第5投稿情報)としての役割を果たし、これを投稿者端末3や記憶装置から取得するサーバー1が、第1投稿情報取得手段から第5投稿情報取得手段としての役割を果たす。
【0020】
図18上段は、不適切なワードを集めたデータ(ファイル)であり、これに該当するワードが含まれているメッセージは排除され、寄せ書きとして表示されない。
図18中段は、投稿可能な距離を示すデータである。このシステムは会場近辺に居る人しか投稿できない仕組みなので、これは会場近辺に居るか否かを判断するための距離を示すデータである。
図18下段は、投稿者が投稿者端末3を操作することにより発信される情報であり、投稿者が指定したメッセージを、投稿者端末3からサーバー1に対して投稿するよう命令するためのデータである。
【0021】
図19上段は、顕著化命令データであり、図11の入力画面により生成されたデータである。
図19中段は、図11の顕著化命令が連続することを防止するためのデータである。ひとりのファンが自らのメッセージに対し顕著化命令を連続して行うと、その人のメッセージばかりが常に目立つこととなり公平性を欠く。そこで、一度顕著化命令を行ったファンは一定時間顕著化命令を行えないようにする必要がある。このデータはその時間を定めるためのデータである。
図19下段は、顕著化したメッセージを顕著化前の状態に戻すタイミングを示した情報である。
【0022】
図20上段は、音声-文字変換データであり、入力音声(投稿者の声)によりメッセージを入力する際に使用されるデータである。ここでは入力された音声の大きさにより文字の大きさや色を変更する。図20下段も同様に音声-文字変換データであり、入力音声(投稿者の声)によりメッセージを入力する際に使用されるデータである。ここでは入力された音声の高さより文字の大きさや色を変更する。
すなわち、投稿者が音声で入力すると、音声の大きさ、音声の質、音声の高低、音声の震えの大小、音声に含まれる喋りの速度などに基づき、異なる表示形態の文字や図形に変換され(変換情報)、それが投稿情報となるのである。
【0023】
なお、各図面に表されたデータファイルは、サーバー1やその他の各装置の記憶装置に記憶されているものとする。また、各データ図に表された各項目は互いに関連付けられて(対応づけられて)記憶されている。
【0024】
次に、本実施例の処理手順について説明する。
図21は本実施例の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、投稿種別入力(STEP1-1)、メッセージ入力(STEP1-2)、メッセージ確認(STEP1-3)、位置確認(STEP1-4)、メッセージ投稿(STEP1-5)、メッセージ表示(STEP1-6)とからなる。
【0025】
STEP1-1は、投稿種別入力の処理である。
投稿者端末3の表示画面には図2の投稿種別入力画面が表示されているものとする。投稿者はこの画面から投稿種別を入力する。
図2の上段(投稿者区分入力)を入力することにより、投稿者がアーティストであるか、またはファンであるかが判明する。
図2の下段(入力データ区分)を入力することにより、投稿者が、そのメッセージを手書きメッセージで投稿するのか、または文字コードに基づき表現される文字データ(テキストデータ)で投稿するのかが判明する。
投稿者端末3は、入力されたデータに基づき図12上段の「投稿種別データ」を生成し、これをサーバー1に送信する。
【0026】
STEP1-2は、メッセージ入力の処理である。
投稿種別データを受信したサーバー1は、投稿種別データに含まれる「投稿者区分」と「入力データ区分」とに基づいて「メッセージ入力画面」を選択し、それを構成するデータを投稿者端末3に送信する。これにより、投稿者端末3には以下の情報が表示される。
STEP1において、投稿者入力区分がアーティストであり、且つ、入力データ区分が手書きメッセージの場合、図3の「メッセージ入力画面(アーティスト用の入力画面)」が表示される。
STEP1において、投稿者入力区分が観客(ファン)であり、且つ、入力データ区分が手書きメッセージの場合、図4の「メッセージ入力画面(ファン用の入力画面)」が表示される。
STEP1において、投稿者入力区分が観客(ファン)であり、且つ、入力データ区分がテキストデータの場合、図5の「メッセージ入力画面(ファン用の入力画面)」が表示される。
【0027】
なお、アーティストがテキストデータで入力することも可能であるが、その処理内容はファンがテキストデータを入力する場合と同様なので、ここでは省略する。
投稿者(アーティストまたはファン)は、図3から図5に表された各項目を入力し、「保存」ボタンをクリックまたはタップする。なお、この時点で図3から図5において「投稿」ボタンは表示されていない、或いは、薄く表示されていてクリックまたはタップできないものとする。
「保存」ボタンがクリックまたはタップされたことにより、投稿者端末3は投稿管理データを生成し、これをサーバー1に送信し、サーバー1はこれを受信・記憶する。すなわち、各投稿管理データは、サーバー1と投稿者端末3との間で常に同期(共有)され、各々の記憶装置に記憶されているものとする。
例えば、図3の内容が入力された場合は図13のよう第1投稿管理データが生成・記憶され、図4の内容が入力された場合は図14のよう第2投稿管理データが生成・記憶され、図5の内容が入力された場合は図15のよう第3投稿管理データが生成・記憶される。なお、同様の処理により、図16の第4投稿管理データや図17の第5投稿管理データ(手書きの図形)が生成・記憶される。なお、これら各投稿管理データを記憶するサーバー1の記憶装置または投稿者端末3の記憶装置が、投稿前情報記憶手段としての役割を果たす。これにより、例えば、投稿可能領域の外(投稿可能距離の外)に居る投稿者の投稿情報を予め保管・記憶しておくことができる。
【0028】
STEP1-3は、メッセージ確認の処理である。
サーバー1の記憶装置には図18上段の「不適切ワードデータ」が記憶されている。サーバー1は投稿管理データに含まれるメッセージと、不適切ワードデータとを照合・比較し、メッセージに不適切ワードが含まれるか否かを判断する。なお、手書きのメッセージの場合は、OCR機能等を利用してテキストデータに変換し、不適切ワードデータと照合してもよい。
不適切ワードを含む場合は、サーバー1は、図13等に示された投稿管理データの「投稿可否」のデータ項目に「不可」を代入し、不適切ワードを含まない場合は、投稿管理データの「投稿可否」のデータ項目に「可」を代入する。なお、ここではすべて「可」になったとする。なお、この投稿の可否を決める処理を行うサーバー1が排除手段としての役割を果たす。また、サーバー1は、予め同一投稿者の投稿可能回数の上限を記憶しておき、それを超えた場合に投稿を排除してもよい(投稿情報の送信回数を制限してもよい)。
【0029】
STEP1-4は、位置確認の処理である。
サーバー1および投稿者端末3の記憶装置には、図18中段の「投稿可能距離データ」が記憶されている。これはイベント会場周辺の一定領域を示すデータである。
投稿者端末3は、GPS等の機能を用いて投稿者が居る位置を特定し、投稿者端末3の位置が、投稿可能データが示す領域内(会場から半径300メートル以内)にあるか否かを判断し、領域内にあると判断した場合は、STEP1-2においては表示されていなかった図3から図5の「投稿」ボタンを表示して、これをクリックまたはタップできる状態にする。なお、この際「会場近くに到着したので投稿可能になりました。」などの案内を投稿者端末3に表示してもよい。
そして、投稿者が図3の「投稿ボタン」をクリックまたはタップした場合、投稿者端末3は図18下段の投稿命令データを生成し、これをサーバー1に送信する。
なお、このように投稿者の居る位置や会場の位置により投稿の可否を判断・制御するサーバー1が、投稿情報の排除手段としての役割を果たす。
【0030】
STEP1-5は、メッセージ投稿の処理である。
投稿命令データを受信したサーバー1は、投稿命令データに含まれる投稿番号に該当する投稿管理データを検索し、投稿可否のデータ項目を確認する。そして、投稿可否が「可」になっている場合、投稿命令データに含まれる投稿番号のメッセージを投影するよう投影装置2に対して命令する。
【0031】
STEP1-6は、メッセージ表示の処理である。
投影命令を受信した投影装置2(寄せ書き情報出力手段)は、それを会場の壁面等に投影する。これによりメッセージが寄せ書きとして会場の壁面に図6のように投影される。
なお、投影装置2は、会場の壁だけでなく、例えば、興行の会場(イベント会場)の内壁、会場の外壁、会場の天井、会場の屋根、会場の床、会場内の柱、会場外の柱などに表示してもよい。また、これと共に、寄せ書き情報の全部または一部を会場内モニター5や6に表示してもよい。
【0032】
なお、ここで「識別処理」について説明する。
寄せ書きは、ファンやアーティストが、好みの場所に自由にメッセージを書き込むものである。しかし、全て自由にしてしまうと無秩序な状態になってしまい、せっかくファンやアーティストが入力したメッセージが隠れて見えなくなる(識別できなくなる)等の問題が生じる。
そこで、本発明では図13から図17に示した投稿管理データのデータ項目に、各々のメッセージの「表示位置」と「表示面積」を設けている。サーバー1は、これらデータに基づいて、メッセージ同士が重なり合うか否かを判断し、重なり合う場合は、メッセージの表示位置を変える(別の位置にする)、または、メッセージの表示面積を小さくする等の処理を施して寄せ書きを表示する。これにより、重複表示が回避され、各々が別の位置に表示される。
また、図3図4のように、予めアーティストやファンがメッセージを表示できる領域を定めることにより、アーティストのメッセージとファンのメッセージとの重複表示を防止できる。
さらに、図3から図5のメッセージ入力画面において、既に投稿されたメッセージを符号11の領域に表示すれば、投稿者は予め空白の部分(未だメッセージが表示されていない場所)を見つけることができ、そこにメッセージを表示するよう指定でき、重複表示が回避できる。
さらに、重複した場合でも、各メッセージを別の表示形態(例えば、色違いや縁枠を付ける等)にすれば、各メッセージを識別でき、メッセージが見えなくなるという不都合を緩和できる。表示形態とは、文字・図形の大きさ、または文字・図形の形、または文字・図形の色、または文字・図形の背景などが含まれる場合がある。
なお、この識別処理を行うサーバー1が識別処理手段としての役割を果たす。
【0033】
図22はメッセージの顕著化に関する処理フローである。
前述の通り、本発明に係るシステムは、ファンが好みの場所にメッセージを投稿できるものであるため、ファン同士の複数のメッセージが重複表示される可能性がある。よって、あるファンのメッセージが他のファンのメッセージの下に隠れて見えなくなる可能性がある。なお、ここでは図7のように、投稿番号5のメッセージ「ハートの図」(第4投稿情報)が、投稿番号4のメッセージ「サイコ~」(第3投稿情報)の上に重なってしまったとする。
そこで、自らのメッセージ(投稿番号4の「サイコ~」)が見えなくなってしまったファン(投稿番号4の投稿者「K003」)が「顕著化命令」を行えば、自らのメッセージを最前面に表示させる、または自らのメッセージを目立つ色や形にして目立たせることができるのである。
【0034】
STEP2-1は、顕著化命令送信の処理である。
自らのメッセージが他のファンのメッセージの下に隠れてしまった場合、投稿者は投稿者端末3の表示画面に図11の画面(ページ)を表示させ、投稿者番号と顕著化形態(顕著化させる表示形態)を選択し、「顕著化命令送信」をクリックまたはタップする。これにより、投稿者端末3は図19上段のような顕著化命令データを作成し、それをサーバー1に送信する。
【0035】
STEP2-2は、顕著化のための処理である。
顕著化命令データを受信したサーバー1は、図13から図17の中から、顕著化命令データに含まれる投稿番号に該当する投稿管理データを検索し、その投稿管理データに含まれるメッセージを、顕著化命令データに含まれる顕著化形態(ここでは「最前面に表示する形態」)に変更し、それを投影するよう投影装置2に命令する。
これにより、図7の投影内容が図8の投影内容に変更され、顕著化される。すなわち、投稿番号4のメッセージ「サイコ~」が最前面に表示され(「サイコ~」が「ハートの図」より前面に表示され)、投稿番号5のメッセージ「ハートの図」より優先表示されて目立つようになる。
【0036】
なお、この際、サーバー1は、顕著化命令の対象となったメッセージ(或いは、その投稿者)が、前回顕著化命令された時刻を記憶しておき(図16)、その時刻から図19の連続命令防止時間データ(ここでは60秒)を経過していなかったら、顕著化命令を許容しない処理をしてもよい。これにより、同一の投稿者(或いは、同一のメッセージ)が連続して顕著化される不平等を解決できる。なお、この処理を行うサーバー1が許容判断手段としての役割を果たす。
【0037】
STEP2-3は、顕著化したメッセージを顕著化前の状態に戻すための処理である。
サーバー1の記憶装置には、図19下段のような「戻り時間データ(顕著化した状態を保持する時間)」が記憶されている。サーバー1は、STEP2-2において、投影装置2に図7から図8への顕著化命令を行った後に経過時間をカウントし、戻り時間が経過した際は、図8から図7に戻るよう命令する。
これにより、図8の投影内容が図7の投影内容に変更され、顕著化前の状態(元の状態)に戻る。
【0038】
なお、この顕著化の処理には様々な態様がある。例えば、「大好き!」というメッセージ(投稿番号「2」、第3投稿情報)をアーティストのメッセージ(提供者投稿情報)と一緒に目立つようにすることも可能である。すなわち、図9のように投稿番号「2」の「大好き!」とアーティストのメッセージ「Welcome!」のみを残し、他のメッセージ(第4投稿情報)を消してしまう(非表示にする)という態様もある。また、図10のように投稿番号「2」とアーティストのメッセージとの背景のみに色や枠を付加し、他のメッセージの背景には色や枠を付加しないという態様もある。
すなわち、顕著化の処理には、投稿情報の大きさを変更すること、または表示形態を変更すること、または色を変更すること、または背景を変更すること、または位置を変えることなどのバリエーションが含まれる場合がある。
【0039】
上記実施例では、特定の例に基づいて本発明の内容を説明したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、本発明の趣旨に沿うものであれば、上記実施例と異なるハードウェア、異なるデータ、異なる処理手順であってもよい。また、ある装置が行う処理を、他の装置が行ってもよい。
また、投稿者端末3は投稿者が利用する端末であり、メッセージは投稿者端末3に限らず、投稿者端末3の代わりに会場端末4を用いて投稿するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 サーバー(寄せ書き処理装置)
2 投影装置(プロジェクター等)
3 投稿者端末
4 会場内端末
5 会場内モニター
6 会場内モニター


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22