(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】プレキャスト構造セグメントを一緒に結合するための継手およびそのような継手を有するプレキャスト構造セグメント
(51)【国際特許分類】
E21D 11/40 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
E21D11/40 B
(21)【出願番号】P 2020091042
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517168325
【氏名又は名称】オプティマス オーイー ソリューションズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】サンドリーヌ オルドゥネ
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-066899(JP,A)
【文献】特開2001-123793(JP,A)
【文献】特開昭48-081320(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02139268(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0251445(US,A1)
【文献】特開昭52-046637(JP,A)
【文献】特開2005-194813(JP,A)
【文献】特開平08-312295(JP,A)
【文献】特開2016-020570(JP,A)
【文献】特開平08-128299(JP,A)
【文献】米国特許第6648278(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00-19/06
E21D 23/00-23/26
E04B 1/38-1/61
E03F 1/00-11/00
E01D 1/00-24/00
E02D 29/00-29/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレキャストコンクリートから形成されたプレハブセグメントを接続するための構造継手であって、
一対のアンカーであって、各アンカーが、円筒中央部分と、一対の脚とを備え、前記円筒中央部分が、細長い盲孔を画定する内面を有し、前記一対の脚が、前記円筒中央部分の両側から前記アンカーの中心線に対して一定の角度で延在し、前記
細長い盲孔は、前記中心線と実質的に直角に交差する長手方向軸を有し、各脚が、前記
細長い盲孔を略横切る方向に延在し、前記円筒中央部分に取り付けられた近位部分と、前記円筒中央部分から離れて配設された自由遠位部分とを有し、前記
細長い盲孔の長手方向軸は前記脚の前記近位部分の間に位置し、前記脚の前記近位部分に沿って延びる、一対のアンカーと、
前記一対のアンカーを一緒に接続するために、前記一対のアンカーの前記
細長い盲孔に受け入れられるように適合されたピンと、を備え、
ピンが前記
細長い盲孔内に受け入れられたときに、前記ピンと前記
円筒中央部分の前記内面との間に、構造継手内への流体の侵入を阻止する封止が形成され、
前記一対のアンカー、及び、対応するピンが、組み立てられたときに構造的継手を形成し、
前記アンカーが、プレキャストコンクリートから形成されたプレハブセグメント内に埋め込まれ、
前記プレハブセグメントは端面を有し、これにより、前記アンカーが前記プレハブセグメントに埋め込まれ、かつ、前記構造的継手が形成されたときに、前記円筒中央部分の長手方向軸が両端面で互いに一致するように、前記円筒中央部分がそれぞれ配置され、
接合面が、スライドされ前記ピンを用いてピン係合されるようになっている、構造継手。
【請求項2】
各アンカーの各脚が、前記
細長い盲孔を略横切って延在する略平らな構造を含む、請求項1に記載の構造継手。
【請求項3】
各アンカーの前記一対の脚が、前記アンカーの中央線に対して一定の角度で延在し、前記角度が、約0度~約90度の範囲内である、請求項1に記載の構造継手。
【請求項4】
各脚の前記自由遠位部分が、前記脚の残りの部分から外方に離れて延在する部分を含む、請求項1に記載の構造継手。
【請求項5】
前記アンカーの各脚が、骨組およびパネルを形成する複数のリブを備える、請求項1に記載の構造継手。
【請求項6】
前記アンカーのうちの1つ以上が、前記アンカーの前記円筒中央部分の少なくとも一部の周りに延在するフランジを含む、請求項1に記載の構造継手。
【請求項7】
前記
細長い盲孔が、第1の直径を有する開口と、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する閉鎖端とを有する
細長い盲孔を含む、請求項1に記載の構造継手。
【請求項8】
前記ピンが、第3の直径部分と、テーパ部分と、第4の直径部分とを備え、前記テーパ部分が、前記第3の直径部分と前記第4の直径部分との間に位置付けられ、前記ピンの前記第3の直径部分が、前記
細長い盲孔の前記開口内に受け入れられるようなサイズにされ、前記ピンの前記第4の直径部分が、前記
細長い盲孔の前記閉鎖端内に受け入れられるようなサイズにされる、請求項7に記載の構造継手。
【請求項9】
各アンカーが、略オメガ形状のアンカーを含む、請求項1に記載の構造継手。
【請求項10】
各客は、複数の補強リブと、パネルを含み、前記補強リブは前記パネルから延在する、請求項1に記載の構造継手。
【請求項11】
前記補強リブは、複数の横リブを含む、請求項10に記載の構造継手。
【請求項12】
前記補強リブは、複数の縦リブと、複数の横リブを含む、、請求項10に記載の構造継手。
【請求項13】
前記縦リブは、前記横リブと交差する、請求項12に記載の構造継手。
【請求項14】
各脚は、内側と外側とを含み、前記内側は、対応する脚の側の間で比較的に滑らかである、請求項10に記載の構造継手。
【請求項15】
前記補強リブは、前記脚の外側から延在する、請求項14に記載の構造継手。
【請求項16】
トンネルのリングであって、
複数対のアンカーであって、各アンカーが、円筒中央部分と、一対の脚とを備え、前記円筒中央部分が、細長い
盲孔を画定し、前記一対の脚が、前記円筒中央部分の両側から前記アンカーの中心線に対して一定の角度で延在し、前記
細長い盲孔は、前記中心線と実質的に直角に交差する長手方向軸を有し、各脚が、前記細長い孔を略横切る方向に延在し、前記
円筒中央部分に取り付けられた近位端と、前記円筒中央部分から離れて配設された自由遠位部分とを有する、複数対のアンカーと、
半径方向端面を含むプレキャストコンクリートから形成された複数のリングセグメントであって、各半径方向端面が、前記複数対のうちの一対のアンカーを担持し、対応する凹部を画定する、複数のリングセグメントと、
複数のピンであって、各ピンが、前記アンカーのうちの対応する1つの前記
細長い盲孔に受け入れられて、前記一対のアンカーを互いに接続するように適合されている、複数のピンと、を備え、
ピンが前記
細長い盲孔内に受け入れられたときに、前記ピンと前記
アンカーとの間に、
アンカー内への流体の侵入を阻止する封止が形成され、
前記一対のアンカー、及び、対応するピンが、組み立てられたときに構造的継手を形成し、
前記アンカーが、プレキャストコンクリートから形成されたプレハブセグメント内に埋め込まれ、
前記プレハブセグメントは半径方向端面を有し、これにより、前記構造的継手が形成されたときに、前記円筒中央部分の長手方向軸が半径方向端面の両方で互いに一致するように、前記円筒中央部分がそれぞれ配置され、
接合面が、スライドされ前記ピンを用いてピン係合されるようになっている、リング。
【請求項17】
前記リングセグメントのうちの2つの前記半径方向端面が互いに当接し、前記リングセグメントのうちの第1のセグメントによって担持される前記アンカーの前記円筒中央部分が、前記リングセグメントのうちの第2のセグメントの前記凹部内に位置付けられる、請求項16に記載のリング。
【請求項18】
前記凹部の各々が、半円筒形状を有する、請求項16に記載のリング。
【請求項19】
前記アンカーのうちの1つ以上が、前記アンカーの前記円筒中央部分の少なくとも一部の周りに延在するフランジを備える、請求項16に記載の半径方向継手。
【請求項20】
各アンカーが、略オメガ形状のアンカーを含む、請求項16に記載のリング。
【請求項21】
前記リングセグメントの前記半径方向端面が、互いに隣接し、前記リングセグメントが、一緒に結合されると、前記リングセグメントのうちの一方の前記アンカーが、前記リングセグメントの片方の前記凹部内に位置付けられる、請求項16に記載のリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、構造継手に関し、特に、リングセグメント等のプレキャスト構造セグメントを一緒に結合する構造継手、およびそのような継手を有する構造セグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル、壁、床板、道路等の様々な構造を、プレキャスト建築材料を使用して製造および組み立てることができる。具体的には、トンネルは、形成されるトンネルの軸に沿って互いに隣接する複数のプレキャストリングを組み立てて固定することによって建設することができる。建設されるトンネルのサイズに応じて、そのようなプレキャストリングは、互いに結合された複数のプレキャストアーチ形リングセグメントを各々含むことができる。各リングセグメントは、隣り合うリングセグメントの対応する半径方向端面に係合して半径方向接合部を画定する、対向する半径方向端面を含む。従来の方法では、リングセグメントは、リングセグメント間の相対移動を防止するために、ボルトまたは他の手段によって半径方向の接合部で一緒に結合される必要がある。リングセグメントをボルトで一緒に固定するプロセスは、比較的労働集約的であり、ボルトは腐食しやすい場合がある。
【発明の概要】
【0003】
第1の例によれば、プレハブセグメントを接続するための構造継手は、一対のアンカーを含む。各アンカーは、中央部分と一対の脚とを含む。中央部分は、細長い孔を画定する。一対の脚は、中央部分の両側から延在する。各脚は、細長い孔を略横切る方向に延在し、中央部分に取り付けられた近位端と、中央部分から離れて配設された自由遠位部分とを有する。また、構造継手は、一対のアンカーを一緒に接続するために、一対のアンカーの細長い孔に受け入れられるように適合されたピンを含む。
【0004】
第2の例によれば、トンネルのリングは、半径方向の端面を含む複数のリングセグメントを含む。各半径方向端面は、一対のアンカーを担持し、対応する凹部を画定する。各アンカーは、細長い孔を画定する。リングは、複数のピンを含む。各ピンは、アンカーのうちの対応する1つの細長い孔に受け入れられて、一対のアンカーを互いに接続するように適合される。
【0005】
第3の例によれば、脚と、細長い孔を画定する中央部分とを有するオメガ型アンカーを担持するプレキャストコンクリートセグメントを形成する方法は、アンカーをツールに固定することを含む。ツールは、アンカーの細長い孔に面する半円筒部分を有する。本方法は、ツールを打設型枠に、またはそれに隣接して結合することを含む。本方法は、コンクリートを打設型枠に流し込んでコンクリートセグメントを形成することを含む。コンクリートセグメントが、ツールの半円筒部分によって形成された凹部を含む。本方法は、ツールをアンカーから結合解除することを含む。アンカーの細長い孔は、凹部の中に向かって開口している。
【0006】
さらに、前述の第1、第2、および/または第3の例によれば、装置および/または方法は、以下のうちのいずれか1つ以上をさらに含み得る。
【0007】
一例によれば、各アンカーの各脚は、細長い孔を略横切って延在する略平坦な構造を含む。
【0008】
別の例によれば、各アンカーの一対の脚は、互いに対して一定の角度で延在し、その角度は、約0度~約90度の範囲内である。
【0009】
別の例によれば、各脚の自由遠位部分は、脚の残りの部分から離れて横方向に延在する舌部を含む。
【0010】
別の例によれば、アンカーの各脚は、骨組みおよびパネルを形成する複数のリブを含む。
【0011】
別の例によれば、アンカーのうちの1つ以上は、アンカーの中央部分の少なくとも一部分の周りに延在するフランジを含む。
【0012】
別の例によれば、脚は第1の側および第2の側を有し、中央部分は、突起を含む。中央部分の突起は、脚の第2の側を越えて延在する。
【0013】
別の例によれば、各アンカーの細長い孔は、第1の直径を有する開口と、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する閉鎖端とを有する盲孔を含む。
【0014】
別の例によれば、ピンは、第3の直径部分と、テーパ部分と、第4の直径部分とを含む。テーパ部分は、第3の直径部分と第4の直径部分との間に位置付けられる。ピンの第3の直径部分は、盲孔の開口内に受け入れられるようなサイズにされ、ピンの第4の直径部分は、盲孔の閉鎖端内に受け入れられるようなサイズにされる。
【0015】
別の例によれば、各アンカーは略オメガ形状のアンカーを含む。
【0016】
別の例によれば、各アンカーは中央部分を含み、リングセグメントのうちの2つの半径方向端面が1つに当接すると、リングセグメントのうちの第1のセグメントによって担持されるアンカーの中央部分は、リングセグメントのうちの第2のセグメントの凹部内に位置付けられる。
【0017】
別の例によれば、各凹部は、半円筒形の形状を有する。
【0018】
別の例によれば、各アンカーは、中央部分と一対の脚を含む。中央部分は、細長い孔を画定し、一対の脚は、中央部分の両側から延在している。各脚は、細長い孔を略横切る方向に延在し、中央部分に取り付けられた近位端と、中央部分から離れて配設された自由遠位部分とを有する。
【0019】
別の例によれば、リングセグメントの半径方向端面が、互いに隣接し、リングセグメントが、一緒に結合されると、リングセグメントのうちの一方のアンカーは、リングセグメントの片方の凹部内に位置付けられる。
【0020】
別の例によれば、アンカーをツールに固定することは、アンカーの中央部分をツールのアパーチャ内に位置付けることと、アパーチャ内で中央部分をクランプすることとを含む。
【0021】
別の例によれば、アンカーをツールに固定することは、ツールによって画定された空間内に、アンカーのフランジから延在する分離セグメントを位置付けることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】複数のリングセグメントとキーセグメントとを含む、本開示の教示によるトンネルのリングの等角図である。セグメントは、半径方向接合部で互いに係合してリングの周囲を形成し、半径方向継手を介して互いに結合される。
【
図2】
図1のリングの半径方向接合部のうちの1つと、関連する半径方向継手との詳細な部分断面図である。
【
図3】複数のアンカーおよびピンを含む、
図1の半径方向継手のうちの1つの拡大等角図であり、プレキャストコンクリート打設プロセスの後に、複数の分離セグメントがアンカーから取り外されている。
【
図4】凹部を画定し、半径方向継手のアンカーのうちの1つを担持する、
図1のリングセグメントのうちの1つの詳細な等角図である。
【
図5】半径方向継手のうちの1つの断面図であり、リングセグメントを一緒に結合するためにアンカーの孔内に受け入れられたピンを示し、さらに、それぞれのリングセグメント内に埋め込まれたアンカーの脚を示している。
【
図6】アンカーのフランジから延在する分離セグメントを含むアンカーのうちの1つの等角図である。
【
図7】
図6のアンカーの詳細図であり、分離セグメントの複数のノッチを示している。
【
図8】開口部を画定するベースを有し、開位置にあるレバーアセンブリを含む固定具の第1の側の等角図であり、さらに、固定具のベースのアパーチャ内に位置付けられたアンカーのうちの1つの中央部分を示している。
【
図9】固定具の第2の側の等角図であり、半円筒部分を有し、ベースの表面から間隔を空けたタブを有するホルダを含むベースを示している。半円筒部分は、リングセグメントに凹部を形成するように適合されている。タブとベースの表面との間に形成されたスロットは、固定具に対してアンカーを固定するために、アンカーの分離セグメントを受け入れるように適合されている。
【
図10】
図9の固定具およびアンカーの詳細な等角図であり、ホルダ、スロットを形成するタブ、およびアンカーの分離セグメントを示している。
【
図11】固定具の第1の側の等角図であり、閉位置にあるレバーアセンブリと、固定具のベースによって画定されたアパーチャ内にクランプされたアンカーのうちの1つとを示している。
【
図12】固定具の第2の側の等角図であり、レバーアセンブリが閉位置にあり、アンカーの分離セグメントがタブとベースとの間に画定されたスロット内に位置付けられている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の文は、例示的な方法、装置、および/または製造品の詳細な説明を開示しているが、著作権の法的範囲は、本特許の最後に記載される請求項の文言によって定義されることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、すべての可能な例を説明しておらず、すべての可能な例を説明することは、不可能ではないにしても実用的ではない。現在の技術または本特許の出願日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多数の代替例を実装することができる。そのような代替例は、依然として特許請求の範囲内に収まることが想定される。
【0024】
本明細書で開示される例は、セグメントを一緒に接合するための継手に関する。セグメントは、リングセグメント、トンネルセグメント、建物セグメント等であり得る。継手は、ヒンジ様構造を提供し、セグメントを一緒に結合するときに比較的簡単に位置合わせされる。その結果、従来の方法と比較して、より少ない人力によって、より短い時間でセグメントを組み立てることができる。加えて、継手は、比較的高い引き抜き抵抗と比較的高いせん断抵抗とを提供する。より高い引き抜き抵抗および/またはより高いせん断抵抗を有することは、セグメントによって形成される構造物(例えば、トンネル)の内部圧力が構造物の外部圧力よりも高い環境で、および/または環境が地震事象のリスクを呈するときに、継手が使用される場合に有利であり得る。
【0025】
図1は、第1の開示された例による、例えば、トンネルのプレキャストされ、事前に組み立てられたリング100の等角図である。リング100は、複数の共通リングセグメント102と、キーリングセグメント(キーストーン)104とを含む。セグメント102、104は、対向する軸方向端面106、108および半径方向端面110、112を含むプレキャストコンクリート形態である。セグメント102、104は、
図1に示される方法で組み立てられたときに、半径方向端面110、112が互いに当接して、リング100を画定する真円を形成するように構成されている。リング100を使用してトンネルを形成するために、複数のリング100は、それぞれのリング100の対向する軸方向端面106、108間に、長手方向接合部を形成するような方法で位置付けられる。従来は、締結具(図示せず)を使用してリングを一緒に結合していた。
【0026】
ここで、共通リングセグメント102およびキーリングセグメント104を参照すると、図示の例では、共通リングセグメント102は、互いに類似しているかまたは同一であり、キーリングセグメント104は、共通リングセグメント102よりも短い半径寸法を有する。共通リングセグメント102およびキーリングセグメント104の半径方向端面110が当接する場所に、半径方向接合部113が形成される。示された例では、半径方向接合部113は、リング100の半径方向ベクトル114に沿って画定されるか、または別様にそれに関連付けられる。代替的には、共通リングセグメント102とキーリングセグメント104との間の半径方向接合部113は、2つの隣接する共通リングセグメント102の半径方向端面110間の半径方向接合部113で画定される角度とは異なる角度で画定されてもよい。
【0027】
図示の例では、セグメント102、104は、複数の半径方向継手116を介して、半径方向端面110、112で一緒に結合される。2つの半径方向継手116は、半径方向接合部113でリングセグメント102、104を一緒に結合する。しかし、他のバージョンでは、代わりに異なる数の半径方向継手116が含まれてもよい。例えば、半径方向接合部113の各々は、1つ、3つ、4つ、5つ等の半径方向継手116を含み得る。
【0028】
図2は、
図1の半径方向接合部113のうちの1つと、1つの関連付けられた半径方向継手116との詳細な部分断面図を示し、
図3は、半径方向継手116を分解斜視図で示す。
図3に見られるように、各半径方向継手116は、2つのアンカー120およびピン122を含む。アンカー120は、盲孔126を画定する中央部分124を有し、さらに、中央部分124から延在する一対の脚128を含む。ピン122は、アンカー120を一緒に結合するために、孔126内に受け入れられるサイズにされる。
【0029】
再び
図2を参照すると、共通リングセグメント102のうちの2つの当接している半径方向端面110が、半径方向継手116のうちの1つを形成するように示され、ここで、ピン122はアンカー120の孔126内に受け入れられる。いくつかの例では、半径方向継手116は、約100キロニュートン~約400キロニュートンの引き抜き抵抗と、約100キロニュートン~約400キロニュートンのせん断抵抗とを提供する。引き抜き抵抗は、アンカー120に対して、概して矢印129で表される方向に加えられる力によって表され、せん断抵抗は、矢印129に対して、略反対の方向かつ90°の方向でアンカー120に加えられる力に関連付けられる。
【0030】
半径方向端面110を再び参照すると、
図1および
図2に示す例では、各半径方向端面110は、一対の凹部130を含む。凹部130は、半円筒形状を有し、以下でさらに説明されるように、ピン122と、半径方向継手116の中央部分124とを受け入れるようなサイズにされる。凹部130はまた、以下に説明されるように、リングセグメント102、104が一緒に結合されている間および/または結合された後に、リングセグメント102、104間の相対運動を可能にするようなサイズにされる。代替的には、凹部130は、半円筒形とは異なる断面および/または形状を有してもよい。
【0031】
示された例において、
図3を特に参照すると、半径方向連結部116は、アンカー120およびピン122を含む(ピン122は
図3に最も明確に示されている)。アンカー120は、互いに実質的に類似しており、半径方向端面110に対して垂直な垂直面に沿って実質的に対称である。本例では、アンカー120は、略オメガ形状である。しかしながら、アンカー120は、異なる形状であってもよい。例えば、アンカー120は、U字形、V字形、W字形等であってもよい。
【0032】
アンカー120は、中央部分124と一対の脚128とを含む(脚128は
図2および
図3に最も明確に示されている)。脚128は、アンカー120の中心線CLに対して角度αで中央部分124の両側から延在している。角度αは、約45°であってもよい。一例では、脚128間で画定される角度は、約45°~90°の間である。しかしながら、約0°~約90°の間の任意の角度が意図されている。例えば、脚128間で画定される角度は、約30°、約40°、約47°、約62°、約70°、約93°等であってもよい。
【0033】
再び
図2を参照すると、アンカー120の脚128は、複数の補強リブ132と、リブ132がそこから延在するパネル134とを含む。図示された形態では、リブ132は、複数の縦リブ136と、縦リブ136と交差する複数の横リブ138とを含む。
図3に示されるように、縦リブ136は、アンカー120の周りを取り巻き、実質的にオメガ形状を形成する。縦リブ136のうちの2つは、アンカー120の周囲に沿って配設され、縦リブ136のうちの1つは、外側縦リブ127間に位置付けられる。
【0034】
横リブ138は、脚128の側140、142間に延在する。また、横リブ138は、縦リブ136間に延在する。図示されたアンカー120には、3つの縦リブ136および5つの横リブ138が含まれるが(さらなる明瞭さのために
図3を参照)、代わりに任意の他の数のリブ132が含まれてもよい。例えば、アンカー120は、4つの縦リブ136と7つの横リブ138とを含んでもよい。他のバージョンでは、アンカーにリブがまったく含まれていない場合があるが、むしろ、脚は、フラットパネルを単に含むことができる。
【0035】
中央部分124の第1の部分143は、フランジ144を含む(フランジは
図3に最も明確に示されている)。フランジ144は、横リブ138のうちの1つによって形成される。
図2の例に示されるように、フランジ144は、関連するリングセグメント102の寸法エンベロープ内に位置付けられる。
図6~
図12に関連して説明するように、固定具146(
図8参照)によりフランジ144を使用して、アンカー120がリングセグメント102内に埋め込まれるプレキャストコンクリート打設プロセス中に、アンカー120を適所に保持することができる。固定具146はまた、リングセグメント102が形成されるとき、およびアンカー120がリングセグメント102内に結合されるとき、アンカー120がリングセグメント102内に整合して位置付けられることを可能にする。
【0036】
アンカー120に戻って参照すると、アンカー120の中央部分124の第2の部分148は、リングセグメント102から延在している。半径方向端面110によって、および/またはそれらの間で画定される平面は、アンカー120の第1および第2の部分143、148を二分する。したがって、示されている例では、中央部分124の約半分が、リングセグメント102の寸法エンベロープ内にあり、中央部分124の約半分が、リングセグメント102の寸法エンベロープの外に延在している。第2の部分148をリングセグメント102から延在するように位置付けることにより、結合プロセス中に、アンカー120の第2の部分148が、隣接するリングセグメント102の凹部130内に収容されることを可能にする。その結果、半径方向端面110が互いに隣接し、リングセグメント102が、
図2に示されるように結合されると、アンカー120の中央部分124と関連する孔126とが、同軸に整列する。
【0037】
再び
図3を参照すると、アンカー120およびピン122を含む半径方向継手116の拡大等角図が示されている。示された例では、アンカー120は、複数の分離セグメント150を含まない(分離セグメントは、
図6に最も明確に示されている)が、これは、分離セグメント150がフランジ144から切り離されているためである。分離セグメント150は、
図6~
図12に関連してさらに説明される。
【0038】
示された例では、ピン122は、中央部分152、と、複数のテーパ部153と、複数の遠位部分154とを有する。テーパ部分153は、中央部分124と関連する遠位部分154との間に位置付けられる。中央部分124は、遠位部分154よりも大きな直径を有し、遠位部分154は、丸い端および/または縁を有する。ピン122は、アンカー120の孔126の複数の直径部分156、158内に受け入れられるサイズにされる(
図5に、孔126の直径部分156、158が最も明確に示されている)。
【0039】
図3に示すアンカー120を参照すると、アンカー120の第2の部分148は、突起162を含み、脚128は、内側164および外側166を含む。内側164は、脚128の側140、142の間で比較的滑らかである。リブ132は、外側166から突出している。また、各脚128は、脚128から横方向外側に延在する舌部168を含む。アンカー120がリングセグメント102、104に埋め込まれると、舌部168は、リングセグメント102、104を形成する材料と相互作用して、アンカー120がリングセグメント102、104から意図せず取り外される可能性を低減する。また、示されるように、フランジ144は、アンカー120の3つの側面の周りに延在する。具体的には、フランジ144は、脚128の第1および第2の側140、142間に、かつ中央部分124の突出部162の周りに延在する。
図6~
図12に関連して説明するように、固定具146(
図8参照)によりフランジ144を使用して、アンカー120がリングセグメント102内に埋め込まれるプレキャストコンクリート打設プロセス中に、アンカー120を適所に保持することができる。
【0040】
図4は、凹部130を画定し、埋め込まれたアンカー120のうちの1つを含むリングセグメント102、104の1つの半径方向端面110の詳細な等角図を示す。図示の例では、アンカー120の孔126は、凹部130の中に開口しており、アンカー120の中央部分124の第1の部分143は、リングセグメント102によって受け入れられ、アンカー120の中央部分124の第2部分148は、半径方向端面110から延在している。そのように構成されているため、他のリングセグメント102、104によって担持されるピン122およびアンカー120は、結合プロセス中に凹部30内に位置付けられ、凹部30に沿って移動することが可能である。
【0041】
図5は、組み立て後の半径方向継手116の断面図であり、ピン122が、2つのアンカー120の孔126によって受け入れられていることを示している。ピン122の中央部分152は、アンカー120の孔126の第1の直径部分156内に位置付けられて示され、ピン122の遠位部分154は、アンカー120の孔126の第2の直径部分158内に受け入れられて示されている。孔126の第1の直径部分156は、アンカー120の中央部分124によって画定され、実質的に脚128の側140、142間に配置され、孔126の第2の直径部分158は、脚128の側142を越えて延在する中央部分124の突起162によって画定される。
【0042】
示されている例では、アンカー120の孔126を画定する内面170は、先細りしている。内面170は、ピン122によって係合され、ピン122の遠位部分154を第2の直径部分158内に導き得る。ピン122と内面170との間に形成される封止は、破損(例えば、腐食等)を引き起こすおそれのある継手および/またはアンカー120内の流体(例えば、水)の進入を阻止する。
【0043】
図6は、アンカー120のうちの1つの等角図を示している。
図3に示されるアンカー120とは対照的に、
図6のアンカー120は、分離セグメント150を含む。
図8~
図12に関連してさらに説明されるように、アンカー120を適所に保持するために、プレキャストコンクリート打設プロセス中に分離セグメント150が使用される。示される例では、分離セグメント150は、アンカー120の第1の側172およびアンカー120の第2の側174のフランジ144から横方向に延在するが、アンカー120の第3の側176には位置付けられないタブである。アンカー120の第1の側172および第2の側174の各々に、3つの分離セグメント150が含まれるが、代わりに異なる数の分離セグメント150が含まれてもよい。異なる数の分離セグメント150が含まれる場合、フランジ144の部分180の幅178が変化し得る。例えば、3つの代わりに2つの分離セグメント150が含まれる場合、幅178は減少し、それに応じてフランジ144のテーパ部分182の位置も変化し得る。
【0044】
図7は、
図6のアンカー120の詳細図を示している。図示の例では、分離セグメント150は、複数のノッチ184を含む。ノッチ184は、V字形であり、フランジ144のすぐ隣に位置付けられる。その結果、フランジ144から分離セグメント139が取り外されると(フランジ144から切り離される)、最小量の分離セグメント150(もしあれば)が、フランジ144に取り付けられたままになる。
【0045】
図8は、固定具146の第1の側186およびアンカー120のうちの1つの等角図である。図示の例では、固定具146は、ベース188と、ベース188に結合されたレバーアセンブリ190とを含む。ベース188は、アパーチャ192を画定する。アンカー120の中央部分124は、アパーチャ192内に位置付けられ、アパーチャ192を通って延在する。レバーアセンブリ190は、ハンドル194と、リンク196と、ガイド198と、ロッド200と、係合面202とを含む。ハンドル194は、ロッド200の遠位端204に旋回可能に結合され、リンク196にも旋回可能に結合される。リンク196は、ガイド198の部分206に旋回可能に結合されている。ロッド200は、ガイド198内に部分的に配置され、係合面202に結合される。
【0046】
レバーアセンブリ1910を作動させるには、ハンドル194を、概して矢印208で示される方向に動かし、ハンドル194をロッド200およびリンク196に対して旋回させ、ロッド200および係合面202を、概して矢印210で示される方向に動かす。示されるように、レバーアセンブリ190は開位置にあり、アンカー120は、アパーチャ192を画定するベース188の前縁/表面212から間隔を置いている。レバーアセンブリ190の開位置では、レバーアセンブリ190の係合面202は、アンカー120から離間している。
【0047】
図9は、固定具146の第2の側214の等角図である。ベース188は、半円筒部分216と、タブ220を有するホルダ218とを含む。半円筒部分216は、アンカー120の孔126に面しており、プレキャストコンクリート打設プロセス中に凹部130を形成するように適合されている。タブ220は、ベース188の表面222(
図10により明確に示されている)から間隔を置かれ、レバーアセンブリ190が閉位置にあるときに、分離セグメント150をタブ220の下にスライドさせることが可能である。タブ220とベース188との間に分離セグメント150を位置付けることにより、いったんアンカー120が固定具146内に固定されると、アンカー120が固定具146のアパーチャ192から、概して矢印224で表される方向に移動することを防止する。フランジ144は、アパーチャ192に隣接するベース188の表面222と係合して示されている。フランジ144とベース188との間の相互作用は、アンカー120が、矢印224によって示される方向とは略反対の方向に向かって、ベース188のアパーチャ192の中にさらに移動することを防止する。
【0048】
図10は、ホルダ218、タブ220、分離セグメント150の詳細な等角図である。複数のスロット226は、タブ220とベース188との間に形成されている。スロット226は、アンカー120が固定具146内に固定され、レバーアセンブリ190が閉位置にあるときに、タブ220とベース188の表面222との間で分離セグメント150を受け入れることを可能にする。
【0049】
図11は、固定具146の第1の側186およびアンカー120のうちの1つの等角図である。図示の例では、レバーアセンブリ190は閉位置にあり、ロッド200および係合面202は伸長位置にある。アンカー120の中央部分124は、レバーアセンブリ190の係合面202とベース188の前面212との間にクランプされ、アンカー120が、概して矢印228、230によって表される方向に移動することを防止する。
【0050】
図12は、レバーアセンブリ190が閉(作動)位置にある状態の固定具146の第2の側214の等角図である。閉位置では、アンカー120は、固定具146の半円筒部分216に対して押し付けられ、分離セグメント150は、ホルダ218のタブ220の下に位置付けられる。固定具146にアンカー120が固定された状態で、固定具146を打設型枠に結合することができ、コンクリートを打設型枠に注入してリングセグメント102を形成することができる。コンクリート打設プロセスの後、固定具146は、リングセグメント102から取り外され、分離セグメント150は、折り取られ(切り離され)、アンカー120を固定具146から結合解除し、アンカー120の孔126を、凹部130の中に向かって開くことが可能になる。
【0051】
本開示の継手は、ここまでは、トンネル建設用途で使用するためのリングセグメントの半径方向端面の結合に関連して使用される「半径方向」継手として説明されてきたが、他のバージョンでは、同じ継手を使用して、他のプレハブまたはプレキャスト建材を結合することができる。例えば、継手を使用して、壁や建物の基礎を保持するために垂直に配置されたプレキャストコンクリート壁セクションの、隣接して位置付けられた側面、または床もしくは道路建設のために水平に配置されたプレキャストコンクリート床板の側面を結合することができる。他の用途が可能である。
【0052】
さらに、いくつかの例が本明細書で開示されたが、任意の例のいかなる特徴も、他の例の他の特徴と組み合わせたり、置き換えたりすることができる。さらに、いくつかの例が本明細書で開示されたが、特許請求の範囲から逸脱することなく、開示された例に変更を加えることができる。