(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】改善された制御バルブコントローラを備える作業車両
(51)【国際特許分類】
B60K 35/10 20240101AFI20240425BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B60K35/10
B60R16/02 640K
(21)【出願番号】P 2020097568
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2022-06-22
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ブルニエ,ジャン-ルイス
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-214469(JP,A)
【文献】特開2005-264613(JP,A)
【文献】特開2004-270368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/10,35/22
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧機械に油圧流体を選択的に搬送するように構成された複数の制御バルブ(2)と、
前記制御バルブ(2)に接続された複数のユーザ操作コントローラ(3)と、
前記制御バルブ(2)に関連するグラフィックを表示する表示画面(4a)を備える端末(4)と、
を備える作業車両(1)であって、
前記コントローラ(3)は、ユーザが操作するものであり、当該操作によって前記制御バルブ(2)の動作を制御し、
前記作業車両(1)は、前記制御バルブ(2)と前記コントローラ(3)との間の前記接続を選択的に変更するように構成された設定ボタン(5)をさらに備えることを特徴とし、
前記設定ボタン(5)は、前記制御バルブ(2)と前記コントローラ(3)との間の前記接続を選択的に変更して、2つ以上の前記制御バルブ(2)を同一の前記コントローラ(3)に接続するように構成され、
前記接続の変更に基づいてグラフィックを変更する、
作業車両(1)。
【請求項2】
前記端末(4)は、前記コントローラ(3)と前記制御バルブ(2)との接続の複数の組み合わせを表示するように構成される、
請求項
1に記載の作業車両(1)。
【請求項3】
前記端末(4)は、記憶メモリを備え、所定の構成及び1つ以上のパーソナライズされた構成に関する情報を前記記憶メモリに保存するように構成され、
1つ以上の前記パーソナライズされた構成は、前記ユーザによって規定された構成であり、前記所定の構成に関して前記接続が変更されており、
前記端末(4)は、前記構成が前記所定の構成から前記パーソナライズされた構成に変更された場合に、前記構成が変更された後のパーソナライズされた構成を表示画面(4a)上に表示するように構成される、
請求項
2に記載の作業車両(1)。
【請求項4】
前記端末(4)は、ユーザが、保存された前記所定の構成又は前記パーソナライズされた構成のうちの1つを選択できるようにし、選択された前記所定の構成又は前記パーソナライズされた構成に従って、前記コントローラ(3)及び前記制御バルブ(2)を関連付けるように構成される、
請求項
3に記載の作業車両(1)。
【請求項5】
前記端末(4)は、現在選択されている前記構成に関する情報を表示するように構成される、
請求項
4に記載の作業車両(1)。
【請求項6】
前記設定ボタン(5)は、前記表示画面(4a)上のグラフィックである、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の作業車両(1)。
【請求項7】
前記設定ボタン(5)は、前記制御バルブ(2)と前記コントローラ(3)との間の前記接続の変更を防止するように構成されたロックボタンを含む、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の作業車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本開示は作業車両の分野に関し、より具体的には、作業車両の種々のバルブを制御するための端末に関する。
【0002】
〔背景技術〕
トラクターのような作業車両は、多くの付属バルブを備え、これらの付属バルブは通常、電気油圧バルブ又は機械的バルブである。これらのバルブは、トレーラーのような作業車両の種々の付属装置、又はそれらが連結される器具を制御するために使用される。
【0003】
これらの複数のバルブの制御は通常、端末を介して達成されるが、器具における最近の変化、異なるユーザが同一の作業車両を使用することができるという事実、及びそのような端末は通常、ボタン及びジョイスティック等の異なる種類の制御を与え、あるユーザは特定の種類の制御を使用して所与の器具又はバルブに指令したがるという事実のために、ユーザにとって多くの困難をもたらす。
【0004】
したがって、本開示は、作業車両のこれらの態様を改善することを目的とする。
【0005】
〔発明の開示〕
本開示は、
油圧装置に油圧流体を選択的に搬送するように構成された複数の制御バルブと、
前記制御バルブに接続された複数のユーザ操作コントローラであって、当該コントローラは、前記制御バルブに指令するためのユーザ操作コントローラである、複数のユーザ操作コントローラと、
前記バルブに関連するグラフィックを表示する表示画面を備える端末と、
を備える作業車両であって、
前記作業車両は、前記制御バルブと前記コントローラとの間の前記接続を選択的に変更するように構成された設定ボタンをさらに備えることを特徴し、前記接続の変更に基づいてグラフィックを変更する、
作業車両に関する。
【0006】
例示的な一実施形態では、前記設定ボタンは、2つの制御バルブと2つのコントローラとの間の前記接続を選択的に変更するように構成される。
【0007】
例示的な一実施形態では、前記設定ボタンは、選択された制御バルブの前記油圧流体の流れ方向を選択的に反転させるように構成される。
【0008】
例示的な一実施形態では、前記設定ボタンは、前記制御バルブと前記コントローラとの間の前記接続を選択的に変更して、2つ以上の前記制御バルブを同一の前記コントローラに接続するように構成される。
【0009】
例示的な一実施形態では、前記設定ボタンは、前記制御バルブと前記コントローラとの間の前記接続を選択的に変更して、2つ以上の前記コントローラを同一の前記制御バルブに接続するように構成される。
【0010】
例示的な一実施形態では、前記端末は、前記コントローラと前記制御バルブとの接続の複数の組み合わせを表示するように構成される。
【0011】
次いで、前記端末は、前記構成が所定の構成からパーソナライズされた構成に変更された場合に、視覚信号を表示するように構成され得る。
【0012】
例示的な一実施形態では、前記端末は、記憶メモリを備え、前記所定の構成及び1つ以上のパーソナライズされた構成に関する情報を前記記憶メモリに保存するように構成される。
【0013】
次いで、前記端末は、ユーザが保存された前記所定の構成又は前記パーソナライズされた構成のうちの1つを選択できるようにし、選択された前記所定の構成又は前記パーソナライズされた構成に従って、前記制御ボタン及び前記制御バルブを関連付けるように構成され得る。
【0014】
前記端末は、現在選択されている前記構成に関する情報を表示するように構成され得る。
【0015】
例示的な一実施形態では、前記設定ボタンは、前記表示画面上のグラフィックである。
【0016】
例示的な一実施形態では、前記設定ボタンは、前記制御バルブと前記コントローラとの間の前記接続の変更を防止するように構成されたロックボタンを含む。
【0017】
〔図面の簡単な説明〕
本発明の他の特徴、目的、及び利点は以下の説明で詳述されるが、これは単なる例示であり、限定的な方法で解釈されるべきではなく、同封した図面を考慮して読まれるべきである。
【0018】
図1は、本開示の一態様に係る作業車両の概略図である。
【0019】
【0020】
【0021】
図5及び
図6は、本開示の一態様に係る作業車両のためのコントローラの例を示す。
【0022】
種々の図面において、共通の要素は、同一の参照番号によって示される。
【0023】
〔詳細な説明〕
図1は、本開示の一態様に係る作業車両の概略図である。
【0024】
この図は、複数の制御バルブ2と、制御バルブ2に接続された複数のコントローラ3と、端末4と、設定ボタン5と、を備える作業車両1を表している。
【0025】
制御バルブ2は、例えば、油圧ポンプ、油圧エンジン、シリンダ、又はより一般的には油圧流体によって作動する装置等の油圧装置に油圧流体を選択的に搬送するように構成された油圧バルブである。制御バルブ2は、トレーラーのような作業車両1の種々の付属装置、又はそれらが連結される器具に供給することができる。
【0026】
図示した実施形態では、作業車両1は、6つの制御バルブ2a、2b、2c、2d、2e、及び2fと、6つのコントローラ3a、3b、3c、3d、3e、3fとを備える。本開示は特定の数の制御バルブ2及びコントローラ3を有する作業車両に限定されず、本開示は、複数の制御バルブ2及びコントローラ3、又は2より多い任意の数の制御バルブ2及びコントローラ3を有する作業車両に関することは明らかである。作業車両1は、典型的には少なくとも制御バルブ2と同数のコントローラ3を備え、例えば、制御バルブ2と同数のコントローラ3を備える。
【0027】
コントローラ3は、典型的には、制御ボタン、レバー、ジョイスティック、又はユーザが操作し制御バルブ2に指令することができる任意の種類のコントローラである。コントローラ3は、例えば、作業車両1のキャビン内のコンソール上に配置される。
【0028】
制御バルブ2は、例えば、一方向制御バルブ又は双方向制御バルブである。
【0029】
端末4は、ユーザに情報を表示するように適合した任意の機器の表示画面4aを備えることができる(
図2を参照)。
【0030】
設定ボタン5は、端末4とは別個のものであってもよいし、端末4に一体化されたものであってもよい。例えば、端末4がタッチ表示画面を備える場合、設定ボタン5は、タッチ表示画面上のグラフィックであってもよい。設定ボタン5は、例えば、作業車両1のコンソールに組み込むことができる。
【0031】
制御バルブ2とコントローラ3とは互いに接続されており、作業車両1のユーザはコントローラ3を操作することによって制御バルブ2の動作を制御することができる。例えば、ユーザは、ボタン等の関連するコントローラ3を押すことによって、又はジョイスティックを操作することによって、制御バルブ2の変位を制御することができる。
【0032】
従来の構成では、制御バルブ2の各々は、バルブコントローラ6を介してコントローラ3に関連付けられているので、ユーザは制御バルブ2の各々を独立して操作することができる。これは
図1に示す構成である。この構成では、
制御バルブ2aは、コントローラ3aに関連付けられ、
制御バルブ2bは、コントローラ3bに関連付けられ、
制御バルブ2cは、コントローラ3cに関連付けられ、
制御バルブ2dは、コントローラ3dに関連付けられ、
制御バルブ2eは、コントローラ3eに関連付けられ、
制御バルブ2fは、コントローラ3fに関連付けられている。
【0033】
バルブコントローラ6は、制御信号によってバルブ2の入出力間の関係を変えることができる電磁バルブコントローラであってもよい。例えば、バルブコントローラ6は、制御信号によって制御バルブ2a及びコントローラ3aから制御バルブ2a及びコントローラ3bへと接続を変更する。
【0034】
端末4は、制御バルブ2とコントローラ3との現在の関係を示すグラフィックを表示する。
【0035】
【0036】
端末4は、例えば、色、ラベル、又は任意の適合した視覚的表示を使用することによって区別することができる制御バルブ2の表示を画面4a上に表示し、また、画面4a上にここでは数字によって示される関連するコントローラ3を表示する。コントローラ3、文字、数字、ラベル、又は任意の種類の視覚的表示を示すために、任意の種類の表示を使用することができる。
図2に開示される実施形態では、制御バルブ2は、各制御バルブ2の表示の背景の異なるパターンによって識別され、これは例えば、色であってもよい。
【0037】
コントローラ3は、典型的には、連続して配置された文字又は数字等の一連の記号を用いて、識別される。図示した実施形態では、コントローラ3は、1から6まで順に大きくなるように配置された数字1から6によって、表されている。
【0038】
端末4により、ユーザはどの制御バルブ2にどのコントローラ3が割り当てられているかを容易に識別することができる。例えば、図示したような端末は、制御バルブ2とコントローラ3との6つの関連を表す。したがって、ユーザは、制御バルブ2aはコントローラ3aに関連し(図形番号1で示される)、制御バルブ2bはコントローラ3bに関連し(図形番号2で示される)、制御バルブ2cはコントローラ3cに関連し(図形番号3で示される)、制御バルブ2dはコントローラ3dに関連し(図形番号4で示される)、制御バルブ2eはコントローラ3eに関連し(図形番号5で示される)、制御バルブ2fはコントローラ3fに関連する(図形番号6で示される)、ということを直接見ることができる。
【0039】
端末4の設定ボタン5は、ユーザが制御バルブ2とコントローラ3との関連を選択的に変更することができるようにするように構成されている。図示した実施形態では、端末4は、バルブ2及びコントローラ3を設定するためのハードウェアボタン5a、5b、5c、5d、5e、及び5fを備え、またタッチ画面である画面上にグラフィックボタン5g、5h、及び5iを備える。図示した実施形態では、ボタン5a~5fはハードウェアボタンであるが、グラフィックボタンを設けることもでき、例えば、制御バルブ2及びコントローラ3を描写するために使用されるグラフィックは、グラフィックボタンを規定するためにタッチ画面と共に使用することができることを理解されたい。
【0040】
第1の実施例では、設定ボタン5は、ユーザが2つの制御バルブ2と2つのコントローラ3との間の接続を選択的に変更することができるように構成される。したがって、それらのそれぞれの関連は、切り替えるか、又は反転させることができる。
【0041】
ユーザが例えば、
図2を参照して前述した関連を考慮する場合、設定ボタン5は、例えば、青色制御バルブ及び緑色制御バルブと、それらのそれぞれのコントローラ3a及び3cとの間の接続を交換するために使用することができる。まず、ユーザは、画面4a上のボタン5gをタッチし、バルブ2の設定モードを取得する。そして、ユーザは、ボタン5a及び5cを押した後、画面4a上のボタン5hをタッチして、バルブ2の設定モードを閉じる。次に、表示画面4aは、フラッシュ、アニメーションのようないくつかの視覚信号を表示して、構成の変更が保存されたことをユーザに示すことができる。
【0042】
次に、端末4は、
図3に示すように、制御バルブ2とコントローラ3との間の接続の変化を示すように、表示されるグラフィックを変更する。
【0043】
この実施例では、端末4は制御バルブ2の順序を変更しないが、関連するコントローラ3の表示を変更する。
図3からは、コントローラ3の順序の視覚的表示が1-2-3-4-5-6から3-2-1-4-5-6に変化したことが分かり、これは、制御バルブ2aが現在コントローラ3cに関連付けられ、制御バルブ2cが現在コントローラ3aに関連付けられている、ということを意味している。
【0044】
このような一連の後続要素の視覚的変化は、ユーザにとって区別することが容易かつ便利であり、ユーザは、作業車両1の構成が標準又は初期の構成からカスタム又はパーソナライズされた構成に変化されたことを容易に識別することができる。
【0045】
代わりに、コントローラ3の順序は同じままであるが、制御バルブ2の順序は、例えば、端末4の表示画面4a上に表示される色(ここでは制御バルブ2の異なる背景によって表される)の順序を変更することによって、変更される。
【0046】
次いで、設定ボタン5を使用して、制御バルブ2とコントローラ3との関連を以前の構成に戻すか、又は2つの制御バルブ2と2つのコントローラ3との間の他の接続を反転させることによって制御バルブ2とコントローラ3との関連をさらに変更することができる。ユーザが他のユーザによる変更を許容したくない場合には、ユーザは、例えば、
図2の画面4a上のボタン5i(この実施例では、ボタン5iはロックボタンである)にタッチして、構成の変更を防止するバルブ2のロックモードを起動することができる。
【0047】
ユーザが制御バルブ2とコントローラ3との関連を反転させることを可能にすることで、ユーザは、ユーザに最適な指令の特定の構成を配置することができ、したがって、ユーザのための作業車両1の使用を改善することができる。また、これにより、ユーザは作業車両の器具を連結する際の誤りを正すことができるようになり、ユーザは器具の制御バルブ2への抜き差しをする代わりに、コントローラ3と制御バルブ2との間の関連を簡単に変更することができる。
【0048】
図4に関してここで説明する第2の実施例では、設定ボタン5は、ユーザが選択されたバルブの流体の流れ方向を選択的に反転させることを可能にするように構成される。流体は、油圧流体又は気圧流体であってもよい。
【0049】
この実施形態では、前述のボタン5a~5fは、タッチ画面4a上に規定されたグラフィックボタンである。
【0050】
制御バルブ2の各々は、バルブコントローラ6を含む回路内の流体の循環を制御するように構成される。
【0051】
この実施例では、作業車両1は、2つの異なる流れ方向、すなわち通常の流れ方向及び反転した流れ方向を有し、これらは双方向制御バルブ2によって制御される。流れ方向は、すべての制御バルブ2に対して通常の流れ方向に初期設定される。ユーザが選択されたバルブの流体の流れ方向を反転させたい場合、ユーザは、
図4に示す表示画面4a上のボタン5gにタッチして、構成モードを開始する。次に、ユーザは、表示画面4a上のボタン5d及び表示画面4a上のボタン5fにタッチして、構成が変更されるべきバルブを選択する。最後に、ユーザは、表示画面4a上のボタン5hをタッチして、構成モードを終了する。次いで、
図4に示すように、表示画面4a上のバルブ2d及び2fの表示を反転した方向に変更し、これら2つのバルブの構成が変更されたこと、より具体的には、コントローラ3eに関連するバルブ2dの流れ方向及びコントローラ3fに関連するバルブ2fの流れ方向が反転したことを、ユーザに視覚的に示す。
【0052】
一実施例として、コントローラ3は3つの位置のコントローラであり、コントローラ3aはレバーであり、コントローラ3eはスイッチである。
図5a~5cは、初期構成を示し:
中央又は中立の位置では、コントローラ3は、流体の流れを0に設定し(
図5a);
上昇位置では、コントローラ3は、流体の流れを通常の流れのFmaxに設定し(
図5b);
下降位置では、コントローラ3は、流体の流れを反転した流れの-Fmaxに設定し(
図5c)、これは通常の流れを有する流れと比較した場合、同じ流量値を有するが逆方向にある流体の流れに対応する。
【0053】
前述したように、ユーザは、設定ボタン5を操作して、この構成を反転させることができるため:
中央又は中立の位置では、コントローラは、流体の流れを0に設定し(
図5a);
上昇位置では、流体の流れを反転した流れの-Fmaxに設定し(
図5b)、
下降位置では、流体の流れを通常の流れのFmaxに設定する(
図5c)。
【0054】
具体的には、
図4に表されるようなバルブの関連を考慮する場合、いったん構成が反転されると、コントローラ3aによって制御されるバルブ2aは通常の流れ方向であり、コントローラ3eによって制御されるバルブ2dは反転した流れ方向である。
【0055】
コントローラ3は、5つの位置のコントローラであってもよい。コントローラは、前述した3つの位置と、上昇位置の後及び下降位置の後にそれぞれある2つのブロックされた位置も示し、次いで、コントローラ3は、上昇位置又は下降位置でブロック(又は安定)される。
【0056】
より具体的には、コントローラ3は以下を示すことができる:
中央又は中立の位置では、コントローラ3は安定しており、流体の流れを0に設定する(
図5a)。
【0057】
上昇位置では、コントローラ3は流体の流れを通常の流れのFmaxに設定し(
図5b)、ここでは前記コントローラ3は位置がブロックされていない(すなわち、これは安定な位置ではなく、次いで、コントローラ3は、中央又は中立の位置に戻る傾向がある)。
【0058】
ブロックされた上昇位置では、コントローラ3は流体の流れを通常の流れのFmaxに設定する(
図5b)。この位置は、例えば、上昇位置にあるときにコントローラ3を、停止を超えて、又は閾値を超えて押して、コントローラ3が位置を維持する安定した位置に到達することによって、達成される。
【0059】
下降位置では、コントローラ3は流体の流れを反転した流れの-Fmaxに設定し(
図5c)、これは通常の流れを有する流れと比較した場合、同じ流量値であるが逆方向にある流体の流れに対応する。
【0060】
ブロック下降位置では、コントローラ3は流体の流れを反転した流れの-Fmaxに設定する(
図5c)。この位置は、例えば、下降位置にあるときにコントローラ3を停止を越えて、又は閾値を越えて押して、コントローラ3が位置を維持する安定した位置に到達することによって、達成される。
【0061】
次いで、設定ボタン5を操作して、前述した3つの位置のコントローラと同様に、この構成を反転させることができる。
【0062】
別の実施例として、コントローラ3は2つの位置のコントローラであり、コントローラ3aはレバーであり、コントローラ3eはスイッチである。
図6a~6bは、初期構成の初期構成を示す:
下降位置では、コントローラ3は流体の流れを0に設定し(
図6a)、
上昇位置では、コントローラ3は流体の流れを通常の流れのFmaxに設定する(
図6b)。
【0063】
前の実施例のように、ユーザは、設定ボタン5を操作して、この構成を反転させることができるため:
下降位置では、コントローラは流体の流れを0に設定し(
図6a)、
上昇位置では、流体の流れを反転した流れの-Fmaxに設定する(
図6b)。
【0064】
具体的には、
図4に表されるようなバルブの関連を考慮する場合、いったん構成が反転されると、
図6bにおいて、コントローラ3a及び3eは上昇位置にあり、バルブ2aの流れ方向は通常の流れ方向であり、バルブ2dの流れ方向は反転された流れ方向である。
【0065】
このような流体の方向の反転は、例えば、作業車両1の制御バルブ2に器具を連結する際にユーザが間違いを犯したときに、作業車両から降りることなく、また器具を抜き差しすることなく(ケーブルを再連結する必要なく)、ユーザがこの間違いを正すことができるようになるという点で有用である。
【0066】
本実施例はレバー及びスイッチに関連して説明したが、この機能がボタン、アクチュエータ、ジョイスティック、又はタッチ画面制御等の異なる種類のコントローラ3にも適用されることが明らかであることは理解されるべきである。
【0067】
制御バルブ2のグラフィック表示を反転させること、及び/又は適切なバルブのための画面上の+及び-記号を反転させること等、任意の種類の視覚的表示を使用して、流体の流れの方向が反転したという明確な視覚的表示をユーザに提供することができる。
【0068】
図4に示す端末4による表示例では、制御バルブ2d及び制御バルブ2eとそれらのそれぞれのコントローラとの間の関連も、先に詳述したように変更されている。これは、理解できるように、設定ボタン5の異なる説明された機能を同一の作業車両1に組み合わせることができることを示すためである。
【0069】
第3の実施例では、設定ボタン5は、制御バルブ2とコントローラ3との間の接続を変更して、複数の制御バルブ2を単一のコントローラ3に割り当てるように構成される。
【0070】
ユーザが例えば、
図2を参照して既に説明したような制御バルブ2及びコントローラ3の初期構成を考慮する場合、ユーザは設定ボタン5を操作し、例えば、2~6個の制御バルブ2を同一のコントローラ3に割り当てることができる。
【0071】
図7は、第3の実施例のように設定ボタンを操作した後の端末4による表示例を示す。
【0072】
この実施例では、
図2を参照して既に説明したような初期構成から始めて、設定ボタンを操作して、4つの制御バルブ(この場合は制御バルブ2a、2b、2c、及び2d)を単一のコントローラ(この場合は端末4の表示画面4a上にコントローラ番号1として表されるコントローラ3a)に割り当てている。
【0073】
この変更された構成では、コントローラ3aは、制御バルブ2a、2b、2c、及び2dに同時に指令する。コントローラ3eは制御バルブ2eに指令し、コントローラ3fは制御バルブ2fに指令する。コントローラ3b、3c、及び3dは、制御バルブ2のいずれにも指令しない。
【0074】
設定ボタン5のこの機能の実施例は、例えば、複数の制御バルブ2を同時に操作しなければならない場合に有利である。それによって、ユーザが単一のコントローラ3で同時にそれらを制御することができるようにすることは、同時に複数のコントローラ3を手動で操作する必要があり、制御バルブに関連する機器を損傷するか、又は行われる操作の質を低下させるかのいずれかの危険性につながるような操作を、著しく簡略化する。
【0075】
前述の実施例に関して、
図7に示される実施例は本開示の範囲を限定しないことを理解されたい。設定ボタン5のこの操作は、例えば、各々が1つ以上の制御バルブ2を備え、各々が異なるコントローラ3に割り当てられている異なるグループを規定するために、複数回達成されてもよい。
【0076】
また、設定ボタン5のこの機能は、前述した設定ボタン5の他の機能と組み合わせることができる。
【0077】
第4の実施例では、設定ボタン5は、制御バルブ2とコントローラ3との間の接続を変更して、複数のコントローラを単一の制御バルブ2に割り当てるように構成される。
【0078】
ユーザが例えば、
図2を参照して既に説明したような制御バルブ2及びコントローラ3の初期構成を考慮する場合、ユーザは設定ボタン5を操作し、例えば、2~6個のコントローラ3を同一の制御バルブ2に割り当てることができる。
【0079】
図8は、第3の実施例のように設定ボタンを操作した後の端末4による表示例を示す。
【0080】
この実施例では、
図2を参照して既に説明したような初期構成から始めて、設定ボタンを操作して、2つのコントローラ(この場合はコントローラ3b及び3c)を1つの制御バルブ2(この場合は制御バルブ2b)に割り当てている。
図8において、コントローラ3b及び3cに関連する背景は同じである。背景は、例えば、端末4の表示画面4a上に表示される色を表し、例えば、赤色制御バルブがコントローラ3b及び3cに関連付けられていることをユーザに示すことができる。
【0081】
この変更された構成では、コントローラ3b及び3cの両方が制御バルブ2bを制御する。したがって、ユーザは、コントローラ3b及び3cのいずれかを使用して制御バルブ2bを制御することができる。この実施例では、制御バルブ2cは、コントローラ3のいずれにも関連付けられておらず、操作することができないことが分かる。
【0082】
設定ボタン5のこの機能の実施例は、例えば、ユーザによって操作されるべき制御バルブ2の数を制限するために、又は限られた数の制御バルブ2が操作されるべき場合に作業車両の操作を単純化するために有利である。
【0083】
前述の実施例に関して、
図7に示される実施例は、本開示の範囲を限定しないことを理解されたい。設定ボタン5のこの操作は、例えば、各々が1つ以上のコントローラ3を備え、各々が異なる制御バルブ2に割り当てられている異なるグループを規定するために、複数回達成されてもよい。
【0084】
また、設定ボタン5のこの機能は、前述した設定ボタン5の他の機能と組み合わせることができる。
【0085】
したがって、前述した設定ボタン5の種々の機能により、ユーザは、例えば、作業車両1に関連付けられた器具に応じて、オペレータの個人的な好み又は作業車両1の特定の構成のいずれかに適した構成を規定するように、作業車両1内の制御バルブ2及びコントローラ3の関連をパーソナライズすることができる。
【0086】
前述したような設定ボタン5の異なる実施例及び機能において、端末4は、表示画面4a上のグラフィックを変更するように構成され、制御バルブ2とコントローラ3との間の接続になされた現在の状態(変更された状態)を示す。これにより、ユーザは作業車両の現在の構成を確認することができ、複数のユーザが同一の作業車両1を使用している場合にも、作業車両1の以前のユーザが行った構成の変化を直ちに識別することができるという点で有用である。
【0087】
設定ボタン5はまた、例えば
図9に示されるように、作業車両1のユーザが制御バルブ2とコントローラ3との関連のパーソナライズされた構成又は事前設定された構成を規定し、保存できるようにするように構成されてもよい。
【0088】
作業車両1は、不揮発性メモリのようなデータを保存するための手段を備え、作業車両1のユーザによって規定されたパーソナライズされた構成に関する情報を保存することができる。不揮発性メモリは、端末4の要素又は別個の要素とすることができる。
【0089】
そして、ユーザは、設定ボタン5を操作して、例えば、以下の操作を行うことができる。まず、ユーザは、画面4a上のボタン5gをダブルクリックして構成モードを開始し、端末4が現在、構成選択モードにあることをユーザに示すモード選択ボタン5pを画面4a上に取得する。次に、ユーザは、ボタン5q、5r、又は5sのうちの1つを選択し、押して、バルブ2及びそれらに関連するコントローラ3の構成選択を選択する。そして、ユーザは、画面4a上のボタン5hをタッチし、設定選択を終了する。例えば、ユーザがボタン5r(モードB)を押すと、バルブ2は3-2-1-4-5-6に設定される。
【0090】
また、ユーザは、制御バルブ2とコントローラ3との関連の現在の構成を保存することができる。ユーザは、例えば、現在の表示A-B-Cの代わりに、このパーソナライズされた構成にラベル又は名前を規定することができ、これにより、制御バルブ2とコントローラ3との間のすべての関連を手動で規定する必要なしに、作業車両1の後の使用時にそれをロードすることができる。
【0091】
ユーザは、保存された構成を選択し、それをロードすることができるため、制御バルブ2とコントローラ3との間の接続は、この保存された構成によって規定されるように配置される。端末4は、例えば、作業車両1のメモリ内に保存された異なる構成を表示するため、ユーザは、これらの保存された構成のうちの1つを選択することができる。
【0092】
ユーザは、作業車両1の制御バルブ2とコントローラ3との間の接続の初期構成(事前設定)、例えば、作業車両1の制御バルブ2とコントローラ3との間の接続の工場(又は標準)構成を復元することができる。
【0093】
端末4は、制御バルブ2とコントローラ3との間の接続の現在の構成が、例えば、保存された構成に対応するときに、対応する保存された構成のラベル又は名前を表示することによって、視覚的表示を表示するように構成されてもよい。したがって、作業車両のユーザは、作業車両の現在の構成が所望の構成であるか否かを容易に確認することができる。例えば、作業車両の現在の構成がユーザによって「ユーザX」とラベル付けされ保存された構成に対応する場合、端末4は、その画面上に「ユーザX」を表示することができる。
【0094】
設定ボタン5の種々の操作において、ユーザは設定ボタン5を介して指令を入力し、この指令は次に、ユーザによって要求された制御バルブ2とコントローラ3との間の接続の変更を管理する車両制御ユニット(一般に、頭字語「VCU」で表される)等のユニットによって、処理される。次いで、端末は、表示されたグラフィックを更新して作業車両の現在の構成を表示し、これにより、接続に関して行われた変更に関する表示をユーザに提供する。
【0095】
したがって、前述したような作業車両1は、ユーザが制御バルブ2とコントローラ3との間の接続をパーソナライズできるようにすることによって、改善されたユーザ体験を提供する。このような特徴は、作業車両1には利用可能ではなかったが、これはユーザに有意な改善を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【
図1】
図1は、本開示の一態様に係る作業車両の概略図である。
【
図2】
図2は、作業車両の端末による表示例を示す図である。
【
図3】
図3は、作業車両の端末による表示の変更例を示す図である。
【
図4】
図4は、作業車両の端末による表示の変更例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の一態様に係る作業車両のためのコントローラの例を示す。
【
図5B】
図5Bは、本開示の一態様に係る作業車両のためのコントローラの例を示す。
【
図5C】
図5Cは、本開示の一態様に係る作業車両のためのコントローラの例を示す。
【
図6A】
図6Aは、本開示の一態様に係る作業車両のためのコントローラの例を示す。
【
図6B】
図6Bは、本開示の一態様に係る作業車両のためのコントローラの例を示す。
【
図7】
図7は、作業車両の端末による表示の変更例を示す図である。
【
図8】
図8は、作業車両の端末による表示の変更例を示す図である。
【
図9】
図9は、作業車両の端末による表示の変更例を示す図である。