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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】衝突回避システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/04 20060101AFI20240425BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240425BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240425BHJP
   B64F 1/36 20240101ALI20240425BHJP
【FI】
G08G5/04 A
B64C27/08
B64C39/02
B64F1/36
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020103040
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021196880
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 征治
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-031164(JP,A)
【文献】国際公開第2019/071293(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/039245(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00- 1/70
B64C 1/00-99/00
B64D 1/00-47/08
B64F 1/00- 5/60
B64G 1/00-99/00
B64U 10/00-80/86
G08B 19/00-31/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通インフラ設備が設置された建物にドローンが衝突することを回避するための衝突回避システムであって、
前記衝突回避システムは、
前記交通インフラ設備又は前記建物の周辺環境を示す周辺環境情報を取得し、
前記周辺環境情報に基づいて、前記建物に接近するドローンを検出し、
前記ドローンから前記ドローンを識別するための機体識別情報を受信し、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるかどうかを予測し、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるとの予測に応じて、前記機体識別情報と前記建物への衝突の回避をリクエストする衝突回避リクエスト信号を前記ドローンに通信可能に接続された外部サーバに送信する、
衝突回避システム。
【請求項2】
前記外部サーバは、前記衝突回避リクエスト信号及び前記機体識別情報を受信した上で、前記機体識別情報に基づいて、前記建物への衝突の危険を知らせる警告信号を前記ドローンに送信する、請求項1に記載の衝突回避システム。
【請求項3】
前記外部サーバは、前記衝突回避リクエスト信号の受信に応じて、前記ドローンの遠隔操作をリクエストする遠隔操作リクエスト信号を前記ドローンに送信する、
請求項1に記載の衝突回避システム。
【請求項4】
前記衝突回避システムは、
前記警告信号を前記外部サーバから受信した上で、前記警告信号を前記ドローンに向けて送信する、請求項2に記載の衝突回避システム。
【請求項5】
前記交通インフラ設備は、前記建物の屋上に設置された航空障害灯である、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の衝突回避システム。
【請求項6】
前記衝突回避システムは、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるとの予測に応じて、前記航空障害灯の照明態様を変更する、請求項5に記載の衝突回避システム。
【請求項7】
前記衝突回避システムは、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるとの予測に応じて、前記ドローンの周辺に向けてサーチライトを照射する、
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の衝突回避システム。
【請求項8】
前記衝突回避システムは、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるとの予測に応じて、前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があることを予告する衝突予告情報を前記建物内に設置されたコンピュータに送信する、
請求項1から7のうちいずれか一項に記載の衝突回避システム。
【請求項9】
交通インフラ設備が設置された建物にドローンが衝突することを回避するための衝突回避システムであって、
前記衝突回避システムは、
前記交通インフラ設備又は前記建物の周辺環境を示す周辺環境情報を取得し、
前記周辺環境情報に基づいて、前記建物に接近するドローンを検出し、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるかどうかを予測し、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるとの予測に応じて、前記建物への衝突の危険を知らせる警告信号を前記ドローンに向けて送信し、
前記警告信号は、前記建物の位置情報を含み、
前記ドローンは前記位置情報に基づいて、前記建物への衝突が回避可能な飛行ルートを決定する、
衝突回避システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衝突回避システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、荷物の配送に無人飛行体であるドローンを活用する動きが世界各国で活発化しつつある。例えば、特許文献1では、ドローンを用いた荷物配送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2019/181895号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、将来的に荷物の配送用にドローンが活用される場合、ドローンは、地上から150mの上空を自律走行モードで飛行しているため、ドローンが障害物に衝突する危険性は一見低いように見える。一方で、ドローンが悪天候や夜間において高層ビルが林立する大都市の上空を飛行する場合には、ドローンに設けられたカメラ等のセンサによって、高層ビルを高い精度で検出できないような事態が想定される。かかる状況においては、ドローンが高層ビルに衝突する結果、ドローンと荷物が地上に落下する危険性があり、高層ビル周辺に存在する地上の歩行者等に甚大な被害をもたらす虞がある。このように、ドローンが高層ビル等の建物に衝突する状況を未然に防止するための衝突回避システムについて検討の余地がある。
【0005】
本開示は、空中を飛行するドローンが建物に衝突する状況を未然に防止可能な衝突回避システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る衝突回避システムは、交通インフラ設備が設置された建物にドローンが衝突することを回避するように構成されている。
前記衝突回避システムは、
前記交通インフラ設備の周辺環境を示す周辺環境情報を取得し、
前記周辺環境情報に基づいて、前記建物に接近するドローンを検出し、
前記ドローンから前記ドローンを識別するための機体識別情報を受信し、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるかどうかを予測し、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるとの予測に応じて、前記機体識別情報と前記建物への衝突の回避をリクエストする衝突回避リクエスト信号を前記ドローンに通信可能に接続された外部サーバに送信する。
【0007】
上記構成によれば、ドローンが建物に衝突する可能性があるとの予測に応じて衝突回避リクエスト信号が外部サーバに送信される。このように、ドローンに通信可能に接続された外部サーバに衝突回避リクエスト信号が送信されるので、ドローンが建物に衝突する状況を未然に防止可能な衝突回避システムを提供することができる。
【0008】
また、前記外部サーバは、前記衝突回避リクエスト信号及び前記機体識別情報を受信した上で、前記機体識別情報に基づいて、前記建物への衝突の危険を知らせる警告信号を前記ドローンに送信してもよい。
【0009】
上記構成によれば、建物への衝突の危険を知らせる警告信号がドローンに送信されるため、ドローンが建物に衝突する状況を未然に防止することができる。
【0010】
また、前記外部サーバは、前記衝突回避リクエスト信号の受信に応じて、前記ドローンの遠隔操作をリクエストする遠隔操作リクエスト信号を前記ドローンに送信してもよい。
【0011】
上記構成によれば、ドローンの遠隔操作をリクエストする遠隔操作リクエスト信号がドローンに送信される。その後、ドローンの走行が外部サーバからの遠隔操作信号に応じて制御されるため、ドローンが建物に衝突する状況を未然に防止することができる。
【0012】
また、前記衝突回避システムは、前記警告信号を前記外部サーバから受信した上で、前記警告信号を前記ドローンに向けて送信してもよい。
【0013】
上記構成によれば、警告信号が外部サーバから衝突回避システムを介してドローンに向けて送信される。このように、外部サーバがドローンと通信可能に接続されていない場合であっても、外部サーバからの警告信号をドローンに送信することができる。
【0014】
また、前記交通インフラ設備は、前記建物の屋上に設置された航空障害灯であってもよい。
【0015】
上記によれば衝突回避システムを活用することで、航空障害灯が設置された建物にドローンが衝突する状況を未然に防止することができる。
【0016】
また、前記衝突回避システムは、前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるとの予測に応じて、前記航空障害灯の照明態様を変更してもよい。
【0017】
上記構成によれば、空中を飛行するドローンは、照明態様が変更された航空障害灯を検知することで、自身が建物に衝突する可能性があることを認知することができる。
【0018】
また、前記衝突回避システムは、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるとの予測に応じて、前記ドローンの周辺に向けてサーチライトを照射してもよい。
【0019】
上記構成によれば、ドローンの周辺に向けてサーチライトが照射されるので、ドローンの周辺環境に対する視認性が向上する。このように、ドローンが建物に衝突する状況を未然に防止することができる。
【0020】
また、前記衝突回避システムは、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるとの予測に応じて、前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があることを予告する衝突予告情報を前記建物内に設置されたコンピュータに送信してもよい。
【0021】
上記構成によれば、ドローンが建物に衝突する可能性があることを予告する衝突予告情報が建物内のコンピュータに送信されるため、建物内に存在する人々は、当該コンピュータを通じてドローンが建物に衝突する可能性があることを把握することができる。
【0022】
本開示の他の態様に係る衝突回避システムは、交通インフラ設備が設置された建物にドローンが衝突することを回避するように構成されている。
前記衝突回避システムは、
前記交通インフラ設備の周辺環境を示す周辺環境情報を取得し、
前記周辺環境情報に基づいて、前記建物に接近するドローンを検出し、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるかどうかを予測し、
前記ドローンが前記建物に衝突する可能性があるとの予測に応じて、前記建物への衝突の危険を知らせる警告信号を前記ドローンに向けて送信する。
【0023】
上記構成によれば、ドローンが建物に衝突する可能性があるとの予測に応じて、建物への衝突の危険を知らせる警告信号がドローンに向けて送信される。このように、ドローンが建物に衝突する状況を未然に防止することができる衝突回避システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、空中を飛行するドローンが建物に衝突する状況を未然に防止可能な衝突回避システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】衝突回避システムと、ドローンと、外部サーバとからなるシステムの全体図である。
図2】衝突回避システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3】ドローンの構成の一例を示すブロック図である。
図4】衝突回避システムによって実行される一連の処理の一例を示すシーケンス図である。
図5】衝突回避システムによって実行される一連の処理の他の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の実施形態(以下、単に「本実施形態」という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0027】
最初に、図1から図3を参照して本実施形態に係る衝突回避システム1と、ドローン2と、外部サーバ5について以下に説明する。図1は、衝突回避システム1と、ドローン2と、外部サーバ5とからなるシステムの全体図である。図2は、衝突回避システム1の構成の一例を示すブロック図である。図3は、ドローン2の構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
図1に示すように、衝突回避システム1は、一以上の航空障害灯3(交通インフラ設備の一例)が設置されたビル6(建物の一例)に設けられており、ビル6にドローン2が衝突することを回避するためのシステムである。衝突回避システム1は、その一部又は全部が航空障害灯3内に搭載されてもよいし、航空障害灯3とは離れた位置に設けられてもよい。また、衝突回避システム1は、航空障害灯3に接続されてもよい。航空障害灯3は、夜間に飛行する飛行機等の飛行物体に対してビル6の存在を提示するための照明ユニットであって、ビル6の屋上に設置されている。航空障害灯3の照明色は、例えば、赤色又は白色である。
【0029】
図2に示すように、衝突回避システム1は、制御部12と、カメラ13と、LiDAR(Light Detection and Ranging)ユニット14と、ミリ波レーダ15とを備える。また、衝突回避システム1は、無線通信モジュール16と、照明ユニット17と、有線通信インターフェース18とをさらに備える。
【0030】
制御部12は、衝突回避システム1に設けられた各構成要素を制御するように構成されている。また、制御部12は、航空障害灯3の照明態様(点滅速度、照明色、照明強度等)を制御するように構成されている。制御部12は、例えば、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステムと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、フラッシュメモリを含んでもよい。ROMには、航空障害灯3又はビル6の周辺環境を特定するための周辺環境特定プログラムが記憶されてもよい。例えば、周辺環境特定プログラムは、ディープラーニング等のニューラルネットワークを用いた機械学習によって構築されたプログラム(学習済みモデル)である。
【0031】
カメラ13は、航空障害灯3又はビル6の周辺環境を示す画像データ(周辺環境情報の一例)を取得するように構成されている。カメラ13は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等により構成されている。LiDARユニット14は、外部に向けて赤外線レーザ光を走査することで、航空障害灯3又はビル6の周辺環境を示す三次元点群データ(周辺環境情報の一例)を取得するように構成されている。LiDARユニット14は、例えば、赤外線レーザ光を出射するように構成された光源部と、赤外線レーザ光を水平方向及び垂直方向に走査させるように構成された光偏向器と、レンズ等の光学系と、対象物によって反射された赤外線レーザ光を受光するように構成された受光部とを備えてもよい。ミリ波レーダ15は、外部に向けてミリ波を出射することで、航空障害灯3又はビル6の周辺環境を示すレーダデータ(周辺環境情報の一例)を取得するように構成されている。ミリ波レーダ15は、例えば、ミリ波を外部に向けて出射するように構成された送信アンテナと、対象物によって反射されたミリ波を受信するように構成された受信アンテナと、高周波回路と、信号処理回路とを備えてもよい。カメラ13、LiDARユニット14及びミリ波レーダ15は、衝突回避システム1に設けられた周辺環境情報を取得するセンサの一例である。
【0032】
無線通信モジュール16は、無線によりドローン2に通信可能に接続されてもよい。無線通信モジュール16は、高周波回路と、送受信アンテナと、信号処理回路とを備えている。無線通信モジュール16は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又はLPWA等の無線通信規格に基づいて、衝突回避システム1と外部機器とを通信可能に接続してもよい。照明ユニット17は、外部に向けてサーチライトを出射するように構成されている。照明ユニット17は、サーチライトを出射する光源部と、当該光源部の駆動を制御する駆動制御回路とを備える。有線通信インターフェース18は、LANケーブル等の通信ケーブルが挿入される端子を有する。衝突回避システム1は、有線通信インターフェース18を介してビル6内に設置されたコンピュータに通信可能に接続されてもよい。さらに、衝突回避システム1は、有線通信インターフェース18及びIP(Internet Protocol)ネットワーク8を介して外部サーバ5に通信可能に接続されてもよい。
【0033】
無人飛行体であるドローン2は、遠隔操作モード又は自律走行モード(自動運転モード)で空中を飛行するように構成されている。ドローン2は、例えば、荷物配送サービスに活用されてもよい。ドローン2は、空中を飛行しながら外部に向けてドローン2を識別するための機体識別情報をブロードキャストするように構成されてもよい。また、ドローン2は、無線により無線基地局7に接続されてもよい。この点において、ドローン2は、データ通信用のSIMカードを備えていると共に、第4世代又は第5世代移動通信システムを通じて無線基地局7に通信可能に接続されてもよい。ドローン2は、無線基地局7及びIPネットワーク8を介して外部サーバ5に接続されてもよい。
【0034】
図3に示すように、ドローン2は、制御部20と、無線通信モジュール21と、カメラ22と、GPS(Global Positioning System)23と、記憶装置24とを備える。ドローン2は、センサ25と、バッテリー26と、モータ27と、モータドライバ28とをさらに備える。
【0035】
制御部20は、ドローン2に設けられた各構成要素を制御するように構成されている。制御部20は、例えば、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステムと、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPUのうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROMと、RAMを含む。
【0036】
無線通信モジュール21は、高周波回路と、送受信アンテナと、信号処理回路とを有している。無線通信モジュール21は、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBee又はLPWA等の無線通信規格に基づいて、ドローン2と外部機器とを通信可能に接続してもよい。また、無線通信モジュール21は、第4世代又は第5世代移動通信システムを通じて、ドローン2と無線基地局7とを通信可能に接続してもよい。
【0037】
カメラ22は、ドローン2の周辺環境を示す画像データを取得するように構成されている。カメラ22は、例えば、CCDやCMOSにより構成されている。GPS23は、ドローン2の現在位置座標を示す現在位置情報を取得するように構成されている。記憶装置24は、ハードディスクドライブ(HDD)やSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置である。記憶装置24には、画像データ等の各種データが保存されてもよい。
【0038】
センサ25は、加速度センサ、速度センサ及びジャイロセンサのうち少なくとも一つを有してもよい。例えば、センサ25は、ドローン2の飛行速度や飛行姿勢を検出するように構成されている。バッテリー26は、ドローン2の各構成部品に電力を供給するように構成されている。モータ27は、ドローン2の駆動源として機能しており、ドローン2の飛行機構である複数のプロペラ29(図1参照)を回転させるように構成されている。モータドライバ28は、制御部20から送信された飛行制御信号に基づいて、モータ27の駆動を制御するように構成されている。
【0039】
また、図1に戻ると、外部サーバ5は、インターネット等のIPネットワーク8を介してドローン2に通信可能に接続されている。外部サーバ5は、ドローン2の運行を管理する組織に属するサーバであってもよい。例えば、ドローン2が遠隔から操作される場合には、外部サーバ5はIPネットワーク8を介してドローン2から画像データを受信する。その後、外部サーバ5に接続された表示装置のスクリーン上に画像データが表示される。また、外部サーバ5は、IPネットワーク8を介してオペレータの入力操作に対応する遠隔操作信号をドローン2に送信する。その後、ドローン2は、受信した遠隔操作信号に基づいて飛行する。
【0040】
次に、図4を参照して、本実施形態に係る衝突回避システム1によって実行される一連の処理の一例について以下に説明する。図4は、衝突回避システム1によって実行される一連の処理の一例を示すシーケンス図である。
【0041】
図4に示すように、ステップS1において、衝突回避システム1の制御部12(図3参照)は、航空障害灯3又はビル6の周辺環境を示す周辺環境情報をカメラ13、LiDARユニット14及び/又はミリ波レーダ15から取得する。ここで、周辺環境情報は、画像データ、三次元点群データ及び/又はレーダデータである。次に、ステップS2において、制御部12は、取得した周辺環境情報及びメモリに保存された周辺環境特定プログラムに基づいて、ビル6に接近するドローン2を検出する。
【0042】
次に、ステップS3において、制御部12は、無線通信モジュール16を介して、ドローン2からブロードキャストされたドローン2を識別するための機体識別情報を受信する。その後、制御部12は、ドローン2の存在を示す周辺環境情報に基づいて、ドローン2がビル6に衝突する可能性があるかどうかを予測する(ステップS4)。制御部12は、ドローン2がビル6に衝突する可能性があると予測した場合に、機体識別情報及びビル6への衝突の回避をリクエストする衝突回避リクエスト信号をIPネットワーク8を介して外部サーバ5に送信する(ステップS5)。その一方、制御部12は、ドローン2がビル6に衝突する可能性がないと予測した場合には、ステップS5以降の処理を実行しない。
【0043】
ここで、外部サーバ5のネットワークアドレス(例えば、IPアドレス)に関する情報が機体識別情報に含まれてもよい。この場合、制御部12は、機体識別情報から外部サーバ5のネットワークアドレスを特定することができる。また、衝突回避リクエスト信号には、ビル6の位置情報が含まれていてもよい。
【0044】
次に、外部サーバ5は、衝突回避システム1から機体識別情報と衝突回避リクエスト信号を受信する。その後、外部サーバ5は、機体識別情報からドローン2を特定した上で、ドローン2の識別情報とネットワークアドレスが互いに関連付けられたドローン管理テーブルを参照することで、ドローン2のネットワークアドレスを特定する。その後、外部サーバ5は、IPネットワーク8を介して、ビル6への衝突の危険を知らせる警告信号をドローン2に送信する(ステップS6)。尚、機体識別情報には、ドローン2のネットワークアドレスに関する情報が含まれていてもよい。この場合、外部サーバ5は、機体識別情報からドローン2のネットワークアドレスを特定することができる。
【0045】
このように、外部サーバ5からドローン2に警告信号が送信されるため、ドローン2がビル6に衝突する状況を未然に防止することができる。この点において、ドローン2は、外部サーバ5からの警告信号の受信に応じて、一旦停止した後に飛行ルートを変更してもよい。さらに、警告信号にビル6の位置情報が含まれている場合には、ドローン2は、警告信号に含まれているビル6の位置情報に基づいて、ビル6への衝突が回避可能な飛行ルートを決定してもよい。
【0046】
また、ステップS4の処理の後に、衝突回避システム1の制御部12は、航空障害灯3の照明態様(例えば、点滅速度、照明色、照明強度等)を変更する(ステップS7)。この場合、空中を飛行するドローン2は、航空障害灯3の照明態様の変化を検出することで、自身がビル6に衝突する可能性があることを認知することができる。
【0047】
次に、制御部12は、ドローン2の周辺に向けてサーチライトが照射されるように照明ユニット17の駆動を制御する(ステップS8)。この点において、制御部12は、周辺環境情報に基づいてドローン2の現在位置を特定した上で、ドローン2の周辺に向けてサーチライトが照射されるように照明ユニット17の駆動を制御する。このように、夜間に飛行するドローン2の周辺に向けてサーチライトが照射されるので、ドローン2の周辺環境に対する視認性が向上する。即ち、ドローン2の周辺がサーチライトによって照らされるため、ドローン2の制御部20は、カメラ22からの画像データに基づいて周辺環境をより正確に特定することが可能となる。
【0048】
次に、ステップS9において、制御部12は、ドローン2がビル6に衝突する可能性があることを予告する衝突予告情報をビル6内に設置されたコンピュータ(図示せず)に送信する。このように、ビル6内に存在する人は、ビル6内に設置されたコンピュータを通じてドローン2がビル6に衝突する可能性があることを把握することができる。
【0049】
尚、図4に示すステップS7からS9の処理の順番は特に限定されるものではない。また、ステップS7からS9の処理は、ステップS5の処理の前に実行されてもよい。この場合、制御部12は、ドローン2がビル6に衝突する可能性があるとの予測に応じて、ステップS7からS9の各処理を実行した後に、機体識別情報と衝突回避リクエスト信号を外部サーバ5に送信してもよい。
【0050】
本実施形態によれば、ドローン2がビル6に衝突する可能性があるとの予測に応じて、衝突回避リクエスト信号が外部サーバ5に送信される。その後、ビル6への衝突の危険を知らせる警告信号が外部サーバ5からドローン2に送信される。このように、ドローン2がビル6に衝突する状況を未然に防止可能な衝突回避システム1を提供することができる。
【0051】
尚、本実施形態では、ステップS5において、外部サーバ5が警告信号をドローン2に向けて送信しているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、外部サーバ5が警告信号を衝突回避システム1に送信した後に、衝突回避システム1が無線通信モジュール16を介して警告信号をドローン2に向けてブロードキャストしてもよい。この場合であっても、ドローン2は、警告信号を受信することでビル6に衝突する状況を回避することができる。さらに、外部サーバ5とドローン2との間の通信接続が不安定である場合であっても、外部サーバ5からの警告信号をドローン2に送信することが可能となる。
【0052】
また、ステップS5の処理では、外部サーバ5は、警告信号に代わって、ドローン2の遠隔操作をリクエストする遠隔操作リクエスト信号をドローン2に送信してもよい。この場合、ドローン2は、遠隔操作リクエスト信号の受信に応じて、運転モードを自律走行モードから遠隔操作モードに切り替えた上で、カメラ22によって取得された画像データを外部サーバ5に送信してもよい。このように、外部サーバ5から遠隔操作リクエスト信号が送信される場合では、ドローン2の飛行が遠隔地にいるオペレータによって操作されるため、ドローン2がビル6に衝突する状況を未然に防止することができる。
【0053】
次に、図5を参照して、衝突回避システム1によって実行される一連の処理の他の一例について以下に説明する。図5は、衝突回避システム1によって実行される一連の処理の他の一例を示すシーケンス図である。図5に示すように、衝突回避システム1の制御部12は、ステップS11からS13の処理を実行する。ステップS11の処理は、図4のステップS1の処理に相当する。ステップS12の処理は、図4のステップS2の処理に相当する。ステップS13の処理は、図4のステップS4の処理に相当する。尚、本例では、ドローン2は機体識別情報を外部にブロードキャストしない。
【0054】
ステップS13において、衝突回避システム1の制御部12は、ドローン2がビル6に衝突する可能性があると予測した場合に、ビル6への衝突の危険を知らせる警告信号をドローン2に向けて送信する(ステップS14)。その後、ドローン2は、衝突回避システム1からの警告信号の受信に応じて、一旦停止した後に飛行ルートを変更してもよい。さらに、警告信号にビル6の位置情報が含まれている場合には、ドローン2は、警告信号に含まれているビル6の位置情報に基づいて、ビル6への衝突が回避可能な飛行ルートを決定してもよい。一方で、制御部12は、ドローン2がビル6に衝突する可能性がないと予測した場合には、ステップS14以降の処理を実行しない。
【0055】
その後、制御部12は、ステップS15からS17の処理を実行する。ステップS15の処理は、図4のステップS7の処理に相当する。ステップS16の処理は、図4のステップS8の処理に相当する。ステップS17の処理は、図4のステップS9の処理に相当する。
【0056】
本例によれば、衝突回避システム1からドローン2に向けて警告信号が直接的にブロードキャストされるため、ドローン2がビル6に衝突する状況を未然に防止することができる衝突回避システム1を提供することができる。この点において、外部サーバ5が関与しないシステム構成によってドローン2がビル6に衝突する状況を回避することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0058】
1:衝突回避システム
2:ドローン
3:航空障害灯
5:外部サーバ
6:ビル
7:無線基地局
8:IPネットワーク
12:制御部
13:カメラ
14:LiDARユニット
15:ミリ波レーダ
16:無線通信モジュール
17:照明ユニット
18:有線通信インターフェース
20:制御部
21:無線通信モジュール
22:カメラ
24:記憶装置
25:センサ
26:バッテリー
27:モータ
28:モータドライバ
29:プロペラ
図1
図2
図3
図4
図5