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特許7478614試料プレートと透明マーキングフレームを備えた装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】試料プレートと透明マーキングフレームを備えた装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/06 20060101AFI20240425BHJP
   G01N 1/42 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G01N1/06 J
G01N1/42
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020122570
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2021021728
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】10 2019 120 201.9
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500113648
【氏名又は名称】ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ キショール ネドゥヌリ
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0072466(US,A1)
【文献】特開2002-214093(JP,A)
【文献】特開2019-049577(JP,A)
【文献】特開2007-212386(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0210254(US,A1)
【文献】国際公開第2007/074769(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0019865(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを凍結するための上側(4)と、下側(5)とを有する、ミクロトームにおける処理のためにサンプルを凍結するための試料プレート(1)、及び、
試料プレート(1)に配された、マーキングを形成する不透明領域を有する透明なマーキングフレーム(6)
を備えた装置であって、
マーキングフレーム(6)は、試料プレート(1)の下側(5)に又は試料プレート(1)に外嵌するよう配されること
を特徴とする装置
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
不透明領域は、マーキングがマーキングフレーム(6)の下側において検出可能であるよう、マーキングフレームに配置されていること
を特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、
マーキングは、透明なマーキングフレーム(6)に側方から光入射すると、光センサ(20)によって検出可能であるよう、構成されていること
を特徴とする装置。
【請求項4】
請求項に記載の装置において、
マーキングは、透明なマーキングフレーム(6)に側方から光入射すると、該マーキングフレーム(6)の下方に配置されておりかつ該マーキングフレーム(6)の放射方向における該マーキングフレーム(6)の部分にわたって延在する光センサ(20)によって検出可能であるよう、構成されていること
を特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1~の何れかに記載の装置において、
不透明領域は、マーキングフレーム(6)においてその周方向に延在していること
を特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1~の何れかに記載の装置において、
マーキングは、マーキングフレーム(6)の周方向における任意の部位において検出可能であるよう、構成されていること
を特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1~の何れかに記載の装置において、
試料プレート(1)は、放射対称的に構成されていること
を特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1~の何れかに記載の装置において、
マーキングフレーム(6)は、リング状に構成されていること
を特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1~の何れかに記載の装置において、
マーキングフレーム(6)は、少なくとも部分的にプラスチック又はガラスで構成されていること
を特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1~の何れかに記載の装置において、
マーキングフレーム(6)は、矩形の断面を有すること
を特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1~10の何れかに記載の装置において、
マーキングは、複数の同心円環(6a、6b、6c、6d)を有すること
を特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、
前記複数の同心円環(6a、6b、6c、6d)は、カラーパターン、明暗パターン及び/又はグレースケールパターンを形成すること
を特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1~12の何れかに記載の装置において、
マーキングフレーム(6)は、試料プレート(1)の径小部に嵌め込まれているか又は締め付け固定されていること
を特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1~13の何れかに記載の装置において、
マーキングは、エッチング及び/又はプリントによって施されていること
を特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1~14の何れかに記載の装置の試料プレート(1)における凍結の前又は後にサンプルをこの試料プレート(1)に対応付ける方法であって、
該方法は、以下のステップ:
・光源(30)による光入射によってマーキングフレーム(6)を照明すること:
・光センサ(20)によってマーキングを検出すること;
・サンプルとマーキングとの間の対応付けを生成すること
を含むこと
を特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記対応付けは、明示の指令によってのみ消去可能に、記憶されること
を特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の方法において、
サンプルと試料プレートとの間の対応付けの生成は、当該サンプル又は当該試料プレートの対応付けが既に存在する場合、阻止され、警告通知が実行されること
を特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
警告通知はログに記録され、該ログは記憶されること
を特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1~14の何れかに記載の装置の試料プレート(1)において凍結されておりかつこの試料プレート(1)に請求項1518の何れかに記載の方法で対応付けされているサンプルの同定方法であって、
該方法は以下のステップ:
・光源(30)による光入射によってマーキングフレーム(6)を照明すること:
・光センサ(20)によってマーキングを検出すること;
・前記対応付けに基づいてサンプルを同定すること
を含むこと
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の記載)
本出願は、2019年7月25日出願のドイツ特許出願第10 2019 120 201.9号の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は、引用をもって本明細書に組み込み記載されているものとする。
本発明は、ミクロトームでの処理のためにサンプルを凍結するための試料プレートを備えた装置に関する。本発明は、更に、試料プレートでの凍結後にサンプルの対応付けを行う方法に関する。本発明は、更に、試料プレートで凍結されかつこの試料プレートに対応付けられているサンプルの同定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミクロトームとは、極めて薄い切断調製物(薄切片)を作製可能な切断装置である。ミクロトームは、後に例えば光照射されることが望まれる鏡検調製物、例えば生物組織の作製に役立つ。典型的な使用領域(対象)は、とりわけ、プラスチックの分析のような、例えば医学生物学領域から得られるような、柔い素材及び材料である。
【0003】
薄切片の厚みは、人間の毛髪の直径より明白に小さく、典型的には0.1~100μmである。ミクロトームの使用はミクロトーム法(ないし薄片試料作製法)と称される。
【0004】
凍結サンプルの切断のために、通常はコンプレッサ/蒸発器を備えた冷却装置によって冷却される凍結ないしクライオミクロトームが使用される。サンプルの硬さを高めて、切断可能にするために、低温が使用される。ミクロトームを備えたクライオスタットの一例はDE 10 2004 056 189 A1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】DE 10 2004 056 189 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのようなクライオミクロトームないしクライオスタット・ミクロトームにおける処理のために、調製されるべき組織は良熱伝導性材料からなる試料プレート上で凍結媒体によって凍結される。そのために、クライオミクロトームないしクライオスタット・ミクロトームには、熱交換が行われるよう、試料プレート(複数)がその上ないしその中に配される凍結棚状部材(Gefrierleiste)が設けられる。試料プレートでサンプルを凍結した後、試料プレートは、通常、クライオスタットに組み込まれたミクロトームの試料ホルダにおいて締付固定され、サンプルはミクロトームによって処理(切断)される。しかしながら、サンプル(複数)はしばしば光学的に互いに区別されることができないため、異なるサンプル間での取り違えが起こり得る。従って、サンプル(複数)の区別(ないし識別)可能性を改善する方策が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の視点により、サンプルを凍結するための上側(上面)と、下側(下面)とを有する、ミクロトームにおける処理のためにサンプルを凍結するための試料プレート、及び、試料プレートに配される、マーキングを形成する不透明領域(複数)を有する透明なマーキングフレームを備えた装置であって、マーキングフレームは、試料プレートの下側に又は試料プレートに外嵌するよう配される装置が提供される(形態1)。
本発明の第2の視点により、本発明の装置の試料プレートにおける凍結の前又は後にサンプルをこの試料プレートに対応付ける(ないし割り当てる)方法が提供される。該方法は、以下のステップ:
・光源による光入射によってマーキングフレームを照明すること:
・光センサによってマーキングを検出すること;
・サンプルとマーキングとの間の対応付け(ないし割当て)を生成すること
を含むことを特徴とする(形態15)。
本発明の第3の視点により、本発明の装置の試料プレートにおいて凍結されておりかつこの試料プレートに本発明の上記方法で対応付け(ないし割当て)されているサンプルの同定方法が提供される。該方法は以下のステップ:
・光源による光入射によってマーキングフレームを照明すること:
・光センサによってマーキングを検出すること;
・前記対応付け(ないし割当て)に基づいてサンプルを同定(ないし特定)すること
を含むことを特徴とする(形態19)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の装置において、不透明領域(複数)は、マーキングがマーキングフレームの下側において検出可能であるよう、マーキングフレームに配置されていることが好ましい
形態)形態1又は2に記載の装置において、マーキングは、透明なマーキングフレームに側方から光入射すると、光センサによって検出可能であるよう、構成されていることが好ましい。
(形態)形態に記載の装置において、マーキングは、透明なマーキングフレームに側方から光入射すると、該マーキングフレームの下方に配置されておりかつ該マーキングフレームの放射方向における該マーキングフレームの部分にわたって延在する光センサによって検出可能であるよう、構成されていることが好ましい。
(形態)形態1~の何れかの装置において、不透明領域(複数)は、マーキングフレームにおいてその周方向に延在していることが好ましい。
(形態)形態1~の何れかの装置において、マーキングは、マーキングフレームの周方向における任意の部位において検出可能であるよう、構成されていることが好ましい。
(形態)形態1~の何れかの装置において、試料プレートは、放射対称的に(radialsymmetrisch)構成されていることが好ましい。
(形態)形態1~の何れかの装置において、マーキングフレームは、リング状に構成されていることが好ましい。
(形態)形態1~の何れかの装置において、マーキングフレームは、少なくとも部分的にプラスチック又はガラスで構成されていることが好ましい。
(形態10)形態1~の何れかの装置において、マーキングフレームは、矩形の断面を有することが好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかの装置において、マーキングは、複数の同心円環を有することが好ましい。
(形態12)形態11に記載の装置において、前記複数の同心円環は、カラーパターン、明暗パターン及び/又はグレースケールパターンを形成することが好ましい。
(形態13)形態1~12の何れかの装置において、マーキングフレームは、試料プレートの径小部(Ausnehmung)に嵌め込まれているか又は締め付け固定されている(締め嵌めされている)ことが好ましい。
(形態14)形態1~13の何れかの装置において、マーキングは、エッチング及び/又はプリントによって施されていることが好ましい。
(形態15)上記本発明の第2の視点参照。
(形態16)形態15の方法において、前記対応付けは、明示の指令によってのみ消去可能に、記憶されることが好ましい。
(形態17)形態15又は16の方法において、サンプルと試料プレートとの間の対応付けの生成は、当該サンプル又は当該試料プレートの対応付けが既に存在する場合、阻止(拒否)され、警告通知が実行されることが好ましい。
(形態18)形態17の方法において、警告通知はログに記録され、該ログは記憶されることが好ましい。
(形態19)上記本発明の第3の視点参照。
有利な形態は従属請求項及び以下の説明の対象である。
【0009】
本発明は、試料プレートにマーキングを設ける措置を採用している。このマーキングは、透明なマーキングフレームの不透明領域(複数)という形で試料プレートに形成されている。不透明領域(複数)の複数の異なる配置によって、複数の異なるパターンないしマーキングを生成することができ、かくして、複数の異なるマーキングフレーム及びそれに属する(対応付けられた)試料プレートないしサンプルを区別(ないし識別)することができる。
【0010】
不透明領域(複数)は、マーキングがマーキングフレームの下側(下面)において検出可能であるよう、とりわけ視認可能であるよう、マーキングフレームに配されていると有利である。とりわけ、不透明領域は(マーキングフレームの)下側(下面)に配されることができる。尤も、マーキングフレームの透明材料の内部に又はマーキングフレームの上側(上面)に配されることも、該不透明領域が下側から検出(認識)可能である限りにおいて、可能である。このようにして、マーキングは極めて簡単に下方から読み取ることができ、そのため、とりわけ、マーキングフレームの上側における、とりわけ試料プレートの上側における作業プロセスは阻害(妨害)されなくなる。
【0011】
マーキングフレームは、試料プレートの下側(下面)に配されると有利である。とりわけ、これによって、本装置の水平方向(横方向)の広がり(寸法)をコンパクトに維持することができる。例えば、マーキングフレームは試料プレートの下側において締め嵌め、吊設、螺合(ないし螺入)又はクリップ止め(eingeklipst)されるよう構成可能である。例えば、マーキングフレームは、試料プレートの下側において例えば柄部(Schaft)のような支持部に外嵌する(掴持する)ことも可能である。
【0012】
代替的に、マーキングフレームは、試料プレートに外嵌するよう、配されることも好ましい。この実施形態では、とりわけ、マーキングの読み取りは、必要に応じ、側方からでも上方からでも可能である。
【0013】
マーキングフレームは、試料プレートの径小部に嵌め込まれていること、好ましくは締め付け固定されている(締め嵌めされている)ことが好ましい。これは、これによってマーキングフレームによる試料プレートの更なる拡大(寸法増大)が回避されるため、有利である。
【0014】
とりわけ、マーキングは、透明なマーキングフレームに側方から光入射すると、光センサによって検出可能であるよう、構成されている。そのような側方からの光入射によって、とりわけ試料プレートの上側における作業プロセスは阻害(妨害)されなくなる。
【0015】
とりわけ、マーキングは、透明なマーキングフレームに側方から光入射すると、該マーキングフレームの下方に配置されておりかつとりわけ半径方向における該マーキングフレームの部分にわたって延在する光センサによって検出可能であるよう、構成されている。これは、これによって自動的なサンプル対応付け及びサンプル同定(特定)が可能であるため、有利である。
【0016】
不透明領域(複数)は、マーキングフレームにおいて周方向に延在していると有利である。これによって、マーキングの検出は、とりわけ周方向における複数の部位(領域)において行うことができる。
【0017】
マーキングは、周方向における任意の部位において検出可能であるよう、構成されていると有利である。例えば、そのようなマーキングは、全周にわたって延在する1つ以上のマーキングリングによって形成されることができる。
【0018】
格別に有利な一実施形態では、試料プレートは放射対称的に(radialsymmetrisch)構成されている。尤も、これは限定的に理解すべきではない。従って、矩形の、方形の又はその他の形状の試料プレートも可能である。
【0019】
マーキングフレームは、試料プレートと凍結(冷凍)棚状部材(Gefrierleiste)との間の熱交換を保証するために、リング状に構成されていることが好ましい。これは、リング形状により、格別に簡単に、(1つの)マーキングを例えば全周に延在するリングの形で施すことができるため、有利である。これは、放射対称的な試料プレートと組み合わせると格別に有利であるが、限定的に理解するべきではない。従って、方形又はその他の形状のマーキングフレームも可能である。
【0020】
透明なマーキングフレームは少なくとも部分的に例えばプレキシグラス(Plexiglas)(登録商標)のようなプラスチックで構成されていると目的に適する。プラスチックは、壊れにくい材料でありかつ簡単に製造可能なものであるため、有利である。尤も、格別に簡単かつ効率的に洗浄及び滅菌可能であるため、ガラスも材料として好ましい。
【0021】
とりわけ、マーキングフレームは矩形の(半径方向)断面を有する。これにより、格別に簡単な製造及び試料プレートへの良好な適合化が可能になる。この場合、更に、マーキングフレームは、マーキングの施し及び/又は検出のためにフラットな下側(下面)を有する。
【0022】
格別に有利な一実施形態では、マーキングは、同心状に配置された不透明な同心円環と有利には透明な同心円環とを有する。これは、リング状マーキングフレームの場合に、任意のフレーム部分において同じように読み取り可能な放射対称パターンを提供するために、格別に適合的である。同心円環(複数)は、カラーパターン、明暗パターン及び/又はグレースケールパターンを形成することが好ましい。同心円環の個数の相違によって及び/又は円環間の距離(幅)の相違によって及び/又は色の相違によって、個別にコード化された多数の試料プレートを自在に提供することができる。これは、これによって、各サンプルを(夫々1つの)個別にコード化された試料プレートに一意的に対応付けることができるため、有利である。
【0023】
好ましい更なる一実施形態により、マーキングは、バーコードのような一次元パターン又はQRコードのような二次元パターンであることが可能である。そのようなマーキングは、とりわけ、可及的に容易に検出可能であるよう、マーキングフレームの(全)周にわたって何重にも(繰り返し)施されることができる。
【0024】
マーキングはエッチング及び/又はプリントによって施されていると目的に適する。これは、マーキングを施すための格別に高信頼性かつコスト的に好都合な方法である。
【0025】
本発明の更なる利点及び形態は明細書及び添付の図面から明らかとなる。
【0026】
既に列記した及び以下にこれから説明されるべき特徴は、夫々与えられた組み合わせだけではなく、本発明の枠から逸脱しない限りにおいて、他の組み合わせでも又は単独でも、使用可能であると理解すべきである。
【0027】
本発明は、実施例に基づき図面に概略的に示されており、以下において図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】試料プレートとマーキングフレームとを有する本発明の装置の好ましい一実施形態の斜め上方から見た斜視図。
図2】斜め下方から見た図1の装置の斜視図。
図3】斜め上方から見た図1の装置の斜視断面図。
図4】本発明の方法の好ましい一実施形態の実行中の、斜め下方から見た本発明の装置の好ましい一実施形態の一部分の斜視図。
図5図1の装置の平面図。
【実施例
【0029】
試料プレートとマーキングフレームとを有する本発明の装置の好ましい一実施形態を図1図5を参照して説明する。
【0030】
図1図5には、ミクロトームにおける処理のためにサンプルを凍結するための放射対称的なディスク状試料プレートの一例が記載されており、図面参照符号1が付されている。この試料プレート1は、軸線方向(アキシャル方向)に関して上側(上面)4と下側(下面)5を有する。試料プレート1は、上側4に、同心状に配置された複数の同心凸部(ないし凸条部)2を有する。これについては、図1及び図3にとりわけ良好に視認できる。これは、試料プレート1上における凍結サンプルの良好な付着のために有利である。
【0031】
試料プレート1は、その下側(下面)5に、リング状の透明なマーキングフレーム6を有する。このマーキングフレーム6は、とりわけプラスチック又はガラスから形成されており、図3において明確に見られるように、矩形の(軸を含む面で切った)断面を有する。マーキングフレーム6は、試料プレート1の柄部(Schaft)40に外嵌ないし締め嵌めされる。マーキングフレーム6は、下側(下面)に、放射対称状のコード化パターンによって形成されているマーキングを有する。このパターンは、この場合、同心状に配置された不透明な同心円環6a、6cとそれらの間のないしそれらの隣の透明領域6b、6dとから構成されている。不透明領域は、マーキングフレーム6にプリント又はエッチングで施されることが好ましい。同心円環6a、6b、6c、6dは、この場合、例えば、カラーパターン、明暗パターン又はグレースケールパターンを形成する。従って、例えば、第1の円環6aは青色、第2の円環6bは無色透明、第3の円環6cは赤色及び第4の円環6dは無色透明である。個々の円環6a、6b、6c、6dの半径方向の幅(長さ)も互いに異なることが可能である。同心円環の例えば色や距離(ないし幅)を変更することによって、多数の試料プレートを区別することができ、各試料プレートを個別に同定(特定)し、夫々1つの所定のサンプルに対応付ける(割り当てる)ことができる。これとは反対に、対応付けされたサンプルをマーキングを用いて同定(特定)することもできる。
【0032】
次に、図4に基づいて、試料プレート上で凍結後にサンプルの対応付けを行うための本発明の方法の一実施形態を説明する。図4には、試料プレート1とマーキングフレーム6からなる構造に加えて、光源30と光センサ20が記載されている。光が光源30によって、この場合側方から、透明なマーキングフレーム6に入射すると、透明マーキングフレーム6のマーキングは、マーキングフレーム6の下方に配置されておりかつ半径方向におけるマーキングフレーム6の部分にわたって延在する光センサ20によって検出可能ないし読み取り可能であるように、輝く。そのため、マーキングは光センサ20によって検出される。
【0033】
次のステップでは、読み取られたマーキングとサンプルとの間の対応付けが生成され、例えば記録されるか又はデータベースに記憶される。これは、例えば、コンピュータ制御によって実行されることができ、その際、ユーザは、サンプルの名称をキーボードで入力すること又はサンプルと一緒に提供されたバーコード、例えばサンプル輸送容器に施されたコードをスキャンすることが要求される。その後、例えばコンピュータプログラムが、読み取ったマーキングのサンプルの名称への対応付けを記憶する。
【0034】
有利には、対応付けは、この場合、明示の指令があった場合にのみ(明示的にのみ:explizit)消去可能に記憶される、即ち、既存の対応付けの過誤の上書きは実行されることができない。寧ろ、既存の対応付けは、試料プレートが他のサンプルに対応付けされることができる又はその反対の場合ができる前に、まず、明示の指令によって消去されなければならない。
【0035】
作業の確実性を更に向上するために、サンプルと試料プレートとの間の対応付けの生成は、該サンプル又は該試料プレートの対応付けが既に存在する場合、阻止(拒否)され、警告通知が実行されるよう、構成可能である。警告通知はログに記録され、該ログは記憶されると、目的に適する。そのため、場合により、サンプルが誤った試料支持体(試料スライド)に至ったとすれば、後に、把握する(確認する)ことができる。
【0036】
試料プレート1上で凍結されているサンプルを後に同定(特定)するために、光源30によって側方から光を透明マーキングフレーム6に入射し、マーキングを検出する。
【0037】
ここに、本発明の可能な態様を付記する。
[付記1]サンプルを凍結するための上側と、下側とを有する、ミクロトームにおける処理のためにサンプルを凍結するための試料プレート、及び、試料プレートに配された、マーキングを形成する不透明領域(複数)を有する透明なマーキングフレームを備えた装置。
[付記2]上記の装置において、不透明領域(複数)は、マーキングがマーキングフレーム(6)の下側において検出可能であるよう、マーキングフレームに配置されている。
[付記3]上記の装置において、マーキングフレームは、試料プレートの下側に又は試料プレートに外嵌するよう配されている。
[付記4]上記の装置において、マーキングは、透明なマーキングフレームに側方から光入射すると、光センサによって検出可能であるよう、構成されている。
[付記5]上記の装置において、マーキングは、透明なマーキングフレームに側方から光入射すると、該マーキングフレームの下方に配置されておりかつとりわけ半径方向における該マーキングフレームの部分にわたって延在する光センサによって検出可能であるよう、構成されている。
[付記6]上記の装置において、不透明領域(複数)は、マーキングフレームにおいて周方向に延在している。
[付記7]上記の装置において、マーキングは、周方向における任意の部位において検出可能であるよう、構成されている。
[付記8]上記の装置において、試料プレートは、放射対称的に(radialsymmetrisch)構成されている。
[付記9]上記の装置において、マーキングフレームは、リング状に構成されている。
[付記10]上記の装置において、マーキングフレームは、少なくとも部分的にプラスチック又はガラスで構成されている。
[付記11]上記の装置において、マーキングフレームは、矩形の断面を有する。
[付記12]上記の装置において、マーキングは、複数の同心円環を有する。
[付記13]上記の装置において、前記複数の同心円環は、カラーパターン、明暗パターン及び/又はグレースケールパターンを形成する。
[付記14]上記の装置において、マーキングフレームは、試料プレートの径小部(Ausnehmung)に嵌め込まれている、好ましくは締め付け固定されている(締め嵌めされている)。
[付記15]上記の装置において、マーキングは、エッチング及び/又はプリントによって施されている。
[付記16]上記の装置の試料プレートにおける凍結の前又は後にサンプルをこの試料プレートに対応付ける方法。
該方法は、以下のステップ:
・光源による光入射によってマーキングフレームを照明すること:
・光センサによってマーキングを検出すること;
・サンプルとマーキングとの間の対応付けを生成すること
を含む。
[付記17]上記の方法において、前記対応付けは、明示の指令によってのみ消去可能に、記憶される。
[付記18]上記の方法において、サンプルと試料プレートとの間の対応付けの生成は、当該サンプル又は当該試料プレートの対応付けが既に存在する場合、阻止(拒否)され、警告通知が実行される。
[付記19]上記の方法において、警告通知はログに記録され、該ログは記憶される。
[付記20]上記の装置の試料プレートにおいて凍結されておりかつこの試料プレート(1)に上記の(対応付け)方法で対応付けされているサンプルの同定方法。
該方法は以下のステップ:
・光源による光入射によってマーキングフレームを照明すること:
・光センサによってマーキングを検出すること;
・前記対応付けに基づいてサンプルを同定すること
を含む。
【0038】
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【0039】
また、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【0040】
更に、本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また本発明の全開示の枠内において、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択または非選択が可能である。即ち本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想に従って当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 試料プレート
2 凸部
4 試料プレートの上側(上面)
5 試料プレートの下側(下面)
6 マーキングフレーム
6a~6d マーキングの同心円環
20 光センサ
30 光源
40 試料プレートの柄部
図1
図2
図3
図4
図5