(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/14 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
D06F39/14 Z
(21)【出願番号】P 2020140715
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】恒川 郁朗
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-007827(JP,A)
【文献】特開2013-180033(JP,A)
【文献】特開昭60-145194(JP,A)
【文献】実開昭57-011338(JP,U)
【文献】特開昭58-169499(JP,A)
【文献】特開平06-269599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/14
D06F 58/02
D06F 58/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類取出口を設けた本体の前板の内側面にドラムの前面開口縁部を回転可能に支持するとともに温風の吹出し口を設けた板金製のドラムサポートが配設され、前記ドラムサポートの開口部に形成する筒状フランジ部の内周側にクリアランスを有して組付けた樹脂製の筒状のドアポートが前記衣類取出口に取り付けられた衣類乾燥機において、
前記ドアポートの下部がドラムの後面側に向けてラッパ状に拡径されたラッパ部を形成し、
前記クリアランスには、前記ラッパ部のドラム回転方向後側に位置する周方向端部付近に前記ドアポートの中心軸線方向に延びる障害部を配設し
、
前記障害部は、前記ドアポートの外周面又は前記ドラムサポートの筒状フランジ部の内周面に設けられている衣類乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類乾燥機において、
前記障害部は、前記ドアポートが前記ドラムサポートに対して着脱できるように前記ドアポートの径方向に延び
て前記クリアランスの寸法距離と一致又はそれより僅かに低い高さに設定され、且つ、前記ドラムサポートの筒状フランジの突出長さよりも短い長さに設定されている衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類取出口におけるドラムサポートの筒状フランジ部にドアポートが取り付けられた構成を備える衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類乾燥機は、衣類取出口を設けた本体の前板の内側面に温風の吹出し口を設けた板金製のドラムサポートが配設され、このドラムサポートの開口部に形成する筒状フランジ部に樹脂製の筒状のドアポートを組み付けて、このドアポートを衣類取出口に取り付けた構成を備えたものがある。前記ドアポートは、板金製のドラムサポートの筒状フランジ部が衣類取出口でむき出しになって直接手が触れないように保護することができる。また、前記ドアポートの下部は、ドラム内の衣類を取り出しやすくするためにドラムの後面側に向けてラッパ状に拡径されたラッパ部を形成した構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記衣類乾燥機において、ドアポートの組付け時やメンテ時にドアポートの着脱が円滑にできるように、ドラムサポートの筒状フランジ部とドアポートとの間にはクリアランスが設けられている。ドアポートのラッパ部は、ドラムサポートに組み付けやすくするためドアポートの下部の一定範囲のみに形成されている。そのため、ドアポートのラッパ部では、ラッパ状に広がるにつれて、ドラムサポートの筒状フランジ部とドアポートとの間のクリアランスが狭くなり、ドラムの回転により衣類がラッパ部の狭くなったクリアランス部分に引っかかってしまう場合があった。この場合、温風が局部的に衣類に当たり続けたり、衣類を取り出しにくくするという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、ドアポートのラッパ部での衣類の引っかかりを防止することが可能な構成を備える衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る衣類乾燥機は、
衣類取出口を設けた本体の前板の内側面にドラムの前面開口縁部を回転可能に支持するとともに温風の吹出し口を設けた板金製のドラムサポートが配設され、前記ドラムサポートの開口部に形成する筒状フランジ部の内周側にクリアランスを有して組付けた樹脂製の筒状のドアポートが前記衣類取出口に取り付けられた衣類乾燥機において、
前記ドアポートの下部がドラムの後面側に向けてラッパ状に拡径されたラッパ部を形成し、
前記クリアランスには、前記ラッパ部のドラム回転方向後側に位置する周方向端部付近に前記ドアポートの中心軸線方向に延びる障害部を配設し、
前記障害部は、前記ドアポートの外周面又は前記ドラムサポートの筒状フランジ部の内周面に設けられている。
【0007】
前記構成より、障害部によってドラムの回転により衣類がラッパ部のクリアランス部分にまで入り込み難くすることができる。従って、ドアポートのラッパ部での衣類の引っかかりを防止することができる。よって、衣類がラッパ部のクリアランス部分に引っかかって温風が局部的に衣類に当たり続けたり、衣類を取り出し難くするということを防止することができる。
【0008】
前記障害部は、前記ドアポートが前記ドラムサポートに対して着脱できるように前記ドアポートの径方向に延びて前記クリアランスの寸法距離と一致又はそれより僅かに低い高さに設定され、且つ、前記ドラムサポートの筒状フランジの突出長さよりも短い長さに設定することができる。これにより、ドラムサポートに対してドアポートの着脱が障害部によって阻害されることがなく、ドアポートの組付け時やメンテ時にドアポートの着脱を円滑に行うことができる。従って、ドアポートのラッパ部での衣類の引っかかりを防止しつつ、ドアポートの組付け作業性を良好に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の衣類乾燥機の内部構成を示す断面図である。
【
図2】実施形態の衣類乾燥機における本体の前板の内側面においてドラムサポート及びドアポートを示す平面図である。
【
図3】
図2においてドラムの回転方向後側に位置するドアポートのラッパ部の周方向端部付近を拡大して示す拡大図である。
【
図4】ドラムサポートとドアポートとを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、実施形態の衣類乾燥機1は、矩形箱状の本体10と、本体10の前板11に設けられた衣類取出口12を開閉自在に覆う扉13とで外郭を構成する。本明細書では、扉13側を衣類乾燥機1の前面とし、衣類乾燥機1を前面側から見たときの本体10の奥行き方向を前後方向、横方向を左右方向、高さ方向を上下方向とする。
【0011】
本体10内には、前面に開口部21を有して衣類Mを収容する円筒状のドラム2が横置き状態で配設されている。ドラム2の後面25には、排気口23が開設されており、本体10内の後部には、ドラム2の排気口23に連通する排気ダクト14が設けられている。本体10の下面の底板には、フィルタ付きの給気口15が開設されている。ドラム2の後側には、ドラム2内の空気を排気口23を介して排気ダクト14内に排気しつつ、給気口15からの空気をドラム2内に供給する給排気ファン3が配設されている。ドラム2と給排気ファン3は、図示しない共通のモータにより、それぞれ伝導ベルトを介して回転駆動されるが、それぞれ独立したモータによって回転駆動されるように構成してもよい。また、本体10内には、給気口15からドラム2までの空気の給気通路に加熱手段となるバーナ4が配設され、バーナ4の燃焼排ガスが空気とともに温風としてドラム2内に供給される。なお、加熱手段は、バーナ4に限らず、電気ヒータや温水循環の熱交換器等の加熱手段であってもよい。
【0012】
図2も参照して、衣類取出口12を設けた本体10の前板11の内側面には、板金製のドラムサポート5が配設されている。ドラムサポート5は、中央に開口部53を設けた円形の板面部51と、板面部51の外周縁から前方へ突出する短円筒状のドラム受け部52と、板面部51の開口部53から前方へ突出する短円筒状の筒状フランジ部54とを有する。
【0013】
ドラム2は、その後面25に固定されたドラム軸24が本体10内の固定壁16に回転可能に軸支されるとともに、前面開口縁部22がドラムサポート5のドラム受け部52に回転可能に支持されている。ドラムサポート5の板面部51には、下部の一定範囲に前記給気通路に連通する多数の温風吹出し口55が設けられている。この温風吹出し口55からドラム2内に温風が供給される。よって、ドラムサポート5は、温風によって熱くなる。ドラムサポート5の開口部53は、本体10の前板11の衣類取出口12と略同径の開口径を有し、衣類取出口12と同心状に配置されている。
【0014】
ドラムサポート5の開口部53に形成する筒状フランジ部54には、その内周側に樹脂製の筒状のドアポート6が組付けられ、ドアポート6の前部が前板11の衣類取出口12に取り付けられている。ドアポート6は、板金製のドラムサポート5の筒状フランジ部54が衣類取出口12でむき出しになって直接手が触れないように保護するために設けられている。
【0015】
ドアポート6は、組付け時やメンテ時に着脱が円滑にできるように、ドラムサポート5の筒状フランジ部54に対してクリアランスcを有して取り付けられている。また、ドアポート6の下部は、ドラム2内の衣類Mを取り出しやすくするためにドラム2の後面25側に向けてラッパ状に拡径されたラッパ部61となっている。このラッパ部61は、ドアポート6をドラムサポート5に組み付けやすくするために下部の一定範囲にのみ形成されている。
【0016】
ところで、ドアポート6のラッパ部61では、ラッパ状に広がるにつれて、ドラムサポート5の筒状フランジ部54とドアポート6との間のクリアランスcが狭くなり、ドラム2の回転により衣類Mがラッパ部61の狭くなったクリアランスc部分に引っかかってしまう場合があった。この場合、温風が局部的に衣類Mに当たり続けたり、衣類Mを取り出しにくくするという問題が生じる。
【0017】
本実施形態では、
図3、
図4に示すように、ドアポート6の外周面において、ラッパ部61のドラム回転方向A後側に位置する周方向端部61aのラッパ部61となる周方向手前の位置にドアポート6の中心軸線方向に延びる障害部としてのリブ7を設け、このリブ7がドラムサポート5の筒状フランジ部54とドアポート6との間のクリアランスcに配設される構成とする。なお、リブ7を設ける位置は、周方向端部61aのラッパ部61となる周方向手前の位置に限定されず、
図5に示すように、周方向端部61aの位置(
図5中のリブ7a)又は周方向端部61aのラッパ部61側に差し掛かった周方向位置(
図5中のリブ7b)等のように、周方向端部61a付近に設けることができる。また、リブ7は、周方向端部61aに設けられていればよいから、リブ7におけるドラム回転方向Aの幅は、前記周方向手前の位置から周方向端部61aを含んでラッパ部61a側に差し掛かった周方向位置に達する太幅に形成したものでもよい。
【0018】
前記構成より、リブ7によってドラム2の回転により衣類Mがラッパ部61のクリアランスc部分にまで入り込み難くすることができる。従って、ドアポート6のラッパ部61での衣類Mの引っかかりを防止することができる。よって、衣類Mがラッパ部61のクリアランスc部分に引っかかって、ドラムサポート5の下部の温風吹出し口55から吹き出される温風が局部的に衣類Mに当たり続けたり、衣類Mを取り出し難くするということを防止することができる。
【0019】
リブ7は、
図4を参照して、ドアポート6の後部においてドラムサポート5の筒状フランジ部54と重なる範囲に設けられている。リブ7は、ドアポート6の後端より少し前側の位置から前方に延びるように形成されているが、後端位置から前方に延びるように形成されてもよい。リブ7の高さは、ドアポート6の径方向に延びて前記クリアランスcの寸法距離と一致又はそれより僅かに低い高さに設定されている。リブ7の長さは、ドラムサポート5の筒状フランジ部54の突出長さよりも短い長さに設定されている。
【0020】
これにより、ドラムサポート5に対してドアポート6の着脱がリブ7によって阻害されることがなく、ドアポート6の組付け時やメンテ時にドアポート6の着脱を円滑に行うことができる。従って、ドアポート6のラッパ部61での衣類Mの引っかかりを防止しつつ、ドアポート6の組付け作業性を良好に確保することができる。
【0021】
なお、本発明は、前記実施形態のみに限定されず、特許請求の範囲内で様々な変更を施すことが可能である。
例えば、障害部となるリブ7は、ドアポート6ではなく、ドラムサポート5の筒状フランジ部54の内周面に突出して設けるようにしてもよい。リブ7(障害部)は、ドアポート6又はドラムサポート5に対して一体に設けられるものに限らず、様々な結合方法にて着脱可能に設けられてもよい。
また、ドラム2が正回転及び逆回転するものでは、リブ7(障害部)は、ラッパ部61の左右両方の周方向端部61a,61b付近にそれぞれ設けるようにすることができる。なお、ドラム2が一方向にのみ回転するものであっても、リブ7(障害部)をラッパ部61の左右両方の周方向端部61a,61b付近にそれぞれ設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 衣類乾燥機
2 ドラム
3 給排気ファン
4 バーナ
5 ドラムサポート
6 ドアポート
7,7a,7b リブ(障害部)
10 本体
11 前板
12 衣類取出口
13 扉
14 排気ダクト
15 給気口
16 固定壁
21 ドラムの開口部
22 前面開口縁部
23 排気口
24 ドラム軸
25 ドラムの後面
51 板面部
52 ドラム受け部
53 ドラムサポートの開口部
54 筒状フランジ部
55 温風吹出し口
61 ラッパ部
61a,61b 周方向端部
A ドラム回転方向
c クリアランス
M 衣類