(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20240425BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B65H7/02
H04N1/00 567J
(21)【出願番号】P 2020146912
(22)【出願日】2020-09-01
(62)【分割の表示】P 2020105551の分割
【原出願日】2020-06-18
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 拓実
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-088784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/02
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送部と、
搬送される媒体の傾きを検出する第1検出部と、
搬送される媒体の所定位置の通過有無を検出する第2検出部と、
前記媒体の傾き及び前記媒体の所定位置の通過有無に基づいて、前記搬送部による媒体の搬送を停止させる制御部と、
を有し、
前記制御部は、媒体が前記所定位置を通過していない場合、前記搬送部による媒体の搬送を停止させない、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記搬送部によって搬送される媒体を撮像して画像を生成する撮像部をさらに有し、
前記第1検出部は、前記撮像部により生成された画像に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出し、
前記第2検出部は、前記撮像部により生成された画像に基づいて、搬送される媒体の所定位置の通過有無を検出する、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記撮像部は、前記搬送部によって搬送される媒体を撮像して、ライン画像を順次生成し、
前記第1検出部は、前記ライン画像内の少なくとも二つの第1画素に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出し、
前記第2検出部は、前記ライン画像に基づいて、搬送される媒体の前記第1画素より外側に位置する第2画素に対応する位置の通過有無を、前記所定位置の通過有無として検出する、請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記撮像部は、前記搬送部によって搬送される媒体の一方の面を撮像して第1ライン画像を生成する第1撮像部と、前記搬送部によって搬送される媒体の他方の面を撮像して第2ライン画像を生成する第2撮像部と、を含み、
前記第1検出部は、前記第1ライン画像に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出し、
前記第2検出部は、前記第2ライン画像に基づいて、搬送される媒体の前記所定位置の通過有無を検出する、請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記第1ライン画像内の前記第1画素の周辺画素の階調値の平均値を算出する第1平均値算出部と、
前記第2ライン画像内の前記第2画素の周辺画素の階調値の平均値を算出する第2平均値算出部と、をさらに有し、
前記第1検出部は、前記第1ライン画像内の前記第1画素の周辺画素の階調値の平均値に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出し、
前記第2検出部は、前記第2ライン画像内の前記第2画素の周辺画素の階調値の平均値に基づいて、搬送される媒体の前記所定位置の通過有無を検出する、請求項4に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記第1ライン画像内の前記第1画素の周辺画素の階調値の平均値、及び、前記第2ライン画像内の前記第2画素の周辺画素の階調値の平均値に基づいて、前記第1ライン画像、前記第2ライン画像、前記第1ライン画像に基づく画像又は前記第2ライン画像に基づく画像を補正する補正部をさらに有する、請求項5に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記第2撮像部は、媒体搬送方向において前記第1撮像部より下流側に配置され、
前記第1検出部は、前記第1ライン画像及び前記第2ライン画像に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出する、請求項4~6の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記第2撮像部は、媒体搬送方向において前記第1撮像部より下流側に配置され、
前記第2検出部は、前記第1ライン画像及び前記第2ライン画像に基づいて、搬送される媒体の前記所定位置の通過有無を検出する、請求項4~6の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記第2検出部は、前記第1検出部により検出された傾きが閾値以上であった場合に限り、以降に生成されたライン画像に基づいて、搬送される媒体の前記所定位置の通過有無を検出する、請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
媒体搬送方向において、前記搬送部と前記撮像部の間に配置された媒体センサをさらに有し、
前記第1検出部は、前記搬送部により搬送される媒体の先端が前記媒体センサの位置を通過してから、搬送される媒体の傾きを検出する、請求項2~9の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項11】
媒体を搬送する搬送部を有する媒体搬送装置の制御方法であって、
搬送される媒体の傾きを検出し、
搬送される媒体の所定位置の通過有無を検出し、
前記媒体の傾き及び前記媒体の所定位置の通過有無に基づいて、前記搬送部による媒体の搬送を停止させる、
ことを含み、
媒体が前記所定位置を通過していない場合、前記搬送部による媒体の搬送を停止させない、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
媒体を搬送する搬送部を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
搬送される媒体の傾きを検出し、
搬送される媒体の所定位置の通過有無を検出し、
前記媒体の傾き及び前記媒体の所定位置の通過有無に基づいて、前記搬送部による媒体の搬送を停止させる、
ことを前記媒体搬送装置に実行させ、
媒体が前記所定位置を通過していない場合、前記搬送部による媒体の搬送を停止させない、
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、媒体を搬送して撮像する媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ等の媒体搬送装置では、媒体が搬送路を移動する際にスキュー(斜行)、ジャム(紙詰まり)等の搬送異常が発生する場合がある。媒体搬送装置では、媒体の搬送異常が発生した場合に媒体の損傷を防止できるように媒体の搬送を適切に停止する必要がある。
【0003】
シートの先端部の位置と、シートの斜行量とに基づき、シート搬送方向と直交する方向におけるシートの先端部が所定量はみ出す第1予測位置を予測し、第1予測位置の手前で搬送機構を停止する画像処理装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
媒体搬送装置では、媒体の搬送をより適切に制御することが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、媒体の搬送をより適切に制御することが可能な媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される媒体を撮像して、ライン画像を順次生成する撮像部と、ライン画像内の少なくとも二つの第1画素に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出する検出部と、ライン画像に基づいて、搬送される媒体の一部が第1画素より外側に位置する第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定する判定部と、検出部により検出された傾きが閾値以上であり、且つ、判定部により媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したと判定された場合に、搬送部による媒体の搬送を停止させる制御部と、を有する。
【0008】
また、本発明の一側面に係る制御方法は、媒体を搬送する搬送部を有する媒体搬送装置の制御方法であって、搬送部によって搬送される媒体を撮像して、ライン画像を順次生成する撮像部と、ライン画像内の少なくとも二つの第1画素に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出し、ライン画像に基づいて、搬送される媒体の一部が第1画素より外側に位置する第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定し、検出された傾きが閾値以上であり、且つ、媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したと判定された場合に、搬送部による媒体の搬送を停止させる。
【0009】
また、本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体を搬送する搬送部を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、搬送部によって搬送される媒体を撮像して、ライン画像を順次生成する撮像部と、ライン画像内の少なくとも二つの第1画素に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出し、ライン画像に基づいて、搬送される媒体の一部が第1画素より外側に位置する第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定し、検出された傾きが閾値以上であり、且つ、媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したと判定された場合に、搬送部による媒体の搬送を停止させることを媒体搬送装置に実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムは、媒体の搬送をより適切に制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る媒体搬送装置100を示す斜視図である。
【
図2】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図3】撮像装置117について説明するための図である。
【
図4】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】第1画素及び第2画素について説明するための模式図である。
【
図6】記憶装置160及び処理回路170の概略構成を示す図である。
【
図7】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図8】異常判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図9A】媒体の傾きについて説明するための模式図である。
【
図9B】媒体の所定位置の通過について説明するための模式図である。
【
図10】補正処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図11】他の媒体搬送装置200の概略構成を示すブロック図である。
【
図12】他の異常判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図13】他の補正処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図14】他の処理回路270の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
【0014】
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0015】
上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0016】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
【0017】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0018】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0019】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、第1センサ111、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第2センサ116、第1撮像装置117a、第2撮像装置117b、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。以下では、第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを総じて撮像装置117と称する場合がある。
【0020】
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。
図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0021】
第1センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の上流側に配置される。第1センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。
【0022】
給送ローラ112は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する。ブレーキローラ113は、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112に対向して配置される。
【0023】
第2センサ116は、媒体センサの一例であり、媒体搬送方向A1において第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115と撮像装置117の間に、且つ、媒体搬送方向A1と直交する幅方向A8において略中央位置に配置される。第2センサ116は、媒体搬送路に対して一方の側(例えば、下側筐体101)に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置(例えば、上側筐体102)に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第2媒体信号を生成して出力する。第2センサ116の位置に媒体が存在する場合、第2センサ116の発光器により照射された光はその媒体により遮光される。そのため、第2センサ116の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで第2媒体信号の信号値は変化する。これにより、第2センサ116は、その位置に媒体が存在するか否かを検出して、給送された媒体を検出する。なお、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、反射部材は省略されてもよい。
【0024】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が
図2の矢印A2の方向、即ち媒体給送方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、媒体搬送時、矢印A3の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
【0025】
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ115の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115がそれぞれ矢印A4及び矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置117aと第2撮像装置117bの間に送り込まれる。給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115は、媒体を搬送する搬送部の一例である。撮像装置117により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0026】
図3は、撮像装置117について説明するための図である。
【0027】
図3に示すように、第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bは、相互に対向して配置される。第1撮像装置117aは、第1光透過部材121a、第1光源122a、第1撮像センサ123a及び第1裏当て部材124a等を有する。第2撮像装置117bは、第2光透過部材121b、第2光源122b、第2撮像センサ123b及び第2裏当て部材124b等を有する。
【0028】
第1光透過部材121a及び第2光透過部材121bは、透明のガラスにより形成される。なお、第1光透過部材121a及び第2光透過部材121bは、透明のプラスチック等により形成されてもよい。
【0029】
第1光源122aは、第1光透過部材121a及び第2光透過部材121bを挟んで第2裏当て部材124bの反対側に設けられる。第1光源122aは、LED(Light Emitting Diode)を有し、撮像装置117の位置に搬送された媒体の表面(媒体が搬送されていない場合は対向する第2裏当て部材124b)に向けて光を照射する。
【0030】
同様に、第2光源122bは、第2光透過部材121b及び第1光透過部材121aを挟んで第1裏当て部材124aの反対側に設けられる。第2光源122bは、LEDを有し、撮像装置117の位置に搬送された媒体の裏面(媒体が搬送されていない場合は対向する第1裏当て部材124a)に向けて光を照射する。
【0031】
第1撮像センサ123aは、第1撮像部の一例であり、第1光透過部材121a及び第2光透過部材121bを挟んで第2裏当て部材124bの反対側に設けられる。第1撮像センサ123aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像センサ123aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像センサ123aは、撮像位置L1において、搬送部によって搬送される媒体の一方の面(表面)及び媒体の周囲を撮像する。第1撮像センサ123aは、一定間隔毎に、搬送されている媒体のラインセンサと対向する領域を撮像した第1ライン画像を順次生成して出力する。また、第1撮像センサ123aは、媒体が搬送されていない場合、第2裏当て部材124bを撮像した第1基準画像を生成して出力する。第1ライン画像及び第1基準画像の垂直方向(副走査方向)の画素数は1であり、水平方向(主走査方向)の画素数は複数である。
【0032】
同様に、第2撮像センサ123bは、第2撮像部の一例であり、第1光透過部材121a及び第2光透過部材121bを挟んで第1裏当て部材124aの反対側に設けられる。第2撮像センサ123bは、媒体搬送方向A1において第1撮像センサ123aより下流側に配置される。第2撮像センサ123bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像センサ123bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル変換するA/D変換器とを有する。第2撮像センサ123bは、撮像位置L2において、搬送部によって搬送される媒体の一方の面(裏面)及び媒体の周囲を撮像する。第2撮像センサ123bは、一定間隔毎に、搬送されている媒体のラインセンサと対向する領域を撮像した第2ライン画像を順次生成して出力する。また、第2撮像センサ123bは、媒体が搬送されていない場合、第1裏当て部材124aを撮像した第2基準画像を生成して出力する。第2ライン画像及び第2基準画像の垂直方向(副走査方向)の画素数は1であり、水平方向(主走査方向)の画素数は複数である。
【0033】
第1撮像センサ123a及び第2撮像センサ123bは撮像部の一例であり、第1撮像センサ123a又は第2撮像センサ123bの内の何れか一方は省略されてもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0034】
第1裏当て部材124aは、第1光透過部材121aの下方に且つ第2光源122b及び第2撮像センサ123bと対向する位置に設けられる。第1裏当て部材124aは、第2撮像センサ123bと対向する第1対向面を有する。第1対向面は、例えば白色を有し、第1対向面が撮像された画像信号に基づいてシェーディング等の画像の補正を行うための白基準部材として機能する。
【0035】
同様に、第2裏当て部材124bは、第2光透過部材121bの上方に且つ第1光源122a及び第1撮像センサ123aと対向する位置に設けられる。第2裏当て部材124bは、第1撮像センサ123aと対向する第2対向面を有している。第2対向面は、例えば白色を有し、第2対向面が撮像された画像信号に基づいてシェーディング等の画像の補正を行うための白基準部材として機能する。
【0036】
以下では、第1光源122a及び第2光源122bを総じて光源122と称する場合がある。第1撮像センサ123a及び第2撮像センサ123bを総じて撮像センサ123と称する場合がある。また、第1裏当て部材124a及び第2裏当て部材124bを総じて裏当て部材124と称する場合がある。また、第1対向面及び第2対向面を総じて対向面と称する場合がある。
【0037】
図4は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0038】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、モータ151、インタフェース装置152、第1平均値算出回路153a、第2平均値算出回路153b、記憶装置160及び処理回路170等をさらに有する。
【0039】
モータ151は、一又は複数のモータを有し、処理回路170からの制御信号によって、給送ローラ112、ブレーキローラ113及び第1~第4搬送ローラ114、115、118、119を回転させて媒体を搬送させる。
【0040】
インタフェース装置152は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置152の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0041】
第1平均値算出回路153aは、第1撮像装置117aが第1ライン画像を生成するたびに、第1撮像装置117aから第1ライン画像を受信する。第1平均値算出回路153aは、受信した第1ライン画像内の第1画素の周辺画素の階調値の第1平均値を算出し、処理回路170に出力する。第1画素として、処理回路170により複数の画素が設定される。周辺画素は、第1画素から所定範囲(例えば5画素)内に位置する画素である。階調値は、輝度値又は色値(R値、G値もしくはB値)である。
【0042】
第2平均値算出回路153bは、第2撮像装置117bが第2ライン画像を生成するたびに、第2撮像装置117bから第2ライン画像を受信する。第2平均値算出回路153bは、受信した第2ライン画像内の第2画素の周辺画素の階調値の第2平均値を算出し、処理回路170に出力する。第2画素として、第1画素より外側に位置する画素、即ち幅方向A8の端部側に位置する画素が設定される。第2画素として、処理回路170により一つ又は複数の画素が設定される。第2画素として、例えば第2ライン画像内の幅方向A8の端部に位置する端部画素が設定される。周辺画素は、第2画素から所定範囲(例えば5画素)内に位置する画素である。
【0043】
以下では、第1平均値算出回路153a及び第2平均値算出回路153bを総じて平均値算出回路153と称する場合がある。平均値算出回路153は、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等である。
【0044】
図5は、第1画素及び第2画素について説明するための模式図である。
図5は、上側筐体102を取り外した状態で下側筐体101を上方から見た模式図である。
【0045】
図5に示すように、第1画素として、例えば第1撮像装置117aの撮像位置L1内で媒体搬送方向と直交する幅方向A8の中心位置P1、及び、中心位置P1から外側に所定距離だけ離れた位置P2、P3に対応する画素が設定される。即ち、第1画素として、第1ライン画像内で各位置P1~P3が撮像された画素が設定される。所定距離は、搬送される媒体Mの傾きを算出可能な長さに予め設定される。各位置P1、P2、P3の周辺領域R1、R2、R3に対応する画素、即ち各領域R1~R3が撮像された画素が各第1画素の周辺画素に設定される。なお、少なくとも二つの画素が第1画素として設定されればよく、位置P1、P2、P3の内の何れか一つに対応する画素は第1画素として設定されなくてもよい。
【0046】
また、第2画素として、例えば第2撮像装置117bの撮像位置L2内で幅方向A8の端部位置P4及びP5に対応する画素、即ち各位置P4、P5が撮像された画素が設定される。各位置P4、P5の周辺領域R4、R5に対応する画素、即ち各領域R4、R5が撮像された画素が第2画素の周辺画素に設定される。なお、少なくとも一つの画素が第2画素として設定されればよく、位置P4、P5の内の何れか一方に対応する画素は第2画素として設定されなくてもよい。
【0047】
記憶装置160は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置160には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置160にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0048】
処理回路170は、予め記憶装置160に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路170として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
【0049】
処理回路170は、操作装置105、表示装置106、第1センサ111、第2センサ116、撮像装置117、モータ151、インタフェース装置152、平均値算出回路153及び記憶装置160等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路170は、モータ151の駆動制御、撮像装置117の撮像制御等を行い、入力画像を生成し、インタフェース装置152を介して情報処理装置に送信する。また、処理回路170は、撮像装置117により生成されるライン画像に基づいて、媒体の搬送異常が発生したか否かを判定し、判定結果に基づいて媒体の搬送を制御する。
【0050】
図6は、記憶装置160及び処理回路170の概略構成を示す図である。
【0051】
図6に示すように、記憶装置160には、制御プログラム161、検出プログラム162、判定プログラム163、画像生成プログラム164及び補正プログラム165等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路170は、記憶装置160に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路170は、制御部171、検出部172、判定部173、画像生成部174及び補正部175として機能する。
【0052】
図7は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0053】
以下、
図7に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置160に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路170により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
図7に示す動作のフローは、定期的に実行される。
【0054】
最初に、制御部171は、利用者により操作装置105を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0055】
次に、制御部171は、第1センサ111から第1媒体信号を取得し、取得した第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0056】
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部171は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0057】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部171は、各撮像センサ123に各裏当て部材124の対向面を撮像させて第1基準画像及び第2基準画像を生成させ、生成された第1基準画像及び第2基準画像を取得する(ステップS103)。また、制御部171は、第1平均値算出回路153a及び第2平均値算出回路153bから、第1基準画像及び第2基準画像から算出された第1平均値及び第2平均値を取得する。
【0058】
次に、制御部171は、モータ151を駆動し、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1~第4搬送ローラ114、115、118及び119を回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS104)。
【0059】
次に、制御部171は、媒体の先端が第2センサ116の位置を通過したか否かを判定する(ステップS105)。制御部171は、第2センサ116から定期的に第2媒体信号を取得し、取得した第2媒体信号に基づいて、第2センサ116の位置に媒体が存在するか否かを判定する。制御部171は、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2センサ116の位置を通過したと判定する。
【0060】
媒体の先端が第2センサ116の位置を通過していない場合、制御部171は、媒体の給送を開始してから第1所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS106)。第1所定時間は、事前の実験により、媒体の給送を開始してから媒体の先端が第2センサ116の位置を通過するまでに要する時間にマージンを加えた時間に設定される。媒体の給送を開始してから第1所定時間が経過していない場合、制御部171は、処理をステップS105へ戻し、ステップS105~S106の処理を繰り返す。
【0061】
一方、媒体の給送を開始してから第1所定時間が経過した場合、判定部173は、媒体のジャム(紙詰まり)又はスリップによる搬送停止等の搬送異常が発生したと判定する(ステップS107)。
【0062】
次に、制御部171は、モータ151を停止して、搬送部による媒体の給送及び搬送を停止し(ステップS108)、一連のステップを終了する。なお、制御部171は、媒体の給送及び搬送を停止した後、不図示のスピーカ、LED等により、媒体の搬送異常が発生したことを利用者に通知してもよい。
【0063】
一方、ステップS105において、媒体の先端が第2センサ116の位置を通過した場合、制御部171は、撮像装置117に撮像を開始させる(ステップS109)。
【0064】
次に、処理回路170は、異常判定処理を実行する(ステップS110)。処理回路170は、撮像装置117が第1ライン画像及び第2ライン画像を生成するたびに、異常判定処理を実行する。異常判定処理において、検出部172は、第1ライン画像に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出し、判定部173は、第2ライン画像に基づいて、搬送される媒体の一部が所定位置を通過したか否かを判定する。制御部171は、検出部172による検出結果及び判定部173による判定結果に基づいて、媒体のスキュー(斜行)等の搬送異常が発生したか否かを判定する。即ち、搬送部により搬送される媒体の先端が第2センサ116の位置を通過してから、検出部172は、搬送される媒体の傾きを検出し、判定部173は、搬送される媒体の一部が所定位置を通過したか否かを判定する。これにより、媒体搬送装置100は、媒体読取処理の処理負荷を低減させることが可能となる。異常判定処理の詳細については後述する。
【0065】
次に、制御部171は、異常判定処理において媒体の搬送異常が発生したと判定されたか否かを判定する(ステップS111)。
【0066】
異常判定処理において媒体の搬送異常が発生したと判定された場合、制御部171は、モータ151を停止して、搬送部による媒体の給送及び搬送を停止し(ステップS108)、一連のステップを終了する。
【0067】
一方、異常判定処理において媒体の搬送異常が発生していないと判定された場合、制御部171は、搬送される媒体全体が撮像装置117により撮像されたか否かを判定する(ステップS112)。制御部171は、第2センサ116から定期的に第2媒体信号を取得し、取得した第2媒体信号に基づいて、第2センサ116の位置に媒体が存在するか否かを判定する。制御部171は、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第2センサ116の位置を通過したと判定する。制御部171は、媒体の後端が第2センサ116の位置を通過したと判定してから第1所定時間が経過したときに、媒体全体が撮像されたと判定する。まだ媒体全体が撮像されていない場合、制御部171は、処理をステップS110へ戻し、ステップS110~S112の処理を繰り返す。
【0068】
一方、媒体全体が撮像された場合、画像生成部174は、生成された全ての第1ライン画像を合成して第1入力画像を生成し、生成された全ての第2ライン画像を合成して第2入力画像を生成する(ステップS113)。
【0069】
次に、補正部175は、補正処理を実行する(ステップS114)。補正部175は、補正処理において、第1ライン画像内の第1画素の周辺画素の階調値の平均値及び/又は第2ライン画像内の第2画素の周辺画素の階調値の平均値に基づいて、第1入力画像及び/又は第2入力画像を補正する。補正処理の詳細については後述する。
【0070】
次に、画像生成部174は、第1入力画像及び第2入力画像を、インタフェース装置152を介して情報処理装置へ送信する(ステップS115)。
【0071】
次に、制御部171は、第1センサ111から取得する媒体検出信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS116)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部171は、ステップS105へ処理を戻し、ステップS105~S116の処理を繰り返す。
【0072】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部171は、モータ151を停止し(ステップS117)、一連のステップを終了する。
【0073】
図8は、異常判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図8に示す動作のフローは、
図7に示すフローチャートのステップS110において実行される。
【0074】
最初に、検出部172は、第1平均値算出回路153aから、最新の第1ライン画像から算出された各第1平均値を取得し、記憶装置160に記憶する(ステップS201)。
【0075】
次に、検出部172は、現在までに取得した各第1平均値に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出する(ステップS202)。
【0076】
まず、検出部172は、複数の第1画素毎に、各第1画素において媒体の先端が検出済みであるか否かを判定する。
【0077】
次に、検出部172は、媒体の先端がまだ検出されていない第1画素毎に、第1変動値を算出する。検出部172は、最新の第1ライン画像内の各第1画素について算出された第1平均値から、第1基準画像内の対応する第1画素について算出された第1平均値を減算した値を第1変動値として算出する。なお、検出部172は、最新の第1ライン画像内の各第1画素について算出された第1平均値を、第1基準画像内の対応する第1画素について算出された第1平均値で除算した値を第1変動値として算出してもよい。これらにより、検出部172は、裏当て部材124の階調値と媒体の階調値の差異に基づいて第1変動値を算出することができる。
【0078】
また、検出部172は、最新の第1ライン画像内の各第1画素について算出された第1平均値から、直前の第1ライン画像内の対応する第1画素について算出された第1平均値を減算した値を第1変動値として算出してもよい。また、検出部172は、最新の第1ライン画像内の各第1画素について算出された第1平均値を、直前の第1ライン画像内の対応する第1画素について算出された第1平均値で除算した値を第1変動値として算出してもよい。これらにより、検出部172は、媒体の先端により形成される影の階調値と媒体の先端の階調値の差異に基づいて第1変動値を算出することができる。
【0079】
次に、検出部172は、複数の第1画素毎に算出した各第1変動値が第1閾値より大きいか否かを判定する。第1閾値は、例えば、人が画像上の輝度の違いを目視により判別可能な輝度値の差(例えば20)に設定することができる。第1変動値が第1閾値より大きい場合、検出部172は、その第1変動値に対応する第1画素に媒体の先端が撮像されていると判定し、媒体の先端を検出する。
【0080】
次に、検出部172は、全ての第1画素において媒体の先端が検出済みであるか否かを判定する。全ての第1画素において媒体の先端が検出済みである場合、検出部172は、幅方向A8において相互に隣接する、媒体の先端として検出された二つの第1画素のペア毎に、その二つの第1画素を通過する直線の傾きを算出する。検出部172は、例えば、二つの第1画素における媒体搬送方向A1の増大量ΔYを幅方向A8の増大量ΔXで除算した除算値を二つの第1画素を通過する直線の傾きとして算出する。媒体搬送方向A1の増大量ΔYは、各第1ライン画像を合成した合成画像における、一方の第1画素の媒体搬送方向A1の座標から他方の第1画素の媒体搬送方向A1の座標を減算した値である。幅方向A8の増大量ΔXは、各第1ライン画像を合成した合成画像における、一方の第1画素の幅方向A8の座標から他方の第1画素の幅方向A8の座標を減算した値である。検出部172は、ペア毎に算出した直線の傾きの平均値を、搬送される媒体の傾きとして検出する。
【0081】
図9Aは、媒体の傾きについて説明するための模式図である。
【0082】
図9Aは、複数の第1ライン画像が合成された合成画像Bを示す。
図9Aでは、各第1ライン画像は左右反転して表示されている。合成画像Bには、傾いて搬送された媒体Mが撮像されている。
図9Aに示す例では、第1ライン画像B1の第1画素C1において媒体Mの先端が検出され、第1ライン画像B2の第1画素C2において媒体Mの先端が検出され、第1ライン画像B3の第1画素C3において媒体Mの先端が検出されている。幅方向A8において相互に隣接する、媒体の先端として検出された二つの第1画素のペアとして、第1画素C1及びC2と、第1画素C2及びC3とが抽出される。そして、第1画素C1及びC2を通過する直線D1の傾き(ΔY1/ΔX1)と、第1画素C2及びC3を通過する直線D2の傾き(ΔY2/ΔX2)との平均値が、搬送される媒体の傾きとして検出される。
【0083】
このように、検出部172は、第1ライン画像内の第1画素の周辺画素の階調値の第1平均値に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出する。なお、第1画素として二つの画素のみが設定されている場合、検出部172は、二つの第1画素における媒体搬送方向A1の増大量ΔYを幅方向A8の増大量ΔXで除算した除算値を搬送される媒体の傾きとして検出する。また、検出部172は、第1平均値算出回路153aから取得した第1平均値を用いることなく、第1ライン画像内の第1画素の階調値に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出してもよい。その場合、検出部172は、最新の第1ライン画像内の各第1画素の階調値から、第1基準画像又は直前の第1ライン画像内の対応する第1画素の階調値を減算した値を第1変動値として算出する。または、検出部172は、最新の第1ライン画像内の各第1画素の階調値を、第1基準画像又は直前の第1ライン画像内の対応する第1画素の階調値で除算した値を第1変動値として算出する。このように、検出部172は、第1ライン画像内の少なくとも二つの第1画素に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出する。
【0084】
次に、判定部173は、第2平均値算出回路153bから、最新の第2ライン画像から算出された各第2平均値を取得し、記憶装置160に記憶する(ステップS203)。
【0085】
次に、判定部173は、取得した第2平均値に基づいて、搬送される媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定する(ステップS204)。
【0086】
まず、判定部173は、何れかの第2画素において媒体の一部が検出済みであるか否かを判定する。何れの第2画素においても媒体の一部が検出されていない場合、判定部173は、ステップS202の処理と同様にして、第2画素毎に第2変動値を算出する。判定部173は、最新の第2ライン画像内の各第2画素について算出された第2平均値から、第2基準画像又は直前の第2ライン画像内の対応する第2画素について算出された第2平均値を減算した値を第2変動値として算出する。または、判定部173は、最新の第2ライン画像内の各第2画素について算出された第2平均値を、第2基準画像又は直前の第2ライン画像内の対応する第2画素について算出された第2平均値で除算した値を第2変動値として算出する。
【0087】
次に、判定部173は、第2画素毎に算出した第2変動値の内の何れかが第2閾値より大きいか否かを判定する。第2閾値は、例えば、人が画像上の輝度の違いを目視により判別可能な輝度値の差(例えば20)に設定することができる。何れかの第2変動値が第2閾値より大きい場合、判定部173は、搬送される媒体の一部が、その第2変動値に対応する第2画素に対応する位置を通過したと判定する。
【0088】
図9Bは、媒体の第2画素に対応する位置の通過について説明するための模式図である。
【0089】
図9Bは、複数の第2ライン画像が合成された合成画像Eを示す。合成画像Eには、傾いて搬送された媒体Mが撮像されている。
図9Bに示す例では、第2ライン画像E1において、搬送される媒体の一部が、第2画素F1に対応する位置を通過したと判定されている。
【0090】
このように、判定部173は、第2ライン画像内の第2画素の周辺画素の階調値の平均値に基づいて、搬送される媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定する。なお、判定部173は、第2平均値算出回路153bから取得した第2平均値を用いることなく、第2ライン画像内の第2画素の階調値に基づいて搬送される媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定してもよい。その場合、判定部173は、第2ライン画像内の各第2画素の階調値から、第2基準画像又は直前の第2ライン画像内の対応する第2画素の階調値を減算した値を第2変動値として算出する。または、検出部172は、最新の第2ライン画像内の各第2画素の階調値を、第2基準画像又は直前の第2ライン画像内の対応する第2画素の階調値で除算した値を第2変動値として算出する。このように、検出部172は、第2ライン画像に基づいて、搬送される媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定する。
【0091】
次に、制御部171は、検出部172により検出された傾きが閾値以上であり、且つ、判定部173により媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したと判定されたか否かを判定する(ステップS205)。検出部172により検出された傾きが閾値未満である場合、又は、判定部173により媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したと判定されていない場合、制御部171は、まだ媒体の搬送異常が発生していないと判定し、一連のステップを終了する。
【0092】
一方、検出部172により検出された傾きが閾値以上であり、且つ、判定部173により媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したと判定された場合、制御部171は、媒体の搬送異常が発生したと判定し(ステップS206)、一連のステップを終了する。この場合、
図7のステップS108において、制御部171は、搬送部による媒体の搬送を停止させる。
【0093】
なお、媒体搬送装置100は、第1ライン画像又は第2ライン画像の内の一方のみに基づいて、媒体の搬送異常が発生しているか否かを判定してもよい。その場合、例えば、第2平均値算出回路153bが省略され、第1平均値算出回路153aが、第1ライン画像内の第1画素の周辺画素の階調値の第1平均値を算出するとともに、第1ライン画像内の第2画素の周辺画素の階調値の第2平均値を算出する。ステップS203において、判定部173は、第1平均値算出回路153aから第2平均値を取得する。または、第1平均値算出回路153aが省略され、第2平均値算出回路153bが、第2ライン画像内の第2画素の周辺画素の階調値の第2平均値を算出するとともに、第2ライン画像内の第1画素の周辺画素の階調値の第1平均値を算出する。その場合、ステップS201において、検出部172は、第2平均値算出回路153bから第1平均値を取得する。これらの場合、補正処理は省略される。媒体搬送装置100は、回路規模を低減させることが可能となり、装置の低価格化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
【0094】
また、検出部172が、第2ライン画像に基づいて媒体の傾きを検出し、判定部173が、第1ライン画像に基づいて媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定してもよい。その場合、例えば、第1平均値算出回路153aが、第1ライン画像内の第2画素の周辺画素の階調値の第2平均値を算出し、第2平均値算出回路153bが、第2ライン画像内の第1画素の周辺画素の階調値の第1平均値を算出する。ステップS201において、検出部172は、第2平均値算出回路153bから第1平均値を取得し、ステップS203において、判定部173は、第1平均値算出回路153aから第2平均値を取得する。
【0095】
また、平均値算出回路153が省略され、処理回路170が第1ライン画像及び第2ライン画像から第1平均値及び又は第2平均値を算出してもよい。その場合、媒体読取処理の処理負荷は高くなるが、媒体搬送装置100は、回路規模を低減させることが可能となり、装置の低価格化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
【0096】
また、検出部172は、第1ライン画像及び第2ライン画像の両方に基づいて、搬送される媒体の傾きを検出してもよい。その場合、第2平均値算出回路153bは、第2ライン画像内の第2画素の周辺画素の階調値の第2平均値を算出するとともに、第2ライン画像内の第1画素の周辺画素の階調値の第1平均値を算出する。ステップS201において、検出部172は、第1平均値算出回路153aから、最新の第1ライン画像から算出された各第1平均値を取得するとともに、第2平均値算出回路153bから、最新の第2ライン画像から算出された各第1平均値を取得する。ステップS202において、検出部172は、第1ライン画像から算出された各第1平均値に基づいて算出された傾きと、第2ライン画像から算出された各第1平均値に基づいて算出された傾きの平均値、最小値又は最大値を、搬送される媒体の傾きとして検出する。これにより、検出部172は、搬送される媒体の傾きをより精度良く検出することができる。
【0097】
また、判定部173は、第1ライン画像及び第2ライン画像の両方に基づいて、搬送される媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定してもよい。その場合、第1平均値算出回路153aは、第1ライン画像内の第1画素の周辺画素の階調値の第1平均値を算出するとともに、第1ライン画像内の第2画素の周辺画素の階調値の第2平均値を算出する。ステップS203において、判定部173は、第2平均値算出回路153bから、最新の第2ライン画像から算出された各第2平均値を取得するとともに、第1平均値算出回路153aから、最新の第1ライン画像から算出された各第2平均値を取得する。ステップS204において、判定部173は、第2ライン画像から算出された第2変動値が第2閾値より大きく、且つ、第1ライン画像から算出された第2変動値が第2閾値より大きい場合に、搬送される媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したと判定する。なお、判定部173は、第2ライン画像から算出された第2変動値が第2閾値より大きい場合、又は、第1ライン画像から算出された第2変動値が第2閾値より大きい場合に、搬送される媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したと判定してもよい。これにより、判定部173は、搬送される媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したか否かをより精度良く判定することができる。
【0098】
図10は、補正処理の動作の例を示すフローチャートである。
図10に示す動作のフローは、
図7に示すフローチャートのステップS114において実行される。
【0099】
最初に、補正部175は、記憶装置160から、全ての第1ライン画像から算出された各第1平均値を読み出して取得する(ステップS301)。
【0100】
次に、補正部175は、取得した各第1平均値の第1統計値を算出する(ステップS302)。補正部175は、第1統計値として、各第1平均値の平均値、中央値、最頻値、最大値又は最小値を算出する。なお、補正部175は、各第1平均値の内、媒体搬送方向A1における端部(先端及び後端)における第1平均値のみから第1統計値を算出してもよい。これにより、補正部175は、媒体に印刷されたコンテンツ(文字、罫線、画像等)の影響を受けないように、第1統計値を算出することができる。
【0101】
次に、補正部175は、記憶装置160から、全ての第2ライン画像から算出された各第2平均値を読み出して取得する(ステップS303)。
【0102】
次に、補正部175は、取得した各第2平均値の第2統計値を算出する(ステップS304)。補正部175は、第2統計値として、各第2平均値の平均値、中央値、最頻値、最大値又は最小値を算出する。なお、補正部175は、各第2平均値の内、媒体搬送方向A1における端部(先端及び後端)における第2平均値のみから第2統計値を算出してもよい。これにより、補正部175は、媒体に印刷されたコンテンツの影響を受けないように、第2統計値を算出することができる。
【0103】
次に、補正部175は、算出した第1統計値と第2統計値の差が階調閾値以上であるか否かを判定する(ステップS305)。階調閾値は、例えば、人が画像上の明るさの違いを目視により判別可能な階調値の差(例えば10)に設定することができる。第1統計値と第2統計値の差が階調閾値未満である場合、補正部175は、特に処理を実行せずに一連のステップを終了する。
【0104】
一方、第1統計値と第2統計値の差が階調閾値以上である場合、補正部175は、第1入力画像及び/又は第2入力画像を補正し(ステップS306)、一連のステップを終了する。例えば、補正部175は、第1統計値が第2統計値より小さい場合、第1入力画像内の各画素の階調値に、第2統計値から第1統計値を減算した減算値を加算するように、第1入力画像を補正する。なお、補正部175は、第1統計値が第2統計値より小さい場合、第2入力画像内の各画素の階調値から、第2統計値から第1統計値を減算した減算値を減算するように、第2入力画像を補正してもよい。一方、補正部175は、第2統計値が第1統計値より小さい場合、第2入力画像内の各画素の階調値に、第1統計値から第2統計値を減算した減算値を加算するように、第2入力画像を補正する。なお、補正部175は、第2統計値が第1統計値より小さい場合、第1入力画像内の各画素の階調値から、第1統計値から第2統計値を減算した減算値を減算するように、第1入力画像を補正してもよい。
【0105】
このように、補正部175は、第1平均値及び第2平均値に基づいて、第1入力画像又は第2入力画像を補正する。第1入力画像は、第1ライン画像に基づく画像の一例であり、第2入力画像は、第2ライン画像に基づく画像の一例である。これにより、補正部175は、第1光源122aと第2光源122bのそれぞれから媒体までの距離が大きく異なり、第1入力画像と第2入力画像の全体的な明るさに差異が生じる場合に、各入力画像の全体的な明るさを統一させることができる。また、補正部175は、媒体の搬送制御に利用する第1平均値及び第2平均値を用いて入力画像を補正することにより、処理負荷が増大することを抑制しつつ、効率良く各入力画像を補正することができる。
【0106】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、第1ライン画像に基づいて検出された媒体の傾きが閾値以上であり、且つ、第2ライン画像に基づいて媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したと判定された場合に、媒体の搬送を停止する。これにより、媒体搬送装置100は、媒体のスキューが発生していても、媒体が搬送路の側壁に衝突する可能性が低い場合は媒体の搬送を継続させつつ、媒体が搬送路の側壁に衝突する可能性が高い場合に媒体の搬送を停止させて、媒体の損傷の発生を抑制する。換言すると、媒体搬送装置100は、媒体の一部が撮像装置117の端部等の位置を通過していても、媒体のスキューが発生していない場合は媒体の搬送を継続させつつ、媒体のスキューが発生している場合に媒体の搬送を停止させて、媒体の損傷の発生を抑制する。したがって、媒体搬送装置100は、媒体の搬送をより適切に制御することが可能となった。
【0107】
また、媒体搬送装置100は、媒体の一部が、撮像装置117の端部等の位置を実際に通過した場合に限り、媒体の搬送異常が発生したと判定して、媒体の搬送を停止する。これにより、媒体搬送装置100は、媒体の搬送異常が発生したか否かをより精度良く判定することができる。
【0108】
また、媒体搬送装置100は、媒体内のコンテンツの一部が撮像装置117により撮像されない可能性が高い場合にも、媒体の搬送を停止させて、媒体の搬送異常が発生したことを利用者に通知することができ、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0109】
また、媒体搬送装置100は、撮像装置117が撮像する画像に基づいて媒体の搬送異常の発生を判定するため、搬送路の側壁に媒体が接近したことを検知するための特殊なセンサを使用することなく、媒体の搬送異常が発生しているか否かを判定することができる。したがって、媒体搬送装置100は、装置コスト及び装置サイズの増大を抑制しつつ、媒体の搬送異常が発生しているか否かを判定することができる。
【0110】
各平均値算出回路153において、周辺画素の階調値の平均値を算出する画素の数を増大させると、各平均値算出回路153の回路規模が大きくなり、媒体搬送装置100の装置コストが増大する。媒体搬送装置100では、第1ライン画像から周辺画素の階調値の平均値を算出する画素の数と、第2ライン画像から周辺画素の階調値の平均値を算出する画素の数とをそれぞれ2~3個としている。これにより、媒体搬送装置100は、装置コストの増大を抑制しつつ、第1平均値及び第2平均値を用いて、さらに第1入力画像と第2入力画像の両方を低負荷に且つ高精度に補正することができる。
【0111】
特に、媒体搬送装置100は、媒体搬送装置100がサポートする最大サイズの媒体より大きい媒体、ステイプルで綴じられた媒体、又は、二つ折りにされた媒体等が搬送され、媒体のスキューが発生した場合に、媒体の搬送を適切に停止させることができる。
【0112】
図11は、他の実施形態に係る媒体搬送装置200の概略構成を示すブロック図である。
【0113】
図11に示すように、媒体搬送装置200は、第1平均値算出回路153a及び第2平均値算出回路153bの代わりに平均値算出回路253を有している。
【0114】
平均値算出回路253は、第1撮像装置117aから第1ライン画像を受信し、受信した第1ライン画像内の第1画素の周辺画素の階調値の第1平均値を算出して処理回路170に出力することが可能である。さらに、平均値算出回路253は、第2撮像装置117bから第2ライン画像を受信し、受信した第2ライン画像内の第2画素の周辺画素の階調値の第2平均値を算出して処理回路170に出力することが可能である。但し、平均値算出回路253は、処理回路170からの設定に従って、第1平均値又は第2平均値の内の何れか一方のみを算出して出力する。
【0115】
図12は、媒体搬送装置200による異常判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図12に示すフローチャートは、
図8に示したフローチャートの代わりに実行される。なお、媒体の搬送開始時に、制御部171により、平均値算出回路253は第1平均値を算出して出力するように設定される。
【0116】
最初に、検出部172は、現在搬送されている媒体について、既に、媒体の傾きとして閾値以上の傾きが検出されたか否かを判定する(ステップS401)。既に閾値以上の傾きが検出されている場合、検出部172は、処理をステップS406へ移行させる。
【0117】
一方、まだ閾値以上の傾きが検出されていない場合、検出部172は、平均値算出回路253から、最新の第1ライン画像から算出された各第1平均値を取得し、記憶装置160に記憶する(ステップS402)。
【0118】
次に、検出部172は、
図8のステップS202の処理と同様にして、搬送される媒体の傾きを検出する(ステップS403)。
【0119】
次に、制御部171は、検出部172により検出された傾きが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS404)。検出部172により検出された傾きが閾値未満である場合、制御部171は、まだ媒体の搬送異常が発生していないと判定し、一連のステップを終了する。
【0120】
一方、検出部172により検出された傾きが閾値以上である場合、制御部171は、以降、平均値算出回路253が第2平均値を算出して出力するように、平均値算出回路253の設定を変更し(ステップS405)、一連のステップを終了する。
【0121】
一方、ステップS401で既に閾値以上の傾きが検出されていた場合、判定部173は、平均値算出回路253から、最新の第2ライン画像から算出された各第2平均値を取得し、記憶装置160に記憶する(ステップS406)。
【0122】
次に、判定部173は、
図8のステップS204の処理と同様にして、搬送される媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定する(ステップS407)。
【0123】
次に、制御部171は、判定部173により媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したと判定されたか否かを判定する(ステップS408)。判定部173により媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したと判定されていない場合、制御部171は、まだ媒体の搬送異常が発生していないと判定し、一連のステップを終了する。
【0124】
一方、判定部173により媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したと判定された場合、制御部171は、媒体の搬送異常が発生したと判定し(ステップS409)、一連のステップを終了する。この場合、
図7のステップS108において、制御部171は、搬送部による媒体の搬送を停止させる。
【0125】
このように、判定部173は、検出部172により検出された傾きが閾値以上であった場合に限り、以降に生成された第2ライン画像に基づいて、搬送される媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定する。これにより、平均値算出回路253は、第1平均値と第2平均値とを同時に算出する必要がなくなり、同時に平均値を算出する画素グループの数を低減させることが可能となる。したがって、媒体搬送装置100は、回路規模を低減させることが可能となり、装置の低価格化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
【0126】
なお、媒体搬送装置200は、媒体搬送装置100と同様に、第1平均値算出回路153a及び第2平均値算出回路153bを有して、
図12に示す異常判定処理を実行してもよい。その場合、ステップS402において、検出部172は、第1平均値算出回路153aから各第1平均値を取得し、ステップS406において、判定部173は、第2平均値算出回路153bから各第2平均値を取得する。
【0127】
また、媒体搬送装置100と同様に、媒体搬送装置200は、第1ライン画像又は第2ライン画像の内の一方のみに基づいて、媒体の搬送異常が発生しているか否かを判定してもよい。その場合、例えば、平均値算出回路253は、第1ライン画像内の第1画素の周辺画素の階調値の第1平均値を算出し、第1ライン画像内の第2画素の周辺画素の階調値の第2平均値を算出する。または、平均値算出回路253は、第2ライン画像内の第1画素の周辺画素の階調値の第1平均値を算出し、第2ライン画像内の第2画素の周辺画素の階調値の第2平均値を算出する。これらの場合、補正処理は省略される。媒体搬送装置200は、平均値算出回路253の回路構成をシンプルにすることが可能となり、装置の低価格化及び低消費電力化を図ることが可能となる。
【0128】
また、媒体搬送装置100と同様に、検出部172が、第2ライン画像に基づいて媒体の傾きを検出し、判定部173が、第1ライン画像に基づいて媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定してもよい。その場合、例えば、平均値算出回路253は、第1ライン画像内の第2画素の周辺画素の階調値の第2平均値を算出し、第2ライン画像内の第1画素の周辺画素の階調値の第1平均値を算出する。また、媒体搬送装置100と同様に、平均値算出回路253が省略され、処理回路170が第1ライン画像及び第2ライン画像から第1平均値及び又は第2平均値を算出してもよい。
【0129】
以上詳述したように、媒体搬送装置200は、第1平均値算出回路153a及び第2平均値算出回路153bの代わりに平均値算出回路253を用いる場合にも、媒体の搬送をより適切に制御することが可能となった。
【0130】
図13は、他の実施形態に係る補正処理の動作の例を示すフローチャートである。
図13に示すフローチャートは、
図10に示したフローチャートの代わりに実行される。
【0131】
最初に、補正部175は、記憶装置160から、媒体の先端が撮像された第1ライン画像から算出された第1平均値と、媒体の後端が撮像された第1ライン画像から算出された第1平均値とを読み出して取得する(ステップS501)。補正部175は、
図8のステップS202で検出部172により媒体の先端が検出された第1ライン画像を媒体の先端が撮像された第1ライン画像として特定する。また、補正部175は、媒体の後端が第2センサ116の位置を通過した後に、第1変動値が第1閾値より大きくなった場合、その第1変動値に対応する第1画素に対して媒体の搬送方向側に隣接する第1画素を媒体の後端として検出する。そして、補正部175は、媒体の後端が検出された第1ライン画像を媒体の後端が撮像された第1ライン画像として特定する。
【0132】
次に、補正部175は、媒体の先端が撮像された第1ライン画像から算出された第1平均値と、媒体の後端が撮像された第1ライン画像から算出された第1平均値とに基づいて第1入力画像を補正する(ステップS502)。
【0133】
例えば媒体の先端又は後端が搬送路に対して浮き上がって搬送された場合、媒体搬送方向A1において媒体の各位置と第1光源122aの間の距離が変化し、第1入力画像内で垂直方向(媒体搬送方向A1)において媒体の明るさが変動する可能性がある。補正部175は、媒体の先端に係る第1平均値と、媒体の後端に係る第1平均値とに基づいて、第1入力画像内で垂直方向における媒体の明るさが一定となるように第1入力画像を補正する。媒体の後端に係る第1平均値が、媒体の先端に係る第1平均値より高い場合、補正部175は、媒体の後端側に近いほど階調値をより低くするように第1入力画像内の各画素を補正する。一方、媒体の後端に係る第1平均値が、媒体の先端に係る第1平均値より低い場合、補正部175は、媒体の後端側に近いほど階調値をより高くするように第1入力画像内の各画素を補正する。
【0134】
例えば、補正部175は、以下の式(1)により補正係数αを算出し、各画素の階調値に補正係数αを乗算することにより、第1入力画像内の各画素を補正する。
α=y0/y’ (1)
ここで、y’は、第1入力画像の垂直方向において、補正対象の画素の位置における、媒体の先端に係る第1平均値y0と媒体の後端に係る第1平均値y1による線形補間値であり、以下の式(2)により算出される。
y’=y0+(y1-y0)×(x-x0)/(x1-x0) (2)
ここで、x0は第1入力画像内における媒体の先端の垂直方向の位置(座標)であり、x1は第1入力画像内における媒体の後端の垂直方向の位置であり、xは入力画像内における補正対象の画素の垂直方向の位置である。
【0135】
なお、補正部175は、媒体の先端に係る第1平均値y0でなく、媒体の後端に係る第1平均値y1を基準として、以下の式(3)により補正係数αを算出してもよい。
α=y1/y’ (3)
【0136】
次に、補正部175は、記憶装置160から、媒体の先端が撮像された第2ライン画像から算出された第2平均値と、媒体の後端が撮像された第2ライン画像から算出された第2平均値とを読み出して取得する(ステップS503)。補正部175は、ステップS501の処理と同様にして、各第2平均値を取得する。
【0137】
次に、補正部175は、媒体の先端が撮像された第2ライン画像から算出された第2平均値と、媒体の後端が撮像された第2ライン画像から算出された第2平均値とに基づいて第2入力画像を補正し(ステップS504)、一連のステップを終了する。補正部175は、ステップS502の処理と同様にして、第2入力画像を補正する。
【0138】
なお、補正部175は、ステップS501~S502又はステップS503~S504の内の何れか一方を省略し、第1入力画像又は第2入力画像の内の一方のみを補正してもよい。また、補正部175は、
図13に示した補正処理と、
図10に示した補正処理の両方を実行してもよい。
【0139】
このように、補正部175は、第1平均値に基づいて第1入力画像を補正し、且つ/又は、第2平均値に基づいて第2入力画像を補正する。なお、補正部175は、第1平均値及び第2平均値に基づいて、第1入力画像又は第2入力画像を補正するのでなく、第1ライン画像又は第2ライン画像を補正してもよい。その場合、画像生成部174は、補正された第1ライン画像を合成して第1入力画像を生成し、補正された第2ライン画像を合成して第2入力画像を生成する。
【0140】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、第1平均値に基づいて第1入力画像を補正し、第2平均値に基づいて第2入力画像を補正する場合にも、媒体の搬送をより適切に制御することが可能となった。
【0141】
図14は、他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路270の概略構成を示す図である。処理回路270は、媒体搬送装置100又は媒体搬送装置200の処理回路170の代わりに使用され、処理回路170の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路270は、制御回路271、検出回路272、判定回路273、画像生成回路274及び補正回路275等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0142】
制御回路271は、制御部の一例であり、制御部171と同様の機能を有する。制御回路271は、操作装置105から操作信号を、第1センサ111から第1媒体信号を、第2センサ116から第2媒体信号を受信し、記憶装置160から媒体の傾きの検出結果と、媒体の所定位置の通過の判定結果とを読み出す。制御回路271は、受信した各信号と、読み出した検出結果及び判定結果とに応じてモータ151を駆動するとともに、媒体の搬送異常が検出された場合、モータ151を停止させる。
【0143】
検出回路272は、検出部の一例であり、検出部172と同様の機能を有する。検出回路272は、平均値算出回路153(又は253)から各平均値を受信し、受信した各平均値に基づいて媒体の傾きを検出し、検出結果を記憶装置160に記憶する。
【0144】
判定回路273は、判定部の一例であり、判定部173と同様の機能を有する。判定回路273は、平均値算出回路153(又は253)から各平均値を受信し、受信した各平均値に基づいて媒体の一部が第2画素に対応する位置を通過したか否かを判定し、判定結果を記憶装置160に記憶する。
【0145】
画像生成回路274は、画像生成部の一例であり、画像生成部174と同様の機能を有する。画像生成回路274は、撮像装置117から第1ライン画像及び第2ライン画像を受信し、受信した各ライン画像から第1入力画像及び第2入力画像を生成し、記憶装置160に記憶する。また、画像生成回路274は、記憶装置160から、補正回路275により補正された第1入力画像及び第2入力画像を読み出し、インタフェース装置152を介して情報処理装置へ送信する。
【0146】
補正回路275は、補正部の一例であり、補正部175と同様の機能を有する。補正回路275は、平均値算出回路153(又は253)から各平均値を受信するとともに、記憶装置160から第1入力画像及び第2入力画像を読み出す。補正回路275は、各平均値に基づいて、第1入力画像及び第2入力画像を補正し、記憶装置160に記憶する。
【0147】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路270を用いる場合においても、媒体の搬送をより適切に制御することが可能となった。
【符号の説明】
【0148】
100 媒体搬送装置
112 給送ローラ
113 ブレーキローラ
114 第1搬送ローラ
115 第2搬送ローラ
116 第2センサ
123a 第1撮像センサ
123b 第2撮像センサ
171 制御部
172 検出部
173 判定部
175 補正部