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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ロータおよびモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2792 20220101AFI20240425BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20240425BHJP
   H02K 15/03 20060101ALN20240425BHJP
【FI】
H02K1/2792
H02K15/02 K
H02K15/03 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020159570
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053005
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】磯永 賢
(72)【発明者】
【氏名】金田 至功
(72)【発明者】
【氏名】横山 光之
(72)【発明者】
【氏名】中山 忠弘
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-197287(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0261156(US,A1)
【文献】特開2020-089178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 15/02
H02K 15/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに設けられステータと対向し回転軸を中心として回転するロータであって、
一方が径方向に磁気配向される主マグネットであり、他方が周方向に磁気配向される補助マグネットであり、周方向に沿って交互に並ぶ第1マグネットおよび第2マグネットと、
樹脂材料からなり前記第1マグネットおよび前記第2マグネットを埋め込む保持部と、を備え、
前記第1マグネットは、
周方向両側をそれぞれ向く一対の第1周端面と、
前記ステータ側を向く第1対向面と、を有し、
前記第2マグネットは、
周方向両側をそれぞれ向き、隣接する前記第1マグネットの前記第1周端面と面接触する一対の第2周端面と、
前記ステータ側を向く第2対向面と、を有し、
1つの前記第2マグネットの一対の前記第2周端面同士は、互いに平行であり、
前記第2対向面は、前記第1対向面よりも前記ステータから離れて位置し、
前記保持部の一部は、前記第2対向面と前記第1周端面とに囲まれた凹部内に充填され、
前記第1対向面は、前記保持部から露出する、
ロータ。
【請求項2】
モータに設けられステータと対向し回転軸を中心として回転するロータであって、
一方が径方向に磁気配向される主マグネットであり、他方が周方向に磁気配向される補助マグネットであり、周方向に沿って交互に並ぶ第1マグネットおよび第2マグネットと、
樹脂材料からなり前記第1マグネットおよび前記第2マグネットを埋め込む保持部と、を備え、
前記第1マグネットは、
周方向両側をそれぞれ向く一対の第1周端面と、
前記ステータ側を向く第1対向面と、を有し、
前記第2マグネットは、
周方向両側をそれぞれ向き、隣接する前記第1マグネットの前記第1周端面と面接触する一対の第2周端面と、
前記ステータ側を向く第2対向面と、
前記回転軸の軸方向一方側を向く軸方向端面と、
径方向において前記ステータの反対側を向く反対面と、を有し、
1つの前記第2マグネットの一対の前記第2周端面同士は、互いに平行であり、
前記第2対向面は、前記第1対向面よりも前記ステータから離れて位置し、
前記保持部の一部は、前記第2対向面と前記第1周端面とに囲まれた凹部内に充填され、
前記軸方向端面と前記第2対向面との角部の面取りが、前記軸方向端面と前記反対面との角部の面取りより大きい、
ロータ。
【請求項3】
前記凹部の径方向寸法が、0.3mm以上である、
請求項1又は2に記載のロータ。
【請求項4】
前記第1マグネットが主マグネットであり、前記第2マグネットが補助マグネットであり、
前記第2対向面と前記第1周端面とに囲まれた凹部の径方向寸法が、前記第1マグネットの径方向に沿う厚さ寸法の50%未満である、
請求項1~3の何れか一項に記載のロータ。
【請求項5】
前記第1マグネットが主マグネットであり、前記第2マグネットが補助マグネットであり、
前記第2マグネットの径方向に沿う厚さ寸法は、前記第1マグネットの径方向に沿う厚さ寸法の70%以上である、
請求項1~4の何れか一項に記載のロータ。
【請求項6】
モータに設けられステータと対向し回転軸を中心として回転するロータであって、
周方向に磁気配向される複数の第2マグネットと、
前記第2マグネットの磁気配向と直交する磁気配向を有する複数の第1マグネットと、
樹脂材料からなり前記第1マグネットおよび前記第2マグネットを埋め込む保持部と、を備え、
前記第1マグネットと前記第2マグネットとは周方向に沿って交互に並び、
前記第1マグネットは、
周方向両側をそれぞれ向く一対の第1周端面と、
前記ステータ側を向く第1対向面と、を有し、
前記第2マグネットは、
周方向両側をそれぞれ向き、隣接する前記第1マグネットの前記第1周端面と面接触する一対の第2周端面と、
前記ステータ側を向く第2対向面と、を有し、
前記第2対向面は、前記第1対向面よりも前記ステータから離れて位置し、
前記保持部の一部は、前記第2対向面と前記第1周端面とに囲まれた凹部内に充填され、
前記第1対向面は、前記保持部から露出する、
ロータ。
【請求項7】
モータに設けられステータと対向し回転軸を中心として回転するロータであって、
一方が径方向に磁気配向される主マグネットであり、他方が周方向に磁気配向される補助マグネットであり、周方向に沿って交互に並ぶ第1マグネットおよび第2マグネットと、
樹脂材料からなり前記第1マグネットおよび前記第2マグネットを埋め込む保持部と、を備え、
前記第1マグネットは、
周方向両側をそれぞれ向く一対の第1周端面と、
前記ステータ側を向く第1対向面と、を有し、
前記第2マグネットは、
周方向両側をそれぞれ向き、隣接する前記第1マグネットの前記第1周端面と面接触する一対の第2周端面と、
前記ステータ側を向く第2対向面と、を有し、
1つの前記第2マグネットの一対の前記第2周端面同士は、互いに平行であり、
前記第2対向面は、前記第1対向面よりも前記ステータから離れて位置し、
前記保持部の一部は、前記第2対向面と前記第1周端面とに囲まれた凹部内に充填され、
前記第2マグネットの厚さ寸法は、前記第1マグネットの厚さ寸法の90%以上である、
ロータ。
【請求項8】
請求項1~の何れか一項に記載のロータと、
前記ステータと、を備える、
モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ロータおよびモータに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータのマグネットをハルバッハ配列で並べることで駆動トルクが高められたモータが知られている。このようなロータでは、マグネットの位置精度がロータの磁気特性に大きな影響を与える。しかしながら、従来技術ではマグネットの位置精度を高めることが困難であり、ロータの磁気特性が安定し難いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/008284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、磁気特性が安定しつつ安価に製造できるロータおよびモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のロータは、モータに設けられステータと対向し回転軸を中心として回転するロータである。ロータは、周方向に沿って交互に並ぶ第1マグネットおよび第2マグネットを備える。第1マグネットおよび第2マグネットは、一方が主マグネットであり、他方が補助マグネットである。主マグネットは、径方向に磁気配向される。補助マグネットは、周方向に磁気配向される。第1マグネットは、一対の第1周端面を有する。一対の第1周端面は、周方向両側をそれぞれ向く。第2マグネットは、一対の第2周端面を有する。一対の第2周端面は、周方向両側をそれぞれ向く。第2周端面は、隣接する第1マグネットの第1周端面と面接触する。1つの第2マグネットの一対の第2周端面同士は、互いに平行である。第1マグネットは、ステータ側を向く第1対向面を有する。第2マグネットは、ステータ側を向く第2対向面を有する。第2対向面は、第1対向面よりもステータから離れて位置する。樹脂材料からなり第1マグネットおよび第2マグネットを埋め込む保持部を備える。保持部の一部は、第2対向面と第1周端面とに囲まれた凹部内に充填される。第1対向面は、保持部から露出する。
また、実施形態のロータは、モータに設けられステータと対向し回転軸を中心として回転するロータである。ロータは、周方向に沿って交互に並ぶ第1マグネットおよび第2マグネットを備える。第1マグネットおよび第2マグネットは、一方が主マグネットであり、他方が補助マグネットである。主マグネットは、径方向に磁気配向される。補助マグネットは、周方向に磁気配向される。第1マグネットは、一対の第1周端面を有する。一対の第1周端面は、周方向両側をそれぞれ向く。第2マグネットは、一対の第2周端面を有する。一対の第2周端面は、周方向両側をそれぞれ向く。第2周端面は、隣接する第1マグネットの第1周端面と面接触する。1つの第2マグネットの一対の第2周端面同士は、互いに平行である。第1マグネットは、ステータ側を向く第1対向面を有する。第2マグネットは、ステータ側を向く第2対向面を有する。第2対向面は、第1対向面よりもステータから離れて位置する。樹脂材料からなり第1マグネットおよび第2マグネットを埋め込む保持部を備える。保持部の一部は、第2対向面と第1周端面とに囲まれた凹部内に充填される。第2マグネットは、回転軸の軸方向一方側を向く軸方向端面と、径方向においてステータの反対側を向く反対面と、を有する。軸方向端面と第2対向面との角部の面取りが、軸方向端面と反対面との角部の面取りより大きい。
実施形態のロータは、モータに設けられステータと対向し回転軸を中心として回転するロータである。ロータは、周方向に沿って交互に並ぶ複数の第1マグネットおよび複数の第2マグネットを備える。第2マグネットは、周方向に磁気配向される。第1マグネットは、第2マグネットの磁気配向と直交する磁気配向を有する。第1マグネットは、一対の第1周端面を有する。一対の第1周端面は、周方向両側をそれぞれ向く。第2マグネットは、一対の第2周端面を有する。一対の第2周端面は、周方向両側をそれぞれ向く。第2周端面は、隣接する第1マグネットの第1周端面と面接触する。第1マグネットは、ステータ側を向く第1対向面を有する。第2マグネットは、ステータ側を向く第2対向面を有する。第2対向面は、第1対向面よりもステータから離れて位置する。樹脂材料からなり第1マグネットおよび第2マグネットを埋め込む保持部を備える。保持部の一部は、第2対向面と第1周端面とに囲まれた凹部内に充填される。第1対向面は、保持部から露出する。
実施形態のロータは、モータに設けられステータと対向し回転軸を中心として回転するロータである。ロータは、周方向に沿って交互に並ぶ第1マグネットおよび第2マグネットを備える。第1マグネットおよび第2マグネットは、一方が主マグネットであり、他方が補助マグネットである。主マグネットは、径方向に磁気配向される。補助マグネットは、周方向に磁気配向される。第1マグネットは、一対の第1周端面を有する。一対の第1周端面は、周方向両側をそれぞれ向く。第2マグネットは、一対の第2周端面を有する。一対の第2周端面は、周方向両側をそれぞれ向く。第2周端面は、隣接する第1マグネットの第1周端面と面接触する。1つの第2マグネットの一対の第2周端面同士は、互いに平行である。第1マグネットは、ステータ側を向く第1対向面を有する。第2マグネットは、ステータ側を向く第2対向面を有する。第2対向面は、第1対向面よりもステータから離れて位置する。第2マグネットの厚さ寸法は、第1マグネットの厚さ寸法の90%以上である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態のモータを有する洗濯機の断面図。
図2】一実施形態のロータおよびステータの断面斜視図。
図3】一実施形態のロータの周壁部の部分断面模式図。
図4】一実施形態のロータの軸方向に沿う断面図。
図5】一実施形態の同極着磁工程を示す模式図。
図6】一実施形態の異極着磁工程を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のロータ、モータおよびロータの製造方法を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
図1は、本実施形態のモータを有する洗濯機の断面図である。
以下の説明において、洗濯機の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機の下側とし、設置面とは反対側つまり鉛直上側を洗濯機の上側とする。また、洗濯機の正面に立つユーザから洗濯機を見た方向を基準に、左右を定義している。また、洗濯機から見て洗濯機の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。図中において、+X方向が右方向、-X方向が左方向、+Y方向が後方向、-Y方向が前方向、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向である。
【0009】
図1は、洗濯機1の前後方向に垂直な断面図である。
洗濯機1は、例えば、筐体11、トップカバー12、水槽13、回転槽14、パルセータ15、およびモータ16を有する。洗濯機1は、回転槽14の回転軸Oが鉛直方向を向いたいわゆる縦軸型の洗濯機である。なお、洗濯機1は、縦軸型に限られず、回転槽の回転軸が水平又は後方へ向かって下降傾斜した横軸型いわゆるドラム式洗濯機であってもよい。
【0010】
筐体11は、例えば鋼板によって全体として矩形箱状に構成されている。トップカバー12は、例えば合成樹脂製であって、筐体11の上部に設けられている。水槽13および回転槽14は、洗濯対象となる衣類を収容する洗濯槽及び脱水槽として機能する。水槽13および回転槽14は、筐体11内に設けられている。水槽13および回転槽14は、上面が開口した容器状に構成されている。水槽13内の水は、排水口131から流出し、排水弁132を介して外部に排水される。
【0011】
モータ16は、水槽13の下側に配置される。モータ16は、クラッチ機構17を介して、回転槽14およびパルセータ15に接続される。モータ16の回転軸Oは、水槽13の中心と一致する。
【0012】
本実施形態のモータ16は、アウターロータ型である。モータ16は、回転軸Oを中心として配置される円環状のステータ30と、ステータ30を径方向外側から囲むロータ20と、を有する。すなわち、モータ16には、ステータ30およびロータ20が設けられる。ステータ30は、洗濯機1の筐体11に固定される。また、ロータ20は、回転軸O周りを回転する。
【0013】
ロータ20は、周壁部22と底壁部21とを有する有底筒状である。周壁部22は、回転軸Oを中心とする筒状である。周壁部22は、径方向においてステータ30と対向する。すなわち、ロータ20は径方向においてステータ30と対向する。底壁部21は、周壁部22の下端部から径方向内側に延びる。底壁部21は、回転軸Oと直交する平面に沿う円板状である。ロータ20は、底壁部21においてクラッチ機構17に接続される。
【0014】
クラッチ機構17は、モータ16の回転を回転槽14およびパルセータ15に選択的に伝達する。クラッチ機構17は、洗い時およびすすぎ時には、モータ16の駆動力をパルセータ15に伝達してパルセータ15を低速で直接正逆回転駆動させる。一方、クラッチ機構17は、脱水時等には、モータ16の駆動力を回転槽14に伝達して、回転槽14を一方向に高速で回転駆動させる。
【0015】
図2は、ロータ20およびステータ30の断面斜視図である。なお、図2において、後述する保持部70の図示を省略する。また、図2においてマグネットの形状を模式化して図示する。
図3は、ロータ20の周壁部22の部分断面模式図である。図3は、回転軸Oと直交する断面に沿う断面図である。
【0016】
以下の説明において、ロータ20に対して、ステータ30が配置される方向(本実施形態において径方向内側)をステータ側R1と呼び、径方向においてステータ30の反対側の方向(本実施形態において径方向外側)を反ステータ側R2と呼ぶ。
【0017】
図2に示すように、ステータ30は、ステータコア31と、コイル39と、図示略のインシュレータと、を有する。ステータコア31は、回転軸Oを中心とする円環状のコアバック部32と、コアバック部32から径方向外側に延び出る複数のティース部33と、を有する。複数のティース部33は、周方向Cに沿って並ぶ。コイル39は、インシュレータを介してティース部33に導線を巻き付けることで構成される。
【0018】
ロータ20は、複数の主マグネット(第1マグネット)80と、複数の補助マグネット(第2マグネット)90と、フレーム60と、これらを互いに固定する保持部70(図2において省略、図3参照)と、を有する。
【0019】
図2に示すように、フレーム60は、円盤部61と筒状部62とを有する。円盤部61は、回転軸Oを中心とする円盤状である。円盤部61は、ロータ20の底壁部21を構成する。筒状部62は、円盤部61の外縁から上側に延びる。筒状部62は、回転軸Oを中心とする円筒状である。複数の主マグネット80および複数の補助マグネット90は、筒状部62の内側面に沿って周方向Cに並ぶ。
【0020】
主マグネット80および補助マグネット90は、それぞれ一様な断面で回転軸Oの軸方向に沿って延びる柱状に延びる。主マグネット80および補助マグネット90の上面は、略同一平面を形成している。同様に、主マグネット80および補助マグネット90の下面は、略同一平面を形成している。主マグネット80および補助マグネット90の下面は、フレーム60の円盤部61の上面と対向し接触する。
【0021】
本実施形態において、主マグネット80および補助マグネット90は、フェライト磁石である。しかしながら、主マグネット80および補助マグネット90は、他の種類の磁石(例えば、ネオジム磁石)であってもよい。
【0022】
図3に示すように、主マグネット80および補助マグネット90は、周方向Cに沿って交互に配置される。主マグネット80と補助マグネット90とは、それぞれ径方向Rと周方向Cとに磁気配向がされている。すなわち、主マグネット80および補助マグネット90は、ハルバッハ配列で並ぶ。なお、図3において、各マグネットに図示する矢印は、当該マグネットの磁気配向を表す。
【0023】
主マグネット80は、径方向Rに磁気配向された磁石である。すなわち、主マグネット80は、径方向Rを内部磁束の方向とする。周方向Cに並ぶ複数の主マグネット80の磁極の向きは、交互に反転されている。したがって、周方向Cにおいて隣り合う主マグネット80同士の径方向一方側を向く磁極(N極又はS極)は、互いに異なる。
【0024】
主マグネット80は、ステータ側R1を向きステータ30に対向する第1対向面81と、反ステータ側R2を向く第1反対面82と、周方向両側を向くそれぞれ一対の第1周端面83と、を有する。主マグネット80の径方向Rに沿う厚さ寸法は、周方向中央が最も大きく周方向両側に向かうに従い小さくなる。
【0025】
第1対向面81は、径方向と直交する平坦面である。第1対向面81は、回転軸Oまでの距離を一定とする緩やかな湾曲面であってもよい。
第1反対面82は、回転軸Oまでの距離を一定とする緩やかな湾曲面である。第1反対面82は、径方向と直交する平坦面であってもよい。第1反対面82は、フレーム60の筒状部62に若干の隙間を介して対向する。
【0026】
第1周端面83は、平坦面である。一対の第1周端面83は、互いに平行ではない。軸方向から見て、一対の第1周端面83の延長線同士の交点は、主マグネット80に対して径方向内側に位置する。したがって、主マグネット80は、略扇状である。
【0027】
補助マグネット90は、周方向Cに磁気配向された磁石である。すなわち、補助マグネット90は、周方向Cを内部磁束の方向とする。周方向Cに並ぶ複数の補助マグネット90の磁極の向きは、交互に反転されている。したがって、周方向Cにおいて隣り合う補助マグネット90同士の周方向一方側を向く磁極(N極又はS極)は、互いに異なる。
【0028】
補助マグネット90は、ステータ側R1を向きステータ30に対向する第2対向面91と、反ステータ側R2を向く第2反対面92と、周方向両側をそれぞれ向く一対の第2周端面93と、を有する。
【0029】
回転軸Oと直交する断面において、本実施形態の補助マグネット90は、矩形状である。補助マグネット90の径方向Rに沿う厚さ寸法は、主マグネット80の径方向Rに沿う厚さ寸法より小さい。また、補助マグネット90の周方向Cに沿う寸法は、主マグネット80の周方向Cに沿う寸法より小さい。なお、補助マグネット90の周方向Cに沿う寸法と主マグネット80の周方向Cに沿う寸法との比率は、ロータ20の磁気特性を確保する目的で1:1.8~2.2とすることが好ましい。
【0030】
第2対向面91は、径方向と直交する平坦面である。同様に、第2反対面92は、径方向と直交する平坦面である。したがって、第2対向面91第2反対面92とは、互いに平行である。また、補助マグネット90の径方向寸法は、一様である。第2対向面91は、第1対向面81よりも反ステータ側R2に位置する。したがって、補助マグネット90の径方向内側には、第2対向面と91と2つの第1周端面83に囲まれた凹部3が形成される。また、第2反対面92の径方向位置は、第1反対面82の径方向位置と略一致する。第1反対面82および第2反対面92は、それぞれフレーム60の筒状部62に密着して配置される。
【0031】
第2周端面93は、平坦面である。第2周端面93は、隣接する主マグネット80の第1周端面83と対向する。第2周端面93は、隣接する主マグネット80の第1周端面83と面接触する。
【0032】
本実施形態によれば、主マグネット80の第1周端面83と補助マグネット90の第2周端面93とが面接触する。このため、主マグネット80と補助マグネット90との境界部を通過する磁路の磁気抵抗を低減することができ、ロータ20の磁気特性を高めることができる。
【0033】
1つの補助マグネット90の一対の第2周端面93同士は、互いに平行である。本明細書において、「一対の面が互いに平行である」とは、これらの面が厳密な意味における平行であり互いの面のなす角度が0°である場合のみならず、一対の面のなす角度が0°に対して±1°以内である場合を含む。
【0034】
一般的に、マグネットは、焼結によって成形し熱処理を施した後に、機械加工により寸法精度が高められ、最後に着磁される。機械加工の方法としては、磁性部材を2つの回転する砥石の間に配置して行う研磨などが例示される。したがって、反対側を向く一対の面が互いに平行である場合、マグネットは機械加工によって寸法公差および幾何公差を小さくしやすい、また、反対側を向く一対の面が互いに平行である場合、これらの面は安価な方法によって加工できるため、マグネットを安価に製造できる。
【0035】
本実施形態によれば、補助マグネット90の周方向両側を向く第2周端面93は、互いに平行である。このため、補助マグネット90の寸法公差および幾何公差(より具体的には平行度)を高めやすい。結果的に、周方向に沿って交互に並ぶ主マグネット80と補助マグネット90とを、高精度に面接触させることができる。加えて、本実施形態によれば、補助マグネット90を安価に製造することができ、モータ16のコスト削減を図ることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、補助マグネット90の第2周端面93が互いに平行となっている。しかしながら、主マグネット80および補助マグネット90のうち、何れか一方の一対の周端面が互いに平行であれば上述の効果を得ることができる。すなわち、ロータ20は、一方が径方向に磁気配向される主マグネットであり、他方が周方向に磁気配向される補助マグネットであり、周方向に沿って交互に並ぶ第1マグネットおよび第2マグネットを備える場合に、一方のマグネット(例えば、第2マグネット)の一対の周端面同士が互いに平行であればよい。
【0037】
また、本実施形態では、補助マグネット90の周方向寸法が、主マグネット80の周方向寸法より小さい。反対側を向く一対の面の加工は、これらの面が非平行である場合に、それぞれの面同士の距離が近いほどに加工がより難しくなる。本実施形態では、補助マグネット90の周方向寸法が小さい。このため、補助マグネット90の第2周端面93を互いに平行とし、主マグネット80の第1周端面83を非平行とすることで、ロータ20全体を安価に製造できる。
【0038】
本実施形態によれば、補助マグネット90の第2対向面91が主マグネット80の第1対向面81よりもステータ30の反対側に位置する。したがって、補助マグネット90は、主マグネット80と比較して、ステータ30から離間して配置される。ハルバッハ配列されたロータ20において、補助マグネット90とステータ30とが近接していると、駆動時のステータ30の磁力によって、補助マグネット90の減磁が顕著となりやすい。本実施形態によれば、補助マグネット90をステータ30から離間させることで補助マグネット90の減磁を抑制できる。
【0039】
保持部70は、樹脂材料からなる。保持部70は、複数の主マグネット80および複数の補助マグネット90を埋め込む。これにより、保持部70は、複数の主マグネット80および複数の補助マグネット90を保持する。
【0040】
主マグネット80の第1対向面81は、保持部70からステータ側R1に露出する。主マグネット80は、第1対向面81において保持部70を成形する金型の内側面に接触する。本実施形態のロータ20のように、複数のマグネット(主マグネット80および補助マグネット90)がハルバッハ配列によって並べられる場合、主マグネット80の位置精度がモータ16の出力性能に大きな影響を与える。本実施形態によれば、主マグネット80を、保持部70を成形する金型の内側面に接触させることで、保持部70の成形後の主マグネット80の位置精度を高めることができ、モータ16の出力性能を高めることができる。さらに、本実施形態によれば、第1対向面81とステータ30との間の磁束の流れを保持部70が阻害することを抑制でき、モータ16の出力性能を高めることができる。
【0041】
補助マグネット90の第2対向面91は、保持部70に埋め込まれる。保持部70の一部は、第2対向面91と第1周端面83とに囲まれた凹部3内に充填される。ここで、保持部70において、凹部3内に充填される部分を、充填部71と呼ぶ。本実施形態によれば、補助マグネット90の第2対向面91が充填部71によって埋め込まれる。これにより、補助マグネット90は、保持部70によって強固に保持され、補助マグネット90のステータ側R1への移動がより確実に抑制される。さらに、補助マグネット90の第2対向面91が保持部70によって覆われることで、ステータ30からの磁界が補助マグネット90に与える影響を軽減することができ、補助マグネット90の減磁を抑制できる。
【0042】
本実施形態において、凹部3の径方向の深さd(すなわち、径方向寸法)は、0.3mm以上であることが好ましい。凹部3には、保持部70の成形時に未硬化の樹脂材料が流動する。未硬化の樹脂材料の流動には、0.3mm以上の隙間が設けられることが好ましい。すなわち、本実施形態によれば、凹部3の径方向の深さdを0.3mm以上とすることで、凹部3内に十分に樹脂材料を充填することができ、保持部70による補助マグネット90の保持を強固にすることができる。加えて、補助マグネット90をステータ30から離間させることができ、モータ16の駆動時の補助マグネット90の減磁を抑制できる。なお、凹部3の深さdは、0.7mm以上とすることで、樹脂材料の充填をより確実にするとともに、補助マグネット90の減磁をより確実に抑制することができ、さらに好ましい。
【0043】
本実施形態において、凹部3の径方向の深さdは、主マグネット80の径方向に沿う厚さ寸法W1の50%未満である、ことが好ましい。凹部3の深さdを厚さ寸法W1に対して50%未満とすることで、補助マグネット90の径方向に沿う厚さ寸法を一定程度確保することができ、補助マグネット90の磁力を確保できる。
【0044】
本実施形態において、補助マグネット90の径方向に沿う厚さ寸法W2は、主マグネット80の径方向に沿う厚さ寸法W1の70%以上であることが好ましい(W2/W1≧0.7)。補助マグネット90の厚さ寸法W2が、主マグネット80の厚さ寸法W1の70%未満である場合、補助マグネット90の磁力が不十分となりモータ16のトルクが極端に低下する虞がある。本実施形態によれば、補助マグネット90の厚さ寸法W2を、主マグネット80の厚さ寸法W1の70%以上とすることで、モータ16のトルクを十分に確保できる。なお、補助マグネット90の厚さ寸法W2を、主マグネット80の厚さ寸法W1の90%以上とすることで、さらにモータ16のトルクを確保することが可能となり、より好ましい。
【0045】
なお、本明細書において、マグネットの径方向に沿う厚さ寸法とは、径方向において最も厚い部分の寸法を意味する。本実施形態の主マグネット80の厚さ寸法は、周方向中央において最も大きくなる。このため、周方向中央における主マグネット80の径方向の厚さが、本明細書の主マグネット80の厚さ寸法W1である。
【0046】
図4は、軸方向(上下方向)に沿うロータ20の断面図である。図4の断面は、補助マグネット90を通過する。なお以下の説明において、「上側」および「下側」を、それぞれ回転軸Oを基準として「軸方向の一方側」、「軸方向他方側」と呼ぶ場合がある。
【0047】
保持部70は、主マグネット80(図4において不図示)および補助マグネット90の上側に位置する上側環状部72を有する。上側環状部72は、回転軸Oを中心とする円環状である。上側環状部72は、主マグネット80および補助マグネット90の上端面を埋め込む。充填部71は、上側環状部72から下側に延びる。
【0048】
上側環状部72の上端面(軸方向一方側を向く端面)72には、ゲート痕70gが設けられる。ゲート痕70gは、補助マグネット90の直上に配置される。したがって、保持部70を成形する金型(図示略)において、金型内に溶融樹脂を充填するためのゲートは、補助マグネット90の直上に配置される。
【0049】
図4に示すように、補助マグネット90は、上側(軸方向一方側)を向く上端面(軸方向端面)95と、ステータ側R1を向く第2対向面91と、反ステータ側R2を向く第2反対面92と、を有する。また、上端面95と第2対向面91との角部には、第1面取り96が設けられる。さらに、上端面95と第2反対面92との角部には、第2面取り97が設けられる。第1面取り96および第2面取り97は、補助マグネット90の成形工程の過程(例えば研磨工程)で、角部が欠損することを抑制する目的で設けられる。
【0050】
本実施形態において、第1面取り96は、第2面取り97より大きい。第1面取り96は、第2対向面91のステータ側R1に位置する凹部3に連なる。このため、第1面取り96は、大きく確保されることで、ゲートから金型内に流入する溶融樹脂を凹部3内に円滑に誘導することができる。
なお、本実施形態のゲート痕70gは、軸方向から見て、第1面取り96と重なって配置される。このため、本実施形態では、ゲートから流入した溶融樹脂が第1面取り96に直接的に接触し凹部3に流入するため、凹部3内の樹脂の充填率をさらに高めることができる。
【0051】
加えて、本実施形態によれば、第1面取り96を第2面取り97より大きくすることで、溶融樹脂が、補助マグネット90に対して反ステータ側R2よりステータ側R1に流れ込みやすくなる。これにより、溶融樹脂の射出圧により補助マグネット90が金型内で反ステータ側R2に押し付けられる。結果的に、補助マグネット90とステータ30との距離を確実に確保することができ、補助マグネット90の減磁を抑制できる。
【0052】
さらに、本実施形態によれば、第1面取り96と第2面取り97との大きさが互いに異なることで、補助マグネット90の向きを誤って組み付けることを抑制できる。すなわち、第1面取り96と第2面取り97とは、誤組み防止の目印として機能する。
【0053】
次に、ロータ20の製造方法について説明する。
ロータ20の製造方法は、樹脂成型工程と着磁工程とを有する。本実施形態において、樹脂成型工程および着磁工程は、この順で行われる。
【0054】
樹脂成型工程は、未着磁の主マグネット80と未着磁の補助マグネット90とを金型内に収容し、金型内に溶融樹脂を充填してこれらを樹脂モールドする工程である。樹脂が固化した後に、ロータ20は金型から取り出される。
【0055】
着磁工程は、主マグネット80および補助マグネット90に着磁する工程である。
以下の説明において、未着磁の主マグネット80を第1の磁性部材80Aと呼び、未着磁の補助マグネット90を第2の磁性部材90Aと呼ぶ。
【0056】
着磁工程は、同極着磁工程と異極着磁工程とを有する。
図5は、同極着磁工程を示す模式図である。また、図6は、異極着磁工程を示す模式図である。
【0057】
同極着磁工程は、第2の磁性部材90Aに着磁し第2の磁性部材90Aの磁気配向を周方向Cとする工程である。第2の磁性部材90Aは、同極着磁工程によって着磁されて永久磁石(補助マグネット90)となる。
異極着磁工程は、第1の磁性部材80Aに着磁し第1の磁性部材80Aの磁気配向を径方向Rとする工程である。第1の磁性部材80Aは、異極着磁工程によって着磁されて永久磁石(主マグネット80)となる。
【0058】
同極着磁工程および異極着磁工程は、着磁装置4によって行われる。着磁装置4は、4個の着磁ヨーク(第1着磁ヨーク40A、第2着磁ヨーク40B、第3着磁ヨーク40Cおよび第4着磁ヨーク40D)を有する。4個の着磁ヨークは、着磁電源(不図示)に接続されている。なお、本実施形態の着磁装置は4個の着磁ヨークを用いている。しかしながら、着磁装置は、例えば、全ての第1の磁性部材80Aと全ての第2の磁性部材90Aとを同時に着磁可能な個数の着磁ヨークを有してもよい。
【0059】
第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bとは、径方向Rに対向して配置される。第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bとは、一個の第1の磁性部材80Aの板厚方向の両側に配置される。第1着磁ヨーク40Aは径方向Rの外側に配置され、第2着磁ヨーク40Bは径方向Rの内側に配置される。
【0060】
第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dとは、径方向Rに対向して配置されている。第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dとは、第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bが挟み込む第1の磁性部材80Aの隣の第1の磁性部材80Aの板厚方向の両側に配置される。第3着磁ヨーク40Cは径方向Rの外側に配置され、第4着磁ヨーク40Dは径方向Rの内側に配置される。
【0061】
図5に示すように、同極着磁工程において、対向する第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bに同極の磁場を発生させる。さらに、対向する第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dに同極の磁場を発生させる。このとき、第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dに発生させる磁場は、第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bに発生させる磁場と異極である。同極着磁工程により、第2の磁性部材90Aは、周方向Cに着磁される。なお、第2の磁性部材90Aを周方向Cにおいて反対方向に着磁させる場合、4個の着磁ヨーク40A,40B,40C,40Dに発生させる磁場を上記と反対の極にすればよい。
【0062】
図6に示すように、異極着磁工程において、対向する第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bに異極の磁場を発生させることで、挟まれた第1の磁性部材80Aが一方向に着磁される(対向着磁)。同時に、対向する第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dに異極の磁場を発生させることで、挟まれた第1の磁性部材80Aが他方向に着磁される(対向着磁)。このとき、第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dとの間の磁場の向きは、第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bとの間の磁場の向きと反対である。異極着磁工程では、全ての第1の磁性部材80Aに順次着磁を行う。
【0063】
着磁工程において、同極着磁工程と異極着磁工程とは、この順で交互に繰り返して行われる。着磁工程を完了させることで、ロータ20が完成する。製造されたロータ20は、別途製造されたステータ30と組み合わされる。
【0064】
本実施形態のロータ20の製造方法によれば、マグネット収容工程において、第1の磁性部材80Aおよび第2の磁性部材90Aが何れも未着磁である。このため、収容工程において、第1の磁性部材80Aと第2の磁性部材90Aとを互いに近接させて配置することができる。
【0065】
本実施形態によれば、主マグネット80および補助マグネット90は、樹脂成型工程において樹脂モールドされ保持部70により固定される。保持部70は、主マグネット80および補助マグネット90が互いに反発して離間することを抑制する。そのため、主マグネット80と補助マグネット90の配置の自由度を高めることができる。本実施形態においては、主マグネット80と補助マグネット90とが高密度に配置されている。これにより、ロータ20の磁力が高められ、モータ16のトルクが向上する。
【0066】
本実施形態のロータ20の製造方法によれば、主マグネット80の着磁は、対向着磁により実施される。このため、主マグネット80の着磁工程(異極着磁工程)における漏れ磁束の発生が抑制され、主マグネット80の着磁率を高めることができる。さらに、本実施形態のロータ20の製造方法によれば、同極着磁工程の後に異極着磁工程が実施される。このため、補助マグネット90の着磁工程における主マグネット80の減磁を抑制できる。
【0067】
本実施形態において、アウターロータ型のモータ16について説明した。しかしながら、インナーロータ型のモータについて、上記の構成を採用してもよい。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
3…凹部、16…モータ、20…ロータ、30…ステータ、70…保持部、80…主マグネット、81…第1対向面、83…第1周端面、90…補助マグネット、91…第2対向面、93…第2周端面、95…上端面(軸方向端面)、96…第1面取り(面取り)、97…第2面取り(面取り)、C…周方向、d…深さ(径方向寸法)、O…回転軸、R…径方向、R1…ステータ側、W1,W2…厚さ寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6