(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】カエサルピニア・スピノサ抽出物、カッパフィカス・アルベレッチー抽出物およびテオブロマカカオL豆の加水分解物を含む化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240425BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240425BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240425BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/73
A61Q1/00
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020534847
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 FR2018053503
(87)【国際公開番号】W WO2019122777
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-14
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500078211
【氏名又は名称】エル・ヴェ・エム・アッシュ ルシェルシュ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100103230
【氏名又は名称】高山 裕貢
(72)【発明者】
【氏名】マルク・デュマ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・ノット
(72)【発明者】
【氏名】フランソワーズ・ペリシエ
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/129780(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/129792(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/157998(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107397714(CN,A)
【文献】国際公開第2017/173244(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/142767(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/9789
A61K 8/73
A61Q 1/00
A61Q 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容できる媒体中に少なくとも以下の物質を含む化粧品組成物:
a)モル質量が5~630kDaの加水分解されたガラクトマンナンを含むカエサルピニア・スピノサ抽出物、およびモル質量が7~3000kDaの加水分解された架橋硫酸化ガラクタンを含むカッパフィカス・アルベレッチー抽出物からなる化粧剤、ならびに
b)テオブロマカカオL豆の加水分解物。
【請求項2】
ガラクトマンナンのモル質量が5~120kDaであり、架橋硫酸化ガラクタンのモル質量が7~1100kDaであることを特徴とする、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
ガラクトマンナンのモル質量が8~80kDaであり、架橋硫酸化ガラクタンのモル質量が8~200kDaであることを特徴とする、請求項2に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
化粧剤a)が、組成物総重量に対して0.01重量%~2重量%の範囲
の含有量で組成物中に存在することを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
化粧剤a)が、組成物総重量に対して0.4重量%~0.8重量%の範囲
の含有量で組成物中に存在することを特徴とする、請求項
4に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
テオブロマカカオL豆の加水分解物がテオブロマカカオL豆加水分解物のペプチドおよびサッカライドであることを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
ペプチドおよびサッカライドが、200Da~10kDaの分子量を有することを特徴とする、請求項1~
6のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
テオブロマカカオL豆の加水分解物が、組成物総重量に対して0.0005重量%~0.025重量%の範囲の活性成分の含有量で組成物中に存在することを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
テオブロマカカオL豆の加水分解物が、組成物総重量に対して0.001重量%~0.01重量%の範囲の活性成分の含有量で組成物中に存在することを特徴とする、請求項
8に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
さらにプレバイオティクスおよびプロバイオティクスを含むことを特徴とする、請求項1~
9のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
皮膚、唇または眼のためのケア製品および/またはメイクアップ製品の形態であることを特徴とする、請求項1~
10のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
顔の肌のためのケア製品および/またはメイクアップ製品の形態であることを特徴とする、請求項
11に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
ケラチン物質をケアおよび/またはメイクアップするための化粧方法であって、請求項1~
12のいずれか一項に記載の化粧品組成物を、該ケラチン物質に少なくとも適用することを含む方法。
【請求項14】
化粧品組成物が、顔の肌のための化粧品組成物であることを特徴とする、請求項
13に記載のケラチン物質をケアおよび/またはメイクアップするための化粧方法。
【請求項15】
皮膚生態系を維持すること、および/または皮膚微生物叢のバランス、微生物多様性を維持すること、皮膚バリアおよび
皮膚のハイドロリピッドフィルムを強化すること、ストレスに対する皮膚の完全性および抵抗力を改善すること、を目的とする、請求項
13または
14に記載のケラチン物質をケアおよび/またはメイクアップするための化粧方法。
【請求項16】
高脂漏と関連
している障害の処置および/または減少に使用するための、請求項1~
12のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項17】
皮脂依存性炎症および/または細菌増殖と関連している障害の処置および/または減少に使用するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラクトマンナンおよび架橋硫酸化ガラクタンからなる化粧剤およびテオブロマカカオL豆の加水分解物を含む化粧品組成物、ならびに特に皮膚微生物叢のバランスを維持し、メイクアップ持ちを促進および/または改善する、その使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの最大の器官である皮膚は、数十億の微生物(細菌、酵母菌、真菌、ウイルスなど)によって侵されており、これは、一括して「微生物叢」または「ミクロフローラ」と知られている。用語「皮膚マイクロバイオーム」とは、これらの微生物、そのゲノムおよびその環境との相互作用のすべてを意味する。
【0003】
皮膚に存在する細菌の数は、1cm2あたり数百万個にもなり得る。
【0004】
ヒトの皮膚微生物叢は2つのグループに細分化することができる。
-一過性菌叢:一過性菌叢は、環境から腐敗した有機物を餌とする腐生菌と呼ばれる、大抵は無害な真菌、ウイルスおよび細菌からなる。この菌叢は恒久的なものではなく、行われる活動や周辺条件の変化、個体がこれらの条件に露出されることによって日中に変化する。最も一般的な一過性菌叢の種としては、スタフィルオコックス・アウロイス(Staphylococcus aureus)、エスケリキア・コリ(Escherichia coli)、シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)およびバチルスの種である。
-常在菌叢:常在菌叢は共生菌からなり、すなわちそれらの宿主のおかげで何の損傷も与えずに生きている。この菌叢の構成は固定されており、妨害された後、同じ構成に自発的に再形成される。これらの微生物(グラム陽性細菌、グラム陰性細菌など)は表皮に生息しており、主に角質層の上層ならびに汗腺や毛嚢脂腺の毛包(pilosebaceous follicle)の管、爪や毛髪のような表皮付属器で見つかられる。
【0005】
これらの微生物は生命に絶対不可欠な存在である。これらは、体臭の発生における役割を超えて、健康な皮膚の維持に密接に関連している。常在菌叢および一過性菌叢の微生物は、正常な条件下、すなわち衛生状態が十分で、かつ皮膚の常在菌叢、免疫応答およびバリア機能に変化がなければ、疾患または機能不全を引き起こさない。したがって、皮膚微生物叢は、バリアとして機能し、その宿主を保護することができる。
【0006】
それに加えて、表皮では、抗菌性脂質および、β-デフェンシンなどのペプチド、病原体を認識するための受容体が産生され、これらが一体となって「皮膚の自然免疫」を形成している。
【0007】
常在細菌はまた、増殖や複製に伴い、毒性代謝物質、バクテリオシンおよび、他の微生物の増殖を抑制し、それらが皮膚に付着するためのそれらのバイオフィルムの形成を妨げるスタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)のようなセリン・プロテアーゼを産生する。
【0008】
共生菌叢は皮膚バリアや自然免疫を刺激し、それによって健康な抵抗力のある皮膚を維持する。皮膚微生物叢のバランス、ならびに皮膚状況の生態学的条件(温度、pH、塩分濃度、ホルモンのレベル、脂質およびタンパク質含有量、水および酸素含有量、UV露出)の表現もこの維持に絶対不可欠である。
【0009】
年齢、性別、遺伝子構造および免疫反応性などの内因性因子に加えて、気候(温度、周囲湿度、UV)、薬物治療、衛生状態、ケアまたはメイクアップ化粧品製品の使用などの外因性因子は、皮膚微生物群集の構成に有意な影響を与え得る。
【0010】
皮膚微生物叢の構成が、皮膚が含有する水分を保持し、皮脂を産生する能力によって影響されることも示されている。皮脂レベルは16S分類学的データ(目、科、属、種)の3つの多様性指標と否定的な関連性があり、無意識の水分損失(皮膚バリアの質を反映)について同じ傾向が観察された。
【0011】
これらの研究は、2016年12月にサンフランシスコで開催されたASCB年次総会でC Heuseleらにより発表された「Microbiota diversity on healthy women’s face in relation to skin biophysical characteristics」と題されるものであり、皮脂の産生および皮膚バリア機能と微生物叢の組成および多様性との間に相関関係があることを示している。
【0012】
ヒト皮膚微生物叢の変動性は、その後、その構造の変化(腸内毒素症)につながり、皮膚機能不全の発生を引き起こすことによって健康に影響を与えたり、または常在菌叢および/または一過性菌叢の集落化および増殖によって病態の発展に寄与したりすることができる。例えば、微生物多様性は、アトピー性皮膚炎などの特定の病態に見られる(Flores G et al. J Drugs Dermatol 2014: 13(11): 1365-72) and psoriasis (Alekseyenko A et al., Microbiome 2013: 1(131): 2-17)。
【0013】
特にファンデーションなどのメイクアップ組成物の適用は、特に細菌多様性を乱すことによって、皮膚微生物叢のバランスを乱し得る。皮膚に適用されたメイクアップの不可視膜はまた、皮膚微生物叢のバランスを調節解除する可能性が高い因子である皮膚のハイドロリピッド(hydrolipidic)バランスおよび落屑の改変を一時的に起こし得る。
【0014】
皮膚に適用されたメイクアップの不可視膜はまた、皮膚微生物叢、特に酸素含有量が最も高い外皮表面に生息する好気性微生物を変化させることができる低酸素状態を一時的に起こし得る。実際、ファンデーションの適用が細菌多様性に有意な影響があることが示されている(Staudinger T et al. J Appl. Microbiol 2011: 110 (6): 1381-9。
【0015】
過度の皮脂産生により形成される脂質膜はまた、皮膚微生物叢、特に酸素含有量が最も高い外皮表面に生息する好気性微生物を変化させることができる低酸素状態を一時的に起こし得る。
【0016】
ただ、低酸素症は、以下の方法によって皮膚組織それ自体をいくつかのレベルで変化させることもできる:
-細胞凝集の構成要素を形成し、それによって表皮の抵抗力を形成するタンパク質であるデスモグレイン-1の形成を減少させることにより(Straseski J et al. Wound Repair Regen. 2009; 17(4): 606-616)
-また水分を表皮に輸送し、皮膚に水分補給するタンパク質であるアクアポリン3の形成を減少させることにより(Straseski J et al. Wound Repair Regen. 2009; 17(4): 606-616)
-皮膚の構成成分や細胞を変化させる活性酸素種(ROS)の産生を刺激することにより(Nys K et al. Free Radic Biol Med. 2012;52(6):1111-20)
-ケラチン10などの分化ケラチンの形成を抑制することにより(Straseski J et al. Wound Repair Regen. 2009; 17(4): 606-616)、および/または
-マトリックスメタロプロテアーゼまたはMMPの存在を増加させることにより(Xia YP et al. J. Invest. Dermatol. 2001; 116: 50-56)、コラーゲンなどの皮膚の構成成分を壊し、皮膚密集度や弾力に影響を与え、その結果として、毛穴の開きおよび細かい線やしわの形成をもたらし得る。
【0017】
したがって、ケラチン物質、特に皮膚のためのメイクアップ組成物、または脂性肌もしくは脂性傾向のある皮膚のための組成物において、以下の保護作用の少なくとも1つを確保することにより皮膚生態系を低酸素症の影響から保護できる成分を含有することが有利である理由が分かる:
-皮膚バリアの強化や皮脂産生の制御などが可能な皮膚状態を提供することで、微生物叢およびその多様性を維持することにより、
-表皮の凝集を高め、皮膚の抵抗力を強化することにより、
-皮膚バリアの形成を刺激し、皮膚に十分な水分を維持することにより、
-皮膚の活性酸素種を無毒化することにより、
-MMPの形成を抑制することにより、および/または
-低酸素症から皮膚細胞を保護する低酸素症誘導因子またはHIFの形成を刺激することにより。
【0018】
したがって、ケラチン物質、特に皮膚をメイクアップするための新しい化粧品組成物であって、特に微生物叢の多様性を維持すること、その発達を抑制すること、ケラチン物質(皮膚、粘膜、毛髪および爪)、特に皮膚、それらの微生物のための生態学的ニッチを形成するその表面の起伏(relief)や粒々を改善すること、特に皮膚生態系を維持すること、および/または皮膚微生物叢のバランス、特に微生物多様性を維持すること、皮膚バリアを強化すること、ストレスに対する皮膚の抵抗力を改善すること、特に低酸素環境の皮膚への影響を防止および/または制限すること、皮膚性炎症を減少させること、落屑および/または表皮再生を促進させること、毛穴の弛緩ならびにしわおよび細かい線の形成に関与する弾力(firmness)の損失を減少させること、顔の肌の均一性を改善すること、および/または皮膚の表面でのメイクアップ持ちおよびその分布の均一性を促進および/または改善することができる化粧品組成物を依然として開発する必要がある。
【0019】
本出願人は、ガラクトマンナンおよび架橋硫酸化ガラクタンからなる化粧剤と、テオブロマカカオL豆の加水分解物との組み合わせにより、この需要を満たしたことを証明した。具体的には、出願人は、カエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia spinosa)から得られるモル質量が1~150kDaのガラクトマンナンおよびカッパフィカス・アルベレッチー(Kappaphycus alvarezii)から得られるモル質量が1~150kDaの架橋硫酸化ガラクタンからなる化粧剤ならびにテオブロマカカオL豆の加水分解物を含む組成物が、ストレスのケラチン生成細胞への影響を防止および/または減少させ、細胞再生を促進させ、それによって皮膚バリア機能を改善し、皮膚微生物叢のバランスを維持することを示すことができた。
【発明の概要】
【0020】
したがって、本発明は、特に生理学的に許容できる媒体中に少なくとも以下の物質を含む化粧品組成物に関する:
a)モル質量が5~630kDa、好ましくは5~120kDa、より好ましくは8~80kDaのガラクトマンナンおよびモル質量が7~3000kDa、好ましくは7~1100kDa、より好ましくは8~200kDaの架橋硫酸化ガラクタンからなる化粧剤、ならびに
b)テオブロマカカオL豆の加水分解物。
【0021】
本発明の他の目的は、ケラチン物質、特に皮膚、唇および/または眼をケアおよび/またはメイクアップするための化粧方法であって、少なくとも本発明による組成物を該ケラチン物質、特に顔の皮膚に適用することを含む方法に関する。
【0022】
また、本発明は、本発明で定義される少なくとも一つの、モル質量が5~630kDaのガラクトマンナンおよびモル質量が7~3000kDaの架橋硫酸化ガラクタンからなる化粧剤、ならびに少なくとも一つのテオブロマカカオL豆の加水分解物の、非治療的な化粧品としての使用であって、皮膚生態系を維持し、および/または皮膚微生物叢のバランス、特に微生物多様性を維持し、皮膚バリアおよびそのハイドロリピッドフィルム(水分脂質フィルム、hydrolipidic film)を強化し、ストレスに対する皮膚の完全性および抵抗力を改善し、特に低酸素環境の皮膚への影響を防止および/または制限し、落屑および/または表皮再生を促進させ、弾力(firmness)の損失を減少させ、毛穴の弛緩を減少させ、表面不規則性を減少させ、顔の肌の均一性を改善し、および/またはメイクアップ持ちおよび付着(deposit)の均質性を促進および/または改善することの組み合わせとしての使用に関する。
【0023】
本発明の他の目的は、特に脂性肌または脂性傾向のある皮膚の対象における、高脂漏(hyperseborrhea)、特に皮脂依存性炎症および/または細菌増殖と関連している障害の処置および/または減少に使用するための、本発明により定義される、モル質量が5~630kDaのガラクトマンナンおよびモル質量が7~3000kDaの架橋硫酸化ガラクタンからなる少なくとも一つの化粧剤、ならびに少なくとも一つのテオブロマカカオL豆の加水分解物に関する。
【0024】
定義
本発明によれば、「ケラチン物質」とは、皮膚、粘膜(特に唇)および毛髪および爪を意味する。特定の実施態様によれば、組成物は、皮膚、唇または毛髪および爪、好ましくは皮膚への局所適用を目的とする。
【0025】
「皮膚」とは、特に顔および/または首の皮膚、特に顔の皮膚を意味し、これは眼瞼のより特定の部分(眼メイクアップ製品のカテゴリーに属す)および眼の輪郭部分を含む。
【0026】
「皮膚微生物叢」または「ミクロフローラ」とは、ケラチン物質、特に皮膚の表面に存在する微生物(細菌、酵母、真菌類、ウイルスなど)を意味する。
【0027】
用語「皮膚微生物叢」とは、これらの微生物、それらのゲノムおよびそれらの環境との相互作用の全てを意味する。
【0028】
本発明によれば、別名「皮膚生物圏」として知られている「皮膚生態系」とは、皮膚微生物叢およびその宿主、皮膚を意味する。
【0029】
「皮膚微生物叢の不安定」とは、特に皮膚微生物叢の構成および/または多様性における不安定を意味する。
【0030】
本発明によれば、「皮膚生態系を維持すること、および/または皮膚微生物叢のバランス、特に微生物多様性を維持すること」とは、内部因子および/または外部因子と関連している妨害の条件下を含めて、皮膚生態系の自然なバランスを保存または維持するための活性成分またはそれを含む組成物の能力を意味する。「皮膚微生物叢のバランスを維持すること」は、特に微生物叢の構成および/または多様性を保存または維持すること、およびそれの発達を制御することを意味する。
【0031】
「顔の肌の均一性」とは、特に明るくて均一な顔の肌を意味し、「顔の肌の輝き」とも呼ばれ、特に表面および/または色の不規則性を示す鈍くて不均一なぼやけた顔の肌を示す「顔の肌の変化」とは対照的である。脂性肌の場合、顔の肌の変化には、特に光沢のある顔の肌および不快感の感知および皮膚の欠陥または審美的な障害として感じられる症状が含まれる。
【0032】
本発明によれば、別名「皮膚欠陥」として知られている「表面不規則性」とは、特に起伏(例えば毛穴、垢(scale)、しわおよび細かい線、欠陥のある皮膚のきめにおける不規則性および/または色における不規則性を意味する。唇において、これらの起伏における不規則性は荒れた唇または割れた唇を含み得る。
【0033】
本発明によれば、「低酸素環境の皮膚への影響を防止および/または制限する」とは、特に微生物叢の多様性を維持すること、および/または細胞凝集の低下、表皮への水分供給の低下、活性酸素分子の産生の増加、分化ケラチンの形成の抑制および/またはコラーゲンの分解の増加など、一過性低酸素状態と関連している皮膚変化を防止および/または改善することを意味する。
【0034】
「脂性肌または脂性傾向のある皮膚」とは、皮脂腺の分泌物である皮脂が表面に過剰に存在することを特徴とする脂性肌のことであると理解されている。この皮脂の生産は、より詳しくは、細胞の分化および、脂肪生成と呼ばれる脂質の合成または蓄積の過程を通して、脂腺細胞によって確保される。これは、過剰脂漏性(hyperseborrheic)皮膚としても知られている。
【0035】
脂性肌は、多くの場合、落屑欠損、炎症性トレインおよび/または脂質酸化に関連しており、これは光沢のある顔の肌、欠陥のある皮膚のきめ、不快感の感知、および皮膚欠陥または審美的な障害などの認識される症状を引き起こし得る。このような皮膚はまた、日中、特に皮脂生産が最大である午後により悪いメイクアップ持ちを示す。
【0036】
脂性肌は、見苦しい外観に加えて、微生物の増殖の温床となり、その結果、皮膚障害(例えばニキビ傷害)の発生に寄与し得る。これは、ニキビの傾向がある脂性肌または過剰脂漏性皮膚として知られている。
【0037】
「脂性肌または脂性傾向のある皮膚に関連する審美的な皮膚障害または非病理学的障害」は、高脂漏、落屑欠損、低酸素環境および/または微生物叢の不安定に起因する障害であると理解される。具体的には、関連審美的な皮膚障害は、皮膚微生物叢の不安定、落屑欠損、脂質の酸化、顔の肌の変化、特に、光沢のある顔の肌、不快感の感知、表面不規則性、特に、毛嚢開口または拡張した毛穴、欠陥のある皮膚のきめを示す皮膚、および/またはあまり良くないメイクアップ持ちを示す皮膚から選択される非病理学的障害である。
【0038】
発明の詳細な記載
したがって、本発明の第一の目的は、生理学的に許容できる媒体中に少なくとも以下の物質を含む化粧品組成物である:
a)モル質量が5~630kDa、好ましくは5~120kDa、より好ましくは8~80kDaのガラクトマンナンおよびモル質量が7~3000kDa、好ましくは7~1100kDa、より好ましくは8~200kDaの架橋硫酸化ガラクタンからなる化粧剤、ならびに
(b)テオブロマカカオL豆の加水分解物。
【0039】
ガラクトマンナンおよび架橋硫酸化ガラクタン
本発明の意味での化粧剤は、バイオポリマー、すなわち化学合成によって得られる植物原料物質由来のポリマーからなる。
【0040】
これらのバイオポリマーは、汚染やアレルゲンなどの外部傷害から皮膚を保護するための膜形成効果、すなわち肉眼で知覚できない膜を皮膚の表面に形成できる効果がある。
【0041】
このようなバイオポリマーは、特にSociete Industrielle Limousine d’Application Biologiqueの特許出願WO2017/19792およびWO2017/129780に記載されている。
【0042】
本発明により使用される化粧品または皮膚化粧剤は、
-モル質量が5~630kDaのガラクトマンナン、および
-モル質量が7~3000kDaの架橋硫酸化ガラクタンからなる。
【0043】
分子の混合物の「平均分子量」とは、混合物中の各分子の平均分子量を意味する。
【0044】
本発明の目的のために、「架橋される」とは、バイオポリマーの分子間の化学的または物理的結合の形成によって三次元のネットワークが形成されているバイオポリマーを意味する。
【0045】
好ましくは、化粧品またはダーマコスメティック(Dermocosmetic)剤は、
-平均モル質量が5~120kDaのガラクトマンナンおよび平均モル質量が7~1100kDaの架橋硫酸化ガラクタンからなる。
【0046】
より好ましくは、化粧品またはダーマコスメティック(Dermocosmetic)剤は、平均モル質量が8~80kDaのガラクトマンナンおよび平均モル質量が8~200kDaの架橋硫酸化ガラクタンからなる。
【0047】
ガラクトマンナンは、特にタラ(カエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia spinosa))、グァー(シアモプシス・テトラゴノロバ(Cyamopsis tetragonoloba))、キャロブ(セラトニア・シリクア(Ceratonia siliqua))、ならびにセンナ(カッシア・アングスティフォリア(Cassia angustifolia))、カッシア(カッシア・フィスツラ(Cassia fistula))、カッシア(カッシア・オブツシホリア(Cassia obtusifolia)またはカッシア・トラ(Cassia tora))、シナローカストビーン(Chinese locust bean)(グレジツシア・シネンシス(Gleditsia sinensis))、ローカストビーン(グレジツシア・トリアカントス(Gieditsia triacanthos))、ソホラ(ソホラ・ジャポニカ(Sophora japonica))および/またはフェヌグリーク(トリゴネラ・フォエヌム-グラエクム(Trigonella foenum-graecum))、好ましくはカエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia spinosa)に由来するガラクトマンナンの加水分解により得られる。
【0048】
架橋硫酸化ガラクタンは、カラギーナン(カッパフィカス・アルベレッチー(Kappaphycus alvarezii)、カッパフィカス・ストレータム(Kappaphycus striatum)、ユーケマ・コットニイ(Eucheuma cottonii)、ユーケマ・スピノスム(Eucheuma spinosum)、コンドルス・クリスプス(Chondrus crispus)、ギガルチナ・スコッツベルギイ(Gigartina skottsbergii)、サルコタリア・クリスパータ(Sacrothalia crsipata))、またはフセラリア・ファスチギアタ(Fucellaria fastigiata)、寒天(ゲリディウム・セスキペダル(Gelidium sesquipedale))または藻類(ポリシフォニア・イアノサ(Polysiphonia Ianosa)またはコジウム・フラギル(Codium fragile))、好ましくはカッパフィカス・アルベレッチー(Kappaphycus alvarezii)に由来する硫酸化ガラクタンの加水分解により得られる。
【0049】
本発明の特定の実施態様によれば、化粧剤は、タラ(カエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia spinosa))、グァー(シアモプシス・テトラゴノロバ(Cyamopsis tetragonoloba))、キャロブ(セラトニア・シリクア(Ceratonia siliqua))、ならびにセンナ(カッシア・アングスティフォリア(Cassia angustifolia))、カッシア(カッシア・フィスツラ(Cassia fistula))、カッシア(カッシア・オブツシホリア(Cassia obtusifolia)またはカッシア・トラ(Cassia tora))、シナローカストビーン(Chinese locust bean)(グレジツシア・シネンシス(Gleditsia sinensis))、ローカストビーン(グレジツシア・トリアカントス(Gieditsia triacanthos))、ソホラ(ソホラ・ジャポニカ(Sophora japonica))および/またはフェヌグリーク(トリゴネラ・フォエヌム-グラエクム(Trigonella foenum-graecum))、好ましくはカエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia spinosa)に由来するガラクトマンナンの加水分解により得られるガラクトマンナン;およびカラギーナン(カッパフィカス・アルベレッチー(Kappaphycus alvarezii)、カッパフィカス・ストレータム(Kappaphycus striatum)、ユーケマ・コットニイ(Eucheuma cottonii)、ユーケマ・スピノスム(Eucheuma spinosum)、コンドルス・クリスプス(Chondrus crispus)、ギガルチナ・スコッツベルギイ(Gigartina skottsbergii)、サルコタリア・クリスパータ(Sacrothalia crsipata))、またはフセラリア・ファスチギアタ(Fucellaria fastigiata)、寒天(ゲリディウム・セスキペダル(Gelidium sesquipedale))または藻類(ポリシフォニア・イアノサ(Polysiphonia Ianosa)またはコジウム・フラギル(Codium fragile))、好ましくはカッパフィカス・アルベレッチー(Kappaphycus alvarezii)に由来する硫酸化ガラクタンの加水分解により得られる架橋硫酸化ガラクタンからなる。
【0050】
ガラクトマンナンおよび架橋硫酸化ガラクタンは以下の工程によって得られる:
-天然ガラクトマンナン粉末または天然硫酸化ガラクタンそれぞれの水への溶解化
-化学的または酵素的ルートによる加水分解
-不溶性相を除去するための、可溶性相または不溶性相の分離
-規定の分子量のガラクトマンナンの膜濾過による選択
【0051】
架橋硫酸化ガラクタンはまた、架橋剤、好ましくはイオン性物質によって架橋される。
【0052】
こうして得られるガラクトマンナンおよび架橋硫酸化ガラクタンを混合し、化粧料を形成する。
【0053】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明による化粧剤a)は、60~90%のガラクトマンナンおよび10~40%の架橋硫酸化ガラクタンからなる。
【0054】
特定の好ましい実施態様によれば、化粧剤は、モル質量が1~150kDaのカエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia spinosa)から得られるガラクトマンナンおよび特にモル質量が1~150kDaのカッパフィカス・アルベレッチー(Kappaphycus alvarezii)から得られる架橋硫酸化ガラクタンからなる。
【0055】
本発明の特定の実施態様によれば、化粧剤a)は、組成物総重量に対して0.01重量%~2重量%の範囲の活性成分、好ましくは組成物総重量に対して0.1重量%~0.1重量%の範囲の活性成分、より好ましくは組成物総重量に対して0.4重量%~0.8重量%の範囲の活性成分の含有量で組成物中に存在する。
【0056】
「活性成分」とは、効能が帰属される化粧品の活性体を意味する。これは、植物抽出物の乾燥物質も意味する。
【0057】
このようなバイオポリマーは、Societe Industrielle Limousine d’Application Biologiqueの特許出願WO2017/19792およびWO2017/129780に記載されており、特に出願WO2017/129780の実施例1に記載されている。これらのバイオポリマーの使用により、汚染物質、アレルゲンまたは重金属などの有害分子の侵入から皮膚を保護することにより皮膚バリア効果を改善する。また、皮膚への適用後の膜効果により、顔の全体的な外見を改善し、顔料やメイクアップ持ちに役立つ。
【0058】
特定の好ましい実施態様によれば、SILAB社から商品名FILMEXEL(R)(INCI名:「カエサルピニアスピノサ抽出物およびカッパフィカス・アルベレッチー抽出物および水」(CAESALPINIA SPINOSA EXTRACT and KAPPAPHYCUS ALVAREZII EXTRACT and WATER))で販売されている製品である、76%のカエサルピニアスピノサ(CAESALPINIA SPINOSA)抽出物、19%のカッパフィカス・アルベレッチー(Kappaphycus alvarezii)抽出物および5%の水(95%の活性成分または乾燥物質)の粉末状組成物は、ガラクトマンナンおよび架橋硫酸化ガラクタンからなる化粧剤として使用される。
【0059】
テオブロマカカオLの加水分解物
本発明によるテオブロマカカオL.の加水分解物は、主にペプチドおよびサッカライドを含む、テオブロマカカオL豆のペプチドおよびサッカライド加水分解物である。用語「主にペプチドおよびサッカライド」とは、50%を超える量、好ましくは60%を超える量、好ましくは70%を超える量、最大90%(重量/重量)のペプチドおよびサッカライドの乾燥物質、好ましくは90%の重量の乾燥物質を意味する。
【0060】
「ペプチドおよびサッカライド加水分解物」とは、主にまたは絶対不可欠にペプチドおよびサッカライド(単糖類およびオリゴ糖類)を含む加水分解物を意味する。豆中に自然に存在するタンパク質や多糖類は、ペプチド、オリゴ糖類または単糖類に加水分解されており、有利には、加水分解は酵素加水分解である。
【0061】
この加水分解物は以下の工程によって得られる:
a)挽いたテオブロマカカオL豆を水相中に分散させ;
b)工程a)で得られる水分散液を酵素処理し;
c)固液分離により酵素加水分解物を回収し;
d)超ナノ濾過により加水分解物精製し、その後、場合により
e)工程d)で得られる加水分解物を凍結乾燥させる。
【0062】
本発明により使用される加水分解物は、出発物質としてテオブロマカカオL豆から得られるものであり、これは、豆のみを含むものであってもよく、豆およびその殻を含むものであってもよく、好ましくは、豆とその殻を含むのもを使用する。
【0063】
本発明により使用される非凍結乾燥ココア加水分解物は、20~70%のペプチドおよび5~40%のサッカライドを含む。本発明による乾燥サポートがない非凍結乾燥ココア加水分解物は、20~70%のペプチドおよび5~40%のサッカライドを含有する90%を超える乾燥物質を含む。
【0064】
本発明による別の非常に好ましい実施態様において、本発明により使用される加水分解物中に存在するペプチドおよびサッカライドは、200Da~10kDaの分子量を有する。
【0065】
したがって、特定の好ましい実施態様によれば、テオブロマカカオL豆の加水分解物は、特に200Da~10kDaの分子量を有するペプチドおよびサッカライドを含むテオブロマカカオL豆のペプチドおよびサッカライド加水分解物である。
【0066】
得られた加水分解物は、その後水または水を含有する溶媒混合物のいずれかで希釈してもよい。したがって、本発明によるココア加水分解物は、有利には、一つまたはそれ以上の水、グリセロール、エタノール、プロパンジオール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エトキシ化またはプロポキシル化ジグリコール、環状ポリオールなどの生理学的に許容できる溶媒、またはこれらの溶媒の混合物のいずれかで希釈する。
【0067】
組成物を調製するために、本発明によるココア加水分解物は、液状または凍結乾燥型であり得る。特定の実施態様によれば、液状である。
【0068】
特定の好ましい実施態様によれば、使用されるテオブロマカカオL.の加水分解物は、ASHLAN社から商品名BLUMILIGHTTM(INCI名:ブチレングリコールおよび水およびテオブロマカカオ(ココア)種子抽出物「BUTYLENE GLYCOL and WATER and THEOBROMA CACAO (COCOA) SEED EXTRACT」)で販売されている製品である、55%のブチレングリコール(BUTYLENE GLYCOL)、43.75%の水(WATER)および1.25%のテオブロマカカオ(ココア)種子抽出物(1.25%の活性成分または乾燥物質)の液状組成物である。
【0069】
特定の実施態様によれば、テオブロマカカオL豆の加水分解物は、組成物総重量に対して0.0005重量%~0.025重量%の範囲の活性成分、好ましくは組成物総重量に対して0.001重量%~0.01重量%の範囲の活性成分の含有量で組成物中に存在する。
【0070】
本発明の特定の実施形態によれば、化粧品組成物はさらに、プレバイオティクスおよびプロバイオティクスを含む。用語「シンバイオティク」または「プレバイオティクス/プロバイオティクス複合体」は、プレバイオティクスとプロバイオティクスとの組み合わせを定義するためにも使用される。
【0071】
プレバイオティクス/プロバイオティクス複合体(シンバイオティク)
「プレバイオティクス」とは、ヒトの健康に有益な腸のプロバイオティクス菌株(ラクトバシリ(lactobacilli)、ビフィズス菌など)およびほかの細菌の菌株の増殖や活性を調節する性質を有する非生物性食品成分を意味する。プレバイオティクスは、一般に果物や植物、蜂蜜などに自然に存在する抽出可能な単糖類、二糖類またはオリゴ糖類である。他は、多糖(例えばオリゴフルクトースまたはフルクト-オリゴ糖、略称FOS)の加水分解により工業的に生産するか、またはラクトースなどの二糖類に転移活性を有するラクターゼなどの酵素の作用を受けさせ、トランス-ガラクト-オリゴ糖(TOS)を生成するか、もしくは化学異性化反応によりラクツロースを生成することによって合成する。現在、プレバイオティクス効果が認められているものとしては、トランス-ガラクトオリゴ糖(GOS)やイヌリン型フルクタン類が挙げられる。
【0072】
「プロバイオティクスまたは誘導体」とは、十分な量を摂取すると、従来の栄養効果を超える肯定的な健康効果を与える、生きている微生物または不活性化微生物を意味する。
【0073】
プロバイオティクスは細菌または酵母のどちらか一方であり得る。
【0074】
プロバイオティクスまたは誘導体は、ラクトバチルス(Lactobacillus)、クロストリジア(Clostridia)の菌株および誘導体、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の菌株および誘導体、サッカロミセス(Saccharomyces)の菌株および誘導体、ラクトコッカス(Lactococcus)の菌株および誘導体、ペディオコッカス(Pedicoccus)の菌株および誘導体、エンテロコッカス(Enterococcus)の菌株および誘導体、エシェリキア(Escherichia)の菌株および誘導体、アルカリゲネス(Alcaligenes)の菌株および誘導体、コリネバクテリウム(Corynebacterium)の菌株および誘導体、バシラス(Bacillus)の菌株および誘導体ならびにプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)の菌株および誘導体の一つまたはそれ以上の菌株から選択され得る。
【0075】
ラクトバチルス(Lactobacillus)属およびビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属細菌について特に言及することができる。プロバイオティクスとして同定された菌株は、主に腸球に適用され、それらは、ラクトバシルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、L.カゼイ(L.casei)、L.ガセリ(L.gasseri)、L.パラカゼイ(L.paracasei)、L.ラムノーサス(L.Rhamnosus)およびビフィズス菌動物(Bifidobacteria animal)、B.ブレベ(B.breve)、B.ロンガム(B.longum)を含む。
【0076】
酵母としては、特にライチに自然存在するサッカロミセス・セレビシエ・バー・ボウラディ(Saccharomyces cerevisiae var. boulardii)を挙げられる。
【0077】
「シンバイオティク」とは、プロバイオティクスとプレバイオティクスとの組み合わせを意味する。
【0078】
特定の実施態様によれば、プレバイオティクスはイヌリンおよびα-グルカンオリゴ糖からなる群から選択される。
【0079】
特定の実施態様によれば、プロバイオティクスはプロバイオティクス溶解物からなる群から選択される。好ましくは、プロバイオティクス溶解物はバチルス属溶解物である。
【0080】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の化粧品組成物は、プレバイオティクス/プロバイオティクス複合体として、α-グルカンオリゴ糖、ヤーコン(Polymnia Sonchifolia)根の搾汁、マルトデキストリンおよびラクトバチルス属細菌(Lactobacillus sp bacteria)の混合物であるSOLABIA社から販売しているECOSKIN(R)(INCI名:α-グルカンオリゴ糖およびヤーコン根の搾汁およびマルトデキストリンおよびラクトバチルス(ALPHA-GLUCAN OLIGOSACCHARIDE and POLYMNIA SONCHIFOLIA ROOT JUICE and MALTODEXTRIN and LACTOBACILLUS))を含む。
ECOSKIN(R)の組成物は、70%のα-グルカンオリゴ糖、19%のヤーコン(Polymnia Sonchifolia)根の搾汁、10%のマルトデキストリン、1%のラクトバチルス(Lactobacillus)(90%の活性成分に相当)である。
【0081】
これは、植物基質(トウモロコシマルトース、ビートスクロース)から酵素合成により得られるα-グルコ-オリゴ糖(GOS);ヤーコン(Polymnia Sonchifolia)の塊茎を冷却圧縮することにより得られるβ-フルクトオリゴ糖類(FOS)が豊富な100%純粋な植物の搾汁、および間欠滅菌により不活性化され、凍結乾燥されたラクトバチルス(Lactobacillus)(L.カゼイ、L.アシドフィルス)のプロバイオティクス細菌で製造し、マルトデキストリンで噴霧乾燥されるプレ/プロバイオティクス複合体である。
【0082】
プレバイオティクス部分は、α-グルコ-オリゴ糖(GOS)および、ヤーコン(Polymnia Sonchifolia)塊茎の冷却圧縮抽出物から得られるβ-フルクトオリゴ糖に由来し、これらのプレバイオティクスは皮膚のエコフローラを刺激する。
【0083】
プロバイオティクスは、皮膚の防衛システムに関与するβ-デフェンシンを刺激する不活性化ラクトバチルス属細菌(Lactobacillus bacteria)である。Ecoskin(R)に使用されているラクトバチルス属細菌(Lactobacillus bacteria)(ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)およびラクトバシルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus))の菌株は、あらかじめ凍結乾燥され、ティンダール化され、これは、それらの増殖系がそれらを含有する化粧品中のそれらの発達を妨げる熱によって不活化されることを意味する。
【0084】
特定の実施態様によれば、プレバイオティクス/プロバイオティクス複合体は、組成物総重量に対して0.05重量%~3重量%の範囲の活性成分、好ましくは組成物総重量に対して0.1重量%~1重量%の範囲の活性成分の含有量で組成物中に存在する。
【0085】
ガレヌス(Galenic)
本発明による組成物は、より詳しくは、ケラチン物質、特に皮膚への局所適用を目的とする。
【0086】
本発明の組成物は、化粧学的に許容できる媒体、すなわち皮膚、一つの毛髪および爪に適合する媒体を含む。組成物は、あらゆる化粧品の形態、特にクリーム状、水中油型もしくは油中水型エマルジョン状または多重エマルション状、溶液状、懸濁液状、ゲル状、乳液状、ローション状、セラム状、スティック状またはパウダー状であってもよく、皮膚、唇および/または毛髪および爪への適用に適合する。
【0087】
特定の実施態様のよれば、本発明の組成物は、皮膚、唇または眼への局所適用を目的としており、皮膚、唇および/または眼、特に顔の肌のためのケア製品および/またはメイクアップ製品の形態である。
【0088】
皮膚のメイクアップや顔の肌のメイクアップについては、淡々と話す。
【0089】
「眼メイクアップ」は、特にアイライナーまたはアイシャドウを意味する。
【0090】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物はファンデーション状またはベース状、好ましくは、ファンデーション状である。
【0091】
特定の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物はパウダー状、ファンデーション状またはベース状、好ましくは、ファンデーション状である。
【0092】
本発明の化粧品組成物は、有利には、水中油型エマルジョン状、油中水型エマルジョン状、多重エマルション状または水性ゲル状である。
【0093】
組成物は、好ましくは水相および油相を含有するエマルジョン状である。
【0094】
水相は、一般に組成物総重量に対して1重量%~99重量%に相当する。
【0095】
本発明の組成物は、一般に水相に加えて、また水相を含む。
【0096】
本発明による油相は、炭化水素、シリコーン、フッ素化または非フッ素化オイル、およびこれらの混合物を含み得る。これらのオイルは、揮発性オイルもしくは非揮発性オイル、植物オイル、鉱油または合成オイルであり得る。
【0097】
有利には、炭化水素オイルが使用される。
【0098】
揮発性炭化水素オイルには、C8-C16分岐アルカン、C8-C16分岐エステルおよびこれらの混合物を含む。
【0099】
非揮発性炭化水素オイルの例としては、炭化水素オイル、植物由来の炭化水素オイル、C10-C40合成エーテル、C10-C40合成エステル、C12-C26脂肪アルコール、C12-C22高級脂肪酸、およびこれらの混合物を含む。
【0100】
オイルは、組成物総重量に対して1重量%~95重量%の範囲の含有量で組成物中に存在する。
【0101】
本発明の組成物はまた、UVフィルター、抗酸化剤、界面活性剤、ゲル化剤、充填剤、色材、防腐剤、膜形成ポリマー、香料、化粧品活性剤(皮膚軟化剤、保湿剤、ビタミン、老化防止剤、美白剤(lightening agent)およびこれらの混合物など)などの化粧品に一般的に使用される添加物いずれかを含み得る。
【0102】
本発明の特定の実施態様によれば、化粧品組成物は少なくとも一つまたはそれ以上の色材を含む。
【0103】
色材は、水溶性または非水溶性色材、脂溶性または無脂肪色材、有機または無機色材、光学効果原料物質およびこれらの混合物から選択される。
本発明の目的のために、色材とは、適切な化粧品媒体中に十分な量で製剤化される場合に、有色光学効果をもたらすことができる化合物として定義される。
【0104】
特定の実施態様によれば、一つまたはそれ以上の色材は、特に鉱物および/または有機顔料、複合顔料(鉱物および/または有機原料物質に基づき)、着色剤、真珠層または真珠光沢顔料、およびこれらの混合物から選択される。
【0105】
顔料は、組成物および/または組成物を含めて作られる沈着物(deposit)を着色および/または不透明化することを目的とする、液体有機相に不溶性の、白色もしくは有色無機(鉱物)または有機粒子として定義される。
【0106】
鉱物顔料の例としては、場合により表面処理される二酸化チタン(ルチルまたはアナターゼ);黒色、黄色、赤色および褐色の酸化鉄;マンガンバイオレット;ウルトラマリンブルー酸化クロムクロム水和酸化物およびフェリックブルー(ferric blue)がある。
【0107】
唇のための組成物の例としては、二酸化チタン、黒色、黄色、赤色および褐色の酸化鉄ならびにマンガンバイオレットが含まれる。
【0108】
有機顔料は、例えばD&C Red No. 19;D&C Red No. 9; D&C Red No. 22;D&C Red No. 21;D&C Red No. 28;D&C Yellow No. 6;D&C Orange No. 4;D&C Orange No. 5;D&C Red No. 27;D&C Red No. 13;D&C Red No. 7;D&C Red No. 6;D&C Yellow No. 5;D&C Red No. 36;D&C Red No. 33;D&C Orange No. 10;D&C Yellow No. 6;D&C Red No. 30;D&C Red No. 3;D&C Blue 1;カーボンブラックおよびコチニールカーマインラッカー(cochineal carmine lacquer)を含む。
【0109】
水溶性着色剤の例としては、Yellow 5、Yellow 6、Blue 1、Green 5、Green 3、Green 6、Orange 4、Red 4、Red 21、Red 22、Red 27、Red 28、Red 33、Red 40、コチニールカーマイン(Cl 15850, Cl 75470)がある。
【0110】
脂溶性着色剤の例としては、スーダンレッド、D&C Red 17、D&C Green 6、β-カロテン、ダイズ油、スダンブラウン、D&C Yellow 11、D&C Violet 2、D&C Orange 5、キノリンイエロー(quinoline yellow)、アナットーがある。
【0111】
真珠層または真珠光沢顔料は、特に酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマスなどの白色の真珠光沢顔料;および酸化鉄を含むチタンマイカ、フェリックブルーまたは酸化クロムを含むチタンマイカ、上述の類型の有機顔料を含むチタンマイカなどの有色真珠光沢顔料、ならびにオキシ塩化ビスマスに基づく顔料から選択される。例としては、市販の真珠色分野のReflecks(R)、Ronastar(R)、Timiron(R)およびSyncristal(R)がある。
【0112】
具体的には、一つまたはそれ以上の色材は、組成物総重量に対して2重量%~30重量%、好ましくは4重量%~15重量%の範囲の含有量で組成物中に存在する。
【0113】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、顔料、特に鉱物顔料を、組成物総重量に対して5重量%~25重量%、特に10重量%~20重量%の範囲の含有量で含む。
【0114】
充填剤は、特に天然または合成由来のシリカ、雲母、カオリン、酸化亜鉛および酸化チタン;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭化水素マグネシウム;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム;ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド(例えばナイロン)などの合成ポリマー粉末;ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸粉末、シリコーン樹脂粉末;球状シリカなどの鉱物粉末;球状二酸化チタン;ガラスおよびセラミックスビーズ;トーモロコシ、小麦または米の架橋もしくは非架橋デンプンなどの天然由来の有機原料物質粉末、およびこれらの混合物から選択される。
【0115】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、顔料、特に鉱物顔料を、組成物総重量に対して5重量%~25重量%、特に10重量%~20重量%の範囲の含有量で含む。
【0116】
本発明の特定の実施態様によれば、化粧品組成物は、本発明の課題を形成するもの以外のいかなる化粧品活性成分を含まない。
【0117】
本発明の他の特定の実施態様によれば、組成物はまた、他の化粧品および/または皮膚科学的活性成分を含有する。これらは、皮膚微生物叢の生物多様性および/または恒常性、細胞再生、顔の肌の再生または再活性化(輝き)、皮脂産生の減少、外部からの侵入からの保護を刺激することを目的とする活性を有する。
【0118】
刺激することを目的とする以下の活性成分について、特に言及することができる:
-皮膚の微生物叢の生物多様性および恒常性(活性成分であるActibiome(C)(水および海水およびグリセリンおよびラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata)抽出物およびクロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)抽出物および異性化糖(saccharide isomerate)およびフェノキシエタノールおよびエチルヘキシルグリセリン)のように、ストレスの期間によってあらかじめ低下された皮膚のpHを再調整することにより);
-細胞再生(酸性のpHで「ピーリング」効果がある活性成分の単独または組み合わせにより):
・化学的手段(αヒドロキシ酸(AHA)(グリコール酸、乳酸、クエン酸...)、βヒドロキシ酸(BHA)(サリチル酸)、ポリヒドロキシ酸(PHA)(グルコノラクトン)など)により;
・生物学的手段(Exfolactive C EL PX(C)(オプンティア・コチネリフェラ(Opuntia coccinellifera))、DERMOCH DP(C)(Chlorella vulgaris)、ALGOWHITE(C)(アスコフィラム・ノドサム(Ascophyllum nodosum)など)により
・酵素経路(MELACLEAR(C)(グルコン酸、スティラインズ))により;
-顔の肌の再生または再活性化(輝き)(以下の活性成分を用いて):
・レチノールのような平滑化(ビタミンA様)
・メラニン生成に作用することによるライトナー(ビタミンC誘導体)
・エネルギー付与剤(energizer)(栄養素および/または抗酸化剤であるビタミンCおよびビタミンE(SEPIVITAL(C)(リン酸アスコルビルトコフェロールカリウム)など)など);
-皮脂産生の減少(セボトラッピング剤(sebo-trapping agent)(クレイ)または、グルコン酸亜鉛(Mineralis GU/Zn)およびアボカドリポフィル抽出物(5αavocuta)などの皮脂調節活性剤(sebo-regulating active agent)を用いて);
-外部からの侵入(汚染、ブルーライト、化学的または鉱物フィルターを使用および/または反射粒子を拡散させるUV、またはこれらの混合物)からの保護。
【0119】
また、本発明は、物質、特に皮膚、唇および/または眼をケアおよび/またはメイクアップするための化粧方法であって、少なくとも本発明の組成物を該ケラチン物質、特に顔の皮膚に適用することを含む方法に関する。
【0120】
特定の実施態様によれば、皮膚、唇または眼ためのメイクアップ組成物、好ましくは顔の肌のためのメイクアップ組成物である。
【0121】
特定の実施態様によれば、特に顔および/または首の皮膚をケアおよび/またはメイクアップするための化粧方法である。
【0122】
特定の実施態様によれば、唇ケアおよび/またはメイクアップ方法である。
【0123】
他の特定の実施態様によれば、特に眼瞼のための眼ケアおよび/またはメイクアップ方法である。
【0124】
特定の実施態様によれば、方法は、皮膚生態系を維持すること、および/または皮膚微生物叢のバランス、特に微生物多様性を維持すること、皮膚バリアおよびそのハイドロリピッドフィルム(hydrolipidic film)を強化すること、ストレスに対する皮膚の完全性および抵抗力を改善すること、特に低酸素環境の皮膚への影響を防止および/または制限すること、落屑および/または表皮再生を促進させること、弾力(firmness)の損失を減少させること、毛穴の弛緩を減少させること、表面不規則性を減少させること、顔の肌の均一性を改善すること、および/またはメイクアップ持ちおよび付着(deposit)の均質性を促進および/または改善することを目的とする。
【0125】
本発明の他の課題は、上記で定義される、モル質量が5~630kDaのガラクトマンナンおよびモル質量が7~3000kDaの架橋硫酸化ガラクタンからなる少なくとも一つの化粧剤、ならびに少なくとも一つのテオブロマカカオL豆の加水分解物における非治療的な化粧品としての使用であって、皮膚生態系を維持すること、および/または皮膚微生物叢のバランス、特に微生物多様性を維持すること、皮膚バリアおよびそのハイドロリピッドフィルム(hydrolipidic film)を強化すること、ストレスに対する皮膚の完全性および抵抗力を改善すること、特に低酸素環境の皮膚への影響を防止および/または制限すること、落屑および/または表皮再生を促進させること、弾力(firmness)の損失を減少させること、毛穴の弛緩を減少させること、表面不規則性を減少させること、顔の肌の均一性を改善すること、メイクアップ持ちおよび付着(deposit)の均質性を促進および/または改善することの組み合わせとしての使用である。
【0126】
本発明は、特に脂性肌または脂性傾向のある皮膚の対象における、高脂漏(hyperseborrhea)、特に皮脂依存性炎症および/または細菌増殖と関連している障害の処置および/または減少に使用するための、上記で定義される少なくとも一つのモル質量が5~630kDaのガラクトマンナンおよびモル質量が7~3000kDaの架橋硫酸化ガラクタンからなる化粧剤、ならびに少なくとも一つのテオブロマカカオL豆の加水分解物に関する。
【0127】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって例示する。別に明記しない限り、百分率は、組成物総重量に対する重量百分率として示す。
【実施例】
【0128】
実施例1:テオブロマカカオL豆の加水分解物(Blumilight
TM
)と一緒にしたカエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia spinosa)抽出物とカッパフィカス・アルベレッチー(Kappaphycus alvarezii)抽出物との組み合わせ(FILMEXEL(R))の、ケラチン生成細胞に対する効果
これらの活性成分を単独または組み合わせて用いた転写効果に関する研究は、TaqMan Low Density Array(TLDA)技術を用いて行った。この技術のおかげで、正常なヒト角化細胞(ケラチン生成細胞)の処置に応じた、特定のタンパク質をコードする遺伝子の発現の変調が研究され、これは、上記活性成分の単独または組み合わせでの遺伝子発現のマッピングを可能にした。
【0129】
このアプローチにより、特に、表皮の形成と落屑、細胞外マトリックス、解毒と抗酸化、炎症と自然免疫のプロファイルによって網羅される領域における、活性成分またはその組み合わせの有益な効果を強調することができる。
【0130】
原料物質および方法
用いられた細胞:正常ヒト表皮角化細胞
培地:HKGS(ヒト-角化細胞-増殖-サプリメント)が補充されたEpiLife(R)
細胞の皮膚由来:腹部採取、女性、47歳
研究モデル:TaqMan Low Density Array (TLDA)技術
化合物での細胞の処理:24時間
試験化合物:
・0.05%のBLUMILIGHTTM(ブチレングリコールおよび水およびテオブロマカカオ(ココア)種子抽出物)。
・0.25%のFILMEXEL(R)(カエサルピニア・スピノサ(CAESALPINIA SPINOSA)抽出物およびカッパフィカス・アルベレッチー(Kappaphycus alvarezii)抽出物および水)。
・0.05%のBLUMILIGHTTM+0.25%のFILMEXEL(R)
【0131】
結果
選択される実験条件は以下の通りである:
-各試験は、3回実施する(未処理の3回、同一条件で処理される3回);
-Fischer F-検定は、最初に2つのデータ行列を比較することによって適用する。値がα=0.05より大きい場合、スチューデントのt-検定の分散は2で、FischerのF-検定がα= 0.05より小さい場合、分散は3になる。
-保持される転写変動(有意)は、スチューデントのt検定においてα(またはp)=0.05未満またはそれに等しく対応するものになる。抑制は淡い灰色で示し、刺激は濃い灰色(下記参照)で示し、白色の背景は、有意でない変動、すなわちスチューデントのt検定においてα(またはp)=0.05より大きく対応するものを示す。
-「測定されていない」の表示「ND」は、遺伝子の転写活性が小さすぎて、使用されるTLDA方法により定量化することができないことを意味する。
【表1】
【0132】
これらのデータは、試験した組み合わせにより、表皮の構造を全体的に強化し、保護することを可能にする全体的な効果との相乗効果を示しており、具体的には以下の通りである:
-SERPINA3、SERPINB3などのプロテアーゼ阻害剤の遺伝子の活性化を介してこれらのタンパク質構造の劣化を防止することにより、毛穴の収れん効果および皮膚の起伏(relief)の充填において、その維持に関与する皮膚のタンパク質構造の完全性を促進させ、
-コルネオデスモソーム(corneodesmosome)の形成に関与するDSG1遺伝子の転写活性を刺激することにより、表皮の機械的な抵抗力を強化し(細胞間をつなぐタンパク質構造)、
-細胞間水分の通過を制限し(不感水分喪失)、表皮脂質を皮膚表面に維持する細胞間密着結合の形成に関与するCLDN1遺伝子の転写活性刺激することにより、皮膚バリア性能を改善し、
-特に表皮ケラチン生成細胞の分化に関与するKLF10遺伝子の転写活性を刺激し、創傷治癒および血管新生に関与するPPBP遺伝子(別名CXCL7)の転写活性を刺激することにより、表皮の適切な発育を促進させ、
-表皮の脆弱性(細胞アポトーシス)にも関与するTRPV3遺伝子の転写活性を抑制することにより、表皮の感覚的要素、特に炎症に起因する不快感の感覚を重くする感覚的要素を調整し、
-殺菌性および抗真菌性抗菌サイトカインであるCXCL7遺伝子の転写活性を刺激することにより、微生物叢の皮膚制御を向上させる。
【0133】
カエサルピニア・スピノサ(Caesalpinia spinosa)抽出物およびカッパフィカス・アルベレッチー(Kappaphycus alvarezii)抽出物(Filmexel(R))と、テオブロマカカオL豆の加水分解物(BlumilightTM)との本発明による組み合わせにより、皮膚生態系を維持すること、および/または皮膚微生物叢のバランス、特に微生物多様性を維持すること、皮膚バリアおよびそのハイドロリピッドフィルム(hydrolipidic film)を強化すること、皮膚の完全性および抵抗力を改善すること、低酸素または炎症性環境の皮膚および感覚への影響を制限すること、弾力(firmness)の損失を減少させること、毛穴の弛緩および皮膚起伏(relief)欠陥(しわおよび細かい線)の形成を減少させること、メイクアップ製品の分布の均質性を促進および/または改善することを可能にする。
【0134】
実施例3:化粧品製剤
化粧品製剤は、伝統的な製剤法によって調製する。
百分率は、組成物総重量に対する成分(原料物質)の重量百分率として示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】