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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】二重入力信号を処理するための表示部
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20240425BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09G3/20 660P
G09G3/20 660U
G09G3/20 612E
G09G3/20 660V
G09G3/20 631D
G09G3/20 650J
G09G3/20 621A
G09G3/20 633D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020564480
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 FR2019051100
(87)【国際公開番号】W WO2019220055
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】1854079
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519215762
【氏名又は名称】マイクロオーエルイーディー
【氏名又は名称原語表記】MICROOLED
【住所又は居所原語表記】7 Parvis Louis Neel BP 50 BHT Batiment 52 Grenoble Cedex 09 France
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ハース, ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】シャリエ, ローラン
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-248469(JP,A)
【文献】特開平09-331490(JP,A)
【文献】特開2003-122331(JP,A)
【文献】特開2002-207453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0093472(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロルミネセンス表示部(1)であって、
それぞれが少なくとも1つの基本発光ゾーン(225、325、425)によって形成された画素を基板上に行および列のマトリクスに複数配置して形成したエレクトロルミネセンス画素マトリクス(38)を含み、
前記エレクトロルミネセンス表示部は、2つの別個の画像チャネル、すなわち、
デジタルデータの入力ストリームを伴う、映像と呼ばれるチャネルであって、各基本発光ゾーンについて入力デジタル映像信号をアナログ信号に変換し、前記基本発光ゾーンに関連付けられた動的メモリに一時的に格納するチャネルと、
デジタルデータの入力ストリームを伴う、図表と呼ばれるデータチャネルであって、直接アクセスデジタルライブメモリマトリクスをアドレス指定するチャネルと、を備え、
前記2つのチャネルは、前記画素内でのみ接続されており、
前記エレクトロルミネセンス表示部(1)は、
前記エレクトロルミネセンス画素マトリクス(38)上に表示できる図表および/または英数字データストリームを制御するように構成された第1の制御ブロック(2)と、
前記エレクトロルミネセンス画素マトリクス(38)上に表示でき、周期的にリフレッシュされる映像データストリームを制御するように構成された第2の制御ブロック(3)と、
前記図表および/または英数字データストリームは、静的で、必要に応じて再プログラムされ得るか、または前記映像データストリームのリフレッシュ周波数とは独立したリフレッシュ周波数で周期的にリフレッシュされ得ることを識別する、基準電圧生成部(4)と、
を含み、
前記エレクトロルミネセンス表示部(1)は、
各基本発光ゾーンは、前記第1の制御ブロック(2)によってアドレス指定される静的メモリに接続され、かつ前記第2の制御ブロック(3)によってアドレス指定される動的メモリに接続され、
前記第1および第2の制御ブロックは、同一の前記エレクトロルミネセンス画素マトリクス(38)上にデータを交互または同時に表示できるように構成される、ことを特徴とするエレクトロルミネセンス表示部(1)。
【請求項2】
前記第1(2)および第2(3)の制御ブロックは、前記エレクトロルミネセンス画素マトリクス(38)上に前記映像データストリームのみ、または前記図表および/もしくは英数字データストリームのみ、あるいは前記図表および/もしくは英数字データストリームを前記映像データストリームにオーバーレイできるように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロルミネセンス表示部(1)。
【請求項3】
各基本発光ゾーン(225、325、425)は、映像データ用の、動的メモリ、好ましくは静電容量(210、310、410)を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロルミネセンス表示部(1)。
【請求項4】
各基本発光ゾーン(225、325、425)は、図表および/または英数字データ用の、少なくとも1つの、好ましくは複数の、静的メモリ、好ましくはSRAMもしくはレジスタ型のものに接続される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス表示部(1)。
【請求項5】
前記第1の制御ブロック(2)は、前記エレクトロルミネセンス画素マトリクス(38)上に図表および/または英数字データ(131)を表示するため、
前記エレクトロルミネセンス画素マトリクス(38)の前記静的メモリの前記アドレス指定を制御するアドレス指定テーブル(132)に、
前記図表および/または英数字データ信号(131)と、
水平アドレス指定信号(133)と、
を送信し、
行駆動要素(137)に、
前記エレクトロルミネセンス表示部の前記行の前記アドレス指定を制御するアドレス指定信号(134)を送信するように構成される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス表示部(1)。
【請求項6】
前記第2の制御ブロック(3)は、前記エレクトロルミネセンス画素マトリクス(38)上に映像データストリーム(31)を表示するため、
前記エレクトロルミネセンス画素マトリクス(38)の前記列の前記アドレス指定を制御する水平シフトレジスタ(34)に、前記映像データストリーム(31)を送信し、
前記エレクトロルミネセンス画素マトリクス(38)の前記行の前記アドレス指定を制御する行駆動要素(37)に、制御信号(32)を送信するように構成される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス表示部(1)。
【請求項7】
前記第1の制御ブロック(2)および前記第2の制御ブロック(3)は、前記第1の制御ブロック(2)が前記第2の制御ブロック(3)よりも発光強度レベルのビットを少数有するように構成される、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス表示部(1)。
【請求項8】
前記第2の制御ブロックは、少なくとも8ビットの発光強度レベルで構成され、かつ/または前記第1の制御ブロックは、2~6ビットの発光強度レベルで構成される、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス表示部(1)。
【請求項9】
前記第1の制御ブロック(2)は、前記第2の制御ブロック(3)よりも高いリフレッシュレートを有する、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス表示部(1)。
【請求項10】
前記第1の制御ブロック(2)は、25Hz以上、好ましくは、60Hz以上、さらにより好ましくは、少なくとも90Hzのリフレッシュレートを有し、かつ/又は前記第2の制御ブロック(3)は、静的表示用の前記図表および/または英数字データを記憶するためのメモリ部を含む、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス表示部(1)。
【請求項11】
前記第2の制御ブロック(3)は、0Hz~10Hz、好ましくは0.1Hz~1Hzのリフレッシュレートを有する、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のエレクトロルミネセンス表示部(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の技術分野)
本発明は、電子機器の分野、より具体的には、マトリクス表示部の分野に関する。これは、LED、OLED、または他の任意の種類のマトリクス表示部に関連する。このマトリクス表示部により、画像を動的または静的に表示したり、またはこれら2つの表示種類をオーバーレイしたりすることができる。この二重表示を可能にするために、各副画素の新しい構造を含む。
【背景技術】
【0002】
(先行技術)
マトリクス表示部システムは、インターフェース上で所望の静的または動的表示の種類に応じて、各副画素に異なる構造を実装することが知られている。
【0003】
Wacyk等著の刊行物「超高解像度AMOLED」、SPIE 8042所収、防衛、セキュリティ、および航空電子光学のための表示技術および応用V、ならびに拡張および合成視覚2011、80420B(doi:10.1117/12.886520)では、アナログメモリ型の構造を備えたアクティブマトリクス型の回路について説明している。この型の回路は、映像ソースを表示するために完璧に適している。なぜなら、これらの回路は、情報を失わないために、25Hz~125Hz程度の、周期的なアドレス指定を必要とするからである。一方、この回路では、その構造が動的表示専用であるため、静的表示では過剰な電力消費が発生する。
【0004】
次に、再び、Uwe Vogel等著の刊行物「バッテリー寿命を延ばすための超低電力OLEDマイクロ表示」、SID 2017 Digest所収、p.1125~1128では、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ)型のメモリセルマトリクス回路について説明している。この回路では、画像はメモリマトリクスのメモリに格納され、当該メモリマトリクスの状態は表示されるデータが変化したときにのみ変化する。この型の回路は、定期的に更新する必要がないので、図表型の表示に最適な静的ディスプレイである。その主な利点は、静止画像である、すなわち変化率が低い、さらには映像コントローラを経由せずにマイクロコントローラによってマトリクスを直接アドレス指定できるため、消費電力が少ないことである。
【0005】
国際公開第2014/108741号では、同一表示部上に動的または静的ソースの表示を生成するための静的モードおよび動的モードの2つをオーバーレイする方法について説明している。表示部は、表示マトリクスに表示するための信号を適応させるためのデータ処理部を含む。データの後処理によりオーバーレイを作成できるが、これは動的表示部に基づいている。その結果、表示部のエネルギー消費は著しく大きいままである。画像をオーバーレイするための別の表示部について、米国特許出願公開第2002/093472号明細書に記載されている。
【0006】
上記を前提として、本発明の1つの目的は、上記の従来技術の欠点を少なくとも部分的に改善することである。静的モードなどについて非常に低消費電力であるだけでなく非常に高品質な動的表示(映像モード)も可能にする表示部を提案する。この表示部は、また、映像モードの画像に(オーバーレイモードにおいて)図表画像を簡単にオーバーレイできるようにする必要もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2014/108741号
【文献】米国特許出願公開第2002/093472号明細書
【非特許文献】
【0008】
【文献】Wacyk等著、「超高解像度AMOLED」、SPIE 8042所収、防衛、セキュリティ、および航空電子光学のための表示技術および応用V、ならびに拡張および合成視覚2011、80420B(doi:10.1117/12.886520)
【文献】Uwe Vogel等著、「バッテリー寿命を延ばすための超低電力OLEDマイクロ表示」、SID 2017 Digest所収、p.1125~1128
【発明の概要】
【0009】
(本発明の目的)
映像モードの画像に図表画像のオーバーレイを可能にする明らかなソリューションの1つは、SRAMマトリクス型回路の画面を使用して、適切なリフレッシュレートの映像品質の画像を表示することができるようにメモリをアドレス指定するレベルおよび速度を最適化することであろう。しかしながら、このソリューションには複数の問題がある。特に、高品質の映像画像を表示するには、少なくとも副画素あたり8ビットまたは10ビットの符号化が必要である。ところが、現在利用可能なCMOS技術(200mmシリコンウェーハ、130nm解像度)では、画素サイズが非常に大きくなってしまう。一例として、Vogel等による上記記事に記載されているような副画素では、わずか4ビットのレベルで12μm×12μmと測定され、一方、Wacyk等による上記刊行物に記載されているようなAMOLED画面の副画素では、上記引用によると、現在、4μm×4μm程度のサイズを有する。
【0010】
本発明によれば、前述の問題について、2つのアドレス指定モードを有する基本エレクトロルミネセンス発光ゾーンのマトリクスを使用することによって解決する。すなわち、映像型インターフェースを使用する第1のモード(「映像モード」として知られる)であって、好ましくは標準化され、それにより良質な映像画像(通常は8~10ビットのグレーレベルおよび30Hz~120Hz、好ましくは60Hz~120Hzの良好なリフレッシュレート(リフレッシュ周波数とも呼ばれる)を有する)を表示できるが、当該画像を恒久的なメモリに保持する必要はないモード、およびデータ型インターフェースを使用する第2のモード(「図表モード」と呼ばれる)であって、好ましくは当該画像をメモリに保持することが標準化され(たとえば、SPI型)、少数のグレーレベル(たとえば、副画素あたり1ビットまたは2ビット)のみを必要とし、かつメモリに格納した当該画像について、単独で表示するか、映像インターフェースによって表示部に入力された映像画像とオーバーレイするかのいずれかをも識別するモードである。「グレーレベル」という表現は、ここでは、発光色に関係なく、基本エレクトロルミネセンス発光ゾーンによる発光強度レベルを示すことに留意されたい。各基本エレクトロルミネセンス発光ゾーンは、1副画素または1画素であり得る。各基本エレクトロルミネセンス発光ゾーンは、2つの独立したメモリを有する。すなわち、図表データ用のSRAM型の有利な静的メモリと、映像ストリームからのデータ用の動的なアナログメモリと、である。動的メモリは、静電容量の可能性がある。
【0011】
映像モードの場合、データは同期データであり、周期的にリフレッシュ(更新)される。当該リフレッシュは、通常、クロックによって制御される。
【0012】
図表モードの場合、画像は静的であり、必要に応じて再プログラム(つまり更新)することができるか(つまり、新しいデータを静的メモリに保存後、静的メモリの内容を変更する場合にのみ、新しいデータを送信することによって各基本発光ゾーンを更新する可能性がある。)、または周期的に更新できる。最初の場合では、クロックに依存しない非同期データに関係し、二番目の場合では、同期データに関係する可能性がある。
【0013】
図表画像を周期的にリフレッシュするときに、画像をリフレッシュする速度は、低い、特に、0.1Hzより低い(または0Hzでさえある)可能性があり、有利には、0.1Hz~1Hz程度であるが、10Hzより高い周波数に達する可能性もある。図表データの更新中に、一部の基本発光ゾーンは、この更新されるデータを、新しく保存するデータによって置き換える以前のデータと同一であっても、すべての静的メモリに同時に保存する。リフレッシュ周波数は、固定または可変である。図表データをリフレッシュする周波数は、映像データのそれから独立し、有利には低いが、高くなる可能性もある。
【0014】
本発明の目的は、エレクトロルミネセンス表示部であって、
それぞれが少なくとも1つの基本発光ゾーンによって形成された画素を基板上に行および列のマトリクスに複数配置して形成したエレクトロルミネセンス画素マトリクスと、
前述の画素の静的メモリを使用することによって、前述の画素マトリクス上に表示できる図表および/または英数字データストリームを制御するように構成された第1の制御ブロックと、
前述の画素の動的メモリを使用することによって、前述の画素マトリクス上に表示できる映像データストリームを制御するように構成された第2の制御ブロックと、
基準電圧生成部と、
を含み、
各基本発光ゾーンは、前述の第1の制御ブロックによってアドレス指定される前述の静的メモリに接続され、かつ前述の第2の制御ブロックによってアドレス指定される前述の動的メモリに接続され、
前述の第1および第2の制御ブロックは、同一の画素マトリクス上にデータを交互または同時に表示できるように構成される、ことを特徴とする。
【0015】
前述の第1および第2の制御ブロックは、前述の画素マトリクス上に前述の映像データストリームのみ、または前述の図表および/もしくは英数字データストリームのみ、あるいは前述の図表および/もしくは英数字データストリームを前述の映像データストリーム上にオーバーレイできるように構成される。
【0016】
前述の第1の制御ブロックは、前述の画素の静的メモリのマトリクスに向かう画像を、例えば、「選択」行および「データ」列の第1のシステムを介して、送信するように構成される。
【0017】
第1の制御ブロックは、クロックを含むか、またはクロックによって制御される可能性がある。
【0018】
前述の第2の制御ブロックは、前述のエレクトロルミネセンス画素マトリクス上に前述の映像データストリームを表示するため、前述のエレクトロルミネセンス画素マトリクスのこの目的のために設けられた列のアドレス指定のための前述のシステムを制御する水平シフトレジスタに向かう、映像データストリームと、前述のエレクトロルミネセンス画素マトリクスのこの目的のために設けられた行のアドレス指定のための前述のシステムを制御する行駆動要素に向かう、命令信号と、を送信するように構成される。
【0019】
第2の制御ブロックは、クロックを含むか、またはクロックによって制御されなければならない。映像データストリームは、同期データストリームだからである。
【0020】
本発明によると、各基本発光ゾーンは、動的メモリ、好ましくは静電容量を映像データ用に含む。各基本発光ゾーンは、少なくとも1つ、好ましくは複数(例えば、2もしくは3)の、静的メモリ、好ましくはSRAM型のものと、静的表示もしくは低リフレッシュレートおよび/または少数の強度レベル用に接続する。データは、図表および/もしくは英数字データ、静止画像または動的メモリを経由する映像データより低い時間および/もしくは視覚的解像度を有する映像データの可能性がある。
【0021】
本発明の好ましい表示部では、第1および第2の制御ブロックについて、第1の制御ブロックの発光強度レベルのビット数は、第2の制御ブロックより少なくなるように構成する。有利には、第1の制御ブロックの発光強度レベルを3~8ビットとなるように構成し、かつ/または第2の制御ブロックの発光強度レベルを少なくとも8ビットとなるように構成する。例えば、第2の制御ブロックの発光強度レベルを10、12ビットで、または14ビットでさえも構成する可能性がある。有利には、第2の制御ブロックは、前述の第1の制御ブロックよりも高いリフレッシュレートを有する。前述のリフレッシュレートは、好ましくは少なくとも25Hz、より好ましくは少なくとも30Hz、さらにより好ましくは少なくとも60Hz、最適には少なくとも90Hzであり、かつ/または第2の制御ブロックは静的表示のための図表および/もしくは英数字データを格納するためのメモリ部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明について、非限定的な例としてのみ与えた添付の図面を参照して、以下に説明する。
図1】映像ストリームおよび/または図表データの表示のための装置を示す表示要素の構造の概観図である。
図2a】映像ストリームを表示するための装置を示す表示要素の構造の概観図である。
図2b】図表データを表示するための装置を示す表示要素の構造の概観図である。
図3】第1の実施形態の1副画素の配線図を表したものである。
図4】第2の実施形態の1副画素の配線図を表したものである。
図5】第3の実施形態の1副画素の配線図を表したものである。
図6】画素回路の入力S1~S4に適用する発光時間の制御信号のタイミングチャートである。
図7】別の実施形態を有する1副画素の配線図を表したものである。
【0023】
以下の参照数字を、本明細書内で使用する。
【表1】
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な説明)
図1は、エレクトロルミネセンス基本発光ゾーンの単一マトリクスに実装された2つの異なる表示モードに関するもので、図1内に参照38を含む。それは、特に、OLED型の画素マトリクスに関係する可能性があり、本説明は、この場合を参照する。本発明は、当然、無機半導体または発光ダイオード(LED)を使用するエレクトロルミネセンス画素マトリクスにも適用され得る。単色エレクトロルミネセンス画面の画素マトリクスの場合、各基本発光ゾーンは、一般に、1画素に対応する。カラー画面の場合、各画素は複数の個別にアドレス指定できる副画素に分解され、次に、それらの副画素が基本発光ゾーンに対応する。
【0025】
図1では、2つの別個の画像チャネル、すなわち、映像(デジタルデータの入力ストリームを伴う)と呼ばれるチャネルおよび図表(デジタルデータの入力ストリームを含む)と呼ばれるデータチャネルを備えた、本発明に係る装置1の構造の概観図について説明する。2つのチャネルは、画素内でのみ接続されている。映像および図表チャネルのそれぞれには、独自のアドレス指定システムおよび、基本発光ゾーンにおける別個の配線がある。前述の構造では、定常電流で各基本発光ゾーン(すなわち、各OLED副画素)を制御するように設計するが、わずかな変更(図には示さない)によって、同一のことを電圧制御にも適用し得る。映像チャネルでは、各基本発光ゾーンの入力デジタル映像信号について、カウンタ、電流源、基準電圧発生器、および必要に応じて、列の比較器に関連付けられた補正テーブルを含むシステムによって、グレーレベルに対応するアナログ信号に変換する。このようにして得られたアナログ映像信号を、基本発光ゾーンに関連付けられた動的メモリに一時的に格納する。図表データチャネルは、SRAM型のメモリに対する書き込み手順を(および必要に応じて読み取りも)介して、SRAM型の直接アクセスデジタルライブメモリマトリクスをアドレス指定する。
【0026】
より具体的には、表示部の映像ブロックは、カウンタ(例えば、8ビット)と、カウンタの値を映像データと比較する各列の端にある比較器と、を備える。それと同時に、カウンタは、重み付け電流源(すなわち、基準電圧発生器)のシステムを供給する。カウンタの値および映像データの値が等しい場合、基準電圧発生器の基準電圧は、最初に列のバッファメモリに転送され、次のサイクル中に列を介して基本発光ゾーンに転送される。カウンタおよび基準電圧発生器の間に、非線形補正(ガンマ係数)を適用するための変換テーブルが存在する可能性がある。この場合、基準電圧発生器のビット数を増やすと有用な場合がある。
【0027】
基準電圧発生器は、入力に印加された値に比例する電流を基本発光ゾーンに導入する電圧を生成する。
【0028】
図2aは、エレクトロルミネセンス画素マトリクス38上に映像ストリーム31を表示するための映像チャネルの回路を示す。この図は、当該表示モードでは使用しない制御ブロック2として知られる第1のブロックを示しており、その動作については、第2の表示モードに関連して後述する。第2のブロック3によって、画素マトリクス38上に表示するまでの映像ストリーム31を管理することが可能となる。デジタルデータストリームである映像ストリーム31は、水平シフトレジスタであるデマルチプレクサ34に向かい、次にデジタル比較器35(ここでアナログデータストリームを生成する)に向かい、次にサンプリングおよびメンテナンス回路36に向かい、そして最後に画素マトリクス38の垂直ゲートに向かって送信される。第2のブロック3において、制御信号32は、画素マトリクス38の水平線上に順序を与える行駆動要素37(通常は、垂直シフトレジスタまたはデマルチプレクサ)に供給できるようにするシーケンサ33に送信される。
【0029】
基準電圧生成部4は、基準電圧を生成する。基準電圧生成部4は、信号45をルックアップテーブル42(頭字語「LUT」で知られる)に送信する8ビットのカウンタモジュール41を含む。ルックアップテーブル42は、非線形符号化が可能となるので、任意ではあるが推奨する。ルックアップテーブル42から得られる値を、10ビットで符号化された基準電圧発生器44に向けて送信する。基準電圧発生器44は、10ビットで重み付けした電流源43を提供するための別の入力を含む。基準電圧発生器44の出力基準電圧47は、第2の制御ブロック3のサンプリングおよびメンテナンス回路36に供給される。
【0030】
図1に関連する動作は、デジタル比較器アセンブリ35、カウンタ41、ルックアップテーブル42(任意)、および基準電圧発生器44によってそれぞれの列の端でアナログ信号に変換してから画素マトリクス38に送信されるデジタル映像データストリーム31に基づく。このストリーム種は、瞬時に表示するために迅速な処理を必要とする。映像ストリーム31は、画素マトリクス38の各画素に対して表示すべき情報をアドレス指定するために、デマルチプレクサ34によって分解される。シーケンサ33は、垂直シフトレジスタ37に対して各画素上に情報を表示するための順序を送信する。当該順序は、以下の種類の可能性がある制御信号32に基づく。
・画素クロック(PCLK):画素クロックは画素ごとに変化する。
・水平同期(HSYNC):フレームの行が送信されていることを示す特別な信号である。
・垂直同期(VSYNC):フレーム全体の転送後に送信される信号である。当該信号は、フレーム全体が送信されたことを示すための手段であることが多い。
【0031】
図2bは、エレクトロルミネセンス画素マトリクス38上に図表データを表示するための装置1を示す構造の概観図である。当該構造は、上記の第1の制御ブロック2を含み、これは、シリアルデータバス121を含み、シリアルデータバス121は、既知の方法で、モジュール122に向けて送信され、モジュール122は、信号を復号するとともに、シグナルプロセッサ123に送信可能とされ、シグナルプロセッサ123は、信号を復号して画素マトリクス38の静的メモリに送信後、これらは、メモリ回路で使用される。シグナルプロセッサ123は、第1の制御ブロック2の行および列の信号を生成する制御部である。これは、信号発生器またはマイクロコントローラ、あるいはより複雑なシステムの場合はマイクロプロセッサに関係する可能性がある。
【0032】
本明細書では、特定の実施形態について、エレクトロルミネセンス画素マトリクス38上での図表および/または英数字データ131の表示について説明する。第1の制御ブロック2は、図表および/または英数字データ信号131を、第2の制御ブロック3のアドレス指定テーブル132に向けて送信する。アドレス指定テーブル132は、エレクトロルミネセンス画素マトリクス38の列のアドレス指定を制御する水平方向のアドレス指定テーブルである。アドレス指定テーブル132は、水平アドレス指定信号133を受信する。さらに、第2の制御ブロック3は、エレクトロルミネセンス表示部38の行のアドレス指定を制御する垂直アドレス指定信号134を受信する行駆動要素137(垂直アドレス指定テーブル)を備える。さらに、画素マトリクス38は、基準電圧生成部と呼ばれる参照4から来る基準電圧を受け取る。基準電圧生成部4は、基準電圧発生器44、電流源モジュール43、および必要に応じて、PWM信号発生器145と呼ばれるパルス幅変調器を備える。
【0033】
図2bに関連する動作により、低速表示プロセスのデジタル処理が行われ、画素にSRAM型メモリが実装される。情報は、第1の制御ブロック2において分解され、そのすべての情報、データ131およびアドレス指定133、134によって、画素マトリクス38上に図表データを表示することが可能となる。基準電圧147(ここでは、Vref、Vref1およびVref2)は、基準電圧発生器44によって生成される。基準電圧147は、画素マトリクス38上のゲートを駆動するトランジスタの電流または出力電圧の値、したがって、画素マトリクス38上の電流または電圧の値を定義する。したがって、基準電圧は、エレクトロルミネセンス画素マトリクスに共通であり、グレーレベルを定義するための連続信号を提供する。具体的には、前述の電圧により、各画素で、メモリに保存された値の供給および比較を維持することが可能となる。
【0034】
図1、2a、および2bは、動的または静的表示の実装モードに対応しており、当該モードを、データストリームの管理、つまり画素マトリクス上に表示される情報のリフレッシュ周波数によって区別する。本発明に係る表示部の構造では、同一の画素マトリクス38上に前述の2つの機能をまとめる。
【0035】
画素マトリクス38の構造は、水平および垂直に整列された複数の画素を含む。この実施形態では、各画素は、基本発光ゾーンとして4つの副画素を含み、当該副画素は、主に赤、緑、および青で、第4の副画素は、白または他の任意の色における補色であり得る。明らかに、画素あたり3つの副画素のみを提供してもよいし、または各画素にただ1つの基本発光ゾーンを形成するように提供してもよい。
【0036】
上記に示したように、各基本エレクトロルミネセンス発光ゾーンには、図表データ用の静的メモリ、および映像ストリームからのデータ用の動的メモリの2つの独立したメモリがある。図3、4、5、および7は、基本エレクトロルミネセンス発光ゾーンにおける回路の実施形態を示し、その構造および動作について、特に静的または動的な型のメモリ部に関連して、以下でより詳細に説明する。
【0037】
図3は、第1の実施形態に係る、1つの基本発光ゾーン290(副画素であり得る)のみの配線図200を示す。回路は3つの部分を含み、1つは動的部分270、もう1つは静的部分280、さらに副画素290上への表示部分である。
【0038】
回路の動的部分270は、アナログ映像ストリーム31、およびシーケンサ33からの選択電圧47がトランジスタSW1 205のゲートに到達することを含む。トランジスタ205の陰極により、コンデンサ210ならびにトランジスタTANA1 215のゲートが供給される。トランジスタTANA1 215の陽極は、電圧VANAに接続する。トランジスタTANA1 215の陰極は、表示副画素290に接続される。当該副画素は、OLED要素225に接続されるトランジスタSW2 220から成る。また、トランジスタSW2 220自体は任意であり、例えば、OLED要素225の発光を変調することが可能となる。
【0039】
回路の静的部分280(図3の点線の丸で囲んだ部分)は、図表データの表示用であり、トランジスタTANA2 235、それと直列のトランジスタSW3 245、さらに並列のTANA3 240、それと直列のトランジスタSW4 250から成る。TANA2 235およびTANA3 240の陽極は、TANA1 215の陽極に接続し、SW3 245およびSW4 250の陰極は、SW2 220か、またはTANA1 215の陰極に接続する(SW2は任意であり、必要ない場合)。TANA2 235およびTANA3 240の各ゲートは、基準電圧Vref 147に接続される。2つのトランジスタSW3 245およびSW4 250 の各ゲートは、SRAMセル型メモリ機能255、260によって制御する。メモリセルは通常、6トランジスタ型である。図では、BL(「ビットライン」)およびWL(「ワードライン」)入力のみを使用し、それぞれに、行アドレス指定信号134(垂直アドレス指定信号)およびデータ線131が供給される。メモリのプログラムは、各SRAMセルのBL列に、デジタル信号「0」または「1」を確立し、その反対のデジタル信号「1」または「0」をBLB(「ビットラインバー」)列に確立することによって実行され、続いて、WL信号上に、一般に正のパルス信号が、SRAM型セルのメモリにBLおよびBLB信号を保存するように到達する。
【0040】
図3の回路を、3つの異なる方法で使用できる。第1の使用法は映像モードであり、本質的に動的部分270を含む。すなわち、メモリのマトリクス内のあらゆる場所を0レベルに設定し、データを映像インターフェースによってのみ送信する。言い換えれば、画素を映像データチャネルによってのみ制御する。映像ストリーム31を、SW1 205の陽極に供給する。トランジスタは、電圧Vselectが表示副画素290のスイッチオンを許可するときにのみ導通する。コンデンサCS210は、任意であるが、強く推奨する。すなわち、TANA1 215の端子に供給する際、経時中の電圧過負荷ならびに維持の制限が可能となり、したがって、動的メモリとして機能する。これは、コンデンサ210をTANA1 215の搬送能力によって動作的に置換し得る場合に、特に映像ストリームのリフレッシュ周波数が十分に高い場合にのみ、発生することであろう。映像動作モードで供給されない静的部分280では、電流は流れない。
【0041】
第2の使用法は、図表モードであり、本質的に静的部分280を含む。SRAMセル255、260のメモリ機能により、トランジスタSW3 245およびSW4 250の開閉を維持することが可能となる。SW3およびSW4を制御して開くことにより、基準電圧Vref 147は、OLED要素225まで通過できる。並列のTANA2 235およびTANA3 240は、2ビットでアナログデジタル変換器の機能を有する。当該変換器は、以下の4つのモードが可能である。
【0042】
(モード00)
2つのトランジスタSW3 245およびSW4 250は導通せず、回路内の電流移動は0である。上述したような、純粋な動的モードである。
(モード01)
トランジスタSW4 250が導通し、相対電流が副画素290の表示に送られる。
(モード10)
トランジスタSW3 245が導通し、相対電流が副画素290の表示に送られる。
(モード11)
トランジスタSW3 245およびSW4 250は導通し、相対電流は副画素290の表示に送られる。
【0043】
第3の使用法は、オーバーレイと呼ばれる混合モードであり、動的チャネル270による映像信号および静的部分280による図表信号の両方を印加する。したがって、OLEDの電流は両信号のオーバーレイに対応する。副画素290の表示を、SW3 245と直列のTANA2 235、およびSW4 250と直列のTANA3 240、ならびにTANA1 215によって形成する変換器によって制御する。
【0044】
図3に示す図は、2つのSRAM型メモリセル255、260を使用した、図表部分について4つのレベル(2ビット)を備えたディスプレイの有利な実施形態を提案する。これは、追加のメモリセル(たとえば、3、4、または5つのSRAMセル)を含むことによって、アナログデジタル変換器のビット数、したがって可能なモード数の容量を増強することができる。
【0045】
上記に示した構造は、OLED225に定常電流を供給するように設計されているが、わずかな変更を加えることで、電圧供給にも同様に適用できる。
【0046】
図4は、副画素の1つにおける配置の第2の実施形態300について説明する。回路は3つの部分を含み、第1は動的部分370、第2は静的部分380、第3は副画素390上への表示部分である。動的部分370は、トランジスタSW1 305の陽極へのアナログ映像信号31の到達および、ゲートへの行選択電圧47の到達を含む。トランジスタ305の陰極は、コンデンサ310(動的メモリとして作用する)、および他のトランジスタTANA 315のゲートを供給する。トランジスタTANA 315の陽極は、電圧VANAに接続される。トランジスタTANA 315の陰極は、副画素390の表示に接続される。副画素390の表示は、OLED要素325を含むアセンブリに接続されたトランジスタSW2 320(任意)を含む。
【0047】
静的部分380(図4の点線の丸で囲んだ部分)は、2つのトランジスタSW3 345およびSW4 350から成り、それらは陰極によりトランジスタSW1 305の陰極に接続する。両トランジスタの陽極は、それぞれ個別に基準電圧147のVref1およびVref2に接続する。2つのトランジスタSW3およびSW4の各ゲートを、SRAMセル355、360の型のメモリ機能により制御する。メモリセルは、6トランジスタまたはそれ以上の型である。図3、4、5、および7では、BL(「ビットライン」)およびWL(「ワードライン」)入力を、それぞれ、行アドレス134およびデータ線131によって供給する。
【0048】
SRAMセル355、360の出力により、トランジスタ345および350のそれぞれを導電させ、所定電圧VrefをOLED用電流源であるTANA 315のゲートに印加することができる。特定の電流源は必要ないが、レベルごとに1つ(第1の実施形態のようにビットごとではなく)のSRAMセルを備える必要がある。これについて以下の表に、4つの電流源の場合を示す:基準電圧Vref1およびVref2は、トランジスタSW3 345およびSW4 350が導通している場合に、トランジスタTANAに印加される。
【表2】
【0049】
図4の回路は、3つの異なる方法で使用できる。第1の使用モードによれば、回路の動的部分370のみが使用される。映像ストリーム31は、SW1 305の陽極に供給される。トランジスタは、電圧Vselectが、表示部分390のスイッチオンを許可するときにのみ導通する。コンデンサCS 310によって、TANA 315のゲート供給の際、経時中の電圧維持が可能となる。静的部分380に供給はされず、いかなる電圧も伝わらない。第2の使用モードによれば、回路の静的部分380のみを使用する。SRAMセル355、360のメモリ機能により、トランジスタSW3 345およびSW4 350の開閉を維持することが可能となる。
【0050】
回路内に存在するメモリセルの数にしたがって、例えば、上記の表に示すように、表示部分390は、TANA 315に印加される種々の電圧に応じて動作する。
【0051】
この使用モードにおいて、トランジスタTANAのゲートの電圧状態は、必ずしも既知でなく、ハイインピーダンスの場合にある可能性もある。その場合、トランジスタは、遮断されたままである。この問題を克服するために、出願人は、トランジスタTANAを初期化するために、電圧Vselectを使用することを提案する。この場合、図表モードの場合に限り、電圧Vselectを、シーケンサ33によって制御するだけでなく、基準電圧生成部4からも生成する。
【0052】
電圧Vselect信号により、メモリセルの各書き込み前にトランジスタTANAを再初期化可能とする。
【0053】
第3の使用モードは、オーバーレイと呼ばれる混合モードであり、これは、回路の静的部分380および動的部分370の両方を含む。副画素390の表示をTANA 315によって形成した変換器によって制御する。この場合、表示部分390を、映像信号31および様々なメモリセル355、360からのストリームの双方が通過できる。
【0054】
上記に示したように、ここでの回路は、副画素390の表示を電流によって制御するものとして説明したが、それらの回路を電圧によって制御することも軽微な修正により、可能である。
【0055】
図5は、4ビットのグレーレベルを有する特定の場合について、副画素の1つにおける回路の配置の第3の実施形態400を説明する。この回路は、3つの部分、すなわち、動的表示のための第1の部分470、静的表示のための第2の部分480、および副画素490上に表示するための第3の部分を含む。動的部分470は、トランジスタSW2 405の陽極へのアナログ映像信号31の到達および、ゲートへの行選択電圧47の到達を含む。トランジスタ405の陰極は、コンデンサ410(動的メモリとして作用する)、およびトランジスタTANA 415のゲートを供給する。トランジスタTANA 415の陽極は、電圧VANAに接続される。トランジスタTANA 415の陰極は、副画素490の表示に接続される。副画素490の表示は、OLED要素425に接続されたトランジスタSW2 420から成る。静的部分480(図5の点線の丸で囲んだ部分)は、陰極がトランジスタTANA 415のゲートに接続したトランジスタSW1 435から成る。トランジスタSW1 435の陽極は、基準電圧Vref 147に接続される。トランジスタSW1 435のゲートを、並列に配置したトランジスタ440、445、450、455、460の陽極からの5つの信号により制御する。
【0056】
この実施形態では、4ビットのグレーレベルを含む一例として、4つの制御信号(146)のS1、S2、S3、S4により、4つのトランジスタ440、445、450、455のゲートを制御し、その陽極にそれぞれ配置したメモリセル441、446、451、456からのデータをSW1 435のゲートに向かって送信することができる。第5のトランジスタ460は、陰極をSW1 435のゲートに接続し、陽極のアナログ電源VANAおよびゲートの信号Vresetを含む。メモリセルは、6トランジスタまたはそれ以上を備えた型であり得る。表示部480のOLED要素425は、たった1つの輝度レベルで動作し、したがって、グレーレベルが生成されるよう発光時間を制御する。
【0057】
図5の回路は、3つの異なる方法で使用できる。第1の使用モードによれば、回路の動的部分470のみを使用する。映像ストリーム31は、SW1 405の陽極に供給される。トランジスタは、電圧Vselect(モジュール33から来る)が、表示部分490のスイッチオンを許可するときにのみ導通する。コンデンサCS 410によって、TANA 415のゲート供給の際、経時中の電圧維持が可能となる。静的部分480は、信号S1、S2、S3、およびS4を論理レベルの1のとき送信するので、メモリセルのレベルは、コンデンサCS 410のサンプリング静電容量の電圧、したがって、映像信号31には影響しない。
【0058】
第2の使用モードによれば、回路の静的部分480のみを使用する。メモリセル441、446、451、456の書き込みは、完全にランダムに行われる。表示部分490での目に見えるちらつきの影響を防ぐために、信号のリフレッシュ周波数は、85Hzより高く、または12ミリ秒より短くなければならない。メモリセルの書き込み時間および発光に関する干渉を制限するために、120Hz付近のさらに高い周波数を使用することが好ましい。この使用モードにおいて、トランジスタTANAのゲートの電圧状態は、必ずしも既知でなく、ハイインピーダンスの場合にある可能性もある。その場合、トランジスタは、遮断されたままである。この問題を克服するために、出願人は、トランジスタTANAを初期化するために、電圧Vselectを使用することを提案する。この場合、図表モードの場合に限り、電圧Vselectを、シーケンサ33によって制御するだけでなく、基準電圧(147)生成部44からも生成する。
【0059】
電圧Vselect信号により、メモリセルの各書き込み前にトランジスタTANAを再初期化可能とする。
【0060】
第3の使用モードは、オーバーレイと呼ばれる混合モードであり、これは、回路の静的部分480よび動的部分470の両方を含む。動的部分470は、映像信号31をサンプリング静電容量CS 410に送信する。静電容量の電圧レベルは、メモリセル441、446、451、456からのデータによって強制設定される可能性があり、そのときは動的部分470の映像ストリーム31上に静的部分480の表示を強制的に行うことになる。電圧Vselectは、垂直シフトレジスタ37を介してシーケンサ33の信号の特徴を備える。
【0061】
図6は、2者間の導通をトランジスタTANAに遮断させる画素回路の入力S1~S4に適用する発光時間の制御信号146についてのタイミングチャートの一例を示す。4つの制御信号(146)のS1、S2、S3、S4によって変調する4ビットのグレーレベルを含む。タイミングチャートは、制御信号S1、S2、S3、S4をグレーレベルのビットごとに示す。S1によって生成される発光時間は、第1のグレーレベルに対応し、S2はグレーレベルの第2ビット、そしてS4までのグレーレベルに対応する。S1、S2、S3、およびS4が全て1の場合、最大輝度に達する。T/Td比を介して輝度を変更する手段を追加できる。すなわち、グレーレベルは1のままで、S1、S2、S3、S4について制御する制御信号146を、基準電圧生成部4によって、より具体的には、パルス幅変調(略称PWM)型の信号発生器145によって生成する。
【0062】
図6は、電圧Vselectの信号も示す。実際、変調信号により、各メモリセル内に書き込む前に、TANAのゲート信号を再初期化することが可能となる。この信号を、最後の2つの実施形態に適用する。
【0063】
示した図は、有利な実施形態を提案するが、それは、グレーレベルの数を増やすために追加のメモリセルを含む可能性がある。
【0064】
図7は、第1の実施形態の変形500を示すが、3つの実施形態において実施することができる。当該変形は、各実施形態において、SW2のゲートに接続したメモリセル505を追加することからなる。電圧または電流におけるOLEDの分極モードに関係なく、またSRAM型のメモリを実装する実施形態に関係なく、前述のメモリセルによって、画素の映像データをオフにして、画素上に図表チャネルのみを残すことが可能となる。この変更により、オーバーレイモードの実装が容易になる。すべての実施形態は、基準電圧生成部4によって理想的に生成される基準電圧または強度47を利用する。当該基準強度または電圧を、電源またはアナログデジタル変換器の電圧を介して局所的に生成することが可能である。この選択には、基準電圧を構築するための電気要素を各副画素アセンブリに統合することが含まれる。
【0065】
すべての実施形態において、OLED電流駆動を使用する。電圧駆動の場合、PMOS型で示したすべてのトランジスタをNMOSトランジスタに置き換える必要がある。
【0066】
電圧VANAは、通常、1.0V~3.3V(例えば、1.8V)程度であり、電圧Vcathは、通常、-2V~-9V(例えば、-8V)程度である。
【0067】
画面が映像データと同時に図表データを表示するように構成されている場合、図表データは、優先度(図4に示す実施形態)またはオーバーレイ(図3、5および7に示す実施形態)のいずれかを有し得る。最後の場合では、OLEDダイオードの電流はそれらの和となる。
【0068】
より具体的には、図4に関連して説明した実施形態では、信号Vselectによる画素の書き込み中に、トランジスタSW3およびSW4によって図表データに接続された基準電圧Vref1およびVref2は、ブロック36によって制御される電圧305と平衡化される。書き込み後、トランジスタSW1が開いているため、CS静電容量に図表値が書き込まれ、映像信号よりも優先される。したがって、この動作モードでは、電圧Vref1およびVref2は変動する可能性が高く、場合によっては、図表表示に目に見える影響をもたらす可能性がある。当該影響について、ブロック37のインピーダンスがブロック36よりもはるかに低い場合に最小限に抑えることができる可能性がある。なぜなら、この場合は、Vref1およびVref2による駆動は、映像電圧305による駆動よりも優先するからである。

図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7