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特許7478672カンナビノイド受容体2の阻害剤としての新規なアゼチジン置換ピリジン及びピラジン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】カンナビノイド受容体2の阻害剤としての新規なアゼチジン置換ピリジン及びピラジン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20240425BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240425BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20240425BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20240425BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
A61K31/455
A61P1/02
A61P1/04
A61P1/16
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/04
A61P9/10
A61P9/10 101
A61P11/00
A61P13/12
A61P17/00
A61P17/02
A61P19/08
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/28
A61P27/02
A61P27/06
A61P29/00
A61P35/00
A61P37/06
C07D405/14
A61P43/00 111
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020564738
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019066744
(87)【国際公開番号】W WO2020002280
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】18180120.0
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(73)【特許権者】
【識別番号】506160846
【氏名又は名称】アイトゲネーシッシュ テヒニッシュ ホッホシュレ チューリッヒ
【氏名又は名称原語表記】Eidgenossische Technische Hochschule Zurich
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】アメタミー,シモン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ゴッビ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】グレター,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】クレッツ,ユリアン
【審査官】薄井 慎矢
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-516071(JP,A)
【文献】特表2016-501240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(3-フルオロプロポキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(2-フルオロエトキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(フルオロメトキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;
N-[3-(2-アミノ-2-オキソエチル)オキセタン-3-イル]-6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(2-フルオロエトキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボキサミド;
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(2-フルオロエチル)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;及び
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート
から選択される化合物。
【請求項2】
治療的に活性な物質として使用するための、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
請求項1記載の化合物及び治療的に不活性な担体を含む医薬組成物。
【請求項4】
疼痛、アテローム性動脈硬化症、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、緑内障、糖尿病、炎症、炎症性腸疾患、虚血再灌流傷害、急性肝不全、肝線維症、肺線維症、腎線維症、全身性線維症、急性同種移植片拒絶、慢性同種移植片腎症、糖尿病性腎症、糸球体腎症、心筋症、心不全、心筋虚血、心筋梗塞、全身性硬化症、熱傷、火傷、肥厚性瘢痕、ケロイド、発熱性歯肉炎、肝硬変若しくは腫瘍、骨質量の調節、神経変性、脳卒中、一過性虚血発作、又はぶどう膜炎の治療又は予防における使用のための請求項記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物における治療及び/又は予防に有用な有機化合物、特にカンナビノイド受容体2の優先的アゴニストである化合物に関する。
本発明は、特に、式(I)
【化1】

(式中、
Aは、-CH-又は窒素であり;
は、ハロアルコキシアゼチジニル、3-フルオロアゼチジニル、フルオロエチルアゼチジニル、フルオロメチルアゼチジニル、ハロスルホニルアゼチジニル、3-フルオロ-3,3-ジジュウテリオプロピルオキシアゼチジニル、2-フルオロ-2,2-ジジュウテリオ-エチルオキシアゼチジニル、フルオロジジュウテリオメトキシアゼチジニル、2-フルオロ-2,2-ジジュウテリオエチルアゼチジニル又はフルオロジジュウテリオメチルアゼチジニルであり;
及びRは、同時に両方ともアルキルであるか;又は
及びRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、オキセタニルを形成し;そして
は、アルコキシカルボニル又はアミノカルボニルアルキルである)
の化合物又はその薬学的に許容され得る塩に関する。
【0002】
式(I)の化合物は、例えば、疼痛、アテローム性動脈硬化症、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、緑内障、糖尿病、炎症、炎症性腸疾患、虚血再灌流傷害、急性肝不全、肝線維症、肺線維症、腎線維症、全身性線維症、急性同種移植片拒絶、慢性同種移植片腎症、糖尿病性腎症、糸球体腎症、心筋症、心不全、心筋虚血、心筋梗塞、全身性硬化症、熱傷、火傷、肥厚性瘢痕、ケロイド、発熱性歯肉炎、肝硬変若しくは腫瘍、骨質量の調節、神経変性、脳卒中、一過性虚血発作、又はぶどう膜炎の治療又は予防に特に有用である。
【0003】
カンナビノイド受容体は、Gタンパク質共役型受容体スーパーファミリーに属する細胞膜受容体の一種である。現在、カンナビノイド受容体1(CB1)及びカンナビノイド受容体2(CB2)という2つの既知のサブタイプがある。CB1受容体は、主に中枢神経系(すなわち、扁桃体小脳、海馬)で発現しており、末梢では少量しか発現していない。CNR2遺伝子によってコードされるCB2は、主に、マクロファージ及びT細胞などの免疫系の細胞上に(Ashton, J. C. et al. Curr Neuropharmacol 2007, 5(2), 73-80; Miller, A. M. et al. Br J Pharmacol 2008, 153(2), 299-308; Centonze, D., et al. Curr Pharm Des 2008, 14(23), 2370-42)、また胃腸系(Wright, K. L. et al. Br J Pharmacol 2008, 153(2), 263-70)において、主に末梢系に発現する。また、CB2受容体は脳内に広く分布しており、そこでは、ニューロンではなく主にミクログリア上に見いだされる(Cabral, G. A. et al. Br J Pharmacol 2008, 153(2): 240-51)。
【0004】
初期の化合物の幾つかが、慢性疼痛(Beltramo, M. Mini Rev Med Chem 2009, 9(1), 11-25)、アテローム性動脈硬化症(Mach, F. et al. J Neuroendocrinol 2008, 20 Suppl 1, 53-7)、骨量の調節(Bab, I. et al. Br J Pharmacol 2008, 153(2), 182-8)、神経炎症(Cabral, G. A. et al. J Leukoc Biol 2005, 78(6), 1192-7)、虚血/再灌流障害(Pacher, P. et al. Br J Pharmacol 2008, 153(2), 252-62)、全身性線維症(Akhmetshina, A. et al. Arthritis Rheum 2009, 60(4), 1129-36; Garcia-Gonzalez, E. et al. Rheumatology (Oxford) 2009, 48(9), 1050-6)、肝線維症(Julien, B. et al. Gastroenterology 2005, 128(3), 742-55; Munoz-Luque, J. et al. J Pharmacol Exp Ther 2008, 324(2), 475-83)を含む多くのヒトの疾患のための前臨床モデルにおいて、有益な効果を有することが示されているという事実によって、CB2受容体アゴニストへの関心は、過去10年間(現在30~40特許出願/年)着実に高まっている。
【0005】
虚血/再灌流(I/R)傷害は、脳卒中、心筋梗塞、心肺バイパス及びその他の血管手術、及び臓器移植などの状態で発生する組織損傷の主要な原因であり、加えて様々な病因の循環性ショックの経過を悪化させる末端臓器損傷の主要なメカニズムでもある。これらの状態はすべて、正常な血液供給が途絶することによって、組織の酸素化が不十分になることを特徴とする。再灌流などの再酸素化は、正常な組織の酸素化を回復させるための究極の処置である。しかしながら、血液からの酸素及び栄養素の不在は、循環の回復がさらなる組織の損傷をもたらす状態を作り出す。再灌流障害の損傷は、損傷した組織の炎症反応に一部起因している。新たに戻ってきた血液によってその領域に運ばれた白血球細胞は、組織の損傷に反応して、インターロイキン並びにフリーラジカルなどの多くの炎症性因子を放出する。回復した血流は、細胞のタンパク質、DNA、及び細胞膜に損傷を与える細胞内の酸素を再導入する。
【0006】
遠隔虚血性前処理(RIPC)は、虚血及び再灌流によって引き起こされる傷害に対する身体の内因性保護機能を利用するための戦略を提示する。それは、ある臓器又は組織の一過性の非致死的虚血及び再灌流が、遠隔の臓器又は組織における「致死的」虚血再灌流傷害の後続エピソードに対する耐性を与えるという興味深い現象を説明している。ある臓器又は組織の一過性の虚血及び再灌流が保護を与えることを通じての実際のメカニズムは、いくつかの仮説が提案されているが、現在のところ不明である。
【0007】
体液性仮説は、遠隔の臓器又は組織において生成された内因性物質(アデノシン、ブラジキニン、オピオイド、CGRP、エンドカンナビノイド、アンジオテンシンI又はその他のいまだ未確認の体液性因子など)が血流に入り、標的組織中のそれぞれの受容体を活性化し、それによって虚血性前処理に関与する心臓保護の様々な細胞内経路を動員することを提案している。
【0008】
最近のデータは、エンドカンナビノイド及びその受容体、特にCB2が前処理に関与し、炎症反応のダウンレギュレーションによって再灌流傷害の予防に寄与し得ることを示唆している(Pacher, P. et al. Br J Pharmacol 2008, 153(2), 252-62)。特に、CB2ツールアゴニストを使用した最近の研究は、心臓(Defer, N. et al. Faseb J 2009, 23(7), 2120-30)、脳(Zhang, M. et al. J Cereb Blood Flow Metab 2007, 27(7), 1387-96)、肝臓(Batkai, S. et al. Faseb J 2007, 21(8), 1788-800)及び腎臓(Feizi, A. et al. Exp Toxicol Pathol 2008, 60(4-5), 405-10)におけるI/R傷害を軽減するためのこの概念の有効性を説明している。
【0009】
さらに、過去数年に渡って、CB2が亜慢性的及び慢性的な状況でも興味深い可能性があることを示す文献が増えてきている。CB1及びCB2の特異的なアップレギュレーションは、線維化に関連する慢性疾患の動物モデルにおいて、線維症の進行を担う細胞である筋線維芽細胞におけるCB2が関連する発現と関連していることが示されている(Garcia-Gonzalez, E. et al. Rheumatology (Oxford) 2009, 48(9), 1050-6; Yang, Y. Y. et al. Liver Int 2009, 29(5), 678-85)。
【0010】
選択的CB2アゴニストによるCB2受容体の活性化は、実際に、びまん性全身性硬化症(Garcia-Gonzalez, E. et al. Rheumatology (Oxford) 2009, 48(9), 1050-6)において抗線維化効果を発揮することが示されており、CB2受容体は、実験的真皮線維化(Akhmetshina, A. et al. Arthritis Rheum 2009, 60(4), 1129-36)、及び慢性肝疾患に関連する線維化を含む肝臓の病態生理(Lotersztajn, S. et al. Gastroenterol Clin Biol 2007, 31(3), 255-8; Mallat, A. et al. Expert Opin Ther Targets 2007, 11(3), 403-9; Lotersztajn, S. et al. Br J Pharmacol 2008, 153(2), 286-9)において重要な標的として浮上している。
【0011】
本発明の化合物は、CB2受容体に結合し修飾して、より低いCB1受容体活性を有する。
【0012】
本明細書において、用語「アルキル」は、単独で又は組み合わせて、1から8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、詳細には、1から6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、より詳細には1から4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基を意味する。直鎖又は分岐鎖のC1~C8アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、異性ペンチル、異性ヘキシル、異性ヘプチル及び異性オクチルであり、詳細にはメチル、エチル、プロピル、ブチル及びペンチルである。アルキルの詳細な例は、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル及びペンチルである。メチル及びエチルは、式(I)の化合物における「アルキル」の詳細な例である。
【0013】
用語「アルコキシ」又は「アルキルオキシ」は、単独で又は組み合わせて、式:アルキル-O-で示される基(式中、用語「アルキル」は上で与えられた意味を有する)、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ及びtert-ブトキシを意味する。「アルコキシ」の詳細な例は、メトキシ及びエトキシである。
【0014】
用語「オキシ」は、単独で又は組み合わせて、-O-基を意味する。
【0015】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、単独で又は組み合わせて、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味し、詳細には、フッ素、塩素又は臭素、より詳細には、フッ素を意味する。用語「ハロ」は、別の基と組み合わせて、少なくとも1個のハロゲンで置換された、詳細には1から5個のハロゲン、詳細には1から4個のハロゲン、すなわち1、2、3又は4個のハロゲンで置換された当該別の基を表す。フルオロは、詳細なハロゲンである。
【0016】
用語「ハロアルキル」は、単独で又は組み合わせて、少なくとも1個のハロゲンで置換された、詳細には1から5個のハロゲン、詳細には1から3個のハロゲンで置換されたアルキル基を表す。詳細な「ハロアルキル」は、フルオロメチル、フルオロエチル、フルオロプロピル及びフルオロブチルである。
【0017】
用語「ハロアルコキシ」は、単独で又は組み合わせて、少なくとも1個のハロゲンで置換された、詳細には1から5個のハロゲン、詳細には1から3個のハロゲンで置換されたアルコキシ基を表す。詳細な「ハロアルコキシ」は、フルオロメトキシ及びフルオロエトキシである。
【0018】
用語「カルボニル」は、単独で又は組み合わせて、-C(O)-基を意味する。
用語「アミノ」は、単独で又は組み合わせて、第一級アミノ基(-NH)、第二級アミノ基(-NH-)、又は第三級アミノ基(-N-)を意味する。
用語「アミノカルボニル」は、単独で又は組み合わせて、-C(O)-NH基を意味する。
用語「スルホニル」は、単独で又は組み合わせて、-SO-基を意味する。
【0019】
用語「薬学的に許容され得る塩」は、生物学的に又はそれ以外に望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。該塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、特に塩酸などの無機酸、及び酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインなどの有機酸により形成される。また、これらの塩は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を添加して調製され得る。無機塩基に由来する塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム塩を含むが、これらに限定されない。有機塩基に由来する塩は、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂などの、第一級アミン、第二級アミン、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂などの塩を含むが、これらに限定されない。式(I)の化合物はまた、双性イオン形態で存在することができる。式(I)の化合物の特に好ましい薬学的に許容され得る塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸及びメタンスルホン酸の塩である。
【0020】
「薬学的に許容され得るエステル」は、一般式(I)の化合物を官能基で誘導体化して、インビボで親化合物に変換して戻すことが可能な誘導体を提供し得ること意味する。このような化合物の例は、メトキシメチルエステル、メチルチオメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステルなどの生理学的に許容され得る、且つ代謝的に不安定なエステル誘導体を含む。さらに、インビボで一般式(I)の親化合物を生成することができる代謝的に不安定なエステルと同様に、一般式(I)の化合物の任意の生理学的に許容され得る等価物は、本発明の範囲内である。
【0021】
出発物質又は式(I)の化合物のうちの1つが、1つ以上の反応ステップの反応条件下で安定でないか又は反応性である1つ以上の官能基を含む場合、適切な保護基(例えば、“Protective Groups in Organic Chemistry” by T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd Ed., 1999, Wiley, New Yorkに記載されている)を、当技術分野で周知の方法を適用して重要なステップの前に導入することができる。そのような保護基は、文献に記載されている標準的な方法を使用して、合成の後の段階で除去することができる。保護基の例は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルカルバマート(Fmoc)、2-トリメチルシリルエチルカルバマート(Teoc)、カルボベンジルオキシ(Cbz)及びp-メトキシベンジルオキシカルボニル(Moz)である。
【0022】
式(I)の化合物は、幾つかの不斉中心を含有することができ、そして、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、例えば、ラセミ体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体のラセミ体、又はジアステレオ異性体のラセミ体の混合物の形態で存在することができる。
【0023】
用語「不斉炭素原子」は、4つの異なる置換基を持つ炭素原子を意味する。カーン-インゴルド-プレローグ表記規則(Cahn-Ingold-Prelog Convention)によれば、不斉炭素原子は、「R」又は「S」構成であり得る。
【0024】
したがって、本発明は、
Aが-CH-である、本発明による化合物;
がハロアルコキシアゼチジニル又は3-フルオロアゼチジニルである、本発明による化合物;
がフルオロエトキシアゼチジニル又は3-フルオロアゼチジニルである、本発明による化合物;
及びRが同時に両方ともエチルである、本発明による化合物;
がアルコキシカルボニルである、本発明による化合物;及び
がエトキシカルボニルである、本発明による化合物
に関する。
【0025】
本発明はまた、特に、
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(3-フルオロプロポキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(2-フルオロエトキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(フルオロメトキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;
エチル2-{[6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)ピリジン-2-カルボニル]アミノ}-2-エチルブタノアート;
N-[3-(2-アミノ-2-オキソエチル)オキセタン-3-イル]-6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(2-フルオロエトキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボキサミド;
エチル2-{[6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)ピラジン-2-カルボニル]アミノ}-2-エチルブタノアート;
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(フルオロスルホニル)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(フルオロスルホニル)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;
エチル2-{[6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-{[3-フルオロ(3,3-ジジュウテリオ)プロピル]オキシ}アゼチジン-1-イル)ピリジン-2-カルボニル]アミノ}-2-エチルブタノアート;
エチル2-{[6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-{[2-フルオロ(2,2-ジジュウテリオ)エチル]オキシ}アゼチジン-1-イル)ピリジン-2-カルボニル]アミノ}-2-エチルブタノアート;
エチル2-{[6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-{[フルオロ(ジジュウテリオ)メチル]オキシ}アゼチジン-1-イル)ピリジン-2-カルボニル]アミノ}-2-エチルブタノアート;
N-[3-(2-アミノ-2-オキソエチル)オキセタン-3-イル]-6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-{[2-フルオロ(2,2-ジジュウテリオ)エチル]オキシ}アゼチジン-1-イル)ピリジン-2-カルボキサミド;
エチル2-{[6-(シクロプロピルメトキシ)-5-{3-[2-フルオロ(2,2-ジジュウテリオ)エチル]アゼチジン-1-イル}ピリジン-2-カルボニル]アミノ}-2-エチルブタノアート;
エチル2-{[6-(シクロプロピルメトキシ)-5-{3-[フルオロ(ジジュウテリオ)メチル]アゼチジン-1-イル}ピリジン-2-カルボニル]アミノ}-2-エチルブタノアート;
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(2-フルオロエチル)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(2-フルオロエチル)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;及び
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(フルオロメチル)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート
から選択される本発明による化合物に関する。
【0026】
本発明はまた、
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(2-フルオロエトキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート;及び
エチル2-{[6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)ピリジン-2-カルボニル]アミノ}-2-エチルブタノアート
から選択される本発明による化合物に関する。
【0027】
一般構造(I)を有する化合物の合成は、例えば、以下のスキームに従って達成することができる。
【0028】
スキーム1による手順に従って、化合物AA(R’=H、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、又は例えばT.W. Greene et al., Protective Groups in Organic Chemistry, John Wiley and Sons Inc. New York 1999, 3rdeditionに記載の別の好適な保護基)を出発物質として使用することができる。AAは、市販されているか、文献に記載されているか、又は当業者によって合成することができる。
【化2】
【0029】
化合物ABは、当業者に公知の条件下で、好適な酸化試薬で酸化することにより(ステップa)、例えば、周囲温度で、ジクロロメタン中、3-クロロ過安息香酸で処理することにより、AAから調製することができる。
【0030】
化合物ABの6-クロロ又は6-ブロモ-ピコリンAC(X=Cl、Br)への変換は、例えば、追加の溶媒を使用せずに若しくはクロロホルムなどの好適な溶媒中で、20℃から溶媒の沸点までの温度で、三塩化若しくは三臭化ホスホリルで処理するか、又は文献中で公知の他の条件を使用するかのいずれかによって達成することができる(ステップb)。
【0031】
6-クロロ又は6-ブロモピコリンAC(X=Cl、Br)は、室温から溶媒の還流温度までの温度、詳細には、室温で、例えばジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒を用いるか若しくは用いずに、例えば水酸化ナトリウム等の塩基の存在下で、シクロプロピルメタノールなどの好適に置換された第一級又は第二級アルコールADと反応させることにより、化合物AE(R’’=シクロプロピルメチルオキシ)に変換することができる(ステップc)。
【0032】
一般式AE(R’≠H)のエステルの鹸化は、当業者に周知の方法-例えば、0℃から使用する溶媒の還流温度の間の温度で、テトラヒドロフラン/エタノール又は別の好適な溶媒中で水性LiOH、NaOH又はKOHを使用する方法-により、一般式IIの酸をもたらす(ステップd)。
【0033】
化合物Iは、好適なアミド結合形成反応により、II及び式IIIの対応するアミンから調製することができる(ステップe)。これらの反応は当技術分野で公知である。例えば、N,N’-カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、1-[ビス(ジメチルアミノ)-メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム-3-オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)、1-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール(HOBT)、O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)、及びO-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチル-ウロニウム-ヘキサフルオロ-ホスファート(HBTU)のようなカップリング試薬を用いて、前記の変換に影響を与えることができる。好都合な方法は、室温で、例えばジメチルホルムアミドなどの不活性溶媒中で、例えばHBTU及びN-メチルモルホリンなどの塩基を使用することである。
【0034】
あるいは、化合物AC(R’=メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、又は例えば T.W. Greene et al., Protective Groups in Organic Chemistry, John Wiley and Sons Inc. New York 1999, 3rd editionに記載の別の好適な保護基)は、i)ステップdに記載されているように、その酸同族体AC(R’=H)に変換され;ii)ステップeに記載されているように、アミンIIIで処理することにより、対応するアミドに変換され;そしてiii)ステップcに記載されているように、アルコールADと反応させて、化合物Iに到達することができる。
【0035】
アミンIII及びアルコールADは、市販されているか、文献に記載されているか、当業者により又は本実施例の部分に記載したように合成することができる。
【0036】
出発物質、式AA、AD又はIIIの化合物の一つが、1つ以上の反応ステップの反応条件下で安定でないか又は反応性である1つ以上の官能基を含む場合、適切な保護基(P)(例えばT.W. Greene et al., Protective Groups in Organic Chemistry, John Wiley and Sons Inc. New York 1999, 3rd editionに記載されているような)を、当技術分野で周知の方法を適用して、重要なステップの前に導入することができる。そのような保護基は、当技術分野で公知の標準的な方法を使用して、合成の後の段階で除去することができる。
【0037】
式AAからAE、AD、II又はIIIの1つ以上の化合物がキラル中心を含む場合、式Iのピコリンは、ジアステレオマー又はエナンチオマーの混合物として得ることができ、これらは、当該技術分野で周知の方法、例えば(キラル)HPLC又は結晶化によって分離することができる。ラセミ化合物は、例えば、結晶化によるジアステレオマー塩を介して、又はキラル吸着剤若しくはキラル溶離剤のいずれかを使用する特定のクロマトグラフィー法による対掌体の分離によって、それらの対掌体に分離することができる。
【0038】
スキーム2による手順に従って、化合物BA(R’=H、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル又は例えばT.W. Greene et al., Protective Groups in Organic Chemistry, John Wiley and Sons Inc. New York 1999, 3rdeditionに記載の別の好適な保護基)を出発物質として使用することができる。BAは、市販されているか(例えば、R’=メチル:5-ブロモ-6-クロロ-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステルCAN1214353-79-3)、文献に記載されているか、又は当業者によって合成することができる。
【化3】
【0039】
化合物AC’は、当業者に周知の方法により、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/ジメチルビスジフェニルホスフィノキサンテンなどのパラジウム触媒及び炭酸セシウムなどの塩基を用いて、1,4-ジオキサンなどの溶媒中で、好ましくは溶媒の沸点で、アミンBB(MはHである)とカップリングさせることにより、BAから調製することができる(ステップa)。
【0040】
化合物AC’は、i)化合物ADと反応して、スキーム1のステップcに記載の化合物AEを形成し;ii)スキーム1のステップdに記載されているような鹸化;及びiii)スキーム1のステップeに記載されているようなアミド結合の形成によって、化合物Iにさらに合成することができる。
【0041】
さらに、化合物BAは、スキーム1のステップcに記載の化合物ADで処理することにより、化合物BCに変換することができる(ステップb)。
【0042】
続く化合物BC(R’’はシクロプロピルメチルオキシ)の化合物AEへの変換は、BAのAC’への変換について説明したように達成することができる(ステップa)。
【0043】
化合物AEは、i)スキーム1のステップdに記載されているような鹸化;ii)スキーム1のステップeに記載されているようなアミド結合の形成によって、化合物Iにさらに合成することができる。
【0044】
あるいは、化合物BC(R’=メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル又は例えばT.W. Greene et al., Protective Groups in Organic Chemistry, John Wiley and Sons Inc. New York 1999, 3rdeditionに記載の別の好適な保護基)は、i)スキーム1のステップdに記載されているように、その酸同族体BC(R’=H)に変換され;ii)スキーム1のステップeに記載されているように、アミンIIIで処理することにより、対応するアミドBDに変換され;そしてiii)ステップaに記載されているように、BBと反応させて、化合物Iに到達することができる。
【0045】
さらに、化合物Iは、以下の反応シーケンス:
i)化合物BA(R’=メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル又は例えばT.W. Greene et al., Protective Groups in Organic Chemistry, John Wiley and Sons Inc. New York 1999, 3rdeditionに記載の別の好適な保護基)から、スキーム1のステップdに記載されているような、その酸同族体BA(R’= H)への鹸化;ii)スキーム1のステップeに記載されているようなアミンIIIで処理することによる対応するアミドへの変換;iii)ステップaに記載されているような化合物BBとの反応;そしてiv)ステップbに記載されているような化合物ADとの反応
を適用して合成することもできる。場合によりステップiii)とステップiv)は交換できる。
【0046】
出発物質、式CA、CB又はBCの化合物のうちの1つが、1つ以上の反応ステップの反応条件下で安定でないか又は反応性である一つ以上の官能基を含む場合、適切な保護基(P)(例えば、T.W. Greene et al., Protective Groups in Organic Chemistry, John Wiley and Sons Inc. New York 1999, 3rd editionに記載されているような)を、当技術分野で周知の方法を適用して、重要なステップの前に導入することができる。そのような保護基は、当技術分野で公知の標準的な方法を使用して、合成の後の段階で除去することができる。
【0047】
式BA、BB又はADの1つ以上の化合物がキラル中心を含む場合、式AC’及びAEのピコリンは、ジアステレオマー又はエナンチオマーの混合物として得ることができ、これらは、当技術分野で周知の方法、例えば(キラル)HPLC又は結晶化によって分離することができる。ラセミ化合物は、例えば、結晶化によるジアステレオマー塩を介して、又はキラル吸着剤若しくはキラル溶離剤のいずれかを使用する特定のクロマトグラフィー法による対掌体の分離によって、それらの対掌体に分離することができる。
【0048】
したがって、本発明はまた、以下のステップ:
(a)R-H、パラジウム触媒及び塩基の存在下における
式(A)
【化4】

の化合物の反応;
(b)NH-C(R)、カップリング剤及び塩基の存在下における
式(B)
【化5】

の化合物の反応;
(式中、A及びR~Rは、上記で定義された通りである。)
の一つを含む、本発明による化合物の製造のための方法に関する。
【0049】
ステップ(b)のカップリング剤は、好都合には、例えば N,N’-カルボニル-ジイミダゾール(CDI)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、1-[ビス(ジメチルアミノ)-メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム-3-オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)、1-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール(HOBT)、O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)及びO-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチル-ウロニウム-ヘキサフルオロ-フォスファート(HBTU)のようなアミド結合形成剤である。
N-メチルモルホリンは、ステップ(b)のための好都合な塩基である。
HBTUは、有利には、ステップ(b)においてN-メチルモルホリンと組み合わせて使用することができる。
ステップ(b)の溶媒は、有利には、ジメチルホルムアミドであり得る。
【0050】
ステップ(a)において、パラジウム触媒は、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/ジメチルビスジフェニル-ホスフィノキサンテンであり得る。
ステップ(a)において、塩基は、例えば炭酸セシウムであり得る。
ステップ(a)において、溶媒は有利には1,4-ジオキサンである。
【0051】
本発明はまた、本発明の方法により製造された場合の本発明による化合物に関する。
【0052】
本発明の別の実施態様は、本発明の化合物及び治療的に不活性な担体、希釈剤若しくは賦形剤を含む医薬組成物又は医薬、ならびにそのような組成物及び医薬を調製するために本発明の化合物を使用する方法を提供する。一例では、式(I)の化合物は、周囲温度で、適切なpHで、且つ所望の純度で、生理学的に許容され得る担体、すなわち、ガレヌス投与形態に用いる用量及び濃度でレシピエントに対して非毒性である担体と混合することによって製剤化され得る。製剤のpHは、主に特定の用途及び化合物の濃度に依存するが、好ましくは約3から約8の範囲である。一例では、式(I)の化合物は、酢酸緩衝液中でpH 5で製剤化される。別の実施態様では、式(I)の化合物は無菌である。該化合物は、例えば、固体又はアモルファス組成物として、凍結乾燥製剤として、又は水溶液として保存され得る。
【0053】
組成物は、良好な医療行為と一致する方法で製剤化され、用量化され、そして投与される。この文脈で考慮すべき因子は、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジューリング、及び医師に公知の他の因子を含む。
【0054】
本発明の化合物は、経口、局所(頬側及び舌下を含む)、直腸、膣、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、くも膜下腔内及び硬膜外及び鼻腔内、ならびに局所処置が所望される場合は病変内投与を含む、任意の好適な手段によって投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。
【0055】
本発明の化合物は、例えば、錠剤、粉末剤、カプセル剤、液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ剤、スプレー剤、坐剤、ゲル剤、乳濁剤、パッチ剤などの、任意の好都合な投与形態で投与され得る。そのような組成物は、例えば、希釈剤、担体、pH調整剤、甘味料、増量剤、及び更なる活性薬剤などの、医薬調製における従来の成分を含み得る。
【0056】
典型的な製剤は、本発明の化合物と担体若しくは賦形剤とを混合することによって調製される。好適な担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、例えば、Ansel, Howard C., et al., Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2004; Gennaro, Alfonso R., et al. Remington: The Science and Practice of Pharmacy. Philadelphia: Lippincott, Williams & Wilkins, 2000; and Rowe, Raymond C. Handbook of Pharmaceutical Excipients. Chicago, Pharmaceutical Press, 2005などに詳細に記載されている。当該製剤はまた、薬物(すなわち、本発明の化合物又はその医薬組成物)の洗練された提示を提供するための、すなわち、医薬製品(すなわち、医薬)の製造を助けるための、1つ以上の緩衝剤、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤、抗酸化剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味料、香料、香味料、希釈剤、及び他の公知の添加剤を含み得る。
【0057】
本発明はまた、特に:
疼痛、アテローム性動脈硬化症、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、緑内障、糖尿病、炎症、炎症性腸疾患、虚血再灌流傷害、急性肝不全、肝線維症、肺線維症、腎線維症、全身性線維症、急性同種移植片拒絶、慢性同種移植腎症、糖尿病性腎症、糸球体腎症、心筋症、心不全、心筋虚血、心筋梗塞、全身性硬化症、熱傷、火傷、肥厚性瘢痕、ケロイド、発熱性歯肉炎、肝硬変若しくは腫瘍、骨質量の調節、神経変性、脳卒中、一過性虚血発作、又はぶどう膜炎の治療又は予防のための式(I)の化合物の使用;
疼痛、アテローム性動脈硬化症、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、緑内障、糖尿病、炎症、炎症性腸疾患、虚血再灌流傷害、急性肝不全、肝線維症、肺線維症、腎線維症、全身性線維症、急性同種移植片拒絶、慢性同種移植腎症、糖尿病性腎症、糸球体腎症、心筋症、心不全、心筋虚血、心筋梗塞、全身性硬化症、熱傷、火傷、肥厚性瘢痕、ケロイド、発熱性歯肉炎、肝硬変若しくは腫瘍、骨質量の調節、神経変性、脳卒中、一過性虚血発作、又はぶどう膜炎の治療又は予防のための医薬の調製のための式(I)の化合物の使用;
疼痛、アテローム性動脈硬化症、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、緑内障、糖尿病、炎症、炎症性腸疾患、虚血再灌流傷害、急性肝不全、肝線維症、肺線維症、腎線維症、全身性線維症、急性同種移植片拒絶、慢性同種移植腎症、糖尿病性腎症、糸球体腎症、心筋症、心不全、心筋虚血、心筋梗塞、全身性硬化症、熱傷、火傷、肥厚性瘢痕、ケロイド、発熱性歯肉炎、肝硬変若しくは腫瘍、骨質量の調節、神経変性、脳卒中、一過性虚血発作、又はぶどう膜炎の治療又は予防に使用するための式(I)の化合物;及び
疼痛、アテローム性動脈硬化症、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、緑内障、糖尿病、炎症、炎症性腸疾患、虚血再灌流障害、急性肝不全、肝線維症、肺線維症、腎線維症、全身性線維症、急性同種移植片拒絶、慢性同種移植腎症、糖尿病性腎症、糸球体腎症、心筋症、心不全、心筋虚血、心筋梗塞、全身性硬化症、熱傷、火傷、肥厚性瘢痕、ケロイド、発熱性歯肉炎、肝硬変若しくは腫瘍、骨質量の調節、神経変性、脳卒中、一過性虚血発作、又はぶどう膜炎の治療又は予防のための方法であって、式(I)の化合物の有効量を、それらを必要とする患者に投与することを含む方法
に関する。
【0058】
本発明は、詳細には、虚血、再灌流傷害、肝線維症又は腎線維症、特に、虚血又は再灌流傷害の治療又は予防のための式(I)の化合物に関する。
【0059】
ここで、本発明を、限定的性質を有しない以下の実施例により例証する。
【実施例
【0060】
略語
CAN=ケミカルアブストラクトサービス番号(chemical abstracts service number);DCM=ジクロロメタン;DIPEA=N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン;DMF=ジメチルホルムアミド;EI=電子衝撃;EtOAc=酢酸エチル;HATU=2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスファート(V);HBTU=O-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチル-ウロニウム-ヘキサフルオロ-ホスファート;Hept.=ヘプタン;HPLC=LC=高速液体クロマトグラフィー;ISP=イオンスプレー、ESI(エレクトロスプレー)に対応;MS=質量分析;NMRデータは、内部テトラメチルシランに対する百万分の一(δ)で報告され、そしてサンプル溶媒(特に明記されない限りd-DMSO)からの重水素ロック信号を参照する;結合定数(J)はヘルツであり;RT=室温;Rt=保持時間;TBAF=テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド;TBTU=O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチル-ウロニウム-テトラフルオロボラート;THF=テトラヒドロフラン。
【0061】
実施例1
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(3-フルオロプロポキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート
【化6】

10mLの三口フラスコ中で、エチル2-(6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)ピコリンアミド)-2-エチルブタノアート(CAN 1778678-40-2、26mg、64.1μmol、Eq:1)をDMF(500μL)と合わせて、薄黄色の溶液を得た。鉱物油中の水素化ナトリウム分散液(12.8mg、321μmol、Eq:5)を加え、反応混合物を周囲温度で30分間撹拌した。1-ヨード-3-フルオロプロパン(60.3mg、32.8μL、321μmol、Eq:5)を加え、混合物を1時間撹拌した。別の部分の鉱物油中の水素化ナトリウム分散液(5mg、125μmol、Eq:2)を加え、周囲温度で30分間撹拌を継続した。反応混合物をEtOAcで希釈し、ブライン(3×10mL)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥して、真空中で濃縮した。粗物を分取HPLCにより精製して、標題化合物(6mg、19%)を無色の油状物、MS(ESI):466.4[MH]として得た。
【0062】
実施例2
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(2-フルオロエトキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート
【化7】

実施例1に記載した手順と同様に、エチル2-(6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)ピコリンアミド)-2-エチルブタノアート(CAN 1778678-40-2)を1-フルオロ-2-ヨードエタンと反応させ、標題化合物を無色の油状物、MS(ESI):452.351[MH]として得た。
【0063】
実施例3
エチル2-({6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(フルオロメトキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボニル}アミノ)-2-エチルブタノアート
【化8】

実施例1に記載の手順と同様に、エチル2-(6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)ピコリンアミド)-2-エチルブタノアート(CAN 1778678-40-2)をフルオロ-ヨードメタンと反応させて、標題化合物を薄黄色の固体、MS(ESI):436.389[MH]として得た。
【0064】
実施例4
エチル2-{[6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)ピリジン-2-カルボニル]アミノ}-2-エチルブタノアート
【化9】

a)エチル2-(6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-((メチルスルホニル)オキシ)アゼチジン-1-イル)ピコリンアミド)-2-エチルブタノアート
【化10】

5mL丸底フラスコ中で、エチル2-(6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)ピコリンアミド)-2-エチルブタノアート(CAN 1778678-40-2、88mg、217μmol、Eq:1)をDCM(1.5mL)と合わせて、無色の溶液を得、これを0℃に冷却した。トリエチルアミン(65.9mg、90.7μL、651μmol、Eq:3)及びメタンスルホニルクロリド(49.7mg、33.7μL、434μmol、Eq:2)を加え、混合物を周囲温度まで温めた。90分後、混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO(3×10mL)、1M HCl(3×10mL)及び飽和NaCl(1×10mL)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥して、真空中で濃縮して粗の標題化合物、MS(ESI):484.3[MH]を得、更なる精製を行わずに次のステップで使用した。
b)エチル2-{[6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)ピリジン-2-カルボニル]アミノ}-2-エチルブタノアート
5mLの密閉管中で、エチル2-(6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-((メチルスルホニル)オキシ)アゼチジン-1-イル)ピコリンアミド)-2-エチルブタノアート(105mg、217μmol、Eq:1)をDMF(5mL)と合わせ、無色の溶液を得た。THF中のTBAF(1.08mL、1.09mmol、Eq:5)を加え、反応混合物を100℃で17時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、ブライン(3×20mL)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥して、真空中で濃縮した。粗物を分取HPLCにより精製して、標題化合物(26mg、29%)を薄黄色の油状物、MS(ESI):408.276[MH]として得た。
【0065】
実施例5
N-[3-(2-アミノ-2-オキソエチル)オキセタン-3-イル]-6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(2-フルオロエトキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボキサミド
【化11】

a)N-(3-(2-アミノ-2-オキソエチル)オキセタン-3-イル)-5-ブロモ-6-(シクロプロピルメトキシ)ピコリンアミド
【化12】

50mL丸底フラスコ中で、5-ブロモ-6-(シクロプロピルメトキシ)ピコリン酸(CAN 1415898-37-1、941mg、3.46mmol、Eq:1.5)をDMF(20mL)と合わせ、薄黄色の溶液を得た。TBTU(1.04g、3.23mmol、Eq:1.4)、DIPEA(1.19g、1.61mL、9.22mmol、Eq:4)及び2-(3-アミノオキセタン-3-イル)アセトアミド(CAN 1417638-25-5、300mg、2.31mmol、Eq:1)を加え、反応混合物を、周囲温度で、12時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAcで希釈した。有機層を飽和NaHCO(3×25mL)、1M HCl(3×25mL)及び飽和NaCl(1×50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥して、真空中で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、50g、DCM/MeOH)により精製して、標題化合物(315mg、65%)を白色の固体、MS(ISP):384.127/386.084[MH]として得た。
b)N-(3-(2-アミノ-2-オキソエチル)オキセタン-3-イル)-5-(3-(ベンジルオキシ)アゼチジン-1-イル)-6-(シクロプロピルメトキシ)ピコリンアミド
【化13】

20mLの密閉管中で、N-(3-(2-アミノ-2-オキソエチル)オキセタン-3-イル)-5-ブロモ-6-(シクロプロピルメトキシ)ピコリンアミド(400mg、1.04mmol、Eq:1)をトルエン(10mL)と合わせて、無色の溶液を得た。CsCO(1.02g、3.12mmol、Eq:3)、3-(ベンジルオキシ)アゼチジンベンゼンスルホン酸塩(CAN 1993178-75-8、335mg、1.04mmol、Eq:1)、rac-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(130mg、208μmol、Eq:0.2)及び酢酸パラジウム(II)(46.7mg、208μmol、Eq:0.2)を加えた。反応混合物を110℃で3時間撹拌し、EtOAcで希釈し、セライトを通して濾過した。有機溶媒を減圧下で除去した。残留物をEtOAcに溶解し、1M HCl(3×25mL)及び飽和NaCl(1×25mL)で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、50g、DCM/MeOH)により精製して、標題化合物(315mg、65%)を白色の固体、MS(ISP):467.335[MH]として得た。
c)N-(3-(2-アミノ-2-オキソエチル)オキセタン-3-イル)-6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)ピコリンアミド
【化14】

50mLの圧力反応器に、N-(3-(2-アミノ-2-オキソエチル)オキセタン-3-イル)-5-(3-(ベンジルオキシ)アゼチジン-1-イル)-6-(シクロプロピルメトキシ)ピコリンアミド(240mg、516μmol、Eq:1)及びMeOH(25mg)を充填し、アルゴン雰囲気下に置いた。Pd-C木炭(120mg、113μmol、Eq:0.5)を加えた。この懸濁液を水素雰囲気下(5バール)に置き、50℃で18時間撹拌した。混合物をろ過して、真空中で濃縮して粗の標題化合物、MS(ESI):377.279[MH]を得、更なる精製を行わずに次のステップで使用した。
d)N-[3-(2-アミノ-2-オキソエチル)オキセタン-3-イル]-6-(シクロプロピルメトキシ)-5-[3-(2-フルオロエトキシ)アゼチジン-1-イル]ピリジン-2-カルボキサミド
実施例1に記載の手順と同様に、N-(3-(2-アミノ-2-オキソエチル)オキセタン-3-イル)-6-(シクロプロピルメトキシ)-5-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)ピコリンアミドを、1-フルオロ-2-ヨードエタンと反応させて、標題化合物を白色の固体、MS(ESI):423.311[MH]として得た。
【0066】
実施例6
薬理学的試験
式Iの化合物の活性を決定するために、以下の試験を実施した:
【0067】
放射性リガンド結合アッセイ
カンナビノイドCB1受容体に対する本発明の化合物の親和性は、ヒトCNR1又はCNR2受容体を発現するヒト胚性腎臓(HEK)細胞の膜調製物(PerkinElmer)の推奨量を、放射性リガンドとしてそれぞれ1.5又は2.6nM [3H]-CP-55,940(PerkinElmer)と組み合わせて使用し決定した。結合は、結合緩衝液(CB1受容体については、50mMトリス、5mM MgCl、2.5mM EDTA、及び0.5%(wt/vol)脂肪酸フリーBSA、pH7.4、ならびにCB2受容体については、50mMトリス、5mM MgCl、2.5mM EGTA、及び0.1%(wt/vol)脂肪酸フリーBSA、pH7.4)中で、総容量0.2mLで、30℃で振とうしながら1時間かけて行った。反応は、0.5%ポリエチレンイミンでコーティングされた精密ろ過プレート(UniFilter GF/Bフィルタープレート;Packard)を通した急速ろ過により停止した。結合放射能は、飽和実験から[3H]CP55,940のKd値を決定して、非線形回帰分析(Activity Base, ID Business Solution, Limited)を使用して、Kiについて解析した。式(I)の化合物は、CB2受容体に対して優れた親和性を示した。
【0068】
式(I)による化合物は、上記アッセイ(Ki)において0.5nMと10μMの間で活性を有する。式(I)の特定の化合物は、上記アッセイ(Ki)において0.5nMと3μMの間で活性を有する。式(I)の他の特定の化合物は、上記アッセイ(Ki)において0.5nMと100nMの間で活性を有する。
【0069】
cAMPアッセイ
ヒトCB1又はCB2受容体を発現するCHO細胞を、DMEM(Invitrogen No.31331)、10%ウシ胎児血清を含む1×HTサプリメント(HT supplement)中で、フラットクリアボトムを備えたブラック96ウェルプレート(Corning Costar #3904)に、1ウェルあたり50,000個、実験の17~24時間前に播種し、5%CO及び37℃の加湿インキュベーター中でインキュベートした。増殖培地を、1mM IBMXを含むクレブスリンガー重炭酸緩衝液(Krebs Ringer Bicarbonate buffer)と交換し、30℃で30分間インキュベートした。化合物を100μLの最終アッセイ容量まで加え、30℃で30分間インキュベートした。cAMP-Nano-TRF検出キット(Roche Diagnostics)を使用して、アッセイ(Roche Diagnostics)を50μL溶解試薬(トリス、NaCl、1.5%トリトンX100、2.5%NP40、10%NaN)及び50μLの検出溶液(20μM mAb Alexa700-cAMP 1:1、及び48μM ルテニウム-2-AHA-cAMP)の添加により停止し、室温で2時間振とうした。時間分解エネルギー移動は、励起源としてND:YAGレーザーを備えたTRFリーダー(Evotec Technologies GmbH)により測定した。プレートは、355nmでの励起ならびに100nsの遅延及び100nsのゲートを伴う放射で、730nm(帯域幅30nm)又は645nm(帯域幅75nm)でそれぞれ10秒の合計露光時間で、2回測定した。FRET信号は以下:FRET=T730-Alexa730-P(T645-B645)(式中、P=Ru730-B730/Ru645-B645)のように計算される(ここで、T730は730nmで測定されたテストウェルであり、T645は645nmで測定されたテストウェルであり、B730及びB645はそれぞれ730nm及び645nmでのバッファコントロールである)。cAMP含有量は、10μMから0.13μMにまたがるcAMPの標準曲線の関数から決定される。
【0070】
EC50値は、Activity Base分析(ID Business Solution, Limited)を使用して決定した。参照化合物についてのこのアッセイから生成された広範囲のカンナビノイドアゴニストについてのEC50値は、科学文献で公表されている値と一致していた。
【0071】
前記アッセイにおいて、本発明による化合物は、0.5nMと10μMの間であるヒトCB2 EC50を有する。本発明による特定の化合物は、0.5nMと1μMの間であるヒトCB2EC50を有する。本発明による更なる特定の化合物は、0.5nMと100nMの間であるヒトCB2EC50を有する。それらは、放射性リガンド及びcAMPアッセイの両方、又はこれら2つのアッセイのいずれかにおいて、ヒトCB1受容体に対して少なくとも10倍の選択性を示す。
【0072】
本発明の代表的な化合物について得られた結果を以下の表に示す。
【表1】

実施例A
以下の成分を含有するフィルムコーティング錠は、従来の方法で製造することができる。
【表2】

有効成分を篩にかけ、微結晶セルロースと混合し、その混合物をポリビニルピロリドンの水溶液で造粒する。次いで、この顆粒を、デンプングリコール酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムと混合し、圧縮して、それぞれ120又は350mgの核を生成する。核は、上記のフィルムコートの水溶液/懸濁液を用いてラッカー処理する。
【0073】
実施例B
以下の成分を含有するカプセルは、従来の方法で製造することができる。
【表3】

成分を篩にかけて、混合し、サイズ2のカプセルに充填する。
【0074】
実施例C
注射液は、以下の組成を有することができる。
【表4】

有効成分をポリエチレングリコール400及び注射液用水(一部)の混合液に溶解する。酢酸の添加によりpHを5.0に調整する。残量の水の添加により容量を1.0mLに調整する。溶液を濾過し、適切な超過量を使用してバイアルに充填し、滅菌する。