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  • 特許-電池状態推定装置および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】電池状態推定装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/389 20190101AFI20240425BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20240425BHJP
   G01R 31/367 20190101ALI20240425BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20240425BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20240425BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240425BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G01R31/389
G01R31/00
G01R31/367
G01R31/392
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/00 Q
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021025284
(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公開番号】P2022127244
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩安 紀雄
(72)【発明者】
【氏名】山添 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】小森 啓礼
(72)【発明者】
【氏名】塙 信幸
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-019577(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136788(WO,A1)
【文献】特開2020-134279(JP,A)
【文献】特開2000-299137(JP,A)
【文献】特開2017-040615(JP,A)
【文献】国際公開第2018/051613(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/069390(WO,A1)
【文献】特開2017-161228(JP,A)
【文献】特開2019-185861(JP,A)
【文献】特開2011-254673(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110943261(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102553838(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/00-31/01、
31/24-31/25、
31/36-31/44、
H02J 7/00-7/12、
7/34-7/36、
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池の状態を推定する電池状態推定装置であって、
電池を、開放電圧の電源と、直列抵抗と、抵抗とコンデンサを含む1つ以上の並列回路で構成されたものとして、前記開放電圧と前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を推定する抵抗推定部と、
電池の初期状態において求めた前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を保存するパラメータテーブル部と、
前記抵抗推定部で求めた電池についての前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値と、前記パラメータテーブル部に保存している前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を比較し、抵抗増加の原因が電池の接触性か、電池自体の劣化によるものかを判断する抵抗診断部を備え、
前記抵抗推定部は、電池を放電または充電後に、休止させ、この時の電流値、端子電圧、温度を入力して、前記開放電圧と前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を推定することを特徴とする電池状態推定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電池状態推定装置であって、
前記パラメータテーブル部は、前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を、前記温度と前記開放電圧ごとに保存していることを特徴とする電池状態推定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電池状態推定装置であって、
診断結果を表示する結果表示部を所持することを特徴とする電池状態推定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池状態推定装置であって、
電池状態推定装置は、通信部を備え、ネットワークに接続されてその診断結果を送信することを特徴とする電池状態推定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電池状態推定装置であって、
電池状態推定装置が、充電式掃除機に適用されていることを特徴とする電池状態推定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電池状態推定装置であって、
前記電池状態推定装置および、その構成要素の一部が充電式掃除機の充電台にあることを特徴とする電池状態推定装置。
【請求項7】
電池の状態を推定する電池状態推定方法であって、
電池を、開放電圧の電源と、直列抵抗と、抵抗とコンデンサを含む1つ以上の並列回路で構成されたものとして、前記開放電圧と前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を推定し、
電池の初期状態における前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を保存し、
電池について推定した前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値と、保存している前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を比較し、抵抗増加の原因が電池の接触性か、電池自体の劣化によるものかを判断するとともに、
電池を放電または充電後に、休止させ、この時の電流値、端子電圧、温度を入力して、前記開放電圧と前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を推定することを特徴とする電池状態推定方法。
【請求項8】
請求項7に記載の電池状態推定方法であって、
電池の初期状態における前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を、前記温度と前記開放電圧ごとに保存していることを特徴とする電池状態推定方法。
【請求項9】
請求項7に記載の電池状態推定方法であって、
前記開放電圧と前記温度をもとにして、比較対象とする電池の初期状態における前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を参照することを特徴とする電池状態推定方法。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の電池状態推定方法であって、
電池について推定した前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値と、保存している前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を比較し、電池について推定した前記直列抵抗の値が保存している前記直列抵抗の値よりも大きく、前記並列回路の抵抗の値に変化がない場合、電池の接触不良と診断することを特徴とする電池状態推定方法。
【請求項11】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の電池状態推定方法であって、
電池について推定した前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値と、保存している前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を比較し、電池について推定した前記並列回路の抵抗の値が保存している前記並列回路の抵抗の値よりも大きい場合、電池の劣化と診断することを特徴とする電池状態推定方法。
【請求項12】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の電池状態推定方法であって、
電池について推定した前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値と、保存している前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値を比較し、前記直列抵抗と前記並列回路の抵抗の値に変化がない場合、電池の接触不良もなく、電池の劣化もないと診断することを特徴とする電池状態推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の抵抗の増加の要因を高精度に推定できる電池状態推定装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池として例えばリチウムイオン電池の抵抗は、電池の劣化を判断する上において重要な指標の一つである。通常は、電池を所定の温度環境下に設置し、電池の端部に電流を印加し、電圧変化を測定し、電圧印加前と、電圧印加後の電圧変化量を算出後、その値を印加した電流値で割ることにより求める。このようにして求められた抵抗は、一般的に直流抵抗(DCR)と呼ばれており、電池の抵抗を表す一つの指標である。
【0003】
一方、電池は、セルの端部を溶接して使用する。特に、高電圧が必要な装置では、複数の電池を直列に接続するために、電池の端部同士を金属でつなぎ、その金属と電池端部を溶接して使用する。しかし、その溶接の具合により、電池のDCRが変化してしまう場合がある。このような場合、DCRの上昇が接触性の問題なのか、電池の劣化によるものか、判断ができない課題があった。また、DCRは温度によっても変化するため、正確な測定をするには、電池を恒温槽などの一定温度にする装置内で測定する必要があり課題があった。
【0004】
特許文献1には、劣化後の電池の許容電流を算出するために、等価回路解析で求めた正極および負極の内部抵抗の増加比を劣化予測に用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-134279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来発明では、抵抗増加の原因を電池の接触性の問題なのか、電池自体の劣化によるものか、判断することができない。
【0007】
このことから本発明においては、上記従来の課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電池の抵抗の増加原因を、接触性の問題なのか、電池の劣化によるものかを診断することができる電池状態推定装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のことから本発明は、「電池の状態を推定する電池状態推定装置であって、電池を、開放電圧の電源と、直列抵抗と、抵抗とコンデンサを含む1つ以上の並列回路で構成されたものとして、開放電圧と直列抵抗と並列回路の抵抗の値を推定する抵抗推定部と、電池の初期状態において求めた直列抵抗と並列回路の抵抗の値を保存するパラメータテーブル部と、抵抗推定部で求めた電池についての直列抵抗と並列回路の抵抗の値と、パラメータテーブル部に保存している直列抵抗と並列回路の抵抗の値を比較し、抵抗増加の原因が電池の接触性か、電池自体の劣化によるものかを抵抗診断部を備えることを特徴とする電池状態推定装置。」としたものである。
【0009】
また本発明は、「電池の状態を推定する電池状態推定方法であって、電池を、開放電圧の電源と、直列抵抗と、抵抗とコンデンサを含む1つ以上の並列回路で構成されたものとして、開放電圧と直列抵抗と並列回路の抵抗の値を推定し、電池の初期状態における直列抵抗と並列回路の抵抗の値を保存し、電池について推定した直列抵抗と並列回路の抵抗の値と、保存している直列抵抗と並列回路の抵抗の値を比較し、抵抗増加の原因が電池の接触性か、電池自体の劣化によるものかを判断することを特徴とする電池状態推定方法。」としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電池の抵抗増加の原因を電池の接触性か、電池自体の劣化によるものかを診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係る電池状態推定装置の構成例を示す図。
図2】電池10の等価回路モデルを示す図。
図3図2の等価回路モデルにおいて、RC並列部が1つである場合を示す図。
図4図2の等価回路モデルにおいて、RC並列部が2つである場合を示す図。
図5】パラメータテーブル20の構成例を示す図。
図6】同一種類の電池の各抵抗の値を、初期抵抗の値とともに示す図。
図7】従来手法によりDCRを測定した結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【実施例
【0013】
図1は本発明の実施例に係る電池状態推定装置の構成例を示す図である。図1の電池状態推定装置20は、電池10の抵抗を推定する抵抗推定部21と、劣化前の電池状態を記憶するパラメータテーブル24と、抵抗を診断する抵抗診断部22、および測定結果を表示させる測定表示部23から構成される。
【0014】
抵抗推定部21では、電池10として例えばリチウムイオン電池を一定時間t1(例えば72秒)の間電流値Iで放電後、その後さらに一定時間t2(例えば30分)休止させ、放電と休止の際の電池10の端子電圧Vを計時変化的に測定する。なおこれら一連の処理は、放電の代わりに充電することであってもよい。抵抗推定部21では、この時の電流値I、端子電圧V、温度Tを計測して入力する。
【0015】
図2は、電池10の等価回路モデルを示したものであり、電池の電気的要素を回路要素に割り当てたものである。電池10の等価回路は電池端子間に電池の開放電圧OCVの電源と、キャパシタ成分を含まない抵抗R0と、RC並列部30が直列接続されたものとして表されている。なおRC並列部30は、抵抗RnとコンデンサCnによる並列回路である。
【0016】
図1で時系列的に計測した端子電圧Vの値を、図2に示した等価回路でフィッテングすることで、電池の抵抗R0およびRnを求めることができることが知られている。例えば電池を一定時間t1(例えば72秒)の間電流値Iで放電するときの、放電初期における端子電圧Vを用いて電池接続部における抵抗R0が推定でき、放電開始から休止終了に至る時系列的な端子電圧Vの変化から抵抗Rnが推定できる。なお本発明では、放電の代わりに充電することでも電池の抵抗R0およびRnを求めることが可能である。
【0017】
抵抗推定部21は、診断の際電池の電圧の上限が電池で規定された電池の電圧の上限値を超えた際、測定を停止する機能を保持することも可能である。前記機能を保持させることにより、診断の際に電池の過充電、過放電を抑制する効果が得られる。
【0018】
図2の等価回路において、RC並列部30は1つ以上(n≧1)設置することが可能である。具体的には、n=1の場合は図3であり、n=2の場合は図4のように表記される。図2で示した等価回路においてn数に応じて、RC並列部30の抵抗Rnが算出される。n=1の場合はR1、n=2の場合はR1およびR2が算出される。n数を増やすことで、R0とRnの値を精度よく得ることができる。
【0019】
図1に戻り、パラメータテーブル20には電池を製作した初期の状態で抵抗推定部による手法を用いて推定した初期状態でのパラメータとしてR0(ini),Rn(ini)が保持されている。
【0020】
図5は、パラメータテーブル20の構成例を示す図である。パラメータテーブル20は、縦方向に初期状態でのパラメータR0(ini),Rn(ini)、横方向に例えば10%単位での電池の充電率SOCを採用して構成されたものであり、かつ測定時の環境温度Tごとにパラメータテーブルを複数準備している。
【0021】
このようにパラメータテーブル24には、劣化前でかつ接触不良がみられない電池のデータ(以下、標準データ)を格納している。パラメータテーブル24には、電池の各充電率(SOC(%))での抵抗を、温度別および抵抗の要素(R0(ini)、Rn(ini))別にデータベース化してある。電池の抵抗はSOCおよび温度で変わるからである。パラメータテーブル24の値を引用する場合は、電池温度Tと抵抗推定部21から得られる開放電圧OCVを計測する。電池の開放電圧OCVはSOCと対応するため、240でははじめに、開放電圧OCVから、SOCを求める。その後、そのSOCと温度の関係から、標準データを算出する。
【0022】
かくして抵抗診断部22では、現在時点において抵抗推定部21で求めた抵抗R0およびRnと、パラメータテーブル24に保持した電池初期状態に置けるパラメータR0(ini),Rn(ini)の値を比較し、電池の抵抗増加が接触性によるものか、電池の劣化に基づくものかを診断する部分である。電池の抵抗増加が接触性によるものである場合、抵抗R0に変化を生じ、電池の劣化に基づくものである場合、抵抗Rnに変化を生じることから、この識別が可能である。
【0023】
抵抗の増加の原因を診断する方法は、以下の通りであり、まず抵抗推定部21で求めた現在計測の抵抗R0とRnと、パラメータテーブルから算出した標準データである抵抗R0(ini)とRn(ini)を比較する。比較の結果、R0>R0(ini)、Rn=Rn(ini)の場合、電池の接触不良と診断する。Rn>Rn(ini)の場合、電池の劣化と診断する。R0=R0(ini)、Rn=Rn(ini)の場合、電池の接触不良もなく、電池の劣化もないと診断する。
【0024】
なお、同一種の電池でも、若干の個体差があるため、その場合は、R0(ini)およびRn(ini)に補正率(%)の上下限をそれぞれ設定し、それらの領域幅にある値を標準データとして診断に使用することも可能である。例えば、R0(ini)が10mΩとした場合、下限の補正率を10%、上限の補正率を20%にするとした場合、R0(ini)は9mΩ以上12mΩ以下となる。
【0025】
次に、本発明の効果について説明する。図6は本発明の測定により求めた同一種類の電池Aと電池Bについての各抵抗R0、R1,R2の値を、パラメータテーブル24から導出した初期抵抗R0(ini)、R1(ini),R2(ini)の値とともに示したものである。なお、本測定方法においては、等価回路は図4のRC並列部が2のものを使用した。
【0026】
この図6によれば、電池Aについて、R0およびR1、R2の値はパラメータテーブルR0(ini)およびR1(ini)、R2(ini)の値と同一であるため、電池Aは接触不良もなく、電池の劣化もないと診断できる。
【0027】
また、電池Bについては、R0は、パラメータテーブルのR0(ini)よりも大きいのに対し、R1およびR2は、R1(ini)およびR2(ini)と同一である。そのため、この電池Bは電池の接触不良があると診断できる。
【0028】
一方、同一の電池Aおよび電池Bを使用し、従来の測定方法であるDCRを測定した結果を図7に記載した。電池Aおよび電池BにDCRの違いがみられるが、この違いが接触不良によるものか、電池の劣化によるものか、判断できない。このことからも、本発明の診断方法および診断装置の効果が確認できる。
【0029】
また、本発明の電池状態推定装置においては、結果表示部23を設けるのがよい。結果表示部23を設けることにより、本発明の電池状態推定装置を使用する利用者が、電池の抵抗増加の原因を知ることができ、抵抗増加の抑制にむけた技術的な対策立案できる効果が得られる。
【0030】
また、電池状態推定装置および方法で診断した結果を、ネットワークで収集しデータベース化し、そのデータを処理することで故障の予兆診断に使用することも可能である。ネットワークの具体例の一つとしては、インターネットがあげられる。工場出荷後に、電池状態推定装置で得られた診断結果を収集分析することにより、工場出荷後に電池に起因すると考えられる不具合が出た場合、事前に得られる電池の抵抗の情報を収集しておくことにより、その不具合の原因が、溶接などの接触性の不良なのか、電池の劣化に基づくものなのか知ることができ、早期に対策の立案ができるという効果が得られる。このために電池状態推定装置は通信部を備えて、自己の診断結果情報などを送信することができるものとするのがよい。
【0031】
また、本発明の電池状態推定装置および方法を、充電式掃除機に用いることができる。充電式掃除機は、高電圧が必要のため電池を多直列に接続してモジュール化して使用する場合がある。その際、電池を溶接して多直列に構成させるが、溶接不良が起こるとモジュールの抵抗が高くなる場合がある。
【0032】
一方、どの電池が溶接不良かを診断するのは、従来の直流抵抗測定では困難である。また、電池の劣化によっても抵抗が増加する場合があるため、抵抗増加の原因を診断するのは従来のDCR測定では難しい。
【0033】
この点、本発明の電池状態推定装置および方法を使用すれば、溶接不良などの接触性の低下で抵抗が増加したのか、電池自体が劣化しての抵抗が増加したのかを診断することができるため、不具合対策の立案を立てる観点で有用な効果が得られる。
【0034】
さらに、充電式掃除機において、本発明の電池状態推定装置の一部を充電式掃除機の充電台に設置することも可能である。充電式掃除機は小型軽量化が求められている。そのため、本発明の電池状態推定装置の一部を、充電台の方に設置することにより、掃除機本体の小型化軽量化が可能となる効果が得られる。
【0035】
また、充電式掃除機は、長時間使用したいというニーズがある。そのために、充電式掃除機の制御装置の負荷を下げ、消費電力をさげることが有用である。本発明の電池状態推定装置、または電池状態推定装置の一部を充電台に設置することで、充電式掃除機自体の消費電力を低下すること可能になるという効果が得られる。
【0036】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
10:電池
20:電池状態推定装置
21:抵抗推定部
22:抵抗診断部
23:結果表示部
24:パラメータテーブル
30:RC並列部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7