(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】結露抑制装置、監視装置、料金自動収受機、結露抑制方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240425BHJP
【FI】
G07B15/00 L
(21)【出願番号】P 2021028129
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】飯田 敦志
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-148287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金自動収受機が受け入れる紙幣を識別不成功と検出したことを示す識別結果情報を取得する取得部と、
前記識別結果情報に基づいて、前記紙幣の識別不成功を検出した回数を計測する計測部と、
前記回数に基づいて前記紙幣の識別センサの異常を判定する判定部と、
前記異常を判定した場合に結露抑制機構を起動する信号を送出する起動部と、
を備える結露抑制装置。
【請求項2】
前記識別センサは、料金自動収受機の本体の中に設けられた紙幣ユニットの内部にある
請求項1に記載の結露抑制装置。
【請求項3】
前記計測部は、前記識別結果情報に基づいて前記紙幣を識別したことを検出した回数と、前記紙幣を識別不成功と検出した回数との単位期間の合計回数に対する前記単位期間における当該紙幣を識別不成功と検出した回数の割合に基づいて、前記識別センサの異常を判定する
請求項1または請求項2に記載の結露抑制装置。
【請求項4】
前記結露抑制機構は送風ファンである請求項1から請求項3の何れか一項に記載の結露抑制装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の結露抑制装置を含む監視装置。
【請求項6】
請求項1から請求項
4の何れか一項に記載
の結露抑制装置を含む料金自動収受機。
【請求項7】
結露抑制装置が、料金自動収受機が受け入れる紙幣を識別不成功と検出したことを示す識別結果情報を取得し、
前記結露抑制装置が、前記識別結果情報に基づいて、前記紙幣の識別不成功を検出した回数を計測し、
前記結露抑制装置が、前記回数に基づいて前記紙幣の識別センサの異常を判定し、
前記結露抑制装置が、前記異常を判定した場合に結露抑制機構を起動する信号を送出する
結露抑制方法。
【請求項8】
結露抑制装置のコンピュータを、
料金自動収受機が受け入れる紙幣を識別不成功と検出したことを示す識別結果情報を取得する取得手段、
前記識別結果情報に基づいて、前記紙幣の識別不成功を検出した回数を計測する計測手段、
前記回数に基づいて前記紙幣の識別センサの異常を判定する判定手段、
前記異常を判定した場合に結露抑制機構を起動する信号を送出する起動手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結露抑制装置、監視装置、料金自動収受機、結露抑制方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置される機器は、時間の経過に伴う気温の寒暖差で結露が生じることがよくある。一例として料金自動収受機などは、紙幣を読み取る光学機構を備えており、当該光学機構のレンズ等に結露が生じると紙幣を読み取ることができない。関連する技術として、車両を検出するための反射装置における結露を抑制する技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで紙幣を読み取る光学機構を備えた料金自動収受機において、当該光学機構のレンズなどに結露が生じると、料金自動収受機を用いた料金の支払いができない。読取機構が光学式以外であっても結露により正常な読み取りができない場合が発生する。料金自動収受機が有料道路の出口などに設置されているものであれば、有料道路の使用料金の支払いに手間取り交通渋滞などの発生に繋がってしまう。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる結露抑制装置、結露抑制方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、結露抑制装置は、料金自動収受機が受け入れる紙幣を識別不成功と検出したことを示す識別結果情報を取得する取得部と、前記識別結果情報に基づいて、前記紙幣の識別不成功を検出した回数を計測する計測部と、前記回数に基づいて前記紙幣の識別センサの異常を判定する判定部と、前記異常を判定した場合に結露抑制機構を起動する信号を送出する起動部と、を備える。
【0007】
本開示の一態様によれば、結露抑制方法は、料金自動収受機が受け入れる紙幣を識別不成功と検出したことを示す識別結果情報を取得し、前記識別結果情報に基づいて、前記紙幣の識別不成功を検出した回数を計測し、前記回数に基づいて前記紙幣の識別センサの異常を判定し、前記異常を判定した場合に結露抑制機構を起動する信号を送出する。
【0008】
本開示の一態様によれば、プログラムは、結露抑制装置のコンピュータを、料金自動収受機が受け入れる紙幣を識別不成功と検出したことを示す識別結果情報を取得する取得手段、前記識別結果情報に基づいて、前記紙幣の識別不成功を検出した回数を計測する計測手段、前記回数に基づいて前記紙幣の識別センサの異常を判定する判定手段、前記異常を判定した場合に結露抑制機構を起動する信号を送出する起動手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、料金自動収受機に生じた結露の可能性により紙幣が検出できないことの不具合の発生を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る料金収受システムを示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る料金自動収受機の前面パネルの拡大図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る料金自動収受機と監視装置の概略ブロック図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る監視装置の機能ブロック図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る料金自動収受機の処理フローを示す図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係る監視装置の処理フローを示す図である。
【
図7】本開示の第2実施形態に係る料金自動収受機の処理フローを示す第一の図である。
【
図8】本開示の第2実施形態に係る料金自動収受機の処理フローを示す第二の図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る料金自動収受機1、監視装置4のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態に係る料金収受システム100について、図を参照しながら説明する。
【0012】
(全体構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
本実施形態に係る料金収受システム100は、例えば、有料道路の料金所(入口料金所又は出口料金所)に設けられ、有料道路と一般道路とを接続する車線LNを走行する車両AAから通行料金を収受する。
【0013】
本実施形態では、料金収受システム100が出口料金所に設けられている例について説明する。車線LNの延びる方向(±X方向)を「車線方向」と記載する。また、車線方向の有料道路側(-X側)を「上流側」、一般道路側(+X側)を「下流側」とも記載する。更に、車線LNの幅方向(±Y方向)を「車線幅方向」と記載する。
【0014】
図1には、料金所に一つの車線LNのみが設けられている例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、料金所に複数の車線LNが設けられていてもよい。
【0015】
図1に示すように、料金収受システム100は、料金自動収受機1と、監視装置4と、を少なくとも備えている。
【0016】
(料金自動収受機の構成)
図1に示すように、料金自動収受機1は、料金所における車線LNの路側LS(例えばアイランド)に設置される。車線LNを走行する車両AAの運転者(利用者)は、料金自動収受機1との間で料金収受処理を行う。料金自動収受機1は、前面パネル1Aを備える。料金自動収受機1の前面パネル1Aは、通過する車両AAの側面を向いている。利用者は、前面パネル1Aにアクセスすることにより、料金自動収受機1との間で料金収受処理を行うことができる。
【0017】
図2は料金自動収受機1の前面パネル1Aの拡大図である。
図2に示すように、料金自動収受機1には、ディスプレイ11、スピーカ12、マイク13、紙幣ユニット14、硬貨ユニット15、カードユニット16、領収書ユニット17、おつり返却ユニット18、カメラ19などの各機能が備わる。ディスプレイ11は各種情報を表示する。スピーカ12は監視装置4を利用して監視する収受員の声を発する。マイク13は車両AAの運転者の声を収集して収受員に伝える。紙幣ユニット14は、千円札、五千円札、一万円札などの各紙幣の料金自動収受機1内部へ引き込む。硬貨ユニット15は硬貨を受け入れる。カードユニット16はクレジットカードなどを受け入れる。領収書ユニット17は領収書を排出する。おつり返却ユニット18はおつりの紙幣や硬貨を排出する。カメラ19は車両や運転者を撮影する。なお料金自動収受機1の前面パネル1Aには他のユニットが設けられてよいが、説明の便宜上省略する。
【0018】
本実施形態において紙幣ユニット14は、紙幣を検出する検出機構と、紙幣を料金自動収受機1の内部への引き込みと外部への排出とを行う収受機構とを少なくとも備える。紙幣を検出する検出機構は、一例としては光学的に紙幣の券面を読み取るものであってよい。
【0019】
図3は料金自動収受機1と監視装置4の概略ブロック図である。
本開示による料金自動収受機1は、上述したディスプレイ11、スピーカ12、マイク13、紙幣ユニット14、硬貨ユニット15、カードユニット16、領収書ユニット17、おつり返却ユニット18の他、さらに、結露抑制機構20、金庫管理部21、制御部22などの各機能を備える。結露抑制機構20は、紙幣ユニットの検出機構の結露を抑制する機構であり、一例としては送風ファンである。結露抑制機構20は紙幣ユニットの検出機構の環境を熱する電熱器であってもよい。金庫管理部21は料金自動収受機1が収受した紙幣や硬貨の金庫における格納量が上限に達したかを判定する処理部である。制御部22は、料金自動収受機内の各機構を制御する。
【0020】
(監視装置の構成)
監視装置4は、料金所事務所等の遠隔地に設置され、インターネット等の通信網を介して料金自動収受機1と接続される。監視装置4は、料金所事務所に駐在する収受員が、料金自動収受機1を遠隔から監視するために用いられる。
図1に示すように、監視装置4は、コンピュータである。
【0021】
監視装置4は、料金自動収受機1から受信した各種データを表示する。例えば、監視装置4は、料金自動収受機1から車両AAの進入を通知された場合に、料金自動収受機1のカメラ19が撮影した映像を表示する。また、監視装置4は、料金自動収受機1が取得、生成した各種情報(通行券から読み取った情報、算出された通行料金等)を表示してもよい。監視装置4は、料金所事務所に駐在する収受員による入力操作を受け付ける。監視装置4は自装置に備わるタッチパネルを入力装置として備えてよい。
【0022】
図4は監視装置の機能ブロック図である。
監視装置4が結露抑制装置の機能を有する。そして監視装置4が、取得部
41と、計測部
42と、判定部
43と、起動部
44とを少なくとも備える。
取得部
41は、料金自動収受機1が受け入れる紙幣を識別不成功と検出したことを示す識別結果情報を取得する。
計測部
42は、識別結果情報に基づいて、紙幣の識別不成功を検出した回数を計測する。
判定部
43は、紙幣の識別不成功を検出した回数に基づいて前記紙幣の識別センサの異常を判定する。
起動部
44は、異常を判定した場合に結露抑制機構を起動する信号を送出する。
【0023】
(第1実施形態の料金収受システムの処理フロー)
図5は、第1実施形態に係る料金自動収受機の処理フローを示す図である。
図6は、第1実施形態に係る監視装置の処理フローを示す図である。
以下、
図5、
図6を参照しながら、第1実施形態に係る料金自動収受機1と監視装置4の処理の流れについて説明する。
【0024】
車両AAは有料道路の料金所を通過する際に、料金自動収受機の前で停車する。カメラ19は停車した車両を撮影するとその撮影画像を制御部22へ出力する。制御部22は、撮影画像の取得に基づいて、車両AAが停車したことを検知する(ステップS101)。制御部22は、撮影画像に写る車両に対する任意の識別情報を発行する。ユーザは料金の支払いに紙幣を使う場合、紙幣ユニット14に紙幣を投入する。紙幣ユニット14は紙幣を引き込み、その後、紙幣ユニット14の検出機構は例えば光学的な公知の手法を用いて紙幣の種別を検出する(ステップS102)。紙幣の種別には、紙幣が示す金額の他、紙幣が偽紙幣である場合や、異物である場合も、それぞれ一つの種別としてよい。
【0025】
制御部22は、紙幣の種別を判定する(ステップS103)。紙幣ユニット14は紙幣の種別を検出できた場合であって、正常な紙幣と判定した場合、その紙幣を料金自動収受機1の内部の金庫方向へ引き込み、金庫へ格納する(ステップS104)。紙幣ユニット14は紙幣の種別の情報を制御部22へ出力する。制御部22は、紙幣の種別に応じた金額をディスプレイ11に表示する(ステップS105)。紙幣ユニット14は紙幣の種別が偽紙幣や異物などの正常でない紙幣であると検出した場合や、種別が検出できない場合(種別検出不成功)には、紙幣を料金自動収受機1の外部へ排出する(ステップS105)。
【0026】
紙幣ユニット14は紙幣を排出した場合には、紙幣の排出理由を含む排出情報を制御部22へ出力する。紙幣ユニット14は紙幣の種別を検出できずに紙幣を排出する以外にも、他の理由で紙幣を排出する場合もある。例えば、金庫に格納できる紙幣の量が所定量に達している場合には、紙幣の種別を検出できて正常な紙幣である場合にもその紙幣を排出する。紙幣の排出理由には、正常、異常(偽紙幣、異物)、金庫格納不可、種別検出不成功、などが含まれてよい。
【0027】
制御部22は、紙幣の種別が正常を示す場合、紙幣引き込み成功と判定する(ステップS107)。紙幣引き込み成功の判定は、識別成功の判定の一態様である。制御部22は、紙幣の排出情報を取得した場合、紙幣引き込み不成功と判定する(ステップS108)。紙幣引き込み不成功の判定は、識別不成功の判定の一態様である。制御部22は、紙幣引き込み不成功と判定すると、紙幣の排出情報が示す排出理由を取得する。そして制御部22は、紙幣引き込み成功または不成功を示す情報と、検出時刻と、引き込み不成功である場合にはその紙幣の排出理由と、カメラ19で検知した車両に対して発行した識別情報とを含む、紙幣ユニット状態情報を、監視装置4へ送信する(ステップS109)。なお、引き込み不成功の情報を示す紙幣ユニット状態情報は、料金自動収受機が受け入れる紙幣を識別不成功と検出したことを示す識別結果情報の一態様である。カメラ19で検知した車両に対して発行した識別情報は、車両AAが停車する度に、1ずつ加算された通過の順番などを示す番号などであってよい。
【0028】
車両AAの運転者は料金の支払いが終了すると、車両AAを発進させる。これによりカメラ19は、車両が画角内に存在しなしことを判定して撮影画像の監視装置4への送信を停止する。そして車両AAが停止して、料金自動収受機1への紙幣の投入が行われるたびに、制御部22は、処理を終了するかを判定し(ステップS110)、終了しない場合には、ステップS101からの処理を繰り返し、紙幣ユニット状態情報を監視装置4へ送信する。
【0029】
監視装置4の取得部41は、受信した紙幣ユニット状態情報を取得する(ステップS201)。監視装置4の取得部41は、紙幣ユニット状態情報に含まれる、紙幣引き込み成功または不成功を示す情報と、時刻と、引き込み不成功である場合にはその紙幣の排出理由と、カメラ19で検知した車両に対して発行された識別情報とを紐づけて、記憶部内の紙幣引き込み状態テーブルに記録する。監視装置4の計測部42は、紙幣ユニット状態が紙幣引き込み成功かを示すか、引き込み不成功を示すかを判定する(ステップS202)。
【0030】
監視装置4の計測部42は、紙幣ユニット状態が紙幣引き込み成功を示す場合には、引き込み成功数に1を加算して記憶する(ステップS203)。監視装置4の計測部42は、紙幣ユニット状態が紙幣引き込み不成功を示す場合には、排出理由が種別検出不成功を示すか、金庫格納不可を示すかを判定する。監視装置4の計測部42は、紙幣ユニット状態が紙幣引き込み不成功を示し、排出理由が種別検出不成功を示す場合には、種別検出不成功数に1を加算して記憶する(ステップS204)。
【0031】
監視装置4の判定部43は、排出理由が金庫格納不可を示すかを判定する(ステップS205)。判定部43は、紙幣ユニット状態が紙幣引き込み不成功を示し、排出理由が金庫格納不可を示す場合には、監視装置4のディスプレイに金庫格納不可の情報を表示する(ステップS206)。収受員はこの場合、監視装置4のディスプレイに表示された金庫格納不可を認識して、料金自動収受機1の金庫から紙幣を取り出す作業を行う。
【0032】
監視装置4の判定部43は、連続して受信した紙幣ユニット状態情報にそれぞれ同じ車両AAの識別情報が、所定回数以上続いて含まれるかを判定する(ステップS207)。監視装置4の判定部43は、連続して受信した紙幣ユニット状態情報にそれぞれ含まれる車両AAの識別情報が一致する数が、所定回数以上続いた場合には、停車している車両AAにおいて、紙幣投入のトラブルが発生していると判定する。監視装置4の判定部43は、紙幣投入のトラブルが発生していると判定すると、ディスプレイに、収受員によるトラブル対応を促す情報を表示する(ステップS208)。収受員は、トラブル対応を促す情報を確認すると、料金自動収受機1へ向かってトラブル対応を行う。
【0033】
監視装置4は、予め料金自動収受機1の紙幣の受入率を記憶している。この受入率は紙幣ユニット14が紙幣を受け入れる割合であり紙幣ユニット14の製品情報として紙幣ユニット14の製造元から得られた予め定まった情報である。監視装置4の判定部43は、紙幣ユニット状態情報を受信する度に、または所定の間隔で、紙幣の識別率を算出する(ステップS209)。紙幣の識別率は、受入率とは異なり、現在の料金自動収受機1において紙幣を受け入れることができている割合である。一例として監視装置4の判定部43は、識別率を以下の式(1)により算出する。引き込み成功数n1と種別検出不成功数n2との合計数に対する、種別検出不成功数n2の割合である。
【0034】
識別率={1-n2÷(n1+n2)}×100(%) ・・・(1)
【0035】
監視装置4の判定部43は、紙幣の受入率よりも紙幣の識別率が低いかの異常判定を行う(ステップS210)。監視装置4の判定部43はこの異常判定を単位期間ごとに行う。単位期間は、監視装置4が紙幣ユニット状態情報を所定回数(100回、500回など)受信した期間であってもよいし、所定の時間(12時間や1時間など)であってもよい。監視装置4の判定部43は、異常判定において、紙幣の受入率よりも紙幣の識別率が低い場合、異常である結露の発生の可能性があると判定し、結露抑制機構を起動するための起動指示情報を生成する。監視装置4の起動部44は、起動指示情報を料金自動収受機1へ送信する(ステップS211)。監視装置4の判定部43は、異常判定において、紙幣の識別率が紙幣の受入率以上である場合、結露の発生の可能性は低い、または結露が解消した可能性が高いと判定して、結露抑制機構の起動を停止するための停止指示情報を生成する。監視装置4の起動部44は、停止指示情報を料金自動収受機1へ送信する(ステップS212)。
【0036】
料金自動収受機1は起動指示情報または停止指示情報を受信する(ステップS111)。制御部22は起動指示情報の受信に基づいて、結露抑制機構20を駆動制御する(ステップS112)。結露抑制機構20は、例えば、送風ファンである。結露抑制機構20である送風ファンは、制御部22の駆動制御に基づいてファンを回転させて、紙幣ユニット14に風を送る。紙幣ユニット14が紙幣を読み取る光学機構を備えている場合、当該光学機構のレンズ等に結露が生じると紙幣が読み取れない。しかしながら、結露抑制機構20の駆動により紙幣ユニット14の光学機構の周辺の湿度が低下して結露の発生が解消する。制御部22は停止指示情報の受信に基づいて、結露抑制機構20の駆動制御を停止するか、または既に停止している場合にはその指示を破棄する(ステップS113)。
【0037】
以上の処理により、料金自動収受機1と監視装置4の処理により、紙幣ユニット14を構成する光学機構の結露の解消を促して、紙幣の受入率を高めることができる。なお紙幣ユニット14は、紙幣を識別する識別センサを紙幣ユニット14の内部に備えている。紙幣ユニット14のこのような構成により、道路の利用者や車線の係員に対する紙幣識別のプロセスへの容易なアクセスを回避し、センサ識別のノウハウ管理や精度を担保しつつ、結露抑制により料金収受を正確に行うことができる。
【0038】
<第2実施形態>
第2実施形態の処理によれば、料金自動収受機1と監視装置4のそれぞれの処理により、紙幣ユニット14の異常を判定して、結露抑制機構20を駆動している。しかしながら、第2実施形態では、料金自動収受機1のみで紙幣ユニットの異常と、結露抑制機構20の駆動を行う。第2実施形態では、料金自動収受機1の制御部22が、第1実施形態の監視装置4の取得部41、計測部42、判定部43、起動部44の各機能を発揮する。
【0039】
図7は、第2実施形態に係る料金自動収受機の処理フローを示す第一の図である。
図8は、第2実施形態に係る料金自動収受機の処理フローを示す第二の図である。
以下、
図7を参照しながら、第2実施形態に係る料金自動収受機1の処理の流れについて説明する。
【0040】
車両AAは有料道路の料金所を通過する際に、料金自動収受機の前で停車する。カメラ19は停車した車両を撮影するとその撮影画像を制御部22へ出力する。制御部22は、撮影画像の取得に基づいて、車両AAが停車したことを検知する(ステップS301)。制御部22は、撮影画像に写る車両に対する任意の識別情報を発行する。ユーザは料金の支払いに紙幣を使う場合、紙幣ユニット14に紙幣を投入する。紙幣ユニット14は紙幣を引き込み、その後、紙幣ユニット14の検出機構は例えば光学的な公知の手法を用いて紙幣の種別を検出する(ステップS302)。紙幣の種別には、紙幣が示す金額の他、紙幣が偽紙幣である場合や、異物である場合も、それぞれ一つの種別としてよい。
【0041】
制御部22は、紙幣の種別を判定する(ステップS303)。紙幣ユニット14は紙幣の種別を検出できた場合であって、正常な紙幣と判定した場合、その紙幣を料金自動収受機1の内部の金庫方向へ引き込み、金庫へ格納する(ステップS304)。紙幣ユニット14は紙幣の種別の情報を制御部22へ出力する。制御部22は、紙幣の種別に応じた金額をディスプレイ11に表示する(ステップS305)。紙幣ユニット14は紙幣の種別が偽紙幣や異物などの正常でない紙幣であると検出した場合や、種別が検出できない場合(種別検出不成功)には、紙幣を料金自動収受機1の外部へ排出する(ステップS306)。
【0042】
紙幣ユニット14は紙幣を排出した場合には、紙幣の排出理由を含む排出情報を制御部22へ出力する。紙幣ユニット14は紙幣の種別を検出できずに紙幣を排出する以外にも、他の理由で紙幣を排出する場合もある。例えば、金庫に格納できる紙幣の量が所定量に達している場合には、紙幣の種別を検出できて正常な紙幣である場合にもその紙幣を排出する。紙幣の排出理由には、正常、異常(偽紙幣、異物)、金庫格納不可、種別検出不成功、などが含まれてよい。
【0043】
制御部22は、紙幣の種別が正常を示す場合、紙幣引き込み成功と判定する(ステップS307)。制御部22は、紙幣の排出情報を取得した場合、紙幣引き込み不成功と判定する(ステップS308)。制御部22は、紙幣引き込み不成功と判定すると、紙幣の排出情報が示す排出理由を取得する。そして制御部22は、紙幣引き込み成功または不成功を示す情報と、検出時刻と、引き込み不成功である場合にはその紙幣の排出理由と、カメラ19で検知した車両に対して発行した識別情報とを含む、紙幣ユニット状態情報を一時的に記憶する(ステップS309)。カメラ19で検知した車両に対して発行した識別情報は、車両AAが停車する度に、1ずつ加算された通過の順番などを示す番号などであってよい。
【0044】
車両AAの運転者は料金の支払いが終了すると、車両AAを発進させる。これによりカメラ19は、車両が画角内に存在しなしことを判定して撮影画像の監視装置4への送信を停止する。そして車両AAが停止して、料金自動収受機1への紙幣の投入が行われるたびに、制御部22は、処理を終了するかを判定し(ステップS310)、終了しない場合には、ステップS301からの処理を繰り返し、紙幣ユニット状態情報を順次記憶する。
【0045】
制御部22は、紙幣引き込み成功または不成功を示す情報と、時刻と、引き込み不成功である場合にはその紙幣の排出理由と、カメラ19で検知した車両に対して発行された識別情報とを紐づけた紙幣ユニット状態情報を、記憶部内の紙幣引き込み状態テーブルに記録する。
【0046】
制御部22は記憶した紙幣ユニット状態情報を順次取得する(ステップS401)。制御部22は、紙幣ユニット状態が紙幣引き込み成功かを示すか、引き込み不成功を示すかを判定する(ステップS402)。
【0047】
制御部22は、紙幣ユニット状態が紙幣引き込み成功を示す場合には、引き込み成功数に1を加算して記憶する(ステップS403)。制御部22は、紙幣ユニット状態が紙幣引き込み不成功を示す場合には、排出理由が種別検出不成功を示すか、金庫格納不可を示すかを判定する。制御部22は、紙幣ユニット状態が紙幣引き込み不成功を示し、排出理由が種別検出不成功を示す場合には、種別検出不成功数に1を加算して記憶する(ステップS404)。
【0048】
制御部22は、排出理由が金庫格納不可を示すかを判定する(ステップS405)。紙幣ユニット状態が紙幣引き込み不成功を示し、排出理由が金庫格納不可を示す場合には、制御部22は、監視装置4に、ディスプレイに金庫格納不可の情報を表示するよう指示する情報を送信する(ステップS406)。監視装置4は、ディスプレイに金庫格納不可の情報を表示する。収受員はこの場合、監視装置4のディスプレイに表示された金庫格納不可を認識して、料金自動収受機1の金庫から紙幣を取り出す作業を行う。
【0049】
制御部22は、記憶部は連続して取得した紙幣ユニット状態情報にそれぞれ同じ車両AAの識別情報が、所定回数以上続いて含まれるかを判定する(ステップS407)。制御部22は、連続して取得した紙幣ユニット状態情報にそれぞれ含まれる車両AAの識別情報が一致する数が、所定回数以上続いた場合には、停車している車両AAにおいて、紙幣投入のトラブルが発生していると判定する。制御部22は、紙幣投入のトラブルが発生していると判定すると、ディスプレイに、収受員によるトラブル対応を促す情報を表示するよう指示する情報を監視装置3へ送信する(ステップS408)。監視装置4は、ディスプレイに、収受員によるトラブル対応を促す情報を表示する。収受員は、トラブル対応を促す情報を確認すると、料金自動収受機1へ向かってトラブル対応を行う。
【0050】
制御部22は、予め料金自動収受機1の紙幣の受入率を記憶している。この受入率は紙幣ユニット14が紙幣を受け入れる割合であり紙幣ユニット14の製品情報として紙幣ユニット14の製造元から得られた予め定まった情報である。制御部22は、紙幣ユニット状態情報を受信する度に、または所定の間隔で、紙幣の識別率を算出する(ステップS409)。紙幣の識別率は、受入率とは異なり、現在の料金自動収受機1において紙幣を受け入れることができている割合である。一例として監視装置4は、識別率を以下の式(2)により算出する。引き込み成功数n1と種別検出不成功数n2との合計数に対する、種別検出不成功数n2の割合である。
【0051】
識別率={1-n2÷(n1+n2)}×100(%) ・・・(2)
【0052】
制御部22は、紙幣の受入率よりも紙幣の識別率が低いかの異常判定を行う(ステップS410)。制御部22は、この異常判定を単位期間ごとに行う。単位期間は、監視装置4が紙幣ユニット状態情報を所定回数(100回、500回など)受信した期間であってもよいし、所定の時間(12時間や1時間など)であってもよい。制御部22は、異常判定において、紙幣の受入率よりも紙幣の識別率が低い場合、異常である結露の発生の可能性があると判定し、結露抑制機構を起動するための起動指示情報を生成する。制御部22は、異常判定において、紙幣の識別率が、予め紙幣ユニット14の最低限の精度として定まっている紙幣の受入率以上である場合、結露の発生の可能性は低い、または結露が解消した可能性が高いと判定して、結露抑制機構の起動を停止するための停止指示情報を生成する。
【0053】
制御部22は起動指示情報を生成した場合、結露抑制機構20を駆動制御する(ステップS411)。結露抑制機構20は、例えば、送風ファンである。結露抑制機構20である送風ファンは、制御部22の駆動制御に基づいてファンを回転させて、紙幣ユニット14に風を送る。紙幣ユニット14が紙幣を読み取る光学機構を備えている場合、当該光学機構のレンズ等に結露が生じると紙幣が読み取れない。しかしながら、結露抑制機構20の駆動により紙幣ユニット14の光学機構の周辺の湿度が低下して結露の発生が解消する。制御部22は停止指示情報を生成した場合、結露抑制機構20の駆動制御を停止するか、または既に停止している場合にはその指示を破棄する(ステップS412)。
【0054】
以上の料金自動収受機1の処理により、紙幣ユニット14を構成する光学機構の結露の解消を促して、紙幣の受入率を高めることができる。
【0055】
なお、上述の第1実施形態と第2実施形態においては、紙幣を識別したことを検出した回数と、紙幣を識別不成功と検出した回数との単位期間の合計回数に対する単位期間における当該紙幣を識別不成功と検出した回数の割合に基づいて、識別センサとなる紙幣ユニット14の異常を判定している態様の一例である。
【0056】
<ハードウェア構成>
図9は、本開示の一実施形態に係る料金自動収受機1、監視装置4のハードウェア構成の一例を示す図である。
料金自動収受機1や、監視装置4は、
図9に示すように、コンピュータ900は、プロセッサ901、メインメモリ902、ストレージ903、インタフェース904を備える。
【0057】
上述の各実施形態に係る料金収受システム100を構成する機器(料金自動収受機1、監視装置4)は、それぞれコンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ903に記憶されている。プロセッサ901は、プログラムをストレージ903から読み出してメインメモリ902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ901は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ902に確保する。
【0058】
プログラムは、コンピュータ900に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。たとえば、プログラムは、ストレージ903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ900は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ901によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0059】
ストレージ903の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904または通信回線を介してコンピュータ900に接続される外部メディア910であってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムをメインメモリ902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0060】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0061】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
【符号の説明】
【0062】
100・・・料金収受システム
1・・・料金自動収受機
11・・・ディスプレイ
12・・・スピーカ
13・・・マイク
14・・・紙幣ユニット
15・・・硬貨ユニット
16・・・カードユニット
17・・・領収書ユニット
18・・・おつり返却ユニット
19・・・カメラ
20・・・結露抑制機構
21・・・金庫管理部
22・・・制御部
4・・・監視装置
41・・・取得部
42・・・計測部
43・・・判定部
44・・・起動部