(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】コーミングを改善するために毛髪を処理するための油中水エマルジョンの形態での化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20240425BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240425BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240425BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240425BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240425BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240425BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/39
A61K8/73
A61Q5/12
(21)【出願番号】P 2021515572
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(86)【国際出願番号】 FR2019052255
(87)【国際公開番号】W WO2020070410
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-07-25
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】カヴェイルス、マイテ
(72)【発明者】
【氏名】ブレトン、マリーロール
(72)【発明者】
【氏名】メラット、エマニュエル
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-063959(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0162405(US,A1)
【文献】特開2012-052119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水型のエマルジョンの形態での化粧品組成物(C1)であって、その質量の100%当たり、
- 60質量%~95質量%の、2,N,N,N-テトラメチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(AMPTAC)、2,N,N-トリメチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド及びN,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)からなる群からの要素に由来する5モル%以上の割合のモノマー単位を含む少なくとも1つの架橋カチオン性高分子電解質
(CP)を含むゲル化水相(A1)、
- 5質量%~40質量%の、
少なくとも1つの油と、
i)アルキルポリグリコシ
ド組成物、
ii)アルキルポリグリコシ
ド及び脂肪アルコール
組成物、
並びにiii)アルキルポリグリコシド組成物、少なくとも1つの脂肪アルコール、
及び少なくとも1つのポリグリコールポリヒドロキシステアレー
トの組成物か
ら選択される少なくとも1つの乳化界面活性
剤の組み合わせを含む乳化システム
(S)と
、を含む脂肪相(A2)
を含む組成物(C1)。
【請求項2】
前記ゲル化水層(A1)が、その質量の100%当たり、0.1質量%~7質量%の架橋カチオン性高分子電解質(CP)と93質量%~99.9質量%の水とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物(C1)。
【請求項3】
前記架橋カチオン性高分子電解質(CP)が、100モル%当たり:
a1)5モル%~60モル%の、2,N,N,N-テトラメチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(AMPTAC)、2,N,N-トリメチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド及びN,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]
プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)からなる群からの要素に由来するモノマー単位、
a2)0.1モル%~5モル%の、式(VI):
【化1】
(式中、Rは、8~20個の炭素原子を含む線状若しくは分岐アルキルラジカルを表し、nは、0以上及び20以下の整数を表す)
の少なくとも1つのモノマーに由来するモノマー単位;
a3)35モル%~94.9モル%の、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートからなる群の要素から選択される少なくとも1つの中性モノマーに由来するモノマー単位;
a4)0モル%超及び1モル%以下の割合の、少なくとも1つのジエチレン系又はポリエチレン系架橋用モノマー(AR)に由来するモノマー単位
を含み;
a1)、a2)、a3)及びa4)に従ったモノマー単位の前記モル割合の合計が100モル%に等しい
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物(C1)。
【請求項4】
前記中性モノマーが2-ヒドロキシエチルアクリレートであることを特徴とする、請求項3に記載の化粧品組成物(C1)。
【請求項5】
式(VI)の前記モノマーがテトラエトキシル化ラウリルメタクリレートであることを特徴とする、請求項3に記載の化粧品組成物(C1)。
【請求項6】
前記架橋カチオン性高分子電解質(CP)が、トリメチロールプロパントリアクリレートで又はエチレングリコールジメタクリレートで又はエチレングリコールジアクリレートで架橋されたN,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)の、2-ヒドロキシエチルアクリレートの及びテトラエトキシル化ラウリルメタクリレートのターポリマーであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧品組成物(C1)。
【請求項7】
前記架橋カチオン性高分子電解質(CP)が、100モル%当たり:
- 45モル%~60モル%の、N,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリドに由来するモノマー単位と、
- 0.5モル%~3モル%の、テトラエトキシル化ラウリルメタクリレートに由来するモノマー単位と、
- 37モル%~54.5モル%の、2-ヒドロキシエチルアクリレートに由来するモノマー単位と
を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物(C
1)。
【請求項8】
前記乳化システム(S)が、式(VII):
R
1-O-(G)
x-H (VII)
(式中、xは、1.05~2.5の小数を表し、Gはキシロース残基を表し、R
1は2-オクチルドデシルラジカルを表す)
で表されるアルキルポリグリコシド組成物(C2)からなり、前記組成物(C
2)が、
- 合計a
1+a
2+a
3+a
4+a
5が1に等し
く、且つ、
- 合計a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5がxに等し
い、
それぞれのモル割合a
1、a
2、a
3、a
4及びa
5で式(VII
1)、(VII
2)、(VII
3)、(VII
4)及び(VII
5):
R
1-O-(G)
1-H (VII
1)
R
1-O-(G)
2-H (VII
2)
R
1-O-(G)
3-H (VII
3)
R
1-O-(G)
4-H (VII
4)
R
1-O-(G)
5-H (VII
5)
で表される化合物の混合物からなることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧品組成物(C1)。
【請求項9】
前記乳化システム(S)が、その質量の100%当たり:
- 10質量%~50質量%の、式(VII):
R
1-O-(G)
x-H (VII)
(式中、xは、1.05~2.5の小数を表し、Gはキシロース残基を表し、R
1は2-オクチルドデシルラジカルを表す)
で表される少なくとも1つのアルキルポリグリコシド組成物(C2)であって、前記組成物
(C2)が、
- 合計a
1+a
2+a
3+a
4+a
5が1に等し
く、且つ、
- 合計a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5がxに等し
い、
それぞれのモル割合a
1、a
2、a
3、a
4及びa
5で式(VII
1)、(VII
2)、(VII
3)、(VII
4)及び(VII
5):
R
1-O-(G)
1-H (VII
1)
R
1-O-(G)
2-H (VII
2)
R
1-O-(G)
3-H (VII
3)
R
1-O-(G)
4-H (VII
4)
R
1-O-(G)
5-H (VII
5)
で表される化合物の混合物からなる組成物(C2)と;
- 90質量%~50質量%の、式(VIII):
R’
1-OH (VIII)
(式中、R’
1は、2-オクチルデシルラジカルを表す)
の少なくとも1つの脂肪アルコールと
を含む組成物(C3)からなることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧品組成物(C1)。
【請求項10】
前記乳化システム(S)が、その質量の100%当たり:
15質量%~25質量%の、式(VII):
R
1
-O-(G)
x-H (VII)
(式中、xは、1.05~2.5の小数を表し、Gはキシロース残基を表し、R
1
は2-オクチルドデシルラジカルを表す)
で表される少なくとも1つの組成物(C2)であって、前記組成物(C
2)が、
- 合計a
1+a
2+a
3+a
4+a
5が1に等し
く、且つ、
- 合計a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5がxに等し
い、
それぞれのモル割合a
1、a
2、a
3、a
4及びa
5で式(VII
1)、(VII
2)、(VII
3)、(VII
4)及び(VII
5):
R
1-O-(G)
1-H (VII
1)
R
1-O-(G)
2-H (VII
2)
R
1-O-(G)
3-H (VII
3)
R
1-O-(G)
4-H (VII
4)
R
1-O-(G)
5-H (VII
5)
で表される化合物の混合物からなる組成物(C2);
55質量%~65質量%の、式(VIII):
R’
1-OH (VIII)
(式中、R’
1は2-オクチルデシルラジカルを表す)
の少なくとも1つの脂肪アルコール;
10質量%~30質量%の、式(IX):
【化2】
[式中、y
2は、2以上及び50以下の整数を表し、R
4は、水素原子、メチルラジカル又はエチルラジカルを表し、Z
2は、式(XII):
【化3】
(式中、y’
2は、0以上及び10以
下の整数を表す)
のラジカルを表し、Z’
2は、上に定義され
る式(XII)のラジカル(ここで、Z
2’は、Z
2と同一であっても異なってもよい)、又は水素原子を表す]
で表される少なくとも1つのポリグリコールポリヒドロキシステアレート
を含む組成物(C4)からなることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧品組成物(C1)。
【請求項11】
前記ポリグリコールポリヒドロキシステアレートにおける前記式(XII)中の前記y’
2
が、1以上及び10以下の整数を表す、請求項10に記載の化粧品組成物(C1)。
【請求項12】
髪の房のコーミングを改善するための、請求項1~1
1のいずれか一項に記載の化粧品組成物(C1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋カチオン性高分子電解質型の少なくとも1つの増粘剤を含む油中水型のエマルジョンの形態にあり、髪の房のコーミングを容易にするために使用されることを意図される化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
頭皮は、表皮の表面に位置した、及び皮脂及び汗からなる、ハイドロリピッドフィルムによって保護されている。このハイドロリピッドフィルムは、外部攻撃因子及び脱水から頭皮を保護する。潤滑剤として働く、このハイドロリピッドフィルムは、毛柄に沿って広がり、及びまた、毛髪繊維スケールを滑らかにし、こうして毛髪を艶のある、しなやかなものにすることによって、毛髪を保護する。
【0003】
皮脂の分泌が不十分である場合、ハイドロリピッドフィルムは変化し、それは、それらの水を失う上皮及び角化細胞を徐々に損なうという結果をもたらす。ケラチンの弾性の強い低下及び毛髪スケールの高まりがそのとき観察される。毛柄は、繊維のまさに内部まで劣化し、毛髪は乾燥し、脆くなる。
【0004】
頭皮上で、皮脂の不十分な分泌の後に、角質層は、完全に乾き、その柔軟性を失い、それは、過敏性、赤み及び緊張状態の出現によって明らかにされる皮膚不快感を引き起こす。
【0005】
皮質のこれらの分泌なしで、頭皮は滑らかになり、鱗片(乾燥薄片)の存在がたまに観察される。
【0006】
縮れた髪質の毛髪小胞は、皮脂をほんの少ししか生成しない。これが、この縮れた髪質が多くの場合乾燥している及び脱水している理由である。したがって、クリーム又はオイルで、1週間に数回それに「栄養分を与え」、こうして脂肪相を頭皮の乾燥エリアに供給することが必要である。
【0007】
白人毛髪と比較される場合、縮れた毛髪は、増加した水不足で特徴付けられ、遺伝学的に超乾燥している、頭皮は、より脆弱であり、且つ、非常に傷つきやすい。皮脂の分泌は、思春期の年齢までの全ての子供達にとって、並びに縮れた及び巻き毛の髪質にとって生理学的に低く、皮質生成のこの不足は、頭皮の不十分な潤滑並びにハイドロリピッドフィルムの及びしたがって毛髪繊維の保護の実質的な不在に反映される。スケールのように多層である扁平細胞からなる、上皮は、損なわれた状態になり、細胞間の凝集が壊され;アミノ酸の損失が、硫黄を含めて起こる。整髪時に及び解きほぐし時に、頭皮は痛むようになり、髪の毛は、固いもつれを容易に形成し、櫛に付着する。この毛髪をコントロールするために充てられる時間は、より長く、整髪にとって、とりわけ子供達にとって不都合の毎日の源である。
【0008】
シャンプーで洗浄した後で毛髪を処理する目的は、毛髪を扱いやすくすること、頭皮の乾燥を減らすこと、毛髪の脆さを減らすこと、毛髪の光沢を改善すること、並びに毛髪のコーミング及び/又は解きほぐしを容易にすることである。
【0009】
あるアフリカの民族によって多くの場合用いられている、1つの解決策は、油を単独で使用することにある。この処理方法は、指、衣服及び枕への製品の移行に関連した主な欠点を有し;さらに、油を塗った毛髪は、より多くのダストを拾い上げ、明らかな非美的外観を生み出す。
【0010】
とりわけブラジルで用いられている、別の解決策は、エマルジョン;とりわけカチオン性化合物を含有する水中油型又はシリコーン中水型のエマルジョンのようなコンディショナーを使用することである。
【0011】
これらのコンディショナーは、適用する及び使用するのが容易であるが、それらは、十分に効率的ではないという欠点を有する。
【0012】
したがって、乾燥毛髪及び頭皮を処理するための、より特に縮れた毛髪用の組成物を開発する、毛髪の整髪の容易さを改善する、頭皮の乾燥を減らす、毛髪の脆さを減らす、毛髪の光沢を改善する、並びにより特に毛髪のコーミング及び/又は解きほぐしを容易にすることが必要とされている。
【0013】
乾燥毛髪及び頭皮を処理するための化粧品組成物であって、そのような毛髪のコーミング及び/又は解きほぐしを改善することを意図される、組成物の調製について先行技術において提案された解決策は、特有の脂肪相の包含を必要とする。これらの脂肪相の中に、シリコーン誘導体であり、且つ、毛髪上に直接に、又はそれを含有する油状混合物の形態で、又はそれを含有するエマルジョンの形態でのいずれかで使用され得る脂肪相が言及され得る。
【0014】
エマルジョンは、それらがまた、これらの用途において一般に使用される水溶性物質及び油溶性物質の両方を搬送することを可能にするので、好ましい形態である。連続相が親水性相、一般に水相からなり、分散相が親油性脂肪相からなる水中油(O/W)エマルジョンと、連続相が親油性脂肪相からなり、分散相が親水性相、一般に水相からなる油中水(W/O)エマルジョンとの区別が行われる。
【0015】
水中油エマルジョンは、油中水エマルジョンよりも本来安定であり;それにもかかわらず、油中水エマルジョンは、多数の利点を有する。具体的には、水小滴間の分離は、微生物の増殖の可能性を低下させる。さらに、連続相が水性である場合には絶対に必要である、保存剤の使用は、連続相が脂肪状である場合には回避するか又は減らすことができる。油中水エマルジョンは、水中油エマルジョンよりも低温に対してはるかに感受性が低い。最後に、化粧用途向けの局所適用について、番号欧州特許出願公開第1961455 A1号明細書の下で公開された欧州特許出願は、油状連続相が、油中水エマルジョンの適用後に皮膚を覆うことを可能にし、それが、皮膚を、脱水から、及び持続する油状フィルムを形成し、こうして乾燥皮膚の処理を可能にすることによって外部物質から保護することを開示している。
【0016】
油中水形態にある、毛髪及び/又は頭皮を処理することを意図される化粧品エマルジョンを調製するために先行技術において提案された解決策は、用いられるシリコーン誘導体が揮発性であり、且つ、環境及びユーザーに関して有害な影響を及ぼし得るか、又は用いられるシリコーン誘導体が非常に揮発性であるわけではなく、その結果それらが局所適用後に不快な知覚特性、例えば皮膚上でのべとべとする知覚を付与するので、満足できるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
技術的課題は、したがって、油中水型のエマルジョンの形態での新規組成物であって、上で提示された欠点で特徴付けられない、最短3ヶ月間の貯蔵後に室温(25℃)で及び45℃で均一のままであり、且つ、毛髪のコーミング及び/又は解きほぐしを容易にすることができる組成物を開発するというものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一解決策は、油中水型のエマルジョンの形態での化粧品組成物(C1)であって、その質量の100%当たり:
- 60質量%~95質量%の、2,N,N,N-テトラメチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(AMPTAC)、2,N,N-トリメチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド及びN,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)からなる群からの要素に由来する5モル%以上の割合のモノマー単位を含む少なくとも1つの架橋カチオン性高分子電解質を含むゲル化水相(A1)、
- 5質量%~40質量%の、少なくとも1つの油と、アルキルポリグリコシドの組成物、アルキルポリグリコシドの及び脂肪アルコール、ポリグリセロールエステル、アルコキシル化ポリグリセロールエステル、ポリグリコールポリヒドロキシステアレート、ポリグリセロールポリヒドロキシステアレート、及びアルコキシル化ポリグリセロールポリヒドロキシステアレートの組成物からなる群の要素から選択される少なくとも1つの乳化界面活性剤(S)の組み合わせを含む乳化システムとを含む脂肪相(A2)
を含む組成物(C1)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の主題である組成物(C1)の定義において、用語「架橋カチオン性高分子電解質(CP)」は、水に不溶性であるが水中で膨潤性である、及び化学ゲルの生成をもたらす3次元網状構造の形態にある、非線状の架橋カチオン性高分子電解質を意味する。
【0020】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)の定義において、用語「油」は、水に不溶性である、及び25℃で液体である化合物及び/又は化合物の混合物、より具体的には:
- 11~19個の炭素原子を含む線状アルカン;
- 7~40個の炭素原子を含む分岐アルカン、例えば、イソドデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、イソヘプタデカン、イソオクタデカン、イソノナデカン若しくはイソエイコサン、又は以下に述べられる及びそれらのINCI名:C7~8イソパラフィン、C8~9イソパラフィン、C9~11イソパラフィン、C9~12イソパラフィン、C9~13イソパラフィン、C9~14イソパラフィン、C9~16イソパラフィン、C10~11イソパラフィン、C10~12イソパラフィン、C10~13イソパラフィン、C11~12イソパラフィン、C11~13イソパラフィン、C11~14イソパラフィン、C12~14イソパラフィン、C12~20イソパラフィン、C13~14イソパラフィン、C13~16イソパラフィンによって特定されるものなどのそれらのいくつかの混合物など;
- 1つ以上の線状若しくは分岐アルキルラジカルで任意選択的に置換されたシクロアルカン;
- 白色鉱油、例えば以下の名称:MarcolTM 52、MarcolTM 82、DrakeolTM 6VR、EolaneTM 130、EolaneTM 150で販売されるものなど;
- ヘミスクワラン(つまり2,6,10-トリメチルドデカン;CAS番号:3891-98-3)、スクワラン(つまり2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサン)、水素化ポリイソブテン又は水素化ポリデセン;
- 15~19個の炭素原子を含むアルカンの混合物であって、前記アルカンが、線状アルカン、分岐アルカン及びシクロアルカンであり、より具体的には、その質量の100%当たり、90%以上及び100%以下の質量割合の分岐アルカンと;0%以上及び9%以下の、より特に5%未満の質量割合の線状アルカンと、0%以上及び1%以下の質量割合のシクロアルカンとを含む混合物(M1)、例えば名称EmogreenTM L15又はEmogreenTM L19で販売される混合物;
- 式(I):
Z1-O-Z2 (I)
(式中、同一であっても異なってもよい、Z1及びZ2は、5~18個の炭素原子を含む線状若しくは分岐アルキルラジカルである)
の脂肪アルコールエーテル、例えばジオクチルエーテル、ジデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ドデシルオクチルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、(1,3-ジメチルブチル)テトラデシルエーテル、(1,3-ジメチルブチル)ヘキサデシルエーテル、ビス(1,3-ジメチルブチル)エーテル又はジヘキシルエーテル;
- 式(II):
R’1-(C=O)-O-R’2 (II)
(式中、R’1-(C=O)は、8~24個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐アシルラジカルを表し、R’2は、R’1から独立して、1~24個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐炭化水素ベースの鎖を表す)
の脂肪酸の及びアルコールのモノエステル、例えばメチルラウレート、エチルラウレート、プロピルラウレート、イソプロピルラウレート、ブチルラウレート、2-ブチルラウレート、ヘキシルラウレート、メチルココエート、エチルココエート、プロピルココエート、イソプロピルココエート、ブチルココエート、2-ブチルココエート、ヘキシルココエート、メチルミリステート、エチルミリステート、プロピルミリステート、イソプロピルミリステート、ブチルミリステート、2-ブチルミリステート、ヘキシルミリステート、オクチルミリステート、メチルパルミテート、エチルパルミテート、プロピルパルミテート、イソプロピルパルミテート、ブチルパルミテート、2-ブチルパルミテート、ヘキシルパルミテート、オクチルパルミテート、メチルオレエート、エチルオレエート、プロピルオレエート、イソプロピルオレエート、ブチルオレエート、2-ブチルオレエート、ヘキシルオレエート、オクチルオレエート、メチルステアレート、エチルステアレート、プロピルステアレート、イソプロピルステアレート、ブチルステアレート、2-ブチルステアレート、ヘキシルステアレート、オクチルステアレート、メチルイソステアレート、エチルイソステアレート、プロピルイソステアレート、イソプロピルイソステアレート、ブチルイソステアレート、2-ブチルイソステアレート、ヘキシルイソステアレート、イソステアリルイソステアレート;
- 式(III)の及び式(IV):
R’3-(C=O)-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-(C=O)-R’4 (III)
R’5-(C=O)-O-CH2-CH[O-(C=O)-R’6]-CH2-OH (IV)
(式(III)及び(IV)中、同一であっても異なってもよい、R’3-(C=O)、R’4-(C=O)、R’5-(C=O)及びR’6-(C=O)は、8~24個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐アシル基を表す)
の脂肪酸の及びグリセロールのジエステル;
- 式(V):
R’7-(C=O)-O-CH2-CH[O-(C=O)-R’’8]-CH2-O-(C=O)-R’’9 (V)
(式中、同一であっても異なってもよい、R’7-(C=O)、R’8-(C=O)及びR’9-(C=O)は、8~24個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐アシル基を表す)
の脂肪酸の及びグリセロールのトリエステル;
- フィトスクワラン、スイートアーモンド油、ココナッツ核油、ヒマシ油、ホホバ油、オリーブ油、菜種油、アメリカホドイモ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、トウモロコシ胚芽油、大豆油、綿実油、ムラサキウマゴヤシ油、ポピーシード油、カボチャ種油、マツヨイグサ油、キビ油、大麦油、ライ油、サフラワー油、ククイノキ油、トケイソウ油、ヘーゼルナッツ油、ヤシ油、シアバター、杏仁油、ビューティリーフ油、キバナハタザオ油、アボカド油、キンセンカ油、及び花又は植物に由来する油などの、植物油;
- エトキシル化植物油
を意味する。
【0021】
油に加えて、本発明による化粧品組成物はワックスを含み得る。
【0022】
本発明による化粧品組成物(C1)がワックスを含む場合、前記ワックスは、より具体的には、蜜ろう、カルナバワックス、カンデリラワックス、オリキュリーワックス、木ろう、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス、微結晶性ワックス、ラノリンワックス;オゾケライト;ポリエチレンワックス;シリコーンワックス;植物ワックス;室温で固体である脂肪アルコール及び脂肪酸;室温で固体であるグリセリドから選択される。
【0023】
好ましくは、本発明による組成物は、ヒマシ油、液体パラフィン、オリーブ油、カプリル酸/カプリン酸ココイル、イソプロピルミリステート及びトリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリルからなる群の要素から選択される少なくとも1つの油を含む。
【0024】
ケース次第で、本発明による組成物は、以下の特性の1つ以上を有し得る:
- ゲル化水相(A1)は、その質量の100%当たり、0.1質量%~7質量%の架橋カチオン性高分子電解質(CP)及び93質量%~99.9質量%の水、好ましくは0.5質量%~5質量%の架橋カチオン性高分子電解質(CP)及び95質量%~99.5質量%の水、さらにより優先的には0.5質量%~3質量%の架橋カチオン性高分子電解質(CP)及び97質量%~99.5質量%の水を含む、
- 架橋カチオン性高分子電解質(CP)は、100モル%当たり:
a1)5モル%~60モル%、好ましくは40モル%~60モル%、さらにより優先的には45モル%~60モル%の、2,N,N,N-テトラメチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(AMPTAC)、2,N,N-トリメチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド及びN,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)からなる群からの要素に由来するモノマー単位、
a2)0.1モル%~5モル%、好ましくは0.1モル%~3モル%、さらにより優先的には0.5モル%~3モル%の、式(VI):
【化1】
(式中、Rは、8~20個の炭素原子を含む線状若しくは分岐アルキルラジカルを表し、nは、0以上及び20以下の整数を表す)
の少なくとも1つのモノマーに由来するモノマー単位;
a3)35モル%~94.9モル%、好ましくは37モル%~59.9モル%、さらにより優先的には37モル%~54.5モル%の、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートからなる群の要素から選択される少なくとも1つの中性モノマーに由来するモノマー単位;
a4)0モル%超及び1モル%以下の割合の、少なくとも1つのジエチレン系又はポリエチレン系架橋用モノマー(AR)に由来するモノマー単位
を含み;
a1)、a2)、a3)及びa4)に従ったモノマー単位の前記モル割合の合計が100モル%に等しい;
- 架橋カチオン性高分子電解質(CP)は、100モル%当たり、5モル%~60モル%、より特に40モル%~60モル%、さらにより特に45モル%~60モル%の、N,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)に由来するモノマー単位を含む;
- 上で定義されたような組成物(C1)において、前記中性モノマーは、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートから選択され;中性モノマーは、好ましくは2-ヒドロキシエチルアクリレートであろう;
- 本発明の主題である組成物(C1)中に含まれる前記架橋カチオン性高分子電解質(CP)中に存在するモノマーの式(VI)において、用語「8~20個の炭素原子を含む線状若しくは分岐アルキルラジカル」は、より具体的には、Rについて:
- 線状の第一級アルコールに由来するラジカル、例えばオクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル又はエイコシルラジカルか;
- 又は、一般式:
CH
3-(CH
2)
p-CH[CH
3-(CH
2)
p-2]-CH
2OH
(式中、pは、2~9の整数を表す)
に対応する分岐1-アルカノールである、Guerbetアルコールに由来するラジカル、例えば2-エチルヘキシル、2-プロピルヘプチル、2-ブチルオクチル、2-ペンチルノニル、2-ヘキシルデシル若しくは2-オクチルデシルラジカルか;
- 又は、一般式:
CH
3-CH(CH
3)-(CH
2)
m-CH
2OH
(式中、mは、2~16の整数を表す)
に対応するイソアルコールに由来するラジカル、例えば4-メチルペンチル、5-メチルヘキシル、6-メチルヘプチル、15-メチルペンタデシル若しくは16-メチルヘプタデシルラジカルか、又は2-ヘキシルオクチル、2-オクチルデシル若しくは2-ヘキシルドデシルラジカルのいずれかを意味する;
- 式(VI)において、Rは、12~18個の炭素原子を含むアルキルラジカルを表す;
- 式(VI)において、Rは、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシルラジカルからなる群の要素から選択されるアルキルラジカルを表す;
- 式(VI)において、nは、3以上及び20以下の整数を表す;
- 式(VI)の前記モノマーは、テトラエトキシル化ラウリルメタクリレートである;
- 式(VI)の前記モノマーは、エイコサエトキシル化ステアリルメタクリレートである;
- 前記架橋用モノマー(AR)は、0.5%以下、より特に0.25%以下、最も特に0.1%以下のモル割合で使用され;それは、より特に0.005モル%以上である;
- 前記架橋カチオン性高分子電解質(CP)は、トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋されたN,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)の、2-ヒドロキシエチルアクリレートの及びテトラエトキシル化ラウリルメタクリレートのターポリマー、又はトリメチロールプロパントリアクリレートで架橋されたN,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)の、2-ヒドロキシエチルアクリレートの及びエイコサエトキシル化ステアリルメタクリレートのターポリマーから選択される;
- 架橋カチオン性高分子電解質(CP)は、トリメチロールプロパントリアクリレートで又はエチレングリコールジメタクリレートで又はエチレングリコールジアクリレートで架橋されたN,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)の、2-ヒドロキシエチルアクリレートの及びテトラエトキシル化ラウリルメタクリレートのターポリマーである;
- 前記架橋カチオン性高分子電解質(CP)は、100モル%当たり:
・ 45モル%~60モル%の、N,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリドに由来するモノマー単位と
・ 0.5モル%~3モル%の、テトラエトキシル化ラウリルメタクリレーに由来するモノマー単位と、
・ 37モル%~54.5モル%の、2-ヒドロキシエチルアクリレートに由来するモノマー単位と
を含む;
- 前記乳化システム(S)は、式(VII):
R
1-O-(G)
x-H (VII)
(式中、xは、1.05~2.5の小数を表し、Gはキシロース残基を表し、R
1は2-オクチルドデシルラジカルを表す)
で表されるアルキルポリグリコシド組成物(C2)からなり、前記組成物(C
1)が:
- 合計a
1+a
2+a
3+a
4+a
5が1に等しいような、且つ、
- 合計a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5がxに等しいような、
それぞれのモル割合a
1、a
2、a
3、a
4及びa
5で式(VII
1)、(VII
2)、(VII
3)、(VII
4)及び(VII
5):
R
1-O-(G)
1-H (VII
1)
R
1-O-(G)
2-H (VII
2)
R
1-O-(G)
3-H (VII
3)
R
1-O-(G)
4-H (VII
4)
R
1-O-(G)
5-H (VII
5)
で表される化合物の混合物からなる;
- 前記乳化システム(S)は、その質量の100%当たり:
・ 10質量%~50質量%の、式(VII):
R
1-O-(G)
x-H (VII)
(式中、xは、1.05~2.5の小数を表し、Gはキシロース残基を表し、R
1は2-オクチルドデシルラジカルを表す)
で表される少なくとも1つのアルキルポリグリコシド組成物(C2)であって、前記組成物が、
- 合計a
1+a
2+a
3+a
4+a
5が1に等しいような、且つ、
- 合計a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5がxに等しいような、
それぞれのモル割合a
1、a
2、a
3、a
4及びa
5で式(VII
1)、(VII
2)、(VII
3)、(VII
4)及び(VII
5):
R
1-O-(G)
1-H (VII
1)
R
1-O-(G)
2-H (VII
2)
R
1-O-(G)
3-H (VII
3)
R
1-O-(G)
4-H (VII
4)
R
1-O-(G)
5-H (VII
5)
で表される化合物の混合物からなる組成物(C2)と;
・ 90質量%~50質量%の、式(VIII):
R’
1-OH (VIII)
(式中、R’
1は2-オクチルデシルラジカルを表す)
の少なくとも1つの脂肪アルコールと
を含む組成物(C3)からなる;
- 前記乳化システム(S)は、その質量の100%当たり:
・ 15質量%~25質量%の、式(VII):
R1-O-(G)
x-H (VII)
(式中、xは、1.05~2.5の小数を表し、Gはキシロース残基を表し、R1は2-オクチルドデシルラジカルを表す)
で表される少なくとも1つの組成物(C2)であって、前記組成物(C
1)が、
- 合計a
1+a
2+a
3+a
4+a
5が1に等しいような、且つ、
- 合計a
1+2a
2+3a
3+4a
4+5a
5がxに等しいような、
それぞれのモル割合a
1、a
2、a
3、a
4及びa
5で式(VII
1)、(VII
2)、(VII
3)、(VII
4)及び(VII
5):
R
1-O-(G)
1-H (VII
1)
R
1-O-(G)
2-H (VII
2)
R
1-O-(G)
3-H (VII
3)
R
1-O-(G)
4-H (VII
4)
R
1-O-(G)
5-H (VII
5)
で表される化合物の混合物からなる組成物(C2);
・ 55質量%~65質量%の、式(VIII):
R’
1-OH (VIII)
(式中、R’
1は、2-オクチルデシルラジカルを表す)
の少なくとも1つの脂肪アルコール;
・ 10質量%~30質量%の、式(XI):
【化2】
[式中、y
2は、2以上及び50以下の整数を表し、R
4は、水素原子、メチルラジカル又はエチルラジカルを表し、Z
2は、式(XII):
【化3】
(式中、y’
2は、0以上及び10以下、より特に1以上及び10以下の整数を表す)
のラジカルを表し、Z’
2は、上で定義されたような式(XII)のラジカル(ここで、Z
2’は、Z
2と同一であっても異なってもよい)、又は水素原子を表す]
で表される少なくとも1つのポリグリコールポリヒドロキシステアレート
を含む組成物(C4)からなる。
【0025】
用語「少なくとも1つのジエチレン系又はポリエチレン系架橋用モノマー(AR)」は、前記架橋カチオン性高分子電解質(CP)の定義において、メチレンビス(アクリルアミド)、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジアリルウレア、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジアリルオキシ酢酸若しくはジアリルオキシ酢酸ナトリウムなどの、それの塩、又はこれらの化合物の混合物からなる群の要素から選択されるモノマー;より特にエチレングリコールジメタクリレート、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート若しくはメチレンビス(アクリルアミド)又はこれらの化合物の混合物から選択されるモノマーをとりわけ意味する。
【0026】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)に使用される架橋カチオン性高分子電解質(CP)は、当業者に公知のラジカル重合プロセス、例えば溶液重合、懸濁重合、逆相懸濁重合、乳化重合、逆相乳化重合、又は溶媒中での重合のプロセス、引き続く形成されたポリマーの沈澱の工程を行うことによって調製され得る。
【0027】
より特定の態様によれば、本発明の主題である化粧品組成物(C1)に使用される架橋カチオン性高分子電解質(CP)は、溶媒中での重合のプロセス、引き続く形成されたポリマーの沈澱の工程、又は逆相乳化重合のプロセス、任意選択的に引き続く濃縮及び/若しくは噴霧化の工程を行うことによって調製され得る。
【0028】
より特定の態様によれば、本発明の主題である化粧品組成物(C1)に使用される架橋カチオン性高分子電解質(CP)は、上に記載されたプロセスの1つに従って調製され得、移動剤又は鎖制限剤の使用を含み得る。移動剤又は鎖制限剤は、より特に、次亜リン酸ナトリウム、低分子量のアルコール、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール若しくはブタノール、チオール、例えば2-メルカプトエタノール、スルフェート官能基を含む移動剤、例えばメタリルスルホン酸ナトリウム、又は前記移動剤の混合物からなる群から選択される。移動剤又は鎖制限剤は、0.001モル%~1モル%、より特に0.001モル%~0.5モル%、最も特に0.001モル%~0.1モル%の、使用されるモノマーの全モル数に対して表される、モル割合でより特に使用される。
【0029】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)の定義において、用語「アルキルポリグリコシド組成物」は、式(VII):
R1-O-(G)x-H (VII)
(式中、xは、1.05~5の小数を表し、Gは還元糖残基を表し、R1は、12~36個の炭素原子を含む、1個以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された、飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐の脂肪族炭化水素ベースのラジカルを表す)
で表される組成物(C2)であって、前記組成物(C2)が:
- 合計a1+a2+a3+a4+a5が1に等しいような、且つ、
- 合計a1+2a2+3a3+4a4+5a5がxに等しいような、
それぞれのモル割合a1、a2、a3、a4及びa5で式(VII1)、(VII2)、(VII3)、(VII4)及び(VII5):
R1-O-(G)1-H (VII1)
R1-O-(G)2-H (VII2)
R1-O-(G)3-H (VII3)
R1-O-(G)4-H (VII4)
R1-O-(G)5-H (VII5)
で表される化合物の混合物からなる組成物(C2)を意味する。
【0030】
用語「1個以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された、12~36個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐の脂肪族炭化水素ベースのラジカル」は、上で定義されたような式(VII)におけるラジカルR1について:
- 飽和の線状アルキルラジカル、例えばn-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、n-エイコシル、n-ドコシルラジカル;
- ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ドコセニル、4-ドデセニル又は5-ドデセニルラジカルなどの不飽和の線状ラジカル;
- ヒドロキシドデシル、ヒドロキシテトラデシル、ヒドロキシヘキサデシル、ヒドロキシオクタデシル、ヒドロキシエイコシル又はヒドロキシドコシルラジカル、例えば12-ヒドロキシオクタデシルラジカルなどの、1個若しくは2個のヒドロキシル基で置換された、12~36個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐の脂肪族ラジカル;
- 式(1):
(CH3)(CH3)CH-(CH2)r-CH2-OH (1)
(式中、rは、8~20の整数を表す)
のイソアルカノールに由来するラジカル、例えばイソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシル、イソペンタデシル、イソヘキサデシル、イソペプタデシル、イソオクタデシル、イソノナデシル、イソエイコシル又はイソドコシルラジカル;
- 式(2):
CH(CsH2s+1)(CtH2t+1)-CH2-OH (2)
(式中、tは、6~18の整数であり、sは、4~18の整数であり、合計s+tは、10以上及び22以下である)
のGuerbetアルコールに由来する分岐アルキルラジカル、例えば2-ブチルオクチル、2-ブチルデシル、2-ヘキシルオクチル、2-ヘキシルデシル、2-オクチルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、2-ドデシルヘキサデシル及び2-テトラデシルオクタデシルラジカル
を意味する。
【0031】
特定の態様によれば、上に定義されたような式(VII)の定義において、R1は、12~24個の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐の脂肪族炭化水素ベースのラジカルを表す。
【0032】
上に定義されたような式(VII)の定義において用語「還元糖」は、参考文献刊行物:“Biochemistry”,Daniel Voet/Judith G.Voet,page 250,John Wiley & Sons,1990に定義されているようにアノマー炭素とアセタール基の酸素との間に確立されたいかなるグリコシド結合もそれらの構造中に持たないサッカリド誘導体を意味する。オリゴマー構造(G)xは、それが光学異性、幾何異性又は位置異性であろうと、任意の異性体形態にあり得;それはまた、異性体の混合物を表し得る。
【0033】
上で定義されたような式(VII)において、基R1-O-は、アセタール官能基を形成するように、サッカリド残基のアノマー炭素を介してGと結合している。
【0034】
上で定義されたような式(VII)の定義における特定の態様によれば、Gは、グルコース、デキストロース、スクロース、フルクトース、イドーズ、グロース、ガラクトース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、ラクトース、セレビオーズ、マンノース、リボース、キシロース、アラビノース、リキソース、アロース、アルトロース、デキストラン及びタロースから選択される還元糖残基を表し;より特にGは、グルコース、キシロース及びアラビノース残基から選択される還元糖残基を表す。
【0035】
さらにより特定の態様によれば、本発明の主題である化粧品組成物(C1)に含まれる組成物(C2)を表す式(VII)の定義において、xは、1.05以上及び2.5以下、より特に1.05以上及び2.0以下、さらにより特に1.25以上及び2.0以下の小数を表す。
【0036】
さらにより特定の態様によれば、上で定義されたような式(VII)の定義において、R1は、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、n-ドコシル、2-ヘキシルデシル、2-オクチルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルドデシル及び2-デシルテトラデシルラジカルからなる群の要素の少なくとも1つから選択されるラジカルを表し;Gは、グルコース及びキシロース残基から選択される還元糖残基を表し、xは、1.05以上及び2.5以下の小数を表す。
【0037】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)の定義において、用語「アルキルポリグリコシド及び脂肪アルコール組成物」は、その質量の100%当たり:
- 10質量%~50質量%、より特に15質量%~40質量%、さらにより特に20質量%~30質量%の、前に定義されたような式(II)で表される少なくとも1つの組成物(C2)、
- 90質量%~50質量%、より特に85質量%~60質量%、さらにより特に80質量%~70質量%の、式(VIII):
R’1-OH (VIII)
(式中、R1と同一であっても異なってもよい、R’1は、12~36個の炭素原子を含む、1個以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された、飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐の脂肪族炭化水素ベースのラジカルを表す)
の少なくとも1つの脂肪アルコール
を含む組成物(C3)を意味する。
【0038】
特定の態様によれば、組成物(C3)に含まれる組成物(C2)を表す式(VII)の定義において、R1は、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、n-ドコシル、2-ヘキシルデシル、2-オクチルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルドデシル及び2-デシルテトラデシルラジカルから選択されるラジカルを表し、Gは、グルコース及びキシロース残基から選択される還元糖残基を表し、xは、1.05以上及び2.5以下の小数を表す。
【0039】
より特定の態様によれば、組成物(C3)に含まれる組成物(C2)を表す式(II)の定義において、R1は2-オクチルデシルラジカルを表し、Gはキシロース残基を表し、xは、1.05以上及び2.5以下の小数を表す。
【0040】
より特定の態様によれば、上で定義されたような式(VIII)の脂肪アルコールの定義において、R’1は、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、n-ドコシル、2-ヘキシルデシル、2-オクチルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルドデシル及び2-デシルテトラデシルラジカルから選択されるラジカルを表し、R’1は最も特に2-オクチルドデシルラジカルを表す。
【0041】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)の定義において、用語「ポリグリセロールエステル」は、式(IX):
【化4】
[式中、Zは、R
2が11~35個の炭素原子を含む、飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐の脂肪族炭化水素ベースのラジカルを表す、式R
2-C(=O)-のアシルラジカル、より具体的にはドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、オレオイル、リノレオイル、リノレノイル及びイソステアロイルラジカルから選択されるラジカルを表し、Z’は、Zと同一であっても異なってもよいZ’で、上で定義されたようなR
2-C(=O)-のアシルラジカル、又は水素原子を表し、yは、2以上及び20以下の整数を表す]
の化合物を意味する。
【0042】
より特定の態様によれば、式(IX)の化合物は、デカグリセリルオレエート、デカグリセリルイソステアレート、デカグリセリルモノラウレート、デカグリセリルモノリノレエート及びデカグリセリルモノミリステートからなる群の要素から選択される。
【0043】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)の定義において、用語「アルコキシル化ポリグリセロールエステル」は、式(X):
【化5】
[式中、Z
1は、R’
2が11~35個の炭素原子を含む、飽和若しくは不飽和の、線状若しくは分岐の脂肪族炭化水素ベースのラジカルを表す、式R’
2-C(=O)-のアシルラジカル、より具体的にはドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、オレオイル、リノレオイル、リノレノイル及びイソステアロイルラジカルから選択されるラジカルを表し、Z
1’は、Z
1と同一であっても異なってもよいZ
1’で、上で定義されたようなR’
2-C(=O)-のアシルラジカル、又は水素原子を表し、R
3は、水素原子、メチルラジカル又はエチルラジカルを表し、y
1は、2以上及び20以下の整数を表し、同一であっても異なってもよい、v
1、v
2及びv
3は、0以上及び50以下の整数を表し、合計[(y
1・v
1)+(y
1・v
2)+v
3)]は、1以上及び50以下の整数を表す]
の化合物を意味する。
【0044】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)の定義において、用語「ポリグリコールポリヒドロキシステアレート」は、式(XI):
【化6】
[式中、y
2は、2以上及び50以下の整数を表し、R
4は、水素原子、メチルラジカル又はエチルラジカルを表し、Z
2は、式(XII):
【化7】
(式中、y’
2は、0以上及び10以下、より特に1以上及び10以下の整数を表し、Z’
2は、Z
2と同一であっても異なってもよいZ
2’で、上で定義されたような式(XII)のラジカル、又は水素原子を表す)
のラジカルを表す]
の化合物を意味する。
【0045】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)の定義において、用語「ポリグリセリルポリヒドロキシステアレート」は、式(XIII):
【化8】
(式中、Z
3は、上で定義されたような式(VII)のラジカルを表し、Z’
3は、Z
3と同一であっても異なってもよいZ
3’で、上で定義されたような式(XII)のラジカル、又は水素原子を表し、y
3は、2以上及び20以下の整数を表す)
で表される化合物を意味する。
【0046】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)の定義において、用語「アルコキシル化ポリグリセリルポリヒドロキシステアレート」は、式(XIV):
【化9】
(式中、Z
4は、上で定義されたような式(XII)のラジカルを表し、Z’
4は、Z
4と同一であっても異なってもよいZ
4’で、上で定義されたような式(XII)のラジカル、又は水素原子を表し、y
4は、2以上及び20以下の整数を表し、同一であっても異なってもよい、v’
1、v’
2及びv’
3は、0以上及び50以下の整数を表し、合計[(y
4・v’
1)+(y
4・v’
2)+v’
3)]は、1以上及び50以下の整数を表す)
で表される化合物を意味する。
【0047】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)の定義において、用語「ポリエチレングリコール-アルキルグリコールコポリマー」は、式(XV):
【化10】
(式中、同一であっても異なってもよい、w
1及びw’
1は、1以上及び50以下、より特に1以上及び25以下の整数を表し、w
2は、1以上及び100以下、より特に1以上及び50以下の整数を表す)
で表される化合物を意味する。
【0048】
本発明の主題は、また、100モル%当たり:
b1)40モル%~60モル%、さらにより特に45モル%~60モル%の、2,N,N,N-テトラメチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(AMPTAC)、2,N,N-トリメチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド及びN,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)からなる群からの要素に由来するカチオン性モノマー単位、
b2)0.1モル%~3モル%、さらにより特に0.5モル%~3モル%の、式(VI):
【化11】
(式中、Rは、8~20個の炭素原子を含む線状若しくは分岐アルキルラジカルを表し、nは、0以上及び20以下の整数を表す)
の少なくとも1つのモノマーに由来するモノマー単位;
b3)37モル%~59.9モル%、さらにより特に37モル%~54.5モル%の、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド;メタクリルアミド又はN-イソプロピルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルアクリレート又は2-ヒドロキシエチルメタクリレートからなる群の要素から選択される少なくとも1つの中性モノマーに由来するモノマー単位;
b4)0モル%超及び1モル%以下の割合の、少なくとも1つのジエチレン系又はポリエチレン系架橋用モノマー(AR)に由来するモノマー単位
を含み;
b1)、b2)、b3)及びb4)に従ったモノマー単位の前記モル割合の合計が100モル%に等しい
架橋カチオン性高分子電解質(CP1)である。
【0049】
場合に応じて、本発明による架橋カチオン性高分子電解質(CP1)は、以下の特徴の1つ以上を有し得る:
- 架橋カチオン性高分子電解質(CP1)は、そのためのカチオン性モノマー単位が、N,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)に由来する架橋カチオン性高分子電解質(CP1)である、
- 架橋カチオン性高分子電解質(CP1)は、中性モノマーに由来するそのためのモノマー単位が、2-ヒドロキシエチルアクリレート又は2-ヒドロキシエチルメタクリレートから選択される架橋カチオン性高分子電解質(CP1)である。好ましくは、この中性モノマーは2-ヒドロキシエチルアクリレートである。
- 架橋カチオン性高分子電解質(CP1)は、そのための、式(VI)の前記モノマーにおいて、Rが、12~18個の炭素原子を含むアルキルラジカルを表し、さらにより具体的には、Rが、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシルラジカルからなる群の要素から選択されるアルキルラジカルを表す架橋カチオン性高分子電解質(CP1)である、
- 架橋カチオン性高分子電解質(CP1)は、そのための、式(VI)の前記モノマーにおいて、nが、3以上及び20以下の整数を表す架橋カチオン性高分子電解質(CP1)である、
- 架橋カチオン性高分子電解質(CP1)は、そのための式(VI)の前記モノマーが、テトラエトキシル化ラウリルメタクリレート又はエイコサエトキシル化ステアリルメタクリレートである架橋カチオン性高分子電解質(CP1)である、
- 架橋カチオン性高分子電解質(CP1)は、トリメチロールプロパントリアクリレートで架橋されたN,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)の、2-ヒドロキシエチルアクリレートの及びテトラエトキシル化ラウリルメタクリレートのターポリマー、又はトリメチロールプロパントリアクリレートで若しくはエチレングリコールジメタクリレートで若しくはエチレングリコールジアクリレートで架橋されたN,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)の、2-ヒドロキシエチルアクリレートの及びエイコサエトキシル化ステアリルメタクリレートのターポリマーから選択される、
- 架橋カチオン性高分子電解質(CP)は、トリメチロールプロパントリアクリレートで若しくはエチレングリコールジメタクリレートで若しくはエチレングリコールジアクリレートで架橋されたN,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTAC)の、2-ヒドロキシエチルアクリレートの及びテトラエトキシル化ラウリルメタクリレートのターポリマーである、
- 架橋カチオン性高分子電解質(CP1)は、100モル%当たり:
・ 45モル%~60モル%の、N,N,N-トリメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリドに由来するモノマー単位と
・ 0.1モル%~3モル%の、テトラエトキシル化ラウリルメタクリレートに由来するモノマー単位と、
・ 35モル%~54.5モル%の、2-ヒドロキシエチルアクリレートに由来するモノマー単位と
を含む。
【0050】
本発明の主題である架橋カチオン性高分子電解質(CP1)は、架橋カチオン性高分子電解質(CP)の調製について以前に記載されているような、溶液重合、懸濁重合、逆相懸濁重合、乳化重合、逆相乳化重合、溶媒中での重合のプロセス、引き続く形成されたポリマーの沈澱の工程を行うことによって調製される。
【0051】
本発明の主題は、また、髪の房のコーミングを改善するための、前に定義されたような組成物(C1)の使用である。
【0052】
より特定の態様によれば、本発明の主題は、髪の毛の末端のコーミングを改善するための前に定義されたような組成物(C1)の使用である。
【0053】
前に定義されたような本発明の主題である組成物(C1)は、例えば皮膚と接触して置かれることを意図される任意のタイプの支持体(紙、ワイプ、織物、経皮デバイス等)を介して、直接に又は間接に毛髪及び/又は頭皮に適用されることを意図される。本発明による組成物(C1)を適用するこの工程は、前記毛髪を洗浄する少なくとも1つの工程の後に行われ、これに、少なくとも1つのリンシング工程が続き;本発明による組成物(C1)を適用するこの工程に、リンスする、及び任意選択的に、このように洗浄され、処理され、リンスされた毛髪を乾燥させる別の工程が続く。
【0054】
本発明の主題である組成物(C1)は、エアゾールデバイス中に若しくは「ポンプボトル」型のデバイス中に、有孔壁を備えたデバイス、例えばグリル中に、又はボールアプリケーター(「ロールオン式」として知られる)を備えたデバイス中に加圧形態で包装され得る。
【0055】
本発明の主題である組成物(C1)は、また、毛髪又は頭皮に適用されることを意図される調合物の分野で一般に使用される賦形剤及び/又は活性成分を含み得る。
【0056】
前に定義されたような組成物(C1)は、また、発泡性及び/又は洗浄性界面活性剤、増粘性及び/又はゲル化界面活性剤、増粘剤及び/又はゲル化剤、安定剤、フィルム形成化合物、溶媒及び共溶媒、屈水剤、可塑剤、乳化剤及び共乳化剤、乳白剤、真珠光沢剤、過脂肪剤、金属イオン封鎖剤、キレート剤、酸化防止剤、香料、エッセンシャルオイル、保存剤、調整剤、デオドラント、体毛及び皮膚の漂白用である漂白剤、皮膚又は毛髪に処理作用及び/又は保護作用を提供することを意図される活性成分、日焼け止め剤、無機充填材又は顔料、目視効果を与える又は活性剤を封入することを意図される粒子、スクラブ剤粒子、テクスチャリング剤、光学的光沢剤及び防虫剤から選択される1種以上の補助化合物を含む。
【0057】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得る発泡性及び/又は洗浄性界面活性剤の例として、この活動の分野において一般に使用される、局所的に許容されるアニオン性の、カチオン性の、両性の又は非イオン性の発泡性及び/又は洗浄性界面活性剤が言及され得る。
【0058】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)と組み合わせられ得る発泡性及び/又は洗浄性アニオン界面活性剤の中に、アルキルエーテルスルフェートの、アルキルスルフェートの、アルキルアミドエーテルスルフェートの、アルキルアリールポリエーテルスルフェートの、モノグリセリドスルフェートの、α-オレフィンスルホネートの、パラフィンスルホネートの、アルキルホスフェートの、アルキルエーテルホスフェートの、アルキルスルホネートの、アルキルアミドスルホネートの、アルキルアリールスルホネート、アルキルカルボキシレートの、アルキルスルホスクシネートの、アルキルエーテルスルホスクシネートの、アルキルアミドスルホスクシネートの、アルキルスルホアセテートの、アルキルサルコシネートの、アシルイセチオネートの、N-アシルタウレートの、アシルラクチレートの、N-アシルアミノ酸誘導体の、N-アシルペプチド誘導体の、N-アシルタンパク誘導体の又は脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩又はアミノアルコール塩が言及され得る。
【0059】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得る発泡性及び/又は洗浄性両性界面活性剤の中に、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルタイン、アルキルアミドアルキルスルホベタイン、イミダゾリン誘導体、ホスホベタイン、アンホポリアセテート及びアンホプロピオネートが言及され得る。
【0060】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得る発泡性及び/又は洗浄性カチオン界面活性剤の中に、特に第四級アンモニウム誘導体が言及され得る。
【0061】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得る発泡性及び/又は洗浄性非イオン界面活性剤の中に、より具体的には、線状若しくは分岐の、飽和若しくは不飽和の脂肪族ラジカルを含み、8~12個の炭素原子を含むアルキルポリグリコシド;ヒマシ油誘導体、ポリソルベート、ココナッツ核油アミド及びN-アルキルアミンが言及され得る。
【0062】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得る増粘性及び/又はゲル化界面活性剤の例として:
- アルキルポリグリコシドの任意選択的にアルコキシル化された脂肪エステル、最も特に、それぞれ、名称GlucamateTM LT及びGlumateTM DOE120で販売されるPEG 120メチルグルコーストリオレエート及びPEG 120メチルグルコースジオレエートなどのメチルポリグルコシドのエトキシル化エステル;
- 名称CrothixTM DS53で販売されるPEG 150ペンタエリスリチルテトラステアレート、又は名称AntilTM 141で販売されるPEG 55プロピレングリコールオレエートなどのアルコキシル化脂肪エステル;
- 名称ElfacosTM T211で販売されるPPG 14ラウレスイソホリル(laureth isophoryl)ジカルバメート、又は名称ElfacosTM GT2125で販売されるPPG 14パルメス(palmeth)60ヘキシルジカルバメートなどの脂肪鎖ポリアルキレングリコールカルバメート
が言及され得る。
【0063】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得る乳化界面活性剤の例として、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤が言及され得る。
【0064】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得る乳化非イオン界面活性剤の例として、ソルビトールの脂肪酸エステル、例えば名称MontaneTM 80及びMontaneTM 85及びMontaneTM 60で販売される製品;エトキシル化ヒマシ油及びエトキシル化水素化ヒマシ油、例えば名称SimulsolTM 989で販売される製品;グリセリルステアレートと5モル~150モルのエチレンオキシドでポリ(エトキシル化された)ステアリン酸とを含む組成物、例えば名称SimulsolTM 165で販売される135モルのエチレンオキシドで(エトキシル化された)ステアリン酸とグリセリルステアレートとを含む組成物;エトキシル化ソルビタンエステル、例えば名称MontanoxTMで販売される製品;マンニタンエステル;エトキシル化マンニタンエステル;スクロースエステル;メチルグルコシドエステルが言及され得る。
【0065】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得る乳化アニオン界面活性剤の例として、デシルホスフェート、名称AmphisolTMで販売されるセチルホスフェート、グリセリルステアレートシトレート;セテアリルスルフェート;名称SensanovTM WRで販売されるアラキジル/ベヘニルホスフェート及びアラキジル/ベヘニルアルコール組成物;石鹸、例えばステアリン酸ナトリウム若しくはステアリン酸トリエチルアンモニウム、又は塩化されているアミノ酸のN-アシル化誘導体、例えばステアロイルグルタミネートが言及され得る。
【0066】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得る乳化カチオン界面活性剤の例として、アミンオキシド、クォータニウム-82並びに特許出願国際公開第96/00719号パンフレットに記載されている界面活性剤及び主として脂肪鎖が少なくとも16個の炭素原子を含むものが言及され得る。
【0067】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得る乳白剤及び/又は真珠光沢剤の例として、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート及び12~22個の炭素原子を含む脂肪アルコールが言及され得る。
【0068】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得るテクスチャリング剤の例として、N-アシルアミノ酸誘導体、例えば、名称AminohopeTM LLで販売されるラウロイルリジン、名称DryfloTMで販売されるオクテニルデンプンスクシネート、名称Montanov 14で販売されるミリスチルポリグルコシド、セルロース繊維、綿繊維、キトサン繊維、タルク、絹雲母及び雲母が言及され得る。
【0069】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得る溶媒及び共溶媒の例として、水、有機溶媒、例えばグリセロール、ジグリセロール、グリセロールオリゴマー、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、キシリトール、エリトリトール、ソルビトール、水溶性アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール又はブタノール、及び水と前記有機溶媒との混合物が言及され得る。
【0070】
本発明の主題である化粧品組成物(C1)中に存在し得る活性成分の例としては:
- ビタミン及びそれらの誘導体、例えばレチノール(ビタミンA)及びそれのエステル(例えばレチニルパルミテート)、アスコルビン酸(ビタミンC)及びそれのエステル、アスコルビン酸の糖誘導体(例えばアスコルビルグルコシド)、トコフェロール(ビタミンE)及びそれのエステル(例えばトコフェリルアセテート)、ビタミンB3又はB10(ナイアシンアミド及びそれの誘導体);
- 皮膚への美白化又は脱色作用を持った化合物、例えばSepiwhiteTM MSH、アルブチン、コウジ酸、ヒドロキノン、VegewhiteTM、GatulineTM、SynerlightTM、BiowhiteTM、PhytolightTM、DermalightTM、ClariskinTM、MelaslowTM、DermawhiteTM、Ethioline、MelarestTM、GigawhiteTM、AlbatineTM及びLumiskinTM;
- 鎮静効果作用を持った化合物、例えばSepicalmTM S、アラントイン及びビサボロールなど;
- 抗炎症薬;
- 保湿作用を示す化合物、例えば尿素、ヒドロキシ尿素、グリセロール、ポリグリセロール、グリセリルグルコシド、ジグリセリルグルコシド及びポリグリセリルグルコシド;
- 痩せ又は脂肪分解作用を示す化合物、例えばカフェイン又はそれの誘導体、AdiposlimTM及びAdipolessTMなど;
- N-アシルタンパク;N-アシルペプチド、例えばMatrixilTM;N-アシルアミノ酸;N-アシルタンパクの部分加水分解物;アミノ酸;ペプチド;タンパク完全加水分解物;
- タンニン、ポリフェノール及び/又はイソフラボンに富む植物抽出物、例えばブドウ抽出物、松抽出物、ワイン抽出物、オリーブ抽出物;大豆抽出物、例えばRaffermineTM;小麦抽出物、例えばTensineTM又はGliadineTM;テルペンに富む植物抽出物;淡水又は海水藻類抽出物;一般にサンゴなどの海洋抽出物;
- エッセンシャルワックス;細菌抽出物;セラミド又はリン脂質;
- 抗菌作用を持った又は解毒作用を持った化合物、例えばLipacideTM C8G、LipacideTM UG、SepicontrolTM A5;OctopiroxTM又はSensivaTM SC50;
- エネルギー付与特性又は刺激特性を持った化合物、例えばPhysiogenylTM;SepicapTM MPなどのパンテノール及びそれの誘導体など;
- 老化防止活性剤、例えばSepiliftTM DPHP、LipacideTM PVB、SepivinolTM、SepivitalTM、ManolivaTM、Phyto-AgeTM、TimecodeTM又はSurvicodeTMなど;
- 光老化防止活性剤;皮膚-表皮接合部の完全性を保護するための活性剤;
- 細胞外マトリックス成分の合成を増加させる活性剤、例えばコラーゲン、エラスチン及びグリコサミノグリカン;
- サイトカインなどの、細胞の化学コミュニケーションに、又はインテグリンなどの、細胞の物理コミュニケーションに有利に作用する活性剤;
- 「加熱」感覚を皮膚上に生み出す活性剤、例えば皮膚微小循環活性化剤(例えばニコチン酸誘導体)又は「新鮮味」感覚を皮膚上に生み出す製品(例えばメントール及びそれの誘導体);
- 皮膚微小循環を改善する活性剤、例えば静脈強壮剤;排水活性剤;鬱血除去活性剤、例えばイチョウ(Ginkgo biloba)、セイヨウキズタ、セイヨウトチノキ、竹、ナギイカダ、ブッチャーズブルーム、ツボクサ(Centella asiatica)、ヒバマタ、ローズマリー又は柳の抽出物;
- 皮膚日焼け又は褐変剤、例えばジヒドロキシアセトン、イサチン、アロキサン、ニンヒドリン、グリセルアルデヒド、メソ酒石酸アルデヒド、グルタルアルデヒド又はエリトルロース
が挙げられる。
【0071】
本発明による化粧品組成物(C1)中に存在し得る増粘剤及び/又はゲル化剤の例として、グルカン又はグルコースホモポリマーなどの、単糖類のみからなる多糖類、グルコマンノグルカン、キシログリカン、D-マンノース主鎖上のD-ガラクトース単位の置換度(DS)が、0~1、より特に1~0.25であるガラクトマンナン、例えばカシアガム(DS=1/5)、ローカストビーンガム(DS=1/4)、タラガム(DS=1/3)、グアーガム(DS=1/2)又はコロハガム(DS=1)に由来するガラクトマンナンが言及され得る。
【0072】
本発明による化粧品組成物(C1)中に存在し得る増粘剤及び/又はゲル化剤の例として、単糖誘導体からなる多糖類、例えば硫酸化ガラクタン、より具体的にはカラギーナン及び寒天など、ウロナン、より具体的にはアルギン、アルギネート及びペクチン、単糖類及びウロン酸のヘテロポリマー、より具体的にはキサンタンガム、ジェランガム、アラビアゴム滲出物及びカラヤゴム滲出物、並びにグリコサミノグリカンが言及され得る。
【0073】
本発明による化粧品組成物(C1)中に存在し得る増粘剤及び/又はゲル化剤の例として、セルロース、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど、シリケート、デンプン、親水性デンプン誘導体、及びポリウレタンが言及され得る。
【0074】
本発明による化粧品組成物(C1)中に存在し得る安定剤の例として、微晶質ワックスが、より具体的にはオゾケライト、及び塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムなどの無機塩が言及され得る。
【0075】
本発明による組成物と組み合わせることができる熱水又はミネラルウォーターの例として、少なくとも300mg/Lの無機化を有する熱水又はミネラルウォーター、特にAvene水、Vittel水、Vichy滝つぼ水、Uriage水、La Roche-Posay水、La Bourboule水、Enghien-les-Bains水、Saint-Gervais-les-Bains水、Neris-les-Bains水、Allevard-les-Bains水、Digne水、Maizieres水、Neyrac-les-Bains水、Lons-le-Saunier水、Rochefort水、Saint Christau水、Les Fumades水及びTercis-les-Bains水が言及され得る。
【0076】
本発明による及び前に定義されたような化粧品組成物(C1)は、以下の工程:
工程a)所望の割合で脂肪相を(A2)構成する要素の全てを混合することによって脂肪相(A2)を調製する工程。この混合工程は、20℃以上及び80℃以下、より特に25℃以上及び80℃以下、さらにより特に30℃以上及び80℃以下の温度で一般に行われ;それは、50rpm以上及び100rpm以下の適度のスピードでの機械撹拌を使って行われる工程;
工程b)所望の割合で水相(A1)を構成する要素の全てから水相(A1)を調製する工程。この混合工程は、20℃以上及び80℃以下、より特に20℃以上及び60℃以下、さらにより特に20℃以上及び40℃以下の温度で一般に行われ;それは、500rpm以上及び3000rpm以下の適度のスピードでの機械撹拌を使って行われ;特に、工程b)の終わりに得られた水相(A1)は、200mPa・s以上及び40000mPa・s以下、より特に1000mPa・s以上及び40000mPa・s以下、さらにより特に2000mPa・s以上及び40000mPa・s以下の、6rpmのスピードでブルックフィールドLV粘度計を用いて20℃で測定される、動的粘度を有する工程;
工程c)本発明による組成物を得るために、その工程中に50rpm以上及び400rpm以下の適度のスピードで機械撹拌しながら、20℃以上及び80℃以下、より特に20℃以上及び60℃以下、さらにより特に20℃以上及び40℃以下の温度で脂肪相(A2)が水相(A1)に添加される工程
を含む調製プロセスを行うことによって得られる。
【0077】
以下の実施例は、本発明を例示するが、それを限定しない。
【実施例】
【0078】
本発明による油中水エマルジョンの及び比較の油中水エマルジョンの調製及び評価
I)-架橋カチオン性高分子電解質の調製
I-1 MBAで架橋されたコポリマーAPTAC/HEA/MAL(40E)(49.76/49.76/0.48)の自己反転性逆相ラテックスを以下の通り調製する。
【0079】
撹拌しながら、以下:
151.0gの置換水;
147.9gのヒドロキシエチルアクリレート;
351.0gの、75%アクリルアミドトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)を含有する市販の溶液;
0.224gのエチレングリコールジメタクリレート;
0.45gの、40%のジエチレントリアミン五酢酸のナトリウム塩を含有する市販の水溶液
をビーカーに入れる。
【0080】
259gのイソヘキサデカン
20gのソルビタンイソステアレート(会社SEPPICによってブランド名MontaneTM 70で販売される)
5gのHypermerTM 2296(会社Crodaによって販売される)
5gのテトラエトキシル化ラウリルメタクリレート[MAL(40E)]
0.1gのアゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)
を引き続いて混合することによって油相を調製する。
【0081】
水相を有機相へ徐々に組み入れ、次いでUltra-TurraxTMタ-ボミキサーを用いる激しい機械撹拌にかけて、逆相エマルジョン(水/油)を形成する。
【0082】
エマルジョンを次いで約10℃に冷却し、酸素を除去するために約60分間窒素下にガス注入する。次いでイソヘキサデカン中の0.68重量%でのクメンヒドロペルオキシドの10cm3の溶液をその中に組み入れることによって重合を開始する。媒体の均質化の後に、混合物の温度を最終重合温度まで上昇させながら0.1重量%でのメタ重亜硫酸ナトリウムの25gの水溶液を添加し、これに90分間の撹拌が続く。結果として生じた混合物を、次いで約35℃に冷却し、7モルでエトキシル化された40gのラウリルアルコール(SimulsolTM P7)を次いで添加する。所望の自己反転性逆相ラテックス(LI1)が得られる。
【0083】
分析
高分子電解質含量:約27.5重量%
粘度測定:
- 自己反転性逆相ラテックス(LI1)の粘度(ブルックフィールドRVT、回転子3;スピード:5rpm):η=1280mPa・s
- 3重量%の自己反転性逆相ラテックス(LI1)を含有する水溶液の粘度(ブルックフィールドRVT、回転子6;スピード:5rpm):η=68,400mPa・s
- 3重量%の自己反転性逆相ラテックス(LI1)及び1%の塩化ナトリウムを含有する水溶液の粘度:η=14,440mPa・s。
【0084】
II)-本発明による油中水エマルジョンの及び比較の油中水エマルジョンの調製及び評価
II-1 本発明による油中水エマルジョンの調製
その構成成分質量割合が下表1にまとめられ、高分子電解質の質量含量がポリマー固形分の百分率として示される、(F1)で示される、本発明による油中水エマルジョンを、以下のプロセスを行うことによって調製する。
【0085】
脂肪相の構成成分をビーカー中へ引き続いて導入し、100rpmのスピードで羽根車型撹拌ヘッドを備えた機械攪拌機を用いて20℃の温度で混合する。グリセロール及び水を、2000rpmのスピードでの機械攪拌機を用いてビーカー中で室温において混合し、増粘剤を次いで徐々に添加する。
【0086】
均一なゲルの形態にある水相を得ることを可能にする継続時間の間撹拌を維持する。脂肪相を、室温で及び碇型撹拌ヘッドを備えた攪拌機を用いる適度の撹拌スピード(75~300rpm)で水性ゲルに一度に添加する。この撹拌を次いで10分間維持し、冷却工程は必要ではない。
【0087】
比較エマルジョン(F’1)~(F’3)の導電率(σ)を、TetraConTM 96電極を備えた会社WTW製のLF 196TMブランド導電率計を用いて、20℃の温度に調節された断熱気候室中で1日の前記エマルジョンの貯蔵期間後に、20℃で測定する。
【0088】
(σ)≦0.5μS・cm-1である場合、エマルジョンは、非導電性であると考えられ、その結果として外部相は、水相ではなく、油相であり、前記エマルジョンは、油中水型のものである。
【0089】
【0090】
II-2 比較の油中水及び水中油エマルジョンの調製
a)比較の油中水エマルジョンを、段落II-1に記載されたプロセスに従って調製し、(F’1)で示し、その構成成分の質量割合を下表2にまとめる。
b)その構成成分の質量割合を下表2にまとめる、(F’2)で示される比較の油中水エマルジョンを、以下のプロセスに従って調製する:
- 脂肪相の構成成分をビーカー中へ引き続いて導入し、100rpmのスピードでの羽根車型撹拌ヘッドを備えた機械攪拌機を用いて85℃の温度で混合し;
- 85℃に加熱された水を85℃での脂肪相に添加し、これに硫酸マグネシウム及びグリセロールの添加が続き;
- 得られた混合物を、100rpmのスピードでの羽根車型機械撹拌下に85℃で維持し;
- 混合物を次に、2分間2000rpmのスピードでの、次いで2分間8000rpmでのSilversonブランド回転子-固定子機械デバイスを使って撹拌し;
- このようにして均質化された混合物を、次いで20℃に冷却しながら200rpmのスピードでの羽根車型機械撹拌下に維持し、次いで取り出して油中水エマルジョン(F’2)を得る。
c)その構成成分の質量割合を下表2にまとめる、(F’3)で示される比較の水中油エマルジョンを、以下のプロセスに従って調製する:
- 脂肪相の構成成分をビーカー中へ引き続いて導入し、100rpmのスピードでの羽根車型撹拌ヘッドを備えた機械攪拌機を用いて75℃の温度で混合し;
- 75℃に加熱された水を75℃での脂肪相に添加し、これにグリセロールの添加が続き;
- 逆相ラテックス(LI1)を、次いで75℃で添加し、結果として生じた混合物を次いで、4分間4000rpmのスピードでのSilversonブランド回転子-固定子機械デバイスを使って均質化し、
- このようにして均質化された混合物を、次いで20℃に冷却しながら10分間100rpmのスピードでの羽根車型機械撹拌下に維持し、次いで取り出して水中油エマルジョン(F’3)を得る。
d)比較エマルジョン(F’1)~(F’3)の導電率(σ)を、TetraConTM 96電極を備えた会社WTW製のLF 196TMブランド導電率計を用いて、20℃の温度に調節された断熱気候室中で1日の前記エマルジョンの貯蔵期間後に、20℃で測定する。
【0091】
(σ)≦0.5μS・cm-1である場合、エマルジョンは、非導電性であると考えられ、その結果として外部相は、水相ではなく、油相であり、前記エマルジョンは、油中水型のものである。
【0092】
(σ)>0.5μS・cm-1である場合、エマルジョンは、導電性であると考えられ、その結果として外部相は水相であり、前記エマルジョンは、水中油型のものである。
【0093】
【0094】
II-3 髪の房のコーミングに関する本エマルジョンの並びに比較の油中水及び水中油エマルジョンの評価
II-3.1 髪の房のコーミングの評価方法の説明
a)髪の房の調製
- それぞれ、2gの重さがある房[「漂白された密着ウェフト4H、20cm×2cm/2g色7/0」]の形態にある、会社Kerling Internationalによって供給される損傷した白色人種の毛髪の「4h」型房を使用する。
- 各房について、くっ付いたままである髪の毛(一緒に保持される髪の毛)の上方部分をオレンジ色の接着テープで覆ってコードのマーキングを可能にする。各房を、次いで現行年度の最後の2つの数字、引き続き週の数、引き続きC及び01~99(例えば:1416C08)を書くことによって消せないマーカーを用いて特定する。
- 合計で、3つの房を、評価されるべき各エマルジョンについて評価する。
【0095】
b)試験プロトコル
- 毛髪の各房を水のしずく下で湿らせ、過剰の水を、2本の指を房の両側に置き、下方への垂直運動を行うことによって除去する。
- 房を、一度、2.2モルのエチレンオキシドを含有するラウリルエーテル硫酸ナトリウムの10%活性材料を含有する溶液からなる洗浄液に浸し;過剰の洗浄液を、2本の指を房の両側に置き、下方への垂直運動を行うことによって除去する。
- 房を、次いでジグザグ動作で、30秒間シャンプーで洗う。こうして、他の手を使って房を最上部で保持しながら房を指導手(directing hand)の手のひらに置く。次いで、水平な往復運動を、房を他の手でゆっくり引っ張りながら指導手の親指で適用する。親指は、こうして房に沿ってジグザグ動作を達成する。房を、各通過の間に最上部に戻し、この操作を房の両側に関して行うことが必要である(各側について15秒)。
- オペレーターは、実験プロトコルを続ける前に洗浄液の全ての痕跡を除去するために自分の手をゆすがなければならない。
- 房を、次いで、指で相次いで2回水のしずくを伴いながら30秒間:各側に関して15秒間水道水でリンスする。
- 過剰の水を、2本の指を房の両側に置き、下方への垂直運動を行うことによって除去する。
- 房を作業台の上方で垂直に保持し、櫛の「細かい」部分を使用して、房を各側に関して10回梳くこと。
- 界面活性剤が房上に残っていないことをチェックすること
- 各房を梳くために要する力を、次いでDiastron MT175機械(下記を参照されたい)を用いて、各房について6つの連続した測定を行うことによって評価し;得られた値は、「対照」値を構成する。
- 各房を、接着テープによってそれを保持して、「手の中に」保持し、毛髪の1グラム当たり0.2gの試験エマルジョンを房の上部1/3に適用する;
- 房を、次いで洗浄についてと同じようにジグザグ動作で、30秒間シャンプーで洗う
- オペレーターは、次いで製品の全ての痕跡を除去するために自分の手をリンスする
- 房を、次いで指で相次いで2回水のしずくを伴いながら30秒間:各側に関して15秒間水道水でリンスする。
- 過剰の水を、2本の指を房の両側に置き、下方への垂直運動を行うことによって除去する
- 房を、垂直に保持し、櫛の「細かい」部分を使って各側に関して10回梳く、
- 各房を梳くために要する力を、次いでDiastron MT175機械(下記を参照されたい)を用いて各房について6つの連続した測定を行うことによって評価し;得られた値は、各試験エマルジョンについての「実験」値を構成する。
【0096】
c)房を梳くために要する力の測定
装置:
UvWinソフトウェア(MTT 175を操縦するための並びにデータの取得及び処理のためのソフトウェア)と、UV 1000として知られるMTT 175及びUvWinソフトウェアの間の制御ユニットとを備えた、会社Diastronによって販売される、「ミニチュア引張試験機」、モデルMTT 175として知られる髪の房を梳くための力の測定機械を用いる。
【0097】
用いられる櫛は、Babyliss Pro Styling Comb(プロ整髪櫛)レンジ(基準691078)の、会社Babylissによって販売される櫛である。
【0098】
使用される房は、会社Kerling Internationalによって販売される損傷した白色人種の毛髪の「4h」型房である。
【0099】
測定方法:
- Diastron MTT 175機械は、髪の房を梳くために要する力を測定することを可能にする。
- 本方法は、評価されるべき房を、移動部分に取り付けられた櫛をまた備えている、機械のこの目的のためのデバイスに取り付けることにあり;房を垂直位置に取り付ける。
- メカニズムが活性化されるとき、櫛は、房に沿って下方へ移動し、経路の各ポイントで、機械は、その進行を続けるために要する力を記録する。このようにして、機械は、房に沿って櫛が移動した距離の関数としてのコーミング力の変化をプロットすることができる。
- このプロトコルを、同じ房について6回:房の各側について3回の測定を行う。
- 合計で、各房について、すなわち、洗浄されたが、評価されるべきエマルジョンで処理されなかった房に関して、6つの対照測定値を取り、洗浄され、評価されるべきエマルジョンで処理された房に関して6つの測定値を取る。
- 各測定について、このように、力の変化を得ることが可能である。
【0100】
結果の表現及び解釈:
行われた測定は、髪の毛の根元から末端まで櫛が移動した房の長さにわたって摩擦力つまりコーミング力の変化を評価することを可能にする。
【0101】
摩擦力つまりコーミング力が髪の毛の末端で増加する場合、ユーザーは、髪の毛を引き抜く及び/又は強制によって末端を壊す危険を冒してさえも、解きほぐしにとって有効である製品の印象を持つであろう。
【0102】
理想的なコーミングは、根元から末端まで、全体長さにわたってできるだけ一定である弱い力に相当する。
【0103】
各測定について、ニュートン(N)単位で表される、最大記録力の25%で測定されるコーミング力の値が記録される。
【0104】
これらの力は、したがって、対照コーミング力(Fcont)及び評価されるべきエマルジョンで処理された毛髪についてのコーミング力(Fexp)と名付けられるであろう。
【0105】
必要ならば、房の中間において及び/又は房の末端でコーミング力の値を測定することも可能である。こうして、これらの力は、(用いられるデバイスを使って60.1mmのコーミング後の)房の中間でのコーミング力の値について(Fmid)及び房の末端での(すなわち、用いられるデバイスを使って159.2mmのコーミング後の)コーミング力の値について(Fend)と名付けられるであろう。
【0106】
II-3.2 本発明による油中水エマルジョンの及び比較エマルジョンの外観及び安定性の評価方法
本発明によるエマルジョン(F1)及び比較エマルジョン(F’1)~(F’3)を、7日間、20℃の温度に調節された断熱気候室中で貯蔵する。この7日の期間の終わりに、調製された各エマルジョンの外観(APP)を観察する。エマルジョンを、次いで戻し、3ヶ月まで、20℃の温度に調節された同じ断熱気候室中で貯蔵する。この期間後に、調製された各エマルジョンの外観(APP)を観察する。
【0107】
II-3.3 本発明による油中水エマルジョン(F1)について及び比較エマルジョン(F’1)~(F’3)について得られた結果
a)得られた結果
段落II-3.1及びII-3.2に記載された評価方法を、本発明による油中水エマルジョン(F1)に及び比較エマルジョン(F’1)~(F’3)に適用した。得られた結果を下表3に記録する。
【0108】
【0109】
b)得られた結果の解析
本発明によるエマルジョン(F1)で湿らせた髪の房の処理は、未処理房(0.98N)とエマルジョン(F1)で処理された房(0.12N)との間で87.8%だけコーミング力を低減することを可能にするが、使用された架橋高分子電解質の特質によってのみエマルジョン(F1)とは異なる、比較エマルジョン(F’1)は、61.1%(1.26Nの対照コーミング力及び0.49Nの(F’1)で処理された房についてのコーミング力)のコーミング力の低下を可能にしない。
【0110】
その調合物中に高分子電解質の不在によって異なる、比較の油中水エマルジョン(F’2)が、59.6%(1.18Nの対照コーミング力及び0.47Nの(F’2)で処理された房についてのコーミング力)の値だけコーミング力を低減することを可能にしないことにも留意するべきである。
【0111】
水中油型の比較エマルジョン(F’3)のみが、本発明によるエマルジョン(F1)のそれに似たコーミング力の低減(1.16Nの対照コーミング力及び0.16Nの(F’3)で処理された房についてのコーミング力について86.2%の低減)を可能にする。
【0112】
しかしながら、本発明によるエマルジョン(F1)での髪の房の処理は、房の末端でのより少ないコーミング力:比較エマルジョン(F’2)で処理された髪の房についての45.7ニュートンとは対照的に、エマルジョン(F1)で処理された髪の房についての13.1ニュートンを得ることを可能にする。
【0113】
III)-例示的な調合物
以下の調合物において、百分率は、調合物の重量で表す。
【0114】
III-1 保護カラークリーム
【0115】
【0116】
III-2 民族タイプ毛髪用の保護栄養クリーム
【0117】
【0118】
III-3 ノーマルヘア用の超光沢保湿セラム
【0119】
【0120】
III-4 非常にマイルドな植物クリームセラム
【0121】