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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】超低曳糸性感触調整剤及び化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20240425BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q19/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021516067
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(86)【国際出願番号】 JP2020016816
(87)【国際公開番号】W WO2020218176
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2019082627
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】文 春明
(72)【発明者】
【氏名】松尾 綾野
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 敦
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/052804(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0224309(US,A1)
【文献】特開2010-196048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/81
A61Q 19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアクリルアミド及びポリN-置換アクリルアミド誘導体から選ばれる1以上の水溶性高分子からなる化粧料の超低曳糸性感触調整剤であって、
前記水溶性高分子の重量平均分子量が50万~800万であり、かつ分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が3.0~7.04であり、
前記水溶性高分子の30℃での粘度が1000mPa・s以下であり、
前記水溶性高分子の2質量%水溶液の室温における曳糸長(前記水溶液の表面に直径約1cmの丸型円盤を均一に軽く接触させた後、5mm/秒の速度で容器を降下させて、当該溶液の糸曳きが切れるまでに前記容器が降下した距離)が5mm以下である、
化粧料の超低曳糸性感触調整剤。
【請求項2】
前記ポリN-置換アクリルアミド誘導体の当該置換基が、メチル基、エチル基、及びヒドロキシエチル基から選ばれる置換基である、請求項1に記載の超低曳糸性感触調整剤。
【請求項3】
前記ポリN-置換アクリルアミド誘導体が、ポリN,N-ジメチルアクリルアミド及び/またはポリN-ヒドロキシエチルアクリルアミドである、請求項1または2に記載の超低曳糸性感触調整剤。
【請求項4】
前記化粧料を肌に塗布した直後から塗布終了までの間、持続して認められるリッチ感を制御する、請求項13のいずれかに記載の超低曳糸性感触調整剤。
【請求項5】
前記水溶性高分子の30℃での粘度が223~447mPa・sである、請求項14のいずれかに記載の超低曳糸性感触調整剤。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の超低曳糸性感触調整剤を配合したことを特徴とする化粧料。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2019年4月24日付け出願の日本国特許出願2019-082627号の優先権を主張しており、ここに折り込まれるものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、化粧料原料に関し、さらに詳しくは、塗布時の使用感を制御する感触調整剤に関する。
【背景技術】
【0003】
化粧料においては、その有効性もさることながら、塗布時の使用感触も、消費者が重要視する評価項目である。特に、化粧水や乳液、クリームといった肌に塗り延ばして使用する化粧料では、べたつかずにのびがよく、さらに塗布中ずっとリッチ感が持続するものが好まれる傾向にある。
【0004】
化粧料の塗布時の使用感触を制御する代表的な成分としては、天然・(半)合成の水溶性高分子や粉体等が挙げられる。特に、水溶性高分子は、製品形態に適した粘度を実現し、さらには(高配合により)リッチ感の発現にも寄与し得るため、非常に多くの化粧料に配合されている。
【0005】
このような目的で用いられる天然の水溶性高分子としては、アラビアゴムやキサンタンガム等の多糖類が挙げられる。また、合成の水溶性高分子としては、ポリアクリル酸及びその塩等のアニオン性高分子が最も頻繁に用いられている。
【0006】
しかしながら、多糖類は皮膚内部に浸透せず肌上に残るため、高配合するとべたつきを生じるという問題がある。また、市場に流通しているポリアクリル酸(塩)の多くは曳糸性(糸を引く性質)を有するため、高配合すると曳糸感を生じる傾向が認められる(特許文献1参照)。曳糸感とは、指にまとわりつくようなネバネバした感触のことであり、化粧料では一般に敬遠される使用感触である。
さらに、これらの水溶性高分子の高配合により、系の粘度が大幅に変わることも問題である。所望の製品形態に適した粘度でなくなる場合があるからである。
【0007】
このように、汎用の感触調整剤では、高配合すると系の粘度が大幅に変化したり、べたつきや好ましくない使用感(曳糸感)を生じるため、リッチ感の発現との両立が難しい場合が多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】WO2015/052804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来技術が抱える問題に鑑みてなされたものであり、化粧料の粘度を大幅に変化させず、塗布時のべたつきやのびを悪くすることもなく、顕著なリッチ感を付与できる成分の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題に対して本発明者が鋭意研究を重ねた結果、重量平均分子量が50万~800万で当該水溶性高分子の2質量%水溶液の室温における曳糸長が10mm以下であるポリアクリルアミドまたはポリN-置換アクリルアミド誘導体が、化粧料の粘度を大きく変化させない範囲内(濃度)で、塗布時のべたつきやのびを悪くすることなく、リッチ感を生じる効果に非常に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1] ポリアクリルアミド及びポリN-置換アクリルアミド誘導体から選ばれる1以上の水溶性高分子からなる化粧料の超低曳糸性感触調整剤であって、
前記水溶性高分子の重量平均分子量が50万~800万であり、かつ分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が3.0~7.04であり、
前記水溶性高分子の30℃での粘度が1000mPa・s以下であり、
前記水溶性高分子の2質量%水溶液の室温における曳糸長(前記水溶液の表面に直径約1cmの丸型円盤を均一に軽く接触させた後、5mm/秒の速度で容器を降下させて、当該溶液の糸曳きが切れるまでに前記容器が降下した距離)が5mm以下である、
化粧料の超低曳糸性感触調整剤。
[2] 前記ポリN-置換アクリルアミド誘導体の当該置換基が、メチル基、エチル基、及びヒドロキシエチル基から選ばれる置換基である、[1]に記載の超低曳糸性感触調整剤。
[3] 前記ポリN-置換アクリルアミド誘導体が、ポリN,N-ジメチルアクリルアミド及び/またはポリN-ヒドロキシエチルアクリルアミドである、[1]または[2]に記載の超低曳糸性感触調整剤。
[4] 前記化粧料を肌に塗布した直後から塗布終了までの間、持続して認められるリッチ感を制御する、[1][3]のいずれかに記載の超低曳糸性感触調整剤。
[5] 前記水溶性高分子の30℃での粘度が223~447mPa・sである、[1][4]のいずれかに記載の超低曳糸性感触調整剤。
[6] [1]~[5]のいずれかに記載の超低曳糸性感触調整剤を配合したことを特徴とする化粧料。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、化粧料の粘度を大幅に変化させず、塗布時のべたつきやのびを悪くすることもなく、顕著なリッチ感を付与できる感触調整剤と、該感触調整剤を配合した化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。
・水溶性高分子
本開示に係る感触調整剤は、特定の分子量と曳糸長を有するポリアクリルアミド及びポリN-置換アクリルアミド誘導体から選ばれる1以上の水溶性高分子からなるものである。
前記分子量としては、重量平均分子量が50万~800万であることが好ましく、さらに好ましくは200万~600万である。重量平均分子量が50万未満ではリッチ感が得られない場合があり、800万を超えるとべたつきが生じる場合がある。
前記曳糸長としては、当該水溶性高分子の2質量%水溶液の室温における曳糸長が10mm以下、好ましくは6mm以下である。前記曳糸長が10mmを超えると曳糸性が顕著になり、べたつきが生じる場合がある。
なお、本開示に係る“曳糸長”とは、“水溶性高分子の2質量%水溶液の表面に直径約1cmの丸型円盤を均一に軽く接触させた後、5mm/秒の速度で前記容器を降下させて、当該溶液の糸曳きが切れるまでに前記容器が降下した距離”のことを指す。
【0014】
本発明に好適に用いることができるポリN-置換アクリルアミド誘導体としては、当該置換基がメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、イソプロピル基、ドデシル基、tert-ブチル基であるものが挙げられ、具体的な化合物としては、ポリN-メチルアクリルアミド、ポリN-エチルアクリルアミド、ポリN-ヒドロキシエチルアクリルアミド、ポリN-イソプロピルアクリルアミド、ポリN,N-ジメチルアクリルアミド、ポリN,N-ジエチルアクリルアミド、ポリN,N-エチルメチルアクリルアミド、ポリN-ドデシルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド等が挙げられる。このうち、前記置換基がメチル基、エチル基、またはヒドロキシエチル基であるものが好ましく、さらに、メチル基またはヒドロキシエチル基であるものが好ましい。本発明においては、ポリN,N-ジメチルアクリルアミド、ポリN-ヒドロキシエチルアクリルアミドを特に好適に用いることができる。
なお、本書では、ポリN-置換アクリルアミド誘導体の“N-”、“N,N-”を省略して表記する場合がある。
【0015】
本開示に係る感触調整剤は、前記ポリアクリルアミド及びポリN-置換アクリルアミド誘導体から選ばれるいずれか1種の水溶性高分子であってもよく、2種以上の水溶性高分子を組み合わせたものであってもよい。前記2種以上の水溶性高分子は、前記ポリアクリルアミドと前記ポリN-置換アクリルアミド誘導体の各々から選ばれたものであってもよく、前記ポリN-置換アクリルアミド誘導体から選ばれた2種以上の水溶性高分子であってもよい。
【0016】
・水溶性高分子の合成方法
本発明に係るポリアクリルアミド及びポリN-置換アクリルアミド誘導体は、公知のリビング重合法により合成することができる。リビング重合には、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合、リビングラジカル重合(精密ラジカル重合、又は制御ラジカル重合)が挙げられる。
【0017】
リビングラジカル重合には、ニトロキシドを介した(ラジカル)重合、又はニトロキシド媒介(ラジカル)重合(NLRP)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加-開裂連鎖移動(RAFT)重合等が挙げられる。原子移動ラジカル重合(ATRP)には、電子移動由来アクチベーターATRP、又は電子移動により生成する活性化剤ATRP(AGET ATRP)、電子移動由来再生アクチベーターATRP又は電子移動により再生される活性化剤ATRP(ARGET ATRP)、連続的に活性種を再生するための開始剤ATRP又は活性化剤が定常的に再生する開始剤ATRP(ICAR ATRP)、逆ATRP(Reverse ATRP)が挙げられる。可逆的付加-開裂連鎖移動(RAFT)重合の派生技術として、有機テルルを成長末端とするリビングラジカル重合、又は有機テルル媒介リビングラジカル重合(TERP)、アンチモン媒介リビングラジカル重合(SBRP)、ビスマス媒介リビングラジカル重合(BIRP)が挙げられる。その他のリビングラジカル重合として、ヨウ素移動ラジカル重合(IRP)、コバルト媒介ラジカル重合(CMRP)等が挙げられる。
【0018】
アクリル酸の直接重合は重合の簡便さから好ましいが、触媒などの不溶塩の生成等で重合が困難な場合には、t-ブチルアクリレート、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸メチル等の保護アクリル酸エステルを使用し、その後脱保護を行うことで、目的の高分子化合物を得ることができる。
【0019】
本発明においては、特に高分子量体の精密合成(すなわち、分子量分布の狭い高分子化合物の合成)が可能な点で可逆的付加-開裂連鎖移動重合法(RAFT重合法)が好ましい(WO98/01479)。連鎖移動剤はジチオ型、トリチオ型が好ましい。重合開始剤は連鎖移動剤と化学構造が近いものが好ましく、アゾ系開始剤が好ましい。重合溶媒は特に限定されず、モノマー、ポリマーへの溶解性が高いものが適宜選択される。重合時間は、数時間から100時間程度が好適である。
【0020】
本発明において採用されているRAFT重合法では、生長末端の反応性が低く抑えられるため分岐や架橋といった反応が生じにくい。分岐や架橋が起こると一般にはポリマーの粘度も増加する。本発明に係る感触調整剤の備える曳糸性の低さは架橋や分岐反応が起こりにくい重合法を選択していることに起因していると考えられる。
【0021】
・水溶性高分子の分子量測定方法
水溶性高分子の分子量は、重量平均分子量については光散乱法、超遠心法、クロマトグラフィー法等、数平均分子量については浸透圧法、クロマトグラフィー法等の公知の方法によって測定することができる。なかでも、少量の試料で簡便に重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布が得られる点でクロマトグラフィー法が好ましく、さらには、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(以下、GPCと略記)が好適である。
なお、本願で用いる分子量分布は、GPC解析によって得られた重量平均分子量を数平均分子量で除した値である。
【0022】
本開示に係る感触調整剤は、化粧料に好適に配合することができる。化粧料に配合することで、当該化粧料の粘度を大幅に変化させることなく、また、塗布時のべたつきのなさやのびのよさを損うこともなく、リッチ感を顕著に改善することができる。
本開示における“粘度の大幅な変化”とは、基準となる粘度に対し、粘度が3分の1以下または3倍以上となる変化を意味し、さらに好ましくは、粘度が2分の1以下または2倍以上となる変化を意味する。
また、本開示における“塗布時のリッチ感”とは、特に断りがない限り、“化粧料を肌に塗布した直後から塗布終了までの間、持続して認められるリッチ感”のことである(注:本願試験例2及び3では、各合成例の化合物の特性及び効果を詳細に評価するために、“塗布時のリッチ感”をさらに“塗布直後のリッチ感”と“塗布直後より後のリッチ感”に分けて解析している)。さらに、ここでいう“リッチ感”とは、“塗布中こってりに感じて、もちもちとした適度な手応えのある感覚”のことである。
【0023】
本開示に係る感触調整剤は、さまざまな種類の化粧料に配合することができるが、肌に塗布するタイプの化粧料であって、水相を連続相とする化粧料(例として、水性化粧料や水中油型化粧料)への配合が好適である。本発明の効果が顕著に得られるからである。
水相を連続相とする化粧料としては、水性化粧料や水中油型化粧料が挙げられ、製品形態としては、化粧水、乳液、美容液、クリーム、化粧下地等が挙げられる。このうち、特に好ましくは、化粧水、乳液、美容液である。
本開示に係る化粧料は、化粧水である場合には、粘度が100~500mPa・sの範囲内であることが好ましく、美容液または乳液である場合の好ましい粘度は、2000~20000mPa・sであり、さらに好ましくは4000~7000mPa・sである。
【0024】
化粧料における当該配合量は、0.005~2質量%、好ましくは0.005~1質量%、より好ましくは0.005~0.5質量%である。配合量が0.005質量%未満であると適切なリッチ感が得られない場合があり、2質量%を越えて配合するとべたつきが生じる場合がある。
【0025】
本開示に係る化粧料には、化粧料に通常用いられる油相成分、水相成分、界面活性剤、乳化剤等を配合することができる。
【0026】
・油相成分
油相成分としては、通常化粧料に用いられる炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、液体油脂、固体油脂、ロウ等の油分、及び、油溶性紫外線吸収剤、香料等の油性成分が挙げられる。
【0027】
炭化水素油としては、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソパラフィン、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0028】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0029】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)-2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0030】
合成エステル油としては、例えば、オクタン酸オクチル、ノナン酸ノニル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ピバリン酸トリプロピレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、ジイソステアリン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート-2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0031】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等)、環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
【0032】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0033】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0034】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、 POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0035】
油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、3,4,5-トリメトキシケイ皮酸3-メチル-4-[メチルビス(トリメチルシリキシ)シリル]ブチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、オクトクリレン等が挙げられる。
【0036】
香料としては、動物または植物より得られる天然香料と、化学的合成手段によって製造される合成香料、及びそれらの混合物である調合香料が挙げられ、特に限定されない。香料を配合することで、香りの持続性に優れた化粧料を得ることができる。
【0037】
香料としては、天然香料、合成香料、及びそれらの混合物である調合香料のいずれであってもよく、例えば、アセチベノール、アニスアルデヒド、アネトール、アミルアセテート、アミルサリシレート、アリルアミルグリコレート、アリルカプロエート、アルデヒドC6~20、アンブレットライド、アンブレットリド、アンブロキサン、イオノン、イソイースーパー、オイゲノール、オウランチオール、ガラクソリド、カローン、クマリン、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、サンダロア、サンタロール、サンデラ、シクラメンアルデヒド、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセノール、シトラール、シトロネリルアセテート、シトロネロール、シネオール、ジハイドロミルセノール、ジャスモラクトン、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、スチラリルアセテート、セドリルアセテート、セドロール、ダマスコン、ダマセノン、デカラクトン、テルピニルアセテート、テルピネオール、トナリッド、トナリド、トリプラール、ネロール、バクダノール、バニリン、ヒドロキシシトロネラール、フェニルエチルアセテート、フェニルエチルアルコール、ヘキシルサリシレート、ベチベリルアセテート、ヘディオン、ヘリオトロピン、ヘリオナール、ベルトフィックス、ベンジルアセテート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ペンタリッド、ボルニルアセテート、マイオール、ムスクケトン、メチルアンスラニレート、メチルジヒドロジャスモネート、ヤラヤラ、ライムオキサイド、リナリルアセテート、リナロール、リモネン、リラール、リリアール、ローズオキサイド、ロジノール、アンジェリカオイル、アニスオイル、アルモアゼオイル、バジルオイル、ベイオイル、ベルガモットオイル、カラムスオイル、カンファーオイル、カナンガオイル、カルダモンオイル、カッシアオイル、セダーウッドオイル、セロリオイル、カモミールオイル、シナモンオイル、クローブオイル、コリアンダーオイル、クミンオイル、ディルオイル、エレミオイル、エストラゴンオイル、ユーカリオイル、フェンネルオイル、フェヌグリークオイル、ガルバナムオイル、ゼラニウムオイル、ジンジャーオイル、グレープフルーツオイル、ガヤックウッドオイル、ヒバオイル、ヒノキオイル、ジュニパーベリーオイル、ラバンジンオイル、ラベンダーオイル、レモンオイル、ライムオイル、マンダリンオイル、ジラムオイル、モミザオイル、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、ミルオイル、ミルトルオイル、ナツメグオイル、オークモスオイル、オリバナムオイル、オポポナックスオイル、オレンジオイル、パセリオイル、パチュリオイル、ペッパーオイル、ペリラオイル、プチグレンオイル、ネロリオイル、オレンジフラワーオイル、ピメントオイル、オールスパイスオイル、パインオイル、ローズオイル、ローズマリーオイル、クラリセージオイル、セージオイル、サンダルウッドオイル、スチラックスオイル、タジェオイル、タイムオイル、チュベローズオイル、バレリアンオイル、ベチバーオイル、バイオレットリーフオイル、ウィンターグリーンオイル、ワームウッドオイル、イランイランオイル、ユズオイル、カッシーアブソリュート、ジュネアブソリュート、ヒヤシンスアブソリュート、インモルテルアブソリュート、ジャスミンアブソリュート、ジョンキルアブソリュート、ナルシスアブソリュート、ローズアブソリュート、バイオレットリーフアブソリュート、ベンベンゾイン等が挙げられる。
【0038】
・水相成分
水相成分としては、通常化粧料に使用される、水、及び、水溶性アルコール、増粘剤(水溶性高分子)、保湿剤、キレート剤、防腐剤、色素、金属イオン封鎖剤、pH調整剤等の水性成分を適宜配合することができる。
【0039】
水は特に限定されず、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等が挙げられる。
【0040】
水溶性アルコールとしては、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、2価アルコールアルキルエーテル類、2価アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0041】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0042】
多価アルコールとしては、例えば、2価アルコール(例えば、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等)、3価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等)、4価アルコール(例えば、ジグリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等)、5価アルコール(例えば、キシリトール、トリグリセリン等)、6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等)、多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等)、2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等)、2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等)、2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等)、グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等)、糖アルコール(例えば、マルトトリオ-ス、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコ-ス、フルクト-ス、デンプン分解糖、マルト-ス、デンプン分解糖還元アルコール等)、グリソリッド、テトラハイドロフルフリルアルコール、POE-テトラハイドロフルフリルアルコール、POP-ブチルエーテル、POP・POE-ブチルエーテルトリポリオキシプロピレングリセリンエーテル、POP-グリセリンエーテル、POP-グリセリンエーテルリン酸、POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0043】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等)、四炭糖(例えば、D-エリトロ-ス、D-エリトルロ-ス、Dートレオ-ス、エリスリトール等)、五炭糖(例えば、L-アラビノ-ス、D-キシロ-ス、L-リキソ-ス、D-アラビノ-ス、D-リボ-ス、D-リブロ-ス、D-キシルロ-ス、L-キシルロ-ス等)、六炭糖(例えば、D-グルコ-ス、D-タロ-ス、D-ブシコ-ス、D-ガラクト-ス、D-フルクト-ス、L-ガラクト-ス、L-マンノ-ス、D-タガト-ス等)、七炭糖(例えば、アルドヘプト-ス、ヘプロ-ス等)、八炭糖(例えば、オクツロ-ス等)、デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボ-ス、6-デオキシ-L-ガラクト-ス、6-デオキシ-L-マンノ-ス等)、アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等)、ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0044】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0045】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸-トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン等が挙げられる。
【0046】
その他のポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(グルカムE-10)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(グルカムP-10)等が挙げられる。
【0047】
増粘剤としては、増粘作用を有する天然、半合成、合成の水溶性高分子(本開示に係る感触調整剤を除く)であって、化粧料に通常用いられるものを、本発明の効果を阻害しない範囲内で配合することができる。
【0048】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラーヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸)、微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等)、動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0049】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等)、セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等)、アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0050】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等)、ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等)、アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート等)、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
【0051】
保湿剤としては、例えば、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラ-ゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、DL-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0052】
水溶性紫外線吸収剤としては、例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸及びその塩、フェニレン-ビス-ベンゾイミダゾール-テトラスルホン酸及びその塩等のベンゾイミダゾール系紫外線吸収剤、3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル等が挙げられる。
【0053】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等)、有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等)、無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等)、無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等)、無機褐色系顔料(例えば、γ-酸化鉄等)、無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等)、無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等)、無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等)、無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等)、無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等)、パール顔料(例えば、酸化チタンコ-テッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等)、金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等)、ジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレ-キ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等)、天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0054】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0055】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0056】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等)、消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等)、美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等)、各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピートキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等)、血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等)、抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等)、抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0057】
・界面活性剤
本開示に係る化粧料には、種々の界面活性剤及び/または乳化剤を、単独でまたは組み合わせて用いることができる。
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤より任意に選択することができ、全体としてHLB7以上となることが好ましい。ここで、HLBとは、親水性-親油性のバランス(Hydrophilic-Lypophilic Balance)を示す指標であり、本発明においては小田、寺村らによる次式を用いて算出した値である。
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性値)×10
また、「全体としてのHLBが7以上」とは、例えば、HLBがaである界面活性剤をx質量%とHLBがbである界面活性剤を(100-x)質量%組み合わせて使用した場合、全HLB=a・x/100+b・(100-x)/100とした時の値を意味する。
【0058】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、セチルトリエチルアンモニウムメチルサルフェート等の第4級アンモニウム塩が挙げられる。また、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド等のアミドアミン化合物等が挙げられる。
【0059】
アニオン界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N-アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテル酢酸等のカルボン酸塩型、α-オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸型、高級アルコール硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩型、リン酸エステル塩型等に分類される。好ましくは、カルボン酸塩型、スルホン酸型及び硫酸エステル塩型であり、特に好ましくは硫酸エステル塩型である。
具体的には、例えば、脂肪酸石鹸(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等)、アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等)、N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等)、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等)、リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等)、スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等)、高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等)、N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等)、硫酸化油(例えば、ロート油等)、POE-アルキルエーテルカルボン酸、POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0060】
非イオン性界面活性剤としては、親油性・親水性非イオン性界面活性剤のいずれをも用いることができる。
【0061】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等)、グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0062】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等)、POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等)、POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等)、POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等)、プルロニック型類(例えば、プルロニック(登録商標)等)、POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等)、テトラ POE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等)、POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等)、POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等)、アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等)、POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル、POE-アルキルアミン、POE-脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド-トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0063】
乳化剤としては、化粧料に通常用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、高分子乳化剤として機能する高分子化合物を用いることができる。そのような高分子化合物としては、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が挙げられ、カーボポール(Carbopol)1342、ペミュレン(Pemulen)TR-1、ペミュレン(Pemulen)TR-2の商品名で知られる市販品を使用することができる。
本開示に係る化粧料には、乳化剤として上記高分子化合物を好適に用いることができる。
【0064】
本開示に係る化粧料は、定法に従って作製することができる。例えば、油相成分を混合溶解し、それを攪拌しながら水相成分に添加して乳化または可溶化させることにより、水中油型化粧料または水性化粧料を製造してもよい。
【実施例
【0065】
以下に、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、この実施例により本発明の範囲が限定されるべきものではない。
【0066】
下記実施例では、合成した水溶性高分子化合物の重量平均分子量及び数平均分子量をそれぞれM、Mと略記する場合がある。また、配合量は、特に断りがない限り、質量%である。また、下記試験例2及び3では、水溶性高分子化合物が奏する“塗布時のリッチ感”をより詳細に解析するために、“塗布直後のリッチ感”と“塗布直後より後のリッチ感”に分けて解析を行っている。後者の“塗布直後より後のリッチ感”は、“リッチ感の持続性”を示す指標である。
最初に、試験例で用いた水溶性高分子の合成方法を示す。下記反応において、V501は4,4’-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)(重合開始剤)、CPDは4-シアノペンタン酸ジチオベンゾエート(連鎖移動剤)の略記である。
【0067】
[試験例1:水溶性高分子化合物の合成]
合成例1:ポリアクリルアミド-1
超純水(36ml)にアクリルアミド(10.05g)を溶解し、アルゴン置換を行った。メタノール溶液(4ml)にV501(0.71mg)を溶解してアルゴン置換を行った後、前記溶液に添加し、60℃で24時間重合反応を行った。重合反応後、精製水で3日間透析し、その後凍結乾燥を行うことでポリアクリルアミドを回収した。GPCを用いて解析した結果、得られたポリアクリルアミドの重量平均分子量は496万で、分子量分布は9.47であった。
本開示では以降、当該ポリアクリルアミドをポリアクリルアミド-1と呼ぶ場合がある。
【0068】
合成例2:ポリアクリルアミド-2
超純水(36ml)にアクリルアミド(10.05g)を溶解し、アルゴン置換を行った。メタノール溶液(4ml)にV501(0.75mg)とCPD(2.12mg)を溶解してアルゴン置換を行った後、前記溶液に添加し、60℃で24時間重合反応を行った。重合反応後、精製水で3日間透析し、その後凍結乾燥を行うことでポリアクリルアミドを回収した。GPCを用いて解析した結果、得られたポリアクリルアミドの重量平均分子量は351万で、分子量分布は3.0であった。
本開示では以降、当該ポリアクリルアミドをポリアクリルアミド-2と呼ぶ場合がある。
【0069】
合成例3:ポリヒドロキシエチルアクリルアミド
超純水(16.6ml)にヒドロキシエチルアクリルアミド(6.42g)を溶解し、アルゴン置換を行った。メタノール溶液(2ml)にV501(0.34mg)とCPD(0.34mg)を溶解し、アルゴン置換を行った後、前記溶液に添加し、60℃で24時間重合反応を行った。重合反応後、精製水で3日間透析し、その後凍結乾燥を行うことでポリヒドロキシエチルアクリルアミドを回収した。GPCを用いて解析した結果、得られたポリヒドロキシエチルアクリルアミドの重量平均分子量は371万で、分子量分布は6.23であった。
【0070】
合成例4:ポリジメチルアクリルアミド-1
超純水(36ml)にN,N-ジメチルアクリルアミド(10.05g)を溶解し、アルゴン置換を行った。メタノール溶液(2ml)にV501(14.08mg)を溶解し、アルゴン置換を行った後、前記溶液に添加し、60℃で24時間重合反応を行った。重合反応後、精製水で3日間透析し、その後凍結乾燥を行うことでポリジメチルアクリルアミドを回収した。GPCを用いて解析した結果、得られたポリジメチルアクリルアミドの重量平均分子量は475万で、分子量分布は4.47であった。
本開示では以降、当該ポリジメチルアクリルアミドをポリジメチルアクリルアミド-1と呼ぶ場合がある。
【0071】
合成例5:ポリジメチルアクリルアミド-2
超純水(36ml)にN,N-ジメチルアクリルアミド(10.04g)を溶解し、アルゴン置換を行った。メタノール溶液(2ml)にV501(14.05mg)とCPD(1.42mg)を溶解し、アルゴン置換を行った後、前記溶液に添加し、60℃で24時間重合反応を行った。重合反応後、精製水で3日間透析し、その後凍結乾燥を行うことでポリジメチルアクリルアミドを回収した。GPCを用いて解析した結果、得られたポリジメチルアクリルアミドの重量平均分子量は287万で、分子量分布は7.04であった。
本開示では以降、当該ポリジメチルアクリルアミドをポリジメチルアクリルアミド-2と呼ぶ場合がある。
【0072】
合成例6:ポリアクリル酸ナトリウム
イオン交換水(9ml)にアクリル酸(2511mg)とV501(0.17mg)を溶解し、CPD(0.17mg)を溶解させたメタノール溶液(1ml)を加え、アルゴン雰囲気下、60℃で24時間重合反応を行った。重合反応後、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを6.0~7.0に調整(=完全中和)した後、精製水に対して4日間透析し、凍結乾燥を行うことでポリアクリル酸ナトリウムを回収した。GPCを用いて解析した結果、得られたポリアクリル酸ナトリウムの重量平均分子量は730万で、分子量分布は1.2であった。
なお、当該ポリアクリル酸ナトリウムは、特許文献1の実施例1の精密合成ポリアクリル酸ナトリウム-1に相当するものである。
【0073】
前記方法により合成した水溶性高分子化合物は、プレフィルター(アドバンテック社製、DISMIC-13HP PTFEフィルター、孔径0.45μm)で濾過した後に、GPC解析を行って分子量等を測定した。解析結果を表1に示す。
【表1】
【0074】
表1より、同じモノマー種であっても重合方法や条件が異なると、重量平均分子量や分子量分布が異なるポリマー(水溶性高分子化合物)が得られることが確認された(合成例1vs合成例2、合成例4vs合成例5)。
【0075】
[試験例2:水溶性高分子化合物の特性]
続いて、各水溶性高分子化合物の特性を評価した。評価項目と評価方法を以下に示す。
<粘度>
各高分子化合物の2質量%水溶液を調製し、B型回転粘度計(ビスメトロン粘度計、芝浦システム株式会社製)を用いて、30℃、12rpm、1分間回転後の粘度値(mPa・s)を測定した。
【0076】
<曳糸長>
各高分子化合物の2質量%水溶液を調製し、テクスチャーアナライザー(TA XT PLUS,ステーブルマイクロシステムズ社製)にセットし、表面に直径約1cmの丸型円盤を均一に軽く接触させた後、5mm/秒の速度で降下させて、溶液が糸を曳く様子を観察した。当該溶液の糸曳きが切れるまでに降下した距離を曳糸長として測定した。この曳糸長は、当該高分子化合物の曳糸性の指標となる値で、数値が大きいほど曳糸性が強いことを示す(特開2005-274350号公報参照)。
本願では、曳糸長が10mm以下である場合に低曳糸性と判断し、さらに5mm以下である場合に超低曳糸性と判断した。
【0077】
<塗布直後より後のリッチ感(リッチ感の持続性)>
天然の水溶性高分子であるヒアルロン酸ナトリウムでは、塗布直後から塗布終了までの間、リッチ感がほぼ減衰せずに持続することが知られている。そこで、専門パネル8名に対し、各水溶性高分子化合物の2質量%水溶液を右顔半面に、ヒアルロン酸ナトリウムの2質量%水溶液(陽性コントロール)を左顔半面にそれぞれ塗布してもらい、各高分子化合物水溶液の“塗布直後より後のリッチ感”について、陽性コントロールの当該効果と比較してもらった。結果を以下の記号で表す。
A:7名以上が、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液と同様と回答
B:5~6名が、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液と同様と回答
C:3~4名が、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液と同様と回答
D:2名以下が、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液と同様と回答
本開示においては、AとBを合格、CとDを不合格とした。
【0078】
<曳糸感のなさ>
ヒアルロン酸ナトリウムでは、塗布時に曳糸感を生じることなく、のびのよさやリッチ感を奏することが知られている。そこで、専門パネル8名に対し、各水溶性高分子化合物の2質量%水溶液とヒアルロン酸ナトリウムの2質量%水溶液(陽性コントロール)を手の項にそれぞれ塗布してもらい、各高分子化合物水溶液の塗布時の曳糸感のなさについて、陽性コントロールの当該効果と比較してもらった。結果を以下の記号で表す。
A:7名以上が、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液と同様と回答
B:5~6名が、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液と同様と回答
C:3~4名が、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液と同様と回答
D:2名以下が、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液と同様と回答
本開示においては、AとBを合格、CとDを不合格とした。
【0079】
【表2】
【0080】
表2に示されるように、合成例1~5の水溶性高分子は、ヒアルロン酸ナトリウムと同様に、塗布直後より後でもリッチ感が持続した。さらに、合成例2~5の水溶性高分子は粘度が低く(1000mPa・s以下)、いずれも曳糸長が5mm以下で曳糸性が非常に低く、肌に塗布した際に曳糸感をほとんど生じないものであった。
これに対し、合成例1のポリアクリルアミド-1は、粘度が非常に高く(4940mPa・s)、曳糸長が12mmで曳糸性が高く、肌に塗布した際に曳糸感を生じるものであった。
一方、合成例6のポリアクリル酸ナトリウムは、粘度、曳糸長(曳糸性)ともに低く、肌に塗布した際にも曳糸感を生じないものであったが、リッチ感の持続性は認められなかった。
また、曳糸性が水溶性高分子の粘度と必ずしも相関しないこともこの表から示される。
続いて、これらの水溶性高分子を化粧料に配合した場合の効果を解析した。
【0081】
[試験例3:水溶性高分子の化粧料への配合効果]
合成例1~6の水溶性高分子等を配合した化粧料(美容液)を下記製造方法に従って作製し、下記項目(1)~(6)について下記方法によって評価した。当該処方と評価結果を表3に示す。
【0082】
・製造方法
ジメチコンとトリエチルヘキサノインを混合溶解し(=混合液A)、水酸化カリウム以外の残りの成分を均一に溶解した(=混合液B)。混合液Aを混合液Bに徐添し、ホモジナイザーを用いて混合した。さらに、水酸化カリウムを添加してホモジナイザー処理することで、所定の化粧水を得た。
【0083】
・評価項目と評価方法
<粘度>
各組成物を30℃に保温した後、B型回転粘度計(ビスメトロン粘度計、芝浦システム株式会社製)を用いて1分間回転(12rpm)した後の粘度値(mPa・s)を測定した。
本開示では、基準となる組成物の粘度に対し、粘度が3分の1以下または3倍以上となった場合に“大幅に変化した”と判断した。
<pH>
pHメーター(HORIBA pH METER F-52、株式会社堀場製作所製)を用いて、25℃におけるpHを測定した。
<乳化粒子径>
光学顕微鏡(OLYMPUS社製:BX60)により観察した。
<使用感>
専門パネル8名に対し、各化粧料を顔に塗布してもらい、塗布直後のリッチ感、塗布直後より後のリッチ感(リッチ感の持続性)、べたつきのなさ、のびのよさ、について、当該効果の有無を回答してもらった。回答結果を以下の基準に従って集計し、表中に記載した。
A:7名以上が、効果があると答えた。
B:5~6名が、効果があると答えた。
C:3~4名が、効果があると答えた。
D:2名以下が、効果があると答えた。
本開示では、AとBを合格、CとDを不合格とした。
【0084】
【表3】
【0085】
表3に示されるように、合成例1~6のいずれの水溶性高分子も不含の化粧料(比較例1)は、美容液として好ましい粘度(4080mPa・s)を備え、べたつきもなく、のびのよさにも優れていたが、塗布直後・その後を問わず、塗布時にリッチ感を生じるものではなかった。
【0086】
これに対し、比較例1の処方に合成例1のポリアクリルアミド-1を追加した化粧料(比較例2)では、塗布直後から顕著なリッチ感が得られ、その後も持続した。しかしながら、粘度の増加が非常に大きく(比較例1の約4倍)、美容液というよりは乳液に近い製品形態に変わってしまったうえに、顕著なべたつきも呈していた(比較例2)。
【0087】
一方、比較例1の処方に合成例2~5の水溶性高分子を追加した化粧料(実施例1~4)では、粘度の上昇は少なく(比較例1の約1.4~1.6倍)、美容液として好適な粘度と製品形態を保持していた。さらに、これらの化粧料では、塗布直後から持続して顕著なリッチ感が得られ、べたつきもなく、のびのよさにも優れていた。
比較例1と実施例1の化粧料に配合したポリアクリルアミドでは曳糸性が大きく異なっていることから(表2)、粘度への影響が少なく、べたつきのなさを損なうことなく、それでいてリッチ感を発現させるには、曳糸性の低い(具体的には、曳糸長が10mm以下)水溶性高分子を配合する必要があることが示された。
【0088】
他方、比較例1の処方に合成例6のポリアクリル酸ナトリウムを追加した化粧料(比較例3)では、塗布直後にはリッチ感が得られたものの、その後急速に失われ、塗布中にはほとんど感じられなかった。比較例1の化粧料と比べて、べたつきとのびへの影響は認められなかったが、粘度が大幅に減少していた(比較例1の約4分の1)。
【0089】
また、比較例1の処方に高重合ポリエチレングリコール(Polyox WSR205、ダウ・ケミカル株式会社製、重量平均分子量60万)を追加した化粧料(比較例4)では、べたつきとのびへの影響はほぼ認められなかったが、比較例1の化粧料よりも粘度が大幅に減少し(比較例1の約4分の1)、塗布時のリッチ感も得られなかった。
【0090】
以上の結果より、曳糸性の低いポリアクリルアミド(実施例1)またはポリN-置換アクリルアミド誘導体(実施例2~4)は、粘度をあまり変化させない配合量で、塗布時のべたつきやのびを悪くすることなく、顕著なリッチ感を発現させられることが示された。
これに対し、アニオン性水溶性高分子(比較例3)は粘度への影響が非常に大きく、当該配合によって得られるリッチ感は持続しないことが示された。さらに、ノニオン性水溶性高分子であってもアクリルアミド系以外の水溶性高分子(比較例4)では、粘度を大幅に変化させない範囲の配合量では、リッチ感が発現しないことが示された。
【0091】
よって、重量平均分子量が50万~800万であって曳糸性の低い(具体的には曳糸長が10mm以下)ポリアクリルアミドまたはポリN-置換アクリルアミド誘導体は、化粧料の粘度を大きく変えることなく、塗布時のべたつきやのびを悪くすることなく、持続性のリッチ感を付与する感触調整剤として使用できることが示された。
【0092】
[処方例1: 乳液 ]
成分 配合量(質量%)
ジメチコン 2
トリエチルヘキサノイン 1
グリセリン 5
1,3-ブチレングリコール 3
(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)
クロスポリマー 0.4
ポリジメチルアクリルアミド-2(合成例5) 0.5
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))
クロスポリマー 0.07
水酸化カリウム 0.03
フェノキシエタノール 0.3
メチルパラベン 0.15
EDTA-2Na 0.03
香料 0.04
精製水 残余