(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】アライメント支援のための一体化瞳カメラを有する低コスト眼底撮像器
(51)【国際特許分類】
A61B 3/14 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
A61B3/14
(21)【出願番号】P 2021516963
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2019075770
(87)【国際公開番号】W WO2020064778
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-16
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503317201
【氏名又は名称】カール ツァイス メディテック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Carl Zeiss Meditec Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】502303382
【氏名又は名称】カール ツアイス メディテック アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シュトラウブ、ヨッヒェン
(72)【発明者】
【氏名】スプロール、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ユアン
(72)【発明者】
【氏名】エベレット、マシュー ジェイ.
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504219(JP,A)
【文献】特開2016-077337(JP,A)
【文献】特開2003-079579(JP,A)
【文献】特開2019-118720(JP,A)
【文献】特表2014-502552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼を撮像するための眼科診断システムであって、
検出器開口を有し、前記眼の画像を捕捉するための検出器と、
前記検出器開口に近接した少なくとも1つの第1の光源及び第2の光源と、
データプロセッサと、を備え、
前記検出器は、前記第1の光源が作動しており、前記第2の光源が作動していない状態で前記眼の第1の画像を捕捉し、前記第2の光源が作動しており、前記第1の光源が作動していない状態で前記眼の第2の画像を捕捉することにより、出力信号を生成し、
前記データプロセッサは、前記出力信号を使用して、前記第1の光源からの反射アーチファクトを除いた前記第1の画像の第1の区域を抽出するとともに、前記第2の光源からの反射アーチファクトを除いた前記第2の画像の第2の区域を抽出し、前記第1及び第2の区域を合成して合成画像を構築する、眼科診断システム。
【請求項2】
少なくとも1つの第3の光源をさらに備え、
前記第1及び第2の光源は前記眼の網膜を照明し、前記第3の光源は前記眼の瞳を照明し、
前記検出器は、前記眼の網膜と共役な第1の撮像領域、及び前記眼の瞳と共役な第2の撮像領域を有する、請求項1に記載の眼科診断システム。
【請求項3】
前記第3の光源は赤外線光源であり、前記第1及び第2の光源は可視光源である、請求項2に記載の眼科診断システム。
【請求項4】
前記検出器は、前記検出器の軸方向光路に沿って第2の光検知器アレイの前に第1の光検知器アレイを含み、前記第1の撮像領域は前記第1の光検知器アレイ内に存在し、前記第2の撮像領域は前記第2の光検知器アレイ内に存在する、請求項2に記載の眼科診断システム。
【請求項5】
前記検出器の軸方向光路に沿った中央開口を囲む外側領域を有する検出器レンズをさらに備え、前記開口の直径は、前記検出器レンズが前記眼の網膜からの反射光を受光することを防止するのに十分な大きさであり、前記外側領域は、前記眼の瞳からの反射光を前記第2の光検知器アレイの前記第2の撮像領域上へ集束させる、請求項4に記載の眼科診断システム。
【請求項6】
前記第1の光検知器アレイは第1のカメラユニットの一部であり、
前記第2の光検知器アレイは第2のカメラユニットの一部であり、
前記第1のカメラユニットは前記中央開口内に挿入されている、請求項5に記載の眼科診断システム。
【請求項7】
前記第1の撮像領域及び前記第2の撮像領域が単一光検知器アレイ内に画定されている、請求項2に記載の眼科診断システム。
【請求項8】
前記検出器を囲むとともに前記眼へ向けられた湾曲反射器であって、患者により可視である前記眼の画像を提供する湾曲反射器をさらに備え、
前記患者により可視である前記眼の画像は、前記検出器と前記眼とのアライメントを示す、請求項1に記載の眼科診断システム。
【請求項9】
前記検出器開口から前記眼への光路において第2の湾曲反射器から分離された第1の湾曲反射器であって、前記光路内にレンズ系の無い第1の湾曲反射器をさらに備える請求項1に記載の眼科診断システム。
【請求項10】
前記第1の湾曲反射器は、第1の視野(FOV)において前記第1及び第2の光源からの光を受光して、当該受光した光を前記第2の湾曲反射器へ反射し、
前記第2の湾曲反射器は、前記第1のFOVと異なる第2のFOVにおいて前記第1の湾曲反射器からの前記受光した光を前記眼へ反射する、請求項9に記載の眼科診断システム。
【請求項11】
前記第2のFOVは前記第1のFOVより大きい、請求項10に記載の眼科診断システム。
【請求項12】
前記第1の湾曲反射器と前記第2の湾曲反射器との間の隔たりが調整されることにより前記眼内の屈折誤差が補償される、請求項9に記載の眼科診断システム。
【請求項13】
前記検出器は、前記第1の光源及び前記第2の光源の各々ごとに別個の全視野の眼底画像を捕捉する、請求項1に記載の眼科診断システム。
【請求項14】
前記眼科診断システムは、角膜反射による反射アーチファクトを除去および/またはレンズ系に起因するアーチファクトの無い合成画像を構築するものである、請求項1に記載の眼科診断システム。
【請求項15】
前記第1の区域は、前記第1の光源からの反射アーチファクトを含む扇形部分全体を前記第1の画像から除去して得られ、前記第2の区域は、前記第2の光源からの反射アーチファクトを含む扇形部分全体を前記第2の画像から除去して得られる、請求項1に記載の眼科診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、眼底撮像器の分野を対象とし、より具体的には、改善された視野の低コスト眼底撮像器を対象とする。
【背景技術】
【0002】
試験下の試料を撮像するための様々なタイプの画像捕捉装置が知られている。特に興味が持たれているのは、十分な詳細(例えば十分な焦点、照明、拡大及び信号対雑音比(SNR))を有する検体のクローズアップ画像を撮影することができる撮像システムである。このような撮像システムの例は眼の眼底を撮像するために通常使用される眼底撮像器である。眼底は、眼水晶体(又は水晶体)と反対方向に存在する眼の内面であり、網膜、視神経円板、網膜黄斑、中心窩及び後極を含み得る。眼底を撮像するために使用される2つのカテゴリの撮像システムは投光照明撮像器及び走査撮像器である。走査撮像器はさらに共焦点走査眼底撮像器と線走査撮像器とに分割され得る。
【0003】
投光照明撮像器は、同時に閃光ランプを用いるなどして試料の対象とする全視野(FOV)に投光し、全フレームカメラ(例えば、所望のFOVを捕捉するために十分な寸法の2次元(2D)フォトセンサアレイを概して有するカメラ)により試料(例えば眼底)の全フレーム画像を捕捉する。例えば、投光照明眼底撮像器は、眼の眼底に投光し、眼底の全フレーム画像をカメラの単一画像捕捉シーケンスで捕捉し得る。
【0004】
図1は投光照明眼底撮像器10の概念図である。閃光管15が照明源として示されており、その照明光は、照射軸17に沿った光路(様々なレンズ系19を含み得る)を辿って鏡23により光軸25(レンズ系11を含む)上へ折り返されて撮像対象試料(又は検体)(例えば、本例では眼13の網膜33)へ運ばれる。レンズ系11は、眼13に最も近い撮像器レンズであり、本明細書では接眼レンズ又は眼科用レンズと称され得る。光軸25は、網膜33に到達するように眼13の光学的構成要素(角膜27、虹彩28、瞳29及び水晶体31を含む)を横断する。したがって、光軸25に沿って進む照明光は、角膜27を通って眼13に入り、瞳29を通過し、水晶体31を横断して眼の後部(例えば眼底領域)における網膜33に投光し、網膜33(及び眼底の他の部分)により散乱され得る。眼底から戻った散乱光は、水晶体31、瞳29及び角膜27を通過して出て、光軸25に沿って進み視軸35に到り得る。視軸35は、複数のレンズ系21を含み得るものであって、眼底から戻った散乱光を、2D感光性領域を含む全フレームカメラ37(例えば検出器)へ向ける。例えば、2D感光性領域は感光素子(例えば光電セル、光ダイオード、光トランジスタなど)の2Dセンサアレイにより具現化され得る。眼底の全視野(FOV)38は、眼13の眼底の全フレーム画像39を生成するために概して2Dセンサアレイにより捕捉される。視軸35と照射軸17とは光軸25に沿って一致するので、鏡23は通常、眼13から戻る散乱光がカメラ37により捕捉されるために鏡23を通過して視軸35上へ進むことを可能にするために使用される中央に配置された開口43を有する。鏡23は平坦且つ環状(例えば、リング状)であってよく、その中心に円形開口43を有する。鏡23はさらに、瞳分割のために使用されると瞳29へ映し出され得る。
【0005】
瞳分割は、照明光(眼13に入る光)及び戻り光(眼から出る散乱光)が様々な経路を辿り瞳の最適選択領域において眼13内へ入る及びそれから出ることを可能にする。これらの領域は、例えば瞳クリッピング(例えば、その中心が瞳29を画定する虹彩28により光の一部が阻止/クリップされることを回避する)、白内障(例えば水晶体31の曇った領域)に起因する光散乱、照明光などに起因する角膜27からの正反射(例えば反射)を回避するように選択され得る。瞳分割の実施を容易にするために、照明光を眼13に向かって反射する鏡23であってその開口43が戻り光のカメラ37までの通過を可能にする鏡23が、瞳29へ又はその近くに映し出され得る(例えば、瞳29との共役面上に存在するようにされ得る)。例えば、鏡23が照射軸17からの照明光を眼13に向かう光軸25上へ折り返す(例えば反射する)と、環状照明領域(又は照明リング)が鏡の円形開口43によって眼13において(例えば瞳29の近くで)生成され得る。すなわち、鏡23の円形開口43は、環状照明領域の中心において角膜27近くの丸く且つ照明されない領域を生成し得る。散乱光は、この照明されない領域を通って眼13から出ることで、眼13に入る照明光との混合を回避し得る。
【0006】
画像アーチファクトの別の要因は様々なレンズ系における反射(例えば光反射)である。例えば、接眼レンズ11を通過する際に照明光により生成される接眼レンズ11における反射アーチファクトが特に懸念され得る。光学系表面からのこのような正反射アーチファクトは、光学系のいくつかの表面領域が照明されるのを防止するために照明経路内で不動であるとともに注意深く位置決めされる所謂ダークスポットを使用することにより低減され得る。反射を削除する必要性は、そのFOVを制限し得る制約を光学系に課し得る。投光照明撮像システムの例は、本発明と同じ譲受人へ移譲されるとともに参照のためにその全体を本明細書に援用する特許文献1に見出される。
【0007】
対照的に、共焦点走査眼底撮像器は、試料(例えば眼底)の所望のFOV全体にわたって垂直方向と水平方向との両方に走査される光のコヒーレント点ビームを使用し、眼底の一点照射部分(又はスポット)を一度に画像捕捉する。すなわち、所望の全FOVはカメラの単一画像捕捉シーケンスでは全体として捕捉されない。むしろ、点ビームが、各走査工程において試料の異なる点を照明することにより試料全体にわたって走査されると、戻り(例えば、屈折又は反射)光は、ピンホールを通過し、試料の点部分(例えば画像データの画素)を(例えば各走査工程において)一度に捕捉する光検出器上の単一所定位置に到達する。ピンホールは、戻り光ビームの中心のみが光検出器に到達することを可能にすることにより焦点外れ光信号を削除するのを助ける(例えば、戻り光ビームの外側拡散部分が阻止される)。戻り光は試料上の走査点ビームの走査位置に関係なく光検出器上の同じ点位置に到達するため、多くの個々の点部分(例えば画像データの画素)が、全フレーム画像を生成するためにカメラの連続的画像捕捉シーケンスで捕捉される必要がある。試料の所望のFOVの一全走査から生じる多くの捕捉された点部分は全フレーム画像を構成し得る合成画像を生成するために合成され得る。
【0008】
照明と検出との共焦点配置により、共焦点走査眼底撮像器は、迷光及び焦点外れ光を有利に抑制することができ、これにより瞳分割の必要性無しに高コントラスト像を生成することができる。したがって、投光照明眼底撮像器を上回る共焦点走査眼底撮像器の利点は、撮像対象標的点以外の表面から散乱する望ましくない光に対するより大きな識別能力を提供する増加されたレベルの共焦点性である。しかし、共焦点走査眼底撮像器は、点照明により動作するので、網膜を撮像する際の安全課題を引き起こす高強度を必要とし得る。同様に、試料からの戻り光の多くは光検出器に到るピンホールにより阻止されるので、その増加された解像度は通常、信号強度の低下を犠牲にしており、その結果その露光時間が伸ばされる必要があり得る。加えて、共焦点走査眼底撮像器は通常、水平及び垂直走査を実現するために複数の走査部品(例えば複数のガルバノメータすなわちガルボ(galvo))を必要とする。これらの走査部品は高価且つ複雑であり得るとともに、多くの点が全フレーム合成画像を構築するために収集される必要があるのでその画像生成を遅らせ得る。これはまた、画像歪みに至り得る画像の収集中の眼球運動の課題を提起し得る。
【0009】
線走査撮像器は、共焦点走査撮像器と投光照明撮像器との組み合わせと考えられ得る。線走査撮像器は試料(例えば網膜)の線形領域を一度に照明する。この照明線は所望のFOVの一端からその対向端にわたり得る走査線を画定する。走査線は、試料全体にわたって(例えば垂直方向又は水平方向に)走査(例えば、横断)され、これにより全FOVを一掃引で照明する。検出器(例えばカメラ)は、試料全体にわたって走査されるので、複数の走査位置において走査線を撮像し、合成全フレーム画像は複数の撮像及び走査された位置を合成することにより構築され得る。
【0010】
線走査撮像器は、一度に1つの線で試料を走査するために狭線ビーム(例えばレーザ線走査撮像器)又は幅広線ビーム(例えば幅広線走査撮像器)を使用し得る。眼底撮像器の分野では、線走査撮像器は線走査検眼鏡と称され得るものであり、この線走査撮像器は、レーザ線走査撮像器の一例でありレーザを通常使用して走査時に試料全体にわたって非常に狭い横断線を生成する線走査レーザ撮像器/検眼鏡(LSLO:line-scanning laser imager/ophthalmoscope)と、幅広線走査の撮像器の一例であり走査時に試料全体にわたって所定幅の横断幅広線を生成するべく非コヒーレント光源を使用し得る幅広線走査(眼底)撮像器/検眼鏡(BLFI:broad-line scanning (fundus)imager/ophthalmoscope)との両方を含む。参照のためその全体を本明細書に援用する特許文献2はLSLOについての説明を提供する。幅広線走査撮像器の例は、本発明と同じ譲受人へ移譲されるとともに参照のためにその全体を本明細書に援用する特許文献3及び特許文献4の両方に見出され得る。以下では、用語「線走査撮像器」はレーザ線(又は極狭線)走査撮像器(例えばLSLO)と幅広線走査撮像器(例えばBLFI)との両方又はそのいずれかを指すものと理解され得る。
【0011】
図2は、走査線ビーム115が試料(例えば眼75の網膜73)全体にわたって走査される一方で、眼75からの収集(光)路139上の戻り(例えば、散乱)光の線は検出器131上の不動な所定位置に維持されて検出器131全体にわたって走査しない所謂「スキャン-デスキャン(scan-descan)」走査構成の線走査撮像システム100を示す。放射源101(例えばレーザ、ランプ又はLEDなどの光源)は照明線ビーム103(非コヒーレント光ビーム又はレーザビーム)を生成する。撮像される試料表面に映される放射口105が、照明線ビーム103を整形するのを助けるために放射源101の前に配置され得る。眼底走査撮像器の場合、放射口105は眼75の網膜73へ映され得る。
【0012】
照明線ビーム103は、走査部品137に到達する前に1つ又は複数の光学系を通過し得る。例えば、照明線ビーム103は、コリメイトレンズ111及びビームスプリッタ(又はビーム分割器)133を通過して、1つ又は複数の鏡ガルバノメータ、MEMSスキャナ、電子光学偏光器、及び/又は回転ポリゴンスキャナなどの複数の様々な実装のうちの任意のものを採用し得る走査部品137に到達し得る。例えば、走査部品137が鏡ガルバノメータとして実装される場合、鏡は、撮像対象試料(例えば網膜73)全体にわたる照明線(例えば走査線)を規定する放射の走査線ビーム(例えば走査線ビーム115)を規定するために、個別工程(又は連続的且つ規定可能工程)においてビームスプリッタ133から受光された照明線ビーム103を走査するべく回転するようにされる。通常、走査レンズ117及び接眼レンズ119は走査部品137と眼75との間の光路内に配置される。一般的に、走査レンズ117は、複数の走査角度(入射角)のうちの任意の角度で走査部品137から走査ビームを受光して、ほぼ平面の焦点面を有する走査線ビーム115(例えばコリメート光路)を生成する。接眼レンズ119は、眼底を撮像するために走査線ビーム115を眼75の網膜73上に集束し得る。すなわち、走査線ビーム115は網膜73全体にわたる横断走査線を生成する。
【0013】
図3は、走査対象上に生成され得る際の走査線の簡略パターンを示す。本例では、走査線は、垂直走査パターン内に複数の走査線L1~Liを生成するために垂直方向に走査(例えば、横断)される(垂直走査)。線走査撮像器は、一般的に、走査線(L1~Li)に対して垂直な(例えばY軸に沿った)焦点外れ光の一定レベルの共焦点抑制を維持し得るが、線に沿った(例えばX軸に沿った)共焦点抑制に欠ける。走査線はまた、撮像を強化するために使用され得る。例えば、照明ストリップの縁の鮮鋭度は、照明が検出器による捕捉中に顕著に移動されなかった場合(通常、走査ビームが段階的に走査され、捕捉中に比較的不動である場合)の線走査システムの最適焦点を見出すために使用され得る。照明されない網膜上の場所が、眼の焦点外れ領域から生じる背景レベル(例えば迷光レベル)を評価するために検出(例えば画像捕捉)され、次にこの背景レベルは捕捉された線像から減じられ得る。線走査撮像器は瞳分割と組み合わせられ得る(参照のためにその全体を本明細書に援用される例えばミューラ(Muller)らの特許文献5を参照)。
【0014】
図2に戻ると、各走査工程(例えば
図3の個々の走査線L1~Liにより定義される)では、光は(捕捉段階において)走査部品137へ反射/散乱されて戻される。説明の目的のために、走査部品137は、この捕捉段階中ほぼ不動であると想定され得るので、光路135上の双方向矢印により示されるような戻り光をビームスプリッタ133から照明線ビームと同様な光路135に沿って反射し得る。散乱光の戻り静止線はビームスプリッタ133により収集路139上へ向けられる。収集路139は散乱光を光検出器131(本明細書では線走査カメラとして例示的に実装された)へ運ぶ。図示されるように、走査部品137は収集路139上の戻り散乱光の場所を網膜73上の走査線L1~Liの垂直走査位置に関係なくほぼ不動な状態に維持する(本明細書では「デスキャン」動作と称される)。すなわち、散乱光は、眼75から出て、接眼レンズ119、走査レンズ117を通って戻り走査部品137へ到達する。戻り光が走査部品へ到達する際の走査部品137の走査位置は、対応する走査線ビーム115が画定された時の位置とほぼ同様であるので、走査部品137は、戻り光が光路135上に存在してビームスプリッタ133に到達する時までに定常線ビーム(非走査)であるように戻り光を「デスキャンする」(又は走査しない」効果を有する。ビームスプリッタ133において、戻り光は、戻り光ビームを光検出器131上へ集束する別の集束レンズ121上へ向けられ得る。各戻り(散乱)光線は、走査線が網膜73全体にわたって走査されるので光検出器131により別々に撮像(例えば、捕捉又は検出)される。各個別走査工程からの各捕捉された戻り光線は、別個のバッファされた線画像B1~Biをそれらの対応する走査線L1~Liの走査位置に対応する位置において規定するためにバッファ141へマッピングされ得る(
図3を参照)。次に、バッファされた線画像はCPU83を用いるなどして全フレーム画像84へ再構築され(例えば、モンタージュされ又は纏められ)、コンピュータディスプレイ85上に描画され得る。すなわち、光検出器131により検出される信号(例えば光の線)は、全フレーム画像84を形成するためにCPU83により処理されて、さらなる処理のためにビデオディスプレイ85上に表示され得るか又はCPU83に関連付けられたメモリ内に格納され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許第3915564号明細書
【文献】米国特許第7768652号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0049323号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0014727号明細書
【文献】米国特許第8488895号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記の説明から分かるように、眼底撮像器の設計及び構成は多くの部品と画像アーチファクトの複数の源の考慮とを必要とし複雑且つ高価であり得る。
本発明の目的は、低コスト眼底撮像器を提供することにある。
【0017】
本発明の別の目的は、低減された反射誤差を有する眼底撮像器を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、走査撮像器の複雑性の無い比較的大きな視野を提供する眼底撮像器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的は、低コスト部品を使用するように最適化された眼底カメラであってその構成が画像アーチファクトのいくつかの従来の要因を回避する眼底カメラにおいて満足される。加えて、従来の視野(FOV)は、様々なFOVの2つ以上の画像をより大きな全FOVを有する合成画像へ合成することにより拡大される。第1の選択肢は、光源として1つ又は複数の発光ダイオード(LED)(例えば小型LED及び/又は高輝度LED)を使用することである。これらのLEDは、瞳孔へ映され、カメラの絞りの近くでかつ横方向にオフセットされて配置され得ることで、同じ光学系が照明及び検出に使用されることを可能にする。これは、光源の光路をカメラの光路へ導入するために従来必要とされ得る光学系の必要性を無くす。加えて、光源のこの位置決めは、眼の光学要素からの(水晶体及び角膜からなどの)反射アーチファクトの量を低減する瞳分割設計の一部として使用され得る。一方、瞳分割の使用にもかかわらず、所望のFOVを拡大すると角膜(例えば角膜反射)からの反射アーチファクトに遭遇し得ることが分かっている。任意選択的に、これらの角膜反射は眼底カメラがアライメント中に移動されると動き回るのでアライメント支援として使用され得る。それにもかかわらず、角膜反射は、複数のLEDを別々に作動し各作動されたLEDにより別個の画像を捕捉することにより、最後に捕捉された画像から削除され得る。LEDの反射アーチファクトの場所はカメラの絞りに対するその位置に関係する。したがって、様々な位置においてLEDにより複数画像を捕捉することにより、反射アーチファクトを有する複数画像を様々な位置において取得し得る。各画像からのアーチファクト無し領域が、より大きな全体FOVを有するアーチファクト無し最終画像を構築するために抽出されて合成され得る。
【0019】
反射アーチファクトの別の要因はレンズ系からの(特に接眼レンズからの)ものである。レンズ系に起因する反射アーチファクトは瞳リレー(例えばカメラの絞りと撮像されている眼の瞳との間の光路)からすべてのレンズを除去することにより回避され得る。瞳リレーはその代りに湾曲反射面(例えば鏡)のみを使用して構築され得る。
【0020】
このコストは瞳カメラ(又は虹彩カメラ)動作と網膜カメラ動作との両方を取り込む組み合わせカメラを導入することによりさらに低減される。2つの手法が提供される。一実施形態では本質的に、網膜カメラが瞳カメラ内に挿入される。瞳カメラ及び網膜カメラは両方とも同様な光路を有する。この場合、瞳カメラの集束レンズは、網膜カメラが挿入され得る開口を有する。挿入された網膜カメラは眼底の第1のセンサアレイの第1の領域上の画像を捕捉し、瞳カメラの集束レンズの外側部分は、瞳(又は虹彩)を第1のセンサアレイの背後の第2のセンサアレイの第2の領域上へ集束させる。第2のセンサアレイからの画像は網膜カメラにより生成される陰影領域を含むが、この陰影領域はこの眼底カメラを患者へアライメントするために使用され得る。例えば、陰影領域が第2のセンサアレイにより生成される瞳/虹彩画像の中央領域内に存在すると、眼底カメラは(例えばx-y面内で)アライメントされたと見なされ得る。別の実施態様は第1の領域と第2の領域とを単一センサアレイ上へ合成する。この単一センサアレイは網膜カメラの外周を越えて延伸する。すなわち、単一センサアレイは、網膜の画像が捕捉される第1の領域及び瞳/虹彩の画像が捕捉される第2の領域へ分割される。この結果、瞳と網膜との両方はこの単一センサアレイから単一画像上で可視であり(例えば、撮像され)、たとえ陰影があったとしてもその間に最小陰影を有する。
【0021】
コストはセルフアライメントのための機構を導入することによりさらに低減され得る。すなわち、従来では、オペレータは、患者の瞳を監視して、患者の網膜の画像を撮影する前に眼底カメラをアライメントすることが必要とされる。代替的には、アライメントのための自動フィードバックメカニズムが患者の瞳を監視するために使用されている。患者の使用のためのセルフアライメント機構を提供することでこれらの従来手法の必要性及びそのコストを削除する。いくつかの実施形態では、これは網膜カメラの背後に湾曲反射面(例えば鏡)を導入することにより達成され、この湾曲反射面は、眼(例えば瞳又は虹彩)の外側の視界を検査されている眼へと向ける。したがって、患者は網膜カメラの位置に対応する陰影領域を有する自身の瞳/虹彩の画像を見る。次に、患者は、視認された陰影領域を視認された瞳/虹彩の中心内へ持って来るためにその位置を調整(又は眼底カメラの位置を調整)することにより、網膜を撮像するための眼底カメラをアライメントすることができる。
【0022】
本目的は、眼を撮像するための眼科診断システム(例えば眼底撮像器)であって、眼の画像を捕捉するための検出器(例えばカメラ)と、検出器の開口(例えば絞り)近くに(例えば隣接して)置かれた少なくとも第1及び第2の光源(例えば高輝度LED)とを含み、検出器と光源との両方が眼(例えば瞳リレー)へ向かう光路/眼(例えば瞳リレー)からの同様な光路を共有するとともに両方が眼の瞳に対して共役とされる、眼科診断システムにおいて満足される。すなわち、LEDは絞りの近くに存在するがそれから横方向にオフセットされ、同じ光学系が照明及び検出に使用されることを可能にする。検出器は、第1の光源が作動しており第2の光源が作動していない状態で眼(例えば眼の眼底領域)の第1の画像を捕捉し、第2の光源が作動しており第1の光源が作動していない状態で眼の第2の画像を捕捉する。上記したように、各光源は捕捉された画像上の異なる場所に反射のアーチファクト領域を生成し得る。データプロセッサは、第1の光源により引き起こされる反射アーチファクトを除いた第1の画像の第1の区域を抽出するとともに、第2の光源により引き起こされる反射アーチファクトを除いた第2の画像の第2の区域を抽出し、第1及び第2の区域を合成して合成画像を構築するために使用され得る。したがって、合成画像は、第1及び第2の光源に起因する反射アーチファクトを回避し、さらに、これらの反射領域により既に阻止されたFOVを回復する。したがって、合成画像は第1又は第2の画像のいずれよりも大きなFOVの無反射画像である。
【0023】
任意選択的に、第3の光源(例えばLED)が検出器の絞りに近接して配置され得る。理解され得るように、第1及び第2の光源は眼の網膜を照明するが、この第3の光源は専ら眼の外側(例えば瞳/虹彩)を照明するために使用され得る。第3の光源は、患者の不快感又は患者からの瞳反応を回避するために、患者に見えない赤外線光源であり得る。しかし、第3のLEDからの照明は眼の外側に維持され得るので、第3の光源もまた任意選択的に可視光であり得る。瞳を撮像するために追加光源を使用する際、検出器は眼の網膜に対し共役である第1の撮像領域と眼の瞳に対し共役である第2の撮像領域とを有するようにされ得る。例えば、検出器は検出器の軸方向光路に沿った第2の光検知器アレイの前の第1の光検知器アレイを含み、第1の撮像領域は第1の光検知器アレイ内に存在し、第2の撮像領域は第2の光検知器アレイ内に存在し得る。これは、検出器の軸方向光路に沿って中央開口を囲む外側領域を有する検出器レンズを提供することにより実現され、開口は検出器レンズが眼の網膜から反射光を受光する(又は、受光される光の量を最小化する)のを防止するように寸法決めされる。次に、外側領域は眼の瞳からの反射光を第2の光検知器アレイの第2の撮像領域上へ集束し得る。これは、例えば第1の光検知器アレイを第1のカメラユニットの一部であるようにし、第2の光検知器アレイを第2のカメラユニットの一部であるようにし、第1のカメラユニットを(例えば、第2のカメラユニットの)中央開口内に挿入されるようにすることより実施され得る。代替的に、第1の撮像領域及び第2の撮像領域は単一光検知器アレイ内に画定され得る。
【0024】
セルフアライメントを実施するために、湾曲反射器が、検出器を少なくとも部分的に囲むとともに眼の方向に向けられるように位置決めされ得る。これにより、反射器は、眼の患者可視画像を撮像(例えば、検査)中の同じ眼へ提供する。患者が眼底カメラのアライメントを調整するために使用し得る眼の患者可視画像は、検出器と眼とのアライメントを示す。
【0025】
任意選択的に、検出器と眼との間の瞳リレーはレンズを有しなくてもよい。これはこのようなレンズからのいかなる反射も回避する。レンズの代わりに、第2の湾曲反射器から分離された第1の湾曲反射器が瞳リレーを規定するために使用され得る。第1の湾曲反射器は第1の視野(FOV)において第1及び第2の光源からの光を受光して、受光した光を第2の湾曲反射器へ反射し、第2の湾曲反射器は第2のFOVにおいてこの受光した光を眼へ反射する。第2のFOVは第1のFOVより大きいものであってよい。第1の湾曲反射器と第2の湾曲反射器との間の隔たりを調整することにより眼内の屈折誤差を補償し得る。
【0026】
別の実施形態では、患者の眼を撮像するための眼科診断システム(例えば眼底撮像器)は、眼の画像を捕捉するための検出器と、照明及び検出のために同じ光学系を共有するように検出器開口に近接(例えば、隣接)する少なくとも1つの光源と、検出器を少なくとも部分的に囲むとともに眼の方向に向けられた湾曲反射器とを含む。湾曲反射器は、眼の患者可視画像を撮像対象の同じ眼に提供するように構成される。患者可視画像は、検出器と眼とのアライメントを示し、検出器を眼の瞳へセルフアライメントさせるために患者により使用され得る。
【0027】
この実装では、湾曲反射器は検出器の光軸上の検出器の背後に位置決めされ得る。その結果、患者可視画像は、眼の検出器の位置に対応する陰影領域を有する瞳/虹彩の画像を含み得る。次に、検出器は、陰影領域を眼の瞳/虹彩の画像の中央領域へアライメントすることにより眼の瞳に対しアライメントされ得る。例えば、少なくとも1つの運動面内の検出器の運動を制御するためのユーザ入力が提供され得る。次に、検出器を虹彩へセルフアライメントさせるためにユーザ入力が患者により使用され得る。
【0028】
本発明のより完全な理解と共に他の目的及び達成は、添付図面と併せてなされる以下の説明と特許請求の範囲とを参照することにより明らかになり得るとともに理解され得る。
本明細書において開示される実施態様は単に一例であり、本開示の範囲はそれらに限定されない。1つのカテゴリ(例えば方法)内で述べられるいかなる実施態様の特徴も別のカテゴリ(例えばシステム)内で同様に特許請求され得る。添付の特許請求の範囲内での請求項の従属関係又は参照は形式的理由だけのために選択される。しかし、任意の先行する請求項を参照する意図的参照から生じるいかなる主題も同様に特許請求され得るので、請求項及びその特徴の任意の組み合わせも開示され、したがって添付の特許請求の範囲内で選択される従属関係にかかわらずそのような組み合わせも特許請求され得る。
【0029】
図面において同様な参照符号/文字は同様な部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】走査線ビームは試料全体にわたって走査されるが、眼からの収集光路上の戻り光の線は検出器上の不動な所定位置において維持されて検出器全体にわたって走査されない所謂「スキャン・デスキャン」線走査撮像システムの理想走査構成を示す図である。
【
図3】線走査撮像器の簡略化例示的走査パターンを示す図である。
【
図4】本発明によるカメラを使用して眼の網膜を撮像するための眼底撮像器を示す図である。
【
図5】
図4の瞳リレーの第2の構成を示す図である。
【
図6】屈折素子の代わりに反射素子を使用した
図4の瞳リレーの代替構成を示す図である。
【
図7】
図6の構成による光路のモデル図を示す図である。
【
図8】本発明による例示的眼底撮像器構造を示す図である。
【
図9】本眼底撮像器のFOVを拡大するのに好適なカメラの例示的構成を示す図である。
【
図10】
図9の個々のLEDの選択作動から生じる第1の捕捉された眼底画像を示す図である。
【
図11】本発明によるカメラを使用することによりアーチファクト無し画像を捕捉するための方法を示す図である。
【
図12】瞳(又は虹彩)カメラの本眼底撮像器セットアップ内への包含を示す図である。
【
図13】網膜及び虹彩の両方が完全一体化及び小型設計において同じ光センサ上に撮像される構成を示す図である。
【
図14】眼底カメラのセルフアライメントを支援するための構成を示す図である。
【
図15】例示的コンピュータシステム(又は計算装置又はコンピュータ装置)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
眼底撮像は眼科における十分に確立された診断ツールである。眼底カメラは、照明光を眼の後部へ届け、後方反射される光を収集する。いかなる眼底カメラも克服する必要がある主たる課題は、眼底カメラ内のレンズ及び人の眼の角膜からの反射を回避又は削除することによりアーチファクト無し画像を生成することである。
【0032】
眼底カメラシステムの二次タスクは、別の眼科器具と結合される際の患者アライメント又は瞳アライメントを支援することである。例えば、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)システムは、眼底カメラを含み、OCT走査動作を始動するに先立って患者とOCTシステムとの適切なアライメントを保証するために眼底カメラを利用し得る。すなわち、眼底カメラは、OCT走査動作を活性化する前に眼底の所望領域が視野内に存在することを保証するためにOCTオペレータが使用し得る患者の眼のリアルタイムビューを提供し得る。
【0033】
上記のように、眼底カメラの課題は、レンズからの光反射などに起因する画像アーチファクトを克服することである。現在の眼底カメラは瞳分割を実施するために瞳分割光学系を使用し得る。瞳は光が眼に入り眼から出る限定領域を提供する。瞳分割は、これを通って照明光が眼に入る第1の瞳領域と眼から出る反射光が検出器へ向けられる第2の瞳領域とを指定し、これらの2つの領域を互いに分離された状態に維持しようとする。レンズ系反射を低減するための別の技術(投光照明眼底カメラ内で使用される)は特定レンズ上の反射防止ドットの使用である。上記したように、共焦点走査眼底撮像器及び線走査撮像器は画像アーチファクトを除去するために追加技術を採用し得る。これらの技術は、人の角膜からの及び/又は眼底カメラ内のレンズ系からの反射を回避(又は軽減)するのを助けるが、追加複雑性及びコストを眼底カメラへ導入する。
【0034】
レンズ反射を低減するための別の技術はレンズ(例えば屈折光学系)の使用を低減することである。屈折光学系の代わりに、可能であれば鏡などの反射光学系が使用され得る。反射光学系を使用する眼底カメラは既に実証されている(例えば、カールツァイスメディテック(Carl Zeiss Meditec AG)へ移譲され参照としてその全体が本明細書に援用される独国公開出願第102011114753A1号明細書を参照)。
【0035】
いくつかの眼底カメラは瞳アライメントを支援するための虹彩(又は瞳)カメラを提供する。すなわち、虹彩カメラは、その中心が瞳を規定する虹彩のリアルタイムビューを提供するために使用され得る。虹彩を視ることにより、オペレータは、眼の眼底領域へのアクセスが邪魔されないことを保証するために眼底カメラを瞳へアライメントし、これにより瞳クリッピングに起因するような追加誤差を回避する。
【0036】
本発明は、瞳分割設計/機構として働くように眼底カメラの絞り(例えば瞳絞り又は検出絞り、或いは検出開口)と同じ(又はほぼ同様な)面内に配置され得るが横方向にオフセットされた照明のための1つ又は複数の(例えば高輝度)LEDを使用する低コストでアーチファクト無しの眼底カメラを提供する。反射光学系は、瞳分割を人の眼の瞳へ伝えるために使用され、これにより、眼を照明する際に使用レンズから(接眼レンズなどから)発生し得る反射アーチファクトを回避する。
【0037】
瞳分割は角膜からの反射アーチファクトを低減し得るが、FOVが拡大されると角膜からのアーチファクト(達成可能FOVを制限する)に依然として遭遇し得ることが分かった。すなわち、照明用LEDに対応する反射足跡が検出器により撮像され得る場合、足跡領域は捕捉された画像のFOVを低減する。したがって、FOVはこの足跡領域を削除することにより増加され得る。これを実現するための一手法は、検出器の絞りの面上の(絞りの面のほぼ近くの)2つ以上のLEDであるが横方向にオフセットされた2つ以上のLEDを使用することであり、各LEDは別々に作動され、各作動されたLEDの別個の画像が捕捉される。各作動されたLEDからの画像はこのLEDの反射足跡を含み得るが、この足跡は、絞りに対するLEDの位置に依存して各捕捉された画像内の各LEDの異なる位置に存在することになる。したがって、第1の画像内の第1のLEDの反射足跡の領域は、第2の位置における第2のLEDに対応する第2の画像内のいかなる反射足跡とも無縁であり得る。したがって、第1及び第2の画像は、LED反射アーチファクトの無い合成画像を構築するために除去されたそれぞれのLED反射足跡と組み合わせられ得る。例えば、第1のLEDはカメラの絞りの一方の側に配置され、第2のLEDはその絞りの反対側に配置され得る。作動された第1のLEDのみにより捕捉された第1の画像はこの画像の一方の側のLEDの反射足跡を示すことになる。作動された第2のLEDのみにより撮影された第2の画像はこの画像の反対側のLEDの反射足跡を示すことになる。第1の画像のアーチファクト無し部分は、第2の画像のアーチファクト無し部分と合成されて第1又は第2の画像のいずれよりも大きなFOVを有する合成・アーチファクト無し第3の画像を構築し得る。
【0038】
任意選択的に、眼底撮像器はさらに、瞳アライメントを支援するための一体化虹彩ビューア(例えば虹彩カメラ又は瞳カメラ)を提供する。この虹彩ビューアは、その検出開口が上述の絞りである第1のセンサ筐体であって第1のセンサ(例えばフォトセンサアレイ)を含む第1のセンサ筐体と同じ(又は同様な)光軸上に存在し得る。この絞りは、瞳孔に対し共役であり、眼底を第1のセンサ上へ撮像するための瞳孔を介した眼底の投影を受光するように寸法決めされ得る。いかなるLEDも、その絞りと同様な面上であるがそれからオフセットされた(例えば、それに隣接する又はそれに近い)面上の第1のセンサ筐体上に配置され得る。好適には、第1のセンサ筐体の寸法は、虹彩のいかなる投影も第1のセンサ筐体をよけることが許容されるようにその絞りと同様な寸法にされる。第2のセンサは、第1のセンサ筐体をよける虹彩投影の画像を捕捉するように第1のセンサの後方において第1のセンサと(例えばほぼ)同じ(又は同様な)光軸上に配置され得る。理解され得るように、虹彩の捕捉された画像は第1のセンサ筐体(及び任意のLED)の位置に対応する暗い(例えば陰影)領域を有し得るが、この暗領域は、暗領域が撮像された虹彩の中心にあることを保証することにより眼底撮像器をアライメントするために使用され得る。
【0039】
任意選択的に、第2のセンサは第2の開口を有する第2のセンサ筐体の一部であり得る。この場合、第1のセンサ筐体は第2の開口の中央領域内に挿入され得る。第2のセンサ筐体の集束レンズは第1のセンサ筐体が挿入される開口を有し得る。この集束レンズの外側領域は、第1のセンサ筐体をよける虹彩の投影の一部を第2のセンサ上へ集束し得る。これはよりコンパクトな構成を提供し得る。
【0040】
代替的に、第1及び第2のセンサは単一組み合わせセンサへ組み合わせられ得る。この実施形態では、組み合わせセンサは第1のセンサ筐体の境界を越えて延伸し得る。組み合わせセンサの中央部分は第1のセンサ筐体を介し網膜を撮像するために使用され得るとともに、組み合わせセンサの外周部分は虹彩を撮像するために使用され得る。
【0041】
任意選択的に、湾曲反射面が第2のセンサの代わりに(又はそれに加えて)第1のセンサ筐体の背後に配置され得る。この湾曲反射面は、第1のセンサ筐体の光軸上に存在し、虹彩の画像を撮像中の眼へ向け得る。これにより、患者は、自身の眼の瞳に対応する陰影領域と共に自身の眼の虹彩の画像を見ることができる。そして、患者は、観測された陰影領域を観測された虹彩の中心まで操作することにより、眼底画像をセルフアライメントし得る。例えば、患者は、眼をより良くアライメントするために自身の頭を物理的に動かすことにより、観測された陰影領域を操作し得るか、又は、グラフィックユーザインターフェース(GUI)又はコンピュータ入力装置(例えばジョイスティック、コンピュータマウス、ローラなど)を用いて第1のセンサ筐体の位置を操作することで眼へアライメントし得る。
【0042】
本眼底撮像器は投光型眼底撮像器の概念を基礎とする。眼底撮像は眼の後部の写真を撮影する写真技術である。投光型眼底カメラは通常、眼の瞳を通して短閃光の白色光を届け、画像を形成するために撮像光学系を用いて反射光を収集する。この画像は検出器により記録される。眼の後部から戻る信号の大きさは照明光より数桁低い。照明経路上で反射され眼内へ入るいかなる光も、検出器(例えばセンサ)上へ撮像され、画像上の望ましくない反射アーチファクトを生成する。反射は通常、眼底信号よりはるかに明るく、これにより眼底画像内の臨床情報をかき消す。
【0043】
図4は、本発明によるカメラ305を使用して眼303の網膜301を撮像するための眼底撮像器300を示す。当該技術分野において知られているように、カメラ305は、内部センサ(例えば光センサ、図示せず)上へ撮像するために光がカメラに入る開口(例えばその寸法が可変であり得る開口)である絞り(又は瞳絞り)(図示せず)を含む。瞳リレー307はカメラ305の絞りを眼303の瞳309に対し共役にする光路を提供し、カメラ305の内部光学系はカメラに入る光を網膜301に対し共役であるその内部センサ上へ集束する。本例では、瞳リレー307は当該技術分野で知られているように4f構成の2つの集光レンズ313、315を使用して実装されるが、瞳リレー307の他の構成が使用され得る。
【0044】
光源は、網膜301の投光照明を提供するためにカメラの絞りに隣接して配置される。本実施形態では、LED311が光源として設けられるが、本発明から逸脱することなく他の光源が使用され得ることが理解され得る。LED311はカメラ305の絞りに隣接するので、両方は瞳309に対し共役であり、両方は瞳309において分離されて維持される。その結果、本構成は、これによりLED311からの照明光が瞳309の別の指定領域(これを通って出て来る散乱(例えば、戻り)光が撮像のためにカメラ305の絞りへ向けられる)とは異なる瞳309の指定領域において眼303に入るコンパクトな瞳分割機構を確立する。本構成は、
図1を参照して上記したように従来の投光照明眼底撮像器の二次光路17及び環状鏡23の必要無しに瞳分割設計を確立するものである。
【0045】
上記したように、眼底撮像における主技術的タスクは反射アーチファクトの回避又は削除である。本実施形態では、人の角膜からの反射は十分に確立された瞳分割の手法を使用することにより軽減され、瞳分割は1つ又は複数のLED(又は他の光源)をカメラの絞りに隣接して(任意選択的にその周囲に)配置することにより実現される。それにもかかわらず、角膜(例えば角膜反射)からの反射アーチファクト325は依然として存在し得るとともに、視野が増加されると、これらの反射アーチファクト325は画像321内で明白になり得る。望ましくないアーチファクトは通常考慮されるが、角膜反射325がアライメント支援として使用され得る。角膜反射325は、眼底カメラが移動されると動き回ることになるので、カメラアライメントのためのマーカ又は指示子として使用され得る。アライメントが達成された後、以下に説明するように角膜反射325は最終網膜(又は眼底)画像の捕捉中に回避され得る。
【0046】
追加の二次反射アーチファクト323もまたレンズ系(眼科用レンズ315など)に起因して画像321内に存在し得る。レンズ系に起因する反射アーチファクト323を低減する1つの方法は上記したように所謂ダークスポットを用いる方法である。レンズ系に起因するアーチファクトを回避する別の方法は以下に説明するように瞳リレー307内のレンズ系の使用を回避することである。
【0047】
捕捉された画像321は任意選択的撮像処理のために及び/又は電子ディスプレイ329上へ表示するためにCPU327(例えばコンピュータシステム又は装置)へ転送され得る。
【0048】
図5は
図4の瞳リレー307の別の構成を示す。すなわち、
図4のレンズ313、315は当該技術分野において知られているように2f構成の単一レンズ331により置換され得る。面333(例えばレンズ331から2×焦点距離にある)は、面335に対して共役であり得る。本瞳リレーを使用することにより、カメラ305の絞りは面333上に存在し、眼303の瞳309は
図4の構成内の面335上に存在し得る。
【0049】
図6は、屈折素子(例えばレンズ313、315)の代わりに反射素子を使用する
図4の瞳リレー307(例えば撮像経路)の代替構成を示す。
図4と同様なすべての素子は、同様な参照符号を有し、上記したものと同様である。参照符号RCは網膜共役面を示し、参照符号PCは瞳共役面を示す。図示の目的のために、カメラ305は長方形センサ筐体として示され、カメラ305の内部概略図は、瞳309と共役な集束レンズ34
2及び網膜301と共役なセンサ(フォトセンサアレイ)345を示している。図示されるように、カメラ305は、2つのLEDのみが示されているが、カメラの絞りに隣接するとともにカメラの絞りを中心に分散された複数の光源(例えばLED311)を有し得る。例えば、カメラ305は、その絞りを中心に分散されたLEDを有する内視鏡カメラとして構成され得る。本実装では、瞳リレーは第1の湾曲反射面341と第2の湾曲反射面343とからなる。例えば、第1の湾曲反射面341は放物面鏡であり、第2の反射面343は球面鏡であり得る。本光学系は人の眼303の網膜301をセンサ345上へ撮像し、瞳309をカメラ305の絞り(例えば瞳分割面)上へ撮像する。
【0050】
反射面341、343を使用することにより、また、カメラ305と眼303との間の瞳リレー内のレンズの使用を回避することにより、レンズ系に起因する反射アーチファクト323が回避される。すなわち、撮像光学系からの後方反射は反射光学系を使用することにより削除される。任意選択的に、反射面341と反射面343との間の分離距離は調整可能にされ、この分離距離は眼内の屈折誤差を補償するために調整され得る。任意選択的に、反射面343は、第1のFOVにおいてLED311からの光を受光し、受光した光を第2の反射面341へ反射し、第2の反射面341は第2のより大きなFOVにおいてこの受光した光を眼へ反射するように整形され得る。
【0051】
図7は、
図6の構成による光路のモデル図を示す。カメラ305の複数の構成が示される。例えば、カメラ構成305aはカメラ絞り351(例えば撮像カメラ305aの瞳)周囲のLED311のリングを示す。このリング内のすべてのLED311は明るい照明のために一斉に作動され得る、又は各LED311は照明の量又は照明の方向を制御するように個々に制御され得る。すなわち、各LED311(又はそうでなければ、LED311の各選択グループ)が順に個々に作動され、別々の眼底画像が、照明されたLED(又はLEDの照明された各グループ)毎に捕捉され得る。上記のように、絞り351とLED311は瞳共役面に存在し、網膜の検出(例えば画像捕捉)は、眼301から戻る光が絞り351に入りカメラのセンサ上へ集束されることにより実現される。カメラ305aはまた、人の眼301の屈折誤差を補正するための集束を提供し得る。
【0052】
代替的に、様々なタイプのLEDがカメラ305の絞りに隣接して設けられ得る。例えば、カメラ構成305bは2つの可視光(例えば白色光)LED311a、311bと非可視光(例えば赤外線)LED311cとを示す。上記のように、LED311a、311b、311cは同時に又は任意の所望シーケンス又は組み合わせで作動され得る。例えば、赤外線LED311cが眼301の虹彩の連続ビューを提供するために連続的に活性化/作動され得る一方で、LED311a、311bは交互に作動され得、別の眼底画像がLED311a、311bの作動毎に捕捉され得る。
【0053】
カメラ構成305cでは、LEDは複数の色グループへ分離される。例えば、2つのグループは、1つの赤色LED311d、1つの緑色LED311e、1つの青色LED311fを含む各グループにより定義され得る。カラー画像は各グループ内のいくつかの色LEDの適切な作動により捕捉され得る。例えば、色グループ内のすべてのLEDが一緒に作動され得る。代替的に、各グループ内のLEDは別々に(例えば順に)作動され得る。さらに代替的に、これらのグループは、第1のグループが2つの赤色LED311dを含み、第2のグループが2つの緑色LEDを311g含み、第3のグループが2つの青色LED311fを含み得るように色により定義され得る。各グループは別の色を有する別の画像を提供し得るが、各グループ内では、LEDは依然として順次作動され得る。例えば、合成赤色画像は、絞り351の一方の側において1つの作動された赤色LED311dのみを使用して第1の赤色画像を捕捉し、絞りに対する別の位置において第2の赤色LED311dのみを使用して第2の赤色画像を捕捉し、2つの捕捉された赤色画像を合成することにより構築され得る。以下により詳細に説明されるように、この手法は、反射アーチファクトをさらに低減しFOVを増加するのを助け得る。
【0054】
図8は、本発明による例示的眼底撮像器300を示す。
図6および
図7と同様なすべての素子は同様な参照符号を有しており、上記したものと同様である。本実施形態では、
図6および
図7の瞳リレーは筐体353で囲まれる。この構成の利点はわずかないくつかの低コスト部品と単純アセンブリとを使用することである。例えば、筐体353は3D印刷された筐体であってよく、眼底カメラ300は3つの低コスト部品を使用して構築され得る。カメラ305は、40ドル程度であり得る内視鏡カメラであり得る(又はそれに基づき得る)。球面鏡343及び放物面鏡341は例えばそれぞれ50ドルと100ドルの価格を有する既成部品であり得る。これらの部品は3D印刷された筐体353上に容易に取り付けられ得る。
【0055】
任意選択的に、筐体353は、眼301へのカメラ305の容易なアライメントのために(操作可能)テーブル363(又は基部)上に取り付けられ得る。眼301は、患者の眼を表し、眼301に対する筐体353の相対位置が調整され得る。例えば、患者は、接眼ビューポート355を介して眼301をカメラ305とアライメントさせるように物理的に移動し得る。代替的に、アライメントは、グラフィックスユーザインターフェース357、及び/又は、ジョイスティック359及び/又はローラ361などのコンピュータユーザ入力装置などを用いて眼底撮像器300を移動することにより実現され得る。代替的に、眼底撮像器300は、患者がアライメントのために物理的に持ち上げて位置決めし得るように十分に小さく且つ軽いものであり得る。
【0056】
図6、
図7、
図8の構成は、上記したようにレンズ系(
図4を参照)に起因する反射アーチファクト323を削除するが、FOVは眼の角膜からの反射アーチファクトにより依然として制限され得る。また、上記したように、本発明は、複数の光源(例えば複数のLED)の個別制御を企図しており、角膜からの反射に起因するアーチファクトはLEDの適切な制御及び個々のLED(又はLEDの個々のグループ)からの画像の適切な組み合わせにより削除され得る。
【0057】
図9は、本発明による眼底撮像器のFOVを拡大するのに好適なカメラ305の例示的構成を示す。図示の目的のために、絞り351の両側に2つのLED311g、311h(それぞれは可視白色光であり得る)を有し、LED311g、311gの両方が同時に作動された時の試料捕捉画像371を有するカメラ305が示されている。LED311g、311hのそれぞれはそれぞれの反射アーチファクト足跡(例えば角膜反射)373g、373hを生成し、それらの両方は利用可能FOVを制限する。しかし、LED311g、311hの適切な制御により、反射アーチファクト足跡373g、373hは回避(又は除去)され、拡大されたFOVが実現され得る。しかし、角膜反射373h及び/又は角膜反射373gを除去する前に、角膜反射373h及び/又は角膜反射373gのいずれか又は両方がカメラアライメントに使用され得る。例えば、プレビュー段階(又はアライメント段階)の間、カメラアライメントは、角膜反射373g、373hが明瞭に見えるまでに及び/又は標的網膜領域が角膜反射373g、373h間にセンタリングされるまでに調整され得る。アライメントが達成された後、以下に説明するように角膜反射373h及び/又は角膜反射373gが回避/除去される網膜像捕捉段階が開始され得る。
【0058】
図10は、
図9の個々のLEDの選択作動から生じる第1の捕捉された眼底画像375を示す。この場合、LED311hが作動(オン)される一方でLED311gは作動されない(例えばオフされる)。図示されるように、この動作は、
図9において反射足跡373gにより既に遮断された下半球を含むように、第1の捕捉された眼底画像375の利用可能FOVを拡大する。理解され得るように、LED311hが作動されない間に作動されたLED311gにより別の眼底画像を捕捉することは、アーチファクト無し上半球と、作動されたLED311gからの反射足跡を有する下半球とを有する第2の捕捉された眼底画像を生じ得る。第1及び第2の捕捉された眼底画像のアーチファクト無し部分を合成することにより、アーチファクト無し合成画像を構築し得る。
【0059】
図11は、本発明によるカメラを使用することによりアーチファクト無し画像を捕捉するための方法を示す。第1の画像381は、カメラの絞りの一方の側の第1のLED(又は第1のグループのLED)を作動させることにより捕捉される。作動されたLEDは第1の反射アーチファクト足跡383を第1の画像381上に生成する。第1の足跡383を除く第1の画像部分385が第1の画像381から抽出される。第1の画像部分385は第1の視野FOV1を画定する。第2の画像387は、第1のLEDから物理的に移動された第2のLED(又は第2のグループのLED)を作動させることにより捕捉される。例えば、第2のLED(又は第2のグループのLED)は、カメラの絞りの外周に沿った第1のLED(又はLEDの第1のグループ)の反対側に配置され得る。その結果、第2の画像387は、第2のLED(又は第2のグループのLED)に対応する第2の反射アーチファクト足跡389を有する。第2の足跡389を除く第2の画像部分386が第2の画像387から抽出される。第2の画像部分386は第2の視野FOV2を画定する。次に、第1の画像部分385は、FOV1とFOV2との両方にまたがる第3の視野FOV3を有する第3の画像391を画定するためにモンタージュなどにより第2の画像部分386と合成される。
【0060】
上記のように、本眼底撮像器は虹彩カメラを取り込むように拡張され得る。すなわち、軸上虹彩カメラがシステムアライメントを支援するために眼底カメラ305の背後に配置され得る。
【0061】
図12は本眼底撮像器セットアップ内への虹彩(又は瞳)カメラ400の包含を示す。
図6と同様なすべての素子は同様な参照符号を有しており、上記したものと同様である。理解され得るように、瞳孔面は虹彩面と同様であり得る。説明を簡単にするために、眼303の虹彩面はIPと標記され、カメラ305上のその共役/画像は虹彩共役ICと標記される。レンズ401は、虹彩共役面ICにおける虹彩画像を追加光センサ403上へ伝えるために2f構成で使用され得る。光センサ403により捕捉され得るような例示的虹彩画像405も示される。この構成では、カメラ305は陰影407をレンズ401上へ投じ、レンズ401は虹彩画像405上の陰影領域409を生じる。カメラ305が正しくアライメントされる(例えば眼虹彩を中心にされる)と、陰影領域409は虹彩画像405の中心に存在し得る。ミスアライメントにより、陰影領域409が虹彩画像405の中心から外れるようになり得る。したがって、陰影領域409はアライメント指示子として技術者又は患者により使用され得る。
【0062】
図13は、網膜と虹彩との両方が完全一体化及び小型化設計において同じセンサ411上へ撮像される構成を示す。
図6、
図12と同様なすべての素子は同様な参照符号を有しており、上記したものと同様である。上記したように、虹彩共役及び瞳共役はほぼ同様(例えば同じ)であり得るのでこの共役面は
図13ではIR/PCと標記される。このコンパクト構成では、レンズ401は環状サラウンドカメラ305を有し得る。すなわち、レンズ401は、カメラ305が挿入され得る開口を有するように変更され得る。さらに、センサ345及び403は2つの撮像領域を有する単一センサ411へ合成される。第1の中央撮像領域345’はカメラ305を介して面IC/PCから眼底を撮像するように配置され、第1の撮像領域345’を囲む第2の(外周)撮像領域403’は面IC/PCから虹彩を撮像する。すなわち、レンズ401は
図12と同様な方法で虹彩を面IP/ICから第2の撮像領域403’上へ合焦させる。
【0063】
上記のように、本構成は眼底カメラのセルフアライメントのために患者により使用され得る。
図14は眼底カメラのセルフアライメントを支援するための代替構成を示す。本構成では、湾曲反射面(例えば鏡)421が、カメラ305の背後に置かれ、
図12の画像405と同様に虹彩の画像を患者へ送信するように位置決めされる。すなわち、反射面421は、患者の虹彩の画像を、撮像されている眼へ提供するためにカメラ305の光軸上に存在する。例えば、
図12のレンズ401は、カメラ305の位置に対応する陰影領域を有する虹彩を撮像するために反射面421により置換され得る。
【0064】
図15は例示的コンピュータシステム(又は計算装置又はコンピュータ装置)を示す。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のコンピュータシステムが、本明細書に記載又は図示される機能を提供する、及び/又は本明細書に記載又は図示される1つ又は複数の方法の1つ又は複数の工程を行い得る。コンピュータシステムは任意の好適な物理的形式を取り得る。例えば、コンピュータシステムは、埋込式コンピュータシステム、システムオンチップ(SOC)、シングルボードコンピュータシステム(SBC)(例えばコンピュータオンモジュール(COM)又はシステムオンモジュール(SOM)など)、デスクトップコンピュータシステム、ラップトップ又はノートブックコンピュータシステム、コンピュータシステムのメッシュ、モバイル電話、携帯情報端末(PDA)、サーバ、タブレットコンピュータシステム、拡張/仮想現実装置、又はこれらの2つ以上の組み合わせであり得る。適切な場合、コンピュータシステムは、1つ又は複数のネットワーク内に1つ又は複数のクラウド部品を含み得るクラウド内に常在し得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、コンピュータシステムはプロセッサCmp1、メモリCmp2、ストレージCmp3、入力/出力(I/O)インターフェースCmp4、通信インターフェースCmp5及びバスCmp6を含み得る。コンピュータシステムはまた、任意選択的にコンピュータモニタ又は画面などのディスプレイCmp7を含み得る。
【0066】
プロセッサCmp1は、命令(コンピュータプログラムを構成するものなど)を実行するためのハードウェアを含む。例えば、プロセッサCmp1は、中央処理ユニット(CPU)、又はグラフィック処理ユニット上汎用計算ユニット(GPGPU:general-purpose computing on graphics processing unit)であり得る。プロセッサCmp1は、内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリCmp2又はストレージCmp3から命令を取り出し(又はフェッチし)、命令を復号及び実行し、1つ又は複数の結果を内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリCmp2又はストレージCmp3へ書き込み得る。特定の実施形態では、プロセッサCmp1はデータ、命令又はアドレスのための1つ又は複数の内部キャッシュを含み得る。プロセッサCmp1は、1つ又は複数の命令キャッシュ、データテーブルを保持するなどのための1つ又は複数のデータキャッシュを含み得る。命令キャッシュ内の命令はメモリCmp2又はストレージCmp3内の命令の複製であってよく、命令キャッシュはプロセッサCmp1によるそれらの命令の取り出しを速め得る。プロセッサCmp1は、任意の好適な数の内部レジスタを含み得るとともに、1つ又は複数の算術論理ユニット(ALU)を含み得る。プロセッサCmp1はマルチコアプロセッサであってもよいし、又は1つ又は複数のプロセッサCmp1を含んでもよい。本開示は特定プロセッサについて説明し示したが、本開示は任意の好適なプロセッサを企図する。
【0067】
メモリCmp2は、プロセッサCmp1が処理中に中間データを実行又は保持する命令を格納するための主メモリを含み得る。例えば、コンピュータシステムは、ロード命令又はデータ(例えばデータテーブル)をストレージCmp3から又は別のソース(別のコンピュータシステムなど)からメモリCmp2へロードし得る。プロセッサCmp1は、命令及びデータをメモリCmp2から1つ又は複数の内部レジスタ又は内部キャッシュへロードし得る。命令を実行するために、プロセッサCmp1は内部レジスタ又は内部キャッシュから命令を取り出し復号化し得る。命令の実行中又は実行後、プロセッサCmp1は1つ又は複数の結果(中間又は最終結果であり得る)を内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリCmp2又はストレージCmp3へ書き込み得る。バスCmp6は、それぞれがアドレスバス及びデータバスを含み得る1つ又は複数のメモリバスを含んでよく、プロセッサCmp1をメモリCmp2及び/又はストレージCmp3へ結合し得る。任意選択的に、1つ又は複数のメモリ管理ユニット(MMU)はプロセッサCmp1とメモリCmp2との間のデータ転送を促進し得る。メモリCmp2(高速揮発性メモリであり得る)は、ダイナミックRAM(DRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)又はスタティックRAM(SRAM)を含み得る。ストレージCmp3は、データ又は命令の長期又は大容量ストレージを含み得る。ストレージCmp3は、コンピュータシステムの内部又は外部に存在してよく、ディスクドライブ(例えばハードディスクドライブHDD又はソリッドステートドライブSSD)、フラッシュメモリ、ROM、EPROM、光ディスク、磁気光学ディスク、磁気テープ、ユニバーサルシリアルバス(USB)アクセス可能ドライブ、又は他のタイプの不揮発性メモリのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0068】
I/OインターフェースCmp4はソフトウェア、ハードウェア、又は両方の組み合わせであってよく、人(例えばユーザ)との通信を可能にし得るI/O装置との通信のための1つ又は複数のインターフェース(例えばシリアル又はパラレル通信ポート)を含み得る。例えば、I/O装置は、キーボード、キーパッド、マイクロホン、モニタ、マウス、プリンタ、スキャナ、スピーカ、スチールカメラ、スタイラス、タブレット、タッチスクリーン、トラックボール、ビデオカメラ、別の好適なI/O装置、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含み得る。
【0069】
通信インターフェースCmp5は他のシステム又はネットワークとの通信のためのネットワークインターフェースを提供し得る。通信インターフェースCmp5はブルートゥースインターフェース又は他のタイプのパケットベース通信を含み得る。例えば、通信インターフェースCmp5は、ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)及び/又は無線ネットワークとの通信のための無線NIC、又は無線アダプタ含み得る。通信インターフェースCmp5は、WI-FI(登録商標)ネットワーク、アドホックネットワーク、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、無線PAN(例えばブルートゥース(登録商標)WPAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、都市域ネットワーク(MAN)、セルラ電話ネットワーク(例えば世界移動体通信システム(GSM(登録商標))ネットワークなど)、インターネット、又はこれらの2つ以上の組み合わせとの通信を提供し得る。
【0070】
バスCmp6はコンピュータシステムの上述の部品間の通信リンクを提供し得る。例えば、バスCmp6は、加速グラフィックポート(AGP)又は他のグラフィックスバス、エンハンスト・インダストリ・スタンダード・アーキテクチャ(EISA)バス、フロントサイドバス(FSB)、ハイパートランスポート(HT)インターコネクト、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、InfiniBandバス、ローピンカウント(LPC)バス、メモリバス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バス、PCIエクスプレス(PCIe)バス、シリアル・アドバンスト・テクノロジー・アタッチメント(SATA)バス、ビデオ・エレクトロニクス・スタンダーズ・アソシエーション・ローカル・バス(VLB)、又は他の好適なバス、又はこれらの2つ以上の組み合わせを提供し得る。
【0071】
本開示は特定配置の特定数の特定部品を有する特定コンピュータシステムについて説明し示すが、本開示は任意の好適な配置の任意の好適な数の任意の好適な部品を有する任意の好適なコンピュータシステムを企図している。
【0072】
本明細書では、コンピュータ可読非一時的ストレージ媒体又は媒体群は、適切な場合には、1つ又は複数の半導体ベース又は他の集積回路(IC)(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は特定用途向けIC(ASIC)など)、ハードディスクドライブ(HDD)、ハイブリッドハードドライブ(HHD)、光ディスク、光ディスクドライブ(ODD)、磁気光学ディスク、磁気光学ドライブ、フロッピーディスケット(登録商標)、フロッピーディスク(登録商標)ドライブ(FDD)、磁気テープ、ソリッドステートドライブ(SSD)、RAMドライブ、セキュアデジタルカード又はドライブ、任意の他の好適なコンピュータ可読非一時的ストレージ媒体、又はこれらのうちの2つ以上の任意の好適な組み合わせを含み得る。コンピュータ可読非一時的記憶媒体は、適切な場合、揮発性、不揮発性、又は揮発性と不揮発性との組み合わせであり得る。
【0073】
いくつかの特定の実施形態と併せて本発明を説明したが、多くの別の代替、変更、及び変形形態が上記した説明に照らして明らかになることが当業者には明らかである。したがって、本明細書において説明された本発明は、添付の特許請求の範囲の思想及び範囲に含まれ得るすべてのこのような代替、変更、応用、及び変形形態を包含するように意図されている。