(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】めっき装置及びめっき方法
(51)【国際特許分類】
C25D 21/12 20060101AFI20240425BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20240425BHJP
C25D 17/00 20060101ALI20240425BHJP
C25D 17/10 20060101ALI20240425BHJP
H01L 21/288 20060101ALI20240425BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240425BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240425BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
C25D21/12 K
C25D7/00 J
C25D17/00 H
C25D17/00 Z
C25D17/10 A
H01L21/288 E
H01L21/88 R
(21)【出願番号】P 2021537986
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2018124649
(87)【国際公開番号】W WO2020133149
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-10-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ジン イーヌオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ホンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン フゥイ
【合議体】
【審判長】池渕 立
【審判官】井上 猛
【審判官】相澤 啓祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-503766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0219565(US,A1)
【文献】特表2018-505960(JP,A)
【文献】特開2015-106653(JP,A)
【文献】特開2003-129297(JP,A)
【文献】特開2004-315889(JP,A)
【文献】特開2012-253258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 5/00
C25D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上
のシード層に金属層をめっきするめっき方法であって、
少なくとも第1陽極及び第2陽極を含むめっきチャンバアセンブリのめっき液に基板を浸漬するステップ1と、
前記第1陽極に適用される第1めっき電源をオンにするステップ2と、
前記第2陽極に適用される第2めっき電源をオンにするステップ3と、
期間T
11の間前記第1めっき電源に電力値P
11を出力させるステップ4と、
前記期間T
11の後、前記第1めっき電源を調整して期間T
12の間電力値P
12を出力させると同時に、期間T
21の間前記第2めっき電源に電力値P
21を出力させるステップ5と、
前記期間T
21の後、前記第2めっき電源を調整して期間T
22の間電力値P
22を出力させるステップ6と、を備え、
前記ステップ4から前記ステップ6を定期的に実行し、前記第1めっき電源及び前記第2めっき電源に正又はゼロの振幅を有する電圧又は電流を出力させ、
前記ステップ4から前記ステップ6を実行する際に、異なるモードが適用され、前記異なるモードは、電力タイプ、電力値及び期間の長さの組み合わせが互いに異なり、めっきプロセスのフェーズに応じた前記モードが選択され、
少なくとも1つの前記モードにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P
11又は前記電力値P
12がめっき閾値未満であり、かつ、前記第1めっき電源の電圧及び電流の少なくとも一方が正であることにより、めっきのためのシード層を修復又は保護することを特徴とするめっき方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのモードにおいて、前記第2めっき電源の前記電力値P
21又は前記電力値P
22が前記めっき閾値未満であり、かつ、前記第2めっき電源の電圧及び電流の少なくとも一方が正であることにより、めっきのためのシード層を修復又は保護することを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項3】
前記モードのうちの第1グループにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P
11が前記めっき閾値未満でありかつ前記第1めっき電源の電流密度が正であることにより前記シード層を修復又は保護し、前記第1めっき電源の前記電力値P
12がゼロであることを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項4】
前記モードのうちの第2グループにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P
11が前記めっき閾値を超えることによりめっき層を形成し、前記第1めっき電源の前記電力値P
12が前記めっき閾値未満でありかつ前記第1めっき電源の電流密度が正であることにより前記シード層を修復することを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項5】
前記モードのうちの第3グループにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P
11が前記めっき閾値を超えることによりめっき層を形成し、前記第1めっき電源の前記電力値P
12が前記めっき閾値未満であり、前記第1めっき電源の電流密度がゼロであり、前記第1めっき電源の電圧が正であることにより、前記シード層を保護することを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項6】
前記電力値P
12が前記電力値P
11よりも小さく、前記電力値P
22が前記電力値P
21よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項7】
前記第1めっき電源が前記電力値P
12を出力するように調整することと、前記第2めっき電源が前記電力値P
21を出力するように設定することとの間に、時間的な間隔があることを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項8】
前記第2めっき電源が前記電力値P
22を出力するように調整することと、前記第1めっき電源が前記電力値P
11を出力するように設定することとの間に、時間的な間隔があることを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項9】
前記第1めっき電源及び前記第2めっき電源を順にオンにし、前記期間T
11及び前記期間T
21を調整することを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項10】
前記電力値P
12及び前記電力値P
22がゼロ又はそれぞれの設定値であることを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項11】
前記期間T
11及び前記期間T
21がそれぞれ0.01ms~2000msであることを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項12】
前記期間T
12及び前記期間T
22がそれぞれ0.01ms~2000msであることを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項13】
前記第1めっき電源及び前記第2めっき電源は、パルス直流電流又はパルス直流電圧であることを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項14】
前記第1めっき電源及び前記第2めっき電源は、前記期間T
11及び前記期間T
21においてパルス直流電流であり、前記期間T
12及び前記期間T
22において設定値のパルス直流電圧であることを特徴とする請求項1に記載のめっき方法。
【請求項15】
基板上
のシード層に金属層をめっきするめっき方法であって、
少なくとも第1陽極及び第2陽極を含むめっきチャンバアセンブリのめっき液に基板を浸漬すると同時に、前記第1陽極に適用される第1めっき電源をオンにするステップ1と、
前記第2陽極に適用される第2めっき電源をオンにするステップ2と、
期間T
11の間前記第1めっき電源に電力値P
11を出力させるステップ3と、
前記期間T
11の後、前記第1めっき電源を調整して期間T
12の間電力値P
12を出力させると同時に、期間T
21の間前記第2めっき電源に電力値P
21を出力させるステップ4と、
前記期間T
21の後、前記第2めっき電源を調整して期間T
22の間電力値P
22を出力させるステップ5と、を備え、
前記ステップ3から前記ステップ5を定期的に実行し、前記第1めっき電源及び前記第2めっき電源に正又はゼロの振幅を有する電圧又は電流を出力させ、
前記ステップ3から前記ステップ5を実行する際に、異なるモードが適用され、前記異なるモードは、電力タイプ、電力値及び期間の長さの組み合わせが互いに異なり、めっきプロセスのフェーズに応じた前記モードが選択され、
少なくとも1つの前記モードにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P
11又は前記電力値P
12がめっき閾値未満であり、かつ、前記第1めっき電源の電圧及び電流の少なくとも一方が正であることにより、めっきのためのシード層を修復又は保護することを特徴とするめっき方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのモードにおいて、前記第2めっき電源の前記電力値P
21又は前記電力値P
22が前記めっき閾値未満であり、かつ、前記第2めっき電源の電圧及び電流の少なくとも一方が正であることにより、めっきのためのシード層を修復又は保護することを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項17】
前記モードのうちの第1グループにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P
11が前記めっき閾値未満でありかつ前記第1めっき電源の電流密度が正であることにより前記シード層を修復又は保護し、前記第1めっき電源の前記電力値P
12がゼロであることを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項18】
前記モードのうちの第2グループにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P
11が前記めっき閾値を超えることによりめっき層を形成し、前記第1めっき電源の前記電力値P
12が前記めっき閾値未満でありかつ前記第1めっき電源の電流密度が正であることにより前記シード層を修復することを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項19】
前記モードのうちの第3グループにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P
11が前記めっき閾値を超えることによりめっき層を形成し、前記第1めっき電源の前記電力値P
12が前記めっき閾値未満であり、前記第1めっき電源の電流密度がゼロであり、前記第1めっき電源の電圧が正であることにより、前記シード層を保護することを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項20】
前記電力値P
12が前記電力値P
11よりも小さく、前記電力値P
22が前記電力値P
21よりも小さいことを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項21】
前記第1めっき電源が前記電力値P
12を出力するように調整することと、前記第2めっき電源が前記電力値P
21を出力するように設定することとの間に、時間的な間隔があることを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項22】
前記第2めっき電源が前記電力値P
22を出力するように調整することと、前記第1めっき電源が前記電力値P
11を出力するように設定することとの間に、時間的な間隔があることを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項23】
前記第1めっき電源及び前記第2めっき電源を順にオンにし、前記期間T
11及び前記期間T
21を調整することを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項24】
前記電力値P
12及び前記電力値P
22がゼロ又はそれぞれの設定値であることを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項25】
前記期間T
11及び前記期間T
21がそれぞれ0.01ms~2000msであることを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項26】
前記期間T
12及び前記期間T
22がそれぞれ0.01ms~2000msであることを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項27】
前記第1めっき電源及び前記第2めっき電源は、パルス直流電流又はパルス直流電圧であることを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項28】
前記第1めっき電源及び前記第2めっき電源は、前記期間T
11及び前記期間T
21においてパルス直流電流であり、前記期間T
12及び前記期間T
22において設定値のパルス直流電圧であることを特徴とする請求項15に記載のめっき方法。
【請求項29】
基板上
のシード層に金属層をめっきするめっき装置であって、
めっきチャンバアセンブリを備え、
複数の独立した陽極領域に分割された陽極室であって、前記複数の独立した陽極領域はそれぞれめっき電源から電力供給される陽極を収容しかつ独立した陽極液入口、独立した陽極液出口及び独立した排出路出口を有する陽極室と、
前記陽極室の上部に固定された膜枠であって、基部を有し、前記基部の上部は上方に延びて側壁を形成し、前記基部及び前記側壁が陰極室を形成し、前記基部の上部に複数の第1分離壁が配置されて前記陰極室を複数の陰極領域に分割し、前記基部は前記複数の陰極領域にめっき液を供給するための複数対の分岐管を有し、前記複数の分岐管のそれぞれが複数の供給孔を有する膜枠と、
前記膜枠の前記基部の底部に取り付けられ、前記陽極室と前記陰極室とを分離する膜と、
前記めっき電源を構成する第1めっき電源及び第2めっき電源を制御するコントローラと、をさらに備え、
前記コントローラは、
前記第1めっき電源をオンにするステップ1と、
前記第2めっき電源をオンにするステップ2と、
期間T
11の間前記第1めっき電源に電力値P
11を出力させるステップ3と、
前記期間T
11の後、前記第1めっき電源を調整して期間T
12の間電力値P
12を出力させると同時に、期間T
21の間前記第2めっき電源に電力値P
21を出力させるステップ4と、
前記期間T
21の後、前記第2めっき電源を調整して期間T
22の間電力値P
22を出力させるステップ5と、を実行し、
前記ステップ3から前記ステップ5を定期的に実行し、前記第1めっき電源及び前記第2めっき電源に正又はゼロの振幅を有する電圧又は電流を出力させ、
前記ステップ3から前記ステップ5を実行する際に、異なるモードが適用され、前記異なるモードは、電力タイプ、電力値及び期間の長さの組み合わせが互いに異なり、めっきプロセスのフェーズに応じた前記モードが選択され、
少なくとも1つの前記モードにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P
11又は前記電力値P
12がめっき閾値未満であり、かつ、前記第1めっき電源の電圧及び電流の少なくとも一方が正であることにより、めっきのためのシード層を修復又は保護することを特徴とするめっき装置。
【請求項30】
前記少なくとも1つのモードにおいて、前記第2めっき電源の前記電力値P
21又は前記電力値P
22が前記めっき閾値未満であり、かつ、前記第2めっき電源の電圧及び電流の少なくとも一方が正であることにより、めっきのためのシード層を修復又は保護することを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項31】
前記モードのうちの第1グループにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P
11が前記めっき閾値未満でありかつ前記第1めっき電源の電流密度が正であることにより前記シード層を修復又は保護し、前記第1めっき電源の前記電力値P
12がゼロであることを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項32】
前記モードのうちの第2グループにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P
11が前記めっき閾値を超えることによりめっき層を形成し、前記第1めっき電源の前記電力値P
12が前記めっき閾値未満でありかつ前記第1めっき電源の電流密度が正であることにより前記シード層を修復することを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項33】
前記モードのうちの第3グループにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P
11が前記めっき閾値を超えることによりめっき層を形成し、前記第1めっき電源の前記電力値P
12が前記めっき閾値未満であり、前記第1めっき電源の電流密度がゼロであり、前記第1めっき電源の電圧が正であることにより、前記シード層を保護することを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項34】
前記陰極室に固定された拡散板をさらに備え、前記拡散板は多数の孔を有し、前記拡散板の底面は複数の下部挿入口を画定し、前記膜枠の前記複数の第1分離壁がそれぞれ前記複数の下部挿入口に挿入されていることを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項35】
前記拡散板の上面に固定された複数の第2分離壁をさらに備えていることを特徴とする請求項34に記載のめっき装置。
【請求項36】
前記拡散板の前記上面は複数の上部挿入口を画定し、前記複数の第2分離壁がそれぞれ前記複数の上部挿入口に挿入かつ固定されていることを特徴とする請求項35に記載のめっき装置。
【請求項37】
前記複数の第2分離壁は、前記拡散板の前記上面に貼付又は溶接により固定されていることを特徴とする請求項35に記載のめっき装置。
【請求項38】
前記第2分離壁の上部構造の形状が長方形、三角形又は円弧であることを特徴とする請求項35に記載のめっき装置。
【請求項39】
前記拡散板の前記上面に固定された第3分離壁をさらに備え、前記第3分離壁は、前記膜枠の前記側壁と前記複数の第2分離壁のうち最も外側の第2分離壁との間において、前記複数の第2分離壁よりも低い位置にあることを特徴とする請求項35に記載のめっき装置。
【請求項40】
前記膜枠の前記側壁の内面がクランプスロットを画定し、複数の固定部材が前記拡散板を前記陰極室に固定するように構成され、前記複数の固定部材がそれぞれ固定板と前記固定板の側壁から突出した挿入板とを有し、前記挿入板が前記膜枠の前記クランプスロットに挿入され、固定ネジが前記固定板を前記拡散板の端部に固定するように構成されていることを特徴とする請求項34に記載のめっき装置。
【請求項41】
互いに隣接する2つの前記陽極領域ごとに、垂直に配置された仕切りによって分離されており、複数対のシールリングが前記陽極領域を分離して完全に独立した陽極領域を形成するように構成されていることを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項42】
前記排出路出口はそれぞれ排出路に接続し、前記排出路は前記陽極領域のそれぞれに設けられ、前記排出路の上端は前記陽極領域の最も高い位置に配置されていることを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項43】
前記排出路のそれぞれの上端は、第1面と、前記第1面に接続して斜め下方に延びる第2面とを有し、前記排出路の前記上端の前記第1面は前記膜に接し、前記膜と前記排出路の前記上端の前記第2面との間に排出路入口が形成されていることを特徴とする請求項42に記載のめっき装置。
【請求項44】
前記膜枠の前記基部の底部は、斜め上向き形状、実質的にV字形状、又は、実質的に逆V字形状であることを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項45】
前記複数の陽極領域は、それぞれ、導電性プレートと、導電性接続部材とをさらに収容し、前記導電性接続部材は、水平部と垂直部とを有し、前記導電性プレートは、前記陽極の下に位置し、前記導電性接続部材の前記水平部は、前記導電性プレートの下に位置し、前記導電性接続部材の前記垂直部は、制御されためっき電源に接続するために前記陽極領域の底部に形成された貫通孔を通過することを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項46】
前記導電性接続部材がそれぞれ独立しためっき電源に接続されていることを特徴とする請求項45に記載のめっき装置。
【請求項47】
前記導電性接続部材の全てが制御された1つのめっき電源に接続され、前記めっき電源は部分めっきを実施するために前記陽極を切り替え可能であることを特徴とする請求項45に記載のめっき装置。
【請求項48】
前記導電性接続部材の前記水平部と前記陽極領域の底部との間にそれぞれ設けられた外側シールリング及び内側シールリングをさらに備え、前記陽極領域の底部は、前記外側シールリングと前記内側シールリングとの間に脱イオン水トラフをさらに画定し、前記脱イオン水トラフは脱イオン水を含むことを特徴とする請求項45に記載のめっき装置。
【請求項49】
前記複数の分岐管のそれぞれに設けられた前記複数の供給孔が複数の群に分けられ、前記複数の群のそれぞれが前記複数の陰極領域の1つに対応することを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項50】
前記複数の陰極領域のそれぞれに対応する前記複数の供給孔の密度が互いに同じであり、前記供給孔の直径が前記陰極室の中心から端部に向かって漸進的に大きくなっていることを特徴とする請求項49に記載のめっき装置。
【請求項51】
前記複数の陰極領域のそれぞれに対応する前記複数の供給孔の直径が互いに同じであり、前記供給孔の密度が前記陰極室の中心から端部に向かって漸進的に大きくなっていることを特徴とする請求項49に記載のめっき装置。
【請求項52】
複数の供給孔を有しかつ互いに対向する2つの前記分岐管が、1つの陰極領域に対してめっき液を供給するための一対の分岐管を形成し、前記一対の分岐管の供給孔は1つの陰極領域に対応していることを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項53】
前記陽極室及び前記陰極室を取り囲む周縁室をさらに備え、前記周縁室は、前記周縁室の底部に設けられた複数の陰極液出口を有することを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項54】
前記周縁室の上部に配置されたシュラウドをさらに備えていることを特徴とする請求項53に記載のめっき装置。
【請求項55】
前記基板がめっきされた後に前記基板上のめっき膜を洗浄するように構成された少なくとも1つの基板リンスノズルをさらに備えていることを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項56】
前記基板めっき工程において、前記基板の中心が前記陰極室の中心からずれていることを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【請求項57】
前記基板の中央領域におけるめっき液の流れ及び電界の均一性を向上させるため、前記膜枠の中心に配置されたセンターキャップ及び可調部材をさらに備えていることを特徴とする請求項29に記載のめっき装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、基板の表面に金属層を析出させるためのめっき装置及びめっき方法に関し、より詳細には、半導体デバイスの配線構造を形成するために基板上に金属層を析出させるためのめっき装置及びめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路のテクノロジーやプロセスの発展に伴い、従来の配線技術の限界を打破する新たな配線技術が求められている。アルミニウムおよびアルミニウム合金を導体材料とし、二酸化ケイ素を誘電体材料とするアルミニウム配線は、第1世代の相互接続技術と呼ばれている。超大規模集積回路(VLSI)の時代において、アルミ配線技術は、回路性能の要求を基本的に満たすことができるため、広く使用されている。デバイスのサイズがディープサブミクロンの領域になるにつれて、金属配線の幅の縮小、及び、金属配線の層数の増加が必要となる。しかしながら、配線材料にアルミニウムを使用しているため、金属配線の層数の増加や金属配線の幅の縮小に伴い、アルミニウムの配線抵抗が増加し、これにより回路の遅延時間の増加、信号の減衰やクロストーク効果、エレクトロマイグレーションの悪化やストレスマイグレーション障害が引き起こされ、回路の信頼性に重大な影響を及ぼす。
【0003】
そこで、従来のアルミニウムや二酸化ケイ素に代えて、銅(Cu)と低誘電率材料を用いて、半導体デバイスの配線構造を形成する新しいプロセスを開発した。ダマスカス構造をベースにした銅(Cu)の相互接続プロセスは、第2世代の相互接続プロセスと呼ばれている。半導体デバイスの銅(Cu)配線の形成に用いられる例示的なダマスカスプロセスは、基板上に誘電体層を形成するステップと、誘電体層にビアやトレンチ等のような凹部を形成するステップと、誘電体層及び凹部の壁にバリア層を形成するステップと、バリア層および凹部の壁にシード層を形成するステップと、シード層上に銅(Cu)層を形成し、凹部に銅(Cu)を充填するステップと、非凹部に形成されたCu層、シード層およびバリア層を除去するステップとを含んでよい。凹部に残った銅(Cu)層が、配線構造を形成する。凹部に銅(Cu)層を形成して配線構造を形成するには、PVD(物理的気相成長)、CVD(化学的気相成長)、電気めっき等、様々な手法が開発されている。PVDやCVDと比較して、電気めっきは、優れたギャップ充填能力と、高い成膜速度を有している。そのため、凹部に銅(Cu)層を析出させるため、電気めっきが徐々に普及してきている。しかしながら、デバイスの製造ノードの微細化が進み、次世代の半導体デバイスではより細い配線が適用される。より細い配線のプロセスを実現するため、より薄い銅(Cu)シード層や、コバルト(Co)等の新しいシード層の材料が適用される。銅(Cu)シード層の厚みが薄くなったり、シード層の材質が変わったりすると、抵抗値が高くなり、凹部を充填するための銅(Cu)めっきが困難になる。また、従来の電気めっきの電流は直流モードである。めっき率を上げるためにめっき電流を大きくすると、小さなギャップを充填する際にボイドが発生してしまう。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一実施形態における、基板上のシード層に金属層をめっきするめっき方法は、
少なくとも第1陽極及び第2陽極を含むめっきチャンバアセンブリのめっき液に基板を浸漬するステップ1と、
前記第1陽極に適用される第1めっき電源をオンにするステップ2と、
前記第2陽極に適用される第2めっき電源をオンにするステップ3と、
期間T11の間前記第1めっき電源に電力値P11を出力させるステップ4と、
前記期間T11の後、前記第1めっき電源を調整して期間T12の間電力値P12を出力させると同時に、期間T21の間前記第2めっき電源に電力値P21を出力させるステップ5と、
前記期間T21の後、前記第2めっき電源を調整して期間T22の間電力値P22を出力させるステップ6と、を備え、
前記ステップ4から前記ステップ6を定期的に実行し、前記第1めっき電源及び前記第2めっき電源に正又はゼロの振幅を有する電圧又は電流を出力させ、
前記ステップ4から前記ステップ6を実行する際に、異なるモードが適用され、前記異なるモードは、電力タイプ、電力値及び期間の長さの組み合わせが互いに異なり、めっきプロセスのフェーズに応じた前記モードが選択され、
少なくとも1つの前記モードにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P11又は前記電力値P12がめっき閾値未満であり、かつ、前記第1めっき電源の電圧及び電流の少なくとも一方が正であることにより、めっきのためのシード層を修復又は保護することを特徴とする。
【0005】
本発明の別の実施形態における、基板上のシード層に金属層をめっきするめっき方法は、
少なくとも第1陽極及び第2陽極を含むめっきチャンバアセンブリのめっき液に基板を浸漬すると同時に、前記第1陽極に適用される第1めっき電源をオンにするステップ1と、
前記第2陽極に適用される第2めっき電源をオンにするステップ2と、
期間T11の間前記第1めっき電源に電力値P11を出力させるステップ3と、
前記期間T11の後、前記第1めっき電源を調整して期間T12の間電力値P12を出力させると同時に、期間T21の間前記第2めっき電源に電力値P21を出力させるステップ4と、
前記期間T21の後、前記第2めっき電源を調整して期間T22の間電力値P22を出力させるステップ5と、を備え、
前記ステップ3から前記ステップ5を定期的に実行し、前記第1めっき電源及び前記第2めっき電源に正又はゼロの振幅を有する電圧又は電流を出力させ、
前記ステップ3から前記ステップ5を実行する際に、異なるモードが適用され、前記異なるモードは、電力タイプ、電力値及び期間の長さの組み合わせが互いに異なり、めっきプロセスのフェーズに応じた前記モードが選択され、
少なくとも1つの前記モードにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P11又は前記電力値P12がめっき閾値未満であり、かつ、前記第1めっき電源の電圧及び電流の少なくとも一方が正であることにより、めっきのためのシード層を修復又は保護することを特徴とする。
【0006】
本発明の一実施形態における、基板上のシード層に金属層をめっきするめっき装置は、
めっきチャンバアセンブリを備え、
複数の独立した陽極領域に分割された陽極室であって、前記複数の独立した陽極領域はそれぞれめっき電源から電力供給される陽極を収容しかつ独立した陽極液入口、独立した陽極液出口及び独立した排出路出口を有する陽極室と、
前記陽極室の上部に固定された膜枠であって、基部を有し、前記基部の上部は上方に延びて側壁を形成し、前記基部及び前記側壁が陰極室を形成し、前記基部の上部に複数の第1分離壁が配置されて前記陰極室を複数の陰極領域に分割し、前記基部は前記複数の陰極領域にめっき液を供給するための複数対の分岐管を有し、前記複数の分岐管のそれぞれが複数の供給孔を有する膜枠と、
前記膜枠の前記基部の底部に取り付けられ、前記陽極室と前記陰極室とを分離する膜と、前記めっき電源を構成する第1めっき電源及び第2めっき電源を制御するコントローラと、をさらに備えている。
前記コントローラは、前記第1めっき電源をオンにするステップ1と、前記第2めっき電源をオンにするステップ2と、期間T11の間前記第1めっき電源に電力値P11を出力させるステップ3と、前記期間T11の後、前記第1めっき電源を調整して期間T12の間電力値P12を出力させると同時に、期間T21の間前記第2めっき電源に電力値P21を出力させるステップ4と、前記期間T21の後、前記第2めっき電源を調整して期間T22の間電力値P22を出力させるステップ5と、を実行する。
前記コントローラは、前記ステップ3から前記ステップ5を定期的に実行し、前記第1めっき電源及び前記第2めっき電源に正又はゼロの振幅を有する電圧又は電流を出力させる。
前記ステップ3から前記ステップ5を実行する際に、異なるモードが適用され、前記異なるモードは、電力タイプ、電力値及び期間の長さの組み合わせが互いに異なり、めっきプロセスのフェーズに応じた前記モードが選択される。
少なくとも1つの前記モードにおいて、前記第1めっき電源の前記電力値P11又は前記電力値P12がめっき閾値未満であり、かつ、前記第1めっき電源の電圧及び電流の少なくとも一方が正であることにより、めっきのためのシード層を修復又は保護する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の例示的な実施形態に係るめっき装置の斜視図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態に係るめっきチャンバアセンブリの透視図である。
【
図3】
図2に示すめっきチャンバアセンブリの断面図である。
【
図5】
図2に示すめっきチャンバアセンブリの別の断面図である。
【
図10】複数の陰極領域における独立しためっき液供給を示す概略図である。
【
図11a】複数の陰極領域に対応するめっき液供給孔の密度が同じで直径が異なる状態を示す模式図である。
【
図11b】複数の陰極領域に対応するめっき液供給孔の直径が同じで密度が異なる状態を示す模式図である。
【
図14】拡散板の設置状態を示す部分拡大図である。
【
図15a】第2分離壁が拡散板に固定される2つの方法のうちの1つを示す図である。
【
図15b】第2分離壁が拡散板に固定される2つの方法のうちのもう1つを示す図である。
【
図16a】第2分離壁の様々な形状を示す図である。
【
図16b】第2分離壁の様々な形状を示す図である。
【
図16c】第2分離壁の様々な形状を示す図である。
【
図17】基板の中心が陰極室の中心と一致している状態のめっきプロファイルを示す。
【
図18】基板の中心が陰極室の中心からずれている状態を示す図である。
【
図19】基板の中心が陰極室の中心からがずれている状態のめっきプロファイルを示す。
【
図20】本発明の別の例示的な実施形態に係るめっきチャンバアセンブリの斜視図である。
【
図21】
図20に示すめっきチャンバアセンブリの断面図である。
【
図22】基板のめっき中における、基板と第2分離壁とのギャップを示す簡略化された概略図である。
【
図23】本発明のさらに別の例示的な実施形態に係るめっきチャンバアセンブリの断面図である。
【
図24】
図23に示すめっきチャンバアセンブリの中央部の流れ調整を示す部分拡大図である。
【
図28】本発明に係る各陽極に印加されるめっき電源の出力の波形図である。
【
図29】本発明に係る部分めっきモードの定義を示す表である。
【
図30】本発明の例示的な実施形態に係るめっき方法のフローチャートである。
【
図31】本発明の別の例示的な実施形態に係るめっき方法のフローチャートである。
【
図34】本発明に係る部分めっきの別の波形図である。
【
図35】本発明に係る部分めっきのさらに別の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の例示的な実施形態に係るめっき装置を示す。めっき装置は、チャックアセンブリ100と、めっきチャンバアセンブリ200とを含む。チャックアセンブリ100は、めっき用の基板を保持するように構成されている。チャックアセンブリ100は、基板を保持して、所望の速度で回転させたり、水平面に対して所望の角度に傾けたり、上下に移動させたりすることができる。チャックアセンブリ100のより詳細な説明は、2015年12月4日に出願されたPCT/CN2015/096402に開示されており、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
図2~
図7を参照すると、めっきチャンバアセンブリ200は、陽極室210と、陽極室210の上部に配置された陰極室220と、陽極室210と陰極室220とを分離する膜230と、陽極室210及び陰極室220を取り囲む周縁室240と、周縁室240の上部に配置されたシュラウド250とを含む。
【0010】
陽極室210は、複数の陽極領域211に分割されており、互いに隣接する2つの陽極領域211ごとに、垂直に配置された仕切り212によって分離されている。仕切り212の材料は、非導電性及び耐薬品性を具備している。仕切り212は、電界を分離し、電解質の流れ場を制限する。本発明を限定するものではないが、一実施形態において、陽極室210は4つの陽極領域211に分割されている。各陽極領域211は、陽極2111を収容している。陽極2111は、例えば、銅製の円筒や銅製の粒子であってよい。4つの陽極2111は、陽極室210の中心から端に向かって、第1陽極、第2陽極、第3陽極、第4陽極とそれぞれ番号をつけることができる。プロセス要件に応じて陽極2111を異なる材料で作成できることを認識されたい。
【0011】
図4に示すように、各陽極領域211は、導電性プレート2112と、T字型の導電性接続部材2113とをさらに収容しており、これらはいずれもチタン(Ti)で構成されてよい。導電性接続部材2113は、水平部と垂直部とを有する。導電性プレート2112は、陽極2111の下に位置する。導電性接続部材2113の水平部は、導電性プレート2112の下に位置し、導電性接続部材2113の垂直部は、独立して制御されためっき電源に接続するために陽極領域211の底部に形成された貫通孔を通過する。めっき電源は、直流電流/電圧電源又はパルス電源であってよい。めっき電流又は電圧は、部分めっきを実施するため、対応する導電性接続部材2113及び導電性プレート2112を介して、各陽極2111に供給される。或いは、一実施形態においては、全ての導電性接続部材2113がめっき電源に接続されており、めっき電源は、部分めっきを実施するために陽極2111を切り替え可能である。ネジ2114は、導電性プレート2112と導電性接続部材2113とを固定するために用いられる。陽極領域211のめっき液が貫通孔に漏れるのを防ぐため、導電性接続部材2113の水平部と陽極領域211の底部との間に、外側シールリング2115及び内側シールリング2116がそれぞれ設けられている。陽極領域211の底部は、外側シールリング2115と内側シールリング2116との間に、脱イオン水トラフ2117をさらに画定する。外側シールリング2115、内側シールリング2116及び脱イオン水トラフ2117は、同心円状である。脱イオン水トラフ2117は、脱イオン水を含む。ダブルシールリングを使用することで、シール効果が向上する。めっき液の結晶によって外側シールリング2115のシール効果が消失しても、内側シールリング2116によってめっき液が貫通孔に漏れるのを防ぐことができる。めっき液は、外側シールリング2115を流れた後、脱イオン水トラフ2117に流れ込む。めっき液は脱イオン水トラフ2117で希釈され、めっき液が内側シールリング2116の周りで結晶化して内側シールリング2116のシール効果が消失することが回避される。
【0012】
陽極室210の上部に膜枠221が固定されており、膜枠221の下部は仕切り212によって支持されている。膜枠221は、陰極室220を形成するように構成されている。膜枠221の底部に、陽極室210と陰極室220とを分離する膜230が取り付けられている。複数対のシールリング260は、陽極領域211間で質量及びエネルギーの伝達がないことを保証するように、陽極領域211を完全に分離するように構成されている。具体的には、一対のシールリング260が、膜枠221の底部と陽極室210の上部との間に設けられ、他の一対のシールリング260が、膜枠221の底部と仕切り212の上部との間にそれぞれ設けられ、完全に独立した陽極領域211を形成している。独立した各陽極領域211は、陽極領域211にめっき液を供給するための電解液流量制御装置に接続された陽極液入口213を有する。独立した各陽極領域211は、当該陽極領域211から老化した電解液、分解生成物及び粒子を排出するための陽極液出口214を有する。
【0013】
独立した各陽極領域211は、排出路出口215をさらに有する。各排出路出口215は、排出路216に接続している。排出路216は、陽極領域211に設けられ、仕切り212に接している。排出路216は、陽極領域211の最も高い位置に配置された上端217を有する。
図6及び
図7に示すように、排出路216の上端217は、第1面2171と、第1面2171に接続して斜め下方に延びる第2面2172とを有する。排出路216の上端217の第1面2171は膜230に接し、膜230と排出路216の上端217の第2面2172との間に排出路入口2173が形成されている。めっき工程において、電解液は、対応する陽極液入口213を介して各陽極領域211に送られ、排出路入口2173、排出路216及び排出路出口215を介して排出される。電解液に混入した気泡は、陽極領域211の最も高い位置に集められ、排出路入口2173、排出路216及び排出路出口215を介して排出される。各陽極領域211の陽極液出口214は、陽極室210の電解液をリフレッシュしたり陽極室210のメンテナンスを行う必要がある場合に、陽極領域211内の電解液を陽極室210外に完全に排出するために使用される。
【0014】
図8を参照すると、陰極室220を形成するように構成された膜枠221は、陽極室210の上部に水平に配置された基部2211を有する。基部2211は、剛性の高い穴あき又はメッシュ状のフレームである。基部2211の周縁部は、上方に延びて側壁2212を形成している。基部2211及び側壁2212は、陰極室220を構成している。側壁2212の内面は、クランプスロット2213を画定している。複数の第1分離壁2214は、基部2211の上部に配置され、陰極室220を複数の陰極領域に分割する。一実施形態では、陰極室220を、第1陰極領域2215、第2陰極領域2216、第3陰極領域2217及び第4陰極領域2218と名付けられた4つの陰極領域に分割するために、3つの第1分離壁2214が設けられている。
【0015】
膜枠221の基部2211は、陰極室220内にめっき液を供給するための複数対の分岐管2219を有する。各分岐管2219は、各分岐管2219内のめっき液の流れ方向が基部2211の端部から中心に向かうように、基部2211の端部から中心に向かって延びている。各分岐管2219は、陰極液入口2221に接続されている。各分岐管2219は、複数のめっき液供給孔2222を有する。各分岐管2219に設けられた複数の供給孔2222は、4つの群に分かれており、各群の供給孔2222は、1つの陰極領域に対応している。
図11aに示すように、第1陰極領域2215、第2陰極領域2216、第3陰極領域2217及び第4陰極領域2218に対応する供給孔2222の密度は互いに同じであるが、第1陰極領域2215、第2陰極領域2216、第3陰極領域2217及び第4陰極領域2218に対応する供給孔2222の直径は互いに異なる。供給孔2222の直径は、第1陰極領域2215から第4陰極領域2218に向かって、漸進的に大きくなっている。別の実施形態では、
図11bに示すように、第1陰極領域2215、第2陰極領域2216、第3陰極領域2217及び第4陰極領域2218に対応する供給孔2222の直径は互いに同じであるが、第1陰極領域2215、第2陰極領域2216、第3陰極領域2217及び第4陰極領域2218に対応する供給孔2222の密度は互いに異なる。供給孔2222の密度は、第1陰極領域2215から第4陰極領域2218に向かって、漸進的に大きくなっている。各供給孔2222のめっき液噴霧方向は、鉛直面に対して傾斜している。
図8からわかるように、各分岐管2219を介して、第1陰極領域2215、第2陰極領域2216、第3陰極領域2217及び第4陰極領域2218に同時にめっき液が供給されるため、第1陰極領域2215、第2陰極領域2216、第3陰極領域2217及び第4陰極領域2218のめっき液供給が非独立型の制御となっている。
【0016】
図10に、陰極めっき液供給の他の実施形態が示されている。基部2211に、8本の分岐管2219が対称に配置されている。複数のめっき液供給孔2222を有しかつ互いに対向する2つの分岐管2219が、1つの陰極領域に対してめっき液を供給するための一対の分岐管を形成している。したがって、4対の分岐管2219が、それぞれ、第1陰極領域2215、第2陰極領域2216、第3陰極領域2217及び第4陰極領域2218にめっき液を供給するように構成されている。
図10からわかるように、一対の分岐管2219ごとのめっき液供給孔2222は、1つの陰極領域のみに対応しているため、第1陰極領域2215、第2陰極領域2216、第3陰極領域2217及び第4陰極領域2218のめっき液供給を独立して制御することができ、陰極領域間の電界干渉を回避できる。
【0017】
膜枠221の基部2211の底部には、陽極室210と陰極室220とを分離するように、膜230が取り付けられている。膜230を介して金属イオンのみが特定の方向に透過し、電解液や電解液中の添加物は膜230を介して透過することができない。これにより、陽極室210と陰極室220との間で金属イオンのみの交換が行われることが保証される。
【0018】
膜枠221の基部2211の底部は、様々な形状であってよい。例えば、基部2211の底部は、
図9aに示すように、斜め上向きである。或いは、基部2211の底部は、
図9bに示すように、実質的にV字形状であるか、又は、
図9cに示すように、実質的に逆V字形状である。
【0019】
陰極室220には、拡散板270が設けられている。
図12~
図14を参照すると、拡散板270は、当該拡散板270を貫通する多数の孔271を有する。孔271のサイズ及び分布は、電解質の質量場と電界を決定し、最終的にはめっきプロファイルとシステムの抵抗とに影響を与える。拡散板270の上面は、複数の上部挿入口272を画定している。複数の上部挿入口272は、同心円状である。一実施形態において、拡散板270の上面は、3つの上部挿入口272を画定している。拡散板270の下面は、複数の下部挿入口273を画定している。複数の下部挿入口273は、同心円状である。下部挿入口273の数は、膜枠221の第1分離壁2214の数と一致する。上部挿入口272及び下部挿入口273は、1対1の対応関係にある。一実施形態において、拡散板270の下面は、3つの下部挿入口273を画定している。膜枠221の複数の第1分離壁2214は、拡散板270の複数の下部挿入口273にそれぞれ挿入されており、これにより、陰極室220に拡散板270を支持している。
図14に示すように、複数の固定部材274が、拡散板270を陰極室220に固定するように構成されている。具体的には、各固定部材274は、固定板2741と、固定板2741の側壁から突出した挿入板2742とを有する。固定部材274の挿入板2742が膜枠221のクランプスロット2213に挿入され、固定ネジ2743が固定板2741を拡散板270の端部に固定するように構成されている。このようにして、拡散板270が陰極室220に固定されている。
【0020】
複数の第2分離壁280は、拡散板270の上部挿入口272に挿入かつ固定され、陰極室220を複数の陰極領域に分割し、基板端部のめっきプロファイル制御に恩恵を与える。一実施形態において、第2分離壁280の数は3つであり、陰極室220を4つの陰極領域に分割している。第2分離壁280は、PVC、PP等の非導電性及び抗酸性を有する材料からなる。
【0021】
第2分離壁280を拡散板270の上面に固定する方法は、いくつかある。
図15a及び
図15bを参照すると、
図15aでは、第2分離壁280が拡散板270の上面に貼付又は溶接により固定されており、
図15bでは、第2分離壁280が拡散板270の上面に挿入により固定されている。
【0022】
第2分離壁280の厚みは、基板上における第2分離壁280と重なる領域のめっきプロファイルに影響を与え得る。基板上における上記領域のめっき膜の厚みは、第2分離壁280の上方の電界が弱いため、基板上における他の領域のめっき膜の厚みよりも小さくなり、領域間のめっきプロファイルの境界効果を引き起こす。したがって、第2分離壁280は、厚みが小さいほど、境界効果を最小限に抑えることができる。一実施形態において、各第2分離壁280の厚みは、約0.5mmである。第2分離壁280の上部の形状を最適化することによっても、境界効果を抑制することができる。
図16a~
図16cを参照すると、第2分離壁280の様々な形状が示されている。
図16aにおいて、第2分離壁280'は、長方形の上部構造を有する。
図16bにおいて、第2分離壁280''は、三角形の上部構造を有する。
図16cにおいて、第2分離壁280'''は、円弧の上部構造を有する。三角形又は円弧の上部構造を有する第2分離壁は、長方形の上部構造を有する第2分離壁よりも優れており、境界効果を抑制するのに有利であることが明白である。
【0023】
再び
図3を参照すると、周縁室240は、陽極室210及び陰極室220を取り囲んでいる。周縁室240は、当該周縁室240の底部に設けられた複数の陰極液出口241を有する。複数の陰極液出口241は、陰極液タンクにつながっている。陰極めっき液は、分岐管2219の供給孔2222を介して、第1陰極領域2215、第2陰極領域2216、第3陰極領域2217及び第4陰極領域2218に供給される。第1陰極領域2215、第2陰極領域2216、第3陰極領域2217及び第4陰極領域2218の陰極めっき液は、上方に流れ、拡散板270を通過する。陰極室220のめっき液は、陰極室220から溢れ、周縁室240に受容される。周縁室240のめっき液は、陰極液出口241から排出され、陰極液タンクに受容される。
【0024】
図3及び
図5を参照すると、基板のめっき中にめっき液が飛散することを回避するため、周縁室240の上部にシュラウド250が配置されている。シュラウド250は、収集溝251を有する。シュラウド250は、収集溝251に画定された液体入口252及び液体出口253を有する。シュラウド250を洗浄するための洗浄液を、液体入口252を介して収集溝251に供給することができる。収集溝251内の液体は、液体出口253から排出される。
【0025】
少なくとも1つの基板リンスノズル290は、電解液がめっき膜をエッチングするのを回避するため、基板がめっきされた後に基板上のめっき膜を洗浄するように構成されている。
図5には、基板上のめっき膜を洗浄するための、1対の基板リンスノズル290が示されている。めっき膜の洗浄中、洗浄液は、シュラウド250の収集溝251により集められ、シュラウド250の液体出口253から排出される。
【0026】
チャック洗浄ノズル300は、チャックアセンブリ100を洗浄するように構成されている。チャックアセンブリ100の洗浄中、洗浄液は、シュラウド250の収集溝251により集められ、シュラウド250の液体出口253から排出される。
【0027】
めっき装置が、相互接続構造を形成するための基板上に金属層をめっきするために使用される場合、基板400は、めっきのために基板400を保持するように構成されたチャックアセンブリ100に移送される。チャックアセンブリ100は、めっきチャンバアセンブリ200の上方に配置されている。基板400は、トレンチ、ビア等のパターン化された構造体を有する。チャックアセンブリ100は、基板400を搬送し、陰極室220のめっき液に基板400を浸漬させる。チャックアセンブリ100は、基板400が陰極室220のめっき液に入る過程で、基板400を水平面に対して予め設定された角度に傾かせ、予め設定された速度で回転させるように動作可能であり、同時に、基板400を下方に移動させて陰極室220のめっき液に浸漬させるように動作可能である。基板400の浸漬工程において、チャックアセンブリ100は、基板400が徐々に水平になり、最終的に基板400が陰極室220のめっき液に完全に浸漬されたときに完全に水平になるように、動作可能である。
図18を参照すると、基板400のめっき処理中、好ましくは、基板400の中心は、第2分離壁280によって誘発される境界効果を最小化又は排除するように、陰極室220の中心からずれている。
図17は、基板400の中心が陰極室220の中心と一致している状態のめっきプロファイルを示す。
図19は、基板400の中心が陰極室220の中心からがずれている状態のめっきプロファイルを示す。
図17からわかるように、基板400のめっき処理中に、基板400の中心が陰極室220の中心と一致している場合、基板400上に、領域間のめっきプロファイルの境界効果が現れる。これに対し、基板400の中心が陰極室220の中心からずれている場合は、
図19に示すように、領域間のめっきプロファイルの境界効果が現れない。
【0028】
基板400と第2分離壁280の上端とのギャップは、めっき速度及びめっきプロファイルの制御に重要である。ギャップが小さいほど、単一の領域のめっきプロファイル制御に有利である。各領域のめっき電流が当該領域にのみ作用し、領域間の電流のクロストークが最小限に抑制される。ギャップが大きいほど、スムーズなめっきプロファイルの実現に有利である。したがって、基板400のトレンチ、ビア等のパターン化された構造体の充填が完了した後、後続のオーバーバーデン金属層のめっきを実行しつつ、好ましくは、基板400と第2分離壁280の上端とのギャップを、大きなギャップに調整することができる。ギャップは、めっき処理中、通常1~20mmに設定される。
【0029】
図20~
図22を参照すると、本発明の別の例示的な実施形態に係るめっきチャンバアセンブリ500が示されている。めっきチャンバアセンブリ500は、陽極室510と、陽極室510の上部に配置された陰極室520と、陽極室510と陰極室520とを分離する膜530と、陽極室510及び陰極室520を取り囲む周縁室540と、周縁室540の上部に配置されたシュラウド550と、陰極室520に配置された拡散板570と、拡散板570に固定された複数の第2分離壁580と、基板がめっきされた後に基板上のめっき膜を洗浄するように構成された少なくとも1つの基板リンスノズル590とを含み、これらは全てめっきチャンバアセンブリ200と同様である。めっきチャンバアセンブリ500は、めっきチャンバアセンブリ200と類似している。めっきチャンバアセンブリ500とめっきチャンバアセンブリ200との相違点は、めっきチャンバアセンブリ500が第3分離壁5010を有する点にある。第3分離壁5010は、拡散板570の周縁であって、複数の第2分離壁のうち最も外側の第2分離壁580と陰極室520の側壁との間に、固定されている。第3分離壁5010の高さは、第2分離壁580の高さよりも低い。
図22に示すように、一実施形態では、陰極室520を、第1陰極領域5215、第2陰極領域5216、第3陰極領域5217及び第4陰極領域5218と名付けられた4つの陰極領域に分割するために、3つの第2分離壁580が設けられている。第3分離壁5010は、基板400の周縁のめっきプロファイルを調整するため、第4陰極領域5218に設けられている。第3分離壁5010の高さが第2分離壁580の高さよりも低いことで、基板400を陰極室520のめっき液に進入させ易い。拡散板570の上面は、複数の第3挿入口を画定しており、第3分離壁5010は基板400の周縁のめっきプロファイルを調整するため、複数の第3挿入口のうちの1つに任意に挿入される。
【0030】
図23~
図27を参照すると、本発明のさらに別の例示的な実施形態に係るめっきチャンバアセンブリ600が示されている。めっきチャンバアセンブリ600は、陽極室610と、陽極室610の上部に配置された陰極室620と、陽極室610と陰極室620とを分離する膜630と、陽極室610及び陰極室620を取り囲む周縁室640と、周縁室640の上部に配置されたシュラウド650と、陰極室620に配置された拡散板670と、拡散板670に固定された複数の第2分離壁680と、拡散板670の周縁に固定された第3分離壁6010と、基板がめっきされた後に基板上のめっき膜を洗浄するように構成された少なくとも1つの基板リンスノズル690とを含む。めっきチャンバアセンブリ600は、めっきチャンバアセンブリ500と類似している。めっきチャンバアセンブリ600とめっきチャンバアセンブリ500との相違点は、めっきチャンバアセンブリ600がセンターキャップ6020及び可調部材6030をさらに含む点にある。センターキャップ6020及び可調部材6030は、陽極室610の上部に固定されかつ陰極室620を形成するように構成された膜枠621の中心に配置され、基板の中央領域におけるめっき液の流れ及び電界の均一性を向上させる。膜枠621の下部には、陽極室610と陰極室620とを分離する膜630が取り付けられている。
【0031】
図24に示すように、膜枠621の底部の中心は、第1キャビティ62111を画定している。第1キャビティ62111の底部開口は、第1キャビティ62111と陽極室610の中心に位置する陽極領域との間で金属イオンの交換のみが行われるように、膜630によって覆われている。第1キャビティ62111は、膜枠621に画定されている複数の流路621112を介して、複数の分岐管6219に接続されている。めっき液は、複数の分岐管6219及び複数の流路621112を介して、第1キャビティ62111に供給される。膜枠621の上部の中心は、第2キャビティ62113を画定している。第2キャビティ62113は、連通路621114を介して、第1キャビティ62111に接続されている。第2キャビティ62113の上部は、段差部62115を形成するように外側に延びている。センターキャップ6020は、段差部62115に支持されている。センターキャップ6020は、複数のネジによって、段差部62115に固定されている。
【0032】
センターキャップ6020の一例を示す
図25及び
図26を参照されたい。センターキャップ6020は、センターキャップ6020の中心を通るセンターホール60201を有する。センターキャップ6020は、流れの均一化のためにセンターキャップ6020に放射状に配置された複数のオリフィス60202を有する。複数のオリフィス60202の直径は、互いに同じであってもよいし、互いに異なってもよい。基板上では、半径が大きくなると、領域が増大し、めっきの物質移動を実現するためにより多くの流量が必要となる。そのため、オリフィス60202の直径は、センターキャップ6020の中心から端部に向かって、漸進的に大きくなることが好ましい。或いは、センターキャップ6020上のオリフィス60202の密度が、一定であってもよいし、異なってもよい。好ましくは、オリフィス60202の密度は、センターキャップ6020の中心から端部に向かって漸進的に増加する。センターキャップ6020は、複数の取付孔60203を有する。複数のネジは、センターキャップ6020の取付孔60203と膜枠621の段差部62115とにそれぞれ挿入され、センターキャップ6020を段差部62115に固定する。好ましくは、センターキャップ6020と段差部62115との間に、Oリングが設けられる。
【0033】
図27は、可調部材6030の一例を示す。可調部材6030は、センターキャップ6020に供給されるめっき液の流量を調整し、さらに基板の中央領域に供給されるめっき液の流量を調整するように構成されている。可調部材6030は、センターキャップ6020のセンターホール60201に挿入され、中央部の流れを規制するために膜枠621の連通路62114の上端に配置されている。可調部材6030は、膜枠621の連通路62114の上端を完全に塞ぎ、センターキャップ6020にめっき液が供給されないようにすることができる。また、可調部材6030を徐々に上昇させることで、連通路62114の上端の開口が漸進的に開放され、センターキャップ6020にめっき液が供給される。したがって、可調部材6030を上昇又は下降させることで、基板の中央領域に供給されるめっき液の流量を調整することができる。一実施形態において、可調部材6030は、基体60301と、基体60301の下部に形成されたブロック部60302とを有する。基体60301は、円柱形状である。ブロック部60302は、逆円錐形状である。基体60301の上部は、ドライバー等の工具を用いて可調部材6030を容易に回転させるための溝状の開口60303を画定している。可調部材6030を回転させることで、可調部材6030がセンターキャップ6020のセンターホール60201内で上昇又は下降し、センターキャップ6020に供給されるめっき液の流れが調節され、さらに、基板の中心領域に供給されるめっき液の流れが調節される。センターキャップ6020に供給されるめっき液の流れは、可調部材6030によって独立して制御されることが理解されよう。
【0034】
各陽極に印加されるめっき電源の出力を示す、
図28を参照されたい。めっき電源は、パルス電源であってよい。
【0035】
図面には示されていないが、異なるモードで動作するようにめっき電源を制御するように構成されたコントローラが設けられている。コントローラは、各めっき電源に接続されてよい。また、コントローラは、めっき電源を以下のように動作するように制御するように構成されてよい。
【0036】
図29と組み合わせて、各陽極に印加されるめっき電源を以下のモードに設定することができる。
【0037】
モードM0A1: 各期間Tn1において、めっき電源の出力は電流である。電力値Pn1は低く、1ASD未満である。なお、「n」は陽極のシリアル番号を表す。パルス長(即ち期間Tn1)は短く、10ms未満である。各期間Tn2において、めっき電源の出力はゼロである。パルス長(即ち期間Tn2)は短く、10ms未満である。モードM0A1をとることで、基板上のシード層を保護することができ、シード層の表面がエッチングされたりめっき液によって制御不能なガルバニック反応が生じたりすることを回避できる。
【0038】
モードM0A2: 各期間Tn1において、めっき電源の出力は電圧である。電力値Pn1は低く、1ASD未満である。パルス長(即ち期間Tn1)は短く、10ms未満である。各期間Tn2において、めっき電源の出力はゼロである。パルス長(即ち期間Tn2)は短く、10ms未満である。モードM0A2をとることで、基板上のシード層を保護することができ、シード層の表面がエッチングされたりめっき液によって制御不能なガルバニック反応が生じたりすることを回避できる。
【0039】
モードM0B1: 各期間Tn1において、めっき電源の出力は電流である。電力値Pn1は低く、1ASD未満である。パルス長(即ち期間Tn1)は長く、10msを超える。各期間Tn2において、めっき電源の出力はゼロである。パルス長(即ち期間Tn2)は長く、10msを超える。細線をめっきする際に、PVD(Physical Vapor Deposition)プロセスの不具合によって細線の側壁へのシード層の蒸着が連続せず均一でなくなると、細線の側壁にめっき不良が発生し、後続のめっきプロセスの実行時にボイドが形成されることがある。当該問題を解決するため、シード層上に金属層をめっきする前に、基板のパターン化された構造体上のシード層を修復することが好ましい。モードM0B1をとることで、基板のパターン化された構造体上のシード層を修復することができる。また、めっき電源の出力が低電流であるため、期間Tn1では、めっき液中の添加剤が活性化されず、コンフォーマルめっきプロセスとなる。これにより、パターン化された構造体の底部や側壁に薄い金属層が均一にめっきされ、パターン化された構造体上のシード層の均一性を最適化することができる。
【0040】
モードM0B2: 各期間Tn1において、めっき電源の出力は電圧である。電力値Pn1は低く、1ASD未満である。パルス長(即ち期間Tn1)は長く、10msを超える。各期間Tn2において、めっき電源の出力はゼロである。パルス長(即ち期間Tn2)は長く、10msを超える。モードM0B1と同様、モードM0B2をとることで、基板のパターン化された構造体上のシード層を修復することができる。
【0041】
モードM1: 各期間Tn1において、めっき電源の出力は電流である。電力値Pn1は大きく、1ASDを超える。パルス長(即ち期間Tn1)は長く、10msを超える。各期間Tn2において、めっき電源の出力は電流である。電力値Pn2はゼロである。パルス長(即ち期間Tn2)は長く、10msを超える。モードM1をとることで、添加物と協働して、期間Tn1内に、パターン化された構造体を充填するボトムアップめっきが形成される。パターン化された構造体において、垂直方向のめっき速度が加速され、水平方向のめっき速度が抑制される。
【0042】
モードM2: 各期間Tn1において、めっき電源の出力は電流である。電力値Pn1は大きく、1ASDを超える。パルス長(即ち期間Tn1)は長く、10msを超える。各期間Tn2において、めっき電源の出力は低電流であり、1ASD未満である。パルス長(即ち期間Tn2)は長く、10msを超える。モードM2をとることで、期間Tn1内に、パターン化された構造体を充填するボトムアップめっきが形成され、期間Tn2内に、パターン化された構造体上のシード層を修復することができる。
【0043】
モードM3: 各期間Tn1において、めっき電源の出力は電流である。電力値Pn1は大きく、1ASDを超える。パルス長(即ち期間Tn1)は長く、10msを超える。各期間Tn2において、めっき電源の出力は、電流のない低電圧である。このとき、電流値は0ASDである。パルス長(即ち期間Tn2)は長く、10msを超える。モードM3をとることで、期間Tn1では、パターン化された構造体を充填するボトムアップめっきが形成され、期間Tn2では、パターン化された構造体上のシード層が保護され、シード層の表面がエッチングされたりめっき液によって制御不能なガルバニック反応が生じたりすることを回避できる。
【0044】
モードM4: 各期間Tn1において、めっき電源の出力は電流である。電力値Pn1は大きく、1ASDを超える。パルス長(即ち期間Tn1)は長く、10msを超える。各期間Tn2において、めっき電源の出力は、低電流(1ASD未満)かつ低電圧である。パルス長(即ち期間Tn2)は長く、10msを超える。モードM4をとることで、期間Tn1では、パターン化された構造体を充填するボトムアップめっきが形成され、期間Tn2では、パターン化された構造体上のシード層が修復される。
【0045】
モードM5: 各期間Tn1において、めっき電源の出力は電圧である。電力値Pn1は大きく、1ASDを超える。パルス長(即ち期間Tn1)は長く、10msを超える。各期間Tn2において、めっき電源の出力は、電流のない低電圧である。このとき、電流値は0ASDである。パルス長(即ち期間Tn2)は長く、10msを超える。モードM5をとることで、期間Tn1では、パターン化された構造体を充填するボトムアップめっきが形成され、期間Tn2では、パターン化された構造体上のシード層が保護され、シード層の表面がエッチングされたりめっき液によって制御不能なガルバニック反応が生じたりすることを回避できる。
【0046】
モードM6: 各期間Tn1において、めっき電源の出力は電圧である。電力値Pn1は大きく、1ASDを超える。パルス長(即ち期間Tn1)は長く、10msを超える。各期間Tn2において、めっき電源の出力は、低電流(1ASD未満)かつ低電圧である。パルス長(即ち期間Tn2)は長く、10msを超える。モードM6をとることで、期間Tn1では、パターン化された構造体を充填するボトムアップめっきが形成され、期間Tn2では、パターン化された構造体上のシード層が修復される。
【0047】
モードMOA1~モードM6では、電流と電圧の両方を電流密度に変換して説明している。通常は、全ての陽極領域が同じ電流密度に設定されるが、実際のアプリケーションでは、流れや電界分布に応じて各陽極領域の電流補正が必要となる。
【0048】
モードMOA1~モードM6によれば、本発明は、例えば相互接続構造を形成するため、基板上に金属層をめっきするめっき方法を提供する。
【0049】
図30及び
図32を参照し、本発明の一実施形態に係るめっき方法について説明する。パターン化された構造体を有する基板上に金属層をめっきするめっき方法は、以下のステップを含む。
【0050】
ステップ3001: 少なくとも第1陽極及び第2陽極を含むめっきチャンバアセンブリのめっき液に基板を浸漬する。
ステップ3002: 第1陽極に適用される第1めっき電源をオンにして期間T11の間第1めっき電源に電力値P11を出力させる。
ステップ3003: 期間T11の後、第1陽極に適用される第1めっき電源を調整して期間T12の間電力値P12を出力させると同時に、第2陽極に適用される第2めっき電源をオンにして期間T21の間第2めっき電源に電力値P21を出力させる。
ステップ3004: 期間T21の後、第2陽極に適用される第2めっき電源を調整して期間T22の間電力値P22を出力させると同時に、第1陽極に適用される第1めっき電源を調整して期間T11の間電力値P11を出力させる。
ステップ3003からステップ3004を定期的に実行する。第1めっき電源が期間T11の電力値P11と期間T12の電力値P12を連続して出力するように制御されることを、1サイクルと定義することができる。
【0051】
一実施形態において、電力値P12は電力値P11よりも低く、電力値P22は電力値P21よりも低い。
【0052】
一実施形態では、第1めっき電源が電力値P12を出力するように調整することと、第2めっき電源が電力値P21を出力するように設定することとの間に、時間的な間隔がある。
【0053】
一実施形態では、第2めっき電源が電力値P22を出力するように調整することと、第1めっき電源が電力値P11を出力するように設定することとの間に、時間的な間隔がある。
【0054】
一実施形態では、ステップ3002からステップ3005を実行する際に、異なるモードが適用される。当該異なるモードは、電力タイプ、電力値及び期間の長さの組み合わせが互いに異なり、めっきプロセスのフェーズに応じたモードが選択される。
【0055】
一実施形態では、第1めっき電源と第2めっき電源を順にオンにし、期間T11と期間T21を調整することで、第1陽極及び第2陽極を収容する陽極領域に対応するめっき膜の厚みを制御する。
【0056】
電力値P12及び電力値P22は、ゼロ又はそれぞれの設定値である。
【0057】
期間T11及び期間T21は、それぞれ0.01ms~2000msである。
【0058】
期間T12及び期間T22は、それぞれ0.01ms~2000msである。
【0059】
一実施形態において、第1めっき電源及び第2めっき電源は、パルス直流電流である。
【0060】
別の実施形態において、第1めっき電源及び第2めっき電源は、パルス直流電圧である。
【0061】
さらに別の実施形態において、第1めっき電源及び第2めっき電源は、期間T11及び期間T21においてパルス直流電流であり、期間T12及び期間T22において設定値のパルス直流電圧である。
【0062】
図31及び
図32を参照し、本発明の別の実施形態に係るめっき方法について説明する。パターン化された構造体を有する基板上に金属層をめっきするめっき方法は、以下のステップを含む。
【0063】
ステップ3101: 少なくとも第1陽極及び第2陽極を含むめっきチャンバアセンブリのめっき液に基板を浸漬すると同時に、第1陽極に適用される第1めっき電源をオンにして期間T11の間第1めっき電源に電力値P11を出力させる。
ステップ3102: 期間T11の後、第1陽極に適用される第1めっき電源を調整して期間T12の間電力値P12を出力させると同時に、第2陽極に適用される第2めっき電源をオンにして期間T21の間第2めっき電源に電力値P21を出力させる。
ステップ3103: 期間T21の後、第2陽極に適用される第2めっき電源を調整して期間T22の間電力値P22を出力させると同時に、第1陽極に適用される第1めっき電源を調整して期間T11の間電力値P11を出力させる。
ステップ3104: 第1めっき電源及び第2めっき電源を定期的に調整する。第1めっき電源が期間T11の電力値P11と期間T12の電力値P12を連続して出力するように制御されることを、1サイクルと定義することができる。
【0064】
一実施形態において、電力値P12は電力値P11よりも低く、電力値P22は電力値P21よりも低い。
【0065】
一実施形態では、第1めっき電源が電力値P12を出力するように調整することと、第2めっき電源が電力値P21を出力するように設定することとの間に、時間的な間隔がある。
【0066】
一実施形態では、第2めっき電源が電力値P22を出力するように調整することと、第1めっき電源が電力値P11を出力するように設定することとの間に、時間的な間隔がある。
【0067】
一実施形態では、第1めっき電源及び第2めっき電源を調整する際に、異なるモードが適用される。当該異なるモードは、電力タイプ、電力値及び期間の長さの組み合わせが互いに異なり、めっきプロセスのフェーズに応じたモードが選択される。
【0068】
一実施形態では、第1めっき電源と第2めっき電源を順にオンにし、期間T11と期間T21を調整することで、第1陽極及び第2陽極を収容する陽極領域に対応するめっき膜の厚みを制御する。
【0069】
電力値P12及び電力値P22は、ゼロ又はそれぞれの設定値である。
【0070】
期間T11及び期間T21は、それぞれ0.01ms~2000msである。
【0071】
期間T12及び期間T22は、それぞれ0.01ms~2000msである。
【0072】
一実施形態において、第1めっき電源及び第2めっき電源は、パルス直流電流である。
【0073】
一実施形態において、第1めっき電源及び第2めっき電源は、パルス直流電圧である。
【0074】
一実施形態において、第1めっき電源及び第2めっき電源は、期間T11及び期間T21においてパルス直流電流であり、期間T12及び期間T22において設定値のパルス直流電圧である。
【0075】
本発明の例示的な実施形態に係るめっき手順について説明する。本実施形態において、めっきチャンバアセンブリの陽極室は、4つの陽極領域及び4つの陽極を有する。4つの陽極は、陽極室の中心から端部に向かって、それぞれ第1陽極、第2陽極、第3陽極及び第4陽極と番号が付けられている。これに対応して、4つの陽極に対し、それぞれ4つのめっき電源が適用される。4つのめっき電源は、第1陽極に適用される第1めっき電源、第2陽極に適用される第2めっき電源、第3陽極に適用される第3めっき電源、第4陽極に適用される第4めっき電源と、それぞれ番号を付けることができる。
【0076】
<めっき手順>
ステップ3201: めっきチャンバアセンブリのめっき液に基板を浸漬させる。当該工程では、従来の方法を用いることができる。
ステップ3202: 基板のパターン化された構造体をめっきする。ステップ3202は、さらに、以下のステップを含む。
ステップ32021: 第1陽極に適用された第1めっき電源をオンにして、期間T11の間第1めっき電源に電力値P11を出力させる。
ステップ32022: 期間T11の後、第1陽極に適用される第1めっき電源を調整して期間T12の間電力値P12を出力させると同時に、第2陽極に適用される第2めっき電源をオンにして期間T21の間第2めっき電源に電力値P21を出力させる。
ステップ32023: 期間T21の後、第2陽極に適用される第2めっき電源を調整して期間T22の間電力値P22を出力させると同時に、第3陽極に適用される第3めっき電源をオンにして期間T31の間第3めっき電源に電力値P31を出力させる。
ステップ32024: 期間T31の後、第3陽極に適用される第3めっき電源を調整して期間T32の間電力値P32を出力させると同時に、第4陽極に適用される第4めっき電源をオンにして期間T41の間第4めっき電源に電力値P41を出力させる。
ステップ32025: 期間T41の後、第4陽極に適用される第4めっき電源を調整して期間T42の間電力値P42を出力させると同時に、第1陽極に適用される第1めっき電源を調整して期間T11の間電力値P11を出力させる。
ステップ32022からステップ32025を定期的に実行する。
【0077】
本発明の別の実施形態では、ステップ3202が以下のステップを含む。
ステップ32021: 第4陽極に適用された第4めっき電源をオンにして、期間T41の間第4めっき電源に電力値P41を出力させる。
ステップ32022: 期間T41の後、第4陽極に適用される第4めっき電源を調整して期間T42の間電力値P42を出力させると同時に、第3陽極に適用される第3めっき電源をオンにして期間T31の間第3めっき電源に電力値P31を出力させる。
ステップ32023: 期間T31の後、第3陽極に適用される第3めっき電源を調整して期間T32の間電力値P32を出力させると同時に、第2陽極に適用される第2めっき電源をオンにして期間T21の間第2めっき電源に電力値P21を出力させる。
ステップ32024: 期間T21の後、第2陽極に適用される第2めっき電源を調整して期間T22の間電力値P22を出力させると同時に、第1陽極に適用される第1めっき電源をオンにして期間T11の間第1めっき電源に電力値P11を出力させる。
ステップ32025: 期間T11の後、第1陽極に適用される第1めっき電源を調整して期間T12の間電力値P12を出力させると同時に、第4陽極に適用される第4めっき電源を調整して期間T41の間電力値P41を出力させる。
ステップ32022からステップ32025を定期的に実行する。
【0078】
ステップ32021からステップ32025を実行する際に、異なるモードが適用される。当該異なるモードは、電力タイプ、電力値及び期間の長さの組み合わせが互いに異なり、めっきプロセスのフェーズに応じたモードが選択される。
【0079】
4つの陽極に適用される4つのめっき電源は、順番にオンされる。
【0080】
電力値P12、電力値P22、電力値P32及び電力値P42は、ゼロ又はそれぞれの設定値である。電力値P12は、電力値P11よりも低い。電力値P22は、電力値P21よりも低い。電力値P32は、電力値P31よりも低い。電力値P42は、電力値P41よりも低い。
【0081】
期間T11、期間T21、期間T31及び期間T41は、それぞれ0.01ms~2000msである。
【0082】
期間T12、期間T22、期間T32及び期間T42は、それぞれ0.01ms~2000msである。
【0083】
一実施形態において、4つのめっき電源は、
図33に示すように、パルス直流電流である。
【0084】
別の実施形態において、4つのめっき電源は、
図34に示すように、パルス直流電圧である。
【0085】
別の実施形態において、4つのめっき電源は、
図35に示すように、期間T
11、期間T
21、期間T
31及び期間T
41においてパルス直流電流であり、期間T
12、期間T
22、期間T
32及び期間T
42において設定値のパルス直流電圧である。
【0086】
ステップ3203: 基板上にオーバーバーデン金属層をめっきする。当該ステップでは、直流電流又は直流電圧を印加して、オーバーバーデン金属層のめっきを完成させる。
ステップ3204: 基板の第1乾燥を行う。
ステップ3205: 基板の予備洗浄を行う。
ステップ3206: 基板の第2乾燥を行う。
【0087】
<めっき手順>
ステップ3501: めっきチャンバアセンブリのめっき液に基板を浸漬させると同時に、第1陽極に適用された第1めっき電源をオンにして、期間T11の間第1めっき電源に電力値P11を出力させる。
ステップ3502: 期間T11の後、第1陽極に適用される第1めっき電源を調整して期間T12の間電力値P12を出力させると同時に、第2陽極に適用される第2めっき電源をオンにして期間T21の間第2めっき電源に電力値P21を出力させる。
ステップ3503: 期間T21の後、第2陽極に適用される第2めっき電源を調整して期間T22の間電力値P22を出力させると同時に、第3陽極に適用される第3めっき電源をオンにして期間T31の間第3めっき電源に電力値P31を出力させる。
ステップ3504: 期間T31の後、第3陽極に適用される第3めっき電源を調整して期間T32の間電力値P32を出力させると同時に、第4陽極に適用される第4めっき電源をオンにして期間T41の間第4めっき電源に電力値P41を出力させる。
ステップ3505: 期間T41の後、第4陽極に適用される第4めっき電源を調整して期間T42の間電力値P42を出力させ、第1陽極に適用される第1めっき電源を調整して期間T11の間電力値P11を出力させる。
ステップ3506: ステップ3502~ステップ3505を繰り返し、パターン化された構造体のめっきを完成させる。
ステップ3507: 基板上にオーバーバーデン金属層をめっきする。
ステップ3508: 基板の第1乾燥を行う。
ステップ3509: 基板の予備洗浄を行う。
ステップ3510: 基板の第2乾燥を行う。
【0088】
以上に述べたように、本発明では、基板上の金属層のめっきにパルスモードを採用することで、基板上のシード層を保護することができる。また、本発明のめっき工程では、単位時間当たりの電力量が少ないため、陽極でのガスの発生を回避できる。したがって、めっきの品質が向上する。
【0089】
本発明に関する上述の説明は、例示及びの説明の目的で提示されたものである。網羅的であること、又は、上記の正確な形態に本発明を限定することは、意図されていない。上述した教示の観点から、多くの修正および変更が可能であることは、明らかである。当業者にとって明らかな修正および変更は、特許請求の範囲において定義される本発明の範囲に含まれる。