(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】偏光回転子
(51)【国際特許分類】
G02B 26/00 20060101AFI20240425BHJP
G02B 6/126 20060101ALI20240425BHJP
G02B 6/125 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G02B26/00
G02B6/126
G02B6/125 301
(21)【出願番号】P 2021565804
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 FI2020050290
(87)【国際公開番号】W WO2020225479
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-04-04
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】512068592
【氏名又は名称】テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイ
【氏名又は名称原語表記】TEKNOLOGIAN TUTKIMUSKESKUS VTT OY
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】ミッコ ハルヤンネ
(72)【発明者】
【氏名】ティモ アアルト
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ チェルチ
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-193837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0110305(US,A1)
【文献】特開平09-318919(JP,A)
【文献】特開平07-325276(JP,A)
【文献】特開2000-338428(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104583824(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/00
G02B 6/126
G02B 6/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光回転子であって、
・一方の第1端部において少なくとも、偏光済み光の入力ポートとして構成される第1ポート、及び反射した偏光済み光の出力ポートとして構成される第2ポートを持つ導波路を有する光カプラーであって、前記導波路は前記第1端部とは反対側の第2端部を持つ、該光カプラーと、
・一方の側面に反射表面を有する複屈折波長板であって、前記導波路の第2端部から光を受け取り、また前記カプラーから送出された光を前記カプラーに戻す反射をさせるよう配置されている、該複屈折波長板と、
を備え、
前記波長板は、さらに、複屈折材料が前記反射光の偏光を回転させ、この偏光回転量が前記光カプラーに対する複屈折波長板の回転角度に依存するよう構成されている、偏光回転子。
【請求項2】
請求項1記載の偏光回転子において、前記複屈折波長板は、前記導波路に対して垂直方向に配向し、これにより前記波長板平面の法線が前記導波路の前記第2端部に直交し、また前記偏光回転が、前記複屈折波長板の平面に垂直な軸線周りの前記波長板の回転角度によって決定される、偏光回転子。
【請求項3】
請求項2記載の偏光回転子において、前記偏光回転は、前記複屈折波長板の平面に垂直な軸線周りに前記波長板が回転するときに転向可能である、偏光回転子。
【請求項4】
請求項1記載の偏光回転子において、前記複屈折波長板は、前記導波路に対して側面に沿って位置付け、これにより前記波長板平面の法線が前記導波路の光軸に直交し、また光が前記導波路の前記反対側端部から、ミラー又は第2導波路のような光学素子によって前記複屈折波長板にガイドされ、また前記偏光回転が、前記複屈折波長板の平面に垂直な軸線周りの前記波長板の回転角度によって決定される、偏光回転子。
【請求項5】
請求項4記載の偏光回転子において、前記偏光回転は、前記複屈折波長板の平面に垂直な軸線周りに前記波長板が回転するとき転向可能である、偏光回転子。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項記載の偏光回転子において、前記導波路の前記第2端部から送出される光は、前記カプラーと前記波長板との間に配置される少なくとも1つの他の導波路によって前記カプラーに戻るよう結合される、偏光回転子。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか1項記載の偏光回転子において、前記複屈折波長板の平面に直交する軸線は、前記波長板の光軸に直交する、偏光回転子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光回転子(ローテーター)、より具体的には、集積光学用の偏光回転子に関する。集積光学における既存の偏光回転解決法は、モード展開、波長板として作用する非対称導波路に基づく「回転子導波路」、及び導波路を横切ってエッチングされる溝孔内に挿入される複屈折材料で作成される薄い波長板に基づく。
【背景技術】
【0002】
偏光回転子は、直線偏光光ビームの偏光軸を選択角度だけ回転させる光学デバイスである。自由空間光学において、これらデバイスは、ファラデー効果、複屈折、又は内部全反射に基づくものであり得る。ガイドされる波に関して、回転はモード展開(エボリューション)で行うことができる。偏光回転子は、例えば、光学的アイソレータ及び偏光ダイバーシティー受光器における重要なコンポーネントである。
【0003】
ファラデー回転子は、磁気-光学効果を有する材料を必要とする。磁場内に配置されると、この材料は直線偏光される光の平面を回転する。この効果は、非可逆的であり、したがって、光学的アイソレータを作成するために使用できる。複屈折をベースとする偏光回転子において、直線偏光した光は2つの成分に分解される。材料の「遅」軸における位相遅延は、直線偏光される光の平面を回転させる。複屈折は、材料特性であるか、又は導波路のケースでは幾何学的に誘発されるかのいずれとすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
集積偏光回転子は、しばしば幾つかのタイプの回転子導波路を使用することに基づく。交差偏光結合又はモード展開に基づく手法も提案された。モード展開に基づく回転子は、導波路の断面を断熱的に変更する原理で機能し、これにより光軸は必要量だけ徐々に回転する。異なるモード間でパワー結合が生じないよう、遷移は断熱曲線的になることを必要とし、これは、従来式の導波路プロセスで作製するためにはデバイスを極めて長くし、また困難なものにする。さらに、90°回転以外の回転角度を達成するのは困難である。
【0005】
特定次数の方向で複数回の全反射を経て進む光はその偏光が回転される。これらデバイスは、動作が光の干渉に依存しないため広帯域である。
【0006】
既知の集積偏光回転子は、光軸の配向性及び複屈折量の双方ともに正確に制御する必要があるため、作製誤差及びプロセス変動に極めて敏感である。このことは、商用デバイスへの適用を制限する。エッチングした溝孔に薄い波長板を挿入して使用するような幾つかの技術が、作製及び組み立て双方の観点から強く要望されている。
【0007】
本発明の目的は、標準的な作製非感受性の導波路コンポーネントを用いて製造することができ、またその組み立て要件が既知の解決法よりも厳格ではない偏光回転子を得るにある。このことを達成するため、本発明の一態様によれば、少なくとも第1ポート及び第2ポートと、並びに反射表面を有する複屈折波長板とを光カプラーに設ける。
【0008】
集積光学のための本発明に関する偏光回転子は、標準的な作製非感受性の導波路コンポーネントを外部波長板のアセンブリと組み合わせて使用するため、かなりの利点をもたらす。溝孔-集積波長板に比べると、このアセンブリは、偏光回転を制御するためには、高い並進運動的アライメント精度は不要であり、角度アライメントのみが必要である。
【0009】
したがって、本発明に関する偏光回転子デバイスは、標準的導波路コンポーネントを用いて実現する上で単純であり、またフォトニック集積回路作製プロセスに対して変更を加える必要もない。角度アライメントのみ精密であることが必要であるため、光学チップに対する波長板の組み付けは簡単である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主態様によれば、偏光回転子を提供し、この偏光回転子は、
・一方の第1端部において少なくとも、偏光済み光の入力ポートとして構成される第1ポート、及び反射した偏光済み光の出力ポートとして構成される第2ポートを持つ導波路を有する光カプラーであって、前記導波路は前記第1端部とは反対側の第2端部を持つ、該光カプラーと、
・一方の側面に反射表面を有する複屈折波長板であって、前記導波路の第2端部から光を受け取り、また前記カプラーから送出された光を前記カプラーに戻る反射をさせるよう配置されている、該複屈折波長板と、
を備える。
【0011】
本発明によれば、前記波長板は、さらに、複屈折材料が前記反射光の偏光を回転させ、この偏光回転量が前記光カプラーに対する複屈折波長板の回転角度に依存するよう構成されている。
【0012】
前記導波路は、該導波路における優勢的な光伝播方向によって決定される光軸を有する。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記複屈折波長板は、前記導波路に対して垂直方向に配向し、これにより前記波長板平面の法線が前記導波路の前記第2端部に直交し、また前記偏光回転が、前記複屈折波長板の平面に垂直な軸線周りの前記波長板の回転角度によって決定される。これら実施形態の幾つかの変更形態において、前記偏光回転は、前記複屈折波長板の平面に垂直な軸線周りに前記波長板を回転させることによって転向することができる。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記複屈折波長板は、前記導波路に対して側面に沿って位置付け、これにより前記波長板平面の法線が前記導波路の光軸に直交し、また光が前記導波路の前記反対側端部から、ミラー又は第2導波路のような光学素子によって前記複屈折波長板にガイドされ、また前記偏光回転が、前記複屈折波長板の平面に垂直な軸線周りの前記波長板の回転角度によって決定される。これら実施形態の幾つかの変更形態において、前記偏光回転は、前記複屈折波長板の平面に垂直な軸線周りに前記波長板が回転するとき転向可能である。
【0015】
幾つかの他の実施形態において、前記導波路の前記第2端部から送出される光は、前記カプラーと前記波長板との間に配置される少なくとも1つの他の導波路によって前記カプラーに戻るよう結合される。幾つかの実施形態において、前記複屈折波長板に直交する前記軸線は、前記波長板の光軸に直交する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2A】本発明に関する基本偏光回転子の一実施形態における様々な基本態様を示す。
【
図2B】本発明に関する基本偏光回転子の一実施形態における様々な基本態様を示す。
【
図2C】本発明に関する基本偏光回転子の一実施形態における様々な基本態様を示す。
【
図3】本発明に関する偏光回転子の別の実施形態を示す。
【
図4】本発明に関する偏光回転子の更なる細部を示す。
【
図5】本発明に関する偏光回転子の他の実施形態を示す。
【
図6】本発明に関する偏光回転子の他の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、入力ポート11a、11bと出力ポート12a、12bとの間における1対1のイメージングを有する従来技術の2×2多モード干渉(MMI:multi-mode interference)カプラー10を示し、ここで交差ポート(11a→12b)に対する100%光伝送及び偏光不変を生ずる。
【0018】
図2Aは、本発明に関する偏光回転子に使用できるMMIカプラー20上における基本構造を示す。カプラー20は、
図1におけるものと類似しているが、長さが半分であり、リフレクタ23で終端する。したがって、入力ポート21及び出力ポート22が同一サイドにあり、反対方向に光を受け入れ及び送出するとともに、
図1におけるデバイスと同一の1対1のイメージングを保持する。カプラー20は、好適には偏光独立とすることができ、またMMIの代わりに、例えば、指向性カプラーとすることもできる。カプラー20の目的は、光を光源側に戻す反射が通常望ましくなく、また例えば、レーザーの光学的動作にとって有害であるおそれがあるとき、波長板24から反射した光を入力ポートとは異なるポートに経路付けることである。カプラー内における光の帰還経路LP(光伝播)はリフレクタ23によってもたらされ、このリフレクタ23は光を出力ポート22内に向かうよう経路付けする。カプラーの導波路には参照符号27を付ける。導波路27はカプラー全体とすることができる、又はカプラー20は、図示しない付加的層又は材料を含むことができる。本明細書の説明目的として、カプラー20及び導波路27は同一機能を有する。
【0019】
図2Bは、本発明に関する偏光回転子の原理を示す。
図2Aにおけるリフレクタ23は、MMIカプラー20の端面に平行に配置される反射波長板24に置き換えている。波長板24は、反射された光学場において偏光回転を生起する。この波長板は、第1屈折率η
0の「速」軸及び第2屈折率η
eの「遅」軸を有する複屈折材料の層25で構成することができる。この複屈折材料は、一方の側面を、例えば、金属化による反射表面26でカバーする。光学場を反射するために反射波長板24を使用ことによって、光の偏光は、カプラー20に対して波長板24の光軸角度を整列させることで必要に応じて回転させることができる。
【0020】
図2Cは、動作における回転可能な波長板24を有する本発明に関する転向可能な偏光回転子の動作状況を示す。図から分かるように、入力ポート21での偏光に対する出力ポート22での偏光回転量R′は、導波路20に対する波長板24の光軸の回転量Rに依存する。
【0021】
その単純な形態において、カプラーは光学チップの端縁に位置付けることができ、またこのとき反射波長板はチップの外部にあるものとする。反射波長板は、さらに、光学チップ上における溝に垂直に配置することができる。従来の溝孔一体型概念とは異なり、この場合、溝サイズは、波長板を収容するのに十分な大きさにするだけでよいため、厳密にする必要はない。さらにまた、カプラー及び波長板は、物理的に別個にし、また導波路に連結することができ(
図5参照)、これによりカプラーは光学チップ上に自由に配置することができ、また波長板はチップ端縁に位置付けることができ、組み立ては些細な問題である。
【0022】
図3は、本発明の別の実施形態を示し、この場合、カプラー30はミラー33で終端し、このミラーが光を上方に反射する。このことは、複屈折波長板34をカプラー30の頂部に配置することを可能にする。カプラーの入力ポート31に送り込まれる光は複屈折層35を経るよう上方に反射され、また反射表面36から戻り、カプラー上を出力ポート32に向かい、この出力ポート32において、出射する光は、波長板34がカプラーの頂部上で転向する角度Rに対応する角度の偏光回転R′を有する。
【0023】
図4は、
図2A~2Cにおけるものと同様なカプラー40の実施形態を幾分より詳細に示す。カプラー40は、下側にシリコン表面47がある、一般的なSOI形態とした、シリカ(SiO
2)の層42上のシリコン層41で構成することができる。反射波長板44は、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3)の複屈折層45で構成することができる。層45の厚さは、例えば、5~10μmとすることができる。反射層46は、例えば、高反射性(HR)リフレクタで構成することができる。リフレクタ44に対面するSOIデバイス41、42、47の端部には、反射防止(AR)コーティング層43を設けることができる。
【0024】
図5は、
図2Cに示すものと類似し、入力ポート51、出力ポート52及び導波路53を有するカプラー50の実施形態を示す。ここでは、波長板54は、カプラーの直後に位置付ける代わりに、追加導波路55及び56を介してカプラーに光学的に連結する。導波路53から送出される光は、中間導波路55、56の双方に結合され、またこれら中間導波路55、56は、導波路53と波長板54との間に配置されるため、同一の中間導波路55、56によってカプラー50に戻るよう帰還する。この構成によれば、例えば、光学チップ57及びチップ端縁58における波長板の中間にカプラーを位置付けることができるようにする。
【0025】
導波路から出射する光は、ビームサイズに反比例する割合で拡開し始める。ビーム拡散、またひいては結合損失を減少するためには、カプラーにおける導波路の第2端部に広いモードフィールドを設けることができる。導波路を幅広にすることによって水平方向の拡開を生ずることができる。しかし、導波路層は、一般的に薄く、またビームは垂直方向に急激に拡開し始める。自由空間で伝播する間にビームが拡開すればするほど、平坦表面から反射する場合に、導波路に戻って結合されるパワーが少なくなる。
【0026】
垂直拡散は、一般的に固定である導波路厚さに依存するため、垂直方向に拡開した光を何らかの手段によって反射後に導波路に戻すよう集束させることは有用であり得る。このことは、例えば、円筒状リフレクタによって行うことができる。円筒状リフレクタの湾曲した面は、円筒体における光が常に直角に衝突する区域である。このとき、反射した光はSOI導波路内に戻るよう集束される。
【0027】
結合損失を減少する代案は、導波路から出射する光を円筒状レンズによりコリメートし、このコリメートしたビームを平坦波長板上で反射させることである。このとき、ビーム拡開は円筒状レンズによって軽減される。円筒状レンズは、光を一方向にのみ集束させて点ではなく集束ラインを形成するレンズである。
【0028】
図6は、
図2C及び4に示したのと同様なカプラーの実施形態を示す。カプラー60は、下側にシリコン表面67がある、シリカ(SiO
2)の層62上のシリコン層61で構成することができる。反射波長板64は、複屈折層65及び反射層66を有し、またリフレクタ64に対面するSOIデバイス61、62、67の端部には、反射防止(AR)コーティング層63を設けることができる。
【0029】
図6の実施形態において、SOIデバイス61から出射した光ビーム68は、カプラーと波長板64との間に位置付けた円筒状レンズ69によりコリメートする。光は同一の円筒状レンズ69によってカプラー61に戻るよう帰還する。この構成は、光ビーム68の拡散によって生ずる結合損失を減少する。
【0030】
開示した本発明の実施形態は、開示した特別な構造、プロセスステップ、又は材料に限定するものではなく、当業者には認識されるそれらの均等物に拡張できると理解されたい。さらに、本明細書で採用される用語は、特別な実施形態を記載する目的にのみ使用され、限定的であることを意図しないと理解すべきである。
【0031】
本明細書全体を通して一実施形態(one embodiment)又は或る実施形態(an embodiment)に対する参照は、その実施形態に関連して説明される特別な特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態内に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な箇所における語句「一実施形態における(in one embodiment)」又は「或る実施形態における(in an embodiment)」は、必ずしもすべてその同一実施形態に言及するものではない。例えば、約(about)又はほぼ(substantially)のような用語を用いて数値について参照する場合、その当該数値も開示されている。
【0032】
本明細書で使用されるように、複数の項目、構造素子、構成要素、及び/又は材料は、便宜上共通リストで提示することができる。しかし、これらリストは、リストの各部材が別個及び独自の部材として個別に識別されるものと解すべきである。したがって、このようなリストの個別部材は、それとは逆のことを示すことなく、単に共通グループ内の表現に基づいて同一リストの任意な他の部材における事実上の均等物と解すべきではない。このような実施形態、実施例及び変更例は、互いの事実上の均等物と解すべきでなく、本発明の個別かつ自律的表現として見なすべきである。
【0033】
さらにまた、記載した特徴、構造又は特性は、1つ又はそれ以上の実施形態において任意の適当な様態で組み合わせることができる。本明細書において、例えば、長さ、幅、形状等々のような多くの特別な細部を提示したが、これは本発明の実施形態を完全に理解してもらうためである。しかし、当業者は、特別な細部のうち1つ又はそれ以上がなくても、又は他の方法、コンポーネント、材料等々でも実施できることを認識するであろう。他の例では、周知の構造、材料、又は運用は、発明の態様を曖昧にすることを回避するため、詳細には示さない又は記載しない。
【0034】
上述した実施例は、1つ又はそれ以上の特別な用途における本発明の原理を示すものであるとともに、実施の形式、使用法、及び細部に対する多くの変更を、発明の才能を行使することなく、また発明の原理及び概念から逸脱することなく行えることは、当業者には明らかであろう。したがって、特許請求の範囲で記載されることを除いて、本発明を限定することは意図しない。
【0035】
動詞「備える(to comprise)」及び「含む(to include)」は無制限のものとして本明細書で使用され、列挙されない特徴の存在は排除も必須ともしない。特許請求の範囲の従属項で列挙される特徴は、それ以外を明記されない限り、相互に自由に組み合わせることができる。さらにまた、「a」又は「an」、すなわち、単数形の使用は、本明細書全体にわたり複数形を排除しないと理解されたい。