(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】モジュール式繊維配置ヘッド
(51)【国際特許分類】
B29C 70/38 20060101AFI20240425BHJP
D06H 7/04 20060101ALI20240425BHJP
B29C 70/54 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B29C70/38
D06H7/04
B29C70/54
(21)【出願番号】P 2021571980
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2020037223
(87)【国際公開番号】W WO2020252158
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518127543
【氏名又は名称】フィブ・マシニング・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ブラシュチク,スタニスラウス・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ニコルソン,クリストファー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,ブレント・エル
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,マーサ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,ジェフリー・シー
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-526984(JP,A)
【文献】特開2015-16691(JP,A)
【文献】特表2013-540060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/38
D06H 7/04
B29C 70/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の複合材テープセグメントを型に適用するための繊維配置ヘッドであって、
1つまたは複数のレーンモジュール組立体と、サブモジュールサブ組立体と、を備え、前記1つまたは複数のレーンモジュール組立体のそれぞれが、
圧縮空気を受け入れる1つまたは複数の流体通路と、
圧縮空気の受入れに応答して前記レーンモジュール組立体に対して選択的に移動するピストン組立体と、
前記レーンモジュール組立体を前記繊維配置ヘッドの一部分に解放可能に連結するように構成された取付け部位と、
前記サブモジュールサブ組立体を前記レーンモジュールに解放可能に連結する固定具を受け入れるように前記レーンモジュール組立体に設けられた開口であって、前記ピストン組立体からのピストンが前記サブ組立体と係合する、開口と、
を有し、
前記サブモジュールサブ組立体が、前記開口によって受け入れられる前記固定具により各レーンモジュールに解放可能に連結され
、
前記繊維配置ヘッドは、マニホルドと、複数のレーンモジュール組立体を支持しかつ前記マニホルドから解放可能に連結するベースとをさらに備え、
前記レーンモジュール組立体は、前記取付け部位のダブテール接続を介して、前記ベースに解放可能に連結される、繊維配置ヘッド。
【請求項2】
前記レーンモジュール組立体が、刃およびベースを有する切断サブ組立体モジュールをさらに備えるレーン切断組立体を備え、前記刃が、前記ピストン組立体に固定可能に付着している、請求項1に記載の繊維配置ヘッド。
【請求項3】
動力車を有する再始動レーンサブ組立体をさらに備える、請求項1に記載の繊維配置ヘッド。
【請求項4】
案内車を有する挟持レーンサブ組立体をさらに備える、請求項1に記載の繊維配置ヘッド。
【請求項5】
前記ピストン組立体への圧縮空気の供給を制御する各レーンモジュール組立体のための電気機械式弁をさらに備える、請求項1に記載の繊維配置ヘッド。
【請求項6】
前記固定具が、前記開口によって受け入れられる細長いピンである、請求項1に記載の繊維配置ヘッド。
【請求項7】
複数のレーンモジュールを支持する上部送り部分と、複数のレーンモジュール組立体を支持する下部送り部分とをさらに備え、前記上部送り部分および前記下部送り部分が、互いに対して角度により向きが決められている、請求項1に記載の繊維配置ヘッド。
【請求項8】
複数の複合材テープセグメントを型に適用するための繊維配置ヘッドであって、
1つまたは複数の切断挟持再始動(CCR)組立体を備え、前記CCR組立体が、
1つまたは複数のレーンモジュールと、切断サブ組立体モジュールと、を備え、前記1つまたは複数のレーンモジュールのそれぞれが、
取外し可能な切断サブ組立体を有する少なくとも1つの切断レーン組立体と、
案内車を有する少なくとも1つの挟持レーン組立体と、
動力車を有する少なくとも1つの再始動レーン組立体と、
を備え、前記切断レーン組立体、前記挟持レーン組立体、および前記再始動レーン組立体のそれぞれが、
圧縮空気を受け入れる1つまたは複数の流体通路と、
圧縮空気の受入れに応答して前記レーンモジュールに対して選択的に移動するピストン組立体と、
前記レーンモジュールを前記繊維配置ヘッドの一部分に解放可能に連結するように構成された取付け部位と、
前記切断サブ組立体モジュールを前記レーンモジュールに解放可能に連結する固定具を受け入れるように前記レーンモジュールに設けられた開口と、
を含み、前記切断サブ組立体モジュールが、前記開口によって受け入れられる前記固定具により前記切断レーンモジュール組立体の各々に解放可能に連結され
、
前記繊維配置ヘッドは、マニホルドと、複数のレーン組立体を支持しかつ前記マニホルドから解放可能に連結されるベースとをさらに備え、
前記レーンモジュールは、前記取付け部位のダブテール接続を介して、前記ベースに解放可能に連結される、繊維配置ヘッド。
【請求項9】
前記切断サブ組立体モジュールが、刃およびベースを備え、前記刃が、前記ピストン組立体に固定可能に付着している、請求項
8に記載の繊維配置ヘッド。
【請求項10】
前記切断レーン組立体、前記挟持レーン組立体、または前記再始動レーン組立体に含まれた電気機械式弁をさらに備え、前記電気機械式弁が、前記ピストン組立体への圧縮空気の供給を制御する、請求項
8に記載の繊維配置ヘッド。
【請求項11】
前記固定具が、前記開口によって受け入れられる細長いピンである、請求項
8に記載の繊維配置ヘッド。
【請求項12】
複数のレーンモジュールを支持する上部送り部分と、複数のレーン組立体を支持する下部送り部分とをさらに備え、前記上部送り部分および前記下部送り部分が、互いに対して角度により向きが決められている、請求項
8に記載の繊維配置ヘッド。
【請求項13】
複合材テープのスプールを支持するように構成された1つまたは複数のスピンドルを有するクリールフレームをさらに備える、請求項
8に記載の繊維配置ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、繊維配置機に関し、より詳細には、モジュール式繊維配置ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]繊維配置機は、複合材ワークピースを作り出すために使用される。樹脂が浸透した繊維状物質の形態の複合材料が、複合材ワークピースを集団的に形成するために、正確な位置および長さで機械により型またはマンドレルに適用される。繊維配置機は、複合材ワークピースの最終的な形状に複合材テープを正確に適用するために、繊維配置ヘッドを型の上で移動させる。繊維配置ヘッドは、移動するにつれて、連続体(course)またはトウ(tow)とも呼ばれる複数の複合材テープセグメントを型に残す。複合材テープセグメントの数は、2から32まで幅があり得る。複数の複合材テープストランドが連続体の一部として同時に適用され得るが、繊維配置ヘッドは、連続体を適用することの一環として、トウのそれぞれを個別に制御することができる。型へのこれらの複合材テープセグメントの自動適用は、複合材テープを保持し、移動させて、最終的には切断する、多様な機械群の協働を伴う。例えば、型上に複合材テープの16のトウを適用する繊維配置ヘッドは、各トウのための個別のレーン、および、テープを保持しかつ切断する機構を含み得る。しかし、繊維配置ヘッドは繰り返して連続体を型に適用するので、ヘッド内の機械類は、摩耗し始めて、最終的には機能しなくなるかまたは点検修理から恩恵を受ける場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数の個別の複合材テープストランドを供給するための複数のレーンを有する繊維配置ヘッドは、点検修理を必要とするヘッドのレーンを1つか2つしか有していない場合がある。それにもかかわらず、複合材テープの多くのレーンを適用することができる繊維配置ヘッドは、複合材テープを型に適用するための全ての機械要素を集合的に含むモノリシック構造を使用する。繊維配置ヘッドの点検修理は、繊維配置ヘッドをロボットアームから取外し、それにより繊維配置機を遊休させることを必要とする。既存の繊維配置ヘッドを交換するために、余分なまたは予備の繊維配置ヘッドを有することが可能である。しかし、ほとんど遊休状態のままでいるであろう余分な繊維置換ヘッドを購入しかつ保管することは、費用がかかり得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0003]1つの実施態様では、1つまたは複数のレーン組立体モジュールを含む、複数の複合材テープセグメントを型に適用するための繊維配置ヘッドであって、1つまたは複数のレーン組立体モジュールのそれぞれが、圧縮空気を受け入れる1つまたは複数の流体通路と、圧縮空気の受入れに応答してレーンモジュール組立体に対して選択的に移動するピストン組立体と、レーンモジュール組立体を繊維配置ヘッドの一部分に解放可能に連結するように構成された取付け部位と、サブモジュールサブ組立体をレーンモジュール組立体に解放可能に連結する固定具を受け入れるようにレーンモジュール組立体に設けられた開口と、開口によって受け入れられる固定具により各レーンモジュール組立体に解放可能に連結されるサブモジュールサブ組立体と、を有する繊維配置ヘッドである。また、複数の複合材テープセグメントを型に適用するための繊維配置ヘッドであって、繊維配置ヘッドが、1つまたは複数のレーン組立体を含み、1つまたは複数のレーン組立体のそれぞれが、圧縮空気を受け入れる1つまたは複数の流体通路と、圧縮空気の受入れに応答してレーン組立体に対して選択的に移動するピストン組立体と、レーン組立体を繊維配置ヘッドの一部分に解放可能に連結するように構成された取付け部位と、サブ組立体をレーンモジュールに解放可能に連結する固定具を受け入れるようにレーン組立体に設けられた開口であって、ピストン組立体からのピストンがサブ組立体に係合する、開口と、開口によって受け入れられる固定具により各レーンモジュールに解放可能に連結されるサブ組立体と、を有する、繊維配置ヘッドである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】[0004]繊維配置機の一実施態様を示す斜視図である。
【
図2】[0005]繊維配置ヘッドの一実施態様を示す別の斜視図である。
【
図3】[0006]繊維配置ヘッドの一部分の一実施態様を示す斜視図である。
【
図4】[0007]繊維配置ヘッドの一部分の一実施態様を示す別の斜視図である。
【
図5】[0008]繊維配置ヘッドの一部分の一実施態様を示す別の斜視図である。
【
図6】[0009]繊維配置ヘッドの一部分の一実施態様を示す別の斜視図である。
【
図7A】[0010]
図7aは、繊維配置ヘッドの一部分の一実施態様を示す別の斜視図である。
【
図7B】[0011]
図7bは、繊維配置ヘッドの一部分の一実施態様を示す別の斜視図である。
【
図8】[0012]繊維配置ヘッドの一部分の一実施態様を示す断面図である。
【
図9】[0013]繊維配置ヘッドの一部分の一実施態様を示す断面図である。
【
図10】[0014]繊維配置ヘッドの一部分の一実施態様を示す別の斜視図である。
【
図11】[0015]繊維配置ヘッドの一部分の一実施態様を示す別の斜視図である。
【
図12】[0016]繊維配置ヘッドの一部分の一実施態様を示す別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0017]繊維配置機が、モジュール式切断挟持および再始動(CCR:cut,clamp,and restart)組立体を有する繊維配置ヘッドを担持するロボットアームを使用し得る。CCR組立体は、複数の切断レーンモジュール組立体、挟持レーン組立体モジュール、および再始動レーン組立体モジュールを含み、そのそれぞれが繊維配置ヘッドに取外し可能に連結される。各レーン組立体モジュールは、それを通過する複合材テープの1つまたは複数のストランドを処理するように設計され得る。また、組立体モジュールのうちのいずれか1つまたは複数は、まだヘッドに取り付けられている他のレーン組立体モジュールの性能に影響を及ぼすことなく、繊維配置ヘッドから取り外され得る。つまり、16レーンの繊維テープを適用する繊維配置ヘッドは、2レーンの繊維テープを個別に制御するレーン組立体モジュールを含むことができる。そのような実施態様では、CCR組立体は、24個のレーン組立体モジュール(それぞれが2レーンの繊維を制御する、8つの切断レーン組立体モジュール、8つの挟持レーン組立体モジュール、および8つの再始動レーン組立体モジュール)を含み得る。2レーンの共通の複合材テープを集団的に制御するCCR組立体から1つの切断レーン組立体モジュール、1つの挟持レーン組立体モジュール、および1つの再始動レーン組立体モジュールを取り外すことは、繊維配置ヘッドを14本の繊維トウを適用されるままにしておく。次いで、取り外されたレーン組立体モジュールは、繊維置換ヘッドが機能的であるままで、点検修理されるかまたは清掃され得る。または、レーン組立体モジュールは、保管され続けている予備のレーン組立体モジュールと交換され得る。繊維配置ヘッド全体ではなくレーン組立体モジュールの購入および保管は、費用および保管スペースをあまり必要としない可能性がある。
【0007】
[0018]レーン組立体モジュールは、取外し可能なサブ組立体モジュールを含むことにより、さらにモジュール化され得る。例えば、切断レーンモジュール組立体は、組立体モジュールに取外し可能に取り付けられる切断サブ組立体を含み得る。複合材ワークピースを作り出すために使用される複合材テープは、樹脂が含浸された繊維状物質で構成されることが多く、樹脂は、熱で活性化された後に複合材ワークピースに強度を与える。複合材の1つの例は、炭素繊維である。これは、「プリプレグ」複合材と呼ばれることが多い。複合材テープに含まれた樹脂は、かなり粘着性があり、テープが接触する機械類に付着することができる。複合材テープが切断レーン組立体モジュールを通過し続けるにつれて、テープによって運ばれる樹脂は、ますます後に残され、サブ組立体内の切断機械類を邪魔する可能性がある。切断レーン組立体モジュールからの切断サブ組立体の取外しおよび交換は、切断機械類が点検修理され得る速度および頻度を増大させ得る。切断サブ組立体は、切刃と、複合材テープが通過する1つまたは複数のレーン経路とを含み、レーン経路は、ブレードシューおよび/またはベース内に形成されてよく、切刃は、複合材テープを選択的に切断するために、ブレードシューおよび/またはベースに対して相反的に移動され得る。接続要素接続具が、取外しおよび点検修理後の再取付けのために、切断サブ組立体と切断レーンモジュール組立体とを係合または係脱させ得る。
【0008】
[0019]繊維配置(換言すれば、プレースメント)機10の一実施態様が、
図1に示されている。繊維配置機10は、繊維配置ヘッド14と分離可能に連結されたロボットアーム12を含む。ロボットアームは、ベース16によって支持されてよく、ロボットアームは、ベース16上で軸(x)の周りで直線的に移動する。例えば枢動、回転、または伸縮によって移動することができる複数の可動セグメント18が、ベース16から外方に延在し得る。ロボットアーム12は、ベース16に対して複数の軸の周りで移動することができる。例えば、第1のセグメント18aが、ロボットアーム12がベース16を中心として回転することができるように、一方の端部においてベース16に回転可能に連結してよい。第2のセグメント18bが、第1のセグメント18aと枢動可能に連結してよく、第3のセグメント18cが、第2のセグメントと枢動可能に連結してよい。第4のセグメント18dが、第3のセグメント18cに連結されて、第3のセグメントから離れるようにまた第3のセグメントに向かうように伸縮自在に移動してよい。セグメント18は、ワークピースを作り出すために使用される型20またはマンドレルに対してロボットアーム12の遠位端部を移動させるために、流体ラム(fluidic ram)、電気モータ、もしくはそれらの組合せ、または他の駆動要素を使用して、互いに対して移動され得る。実行可能命令を有するコンピュータ可読記憶媒体と通信しているマイクロプロセッサ(図示せず)が、流体ラム、電気モータ、または他の駆動要素の動きを制御し、それによりロボットアーム12の可動セグメント18の動作および位置を制御し得る。マイクロプロセッサは、マイクロコントローラ、ホストプロセッサ、コントローラ、および特定用途向け集積回路(ASIC)を含む、電子命令を処理することができる任意のタイプのデバイスであってよい。マイクロプロセッサは、ロボットアーム12の制御を行うためだけに使用される専用プロセッサであってよく、または、他の機械機能と共有されてもよい。マイクロプロセッサは、メモリに格納されたソフトウェアまたはファームウェアプログラムなどの、様々なタイプのデジタル記録された命令を実行する。ロボットアームを動かす流体ラムまたは電気モータなどの機構とマイクロプロセッサとの間の通信は、通信バスを介して行われ得る。ロボットアーム12は、点検修理のためにヘッド14を位置決めするために、または複合材テープを型20に適用するために、繊維配置ヘッド14を3つの軸に沿って移動させることができる。これは、繊維配置ヘッドとともに使用され得るロボットアーム12の1つの実施態様であるが、複合材テープを適用するロボットアームまたは機械的デバイスの他の実施態様も、同様に使用され得る。
【0009】
[0020]ベース16に対して遠位のロボットアーム12の端部は、繊維配置ヘッド14と解放可能に係合するチャック22を含み得る。チャック22および繊維配置ヘッド14の一部分は、チャック22が繊維配置ヘッド14を解放可能に掴むことができるように、対応する特徴を有し得る。1つの実施態様では、繊維配置ヘッド14は、ヘッド14の表面に対して直角に延在する円筒形シャンクを含む。ロボットアーム12は、チャック22がシャンクと係合しまた繊維配置ヘッド14がアーム12に弾性的に連結されるように、チャック22を位置決めすることができる。
【0010】
[0021]
図2~4に示されるように、繊維配置ヘッド14は、クリール24と、ヘッド14のための複合材テープの供給源として複合材テープを担持する複数のスプール26と、切断挟持再始動(CCR)組立体32(
図5~8により詳細に示される)とを含み得る。CCR組立体32は、スプール26から複合材テープを受け取って型20に適用して複合材部品を作り出すことができる圧縮ローラ34(あるいは、圧縮ローラ)を含み得る。クリールフレーム24は、複数の外側表面36と、外側表面36に対して直角に取り付けられたスピンドル38とを含む。スピンドル38は、空気圧的に、機械的に、または流体的に制御されるダンサ要素を使用してテープ張力を生成するように移動されることが可能であり、ダンサ要素は、テープが型20に適用されるときに複合材テープにかかる張力を維持するのに役立つ。複合材テープは、型20への最終的な適用のために、スプール26から繰り出されて、圧縮ローラ34内へ移動し得る。
【0011】
[0022]繊維配置ヘッド14は、繊維配置ヘッド14の構成要素と、CCR組立体32と、最終的に複合材テープの連続体を型20に押し付ける圧縮ローラ34とを支持するための、CCRフレーム40を含み得る。圧縮ローラ34に到達する前に、複合材テープの一部分は、上部送り部分42を通過することができ、複合材テープの別の部分は、下部送り部分44を通過することができる。上部送り部分42は、偶数番目の複合材テープを処理することができ、下部送り部分44は、圧縮ローラ34において出会う奇数番目の複合材テープを処理することができる。例として、8つの繊維経路またはレーンを有する繊維配置ヘッド14の場合、上部送り部分42は、番号2、4、6、および8によって識別される複合材テープを処理することができ、一方で、下部送り部分44は、番号1、3、5、および7によって識別される複合材テープを処理することができる。上部送り部分42および下部送り部分44は、角度(α)だけ離隔され得る。上部送りローラ46および下部送りローラ48が、スプール26から上部送り部分42および下部送り部分44のそれぞれまで複合材テープを送ることができる。複数のレーンモジュール組立体54が、上部送り部分42および下部送り部分44に含まれ得る。上部送り部分42および下部送り部分44のそれぞれは、複数の取付けベース52を受け入れるためのマニホルド64を含むことができ、取付けベース52は、複数のレーンモジュール組立体54を解放可能に受け入れることができる。取付けベース52は、弁取付け要素68を含むことができ、弁取付け要素68は、ベース52をマニホルド64に対して位置合わせし、かつ、複数のレーンモジュール組立体54を繊維配置ヘッド14に対して解放可能に連結する。ボールロックなどの弁取付け特徴68は、取付けベース52からマニホルド64まで流体通路66を位置合わせし、かつ、後部空気ブロック53とベース52との間に流体密シールを形成するのに役立つ。ベース52は、レーンモジュール組立体54が最終的にベース52に連結する場所である、複数の取付け部位58(
図7b)を含む。ベース52は、複数の電磁弁62およびレーンモジュール組立体54が同時に取外しまたは設置され得る、マニホルド64に連結する個別の要素であってよい。1つの実施態様では、取付けサイト58は、レーンモジュール組立体54の要素または後部空気ブロック53に含まれる対応する雄ダブテールを受け入れる、雌ダブテールであり得る。レーンモジュール組立体54は、繊維配置ヘッド14に対するモジュール組立体54の設置または取外し中に、ダブテール接続を介して取付けベース52に対して摺動することができる。しかし、複数のレーンモジュール組立体54は、クロスピン60を用いて最終的に取付けベース52に固定されてよく、クロスピン60は、モジュール組立体54がダブテールに対して摺動して取付けベース52の一部分と係合する方向に対して横向きに通過して、取付けベース52に対するレーンモジュール組立体54の移動を防ぐ。
【0012】
[0023]電気機械式弁62は、レーンモジュール組立体54に当接し、かつ、後部空気ブロック53を介して取付けベース52に連結され得る。各レーンモジュール組立体54は、弁62が作動のためにモジュール組立体54に選択的に圧縮空気を供給するように、電磁弁62に当接し得る。取付けベース52は、マニホルド64と連結することができ、流体通路66は、供給源(図示せず)から後部空気ブロック53および電気機械式弁62を通って最終的にはベース52に連結されたレーン組立体54レーンモジュール54に到達する圧縮空気を送る。後部空気ブロック53、電磁弁62、およびレーンモジュール組立体54の組立体は、クロスピン60を使用して取付けベース52に取外し可能に固着され得る。圧縮空気は、マニホルド64および後部空気ブロック53からの空気を送る電磁弁62により、レーン組立体モジュール54に選択的に供給され得る。1つの実施態様では、電磁弁62は、レーン組立体モジュール54の作動を制御するためにマイクロプロセッサが開閉するスイッチによって制御される電圧を受け取るソレノイドを含む。
【0013】
[0024]
図9~12に目を向けると、レーンモジュール54は、それぞれ、繊維配置ヘッド14の機能を行うサブ組立体70と、複合材テープが通過する1つまたは複数のレーン経路72とを含み得る。各サブ組立体70のための空気圧シリンダ74が、繊維配置ヘッド14の機能を制御し得る。サブ組立体70の一要素が空気圧シリンダ74と連結されてよく、マニホルド64から空気圧シリンダ74内への圧縮空気の流れは、レーン経路を通過している複合材テープへの影響を有し得る。1つの実施形態では、流体通路66は、電気機械式弁62からピストンを含む空気圧ピストン組立体80へ圧縮空気を送ることができる。空気圧ピストン組立体80は、シリンダ74に対して摺動し、それにより、レーン組立体モジュール54に取り付けられたサブ組立体70に応じて複合材テープへの何らかの作用を行うことができる。
【0014】
[0025]切断レーンモジュール組立体54aは、切断サブ組立体70aを含み得る。切断サブ組立体70aは、切断レーンモジュール組立体54aに取外し可能に取り付けられ、かつ、切刃82、アンビル板84、ばね懸架式ブレードシュー86、およびベース88を含み得る。切断サブ組立体70aは、複合材テープが通過するレーン経路72の一部分を含み得る。例えば、切刃82は、空気圧ピストン組立体80が空気圧シリンダ74に対して移動するときにはさみ切断部(scissoring cut)を作り出すようにばね懸架式ブレードシュー86によりアンビル板84に向かって付勢されて、複合材テープが切断サブ組立体70aのレーン経路72を通過するときに複合材テープを切断することができる。切刃82およびアンビル板84は、互いに対して第1の位置に位置決めされたときに、複合材テープがレーン経路72を通過できるようにすることができ、切刃82がアンビル板84に対して移動されると、テープが切断され得る。第1の位置にあるときに、切刃82における開口部、ならびにアンビル板84およびベース88における開口部が、レーン経路72を少なくとも部分的に画定し得る。細長い部材、ピン、だぼ、またはねじなどの固定具92が、切断サブ組立体70aを切断レーン組立体モジュール54aに固着するために、切断レーン組立体モジュール54a内の開口90を貫通して、切断サブ組立体70aと係合し得る。固定具92は、点検修理または交換のためにサブ組立体70aを切断レーン組立体モジュール54aから解放するために、切断レーン組立体モジュール54aおよび切断サブ組立体70aから取り外され得る。この実施態様では、繊維配置ヘッド14は、8つの切断レーンモジュール組立体54a-上部送り部分42上の4つの切断レーン組立体モジュール54a、および下部送り部分44上の4つの切断レーン組立体モジュール54a-を含む。しかし、より多くのまたはより少ない切断レーン組立体モジュール54aを含む他の実施態様が可能である。
【0015】
[0026]他のレーン組立体モジュール54には、挟持レーン組立体モジュール54b、および再始動レーン組立体モジュール54cが含まれる。挟持レーン組立体モジュール54bおよび再始動レーン組立体モジュール54cは、複数のレーン経路72を含むことができ、かつ、各レーン経路72のための空気圧ピストン80を含むことができ、空気圧ピストン80は、摺動して複合材テープを所定の位置に保持するように、選択的に作動され得る。挟持サブ組立体70bおよび再始動サブ組立体70aが、それぞれ、複合材テープが型20に適用されている間に複合材テープを保持するための案内車94を含み得る。動力車96が、対応する案内車94に対向するように、複合材テープの対向側上に位置決めされ得る。動力車96は、車96と連結される出力軸を有する電気モータ98によって駆動され得る。動力車96は、複合材テープを移動させるために電気モータ98によって回転されてよく、または、動力車96は、複合材テープをしっかりと保持するために不動に保持されてよい。複合材テープは、スプラグ(一方向)軸受、クラッチドシャフト(clutched shaft)、または固定板に接触して不動に保持されることが可能である。
【0016】
[0027]案内車94は、動力車96によって接触された側とは反対の複合材繊維テープの側に接触し、それにより、車同士の間でテープが押しつぶされる。案内車94は、複合材テープをレーン経路72に通して移動させるかまたは複合材テープを所定の位置に保持するために、動力車96と協力して動作することができる。動力車96は、電気モータ98によって駆動されてよく、一方で、案内車94は、自由に回転しかつ複合材繊維テープが移動できるようにすることができる。または、テープを所定の位置に保持するために、電気モータ98は、動力車96を動かさずに保持することができ、空気圧ピストン80は、案内車94が回転するのを妨げるように作動され得る。空気圧ピストン80は、案内車94を選択的に不動に保持することにより複合材繊維を所定の位置に保持するために、圧縮空気の受入れに応答して移動し得る。この実施態様では、繊維配置ヘッド14は、8つの挟持レーンモジュール組立体54bおよび8つの再始動レーン組立体モジュール54c-上部送り部分42上の4つの挟持レーン組立体モジュールおよび4つの再始動レーン組立体モジュール、ならびに下部送り部分44上の4つの挟持レーン組立体モジュール54bおよび4つの再始動レーン組立体モジュール54c-を含む。この実施態様では、繊維配置ヘッド14は、切断レーン組立体モジュール54aを含めて24個のレーン組立体モジュール54を含み得る。しかし、より多くのまたはより少ないレーン組立体モジュール54を含む他の実施態様が可能である。
【0017】
[0028]ロボットアーム12は、複合材部品を作り出すために繊維配置ヘッド14を型20に対して移動させることができる。ロボットアーム12、動力車96、切断レーン組立体モジュール54a、挟持レーン組立体モジュール54b、および再始動レーン組立体モジュール54cは、複合材テープを型20に適用するために協働する。再始動レーン組立体モジュール54cは、複合材繊維が圧縮ローラ34に到達するまで、複合材繊維をレーン72に通して移動させることができる。次いで、挟持レーン組立体モジュール54bは、複合材繊維を保持して複合材繊維がレーン72内で移動するのを防ぐように作動され得る。次いで、圧縮ローラ34は、型20と接触させられて、複合材テープの一端を型20に貼り付けることができる。挟持レーン組立体モジュール54bは、複合材繊維を解放することができ、ロボットアーム12は、繊維配置ヘッド14を型20上で移動させ、圧縮ローラ34は、複合材テープを型20に適用することができる。規定量の複合材テープが型20に適用されると、挟持レーン組立体モジュール54bは、スプール26からの複合材テープを所定の位置に保持するために作動されることが可能であり、切断レーン組立体モジュール54aは、型20に適用される所望の長さの複合材テープを切断するために作動されることが可能である。新たな複合材テープの連続体が型20に適用され得るように、再始動レーン組立体モジュール54cは係合され、挟持組立体モジュール54bは係脱されて、さらなる複合材テープが圧縮ローラ34に供給されることを可能にすることができる。
【0018】
[0029]これまで述べてきたことは、本発明の1つまたは複数の実施形態に関する説明であることが、理解されるべきである。本発明は、本明細書において開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲によってのみ定められる。さらに、上記の説明に含まれる記述は、特定の実施形態に関するものであり、また、用語もしくは語句が上記で明確に定義されている場合を除き、本発明の範囲への制限または特許請求の範囲において使用される用語の定義への制限と解釈されるべきではない。様々な他の実施形態、ならびに開示された実施形態に対する様々な変更および修正が、当業者には明らかになるであろう。すべてのそのような他の実施形態、変更、および修正は、添付の特許請求の範囲に記載の範囲に含まれることが意図されている。
【0019】
[0030]本明細書および特許請求の範囲において、用語「例えば(e.g.)」、「例えば(for example)」、「例として(for instance)」、「~などの(such as)」、および「~のような(like)」、ならびに動詞「備えている(comprising)」、「有している(having)」、「含んでいる(including)」、およびそれらの他の動詞の形態は、1つまたは複数の構成要素もしくは他の物品の列挙と併せて使用された場合、それぞれ無制限と解釈されるべきであり、つまり、列挙は、他の追加の構成要素または物品を除外すると見なされるべきではない。他の用語は、異なる解釈を必要とする文脈においてそれらの用語が使用される場合を除き、それらの用語の最も広い妥当な意味を使用して解釈されるべきである。