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特許7478760目の安全性限界内で画像を投影するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】目の安全性限界内で画像を投影するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/10 20060101AFI20240425BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240425BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G09G5/10 B
G09G5/00 550C
G09G5/00 550B
G09G5/00 510G
H04N5/74 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021574875
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 CA2020051212
(87)【国際公開番号】W WO2021046641
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】62/897,690
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレッチャー,バーゲン
(72)【発明者】
【氏名】ブロガ,アンタナス・マシュー
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0186404(US,A1)
【文献】国際公開第2012/117548(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/126951(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/219519(WO,A1)
【文献】特開2010-044204(JP,A)
【文献】中国実用新案第203982756(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/10
G09G 5/00
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
表示装置によって表示される画像の初期画像データを受信するステップを含み、前記画像は、複数の画素を含み、前記初期画像データは、前記複数の画素に関連する複数の輝度レベルを含み、前記方法は、さらに、
前記複数の輝度レベルに基づいて、前記画像の表示によって消費されるパワーを示す画像パワーを判断するステップを含み、前記画像は、指定の表示時間表示され、前記方法は、さらに、
前記画像パワーを指定のパワーしきい値と比較することに基づいて過剰電力状態を判断するステップを含み、前記パワーしきい値は、しきい値時間とパワー制限とを含み、前記しきい値時間は、前記表示時間よりも長く、前記過剰電力状態を判断するステップは、前記しきい値時間にわたる予測表示パワーを生成するステップを含み、前記予測表示パワーは、前記画像パワー、前記表示時間、および前記しきい値時間に基づいて生成され、前記過剰電力状態を判断するステップは、前記予測表示パワーを前記パワー制限と比較することにより、前記過剰電力状態を判断するステップを含み、
前記予測表示パワーおよび前記パワー制限の比較の結果、前記予測表示パワーが前記指定のパワーしきい値を超えると前記過剰電力状態が示したことに応答して前記複数の輝度レベルを下げて更新画像データを生成するステップと、
前記更新画像データを出力するステップとを含む、方法。
【請求項2】
方法であって、
表示装置によって表示される画像の初期画像データを受信するステップを含み、前記画像は、複数の画素を含み、前記初期画像データは、前記複数の画素に関連する複数の輝度レベルを含み、前記方法は、さらに、
前記複数の輝度レベルに基づいて、前記画像の表示によって消費されるパワーを示す画像パワーを判断するステップと、
前記画像パワーを指定のパワーしきい値と比較することに基づいて過剰電力状態を判断するステップと、
前記画像パワーが前記指定のパワーしきい値を超えると前記過剰電力状態が示したことに応答して前記複数の輝度レベルを下げて更新画像データを生成するステップと、
前記更新画像データを出力するステップとを含み、
前記画像は、前記表示装置によって表示される複数の画像フレームのうち、所与の画像フレームであり、各画像フレームは、関連する表示時間を有し、
前記パワーしきい値は、しきい値時間とパワー制限とを含み、前記しきい値時間は、前記表示時間よりも長く、
前記過剰電力状態を判断するステップは、
前記しきい値時間にわたる予測表示パワーを生成するステップを含み、前記予測表示パワーは、前記しきい値時間、サンプル表示時間、サンプル表示パワーに基づいて生成され、前記サンプル表示時間および前記サンプル表示パワーは、前記複数の画像フレームから選択された前記画像フレームのサンプルセットに関連し、前記過剰電力状態を判断するステップは、前記予測表示パワーを前記パワー制限と比較することにより、前記過剰電力状態を判断するステップを含み、
前記予測表示パワーおよび前記パワー制限の比較の結果、前記画像パワーが前記指定のパワーしきい値を超えると前記過剰電力状態が示したことに応答して前記複数の輝度レベルを下げて更新画像データを生成するステップは、前記予測表示パワーが前記パワー制限を超えると前記過剰電力状態が示したことに応答して前記複数の輝度レベルを下げて更新画像データを生成するステップを含む、方法。
【請求項3】
前記更新画像データを出力するステップは、前記画像を表示するために用いられる前記表示装置に前記更新画像データを提供するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記サンプル表示時間は、前記しきい値時間よりも短い、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記画像パワーを判断するステップは、各画素を表示するために用いられる対応する光の一連の波長にさらに基づいて前記画像パワーを判断するステップを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像パワーを判断するステップは、前記複数の画素の前記複数の輝度レベルに基づいて画像ヒストグラムを生成するステップを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の輝度レベルを下げるステップは、前記複数の輝度レベルを1未満の倍率で乗算するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記表示装置に関連する電力損失比を判断するステップをさらに含み、前記電力損失比は、画像データによって決まる公称光パワー出力に対する前記表示装置が実際に出力した光パワーの比を示し、
前記画像パワーを判断するステップは、前記複数の輝度レベルおよび前記電力損失比に基づいて調整画像パワーを判断するステップを含み、
前記過剰電力状態を判断するステップは、前記調整画像パワーおよび前記パワーしきい値に基づいて前記過剰電力状態を判断するステップを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記表示装置は、少なくとも1つのレーザーを用いて前記画像を表示するように構成され、
前記パワーしきい値は、目のレーザー被爆の安全性限界を表す、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記表示装置を備え、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された、ウェアラブルヘッドアップディスプレイ。
【請求項11】
システムであって、
ソース光を生成するように構成された光源と、
前記光源から前記ソース光を受光するように構成された空間変調器と、
前記空間変調器から前記ソース光を受光して視聴者の目に向けるように構成された表示素子と、
前記光源および前記空間変調器と通信するコントローラとを備え、前記コントローラは、
表示される画像の初期画像データを受信するように構成され、前記画像は、複数の画素を含み、前記初期画像データは、前記複数の画素に関連する複数の輝度レベルを含み、前記コントローラは、さらに、
前記複数の輝度レベルに基づいて、前記画像の表示によって消費されるパワーを示す画像パワーを判断し、前記画像は、指定の表示時間表示され、
前記画像パワーを指定のパワーしきい値と比較することに基づいて過剰電力状態を判断し、前記パワーしきい値は、しきい値時間とパワー制限とを含み、前記しきい値時間は、前記表示時間よりも長く、前記過剰電力状態を判断することは、前記しきい値時間にわたる予測表示パワーを生成することを含み、前記予測表示パワーは、前記画像パワー、前記表示時間、および前記しきい値時間に基づいて生成され、前記過剰電力状態を判断することは、前記予測表示パワーを前記パワー制限と比較することにより、前記過剰電力状態を判断することを含み、
前記予測表示パワーおよび前記パワー制限の比較の結果、前記予測表示パワーが前記指定のパワーしきい値を超えると前記過剰電力状態が示したことに応答して前記複数の輝度レベルを下げて更新画像データを生成し、
前記光源および前記空間変調器を制御して、前記更新画像データを用いて前記画像を投影するように構成される、システム。
【請求項12】
システムであって、
ソース光を生成するように構成された光源と、
前記光源から前記ソース光を受光するように構成された空間変調器と、
前記空間変調器から前記ソース光を受光して視聴者の目に向けるように構成された表示素子と、
前記光源および前記空間変調器と通信するコントローラとを備え、前記コントローラは、
表示される画像の初期画像データを受信するように構成され、前記画像は、複数の画素を含み、前記初期画像データは、前記複数の画素に関連する複数の輝度レベルを含み、前記コントローラは、さらに、
前記複数の輝度レベルに基づいて、前記画像の表示によって消費されるパワーを示す画像パワーを判断し、
前記画像パワーを指定のパワーしきい値と比較することに基づいて過剰電力状態を判断し、
前記画像パワーが前記指定のパワーしきい値を超えると前記過剰電力状態が示したことに応答して前記複数の輝度レベルを下げて更新画像データを生成し、
前記光源および前記空間変調器を制御して、前記更新画像データを用いて前記画像を投影するように構成され、
前記画像は、表示される複数の画像フレームのうち、所与のフレームであり、各フレームは、関連する表示時間を有し、
前記パワーしきい値は、しきい値時間とパワー制限とを含み、前記しきい値時間は、前記表示時間よりも長く、
前記コントローラは、
前記しきい値時間、サンプル表示時間、およびサンプル表示パワーに基づいて、前記しきい値時間にわたる予測表示パワーを生成し、
前記予測表示パワーを前記パワー制限と比較することによって前記過剰電力状態を判断するように構成され、
前記サンプル表示時間および前記サンプル表示パワーは、前記複数の画像フレームから選択された前記画像フレームのサンプルセットに関連し、
前記予測表示パワーおよび前記パワー制限の比較の結果、前記画像パワーが前記指定のパワーしきい値を超えると前記過剰電力状態が示したことに応答して前記複数の輝度レベルを下げて更新画像データを生成することは、前記予測表示パワーが前記パワー制限を超えると前記過剰電力状態が示したことに応答して前記複数の輝度レベルを下げて更新画像データを生成することを含む、システム。
【請求項13】
前記サンプル表示時間は、前記しきい値時間よりも短い、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラは、各画素を表示するために用いられる前記ソース光の一連の波長にさらに基づいて前記画像パワーを判断するように構成される、請求項11~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラは、複数の所定の輝度レベルに基づいて前記複数の輝度レベルの画像ヒストグラムを生成することによって前記画像パワーを判断するように構成される、請求項11~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記複数の輝度レベルを1未満の倍率で乗算することによって前記複数の輝度レベルを下げるように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラは、
前記システムに関連する電力損失比を取得するようにさらに構成され、前記電力損失比は、画像データによって決まる公称光パワー出力に対する表示装置が実際に出力した光パワーの比を示し、
前記コントローラは、前記複数の輝度レベルおよび前記電力損失比に基づいて調整画像パワーを判断することによって前記画像パワーを判断するように構成され、
前記コントローラは、前記調整画像パワーおよび前記パワーしきい値に基づいて前記過剰電力状態を判断するように構成される、請求項11~16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記システムは、ウェアラブルヘッドアップディスプレイを含む、請求項11~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記光源は、レーザーであり、前記パワーしきい値は、目のレーザー被爆の安全性限界を含む、請求項11~18のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
レーザーは、それらが人間の目および皮膚を負傷させる可能性に基づいてクラス分けがなされている。可視ビームレーザーには、4つの主要なクラスがあり、クラス1レーザーは、最も安全なレーザーであり、クラス4レーザーは、安全性が最も低いレーザーである。クラス1レーザーは、ほとんどまたはすべての使用条件で安全である(低出力であること、または、通常動作時にユーザがレーザー光に近づけないようにする筐体があることのいずれかを理由に、レーザーは安全である)。クラス2レーザーは、ユーザが長時間まばたきせずにビームを凝視しない限り、比較的安全である。クラス3レーザーは、一般に、目に危険であると考えられており、特に、ビーム径または出力密度を変化させる光学装置と組み合せて使用した場合、目に危険である。クラス4レーザーは、ビーム径および/または出力密度を変化させる光学装置がないと危険であると考えられる強い光パワーを出力する。ユーザによって見られる画像を投影するためにレーザープロジェクターを用いるニアアイ画像表示装置もある。レーザー安全性の観点から最も安全なニアアイ画像表示装置では、ユーザの目の観点から装置がクラス1レーザー製品になるように、経験する最大被爆が管理されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
レーザーベースの画像表示装置では、レーザーは、表示画像の画素を規定する光を照射する。各画素は、赤色光と、緑色光と、青色光との組合せによって規定され得る。画素の輝度は、赤色光と、緑色光と、青色光とを組み合わせた光のレーザーパワーと関係がある。クラス1の目の安全性限界は、100秒間にわたって許容可能なエネルギーの量である。クラス1の目の安全性限界は、波長によって細分化された光の許容可能な放射線量を規定している。青色光は、通常、許容可能な放射線量が最小であり、緑色光、赤色光と続く。ニアアイディスプレイの最大輝度は、どれくらいの量の光が網膜に晒されているかが分かっていることに基づいていなければならない。そのため、ディスプレイの輝度は、表示領域またはフィルファクターによって限定されている。ある方法では、最大画素パワーは、クラス1の目の安全限界である100秒当たり3.9ミリジュール(mJ)でたとえばフレームの割合25%を100秒間真っ白に安全に描画できるレベルに固定されている。この場合、ほとんどが白く、かつ、フィルファクター25%を超える表示画像では、100秒という期間内でレーザー安全監視システムを作動させることになる。しかしながら、表示画像が明るすぎるという理由でレーザープロジェクターを停止させることは、デバイスのユーザビリティの観点から、望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0003】
実施の形態の概要
本明細書の実施態様によると、方法が提供され、この方法は、表示装置によって表示される画像の初期画像データを受信するステップを含み、画像は、複数の画素を含み、初期画像データは、複数の画素に関連する複数の輝度レベルを含み、方法は、さらに、複数の輝度レベルに基づいて画像パワーを判断するステップと、画像パワーとパワーしきい値とに基づいて過剰電力状態を判断するステップと、指定のパワーしきい値を超えると過剰電力状態が示したことに応答して複数の輝度レベルを下げて更新画像データを生成するステップと、更新画像データを出力するステップとを含む。
【0004】
更新画像データを出力するステップは、画像を表示するために用いられる表示装置に更新画像データを提供するステップを含んでもよい。
【0005】
表示装置は、ウェアラブルヘッドアップディスプレイを含んでもよい。
パワーしきい値は、目のレーザー被爆の安全性限界を含んでもよい。
【0006】
画像は、関連する表示時間を含んでもよく、パワーしきい値は、しきい値時間とパワー制限とを含んでもよく、しきい値時間は、表示時間よりも長く、過剰電力状態を判断するステップは、しきい値時間にわたる予測表示パワーを生成するステップを含んでもよく、予測表示パワーは、画像パワー、表示時間、およびしきい値時間に基づいて生成され、方法は、さらに、予測表示パワーをパワー制限と比較するステップと、予測表示パワーがパワー制限よりも大きい場合、過剰電力状態を肯定的に設定し、予測表示パワーがパワー制限以下である場合、否定的に設定するステップとを含む。
【0007】
画像は、表示装置によって表示される複数の画像フレームのうち、所与のフレームであってもよく、各フレームは、関連する表示時間を有し、パワーしきい値は、しきい値時間とパワー制限とを含み、しきい値時間は、表示時間よりも長く、過剰電力状態を判断するステップは、しきい値時間にわたる予測表示パワーを生成するステップを含んでもよく、予測表示パワーは、しきい値時間、サンプル表示時間、サンプル表示パワーに基づいて生成され、サンプル表示時間およびサンプル表示パワーは、複数の画像フレームから選択された画像フレームのサンプルセットに関連し、過剰電力状態を判断するステップは、さらに、予測表示パワーをパワー制限と比較するステップと、予測表示パワーがパワー制限よりも大きい場合、過剰電力状態を肯定的に設定し、予測表示パワーがパワー制限以下である場合、否定的に設定するステップとを含んでもよい。サンプル表示時間は、しきい値時間よりも短くてもよい。
【0008】
画像パワーを判断するステップは、各画素を表示するために用いられる対応する光の一連の波長にさらに基づいて画像パワーを判断するステップを含んでもよい。
【0009】
画像パワーを判断するステップは、複数の画素の複数の輝度レベルの画像ヒストグラムを生成するステップを含んでもよく、画像ヒストグラムは、複数の所定の輝度レベルの各レベルにおける画素の数を格納する。
【0010】
複数の輝度レベルを下げるステップは、複数の輝度レベルを1未満の倍率で乗算するステップを含んでもよい。
【0011】
本方法は、さらに、表示装置に関連する電力損失比を取得するステップを含んでもよい。画像パワーを判断するステップは、輝度レベルおよび電力損失比に基づいて調整画像パワーを判断するステップを含んでもよく、過剰電力状態を判断するステップは、調整画像パワーおよびパワーしきい値に基づいて過剰電力状態を判断するステップを含んでもよい。
【0012】
本明細書の別の実施態様によると、システムが提供され、本システムは、ソース光を生成するように構成された光源と、光源からソース光を受光するように構成された空間変調器と、空間変調器からソース光を受光して視聴者の目に向けるように構成された表示素子と、光源および空間変調器と通信するコントローラとを備える。このコントローラは、システムによって表示される画像の初期画像データを受信するように構成され、画像は、複数の画素を含み、初期画像データは、複数の画素に関連する複数の輝度レベルを含み、コントローラは、さらに、複数の輝度レベルに基づいて画像パワーを判断し、画像パワーに基づいて過剰電力状態を判断し、指定のパワーしきい値を超えると過剰電力状態が示したことに応答して複数の輝度レベルを下げて更新画像データを生成し、光源および空間変調器を制御して、更新画像データを用いて画像を投影するように構成される。
【0013】
システムは、ウェアラブルヘッドアップディスプレイであってもよい。
パワーしきい値は、目のレーザー被爆の安全性限界を含んでもよい。
【0014】
画像は、関連する表示時間を有してもよく、パワーしきい値は、しきい値時間とパワー制限とを含んでもよく、しきい値時間は、表示時間よりも長く、過剰電力状態を判断するために、コントローラは、しきい値時間にわたる予測表示パワーを生成するように構成されてもよい、予測表示パワーは、画像パワー、表示時間、およびしきい値時間に基づいて生成され、コントローラは、さらに、予測表示パワーをパワー制限と比較し、予測表示パワーがパワー制限よりも大きい場合、過剰電力状態を肯定的に設定し、予測表示パワーがパワー制限以下である場合、否定的に設定するように構成されてもよい。
【0015】
画像は、表示される複数の画像フレームのうち、所与のフレームであってもよく、各フレームは、関連する表示時間を有し、パワーしきい値は、しきい値時間とパワー制限とを含んでもよく、しきい値時間は、表示時間よりも長く、過剰電力状態を判断するために、コントローラは、しきい値時間にわたる予測表示パワーを生成するように構成されてもよく、予測表示パワーは、しきい値時間、サンプル表示時間、サンプル表示パワーに基づいて生成され、サンプル表示時間およびサンプル表示パワーは、複数の画像フレームから選択された画像フレームのサンプルセットに関連し、コントローラは、さらに、予測表示パワーをパワー制限と比較し、予測表示パワーがパワー制限よりも大きい場合、過剰電力状態を肯定的に設定し、予測表示パワーがパワー制限以下である場合、否定的に設定するように構成されてもよい。
【0016】
サンプル表示時間は、しきい値時間よりも短くてもよい。
画像パワーを判断するために、コントローラは、各画素を表示するために用いられるソース光の一連の波長にさらに基づいて画像パワーを判断するように構成されてもよい。
【0017】
画像パワーを判断するために、コントローラは、複数の画素の複数の輝度レベルの画像ヒストグラムを生成するように構成されてもよく、画像ヒストグラムは、複数の所定の輝度レベルの各レベルにおける画素の数を格納する。
【0018】
複数の輝度レベルを下げるために、コントローラは、複数の輝度レベルを1未満の倍率で乗算するように構成されてもよい。
【0019】
コントローラは、さらに、システムに関連する電力損失比を取得するように構成されてもよい。画像パワーを判断するために、コントローラは、輝度レベルおよび電力損失比に基づいて調整画像パワーを判断するように構成されてもよく、過剰電力状態を判断するために、コントローラは、調整画像パワーおよびパワーしきい値に基づいて過剰電力状態を判断するように構成されてもよい。
【0020】
図面の簡単な説明
図面では、同様の要素または動作を同一の参照番号によって明確にする。図面における要素のサイズおよび相対的な位置は、必ずしも縮尺通りではない。たとえば、様々な要素の形状および角度は、必ずしも縮尺通りではなく、これらの要素のうち一部の要素は、図面の読み易さを向上させるために任意に拡大して配置されている。さらには、描かれている要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する情報を必ずしも使える意図はなく、図面において容易に見分けられるように当該形状が選ばれたに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】いくつかの実施の形態に係る、レーザーベースの表示装置が表示する画像の輝度を調整するために用いられる方法の例のフローチャートを示す。
図2】いくつかの実施の形態に係る、異なる輝度レベルにおける、レーザーベースの表示装置が表示する画像に含まれる画素の数を表したヒストグラムの例を示す。
図3】いくつかの実施の形態に係る、異なる輝度レベルにおける画素の数を表した別のヒストグラムの例を示す。
図4】いくつかの実施の形態に係る、視聴者が視聴可能な画像を形成または投影するために用いられ得るシステムの例の概略図を示す。
図5】いくつかの実施の形態に係る、ウェアラブルヘッドアップディスプレイの例の部分切り欠き斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
以下の説明において、様々な開示の実施態様の十分な理解のために、特定の具体的な詳細を記載する。しかしながら、当業者であれば、実施態様は、これらの具体的な詳細のうち1つ以上がなくても実現され得ること、または、その他の方法、その他の構成要素、その他の材料などを用いて実現され得ることが分かるであろう。他の場合、実施態様の説明を必要以上に曖昧にしないために、光源に関連する周知の構造は図示していなかったり、詳細に説明していなかったりする。
【0023】
状況において別段の要求が無い限り、明細書および添付の特許請求の範囲の全体を通して、「comprise」という単語および、「comprises」および「comprising」など、その変形は、排他的でない包括的な意味で、すなわち、「including、but not limited to」として解釈される。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する場合、内容に別段に明確に規定されていない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数の指示対象を含む。なお、内容に別段に明確に規定されていない限り、「or」という単語は、一般に、最も広義な意味、すなわち、「および/または」という意味で用いられている。
【0025】
本明細書にある本願の見出しおよび要旨は、便宜上設けられたに過ぎず、実施態様の範囲または趣旨を説明するものではない。
【0026】
画像を表示する場合、視聴者の目に過剰な量の光パワーを向けると、目に違和感を与えてしまったり、目を傷つけてしまったりする可能性がある。従って、事実上、表示装置の光パワー出力にパワーしきい値を設定する安全基準がある。このようはパワーしきい値は、パワー制限およびしきい値時間から構成され得る。たとえば、パワーしきい値は、しきい値時間100秒でパワー制限3.9mJとして指定され得る。いくつかの例では、たとえば100秒間でパワーしきい値3.9mJの場合のように、パワー制限は、エネルギー単位で表され得る。このパワーしきい値は、一例であり、その他のパワーしきい値も用いられてもよいと考えられる。いくつかの例では、100秒当たり3.9mJは、クラス1レーザー光に対する目の被爆の安全性限界に相当し得る。
【0027】
画像表示装置は、パワーしきい値を超えた場合にディスプレイをオフにする安全スイッチを備え得る。このようなスイッチは、ハードウェアで実現されてもよく、機械読み取り可能な命令で実現されてもよく、または、ハードウェアと機械読み取り可能な命令との組合せを用いて実現されてもよい。このような安全スイッチは、しきい値時間に到達するまで、強制的にディスプレイをオフに維持し得、その後、ディスプレイは、再びオンにされ得る。たとえば、パワーしきい値が3.9mJ/100秒であり、表示装置が最初の50秒で3.9mJのエネルギーを出力した場合、安全スイッチは、しきい値時間100秒に達するまで強制的に表示装置を50秒間オフに維持し得、その後、ディスプレイは、再びオンになり得る。安全スイッチによって設定されるこのようなディスプレイのオフ期間は、表示装置を連続して使用するという視聴者の能力を不安定にさせてしまうであろう。
【0028】
このような割込を低減するために、画像を投影する前に、データを解析して、画像の画素の輝度レベルを調整し、画像表示装置がパワーしきい値を超える可能性を減らし得る。いくつかの例では、このような調整は、画像が形成または投影される前に、表示装置が初期画像データを受信すると動的に実行されてもよい。図1は、例示的な方法100のフローチャートを示す図である。方法100を用いて、画像の輝度を調整し得る。ブロック105では、表示装置によって表示される画像の初期画像データを受信し得る。上述したように、画像は、複数の画素から構成され得る。初期画像データは、画素に関連する複数の輝度レベルから構成され得る。
【0029】
ブロック110では、輝度レベルに基づいて画像パワーを判断し得る。画像パワーは、一定の時間にわたる画像における光エネルギーの量を提供し得る。いくつかの例では、画像パワーは、所与の期間にわたる平均輝度(すなわち、強度)として算出される平均パワーから構成され得る。また、いくつかの例では、画像パワーは、短期間Δtまたはdtにわたる輝度レベルとして算出される瞬間パワーから構成され得る。さらには、いくつかの例では、画像の表示時間は、既知の時間であってもよく、予め定められた時間であってもよい。たとえば、画像が動画に含まれるフレームである場合、フレームレートが画像の表示時間を決定し得る。同様に、表示画像が所定のリフレッシュレートでリフレッシュされる例では、リフレッシュレートが画像の表示時間を決定し得る。このような例では、画像パワーは、表示時間にわたる画像に含まれる画素の輝度レベル(すなわち、強度)として算出され得る。
【0030】
また、いくつかの例では、画像パワーを判断することは、輝度レベルの画像ヒストグラムを生成することを含み得る。画像ヒストグラムは、複数の所定の輝度レベルの各レベルにおける画像に含まれる画素の数を記憶し得る。図2は、7つの異なる輝度レベルにおける画素の数を表した例示的なヒストグラム200を示す。いくつかの例では、画像の画素の輝度レベルの範囲は、7つ以外の数の離散的範囲または離散的ビンに分けられ得ると考えられる。たとえば、一部の例示的なヒストグラムは、255個以上の数の離散的範囲または離散的ビンの輝度レベルを含んでもよい。
【0031】
いくつかの例では、画像パワーを判断することは、各画素を表示するために用いられる光の一連の波長にさらに基づいて画像パワーを判断することを含み得る。光のそれぞれ異なる波長は、それぞれ異なる量の光エネルギーに対応し、短い波長(たとえば、青)のエネルギーは、長い波長(たとえば、赤色)よりも強い。したがって、画像の画素を形成または投影するために用いられる光の波長も、画像の画像パワーを生成する際に考慮され得る。
【0032】
これに加えて、いくつかの例では、画像の色ごとに異なるヒストグラムを生成し得る。たとえば、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)の光を利用して画像を形成または投影する場合、3つのそれぞれ異なるRヒストグラム、Gヒストグラム、およびBヒストグラムが形成され得る。さらには、いくつかの例では、Rの輝度情報と、Gの輝度情報と、Bの輝度情報とを1つのヒストグラムに結合した複合ヒストグラムが生成され得る。
【0033】
ここで、ブロック115を参照すると、画像パワーおよびパワーしきい値に基づいて過剰電力状態を判断し得る。過剰電力状態は、肯定的または否定的であり得る。肯定的な過剰電力状態は、パワーしきい値を超えると画像パワーに基づいて予想されることを示し得る。同様に、否定的な過剰電力状態は、パワーしきい値を超えないと画像パワーに基づいて予想されることを示し得る。
【0034】
上述したように、パワーしきい値は、しきい値時間およびパワー制限から構成され得る。たとえば、クラス1レーザーの場合、目に被爆されるパワーしきい値によって、しきい値時間100秒間で3.9mJを超えないパワー制限が加えられる。多くの場合、画像の表示時間は、パワーしきい値のしきい値時間よりも短いであろう。たとえば、60Hzもしくは120Hzのフレームレートまたはリフレッシュレートの場合、フレームごとの表示時間、または画像の連続するリフレッシュ間の時間は、100秒よりもはるかに短いであろう。このような例では、画像パワーに基づいて、パワーしきい値のしきい値時間に関連して画像の表示時間を考慮することによって、パワーしきい値を超える可能性を外挿または予測し得る。
【0035】
したがって、いくつかの例では、過剰電力状態を判断することは、しきい値時間にわたる予測表示パワーを生成することを含み得る。この予測表示パワーは、画像パワー、表示時間、およびしきい値時間に基づいて生成され得る。上述したように、いくつかの例では、予測表示パワーは、画像の表示時間からパワーしきい値のしきい値時間までの画像パワーの外挿を含み得る。線形外挿法またはその他の種類の外挿法が用いられてもよいと考えられる。また、いくつかの例では、統計的手法または機械学習法を用いて、予測表示パワーの生成を支援してもよい。このような方法は、サンプル画像データまたは画像データ訓練データセットに依拠して、しきい値時間にわたる表示パワーの予測を形成し得る。
【0036】
次に、予測表示パワーをパワー制限と比較し得る。予測表示パワーがパワー制限よりも大きい場合、過剰電力状態は肯定的に設定され得、予測表示パワーがパワー制限以下である場合、否定的に設定され得る。
【0037】
さらには、上述したように、いくつかの例では、画像は、表示装置によって表示される複数の画像フレームのうち、所与のフレームであり得る。たとえば、画像は、動画に含まれるフレームであり得る。各フレームは、関連する表示時間を有し得る。このような例では、予測表示パワーを形成するためのベースとして、N個のフレームから構成されるサブセットまたはサンプルが用いられ得る。ここで、Nは、1よりも大きい。予測表示パワーを形成するために2つ以上のフレームに依拠することによって、しきい値時間にわたる予測表示パワーの精度が向上し得る。
【0038】
このN個のフレームから構成されるサンプルは、サンプル表示時間およびサンプル表示パワーをまとめて有し得る。過剰電力状態を判断することは、しきい値時間にわたる予測表示パワーを生成することを含み得、予測表示パワーは、しきい値時間、サンプル表示時間、およびサンプル表示パワーに基づいて生成され得る。上述したように、サンプル表示時間およびサンプル表示パワーは、複数の画像フレームから選択された画像フレームのサンプルセットに対応付けられ得る。
【0039】
フレームから構成されるサンプルに基づいて予測表示パワーが生成されると、予測表示パワーがパワー制限と比較され得る。過剰電力状態は、予測表示パワーがパワー制限よりも大きい場合、肯定的に設定され得、予測表示パワーがパワー制限以下である場合、否定的に設定され得る。
【0040】
上述した実施例のうち一部では、表示時間がしきい値時間よりも短い場合に予測表示パワーを生成することを説明したが、いくつかの実施例では、しきい値時間にわたる表示パワーは、算出されてもよく、予測する必要がないと考えられる。たとえば、全体の長さがしきい値時間よりも長い動画を再生するとき、しきい値時間を埋めるのに十分な数の動画フレームの画像パワーを判断して加算することにより、しきい値時間にわたる表示パワーを算出できるようになる。その後、表示パワーは、パワーしきい値と比較され得る。
【0041】
ここで、方法100のブロック120を参照すると、過剰電力状態が肯定的である場合、輝度レベルを下げて更新画像データを生成し得る。いくつかの例では、輝度レベルを下げることは、1未満の倍率で輝度レベルを乗算することを含み得る。図3は、例示的なヒストグラム300を示す図である。ヒストグラム300は、ヒストグラム200(図3において破線で示されており、図2においても示されている)の輝度レベルを倍率0.5で乗算することによって取得され得る。
【0042】
また、いくつかの例では、ヒストグラムを倍率で乗算することとは異なる方法で輝度レベルを下げてもよいと考えられる。また、いくつかの例では、異なる輝度レベルに対して異なる方法で輝度レベルの減少を実現してもよいと考えられる。たとえば、輝度レベルの減少は、所与の画素の開始時の輝度に応じて変化してもよい。たとえば、比較的明るい画素は、比較的明るくない画素よりも減光されてもよい。さらには、いくつかの例では、異なる波長(すなわち、色)に対して異なる方法で輝度レベルの減少を実現してもよい。たとえば、エネルギーがより強い波長(たとえば、青色または緑色)の輝度は、エネルギーがあまり強くない波長(たとえば、赤色)とは異なる方法で下げられてもよい。
【0043】
輝度レベルを下げることで、パワーしきい値を超える可能性が低下し得る。このことは、パワーしきい値を超えているせいで停止させられてしまわないように表示装置の機能を向上し得る。また、初期画像データに基づいてまたは初期画像データに応答して輝度レベルを動的に調整する機能により、表示装置のために開発中のコンテンツに先だっての輝度(a priori brightness)または画像パワー制限を加える必要を減らすまたはなくすことによって、コンテンツ開発者のためのオープンプラットフォームとして表示装置が使えるようになり得る。
【0044】
また、輝度および画像パワーを動的に調整する機能によって、視聴者およびその場に居合わせた人がより快適に表示装置とやり取りできるようになり得る。いくつかの例では、快適性の向上は、画像輝度のレベルが高いことにより引き起こされるユーザの眼精疲労が低減されることに起因し得る。これに加えて、輝度および画像パワーを動的に調整する機能は、画像を表示するために用いられるパワーの保存または節約にも貢献し得る。
【0045】
ここで、ブロック125を参照すると、更新画像データを出力し得る。いくつかの例では、更新画像データを出力することは、更新画像データをメモリに保存するまたは更新画像データを別の構成要素、別のデバイス、または出力端子に送ることを含み得る。また、いくつかの例では、更新画像データを出力することは、画像を表示するために用いられる表示装置に更新画像データを提供することを含み得る。図5に関連してさらに詳細を後述するが、いくつかの例では、表示装置は、ウェアラブルヘッドアップディスプレイを含み得る。
【0046】
これに加えて、いくつかの例では、方法100は、表示装置に関連する電力損失比を取得するステップも含み得る。電力損失比は、画像データによって決まる公称光パワー出力に対する表示装置が実際に出力した光パワーの比を含み得る。公称パワー出力と実際のパワー出力との差は、表示装置の構成要素の性能限界、非効率性、および光パワー吸収または損失に起因し得る。
【0047】
このような場合、画像パワーを判断することは、輝度レベルおよび電力損失比に基づいて調整画像パワーを判断することを含み得る。いくつかの例では、電力損失比を用いて輝度レベルが下方調整され得る。また、過剰電力状態を判断することは、調整画像パワーおよびパワーしきい値に基づいて過剰電力状態を判断することを含み得る。
【0048】
これに加えて、いくつかの例では、方法100からステップの一部を省略してもよい、追加ステップを加えてもよい、または、図1に示す順序とは異なる順序でステップを実行してもよいと考えられる。
【0049】
ここで、図4を参照すると、例示的なシステム400の概略図が示されている。システム400を用いて、視聴者の目405に見える画像が形成または投影され得る。また、システム400は、画像投影装置と称されたり、表示装置として説明されたりし得る。システム400は、ソース光415を生成する光源410を備え得る。光源410は、レーザー、発光ダイオードなどを含み得る。また、システム400は、光源410からソース光415を受光するための空間変調器420も備え得る。いくつかの例では、空間変調器420は、可動式反射器、MEMS(Micro-Electro-Mechanical System)、DMD(Digital Micromirror Device)などを含み得る。
【0050】
さらには、システム400は、空間変調器420からソース光415を受光して視聴者の目405に向けるための表示素子425を備え得る。いくつかの例では、表示素子425は、ホログラフィック光結合器など、光結合器を含んでもよい。また、いくつかの例では、システム400は、ウェアラブルヘッドアップディスプレイの一部であってもよく、ウェアラブルヘッドアップディスプレイに組み込まれてもよい。図5に関連してさらに詳細を後述するが、このようなヘッドアップディスプレイのデザインやフォームファクターは、アイグラスのフォームファクターなど、異なってもよい。システム400が眼鏡のフォームファクターを有する例では、表示素子425は、眼鏡のレンズ上にあってもよく、眼鏡のレンズに含まれてもよい。
【0051】
これに加えて、システム400は、光源410および空間変調器420と通信するコントローラ430を備える。コントローラ430は、光源410と空間変調器420とを制御して画像を投影し得る。いくつかの例では、投影される画像は、静止画像であってもよく、動画像または動画であってもよく、インタラクティブ画像であってもよく、グラフィカルユーザインターフェースであってもよい。コントローラ430は、システム400によって表示される画像の初期画像データを受信し得る。画像は、複数の画素を含み得、初期画像データは、画素に関連する複数の輝度レベルを含み得る。
【0052】
また、コントローラ430は、輝度レベルに基づいて画像パワーを判断し、画像パワーおよびパワーしきい値に基づいて過剰電力状態を判断し得る。画像パワーの判断および過剰電力状態の判断は、方法100および本明細書に記載のその他の方法に関連して説明した対応する判断と同様であってもよい。
【0053】
これに加えて、過剰電力状態が肯定的である場合、コントローラ430は、輝度レベルを下げて更新画像データを生成し得る。また、コントローラ430は、光源410と空間変調器420とを制御して、更新画像データを用いて画像を投影し得る。いくつかの例では、パワーしきい値が目のレーザー被爆の安全性限界を含み得ると考えられる。
【0054】
いくつかの例では、画像は、関連する表示時間を有し得、パワーしきい値は、しきい値時間と、パワー制限とを含み得る。しきい値時間は、表示時間よりも長くてもよい。このような例では、過剰電力状態を判断するために、コントローラ430は、しきい値時間にわたる予測表示パワーを生成し得る。予測表示パワーは、画像パワー、表示時間、およびしきい値時間に基づいて生成され得る。予測表示パワーの生成は、方法100および本明細書に記載のその他の方法に関連して説明した対応する生成と同様であってもよい。
【0055】
その後、コントローラ430は、予測表示パワーをパワー制限と比較して、予測表示パワーがパワー制限よりも大きい場合、過剰電力状態を肯定的に設定し、予測表示パワーがパワー制限以下である場合、否定的に設定し得る。
【0056】
また、いくつかの例では、画像は、表示される複数の画像フレームのうち、所与のフレームであり得る。これらのフレームの各フレームは、関連する表示時間を有し得る。このような例では、過剰電力状態を判断するために、コントローラ430は、しきい値時間にわたる予測表示パワーを生成し得る。この予測表示パワーは、しきい値時間、サンプル表示時間、およびサンプル表示パワーに基づいて生成され得る。サンプル表示時間およびサンプル表示パワーは、複数の画像フレームから選択された画像フレームのサンプルセットに対応付けられ得る。この予測表示パワーの生成は、方法100および本明細書に記載のその他の方法に関連して説明した対応する生成と同様であってもよい。
【0057】
その後、コントローラ430は、予測表示パワーをパワー制限と比較し、予測表示パワーがパワー制限よりも大きい場合、過剰電力状態を肯定的に設定し、予測表示パワーがパワー制限以下である場合、否定的に設定し得る。
【0058】
方法100に関連して説明したように、いくつかの例では、サンプル表示時間は、しきい値時間よりも短くてもよい。これに加えて、いくつかの例では、画像を判断するために、パワーコントローラ430は、各画素を表示するために用いられるソース光の一連の波長にさらに基づいて、画像パワーを判断し得る。すなわち、画像パワーの判断には、画像を形成するために用いられる光の波長および色が考慮され得る。
【0059】
さらには、いくつかの例では、画像を判断するために、電力コントローラ430は、輝度レベルの画像ヒストグラムを生成し得る。画像ヒストグラムは、複数の所定の輝度レベルの各レベルにおける画素の数を記憶し得る。ヒストグラムの例を図2に示す。また、輝度レベルを下げるために、コントローラ430は、輝度レベルを1未満の倍率で乗算し得る。図3は、図2によるヒストグラムに倍率0.5を乗算することによって生成されたヒストグラムの例を示す。
【0060】
これに加えて、いくつかの例では、コントローラ430は、システムに関連する電力損失比を取得してもよい。システム400における光パワー損失のいくつかの原因として、光源410、空間変調器420、表示素子425などにおける光学電力損失などが挙げられる。このような例では、画像を判断するために、パワーコントローラ430は、輝度レベルおよび電力損失比に基づいて、調整画像パワーを判断し得る。また、過剰電力状態を判断するために、コントローラ430は、調整画像パワーおよびパワーしきい値に基づいて、過剰電力状態を判断し得る。電力損失比を取得すること、ならびに調整画像パワーの判断および過剰電力状態の判断は、方法100および本明細書に記載のその他の方法に関連して説明した対応する処理と同様であってもよい。
【0061】
いくつかの例では、コントローラ430など、本明細書に記載のコントローラは、非一時的なプロセッサ読み取り可能な媒体と通信するプロセッサを含み得る。プロセッサ読み取り可能な媒体は、本明細書に記載の方法およびシステムに関連して説明したように、光源および空間変調器をプロセッサに制御させる命令を含み得る。また、いくつかの例では、コントローラは、自立式の構成要素であり得、その他の実施例では、コントローラは、それぞれのシステムのその他の構成要素に組み込まれる機能モジュールを含み得る。
【0062】
さらには、いくつかの例では、コントローラまたはその機能をその他の方法で実現してもよく、たとえば、ASIC(特定用途向け集積回路)を介して実現されてもよく、標準的な集積回路で実現されてもよく、1つ以上のコンピュータによって実行される1つ以上のコンピュータプログラムとして(たとえば、1つ以上のコンピュータシステム上で実行中の1つ以上のプログラムとして)実現されてもよく、1つ以上のコントローラ(たとえば、マイクロコントローラ)によって当該コントローラ上で実行される1つ以上のプログラムとして実現されてもよく、1つ以上のプロセッサ(たとえば、マイクロプロセッサ、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit))によって実行される1つ以上のプログラムとして実現されてもよく、ファームウェアなどとして実現されてもよく、またはそれらの組合せとして実現されてもよい。
【0063】
ここで、図5を参照すると、例示的なWHUD(ウェアラブルヘッドアップディスプレイ)500の部分切り欠き斜視図が示されている。WHUD500は、使用時にユーザの頭部に装着され、アイグラス(たとえば、サングラス)のフレームの一般的なフォームファクターおよび外観を有するサポート構造505を含む。アイグラスまたはサングラスも「眼鏡」と一般的に称される場合がある。サポート構造505には、システム400など、画像を表示してその画像の輝度を動的に調整するシステムの構成要素が載せられ得る。たとえば、サポート構造505のサイドアームにある空間510に光源モジュールが収容され得る。その他の例では、画像投影および輝度調整システムの構成要素、または本明細書に記載のシステムのうち1つ以上がサポート構造505に収容されたり、載せられたりしてもよい。
【0064】
本明細書に記載のシステムの空間変調器は、サポート構造505の構成要素515に収容されてもよく、構成要素515の一部であってもよい。今度は、空間変調器が、サポート構造505のレンズ525に載せられている表示素子520にソース光を向け得る。いくつかの例では、表示素子520の構造または機能は、表示素子425と同様であってもよい。
【0065】
「carries」という用語および「carried by」などの変形は、全体的に、2つのオブジェクト間の物理的結合を指すために用いられている。この物理的結合は、直接的な物理的結合(すなわち、これら2つの物同士の直接の物理的接触)であってもよく、1つ以上の別の物が介在し得る間接的な物理的結合であってもよい。よって、間に任意の数の中間の物理的な物がいくつあってもなくても、「carries」という単語および「carried by」などの変形は、全体的に、あらゆる種類の直接的な物理的結合および間接的な物理的結合を包含する意味があり、「carried on」、「carried within」、「physically coupled to」、または「supported by」などを含む(これらに限定されない)。
【0066】
本明細書に記載のシステムは、方法100および本明細書に記載のその他の方法に関連して説明した特徴を有し得るまたは機能を実行し得ると考えられる。さらには、いくつかの例では、本明細書に記載のシステムは、本明細書に記載の方法の機能以外の方法を実行または機能を実行してもよいと考えられる。
【0067】
これに加えて、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載のシステムに関連して説明した特徴を含み得るまたは機能を実行し得ると考えられる。また、本明細書に記載のシステムの一部またはすべてによって方法100および本明細書に記載のその他の方法が実行され得るが、いくつかの例では、本明細書に記載のシステム以外のシステムまたは装置を用いて、方法100および本明細書に記載のその他の方法が実行され得ると考えられる。
【0068】
本明細書および添付の特許請求の範囲の全体を通して、不定詞の動詞の形がしばしば用いられている。例として、「to generate」、「to determine」、「to control」、「to receive」などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の状況において別段の要求が無い限り、このような不定詞の動詞の形は、排他的でない包括的な意味で、すなわち、「to、at least、generate」、「to、at least、determine」、「to、at least、control」などとして用いられる。
【0069】
なお、全体的な説明において上述した動作または構成要素のすべてが必要であるわけではない。特定の動作または装置の一部を必要としなくてもよい。記載されたものに加えて、1つ以上のさらなる動作が実行されてもよく、1つ以上のさらなる構成要素が含まれてもよい。さらに、動作が挙げられている順番は、必ずしもそれらが実行される順番ではない。また、具体的な実施の形態を例に概念を説明した。しかしながら、当業者は、添付の請求項に記載の本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変形、変更を行うことが可能であることがわかる。したがって、明細書および図面は、厳密なものではなく、例示であるとみなされるべきであり、すべてのこのような変形は、本開示の範囲に含まれるものとする。
【0070】
具体的な実施の形態についてのメリット、その他の利点、および問題の解決策を説明した。しかしながら、これらのメリット、利点、問題の解決策、およびメリット、利点、または解決策を生じさせ得るまたはより明白にさせ得るいかなる特徴(複数可)も、いずれかまたはすべての請求項の重要な特徴、必要な特徴、または必須の特徴として解釈されるべきではない。また、本明細書における教示のメリットを有する当業者に明らかな、異なるが同等の方法で、開示した主題を変形および実施してもよいため、上に開示した特定の実施の形態は例示に過ぎない。本明細書において示した構成または設計の内容には限定されず、添付の特許請求の範囲に記載の通り限定される。そのため、上に開示した特定の実施の形態は、変更されてもよく、変形されてもよく、このような変形例のすべてが開示の主題の範囲に含まれると考えられることは明白である。したがって、本明細書において求められる保護は、添付の特許請求の範囲に記載の通りである。
図1
図2
図3
図4
図5