IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社安川電機の特許一覧

<>
  • 特許-搬送システム 図1
  • 特許-搬送システム 図2
  • 特許-搬送システム 図3
  • 特許-搬送システム 図4
  • 特許-搬送システム 図5
  • 特許-搬送システム 図6
  • 特許-搬送システム 図7
  • 特許-搬送システム 図8
  • 特許-搬送システム 図9
  • 特許-搬送システム 図10
  • 特許-搬送システム 図11
  • 特許-搬送システム 図12
  • 特許-搬送システム 図13
  • 特許-搬送システム 図14
  • 特許-搬送システム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
H02K41/03 A
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022095205
(22)【出願日】2022-06-13
(65)【公開番号】P2023181841
(43)【公開日】2023-12-25
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛
(72)【発明者】
【氏名】久保田 義昭
(72)【発明者】
【氏名】東中 佑太
(72)【発明者】
【氏名】折井 未奈
(72)【発明者】
【氏名】清水 大
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-217957(JP,A)
【文献】特開2018-148760(JP,A)
【文献】国際公開第2015/145550(WO,A1)
【文献】特許第6985531(JP,B1)
【文献】特開2003-197709(JP,A)
【文献】特開2021-184425(JP,A)
【文献】特開平07-228345(JP,A)
【文献】特開2015-188010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持可能なワーク保持部と、
少なくとも重力方向で前記ワーク保持部と対向し、前記重力方向に交差する移動方向で移動可能な移動体と、
前記ワーク保持部の重量を軽減するように、前記ワーク保持部との間で引力又は斥力を発生させる重量軽減部と、
前記ワーク保持部に配置され、前記移動方向に配列された複数の永久磁石を有する磁石アレイと、
前記磁石アレイと共にリニアアクチュエータを構成するように、前記移動方向に配列された複数のコイルを含むコイルアレイを有し、前記重力方向で前記ワーク保持部に対向するように前記移動体に配置され、前記重量が軽減された前記ワーク保持部を浮上させつつ、前記移動体の移動に追従させるように、前記ワーク保持部に非接触力を作用させる力発生部と、
前記移動体に対する前記ワーク保持部の位置及び姿勢の少なくとも一方を制御するように、前記コイルアレイに供給する電力を制御して前記力発生部の非接触力を制御する制御部と、
を備える搬送システム。
【請求項2】
前記磁石アレイが含む複数の永久磁石の数は、前記コイルアレイが含む複数のコイルの数よりも多い、
請求項記載の搬送システム。
【請求項3】
前記移動体は、前記重力方向において前記ワーク保持部の上に配置され、
前記重量軽減部は、前記移動体に配置され、前記ワーク保持部との間で引力を発生させる、
請求項1記載の搬送システム。
【請求項4】
前記重量軽減部は、
前記ワーク保持部に配置された永久磁石との間で引力を発生させる永久磁石又は軟質磁性部材と、
前記ワーク保持部に配置された軟質磁性部材との間で引力を発生させる永久磁石と、
の少なくとも一方を有する、
請求項記載の搬送システム。
【請求項5】
前記力発生部は、前記ワーク保持部に配置された永久磁石に対して非接触力を作用させる1以上のコイルを有し、
前記重量軽減部は、軟質磁性部材であり、前記1以上のコイルのバックヨークである、
請求項記載の搬送システム。
【請求項6】
前記移動体に対する前記ワーク保持部の相対位置を検出するセンサを更に備え、
前記制御部は、少なくとも前記相対位置に基づいて、前記ワークの絶対位置を制御するように、前記力発生部の非接触力を制御する、
請求項1記載の搬送システム。
【請求項7】
前記移動体は、前記移動方向及び前記重力方向に交差する幅方向の両側で前記ワーク保持部とそれぞれ対向する第1側方対向部及び第2側方対向部を有し、
前記搬送システムは、
前記第1側方対向部に配置され、前記移動体の移動に追従させるように、前記ワーク保持部に非接触力を作用させる第1側部力発生部と、
前記第2側方対向部に配置され、前記移動体の移動に追従させるように、前記ワーク保持部に非接触力を作用させる第2側部力発生部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記移動体に対する前記ワーク保持部の位置及び姿勢の少なくとも一方を制御するように、更に前記第1側部力発生部及び前記第2側部力発生部の非接触力を制御する、
請求項1~のいずれか一項記載の搬送システム。
【請求項8】
前記第1側部力発生部と前記第2側部力発生部とは、前記重力方向で相異なる位置に配置される、
請求項記載の搬送システム。
【請求項9】
前記ワーク保持部の重心位置は、前記重力方向において、前記第1側部力発生部が作用させる非接触力の作用範囲と、前記第2側部力発生部が作用させる非接触力の作用範囲との間に位置している、
請求項記載の搬送システム。
【請求項10】
前記ワーク保持部において、前記幅方向の両側にそれぞれ配置され、前記移動方向に配列された複数の永久磁石をそれぞれが有する第1側部磁石アレイ及び第2側部磁石アレイを更に備え、
前記第1側部力発生部は、前記第1側部磁石アレイとともにリニアアクチュエータを構成するように、前記移動方向に配列された複数のコイルを含む第1側部コイルアレイを有し、
前記第2側部力発生部は、前記第2側部磁石アレイとともに前記リニアアクチュエータを構成するように、前記移動方向に配列された複数のコイルを含む第2側部コイルアレイを有し、
前記制御部は、非接触力を制御するように、前記第1側部コイルアレイ及び前記第2側部コイルアレイに供給する電力を制御する、
請求項記載の搬送システム。
【請求項11】
前記移動体は、前記ワーク保持部の上方に配置され、
前記重量軽減部は、前記移動体に配置されて、前記ワーク保持部との間で引力を発生させ、
前記搬送システムは、前記第1側方対向部と前記ワーク保持部との間に第1隔壁を備え、
前記第1隔壁は、
前記第1側部磁石アレイと対向する第1窓部と、
前記第1窓部を支持し、前記第1側部磁石アレイの下方に位置する第1支持壁と、
を有する、
請求項10記載の搬送システム。
【請求項12】
前記搬送システムは、前記第2側方対向部と前記ワーク保持部との間に第2隔壁を備え、
前記第2隔壁は、
前記第2側部磁石アレイと対向する第2窓部と、
前記第2窓部を支持し、前記第2側部磁石アレイの下方に位置する第2支持壁と、
を有し、
前記第1側部磁石アレイと前記第2側部磁石アレイとは、前記重力方向で相異なる位置に配置され、
前記第1窓部と前記第2窓部とは、前記重力方向で同じ位置に配置される、
請求項11記載の搬送システム。
【請求項13】
前記ワーク保持部は、
前記重力方向において前記移動体に対向する上部と、
前記上部から下方に延びて前記第1側部磁石アレイを支持する第1側部と、
前記上部から下方に延びて前記第2側部磁石アレイを支持する第2側部と、
を有し、
前記上部と、前記第1側部と、前記第2側部とが互いに分離可能である、
請求項11記載の搬送システム。
【請求項14】
前記ワーク保持部は、前記第1側部磁石アレイの下に設けられた第1ローラを有し、
前記ワーク保持部が第1支持壁により支持される際に、前記第1ローラは第1支持壁に接し、前記ワーク保持部の移動に応じて転がる、
請求項11記載の搬送システム。
【請求項15】
前記ワーク保持部と前記移動体との組み合わせの前記重力方向における重心位置にて、前記移動体に駆動力を伝達し、前記移動体を移動させる駆動部を更に備える、
請求項1記載の搬送システム。
【請求項16】
前記移動方向において相異なる位置に配置された第1ロボット及び第2ロボットを更に備え、
前記移動体は、前記第1ロボットと前記ワーク保持部との間で前記ワークの受け渡しを可能にする第1位置と、前記第2ロボットと前記ワーク保持部との間で前記ワークの受け渡しを可能にする第2位置との間を移動する、
請求項1記載の搬送システム。
【請求項17】
前記ワーク保持部の重心位置は、前記重力方向及び前記移動方向に交差する幅方向において、重量軽減部が発生させる引力又は斥力の発生範囲内に位置している、
請求項1記載の搬送システム。
【請求項18】
ワークを保持可能なワーク保持部と、
少なくとも重力方向で前記ワーク保持部と対向し、前記重力方向に交差する移動方向で移動可能な移動体と、
前記ワーク保持部に配置され、前記移動方向に配列された複数の永久磁石を含む磁石アレイと、
前記重力方向で前記ワーク保持部に対向するように前記移動体に配置され、前記磁石アレイと共にリニアアクチュエータを構成するように、前記移動方向に配列された複数のコイルを含むコイルアレイと、
前記ワーク保持部を浮上させつつ前記移動体の移動に追従させる非接触力を前記コイルアレイから前記磁石アレイに作用させるように、前記コイルアレイに供給する電力を制御する制御部と、
を備える搬送システム。
【請求項19】
ワークを保持可能なワーク保持部と、
少なくとも重力方向で前記ワーク保持部と対向し、前記重力方向に交差する移動方向で移動可能な移動体と、
前記ワーク保持部の重量を軽減するように、前記ワーク保持部との間で引力又は斥力を発生させる重量軽減部と、
前記重力方向で前記ワーク保持部に対向するように前記移動体に配置され、前記重量が軽減された前記ワーク保持部を浮上させつつ、前記移動体の移動に追従させるように、前記ワーク保持部に非接触力を作用させる力発生部と、
前記移動体に対する前記ワーク保持部の位置及び姿勢の少なくとも一方を制御するように、前記力発生部の非接触力を制御する制御部と、
を備え、
前記移動体は、前記重力方向において前記ワーク保持部の上に配置され、
前記重量軽減部は、前記移動体に配置され、前記ワーク保持部との間で引力を発生させる、搬送システム。
【請求項20】
ワークを保持可能なワーク保持部と、
重力方向に交差する移動方向で移動可能であり、
前記重力方向で前記ワーク保持部と対向する対向部と、
前記移動方向及び前記重力方向に交差する幅方向の両側で前記ワーク保持部とそれぞれ対向する第1側方対向部及び第2側方対向部と、
を有する移動体と、
前記ワーク保持部の重量を軽減するように、前記ワーク保持部との間で引力又は斥力を発生させる重量軽減部と、
前記重力方向で前記ワーク保持部に対向するように前記移動体に配置され、前記重量が軽減された前記ワーク保持部を浮上させつつ、前記移動体の移動に追従させるように、前記ワーク保持部に非接触力を作用させる力発生部と、
前記第1側方対向部に配置され、前記移動体の移動に追従させるように、前記ワーク保持部に非接触力を作用させる第1側部力発生部と、
前記第2側方対向部に配置され、前記移動体の移動に追従させるように、前記ワーク保持部に非接触力を作用させる第2側部力発生部と、
前記移動体に対する前記ワーク保持部の位置及び姿勢の少なくとも一方を制御するように、前記力発生部の非接触力と、前記第1側部力発生部及び前記第2側部力発生部の非接触力と、を制御する制御部と、
を備え、
前記第1側部力発生部と前記第2側部力発生部とは、前記重力方向で相異なる位置に配置され、
前記ワーク保持部の重心位置は、前記重力方向において、前記第1側部力発生部が作用させる非接触力の作用範囲と、前記第2側部力発生部が作用させる非接触力の作用範囲との間に位置している、搬送システム。
【請求項21】
ワークを保持可能なワーク保持部と、
重力方向に交差する移動方向で移動可能であり、
前記重力方向で前記ワーク保持部と対向する対向部と、
前記移動方向及び前記重力方向に交差する幅方向の両側で前記ワーク保持部とそれぞれ対向する第1側方対向部及び第2側方対向部と、
を有する移動体と、
前記ワーク保持部の重量を軽減するように、前記ワーク保持部との間で引力又は斥力を発生させる重量軽減部と、
前記重力方向で前記ワーク保持部に対向するように前記移動体に配置され、前記重量が軽減された前記ワーク保持部を浮上させつつ、前記移動体の移動に追従させるように、前記ワーク保持部に非接触力を作用させる力発生部と、
前記ワーク保持部において、前記幅方向の両側にそれぞれ配置され、前記移動方向に配列された複数の永久磁石をそれぞれが有する第1側部磁石アレイ及び第2側部磁石アレイと、
前記第1側部磁石アレイとともにリニアアクチュエータを構成するように、前記移動方向に配列された複数のコイルを含む第1側部コイルアレイを有し、前記第1側方対向部に配置され、前記移動体の移動に追従させるように、前記ワーク保持部に非接触力を作用させる第1側部力発生部と、
前記第2側部磁石アレイとともに前記リニアアクチュエータを構成するように、前記移動方向に配列された複数のコイルを含む第2側部コイルアレイを有し、前記第2側方対向部に配置され、前記移動体の移動に追従させるように、前記ワーク保持部に非接触力を作用させる第2側部力発生部と、
前記移動体に対する前記ワーク保持部の位置及び姿勢の少なくとも一方を制御するように、前記力発生部の非接触力を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記移動体に対する前記ワーク保持部の位置及び姿勢の少なくとも一方を制御するように、前記第1側部コイルアレイ及び前記第2側部コイルアレイに供給する電力を制御して、更に前記第1側部力発生部及び前記第2側部力発生部の非接触力を制御する、搬送システム。
【請求項22】
ワークを保持可能なワーク保持部と、
少なくとも重力方向で前記ワーク保持部と対向し、前記重力方向に交差する移動方向で移動可能な移動体と、
前記ワーク保持部の重量を軽減するように、前記ワーク保持部との間で引力又は斥力を発生させる重量軽減部と、
前記重力方向で前記ワーク保持部に対向するように前記移動体に配置され、前記重量が軽減された前記ワーク保持部を浮上させつつ、前記移動体の移動に追従させるように、前記ワーク保持部に非接触力を作用させる力発生部と、
前記移動体に対する前記ワーク保持部の位置及び姿勢の少なくとも一方を制御するように、前記力発生部の非接触力を制御する制御部と、
を備え、
前記ワーク保持部と前記移動体との組み合わせの前記重力方向における重心位置にて、前記移動体に駆動力を伝達し、前記移動体を移動させる駆動部を更に備える、搬送システム。
【請求項23】
ワークを保持可能なワーク保持部と、
少なくとも重力方向で前記ワーク保持部と対向し、前記重力方向に交差する移動方向で移動可能な移動体と、
前記ワーク保持部の重量を軽減するように、前記ワーク保持部との間で引力又は斥力を発生させる重量軽減部と、
前記重力方向で前記ワーク保持部に対向するように前記移動体に配置され、前記重量が軽減された前記ワーク保持部を浮上させつつ、前記移動体の移動に追従させるように、前記ワーク保持部に非接触力を作用させる力発生部と、
前記移動体に対する前記ワーク保持部の位置及び姿勢の少なくとも一方を制御するように、前記力発生部の非接触力を制御する制御部と、
を備え、
前記ワーク保持部の重心位置は、前記重力方向及び前記移動方向に交差する幅方向において、重量軽減部が発生させる引力又は斥力の発生範囲内に位置している、搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、真空内搬送機が開示されている。この搬送機は、真空搬送路の内部を上部真空室と下部真空室とに仕切る非磁性、非導電性材の隔壁と、上部真空室内に収容された導電性材の浮上テーブルと、下部真空室に収容されリニアモータにより移動する台車と、台車の4隅において、電磁誘導による反発力で浮上テーブルを磁気浮上させ、励磁電流又は励磁周波数を独立に変化させ浮上テーブルの姿勢及び浮上高さを制御する4個の浮上用コイルとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平04-338028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エネルギー消費の抑制に有効な搬送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る搬送システムは、ワークを保持可能なワーク保持部と、少なくとも重力方向でワーク保持部と対向し、重力方向に交差する移動方向で移動可能な移動体と、ワーク保持部の重量を軽減するように、ワーク保持部との間で引力又は斥力を発生させる重量軽減部と、重力方向でワーク保持部に対向するように移動体に配置され、重量が軽減されたワーク保持部を浮上させつつ、移動体の移動に追従させるように、ワーク保持部に非接触力を作用させる力発生部と、移動体に対するワーク保持部の位置及び姿勢の少なくとも一方を制御するように、力発生部の非接触力を制御する制御部と、を備える。
【0006】
本開示の他の側面に係る搬送システムは、ワークを保持可能なワーク保持部と、ワーク保持部の上方に配置され、重力方向に交差する移動方向で移動可能な移動体と、重力方向でワーク保持部に対向するように移動体に配置され、ワーク保持部を浮上させつつ、移動体の移動に追従させるように、ワーク保持部に非接触力を作用させる力発生部と、を備える。
【0007】
本開示の更に他の側面に係る搬送システムは、ワークを保持可能なワーク保持部と、少なくとも重力方向でワーク保持部と対向し、重力方向に交差する移動方向で移動可能な移動体と、重力方向でワーク保持部に対向するように移動体に配置され、ワーク保持部を浮上させつつ、移動体の移動に追従させるように、ワーク保持部に非接触力を作用させる力発生部と、移動体に対するワーク保持部の相対位置を検出するセンサと、少なくとも相対位置に基づいて、ワーク保持部の絶対位置を制御するように、力発生部の非接触力を制御する制御部と、を備える。
【0008】
本開示の更に他の側面に係る搬送システムは、ワークを保持可能なワーク保持部と、少なくとも重力方向でワーク保持部と対向し、重力方向に交差する移動方向で移動可能な移動体と、ワーク保持部に配置され、移動方向に配列された複数の永久磁石を含む磁石アレイと、重力方向でワーク保持部に対向するように移動体に配置され、磁石アレイと共にリニアアクチュエータを構成するように、移動方向に配列された複数のコイルを含むコイルアレイと、ワーク保持部を浮上させつつ移動体の移動に追従させるように、コイルアレイに供給する電力を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、エネルギー消費の抑制に有効な搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】搬送システムを例示する模式図である。
図2図1中のII-II線に沿った断面図である。
図3図2中のIII-III線に沿った断面図である。
図4図3中のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図2中の搬送装置の拡大図である。
図6図5中のワーク保持部の拡大図である。
図7図5中の移動体の拡大図である。
図8図5中のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図5中のIX-IX線に沿った断面図である。
図10図5中のX-X線に沿った断面図である。
図11】制御部のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図12図5における冷却システムを例示する図である。
図13図12中のXIII-XIII線に沿った断面図である。
図14】搬送装置において側部ユニットが取り外された状態を示す模式図である。
図15】搬送装置において側部ユニットが取り外された状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
〔搬送システム〕
図1に示す搬送システム1は、ワークWを搬送するシステムである。ワークWの例としては、基板が挙げられる。ワークWとなり得る基板の例としては、半導体基板、ガラス基板、マスク基板、又はFPD(Flat Panel Display)基板等が挙げられる。例えば搬送システム1は、基板処理システムにおいて、ワークWに対する処理を行う複数の処理ユニット2間でワークWを搬送する。処理は、ワークWに対する各種処理(成膜、エッチング等)の他、所定の環境にてワークWを一時的に収容すること等も含む。
【0013】
図1に示すように、搬送システム1は、搬送筐体10と、搬送装置30と、1以上のロボット40とを備える。搬送筐体10は、複数の処理ユニット2間で搬送されるワークWを収容する。例えば搬送筐体10は、重力方向D1(鉛直方向)に交差(例えば直交)する移動方向D2に沿って延びている。図2に示すように、搬送筐体10は、搬送室11と、ベースプレート12と、トッププレート13と、側壁14,15とを有する。搬送室11は、ワークWを収容する。ベースプレート12は、搬送室11の下方の空間と、搬送室11とを仕切る。トッププレート13は、搬送室11の上方の空間と、搬送室11とを仕切る。側壁14,15は、重力方向D1及び移動方向D2に交差(例えば直交)する幅方向D3において、搬送室11の両方に隣接する空間と、搬送室11とをそれぞれ仕切る。側壁14には、移動方向D2に沿って並ぶ複数の処理ユニット2が隣接している。側壁14には、複数の処理ユニット2にそれぞれ対応する複数の搬入・搬出口22が形成されている。側壁14に隣接する複数の処理ユニット2とは別の複数の処理ユニット2が移動方向D2に沿って並び、側壁15に隣接していてもよい(図3参照)。側壁15には、複数の処理ユニット2にそれぞれ対応する複数の搬入・搬出口23が形成されている。
【0014】
搬送装置30は、搬送室11内において、移動方向D2に沿ってワークWを搬送する。例えば搬送装置30は、搬送筐体10のトッププレート13に取り付けられる。搬送筐体10のトッププレート13には、移動方向D2に沿って延びた連通口21が形成されている。搬送装置30は、トッププレート13の上に取り付けられ、連通口21を介して搬送室11内のワークWを保持し、移動方向D2に沿って搬送する。幅方向D3において、連通口21及び搬送装置30は、側壁14寄り又は側壁15寄りに配置されていてもよい。一例として、図示の連通口21及び搬送装置30は、側壁14寄りに配置されている。
【0015】
搬送装置30は、ロボット40と協働して、複数の処理ユニット2間におけるワークWの搬送を行う。搬送装置30との協働において、ロボット40は、搬送装置30からワークWを受け取って複数の処理ユニット2のいずれかに搬入し、複数の処理ユニット2のいずれかからワークWを搬出して搬送装置30に引き渡す。例えばロボット40は、ベースプレート12に取り付けられ、ベースプレート12の上においてワークWを搬送する。
【0016】
図3に示すように、搬送システム1は、移動方向D2において相異なる位置に配置された二以上のロボット40を備えていてもよい。図3に示す一例において、搬送システム1は、移動方向D2に沿って順に並ぶロボット40A、ロボット40B、及びロボット40Cを備える。搬送装置30は、ロボット40A(第1ロボット)とロボット40B(第2ロボット)との間でワークWを搬送してもよく、ロボット40B(第1ロボット)とロボット40C(第2ロボット)との間でワークWを搬送してもよく、ロボット40A(第1ロボット)とロボット40C(第2ロボット)との間でワークWを搬送してもよい。
【0017】
図4に示すように、ロボット40は、フランジ50と、アーム41と、アーム42と、アーム43と、基板支持部44とを備える。フランジ50は、ベースプレート12に取り付けられる。例えばベースプレート12には、ロボット40を取り付けるためのロボット取付口24が形成されており、フランジ50はロボット取付口24を塞ぐようにベースプレート12に取り付けられる。
【0018】
アーム41は、重力方向D1に沿った第1軸線61まわりに旋回するようにフランジ50上に取り付けられ、第1軸線61から離れる方向に延びている。アーム42は、重力方向D1に沿った第2軸線62まわりに旋回するように、アーム41の端部上に取り付けられ、第2軸線62から離れる方向に延びている。アーム43は、重力方向D1に沿った第3軸線63まわりに旋回するように、アーム42の端部上に取り付けられ、第2軸線62から離れる方向に延びている。基板支持部44は、アーム43の端部に形成され、ワークWを保持する。「保持」は、単に下方から指示することも含む。以下においても同様である。
【0019】
アクチュエータユニット70は、1以上の電動モータによって、第1軸線61まわりにアーム41を回転させ、第2軸線62まわりにアーム42を回転させ、第3軸線63まわりにアーム43を回転させる。これにより、水平面内における基板支持部44の位置・姿勢が、ロボット40の可動範囲内において自在に変更される。例えばアクチュエータユニット70は、フランジ50の下に取り付けられている。フランジ50がベースプレート12に取り付けられた状態において、アクチュエータユニット70は搬送室11の外(例えばベースプレート12の下)に配置されることとなる。
【0020】
ロボット40は、メンテナンス開口51と、閉塞部材52とを更に有していてもよい。メンテナンス開口51は、重力方向D1に沿ってフランジ50を貫通する。閉塞部材52は、メンテナンス開口51を塞ぐ。閉塞部材52を取り外すことによって、メンテナンス開口51を介してアーム41、アーム42、アーム43、及び基板支持部44等の点検・補修を容易に行うことができる。
【0021】
この例のように、搬送装置30が搬送筐体10の上に設けられる場合、搬送装置30が妨げとなり、上方からアーム41、アーム42、アーム43、及び基板支持部44の点検・補修を行うことが困難になる可能性がある。このような場合に、メンテナンス開口51を介してアーム41、アーム42、アーム43、及び基板支持部44等の点検・補修を行い得る構成がより有益である。
【0022】
なお、以上に例示した搬送システム1の構成はあくまで一例であり、適宜変更可能である。例えば搬送装置30がベースプレート12に取り付けられ、ロボット40がトッププレート13に取り付けられていてもよい。搬送装置30及びロボット40の両方がベースプレート12に取り付けられていてもよく、搬送装置30及びロボット40の両方がトッププレート13に取り付けられていてもよい。
【0023】
〔搬送装置〕
以下、搬送装置の構成をより詳細に説明する。搬送システム1には、搬送室11内におけるパーティクルの発生を抑制することが求められる場合がある。そこで、搬送装置30は、ワーク保持部200と、移動体300と、力発生部510と、制御部900とを備える。ワーク保持部200は、搬送室11内においてワークWを保持可能である。移動体300は、搬送室11外に配置され、少なくとも重力方向D1でワーク保持部200と対向し、移動方向D2で移動可能である。力発生部510は、ワーク保持部200を浮上させつつ、移動体300の移動に追従させるように、ワーク保持部200に非接触力を作用させる。制御部900は、移動体300に対するワーク保持部200の位置及び姿勢の少なくとも一方を制御するように、力発生部510の非接触力を制御する。
【0024】
浮上とは、重力に抗し、下方の物体に接しないように保たれた状態を意味する。また、移動体300の移動に追従するとは、移動体300に対する相対位置を所定範囲内に維持するように、移動体300と共に移動することを意味する。
【0025】
以上の構成によれば、ワーク保持部200を搬送室11内に配置しつつ、移動体300を搬送室11外に配置し、パーティクルの発生要因となる駆動源を搬送室11内に配置することなく、搬送室11内においてワーク保持部200を移動させることができる。また、ワーク保持部200を浮上させているため、下方の物体(例えばベースプレート12)とワーク保持部200との接触によるパーティクルの発生も抑制される。
【0026】
ワーク保持部200を浮上させる非接触力の全てを力発生部510により発生させる場合 、力発生部510における消費エネルギーが大きくなる。そこで、搬送システム1は、重量軽減部400を更に備える。重量軽減部400は、ワーク保持部200の重量を軽減するように、ワーク保持部200との間で引力又は斥力を発生させる。
【0027】
これにより、ワーク保持部200の浮上のために発生させる非接触力を小さくすることができる。このため、非接触力を発生させるための消費エネルギーを小さくすることができる。従って、消費電力の抑制に有効である。
【0028】
力発生部510が発生する非接触力は、例えば、電力等のエネルギー供給によって変更可能な能動的な非接触力である。重量軽減部400が発生する引力又は斥力は、例えば、電力等のエネルギーの供給によっては変更されず、ワーク保持部200と移動体300との配置関係に応じて定まる受動的な非接触力である。なお、エネルギーの供給に伴う発熱によって、永久磁石の磁力が微小に変化すること等は、能動的な力の変更に含まれない。
【0029】
重量軽減部400が発生する引力の例としては、永久磁石同士の間で発生する引力、又は永久磁石と軟質磁性部材(例えば鉄等)との間で発生する引力が挙げられる。重量軽減部400が発生する斥力の例としては、永久磁石同士の間で発生する斥力が挙げられる。
【0030】
ワーク保持部200に対し受動的な引力を作用させる場合、重量軽減部400は、ワーク保持部200に対し上方から引力を発生させるように構成される。ワーク保持部200に対し受動的な斥力を作用させる場合、重量軽減部400は、ワーク保持部200に対し下方から斥力を発生させるように構成される。
【0031】
重量軽減部400は、ワーク保持部200に配置された磁性材料との間で引力又は斥力を発生させる。ワーク保持部200に配置された磁性材料は、永久磁石であってもよく、軟質磁性部材であってもよい。ワーク保持部200に永久磁石が配置される場合、重量軽減部400は、ワーク保持部200に配置された永久磁石との間で引力を発生させる永久磁石又は軟質磁性部材を有する。ワーク保持部200に軟質磁性部材が配置される場合、重量軽減部400は、ワーク保持部200に配置された軟質磁性部材との間で引力を発生させる永久磁石を有する。ワーク保持部200及び重量軽減部400の少なくとも一方が、永久磁石と軟質磁性部材の両方を有していてもよい。
【0032】
このように、永久磁石同士、又は永久磁石と軟質磁性部材との間で引力又は斥力を発生させる構成によれば、電力を消費せずに重力を軽減することができる。また、電力を供給せずに行うメンテンナンス作業においても、移動体300の移動にワーク保持部200を追従させ、ワーク保持部200の位置を移動体300の近傍に維持することができる。これにより、メンテナンス後における復帰作業が容易になる。
【0033】
重量軽減部400は、移動体300に配置されて、ワーク保持部200との間で引力又は斥力を発生させるように構成されていてもよい。ワーク保持部200に対する相対変位の小さい移動体300に重量軽減部400を設けることで、重量軽減部400のコンパクト化を図ることができる。重量軽減部400は、必ずしも移動体300に配置されなくてよく、移動体300とは異なる位置からワーク保持部200に引力又は斥力を作用させてもよい。例えば重量軽減部400は、移動体300と共に移動しなくてもワーク保持部200に継続的に引力又は斥力を作用させ得るように、移動方向D2に沿ったワーク保持部200の移動範囲の全域に亘って延びていてもよい。
【0034】
移動体300は、上方からワーク保持部200に対向するように配置されてもよく、下方からワーク保持部200に対向するように配置されてもよい。例えば、上述したように、搬送装置30が搬送筐体10のトッププレート13に取り付けられる構成において、移動体300は、上方からワーク保持部200に対向するように配置される。搬送装置30が搬送筐体10のベースプレート12に取り付けられる構成において、移動体300は、下方からワーク保持部200に対向するように配置される。
【0035】
移動体300がワーク保持部200の上に配置される場合、移動体300に配置される重量軽減部400は、ワーク保持部200との間で引力を発生させる。重量軽減部400がワーク保持部200との間で引力を発生させる構成によれば、例えば永久磁石による引力の作用対象を軟質磁性材料にて構成し、磁石の使用を削減することができる。移動体300がワーク保持部200の下に配置される場合、移動体300に配置される重量軽減部400は、ワーク保持部200との間で斥力を発生させる。
【0036】
以下、上述のように、搬送筐体10のトッププレート13に搬送装置30が取り付けられる場合について、搬送装置30の構成を例示する。図5に示すように、搬送システム1は、サブ筐体100と、ワーク保持部200と、移動体300と、力発生部510と、重量軽減部400と、側部力発生部520,530と、駆動部600と、センサ700と、相対センサ800と、制御部900とを備える。以下、各構成を例示する。
【0037】
(サブ筐体)
サブ筐体100は、ワーク保持部200の少なくとも一部を収容しつつ、トッププレート13の連通口21を塞ぎ、搬送室11内と搬送室11外とを仕切る。サブ筐体100は、例えばアルミニウム系の金属材料等、実質的に非磁性の材料により構成されており、ベースプレート110と、突出部120と、上部隔壁130と、側部隔壁140,150とを有する。ベースプレート110は、連通口21を塞ぐように、トッププレート13の上面に取り付けられる。突出部120は、トッププレート13から上方に突出しており、移動方向D2に沿って延びている。
【0038】
突出部120は、収容室121と、上部隔壁130と、側部隔壁140と、側部隔壁150とを有する。収容室121は、搬送室11内に向かって開口し、ワーク保持部200の上部を収容する。以下においては、収容室121内も、搬送室11内に含まれるものとする。
【0039】
図6に示すように、上部隔壁130は、収容室121の上方の空間と、収容室121とを仕切る。上部隔壁130は、壁本体131と、窓部132とを有する。壁本体131は、重力方向D1に交差する(例えば直交する)平面に沿って広がっている。窓部132は、非接触力の伝達性を向上させるために、壁本体131に形成された薄肉部分である。窓部132は、窓開口133と、カバー134とを含む。窓開口133は、移動方向D2に沿って延び、壁本体131を上下に貫通する。カバー134は、樹脂材料等の板材により構成されており、窓開口133を塞ぐように壁本体131の外面に固定されている。カバー134の厚さは、壁本体131の厚さよりも小さい。
【0040】
側部隔壁140,150は、幅方向D3において収容室121の両方に隣接する空間と、収容室121とをそれぞれ仕切る。側部隔壁140は、後述する側方対向部320とワーク保持部200との間に位置する。側部隔壁140は、壁本体141と、窓部142とを有する。壁本体141は、幅方向D3に交差する(例えば直交する)平面に沿って広がっている。窓部142は、側部非接触力(後述)の伝達性を向上させるために、壁本体141に形成された薄肉部分である。窓部142は、窓開口143と、カバー144とを含む。窓開口143は、移動方向D2に沿って延び、壁本体141を幅方向D3に沿う方向に貫通する。カバー144は、樹脂材料等の板材により構成されており、窓開口143を塞ぐように壁本体141の外面に固定されている。カバー144の厚さは、壁本体141の厚さよりも小さい。壁本体141のうち、窓開口143よりも下の部分(支持壁147)は、窓部142を支持し、後述する側部磁石アレイ223の下方に位置する。
【0041】
側部隔壁150は、壁本体151と、窓部152とを有する。壁本体151は、幅方向D3に交差する(例えば直交する)平面に沿って広がっている。窓部152は、側部非接触力(後述)の伝達性を向上させるために、壁本体151に形成された薄肉部分である。窓部152は、窓開口153と、カバー154とを含む。窓開口153は、移動方向D2に沿って延び、壁本体151を幅方向D3に沿う方向に貫通する。カバー154は、樹脂材料等の板材により構成されており、窓開口153を塞ぐように壁本体151の外面に固定されている。カバー154の厚さは、壁本体151の厚さよりも小さい。壁本体151のうち、窓開口153よりも下の部分(支持壁157)は、窓部152を支持し、後述する側部磁石アレイ233の下方に位置する。側部隔壁150は、後述する側方対向部330とワーク保持部200との間に位置する。
【0042】
(ワーク保持部)
ワーク保持部200は、搬送室11内に配置され、ワークWを保持可能である。ワーク保持部200は、例えばアルミニウム系の金属材料等、実質的に非磁性の材料により構成されており、上部ユニット210と、側部ユニット220,230と、保持ユニット240とを有する。上部ユニット210は、重力方向D1において移動体300に対向する。上部ユニット210は、上部磁石ベース211を有する。上部磁石ベース211は、収容室121内の上部において移動方向D2に沿って延びており、上部隔壁130と対向する。上部磁石ベース211の上には、後述する磁石アレイ212が配置される。磁石アレイ212は、上部磁石ベース211の上に設けられ、窓部132と対向する。例えば、上部ユニット210の少なくとも一部は窓部132の窓開口133に入り込んでおり、窓開口133内において、磁石アレイ212がカバー134に対向している。
【0043】
窓開口133は、幅方向D3において互いに対向する横内面135,136を有する。幅方向D3において、上部ユニット210の幅は、窓開口133の開口幅(横内面135と横内面136との間隔)よりも小さい。このため、幅方向D3において上部ユニット210が窓開口133の中央に配置される場合、上部ユニット210は横内面135,136のいずれにも接しない。
【0044】
ローラ213,214は、幅方向D3における上部磁石ベース211の両側にそれぞれ設けられており、ローラ213は横内面135と上部磁石ベース211との間に位置し、ローラ214は横内面136と上部磁石ベース211との間に位置する。ローラ213,214のそれぞれは、重力方向D1に平行な軸線まわりに回転するように上部磁石ベース211に設けられている。窓開口133内において上部ユニット210が横内面135に寄ると、ローラ213が横内面135に接し、移動方向D2に沿った上部ユニット210の移動に応じて転がる。窓開口133内において上部ユニット210が横内面136に寄ると、ローラ214が横内面136に接し、移動方向D2に沿った上部ユニット210の移動に応じて転がる。上部ユニット210は、移動方向D2に並ぶ複数のローラ213を横内面135との間に有してもよく、移動方向D2に並ぶ複数のローラ214を横内面136との間に有してもよい。
【0045】
側部ユニット220,230は、ワーク保持部200において、幅方向D3の両側にそれぞれ配置され、上部ユニット210に取り付けられている。側部ユニット220は、側部フレーム221と、側部磁石ベース222と、ローラ224と、ローラ225とを有する。側部フレーム221は、上部ユニット210から下方に延びて側部隔壁140と対向する。側部磁石ベース222は、側部フレーム221から側部隔壁140に向かって突出しており、移動方向D2に沿って延びている。側部磁石ベース222は、後述する側部磁石アレイ223を支持する。
【0046】
側部磁石アレイ223は、側部磁石ベース222の側面(側部隔壁140に対向する面)に配置され、窓部142と対向する。例えば、側部磁石ベース222の少なくとも一部は窓部142の窓開口143に入り込んでおり、窓開口143内において側部磁石アレイ223がカバー144に対向している。
【0047】
窓開口143は、重力方向D1において互いに対向する下内面145と上内面146とを有する。重力方向D1において、側部ユニット220の高さは、窓開口143の開口高さ(下内面145と上内面146との間隔)よりも小さい。このため、重力方向D1において側部ユニット220が窓開口143の中央に配置される場合、側部ユニット220は下内面145と上内面146とのいずれにも接しない。
【0048】
ローラ224は、側部磁石ベース222の下(側部磁石アレイ223の下)に設けられ、下内面145と側部磁石ベース222との間に位置する。ローラ225は、側部磁石ベース222の上(側部磁石アレイ223の上)に設けられ、上内面146と側部磁石ベース222との間に位置する。ローラ224,225のそれぞれは、幅方向D3に平行な軸線まわりに回転するように側部磁石ベース222に設けられている。側部ユニット220が支持壁147に支持される際に、ローラ224は支持壁147に接し、側部ユニット220の移動に応じて転がる。例えば、窓開口143内において、側部ユニット220が下内面145に寄る(下がる)と、ローラ224が下内面145に接し、移動方向D2に沿った側部ユニット220の移動に応じて転がる。窓開口143内において、側部ユニット220が上内面146に寄る(上がる)と、ローラ225が上内面146に接し、移動方向D2に沿った側部磁石ベース222の移動に応じて転がる。側部ユニット220は、移動方向D2に並ぶ複数のローラ224を下内面145との間に有してもよく、移動方向D2に並ぶ複数のローラ225を上内面146との間に有してもよい。
【0049】
側部ユニット230は、側部フレーム231と、側部磁石ベース232と、ローラ234,235とを有する。側部フレーム231は、上部ユニット210から下方に延びて側部隔壁150と対向する。側部磁石ベース232は、側部フレーム231から側部隔壁150に向かって突出しており、移動方向D2に沿って延びている。側部磁石ベース232は、後述する側部磁石アレイ233を支持する。
【0050】
側部磁石アレイ233は、側部磁石アレイ233の側面(側部隔壁150に対向する面)に配置され、窓部152と対向する。例えば、側部磁石ベース232の少なくとも一部は窓部152の窓開口153に入り込んでおり、窓開口153内において側部磁石アレイ233がカバー154に対向している。
【0051】
窓開口153は、重力方向D1において互いに対向する下内面155と上内面156とを有する。重力方向D1において、側部ユニット230の高さは、窓開口153の開口高さ(下内面155と上内面156との間隔)よりも小さい。このため、重力方向D1において側部ユニット230が窓開口153の中央に配置される場合、側部ユニット230は下内面155と上内面156とのいずれにも接しない。
【0052】
ローラ234は、側部磁石ベース232の下(側部磁石アレイ233の下)に設けられ、下内面155と側部磁石ベース232との間に位置する。ローラ235は、側部磁石ベース232の上(側部磁石アレイ233の上)に設けられ、上内面156と側部磁石ベース232との間に位置する。ローラ234,235のそれぞれは、幅方向D3に平行な軸線まわりに回転するように側部磁石ベース232に設けられている。側部ユニット230が支持壁157に支持される際に、ローラ234は支持壁157に接し、側部ユニット230の移動に応じて転がる。例えば、窓開口153内において、側部ユニット230が下内面155に寄る(下がる)と、ローラ234が下内面155に接し、移動方向D2に沿った側部ユニット230の移動に応じて転がる。窓開口153内において、側部ユニット230が上内面156に寄る(上がる)と、ローラ235が上内面156に接し、移動方向D2に沿った側部磁石ベース232の移動に応じて転がる。側部ユニット230は、移動方向D2に並ぶ複数のローラ234を下内面155との間に有してもよく、移動方向D2に並ぶ複数のローラ235を上内面156との間に有してもよい。
【0053】
上部磁石ベース211と、側部フレーム221と、側部フレーム231とは互いに分離可能であってもよい。例えば、側部フレーム221,231のそれぞれは、上部磁石ベース211に対して、ボルト締結等の分解可能な手法により取り付けられていてもよい。この場合、メンテナンスに際し、ワーク保持部200を収容室121から容易に取り出すことが可能である。例えば、側部フレーム221を上部磁石ベース211から取り外し、壁本体141から遠ざけることで側部磁石アレイ223を窓開口143内から出し、側部フレーム221を下方に容易に取り出すことができる(図14参照)。同様に、側部フレーム231を上部磁石ベース211から取外し、壁本体151から遠ざけることで側部磁石アレイ233を窓開口153内から出し、側部フレーム231を下方に容易に取り出すことができる(図15参照)。
【0054】
図6に戻り、保持ユニット240は、搬送室11内においてワークWを支持する。例えば保持ユニット240は、上フレーム241と、支柱242と、基板支持部243とを有する。上フレーム241は、側部フレーム221及び側部フレーム231の少なくともいずれかの下端に固定されており、搬送室11内の上部に位置する。上フレーム241は、側部フレーム221の下端から側壁14に向かって張り出してる。支柱242は、上フレーム241における側壁14の近傍部分から下方に延びている。基板支持部243は、側壁14から遠ざかる方向に向かって支柱242の下端から張り出し、ワークWを下方から支持する。
【0055】
一例として、基板支持部243は、移動方向D2に沿って並べられた複数のワークWを支持し得るように構成されている。例えば基板支持部243は、図3に示すように、移動方向D2に順に並ぶ支持部244,245,246を有しており、支持部244,245により1のワークWを支持し、支持部245,246により1のワークWを支持する。
【0056】
基板支持部243は、重力方向D1に多段に並ぶ複数のワークWを支持し得るように構成されていてもよい。また、基板支持部243は、必ずしも複数のワークWを支持するように構成されていなくてよく、1のワークWを単独で支持するように構成されていてもよい。
【0057】
ワーク保持部200の構成は、搬送室11内でワークWを支持し得る限りにおいていかようにも変更可能である。例えば、ワーク保持部200自体が、ロボット40と同様のアーム41、アーム42、アーム43、及び基板支持部44を備えていてもよい。この場合、ワーク保持部200自体によって、処理ユニット2に対するワークWの搬入・搬出を行い得るので、搬送装置30とは別にロボット40が設けられていなくてもよい。
【0058】
(移動体)
図7に示すように、移動体300は、搬送室11外に配置され、少なくとも重力方向D1でワーク保持部200と対向し、移動方向D2で移動可能である。例えば移動体300は、移動方向D2に沿って移動可能となるように、サブ筐体100のベースプレート110に支持されており、突出部120を介してワーク保持部200と対向する。一例として、ベースプレート110上には、幅方向D3において突出部120の両側にリニアガイド111,112がそれぞれ設けられている。リニアガイド111,112は、移動方向D2に沿って移動可能な可動部113,114をそれぞれ有する。移動体300は、可動部113,114に固定されている。
【0059】
移動体300は、ロボット40A(第1ロボット)とワーク保持部200との間でワークWの受け渡しを可能にする位置(第1位置)と、ロボット40B(第2ロボット)とワーク保持部200との間でワークWの受け渡しを可能にする位置(第2位置)との間を移動する。また、移動体300は、ロボット40B(第1ロボット)とワーク保持部200との間でワークWの受け渡しを可能にする位置(第1位置)と、ロボット40C(第2ロボット)とワーク保持部200との間でワークWの受け渡しを可能にする位置(第2位置)との間を移動する。更に、移動体300は、ロボット40A(第1ロボット)とワーク保持部200との間でワークWの受け渡しを可能にする位置(第1位置)と、ロボット40C(第2ロボット)とワーク保持部200との間でワークWの受け渡しを可能にする位置(第2位置)との間を移動する。
【0060】
移動体300は、例えばアルミニウム系の金属材料等、実質的に非磁性の材料により構成されており、上方対向部310と、側方対向部320と、側方対向部330と、ケース340と、被駆動アーム350と、センサ保持部360とを有する。図7に示すように、上方対向部310は、上方から上部隔壁130に対向し、上部隔壁130を介して突出部120内の上部ユニット210と対向する。側方対向部320、側方対向部330は、幅方向D3の両側でワーク保持部200とそれぞれ対向する。
【0061】
側方対向部320は、上方対向部310から下方に延び、幅方向D3において側部隔壁140に対向し、側部隔壁140を介して突出部120内の側部ユニット220と対向する。側方対向部330は、上方対向部310から下方に延び、幅方向D3において側部隔壁150に対向し、側部隔壁150を介して突出部120内の側部ユニット230と対向する。側方対向部320の下端は、リニアガイド111の可動部113上に固定され、側方対向部330の下端は、リニアガイド112の可動部114上に固定されている。これにより、移動体300が、移動方向D2に沿って移動可能となっている。
【0062】
ケース340は、上方対向部310上に設けられており、制御部900の少なくとも一部を構成する回路等を収容する。被駆動アーム350は、幅方向D3に沿って側方対向部330から突出し、後述する駆動部600に接続されている。被駆動アーム350は、移動体300を移動方向D2に沿って移動させるための駆動力を駆動部600から側方対向部330に伝達する。センサ保持部360は、被駆動アーム350よりも下方において、幅方向D3に沿って側方対向部330から突出し、後述するセンサ700のリーダ720を支持する。
【0063】
(力発生部)
力発生部510は、重力方向D1でワーク保持部200に対向するように移動体300に配置され、ワーク保持部200を浮上させつつ、移動体300の移動に追従させるように、ワーク保持部200に非接触力を作用させる。例えば力発生部510は、上方対向部310の下に配置されている。力発生部510は、上方から窓部132に対向し、窓部132を介して突出部120内の磁石アレイ212に対向する。
【0064】
図8に示すように、力発生部510は、バックヨーク511と、コイルアレイ512とを有する。コイルアレイ512は、ワーク保持部200に配置された磁石アレイ212と共に、リニアアクチュエータ501を構成する。磁石アレイ212は、移動方向D2に配列された複数の永久磁石215を含む。コイルアレイ512は、複数のコイル513を含む。複数のコイル513は、複数の永久磁石215と共にリニアアクチュエータ501を構成するように、移動方向D2に配列されている。コイルアレイ512は、電力の供給に応じて、移動方向D2に沿った力を磁石アレイ212に付与する。このように、リニアアクチュエータは、磁石アレイにおける複数の永久磁石、及びコイルアレイにおける複数のコイルの配列方向に沿った力を非接触で発生させるアクチュエータである。コイルアレイ512は、電力の供給に応じて、重力方向D1に沿った力を更に磁石アレイ212に付与する。
【0065】
バックヨーク511は、上方対向部310の下に固定され、磁石アレイ212を上から支持する。バックヨーク511は、電磁鋼板等の磁性材料により構成され、磁石アレイ212が発生する磁束の磁路を構成する。
【0066】
複数の永久磁石215においては、互いに極性が逆向きの永久磁石215が交互に並んでいる。例えば、複数の永久磁石215においては、コイルアレイ512に対してN極を向けた永久磁石215と、コイルアレイ512に対してS極を向けた永久磁石215とが交互に並んでいる。
【0067】
磁石アレイ212の極数(磁石アレイ212が含む複数の永久磁石215の数)は、コイルアレイ512のコイル数(コイルアレイ512が含む複数のコイル513の数)に対応する極数よりも多くてもよい。コイルアレイ512のコイル数に対応する極数とは、移動方向D2において、所望の推力特性を得るために必要な極数である。一例として、図8には、6コイルに対し8極が必要とされる場合の構成が例示されている。6コイルに対し8極が必要とされるのに対し、更に1極が追加され、6コイルに対し9極が配列されている。
【0068】
側部力発生部520は、側方対向部320に配置され、移動体300の移動に追従させるように、ワーク保持部200に非接触力を作用させる。例えば側部力発生部520は、側方から窓部142に対向し、窓部142を介して突出部120内の側部磁石アレイ223に対向する。
【0069】
図9に示すように、側部力発生部520は、側部コイルベース521と、側部コイルアレイ522とを有する。側部コイルアレイ522は、ワーク保持部200に配置された側部磁石アレイ223と共に、リニアアクチュエータ502を構成する。側部磁石アレイ223は、移動方向D2に配列された複数の永久磁石226を含む。側部コイルアレイ522は、複数のコイル523を含む。複数のコイル523は、複数の永久磁石226と共にリニアアクチュエータ502を構成するように、移動方向D2に配列されている。側部コイルアレイ522は、電力の供給に応じて、移動方向D2に沿った力を側部磁石アレイ223に付与する。また、側部コイルアレイ522は、電力の供給に応じて、幅方向D3に沿った力を更に側部磁石アレイ223に付与する。
【0070】
側部コイルベース521は、側方対向部320の側面に固定され、側部コイルアレイ522を横から支持する。側部コイルベース521は、例えばアルミニウム系の金属等の実質的に非磁性の材料により構成されている。
【0071】
複数の永久磁石226においても、複数の永久磁石215と同様に、互いに極性が逆向きの永久磁石226が交互に並んでいる。永久磁石226の極数は、側部コイルアレイ522のコイル数に対応する極数よりも多くてもよい。
【0072】
側部力発生部530は、側方対向部330に配置され、移動体300の移動に追従させるように、ワーク保持部200に非接触力を作用させる。例えば側部力発生部530は、側方から窓部152に対向し、窓部152を介して突出部120内の側部磁石アレイ233に対向する。
【0073】
図10に示すように、側部力発生部530は、側部コイルベース531と、側部コイルアレイ532とを有する。側部コイルアレイ532は、ワーク保持部200に配置された側部磁石アレイ233と共に、リニアアクチュエータ503を構成する。側部磁石アレイ233は、移動方向D2に配列された複数の永久磁石236を含む。側部コイルアレイ532は、複数のコイル533を含む。複数のコイル533は、複数の永久磁石236と共にリニアアクチュエータ503を構成するように、移動方向D2に配列されている。側部コイルアレイ532は、電力の供給に応じて、移動方向D2に沿った力を側部磁石アレイ233に付与する。また、側部コイルアレイ532は、電力の供給に応じて、幅方向D3に沿った力を更に側部磁石アレイ233に付与する。
【0074】
側部コイルベース531は、側方対向部330の側面に固定され、側部コイルアレイ532を横から支持する。側部コイルベース531は、例えばアルミニウム系の金属等の実質的に非磁性の材料により構成されている。
【0075】
複数の永久磁石236においても、複数の永久磁石215と同様に、互いに極性が逆向きの永久磁石236が交互に並んでいる。永久磁石236の極数は、側部コイルアレイ532のコイル数に対応する極数よりも多くてもよい。
【0076】
図7に示すように、側部力発生部520と側部力発生部530とは、重力方向D1で相異なる位置(高さ)においてワーク保持部200に力を作用させるように、重力方向D1で相異なる位置(高さ)に配置されていていもよい。このような構成によれば、リニアアクチュエータ501、リニアアクチュエータ502及びリニアアクチュエータ503によって、移動体300に対するワーク保持部200の相対位置及び相対姿勢を高い自由度で調節することができる。以下、移動体300に対するワーク保持部200の相対位置を単に「相対位置」といい、移動体300に対するワーク保持部200の相対姿勢を単に「相対姿勢」という。
【0077】
例えば、リニアアクチュエータ501、リニアアクチュエータ502及びリニアアクチュエータ503が移動方向D2に沿って作用させる力によって、移動方向D2における相対位置を調節することができる。リニアアクチュエータ501が移動方向D2に沿って作用させる力と、リニアアクチュエータ502及びリニアアクチュエータ503の少なくともいずれかが移動方向D2に沿って作用させる力との関係によって、幅方向D3に沿った軸線まわりの相対姿勢(以下、「幅方向D3まわりの相対姿勢」という。)を調節することができる。リニアアクチュエータ502が移動方向D2に沿って作用させる力と、リニアアクチュエータ503が移動方向D2に沿って作用させる力との関係によって、重力方向D1に沿った軸線まわりの相対姿勢(以下、「重力方向D1まわりの相対姿勢」という。)を調節することができる。リニアアクチュエータ501が重力方向D1に沿って作用させる力によって、重力方向D1における相対位置を調節することができる。リニアアクチュエータ502及びリニアアクチュエータ503が幅方向D3に沿って作用させる力によって、幅方向D3における相対位置を調節することができる。
【0078】
リニアアクチュエータ502がワーク保持部200に力を作用させる位置と、リニアアクチュエータ503がワーク保持部200に力を作用させる位置とが、重力方向D1で相異なっているので、リニアアクチュエータ502及が幅方向D3に沿って作用させる力と、リニアアクチュエータ503が幅方向D3に沿って作用させる力との関係によって、移動方向D2に沿った軸線まわりの相対姿勢(以下、「移動方向D2まわりの相対姿勢」という。)を調節することができる。更に、リニアアクチュエータ501が移動方向D2に沿って作用させる力とリニアアクチュエータ502,503が移動方向D2に沿って作用させる力との関係に加えて、リニアアクチュエータ502が移動方向D2に沿って作用させる力と、リニアアクチュエータ503が移動方向D2に沿って作用させる力との関係によっても、幅方向D3まわりの相対姿勢を調節することができる。
【0079】
ワーク保持部200の重心位置P1は、重力方向D1において、側部力発生部520が作用させる非接触力の作用範囲R1と、側部力発生部530が作用させる非接触力の作用範囲R2との間に位置していてもよい。相対姿勢の安定性を更に向上させることができる。なお、ワーク保持部200は、互いに離れて配置された2以上の側部磁石アレイ223を有し、これに対応して側部力発生部520が互いに離れて配置された2以上の側部コイルアレイ523を有してもよい。この場合、2以上の側部コイルアレイ523同士の間は、上記作用範囲R1に含まれる。同様に、ワーク保持部200は、互いに離れて配置された2以上の側部磁石アレイ233を有し、これに対応して側部力発生部530が互いに離れて配置された2以上の側部コイルアレイ533を有してもよい。この場合、2以上の側部コイルアレイ533同士の間は、上記作用範囲R2に含まれる。
【0080】
図7においては、側部磁石アレイ223と側部磁石アレイ233とが重力方向D1で相異なる位置に配置されるのに合わせ、壁本体131と壁本体141とが重力方向D1で相異なる位置に配置されている場合を例示している。側部磁石アレイ223と側部磁石アレイ233とが重力方向D1で相異なる位置に配置される場合であっても、壁本体131と壁本体141とは重力方向D1で同じ位置に配置されていてもよい。壁本体131及び壁本体141の高さを合わせることで、形状の非対称性に起因する上部隔壁130及び側部隔壁140の変形等を抑制することができる。
【0081】
重力方向D1における相対位置、移動方向D2における相対位置、幅方向D3における相対位置、重力方向D1まわりの相対姿勢、移動方向D2まわりの相対姿勢、及び幅方向D3まわりの相対姿勢を調節可能なアクチュエータの配置は、以上に示した例に限られず、適宜変更可能である。以上においては、リニアアクチュエータ501が上方から力を作用させ、リニアアクチュエータ502及びリニアアクチュエータ503が幅方向D3における両方から力を作用させる例を示したが、リニアアクチュエータ501が下方から力を作用させてもよい。また、リニアアクチュエータ502及びリニアアクチュエータ503の両方が、幅方向D3における同じ方向から力を作用させてもよい。更に、リニアアクチュエータ501及びリニアアクチュエータ502が下方から力を作用させ、リニアアクチュエータ503が幅方向D3における一方向から力を作用させてもよい。いずれにおいても、上述した3種類の相対位置及び3種類の相対姿勢を調節することが可能である。
【0082】
(重量軽減部)
図8に示すように、この搬送システム1においては、重量軽減部400がリニアアクチュエータ501の一部によって構成される。例えば重量軽減部400は、ワーク保持部200に配置された複数の永久磁石215と、力発生部510のバックヨーク511とによって構成される。複数の永久磁石215と、バックヨーク511とは、上述した受動的な非接触力として引力を発生させる。このように、移動体300をワーク保持部200に上方から対向させ、移動体300に配置された力発生部510からワーク保持部200に非接触力を発生させる構成によれば、リニアアクチュエータ501のうち受動的な引力を発生する要素を重量軽減部400として活用し、省スペース化を図ることができる。
【0083】
ワーク保持部200の重心位置P1は、幅方向D3において、重量軽減部400が発生させる引力又は斥力の発生範囲R3内に位置していてもよい。ワーク保持部200の姿勢の安定性を向上させることができる。例えばワーク保持部200の重心位置P1は、幅方向D3において、複数の永久磁石215の幅と、バックヨーク511の幅とが重複する範囲内に位置していてもよい。保持ユニット240は、幅方向D3における重心位置P1の位置を調節するためのバランスウェイト247を更に有していてもよい。なお、ワーク保持部200は、互いに離れて配置された2以上の磁石アレイ212を有し、これに対応して力発生部510が互いに離れて配置された2組以上のコイルアレイ512及びバックヨーク511を有してもよい。この場合、2組以上のコイルアレイ512及びバックヨーク511同士の間は、上記発生範囲R3に含まれる。
【0084】
(駆動部)
図7に戻り、駆動部600は、移動方向D2で移動体300を移動させる。例えば駆動部600は、移動方向D2に沿って延びる固定子620と、可動子630とを有し、永久磁石等の磁極と、コイルが発生させる移動磁界とによって、固定子620に対し可動子630を移動させる。駆動部600は、可動子630に永久磁石が設けられるムービングマグネット型であってもよく、可動子630にコイルが設けられるムービングコイル型であってもよい。可動子630は、上述した移動体300の被駆動アーム350に固定される。
【0085】
駆動部600は、ワーク保持部200と移動体300との組み合わせ体の重力方向D1における重心位置にて、移動体300に駆動力を伝達してもよい。ワーク保持部200の姿勢の安定性を更に向上させることができる。上述のように、可動子630は移動体300の被駆動アーム350に固定されるので、移動体300に対して駆動力が作用する位置は、可動子630に対して駆動力が作用する位置である。上記組み合わせ体の重心位置は、重力方向D1において、可動子630に対して駆動力が作用する範囲R4内に位置している。なお、駆動部600は、互いに高さが異なる2以上の箇所で可動子630に駆動力を作用させるように構成されていてもよい。この場合、当該2以上の箇所同士の間は上記範囲R4に含まれる。
【0086】
(センサ)
センサ700は、移動方向D2における移動体300の位置を検出する。「移動体300の位置」は、搬送筐体10を基準とする位置である。搬送筐体10においては、全ての機器が搬送筐体10に対して動作するので、搬送筐体10を基準とする位置を、以下においては便宜上「絶対位置」という。
【0087】
センサ700は、リニアスケール710と、リーダ720とを有する。リニアスケール710は、ベースプレート110上に固定され、移動方向D2に沿って延びており、磁気式又は光学式の目盛り情報を有している。リーダ720は、リニアスケール710と対向するように、上述した移動体300のセンサ保持部360に固定されており、移動体300と共に移動しながらリニアスケール710の目盛り情報を読み取り、移動体300の絶対位置を検出する。
【0088】
相対センサ800は、移動体300に対するワーク保持部200の相対位置及び相対姿勢の少なくとも一方を検出する。一例として、相対センサ800は、上述した3種類の相対位置及び3種類の相対姿勢の全てを非接触で搬送室11外から検出し得るように構成されている。図8に示すように、相対センサ800は、変位センサ860と、ギャップセンサ810,820とを有する。変位センサ860は、移動体300の上方対向部310に固定されており、ワーク保持部200の上部ユニット210に固定されたターゲット861の移動方向D2における変位を検出する。一例として、変位センサ860は、磁歪式センサであり、移動方向D2に沿った磁歪線を含む。変位センサ860は、ターゲット861の磁石が磁歪線に発生させるねじり歪みに基づいてターゲット861の変位を検出する。変位センサ860によれば、移動方向D2における相対位置を検出することができる。
【0089】
ギャップセンサ810,820は、移動方向D2における相異なる位置にて上方対向部310に固定されており、ワーク保持部200の上部ユニット210に固定されたターゲット811,821までの距離をそれぞれ検出する。ギャップセンサ810,820によれば、重力方向D1における相対位置と、幅方向D3まわりの相対姿勢とを検出することができる。
【0090】
図9に示すように、相対センサ800は、ギャップセンサ830,840を更に有する。ギャップセンサ830,840は、移動方向D2における相異なる位置にて側方対向部320に固定されており、ワーク保持部200の側部ユニット220に固定されたターゲット831,841までの距離をそれぞれ検出する。図10に示すように、相対センサ800は、ギャップセンサ850を更に有する。ギャップセンサ850は、側方対向部330に固定されており、ワーク保持部200の側部ユニット230に固定されたターゲット851までの距離を検出する。ギャップセンサ830,840と、ギャップセンサ850とは、重力方向D1において相異なる位置(高さ)に設けられている。ギャップセンサ830,840,850によれば、幅方向D3における相対位置を検出し、ギャップセンサ830による検出結果とギャップセンサ840による検出結果との関係に基づいて重力方向D1まわりの相対姿勢を検出し、ギャップセンサ830,840による検出結果とギャップセンサ850による検出結果との関係に基づいて移動方向D2まわりの相対姿勢を検出することができる。
【0091】
一例として、ギャップセンサ810,820,830,840,850は、渦電流式センサである。渦電流式センサは、高周波で磁束を生じるコイルを含み、測位ターゲットの導電部材に生じる渦電流に応じたコイルのインピーダンス変化に基づいて、測位ターゲットまでの距離を検出する。
【0092】
以上に示した相対センサ800の構成は一例であり、様々な変更が可能である。上述の相対センサ800は、互いに独立した6本の測位ラインに沿ったワーク保持部200の変位を検出するように構成されている。3本以上の測位ラインが互いに独立であるとは、当該3本以上の測位ラインにおいて、各測位ラインに沿ったベクトルを残りの2本以上の測位ラインに沿ったベクトルでは合成し得ない関係を意味する。なお、測位ラインに沿ったベクトルとは、測位ラインに沿い、且つ測位ライン上に位置するベクトルを意味する。
【0093】
3本以上の測位ラインが互いに独立でない場合の具体例として、3本の測位ラインが同一面内で互いに平行である場合が挙げられる。この場合、3本の測位ラインのうち、2本の測位ラインに沿ったベクトルの大きさを調整することで、残りの1本の測位ラインに沿ったベクトルを合成することが可能である。
【0094】
上述の相対センサ800おいて、変位センサ860による測位ラインに沿ったベクトルを、ギャップセンサ810,820,830,840,850による測位ラインに沿ったベクトルによって合成することはできない。これは、ギャップセンサ810の測位ラインに沿ったベクトル、ギャップセンサ820の測位ラインに沿ったベクトル、ギャップセンサ830の測位ラインに沿ったベクトル、ギャップセンサ840の測位ラインに沿ったベクトル、ギャップセンサ850の測位ラインに沿ったベクトルについても同様である。
【0095】
このように、互いに独立した6本の測位ラインに沿ったワーク保持部200の変位を検出するように構成されていれば、いかなる構成であっても、3種類の相対位置及び3種類の相対姿勢を検出することができる。例えば、変位センサ860は、ギャップセンサ810等と同様のギャップセンサにより構成されていてもよい。また、側方対向部320に搬送システム1のギャップセンサが配置され、側方対向部330に処理ユニット2のギャップセンサが配置されていてもよい。
【0096】
(制御部)
図5に戻り、制御部900は、ワーク保持部200の相対位置及び相対姿勢の少なくとも一方を制御するように、力発生部510の非接触力を制御する。例えば制御部900は、上述した3種類の相対位置及び3種類の相対姿勢を制御するように、力発生部510の非接触力と、側部力発生部520,530の非接触力とを制御する。例えば制御部900は、3種類の相対位置及び3種類の相対姿勢のそれぞれを、所定の目標範囲内に維持するように、力発生部510のコイルアレイ512に供給する電力と、側部力発生部520の側部コイルアレイ522に供給する電力と、側部力発生部530の側部コイルアレイ532に供給する電力とを制御する。
【0097】
所定の目標範囲は、少なくとも、上述したローラ213,214が横内面135,136に接触せず、ローラ224,225が下内面145及び上内面146に接触せず、ローラ234,235が下内面155及び上内面156に接触しないように定められる。
【0098】
制御部900は、相対センサ800により検出された相対位置及び相対姿勢に基づいて、力発生部510、及び側部力発生部520,530を制御してもよい。例えば制御部900は、相対センサ800により検出された移動方向D2における相対位置と、重力方向D1における相対位置と、幅方向D3まわりの相対姿勢とを目標範囲に維持するように、力発生部510、及び側部力発生部520,530を制御する。相対センサ800により検出された幅方向D3における相対位置と、重力方向D1まわりの相対姿勢と、移動方向D2まわりの相対姿勢とを目標範囲に維持するように、側部力発生部520及び側部力発生部530を制御する。
【0099】
制御部900は、相対センサ800により検出された相対位置及び相対姿勢に基づいて、ワーク保持部200の絶対位置を制御するように、力発生部510の非接触力を制御してもよい。例えば制御部900は、センサ700により検出された移動体300の絶対位置と、ワーク保持部200の絶対位置及び絶対姿勢の目標値とに基づいて、相対位置及び相対姿勢の目標値を算出し、相対位置及び相対姿勢を目標値に近付けるように、力発生部510、及び側部力発生部520,530を制御する。
【0100】
相対センサ800による検出結果に基づく相対位置の制御を、ワーク保持部の絶対位置の制御に利用することで、移動体による粗い位置決めと、力発生部による精密な位置決めとを組み合わせ、ワーク保持部の絶対位置を高い効率で精度よく調節することができる。
【0101】
図11は、制御部900のハードウェア構成を例示する図である。図11に示すように、制御部900は、回路990を有する。回路990は、一つ又は複数のプロセッサ991と、メモリ992と、ストレージ993と、入出力回路994と、ドライバ回路995とを有する。ストレージ993は、例えば不揮発性の半導体メモリ等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ993は、搬送装置30の制御プログラムを記憶する。この制御プログラムは、センサ700による検出結果及び相対センサ800による検出結果に基づいて、力発生部510、及び側部力発生部520,530を制御することを制御部900に実行させるプログラムを含む。
【0102】
メモリ992は、ストレージ993の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ991による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ991は、メモリ992と協働して上記プログラムを実行する。入出力回路994は、プロセッサ991からの指令に従って、相対センサ800との間で電気信号の入出力を行う。ドライバ回路995は、プロセッサ991からの指令に従って、リニアアクチュエータ501,502,503及び駆動部600に駆動電力を出力する。
【0103】
(冷却構造)
搬送システム1は、図12に示すように、冷却システム302を更に備えていてもよい。例えば冷却システム302は、側方対向部320及び側方対向部330をそれぞれ冷却する冷却部321及び冷却部331を有する。冷却部321は、側方対向部320を冷却することによって、側方対向部320に配置された側部力発生部520を冷却する。冷却部331は、側方対向部330を冷却することによって、側方対向部330に配置された側部力発生部530を冷却する。側方対向部320及び側方対向部330を放熱媒体として利用することで、側部力発生部520及び側部力発生部530を効率よく冷却することができる。
【0104】
例えば冷却部321は、側方対向部320に沿って流れる気流を発生させることによって側方対向部320を冷却する。冷却部321は、冷却ダクト322とファン323とを有する。冷却ダクト322は、側方対向部320と共に、移動方向D2に沿ったエア流路を構成する。ファン323は、冷却ダクト322内にエアを吹き込むか、冷却ダクト322内からエアを吸い出すことで、冷却ダクト322内に強制的に気流を発生させる。
【0105】
冷却部331も同様に、側方対向部330に沿って流れる気流を発生させることによって側方対向部330を冷却する。冷却部331は、冷却ダクト332とファン333とを有する。冷却ダクト332は、側方対向部330と共に、移動方向D2に沿ったエア流路を構成する。ファン333は、冷却ダクト332内にエアを吹き込むか、冷却ダクト332内からエアを吸い出すことで、冷却ダクト332内に強制的に気流を発生させる。
【0106】
冷却システム302は、被駆動アーム350を冷却する冷却部351を更に有してもよい。冷却部351は、被駆動アーム350を冷却することによって、駆動部600から移動体300への伝熱、及び移動体300から駆動部600への伝熱をそれぞれ抑制する。例えば冷却部351は、被駆動アーム350に沿って流れる気流を発生させることによって、被駆動アーム350を冷却する。冷却部351は、冷却ダクト352と、ファン353とを有する。冷却ダクト352は、被駆動アーム350と共に、移動方向D2に沿ったエア流路を構成する。ファン353は、冷却ダクト352内にエアを吹き込むか、冷却ダクト352内からエアを吸い出すことで、冷却ダクト352内に強制的に気流を発生させる。
【0107】
冷却システム302は、センサ保持部360を冷却する冷却部361を更に有してもよい。冷却部361は、センサ保持部360を冷却することによって、移動体300からセンサ700のリーダ720への伝熱を抑制する。リーダ720への伝熱抑制によって、移動体300の位置の検出精度を向上させることができる。例えば冷却部361は、センサ保持部360に沿って流れる気流を発生させることによって、センサ保持部360を冷却する。冷却部361は、冷却ダクト362と、ブロワ接続部363とを有する。冷却ダクト362は、センサ保持部360と共に、移動方向D2に沿ったエア流路を構成する。ブロワ接続部363は、エアコンプレッサ等の加圧源からのエアを冷却ダクト362内に導入することで、冷却ダクト362内に強制的に気流を発生させる。
【0108】
冷却システム302は、上方対向部310を冷却する冷却部345を更に有してもよい。冷却部345は、上方対向部310を冷却することによって、上方対向部310に配置された力発生部510を冷却する。例えば冷却部345は、上方対向部310に沿って流れる気流を発生させることによって上方対向部310を冷却する。図13に示すように、冷却部345は、ファン346とファン347とを有する。ファン346及びファン347は、ケース340内に、移動方向D2に沿った気流を発生させる。この構成によって、ケース340を、上方対向部310の冷却に有効活用することができる。以上に例示した冷却部321、冷却部331、冷却部345、冷却部351、及び冷却部361はいずれも空冷式であったが、冷却方式は空冷方式に限られず、水冷方式であってもよい。また、ペルチェ素子又はヒートパイプ等を各部の冷却に活用してもよい。
【0109】
〔まとめ〕
以上の開示は、以下の構成を含む。
(1) ワークを保持可能なワーク保持部200と、少なくとも重力方向D1でワーク保持部200と対向し、重力方向D1に交差する移動方向D2で移動可能な移動体300と、ワーク保持部200の重量を軽減するように、ワーク保持部200との間で引力又は斥力を発生させる重量軽減部400と、重力方向D1でワーク保持部200に対向するように移動体300に配置され、重量が軽減されたワーク保持部200を浮上させつつ、移動体300の移動に追従させるように、ワーク保持部200に非接触力を作用させる力発生部510と、移動体300に対するワーク保持部200の位置及び姿勢の少なくとも一方を制御するように、力発生部510の非接触力を制御する制御部900と、を備える搬送システム1。
この搬送システム1は、重量軽減部400を有するので、ワーク保持部200の浮上のために発生させる非接触力を小さくすることができる。このため、非接触力を発生させるための消費エネルギーを小さくすることができる。従って、消費電力の抑制に有効である。
【0110】
(2) ワーク保持部200に配置され、移動方向D2に配列された複数の永久磁石を有する磁石アレイ212を更に備え、力発生部510は、磁石アレイ212と共にリニアアクチュエータを構成するように、移動方向D2に配列された複数のコイル513を含むコイルアレイ512を有し、制御部900は、非接触力を制御するように、コイルアレイ512に供給する電力を制御する、(1)の搬送システム1。
電力に応じて非接触力を容易に制御することができる。相対的な変位が微小に抑えられるワーク保持部200と移動体300との間の位置関係の調節に、移動方向D2への変位が可能なリニアアクチュエータを用いることで、移動方向D2における相対的な位置の微調整が可能となる。
【0111】
(3) 磁石アレイ212が含む複数の永久磁石の数は、コイルアレイ512が含む複数のコイル513の数よりも多い、(2)の搬送システム1。
ワーク保持部200の姿勢の安定性を更に向上させることができる。
【0112】
(4) 移動体300は、重力方向D1においてワーク保持部200の上に配置され、重量軽減部400は、移動体300に配置され、ワーク保持部200との間で引力を発生させる、(1)~(3)のいずれかの搬送システム1。
磁力の作用対象を軟質磁性材料にて構成し、磁石の使用を削減することができる。ワーク保持部200に対する相対変位の小さい移動体300に重量軽減部400を設けることで、重量軽減部400のコンパクト化を図ることができる。
【0113】
(5) 重量軽減部400は、ワーク保持部200に配置された永久磁石との間で引力を発生させる永久磁石又は軟質磁性部材と、ワーク保持部200に配置された軟質磁性部材との間で引力を発生させる永久磁石と、の少なくとも一方を有する、(4)の搬送システム1。
電力を消費せずに重力を軽減することができる。また、電力を供給せずに行うメンテンナンス作業においても、移動体300の移動にワーク保持部200を追従させ、ワーク保持部200の位置を移動体300の近傍に維持することができる。これにより、メンテナンス後における復帰作業が容易になる。
【0114】
(6) 力発生部510は、ワーク保持部200に配置された永久磁石に対して非接触力を作用させる1以上のコイル513を有し、重量軽減部400は、軟質磁性部材であり、1以上のコイル513のバックヨークである、(5)の搬送システム1。
軟質磁性部材を、力発生部510のヨークとしても利用することで、省スペース化を図ることができる。
【0115】
(7) 移動体300に対するワーク保持部200の相対位置を検出するセンサ800を更に備え、制御部900は、少なくとも相対位置に基づいて、ワークの絶対位置を制御するように、力発生部510の非接触力を制御する、(1)~(6)のいずれかの搬送システム1。
センサ800による検出結果に基づく相対位置の制御を、ワークの絶対値の制御に利用することで、移動体300による粗い位置決めと、力発生部510による精密な位置決めとを組み合わせ、ワークの絶対値を高い効率で精度よく調節することができる。
【0116】
(8) 移動体300は、移動方向D2及び重力方向D1に交差する幅方向D3の両側でワーク保持部200とそれぞれ対向する第1側方対向部320及び第2側方対向部330を有し、搬送システム1は、第1側方対向部320に配置され、移動体300の移動に追従させるように、ワーク保持部200に非接触力を作用させる第1側部力発生部520と、第2側方対向部330に配置され、移動体300の移動に追従させるように、ワーク保持部200に非接触力を作用させる第2側部力発生部530と、を更に備え、制御部900は、移動体300に対するワーク保持部200の位置及び姿勢の少なくとも一方を制御するように、更に第1側部力発生部520及び第2側部力発生部530の非接触力を制御する、(1)~(7)のいずれかの搬送システム1。
【0117】
(9) 第1側部力発生部520と第2側部力発生部530とは、重力方向D1で相異なる位置に配置される、(8)の搬送システム1。
第1側部力発生部520及び第2側部力発生部530により、移動方向D2に沿った軸線まわりのワーク保持部200の姿勢を容易に調節することができる。従って、ワーク保持部200の姿勢を更に容易に調節することができる。
【0118】
(10) ワーク保持部200の重心位置は、重力方向D1において、第1側部力発生部520が作用させる非接触力の作用範囲と、第2側部力発生部530が作用させる非接触力の作用範囲との間に位置している、(9)の搬送システム1。
ワーク保持部200の姿勢の安定性を更に向上させることができる。
【0119】
(11) ワーク保持部200において、幅方向D3の両側にそれぞれ配置され、移動方向D2に配列された複数の永久磁石をそれぞれが有する第1側部磁石アレイ223及び第2側部磁石アレイ233を更に備え、第1側部力発生部520は、第1側部磁石アレイ223とともにリニアアクチュエータを構成するように、移動方向D2に配列された複数のコイル513を含む第1側部コイルアレイ522を有し、第2側部力発生部530は、第2側部磁石アレイ233とともにリニアアクチュエータを構成するように、移動方向D2に配列された複数のコイル513を含む第2側部コイルアレイ532を有し、制御部900は、非接触力を制御するように、第1側部コイルアレイ522及び第2側部コイルアレイ532に供給する電力を制御する、(8)~(10)のいずれかの搬送システム1。
電力に応じて非接触力を容易に制御することができる。相対的な変位が微小に抑えられるワーク保持部200と移動体300との間の位置関係の調節に、移動方向D2への変位が可能な複数のリニアアクチュエータを用いることで、移動方向D2における相対的な位置の微調整が可能となる。
【0120】
(12) 移動体300は、ワーク保持部200の上方に配置され、重量軽減部400は、移動体300に配置されて、ワーク保持部200との間で引力を発生させ、搬送システム1は、第1側方対向部320とワーク保持部200との間に第1隔壁140を備え、第1隔壁140は、第1側部磁石アレイ223と対向する第1窓部142と、第1窓部142を支持し、第1側部磁石アレイ223の下方に位置する第1支持壁147と、を有する、(11)の搬送システム1。
第1隔壁140の強度と、非接触力の伝わり易さとの両立を図ることができる。また、ワーク保持部200の落下を第1支持壁147により防ぐことができる。
【0121】
(13) 搬送システム1は、第2側方対向部330とワーク保持部200との間に第2隔壁150を備え、第2隔壁150は、第2側部磁石アレイ233と対向する第2窓部152と、第2窓部152を支持し、第2側部磁石アレイ233の下方に位置する第2支持壁157と、を有し、第1側部磁石アレイ223と第2側部磁石アレイ233とは、重力方向D1で相異なる位置に配置され、第1窓部142と第2窓部152とは、重力方向D1で同じ位置に配置される、(12)の搬送システム1。
第1窓部142及び第2窓部152の高さを合わせることで、形状の非対称性に起因する第1隔壁140及び第2隔壁150の変形等を抑制することができる。
【0122】
(14) ワーク保持部200は、重力方向D1において移動体300に対向する上部211と、上部211から下方に延びて第1側部磁石アレイ223を支持する第1側部221と、上部211から下方に延びて第2側部磁石アレイ233を支持する第2側部231と、を有し、上部211と、第1側部221と、第2側部231とが互いに分離可能である、(12)又は(13)の搬送システム1。
メンテナンス性を向上させることができる。
【0123】
(15) ワーク保持部200は、第1側部磁石アレイ223の下に設けられた第1ローラ224を有し、ワーク保持部200が第1支持壁147により支持される際に、第1ローラ224は第1支持壁147に接し、ワーク保持部200の移動に応じて転がる、(12)~(14)のいずれかの搬送システム1。
メンテナンス中において、ワーク保持部200を更にスムーズに移動体300に追従させることができる。
【0124】
(16) ワーク保持部200と移動体300との組み合わせの重力方向D1における重心位置にて、移動体300に駆動力を伝達し、移動体300を移動させる駆動部600を更に備える、(1)~(15)のいずれかの搬送システム1。
ワーク保持部200の姿勢の安定性を更に向上させることができる。
【0125】
(17) 移動方向D2において相異なる位置に配置された第1ロボット40A及び第2ロボット40Bを更に備え、移動体300は、第1ロボット40Aとワーク保持部200との間でワークの受け渡しを可能にする第1位置と、第2ロボット40Bとワーク保持部200との間でワークの受け渡しを可能にする第2位置との間を移動する、(1)~(16)のいずれかの搬送システム1。
ワーク保持部200の姿勢の安定性を向上させることができる。
【0126】
(18) ワーク保持部200の重心位置は、重力方向D1及び移動方向D2に交差する幅方向D3において、重量軽減部400が発生させる引力又は斥力の発生範囲内に位置している、(1)~(17)のいずれかの搬送システム1。
ワーク保持部200の姿勢の安定性を向上させることができる。
【0127】
(19) ワークを保持可能なワーク保持部200と、ワーク保持部200の上方に配置され、重力方向D1に交差する移動方向D2で移動可能な移動体300と、重力方向D1でワーク保持部200に対向するように移動体300に配置され、ワーク保持部200を浮上させつつ、移動体300の移動に追従させるように、ワーク保持部200に非接触力を作用させる力発生部510と、を備える搬送システム1。
ワーク保持部200の上方に配置される移動体300の移動に、非接触力によってワーク保持部200の移動を追従させる構成によれば、非接触力が含む受動的な引力をワーク保持部200の浮上に活かし、非接触力を発生させるための消費エネルギーを小さくすることができる。従って、消費電力の抑制と、省スペース化との両立に有効である。
【0128】
(20) ワークを保持可能なワーク保持部200と、少なくとも重力方向D1でワーク保持部200と対向し、重力方向D1に交差する移動方向D2で移動可能な移動体300と、重力方向D1でワーク保持部200に対向するように移動体300に配置され、ワーク保持部200を浮上させつつ、移動体300の移動に追従させるように、ワーク保持部200に非接触力を作用させる力発生部510と、移動体300に対するワーク保持部200の相対位置を検出するセンサ800と、少なくとも相対位置に基づいて、ワーク保持部200の絶対位置を制御するように、力発生部510の非接触力を制御する制御部900と、を備える搬送システム1。
移動体300に対するワーク保持部200の相対位置を維持するための制御系を、ワーク保持部200の絶対位置の制御にも利用することで、移動体300による粗い位置決めと、力発生部510による精密な位置決めとを組み合わせ、ワーク保持部200の絶対位置を高い効率で精度よく調節することができる。
【0129】
(21) ワークを保持可能なワーク保持部200と、少なくとも重力方向D1でワーク保持部200と対向し、重力方向D1に交差する移動方向D2で移動可能な移動体300と、ワーク保持部200に配置され、移動方向D2に配列された複数の永久磁石を含む磁石アレイ212と、重力方向D1でワーク保持部200に対向するように移動体300に配置され、磁石アレイ212と共にリニアアクチュエータを構成するように、移動方向D2に配列された複数のコイル513を含むコイルアレイ512と、ワーク保持部200を浮上させつつ移動体300の移動に追従させるように、コイルアレイ512に供給する電力を制御する制御部900と、を備える搬送システム1。
電力に応じて非接触力を容易に制御することができる。相対的な変位が微小に抑えられるワーク保持部200と移動体300との間の位置関係の調節に、移動方向D2への変位が可能なリニアアクチュエータを用いることで、移動方向D2における相対的な位置の微調整が可能となる。
【符号の説明】
【0130】
1…搬送システム、D2…移動方向、D1…重力方向、D3…幅方向、40,40A,40B,40C…ロボット、140…第1隔壁、142…第1窓部、147…第1支持壁、150…第2隔壁、152…第2窓部、157…第2支持壁、200…ワーク保持部、211…上部、212…磁石アレイ、221…第1側部、223…第1側部磁石アレイ、224…第1ローラ、231…第2側部、233…第2側部磁石アレイ、300…移動体、320…第1側方対向部、330…第2側方対向部、400…重量軽減部、510…力発生部、512…コイルアレイ、513…コイル、520…第1側部力発生部、522…第1側部コイルアレイ、530…第2側部力発生部、532…第2側部コイルアレイ、600…駆動部、800…センサ、900…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15