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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ボードゲーム
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/14 20060101AFI20240425BHJP
   A63F 9/08 20060101ALI20240425BHJP
   A63H 18/02 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
A63F9/14 B
A63F9/08 B
A63H18/02 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022156570
(22)【出願日】2022-09-29
(65)【公開番号】P2024050010
(43)【公開日】2024-04-10
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000128234
【氏名又は名称】株式会社エポック社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】進藤 幸弘
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04504243(US,A)
【文献】実開昭56-053493(JP,U)
【文献】実開昭59-036393(JP,U)
【文献】実公昭47-021893(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/08、9/14
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が表面と前記表面に設けられたガイド溝とを有する複数の経路タイルと、
前記複数の経路タイルを収容するように構成され、前記複数の経路タイルを取り囲むフレームを有する筐体と、
前記複数の経路タイルに設けられたガイド溝に沿って移動するように構成された移動体と、
を備え、
前記筐体内には、前記経路タイルの外形サイズに一致する空きスペースが設けられ、
前記複数の経路タイルのうち前記空きスペースに隣接する経路タイルは、前記空きスペースに向けてスライド可能であって、
前記移動体は、
前記移動体を駆動させるための回転力を供給するように構成された駆動源と、
前記駆動源から供給された回転力が伝達される回転駆動部と、
前記移動体が前記複数の経路タイルの一つ上に配置された状態で、前記一の経路タイルのガイド溝に収容されるガイドピンと、
前記回転駆動部の回転方向を変更するように構成された回転方向切替部と、
を有し、
前記移動体が前進している状態で前記回転方向切替部がプレイヤーによって操作された場合に、前記移動体は後進し、
前記移動体が後進している状態で前記回転方向切替部がプレイヤーによって操作された場合に、前記移動体は前進する、
ボードゲーム。
【請求項2】
前記移動体は、前記移動体の上面に設けられ、前記回転方向切替部に作用するように構成された操作レバーをさらに有し、
前記操作レバーを介した前記回転方向切替部に対するプレイヤーの操作に応じて、前記移動体は、前進又は後進するように構成される、
請求項1に記載のボードゲーム。
【請求項3】
前記移動体は、前記ガイドピンを収容するように構成された収容凹部をさらに有し、
前記ガイドピンの状態が第1状態と第2状態との間で変化するように前記ガイドピンは回動可能であって、
前記第1状態では、前記ガイドピンは前記収容凹部から突出し、
前記第2状態では、前記ガイドピンは前記収容凹部内に収容されている、
請求項1又は2に記載のボードゲーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボードゲームに関する。特に、本発明は、プレイヤーのスイッチ操作に応じて後進する移動体を備えたボードゲームに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ガイド溝を有する複数の経路タイルと、複数の経路タイルを収容する筐体と、複数の経路タイルに設けられたガイド溝に沿って移動する車両等の移動体とを備えたボードゲームが開示されている。当該ボードゲームは、小学生未満の子供を主に対象とした知育玩具となっている。経路タイルに形成されたガイド溝は、矩形状の経路タイルの4辺のうち第1の辺の中央部から第2の辺の中央部に向けて延びている。移動体は、経路タイルのガイド溝に沿って移動することが可能となっている。プレイヤーが経路タイルを空きスペースに向けてスライドさせることで、複数の経路タイルのガイド溝によって形成された移動体の走行経路が変更される。
【0003】
特許文献1に開示されたボードゲームは複数のプレイヤー同士で楽しむことができる。例えば、複数のプレイヤーが交互に経路タイルの配置(移動体の走行経路)を変更することで、移動体をスタート位置からゴール位置まで導くことができる。この場合、移動体がゴール位置に到達した時点でゲームは成功で終了となる。また、当該ボードゲームでは、ゲーム失敗となるまで複数のプレイヤー同士で互いに競うこともできる。例えば、移動体が所定の経路タイルから空きスペース内に脱落した場合や移動体が走行不能となった場合(例えば、移動体が所定の経路タイルのガイド溝から当該所定の経路タイルに隣接する経路タイルのガイド溝に跨って移動できない場合)には、ゲームは失敗となる。この場合では、移動体を脱落又は移動不能とさせたプレイヤーが敗者となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第4504243号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたボードゲームでは、移動体は前進しかできないため、プレイヤーのレベルによっては当該ボードゲームを十分に楽しむことができなかった。例えば、上級者レベルのプレイヤーであれば、移動体が一の経路タイルを通過する間の短時間で素早く経路タイルの配置を変更することができる一方、初心者レベルのプレイヤー(例えば、ボードゲームに慣れていない幼児等)は、短時間のうちに素早く経路タイルの配置を変更することができない場合がある。特に、初心者レベルのプレイヤーは、移動体が経路タイルの端に近づくに従い、経路タイルのスライド操作に焦ってしまい、ボードゲームを十分に楽しむことができない。この結果、初心者レベルのプレイヤーの一定数は、ボードゲームが上達する前にボードゲームに早々に飽きてしまうといった事態が想定される。また、初心者から上級者までの幅広い層のプレイヤー同士で当該ボードゲームをプレイする場合であっては、移動体が前進しかできないために、プレイヤー全員が十分にボードゲームを楽しむことができないといった事態も想定される。
【0006】
本発明は、初心者から上級者までの幅広い層のプレイヤーが楽しむことができるボードゲームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様に係るボードゲームは、各々が表面と前記表面に設けられたガイド溝とを有する複数の経路タイルと、前記複数の経路タイルを収容するように構成され、前記複数の経路タイルを取り囲むフレームを有する筐体と、前記複数の経路タイルに設けられたガイド溝に沿って移動するように構成された移動体と、を備え、前記筐体内には、前記経路タイルの外形サイズに一致する空きスペースが設けられ、前記複数の経路タイルのうち前記空きスペースに隣接する経路タイルは、前記空きスペースに向けてスライド可能であって、前記移動体は、前記移動体を駆動させるための回転力を供給するように構成された駆動源と、前記駆動源から供給された回転力が伝達される回転駆動部と、前記移動体が前記複数の経路タイルの一つ上に配置された状態で、前記一の経路タイルのガイド溝に収容されるガイドピンと、前記回転駆動部の回転方向を変更するように構成された回転方向切替部と、を有し、前記移動体が前進している状態で前記回転方向切替部がプレイヤーによって操作された場合に、前記移動体は後進し、前記移動体が後進している状態で前記回転方向切替部がプレイヤーによって操作された場合に、前記移動体は前進する。
【発明の効果】
【0008】
上記の態様によれば、初心者から上級者までの幅広い層のプレイヤーが楽しむことができるボードゲームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態(以下、本実施形態)に係るボードゲームを示す正面図である。
図2】本実施形態に係る経路タイルを示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る移動体を示す斜視図である。
図4】本実施形態に係る移動体の裏面を示す斜視図である。
図5】本実施形態に係る移動体の内部構造を示す斜視図である。
図6】本実施形態に係るゲートがゴールタイルの表面に対して略垂直に延びた状態を示す斜視図である。
図7A】本実施形態に係るゴールタイルを示す平面図である。
図7B】本実施形態に係るゴールタイルに設けられたゲート押さえ機構を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るボードゲーム1を示す正面図である。図1に示すように、ボードゲーム1は、複数(本例では10個)の経路タイル2と、筐体3と、スタートタイル4と、ゴールタイル5と、移動体6を備える。
【0011】
ボードゲーム1は、小学生未満の子供を主に対象とした知育玩具となっている。ボードゲーム1には二種類の経路タイル2が設けられている。各経路タイル2の外形形状は平面視において正方形状となっている。二種類のうちの一の経路タイル2では、ガイド溝21が平面視において十字状に形成されており、直線状の経路を構成している。残りの一の経路タイル2では、ガイド溝21が平面視において円弧状に形成されており、カーブ状の経路を構成している。当該円弧状の経路タイル2は、その配置方向によって、左カーブの経路または右カーブの経路のいずれかを構成する。
【0012】
図2に示すように、経路タイル2は、表面23と、表面23に設けられたガイド溝21と、段差部24とを有する。図2に示す経路タイル2では、ガイド溝21は、平面視において十字状に形成されている。ガイド溝21は、互いに対向する端部200と端部210との間においてD1方向に延びていると共に、互いに対向する端部220と端部230との間においてD2方向に延びている。ここで、D1方向とD2方向は互いに直交している。特に、ガイド溝21は、D1方向において端部200の中央から端部210の中央に向けて延びていると共に、D2方向において端部220の中央から端部230の中央に向けて延びている。
【0013】
段差部24は、表面23から突出すると共に、ガイド溝21に沿って延びている。特に、段差部24は、ガイド溝21を囲むように、端部200と端部210との間においてD1方向に延びていると共に、端部220と端部230との間においてD2方向に延びている。図2に示す段差部24は、平面視において十字状に形成されている。
【0014】
図1に示すように、平面視においてガイド溝21が円弧状に形成された経路タイル2では、ガイド溝21は、一方の端部の中央から当該一方の端部と直交すると共に、隣接する他の端部の中央に向けて湾曲するように延びている。
【0015】
筐体3は、複数の経路タイル2を収容するように構成されている(本例では、12枚収納可能)。筐体3は、フレーム30を有する。平面視において、筐体3の外形が長方形状となっている。フレーム30は、複数の経路タイル2を取り囲むように構成されている。筐体3内には、経路タイル2が収容され(本例では、10枚)、各経路タイル2の外形サイズに一致する2つの空きスペース8が設けられている。空きスペース8に隣接する経路タイル2は、空きスペース8に向けてスライド可能となっている。このように、プレイヤーは、経路タイル2を空きスペース8に向けてスライドさせることで、筐体3内に配置された経路タイル2の位置を変更することができる。この結果、各経路タイル2のガイド溝21によって構成された移動体6の走行経路が変更される。移動体6の走行経路の変更を通じて移動体6がスタートタイル4からゴールタイル5に首尾よく導かれることで、ゲームは成功で終了する。また、筐体3の底面32には肉抜き用の複数(本例では、12個)の貫通穴33が形成されている。尚、本例では、2つの空きスペース8が筐体3内に設けられているが、空きスペース8の数は特に限定されるものではない。例えば、1つの空きスペース8が筐体3内に設けられてもよい。
【0016】
スタートタイル4は、移動体6のスタート地点として設定されたタイルである。スタートタイル4は、筐体3の外側の位置p1(第1位置)に配置されており、フレーム30に着脱可能に係合するように構成されている。スタートタイル4の表面40には、移動体6のガイドピン64(図3参照)を収容する第1ガイド溝41が設けられている。第1ガイド溝41は、スタートタイル4に隣接する経路タイル2のガイド溝21に連通している。
【0017】
ゴールタイル5は、移動体のゴール地点として設定されたタイルである。ゴールタイル5は、スタートタイル4の位置とは異なる筐体3の外側の位置p5(第2位置)に配置されており、フレーム30に着脱可能に係合するように構成されている。ゴールタイル5の表面50には、移動体6のガイドピン64を収容する第2ガイド溝51が設けられている。第2ガイド溝51は、ゴールタイル5に隣接する経路タイル2のガイド溝21に連通している。また、ゴールタイル5にはゲート52が設けられている。ゴールタイル5の構造についての詳細は後述する。
【0018】
尚、本例では、スタートタイル4は、位置p1においてフレーム30に係合していると共に、ゴールタイル5は、位置p5においてフレーム30に係合しているが、スタートタイル4とゴールタイル5の取付位置は特に限定されるものではない。この点において、スタートタイル4は、筐体3の外側の位置p1~p8のうちのいずれか一方の位置においてフレーム30に係合してもよい。同様に、ゴールタイル5は、筐体3の外側の位置p1~p8のうちのいずれか一方の位置(スタートタイル4の取付位置を除く)においてフレーム30に係合してもよい。特に、フレーム30には、スタートタイル4及びゴールタイル5との係合を可能とするための係合取付部(図示せず)が位置p1~p8のそれぞれに設けられている。また、フレーム30には、第1ガイド溝41及び第2ガイド溝51と経路タイル2のガイド溝21の連通を可能とするための溝(図示せず)が位置p1~p8のそれぞれに設けられている。このように、プレイヤーは、スタートタイル4及びゴールタイル5の取付位置を適宜変更することで、スタートタイル4とゴールタイル5との間の移動体6の走行経路を自在に変更することができる。
【0019】
移動体6は、経路タイル2のガイド溝21に沿って移動するように構成されている。このため、互いに隣接する2つの経路タイル2のガイド溝21が連通している場合に、移動体6は一方の経路タイル2から他方の経路タイル2に移動可能となる。その一方で、互いに隣接する2つの経路タイル2のガイド溝21が連通していない場合では、移動体6は一方の経路タイル2から他方の経路タイル2に移動不能となる。
【0020】
本実施形態に係るボードゲーム1では、移動体6がスタートタイル4から複数の経路タイル2を介してゴールタイル5に到達したときに、ゲームは成功で終了する。一方で、移動体6が経路タイル2から空きスペース8内に脱落した場合、スタートタイル4及びゴールタイル5が係合されていないフレーム30の溝側から移動体6がフレーム30外に脱落した場合や移動体6が移動不能となった場合には、ゲームは失敗で終了する。
【0021】
次に、図3図5を参照して移動体6の構成について以下に説明する。図3は、本実施形態に係る移動体6を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係る移動体6の裏面65を示す斜視図である。図5は、本実施形態に係る移動体6の内部構造を示す斜視図である。
【0022】
図3に示すように、移動体6は、四輪自動車を模した外観を呈している。移動体6の車体ボディ60の上面61側には、操作レバー62と、中継部材63が設けられている。図5に示すように、中継部材63は、上下方向において、操作レバー62とスイッチ69との間に配置され、操作レバー62とスイッチ69の両方に接触している。スイッチ69(回転方向切替部の一例)は、一対の回転駆動部67の回転方向を変更するように構成されている。操作レバー62は、中継部材63を介してスイッチ69に作用するように構成されている。この点において、操作レバー62の前端部62a又はその付近がプレイヤーによって押し下げられることで、操作レバー62が下方向に撓む。その結果、操作レバー62及び中継部材63を介してスイッチ69が押し下げられる。
【0023】
特に、操作レバー62を介してスイッチ69がプレイヤーに一回押される場合に、一対の回転駆動部67は第一の回転方向(時計回り若しくは反時計回りのうちの一方)に回転する。その後、操作レバー62を介してスイッチ69がプレイヤーに更に一回押される場合に、一対の回転駆動部67は当該第一の回転方向とは反対の第二の回転方向(時計回り若しくは反時計回りのうちの他方)に回転する。
【0024】
即ち、移動体6が前進している状態で操作レバー62を介してスイッチ69がプレイヤーによって操作された場合に、移動体6は後進する。一方、移動体6が後進している状態で操作レバー62を介してスイッチ69がプレイヤーによって操作された場合に、移動体6は前進する。このように、操作レバー62を介したスイッチ69の操作に応じて移動体6は前進又は後進する。尚、スイッチ69が一回も操作されていない状態では、移動体6は前進する。
【0025】
また、図4に示すように、一対の収容凹部66が車体ボディ60の裏面65に形成されている。一対の収容凹部66の各々は、一対のガイドピン64のうちの一つを収容するように構成されている。一対のガイドピン64は、移動体6が所定の経路タイル2に配置された状態で、所定の経路タイル2のガイド溝21に収容される。このように、ガイドピン64がガイド溝21に収容された状態で、移動体6はガイド溝21に沿って移動する。
【0026】
一対のガイドピン64は、その状態が第1状態から第2状態との間で変化するように回転軸Axを中心に回動可能となっている。ガイドピン64の第1状態では、図4に示すように、各ガイドピン64は収容凹部66から突出している。その一方で、ガイドピン64の第2状態では、各ガイドピン64は収容凹部66内に完全に収容される。このように、ガイドピン64が収容凹部66内に完全に収容された状態では、移動体6を経路タイル2以外の場所で動かすことが可能となるため、移動体6をボードゲーム1以外の他の遊びに使用することが可能となる。例えば、幼児等は、移動体6を床面上で動かすことで楽しむことができる。
【0027】
また、速度変更スイッチ80が裏面65に設けられている。プレイヤーは、速度変更スイッチ80を操作することで移動体6の速度を高速から低速又は高速から低速に変更することができる。一対の回転駆動部67は、裏面65に形成された一対の開口部82から露出している。回転駆動部67の回転駆動に応じて移動体6が移動する。移動体6が経路タイル2に配置されたときに、一対のガイドピン64がガイド溝21に収容されると共に、一対の回転駆動部67が段差部24上に配置される。このように、移動体6は、ガイド溝21に沿って、段差部24上を移動する。
【0028】
図5に示すように、移動体6は、移動体6を駆動させるための回転力を供給するように構成されたモータ68(駆動源の一例)と、モータ68から供給された回転力を一対の回転駆動部67に伝達するように構成された歯車機構72とをさらに備える。スイッチ69は、モータ68に電気的に接続されており、スイッチ69の操作に応じてモータ68の回転方向が時計回り又は反時計回りに変更される。尚、本例では、駆動源の一例としてモータが用いられているが、モータ以外の機械的駆動手段が用いられてもよい。
【0029】
本実施形態によれば、移動体6が前進している状態で操作レバー62を介してスイッチ69がプレイヤーによって操作された場合には移動体6は後進する一方で、移動体6が後進している状態で操作レバー62を介してスイッチ69がプレイヤーによって操作された場合に移動体6は前進する。このように、プレイヤーのスイッチ操作に応じて移動体6を前進又は後進させることが可能となるため、ボードゲーム1の娯楽性が増加し、初心者から上級者までの幅広い層のプレイヤーがボードゲーム1を楽しむことができる。
【0030】
例えば、移動体6が前進しかできない場合では、初心者レベルのプレイヤーは、移動体6が経路タイル2の端部に近づくに従い、経路タイル2のスライド操作に焦ってしまい、ボードゲーム1を十分に楽しむことができないことが想定される。その一方で、プレイヤーがスイッチ操作に応じて移動体6を後進させることができる場合では、スイッチ操作の後において移動体6は経路タイル2の端から離れるように移動するため、プレイヤーは、経路タイル2の配置を変更するための時間を十分に稼ぐことが可能となる。このように、スイッチ操作に応じて移動体6が前進又は後進する場合では、初心者であってもボードゲーム1を十分に楽しむことができる。さらに、初心者から上級者までの幅広い層のプレイヤー同士でボードゲーム1をプレイする場合であっても、スイッチ操作によって移動体6が前進又は後進するため、プレイヤー全員が十分にボードゲーム1を楽しむことができる。
【0031】
さらに、プレイヤーは、移動体6の上面に設けられた操作レバー62を通じて確実にスイッチ69を操作することが可能となる。例えば、操作レバー62を介さずに直接的にスイッチ69がプレイヤーに操作される場合では、スイッチ69の押し下げ量が不十分のため移動体6の移動方向(前進又は後進)が変化しない場合も想定される。特に、本実施形態に係るボードゲーム1では、プレイヤーは短時間のうちに素早く経路タイル2の配置を変更する必要があるため、プレイヤーの焦りによってスイッチ69の押し下げ量が不十分となる状況が想定される。一方で、本実施形態の構成によれば、操作レバー62を介してスイッチ69が確実に操作されるため、スイッチ69の押し下げ量が不十分となる状況が好適に防止されうる。
【0032】
また、本実施形態によれば、スタートタイル4が筐体3の外側に設けられているため、プレイヤーは、スタートタイル4に位置する移動体6が移動を開始してから直ぐに経路タイル2の配置(移動体6の走行経路)を変更する必要がなくなる。この点において、図1に示すように、スタートタイル4の第1ガイド溝41とスタートタイル4に隣接する経路タイル2のガイド溝21が互いに連通した状態で、ボードゲーム1が開始されるのが通常となる。このように、プレイヤーは、移動体6がスタートタイル4からスタートタイル4に隣接する経路タイル2を通過するまでの時間の間、各経路タイル2の配置の変更を検討することができる。即ち、ボードゲーム1の開始後の直ぐにプレイヤーは経路タイル2の配置の変更を検討する必要がないため、ボードゲーム1の開始直後にゲームが失敗で終了となってしまう事態が好適に防止される。したがって、初心者から上級者までの幅広い層のプレイヤーがボードゲームを楽しむことができる。
【0033】
さらに、スタートタイル4とゴールタイル5の両方が筐体3の外側に設けられているため、筐体3の外形サイズが比較的小さい場合であっても(換言すれば、筐体3内に配置された経路タイル2の総数が少ない場合であっても)、スタートタイル4とゴールタイル5との間の経路タイル2上を移動する移動体6の移動量を十分に確保することが可能となる。例えば、筐体3内に配置された複数の経路タイル2のうちの2つがスタートタイル及びゴールタイルとして設定されている場合では、筐体3内に配置された経路タイル2の総数が少ないと移動体6の移動量を十分に確保することが難しくなる。このように、ボードゲーム1の筐体3の外形サイズを比較的小さくしつつ、経路タイル2上を移動する移動体6の移動量を十分に確保することが可能となる。
【0034】
また、本実施形態によれば、平面視において筐体3の外形が長方形状となっている。この点において、例えば、一般的なボードゲームでは、平面視における筐体3の外形が正方形状となっているため、本実施形態の構成に係る長方形状の筐体よりも多くの経路タイル2を筐体3内に収容可能となる。その一方で、本構成に係るボードゲーム1では、スタートタイル4とゴールタイル5の両方が筐体3の外側に設けられているため、ボードゲーム1の筐体3の外形サイズをコンパクト化しつつ、経路タイル2上を移動する移動体6の移動量を十分に確保することが可能となる。
【0035】
また、プレイヤーが経路タイル2を空きスペース8に向けてスライドさせる際に、経路タイル2に設けられた段差部24の一部がプレイヤーの手指に上手く引っ掛かるため、プレイヤーは経路タイル2を確実且つスムーズにスライドさせることができる。このように、プレイヤーはストレスなくボードゲーム1を楽しむことができる。さらに、各経路タイル2において段差部24がガイド溝21に沿って形成されているため、段差部24の表面形状(例えば、十字状や円弧状)によって各経路タイル2のデザイン性を向上させることが可能となる。
【0036】
次に、図6図7Bを参照して、ゴールタイル5の構造について詳しく説明する。図6は、本発明実施形態に係るゲート52がゴールタイル5の表面50に対して略垂直に延びた状態を示す斜視図である。図7Aは、本発明実施形態に係るゴールタイル5を示す平面図である。図7Bは、本発明実施形態に係るゴールタイル5に設けられたゲート押さえ機構150を示す平面図である。図7Bでは、ゲート押さえ機構150を覆う表面50の図示が省略されている。
【0037】
本実施形態に係るボードゲーム1では、各経路タイル2の配置変更を通じて、移動体6がスタートタイル4からゴールタイル5に導かれることで、ゲームは成功で終了する。移動体6がゴールタイル5に到達する前では、ゲート52はゴールタイル5の表面50に対して横たわるように配置される(図1参照)。一方で、移動体6がゴールタイル5に到達した後では、ゲート52はゴールタイル5の表面50に対して略垂直に延びるように配置される(図6参照)。このように、ゲート52は回動可能に構成されている。より具体的には、ゲート52の回動に伴い、ゲート52の状態は、ゲート52が表面50に対して横たわるように配置された第1状態からゲート52が表面50に対して略垂直に延びるように配置された第2状態に変化する。
【0038】
移動体6がゴールタイル5に到達する前では、ゲート52はゴールタイル5の表面50に対して横たわっているため、プレイヤーの手指がゲート52に直接触れることでゲート52がボードゲーム1の進行の妨げとなってしまう状況が好適に防止されうる。さらに、移動体6がゴールタイル5に到達した後では、ゲート52が表面50に対して略垂直に延びるように回動するため、移動体6のゴール(即ち、ゲーム成功)を盛り上げることができ、ボードゲーム1の娯楽性を増加させることができる。
【0039】
次に、移動体6がゴールタイル5に到達した際にゲート52が自動的に回動する仕組みについて図7A及び図7Bを参照して以下に説明する。図7A及び図7Bに示すように、ゲート52は、互いに対向する一対の柱部521と、一対の柱部521に接続されるブリッジ522とを有する。
【0040】
ゴールタイル5には、ゲート押さえ機構150が設けられている。ゲート押さえ機構150は、ゲート52が表面50に対して横たわる状態を維持するようにゲート52に係合するように構成されている。ゲート押さえ機構150は、第1アーム53と、第2アーム54とを有する。第1アーム53の一部は、第2ガイド溝51から露出している。第2アーム54は、第1アーム53に接触しており、第1アーム53の回動に連動して回動するように構成されている。特に、第1アーム53の反時計回りの回動に応じて、第2アーム54は時計回りに回動する。第2アーム54は、ゲート52のブリッジ522に係合する係止部55を有する。ブリッジ522が係止部55に係合していない状態では、バネの復元力によってゲート52は表面50に対して略垂直に延びる。
【0041】
移動体6がゴールタイル5に到達する際に、移動体6のガイドピン64が第2ガイド溝51から露出した第1アーム53の一部に当接する。このとき、第1アーム53は移動体6からの外力によって反時計回りに回動する。その後、第1アーム53の反時計回りの回動に連動して第2アーム54が時計回りに回動する。この結果、係止部55とブリッジ522との間の係合が解消され、ゲート52の状態が第1状態から第2状態に遷移するように、ゲート52がバネの復元力により回動する。このように、移動体6のガイドピン64と第1アーム53の一部との間の当接によって、ゲート52の状態を第1状態から第2状態に変化させることが可能となる。
【0042】
以上、本実施形態によれば、下記の実施形態のボードゲームを提供することができる。
【0043】
第1の態様に係るボードゲームは、各々が表面と前記表面に設けられたガイド溝とを有する複数の経路タイルと、前記複数の経路タイルを収容するように構成され、前記複数の経路タイルを取り囲むフレームを有する筐体と、前記複数の経路タイルに設けられたガイド溝に沿って移動するように構成された移動体と、を備え、前記筐体内には、前記経路タイルの外形サイズに一致する空きスペースが設けられる。前記複数の経路タイルのうち前記空きスペースに隣接する経路タイルは、前記空きスペースに向けてスライド可能であって、前記移動体は、前記移動体を駆動させるための回転力を供給するように構成された駆動源と、前記駆動源から供給された回転力が伝達される回転駆動部と、前記移動体が前記複数の経路タイルの一つ上に配置された状態で、前記一の経路タイルのガイド溝に収容されるガイドピンと、前記回転駆動部の回転方向を変更するように構成された回転方向切替部と、を有し、前記移動体が前進している状態で前記回転方向切替部がプレイヤーによって操作された場合に、前記移動体は後進し、前記移動体が後進している状態で前記回転方向切替部がプレイヤーによって操作された場合に、前記移動体は前進する。
【0044】
この構成によれば、移動体が前進している状態で回転方向切替部がプレイヤーによって操作された場合には移動体は後進する一方で、移動体が後進している状態で回転方向切替部がプレイヤーによって操作された場合に移動体は前進する。このように、プレイヤーの回転方向切替部に対する操作に応じて移動体を前進又は後進させることが可能となるため、ボードゲームの娯楽性が増加し、初心者から上級者までの幅広い層のプレイヤーが当該ボードゲームを楽しむことができる。例えば、移動体が前進しかできない場合では、初心者レベルのプレイヤーは、移動体が経路タイルの端に近づくに従い、経路タイルのスライド操作に焦ってしまい、ボードゲームを十分に楽しむことができないことが想定される。その一方で、プレイヤーが回転方向切替部に対する操作に応じて移動体を後進させることができる場合では、当該操作の後において移動体は経路タイルの端から離れるように移動するため、プレイヤーは、経路タイルの配置を変更するための時間を十分に稼ぐことが可能となる。このように、回転方向切替部に対する操作に応じて移動体が前進又は後進する場合では、初心者であってもボードゲームを十分に楽しむことができる。さらに、初心者から上級者までの幅広い層のプレイヤー同士で当該ボードゲームをプレイする場合であっても、回転方向切替部に対する操作によって移動体が前進又は後進するため、プレイヤー全員が十分にボードゲームを楽しむことができる。
【0045】
第2の態様に係るボードゲームは、前記移動体は、前記移動体の上面に設けられ、前記回転方向切替部に作用するように構成された操作レバーをさらに有し、前記操作レバーを介した前記回転方向切替部に対するプレイヤーの操作に応じて、前記移動体は、前進又は後進するように構成される。
【0046】
この構成によれば、プレイヤーは、移動体の上面に設けられた操作レバーを通じて確実に回転方向切替部を操作することが可能となる。例えば、操作レバーを介さずに直接的に回転方向切替部がプレイヤーに操作される場合では、回転方向切替部の押し下げ量が不十分のため移動体の移動方向(前進又は後進)が変化しない場合も想定される。特に、本ボードゲームでは、プレイヤーは短時間のうちに素早く経路タイルの配置を変更する必要があるため、プレイヤーの焦りによって回転方向切替部の押し下げ量が不十分となる状況が想定される。一方で、この構成によれば、操作レバーを介して回転方向切替部が確実に操作されるため、回転方向切替部の押し下げ量が不十分となる状況が好適に防止されうる。
【0047】
第3の態様に係るボードゲームは、前記移動体は、前記ガイドピンを収容するように構成された収容凹部をさらに有し、前記ガイドピンの状態が第1状態と第2状態との間で変化するように前記ガイドピンは回動可能であって、前記第1状態では、前記ガイドピンは前記収容凹部から突出し、前記第2状態では、前記ガイドピンは前記収容凹部内に収容される。
【0048】
この構成によれば、ガイドピンが収容凹部内に収容可能となっているため、移動体を経路タイル以外の場所で動かすことが可能となる。よって、移動体をボードゲーム以外の他の遊びに使用することが可能となる。例えば、幼児等は、移動体を床面上で動かすことで楽しむことができる。
【0049】
以上、本実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0050】
1:ボードゲーム、2:経路タイル、3:筐体、4:スタートタイル、5:ゴールタイル、6:移動体、8:空きスペース、21:ガイド溝、23:表面、24:段差部、30:フレーム、33:貫通穴、40:表面、41:第1ガイド溝、50:表面、51:第2ガイド溝、52:ゲート、53:第1アーム、54:第2アーム、55:係止部、60:車体ボディ、61:上面、62:操作レバー、62a:前端部、63:中継部材、64:ガイドピン、65:裏面、66:収容凹部、67:回転駆動部、68:モータ、69:スイッチ、72:歯車機構、80:速度変更スイッチ、82:開口部、150:ゲート押さえ機構、521:柱部、522:ブリッジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B