(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】シュードモナス菌PcrVを特異的に認識する抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240425BHJP
C07K 16/12 20060101ALI20240425BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240425BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240425BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240425BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240425BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240425BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240425BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240425BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240425BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20240425BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240425BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240425BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240425BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20240425BHJP
A61K 31/7036 20060101ALI20240425BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240425BHJP
A61K 31/427 20060101ALI20240425BHJP
C12N 15/31 20060101ALN20240425BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/12 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 R
A61K31/7088
A61K35/12
A61K48/00
A61P37/04
A61P31/04
A61K31/407
A61K31/7036
A61K31/496
A61K31/427
C12N15/31
(21)【出願番号】P 2022500778
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2020100592
(87)【国際公開番号】W WO2021004446
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/095181
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510306993
【氏名又は名称】北京三▲諾▼佳邑生物技▲術▼有限▲責▼任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】于 茂栄
(72)【発明者】
【氏名】李 忠
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-509723(JP,A)
【文献】J. Biol. Chem.,2016年,Vol.291, No.29,pp.15243-15255
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/
C07K 16/
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:15
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35
からなるLC-CDR3とを含むか、
(ii)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:16
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35
からなるLC-CDR3とを
含むか、
(iii)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:17
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:36
からなるLC-CDR3とを含むか、
(iv)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:18
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37
からなるLC-CDR3とを含むか、
(v)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:19
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35
からなるLC-CDR3とを含むか、
(vi)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:11
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:20
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35
からなるLC-CDR3とを含むか、
(vii)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:4
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:21
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35
からなるLC-CDR3とを含むか、
(viii)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:5
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:22
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37
からなるLC-CDR3とを含むか、
(ix)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:6
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:23
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37
からなるLC-CDR3とを含むか、
(x)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:12
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:24
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:33
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35
からなるLC-CDR3とを含むか、
(xi)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:25
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37
からなるLC-CDR3とを含むか、
(xii)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:26
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35
からなるLC-CDR3とを含むか、
(xiii)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:27
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35
からなるLC-CDR3とを含むか、
(xiv)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:28
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35
からなるLC-CDR3とを含むか、
(xv)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37
からなるLC-CDR3とを含むか、
(xvi)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:30
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35
からなるLC-CDR3とを含むか、
(xvii)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:8
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:14
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37
からなるLC-CDR3とを含むか、或いは
(xviii)V
H
及びV
L
を含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7
からなるHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13
からなるHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29
からなるHC-CDR3とを含み、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32
からなるLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34
からなるLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:38
からなるLC-CDR3とを含み、
前記HC-CDRとは、重鎖相補性決定領域であり、前記LC-CDRとは、軽鎖相補性決定領域である、単離された抗PcrV抗体。
【請求項2】
(i)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:48又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:48と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:65と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(ii)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:49又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:49と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:65と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(iii)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:50又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:50と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:66又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:66と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(iv)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:51又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:51と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:67と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(v)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:52又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:52と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:65と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(vi)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:53又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:53と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:65と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(vii)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:54又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:54と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:65と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(viii)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:55又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:55と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:67と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(ix)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:56又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:56と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:67と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(x)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:57又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:57と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:68又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:68と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(xi)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:58又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:58と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:69又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:69と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(xii)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:59又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:59と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:65と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(xiii)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:60又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:60と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:65と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(xiv)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:61又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:61と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:65と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(xv)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:62と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:67と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(xvi)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:63又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:63と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:65と少なくとも90%の配列同一性を有するか、
(xvii)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:64又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:64と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:67と少なくとも90%の配列同一性を有するか、或いは
(xviii)V
H及びV
Lを含み、前記V
Hは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:62と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記V
Lは、アミノ酸配列SEQ ID NO:70又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID
NO:70と少なくとも90%の配列同一性を有する、
請求項1に記載の単離された抗PcrV抗体。
【請求項3】
前記抗PcrV抗体は、Fcフラグメントを含む、
請求項1又は2に記載の単離された抗PcrV抗体。
【請求項4】
前記抗PcrV抗体は、全長のIgG抗体である、
請求項3に記載の単離された抗PcrV抗体。
【請求項5】
前記抗PcrV抗体は、全長のIgG1又はIgG4抗体である、
請求項4に記載の単離された抗PcrV抗体。
【請求項6】
前記抗PcrV抗体は、キメラ抗体、ヒト抗体又はヒト化抗体である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の単離された抗PcrV抗体。
【請求項7】
前記抗PcrV抗体は、Fab、Fab’、F(ab)’2、Fab’-SH、一本鎖抗体(scFv)、Fvフラグメント、dAb、Fd、及びダイアボディからなる群から選択される抗原結合性フラグメントである、
請求項1又は2に記載の単離された抗PcrV抗体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の単離された抗PcrV抗体をコードする、単離された核酸分子。
【請求項9】
請求項8に記載の単離された核酸分子を含む、ベクター。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載の単離された抗PcrV抗体、請求項8に記載の単離された核酸分子、又は請求項9に記載のベクターを含む、単離された宿主細胞。
【請求項11】
単離された抗PcrV抗体を調製する方法であって、
a)抗PcrV抗体を有効に発現する条件で請求項10に記載の単離された宿主細胞を培養すること、及び
b)前記宿主細胞から、発現された抗PcrV抗体を得ることを含む、単離された抗PcrV抗体の調製方法。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか1項に記載の単離された抗PcrV抗体、請求項8に記載の単離された核酸分子、請求項9に記載のベクター、又は請求項10に記載の単離された宿主細胞と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項13】
必要とする個体における病原菌感染の治療薬の製造における、請求項1~7のいずれか1項に記載の単離された抗PcrV抗体、請求項8に記載の単離された核酸分子、請求項9に記載のベクター、請求項10に記載の単離された宿主細胞、又は請求項12に記載する医薬組成物の使用。
【請求項14】
前記感染は、グラム陰性菌感染である、
請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記グラム陰性菌は、緑膿菌である、
請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記病原菌感染は、緑膿菌感染による症状の一種又は複数種を含む、
請求項13~15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
前記症状は、熱、悪寒、疲労、筋肉及び関節の痛み、関節の腫れ、頭痛、下痢、皮膚発疹、創傷の膿、細菌血症、急性肺炎、腹腔内感染、呼吸器感染、敗血症性ショック、化膿性関節炎、腸炎、皮膚及び軟組織感染、尿路感染、腸感染、潰瘍性角膜炎、慢性化膿性中耳炎、乳様突起炎、副鼻腔炎、及び心内膜炎のうちの一種又は複数種を含む、
請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記単離された抗PcrV抗体、前記単離された核酸分子、前記ベクター、前記単離された宿主細胞、又は前記医薬組成物は抗生物質とともに投与するために使用されるものである、
請求項13~17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記抗生物質は、イミペネム、トブラマイシン、シプロフロキサシン、メロペネム、及びアズトレオナムのうちの一種又は複数種である、
請求項18に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【ASCIIテキストファイルでの配列表の提出】
【0001】
以下に提出されるASCIIテキストファイルにおける内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。配列表のコンピュータ可読形態(CRF)(ファイル名:710262000340SEQLIST.txt;記録日:2019年3月31日;サイズ:47KB)
【技術分野】
【0002】
本発明は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa,PA)PcrVを特異的に認識する抗体、その調製方法及び使用に関するものであり、当該使用には、それを用いてシュードモナス菌感染を治療及び予防する方法を含む。
【背景技術】
【0003】
緑膿菌は、自然界に広く存在する、絶対好気性グラム陰性桿菌である。緑膿菌は、病原性が通常低いが、日和見感染を引き起こす病原菌であり、癌、糖尿病、免疫不全症などの様々な既存の疾患を有する患者や免疫抑制作用を示す医薬品を投与する患者によく発生する。皮膚粘膜が破れた患者は、緑膿菌に感染しやすく、そして、慢性構造性肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患や嚢胞性線維症)の患者にもかなりのリスクがある。緑膿菌は、肺炎、尿路感染症、敗血症などを引き起こすことが多く、深刻な結果をもたらすことがよくある。10%に至るまでの病院における感染は、緑膿菌に起因し、緑膿菌菌血症の患者の死亡率は、40%に近づいている。臨床分野において、緑膿菌感染は、治療が最も難しい感染症の1つと見なされている。緑膿菌自体は、既存の抗生物質に対する感受性が低いだけでなく、様々な抗生物質に対する耐性が高い傾向があるためである。従って、抗生物質ライブラリーを開発する戦略は、緑膿菌感染に対する対応においてメリットが限られている。
【0004】
緑膿菌は、病院における獲得感染、特に機械的に換気された患者における主な原因の1つであり、嚢胞性線維症患者の主な死因である。病気の重症度に関連する重要な病原性因子は、細菌毒素を宿主細胞の細胞質に直接注入する緑膿菌III型分泌システム(T3SS)である。緑膿菌は、緑膿菌III型分泌システム(T3SS)で毒素を真核細胞に注入することによって、高い細胞毒性を発揮する。PcrVは、III型分泌システムを構成するタンパク質であり、294残基(NCBI受託番号:AAC45935,SEQ ID NO:71)からなる。そして、当該タンパク質をコードするオペロン配列は公開されている(US 6,551,795,Yahr,T.L.et al.,J.Bacteriol.,1997,vol.179,p.7165)。T3SSインジェクティソーム複合体の先端に位置するPcrVタンパク質は、T3SS機能に必須であり、緑膿菌を標的とする免疫予防戦略の動物モデルで十分に検証された標的である。緑膿菌のT3SSは、この日和見病原菌による感染症へ介入するための十分に検証された標的である。動物モデルにおいて、T3SS成分タンパク質による能動ワクチン接種とPcrVを標的とする受動免疫療法との両方は、緑膿菌による疾患を強力に軽減する。PcrVの制御は、緑膿菌感染を制御する治療手段(T.Sawa et al.,Nature Medicine,1999,vol.5,p.392)を導く可能性があるため、PcrVに対して中和活性を有するポリクローナル抗体(Shime N et al.,J.Immunol.2001,vol.167,p.5880,Imamura Y et al.,Eur.Respir.J.,2007,Vol.29,p.965)及びモノクローナル抗体(WO2002064161A2,Karine Faure et al.,J.Immune.Based.Therapies and Vaccines,2003,Vol.1,Dara W.Frank et al.,J.Infect.Disease,2002, Vol.186,p.64)が報告された。しかし、ポリクローナル抗体は、抗原性を改善することが困難であるため、ヒト化すること及び医薬組成物として使用することは困難である。V2L2と呼ばれるPcrVに対する抗体は、Warrener et al.,2014,Antimicrob.Agents Chemother.,58,4384-4391に記載されている。PcrV特異的マウスモノクローナル抗体MAB166に基づく抗PcrVモノクローナル抗体のペグ化されたFabフラグメントは、機械的に換気された患者において緑膿菌呼吸器感染症の予防に対して不活性である。MAB166は、インビトロで緑膿菌T3SSを効果的にブロックすることができるが、動物モデルにおいて保護のために比較的高い抗体用量を必要とする。本願は、インビトロ及びインビボでPcrVの強力な阻害を示した新規の抗PcrVモノクローナル抗体を提供する。
【0005】
本明細書で言及された全ての刊行物、特許、特許出願及び公開された特許出願に記載された内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0006】
本願は、シュードモナス菌PcrV上のエピトープに特異的に結合する単離された抗PcrV抗体、及びそのシュードモナス菌感染を治療するための方法を提供する。
【0007】
本願の一態様では、シュードモナス菌PcrV上のエピトープに特異的に結合する単離された抗PcrV抗体を提供し、前記エピトープは、シュードモナス菌PcrVのGln160、Asp165、Asp170、Asp173、Thr175及びSer202からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのアミノ酸残基を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体がシュードモナス菌PcrVに結合するKd値は、約0.1pM~1nMである。
【0008】
本願の一態様では、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHは、X1X2X3MS(SEQ ID NO:39)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がD又はSであり、X2がY又はNであり、X3がP、H、Y又はSである重鎖相補性決定領域(HC-CDR)1と、X1ISESGGSTX2X3ADSVKG(SEQ ID NO:40)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がG又はVであり、X2がN又はYであり、X3がD又はYであるHC-CDR2と、GRFX1X2X3X4X5X6FX7RAVYGMDV(SEQ ID NO:41)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がS又はCであり、X2がT、G、D、Y、Q又はAであり、X3がS、D、N、E、L、A又はYであり、X4がS、T、Y又はAであり、X5がS、H、Q、A、R、K、G、E、Y又はDであり、X6がH又はCであり、X7がF又はYであるHC-CDR3とを含み、前記VLは、RASQGIX1SYLA(SEQ ID NO:42)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がS又はRである軽鎖相補性決定領域(LC-CDR)1と、AASTLQS(SEQ ID NO:34)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含むLC-CDR2と、QQLX1SYPLX2(SEQ ID NO:43)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がS、N又はKであり、X2がS又はTであるLC-CDR3とを含む、単離された抗PcrV抗体を提供する。
【0009】
いくつかの実施例において、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHは、DX1X2MS(SEQ ID NO:44)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がN又はYであり、X2がP、H又はYである重鎖相補性決定領域(HC-CDR)1と、X1ISESGGSTNYADSVKG(SEQ ID NO:45)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がG又はVであるHC-CDR2と、GRFSTX1SX2HFX3RAVYGMDV(SEQ ID NO:46)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がN、S、D又はLであり、X2がS又はAであり、X3がF又はYであるHC-CDR3とを含み、前記VLは、RASQGISSYLA(SEQ ID NO:32)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含む軽鎖相補性決定領域(LC-CDR)1と、AASTLQS(SEQ ID NO:34)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含むLC-CDR2と、QQLSSYPLX1(SEQ ID NO:47)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がS又はTであるLC-CDR3とを含む、単離された抗PcrV抗体を提供する。いくつかの実施例において、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:48~64のいずれか1つで示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:65~70のいずれか1つで示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む、単離された抗PcrV抗体を提供する。
【0010】
いくつかの実施例において、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:1~8のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:9~14のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:15~31のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:32~33のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:35~38のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含むLC-CDR3とを含む、上記のいずれか1つの単離された抗PcrV抗体を提供する。
【0011】
いくつかの実施例において、(i)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:15を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(ii)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:16を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(iii)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:17を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:36を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(iv)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:18を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(v)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:19を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(vi)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:11を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:20を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(vii)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:4を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:21を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(viii)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:5を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:22を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(ix)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:6を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:23を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(x)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:12を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:24を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:33を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(xi)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:25を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(xii)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(xiii)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:27を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(xiv)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:28を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(xv)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、
前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(xvi)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:30を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(xvii)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:8を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:14を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、或いは(xviii)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:38を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む、上記のいずれか1つの単離された抗PcrV抗体を提供する。
【0012】
いくつかの実施例において、(i)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:18を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(ii)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:19を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、(iii)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:28を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含むか、或いは(iv)VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む、上記のいずれか1つの単離された抗PcrV抗体を提供する。
【0013】
いくつかの実施例において、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:48~64のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NOs:48~64のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:65~70のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NOs:65~70のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性を有する、上記のいずれか1つの単離された抗PcrV抗体。いくつかの実施例において、単離された抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:51~52及び61~62のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NOs:51~52及び61~62のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65若しくは67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65若しくは67と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記単離された抗PcrV抗体は、(i)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:48を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含むか、(ii)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:49を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含むか、(iii)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:50を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:66を含むか、(iv)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:51を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含むか、(v)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:52を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含むか、(vi)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:53を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含むか、(vii)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:54を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含むか、(viii)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:55を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含むか、(ix)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:56を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含むか、(x)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:57を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:68を含むか、(xi)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:58を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:69を含むか、(xii)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:59を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含むか、(xiii)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:60を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含むか、(xiv)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:61を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含むか、(xv)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含むか、(xvi)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:63を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含むか、(xvii)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:64を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含むか、或いは(xviii)VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:70を含む。
【0014】
いくつかの実施例において、上記のいずれか1つの単離された抗PcrV抗体と競合的にPcrVに特異的に結合する、単離された抗PcrV抗体を提供する。いくつかの実施例において、上記のいずれか1つの単離された抗PcrV抗体と同じエピトープに特異的に結合する、単離された抗PcrV抗体を提供する。
【0015】
いくつかの実施例において、Fcフラグメントを含む上記のいずれか1つの単離された抗PcrV抗体を提供する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、全長のIgG抗体である。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、全長のIgG1又はIgG4抗体である。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、キメラ抗体、ヒト抗体又はヒト化抗体である。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、Fab、Fab’、F(ab)’2、Fab’-SH、一本鎖抗体(scFv)、Fvフラグメント、dAb、Fd、及びダイアボディからなる群から選択される抗原結合性フラグメントである。
【0016】
いくつかの実施例において、上記のいずれか1つの単離された抗PcrV抗体をコードする単離された核酸分子を提供する。いくつかの実施例において、上記のいずれか1つの単離された核酸分子を含む、ベクターを提供する。いくつかの実施例において、上記のいずれか1つの単離された抗PcrV抗体、上記のいずれか1つの単離された核酸分子、又は上記のいずれか1つのベクターを含む、宿主細胞を提供する。いくつかの実施例において、a)抗PcrV抗体を有効に発現する条件で上記のいずれか1つの宿主細胞を培養すること、及びb)宿主細胞から、発現された抗PcrV抗体を得ることを含む、抗PcrV抗体を調製する方法を提供する。
【0017】
いくつかの実施例において、有効量の上記のいずれか1つの抗PcrV抗体又は上記のいずれか1つの抗PcrV抗体を含む医薬組成物を個体へ投与することを含む、必要とする個体における疾患又は病症を治療及び/又は予防する方法を提供する。いくつかの実施例において、上記のいずれか1つの抗PcrV抗体又は上記のいずれか1つの抗PcrV抗体を含む医薬組成物の、疾患又は病症を治療するための医薬品の調製における使用を提供する。いくつかの実施例において、疾患又は病症は、病原菌感染である。いくつかの実施例において、感染は、グラム陰性菌感染である。いくつかの実施例において、前記細菌は、緑膿菌である。いくつかの実施例において、疾患又は病症は、緑膿菌感染による症状の一種又は複数種を含む。いくつかの実施例において、症状は、熱、悪寒、疲労、筋肉及び関節の痛み、関節の腫れ、頭痛、下痢、皮膚発疹、創傷の膿、細菌血症、急性肺炎、及び腹腔内感染のうちの一種又は複数種を含む。
【0018】
いくつかの実施例において、治療薬の一種又は複数種を投与することをさらに含む上記のいずれか1つの治療方法を提供する。いくつかの実施例において、治療薬の少なくとも一種は、抗生物質である。いくつかの実施例において、抗生物質は、イミペネム、トブラマイシン、シプロフロキサシン、メロペネム、及びアズトレオナムのうちの一種又は複数種である。
【0019】
上記のいずれか1つの抗PcrV抗体、上記のいずれか1つの核酸、上記のいずれか1つのベクター、上記のいずれか1つの単離された宿主細胞を含む医薬組成物、試薬キット及び製品をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1A~1Bは、親13-42モノクローナル抗体及び参照抗体V2L2-MDと比較して、リード最適化抗体のRBC溶解を阻害する能力を示す。
【
図2】
図2A~2Bは、親13-42モノクローナル抗体と比較して、リード最適化抗体のA549細胞溶解を阻害する能力を示す。
【
図3】
図3は、参照抗体Mab166及びV2L2-MDと比較して、ELISAによって計測されたリード最適化抗体7B1、7C1、8C1及び6D10のBV粒子に対する交差反応を示す。
【
図4】
図4A~4Eは、FACSによって計測された13-42モノクローナル抗体並びに最適化抗体7B1、7C1、8C1及び6D10のPcrV陰性であるA549細胞に対する交差反応を示す。
【
図5】
図5A、5B及び5Cは、それぞれ、親13-42モノクローナル抗体及び参照抗体V2L2-MDと比較して、最適化抗体7B1、7C1及び8C1の菌株O1-52/66(
図5A)、O16-177/81(
図5B)及びO6-57/66(
図5C)によるRBC溶解を阻害する能力を示す。
【
図6】
図6A~6Dは、それぞれ、親13-42モノクローナル抗体と比較して、最適化抗体7B1、7C1及び8C1の菌株O1-52/66(
図6A)、O6-57/66(
図6B)、O16-177/81(
図6C)及びO11-PA103(
図6D)によるA549細胞溶解を阻害する能力を示す。
【
図7】
図7Aは、親13-42モノクローナル抗体と比較して、リード最適化抗体7B1、7C1及び3G3のマウス急性肺炎モデル(PA103菌株,1×LD90)において生存率を予防的に向上させる能力を示す。
図7Bは、親13-42モノクローナル抗体と比較して、リード最適化抗体7B1、7C1及び3G3のマウス急性肺炎モデル(PA103菌株,2×LD90)において生存率を予防的に向上させる能力を示す。
【
図8】
図8A~8Bは、親13-42モノクローナル抗体、参照抗体V2L2-MD並びにリード最適化抗体7B1、7C1、8C1及び6D10のマウス急性肺炎モデルにおいて緑膿菌の臓器負担を予防的に低下させる能力を示す。
【
図9】
図9は、親13-42モノクローナル抗体と比較して、リード最適化抗体7B1、7C1及び8C1のマウス腹腔内感染モデル(57/66菌株,3×LD90)において生存率を予防的に向上させる能力を示す。
【
図10】
図10は、親13-42モノクローナル抗体と比較して、リード最適化抗体7B1、7C1及び8C1の免疫不全マウス急性肺炎モデル(57/66菌株,1×LD90)において生存率を予防的に向上させる能力を示す。
【
図11】
図11A~11Bは、参照抗体V2L2-MDと比較して、リード最適化抗体7B1、7C1、8C1及び6D10のマウス急性肺炎モデル(PA103菌株,1×LD90)において生存率を治療的に向上させる能力を示す。
【
図12】
図12A~12Bは、単独で、或いは抗生物質であるメロペネム(MEM)、トブラマイシン(TOB)又はシプロフロキサシン(CIP)と組み合わせて投与する時、リード最適化抗体7B1及び8C1のマウス腹腔内感染モデル(PA103菌株,3×LD90)において生存率を予防的に向上させる能力を示す。
【
図13】
図13A~13Bは、それぞれ、静脈内投与量が3mg/kg又は30mg/kgである時、最適化抗体7B1、7C1、8C1、6D10又は参照抗体V2L2-MDのラットにおける薬物動態プロファイルを示す。
【
図14】
図14A~14Dは、ELISAによって計測された最適化抗体7B1の野生型PcrV及び例示的なアミノ酸残基の突然変異を有するPcrVに対する結合親和性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一態様では、抗PcrV抗体を提供する。scFvファージライブラリでのスクリーニング、親和性成熟及び適切にデザインされた生化学と生物学実験の組合せにより、PcrVに結合できる効力のある抗体分子を同定し、前記抗体は、赤血球及びA549細胞の溶解を阻害することができ、また、生体内に緑膿菌に対する治療的及び予防的な保護を提供することができる。本明細書に提供された結果から、既知の抗PcrV抗体Mab166又はV2L2-MDと比較して、本発明に記載の抗体は、PcrVの異なる領域又はエピトープに結合することが分かっており、そして、驚いたことは、様々な生物学実験で、それらが既知の抗PcrV抗体よりも更に効果的であることが明らかになった。
【0022】
本発明に提供の抗PcrV抗体は、例えば、全長の抗PcrV抗体、抗PcrV一本鎖抗体(scFvs)、抗PcrV Fc融合タンパク質、多重特異性(例えば、二重特異性)抗PcrV抗体、抗PcrV免疫結合体などを含む。
【0023】
本発明の一態様では、シュードモナス菌PcrV上のエピトープに特異的に結合する単離された抗PcrV抗体を提供し、ここで、前記エピトープは、シュードモナス菌PcrVのGln160、Asp165、Asp170、Asp173、Thr175及びSer202からなる群から選択される1、2、3、4、5又は6つのアミノ酸残基を含む。
【0024】
本発明は、また、特異的配列を有する抗PcrV抗体、及びこれらの抗体と競合するか、又は同じエピトープに結合する抗体を提供する。
【0025】
本発明は、また、抗PcrV抗体をコードする核酸、抗PcrV抗体を含む組成物、並びに抗PcrV抗体を調製及び使用する方法を提供する。
定義
【0026】
本明細書に記載されるように、「治療(treatment)」又は「治療している(treating)」は、有利的又は所望的な臨床結果を含む結果を得る方法である。本発明の目的に鑑み、前記有利的又は所望的な臨床結果は、疾患による一種又は複数種の症状を緩和すること、疾患の程度を軽減すること、疾患を安定すること(例えば、疾患の悪化を予防又は遅延)、疾患の拡散を予防又は遅延すること(例えば、病原菌の全身拡散)、疾患の再発を予防又は遅延すること、疾患の進みを遅延又は遅らせること、疾患の状態を改善すること、疾患(一部又は全部)を緩和すること、疾患の治療に必要する一種又は複数種の他の薬物の量を減少すること、疾患の進みを遅延すること、生存質量を改善又は向上すること、体重を増加すること、及び/又は生存期間を延長すること、から選択される一種又は複数種を含むが、これらに限定されない。同時に、「治療」は、また、感染症の病理学的結果の減少(例えば、宿主細胞の溶解又は壊死)を含む。本発明の方法は、これらの治療のいずれか1つ又は複数を考慮する。
【0027】
「予防する(prevent)」という用語及び「予防した(prevented)」、「予防している(preventing)」、「予防(prevention)」などのような類似の単語は、疾患又は病症(例えば、病原体の感染)の発生又は再発の可能性を予防、阻害又は減少する方法を示す。それは、さらにある疾患又は病症の発生又は再発を遅延すること、或いはある疾患又は病症の症状の発生又は再発を遅延することを指す。ここで用いられるように、「予防(prevention)」及び類似の単語は、さらに疾患又は病症の発生又は再発の前にその強度、影響、症状及び/又は負担を軽減することを含む。ここで用いられるように、「予防(prevention)」及び類似の単語は、さらに疾患又は病症の発生又は再発のリスク及び感受性、例えば病原体の感染を減少することを含む。
【0028】
「抗体」という用語は、全長の抗体及びその抗原結合性フラグメントを含む。全長の抗体は、重鎖二本及び軽鎖二本を含む。重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、抗原との結合を担当する。二本の鎖における可変領域は、一般的に3つの高度可変ループを含む。そのループは、相補性決定領域(CDRs)と称する(軽鎖(LC)CDRsは、LC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3とを含み、重鎖(HC)CDRsは、HC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含む。)。本願に記載の抗体又は抗原結合性フラグメントのCDR境界は、Kabat、 Chothia又はAl-Lazikaniの慣例により定義又は認識される(Al-Lazikani 1997;Chothia 1985;Chothia 1987;Chothia 1989;Kabat 1987;Kabat 1991)。重鎖又は軽鎖の3つのCDR領域は、フレームワーク領域(FRs)と称されるフランキング領域の間に挿入され、前記フレームワーク領域(FRs)はCDR領域よりさらに高度な保存性を持ち、高度可変ループを支持する足場を形成する。重鎖の定常領域及び軽鎖の定常領域は、抗原結合に参加しないが、多種の効果機能を示す。抗体は、それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に基づいて分類される。抗体の5つの主なクラス又はアイソタイプは、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMであり、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMは、それぞれα、δ、ε、γ及びμ型重鎖を有することを特徴とする。いくつの主なクラスは、サブクラス、例えば、IgG1(γ1重鎖)、IgG2(γ2重鎖)、IgG3(γ3重鎖)、IgG4(γ4重鎖)、IgA1(α1重鎖n)又はIgA2(α2重鎖)に分類される。
【0029】
本明細書に記載されるように、「抗原結合性フラグメント」という用語は、例えば、ダイアボディ(diabody)、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、ジスルフィド安定化Fvフラグメント(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv-dsFv’)、ジスルフィド安定化ダイアボディ(dsダイアボディ)、一本鎖抗体(scFv)、scFvダイマー(二価ダイアボディ)、一つ以上のCDRsを含む抗体フラグメントからなる多重特異性抗体、単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、二価ドメイン抗体、又は抗原に結合できるが、完全な抗体構造を含まない任意の他の抗体フラグメントを含む抗体フラグメントを指す。抗原結合性フラグメントは、前記抗体フラグメントを含む融合タンパク質をさらに含有する。抗原結合性フラグメントは、親抗体又は親抗体フラグメント(例えば、親scFv)と同じ抗原に結合できる。いくつかの実施例において、抗原結合性フラグメントは、一つ以上の異なるヒト抗体からのフレームワーク領域に移植された特定のヒト抗体からの一つ以上のCDRsを含み得る。
【0030】
本明細書に記載されるように、「エピトープ」という用語は、抗体又は抗体部分に結合する抗原上の特定の原子又はアミノ酸のグループを指す。2つの抗体又は抗体部分が抗原に対する競合的結合を示す場合、それらは、抗原内の同じエピトープに結合し得る。
【0031】
本明細書に記載されるように、第一抗体は、等モル濃度の第一抗体の存在下で、第二抗体の標的PcrV結合を少なくとも50%(例えば、少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は99%)を阻害する場合、PcrV標的への結合について、第二抗体と「競合する」、またはその逆である。PCT刊行物であるWO 03/48731には、抗体交差競合に基づくハイスループット抗体の「エピトープ分類」の方法が記載されている。
【0032】
本明細書に記載されるように、「特異的に結合」、「特異的に認識」又は「…にとって特異的である」という用語は、測定可能及び再現可能な相互作用、例えば、生体分子を含む異種分子集団の存在下で標的の存在を決定する標的と抗体との間の結合を指す。例えば、抗体がある標的(エピトープであっても良い)を特異的に認識できるとは、当該抗体と他の標的との結合と比べて、当該抗体と当該標的との結合には、より高い親和性があり、より高い結合力があり、より容易でより長い持続時間があると指す。いくつかの実施例において、抗原を特異的に認識する抗体は、他の標的に対するその結合親和性の少なくとも10倍の結合親和性で、抗原の1つまたは複数の抗原決定基と反応する。
【0033】
本明細書に記載されるように、「単離された」抗PcrV抗体は、(1)天然に存在するタンパク質とは無関係であり、(2)同じ供給源由来の他のタンパク質を含まなく、(3)異種由来の細胞によって発現され、又は(4)自然界に存在しない抗PcrV抗体を指す。
【0034】
本明細書に記載されるように、「単離された核酸」という用語は、ゲノム、cDNA又は合成由来の核酸、或いはそれらの組合を指す。その起源によれば、前記「単離された核酸」は、(1)天然に見出された「単離された核酸」におけるポリヌクレオチドの全部又は一部とは無関係であり、(2)天然状態でそれと連結していないポリヌクレオチドと作動可能に連結しており、又は(3)より大きい配列の一部として天然に存在しないものを指す。
【0035】
本明細書に記載されるように、「CDR」又は「相補性決定領域」という用語は、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの可変領域に見出される非連続抗原結合部位を指す。Kabat et al.,J.Biol.Chem.252:6609-6616(1977);Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,「Sequences of proteins of immunological interest」(1991)、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)、Al-Lazikani B.et al.,J. Mol.Biol.,273:927-948(1997)、MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)、Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.,45:3832-3839(2008)、Lefranc M.P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27:55-77(2003)、及びHonegger and Pluckthun,J.Mol.Biol.,309:657-670(2001)には、既にこれらの特定の領域が説明しており、お互いに比較する場合、これらの定義は、アミノ酸残基の重複又はサブセットを含む。しかしながら、抗体又は移植抗体又はその変異体のCDRに対するあらゆる定義方式は、本明細書に定義及び使用される用語の範囲にあることが意図される。上記参照文献の各々に定義されるCDRを含むアミノ酸残基は、比較として、表1に挙げられる。CDR予測アルゴリズム及びインターフェースは、本分野では既知であり、例えば、Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.,45:3832-3839(2008);Ehrenmann F.et al.,Nucleic Acids Res.,38:D301-D307(2010);及びAdolf-Bryfogle J.et al.,Nucleic Acids Res.,43:D432-D438(2015)を含む文献には、説明がある。本段落に引用された参考文献の内容は、本出願で使用するように、及び本願の1つ又は複数の特許請求の範囲に含めることができるように、全体として本明細書に組み込まる。
【表1】
【0036】
「キメラ抗体」という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の種に由来する抗体、又は特定の抗体クラス或いはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同であり、こ(れら)の鎖の残りは、他の種に由来する、又は他の抗体クラス或いはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は相同である抗体を指す。そして、このような抗体フラグメントは、本願の生物学的活性を有すればよく(U.S.Patent No.4,816,567;and Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984)を参照)。
【0037】
「Fv」は、インタクトな抗原認識及び結合部位を含む最小の抗体フラグメントである。当該フラグメントは、一つの重鎖可変ドメイン及び一つの軽鎖可変ドメインが緊密な非共有結合で連結されたダイマーである。この二つのドメインの折り畳みから、6つの高度可変ループ(軽鎖及び重鎖にはそれぞれ3つのループ)が生じられ、前記高度可変ループは、抗原結合のためのアミノ酸残基を提供し、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原特異的な3つのCDRsのみを含む半分Fvフラグメント)であっても、その親和性がインタクトな結合部位より低いにも関わらず、抗原を認識及び結合する能力を有する。
【0038】
「sFv」又は「scFv」とも称する「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に連結されたVH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインを含む抗体フラグメントを指す。いくつかの実施例において、scFvポリペプチドは、scFvが抗原結合の理想的な構造を形成させるための、VHとVLとの間の連結ポリペプチドをさらに含む。scFvの概要について、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照する。
【0039】
「ダイアボディ(diabodies)」という用語は、短いリンカー(例えば、5~10残基)を用いてVHとVLとの間にscFvフラグメント(前記段落の内容を参照)を構築することによって調製される小さな抗体フラグメントを指す。これによって、可変ドメインが鎖内対合ではなく、鎖間対合が達成され、2価のフラグメント、つまり二つの抗原結合部位を有するフラグメントが生成される。二重特異性のダイアボディは、二つの「クロスオーバー」scFvフラグメントのヘテロダイマーであり、中では、二つの抗体のVHドメイン及びVLドメインは、異なるポリペプチド鎖に位置する。EP 404,097;WO93/11161;Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)において、既にダイアボディに対して全面的に説明した。
【0040】
非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体に由来する最少の配列を含むキメラ抗体である。ヒト化抗体の大部分は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、レシピエント抗体の超可変領域(HVR)に由来する残基は、所望の抗体特異性、親和性及び性能を有する、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類動物の非ヒト種(ドナー抗体)に由来する超可変領域で置換される。ある特定の場合において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)における残基は、対応する非ヒト残基で置換される。なお、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも存在しない残基を含んでも良い。これらの修飾は、抗体の性能をさらに改善させることができる。通常、ヒト化抗体は、実質的に少なくとも1つ、一般的には2つの可変ドメインを含み、中では全て又は実質的に全ての高度可変ループは、全て非ヒト免疫グロブリンの高度可変ループに対応し、全て又は実質的に全てのフレームワーク領域はヒト免疫グロブリン配列である。ヒト抗体は、任意選択で、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域も含む。詳細は、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照すれば良い。
【0041】
本明細書に同定されるポリペプチド及び抗体配列の「アミノ酸配列同一性百分率(%)」又は「相同性」は、候補配列及び比較しようとするポリペプチド配列における同じアミノ酸残基の占める百分率として定義される。そして、配列を比較した後、配列同一性の一部としてアミノ酸残基のいずれかの保存的置換を考慮する。アミノ酸配列同一性の百分率は、本分野の技術的範囲内の様々な比較方法、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、Megalign(DNASTAR)、又はMUSCLEソフトウェアなどの公に利用可能なコンピューター ソフトウェアによって決定することができる。当業者は、比較された配列の全長にわたって最大の比較を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、測定や比較のための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本願の目的のために、アミノ酸配列同一性百分率の値は、配列比較コンピュータプログラムMUSCLE(Edgar, R.C., Nucleic Acids Research 32(5):1792-1797, 2004; Edgar, R.C., BMC Bioinformatics 5(1):113, 2004)を使用して生成されたものである。
【0042】
「Fc受容体」又は「FcR」という用語は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明するために用いられる。いくつかの実施例において、本願に記載されるFcRは、IgG抗体(γ受容体の一種)に結合するFcRであり、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子変異体及び選択的スプライシング形態も含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(活性化受容体)及びFcγRIIB(阻害受容体)を含む。FcγRIIA(活性化受容体)及びFcγRIIB(阻害受容体)は、類似のアミノ酸配列を有し、主には、細胞質ドメインで、異なるとこるがある。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン阻害モチーフ(ITIM)(M.in Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照)を含む。前記用語は、同種異型、例えばFcγRIIIA同種異型:FcγRIIIA-Phe158、FcγRIIIA-Val158、FcγRIIA-R131及び/又はFcγRIIA-H131をさらに含む。Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991)及びCapel et al.,Immunomethods 4:25-34(1994);及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330-41(1995)において、FcRsに対して説明した。本願におけるFcRとの用語は、将来特定されるFcRsを含む他のタイプのFcRsを含有する。FcRとの用語は、母体IgGsの新生児への移行を担当する新生児受容体FcRnも含む(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)and Kim et al.,J.Immunol.24:249(1994))。
【0043】
「FcRn」という用語は、新生児Fc受容体(FcRn)を指す。FcRnは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と構造で類似し、α鎖がβ2ミクログロブリンに非共有結合して構成される。新生児Fc受容体FcRnの複数の機能は、Ghetie and Ward(2000)Annu.Rev.Immunol.18,739-766.において説明されている。FcRnは、母親から新生児への免疫グロブリンIgGsの受動輸送及び血清IgGレベルの調節において重要な役割を果たす。FcRnは、レスキュー受容体として、細胞内及び細胞間で完全な形でエンドサイトーシスされたIgGを結合及び輸送し、デフォルトの分解経路からそれらをレスキューする。
【0044】
ヒトIgG Fc領域の「CH1ドメイン」は、通常、118位のアミノ酸から215位のアミノ酸まで延長する(EU番号付けシステム)。
【0045】
「ヒンジ領域」は、通常、ヒトIgG1の216位であるGluから230位であるPro(Burton,Molec.Immunol.22:161-206(1985))まで延長する範囲と定義される。重鎖間のジスルフィド結合を形成する最初と最後のシステイン残基をIgG1と同じ位置に配置することにより、他のIgGのアイソタイプのヒンジ領域をIgG1配列と比較させることができる。
【0046】
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」は、通常、231位のアミノ酸から340位のアミノ酸まで延長する。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対合しないという点で独特である。その代わりに、2つのN末端で連結された分岐糖鎖は、完全な形態の天然IgG分子の2つのCH2ドメインの間に挿入する。糖は、ドメインとドメインとの対合の置換物とすることができ、CH2ドメインの安定性に寄与すると推測される。Burton, Molec Immunol. 22:161-206(1985)。
【0047】
「CH3」ドメインは、Fc領域内でC末端残基からCH2ドメイン(341位のアミノ酸から抗体配列のC末端まで、通常はIgGの446又は447位目のアミノ酸残基)まで延長する部分を含む。
【0048】
「機能性Fcフラグメント」は、天然のFc領域の配列が有する「エフェクター機能」を備える。代表的な「エフェクター機能」は、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞障害作用(ADCC)、食作用、細胞表面受容体のダウンレギュレーション(例えば、B細胞受容体;BCR)等を含む。このようなエフェクター機能について、通常、Fc領域と結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)との組み合わせを必要とし、本分野で公知の様々な実験方法を利用して評価することができる。
【0049】
「変化した」FcR結合親和性又はADCC活性を有するIgG Fc変異体の抗体は、親ポリペプチド、又は天然のFc配列を含むポリペプチドと比較して、そのFcR結合活性及び/又はADCC活性が増加又は低減されている。FcRへの「結合が増強」を示すFc変異体は、親ポリペプチド、又は天然のIgG Fc配列を含むポリペプチドより、少なくとも一種のFcRに対してより高い親和性(例えば、より低い見かけのKd又はIC50値)を有する。いくつかの実施例において、結合能力は、親ポリペプチドより、約3倍を増加し、例えば、5、10、25、50、60、100、150、200倍、500倍まで高い、又は結合能力が25%~1000%のいずれを向上させる。FcRへの「結合が低減」を示すFc変異体は、親ポリペプチドより、少なくとも一種のFcRに対してより低い親和性(例えば、より高い見かけのKd又はIC50値)を有する。親ポリペプチドより、その結合能力が40%又はその以上を低下させる。
【0050】
「抗体依存性細胞障害作用」又は「ADCC」は、細胞毒性の一形態であり、分泌されたIgが、ある細胞毒性細胞(例えば、ナチュラルキラー細胞(NK)、好中球及びマクロファージ)に存在するFc受容体(FcRs)に結合し、これらの細胞毒性エフェクター細胞を、抗原を運ぶ標的細胞に特異的に結合させてから、細胞毒素を利用して標的細胞を殺すことを指す。抗体は細胞毒性細胞を「武装」させるのは、その毒性に必要である。ADCCを介在する主な細胞型において、NK細胞はFcγRIIIのみを発現し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92(1991)ページ464目のTable 3において、造血細胞でのFcR発現をまとめる。目的の分子のADCC活性を評価するために、イン・ビトロのADCC実験を行うことができ、これは米国特許No.5,500,362又は5,821,337において説明されている。このような実験に適したエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK)が含まれる。選択的に、目的の分子のADCC活性は、イン・ビボで評価してもよく、例えば、Clynes et al.PNAS(USA)95:652-656(1998)に開示された動物モデルにおいて説明されている。
【0051】
野生型IgG Fcを含むポリペプチド又は親ポリペプチドより、変異Fc領域を含むポリペプチドは、ヒトエフェクター細胞の存在下で、「増強されたADCC活性」を示すか、ADCC効果をより効果的に介在でき、変異Fc領域を含む前記ポリペプチドは、実験時、野生型IgG Fcを含むポリペプチド(又は親ポリペプチド)との量が実質的に同じである場合、イン・ビトロ又はイン・ビトロのいずれの状況でもADCCをより効果的に介在できる。通常、このような変異体は、本分野で既知のいずれのイン・ビトロのADCC実験方法で同定し、例えば、ADCCの活性を同定する、例えば動物モデル等を使用する実験と方法に用いられる。いくつかの実施例において、このような変異体は、野生型Fc(又は親ポリペプチド)と比較すると、ADCCを介在する効果は、5~100倍、例えば25~50倍が向上する。
【0052】
「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」とは、補体の存在下で標的細胞を溶解することを指す。代表的な補体経路の活性化は、補体システムの第一成分(C1q)と、相同抗原に結合する抗体(適切な構造を持つサブクラス)との結合によって開始される。補体の活性化を評価するために、例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163(1996)に説明されるCDC実験を行っても良い。米国特許No.6,194,551B1及びWO99/51642において、変化したFc領域アミノ酸配列、並びに、増加又は低減されたC1q結合能を有するポリペプチド変異体が説明されている。これらの特許刊行物の内容は、引用により、明確に本明細書に組み込まれる。また、Idusogie et al. J. Immunol. 164: 4178-4184(2000)を参照する。
【0053】
別に断らない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いに縮重し、且つ同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質又はRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンをさらに含んでもよく、例えば、タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、いくつかの形態においてイントロンを含む。
【0054】
「作動可能に連結」という用語は、調節配列と異種ヌクレオチド配列との間の機能的連結を指し、これにより、後者を発現させる。例えば、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列が機能的な関係である場合、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列は作動可能に連結される。例えば、プロモーターがコード配列の転写又は発現に影響を与える場合、当該プロモーターとコード配列は作動可能に連結される。通常、作動可能に連結されるDNA配列は連続的であり、必要に応じて、2つのタンパク質コード領域を同じオープンリーディングフレームにおいて連結できる。
【0055】
「相同性(Homologous)」とは、2つのポリペプチド間又は2つの核酸分子間の配列類似性又は配列同一性である。2つの比較される配列の同じ位置が同じ塩基又はアミノ酸モノマーサブユニットである場合、例えば、2つのDNA分子の同じ位置がいずれもアデニンである場合、2つのDNA分子はその位置で相同である。2つの配列間の相同性百分率とは、2つの配列において、位置の総数に対する、共有される一致又は相同位置の数の比に100を掛ける関数である。例えば、2つの配列において、10つの位置のうち6つが一致又は相同である場合、2つの配列の相同性は60%である。例えば、DNA配列ATTGCCとTATTGCの相同性は50%である。通常、2つの配列を比較する時、最大の相同性を得るために比較を行う。
【0056】
本明細書に記載の抗PcrV抗体又は組成物の「有効量」とは、特定の目的を達成するのに十分な量を指す。「有効量」は、経験、及び前記目的に関連する既知の方法によって決定することができる。
【0057】
「治療有効量」という用語とは、本明細書に記載の抗PcrV抗体又は組成物が個体の疾患又は障害を効果的に「治療」できる使用量を指す。緑膿菌感染の場合、本明細書に記載の抗PcrV抗体又は組成物の治療有効量は、感染の細胞の数を減らし、感染の拡大を阻害(即ち、ある程度で緩和又は好ましくは停止)し、及び/又は感染に関連する1つ以上の症状を緩和することができる量である。感染された場合、本明細書に記載の抗PcrV抗体又は組成物は、緑膿菌の生長を阻害すること及び/又は緑膿菌を殺すことができ、抗PcrV抗体は、細胞増殖抑制性又は細胞毒性があるものであり得る。いくつかの実施例において、治療有効量とは、患者において感染を阻害する量を指す。いくつかの実施例において、治療有効量とは、患者において感染を完全に根絶する量を指す。
【0058】
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容される」又は「薬理学的に適合性のある」とは、生物学的活性がなく、又は他の望ましくない特性を有しない材料であり、例えば、当該材料は、不良な生物効果を引き起こさないように、又は有害な方式で組成物に含まれる他の任意の成分と相互作用しないように、患者に投与される医薬組成物に添加することができる。薬学的に許容される担体又は賦形剤は、好ましくは、毒物学又は製造試験に必要な基準を満たし、及び/又は米国食品医薬品局によって編集された不活性成分ガイドに含まれている。
【0059】
本明細書に記載の本出願の実施例は、「…からなる」及び/又は「実質的に…からなる」の実施例を含むと理解されるべきである。
【0060】
本明細書に言及される「約」は、数値又はパラメータであり、当該数値又はパラメータ自体の変体も含む(及び説明する)。例えば、「約X」に関する説明は、「X」に対する説明を含む。
【0061】
本明細書に使用されるように、ある数値又はパラメータでは「ない(not)」に関する説明は、通常、当該数値又はパラメータ「以外(other than)」を意味して説明する。例えば、当該方法はX型感染の治療には使用できないとは、当該方法が通常、X型感染以外の種類の治療に使用されると意味する。
【0062】
別段で明確に説明しない限り、本明細書及び請求の範囲に使用される単数形「一つ」、「一個」及び「当該」は、複数の対象を含む。
抗PcrV抗体
【0063】
本発明の一態様では、PcrVに特異的に結合する抗PcrV抗体を提供する。前記抗PcrV抗体は、ヒト化抗体、キメラ抗体、マウス抗体、ヒト抗体、及び本明細書に記載の重鎖及び/又は軽鎖CDRsを含有する抗体分子を含むが、これらに限定されない。本発明の一態様では、PcrVに特異的に結合する単離された抗体を提供する。予想の抗PcrV抗体は、例えば、全長の抗PcrV抗体(例えば全長のIgG1、IgG2又はIgG4)、抗PcrV一本鎖抗体、多重特異性(例えば、二重特異性)抗PcrV抗体、抗PcrV免疫結合体などを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体は、Fab、Fab’、F(ab)’2、Fab’-SH、一本鎖抗体(scFv)、Fvフラグメント、dAb、Fd、ナノボディ、ダイアボディ(diabody)又は線状抗体である。いくつかの実施例において、PcrVに特異的に結合する抗体とは、PcrVに対する抗体の結合親和性が、非標的への結合の結合親和性より少なくとも10倍以上(例えば、10、102、103、104、105、106、又は107倍を含む)であることを指す。いくつかの実施例において、非標的とは、PcrVの抗原ではないことを指す。結合親和性は、例えば、ELISA、蛍光活性化セルソーティング(FACS)分析、又は放射性免疫沈降分析(RIA)などの本分野で既知の方法によって測定することができる。Kd値は、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)技術又はバイオレイヤー干渉技術(BLI)などの本分野で既知の方法によって測定することができる。
【0064】
いくつかの実施例において、シュードモナス菌PcrVに特異的に結合する前記抗PcrV抗体又は抗原結合性フラグメントは、(a)緑膿菌のオプソニン食作用性殺傷(OPK)を促進、介在又は増強し、及び/又は(b)III型毒素分泌システムの活性を破壊する。
【0065】
本明細書では、ヒト配列を含む抗PcrV抗体(例えば、ヒトCDR配列を含むヒト重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメイン)について詳しく説明しているが、同時に非ヒト抗PcrV抗体も熟慮されている。いくつかの実施例において、非ヒト抗PcrV抗体は、本明細書に記載の抗PcrV抗体のヒトCDR配列及び非ヒトフレームワーク領域配列を含む。いくつかの実施例において、非ヒトフレームワーク領域配列は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ(例えば、ウシ、オウシ、スイギュウ)、シカ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、フェレット、霊長類(例えば、コザル、マカク)などの哺乳類動物を含む、本明細書に記載の一種以上のヒトCDR配列を利用して合成重鎖及び/又は軽鎖可変ドメインを形成するために使用され得る任意の配列を含む。いくつかの実施例において、非ヒト抗PcrV抗体は、本明細書に記載の一種以上のヒトCDR配列を非ヒトフレームワーク配列(例えば、マウス又はニワトリのフレームワーク配列)に移植することによって産生される抗PcrV抗体を含む。
【0066】
いくつかの実施例において、例示的なPcrVタンパク質の完全なアミノ酸配列は、アミノ酸配列SEQ ID NO:71を含むか、又はアミノ酸配列SEQ ID NO:71からなる。いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrV上のエピトープに特異的に認識する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrVに特異的であり、種交差反応性または他の種類の非シュードモナス菌タンパク質交差反応性を示しない。
【0067】
いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrVにおける線状エピトープに特異的に結合する。いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrVにおける非線状エピトープに特異的に結合する。いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrV上のエピトープに特異的に結合し、アミノ酸配列SEQ ID NO:71に従って、前記エピトープがシュードモナス菌PcrVのGln160、Asp165、Asp170、Asp173、Thr175及びSer202からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのアミノ酸残基を含む。いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrV上のエピトープに特異的に結合し、アミノ酸配列SEQ ID NO:71に従って、前記エピトープがシュードモナス菌PcrVのGln160、Asp165、Asp170、Asp173、Thr175及びSer202からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸残基を含む。いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrV上のエピトープに特異的に結合し、アミノ酸配列SEQ ID NO:71に従って、前記エピトープがシュードモナス菌PcrVのGln160、Asp165、Asp170、Asp173、Thr175及びSer202からなる群から選択される少なくとも3つのアミノ酸残基を含む。いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrV上のエピトープに特異的に結合し、アミノ酸配列SEQ ID NO:71に従って、前記エピトープがシュードモナス菌PcrVのGln160、Asp165、Asp170、Asp173、Thr175及びSer202からなる群から選択される少なくとも4つのアミノ酸残基を含む。いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrV上のエピトープに特異的に結合し、アミノ酸配列SEQ ID NO:71に従って、前記エピトープがシュードモナス菌PcrVのGln160、Asp165、Asp170、Asp173、Thr175及びSer202からなる群から選択される少なくとも5つのアミノ酸残基を含む。いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrV上のエピトープに特異的に結合し、アミノ酸配列SEQ ID NO:71に従って、前記エピトープがシュードモナス菌PcrVのGln160、Asp165、Asp170、Asp173、Thr175及びSer202を含む。
【0068】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、重鎖定常領域及び軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、IgG1型重鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、IgG2型重鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、IgG3型重鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、IgG4型重鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、前記IgGとは、ヒトIgGを指す。いくつかの実施例において、前記重鎖定常領域は、アミノ酸配列SEQ ID NO:73を含むか、又はアミノ酸配列SEQ ID NO:73からなる。いくつかの実施例において、前記重鎖定常領域は、アミノ酸配列SEQ ID NO:74を含むか、又はアミノ酸配列SEQ ID NO:74からなる。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、λ軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、κ軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、前記軽鎖定常領域は、アミノ酸配列SEQ ID NO:72を含むか、又はアミノ酸配列SEQ ID NO:72からなる。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、抗体重鎖可変ドメイン及び抗体軽鎖可変ドメインを含む。
【0069】
本発明の一態様では、単離された抗PcrV抗体を提供し、前記抗PcrV抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHは、X1X2X3MS(SEQ ID NO:39)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がD又はSであり、X2がY又はNであり、X3がP、H、Y又はSである重鎖相補性決定領域(HC-CDR)1と、X1ISESGGSTX2X3ADSVKG(SEQ ID NO:40)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がG又はVであり、X2がN又はYであり、X3がD又はYであるHC-CDR2と、GRFX1X2X3X4X5X6FX7RAVYGMDV(SEQ ID NO:41)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がS又はCであり、X2がT、G、D、Y、Q又はAであり、X3がS、D、N、E、L、A又はYであり、X4がS、T、Y又はAであり、X5がS、H、Q、A、R、K、G、E、Y又はDであり、X6がH又はCであり、X7がF又はYであるHC-CDR3とを含み、前記VLは、RASQGIX1SYLA(SEQ ID NO:42)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がS又はRである軽鎖相補性決定領域(LC-CDR)1と、AASTLQS(SEQ ID NO:34)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含むLC-CDR2と、QQLX1SYPLX2(SEQ ID NO:43)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がS、N又はKであり、X2がS又はTであるLC-CDR3とを含む。
【0070】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:1~8のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個(例えば1個、2個又は3個)のアミノ酸置換を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:9~14のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個(例えば1個、2個又は3個)のアミノ酸置換を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:15~31のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個(例えば1個、2個又は3個)のアミノ酸置換を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32若しくは33又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個(例えば1個、2個又は3個)のアミノ酸の置換を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個(例えば1個、2個又は3個)のアミノ酸の置換を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:35~38のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個(例えば1個、2個又は3個)のアミノ酸の置換を含むLC-CDR3とを含む。
【0071】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:1~8のいずれか1つを含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:9~14のいずれか1つを含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:15~31のいずれか1つを含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32又は33を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:35~38のいずれか1つを含むLC-CDR3とを含む。
【0072】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:48~64のいずれか1つで示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:65~70のいずれか1つで示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0073】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:48~64のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NOs:48~64のいずれか1つと少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:65~70のいずれか1つ又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NOs:65~70のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:48~64のいずれか1つを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:65~70のいずれか1つを含む。
【0074】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、全長の抗体である。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、IgG1型定常ドメインを含む。いくつかの実施例において、前記IgG1とは、ヒトIgG1を指す。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、IgG4型定常ドメインを含む。いくつかの実施例において、前記IgG4とは、ヒトIgG4を指す。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体の重鎖定常領域は、アミノ酸配列SEQ ID NO:73を含むか、又はアミノ酸配列SEQ ID NO:73からなる。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体の重鎖定常領域は、アミノ酸配列SEQ ID NO:74を含むか、又はアミノ酸配列SEQ ID NO:74からなる。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体の軽鎖定常領域は、アミノ酸配列SEQ ID NO:72を含むか、又はアミノ酸配列SEQ ID NO:72からなる。
【0075】
いくつかの実施例において、単離された抗PcrV抗体を提供し、前記抗PcrV抗体は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含み、前記VHは、DX1X2MS(SEQ ID NO:44)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がN又はYであり、X2がP、H又はYである重鎖相補性決定領域(HC-CDR)1と、X1ISESGGSTNYADSVKG(SEQ ID NO:45)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がG又はVであるHC-CDR2と、GRFSTX1SX2HFX3RAVYGMDV(SEQ ID NO:46)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がN、S、D又はLであり、X2がS又はAであり、X3がF又はYであるHC-CDR3とを含み、前記VLは、RASQGISSYLA(SEQ ID NO:32)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含む軽鎖相補性決定領域(LC-CDR)1と、AASTLQS(SEQ ID NO:34)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含むLC-CDR2と、QQLSSYPLX1(SEQ ID NO:47)又はその変異体を含み、前記変異体が最大約3個のアミノ酸置換を含み、X1がS又はTであるLC-CDR3とを含む。
【0076】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO: 51で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:52で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、如アミノ酸配列SEQ ID NO:65で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:61で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0077】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:15を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0078】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:15を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:15を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:15を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0079】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:48又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:48と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:48を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:48で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0080】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:16を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0081】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:16を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:16を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:16を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0082】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:49又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:49と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:49を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:49で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0083】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:17を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:36を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0084】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:17を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:36を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:17を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:36を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:17を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:36を含むLC-CDR3とを含む。
【0085】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:50又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:50と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:66又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:66と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:50を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:66を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:50で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:66で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0086】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:18を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0087】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:18を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:18を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:18を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。
【0088】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:51又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:51と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:67と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:51を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:51で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0089】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:19を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0090】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:19を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:19を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:19を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0091】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:52又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:52と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:52を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:52で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0092】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:11を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:20を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0093】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:11を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:20を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:11を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:20を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:11を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:20を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0094】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:53又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:53と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:53を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:53で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0095】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:4を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:21を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0096】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:4を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:21を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:4を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:21を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:4を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:21を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0097】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:54又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:54と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:54を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:54で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0098】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:5を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:22を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0099】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:5を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:22を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:5を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:22を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:5を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:22を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。
【0100】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:55又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:55と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:67と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:55を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:55で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0101】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:6を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:23を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0102】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:6を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:23を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:6を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:23を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:6を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:23を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。
【0103】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:56又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:56と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:67と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:56を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:56で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0104】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:12を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:24を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:33を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0105】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:12を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:24を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:33を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:12を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:24を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:33を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:12を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:24を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:33を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0106】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:57又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:57と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:68又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:68と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:57を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:68を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:57で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:68で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0107】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:25を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0108】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:25を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:25を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:25を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。
【0109】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:58又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:58と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:69又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:69と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:58を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:69を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:58で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:69で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0110】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0111】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0112】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:59又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:59と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:59を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:59で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0113】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:27を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0114】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:27を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:27を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:27を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0115】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:60又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:60と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:60を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:60で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0116】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:28を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0117】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:28を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:28を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:28を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0118】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:61又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:61と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:61を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:61で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0119】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0120】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。
【0121】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:62と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:67と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0122】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:30を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0123】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:30を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:30を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:30を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0124】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:63又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:63と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:63を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:63で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0125】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:8を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:14を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0126】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:8を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:14を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:8を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:14を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:8を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:14を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。
【0127】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:64又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:64と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:67と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:64を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:64で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0128】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:38を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。
【0129】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:38を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と特異的に競合できる抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:38を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、以下のような抗体と同じエピトープに結合する抗PcrV抗体を提供し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:38を含むLC-CDR3とを含む。
【0130】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:62と少なくとも約90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%)の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:70又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:70と少なくとも約90%の配列同一性を有する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:70を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62で示されるVHに含まれるHC-CDR1、HC-CDR2及びHC-CDR3を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:70で示されるVLに含まれるLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3を含む。
【0131】
いくつかの実施例において、競合実験により、本明細書に記載の抗PcrV抗体と競合的にPcrVに結合するモノクローナル抗体を同定することができる。競合実験は、同じエピトープ又は空間上で重なるエピトープを認識すること、又は1つの抗体が競合的に別の抗体の抗原への結合を阻害することにより、2つの抗体が同じエピトープに結合するかどうかを判断できる。いくつかの実施例において、このような競合的な抗体は、本明細書に記載の抗体と同じエピトープに結合する。いくつかの例示的な競合実験は、例えば、Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.)に記載された一般的な実験を含むが、これに限定されない。抗体が結合するエピトープを解析するための詳細な例示的な方法は、例えば、Morris(1996)"Epitope Mapping Protocols,"in Methods in Molecular Biology vol. 66(Humana Press, Totowa, N.J.)に記載された通りである。いくつかの実施例において、2つの抗体は、それぞれが50%以上の他の抗体の結合をブロックする場合、同じエピトープに結合すると考えられる。いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体と競合する抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体である。
【0132】
例示的な抗PcrV抗体配列は、表2及び表3に示す。当業者は、CDRの位置を予測し、且つ抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を定義するために、多くの既知のアルゴリズムがあることが知っている。本明細書に記載の抗PcrV抗体のCDRs、VH配列及び/又はVL配列を含むが、予測アルゴリズムに基づいて以下の表に例示されていない抗体も本発明の範囲内にある。
【0133】
【0134】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
結合親和性
【0135】
結合親和性は、Kd、Koff、Kon、又はKaで表すことができる。本明細書で使用される場合、「Koff」との用語は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離速度定数を指すことが意図される。「Koff」は、キネティックセレクション装置(kinetic selection set up)によって測定される。「Kon」との用語は、抗体が抗原に結合して抗体/抗原複合体を形成する場合の結合速度定数である。本明細書に用いられる場合、平衡解離定数「Kd」との用語は、特異的抗体-抗原相互作用の解離定数を指し、平衡状態にある抗体分子の溶液中に存在するすべての抗体結合ドメインの半分を占めるために必要な抗原濃度を説明し、Koff/Konに等しい。Kdの測定は、全ての結合分子が溶液にあることを前提として行う。抗体が細胞壁と連結する場合、例えば酵母発現系では、対応する解離速度定数は、EC50で表し、Kdの適切な近似値を提供する。親和定数Kaは、解離定数Kdの逆数である。
【0136】
平衡解離定数(Kd)は、抗体部分と抗原との親和性を示す指標として使用される。例えば、各種標識試薬で標識した抗体を使用したScatchard法や、Biacore(Amersham Biosciences社製)を用いた表面プラズモン共鳴による生体分子相互作用分析を、取扱説明書や付属のキットに従って行うことにより、容易に分析することができる。。これらの方法で得られたKd値は、M(Mols)を単位として表される。標的に特異的に結合する抗体のKd値は、例えば、≦10-7M、≦10-8M、≦10-9M、≦10-10M、≦10-11M、≦10-12M又は≦10-13Mでありうる。
【0137】
抗体の結合特異性は、本分野での既知の方法によって測定することができる。これらの方法は、Western blots、ELISA-、RIA-、ECL-、IRMA-、EIA-、BIAcoreテスト及びペプチドスキャン等を含むが、これらに限定されない。
【0138】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、PcrV標的に特異的に結合し、そのKd値は、10-7M~10-13M(例えば、10-7M~10-13M、10-8M~10-13M、10-9M~10-13M又は10-10M~10-12M)である。従って、いくつかの実施例において、抗PcrV抗体とPcrVとの間の結合のKd値は、10-7M~10-13M、1×10-7M~5×10-13M、10-7M~10-12M、10-7M~10-11M、10-7M~10-10M、10-7M~10-9M、10-8M~10-13M、1×10-8M~5×10-13M、10-8M~10-12M、10-8M~10-11M、10-8M~10-10M、10-8M~10-9M、5×10-9M~1×10-13M、5×10-9M~1×10-12M、5×10-9M~1×10-11M、5×10-9M~1×10-10M、10-9M~10-13M、10-9M~10-12M、10-9M~10-11M、10-9M~10-10M、5×10-10M~1×10-13M、5×10-10M~1×10-12M、5×10-10M~1×10-11M、10-10M~10-13M、1×10-10M~5×10-13M、1×10-10M~1×10-12M、1×10-10M~5×10-12M、1×10-10M~1×10-11M、10-11M~10-13M、1×10-11M~5×10-13M、10-11M~10-12M、10-12M~10-13Mである。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体とPcrVとの間の結合のKd値が10-7M~10-13Mである。
【0139】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体と非標的との間の結合のKd値は、抗PcrV抗体と標的との間のKd値より高く、本明細書に引用のいくつかの実施例において、抗PcrV抗体と標的(例えば、PcrV)との間の結合親和性は、PcrV抗体と非標的との間の結合親和性より高い。いくつかの実施例において、非標的とは、非PcrV抗原を指す。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体(PcrVに対して)と非PcrV標的との間の結合のKd値は、抗PcrV抗体と標的PcrVとの間の結合のKd値の少なくとも10倍、例えば、10~100倍、100~1000倍、103~104倍、104~105倍、105~106倍、106~107倍、107~108倍、108~109倍、109~1010倍、1010~1011倍、1011~1012倍である。
核酸
【0140】
抗PcrV抗体をコードする核酸分子も含まれる。いくつかの実施例において、本明細書に記載の全長の抗PcrV抗体のいずれかを含む、全長の抗PcrV抗体をコードする核酸(又は核酸のセット)が提供される。いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体の核酸(又は核酸のセット)は、ペプチドタグ(タンパク質精製タグ、Hisタグ、HAタグなど)をコードする核酸配列をさらに含み得る。
【0141】
本明細書では、抗PcrV抗体を含む単離された宿主細胞、抗PcrV抗体のポリペプチド成分をコードする単離された核酸、又は本明細書に記載の抗PcrV抗体のポリペプチド成分をコードする核酸を含むベクターも含まれる。
【0142】
本願は、これらの核酸配列の変異体をさらに含む。例えば、変異体は、少なくとも中程度のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、本願の抗PcrV抗体をコードする核酸配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。
【0143】
本願は、本願の核酸が挿入されたベクターも提供する。
【0144】
簡単に言えば、例えば、プロモーター(例えば、リンパ球特異的プロモーター)及び3’非翻訳領域(UTR)を含む5’及び3’末端調節エレメントに作動可能に連結されるように、抗PcrV抗体をコードする天然又は合成核酸を適切な発現ベクターに挿入することによって、抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)の発現が達せされ得る。前記ベクターは、真核宿主細胞における複製と組み込みに好適であり得る。典型的なクローニング及び発現ベクターは、目的の核酸配列の発現を調節するために有用な転写及び翻訳ターミネーター、開始配列、及びプロモーターを含む。
【0145】
本願に記載の核酸は、標準的な遺伝子送達プロトコルを使用することにより、核酸免疫化及び遺伝子治療に使用することもできる。遺伝子送達の方法は、本分野で公知である。例えば、U.S.Pat.Nos.5,399,346、5,580,859、5,589,466を参照し、その全体の内容を引用することにより本明細書に組み込まれる。いくつかの実施例において、本願は、遺伝子治療ベクターをさらに提供する。
【0146】
核酸は、様々な種類のベクターにクローニングし得る。例えば、核酸は、プラスミド、ファージミド、ファージ誘導体、動物ウイルス及びコスミドを含むベクターにクローニングしうるが、これらに限定されない。特に対象となるベクターは、発現ベクター、複製ベクター、プローブ生成ベクター及び配列決定ベクターを含む。
【0147】
また、発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に供することができる。ウイルスベクター技術は、本分野で周知であり、例えば、Green and Sambrook(2013,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)、及び他のウイルス学又は分子生物学のハンドブックに記載されている。ベクターとして用いられるウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス及びレンチウイルスを含むが、これらに限定されない。通常、適切なベクターは、少なくとも一種の生物で機能する複製起点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位、及び一つ以上の選択マーカーを含む(例えば、WO 01/96584;WO 01/29058;及びU.S.Pat.No.6,326,193参照)。
【0148】
哺乳類動物細胞への遺伝子導入のための多くのウイルスに基づくシステムが既に開発されてきた。例えば、レトロウイルスは、遺伝子送達システムに便利なプラットフォームを提供する。選択された遺伝子は、本分野で既知の技術を利用してベクターに挿入され、レトロウイルス粒子に包装される。次いで、組換えウイルスを単離し、イン・ビトロ又はイン・ビボで受験者の細胞へ送達する。多くのレトロウイルスシステムが本分野において既知である。いくつかの実施例において、アデノウイルスベクターを使用する。多くのアデノウイルスベクターが本分野において既知である。いくつかの実施例において、レンチウイルスベクターを使用する。レンチウイルスなどのレトロウイルスから誘導されたベクターは、導入された遺伝子が長期で安定的に整合及びサブセルにおける繁殖を可能にするため、長期的な遺伝子導入を達成するための適切な手段である。レンチウイルスベクターは、非分裂細胞例えば肝細胞を形質導入することができるため、マウス白血病ウイルスなどの腫瘍から誘導されたレトロウイルスよりもさらなる利点を有する。それとともに、レンチウイルスベクターは、低免疫原性とのさらなる利点もある。
【0149】
エンハンサーなどの他のプロモーターエレメントは、転写初期頻度を調節する。通常、それらは、開始部位の30-110bp上流の領域に位置するが、最近、多くのプロモーターが開始部位の下流のにも機能要素を含むことが見出されている。プロモーター要素間の間隔は、通常、フレキシブルであるため、要素同士の位置交換又は移動する時に、プロモーターの機能が維持される。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターでは、プロモーターエレメント要素間の間隔は、活性の低下が始まる前に、50bpまで増加させることができる。
【0150】
適切なプロモーターの一例は、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに作動可能に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動することができる、強力な構成的プロモーター配列である。適切なプロモーターの他の例は、伸長成長因子1α(EF-1α)プロモーターである。しかしながら、他の構成的プロモーターも使用しても良く、それは、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ロングターミナルリピート(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、家禽白血病ウイルスプロモーター、Epstein-Barrウイルス前初期プロモーター、ルース肉腫ウイルスプロモーター、及びヒト遺伝子プロモーターを含むが、これらに限定されなく、当該ヒト遺伝子プロモーターは、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター及びクレアチンキナーゼプロモーターを含むが、これらに限定されない。また、本願を、構成的プロモーターの使用に限定されるべきではない。誘導性プロモーターも本願の一部として考えられる。誘導性プロモーターを使用することにより、発現が望まれる場合、作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現をオンにし、発現が望まれない場合、発現をオフにすることができる分子スイッチが提供される。誘導性プロモーターは、メタロチオネインプロモーター、糖質コルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター及びテトラサイクリンプロモーターを含むが、これらに限定されない。
【0151】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体の発現は、誘導可能である。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体をコードする核酸配列は、本明細書に記載の任意の誘導性プロモーターを含む誘導性プロモーターに作動可能に連結される。
誘導性プロモーター
【0152】
誘導性プロモーターを使用することにより、発現が望まれる場合、作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現をオンにし、発現が望まれない場合、発現をオフにすることができる分子スイッチが提供される。真核細胞に適用する例示的な誘導性プロモーターは、ホルモン調節エレメント(例えば、Mader,S.and White,J.H.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5603-5607を参照)、合成リガンド調節エレメント((Spencer,D.M.et al(1993)Science 262:1019-1024を参照)及び電離放射線調節エレメント(Manome,Y.et al.(1993)Biochemistry 32:10607-10613;Datta,R.et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1014-10153を参照)を含むが、これらに限定されない。イン・ビボ又はイン・ビトロ哺乳類動物システムに適用する他の例示的な誘導性プロモーターは、Gingrich et al.(1998)Annual Rev.Neurosci 21:377-405を参照する。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を発現するための誘導性プロモーターシステムは、Tetシステムである。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を発現するための誘導性プロモーターシステムは、大腸菌由来のlacリプレッサーシステムである。
【0153】
本願に使用の例示的な誘導性プロモーターシステムは、Tetシステムである。当該システムは、Gossenなど(1993)によって説明されたものである。例示的な一例において、目的のポリヌクレオチドは、一つ以上のTetオペレーター(TetO)部位を含むプロモーターによって制御される。非活性化状態では、Tetリプレッサー(TetR)がTetO部位に結合し、プロモーターの転写を阻害する。活性化状態では、例えば、テトラサイクリン(Tc)、無水テトラサイクリン、ドキシサイクリン(Dox)又はその活性類似体などの誘導剤の存在下で、誘導剤は、TetOからのTetRの放出を引き起こし、それによって、転写を可能にする。ドキシサイクリンはテトラサイクリン抗生物質ファミリーのメンバーの一つであり、その化学名は1-ジメチルアミノ-2,4a,5,7,12-ペンタヒドロキシ-11-メチル-4,6-ジオキシ-1,4a,11,11a,12,12a-ヘキサヒドロテトラエン-3-カルボキサミドである。
【0154】
一つの実施例において、TetRは、例えば、マウス又はヒト細胞などの哺乳類動物細胞での発現に適用するためにコドン最適化されている。ほとんどのアミノ酸は、遺伝暗号の縮重のために複数のコドンによってコードされており、核酸によってコードされるアミノ酸配列を変更することなく、所与の核酸のヌクレオチド配列の実質的な変化を可能にする。しかしながら、多くの生物体では、コドンを使用する点で異なりがあり、これは「コドンバイアス」(即ち、特定のアミノ酸に対する特定のコドンの使用に対するバイアス)とも呼ばれる。コドンバイアスは、通常、特定のコドンのtRNAの優勢な種の存在と相関することが多く、これによりmRNA翻訳の効率が向上する。従いまして、特定の生物(例えば、原核生物)に由来するコード配列は、コドン最適化を通じて、異なる生物(例えば、真核生物)における改善された発現のために調整され得る。
【0155】
Tetシステムの他の具体的なバリエーションには、以下の「Tet-Off」及び「Tet-On」システムが含まれる。Tet-Offシステムにおいて、転写はTc又はDoxの存在下で、非活性化である。そのシステムでは、単純ヘルペスウイルス由来のVP16の強力なトランス活性化ドメインに融合したTetRで構成されるテトラサイクリン制御トランス活性化タンパク質(tTA)は、テトラサイクリン応答性プロモーターエレメント(TRE)の転写制御下に標的核酸の発現を調節する。TREは、プロモーター(通常、ヒトサイトメガロウイルスの前初期プロモーターに由来する最小のプロモーター配列)に融合したTetO配列コンカテマーで構成される。Tc又はDoxが存在しない場合、tTAはTREに結合し、標的遺伝子の転写を活性化する。Tc又はDoxが存在する場合、tTAはTREに結合できず、標的遺伝子が発現できない。
【0156】
逆に、Tet-Onシステムにおいて、転写は、Tc又はDoxの存在下で活性化される状態になる。Tet-Onシステムは、逆テトラサイクリン調節トランス活性化因子rtTAに基づいている。tTAと同様に、rtTAは、TetRリプレッサーとVP16トランス活性化ドメインで構成された融合タンパク質である。しかしながら、TetRのDNA結合領域における4個のアミノ酸の変化により、rtTAの結合特性を変えて、そのrtTAは、Doxが存在する場合、ターゲット導入遺伝子TRE内のtetO配列のみを認識できる。従いまして、Tet-Onシステムでは、TREによって調節される標的遺伝子の転写は、Doxの存在のみでrtTAによって活性化することができる。
【0157】
別の誘導性プロモーターシステムは、大腸菌由来のlacリプレッサーシステムである(Brown et al.,Cell 49:603-612(1987)を参照)。Lacリプレッサーシステムは、lacオペレーター(lacO)を含むプロモーターに作動可能に連結された目的のポリヌクレオチドの転写を調節することによって機能する。Lacリプレッサー(lacR)はLacOに結合し、それによって目的のポリヌクレオチドの転写を防ぐ。目的のポリヌクレオチドの発現は、適切な誘導剤、例えば、イソプロピル-β-Dチオガラクトピラノシド(IPTG)によって誘導される。
【0158】
ポリペプチド又はその一部の発現を評価するために、細胞に導入しようとする発現ベクターは、ウイルスベクターによってトランスフェクト又は感染した細胞集団からの発現細胞の同定及び選択を容易にするために、選択マーカー遺伝子又はレポーター遺伝子、或いはその両方をさらに含み得る。他の一方では、選択マーカーは、単独のDNAフラグメント上に運ばれ、そしてコトランスフェクション実験において使用され得る。選択マーカー遺伝子又はレポーター遺伝子のいずれも、宿主細胞で発現できるように、適切な調節配列に隣接することができる。有用な選択マーカーは、例えば、neo及び類似の遺伝子のような抗生物質耐性遺伝子を含む。
【0159】
レポーター遺伝子は、潜在的にトランスフェクトされた細胞の同定、及び調節配列の機能評価に用いられる。通常、レポーター遺伝子は、受容体の生物体又は組織に存在しないか、又は受容体の生物体又は組織が発現しない遺伝子であり、そして、レポーター遺伝子は、例えば、酵素活性のような検出しやすい特性を発現するポリペプチドをコードする。レポーター遺伝子の発現は、DNAが受容体細胞に導入された後の適切な時期に検出される。適切なレポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼ、又は緑色蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含みうる(例えば、Ui-Tel et al., 2000 FEBS Letters 479: 79-82)。適切な発現システムは公知であり、既知の技術によって調製するか、又は商業的に入手することができる。通常、レポーター遺伝子の最高の発現レベルを示す最小の5’フランキング領域を持つ構築体は、プロモーターとして同定される。このようなプロモーター領域は、レポーター遺伝子に連結され、プロモーター駆動性転写を調節するいくつの物質の能力を評価するために使用できる。
【0160】
いくつかの実施例において、本明細書に記載のいずれか一つの全長の抗PcrV抗体をコードする核酸を提供する。いくつかの実施例において、前記核酸は、全長の抗PcrV抗体の重鎖及び軽鎖をコードする一つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施例において、前記一つ以上の核酸配列の各核酸配列は単独のベクターに含まれる。いくつかの実施例において、少なくともいくつかの核酸配列は同じベクターに含まれる。いくつかの実施例において、全ての核酸配列は同じベクターに含まれる。ベクターは、例えば、哺乳類動物発現ベクター及びウイルスベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス及びレンチウイルスに由来するベクター)から選択されることができる。
【0161】
遺伝子を細胞に導入し、それらを発現させる方法は、本分野では、既知である。発現ベクターの文脈において、ベクターは、本分野の任意の方法によって、哺乳類動物細胞、細菌、酵母、又は昆虫細胞などの宿主細胞に容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは、物理的、化学的又は生物学的方法によって宿主細胞に導入することができる。
【0162】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する物理的方法には、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、遺伝子衝撃、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどが含まれる。ベクター及び/又は外因性核酸を含む細胞を調製する方法は、本分野で周知である。例えば、Green and Sambrook(2013,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)を参照する。いくつかの実施例において、宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクションによって行われる。
【0163】
目的のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する生物学的方法として、DNAやRNAベクターを用いる方法が挙げられる。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは、ヒト細胞などの哺乳類動物細胞に遺伝子を挿入するために最も広く使用されている方法になる。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルスに由来しうる。例えば、U.S.Pat.Nos.5,350,674及び5,585,362を参照する。
【0164】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的方法には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、磁気ビーズなどのコロイド分散システム、及び水中油型エマルジョン、ミセル、混合ゲルクラスターとリポソームを含む脂質をベースとするシステムが含まれる。イン・ビボ及びイン・ビトロで送達ベクターとして使用される例示的なコロイドシステムは、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
【0165】
非ウイルス送達システムを使用する場合、例示的な送達ベクターはリポソームである。脂質製剤を使用して核酸を宿主細胞に導入すること(イン・ビトロ、エクス・ビボ、又はイン・ビボ)が考えられる。他の一方では、前記核酸は、脂質に結合することができる。脂質に結合された核酸は、リポソームの水性内部に包まれ、リポソームの脂質二重層に分散され、リポソーム及びオリゴヌクレオチドに結合する連結分子を介してリポソームに接続され、リポソームに埋め込まれ、リポソームと複合体を形成し、脂質を含む溶液に分散して、脂質と混合し、脂質に結合し、脂質に懸濁し、ミセルに含まれるか又はミセルと混合し、或いは他の方法で脂質に結合し得る。脂質、脂質/DNA又は脂質/発現ベクターに関連する組成物は、溶液中で特定の構造に限定されない。例えば、それらは、二重層構造、ミセル、又は「崩壊した」構造で存在し得る。それらは、単純に溶液中に分散させることもでき、不均一なサイズ又は形状の凝集体を形成する可能性がある。脂質は、脂肪物質であり、天然存在又は合成された脂質でありうる。例えば、脂質は、細胞質に自然に存在する脂肪滴と、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、アルデヒドなどの、長鎖脂肪族炭化水素及びその誘導体を含む一種類の化合物とを含有する。
【0166】
外因性核酸を宿主細胞に導入するための方法であれ、又は細胞を他の方法で本出願の阻害剤に曝露するための方法であれ、組換えDNA配列が宿主細胞に存在することを確認するために、様々な実験を行うことができる。このような実験は、例えば、当業者に周知の「分子生物学」実験を含む。例えば、Southern及びNorthern blotting、RT-PCR及びPCR;「生化学」実験、例えば、ある特定のポリペプチドの存在又は不在による検出、免疫学的方法(ELISA及びWestern blots)又は本明細書に記載の実験による同定は、全て本願の範囲に含まれる。
抗PcrV抗体の調製
【0167】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、モノクローナル抗体であるか、又はモノクローナル抗体に由来するものである。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、モノクローナル抗体由来のVH及びVLドメイン、又はその変異体を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、さらに、モノクローナル抗体由来のCH1及びCLドメイン、又はその変異体を含む。モノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法、酵母ディスプレイ法、ファージディスプレイ法、または組換えDNA法を使用する方法などの本分野で既知の方法を使用して調製することができる。また、例示的な酵母ディスプレイ法及びファージディスプレイ法は、本明細書及び以下の実施例において説明されている。
【0168】
ハイブリドーマ法では、通常、ハムスター、マウス、又は他の適切な宿主動物を免疫剤で免疫して、免疫剤に特異的に結合する抗体を産生するか、又は産生できるリンパ球を誘導する。また、イン・ビトロでリンパ球を免疫化することができる。免疫剤は、目的のタンパク質のポリペプチド又は融合タンパク質を含み得る。通常、ヒト由来細胞が必要である場合、末梢血リンパ球(PBL)が適用され、非ヒト哺乳類動物由来細胞が必要である場合、脾臓細胞又はリンパ節細胞が適用される。リンパ球は、適切な融合剤、例えば、ポリエチレングリコールを使用して不死化細胞株と融合され、ハイブリドーマ細胞を形成する。不死化細胞株は通常、形質転換された哺乳類動物細胞であり、特にげっ歯類、ウシ科、及びヒトの骨髄腫細胞である。通常、ラット又はマウスの骨髄腫細胞株が適用される。ハイブリドーマ細胞は、適切な培地で培養することができ、前記培養基には、未融合の不死化細胞の増殖又は生存を阻害する一種以上の物質が含まれることが好ましい。例えば、親細胞には、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT「又は」HPRT)を欠いている場合、ハイブリドーマ細胞培養培地には通常、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン(HAT培地)が含まれ、当該培養培地は、HGPRT欠損細胞の増殖を防ぐことができる。
【0169】
いくつかの実施例において、不死化細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞によって抗体の安定で高レベルの発現をサポートし、そしてこの細胞は、いくつの培地、例えば、HAT培地に感受性がある。いくつかの実施例において、不死化細胞株は、マウス骨髄腫細胞株であり、例えば、当該マウス骨髄腫細胞株は、カリフォルニア州サンディエゴのソーク細胞コレクション及びバージニア州マナッサスのアメリカンタイプカルチャーコレクションから得られる。また、ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトハイブリッド骨髄腫細胞株の、ヒトモノクローナル抗体の調製のための使用についても説明されている。
【0170】
そして、ハイブリドーマ細胞を培養する培地中にポリペプチドに対するモノクローナル抗体が存在するかどうかを測定することができる。ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、放射性免疫沈降分析法(RIA)又は酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)のような免疫沈降法又はイン・ビトロ結合実験によって決定することができる。このような技術又は分析方法は本分野で既知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson and Pollard, Anal. Biochem.,107:220(1980)に記載されたScatchard 解析によって決定することができる。
【0171】
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、標的クローンを限界希釈法によってサブクローン化し、標準的な方法によって培養することができる。この目的に基づく適切な培地は、例えば、改良されたEagle培地(DMEM)及びRPMI-1640を含む。又は、ハイブリドーマ細胞は、哺乳類動物の体内で腹水の形で増殖することができる。
【0172】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティークロマトグラフィーのような従来の免疫グロブリン精製法によって、培地又は腹水から分離又は精製することができる。
【0173】
いくつかの実施例において、本明細書に記載の上記のいずれか1つの抗PcrV抗体では、前記抗PcrV抗体は、抗体ライブラリー(例えば、scFv又はFabフラグメントを提示するファージライブラリー)から選択されるクローン化配列を含む。前記クローンは、コンビナトリアルライブラリー中の所望の活性を有する抗体フラグメントをスクリーニングすることによって同定することができる。例えば、本分野において、ファージディスプレイライブラリーを生成し、これらのライブラリーをスクリーニングして、所望の結合特性を有する抗体を得るための様々な方法が知られている。このような方法は、例えば、Hoogenboom et al.,Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,N.J.,2001)において説明されている。そして、更に例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554;Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992);Marks and Bradbury,Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,N.J.,2003);Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);and Lee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)において説明されている。
【0174】
特定のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子の全ての構成成分をそれぞれポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりクローンし、ファージライブラリーでランダムに再結合されてから、抗原に結合できるファージをスクリーニングされる。これは、例えば、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12: 433-455(1994)に記載されている。ファージは、通常scFvフラグメント又はFabフラグメントとして抗体フラグメントをディスプレイする。免疫由来のライブラリーファージは、ハイブリドーマ細胞を構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。或いは、ナイーブレパートリー(例えば、ヒト由来)をクローンして、何の免疫化せずに複数の非自己抗原及び自己抗原に対する抗体の単一の供給源を提供することができる。これは、例えば、Griffiths et al.,EMBO J, 12: 725-734(1993)に記載されている。最後に、ナイーブライブラリーは、さらに、幹細胞からの再配列されていないV-geneフラグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用してCDR3高度可変領域をコードし、イン・ビトロで再配列する方法で調製しうる。これは、例えば、Hoogenboom and Winter,J. Mol. Biol.,227:381-388(1992)に記載されている。ヒト抗体ファージライブラリーを説明した特許刊行物は、例えば、U.S.Pat.No.5,750,373、及びUS Patent Publication Nos. 2005/0079574、2005/0119455、2005/0266000、2007/0117126、2007/0160598、 2007/0237764、2007/0292936及び2009/0002360を含む。
【0175】
前記抗PcrV抗体は、ファージディスプレイを適用して、ライブラリーにおける標的PcrVに特異的に結合できる抗PcrV抗体の部分をスクリーニングして調製することができる。当該ライブラリーは、ヒトscFvファージディスプレイライブラリーであり得、少なくとも1×109(例えば、少なくとも1×109、2.5×109、5×109、7.5×109、1×1010、2.5×1010、5×1010、7.5×1010又は1×1011)種の多様性を有する特定のヒト抗体フラグメントである。いくつかの実施例において、前記ライブラリーは、健康な受験者のヒトPMBCs及び脾臓から抽出されたDNAで構築されたヒト天然ライブラリーであり、全てのヒト重鎖及び軽鎖サブファミリーを含む。いくつかの実施例において、前記ライブラリーは、様々な疾患の患者、例えば、自己免疫疾患の患者、がんの患者、及び感染性疾患の患者から単離されたPMBCsから抽出されたDNAで構築されたヒト天然ライブラリーである。いくつかの実施例において、前記ライブラリーは、半合成のヒトライブラリーであり、ここで、重鎖CDR3が完全にランダムであり、全てのアミノ酸(システインを除く)が同じ確率で任意の所定の位置に存在する(例えば、Hoet,R.M.et al.,Nat.Biotechnol.23(3):344-348,2005を参照)。いくつかの実施例において、半合成のヒトライブラリーの重鎖CDR3の長さは、5から24個(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24)のアミノ酸の長さである。いくつかの実施例において、前記ライブラリーは、全合成のファージディスプレイライブラリーである。いくつかの実施例において、前記ライブラリーは、非ヒトファージディスプレイライブラリーである。
【0176】
標的PcrVに対して高い親和性を有するファージクローンは、標的PcrVへのファージの反復結合によってスクリーニングすることができ、前記標的PcrVは、固体支持体(例えば、溶液パニング(Panning)に用いるビーズ又は細胞パニングに用いる哺乳類動物細胞)に結合し、そして結合されていないファージを除去し、特異的に結合されたファージを溶出する。続いて、結合されたファージクローンを溶出し、適切な宿主細胞、例えばE.coli XL1-Blueに対する感染に用いられ、発現及び精製をする。特異的にPcrVに結合するファージクローンを濃縮するように、溶液パンニング、細胞パンニング、又は両方の組み合わせなどの複数ラウンドのパンニング(例えば、2、3、4、5、6又はそれ以上の任意のラウンド)を行っても良い。濃縮されたファージクローンの、標的PcrVへの特異的結合は、例えば、ELISA及びFACSを含む、本分野で既知の任意の方法によって検出することができる。
【0177】
モノクローナル抗体は、例えば、U.S.Patent No.4,816,567に記載された組換えDNA法によっても調製できる。本願に記載のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の方法(例えば、マウス抗体の軽鎖及び重鎖をコードする遺伝子に特異的に結合するオリゴヌクレオチドプローブ)によって容易に単離及び配列決定することができる。前記のようなハイブリドーマ細胞又は本願のPcrV特異的ファージクローンは、このDNAの供給源とすることができる。単離した後、DNAを発現ベクターに入れ、そして、当該ベクターを、例えば、シミアン(Simian)COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣がん(CHO)細胞、又は免疫グロブリンを産生しない骨髄腫細胞のような宿主細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞内で合成されたモノクローナル抗体を得る。前記DNAは、修飾されてもよく、例えば、コード配列でヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインを置換し、及び/又はフレームワーク領域で相同な非ヒト配列を置換し(U.S.Patent No.4,816,567;Morrison et al.,supra)、又は、共有結合で免疫グロブリンのコード配列における非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部又は一部を連結する。この非免疫グロブリンポリペプチドは、本願の抗体の定常ドメインを置換することができ、又は本願の抗体の可変ドメイン内の抗原結合部位を置換し、キメラ二価抗体を形成することができる。
【0178】
前記抗体は一価抗体であり得る。一価抗体を調製する方法は当分野で既知である。例えば、免疫グロブリン軽鎖及び修飾された重鎖の組換に関する発現法である。通常、重鎖が互いに架橋するのを防ぐために、重鎖がFc領域の任意の位置で短く切られる。また、架橋を防ぐために、関連するシステイン残基が他のアミノ酸残基に置換又は削除される。
【0179】
インビトロ法は、一価抗体の調製にも適用される。抗体を消化して抗体フラグメント、特にFabフラグメントを生成するのは、本分野で知られている任意の方法で達成することができる。
【0180】
所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常ドメインと融合できる。好ましくは、ヒンジ、CH2及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインと融合される。いくつかの実施例において、軽鎖結合に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)は、少なくとも一種の融合物中に存在する。免疫グロブリン重鎖融合物および所望により免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを、別個の発現ベクターに挿入し、適切な宿主生物に同時トランスフェクトする。
完全ヒト抗体及びヒト化抗体
【0181】
前記抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)は、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体であり得る。非ヒト(マウスなど)抗体部分のヒト化形態は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそれらのフラグメント(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv又は抗体のその他の抗原結合サブ配列)であり、これは、通常、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含む。ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメント(レシピエント抗体)を含み、ここで、受容体CDRからの残基が、例えば、マウス、ラット、又はウサギのCDRなどの、所望な特異性、親和性及び性能を持つ非ヒト(ドナー抗体)のCDR残基によって置換される。いくつかの実施例において、ヒト免疫グロブリンFvフレームワーク領域の残基は、対応する非ヒト残基に置換される。ヒト化抗体は、レシピエント抗体に属しなく、導入されたCDR又はフレームワーク領域の配列にも存在しないアミノ酸残基をさらに含み得る。通常、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、通常は2つの可変ドメインを含み、可変ドメインにおいて、全て又は実質的に全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、全て又は実質的に全てのフレームワーク領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列である。
【0182】
通常、ヒト化抗体は、非ヒトから導入された1つ以上のアミノ酸残基を含む。これらの非ヒトアミノ酸残基は、通常、「インポート」残基と呼ばれ、通常、「インポート」可変ドメインに由来する。いくつかの実施例において、ヒト化は、実質的にWinterと彼の同僚の以下の方法(Jones et al.,Nature,321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323-327(1988);Verhoeyen et al.,Science,239:1534-1536(1988))に従って実行し、げっ歯類動物のCDRs又はCDR配列でヒト化抗体の対応する配列を置換する。従って、このような「ヒト化」抗体部分(U.S.Patent No.4,816,567)は、実質的に完全のヒト化抗体より不完全であって、その可変ドメインは、既に非ヒト化に由来する対応する配列に置換された。実際には、ヒト化抗体部分は、典型的には、いくつかのCDR残基及び可能のいくつかのフレームワーク領域の残基が、げっ歯類抗体の類似部位からの残基によって置換されているヒト抗体部分である。
【0183】
完全ヒト抗体は、ヒト化の代替形の一つである。例えば、現在、免疫化後、内因性免疫グロブリンを産生せずに、完全な完全ヒト抗体ライブラリーを生成することができる通常遺伝子改変動物(例えば、マウス)を作製することができる。例えば、キメラ及び生殖細胞突然変異マウスにおいて、抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合体の欠失は、完全に、内因性抗体の産生を阻害することが報告された。ヒト生殖細胞株免疫グロブリン遺伝子アレイをこのような生殖細胞突然変異マウスに移して、抗原刺激下で完全ヒト抗体を産生することができる。例えば、akobovits et al.,PNAS USA,90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature,362:255-258(1993);Bruggemann et al.,Year in Immunol.,7:33(1993);U.S. Patent Nos.5,545,806,5,569,825,5,591,669;5,545,807;及びWO97/17852を参照する。又は、完全ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を遺伝子改変動物に導入すること(例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的又は完全にサイレンシングされたマウス)によって調製することができる。刺激されると、完全ヒト抗体の産生は、遺伝子の再配列、組み立て、抗体ライブラリーを含むあらゆる面で、ヒトでの産生と非常に類似することが分かる。この方法は、例えば、U.S.Patent Nos.5,545,807;5,545,806;5,569,825;5,625,126;5,633,425;and 5,661,016,and Marks et al.,Bio/Technology,10:779-783(1992);Lonberg et al.,Nature,368:856-859(1994);Morrison,Nature,368:812-813(1994);Fishwild et al.,Nature Biotechnology,14:845-851(1996);Neuberger,Nature Biotechnology,14:826(1996);Lonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.,13:65-93(1995)において説明されている。
【0184】
完全ヒト抗体は、イン・ビトロでB細胞を活性化することによって(U.S.Patents 5,567,610及び5,229,275を参照)、又はファージディスプレイライブラリーを含む本分野で既知の様々な技術を使用することによっても生成される。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991).Cole et al.及びBoerner et al.等の技術も、完全ヒトモノクローナル抗体の調製に用いられる。Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)and Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)を参照する。
抗PcrV抗体変異体
【0185】
いくつかの実施例において、本明細書に提供の抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)のアミノ酸配列の変異体も含まれる。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的活性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製することができる。そのような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列中の残基の欠失及び/又は挿入及び/又は置換を含む。最終的な構築は、抗原結合性などの所望の特性を有させるように、アミノ酸残基の欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせによって完了することができる。
【0186】
いくつかの実施例において、1つ以上のアミノ酸置換を有する、抗PcrV抗体変異体を提供する。置換された突然変異の目的の部位は、高可変ドメイン(HVRs)及びフレームワーク領域(FRs)を含む。標的抗体にアミノ酸置換を導入し、目的の活性(例えば、改善された生物活性、保持/改善された抗原結合能、低減された免疫原性、又は改善された緑膿菌のような病原菌のオプソニン食作用性殺傷(OPK))がある製品をスクリーニングし得る。
【0187】
【0188】
側鎖の性質により、アミノ酸を異なる種類に分ける。
a、疎水性アミノ酸:ノルロイシンノルロイシンNorleucine、メチオニンMet、アラニンAla、バリンVal、ロイシンLeu、イソロイシンIle;
b、中性親水性アミノ酸:システインCys、セリンSer、スレオニンThr、アスパラギンAsn、グルタミンGln;
c、酸性アミノ酸:アスパラギン酸Asp、グルタミン酸Glu;
d、塩基性アミノ酸:ヒスチジンHis、リジンLys、アルギニンArg;
e、鎖の方向に影響を与えるアミノ酸:グリシンGly、プロリンPro;
f、芳香族アミノ酸:トリプトファンTrp、チロシンTyr、フェニルアラニンPhe。
【0189】
非保存的アミノ酸の置換には、上記の一種類から別の種類への置換が含まれる。
【0190】
例示的な置換変異体は、例えば、ファージディスプレイに基づく親和性成熟技術によって産生される、親和性成熟抗体である。要するに、1つ以上のCDR残基を突然変異させ、変異体抗体がファージ上に部分的にディスプレイされ、特定の生物学的活性(例えば、RBC細胞溶解阻害実験に基づく生物学的活性又は結合親和性)を有する変異体をスクリーニングする。RBC細胞溶解阻害実験に基づく生物学的活性又は結合親和性を得るように、HVRs領域に変更(例えば、置換)を行うことができる。このような変更は、HVRの「ホットスポット領域」、つまり体細胞の成熟中に高頻度の突然変異が起こったコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照)、及び/又は特異性決定残基(SDRs)で行われ、得られた変異体VH及びVLの結合親和性を測定する。二次ライブラリーの構築及び再選択による親和性成熟は、いくつかの文献に記載されている。例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ,(2001))。
【0191】
いくつかの親和性成熟の実施例において、様々な方法(例えば、Error Prone PCR、チェーンシャッフリング又はオリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発)のいずれかによって、多様性を選択される、親和性成熟に用いられる可変遺伝子に導入する。そして、二次ライブラリーを作成する。当該ライブラリーに対してスクリーニングして、所望の親和性を有する抗体変異体を同定する。もう一つの方法は、HVRが介在する多様性の導入の方法を含み、ここでは、いくつかのHVR残基(例えば、一回に4~6つの残基)がランダム化される。抗原結合に関与するHVR残基は、特異的に同定され、例えば、アラニンスキャニングによって変異誘発又はモデリングする。通常、CDR-H3及びCDR-L3領域は特に重要な標的である。
【0192】
いくつかの実施例において、置換、挿入、又は欠失は、1つ以上のHVR内で起こる可能性があり、このような変化が抗体の抗原への結合能力を実質的に低下させなければよい。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的変化(例えば、本明細書で言及される保存的置換)は、HVRsにおいて生成される。これらの変化は、HVRの「ホットスポット領域」又はSDR領域以外で発生する可能性がある。上記に提供された変異体VH及びVL配列のいくつかの実施例において、各HVRは変化しないか、又は1つ、2つ、もしくは3つ以下のアミノ酸置換を含む。
【0193】
Cunningham and Wells(1989)Science, 244:1081-1085に記載されているように、抗体から、標的突然変異されうるアミノ酸残基又は領域を同定できる有用な方法は、「アラニンスキャニング突然変異」と呼ばれる。当該方法では、標的残基における1つ又は1つのグループ(例えば、アルギニン、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジン及びグルタミン酸などの荷電残基)は、中性、又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)より置換されて、抗体と抗原の間の相互作用が影響を受けるかどうかを決定する。アミノ酸の位置に置換をさらに導入して、その位置が最初の置換に対して機能的感受性があることを証明することができる。あるいは/さらに、抗原-抗体複合体の結晶構造によって、抗体と抗原との間の接触部位を同定することができる。これらの接触部位に位置する残基及び隣接する残基は、置換候補体として標的化又は削除することができる。変異体をスクリーニングして、所望の性質を持っているかどうかを判定する。
【0194】
アミノ酸配列の挿入は、アミノ末端及び/又はカルボキシル末端に、長さが1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドを融合することを含み、さらに、配列に1個以上の残基を挿入することも含む。末端挿入の例として、N末端にメチオニル残基を有する抗体を含む。他の抗体分子の挿入変異体は、抗体分子のN末端又はC末端に酵素(例えば、ADEPT)、又は抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドを融合することを含む。
Fc領域変異体
【0195】
いくつかの実施例において、1つ以上のアミノ酸修飾は、本明細書に記載の抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体又は抗PcrV抗体融合タンパク質)のFc領域に導入され、それにより、Fc領域変異体が生成される。いくつかの実施例において、Fc領域変異体は、ADCCエフェクター機能が増強されており、これは、通常、Fcに結合する受容体(FcRs)に関連する。いくつかの実施例において、Fc領域変異体は、低減されたADCCエフェクター機能を有する。Fc配列の変化又は突然変異によってそのエフェクター機能に影響を与える例がたくさんあり、例えば、WO00/42072及びShields et al.J Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)において、FcRsとの結合を増強又は低減することに関連する抗体変異体を記載された。この刊行物の内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0196】
抗体依存性細胞障害作用(ADCC)は、腫瘍細胞に対する治療用抗体の作用メカニズムである。ADCCは、細胞が介在する免疫防御であり、標的細胞膜の表面の抗原が特定の抗体(例えば、抗PcrV抗体)によって結合されると、免疫システムのエフェクター細胞が自発に標的細胞(例えば、感染された細胞)を溶解する。通常、ADCC効果は、抗体によって活性化されたNK細胞に関わる。NK細胞は、Fc受容体CD16を発現する。当該受容体は、標的細胞の表面に結合する抗体分子のFc部分を認識して結合する。NK細胞の表面で最も一般的なFc受容体は、CD16又はFcγRIIIである。Fc受容体と抗体Fc領域との結合は、NK細胞の活性化を引き起こし、細胞溶解粒子が放出させ、続いて標的細胞がアポトーシスする。
【0197】
いくつかの実施例において、本願は、また、全部ではなく一部のエフェクター機能を有するFc領域を含む抗PcrV抗体変異体(例えば、全長の抗PcrV抗体変異体)に関し、これにより、体内で延長された半減期を有するが、特定のエフェクター機能(例えば、CDC又はADCC)は必須でなく、又は有害であり、本願では、このような抗PcrV抗体が理想的な候補である。イン・ビトロ及び/又はイン・ビボで細胞毒性試験を実施することにより、CDC及び/又はADCC活性の低下/消耗を確認する。例えば、Fc受容体(FcR)結合試験によって、抗体のFcγR結合能力が欠如する(これによって、ADCC活性が欠如する可能性がある)が、FcRn結合能力を依然として保持していることを確認する。ADCCを介在する主な細胞において、NK細胞はFcγRIIIのみを発現し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-492(1991)ページ464目のTable 3において、造血細胞でのFcR発現をまとめる。イン・ビトロで標的分子のADCC活性を評価する非限定的な実例は、U.S.Pat.No.5,500,362において説明されている(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986))及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 82:1499-1502(1985);U.S.Pat.No.5,821,337(see Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照)。また、非放射性検出法を使用しても良い(例えば、ACTITMフローサイトメトリー非放射性細胞毒性試験(CellTechnology,Inc.Mountain View, Calif.)及びCYTOTOX 96TM非放射性細胞毒性試験(Promega, Madison, Wis.)を参照)。このような実験に使用された効果細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK)を含む。また、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に記載されたように、目的の分子のADCC活性は、体内、例えば動物モデルで試験される。同時に、C1q結合試験を実行することによって、抗体がC1qに結合できず、CDC活性が欠如ことを確認できる。例えば、WO2006/029879及びWO2005/100402におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照する。補体活性化の状況を評価するために、CDC測定を行う(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.et al.,Blood 101:1045-1052(2003);及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood 103:2738-2743(2004)を参照)。本分野で既知の方法を使用して、FcRn結合及びイン・ビボでのクリアランス/半減期を測定する(例えば、Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)を参照)。
【0198】
低減されたエフェクター機能を有する抗体は、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327及び329位で1つ以上の残基が置換されるものを含む(U.S.Pat.No.6,737,056)。これらのFc変異体は、265、269、270、297及び327位で2つ以上の残基が置換されたFc変異体を含み、265及び297位残基がアラニンに置換された「DANA」と呼ばれるFc変異体を含む(U.S.Pat.No.7,332,581)。
【0199】
このような、FcRsとの結合能力の向上又は低減に関連する抗体変異体は既に記載されている(例えば、U.S.Pat.No.6,737,056;WO 2004/056312及びShields et al., J. Biol. Chem. 9(2):6591-6604(2001)を参照)。
【0200】
いくつかの実施例において、Fc領域の変更は、オプソニン作用の変更(すなわち、向上又は低下)をもたらし、Moore et al., MAbs. 2(2):181-189(2010)に記載されているものを参照する。
【0201】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)変異体に関し、それは、1個以上のアミノ酸置換を有するFc領域変異体を含み、半減期を延長できたり、Fc受体(FcRn)との結合を増強できる。半減期を延長でき、又はFcRn結合を改善できる抗体は、US2005/0014934A1(Hinton等)において記載されている。これらの抗体Fc領域は、1個以上のアミノ酸が置換され、Fc領域とFcRnとの結合を増強する。これらのFc変異体は、Fc領域において、238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434位の残基が1個以上置換されたもの、例えば、Fc領域の434位残基が置換されたもの(U.S.Pat.No.7,371,826)を含む。
【0202】
同時に、Duncan & Winter, Nature 322:738-40(1988); U.S. Pat. No. 5,648,260; U.S. Pat. No. 5,624,821及びWO 94/29351に関する他の変異Fc領域の例を参照する。
【0203】
本願は、本明細書に記載のいずれか1つのFc変異体又はその組み合わせを含む抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)が考えられる。
グリコシル化変異体
【0204】
いくつかの実施例において、本明細書に提供の抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)は、抗PcrV抗体のグリコシル化の程度を増加又は減少させるように、変更される。抗PcrV抗体上のグリコシル化部位を添加又は削除するために、抗PcrV抗体又はそのポリペプチド部分のアミノ酸配列を変更することによって1つ以上のグリコシル化部位を添加又は除去して便利に達成する。
【0205】
ここで、抗PcrV抗体がFc領域を含む場合、それに接続されている炭水化物を変化させることができる。哺乳類動物細胞によって産生される天然抗体は、通常、分岐した二分岐オリゴ糖を含み、当該オリゴ糖は通常、N-結合を通じてFc領域のCH2ドメインにおけるAsn297に結合し、例えば、Wright et al.,TIBTECH 15:26-32(1997)を参照する。前記オリゴ糖は、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース及びシアル酸、並びに二分岐オリゴ糖構造の「ステム」部分のGlcNAcに連結するトレハロースのような様々な糖を含み得る。いくつかの実施例において、本願の抗PcrV抗体をオリゴ糖修飾して、特定の改善された特性を有する抗PcrV抗体変異体を生成することができる。
【0206】
Fc領域のCH2ドメインに連結されるN-グリカンは、異質的である。CHO細胞で産生される抗体又はFc融合タンパク質は、フコシルトランスフェラーゼ活性によってフコシル化されて、Shoji-Hosaka et al., J. Biochem. 2006, 140:777- 83を参照する。通常、ヒト血清で、ごく一部の天然に存在するフコシル化されていないIgGsが検出される。Fc領域のN-グリコシル化は、Fc領域のFcRへの結合にとって重要であるが、フコシル化されていないN-グリカンは、FcとFcRIIIaとの結合能力を増強される。FcRIIIaとの結合能力の増強は、ADCC効果を増強し、これは、細胞毒性を必要とする特定の抗体治療適用で有利である。
【0207】
いくつかの実施例において、Fcが介在する細胞毒性が必要ない場合、増強されたエフェクター機能は有害でありうる。いくつかの実施例において、Fcフラグメント又はCH2ドメインは非グリコシル化されているものである。いくつかの実施例において、CH2ドメインにおけるN-グリコシル化部位を突然変異させて、そのグリコシル化を防ぐ。
【0208】
いくつかの実施例において、Fc領域を含む抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)変異体を提供し、ここで、Fc領域に連結される炭水化物構造には、フコースが減少しているか、又はフコースが欠如し、これは、ADCCの機能を増強する可能性がある。具体的には、本明細書は、PcrV抗体を提供し、当該PcrV抗体は、野生型CHO細胞が産生された同じ抗PcrV抗体と比較して、減少されたフコースがある。つまり、それらは、天然のCHO細胞(例えば、天然のグリコシル化形態を産生するCHO細胞、天然のFUT8遺伝子を含むCHO細胞)によって産生される抗体と比較して、より少ない量のフコースがあることを特徴とする。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体のN-結合型グリカンは、50%、40%、30%、20%、10%又は5%より少ない量のフコースを有する。例えば、当該抗PcrV抗体のフコースの含有量は、1%-80%、1%-65%、5%-65%又は20%-40%でありうる。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体のN-結合型グリカンは、フコースを含まなく、即ち、抗PcrV抗体は、完全にフコースを含まなく、又はフコースを有しない、又は脱フコシル化されたものである。フコースの含有量は、WO 2008/077546に記載されたように、MARDI-TOF質量分析によって測定された、Asn297に連結された全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、又はマンノース構造)の合計量に対する、Asn297に連結された糖鎖内のフコースの平均含有量を計算することによって決定される。Asn297とは、Fc領域の297位のアスパラギン残基(EU Fc領域残基番号付けシステム)である。しかしながら、抗体配列のわずかな変化によって、Asn297は、また297位の上流又は下流の約±3アミノ酸、即ち、294及び300位の間に位置しても良い。これらのフコシル化変異体は、増強されたADCC機能を持つ可能性がある。例えば、US Patent Publication Nos.US2003/0157108(Presta,L.),US2004/0093621(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照する。「脱フコース基化」又は「フコース欠損」の抗体変異体に関連する刊行物の実例として、US2003/0157108;WO2000/61739;WO2001/29246;US2003/0115614;US2002/0164328;US2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;WO2003/085119;WO2003/084570;WO2005/035586;WO2005/035778;WO2005/053742;WO2002/031140;Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)を含む。脱フコシル化された抗体を産生できる細胞株は、タンパク質フコシル化機能が欠如するLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);US Pat Appl No US2003/0157108A1, Presta,L;及びWO 004/056312A1,Adams et al.,特に実施例11)、及び、例えば、α-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8遺伝子がノックアウトされたCHO細胞のようなノックアウト細胞株(Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87:614(2004);Kanda, Y. et al., Biotechnol. Bioeng.,94(4):680-688(2006);及びWO2003/085107)を含む。
【0209】
抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)変異体は、さらに、二分オリゴ糖に関し、例えば、抗PcrV抗体のFc領域に連結された二分岐オリゴ糖は、GlcNAcによって均等に分割される。この抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)変異体は、減少されたフコシル化及び/又は増強されたADCC機能を持つ可能性がある。このような抗体の実例は、WO2003/011878(Jean-Mairet et al.);U.S.Pat.No.6,602,684(Umana et al.);US2005/0123546(Umana et al.),及びFerrara et al.,Biotechnology and Bioengineering,93(5):851-861(2006)に説明されている。本願は、また、抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)変異体に関し、当該抗PcrV抗体は、Fc領域に結合したオリゴ糖に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ。このような抗PcrV抗体変異体は、増強されたCDC機能を持つ可能性がある。このような変異体は、例えば、WO1997/30087(Patel et al.);WO 1998/58964(Raju,S.);及びWO 1999/22764(Raju,S.)に説明されている。
【0210】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)変異体は、FcγRIIIに結合できるFc領域を含む。いくつかの実施例において、Fc領域を含む前記抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)変異体は、ヒトエフェクター細胞(例えば、T細胞)の存在下で、ADCC活性を示し、又は、ヒト野生型IgG1 Fc領域を有する他の同じ抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)と比較して、ヒトエフェクター細胞の存在下で、増強されたADCC活性を有する。
システイン操作変異体
【0211】
いくつかの実施例において、システインが操作された抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)の調製が必要とし、当該抗PcrV抗体において、1つ以上のアミノ酸残基がシステイン残基に置換される。いくつかの実施例において、置換された残基は、抗PcrV抗体のアクセス可能な部位(accessible site)に現れる。これらの残基をシステインで置換することにより、活性があるスルフヒドリル基は、抗PcrV抗体のアクセス可能な部位に位置し、当該抗PcrV抗体と他の部分とのカップリング、例えば、薬物部分又はリンカー-薬物部分のカップリングに用いられて、本明細書に記載の抗PcrV免疫カップリング体を調製する。システインが操作された抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)は、例えば、U.S. Pat. No. 7,521,541に記載されたように調製できる。
誘導体
【0212】
いくつかの実施例において、本明細書に提供の抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)は、本分野で知られており、容易に入手可能な他の非タンパク質部分を含むように、さらに修飾され得る。抗PcrV抗体の一部を誘導体化するのに適している部分は、水溶性重合体を含むが、これに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例として、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコール共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアミノ酸(単独重合体又はランダム共重合体)、デキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコール単独重合体、プロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセリン)、ポリビニルアルコール及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中で安定しているため、製造において利点がある。重合体は任意の分子量であり得、分岐又は非分岐であり得る。抗PcrV抗体に結合する重合体の数は変わってもよく、そして複数の重合体が結合されている場合、それらは同じ分子でも異なる分子でもよい。通常、誘導体化に用いられる重合体の量及び/又はタイプは、抗PcrV抗体の改善しようとする特性又は機能、抗PcrV抗体誘導体が特定の条件下での治療に用いるかどうかなどを含む因子を考慮して決定するが、これらに限定されない。
【0213】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体(全長の抗PcrV抗体など)と、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る非タンパク質性部分とのコンジュゲートを提供する。いくつかの実施例において、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長であってもよく、通常の細胞に害を及ぼさなく、非タンパク質性部分を抗PcrV抗体-非タンパク質性部分に近接する細胞が殺される温度に加熱する波長を含むが、これらに限定されない。
医薬組成物
【0214】
本明細書は、いずれか1つの抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)、抗体をコードする核酸、抗体をコードする核酸を含むベクター、又は本明細書に記載の核酸又はベクターを含む宿主細胞を含有する組成物(例えば、医薬組成物、ここでは、製剤ともいう。)をさらに提供する。いくつかの実施例において、本明細書に記載のいずれか1つの抗PcrV抗体、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0215】
必要な純度の抗PcrV抗体を、任意の製薬上許容される担体、賦形剤、又は安定剤と混合することによって(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))、適切な抗PcrV抗体製剤を得て、凍結乾燥製剤又は液体製剤の形に調製する。許容される担体、賦形剤又は安定剤は、使用された量及び濃度で受験者に対して無毒であり、これらは、リン酸塩、クエン酸及び他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;ヘキサメチル塩化アンモニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール;ブタノール又はベンジルアルコール; p-ヒドロキシ安息香酸メチル又はp-ヒドロキシ安息香酸プロピルのようなp-ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;例えば、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性重合体;例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジンのようなアミノ酸;単糖、二糖及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールのような糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例えば亜鉛-タンパク質複合体);及び/又はTWEENTM,PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤)を含む;例示的な製剤はWO98/56418に記載されており、それらの内容は引用により本明細書に明示的に組み込まれる。皮下投与に適した凍結乾燥製剤は、WO97/04801に記載されている。このような凍結乾燥製剤は、適切な希釈剤を用いて高タンパク質濃度の調製物に再構成することができ、そして再構成された製剤は、皮下投与によって本明細書に記載の治療しようとする個体に投与することができる。カチオン性リポソーム又はリポソームは、本願における抗PcrV抗体を細胞に送達することに用いられる。
【0216】
本明細書に記載の製剤は、抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)に加えて、特定の病症の治療に必要な一種以上の他の活性物質を含み得、この活性物質は、好ましくは相補的活性があり、かつ副作用のない物質である。例えば、抗PcrV抗体に加えて、抗腫瘍剤、成長阻害剤、細胞毒性剤又は化学療法剤をさらに含めることが必要な場合がある。これらの分子は、予期された目的に有効な量で組み合わせて存在する。他の物質の有効量は、製剤中の抗PcrV抗体の含有量、疾患又は障害或いは治療の種類、及び前記の他の要因に依存する。これらの薬物は通常、本明細書に記載される投与量と同じ投与量及び投与経路で使用され、又は現在適用されている投与量の1%から99%で使用される。
【0217】
前記抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)は、凝集技術及び界面重合によって調製されたマイクロカプセルに封入されることもでき、例えば、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又は粗いエマルジョン中のヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに封入される。これで、徐放性製剤を調製できる。
【0218】
抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)の徐放性製剤を調製できる。徐放性製剤の適切な実例は、抗体(又はそのフラグメント)を含有する固体疎水性重合体の半透性マトリックスを含み、これらのマトリックスは、成形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの実例として、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(U.S. Pat. No. 3,773,919)、L-グルタミン酸及びL-グルタミン酸エチル共重合体、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOTTM(乳酸-グリコール酸共重合体と酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフェア)のような分解性乳酸-グリコール酸共重合体及びポリ-D(-)- 3-ヒドロキシ酪酸を含む。エチレン-酢酸ビニルや乳酸-グリコール酸のような重合体分子は100日以上放出できるが、一部のヒドロゲルはより短い時間でタンパク質を放出できる。封入された抗体が体内に長期間留まると、37°Cの高湿環境に曝されるために変性又は凝集し、生物活性が失われたり、免疫原性が変化したりする可能性がある。対応するメカニズムによって、抗PcrV抗体を安定化するための合理的な対策を設計することができる。例えば、凝集メカニズムは、チオジスルフィド交換によって分子間S-S結合を形成する場合、スルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液中での凍結乾燥、含水量の制御、適切な添加剤の使用、及び特定の重合体マトリックス組成物の開発によって安定化を達成できる。
【0219】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)は、クエン酸塩、塩化ナトリウム、酢酸塩、コハク酸塩、グリシン、ポリソルベート80(ツイン80)又はそれらの任意の組み合わせの緩衝液において調製される。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体は、約100mM~約150mMのグリシンを含む緩衝液において調製される。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体は、約50mM~約100mMのNaClを含む緩衝液において調製される。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体は、約10mM~約50mMの酢酸塩を含む緩衝液において調製される。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体は、約10mM~約50mMのコハク酸塩を含む緩衝液において調製される。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体は、約0.005%~約0.02%のポリソルベート80を含む緩衝液において調製される。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体は、pH値が5.1~5.6である緩衝液において調製される。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体は、10mMのクエン酸塩と、100mMのNaClと、100mMのグリシンと、0.01%ポリソルベート80を含む緩衝液において調製され、その製剤のpH値が5.5である。
【0220】
イン・ビボ投与のための製剤は無菌でなければならない。これは、例えば、滅菌フィルター膜を適用した濾過によって容易に達成することができる。
抗PcrV抗体を使用する治療方法又は予防方法
【0221】
いくつかの実施例において、本明細書に記載のいずれか1つの抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体へ投与することを含む、個体のシュードモナス菌感染を治療する方法を提供する。いくつかの実施例において、シュードモナス菌感染を治療する方法は、シュードモナス菌感染に関連する疾患及び/又は病症に対する治療的又は予防的な効果をさらに提供する。いくつかの実施例において、本明細書に記載のいずれか1つの抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を予防する方法を提供する。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体(上記のいずれか1つのPcrV抗体)又は医薬組成物(上記のいずれか1つの抗PcrV抗体を含む医薬組成物)による疾患又は病症を治療するための医薬品の調製における使用を提供する。
【0222】
シュードモナス菌感染に関連する疾患及び/又は症状は、発熱、悪寒、疲労、筋肉及び関節の痛み、関節の腫れ、頭痛、下痢、皮膚発疹、創傷の膿、細菌血症、急性肺炎、腹腔内感染を含むが、これらに限定されない。さらなる例示的な疾患は、呼吸器感染、細菌血症、敗血症性ショック、化膿性関節炎、腸炎、皮膚及び軟組織感染(火傷創傷感染など)、尿路感染、腸感染、潰瘍性角膜炎、慢性化膿性中耳炎、乳様突起炎、副鼻腔炎及び心内膜炎を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、シュードモナス菌感染を治療又は予防する方法により、シュードモナス菌感染による死亡率を低下させる。
【0223】
いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrVにおける線状エピトープに特異的に結合する。いくつかの実施例において、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrVにおける非線状エピトープに特異的に結合する。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrV上のエピトープに結合し、アミノ酸配列SEQ ID NO:71に従って、前記エピトープが前記シュードモナス菌PcrVのGln160、Asp165、Asp170、Asp173、Thr175及びSer202からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのアミノ酸残基を含む。
【0224】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:1~8のいずれか1つを含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:9~14のいずれか1つを含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:15~31のいずれか1つを含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32~33のいずれか1つを含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:35~38のいずれか1つを含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:1~8のいずれか1つを含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:9~14のいずれか1つを含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:15~31のいずれか1つを含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32~33のいずれか1つを含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:35~38のいずれか1つを含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:1~8のいずれか1つを含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:9~14のいずれか1つを含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:15~31のいずれか1つを含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32~33のいずれか1つを含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NOs:35~38のいずれか1つを含むLC-CDR3とを含む。
【0225】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:48~64のいずれか1つを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:65~70のいずれか1つを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:48~64のいずれか1つを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:65~70のいずれか1つを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:48~64のいずれか1つを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NOs:65~70のいずれか1つを含む。
【0226】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:15を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:15を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0227】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:48を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:48を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。
【0228】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:15を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:48又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:48と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0229】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:16を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:16を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0230】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:49を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:49を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。
【0231】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:16を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:49又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:49と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0232】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:17を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:36を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:17を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:36を含むLC-CDR3とを含む。
【0233】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:50を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:66を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:50を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:66を含む。
【0234】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:17を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:36を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:50又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:50と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:66又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:66と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0235】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:18を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:18を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。
【0236】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:51を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:51を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。
【0237】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:18を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:51又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:51と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:67と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0238】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:19を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:19を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0239】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:52を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:52を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。
【0240】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:19を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:52又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:52と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0241】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:11を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:20を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:11を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:20を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0242】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:53を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:53を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。
【0243】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:11を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:20を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:53又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:53と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0244】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:4を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:21を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:4を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:21を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0245】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:54を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:54を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。
【0246】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:4を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:21を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:54又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:54と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0247】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:5を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:22を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:5を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:22を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。
【0248】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:55を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:55を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。
【0249】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:5を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:22を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:55又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:55と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:67と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0250】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:6を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:23を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:6を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:23を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。
【0251】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:56を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:56を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。
【0252】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:6を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:23を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:56又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:56と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:67と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0253】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:12を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:24を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:33を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:12を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:24を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:33を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0254】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:57を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:68を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:57を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:68を含む。
【0255】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:12を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:24を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:33を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:57又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:57と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:68又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:68と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0256】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:25を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:25を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。
【0257】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:58を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:69を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:58を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:69を含む。
【0258】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:2を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:25を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:58又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:58と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:69又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:69と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0259】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0260】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:59を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:59を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。
【0261】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:9を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:26を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:59又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:59と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0262】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:27を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:27を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0263】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:60を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:60を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。
【0264】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:3を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:27を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:60又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:60と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0265】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:28を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:28を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0266】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:61を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:61を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。
【0267】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:28を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:61又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:61と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0268】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。
【0269】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。
【0270】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:62と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:67と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0271】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:30を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:30を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含む。
【0272】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:63を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:63を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65を含む。
【0273】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:10を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:30を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:35を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:63又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:63と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:65又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:65と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0274】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:8を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:14を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:8を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:14を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含む。
【0275】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:64を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:64を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67を含む。
【0276】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:8を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:14を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:31を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:37を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:64又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:64と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:67又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:67と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0277】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:38を含むLC-CDR3とを含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:38を含むLC-CDR3とを含む。
【0278】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:70を含む。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、以下のような抗体と同じエピトープに結合し、当該抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:70を含む。
【0279】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、VH又は前記VHの変異体及びVL又は前記VLの変異体を含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:7を含むHC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:13を含むHC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:29を含むHC-CDR3とを含み、前記VHの変異体がHC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含み、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:32を含むLC-CDR1と、アミノ酸配列SEQ ID NO:34を含むLC-CDR2と、アミノ酸配列SEQ ID NO:38を含むLC-CDR3とを含み、前記VLの変異体がLC-CDRsにおいて最大約5個のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、VH及びVLを含み、前記VHは、アミノ酸配列SEQ ID NO:62又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:62と少なくとも約90%の配列同一性を有し、前記VLは、アミノ酸配列SEQ ID NO:70又はその変異体を含み、前記変異体がアミノ酸配列SEQ ID NO:70と少なくとも約90%の配列同一性を有する。
【0280】
いくつかの実施例において、抗PcrV抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるシュードモナス菌感染を治療又は予防する方法を提供し、ここで、前記抗PcrV抗体は、シュードモナス菌PcrV上のエピトープに特異的に結合し、アミノ酸配列SEQ ID NO:71に従って、前記エピトープがシュードモナス菌PcrVのGln160、Asp165、Asp170、Asp173、Thr175及びSer202からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのアミノ酸残基を含む。いくつかの実施例において、前記組成物における抗PcrV抗体は、以下のような抗体と競合し、当該抗体は、アミノ酸配列SEQ ID NO:71によるシュードモナス菌PcrVのGln160、Asp165、Asp170、Asp173、Thr175及びSer2022からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのアミノ酸残基に結合する。
【0281】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、抗体重鎖定常領域及び抗体軽鎖定常領域を含む本明細書に記載のいずれか1つの治療又は予防する方法を提供する。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、IgG1重鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、IgG2重鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、IgG3重鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、IgG4重鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、前記IgGは、ヒトIgGである。いくつかの実施例において、重鎖定常領域は、アミノ酸配列SEQ ID NO:73を含むか、又はアミノ酸配列SEQ ID NO:73からなる。いくつかの実施例において、重鎖定常領域は、アミノ酸配列SEQ ID NO:74を含むか、又はアミノ酸配列SEQ ID NO:74からなる。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、λ軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、κ軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施例において、軽鎖定常領域は、アミノ酸配列SEQ ID NO:72を含むか、又はアミノ酸配列SEQ ID NO:72からなる。いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体は、抗体重鎖可変ドメイン及び抗体軽鎖可変ドメインを含む。
【0282】
いくつかの実施例において、本明細書に記載のいずれか1つの治療又は予防する方法は、シュードモナス菌感染に関連する疾患及び/又は病症に対する治療的又は予防的な効果をさらに提供する。いくつかの実施例において、前記方法は、個体におけるシュードモナス菌感染を予防することができる。
【0283】
いくつかの実施例において、前記個体は、哺乳類動物(例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、ラット、マウス、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ等)である。いくつかの実施例において、前記個体はヒトである。いくつかの実施例において、前記個体は、臨床患者、臨床試験ボランティア、実験動物などである。いくつかの実施例において、前記個体は、年齢が60歳未満(例えば、50歳未満、40歳未満、30歳未満、25歳未満、20歳未満、15歳未満、又は10歳未満を含む)である。いくつかの実施例において、前記個体の年齢は、60歳超(例えば、70超、80超、90超又は100歳超を含む)である。
【0284】
いくつかの実施例において、前記個体は、緑膿菌感染に関連する1つ又は複数の危険因子を有する。例えば、いくつかの実施例において、前記個体は、皮膚の粘膜層が露出または破壊された状態である。いくつかの実施例において、前記個体は、1つ又は複数の火傷を有する。いくつかの実施例において、前記個体は、1つ又は複数の外科的創傷を有する。いくつかの実施例において、前記個体は、皮膚疾患を有する。いくつかの実施例において、前記個体は、機械的人工呼吸器又は導管などの異物が挿入されるが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、前記個体は、HIV感染、AIDS及び/又は好中球欠損症を含むがこれらに限定されない免疫不全症と診断されるか、又は遺伝的にその傾向がある。いくつかの実施例において、前記個体は、1つ又は複数の形態の化学療法を受けた。いくつかの実施例において、前記個体は、1つ又は複数の形態の糖質コルチコイド治療を受けた。いくつかの実施例において、前記個体は、癌、糖尿病及び/又は慢性構造性肺疾患(嚢胞性線維症またはCOPDなど)と診断されるか、又は遺伝的にその傾向がある。いくつかの実施例において、前記個体は、消化器系及び/又は他の器官における細菌叢の不均衡と診断されるか、又は遺伝的にその傾向がある。いくつかの実施例において、前記個体は、上記の1つ又は複数の疾患又は病症に関連する1つ又は複数の危険因子を有する。
【0285】
いくつかの実施例において、本願は、PcrV抗体を含有する組成物を個体へ投与することを含む、抗PcrV抗体(本明細書に記載のいずれか1つの抗PcrV抗体、例えば単離された抗PcrV抗体)を個体の病原菌に感染された細胞に送達する方法を提供する。
【0286】
いくつかの実施例において、本明細書に記載のいずれか1つの方法は、1つ又は複数の追加の治療薬を投与することをさらに含む。いくつかの実施例において、治療薬の少なくとも1つは、抗生物質である。いくつかの実施例において、前記抗生物質は、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、フルオロキノロン、アミノグリコシド、モノバクタム、ポリミキシン、β-ラクタマーゼ阻害剤を含有する抗生物質の組み合わせ、又はそれらの任意の組成物である。いくつかの実施例において、前記抗生物質は、セフェピム、セフタジジム、セフピロメ、イミペネム、メロペネム、チカルシリン、ピペラシリン、アズロシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズトレオナム、トブラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、セフォペラゾン-スルバクタム、ピペラシリン-タゾバクタム、ホスホマイシン、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施例において、前記抗生物質は、イミペネム、トブラマイシン、シプロフロキサシン、メロペネム、及びアズトレオナムの一種又は複数種である。いくつかの実施例において、前記抗生物質は、ゲンタマイシン、アンピシリン及びカナマイシンの一種又は複数種である。
【0287】
PcrV発現を示す感染性病原体の多くの診断方法及びこれらの疾患の臨床的説明は、本分野において既知である。このような方法は、例えば、免疫組織化学、PCR、及び蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を含むが、これらに限定されない。
【0288】
いくつかの実施例において、前記抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)及び/又は本願の組成物は、第二の薬剤、第三の薬剤又は第四の薬剤(例えば、抗生物質を含む)と併用することにより、PcrVを発現する病原菌に関連する疾患及び/又は病症を治療又は予防する。
抗PcrV抗体抗体の投与量及び方法
【0289】
個体(例えば、ヒト)に投与される抗PcrV抗体(例えば、単離された抗PcrV抗体)組成物の剤量は、特定の組成物、投与方式、及び治療される疾患のタイプによって異なり得る。いくつかの実施例において、組成物(例えば、単離された抗PcrV抗体を含む組成物)の量は、シュードモナス菌感染の治療又は予防において、客観的応答(例えば、部分応答又は完全応答)を効果的に生成することができる。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体組成物の量は、個体において完全応答を産生するのに十分である。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体組成物の量は、個体において部分応答を産生するのに十分である。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体組成物の投与量(例えば、単独で投与される場合)は、抗PcrV抗体組成物を使用して治療する個体群において、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、64%、65%、70%、75%、80%、85%又は90%を上回る全応答率を産生するのに十分である。個体が本明細書に記載の治療方法に対する応答は、例えば、グラム染色又は他の表現型試験方法などの方法によるシュードモナス菌検出によって決定することができる。
【0290】
いくつかの実施例において、組成物(例えば、単離された抗PcrV抗体を含む組成物)の量は、個体の無増悪生存期間を延長するのに十分である。いくつかの実施例において、組成物の量は、個体の全生存期間を延長するのに十分である。いくつかの実施例において、抗PcrV抗体組成物を使用して治療する個体群において、組成物の量(例えば、単独で投与される場合)は、50%、60%、70%又は77%より高い臨床利点を産生するのに十分である。
【0291】
いくつかの実施例において、組成物(例えば、単離された抗PcrV抗体を含む組成物)の量は、単独で投与される場合、又は、第二の薬剤、第三の薬剤及び/又は第四の薬剤と併用して投与する場合、治療前の同じ受験者又は治療されない他の受験者の対応する臓器負担と比較して、シュードモナス菌の臓器負担の数を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%まで十分に低減する。標準的な方法、例えば、精製酵素のイン・ビトロ検出、細胞による検出、動物モデル、又はヒト試験で治療効果を測定することができる。
【0292】
いくつかの実施例において、組成物が個体に投与される場合、組成物中の抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)の量は、毒性効果(即ち、臨床的に許容されるレベルよりも高い効果)を引き起こすレベルより低く、又は潜在的な副作用が制御又は許容されるレベルにある。
【0293】
いくつかの実施例において、同じ投与計画に従って、組成物の量は、組成物の最大耐量(MTD)に近い。いくつかの実施例において、組成物の量は、MTDの80%、90%、95%又は98%より高い。
【0294】
いくつかの実施例において、組成物における抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)の含有量は、0.001μg~1000μgの範囲内にある。
【0295】
いくつかの実施例において、前記組成物又は方法は、一種又は複数種の抗生物質をさらに含む。いくつかの実施例において、組成物における抗生物質(例えば、イミペネム、トブラマイシン、シプロフロキサシン、メロペネム、アズトレオナム、チカルシリン、ピペラシリン、アズロシリン、カルベニシリン、メズロシリン、ゲンタマイシン又はアミカシン)の含有量は、0.001μg~1000μgの範囲内にある。
【0296】
上記のいずれか1つの実施例において、組成物における抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)の有効量は、体重によって計算すれば、0.1μg/kg~100mg/kgの範囲内にある。
【0297】
上記のいずれか1つの実施例において、組成物における抗生物質(例えば、イミペネム、トブラマイシン、シプロフロキサシン、メロペネム、アズトレオナム、チカルシリン、ピペラシリン、アズロシリン、カルベニシリン、メズロシリン、ゲンタマイシン又はアミカシン)の有効量は、体重によって計算すれば、0.1μg/kg~100mg/kgの範囲内にある。
【0298】
抗PcrV抗体組成物は、例えば、静脈内注射、動脈内投与、腹腔注射、肺内投与、経口投与、吸入投与、血管内投与、筋肉注射、気管内投与、皮下注射、眼内投与、髄腔内投与、粘膜投与、又は経皮投与を含む様々な経路を通じて、個体(例えば、ヒト)に投与することができる。いくつの実施例において、組成物の徐放性製剤を使用する。いくつの実施例において、組成物は、静脈内投与される。いくつかの実施例において、組成物は、門脈内に投与される。いくつの実施例において、組成物は動脈内投与される。いくつの実施例において、組成物は腹腔内投与される。いくつの実施例において、組成物は肝内投与される。いくつの実施例において、組成物は肝動脈注入によって投与される。いくつの実施例において、組成物は、第1の病変部位から離れた部位に投与される。
製品及び試薬キット
【0299】
いくつかの実施例において、個体におけるシュードモナス菌感染の治療又は予防に用いられるか、又は、抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)をPcrVを発現する病原体が付着した細胞に送達することに用いられる物質を含む製品を提供する。前記製品は、容器と、当該容器に付随する容器上のラベル又はパッケージ説明書を含みうる。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、注射器などを含む。容器は、例えば、ガラスやプラスチックのような様々な材料で制作できる。通常、当該容器内は、本明細書に記載の、疾患又は病症を効果的に治療することができる組成物を含み、そして、無菌ポートを有する(例えば、当該容器は、静脈輸液バッグ又は皮下注射針によって突き刺すことができるキャップ付きのバイアルであり得る。)ものである。組成物には、少なくとも1つの活性物質として、本願に記載の抗PcrV抗体を含む。ラベル又は外装説明書には、当該組成物を使用して治療できる特定の病症を示している。ラベル又は外装説明書には、抗PcrV抗体組成物を患者に投与するための説明書がさらに含まれている。併用療法を含む製品及び試薬キットのいずれも、本明細書の範囲内にある。
【0300】
外装説明書とは、通常治療用製品の市販パッケージ内の説明書であり、これらの治療用製品の使用に関する適応症、使用法、投与量、投与、禁忌症及び/又は警告情報を含む。いくつかの実施例において、外装説明書は、当該組成物が細菌感染の治療に用いられることを示している。いくつかの実施例において、外装説明書は、当該組成物がシュードモナス菌感染の治療に用いられることを示している。
【0301】
また、前記製品は、第2の容器をさらに含んでもよく、当該第2の容器が、例えば、注射用静菌性水(BWFI)、リン酸緩衝液、グリーン溶液、又はグルコース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む。また、当該第2の容器が、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、注射針、注射器などの商業的及びユーザーの観点から必要な他の材料も含みうる。
【0302】
なお、本願は、任意で製品と組み合わせて、例えば、個体におけるシュードモナス菌感染の治療又は予防の治療に用いられか、または、抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)をPcrVを発現する病原体が付着した細胞に送達することに用いられるなどの様々な目的に用いる試薬キットを提供する。本願の試薬キットは、一つ以上の容器を含み、当該容器は、抗PcrV抗体組成物(又は単回剤形及び/又は製品)を含み、いくつかの実施例において、さらに他の薬剤(例えば、本明細書に記載されている薬剤)及び/又は本明細書に記載のいずれか1つの方法と一致する取扱説明書を含む。当該試薬キットは、さらに、適切な治療個体を選択することに対する説明を含み得る。本願の試薬キッ付きの取扱説明書は、通常、ラベル又は外装説明書(試薬キットに含まれている紙)に書かれた説明であり、機械読取可能な説明(例えば、磁気又は光学ストレージディスクにおける説明)も許容される。
【0303】
例えば、いくつかの実施例において、試薬キットは、抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)を含む組成物を含有する。いくつかの実施例において、試薬キットは、a)本明細書に記載のいずれか1つの抗PcrV抗体を含む組成物、及びb)抗PcrV抗体の効果(例えば治療効果、検出効果)を増強することができる少なくとも一種の有効量の他の薬剤を含む。いくつかの実施例において、試薬キットは、a)本明細書に記載のいずれか1つの抗PcrV抗体を含む組成物、及びb)個体に抗PcrV抗体組成物を投与し、個体におけるシュードモナス菌感染の治療に用いられる取扱説明書を含む。いくつかの実施例において、試薬キットは、a)本明細書に記載のいずれか1つの抗PcrV抗体を含む組成物、b)抗PcrV抗体の効果(例えば治療効果、検出効果)を増強することができる少なくとも一種の有効量の他の薬剤、及びc)個体に抗PcrV抗体組成物及び他の物質を投与し、個体におけるシュードモナス菌感染の治療に用いられる取扱説明書を含む。前記抗PcrV抗体及び他の物質は、別々の容器又は同じ容器に存在することができる。例えば、当該試薬キットは、一種の特定の組成物又は二種以上の組成物を含み得、中では、一種の組成物が、抗PcrV抗体を含み、他の一種の組成物が他の薬剤を含む。
【0304】
いくつかの実施例において、試薬キットは、抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)をコードする核酸(又は核酸のセット)を含む。いくつかの実施例において、試薬キットは、a)抗PcrV抗体をコードする核酸(又は核酸のセット)、及びb)核酸(又は核酸のセット)を発現する宿主細胞を含む。いくつかの実施例において、試薬キットは、a)抗PcrV抗体をコードする核酸(又は核酸のセット)、及びb):i)宿主細胞に抗PcrV抗体を発現すること、ii)抗PcrV抗体を含む組成物を調製すること、及びiii)個体に抗PcrV抗体を含む組成物を投与し、個体におけるシュードモナス菌感染の治療又は予防に用いられること;に適している使用説明書を含む。いくつかの実施例において、試薬キットは、a)抗PcrV抗体をコードする核酸(又は核酸のセット)、b)核酸(又は核酸のセット)を発現する宿主細胞、及びc):i)宿主細胞に抗PcrV抗体を発現すること、ii)抗PcrV抗体を含む組成物を調製すること、及びiii)個体に抗PcrV抗体を含む組成物を投与し、個体におけるシュードモナス菌感染の治療又は予防に用いられること;に適している使用説明書を含む。
【0305】
本願に記載の試薬キットは、適切な形式でパッケージされる。適切なパッケージとして、バイアル、ボトル、ジャー、柔軟な包装(例えば、密封されたポリエステルフィルム又はビニール袋)などが含まれるが、これらに限定されない。試薬キットは、例えば、緩衝液及び説明情報のような他の成分を任意的に提供しうる。従って、本願は、バイアル、ボトル、ジャー、柔軟なパッケージ(密封されたポリエステルフィルムやビニール袋)などを含む製品をさらに提供する。
【0306】
抗PcrV抗体組成物の取扱説明書に関して、通常、投与量、投与期間及び投与経路のような情報を含む。容器は、単位用量、バルク(例えば、複数用量包装)又はサブ単位用量であり得る。例えば、十分な用量の本明細書に記載の抗PcrV抗体(例えば、全長の抗PcrV抗体)を含む試薬キットを提供し、個体に対して長期間(例えば、1週間、8日、9日、10日、11日、12日、13日、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月又はその以上)で効果的な治療をおこなう。試薬キットは、また複数単位用量の抗PcrV抗体、医薬組成物、及び取扱説明書を含み得て、十分な量でパッケージし、病院薬局や調剤薬局などの薬局での保管及び使用することに用いる。
【0307】
当業者は、本願の範囲及び趣旨における若干の実施例を認識できる。次に、以下の非限定的な実施例を参照して、本出願をより詳細に説明する。以下の実施例は、本願をさらに説明するものであり、本願の範囲に対するいずれかの方式で制限するものとして解釈されるべきではない。
実施例
実施例1:組換えシュードモナス菌PcrVの調製及び抗PcrV一本鎖抗体(scFv)のスクリーニング
組換えシュードモナス菌PcrVの調製
【0308】
PcrV(PAO1)の全長配列を合成し(Generay,Shanghai)、制限エンドヌクレアーゼ部位NdeI及びBamHIを使用して発現ベクターpETにサブクローン化した。PcrVの標識には、Hisタグ又は従来使用されているその他のタグを用いた。発現ベクターpET-6his-PcrV及びpET-6his-Avi-PcrVを産生した。これらの構築において、「His」は、Hisタグを表し、「Avi」は、アビジンタグを表した。製造元のプロトコルに従って組換えPcrV(pET-6his-PcrV、pET-6His-Avi-PcrVを含む)の発現及び精製を行った。簡単に言えば、大腸菌細胞を発現ベクターで転換して、前記細胞をIPTGで誘導し、25°C、220rpmで一晩培養した。続いて、大腸菌細胞を超音波処理し、細胞破片をペレット化して除去し、遠心分離によってタンパク質を分離した。
【0309】
Hisタグを発現するタンパク質を製造元のプロトコルに従ってNi Sepharose精製を使用して精製した。具体的に、Qiagen Ni-NTAスーパーフローカートリッジ(Qiagen Ni-NTA Superflow cartridges)を使用して固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)分析に使用した。まず、カートリッジは、緩衝液A1(50mM Na3PO4,0.15M NaCl,pH7.2)を使用して、流速150cm/hで平衡化された。培養上清液のpHを7.2に調整し、室温で150cm/hでカートリッジに流した。続いて、緩衝液A1(カートリッジの体積の6倍)を使用して、150cm/hの流速でカートリッジを再平衡化した。カートリッジの体積の10倍のPB溶液50mM(0.15M NaCl及び0.2M イミダゾールを含み、pH7.2)を使用してカートリッジを洗浄し、溶出液を収集した。
ビオチン化PcrV抗原の調製
【0310】
ビオチンリガーゼB0101A(GENECOPOEIATM)を使用して6His-Avi-PcrVのビオチン化を製造元のプロトコルに従って行った。簡単に言えば、緩衝液A/Bとビオチンリガーゼを6His-Avi-PcrVに添加して、30℃で1時間インキュベートした。ビオチン化されたPcrVは、以下、Bhavi-PcrVと呼ばれた。ビオチン化の効率は、ELISA法により測定された。簡単に言えば、磁気ビーズ(DynabeadsTM MyOneTM Streptavidin T1)とインキュベートすることにより、Bhavi-PcrVを除去し、既知濃度の6His-Avi-PcrVを標準物質として、上清液における6His-Avi-PcrVの濃度をELISAで定量した。ビオチン化効率が90%であると決定された。
抗PcrV一本鎖抗体(scFv)のスクリーニング
【0311】
酵母scFv抗体ディスプレイライブラリーの構築:2000のヒト血液サンプルからRNAを抽出し、逆転写によってcDNAを得て、VH-及びVK-特異的プライマーを使用してVH及びVKフラグメントを増幅した。ゲル抽出及び精製した後、リンカーを介してVH及びVKを連結することによりscFvを構築した。それらのscFvsを酵母ディスプレイプラスミドPYD1にクローニングして、それを酵母にエレクトロポレーションして、酵母scFv抗体ディスプレイライブラリーを得た。
PcrV結合による抗PcrV一本鎖抗体(scFv)のスクリーニング
【0312】
酵母ディスプレイライブラリーからPcrVを認識するscFvを単離された。簡単に言えば、磁気活性化セルソーティング(MACS)を使用して、抗PcrV scFv抗体を発現する細胞を濃縮した。製造元のプロトコルに従って、Bhavi-PcrVを磁気ビーズ(DynabeadsTM MyOneTM Streptavidin T1)と一晩混合し、ビオチン化されたPcrVを磁気ビーズにコーティングさせた。次に、scFv抗体酵母ライブラリーをコーティングされたPcrVと混合され、PcrV認識抗体を表示する酵母を濃縮したが、結合しない酵母が洗浄ステップで洗い流された。続いて、収集した酵母細胞をPcrVタンパク質で標識し、FACSで選別して、PcrVに高い親和性を持つ抗体を表示する酵母をスクリーニングした。FACSを介在するスクリーニングを2~3サイクル繰り返した。スクリーニングされた酵母ライブラリー細胞を寒天の上に置き、単一コロニーを選択して、さらなるFACS分析を行った。PcrVへの正の結合を示した酵母クローンから、各scFv遺伝子を原核生物の発現ベクターにサブクローニングして、6-Hisタグと融合した。その後、Hisタグを標識するscFvsを上記したNi Sepharose精製を使用して精製した。陽性scFv抗体のパネルは、スクリーニングプロセスの最後に取得され、緑膿菌によるRBC溶解を阻害する能力について機能試験を受けた。
RBC溶解阻害による抗PcrV scFv候補の分析
【0313】
モノクローナルscFv抗体をスクリーニングし、RBC溶解アッセイによって生物学的活性を評価した。簡単に言えば、新鮮なヒト全血又はウサギ全血を遠心分離することにより赤血球(RBCs)を調製し、EDTAを添加してリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で複数回洗浄した。10%ウシ胎児血清(FBS,Gibco)を含有するDMEM培地においてRBCs(2.5%(v/v)最終)を洗浄し、PBSで希釈した精製された抗PcrV抗体と一緒に丸底96ウェルプレートのウェルに入れた。2×YT培地(Oxford)において緑膿菌菌株57/66(O6)を対数増殖期中期まで増殖させ、遠心分離によって回収し、600nmにおける光学密度(OD600)が0.15になるまでFBSを含有するDMEM培地においてに再懸濁した。10μlの細菌懸濁液をRBC-抗体混合物に加え、攪拌により混合し、37°C、5% CO2で3時間インキュベートした。プレートを短時間遠心分離(1000rpm,1min)して無傷のRBCsをペレット化し、上清液を平底96ウェルプレートに移し、OD405を測定して溶解を検出した。これにより、溶解阻害の相対量を算出してプロットした。抗体のIC50値も決定した。
実施例2:全長のヒトPcrV抗体の調製及び特性評価
全長のヒトPcrV抗体の調製
【0314】
最も潜在力があるscFv抗体を、ヒトIgG1の重鎖定常ドメイン及びヒトκ軽鎖定常ドメインを持つヒトIgG1抗体分子に再構築した。原核生物発現ベクターからVL及びVHを増幅して、それぞれ、真核生物発現ベクターpTT5-L(κ定常ドメインを含む)、及びpTT5-H1(IgG1重鎖定常ドメインを含む)に構築した。293F細胞のトランスフェクトに用いるように、軽鎖及び重鎖を発現するプラスミドを抽出した。前記細胞を37°C、8%CO2、120rpmで5日間培養した後、培養液における抗体をProtein A アフィニティークロマトグラフィーカラムで精製した。
【0315】
簡単に言えば、まず、0.15M NaCl及び50mM PBSを含む6倍カラム体積のPBS緩衝液(pH7.2)を使用して、150cm/hの流速でProtein A カラムを平衡化した。培養上清をpH7.2に調整し、150cm/hの流速でカラムに通した。更に平衡化した後、50mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.5)を使用してカラムを洗い流し、抗PcrV抗体を含む溶出液を回収した。実施例1における方法及び以下で説明する方法に従って、全長の抗体について、RBC溶解阻害(実施例1を参照)、A549/U937細胞溶解阻害及びマウス急性肺炎モデルにおける生存率の改善を特性評価した。
A549又はU937溶解阻害による抗PcrV候補の分析
【0316】
緑膿菌による細胞毒性及び細胞溶解を阻害する能力をアッセイするために、10%ウシ胎児血清を含有するDMEMにおいて、候補の抗PcrV抗体を、白い96ウェルプレート(Nunc Nunclon Delta)に播種したヒト気管支上皮細胞株A549又はヒト組織球性リンパ腫細胞株U937に添加した。対数増殖期菌株PA103(O11)緑膿菌を感染多重度10(MOI=10)で添加し、37°C、5% CO2で2時間インキュベートした後、室温で20分間平衡化した。CytoTox-ONEキット(Promega)を使用して溶解した細胞から放出された乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を定量し、膜の完全性をアッセイした。これにより、溶解阻害の相対量をプロットした。抗体のIC50値も決定した。
マウス急性肺炎モデルによる抗PcrV候補の分析
【0317】
候補の抗PcrV抗体がマウス急性肺炎モデルにおいて生存を改善する能力をアッセイした。予防モデルにおいて、感染の24時間前に、7~8週齢のBALB/cマウス(Vital River Laboratory)へ候補の抗体又はPBSを1、5、10又は25mg/kgのマウス体重の用量で腹腔内(i.p.)投与した。前に記載(DiGiandomenico et al.,2007,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,104:4624-4629)されたように実施された急性肺炎モデルを生成するために、BALB/cマウスへ40μlの接種液に懸濁する致死量又は2倍の致死量(8×105~1.6×106 CFU;1×又は2×LD90)の緑膿菌(PA103菌株)を鼻腔内接種した。マウスの生存率は、感染後7日間記録された。
13-42モノクローナル抗体をリード抗体としての更なる最適化
【0318】
調製された全長の抗体のうち、RBC溶解、A549細胞又はU937細胞溶解を阻害する能力、及びマウス急性肺炎モデルにおける生存率を改善する能力により、13-42モノクローナル抗体をリード親抗体として選択した。
実施例3:最適化された全長の抗PcrV抗体の調製及び特性評価
【0319】
調製された全長の抗体のうち、13-42をリード親抗体として選択して更なる最適化を行った。特に、重鎖のCDR3領域(HC-CDR3)の遊離システイン残基とグリコシル化部位を除去し、HC-CDR1、HC-CDR2及びLC-CDR3における11つのアミノ酸残基を選択的に操作することにより、ヒト生殖系列とのホモロジーを改善するように、13-42を最適化した。2つの方法により13-42由来の抗体を最適化した。
【0320】
第1方法では、まず、HC-CDR3における2つのシステインをコードする遺伝子座を突然変異させて終止コドンをコードすることにより、最適化テンプレートを生成した。続いて、終止コドンをコードする変異遺伝子座(前に2つのシステインをコードした)をランダムに20つのアミノ酸のいずれかに突然変異させた。同時に、HC-CDR3における任意のNXS配列のAsn(N)又はSer(S)を突然変異させることにより、HC-CDR3におけるグリコシル化部位(即ちNSS)を除去した。そして、HC-CDR3における残りのアミノ酸のそれぞれの遺伝子座は、一度に1つずつランダムに突然変異した。最後に、LC-CDR3、HC-CDR1及びHC-CDR2における非ヒトアミノ酸配列を突然変異させて、ヒト配列とのホモロジーを改善した。
【0321】
代替スキームでは、まず、HC-CDR3における2つのシステインをコードする遺伝子座を突然変異させて終止コドンをコードすることにより、最適化テンプレートを生成した。続いて、終止コドンをコードする変異遺伝子座(前に2つのシステインをコードした)をランダムに20つのアミノ酸のいずれかに突然変異させた。同時に、HC-CDR3における、システインに隣接されたすべてのアミノ酸の遺伝子座は、同時にランダムに突然変異した。最後に、LC-CDR3、HC-CDR1及びHC-CDR2における非ヒトアミノ酸配列を突然変異させて、ヒト配列とのホモロジーを改善した。
【0322】
13-42のscFvから始めて、上記したように、CDR領域における突然変異を含むファージscFvディスプレイライブラリーを生成した。ELISA又はBLIにより、高い親和性と低い解離速度でPcrVに結合できる突然変異体を識別し、これらの突然変異体がRBC溶解及びA549細胞溶解を阻害する機能を測定した。親13-42scFvと比較して同等又は改善された生物学的活性を示す13-42から最適化されたscFv抗体を使用して、全長の抗体を調製した。選択の最後に、最適化された全長の抗体のセットを得た。
【0323】
ELISAにより最適化された抗体とPcrVとの結合をアッセイした。ELISA実験において、合成PcrVを使用して96ウェルプレートのウェルをコーティングした。翌日、PBSTで洗浄した後、200μLのPBS-ミルクで1時間ブロッキングし、PBSTで洗浄し、抗体を加えて37℃で1時間インキュベートした。プレートを0.1%のTBST溶液で6回洗浄した後、各ウェルに100μLのヤギ抗ヒトFc抗体-AP(PBSで1:3000希釈する)を添加し、1時間インキュベートした。0.1%のTBSTで6回洗浄した後、各ウェルに50μlのpNPPを添加し、37℃で10~20分間発色した。マイクロプレートリーダーにより410nmにおいて信号を読み取った。表5に示すように、ELISA結果(OD410)を分析して、EC50値を計算した。
【表5】
【0324】
BLIにより最適化された抗PcrVモノクローナル抗体クローン7B1、7C1、8C1、6A10、5B3、3B12、4A10、2B1、7B2、3H10、3G3、3A11及び3A9とPcrVとの結合速度論及び親和性を測定し、結果を表6に示す。
【表6】
【0325】
そして、最適化された全長の抗体に対して、実施例1及び実施例2に記載された方法に従って、RBC溶解及びA549細胞溶解を阻害する能力を特性評価した。
最適化された抗PcrV抗体の、緑膿菌によるRBC及びA549細胞溶解への阻害
最適化された抗PcrV抗体の、RBC溶解への阻害
【0326】
最適化された抗PcrVモノクローナル抗体クローン7B1、7C1、8C1、6D10、6A10、5B3、3B12、4A10、2B1、7B2、3H10、3G3、9B12、3A9、2D3、7B1-1F5がRBC溶解を阻害する能力を親13-42モノクローナル抗体及び参照抗体V2L2-MDと比較した。RBC溶解阻害アッセイは、実施例1に記載されているように実施された。
【0327】
図1A、1B及び表7に示すように、親13-42モノクローナル抗体及び参照抗体V2L2-MDと比較して、13-42から最適化されたすべての抗体は、RBC溶解を阻害することにおいて、より良い又は同等の効果を示した。
【表7】
最適化された抗PcrV抗体のA549細胞溶解への阻害
【0328】
親13-42モノクローナル抗体とともに、最適化された抗PcrV抗体7B1、7C1、8C1、6D10、6A10、5B3、3B12、4A10、2B1、7B2、3H10、3G3、3A11、3A9がA549細胞溶解を阻害する能力を評価した。A549細胞溶解阻害アッセイは、実施例2に記載されているように実施された。
【0329】
図2A、2B及び表8に示すように、与親13-42モノクローナル抗体と比較して、13-42から最適化されたすべての抗体は、A549溶解を阻害することにおいて、より良い又は同等の効果を示した。
【表8】
実施例4:最適化された抗PcrV抗体の特異性と親和性の特性評価
【0330】
最適化された抗体において、7C1、7B1、8C1及び6D10がPcrVと結合する親和性及び特異性について、さらに特性評価を行った。
最適化された抗体とPcrVとの結合親和性
【0331】
BIACORE(GE社)により最適化された抗PcrVモノクローナル抗体クローン7B1、7C1、8C1、6D10及び参照抗体V2L2-MDとPcrVとの結合定数(ka)、解離定数(kd)及び平衡解離定数(kD)を測定した。最適化されたクローン7B1、7C1、8C1、6D10(それぞれ、8.47E-11M、4.57E-11M、3.16E-11M、5.20E-11M)のkD値とV2L2-MD抗体(4E-11M)のkD値が同等である。また、同等のka及びkd値で示されるように、最適化された抗体7B1、7C1、8C1及び6D10は、PcrVに結合することにおいて、同等の結合及び解離速度論を示した(データが示さない)。
抗PcrV抗体の特異性
【0332】
BV粒子及びPcrV陰性A549細胞との交差反応性を測定することにより、最適化された抗PcrV抗体の特異性について、特性評価を行った。
【0333】
BV粒子との交差反応性:前に記載された方法(Hotzel I,et al,2012,mAbs 4:6,753-760参照)によって、ELISAで最適化された抗体(7C1、7B1、8C1、6D10)及び参照抗体(V2L2-MD、Mab166)のBV粒子に対する交差反応性をテストした。
図3に示すように、Mab166は、BV粒子に対する高レベルの非特異的結合を示した。これに対して、最適化された抗体7C1、7B1、8C1、6D10は、V2L2-MDに似ていてMab166よりはるかに低い低レベルの非特異的結合を示した。
【0334】
A549細胞との交差反応性:FACSで親抗体13-42、最適化された抗体7C1、7B1、8C1、6D10及びV2L2-MDのPcrV陰性A549細胞に対する交差反応性をテストした。
図4A~4Eに示すように、13-42モノクローナル抗体及び最適化された抗体7C1、7B1、8C1、6D10は、いずれも陰性コントロール(抗体なし)及びV2L2-MDに似ている低レベルのA549細胞結合を示した一方、A549細胞の上のGM-CSFに特異的な陽性コントロール抗体は、A549細胞に対してさらなる高レベルの結合を示した。
【0335】
まとめると、これらの結果から、最適化された抗体7C1、7B1、8C1及び6D10は、親抗体13-42及び参照抗体V2L2-MDに似ている低い非特異的結合を示すとともに、別の参照である抗PcrV抗体Mab166よりはるかに低い非特異的結合を示すことが分かる。
実施例5:最適化された全長の抗PcrV抗体広範囲の緑膿菌菌株の中和
【0336】
最適化された抗PcrV抗体が広範囲の緑膿菌菌株を中和できるかどうかを調べるために、最適化された抗PcrV抗体が緑膿菌感染の臨床例の70%を代表する複数の臨床的に関連する緑膿菌菌株(O6、O11、O1、O16)によるRBC及びA549細胞溶解を阻害する能力を調査した。
最適化された抗PcrV抗体によるRBC溶解阻害
【0337】
親13-42モノクローナル抗体及び参照抗体V2L2-MDと比較して、最適化された抗PcrVモノクローナル抗体クローン7C1、8C1及び7B1がさまざまな緑膿菌菌株(O1-52/66、O16-177/81及びO6-57/66)によるRBC溶解を阻害する效力について、さらに分析した。RBC溶解阻害アッセイは、実施例1に記載されているように実施された。
【0338】
図5A~5C及び表9に示すように、最適化されたモノクローナル抗体クローン7C1、8C1及び7B1は、菌株O1-52/66、O16-177/81及びO6-57/66によるRBC溶解の阻害において、参照抗体V2L2-MD又は親13-42モノクローナル抗体より良い效力を示した。
【表9】
最適化された抗PcrV抗体によるA549細胞溶解阻害
【0339】
親13-42モノクローナル抗体と比較して、最適化された抗PcrVモノクローナル抗体クローン7C1、8C1及び7B1がさまざまな緑膿菌菌株(O6-57/66、O11-PA103、O1-52/66及びO16-177/81)によるA549細胞溶解を阻害する能力について、分析した。A549細胞溶解阻害アッセイは、実施例2に記載されているように実施された。
【0340】
図6A~6D及び表10に示すように、最適化されたモノクローナル抗体クローン7C1、8C1及び7B1は、菌株O6-57/66、O11-PA103、O1-52/66及びO16-177/81によるA549溶解の阻害において、親13-42モノクローナル抗体に相当する效力を示した。
【表10】
【0341】
最適化された抗体が広範囲で緑膿菌菌株を中和できるかどうかをさらに説明するために、これらの抗体が様々な形態のPcrV突然変異体に結合する能力をテストした。簡単に言えば、Genebankデータベースからランダムに100個のPcrV配列を選択した。配列番号SEQ ID NO:71に示される野生型配列と比較して、選択された配列の13%は、7B1に結合するエピトープの周りの主な突然変異である部位225にR、G又はK(野生型配列SEQ No:71では、Sである)を含んだ。
【0342】
最適化された7B1、7C1、8C1及び6D10抗体のこれらのPcrV突然変異体(部位225突然変異)への親和性及び特異性を特性評価したところ、前記抗体がこれらの突然変異体にも強く結合することが分かった(データが示さない)。これらの結果は、さらに、最適化された抗PcrV抗体が様々な形態のPcrV突然変異体を発現するできる広範囲の緑膿菌菌株を中和できることを示した。
実施例6:最適化された抗PcrV抗体の緑膿菌感染の予防的治療の使用
【0343】
マウス肺炎モデル、腹腔内感染モデル及び免疫不全マウス肺炎モデルにおける生存率の改善によって、緑膿菌感染から予防的に保護するという最適化された抗PcrV抗体の能力は、実証された。
抗PcrV抗体によるマウス肺炎モデルの生存率の改善
【0344】
親13-42モノクローナル抗体及び前に記載されたHIVを広く中和する抗体であるHIV-10E8(Huang J,et al,2012,Nature 491:406参照)と比較して、マウス肺炎モデルにおける最適化された抗体7C1、7B1及び3G3の生存率を改善する能力を評価した。
【0345】
予防モデルにおいて、感染の24時間前に、7~8週齢のBALB/cマウス(Vital River Laboratory)へ抗体を1又は10mg/kgのマウス体重の用量で腹腔内(i.p.)投与した。急性肺炎を誘発するために、BALB/cマウスへ40μlの接種液に懸濁する致死量(1×LD90)又は2倍の致死量(2×LD90)(8×105~1.6×106 CFU)の緑膿菌(PA103菌株)を鼻腔内接種した。マウスの生存率は、感染後7日間記録された。その結果は、カプランマイヤー生存曲線で表された。
【0346】
図7A~7Bにおけるカプランマイヤー生存曲線に示すように、陰性コントロールと比較して、1倍及び2倍の致死量(1×LD90又は2×LD90;8×10
5~1.6×10
6 CFU)の緑膿菌(PA103菌株)を接種した場合、すべての抗PcrV抗体は、生存率の大幅な改善を示した(P<0.001)。また、親13-42モノクローナル抗体と比較して、最適化された抗体7C1、7B1は、同等又はより良い生存率の改善を示した(P<0.05)。生存率の差は、ログランク検定によって計算された。
抗PcrV抗体を投与したマウス肺炎モデルにおける臓器負荷
【0347】
参照抗体V2L2-MDと比較して、親抗PcrV抗体13-42モノクローナル抗体の急性肺炎モデルにおける臓器負荷を軽減する能力を評価した。最適化された抗PcrV抗体クローン7B1、7C1、8C1及び6D10の急性肺炎モデルにおける臓器負荷を軽減する能力をさらに評価した。HIV-10E8は、陰性コントロールとした。
【0348】
予防モデルにおいて、感染の24時間前に、7~8週齢のBALB/cマウス(Vital River Laboratory)へ抗体又はPBSを10mg/kgのマウス体重の用量で腹腔内(i.p.)投与した。急性肺炎を誘発するために、BALB/cマウスへ40μlの接種液に懸濁する半分の致死量(0.5×LD90;3×105 CFU)の緑膿菌(PA103菌株)を鼻腔内接種した。感染の24時間後、マウスを安楽死させ、肺、脾臓、腎臓を摘出し、ホモジナイズし、希釈してから寒天に播種し、それぞれの臓器サンプルにおける緑膿菌の負荷を表す生菌単位(CFU)を測定した。
【0349】
図8Aに示すように、マウス肺炎モデルにおいて、13-42モノクローナル抗体は、V2L2-MDと比較して、より良い肺の臓器負荷を軽減する効果及び類似な脾臓及び腎臓の臓器負荷を軽減する効果を示した。
【0350】
図8Bに示すように、マウス肺炎モデルにおいて、抗PcrVモノクローナル抗体クローン7B1、7C1、8C1及び6D10は、V2L2-MDと比較して、肺、脾臓、腎臓の臓器負荷を軽減することに同等の効果を示し、HIV-10E8と比較して、肺、脾臓、腎臓の臓器負荷を軽減するのにより高い効果を示した。
抗PcrV抗体を投与したマウス腹腔内感染モデルの生存率の改善
【0351】
13-42モノクローナル抗体と比較して、最適化された抗PcrV抗体7C1、7B1及び8C1のマウス腹腔内感染モデルの生存を改善する能力を評価した。HIV-10E8は、陰性コントロールとした。マウス腹腔内感染モデルは、前記のように生成された(Warrener et al,2014,Antimicrob.Agents Chemother.,58,4384-4391参照)。
【0352】
予防モデルにおいて、感染の24時間前に、7~8週齢のBALB/cマウス(Vital River Laboratory)へ抗体を5又は25mg/kgのマウス体重の用量で腹腔内(i.p.)投与した。腹腔内感染を誘発するために、BALB/cマウスへ300μlの接種液に懸濁する3倍の致死量(3×LD90=7×105 CFU)の緑膿菌(O6-57/66菌株)を腹腔内接種した。マウスの生存率は、感染後5日間記録された。
【0353】
図9に示すように、陰性コントロールと比較して、3倍の死量(3×LD90)の緑膿菌を接種した場合、すべての抗PcrV抗体は、25mg/kgの抗体用量で、生存率の大幅な改善を示した(P<0.0001)。また、親13-42モノクローナル抗体と比較して、最適化された抗体7C1、7B1は、5mg/kg抗体用量で、同等又はより良い生存率の改善を示した(P<0.05)。生存率の差は、ログランク検定によって計算された。
抗PcrV抗体を投与した免疫不全マウス肺炎モデルの生存率の改善
【0354】
13-42モノクローナル抗体と比較して、最適化された抗PcrV抗体7C1、7B1及び8C1の免疫不全マウス肺炎モデルにおける生存率を改善する能力を評価した。HIV-10E8は、陰性コントロールとした。免疫不全マウス急性肺炎モデルは、前記のように生成された(DiGiandomenico et al.,2014,Sci.Transl.Med.,6:262ra155)。
【0355】
予防モデルにおいて、免疫抑制を達成するために、まず、緑膿菌感染の4日前及び1日前に、7~8週齢のBALB/cマウス(Vital River Laboratory)へ150mg/kgのシクロホスファミドを2回投与し、白血球数を抑制した。その後、感染の24時間前に、抗体を3.2又は5mg/kgのマウス体重の用量で腹腔内(i.p.)投与した。急性肺炎を誘発するために、BALB/cマウスへ40μlの接種液に懸濁する致死量(1×LD90=10PFU)の緑膿菌(O6-57/66菌株)を鼻腔内接種した。マウスの生存率は、感染後10日間記録された。
【0356】
図10に示すように、陰性コントロールと比較して、致死量(1×LD90)の緑膿菌を接種した場合、すべての抗PcrV抗体は、生存率の大幅な改善を示した(P<0.05)。また、親13-42抗体と比較して、最適化された抗体7C1は、より良い生存率の改善を示し(P<0.05)、親13-42抗体と比較して、最適化された抗体7B1、8C1は、同等又はより良い生存率の改善を示した(P<0.05)。生存率の差は、ログランク検定によって計算された。
【0357】
まとめると、これらの結果は、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、免疫不全マウス急性肺炎モデルにおいて緑膿菌感染の予防に有用であることを示した。
実施例7:最適化された抗PcrV抗体の緑膿菌感染の治療の使用
【0358】
マウス肺炎モデルにおける生存率の改善によって、緑膿菌感染を治療するという最適化された抗PcrV抗体の効力は、実証された。
最適化された抗PcrV抗体によるマウス肺炎モデルの生存率の改善
【0359】
陽性コントロールであるV2L2-MDと比較して、マウス肺炎モデルにおける最適化された抗PcrV抗体7C1、7B1、8C1及び6D10の生存率を改善する能力を評価した。HIV-10E8は、陰性コントロールとした。
【0360】
治療モデルにおいて、急性肺炎を誘発するために、7~8週齢のBALB/cへ40μlの接種液に懸濁する致死量(1×LD90=8×105CFU)の緑膿菌(PA103菌株)を鼻腔内接種した。感染の1時間後に、抗体又はPBSを1mg/kg又は10mg/kgのマウス体重の用量で静脈内(i.v.)投与した。マウスの生存率は、感染後6日間記録された。
【0361】
図11A~11Bに示すように、陰性コントロールと比較して、致死量(1×LD90)の緑膿菌を接種した場合、すべての抗PcrV抗体、生存率の大幅な改善を示した(P<0.05)。また、V2L2-MDと比較して、最適化された抗体7C1、7B1、8C1及び6D10は、同等の生存率の改善を示した。生存率の差は、ログランク検定によって計算された。それらの結果は、本明細書に記載の抗PcrV抗体は、緑膿菌感染の治療に有用であることを示した。
実施例8:最適化された抗PcrV抗体と抗生物質とを併用する緑膿菌感染の治療
抗生物質と組み合わせる抗PcrV抗体によるマウス腹腔内感染モデルの生存率の改善
【0362】
抗生物質であるメロペネム、トブラマイシン、シプロフロキサシンと比較して、また、7B1又は8C1といずれか1つの抗生物質との併用治療と比較して、マウス腹腔内感染モデルにおける最適化された抗PcrV抗体7B1又は8C1の生存率を改善する能力を評価した。HIV-10E8は、陰性コントロールとした。
【0363】
予防モデルにおいて、抗PcrV抗体をアッセイした。試験の感染の24時間前に、7~8週齢のBALB/cマウス(Vital River Laboratory)へ抗体を、又は感染の1時間後に抗生物質を腹腔内注射した。具体的に、マウスへ、最適化された抗PcrV抗体クローン7B1又は8C1(5mg/kg)、メロペネム(3mg/kg)、トブラマイシン(10mg/kg)、シプロフロキサシン(30mg/kg)、若しくは7B1又は8C1といずれか1つの抗生物質との組み合わせをそれぞれ投与した。腹腔内感染を誘発するために、BALB/cマウスへ300μlの接種液に懸濁する3倍の致死量(3×LD90=7×105CFU)の緑膿菌(PA103菌株)を腹腔内接種した。マウスの生存率は、感染後5日間記録された。
【0364】
図12Aに示すように、抗生物質であるメロペネム(3mg/kg)と比較して、3倍の致死量(3×LD90)の緑膿菌を接種した場合、最適化された抗体7B1(5mg/kg)は、より良い又は同等の生存率の改善を示した。抗体を単独に使用した治療又は各抗生物質を単独に使用した治療と比較して、7B1(5mg/kg)と抗生物質であるメロペネム(3mg/kg)、トブラマイシン(10mg/kg)又はシプロフロキサシン(30mg/kg)との組み合わせは、生存率の大幅な改善を示した(p<0.05)。
図12Bに示すように、抗体を単独に使用した治療、又は各抗生物質を単独に使用した治療と比較して、8C1(5mg/kg)と抗生物質であるトブラマイシン(10mg/kg)又はシプロフロキサシン(30mg/kg)との組み合わせは、生存率の大幅な改善を示した(p<0.05)。これらの結果から、本明細書に記載の抗PcrV抗体と抗生物質との併用は、緑膿菌を中和することにおける臨床的可能性を示すことが分かる。
実施例9:最適化された抗PcrV抗体の薬物動態学
【0365】
親13-42抗PcrV抗体及び最適化されたクローンのインビボ薬物動態を調査するために、ラットにおける7C1、7B1、8C1及び6D10抗体の血漿レベルを経時的に測定した。
【0366】
ラットにおける薬物動態学:40匹の健康な成体ラット(体重約0.2kg/匹)を等しく2つのグループに分け、各グループの平均体重に大差がない。一つのグループに30mg/kgの用量でV2L2-MD、7C1、7B1、8C1又は6D10を静脈内注射し、他のグループに3mg/kgの用量でV2L2-MD、7C1、7B1、8C1又は6D10を静脈内注射した。注射から0時間、0.5時間、2時間、8時間、1日、3日、7日、11日、17日、23日、31日、41日、52日後にそれぞれ採血した。遠心分離した後、ELISA法により血漿における抗体濃度をアッセイした。ELISA実験において、合成されたPcrVを96ウェルプレートでコーティングした。翌日、PBST溶液で洗浄した後、200μLのPBS-ミルクで1時間ブロッキングし、PBSTで洗浄し、血漿を加えて37℃に1時間インキュベートした。プレートを0.1%のTBST溶液で6回洗浄した後、各ウェルに100μlのヤギ抗ヒトFc抗体-AP(PBSで1:3000希釈した)を添加し、1時間インキュベートした。0.1%のTBSTで6回洗浄した後、各ウェルに50μlのpNPPを添加し、37℃で10~20min分間発色した。マイクロプレートリーダーにより410nmにおいて信号を読み取った。
【0367】
図13A及び13Bに示すように、高い用量及び低い用量(3mg/kg又は30mg/kg)で静脈内注射した場合、参照抗体V2L2-MDと比較して、7C1、7B1、8C1又は6D10の半減期は、同等又はより長く、参照抗体V2L2-MDと比較して、最適化された抗体は、異なる用量でより安定した薬物動態学を示した。
実施例10:最適化された抗体によって認識されるエピトープ
【0368】
抗PcrV抗体によって結合されるエピトープを特性評価するために、PcrVタンパク質に突然変異を導入して、ELISAにより最適化された抗体7B1モノクローナル抗体がこれらのPcrV突然変異体に結合する能力を測定した。
抗PcrV抗体のエピトープのスクリーニング
【0369】
Discovery Studioソフトウェアを使用して、PcrV上の7B1及び最適化された抗体に結合する予測された部位を同定し、結合部位内及び結合部位に近接するアミノ酸残基を選択して、アラニンスキャンを行った。続いて、これらの選択された突然変異を有するPcrVタンパク質が発現された。ELISAによって、7B1-IgG1と各突然変異PcrVタンパク質との結合親和性を分析した。
図14A~14Dは、抗体と突然変異したPcrVとのELISA結合曲線を示し、突然変異の位置が配列SEQ ID NO:71に従った。本明細書において、PcrVは、Hisタグ付き野生型緑膿菌PcrV(PcrV-6His)を表す。野生型PcrVのアミノ酸配列上の様々な位置の突然変異は、上記のようなアラニンスキャン技術で生成された。
図14A~14Dに示すように、部位Q160での突然変異は、7B1-IgG1による結合に明らかな影響を与えた(
図14C)。これに対して、PcrVにおけるQ160の突然変異は、参照抗体V2L2-MDによる結合に(データが示さない)影響を与えなかった。部位D165での突然変異も、7B1-IgG1による結合に影響を与えた(
図14C)。また、部位D170、D173、T175及びS202のそれぞれの突然変異は、7B1-IgG1による結合に影響を与えた(
図14D)。これらの結果に基づいて、7B1-IgG1抗体の例示的なエピトープは、同定され、SEQ ID NO:71に従って、アミノ酸残基Gln160、Asp165、Asp170、Asp173、Thr175及びSer202を含む。
【配列表】