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特許7478817ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法
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  • 特許-ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/16 20060101AFI20240425BHJP
   C30B 11/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
C30B29/16
C30B11/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022520483
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2021075563
(87)【国際公開番号】W WO2022141751
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】202011642207.0
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522130106
【氏名又は名称】杭州富加▲じゃ▼業科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HANGZHOU FUJIA GALLIUM TECHNOLOGY CO. LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 301, Building 23, No. 68 Jiangnan Road, Chunjiang Street, Fuyang District, Hangzhou, Zhejiang 311400, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】斉 紅基
(72)【発明者】
【氏名】張 龍
(72)【発明者】
【氏名】陳 端陽
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-059633(JP,A)
【文献】特表2002-517367(JP,A)
【文献】特開2006-024195(JP,A)
【文献】Crystals,2020年,10(8),663
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00-35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高抵抗型酸化ガリウム単結晶のプレパレーションデータを獲得するステップであって、前記プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ、制御データ及び原料データを含み、前記原料データは不純物種類データ及び不純物濃度を含むステップと、
前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップと、
前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、そのトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測性質データを獲得するステップであって、前記予測性質データは予測抵抗を含むステップとを含み、
前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップは、前記種晶データ、前記環境データ、前記制御データ及び前記原料データにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップを含み、前記予め処理プレパレーションデータは、前記種晶データ、前記環境データ、前記制御データ及び前記原料データで形成されるマトリックスであり、
前記種晶データは、種晶回折ピークの半値幅、種晶回折ピークの半値幅の誤差及び種晶の直径からなる全ての種晶データを含み、
前記環境データは、高温区域保温層の熱抵抗、高温区域保温層の熱抵抗の誤差、高温区域保温層の形状因子、低温区域保温層の熱抵抗、低温区域保温層の熱抵抗の誤差、低温区域保温層の形状因子及び育成援助区域保温層の形状因子からなる全ての環境データを含み、
前記制御データは、高温区域の入力パワー、高温区域の冷却パワー、低温区域の入力パワー、低温区域の冷却パワー及びルツボの引き下げ速度からなる全ての制御データを含み、
前記種晶データ、前記環境データ、前記制御データ及び前記原料データにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップは、
前記種晶データ、前記環境データ、前記制御データ及び前記原料データによりプレパレーションベクトルを確定するステップと、
前記プレパレーションベクトルにより前記予め処理プレパレーションデータを確定するステップとを含み、
前記プレパレーションベクトル中の第一元素は、前記種晶回折ピークの半値幅、前記種晶回折ピークの半値幅の誤差及び前記種晶の直径のうちいずれか1個であり、前記プレパレーションベクトル中の第二元素は、前記高温区域保温層の熱抵抗、前記高温区域保温層の熱抵抗の誤差、前記高温区域保温層の形状因子、前記低温区域保温層の熱抵抗、前記低温区域保温層の熱抵抗の誤差、前記低温区域保温層の形状因子及び前記育成援助区域保温層の形状因子のうちいずれか1個であり、前記プレパレーションベクトル中の第三元素は、前記高温区域の入力パワー、前記高温区域の冷却パワー、前記低温区域の入力パワー、前記低温区域の冷却パワー及び前記ルツボの引き下げ速度のうちいずれか1個であり、前記プレパレーションベクトル中の第四元素は前記不純物種類データと前記不純物濃度のうちいずれか1個であり、
前記予め処理プレパレーションデータを、所定のトレーニング方法により獲得したトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力し、かかるトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより予測抵抗を含む予測性質データを獲得し、
前記所定のトレーニング方法により獲得した前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルは、トレーニングデータと実際の性質データによりトレーニングセット(Training set)を形成した後、そのトレーニングセットで予め設定ニューラルネットワークモデルをトレーニングすることにより獲得され、
前記トレーニングデータは、高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するときトレーニングに用いられるデータを指し、種晶トレーニングデータ、環境トレーニングデータ、制御トレーニングデータ及び原料トレーニングデータを含み、前記種晶トレーニングデータは、種晶回折ピークの半値幅のトレーニングデータ、種晶回折ピークの半値幅の誤差のトレーニングデータ及び種晶直径のトレーニングデータを含み、前記環境トレーニングデータは、高温区域保温層の熱抵抗のトレーニングデータ、高温区域保温層の熱抵抗の誤差のトレーニングデータ、高温区域保温層の形状因子のトレーニングデータ、低温区域保温層の熱抵抗のトレーニングデータ、低温区域保温層の熱抵抗の誤差のトレーニングデータ、低温区域保温層の形状因子のトレーニングデータ及び育成援助区域保温層の形状因子のトレーニングデータを含み、前記原料トレーニングデータは不純物種類のトレーニングデータと不純物濃度のトレーニングデータを含み、前記制御トレーニングデータは、高温区域の入力パワーのトレーニングデータ、高温区域の冷却パワーのトレーニングデータ、低温区域の入力パワーのトレーニングデータ、低温区域の冷却パワーのトレーニングデータ及びルツボの引き下げ速度のトレーニングデータを含み、
前記実際の性質データは、獲得した高抵抗型酸化ガリウム単結晶の実際の性質データを指し、実際の抵抗、実際の亀裂データ、実際の異物結晶データ、実際の回折ピーク値の半値幅、回折ピーク値の半値幅の直径方向の実際誤差、回折ピーク値の半値幅の軸方向の実際誤差、実際の抵抗の直径方向誤差、実際の抵抗の軸方向誤差を含み、
データを採集することにより前記トレーニングセットを獲得するとき、ブリッジマン法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造し、かつ高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するときのデータを前記トレーニングデータにし、高抵抗型酸化ガリウム単結晶を獲得した後、高抵抗型酸化ガリウム単結晶の性質を分析することにより前記実際の性質データを獲得し、
前記予測性質データと前記実際の性質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正し、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応する前記予測性質データを獲得し、かつ予め設定トレーニング条件を満たすときまでこのステップを繰り返すことにより前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得し、
前記予測性質データと前記実際の性質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルの損失函数を確定し、前記損失函数により前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正し、前記予め設定ニューラルネットワークモデルの損失函数を確定した後、前記損失函数により前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターのグラジェント、前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーター及び予め設定学習頻度を修正し、かつ前記予め設定ニューラルネットワークモデルの修正後のパラメーターを確定し、
前記予め設定ニューラルネットワークモデルは特徴抽出モジュールと完全接続モジュールを含み、
前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、その予め設定ニューラルネットワークモデル中の前記特徴抽出モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する特徴ベクトルを出力し、かつ前記特徴ベクトルを前記予めトレーニングモデルの前記完全接続モジュールに入力することにより、前記完全接続モジュールが出力した前記予め処理トレーニングデータに対応する前記予測性質データを獲得する
ことを特徴とするディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法。
【請求項2】
前記予測性質データは、予測亀裂データ、予測異物結晶データ、予測回折ピーク値の半値幅、回折ピーク値の半値幅の直径方向の予測誤差、回折ピーク値の半値幅の軸方向の予測誤差、予測抵抗の直径方向誤差、予測抵抗の軸方向誤差を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法。
【請求項3】
目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶の目標性質データを獲得するステップであって、前記目標性質データは目標抵抗を含むステップと、
前記目標性質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定するステップであって、前記目標プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ、制御データ及び原料データを含み、前記原料データは不純物種類データと不純物濃度を含むステップと、
ブリッジマン法と前記目標プレパレーションデータにより目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するステップとを含み、
前記種晶データは、種晶回折ピークの半値幅、種晶回折ピークの半値幅の誤差及び種晶の直径からなる全ての種晶データを含み、
前記環境データは、高温区域保温層の熱抵抗、高温区域保温層の熱抵抗の誤差、高温区域保温層の形状因子、低温区域保温層の熱抵抗、低温区域保温層の熱抵抗の誤差、低温区域保温層の形状因子及び育成援助区域保温層の形状因子からなる全ての環境データを含み、
前記制御データは、高温区域の入力パワー、高温区域の冷却パワー、低温区域の入力パワー、低温区域の冷却パワー及びルツボの引き下げ速度からなる全ての制御データを含み、
前記目標性質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定する前記ステップは、
予め設定プレパレーションデータを獲得した後、前記予め設定プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理予め設定プレパレーションデータを獲得するステップと、
前記予め処理予め設定プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測性質データを獲得するステップと、
前記予測性質データと前記目標性質データにより前記予め設定プレパレーションデータを修正することにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを獲得するステップとを含み、
高抵抗型酸化ガリウム単結晶を獲得するトレーニングデータとそのトレーニングデータに対応する実際の性質データを獲得するステップであって、前記トレーニングデータは、種晶トレーニングデータ、環境トレーニングデータ、制御トレーニングデータ及び原料トレーニングデータを含み、前記原料トレーニングデータは不純物種類データと不純物濃度を含むステップと、
前記トレーニングデータに対して予め処理をすることにより予め処理トレーニングデータを獲得するステップと、
前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、その予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応する形成性質の予測データを獲得するステップであって、前記形成性質の予測データは形成キャリアの予測濃度を含むステップと、
前記形成性質の予測データと前記実際の性質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正するステップとにより前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得し、
前記予め設定ニューラルネットワークモデルは特徴抽出モジュールと完全接続モジュールを含み、
前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、その予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応する形成性質の予測データを獲得する前記ステップは、
前記予め処理トレーニングデータを前記特徴抽出モジュールに入力した後、その特徴抽出モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する特徴ベクトルを獲得するステップと、
前記特徴ベクトルを前記完全接続モジュールに入力し、前記完全接続モジュールにより前記予め処理トレーニングデータによって獲得した前記形成性質の予測データを獲得するステップとを含むことを特徴とするディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法。
【請求項4】
記憶装置と処理装置を含み、前記記憶装置にはコンピュータプログラムが記憶されているディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造システムであって、前記処理装置が前記コンピュータプログラムを実行することにより請求項1~2のうちいずれか一項に記載の予測方法のステップまたは請求項3に記載の製造方法のステップを実施することを特徴とするディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、酸化ガリウムの製造分野に属し、特に、ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化ガリウム(Ga)単結晶は、透明な半導体酸化物であり、ギャップ幅禁制帯を持っている半導体材料である。β相酸化ガリウム(β-Ga)は安定性がよいという利点を有している。また、β-Gaは、禁制帯の幅が広く、飽和電子のドリフト速度が速く、導熱性がよく、破壊電界強度(breakdown field strength)が強く、化学性質の安定性がよいという利点も有している。β相酸化ガリウムの禁制帯の幅が広いことによりβ相酸化ガリウムは高い破壊電圧(breakdown voltage)を有している。また、β相酸化ガリウムは、飽和電子のドリフト速度が速く、導熱の効率がよく、化学性質の安定性がよいという利点等を有していることにより、β相酸化ガリウム単結晶を電子部品のいろいろな分野に使用することができる。ブリッジマン法は酸化ガリウムを製造する1つの方法である。従来の技術において、ブリッジマン法で高抵抗型酸化ガリウムを製造するとき、予め設定抵抗を有している高抵抗型酸化ガリウムを獲得することができない。
【0003】
したがって、従来の技術の欠点を解決する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術の技術的問題を解決するため、本発明の目的は、ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法を提供することにより、予め設定抵抗を有している高抵抗型酸化ガリウムを獲得することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例に係るディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法は、
高抵抗型酸化ガリウム単結晶のプレパレーションデータを獲得するステップであって、前記プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ、制御データ及び原料データを含み、前記原料データは不純物種類データ及び不純物濃度を含むステップと、
前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップと、
前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、そのトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測性質データを獲得するステップであって、前記予測性質データは予測抵抗を含むステップとを含む。
【0006】
前記ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法において、前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップは、前記種晶データ、前記環境データ、前記制御データ及び前記原料データにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップを含み、前記予め処理プレパレーションデータは、前記種晶データ、前記環境データ、前記制御データ及び前記原料データで形成されるマトリックスである。
【0007】
前記ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法において、前記種晶データは、種晶回折ピークの半値幅、種晶回折ピークの半値幅の誤差及び種晶の直径を含み、
前記環境データは、高温区域保温層の熱抵抗、高温区域保温層の熱抵抗の誤差、高温区域保温層の形状因子、低温区域保温層の熱抵抗、低温区域保温層の熱抵抗の誤差、低温区域保温層の形状因子及び育成援助区域保温層の形状因子を含み、
前記制御データは、高温区域の入力パワー、高温区域の冷却パワー、低温区域の入力パワー、低温区域の冷却パワー及びルツボの引き下げ速度を含む。
【0008】
前記ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法において、前記種晶データ、前記環境データ、前記制御データ及び前記原料データにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップは、
前記種晶データ、前記環境データ、前記制御データ及び前記原料データによりプレパレーションベクトルを確定するステップと、
前記プレパレーションベクトルにより前記予め処理プレパレーションデータを確定するステップとを含み、
前記プレパレーションベクトル中の第一元素は、前記種晶回折ピークの半値幅、前記種晶回折ピークの半値幅の誤差及び前記種晶の直径のうちいずれか1個であり、前記プレパレーションベクトル中の第二元素は、前記高温区域保温層の熱抵抗、前記高温区域保温層の熱抵抗の誤差、前記高温区域保温層の形状因子、前記低温区域保温層の熱抵抗、前記低温区域保温層の熱抵抗の誤差、前記低温区域保温層の形状因子及び前記育成援助区域保温層の形状因子のうちいずれか1個であり、前記プレパレーションベクトル中の第三元素は、前記高温区域の入力パワー、前記高温区域の冷却パワー、前記低温区域の入力パワー、前記低温区域の冷却パワー及び前記ルツボの引き下げ速度のうちいずれか1個であり、前記プレパレーションベクトル中の第四元素は前記不純物種類データと前記不純物濃度のうちいずれか1個である。
【0009】
前記ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法において、前記予測性質データは、予測亀裂データ、予測異物結晶データ、予測回折ピーク値の半値幅、回折ピーク値の半値幅の直径方向の予測誤差、回折ピーク値の半値幅の軸方向の予測誤差、予測抵抗、予測抵抗の直径方向誤差、予測抵抗の軸方向誤差を更に含む。
【0010】
本発明のディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法は、目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶の目標性質データを獲得するステップであって、前記目標性質データは目標抵抗を含むステップと、
前記目標性質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定するステップであって、前記目標プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ、制御データ及び原料データを含み、前記原料データは不純物種類データと不純物濃度を含むステップと、
ブリッジマン法と前記目標プレパレーションデータにより目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するステップとを含む。
【0011】
前記ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法において、前記目標性質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定する前記ステップは、
予め設定プレパレーションデータを獲得した後、前記予め設定プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理予め設定プレパレーションデータを獲得するステップと、
前記予め処理予め設定プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測性質データを獲得するステップと、
前記予測性質データと前記目標性質データにより前記予め設定プレパレーションデータを修正することにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを獲得するステップとを含む。
【0012】
前記ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法において、高抵抗型酸化ガリウム単結晶を獲得するトレーニングデータとそのトレーニングデータに対応する実際の性質データを獲得するステップであって、前記トレーニングデータは、種晶トレーニングデータ、環境トレーニングデータ、制御トレーニングデータ及び原料トレーニングデータを含み、前記原料トレーニングデータは不純物種類データと不純物濃度を含むステップと、
前記トレーニングデータに対して予め処理をすることにより予め処理トレーニングデータを獲得するステップと、
前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、その予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応する形成性質の予測データを獲得するステップであって、前記形成性質の予測データは形成キャリアの予測濃度を含むステップと、
前記形成性質の予測データと前記実際の性質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正するステップとにより前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得する。
【0013】
前記ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法において、前記予め設定ニューラルネットワークモデルは特徴抽出モジュールと完全接続モジュールを含み、
前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、その予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応する形成性質の予測データを獲得する前記ステップは、
前記予め処理トレーニングデータを前記特徴抽出モジュールに入力した後、その特徴抽出モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する特徴ベクトルを獲得するステップと、
前記特徴ベクトルを前記完全接続モジュールに入力し、前記完全接続モジュールにより前記予め処理トレーニングデータによって獲得した前記形成性質の予測データを獲得するステップとを含む。
【0014】
本発明のディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造システムは記憶装置と処理装置を含み、前記記憶装置にはコンピュータプログラムが記憶されている。前記処理装置が前記コンピュータプログラムを実行することにより本発明のいずれか1つの予測方法のステップまたは本発明のいずれか1つの製造方法のステップを実施する。
【発明の効果】
【0015】
従来の技術と比較してみると、本発明の実施例によりつぎのような発明の効果を獲得することができる。本発明のディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法及び製造方法において、まず、プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより、予め処理プレパレーションデータを獲得する。つぎに、前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、そのトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測性質データを獲得する。本発明はトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより高抵抗型酸化ガリウム単結晶の性質を予測することができるので、プレパレーションデータを調節することにより予め設定抵抗を有している高抵抗型酸化ガリウム単結晶を獲得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
この発明の実施例または従来の技術に係る技術的事項をより詳細に説明するため、以下、この発明の実施例または従来の技術において用いる図面を簡単に説明する。注意されたいことは、下記図面はこの発明の一部分の実施例にしか過ぎないものであるため、この技術分野の技術者は創造的な研究をしなくても下記図面により他の図面を想像することができ、そのような図面があってもこの発明に含まれることは勿論である。
図1】この発明に実施例に係るディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法を示す流れ図である。
図2】この発明の実施例に係る結晶育成炉の構造を示す図である。
図3】この発明の実施例に係る結晶の結晶育成炉内の位置と温度を示す図である。
図4】この発明に実施例に係るディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造システムの内部構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の技術的事項をこの技術分野の技術者に理解してもらうため、以下、本発明の実施例に係る図面により本発明の実施例に係る技術的事項をより詳細に説明する。下記実施例は、本発明の一部分の実施例にしか過ぎないものであり、本発明のすべての実施例を表すものでない。この技術分野の技術者は創造的な研究をしなくても本発明の実施例により他の実施例を導出することができ、それらがあっても本発明に含まれることは当然である。
【0018】
ブリッジマン法はブリッジマン・ストックバーガー法(Bridgman-Stockbarger method)ともいい、それは現在常用している結晶育成方法である。結晶育成用原料を円柱型のルツボに送入した後、そのルツボをゆっくり引き下げることにより一定の温度傾度(temperature gradient)を有している加熱炉に送入する。そのとき、加熱炉の温度を結晶育成用原料の融点より少し高くなるように制御する。ルツボを加熱区域に送入することによりルツボ内の原料が溶解される。図2に示すとおり、ルツボを引き下げ続けると、ルツボの底部の温度は先に融点以下になり、かつ結晶の形成が始まる。結晶のサイズはルツボを引き下げることによりだんだん増加する。酸化ガリウム結晶を育成するとき、ルツボ材料の腐食を避ける必要がある。
【0019】
以下、図面によりこの発明のいろいろな実施例を詳細に説明するが、この発明は下記実施例にのみ限定されるものでない。
【0020】
図1図3を参照すると、その図面には本発明の実施例に係るディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法が示されている。その予測方法は例えばつぎのステップを含むことができる。
【0021】
ステップS100において、高抵抗型酸化ガリウム単結晶のプレパレーションデータ(Preparation data)を獲得する。前記プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ、制御データ及び原料データを含み、前記原料データは不純物種類データ及び不純物濃度を含む。
【0022】
具体的に、前記プレパレーションデータは高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するデータを指す。高抵抗型酸化ガリウム単結晶のプレパレーションデータを獲得するとき、前記プレパレーションデータは需要により適当に設定されたプレパレーションデータであることができる。例えば、所定のプレパレーションデータにより製造された高抵抗型酸化ガリウム単結晶の性能を予測するとき、前記プレパレーションデータのみを確定した後、そのプレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得することができる。つぎに、前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデル(neural network model)に入力した後、そのトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより予測性質データを獲得する。その場合、テストをする必要がなく、プレパレーションデータのみを確定すると、高抵抗型酸化ガリウム単結晶の性質データを予測することができる。
【0023】
プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ、制御データ及び原料データを含む。種晶データは高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するとき用いる種晶のデータを指す。環境データは高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するとき結晶が置かれている環境のデータを指す。制御データは高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するとき結晶の成長を制御するデータを指す。原料データは高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するとき用いる原料のデータを指す。不純物濃度は酸化ガリウムに含まれている中抵抗型または高抵抗型不純物の濃度を指す。高抵抗型不純物は、Fe、Ca、Zn、Co、Ti、Ni、Mg、Al、Cu等を含む。不純物種類データは不純物の種類を表すデータである。
【0024】
ステップS200において、前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得する。
【0025】
具体的に、プレパレーションデータを獲得した後、まず前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得する。つぎに、前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、そのトレーニング済みニューラルネットワークモデルで予め処理プレパレーションデータを処理する。
【0026】
本発明の実施例において、前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップS200はつぎのステップを含む。
【0027】
ステップS210において、前記種晶データ、前記環境データ、前記制御データ及び前記原料データにより予め処理プレパレーションデータを獲得する。前記予め処理プレパレーションデータは、前記種晶データ、前記環境データ、前記制御データ及び前記原料データで形成されるマトリックスである。
【0028】
具体的に、プレパレーションデータを獲得した後、前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得する。プレパレーションデータ中の各サブデータ(例えば、種晶データ、環境データ、制御データ及び原料データ)は他のサブデータに影響を与えるが、現時点では各サブデータが他のサブデータに与える影響の程度を把握することができない。したがって、プレパレーションデータに対して予め処理をし、プレパレーションデータ中の各サブデータを再び組み合わせることにより、予め処理プレパレーションデータを形成する必要がある。
【0029】
本発明の実施例において、前記種晶データは、種晶回折ピークの半値幅(Full width at half maximum)、種晶回折ピークの半値幅の誤差及び種晶の直径を含む。前記環境データは、高温区域保温層の熱抵抗(Thermal Resistance)、高温区域保温層の熱抵抗の誤差、高温区域保温層の形状因子(form factor)、低温区域保温層の熱抵抗、低温区域保温層の熱抵抗の誤差、低温区域保温層の形状因子及び育成援助区域保温層の形状因子を含む。前記制御データは、高温区域の入力パワー、高温区域の冷却パワー、低温区域の入力パワー、低温区域の冷却パワー及びルツボの引き下げ速度を含む。
【0030】
具体的に、種晶回折ピークの半値幅はX線回折計(X-ray diffractoneter)で種晶を測定することにより獲得することができ、種晶回折ピークの半値幅の誤差は種晶回折ピークの半値幅の直径方向誤差と種晶回折ピークの半値幅の軸方向誤差を含む。直径方向は水平面に平行である方向であり、軸方向は水平面に垂直である方向、すなわち垂直方向の軸線である。種晶回折ピークの半値幅の直径方向誤差を測定するとき、種晶の直径方向の両側において種晶回折ピークの半値幅をそれぞれ測定した後、種晶の直径方向の両側の種晶回折ピークの半値幅の間の差を算出することにより、種晶回折ピークの半値幅の直径方向誤差を獲得することができる。種晶回折ピークの半値幅の軸方向誤差を測定するとき、種晶の軸方向の両側において種晶回折ピークの半値幅をそれぞれ測定した後、種晶の軸方向の両側の種晶回折ピークの半値幅の間の差を算出することにより、種晶回折ピークの半値幅の軸方向誤差を獲得することができる。
【0031】
ブリッジマン法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するとき、既に育成された結晶が位置している区域は高温区域であり、まだ育成されていない結晶が位置している区域は低温区域であり、溶体の成長によって形成された結晶が位置している区域は育成援助区域である。育成援助区域は高温区域と低温区域との間に位置している。図2に示すとおり、高温区域は通常、低温区域の上方に位置する。図2図3に示すとおり、ルツボ1が高温区域に位置しているとき、ルツボ1内の酸化ガリウムは溶体3になり、ルツボ1が低温区域に位置しているとき、ルツボ1内の酸化ガリウムは結晶2になる。ルツボ1が育成援助区域に位置しているとき、温度が下がることによりルツボ内の酸化ガリウムは溶体から結晶に育成される。ルツボを引き下げるとき、ルツボが高温区域から低温区域に移動することによりルツボ内の酸化ガリウムは高抵抗型酸化ガリウム単結晶に育成される。ルツボ1の底部は直径が逓減する円錐形に形成され、種晶は円錐形の尖端に位置している。結晶を育成するとき、ルツボを引き下げることによりそのルツボは高温区域から低温区域に移動する。そのとき、所定の位置(種晶がルツボ1の底部に位置している個所)に位置している溶体3が先に育成され始め、時間が過ぎることによりその溶体3は結晶2に育成される。ルツボ内の酸化ガリウムを完全に溶解した後、種晶を円錐形の尖端に送入することもできる。
【0032】
図2に示すとおり、誘導コイル4の外部には保温層が取り付けられ、その保温層により温度を維持することができる。保温層の熱抵抗は所定量の熱量が単位時間内に保温層を通過するとき保温層の内部と外部との間の温度差を指す。保温層の熱抵抗が大きければ大きいほど、保温層が熱量の伝導を防止する能力がより大きく、保温層の保温の効果がより良いことを表す。高温区域保温層の熱抵抗は高温区域に取り付けられる保温層の熱抵抗を指し、低温区域保温層の熱抵抗は低温区域に取り付けられる保温層の熱抵抗を指す。
【0033】
前記保温層の熱抵抗の誤差は保温層の熱抵抗の直径方向誤差と保温層の熱抵抗の軸方向誤差を含む。保温層の熱抵抗の直径方向誤差を測定するとき、保温層の直径方向の両側において保温層の熱抵抗をそれぞれ測定した後、保温層の直径方向の両側の2つの保温層の熱抵抗の差を算出することにより、保温層の熱抵抗の直径方向誤差を獲得することができる。保温層の熱抵抗の軸方向誤差を測定するとき、保温層の軸方向の両側において保温層の熱抵抗をそれぞれ測定した後、保温層の軸方向の両側の2つの保温層の熱抵抗の差を算出することにより、保温層の熱抵抗の軸方向誤差を獲得することができる。
【0034】
高温区域において測定をすることにより高温区域保温層の熱抵抗の誤差を獲得し、低温区域において測定をすることにより低温区域保温層の熱抵抗の誤差を獲得ことができる。
【0035】
保温層の形状因子は保温層の形状のサイズを指す。例えば、円柱形の保温層を採用するとき、保温層の形状因子は保温層の直径と保温層の高さを含み、立方体の保温層を採用するとき、保温層の形状因子は、保温層の長さ、保温層の高さ及び保温層の幅を含む。育成される結晶は主として、低温区域と育成援助区域に位置しているので、低温区域保温層の形状因子と育成援助区域の形状因子は結晶の育成に影響を与える。
【0036】
ルツボと結晶育成炉を確定すると、低温区域保温層の形状因子と育成援助区域の形状因子が確定される。結晶育成炉を長く使用すると、高温区域保温層の熱抵抗、高温区域保温層の熱抵抗の誤差、高温区域保温層の形状因子、低温区域保温層の熱抵抗及び低温区域保温層の熱抵抗の誤差が変化するおそれがある。しかし、結晶育成炉を短く使用すると、それら(すなわち環境データ)が変化するおそれが少ないので、一定の結晶を育成した後、その環境データを再び測定することができる。
【0037】
高温区域の入力パワーは結晶を育成するとき高温区域の誘導コイルに入力するパワーを指し、低温区域の入力パワーは結晶を育成するとき低温区域の誘導コイルに入力するパワーを指し、高温区域の冷却パワーは高温区域の冷却に対応するパワーを指し、低温区域の冷却パワーは低温区域の冷却に対応するパワーを指す。誘導コイルとして中空の誘導コイルを使用するので、温度を下げるとき、誘導コイルの中空部に冷却媒体を注入することにより誘導コイルを冷却コイルに変換させ、冷却媒体が冷却コイルにおいて流動することにより冷却をすることができる。高温区域と低温区域の冷却パワーは冷却媒体の種類と冷却媒体の流量により確定される。冷却媒体の種類は、水、オイル、気体を含み、冷却媒体の流量は冷却媒体の流速と冷却コイルの直径により確定される。ルツボの引き下げ速度は結晶を育成するときルツボを引き下げる速度を指す。
【0038】
本発明の実施例において、前記種晶データ、前記環境データ、前記制御データ及び前記原料データにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップS210はつぎのステップを含む。
【0039】
ステップS211において、前記種晶データ、前記環境データ、前記制御データ及び前記原料データによりプレパレーションベクトルを確定する。前記プレパレーションベクトル中の第一元素は、前記種晶回折ピークの半値幅、前記種晶回折ピークの半値幅の誤差及び前記種晶の直径のうちいずれか1個である。前記プレパレーションベクトル中の第二元素は、前記高温区域保温層の熱抵抗、前記高温区域保温層の熱抵抗の誤差、前記高温区域保温層の形状因子、前記低温区域保温層の熱抵抗、前記低温区域保温層の熱抵抗の誤差、前記低温区域保温層の形状因子及び前記育成援助区域保温層の形状因子のうちいずれか1個である。前記プレパレーションベクトル中の第三元素は、前記高温区域の入力パワー、前記高温区域の冷却パワー、前記低温区域の入力パワー、前記低温区域の冷却パワー及び前記ルツボの引き下げ速度のうちいずれか1個である。前記プレパレーションベクトル中の第四元素は前記不純物種類データと前記不純物濃度のうちいずれか1個である。
【0040】
ステップS212において、前記プレパレーションベクトルにより前記予め処理プレパレーションデータを確定する。
【0041】
具体的に、種晶データA、環境データB、制御データC及び原料データDによりプレパレーションベクトル(A、B、C、D)を確定する。種晶データAは、種晶回折ピークの半値幅A1、種晶回折ピークの半値幅の誤差A2及び種晶の直径A3において選択するものである。環境データBは、高温区域保温層の熱抵抗B1、高温区域保温層の熱抵抗の誤差B2、高温区域保温層の形状因子B3、低温区域保温層の熱抵抗B4、低温区域保温層の熱抵抗の誤差B5、低温区域保温層の形状因子B6及び育成援助区域保温層の形状因子B7において選択するものである。制御データCは、高温区域の入力パワーC1、高温区域の冷却パワーC2、低温区域の入力パワーC3、低温区域の冷却パワーC4及びルツボの引き下げ速度C5において選択するものである。原料データDは不純物種類データD1と不純物濃度D2において選択するものである。以上のとおり、プレパレーションベクトル(A、B、C、D)において、Aは、A1、A2、A3のうちいずれかの1個であり、Bは、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7のうちいずれかの1個であり、Cは、C1、C2、C3、C4、C5のうちいずれかの1個であり、Dは、D1、D2のうちいずれかの1個である。それらにより210個のプレパレーションベクトルを形成することができる。
【0042】
すべてのプレパレーションベクトルを順に配列することによりマトリックスを形成し、それにより予め処理プレパレーションデータを獲得することができる。
【0043】
具体的に、予め処理プレパレーションデータはつぎのとおりである。
プレパレーションベクトルを他の順に配列することにより予め処理プレパレーションデータを獲得することもできる。
【0044】
ステップS300において、前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、そのトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測性質データを獲得する。前記予測性質データは予測抵抗を含む。
【0045】
具体的に、前記予測性質データは、予測亀裂データ、予測異物結晶(foreign crystals)データ、予測回折ピーク値の半値幅、回折ピーク値の半値幅の直径方向の予測誤差、回折ピーク値の半値幅の軸方向の予測誤差、予測抵抗の直径方向誤差、予測抵抗の軸方向誤差を更に含む。
【0046】
亀裂データは亀裂の等級を指すデータであり、予測亀裂データは予測した亀裂の等級を指すデータである。例えば、亀裂は複数の等級例えば3等級を含み、亀裂データは1、2及び3であることができる。
【0047】
異物結晶データは異物結晶の等級を指すデータであり、予測異物結晶データは予測した異物結晶の等級を指すデータである。例えば、異物結晶は複数の等級例えば3等級を含み、異物結晶データは1、2及び3であることができる。
【0048】
予測回折ピーク値の半値幅は予測した回折ピーク値の半値幅を指し、回折ピーク値の半値幅の直径方向の予測誤差は回折ピーク値の半値幅の直径方向において予測する誤差を指し、回折ピーク値の半値幅の軸方向の予測誤差は回折ピーク値の半値幅の軸方向において予測する誤差を指す。
【0049】
予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、そのトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより予測性質データを獲得する。注意されたいことは、予測性質データは1個または複数個であり、予測性質データ中の予測亀裂データのみを用いることができる。
【0050】
本発明の実施例において、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルはつぎのトレーニング方法により獲得することができる。
【0051】
ステップA100において、高抵抗型酸化ガリウム単結晶を獲得するトレーニングデータとそのトレーニングデータに対応する実際の性質データを獲得する。前記トレーニングデータは、種晶トレーニングデータ、環境トレーニングデータ、制御トレーニングデータ及び原料トレーニングデータを含む。前記原料トレーニングデータは不純物種類データと不純物濃度を含む。
【0052】
具体的に、トレーニングデータは高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するときトレーニングに用いられるデータを指す。実際の性質データは獲得した高抵抗型酸化ガリウム単結晶の実際の性質データを指す。トレーニングデータと実際の性質データによりトレーニングセット(Training set)を形成した後、そのトレーニングセットで予め設定ニューラルネットワークモデルをトレーニングすることによりトレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得することができる。前記種晶トレーニングデータは、種晶回折ピークの半値幅のトレーニングデータ、種晶回折ピークの半値幅の誤差のトレーニングデータ及び種晶直径のトレーニングデータを含む。前記環境トレーニングデータは、高温区域保温層の熱抵抗のトレーニングデータ、高温区域保温層の熱抵抗の誤差のトレーニングデータ、高温区域保温層の形状因子のトレーニングデータ、低温区域保温層の熱抵抗のトレーニングデータ、低温区域保温層の熱抵抗の誤差のトレーニングデータ、低温区域保温層の形状因子のトレーニングデータ及び育成援助区域保温層の形状因子のトレーニングデータを含む。前記原料トレーニングデータは不純物種類のトレーニングデータと不純物濃度のトレーニングデータを含む。前記制御トレーニングデータは、高温区域の入力パワーのトレーニングデータ、高温区域の冷却パワーのトレーニングデータ、低温区域の入力パワーのトレーニングデータ、低温区域の冷却パワーのトレーニングデータ及びルツボの引き下げ速度のトレーニングデータを含む。前記実際の性質データは実際の抵抗を含む。前記実際の性質データは、実際の亀裂データ、実際の異物結晶データ、実際の回折ピーク値の半値幅、回折ピーク値の半値幅の直径方向の実際誤差、回折ピーク値の半値幅の軸方向の実際誤差、実際の抵抗の直径方向誤差、実際の抵抗の軸方向誤差を更に含むことができる。
【0053】
トレーニングデータと実際の性質データによりトレーニングセットを形成した後、そのトレーニングセットで予め設定ニューラルネットワークモデルをトレーニングすることによりトレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得することもできる。
【0054】
データを採集することによりトレーニングセットを獲得するとき、ブリッジマン法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造し、かつ高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するときのデータをトレーニングデータにする。高抵抗型酸化ガリウム単結晶を獲得した後、高抵抗型酸化ガリウム単結晶の性質を分析することにより実際の性質データを獲得する。ニューラルネットワークモデルのレーニングを容易にするため、より多いデータを採集することによりトレーニングセットを形成することができる。
【0055】
ステップS200において、前記トレーニングデータに対して予め処理をすることにより予め処理トレーニングデータを獲得する。
【0056】
具体的に、トレーニングデータを獲得した後、そのトレーニングデータに対して予め処理をすることにより予め処理トレーニングデータを獲得する。予め処理の過程はステップS200を参照することができる。
【0057】
ステップS300において、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、その予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応する形成性質の予測データを獲得する。前記形成性質の予測データは形成抵抗の予測抵抗を含む。
【0058】
具体的に、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、その予め設定ニューラルネットワークモデルにより形成性質の予測データを獲得する。前記形成性質の予測データは、形成亀裂の予測データ、形成異物結晶の予測データ、形成回折ピーク値の半値幅の予測データ、形成回折ピーク値の半値幅の直径方向の予測誤差データ、形成回折ピーク値の半値幅の軸方向の予測誤差データ、形成抵抗の直径方向の予測誤差データ、形成抵抗の軸方向の予測誤差データを更に含む。
【0059】
予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、その予め設定ニューラルネットワークモデルにより形成性質の予測データを獲得することもできる。
【0060】
ステップS400において、前記形成性質の予測データと前記実際の性質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正することによりトレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得する。
【0061】
具体的に、前記形成性質の予測データと前記実際の性質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正し、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応する形成性質の予測データを獲得し(すなわちステップA300)、かつ予め設定トレーニング条件を満たすときまで前記ステップを繰り返すことによりトレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得する。
【0062】
前記形成性質の予測データと前記実際の性質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正し、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応する形成性質の予測データを獲得し(すなわちステップA300)、かつ予め設定トレーニング条件を満たすときまで前記ステップを繰り返すことによりトレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得することもできる。
【0063】
具体的に、前記形成性質の予測データと前記実際の性質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正し、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応する形成性質の予測データを獲得する。つぎに、予め設定トレーニング条件を満たすときまで前記ステップを繰り返すことによりトレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得することができる。以上のとおり、前記予め設定ニューラルネットワークモデルが予め設定トレーニング条件を満たすと、トレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得することができる。前記予め設定ニューラルネットワークモデルが予め設定トレーニング条件を満たさないと、ステップA300に戻った後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルが予め設定トレーニング条件を満たすときまで前記ステップを繰り返すことによりトレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得することができる。
【0064】
本発明の実施例において、前記形成性質の予測データと前記実際の性質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルの損失函数(loss function)を確定し、前記損失函数により前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正する。具体的に、グラジェント方法により前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正し、前記予め設定ニューラルネットワークモデルの損失函数を確定した後、前記損失函数により前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターのグラジェント、前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーター及び予め設定学習頻度を修正し、かつ前記予め設定ニューラルネットワークモデルの修正後のパラメーターを確定する。
【0065】
前記予め設定トレーニング条件は損失函数が第一予め設定要求を満たすことと/或いは前記予め設定ニューラルネットワークモデルのトレーニング回数が第一予め設定回数に達することを含む。
【0066】
前記第一予め設定要求は前記予め設定ニューラルネットワークモデルの精度と効率により確定される。例えば、前記第一予め設定要求は前記予め設定ニューラルネットワークモデルの損失函数が最小値になるか或いは変化しないことであることができる。前記第一予め設定回数は前記予め設定ニューラルネットワークモデルの最大トレーニング回数であり、その最大トレーニング回数は例えば4000回等であることができる。
【0067】
予め設定ニューラルネットワークモデルの損失函数は、平均二乗誤差(mean-square error)、自乗平均誤差(Root Mean Squared Error)、平均絶対偏差(Mean Absolute Deviation)等を含む。
【0068】
本発明の実施例において、前記予め設定ニューラルネットワークモデルは特徴抽出モジュールと完全接続モジュール(Fully connected module)を含む。
【0069】
例えば、予め設定ニューラルネットワークモデルは、第一畳み込み(Convolutional)ユニット、第二畳み込みユニット、第三畳み込みユニット、第四畳み込みユニット及び完全接続ユニットを含むことができる。具体的に、第一畳み込みユニットは2個の畳み込み層(Convolutional layer)と1個のプーリング層(pooling layer)を含み、第二畳み込みユニット、第三畳み込みユニット及び第四畳み込みユニットはいずれも、3個の畳み込み層と1個のプーリング層を含み、完全接続ユニットは3個の完全接続層を含む。
【0070】
畳み込み層と完全接続層は入力されるデータのマッピング(mapping)と変換を担当する。その過程において、畳み込み層と完全接続層は、ウエートバリュー(weight value)とオフセット(offsets)等のパラメーターを用い、かつアクティベーションファンクション(Activation Function)も用いる。プーリング層は変化しない関数操作である。具体的に、畳み込み層は特徴を抽出する役割をする。プーリング層は入力される特徴に対してプーリング操作をすることによりそのスペースのサイズを変化させる。完全接続層は前の層中のすべてのデータを接続させる役割をする。
【0071】
前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、その予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応する形成性質の予測データを獲得する前記ステップA300はつぎのステップを含む。
【0072】
ステップA310において、前記予め処理トレーニングデータを前記特徴抽出モジュールに入力した後、その特徴抽出モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する特徴ベクトルを獲得する。
【0073】
ステップA320において、前記特徴ベクトルを前記完全接続モジュールに入力し、前記完全接続モジュールにより前記予め処理トレーニングデータによって獲得した前記形成性質の予測データを獲得する。
【0074】
具体的に、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、その予め設定ニューラルネットワークモデル中の前記特徴抽出モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する特徴ベクトルを出力し、かつ前記特徴ベクトルを予めトレーニングモデルの前記完全接続モジュールに入力することにより、前記完全接続モジュールが出力した前記予め処理トレーニングデータに対応する形成性質の予測データを獲得する。
【0075】
前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、その予め設定ニューラルネットワークモデル中の前記特徴抽出モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する特徴ベクトルを出力し、かつ前記特徴ベクトルを前記予めトレーニングモデルの前記完全接続モジュールに入力することにより、前記完全接続モジュールが出力した前記予め処理トレーニングデータに対応する形成性質の予測データを獲得することもできる。
【0076】
前記ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法により、本発明はディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法を更に提供する。その製造方法はつぎのステップを含む。
【0077】
ステップB100において、目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶の目標性質データを獲得する。前記目標性質データは目標抵抗を含む。
【0078】
具体的に、目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶を獲得するとき、まず目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶の目標性質データを確定することができる。すなわち獲得しようとする高抵抗型酸化ガリウム単結晶の性質データを確定することができる。まず目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶の目標性質データを確定することもできる。すなわち獲得しようとする高抵抗型酸化ガリウム単結晶の性質データを確定することもできる。前記目標性質データは、目標亀裂データ、目標異物結晶データ、目標回折ピーク値の半値幅、目標回折ピーク値の半値幅の直径方向誤差と目標回折ピーク値の半値幅の軸方向誤差、目標抵抗の直径方向誤差、目標抵抗の軸方向誤差を更に含む。
【0079】
ステップB200において、前記目標性質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定する。前記目標プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ、制御データ及び原料データを含み、前記原料データは不純物種類データと不純物濃度を含む。
【0080】
具体的に、前記目標性質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定する。前記目標性質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定することもできる。注意されたいことは、異なっているプレパレーションデータにより同様の性質データを獲得することができる。したがって、前記目標性質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定するとき、確定される目標プレパレーションデータは唯一のものでなく、複数個の目標プレパレーションデータ中の各データを制御する難易性により1つの目標プレパレーションデータを確定することができ、それにより標高抵抗型酸化ガリウム単結晶を容易に獲得することができる。
【0081】
本発明の実施例において、前記目標性質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定する前記ステップB200はつぎのステップを含む。
【0082】
ステップB210において、予め設定プレパレーションデータを獲得した後、前記予め設定プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理予め設定プレパレーションデータを獲得する。
【0083】
ステップB220において、前記予め処理予め設定プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測性質データを獲得する。
【0084】
ステップB230において、前記予測性質データと前記目標性質データにより前記予め設定プレパレーションデータを修正することにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを獲得する。
【0085】
具体的に、まず、プレパレーションデータを予め設定した後、前記予め設定プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理予め設定プレパレーションデータを獲得する。具体的な処理の過程はステップS200を参照することができる。予め設定プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力することにより予測性質データを獲得することができる。つぎに、前記予測性質データと前記目標性質データにより前記予め設定プレパレーションデータを修正し、前記予測性質データと前記目標品質データの差が予め設定閾値より小さいと、前記予め設定プレパレーションデータを目標プレパレーションデータにすることができる。前記予め設定プレパレーションデータを修正するとき、自動的に修正するか或いは人工的に修正することができる。前記予測性質データと前記目標性質データにより前記損失函数(loss function)を確定することもできる。その場合、前記損失函数により前記予め設定プレパレーションデータを修正し、前記損失函数が予め設定修正条件を満たすと、前記予め設定プレパレーションデータを目標プレパレーションデータにすることができる。予め設定修正条件は損失函数が第二予め設定要求を満たすことと/或いは前記予め設定プレパレーションデータの修正回数が第二予め設定回数に達することを含む。
【0086】
注意されたいことは、予め設定プレパレーションデータは、予め設定種晶データ、予め設定環境データ、予め設定制御データ及び予め設定原料データを含む。前記予め設定種晶データは、予め設定種晶回折ピークの半値幅、予め設定種晶回折ピークの半値幅の誤差及び予め設定種晶直径を含む。前記予め設定環境データは、予め設定高温区域保温層の熱抵抗、予め設定高温区域保温層の熱抵抗の誤差、予め設定高温区域保温層の形状因子、予め設定低温区域保温層の熱抵抗、予め設定低温区域保温層の熱抵抗の誤差、予め設定低温区域保温層の形状因子及び予め設定育成援助区域保温層の形状因子を含む。前記予め設定制御データは、予め設定高温区域の入力パワー、予め設定高温区域の冷却パワー、予め設定低温区域の入力パワー、予め設定低温区域の冷却パワー及びルツボの予め設定引き下げ速度を含む。前記予め設定原料データは予め設定不純物種類データと予め設定不純物濃度を含む。
【0087】
ステップB300において、ブリッジマン法と前記目標プレパレーションデータにより目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造する。
【0088】
具体的に、目標プレパレーションデータを獲得した後、ブリッジマン法と前記目標プレパレーションデータにより目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造する。
【0089】
前記予測方法または前記製造方法に基づいて、本発明はディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造システムを提供する。そのシステムはコンピュータ装置であることができ、そのコンピュータ装置の内部構造は図4に示すとおりである。前記システムは、システムバスによって接続される処理装置、記憶装置、ケーブルインタフェース(cable interface)、表示パネル及び入力装置を含む。前記システムの処理装置は計算と制御を担当する。前記システムの記憶装置は不揮発性記憶装置(nonvolatile memory unit)と内部メモリ(internal memory)を含む。前記不揮発性記憶装置にはオペレーティングシステム(operating system)とコンピュータプログラムが記憶されている。前記内部メモリは不揮発性記憶装置中のオペレーティングシステムとコンピュータプログラムが実行されることをサポートする。ネットワークにより外部の端末を前記システムのケーブルインタフェースに通信可能に接続させることができる。前記コンピュータプログラムが処理装置によって実行されることにより、ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法またはディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法を実施することができる。前記システムの表示パネルは液晶表示パネルまたは電子インクスクリーン(e-ink screen)であることができる。前記システムの入力装置は表示パネル上に設けられるタッチ層であるか或いはシステムのケース上に設けられるキーボード、トラックボール(track ball)またはタッチパッド(touch pad)であるか或いはシステムの外部に接続されるキーボード、タッチパッドまたはマウスであることができる。
【0090】
この技術分野の技術者が知っているとおり、図4には本発明の実施例に係るシステムの一部分の構造のみが示されている。図4の構造は本発明の例示にしか過ぎないものであるため、本発明は図4のシステムにのみ限定されるものでない。本発明の具体的なシステムは、図面に示されている部品より多い部品または少ない部品を含むか或いはある部品の組合せを含むことができ、かつ図面中の部品を他の方式に配列することができる。
【0091】
本発明の実施例において、ディープラーニング及びブリッジマン法による高抵抗型酸化ガリウムの製造システムは記憶装置と処理装置を含み、前記記憶装置にはコンピュータプログラムが記憶されており、前記処理装置が前記コンピュータプログラムを実行することにより前記予測方法のステップまたは製造方法のステップを実施することができる。
【0092】
注意されたいことは、本発明の実施例に係る各技術的特徴を適当に組み合わせることができる。説明を簡単にするため、本発明の実施例に係る各技術的特徴のすべての組合せを説明しなかったが、矛盾がない限り、本発明は各技術的特徴のすべての組合せを含むことができる。
図1
図2
図3
図4