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特許7478819ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法、製造方法及びそのシステム
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  • 特許-ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法、製造方法及びそのシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法、製造方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
   C30B 15/34 20060101AFI20240425BHJP
   C30B 29/16 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
C30B15/34
C30B29/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022520490
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2021076071
(87)【国際公開番号】W WO2022141765
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】202011639219.8
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522130106
【氏名又は名称】杭州富加▲じゃ▼業科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HANGZHOU FUJIA GALLIUM TECHNOLOGY CO. LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 301, Building 23, No. 68 Jiangnan Road, Chunjiang Street, Fuyang District, Hangzhou, Zhejiang 311400, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】斉 紅基
(72)【発明者】
【氏名】陳 端陽
(72)【発明者】
【氏名】賽 青林
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-013933(JP,A)
【文献】特開2006-024195(JP,A)
【文献】特開2011-190127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 15/34
C30B 29/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EFGテクニック方法で高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するプレパレーションデータを獲得するステップであって、前記プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ及び制御データを含み、前記環境データは不純物元素濃度及び不純物元素種類を含むステップと、
前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップと、
前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測品質データを獲得するステップであって、前記予測品質データは予測抵抗値を含むステップと、を含み、
前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップは、前記種晶データ、環境データ及び制御データにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップを含み、前記予め処理プレパレーションデータは、前記種晶データ、環境データ及び制御データで形成されるマトリックスであり、
前記種晶データは、種晶回折ピークの半値幅、種晶回折ピークの半値幅の誤差、種晶の厚さ及び種晶の幅からなる全ての種晶データを含み、
前記環境データは、上部保温カバーの熱抵抗、上部保温カバーの熱抵抗の誤差、結晶育成通路の形状因子、結晶育成観察孔の形状因子、下部保温カバーの熱抵抗、下部保温カバーの熱抵抗の誤差、ルツボと誘導コイルの相対的な高さ、加熱部と誘導コイルの相対的な高さ、金型開口隙間の幅、及び金型開口隙間の深さからなる全ての環境データを含み、
前記制御データは、加熱パワー、冷却パワー、雰囲気気体の種類、キャビティ内の圧力、気体流量、及びシードクリスタルロッドの引き上げ速度からなる全ての制御データを含み、
前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルは、トレーニングデータと実際の品質データによりトレーニングセット(Training set)を形成した後、トレーニングセットで予め設定ニューラルネットワークモデルをトレーニングすることにより獲得され、
前記トレーニングセットは、前記トレーニングデータと前記実際の品質データにより形成され、前記トレーニングデータは、EFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するときトレーニングに用いられるデータを指し、種晶トレーニングデータ、環境トレーニングデータ及び制御トレーニングデータを含み、
前記実際の品質データは、EFGテクニック方法により製造される高抵抗型酸化ガリウム単結晶の実際の品質データを指し、
前記予測品質データは、予測亀裂データ、予測異物結晶データ、予測回折ピーク値の半値幅、予測回折ピーク値の半値幅の誤差、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶のショルダー対称性、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の左側収縮度、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の右側収縮度、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の厚さ、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の厚さの誤差、予測抵抗の直径方向の誤差及び予測抵抗の軸方向の誤差を更に含み、亀裂データは亀裂の等級を指すデータであり、予測亀裂データは予測した亀裂の等級を指すデータであり、前記予め処理プレパレーションデータは、プレパレーションベクトル(A、B、C)によって確定され、種晶データA、環境データB及び制御データCにより前記プレパレーションベクトル(A、B、C)を確定し、種晶データAは、種晶回折ピークの半値幅A1、種晶回折ピークの半値幅の誤差A2、種晶の厚さA3及び種晶の幅A4において選択するものであり、前記環境データBは、上部保温カバーの熱抵抗B1、上部保温カバーの熱抵抗の誤差B2、結晶育成通路の形状因子B3、結晶育成観察孔の形状因子B4、下部保温カバーの熱抵抗B5、下部保温カバーの熱抵抗の誤差B6、ルツボと誘導コイルの相対的な高さB7、加熱部と誘導コイルの相対的な高さB8、金型開口隙間の幅B9、金型開口隙間の深さB10、不純物元素濃度B11及び不純物元素種類B12において選択するものであり、前記制御データCは、加熱パワーC1、冷却パワーC2、雰囲気気体の種類C3、キャビティ内の圧力C4、気体流量C5、シードクリスタルロッドの引き上げ速度C6において選択するものであり、前記プレパレーションベクトル(A、B、C)において、Aは、A1、A2、A3、A4のうちいずれかの1個であり、Bは、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12のうちいずれかの1個であり、Cは、C1、C2、C3、C4、C5、C6のうちいずれかの1個であり、それらにより288個のプレパレーションベクトルを形成することができる
ことを特徴とするディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法。
【請求項2】
前記種晶データ、環境データ及び制御データにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップは、
前記種晶データ、環境データ及び制御データによりプレパレーションベクトルを確定するステップと、
前記プレパレーションベクトルにより前記予め処理プレパレーションデータを確定するステップと、を含み、
前記プレパレーションベクトル中の第一元素は、前記種晶回折ピークの半値幅、種晶回折ピークの半値幅の誤差、種晶の厚さ及び種晶の幅のうちいずれか1個であり、前記プレパレーションベクトル中の第二元素は、前記上部保温カバーの熱抵抗、上部保温カバーの熱抵抗の誤差、結晶育成通路の形状因子、結晶育成観察孔の形状因子、下部保温カバーの熱抵抗、下部保温カバーの熱抵抗の誤差、ルツボと誘導コイルの相対的な高さ、加熱部と誘導コイルの相対的な高さ、金型開口隙間の幅、金型開口隙間の深さ、不純物元素濃度及び不純物元素種類のうちいずれか1個であり、前記不純物元素種類は、Fe、Ca、Zn、Co、Ti、Ni、Mg、Al及びCuを含み、前記プレパレーションベクトル中の第三元素は、加熱パワー、冷却パワー、雰囲気気体の種類、キャビティ内の圧力、気体流量、シードクリスタルロッドの引き上げ速度のうちいずれか1個であることを特徴とする請求項1に記載のディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法。
【請求項3】
EFGテクニック方法で高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するプレパレーションデータを獲得するステップであって、前記プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ及び制御データを含み、前記環境データは不純物元素濃度及び不純物元素種類を含むステップと、
前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップと、
前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測品質データを獲得するステップであって、前記予測品質データは予測抵抗値を含むステップと、を含み、
前記予測品質データは、予測亀裂データ、予測異物結晶データ、予測回折ピーク値の半値幅、予測回折ピーク値の半値幅の誤差、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶のショルダーの対称性、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の左側収縮度、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の右側収縮度、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の厚さ、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の厚さの誤差、予測抵抗の直径方向の誤差及び予測抵抗の軸方向の誤差からなる全ての予測品質データを更に含み、
前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルは、トレーニングデータと実際の品質データによりトレーニングセット(Training set)を形成した後、トレーニングセットで予め設定ニューラルネットワークモデルをトレーニングすることにより獲得され、
前記トレーニングセットは、前記トレーニングデータと前記実際の品質データにより形成され、
前記トレーニングデータは、EFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するときトレーニングに用いられるデータを指し、種晶トレーニングデータ、環境トレーニングデータ及び制御トレーニングデータを含み、
前記実際の品質データは、EFGテクニック方法により製造される高抵抗型酸化ガリウム単結晶の実際の品質データを指し、
前記予め処理プレパレーションデータは、プレパレーションベクトル(A、B、C)によって確定され、種晶データA、環境データB及び制御データCにより前記プレパレーションベクトル(A、B、C)を確定し、種晶データAは、種晶回折ピークの半値幅A1、種晶回折ピークの半値幅の誤差A2、種晶の厚さA3及び種晶の幅A4において選択するものであり、前記環境データBは、上部保温カバーの熱抵抗B1、上部保温カバーの熱抵抗の誤差B2、結晶育成通路の形状因子B3、結晶育成観察孔の形状因子B4、下部保温カバーの熱抵抗B5、下部保温カバーの熱抵抗の誤差B6、ルツボと誘導コイルの相対的な高さB7、加熱部と誘導コイルの相対的な高さB8、金型開口隙間の幅B9、金型開口隙間の深さB10、不純物元素濃度B11及び不純物元素種類B12において選択するものであり、前記制御データCは、加熱パワーC1、冷却パワーC2、雰囲気気体の種類C3、キャビティ内の圧力C4、気体流量C5、シードクリスタルロッドの引き上げ速度C6において選択するものであり、前記プレパレーションベクトル(A、B、C)において、Aは、A1、A2、A3、A4のうちいずれかの1個であり、Bは、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12のうちいずれかの1個であり、Cは、C1、C2、C3、C4、C5、C6のうちいずれかの1個であり、それらにより288個のプレパレーションベクトルを形成することができる
ことを特徴とするディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法。
【請求項4】
EFGテクニック方法で高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するプレパレーションデータを獲得するステップであって、前記プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ及び制御データを含み、前記環境データは不純物元素濃度及び不純物元素種類を含むステップと、
前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップと、
前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測品質データを獲得するステップであって、前記予測品質データは予測抵抗値を含むステップと、を含み、
前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルはつぎのトレーニング方法、すなわち
EFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するトレーニングデータとそれに対応する実際の品質データを獲得するステップであって、前記トレーニングデータは、種晶トレーニングデータ、環境トレーニングデータ及び制御トレーニングデータを含むステップと、
前記トレーニングデータに対して予め処理をすることにより予め処理トレーニングデータを獲得するステップと、
前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応するトレーニング形成品質の予測データを獲得するステップと、
前記トレーニング形成品質の予測データと前記実際の品質データにより予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正するステップとにより獲得するものであり、
前記予め設定ニューラルネットワークモデルは特徴抽出モジュールと完全接続モジュールを含み、
前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応するトレーニング形成品質の予測データを獲得する前記ステップは、
前記予め処理トレーニングデータを前記特徴抽出モジュールに入力した後、前記特徴抽出モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する特徴ベクトルを獲得するステップと、
前記特徴ベクトルを前記完全接続モジュールに入力し、前記完全接続モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する前記トレーニング形成品質の予測データを獲得するステップと、を含み、
前記トレーニングデータは、EFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するときトレーニングに用いられるデータを指し、
前記実際の品質データは、EFGテクニック方法により製造される高抵抗型酸化ガリウム単結晶の実際の品質データを指し、
前記予め処理プレパレーションデータは、プレパレーションベクトル(A、B、C)によって確定され、種晶データA、環境データB及び制御データCにより前記プレパレーションベクトル(A、B、C)を確定し、種晶データAは、種晶回折ピークの半値幅A1、種晶回折ピークの半値幅の誤差A2、種晶の厚さA3及び種晶の幅A4において選択するものであり、前記環境データBは、上部保温カバーの熱抵抗B1、上部保温カバーの熱抵抗の誤差B2、結晶育成通路の形状因子B3、結晶育成観察孔の形状因子B4、下部保温カバーの熱抵抗B5、下部保温カバーの熱抵抗の誤差B6、ルツボと誘導コイルの相対的な高さB7、加熱部と誘導コイルの相対的な高さB8、金型開口隙間の幅B9、金型開口隙間の深さB10、不純物元素濃度B11及び不純物元素種類B12において選択するものであり、前記制御データCは、加熱パワーC1、冷却パワーC2、雰囲気気体の種類C3、キャビティ内の圧力C4、気体流量C5、シードクリスタルロッドの引き上げ速度C6において選択するものであり、前記プレパレーションベクトル(A、B、C)において、Aは、A1、A2、A3、A4のうちいずれかの1個であり、Bは、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12のうちいずれかの1個であり、Cは、C1、C2、C3、C4、C5、C6のうちいずれかの1個であり、それらにより288個のプレパレーションベクトルを形成することができる
ことを特徴とするディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法。
【請求項5】
目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶の目標品質データを獲得するステップであって、前記目標品質データは目標抵抗値を含むステップと、
前記目標品質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定するステップであって、前記目標プレパレーションデータは、目標種晶データ、目標環境データ及び目標制御データを含み、前記目標制御データは目標不純物元素濃度及び目標不純物元素種類を含むステップと、
前記EFGテクニック方法と前記目標プレパレーションデータにより目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するステップとを含み、
前記目標品質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定するステップは、
予め設定プレパレーションデータを獲得した後、前記予め設定プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理予め設定プレパレーションデータを獲得するステップと、
前記予め処理予め設定プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記予め処理予め設定プレパレーションデータに対応する予測品質データを獲得するステップと、
前記予測品質データと前記目標品質データにより前記予め設定プレパレーションデータを修正することにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを獲得するステップとを含み、
前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルは、前記トレーニング形成品質の予測データと前記実際の品質データにより予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正することにより獲得され、
前記実際の品質データは、
EFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造し、かつ高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するときのデータをトレーニングデータにし、高抵抗型酸化ガリウム単結晶を獲得した後、高抵抗型酸化ガリウム単結晶の品質を分析することにより獲得され、
前記トレーニング形成品質の予測データは、
前記トレーニングデータに対して予め処理をすることにより予め処理トレーニングデータを獲得し、前記トレーニングデータを獲得した後、前記トレーニングデータに対して予め処理をすることにより予め処理トレーニングデータを獲得し、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより獲得され、
前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルは、
前記トレーニング形成品質の予測データと前記実際の品質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正し、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応するトレーニング形成品質の予測データを獲得し、かつ予め設定トレーニング条件を満たすときまで前記ステップを繰り返すことにより獲得される
ことを特徴とするディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法。
【請求項6】
記憶装置と処理装置を含み、前記記憶装置にはコンピュータプログラムが記憶されているディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの製造システムであって、前記処理装置が前記コンピュータプログラムを実行することにより請求項1~4のうちいずれか一項に記載の前記予測方法のステップまたは請求項5に記載の製造方法のステップを実施することを特徴とするディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高抵抗型酸化ガリウム結晶の製造分野に属し、特に、ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法、製造方法及びそのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
β-Ga2O3(高抵抗型酸化ガリウム)はギャップ幅禁制帯を直接に持っている半導体材料であり、禁制帯の幅は4.8~4.9eVである。高抵抗型酸化ガリウムは、禁制帯の幅が広く、飽和電子のドリフト速度が速く、導熱性がよく、破壊電界強度(breakdown field strength)が強く、化学性能の安定性がよいという利点等を有しているので、高温、高周波、ハイパワーのパワー電子部品の分野に幅広く用いることができる。高抵抗型酸化ガリウムをLEDチップ、ソーラーブラインド紫外線検出(Solar blind ultraviolet detection)、いろいろなセンサー素子及び撮影素子等にも用いることができる。
【0003】
【0004】
従来の技術と比較してみると、EFGテクニック方法で製造する高抵抗型酸化ガリウム結晶はつぎのような利点を有している。
【0005】
1、金型の毛細管中の溶体の対流は弱く、溶体中の不純物イオンは毛細管に沿って固液界面(solid-liquid interface)まで上昇するので、ルツボ内に再び戻りにくい。また、結晶中の不純物イオンのセグリゲーション係数は1に接近しているので、結晶の上下の不純物の分布の一様性がよい。
【0006】
2、結晶を育成する固液界面(solid-liquid interface)は金型の上表面に位置し、界面の形状は金型の表面の形状により調節される。固液界面が温度場(thermal field)内に位置している位置は変わらず、かつ固液界面はルツボ内の溶体の流動による影響を受けないので、結晶を育成する固液界面の安定性を確保することができる。
【0007】
3、EFGテクニック方法により結晶を育成する速度が速いので、結晶の育成に用いられるエネルギーを節約し、異形結晶を育成し、結晶の育成のコストと結晶の育成に用いられるエネルギーを低減することができる。
【0008】
しかしながら、EFGテクニック方法で高抵抗型酸化ガリウム結晶を製造するとき、金型の開口付近の温度場の分布、種晶の選択、シードクリスタルロッドを引き上げる速度、結晶を育成する雰囲気気体の種類、加熱パワー、冷却パワー等のパラメーターの変化はいずれも、製造される高抵抗型酸化ガリウム結晶の品質に大きい影響を与える。従来のEFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム結晶を製造するとき、作業者の経験によりパラメーターを設定するので、パラメーターの一様性を確保することができず、かつ高抵抗型酸化ガリウム結晶の安定性が悪くなるおそれがある。
【0009】
したがって、従来の技術の欠点を解決するとともに改良する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の技術の技術的問題と技術的欠点を解決するため、本発明はつぎのようなディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法、製造方法及びそのシステムを提供する。その目的は、従来のEFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造する従来の技術において、作業者の経験によりパラメーターを設定するので、パラメーターの一様性を確保することができず、それにより高抵抗型酸化ガリウム結晶の品質の安定性を確保することができない問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記技術的問題を解決するため、本発明はつぎのような技術的事項を採用する。
本発明のディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法は、EFGテクニック方法で高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するプレパレーションデータを獲得するステップであって、前記プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ及び制御データを含み、前記環境データは不純物元素濃度及び不純物元素種類を含むステップと、
前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップと、
前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測品質データを獲得するステップであって、前記予測品質データは予測抵抗値を含むステップと、を含む。
【0012】
前記ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法において、前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップは、前記種晶データ、環境データ及び制御データにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップを含み、前記予め処理プレパレーションデータは、前記種晶データ、環境データ及び制御データで形成されるマトリックスである。
【0013】
前記ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法において、前記種晶データは、種晶回折ピークの半値幅、種晶回折ピークの半値幅の誤差、種晶の厚さ及び種晶の幅を含み、
前記環境データは、上部保温カバーの熱抵抗、上部保温カバーの熱抵抗の誤差、結晶育成通路の形状因子、結晶育成観察孔の形状因子、下部保温カバーの熱抵抗、下部保温カバーの熱抵抗の誤差、ルツボと誘導コイルの相対的な高さ、加熱部と誘導コイルの相対的な高さ、金型開口隙間の幅、金型開口隙間の深さを含み、
前記制御データは、加熱パワー、冷却パワー、雰囲気気体の種類、キャビティ内の圧力、気体流量、シードクリスタルロッドの引き上げ速度を含む。
【0014】
前記ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法において、前記種晶データ、環境データ及び制御データにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップは、
前記種晶データ、環境データ及び制御データによりプレパレーションベクトルを確定するステップと、
前記プレパレーションベクトルにより前記予め処理プレパレーションデータを確定するステップと、を含み、
前記プレパレーションベクトル中の第一元素は、前記種晶回折ピークの半値幅、種晶回折ピークの半値幅の誤差、種晶の厚さ及び種晶の幅のうちいずれか1個であり、前記プレパレーションベクトル中の第二元素は、前記上部保温カバーの熱抵抗、上部保温カバーの熱抵抗の誤差、結晶育成通路の形状因子、結晶育成観察孔の形状因子、下部保温カバーの熱抵抗、下部保温カバーの熱抵抗の誤差、ルツボと誘導コイルの相対的な高さ、加熱部と誘導コイルの相対的な高さ、金型開口隙間の幅、金型開口隙間の深さ、不純物元素濃度及び不純物元素種類のうちいずれか1個であり、前記不純物元素種類は、Fe、Ca、Zn、Co、Ti、Ni、Mg、Al及びCuを含み、前記プレパレーションベクトル中の第三元素は、加熱パワー、冷却パワー、雰囲気気体の種類、キャビティ内の圧力、気体流量、シードクリスタルロッドの引き上げ速度のうちいずれか1個である。
【0015】
前記ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法において、前記予測品質データは、予測亀裂データ、予測異物結晶データ、予測回折ピーク値の半値幅、予測回折ピーク値の半値幅の誤差、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶のショルダーの対称性、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の左側収縮度、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の右側収縮度、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の厚さ、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の厚さの誤差、予測抵抗の直径方向の誤差及び予測抵抗の軸方向の誤差を更に含む。
【0016】
前記ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法において、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルはつぎのトレーニング方法、すなわち
EFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するトレーニングデータとそれに対応する実際の品質データを獲得するステップであって、前記トレーニングデータは、種晶トレーニングデータ、環境トレーニングデータ及び制御トレーニングデータを含むステップと、
前記トレーニングデータに対して予め処理をすることにより予め処理トレーニングデータを獲得するステップと、
前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応するトレーニング形成品質の予測データを獲得するステップと、
前記トレーニング形成品質の予測データと前記実際の品質データにより予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正するステップとにより獲得するものである。
【0017】
前記ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法において、前記予め設定ニューラルネットワークモデルは特徴抽出モジュールと完全接続モジュールを含み、
前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応するトレーニング形成品質の予測データを獲得する前記ステップは、
前記予め処理トレーニングデータを前記特徴抽出モジュールに入力した後、前記特徴抽出モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する特徴ベクトルを獲得するステップと、
前記特徴ベクトルを前記完全接続モジュールに入力し、前記完全接続モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する前記トレーニング形成品質の予測データを獲得するステップと、を含む。
【0018】
本発明のディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法は、目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶の目標品質データを獲得するステップであって、前記目標品質データは目標抵抗値を含むステップと、
前記目標品質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定するステップであって、前記目標プレパレーションデータは、目標種晶データ、目標環境データ及び目標制御データを含み、前記目標制御データは目標不純物元素濃度及び目標不純物元素種類を含むステップと、
前記EFGテクニック方法と前記目標プレパレーションデータにより目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するステップとを含む。
【0019】
前記ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法において、前記目標品質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定するステップは、
予め設定プレパレーションデータを獲得した後、前記予め設定プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理予め設定プレパレーションデータを獲得するステップと、
前記予め処理予め設定プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記予め処理予め設定プレパレーションデータに対応する予測品質データを獲得するステップと、
前記予測品質データと前記目標品質データにより前記予め設定プレパレーションデータを修正することにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを獲得するステップとを含む。
【0020】
本発明のディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの製造システムにおいて、前記システムは記憶装置と処理装置を含み、前記記憶装置にはコンピュータプルグラムが記憶されており、前記処理装置が前記コンピュータプログラムを実行することにより本発明のいずれか一項に記載される前記予測方法のステップまたは本発明のいずれか一項に記載される製造方法のステップを実施する。
【発明の効果】
【0021】
本発明のディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法及び製造方法において、まず、EFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するプレパレーションデータに対して予め処理をすることにより、予め処理プレパレーションデータを獲得する。つぎに、前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測品質データを獲得する。本発明はトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより高抵抗型酸化ガリウム単結晶の品質を予測するので、プレパレーションデータを調節することにより所定の性能を有している高抵抗型酸化ガリウム単結晶を獲得することができる。それにより高抵抗型酸化ガリウム単結晶の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
この発明の実施例または従来の技術に係る技術的事項をより詳細に説明するため、以下、この発明の実施例または従来の技術において用いる図面を簡単に説明する。注意されたいことは、下記図面はこの発明の一部分の実施例にしか過ぎないものであるため、この技術分野の技術者は創造的な研究をしなくても下記図面により他の図面を想像することができ、そのような図面があってもこの発明に含まれることは勿論である。
図1】この発明の実施例に係るEFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム結晶を育成する結晶育成炉の構造を示す図である。
図2】この発明の好適な実施例に係るディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法を示す流れ図である。
図3】この発明の好適な実施例に係るディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法を示す流れ図である。
図4】この発明の実施例に係るディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの製造システムの内部構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明においてディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウム結晶の製造方法及びそのシステムを提供する。この発明の目的、技術的特徴及び発明の効果を詳細に明確に理解してもらうため、以下、図面によりこの発明の実施例をより詳細に説明する。下記具体的な実施例はこの発明を説明するものであるが、この発明を限定するものでない。
【0024】
この発明の明細書において、特別な説明がない限り、この明細書中の「1つ」、「1個」、「前記」及び「該」等の用語は、1つの事項を含むだけでなく、複数の事項を含むこともできる。この発明の明細書中の「含む」という用語は、特徴、整数、ステップ、操作、部品と/或いはモジュールを含むことを意味するが、1個または複数個の特徴、整数、ステップ、操作、部品と/或いはモジュールの組合せが存在するか或いはそれらの組合せを更に含むことを意味することもできる。注意されたいことは、部品が他の部品に「連結」または「接続」されるとき、その部品は他の部品に直接に連結または接続されるか或いは中間部品により他の部品に間接的に連結または接続されることができる。この明細書中の「連結」または「接続」は無線連結または無線接続であることができる。この明細書中の「と/或いは」という用語は、係っている1個または複数個の事項のうちいずれかの1つまたは複数、いずれかの組合せまたは全部を含むことを意味することができる。
【0025】
この発明の明細書において、特別な説明がない限り、この明細書中の用語(技術的用語と科学的用語を含む)はこの技術分野の技術者が常用している用語の意味を指す。注意されたいことは、この発明と従来の技術中の用語は、辞書に記載されている用語の意味を参照することができるが、特別な定義がある場合、特別に定義される意味を指すことができる。
【0026】
以下、図面と具体的な実施例によりこの発明の技術的事項をより詳細に説明する。
【0027】
この発明において、EFGテクニック(Edge-defined Film-fed Growth technique、EFG techniqueと略称)方法により高抵抗型酸化ガリウム(Gallium oxide)結晶を育成する結晶育成炉(growth furnace)を提供する。図1に示すとおり、前記結晶育成炉は下部保温カバー11を含み、前記下部保温カバー11内にはルツボ12が取り付けられ、前記ルツボ12内には毛細サイフォン構造が形成されている金型13が取り付けられ、前記ルツボ12の外部には加熱部14が取り付けられている。前記下部保温カバーの上方には上部保温カバー15が取り付けられ、前記上部保温カバー15の内部には結晶育成通路16が形成され、前記上部保温カバーの側面には結晶育成観察孔17が形成され、前記下部保温カバー11の周囲には誘導コイル18が取り付けられている。
【0028】
前記結晶育成炉で高抵抗型酸化ガリウム結晶を製造するとき、まず、高抵抗型酸化ガリウム結晶を育成する結晶育成炉を組み立てる。そのステップは、上部保温カバーの材料を選択することと、上部保温カバーの軸方向孔のサイズ、開口の形状及びサイズを設定することと、下部保温カバーの材料を選択することと、ルツボと誘導コイルの相対的な高さ、加熱部と誘導コイルの相対的な高さ等を設計することとを含む。それらは結晶育成炉の内部の熱場(熱フィールドともいう)の分布に影響を与えることにより、高抵抗型酸化ガリウム結晶の性能に影響を与える。
【0029】
所定の配向のβ-Ga種晶を種晶治具に送入した後それを固定させる。種晶の配向は「010」、「001」等の方向であることができる。
【0030】
まず、機械式ポンプ、拡散ポンプを順に起動させることにより装置の内部を真空状態にする。装置の内部が予め設定真空度になると、真空ポンプをオフさせ、混合気体の体積比により所定の気体を結晶育成炉の内部にゆっくり注入する。
【0031】
つぎに、加熱パワーを調節し、前記加熱体でルツボを加熱することにより、ルツボ内の酸化ガリウム原料と不純物元素原料を完全に溶解する。溶解される酸化ガリウムと不純物元素は毛細サイフォン構造により金型の上部に移動し、かつ金型の上部の全面を覆うように金型の上部で広がる。つぎに、シードクリスタルロッド(seed crystal rod)をゆっくり引き下げることにより前記シードクリスタルロッドをイリジウム製金型の上部から3~5mm離れている個所まで移動させた後、種晶に対して予め加熱をし、5~10分が過ぎると接種を始める。種晶と溶体が完全に溶接されると、シーディング(Seeding)とネッキングダウン(necking down)を実施することにより、種晶の元の欠陥が結晶の内部に延伸することを防止し、結晶の品質を確保することができる。つぎに、ショルダーエクスパンション(Shoulder expansion)育成をすることにより結晶を金型の全面まで育成させる。つぎに、直径方向の育成をする。結晶の育成が終わると、結晶の温度を室温まで下げた後、前記結晶を取り出すことにより高抵抗型酸化ガリウム結晶を獲得することができる。高抵抗型酸化ガリウム結晶を製造する過程において、加熱パワー、冷却パワー、雰囲気気体の種類、キャビティ内の圧力、気体流量及びシードクリスタルロッドの引き上げ速度はいずれも、高抵抗型酸化ガリウム結晶の性能に影響を与える。
【0032】
この発明においてディープラーニング(Deep Learning)及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法を提供する。図2に示すとおり、前記品質予測方法はつぎのステップを含む。
【0033】
ステップS100において、EFGテクニック方法で高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するプレパレーションデータ(Preparation data)を獲得する。前記プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ及び制御データを含み、前記環境データは不純物元素濃度と不純物元素種類を含む。
【0034】
具体的に、前記プレパレーションデータはEFGテクニック方法で高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するデータを指す。前記プレパレーションデータは需要により適当に設定するデータであることができる。例えば、所定のプレパレーションデータにより製造された高抵抗型酸化ガリウム単結晶の性能を予測するとき、前記プレパレーションデータのみを確定した後、前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得することができる。つぎに、前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデル(neural network model)に入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより予測品質データを獲得する。その場合、テストをする必要がなく、プレパレーションデータのみを確定した後、トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより高抵抗型酸化ガリウム単結晶の品質データを予測することができる。
【0035】
本実施例において、前記プレパレーションデータは、種晶データ、環境データ及び制御データを含む。前記種晶データはEFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するときに用いる種晶のデータを指す。前記環境データはEFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するとき結晶が位置している環境のデータを指す。前記制御データはEFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するとき結晶の成長を制御するデータを指す。前記不純物元素濃度は高抵抗型酸化ガリウムに含まれている不純物元素の濃度を指す。前記不純物元素種類は、Fe、Ca、Zn、Co、Ti、Ni、Mg、Al、Cu等を含む。
【0036】
ステップS200において、前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得する。
【0037】
具体的に、プレパレーションデータを獲得した後、まず前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得する。つぎに、前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルで予め処理プレパレーションデータを処理する。
【0038】
本発明の実施例において、前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップS200はつぎのステップを含む。
【0039】
ステップS210において、前記種晶データ、環境データ及び制御データにより予め処理プレパレーションデータを獲得する。前記予め処理プレパレーションデータは、前記種晶データ、環境データ及び制御データで形成されるマトリックスである。
【0040】
具体的に、プレパレーションデータを獲得した後、前記プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理プレパレーションデータを獲得する。プレパレーションデータ中の各サブデータ(例えば、種晶データ、環境データ及び制御データ)は他のサブデータに影響を与えるが、現時点では各サブデータが他のサブデータに与える影響の程度を把握することができない。したがって、プレパレーションデータに対して予め処理をし、プレパレーションデータ中の各サブデータを再び組み合わせることにより、予め処理プレパレーションデータを形成する必要がある。
【0041】
本発明の他の実施例において、前記種晶データは、種晶回折ピークの半値幅(Full width at half maximum)、種晶回折ピークの半値幅の誤差、種晶の厚さ及び種晶の幅を含む。前記環境データは、上部保温カバーの熱抵抗(Thermal Resistance)、上部保温カバーの熱抵抗の誤差、結晶育成通路の形状因子(form factor)、結晶育成観察孔の形状因子、下部保温カバーの熱抵抗、下部保温カバーの熱抵抗の誤差、ルツボと誘導コイルの相対的な高さ、加熱部と誘導コイルの相対的な高さ、金型開口隙間の幅、金型開口隙間の深さを含む。前記制御データは、加熱パワー、冷却パワー、雰囲気気体の種類、キャビティ内の圧力、気体流量、シードクリスタルロッドの引き上げ速度を含む。
【0042】
具体的に、前記種晶回折ピークの半値幅はX線回折計(X-ray diffractoneter)で種晶を測定することにより獲得したものであり、前記種晶回折ピークの半値幅の誤差は種晶回折ピークの半値幅の直径方向誤差と種晶回折ピークの半値幅の軸方向誤差を含むことができる。前記直径方向は水平面に平行である方向であり、軸方向は水平面に垂直である方向、すなわち垂直方向の軸線である。前記種晶回折ピークの半値幅の直径方向誤差を測定するとき、種晶の直径方向に沿って種晶回折ピークの半値幅をそれぞれ測定した後、種晶の直径方向において種晶回折ピークの半値幅の間の差を算出することにより、種晶回折ピークの半値幅の直径方向誤差を獲得することができる。前記種晶回折ピークの半値幅の軸方向誤差を測定するとき、種晶の軸方向に沿って種晶回折ピークの半値幅をそれぞれ測定した後、種晶の軸方向において種晶回折ピークの半値幅の間の差を算出することにより、種晶回折ピークの半値幅の軸方向誤差を獲得することができる。前記種晶の厚さと幅は測定により直接に獲得することができる。
【0043】
以上のとおり、図1の結晶育成炉で高抵抗型酸化ガリウム単結晶を育成するとき、前記上部保温カバーと下部保温カバーは高抵抗型酸化ガリウム単結晶の育成に向いて安定な熱場を提供することができる。前記上部保温カバーの熱抵抗は所定量の熱量が単位時間内に上部保温カバーを通過するとき保温カバーの内部と外部との間の温度差を指す。上部保温カバーの熱抵抗が大きければ大きいほど、上部保温カバーが導熱を防止する能力がより大きく、上部保温カバーの保温の効果がより良いことを意味する。
【0044】
前記上部保温カバーの熱抵抗の誤差は上部保温カバーの熱抵抗の直径方向誤差と上部保温カバーの熱抵抗の軸方向誤差を含む。上部保温カバーの熱抵抗の直径方向誤差を測定するとき、上部保温カバーの直径方向の両側において上部保温カバーの熱抵抗をそれぞれ測定した後、上部保温カバーの直径方向の両側の2つの上部保温カバーの熱抵抗の差を算出することにより、上部保温カバーの熱抵抗の直径方向誤差を獲得することができる。上部保温カバーの熱抵抗の軸方向誤差を測定するとき、上部保温カバーの軸方向の両側において上部保温カバーの熱抵抗をそれぞれ測定した後、上部保温カバーの軸方向の両側の2つの上部保温カバーの熱抵抗の差を算出することにより、上部保温カバーの熱抵抗の軸方向誤差を獲得することができる。
【0045】
同じ方法により下部保温カバーの熱抵抗と下部保温カバーの熱抵抗の誤差を測定することができる。前記下部保温カバーの熱抵抗の誤差は下部保温カバーの熱抵抗の直径方向誤差と下部保温カバーの熱抵抗の軸方向誤差を含む。
【0046】
前記結晶育成通路の形状因子は結晶育成通路の形状のサイズを指す。例えば、前記結晶育成通路が円柱形であるとき、前記結晶育成通路の形状因子は結晶育成通路の直径と高さを含み、前記結晶育成通路が立方体であるとき、前記結晶育成通路の形状因子は、結晶育成通路の長さ、高さ及び幅を含む。前記結晶育成通路の形状因子は、結晶育成環境の熱場の分布に影響を与え、かつ結晶の育成にも影響を与える。
【0047】
同様に、前記結晶育成観察孔の形状因子は結晶育成観察孔のサイズを指し、前記結晶育成観察孔の形状は、結晶育成環境の熱場の分布に影響を与え、かつ結晶の育成にも影響を与える。
【0048】
前記ルツボは加熱部と誘導コイルにより加熱されるので、前記ルツボと誘導コイルの相対的な高さ及び加熱部と誘導コイルの相対的な高さは結晶育成環境の熱場の分布に影響を与える。
【0049】
本実施例において、前記制御データは金型開口隙間の幅と金型開口隙間の深さを含む。溶解される高抵抗型酸化ガリウムは前記金型の開口の隙間の毛細サイフォン構造により金型の上部へ移動し、それにより種晶は高抵抗型酸化ガリウム結晶に育成される。したがって、前記金型開口隙間の幅と金型開口隙間の深さは高抵抗型酸化ガリウム単結晶の品質に大きい影響を与える。
【0050】
高抵抗型酸化ガリウム単結晶を育成するとき結晶育成炉を長く使用すると、上部保温カバーの熱抵抗、下部保温カバーの熱抵抗、上部保温カバーの熱抵抗の誤差または下部保温カバーの熱抵抗の誤差が変化するおそれがある。しかし、結晶育成炉を短く使用すると、その環境データが変化するおそれが少ないので、一定の結晶の育成をした後、その環境データを再び測定することができる。
【0051】
前記加熱パワーは加熱部でルツボを加熱する加熱パワーを指し、前記冷却パワーは液体で結晶育成炉内の環境を冷却させるパワーを指し、前記雰囲気気体の種類は前記結晶育成炉内に注入される気体の種類を指す。前記気体はO、Ar、N2、CO等を含む。前記キャビティ内の圧力は前記結晶育成炉内の圧力を指し、前記気体流量は前記結晶育成炉内に注入される気体の流量を指し、前記シードクリスタルロッドの引き上げ速度は結晶を育成するときシードクリスタルロッドを引き上げる速度を指し、結晶の回転速度は結晶を育成するときシードクリスタルロッドの駆動により前記結晶が回転する速度を指す。クリスタリゼーション比例は酸化ガリウムを溶解するときそれが結晶になる比例を指し、結晶とルツボの直径比は製造される結晶の直径とルツボの直径の比例を指す。そのようなパラメーターはいずれも、EFGテクニック方法による結晶製造方法に影響を与える制御パラメーターである。
【0052】
本発明の実施例において、前記種晶データ、環境データ及び制御データにより予め処理プレパレーションデータを獲得するステップS210はつぎのステップを含む。
【0053】
ステップS211において、前記種晶データ、環境データ及び制御データによりプレパレーションベクトルを確定する。前記プレパレーションベクトル中の第一元素は、前記種晶回折ピークの半値幅、種晶回折ピークの半値幅の誤差、種晶の厚さ及び種晶の幅のうちいずれか1個である。前記プレパレーションベクトル中の第二元素は、前記上部保温カバーの熱抵抗、上部保温カバーの熱抵抗の誤差、結晶育成通路の形状因子、結晶育成観察孔の形状因子、下部保温カバーの熱抵抗、下部保温カバーの熱抵抗の誤差、ルツボと誘導コイルの相対的な高さ、加熱部と誘導コイルの相対的な高さ、金型開口隙間の幅、金型開口隙間の深さ、不純物元素濃度及び不純物元素種類のうちいずれか1個である。前記不純物元素種類は、Fe、Ca、Zn、Co、Ti、Ni、Mg、Al及びCuを含む。前記プレパレーションベクトル中の第三元素は、加熱パワー、冷却パワー、雰囲気気体の種類、キャビティ内の圧力、気体流量、シードクリスタルロッドの引き上げ速度のうちいずれか1個である。
【0054】
ステップS212において、前記プレパレーションベクトルにより前記予め処理プレパレーションデータを確定する。
【0055】
具体的に、種晶データA、環境データB及び制御データCによりプレパレーションベクトル(A、B、C)を確定する。種晶データAは、種晶回折ピークの半値幅A1、種晶回折ピークの半値幅の誤差A2、種晶の厚さA3及び種晶の幅A4において選択するものである。前記環境データBは、上部保温カバーの熱抵抗B1、上部保温カバーの熱抵抗の誤差B2、結晶育成通路の形状因子B3、結晶育成観察孔の形状因子B4、下部保温カバーの熱抵抗B5、下部保温カバーの熱抵抗の誤差B6、ルツボと誘導コイルの相対的な高さB7、加熱部と誘導コイルの相対的な高さB8、金型開口隙間の幅B9、金型開口隙間の深さB10、不純物元素濃度B11及び不純物元素種類B12において選択するものである。前記制御データCは、加熱パワーC1、冷却パワーC2、雰囲気気体の種類C3、キャビティ内の圧力C4、気体流量C5、シードクリスタルロッドの引き上げ速度C6において選択するものである。以上のとおり、プレパレーションベクトル(A、B、C)において、Aは、A1、A2、A3、A4のうちいずれかの1個であり、Bは、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12のうちいずれかの1個であり、Cは、C1、C2、C3、C4、C5、C6のうちいずれかの1個である。それらにより288個のプレパレーションベクトルを形成することができる。
【0056】
すべてのプレパレーションベクトルを順に配列することによりマトリックスを形成し、それにより予め処理プレパレーションデータを獲得することができる。
【0057】
具体的に、予め処理プレパレーションデータはつぎのとおりである。
【0058】
他の実施例において、プレパレーションベクトルを他の順に配列することにより予め処理プレパレーションデータを獲得することもできる。
【0059】
ステップS300において、前記予め処理プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する予測品質データを獲得する。
【0060】
具体的に、前記予測品質データは、予測亀裂データ、予測異物結晶データ、予測回折ピーク値の半値幅、予測回折ピーク値の半値幅の誤差、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶のショルダー対称性、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の左側収縮度、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の右側収縮度、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の厚さ、予測高抵抗型酸化ガリウム結晶の厚さの誤差、予測抵抗の直径方向の誤差及び予測抵抗の軸方向の誤差を更に含む。亀裂データは亀裂の等級を指すデータであり、予測亀裂データは予測した亀裂の等級を指すデータである。例えば、亀裂は複数の等級例えば3等級を含み、亀裂データは1、2及び3であることができる。
【0061】
異物結晶データは異物結晶の等級を指すデータであり、予測異物結晶データは予測した異物結晶の等級を指すデータである。例えば、異物結晶は複数の等級例えば3等級を含み、異物結晶データは1、2及び3であることができる。
【0062】
予測回折ピーク値の半値幅は予測した回折ピーク値の半値幅を指し、回折ピーク値の半値幅の直径方向の予測誤差は回折ピーク値の半値幅の直径方向において予測する誤差を指し、回折ピーク値の半値幅の軸方向の予測誤差は回折ピーク値の半値幅の軸方向において予測する誤差を指す。
【0063】
本発明の実施例において、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルはつぎのトレーニング方法により獲得することができる。
【0064】
ステップS01において、EFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するトレーニングデータとそれに対応する実際の品質データを獲得する。前記トレーニングデータは、種晶トレーニングデータ、環境トレーニングデータ及び制御トレーニングデータを含む。
【0065】
具体的に、トレーニングデータはEFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するときトレーニングに用いられるデータを指す。実際の品質データはEFGテクニック方法により製造される高抵抗型酸化ガリウム単結晶の実際の品質データを指す。トレーニングデータと実際の品質データによりトレーニングセット(Training set)を形成した後、前記トレーニングセットで予め設定ニューラルネットワークモデルをトレーニングすることによりトレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得することができる。
【0066】
データを採集することによりトレーニングセットを獲得するとき、EFGテクニック方法により高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造し、かつ高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造するときのデータをトレーニングデータにする。高抵抗型酸化ガリウム単結晶を獲得した後、高抵抗型酸化ガリウム単結晶の品質を分析することにより実際の品質データを獲得する。ニューラルネットワークモデルのレーニングを容易にするため、より多いデータを採集することによりトレーニングセットを形成することができる。
【0067】
ステップS02において、前記トレーニングデータに対して予め処理をすることにより予め処理トレーニングデータを獲得する。
【0068】
具体的に、トレーニングデータを獲得した後、前記トレーニングデータに対して予め処理をすることにより予め処理トレーニングデータを獲得する。予め処理の過程はステップS200を参照することができる。
【0069】
ステップS03において、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応するトレーニング形成品質の予測データを獲得する。
【0070】
具体的に、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルによりトレーニング形成品質の予測データを獲得する。前記トレーニング形成品質の予測データは、トレーニング形成亀裂の予測データ、トレーニング形成異物結晶の予測データ、トレーニング形成回折ピーク値の半値幅の予測データ、トレーニング形成回折ピーク値の半値幅の直径方向の予測誤差データ、トレーニング形成回折ピーク値の半値幅の軸方向の予測誤差データを含む。
【0071】
ステップS04において、前記トレーニング形成品質の予測データと前記実際の品質データにより予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正することによりトレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得する。
【0072】
具体的に、前記トレーニング形成品質の予測データと前記実際の品質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正し、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応するトレーニング形成品質の予測データを獲得し(すなわちステップS03)、かつ予め設定トレーニング条件を満たすときまで前記ステップを繰り返すことによりトレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得する。
【0073】
具体的に、前記トレーニング形成品質の予測データと前記実際の品質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正し、かつ前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応するトレーニング形成品質の予測データを獲得する。つぎに、予め設定トレーニング条件を満たすときまで前記ステップを繰り返すことによりトレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得することができる。以上のとおり、前記予め設定ニューラルネットワークモデルが予め設定トレーニング条件を満たすと、トレーニング済みニューラルネットワークモデルを直接に獲得することができる。前記予め設定ニューラルネットワークモデルが予め設定トレーニング条件を満たさないと、ステップS03に戻った後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルが予め設定トレーニング条件を満たすときまで前記ステップを繰り返すことによりトレーニング済みニューラルネットワークモデルを獲得することができる。
【0074】
本発明の実施例において、前記トレーニング形成品質の予測データと前記実際の品質データにより前記予め設定ニューラルネットワークモデルの損失函数(loss function)を確定し、前記損失函数により前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正する。具体的に、グラジェント方法により前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターを修正し、前記予め設定ニューラルネットワークモデルの損失函数を確定した後、前記損失函数により前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーターのグラジェント、前記予め設定ニューラルネットワークモデルのパラメーター及び予め設定学習頻度を調節し、かつ前記予め設定ニューラルネットワークモデルの修正後のパラメーターを確定する。
【0075】
前記予め設定トレーニング条件は損失函数が予め設定要求を満たすことと/或いは前記予め設定ニューラルネットワークモデルのトレーニング回数が予め設定回数に達することを含む。
【0076】
前記予め設定要求は前記予め設定ニューラルネットワークモデルの精度と効率により確定される。例えば、前記予め設定要求は前記予め設定ニューラルネットワークモデルの損失函数が最小値になるか或いは変化しないことであることができる。前記予め設定回数は前記予め設定ニューラルネットワークモデルの最大トレーニング回数であり、前記最大トレーニング回数は例えば4000回等であることができる。
【0077】
予め設定ニューラルネットワークモデルの損失函数は、平均二乗誤差(mean-square error)、自乗平均誤差(Root Mean Squared Error)、平均絶対偏差(Mean Absolute Deviation)等を含む。
【0078】
本発明の実施例において、前記予め設定ニューラルネットワークモデルは特徴抽出モジュールと完全接続モジュール(Fully connected module)を含む。
【0079】
例えば、予め設定ニューラルネットワークモデルは、第一畳み込み(Convolutional)ユニット、第二畳み込みユニット、第三畳み込みユニット、第四畳み込みユニット及び完全接続ユニットを含むことができる。具体的に、第一畳み込みユニットは2個の畳み込み層(Convolutional layer)と1個のプーリング層(pooling layer)を含み、第二畳み込みユニット、第三畳み込みユニット及び第四畳み込みユニットはいずれも、3個の畳み込み層と1個のプーリング層を含み、完全接続ユニットは3個の完全接続層を含む。
【0080】
畳み込み層と完全接続層は入力されるデータのマッピング(mapping)と変換を担当する。その過程において、畳み込み層と完全接続層は、ウエートバリュー(weight value)とオフセット(offsets)等のパラメーターを用い、かつアクティベーションファンクション(Activation Function)も用いる。プーリング層は変化しない関数操作である。具体的に、畳み込み層は特徴を抽出する役割をする。プーリング層は入力される特徴に対してプーリング操作をすることによりそのスペースのサイズを変化させる。完全接続層は前の層中のすべてのデータを接続させる役割をする。
【0081】
本発明の実施例において、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデルにより前記予め処理トレーニングデータに対応するトレーニング形成品質の予測データを獲得する前記ステップS03はつぎのステップを含む。
【0082】
ステップS031において、前記予め処理トレーニングデータを前記特徴抽出モジュールに入力した後、前記特徴抽出モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する特徴ベクトルを獲得する。
【0083】
ステップS032において、前記特徴ベクトルを前記完全接続モジュールに入力し、前記完全接続モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する前記トレーニング形成品質の予測データを獲得する。
【0084】
具体的に、前記予め処理トレーニングデータを予め設定ニューラルネットワークモデルに入力した後、前記予め設定ニューラルネットワークモデル中の前記特徴抽出モジュールにより前記予め処理トレーニングデータに対応する特徴ベクトルを出力し、かつ前記特徴ベクトルを前記完全接続モジュールに入力することにより、前記完全接続モジュールが出力した前記予め処理トレーニングデータに対応するトレーニング形成品質の予測データを獲得する。
【0085】
前記ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの品質予測方法により、本発明はディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法を更に提供する。図3に示すとおり、前記製造方法はつぎのステップを含む。
【0086】
ステップS10において、目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶の目標品質データを獲得する。前記目標品質データは目標抵抗値を含む。
【0087】
具体的に、目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶を獲得するとき、まず目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶の目標品質データを確定することができる。すなわち獲得しようとする高抵抗型酸化ガリウム単結晶の品質データを確定することができる。前記目標品質データは、目標亀裂データ、目標異物結晶データ、目標回折ピーク値の半値幅、目標回折ピーク値の半値幅の誤差、目標高抵抗型酸化ガリウム結晶のショルダーの対称性、目標高抵抗型酸化ガリウム結晶の左側収縮度、目標高抵抗型酸化ガリウム結晶の右側収縮度、目標高抵抗型酸化ガリウム結晶の厚さ、目標高抵抗型酸化ガリウム結晶の厚さの誤差、目標抵抗の直径方向の誤差及び目標抵抗の軸方向の誤差を更に含む。
【0088】
ステップS20において、前記目標品質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定する。前記目標プレパレーションデータは、目標種晶データ、目標環境データ及び目標制御データを含み、前記目標環境データは目標不純物元素濃度及び目標不純物元素種類を含む。
【0089】
具体的に、前記目標品質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定する。注意されたいことは、異なっているプレパレーションデータにより同様の品質データを獲得することができる。したがって、前記目標品質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定するとき、確定される目標プレパレーションデータは唯一のものでなく、複数個の目標プレパレーションデータ中の各データを制御する難易性により1つの目標プレパレーションデータを確定することができ、それにより標高抵抗型酸化ガリウム単結晶を容易に獲得することができる。
【0090】
本発明の実施例において、前記目標品質データとトレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを確定する前記ステップS20はつぎのステップを含む。
【0091】
ステップS21において、予め設定プレパレーションデータを獲得した後、前記予め設定プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理予め設定プレパレーションデータを獲得する。
【0092】
ステップS22において、前記予め処理予め設定プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力した後、前記トレーニング済みニューラルネットワークモデルにより前記予め処理予め設定プレパレーションデータに対応する予測品質データを獲得する。
【0093】
ステップS23において、前記予測品質データと前記目標品質データにより前記予め設定プレパレーションデータを修正することにより前記目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶に対応する目標プレパレーションデータを獲得する。
【0094】
具体的に、まず、プレパレーションデータを予め設定した後、前記予め設定プレパレーションデータに対して予め処理をすることにより予め処理予め設定プレパレーションデータを獲得する。具体的な処理の過程はステップS200を参照することができる。予め処理予め設定プレパレーションデータをトレーニング済みニューラルネットワークモデルに入力することにより、予め処理予め設定プレパレーションデータが修正される予測品質データを獲得することができる。つぎに、前記予測品質データと前記目標品質データにより前記予め設定プレパレーションデータを修正し、前記予測品質データと前記目標品質データの差が予め設定閾値より小さいと、前記修正後の予め設定プレパレーションデータを目標プレパレーションデータにすることができる。
【0095】
ステップS30において、前記EFGテクニック方法と前記目標プレパレーションデータにより目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造する。
【0096】
具体的に、目標プレパレーションデータを獲得した後、EFGテクニック方法と前記目標プレパレーションデータにより目標高抵抗型酸化ガリウム単結晶を製造する。
【0097】
前記予測方法または前記製造方法に基づいて、本発明はディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの製造システムを提供する。前記システムはコンピュータ装置であることができ、前記コンピュータ装置の内部構造は図4に示すとおりである。前記システムは、システムバスによって接続される処理装置、記憶装置、ケーブルインタフェース(cable interface)、表示パネル及び入力装置を含む。前記システムの処理装置は計算と制御を担当する。前記システムの記憶装置は不揮発性記憶装置(nonvolatile memory unit)と内部メモリ(internal memory)を含む。前記不揮発性記憶装置にはオペレーティングシステム(operating system)とコンピュータプログラムが記憶されている。前記内部メモリは不揮発性記憶装置中のオペレーティングシステムとコンピュータプログラムが実行されることをサポートする。ネットワークにより外部の端末を前記システムのケーブルインタフェースに通信可能に接続させることができる。前記コンピュータプログラムが処理装置によって実行されることにより、ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの予測方法またはディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの製造方法を実施することができる。前記システムの表示パネルは液晶表示パネルまたは電子インクスクリーン(e-ink screen)であることができる。前記システムの入力装置は表示パネル上に設けられるタッチ層であるか或いはシステムのケース上に設けられるキーボード、トラックボール(track ball)またはタッチパッド(touch pad)であるか或いはシステムの外部に接続されるキーボード、タッチパッドまたはマウスであることができる。
【0098】
この技術分野の技術者が知っているとおり、図4には本発明の実施例に係るシステムの一部分の構造のみが示されている。図4の構造は本発明の例示にしか過ぎないものであるため、本発明は図4のシステムにのみ限定されるものでない。本発明の具体的なシステムは、図面に示されている部品より多い部品または少ない部品を含むか或いはある部品の組合せを含むことができ、かつ図面中の部品を他の方式に配列することができる。
【0099】
本発明の実施例において、ディープラーニング及びEFGテクニック方法による高抵抗型酸化ガリウムの製造システムは記憶装置と処理装置を含み、前記記憶装置にはコンピュータプログラムが記憶されており、前記処理装置が前記コンピュータプログラムを実行することにより前記予測方法のステップまたは製造方法のステップを実施することができる。
【0100】
注意されたいことは、前記実施例は、この発明の技術的事項を説明するものであるが、この発明を限定するものでない。以上、この発明の実施例によりこの発明の技術的特徴を詳述してきたが、前記実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであり、この発明は前記実施例の構成にのみ限定されるものでない。本技術分野の技術者は、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において設計の変更、代替等をすることができ、それらがあってもこの発明に含まれることは勿論である。
図1
図2
図3
図4