(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】機械視覚アプリケーションにおける焦点追跡の知的方法
(51)【国際特許分類】
G03B 13/36 20210101AFI20240425BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20240425BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20240425BHJP
G02B 3/14 20060101ALI20240425BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240425BHJP
H04N 23/67 20230101ALI20240425BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20240425BHJP
【FI】
G03B13/36
G02B7/08 C
G02B7/28 N
G02B3/14
H04N23/55
H04N23/67
G02B7/04 Z
(21)【出願番号】P 2022555979
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(86)【国際出願番号】 US2021023316
(87)【国際公開番号】W WO2021188995
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-11-15
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519047200
【氏名又は名称】ゼブラ テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Zebra Technologies Corporation
【住所又は居所原語表記】3 Overlook Point, Lincolnshire, Illinois 60069, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ヴィノグラドフ イゴール
(72)【発明者】
【氏名】ランドロン デヴィッド ディー
(72)【発明者】
【氏名】ブロック クリストファー ダブリュー
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-228903(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0034591(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0243862(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0078549(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0104302(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G02B 7/08
G02B 7/28
G03B 13/36
G02B 3/14
H04N 23/55
H04N 23/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整可能な可変焦点レンズベースの撮像システムの焦点を追跡する方法であって、
前記撮像システムにおいて、対象物の画像を捕捉するための前記撮像システムの調整可能な可変焦点レンズアセンブリの初期固定焦点位置を特定する工程と、
前記初期固定焦点位置に対する前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの1または複数の焦点合わせパラメータを決定し、前記1または複数の焦点合わせパラメータを前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリのためのレンズ挙動モデルと比較する工程と、
前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、前記撮像システムの補償された固定焦点位置を決定する工程と、
前記撮像システムを介して、前記補償された固定焦点位置で前記対象物の少なくとも1つの画像を捕捉する工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記1または複数の焦点合わせパラメータは、
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの動作時間、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの現在の温度、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの度数、前記初期固定焦点位置に関連付けられた
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧、前記初期固定焦点位置に関連付けられた
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧掃引、及び、前記初期固定焦点位置で前記撮像システムによって捕捉された画像の少なくとも一部の変調伝達関数、のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて前記撮像システムの補償された固定焦点位置を決定する前記工程は、
前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、前記初期固定焦点位置の前方の前方焦点位置と前記初期固定焦点位置の後方の後方焦点位置とによって定義される焦点合わせ掃引範囲を特定する工程と、
前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、補償された前方焦点位置と補償された後方焦点位置を決定する工程と、
前記撮像システムを介して、前記補償された前方固定焦点位置及び前記補償された後方固定焦点位置における焦点位置で、並びに/または、前記補償された前方固定焦点位置と前記補償された後方固定焦点位置との間の焦点位置で、前記対象物の複数の画像を捕捉する工程と、
前記焦点位置の一つとして前記補償された固定焦点位置を決定する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記初期固定焦点位置は、初期基準電圧に関連付けられており、
前記撮像システムの補償された固定焦点位置を決定する前記工程は、
前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、前方焦点位置電圧と後方焦点位置電圧とを決定する工程と、
前記撮像システムを介して、前記前方焦点位置電圧及び前記後方焦点位置電圧における
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧に亘って、並びに/または、前記前方焦点位置電圧と前記後方焦点位置電圧との間の
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧に亘って、前記撮像システムを掃引することによって、異なる焦点位置で前記対象物の複数の画像を捕捉する工程と、
前記異なる焦点位置の一つとして前記補償された固定焦点位置を決定する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記初期固定焦点位置は、初期基準電圧に関連付けられており、
前記撮像システムの補償された固定焦点位置を決定する前記工程は、
前記初期固定焦点位置の前方の前方焦点位置に対応する前方焦点位置電圧と前記初期固定焦点位置の後方の後方焦点位置に対応する後方焦点位置電圧とによって定義される焦点合わせ掃引電圧範囲を特定する工程と、
前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、補償された前方焦点位置電圧と補償された後方焦点位置電圧とを決定する工程と、
前記撮像システムを介して、
前記焦点合わせ掃引電圧範囲を特定する工程での前記前方焦点位置電圧及び前記後方焦点位置電圧における
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧に亘って、並びに/または、前記前方焦点位置電圧と前記後方焦点位置電圧との間の
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧に亘って、前記撮像システムを掃引することによって、異なる焦点位置で前記対象物の複数の画像を捕捉する工程と、
前記異なる焦点位置の一つとして前記補償された固定焦点位置を決定する工程と、
を有しており、
前記異なる焦点位置は、中央焦点位置の+1ディオプトリと-1ディオプトリとの間にある
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
機械視覚分析のために対象物の複数の画像を捕捉して、機械視覚分析のために捕捉された前記複数の画像の各々について前記調整可能な可変焦点レンズの1または複数の焦点合わせパラメータを記憶する工程と、
機械視覚分析のために捕捉された前記複数の画像に亘って発生する画質変化を決定する工程と、
前記画質変化に基づいて前記レンズ挙動モデルを
生成する工程と、
を更に備え、
前記画質変化は、前記複数の画像内の関心のある特徴に対するコントラストまたは変調伝達関数における変化である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記レンズ挙動モデルは、
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの動作時間ベースの補償データ、温度ベースの補償データ、度数ベースの補償データ、
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧ベースの補償データ、
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧掃引ベースの補償データ、及び/または、変調伝達関数ベースの補償データ、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリは、液体レンズを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記レンズ挙動モデルは、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの前記1または複数の焦点合わせパラメータの履歴データを含む経年劣化モデルである
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記レンズ挙動モデルは、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの前記1または複数の焦点合わせパラメータの熱データを含む熱モデルである
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記レンズ挙動モデルは、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの前記1または複数の焦点合わせパラメータのレンズドリフトデータを含むドリフトモデルである
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1または複数の焦点合わせパラメータを前記レンズ挙動モデルと比較する前記工程は、
前記対象物の複数の画像を捕捉して、当該複数の画像内の関心のある特徴を特定する工程と、
前記複数の画像の各々において、前記関心のある特徴に対するコントラストまたは変調伝達関数を決定する工程と、
前記複数の画像間の前記コントラストまたは前記変調伝達関数における変化を決定する工程と、
前記コントラストまたは前記変調伝達関数の前記変化を前記レンズ挙動モデルと比較して、前記コントラストまたは前記変調伝達関数の前記変化に対応する前記1または複数の焦点合わせパラメータの変化を決定する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
調整可能な可変焦点レンズアセンブリを有する撮像アセンブリと、
1または複数のプロセッサと、
機械可読指令を記憶する非一時的な機械可読メモリと、
を備えた撮像システムであって、
前記機械可読指令は、前記1または複数のプロセッサによって実行される時、当該撮像システムをして、
対象物の画像を捕捉するための前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの初期固定焦点位置を特定させ、
前記初期固定焦点位置に対する前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの1または複数の焦点合わせパラメータを決定させ、前記1または複数の焦点合わせパラメータを前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリのためのレンズ挙動モデルと比較させ、
前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、前記撮像システムの補償された固定焦点位置を決定させ、
前記補償された固定焦点位置で前記対象物の少なくとも1つの画像を捕捉させる
ことを特徴とする撮像システム。
【請求項14】
前記1または複数の焦点合わせパラメータは、
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの動作時間、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの現在の温度、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの度数、前記初期固定焦点位置に関連付けられた
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧、前記初期固定焦点位置に関連付けられた
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧掃引、及び、前記初期固定焦点位置で前記撮像システムによって捕捉された画像の少なくとも一部の変調伝達関数、のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項15】
前記機械可読メモリは、更なる機械可読指令を記憶しており、
前記更なる機械可読指令は、前記1または複数のプロセッサによって実行される時、当該撮像システムをして、
前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、前記初期固定焦点位置の前方の前方焦点位置と前記初期固定焦点位置の後方の後方焦点位置とによって定義される焦点合わせ掃引範囲を特定させ、
前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、補償された前方焦点位置と補償された後方焦点位置を決定させ、
前記補償された前方固定焦点位置及び前記補償された後方固定焦点位置における焦点位置で、並びに/または、前記補償された前方固定焦点位置と前記補償された後方固定焦点位置との間の焦点位置で、前記対象物の複数の画像を捕捉させ、
前記焦点位置の一つとして前記補償された固定焦点位置を決定させる
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項16】
前記初期固定焦点位置は、初期基準電圧に関連付けられており、
前記機械可読メモリは、更なる機械可読指令を記憶しており、
前記更なる機械可読指令は、前記1または複数のプロセッサによって実行される時、当該撮像システムをして、
前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、前方焦点位置電圧と後方焦点位置電圧とを決定させ、
前記前方焦点位置電圧及び前記後方焦点位置電圧における
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧に亘って、並びに/または、前記前方焦点位置電圧と前記後方焦点位置電圧との間の
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧に亘って、前記撮像システムを掃引することによって、異なる焦点位置で前記対象物の複数の画像を捕捉させ、
前記異なる焦点位置の一つとして前記補償された固定焦点位置を決定させる
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項17】
前記初期固定焦点位置は、初期基準電圧に関連付けられており、
前記機械可読メモリは、更なる機械可読指令を記憶しており、
前記更なる機械可読指令は、前記1または複数のプロセッサによって実行される時、当該撮像システムをして、
前記初期固定焦点位置の前方の前方焦点位置に対応する前方焦点位置電圧と前記初期固定焦点位置の後方の後方焦点位置に対応する後方焦点位置電圧とによって定義される焦点合わせ掃引電圧範囲を特定させ、
前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、補償された前方焦点位置電圧と補償された後方焦点位置電圧とを決定させ、
、
前記焦点合わせ掃引電圧範囲を特定させる際の前記前方焦点位置電圧及び前記後方焦点位置電圧における
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧に亘って、並びに/または、前記前方焦点位置電圧と前記後方焦点位置電圧との間の
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧に亘って、前記撮像システムを掃引することによって、異なる焦点位置で前記対象物の複数の画像を捕捉させ、
前記異なる焦点位置の一つとして前記補償された固定焦点位置を決定させる
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項18】
前記機械可読メモリは、更なる機械可読指令を記憶しており、
前記更なる機械可読指令は、前記1または複数のプロセッサによって実行される時、当該撮像システムをして、
機械視覚分析のために対象物の複数の画像を捕捉させて、機械視覚分析のために捕捉された前記複数の画像の各々について前記調整可能な可変焦点レンズの1または複数の焦点合わせパラメータを記憶させ、
機械視覚分析のために捕捉された前記複数の画像に亘って発生する画質変化を決定させ、
前記画質変化に基づいて前記レンズ挙動モデルを
生成し、
前記画質変化は、前記複数の画像内の関心のある特徴に対するコントラストまたは変調伝達関数における変化である
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項19】
前記レンズ挙動モデルは、
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの動作時間ベースの補償データ、温度ベースの補償データ、度数ベースの補償データ、
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧ベースの補償データ、
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧掃引ベースの補償データ、及び/または、変調伝達関数ベースの補償データ、を含む
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項20】
前記レンズ挙動モデルは、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの前記1または複数の焦点合わせパラメータの履歴データを含む経年劣化モデルである
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項21】
前記レンズ挙動モデルは、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの前記1または複数の焦点合わせパラメータの熱データを含む熱モデルである
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項22】
前記レンズ挙動モデルは、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの前記1または複数の焦点合わせパラメータのレンズドリフトデータを含むドリフトモデルである
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項23】
前記機械可読メモリは、更なる機械可読指令を記憶しており、
前記更なる機械可読指令は、前記1または複数のプロセッサによって実行される時、当該撮像システムをして、
前記対象物の複数の画像を捕捉させ、当該複数の画像内の関心のある特徴を特定させ、
前記複数の画像の各々において、前記関心のある特徴に対するコントラストまたは変調伝達関数を決定させ、
前記複数の画像間の前記コントラストまたは前記変調伝達関数における変化を決定させ、
前記コントラストまたは前記変調伝達関数の前記変化を前記レンズ挙動モデルと比較させ、前記コントラストまたは前記変調伝達関数の前記変化に対応する前記1または複数の焦点合わせパラメータの変化を決定させる
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項24】
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリは、液体レンズを含む
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項25】
前記撮像アセンブリは、バーコードリーダである
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項26】
前記撮像アセンブリは、機械視覚システムである
ことを特徴とする請求項13に記載の撮像システム。
【請求項27】
機械視覚方法であって、
調整可能な可変焦点レンズアセンブリを有する機械視覚システムにおいて、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリが第1動作パラメータ値のセットを有している状態で、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの1または複数の現在動作状態を特定する工程と、
前記1または複数の現在動作状態を前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリのためのレンズ挙動モデルと比較する工程と、
前記比較に応答して、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの経年に関する変化を補償するための補償されたパラメータ値のセットを決定する工程と、
前記機械視覚システムを介して、前記補償されたパラメータ値のセットを用いて対象物の少なくとも1つの画像を捕捉する工程と、
を備えたことを特徴とする機械視覚方法。
【請求項28】
前記機械視覚システムの前記1または複数の現在動作状態は、
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの動作時間、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの現在の温度、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの度数、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの
印加電圧、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの
印加電圧掃引、及び、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリによって捕捉された画像の変調伝達関数、のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項27に記載の機械視覚方法。
【請求項29】
前記第1動作パラメータ値のセットは、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの第1固定焦点位置を含み、
前記補償されたパラメータ値のセットは、前記第1固定焦点位置とは異なる補償された固定焦点位置を含む
ことを特徴とする請求項27に記載の機械視覚方法。
【請求項30】
前記第1動作パラメータ値のセットは、焦点合わせ掃引距離範囲を含み、
前記補償されたパラメータ値のセットは、前記焦点合わせ掃引距離範囲とは異なる補償された焦点合わせ掃引距離範囲を含む
ことを特徴とする請求項27に記載の機械視覚方法。
【請求項31】
前記第1動作パラメータ値のセットは、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの第1固定焦点位置に関連付けられた
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧を含み、
前記補償されたパラメータ値のセットは、前記第1固定焦点位置とは異なる補償された固定焦点位置に関連付けられた補償された
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧を含む
ことを特徴とする請求項27に記載の機械視覚方法。
【請求項32】
調整可能な可変焦点レンズアセンブリを有する撮像アセンブリと、
1または複数のプロセッサと、
機械可読指令を記憶する非一時的な機械可読メモリと、
を備えた機械視覚システムであって、
前記機械可読指令は、前記1または複数のプロセッサによって実行される時、当該機械視覚システムをして、
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリが第1動作パラメータ値のセットを有している状態で、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの1または複数の現在動作状態を特定させ、
前記1または複数の現在動作状態を前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリのためのレンズ挙動モデルと比較させ、
前記比較に応答して、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの経年に関する変化を補償するための補償されたパラメータ値のセットを決定させ、
当該機械視覚システムを介して、前記補償されたパラメータ値のセットを用いて対象物の少なくとも1つの画像を捕捉させる
ことを特徴とする機械視覚システム。
【請求項33】
前記機械視覚システムの前記1または複数の現在動作状態は、
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの動作時間、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの現在の温度、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの度数、
初期固定焦点位置に関連付けられた
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの
印加電圧掃引、及び、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリによって捕捉された画像の変調伝達関数、のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項32に記載の機械視覚システム。
【請求項34】
前記第1動作パラメータ値のセットは、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの第1固定焦点位置を含み、
前記補償されたパラメータ値のセットは、前記第1固定焦点位置とは異なる補償された固定焦点位置を含む
ことを特徴とする請求項32に記載の機械視覚システム。
【請求項35】
前記第1動作パラメータ値のセットは、焦点合わせ掃引距離範囲を含み、
前記補償されたパラメータ値のセットは、前記焦点合わせ掃引距離範囲とは異なる補償された焦点合わせ掃引距離範囲を含む
ことを特徴とする請求項32に記載の機械視覚システム。
【請求項36】
前記第1動作パラメータ値のセットは、前記
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの第1固定焦点位置に関連付けられた
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧を含み、
前記補償されたパラメータ値のセットは、前記第1固定焦点位置とは異なる補償された固定焦点位置に関連付けられた補償された
前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの印加電圧を含む
ことを特徴とする請求項32に記載の機械視覚システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
機械視覚は、部品検査、プロセス制御、ロボット案内、等のアプリケーション向けに、自動化された画像ベースの検査及び分析を使用する。典型的な機械視覚システムにおいて、撮像システムの焦点距離は固定されている。必要に応じて、関心のある対象物に焦点を合わせるために、焦点が特定の距離に手動で調整されなければならない。しかしながら、手動の焦点合わせには、オペレータ用の外部コンピュータとディスプレイとが必要である。自動焦点合わせ(オートフォーカス)システムは、手動の焦点合わせの制限の一部を軽減し得るが、自動焦点合わせシステムは遅くなる傾向があり、コンベアベルト等の移動システムにおいては有効に使用されることができない。撮像装置の視野(FOV)内に複数の対象物が存在する場合、自動焦点合わせアルゴリズムは誤った対象物を選択して焦点を合わせ得て、それは、意図した対象物のぼやけた画像に帰結し得る。
【0002】
自動焦点合わせの高速化に役立つ液体レンズアセンブリを提案した人たちがいる。しかしながら、液体レンズには、まったく新しい一連の問題がある。特に、時間の経過とともに、経年変化や温度変化に応じて、液体レンズの焦点は保持された位置からずれてしまう。より長いリフォーカス遅延(フル掃引で30~40ミリ秒)とフィードバックがないという事実とに関連して、固定の撮像に液体レンズを使用すると、特定の課題が生じる。狭い温度範囲または最大温度範囲未満で液体レンズを作動させることを提案した人たちもいる。他の人は、これらの焦点ドリフトエラーを、解決できないものとして受け入れ、性能エラーの可能性について顧客にアドバイスするのみである。従って、液体レンズの経年劣化、液体レンズの経時変化、及び、液体レンズの温度による変化、を追跡し、それらを補償する解決策のニーズが存在する。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、本発明は、調整可能な可変焦点レンズベースの撮像システムの焦点を追跡するためにコンピュータ実装される方法であって、当該方法は、前記撮像システムにおいて、対象物の画像を捕捉するための前記撮像システムの調整可能な可変焦点レンズアセンブリの初期固定焦点位置を特定する工程と、前記初期固定焦点位置に対する前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの1または複数の焦点合わせパラメータを決定し、前記1または複数の焦点合わせパラメータを前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリのためのレンズ挙動モデルと比較する工程と、前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、前記撮像システムの補償された固定焦点位置を決定する工程と、前記撮像システムを介して、前記補償された固定焦点位置で前記対象物の少なくとも1つの画像を捕捉する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0004】
一実施形態に従うと、調整可能な可変焦点レンズベースの撮像システムの焦点を追跡するための方法が提供される。当該方法は、前記撮像システムにおいて、対象物の画像を捕捉するための前記撮像システムの調整可能な可変焦点レンズアセンブリの初期固定焦点位置を特定する工程と、前記初期固定焦点位置に対する前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの1または複数の焦点合わせパラメータを決定し、前記1または複数の焦点合わせパラメータを前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリのためのレンズ挙動モデルと比較する工程と、を備える。当該方法は、更に、前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、前記撮像システムの補償された固定焦点位置を決定する工程と、前記撮像システムを介して、前記補償された固定焦点位置で前記対象物の少なくとも1つの画像を捕捉する工程と、を備える。
【0005】
幾つかの実施例では、前記1または複数の焦点合わせパラメータは、時間、前記調節可能な可変焦点レンズアセンブリの現在の温度、前記調節可能な可変焦点レンズアセンブリの度数、前記初期固定焦点位置に関連付けられた電圧、前記初期固定焦点位置に関連付けられた電圧掃引、及び、前記初期固定焦点位置で前記撮像システムによって捕捉された画像の少なくとも一部の変調伝達関数、のうちの少なくとも1つを含む。
【0006】
幾つかの実施例では、前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいての前記撮像システムの補償された固定焦点位置の決定は、前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、前記初期固定焦点位置の前方の前方焦点位置と前記初期固定焦点位置の後方の後方焦点位置とによって定義される焦点合わせ掃引範囲を特定する工程と、前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、補償された前方焦点位置と補償された後方焦点位置を決定する工程と、前記撮像システムを介して、前記補償された前方固定焦点位置及び前記補償された後方固定焦点位置における焦点位置で、並びに/または、前記補償された前方固定焦点位置と前記補償された後方固定焦点位置との間の焦点位置で、前記対象物の複数の画像を捕捉する工程と、前記焦点位置の一つとして前記補償された固定焦点位置を決定する工程と、によってなされる。
【0007】
幾つかの実施例では、前記初期固定焦点位置は、初期基準電圧に関連付けられており、前記撮像システムの補償された固定焦点位置を決定する前記工程は、前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、前方焦点位置電圧と後方焦点位置電圧とを決定する工程と、前記撮像システムを介して、前記前方焦点位置電圧及び前記後方焦点位置電圧における電圧に亘って、並びに/または、前記前方焦点位置電圧と前記後方焦点位置電圧との間の電圧に亘って、前記撮像システムを掃引することによって、異なる焦点位置で前記対象物の複数の画像を捕捉する工程と、前記異なる焦点位置の一つとして前記補償された固定焦点位置を決定する工程と、を有する。
【0008】
幾つかの実施例では、前記初期固定焦点位置は、初期基準電圧に関連付けられており、前記撮像システムの補償された固定焦点位置を決定する前記工程は、前記初期固定焦点位置の前方の前方焦点位置に対応する前方焦点位置電圧と前記初期固定焦点位置の後方の後方焦点位置に対応する後方焦点位置電圧とによって定義される焦点合わせ掃引電圧範囲を特定する工程と、前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、補償された前方焦点位置電圧と補償された後方焦点位置電圧とを決定する工程と、前記撮像システムを介して、前記前方焦点位置電圧及び前記後方焦点位置電圧における電圧に亘って、並びに/または、前記前方焦点位置電圧と前記後方焦点位置電圧との間の電圧に亘って、前記撮像システムを掃引することによって、異なる焦点位置で前記対象物の複数の画像を捕捉する工程と、前記異なる焦点位置の一つとして前記補償された固定焦点位置を決定する工程と、を有しており、前記異なる焦点位置は、中央焦点位置の+1ディオプトリと-1ディオプトリとの間にある。
【0009】
幾つかの実施例では、前記レンズ挙動モデルは、時間ベースの補償データ、温度ベースの補償データ、度数ベースの補償データ、電圧ベースの補償データ、電圧掃引ベースの補償データ、及び/または、変調伝達関数ベースの補償データ、を含む。
【0010】
幾つかの実施例では、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリは、液体レンズを含む。
【0011】
幾つかの実施例では、前記レンズ挙動モデルは、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの前記1または複数の焦点合わせパラメータの履歴データを含む経年劣化モデルである。
【0012】
幾つかの実施例では、前記レンズ挙動モデルは、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの前記1または複数の焦点合わせパラメータの熱データを含む熱モデルである。
【0013】
幾つかの実施例では、前記レンズ挙動モデルは、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの前記1または複数の焦点合わせパラメータのレンズドリフトデータを含むドリフトモデルである。
【0014】
幾つかの実施例では、前記1または複数の焦点合わせパラメータを前記レンズ挙動モデルと比較する前記工程は、前記対象物の複数の画像を捕捉して、当該複数の画像内の関心のある特徴を特定する工程と、前記複数の画像の各々において、前記関心のある特徴に対するコントラストまたは変調伝達関数を決定する工程と、前記複数の画像間の前記コントラストまたは前記変調伝達関数における変化を決定する工程と、前記コントラストまたは前記変調伝達関数の前記変化を前記レンズ挙動モデルと比較して、前記コントラストまたは前記変調伝達関数の前記変化に対応する前記1または複数の焦点合わせパラメータの変化を決定する工程と、を有する。
【0015】
別の実施例に従うと、撮像システムが、調整可能な可変焦点レンズアセンブリを有する撮像アセンブリと、1または複数のプロセッサと、機械可読指令を記憶する非一時的な機械可読メモリと、を備え、前記機械可読指令は、前記1または複数のプロセッサによって実行される時、当該撮像システムをして、対象物の画像を捕捉するための前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの初期固定焦点位置を特定させ、前記初期固定焦点位置に対する前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの1または複数の焦点合わせパラメータを決定させ、前記1または複数の焦点合わせパラメータを前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリのためのレンズ挙動モデルと比較させ、前記レンズ挙動モデルとの比較に基づいて、前記撮像システムの補償された固定焦点位置を決定させ、前記補償された固定焦点位置で前記対象物の少なくとも1つの画像を捕捉させる、ことを特徴とする。
【0016】
幾つかの実施例では、前記撮像アセンブリは、バーコードリーダである。幾つかの実施例では、前記撮像アセンブリは、機械視覚システムである。
【0017】
別の実施例に従うと、機械視覚方法が、調整可能な可変焦点レンズアセンブリを有する機械視覚システムにおいて、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリが第1動作パラメータ値のセットを有している状態で、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの1または複数の現在動作状態を特定する工程と、前記1または複数の現在動作状態を前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリのためのレンズ挙動モデルと比較する工程と、前記比較に応答して、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの経年に関する変化を補償するための補償されたパラメータ値のセットを決定する工程と、前記機械視覚システムを介して、前記補償されたパラメータ値のセットを用いて対象物の少なくとも1つの画像を捕捉する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
別の実施例に従うと、機械視覚システムが、調整可能な可変焦点レンズアセンブリを有する撮像アセンブリと、1または複数のプロセッサと、機械可読指令を記憶する非一時的な機械可読メモリと、を備え、前記機械可読指令は、前記1または複数のプロセッサによって実行される時、当該機械視覚システムをして、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリが第1動作パラメータ値のセットを有している状態で、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの1または複数の現在動作状態を特定させ、前記1または複数の現在動作状態を前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリのためのレンズ挙動モデルと比較させ、前記比較に応答して、前記調整可能な可変焦点レンズアセンブリの経年に関する変化を補償するための補償されたパラメータ値のセットを決定させ、当該機械視覚システムを介して、前記補償されたパラメータ値のセットを用いて対象物の少なくとも1つの画像を捕捉させる、ことを特徴とする。
【0019】
添付の図面は、以下の詳細な説明と共に、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を形成し、特許請求される発明を含む概念の実施形態を更に説明するのに役立ち、また、それら実施形態の様々な原理及び利点を説明するのに役立つ。添付図面において、同様の参照符号は、別個の図面を通して同一または機能的に類似の要素を指している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、調整可能な可変焦点レンズアセンブリの追跡及び調整のための技術を含む、本明細書で説明される例示的な方法及び/または動作を実施するための機械視覚システムのブロック図を示す。
【0021】
【
図2】
図2は、
図1の機械視覚システムによって実施され得る、調整可能な可変焦点レンズアセンブリの追跡及び調整をするための、例示的なプロセスを表すフローチャートのブロック図を示す。
【0022】
【
図3】
図3は、本明細書に記載の例示的な方法及び/または動作を実施する際において、
図2のプロセスによって実行され得る、焦点合わせパラメータを決定してそれらの焦点合わせパラメータをレンズ挙動モデルと比較するための、例示的なプロセスを表すフローチャートのブロック図を示す。
【0023】
【
図4】
図4は、本明細書に記載の例示的な方法及び/または動作を実施する際において、
図2のプロセスによって実行され得る、補償された焦点合わせ掃引範囲から新しい焦点位置を決定するための、例示的なプロセスを表すフローチャートのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
当業者は、図面内の要素は簡潔及び明瞭に示されていて、必ずしも一定縮尺で描かれていない、ということを理解するであろう。例えば、図面内の幾つかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を改善することを助けるべく、他の要素と比較して誇張されている可能性がある。
【0025】
装置及び方法の構成要素は、適切な場合、図面内で従来の符号によって示されており、当該図面は、詳細に関する開示を不明瞭にしないように、本発明の実施形態を理解することに関連する特定の詳細のみを示しており、当該詳細に関する開示は、本明細書の記載の利益を受ける当業者にとって容易に明らかである。
【0026】
本開示の様々な実施形態において、時間の経過に伴うレンズ挙動の変化に応答して、調整可能な可変焦点レンズベースの撮像システムの焦点を追跡して調整するための、方法、関連するシステム、及び、デバイス、が説明される。
【0027】
従来、機械視覚(マシンビジョン)システム等の撮像システムは、高解像度の画像解析を実行するために、対象物(オブジェクト)と撮像センサとの間の固定焦点位置に依存している。機械視覚システムは、しばしば、非常に小さな特徴を分析するように展開され、それは、関心のある特徴の高倍率の使用を要求する。しかしながら、その結果、機械視覚システムは、撮像装置の焦点位置を変化させ得る条件に、非常に影響を受けやすい。これは、液体レンズ等の可変焦点レンズアセンブリにとって、特に当てはまる。これらのレンズアセンブリは、固定焦点位置への微細で比較的高速な調整を許容する。しかしながら、これらのレンズアセンブリは、経年(時間)、温度、ドリフト、レンズ品質、に起因する性能変化の影響を受けやすい。所定の駆動電圧に対する焦点位置は、例えば、液体レンズの温度や経年変化等に依存して変化し得る。
【0028】
本明細書の実施例では、可変焦点レンズアセンブリの焦点位置及び焦点動作が追跡され、レンズ挙動モデルと比較される。この比較を使用して、補償された新しい焦点位置が、可変レンズアセンブリについて決定され得る。これらの補償された新しい焦点位置を決定するために、例えば、可変焦点レンズアセンブリの焦点合わせパラメータが測定され得て、1または複数のレンズ挙動モデルと比較され得る。焦点合わせパラメータの例は、可変レンズアセンブリの動作または機能の測定可能なパラメータであり、例えば、現在の時間、現在の温度、調整可能な可変焦点レンズアセンブリの度数(ディオプトリ)、印加電圧、画像の少なくとも1つの特徴のコントラスト、画像の少なくとも1つの特徴の変調伝達関数(MTF)、のようなパラメータを含む。異なる動作条件下で変化する可変焦点レンズアセンブリの測定可能な動作パラメータは、比較目的の1または複数のレンズ挙動モデルに使用され得て組み込まれ得る。
【0029】
幾つかの実施例では、レンズ挙動モデルに含まれるレンズ性能に関する履歴データを使用して、追跡と補償が実行される。このようなモデルは、経時的な性能を示す経年モデル、異なる(様々な)温度での性能を示す熱モデル、異なる(様々な)位置での性能を示すドリフトモデル、レンズ性能の他のモデル、または、それらの任意の組み合わせ、であり得る。
【0030】
更に、幾つかの実施例では、本技術は、MTFまたはコントラストのような光学的メリット関数等の画像特性の測定に基づいて焦点合わせ掃引の小さなウィンドウを調整することによって、可変レンズアセンブリの固定焦点位置の定期的な微調整を提供する。幾つかの実施例において、この焦点合わせ掃引は、レンズ挙動モデルから決定される可変焦点レンズアセンブリ性能の変化を補償するように調整される。焦点合わせ掃引とは、固定焦点位置を見出して維持しながらエラー及びレンズ変動を補正するべく機械視覚システムで使用される事前決定された制限付きの焦点合わせ範囲を指すものである。従って、本技法の幾つかの実施例では、この限定された焦点合わせ掃引範囲が、レンズアセンブリに影響を及ぼし得る、経年効果、熱効果、ドリフト効果、等を補正するように調整され得る。当該掃引の前方焦点位置及び後方焦点位置が修正され得て、同様に、当該掃引範囲の中点周波数が修正され得る。幾つかの実施例では、焦点合わせ掃引は、屈折力の±1ディオプトリである。
【0031】
任意の数の光学的メリット関数または他の焦点合わせパラメータが、レンズアセンブリの新しい補償された焦点位置を決定するために、レンズ挙動モデルによって使用され得る。MTFは、対象物から画像へ様々なレベルの詳細を伝送する光学的システムの能力の尺度であり、コントラストまたは光学的変調に関して測定され得る性能を示す。
【0032】
様々な実施例において、本技術は、経年変化に起因するような長期的なレンズ性能変化をも補償しながら、焦点位置をより正確に決定するように小さなウィンドウの焦点合わせ掃引を調整することにより、短期的なレンズ性能変化(例えば、熱変化に起因する)を補償する。
【0033】
図1は、本明細書に付随する図面のフローチャートによって表され得る、本明細書で説明される例示的な方法の動作を実装することが可能な、例示的な環境100を示す。
図1の例では、環境100は、機械視覚システム102を含み、関心のある対象物(そのうちの2つが、参照符号104、106で示されている)が、機械視覚システム102のFOV(視野)108を通って移動されるか、あるいは、撮像及び検査のためにFOV108内に置かれる。例えば、関心のある対象物104、106は、アセンブリ(組立)ライン等に沿って、コンベアベルト等の走査面110上を移動していてもよい。関心のある対象物104、106は、機械視覚システム102のFOV108に対して連続的に移動され得るし、あるいは、関心のある対象物104、106がその1または複数の画像が捕捉されるのを許容するのに十分な時間だけ静止されるような離散化された態様で移動され得る。
【0034】
例示的な環境100は、機械視覚システム102を含むものとして説明されるが、他の実施例では、当該システム102は、手持ち式バーコードリーダ、あるいは、各々がバーコード撮像するように構成された水平タワーと鉛直プラッターとを有する双光学バーコードリーダ、等のバーコードリーダとして実装され得る。
【0035】
画像を捕捉するために、例示的な機械視覚システム102は、任意の数及び/またはタイプの撮像センサ114(例えば、相補型金属酸化物半導体(CMOS)撮像アレイ)を有する撮像アセンブリ112を含む。例えば、プロセッサ116の制御下にある撮像センサ114は、関心のある対象物104、106の1または複数の画像を捕捉する。
【0036】
関心のある対象物に焦点を合わせるために、例示的な撮像アセンブリ112は、撮像センサ114と機械視覚システム102のウィンドウ(図示せず)との間に配置された任意の数及び/またはタイプの可変焦点要素118と、焦点コントローラ122の制御下で可当該可変焦点要素118を起動、作動等するための任意の数及び/またはタイプのアクチュエータ120と、を含む。例示的な可変焦点要素118は、液体レンズ、ボイスコイルモータ、等を含むが、これらに限定されない。例示的な液体レンズは、フランスの「Parrot Drones SAS Confidential」から入手可能な「Arctic 25 H0-Z」である。例示的なアクチュエータ120は、焦点合わせレンズドライブ、シフトレンズドライブ、ズームレンズドライブ、絞りドライブ、角速度ドライブ、ボイスコイルモータドライブ、等を含む。図示の例では、プロセッサ116は、焦点コントローラ122がアクチュエータ120を制御するために使用する1または複数の焦点合わせパラメータを設定する。それらのうちの2つが、参照符号124、126で示されている。この態様で、プロセッサ116は、撮像アセンブリ112の撮像平面までの焦点距離を、意図されるまたは必要とされる焦点距離に制御し得る。幾つかの実施例では、撮像アセンブリ112は、当該撮像アセンブリ112がオートフォーカスモジュールまたはオートフォーカス動作を有する場合において、当該オートフォーカス動作が少なくとも1つの画像捕捉動作のために無効化されて、当該画像捕捉動作のために焦点距離が焦点合わせパラメータ124、126を介してプロセッサ116によって制御される、というように構成される。
【0037】
1つの関心のある対象物104、106が撮像されるべき焦点距離を機械視覚システム102に対して特定するために、複数の関心のある対象物104、106は、1または複数のそれぞれの指標を有する。それらのうちの2つが、参照符号104A、106Aで示されている。幾つかの実施例では、2以上の指標104A、106Aが、1つの関心のある対象物104、106に関連付けられる。追加的または代替的に、1つの指標104A、106Aが、2以上の関心のある対象物104、106についての2以上の焦点距離を表し得る。指標104A、106Aが、1つの関心のある対象物104、106の複数の焦点距離を表す時、当該焦点距離は、1つの関心のある対象物104、106の異なる部位、部分、部材、面、等に関連付けられ得る。指標104A、106Aは、当該指標104A、106Aによって表される焦点距離に位置決めされる必要はない。例えば、指標104A、106Aは、オートフォーカスを使用せずに認識されるようにサイズ設定及び配置され得るし、指標104A、106Aは、機械視覚システム102が指標104A、106Aを撮像及び特定するために使用するデフォルトの焦点距離に配置され得るし、等である。指標104A、106Aは、関心のある対象物104、106に沿う等して、関心のある対象物104、106上に配置され得る。例示的な指標104A、106Aは、バーコード(1次元(ID)、2次元(2D)、または、3次元(3D))、基準マーク、ダイレクトパーツマーキング(DPM)、または、情報を伝達するために使用され得る任意の他の特別に指定されたパターン、を含むが、これらに限定されない。
【0038】
幾つかの実施例では、撮像アセンブリ112は、既知の位置に固定して取り付けられており、指標104A、106Aにエンコードされた焦点距離に基づいて、当該既知の位置から離れた異なる距離にある対象物104、106に選択的に焦点を合わせることができる。幾つかの実施例では、撮像アセンブリ112は、移動可能に取り付けられており、異なる既知の位置に(例えば、1次元、2次元、または、3次元で)位置決め可能であり、指標104A、106Aにエンコード(符号化)された焦点距離に基づいて、現在の既知の位置に対して離れた異なる距離にある対象物104、106に焦点を合わせることができる。幾つかの実施例では、指標104A、106Aが、撮像アセンブリの位置及び焦点距離をエンコード(符号化)する。指標104A、106Aは、更に、ズーム、絞り(アパーチャ)、等の他の撮像特性をエンコード(符号化)し得る。
【0039】
指標処理モジュール128が、画像内の指標104A、106Aを焦点調整トリガとして認識する時、当該指標処理モジュール128は、指標104A、106Aをデコードして、当該指標104A、106Aにエンコードされていた所定のペイロードデータまたは情報を取得する。例示的なペイロードデータまたは情報は、撮像面までの焦点距離、関心のある対象物104、106のサイズまたは寸法、を含む。当該ペイロードデータまたは情報は、Code 39 バーコード、GS1 バーコード、Interleaved 2 of 5 (ITF) バーコード等の、過去、現在または未来の業界標準に従って、指標104A、106Aにエンコードされ得る。プロセッサ116は、特定された焦点距離の各々に対して撮像アセンブリ112を構成する。幾つかの実施例では、プロセッサ116は、焦点合わせパラメータデータベース130に問い合わせをして、捕捉された指標104A、106Aによって特定(識別)される焦点距離に対応する焦点合わせパラメータ124、126を取得する。幾つかの実施例では、指標104A、106Aの既知の寸法、現在の既知のFOV、及び、画像内の指標104A、106Aのサイズ(例えば、ピクセル単位)が、指標104A、106Aまでの距離を決定(例えば、計算、推定、等)するために使用され得る。幾つかの実施例では、焦点距離に関係なく、FOVが一定または固定とみなされる。幾つかの実施例では、焦点距離は、固定焦点と較正されたFOVとを用いて較正され得て、例えば、焦点位置は、特定の距離に設定されて、システム102の動作中に所定場所に維持される。幾つかの実施例では、システム102がオフにされて再びオンにされる時、当該システムは、この同一の固定焦点距離を維持する(またはそれに戻る)。
【0040】
各々の特定された撮像面までの焦点距離(すなわち、焦点位置)ごとに、プロセッサ116は、対応する焦点合わせパラメータ124、126を撮像アセンブリ112に書き込む、記憶する、等して、当該焦点合わせパラメータ124、126に従って撮像アセンブリ112の焦点距離を設定するように焦点合わせコントローラ122を制御して、当該焦点位置をある距離に固定(例えば、維持、保持、ロック、等)する。
【0041】
プロセッサ116は、更に、
図2乃至
図4のフローチャートを含む本明細書に付随する図面のフローチャートによって表され得る、本明細書に記載された例示的な方法に従って、可変焦点要素118の焦点を追跡して焦点位置を補償する。図示の例では、レンズ挙動モデル129が提供されて、それは、履歴データ及び/または性能データを含み、一部の実施例では、それは、可変焦点要素118の性能変化を補償するために焦点位置の調整がいつ必要とされるのかを判定するべく、焦点合わせパラメータ126、124との比較のために、アルゴリズムを含む。レンズ挙動モデル129は、撮像システム112からの任意の数の焦点合わせパラメータと比較され得る。後者は、アクチュエータ120の動作を制御するもの、焦点コントローラ122からのデータ、及び、可変焦点要素118からのフィードバックデータ、を含む。
【0042】
焦点距離が設定されると、プロセッサ116は、撮像センサ114を制御して、対象物104、106の1または複数の画像を捕捉する。焦点距離は、関心のある対象物104、106に対応するようにアプリオリ(先験的)に知られているので、捕捉される画像は、関心のある対象物104、106の1または複数の所望のアスペクト(特徴、面)に対して適切に焦点合わせされて、不所望のアスペクトまたは他の対象物は適切な焦点に帰結できない。幾つかの実施例では、捕捉するべき画像の数は、指標104A、106Aにエンコードされている。ある数の画像が捕捉されるべき時、標識104A、106Aは、更に、例えば、コンベヤベルト、アセンブリライン等の動きに対応するように、複数の画像捕捉の間の時間をエンコードし得る。焦点合わせパラメータ124、126が保持される持続時間は、別のまたは後続の指標焦点調整トリガが特定されるまで、であり得る。オートフォーカスを含む実施例では、指標104A、106Aにエンコードされた焦点距離が、例えば撮像センサの分離に対する関心のある対象物の変動に対応するようにオートフォーカスの開始焦点距離を設定するために使用され得る。
【0043】
図1の実施例では、機械視覚システム102は、1または複数のプロセッサ(それらのうちの1つが、参照符号116で示されている)、プログラムメモリ134、ランダムアクセスメモリ(RAM)136、入力/出力(I/O)インターフェース138、及び、ネットワークインターフェース140、を含むコンピューティングアセンブリ132を備える。それらは全て、アドレス/データバス142を介して相互接続されている。プログラムメモリ134は、ソフトウェア及び/または指令(命令)144を記憶し得て、それらは、プロセッサ116によって実行され得る。例示的な機械視覚システム102の異なる部分、例えば、撮像アセンブリ112及びコンピューティングアセンブリ132は、異なるコンピューティングシステムによって別々に実装され得る。従って、プロセッサ116及び焦点コントローラ122は、2つの異なるプロセッサ及び/またはコントローラとして実装され得る。もっとも、他の実施例では、プロセッサ116及び焦点コントローラ122は、同一のプロセッサ及び/またはコントローラによって実装される。
【0044】
図示の例のプロセッサ116及び焦点コントローラ122は、ハードウェアであってもよく、半導体ベース(例えば、シリコンベース)のデバイスであってもよい。例示的なプロセッサ116及び焦点コントローラ122は、プログラマブルプロセッサ、プログラマブルコントローラ、グラフィクス処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、フィールドプログラマブルロジックデバイス(FPLD)、等を含む。この例では、プロセッサ116は、指標処理モジュール128を実装する。幾つかの実施例では、プロセッサ116は、指標104A、106Aから判定される焦点距離に基づいて撮像される画像を用いて、関心のある対象物104、106を検査する指令を実施する。
【0045】
プログラムメモリ134は、ソフトウェア、機械可読またはコンピュータ可読の指令(命令)、または、コンピュータ実行可能または機械実行可能な指令(命令)、を記憶する任意の数及び/またはタイプの揮発性及び/または不揮発性の記憶媒体またはディスク144と、焦点合わせパラメータデータベース130と、を含み得る。ソフトウェア及び指令144は、プロセッサ116によって実行され得て、指標処理モジュール128を実装し得て、指標から判定される焦点距離に基づいて撮像される画像を用いて関心のある対象物104、106を検査し得る。ソフトウェア及び指令144は、別々の非一時的なコンピュータ可読または機械可読のストレージメディア(記憶媒体)またはディスクに記憶され得る、または、異なる物理的場所に記憶され得る。
【0046】
メモリ134、136は、任意の数またはタイプの揮発性または不揮発性の非一時的なコンピュータ可読または機械可読のストレージメディアまたはディスク、例えば、半導体メモリ、磁気的可読メモリ、光学的可読メモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、光ストレージドライブ、ソリッドステートストレージデバイス、ソリッドステートドライブ(SSD)、読み取り専用メモリ(ROM)、RAM、コンパクトディスク(CD)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク、リダンダント・アレイ・オブ・インエクスペンシブ・ディスク(RAID)システム、キャッシュ、フラッシュメモリ、または、任意の他のストレージデバイスまたはストレージディスク、を含む。その中に、情報が、任意の持続期間(例えば、永続的、長期間、短時間、一時的なバッファリング、情報のキャッシング、等)、記憶され得る。
【0047】
本明細書で使用される時、非一時的コンピュータ可読媒体という用語は、任意のタイプのコンピュータ可読の記憶装置及び/または記憶ディスクを含み、伝搬信号を除外し、伝送媒体を除外するように、明示的に定義される。本明細書で使用される時、非一時的な機械可読媒体という用語は、任意のタイプの機械可読の記憶装置及び/または記憶ディスクを含み、伝搬信号を除外し、伝送媒体を除外するように、明示的に定義される。
【0048】
I/Oインターフェース138は、プロセッサ116が周辺I/Oデバイスと通信することを可能にする任意の数及び/またはタイプの様々なタイプのI/O回路またはコンポーネントを含み得る。例示的なI/Oインターフェース138は、ユニバーサルシリアルバス(USB)、ブルートゥース(登録商標)インターフェース、近距離通信(NFC)インターフェース、赤外線トランシーバ、及び/または、PCIエクスプレスインターフェースを含む。周辺I/Oデバイスは、キーボード、ディスプレイ146(液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、インプレーススイッチング(IPS)ディスプレイ、タッチスクリーン、等)、ナビゲーションデバイス(マウス、トラックボール、静電容量式タッチパッド、ジョイスティック、等)、スピーカー、マイク、プリンター、ボタン、通信インターフェース、アンテナ、等の任意の所望のタイプのI/Oデバイスであり得る。
【0049】
機械視覚システム102は、当該機械視覚システム102をサーバ148に接続するための1または複数のネットワークインターフェース140を含む。これらのデバイスは、例えばTCP/IPインターフェース、Wi-Fi(商標)トランシーバ(標準の802.11ファミリーに従う)、イーサネットトランシーバ、セルラーネットワーク無線、衛星ネットワーク無線、ケーブルモデム、デジタル加入者線(DSL)モデム、ダイヤルアップモデム、または、任意の他の好適な通信プロトコルまたは標準、のような、1または複数の過去、現在または未来の業界通信プロトコル規格を実装する有線及び/または無線の接続コンポーネントを含む、任意の好適な通信手段を介して接続され得る。
【0050】
幾つかの実施形態では、撮像アセンブリ112は、機械視覚システム102の他の部分とは別個に(例えば、コンピューティングアセンブリ132とは別個に)実装され、I/Oインターフェース138及び/またはネットワークインターフェース140を介して機械視覚システム102の当該他の部分に結合される。幾つかのそのような実施形態では、機械視覚システム102の当該他の部分は、遠隔地のクラウドベースのプラットフォーム上に実装される。
【0051】
例示的な機械視覚システム102が
図1に示されているが、
図1に示された要素、プロセス及び/またはデバイスのうちの1または複数は、結合され得る、分割され得る、再構成(再配置)され得る、省略され得る、削除され得る、及び/または、任意の他の態様で実装され得る。例えば、プロセッサ116及び焦点コントローラ122は、同一のプログラマブルプロセッサ、プログラマブルコントローラ、GPU、DSP、ASIC、PLD、FPGA、FPLD、等によって実装され得る。更に、機械視覚システム102は、
図1に示したものに加えて、またはその代わりに、1または複数の要素、プロセス及び/若しくはデバイスを含み得て、並びに/または、図示された要素、プロセス及びデバイスのいずれかまたは全ての2以上を含み得る。本明細書で使用される時、「通信中」という語句は、その変形を含め、直接通信及び/または1若しくは複数の中間コンポーネントを介する間接通信を包含し、直接の物理的(例えば、有線)通信及び/または常時通信を必要とせず、むしろ付加的に、定期的な間隔、スケジュールされた間隔、非定期的な間隔、及び/または、1回限りのイベント、での選択的な通信を含む。
【0052】
幾つかの実施例では、サーバ148は、とりわけ、当該サーバ148のプロセッサによって実行される時に当該サーバ148をして指標104A、106Aから判定される焦点距離を用いて機械視覚システム102によって撮像される画像に基づいて関心のある対象物104、106を検査させるソフトウェアまたは指令を記憶するプログラムメモリを含む。
【0053】
幾つかの実施形態では、サーバ148(及び/または他の接続されたデバイス)は、機械視覚システム102と同一の場所に配置され得る。他の実施形態では、サーバ148(及び/または他の接続されたデバイス)は、クラウドプラットフォームまたは他の遠隔地等の、遠隔地に配置され得る。更に他の実施形態では、サーバ148(及び/または他の接続されたデバイス)は、ローカルベース及びクラウドベースのコンピュータの組み合わせで形成され得る。
【0054】
焦点合わせパラメータを追跡して可変焦点を調整するために、プロセス200が、機械視覚システム102によって実装され得る。図示の例では、プロセス202は、例えば可変焦点要素118等の可変焦点レンズアセンブリの初期焦点位置を特定する。初期焦点位置は、システム100の起動時、または、機械視覚システム102のための物体撮像プロセスの起動時の、可変焦点レンズアセンブリの焦点位置に対応し得る。
【0055】
プロセス204が、調整可能な可変焦点レンズアセンブリの1または複数の焦点合わせパラメータを決定し、これらの焦点合わせパラメータは、初期焦点位置をもたらす可変焦点レンズアセンブリの設定を含み得る。例えば、プロセス204は、焦点コントローラ122によって可変焦点要素118の動作を制御するアクチュエータ120に送信される制御信号から、これらの焦点合わせパラメータを決定し得る。プロセス204は、焦点合わせレンズドライブ、シフトレンズドライブ、ズームレンズドライブ、アパーチャドライブ、角速度ドライブ、ボイスコイルモータドライブ、または、可変焦点要素118の位置及び動作を制御する他のドライブ、の位置を示すアクチュエータ120のフィードバックループデータから、焦点合わせパラメータを決定し得る。幾つかの実施例では、プロセス202は、可変焦点要素118内の位置センサから焦点合わせパラメータを決定し得る。例示的な焦点合わせパラメータは、現在の時間、調整可能な可変焦点レンズアセンブリの現在の温度、調整可能な可変焦点レンズアセンブリの度数(ディオプトリ)、初期固定焦点位置を設定する印加電圧、及び、最初の固定焦点位置に関連付けられた電圧掃引(例えば、電圧の範囲、及び、現在の電圧に至る電圧のスイープアップまたはスイープダウン)、
のうちの1または複数を含む。幾つかの実施例では、焦点合わせパラメータは、機械視覚システム102によって捕捉される画像の少なくとも一部の光学的コントラストまたは変調伝達関数(MTF)等の、光学的パラメータであり得る。当該コントラストまたはMTFは、それぞれ、対象物104、106上の指標104A、106A等、画像内の関心のある特徴に対応し得る。例示的な指標は、対象物上の、バーコード、DPM、または、基準マーカーを含む。関心の対象となる更なる他の特徴は、対象物のエッジ、対象物上の突起部、及び/または、対象物上の窪み、であり得る。
【0056】
調整可能な可変焦点レンズアセンブリの焦点を調整するために、プロセス204は、焦点合わせパラメータをレンズ挙動モデルと比較する。当該レンズ挙動モデルは、様々な条件下での焦点合わせパラメータの挙動の1または複数のモデルを含む。レンズ挙動モデルは、調整可能な可変焦点レンズアセンブリの様々な動作条件等、機械視覚システムの様々な動作条件下での様々な焦点合わせパラメータと当該焦点合わせパラメータ用の様々な設定とを記憶するデータファイルであり得る(集合的に、このデータが、様々なタイプの補償データを形成する)。幾つかの実施例では、レンズ挙動モデルは、時間補償データ、温度補償データ、視度(ディオプトリ)補償データ、電圧補償データ、電圧掃引補償データ、及び/または、変調伝達関数補償データ、を含む。幾つかの実施例では、レンズ挙動モデルは、焦点合わせパラメータ値を受信して予測を実行して焦点合わせパラメータの予測値を決定するための実行可能なアルゴリズムを含む。当該アルゴリズムは、例えば、履歴の焦点合わせパラメータ値のデータと回帰モデルとを使用して予測値を決定し得る。
【0057】
幾つかの実施例では、レンズ挙動モデルは、レンズアセンブリの動作時間の関数として、焦点合わせパラメータの履歴データ及び/または予測される未来の値を含む、レンズ経年劣化モデルである。動作時間は、日、週、月、年等の、世界標準時システムを参照して測定され得る。動作時間は、撮像システムがオンになっていて動作していた時間を表す累積時間であってもよい。動作時間は、可変焦点レンズアセンブリがその焦点位置を調整された回数等、動作サイクルの数であってもよい。
【0058】
プロセス204で比較される例示的なレンズ経年劣化モデルは、動作時間の関数としての固定焦点位置に対する印加電圧の値を含み得て、それにより、可変焦点レンズアセンブリが経年劣化するにつれて特定の焦点位置を維持するために必要な印加電圧の変化を示し得る。経年劣化モデルは、任意の数の他の焦点合わせパラメータについても同様に、時間ベースのモデルリング(モデル化)を含み得る。
【0059】
幾つかの実施例では、プロセス204で比較されるレンズ挙動モデルは、1または複数の焦点合わせパラメータの熱データを含む熱モデルである。そのようなモデルは、温度の関数として、焦点合わせパラメータ値の変化をモデル化し得る。
【0060】
幾つかの実施例では、レンズ挙動モデルは、レンズ位置に応じた、特にレンズ位置のドリフト変化に応じた、焦点合わせパラメータの変化を示す、1または複数の焦点合わせパラメータのレンズドリフトデータを含むドリフトモデルである。幾つかの実施例では、レンズ挙動モデルは、例えば、経年劣化依存性、熱依存性、ドリフト依存性、及び/または、任意の他のモデル挙動、を含む、複数の異なる変数のモデリングを含む多次元モデルである。
【0061】
焦点合わせパラメータとレンズ挙動モデルとの比較から、プロセス206において、調整可能な可変焦点レンズアセンブリの補償された固定焦点位置が決定される。ここで、当該補償された固定焦点位置は、調整可能な可変焦点レンズアセンブリが設定されるべき修正された焦点位置を表す。この補償された固定焦点位置は、例えば、レンズ挙動モデルによって決定され得る。当該決定は、新しい焦点位置を達成するために使用されるべき焦点合わせパラメータの変化の決定を含む。
【0062】
例示的な動作において、プロセス202は、液体レンズの初期焦点位置を決定する。プロセス204は、当該初期焦点位置を達成するために液体レンズに印加されている電圧など、初期焦点位置に対応する焦点合わせパラメータを決定する。次いで、プロセス204によって、レンズ挙動モデルが使用されて、実際の所望の焦点位置がレンズの挙動条件の変化の際にどのように与えられるべきかが決定される。これらの変化は、温度の変化、経年/時間の変化、及び/または、ドリフト位置の変化、であり得る。当該変化は、機械視覚システムの最初の起動、機械視覚システムの最初の使用、機械視覚システムの工場出荷状態、または、他のベースライン状態、等のベースライン状態と比較しての、現在の温度または現在の経年/時間等の機械視覚システムの現在状態の比較から生じ得る。ベースライン状態は、任意の従前の時点での動作状態であり得て、液体レンズの動作状態、従って液体レンズの焦点合わせパラメータ、の継続的な監視を考慮することを含む。次に、実際の所望の焦点位置は、撮像目的での所望の焦点合わせを達成するために液体レンズが設定されるべき、動作状態とベースライン状態との間の変化を補正(較正)する新しい焦点位置、になる。プロセス206は、この補償された固定焦点位置と、当該位置を達成する補償された焦点合わせパラメータと、を決定する。プロセス208は、補償された焦点合わせパラメータに従って液体レンズを設定し、補償された焦点位置で対象物の画像を捕捉する。従って、この実施例では、プロセス200は、可変焦点要素の焦点位置を調整し、それによってレンズの挙動を補償する。
【0063】
図3は、例示的な実装において、プロセス204によって実装され得るプロセス300を示す。プロセス302において、対象物の複数の画像が受信され、当該複数の画像内の関心のある特徴が特定(識別)される。当該複数の画像は、好ましくは、機械視覚システム102の異なる動作状態下で、例えば、異なる時点で、あるいは、異なる温度や異なる焦点位置等の異なるレンズ挙動条件下で、捕捉された画像である。一例では、プロセス302は、画像処理、特徴特定(識別)、特徴分離、及び、特徴登録、の技術を展開して、複数の画像の各々において、全体的または部分的に、関心のある特徴を特定(識別)する。
【0064】
各画像に対応する異なる動作状態での撮像における機械視覚システム102の性能を比較することを許容するべく、プロセス304が、1つの画像特性(または複数の画像特性)を使用して、当該画像特性を使用して各画像の関心のある特徴を評価する。図示の例では、プロセス304は、当該関心のある特徴の全てまたは一部について決定された画像コントラスト、あるいは、当該関心のある特徴の全てまたは一部について決定されたMTFを、画像特性として使用し得る。コントラスト及びMTFは、画像特性として使用され得る例示的な光学的メリット関数である。他の画像特性も使用され得る。図示の例に関して、画像の各々ついて同一の焦点位置で対称物を撮像するように調整可能な可変焦点レンズアセンブリが設定されていたとしても、関心のある特徴のコントラストは、機械視覚システムの異なる動作状態下で、変化し得る。
【0065】
プロセス306で、画像が分析されて、1または複数の画像に亘って、すなわち、機械視覚システムの1または複数の動作状態に亘って、画像特性に変化があったか否かが判定される。図示の例では、関心のある特徴のコントラストまたはMTFが比較されて、変化を特定する。次に、プロセス308が、画像特性、例えば関心のある特徴のコントラスト及び/または変調伝達関数、の変化をレンズ挙動モデルと比較し、当該レンズ挙動モデルを使用して、当該コントラスト及び/または変調伝達関数の変化に対応する1または複数の焦点合わせパラメータにおける変化を決定する。
図2に戻って、当該1または複数の焦点合わせパラメータの変化は、プロセス206において、補償された固定焦点位置を決定するために使用される。
【0066】
幾つかの実施例では、機械視覚システム102は、将来の補償された焦点位置を決定する際に使用されるべきレンズ挙動モデルを展開(開発)するために使用される。機械視覚システム102は、例えば、対象物の複数の画像を捕捉し得て、各画像ごとに調整可能な可変焦点レンズアセンブリの1または複数の焦点合わせパラメータの値を記憶し得る。様々な時点で様々な動作状態の下で捕捉された画像を使用して、焦点合わせパラメータ値の変化が、レンズの挙動モデルの一部を提供する。各画像ごとに、機械視覚システム102は、当該画像の全部または一部の画質を決定し得る。機械視覚システム102は、複数の画像に亘る当該画質の変化を決定し得て、それによって、レンズの挙動モデルの別の一部を提供する。次に、焦点合わせパラメータ値の変化と複数の画像に亘る画質の変化とが、レンズ挙動デルを生成するために使用される。ここで、レンズ挙動モデルのタイプ(経年、熱、ドリフト、等)は、どの焦点合わせパラメータ(単数または複数)が画質の変化に対応して変化した値を有するか、に依存する。本明細書の実施例で説明されるように、幾つかの実施例では、当該画質評価は、コントラストまたはMTFに基づいてなされ得る。
【0067】
様々な実装において、本技法は、高精度を要求し、且つ、撮像焦点合わせ要素の動作における性能変化の影響を受けやすい、機械視覚システム及び他の撮像システムにおいて、小さな焦点補償を実行するための価値あるフレームワークを提供する。実際、本技法は、焦点合わせパラメータを測定し、それらをレンズ挙動モデルと比較し、可変焦点レンズアセンブリを数ディオプトリ以下のオーダーという小さな焦点合わせ調整で調整することができる。補償焦点合わせは、経年、温度条件、ドリフト、システム起動状態、システムのオン/オフ状態、または、他の要因、に関する挙動モデルから決定され得る。カメラ業界では、複数の画像を捕捉し、最高品質の画像を自動的に選択することが一般的である。しかしながら、本技法は、そのような力任せの推測作業を回避し、様々なレンズ挙動モデルに基づいて焦点合わせと焦点掃引の調整とを知的に追跡し得て、ユーザによって定義される特徴を含む画像内または画像の画像特性内の関心のある特徴を探索し、それらの変化を追跡してその場で可変焦点レンズアセンブリの性能を調整し得る。
【0068】
実際、幾つかの実施例では、プロセス200が使用されて、補償された焦点合わせ掃引範囲、すなわち、対象物104、106等の対象物を撮像するために機械視覚システム102が掃引する焦点の新しい範囲、が決定され得る。焦点合わせ掃引範囲は、第1焦点位置と第2の異なる焦点位置とによって定義される。一方の焦点位置は、前方焦点位置と見なされ得て、他方は後方焦点位置と見なされ得て、動作中、機械視覚システム102は、対象物の画像を捕捉する際に、これら前方焦点位置と後方焦点位置とによって定義される焦点範囲に亘って掃引し得る。従来のオートフォーカス(自動焦点)システムとは異なり、この焦点合わせ掃引範囲は非常に小さくて、典型的には、屈折力の±1ディオプトリより小さい。幾つかの実施例では、前方焦点位置及び後方焦点位置は、固定焦点位置に対して定義され、これらの前方焦点位置及び後方焦点位置は、可変焦点レンズアセンブリの性能の変化と共に変化し得る。
【0069】
様々な実施例において、本技法は、レンズ挙動モデルを使用して、補償された焦点合わせパラメータ及び補償された焦点位置を決定する際に、ドリフト、温度、時間、等を補償し得るだけでなく、補償された焦点位置を見つける際に使用されるであろう焦点掃引範囲を決定し得る。例えば、所望の焦点位置が機械視覚システム用である場合において、レンズ挙動モデルが使用されて、掃引する焦点位置の制限範囲が決定され得て、結果として得られる性能を評価することで所望の焦点位置が特定され得る。ここで、当該所望の焦点位置は、例えば、機械視覚システムの起動中に生じ得るように、以前に試みられた焦点位置の補償位置であり得るし、あるいは、全く新しい所望の焦点位置であり得る。
【0070】
可変焦点レンズアセンブリの焦点合わせ掃引の変化を補償するために、
図4のプロセス400が使用され得る。一実施例では、プロセス400は、
図2のプロセス206によって実装され得る。他の実施例では、プロセス400は、スタンドアロンのプロセスとして実装され得る。プロセス402では、プロセス204として実行されるレンズ挙動モデルとの比較から、焦点合わせ掃引範囲が、プロセス202からの初期固定焦点位置の前方の前方焦点位置を選択することによって、定義される。更に、当該初期固定焦点位置の後方の後方焦点位置が、定義され得る。プロセス402は、例えば、初期焦点位置の前方及び後方にミリメートル単位で測定される所定の+/-の焦点位置変化を使用することによって、当該位置を定義し得る。代替例では、プロセス402は、代わりに、前方焦点位置電圧及び後方焦点位置電圧を定義し得て、これら2つの電圧は、前方焦点位置及び後方焦点位置を達成するために調整可能な可変焦点レンズアセンブリに印加される電圧である。
【0071】
補償された固定焦点位置を決定するために、プロセス400は、幾つかの実施例では、補償された前方焦点位置及び後方焦点位置を決定して、新しい焦点合わせ掃引範囲を生成する。当該新しい焦点合わせ掃引範囲は、最終的に補償された固定焦点位置を決定するために使用され得る。例えば、機械視覚システムは、検査のためにコンベア上に取り付けられた画像を捕捉するためのシステムによって最初に使用された焦点位置が、もはや正しい焦点位置ではなくなってしまう、というような経時的な性能低下を有し得る。経年劣化や熱条件の変化が、液体レンズや他の可変焦点要素の性能を変化させる。通常の動作の下では、機械視覚システムは、最初にその撮像用の固定焦点位置を見つけようとする際に、前方焦点位置から後方焦点位置までの狭い範囲を掃引し得る。しかしながら、液体レンズの性能が十分に大幅に変化した場合、最初の掃引範囲は、もはや、所望の焦点位置を含まなくなっている可能性がある。すなわち、当該性能の変化が、焦点合わせ掃引範囲にも影響を与え得る。これに応答して、プロセス404では、レンズ挙動モデルとの比較から、補償された前方及び後方焦点位置が決定される。あるいは、代替的に、幾つかの実施例では、レンズ挙動モデルとの比較から、補償された前方焦点位置電圧及び後方焦点位置電圧が決定される。例えば、熱モデルとしてのレンズ挙動モデルは、現在の温度パラメータ値の下で、前方焦点位置及び後方焦点位置の両方がそれぞれ+1ディオプトリ及び-1ディオプトリだけ補償されるべきである、ということを示し得る。更に他の実施例では、プロセス404は任意選択的であって、補償された前方焦点位置及び後方焦点位置が決定されなくてもよく、代わりに、所定の前方焦点位置及び後方焦点位置が使用されてもよい。
【0072】
プロセス406で、可変焦点要素118、例えば液体レンズを、補償された前方焦点位置(または電圧)から補償された後方焦点位置(または電圧)まで掃引することによって、異なる焦点位置で、対象物の複数の画像が捕捉される。当該画像は、前方焦点位置及び後方焦点位置で捕捉され得て、並びに、それらの間の任意の数の他の焦点位置で捕捉され得る。後者は、可変焦点要素118の1つであり得る調整の細かさと、当該システムの固定焦点位置を決定するための速度と、に依存する。画像の捕捉は、補償された電圧が可変焦点要素118に印加されてその焦点を前方焦点位置から後方焦点位置まで掃引するような焦点合わせ掃引電圧範囲に対応し得る。プロセス408で、これらの画像が分析されて、最適な画像及び当該最適な画像に対応する焦点位置が特定され得る。次いで、当該焦点位置が、プロセス408によって、将来の画像捕捉の際に使用されるべき補償された固定焦点位置(または電圧)として、設定される。
【0073】
プロセス400は、補償された位置を決定するものとして説明されているが、プロセス400は、初期位置、すなわち、初期前方焦点位置、初期後方焦点位置、及び、初期固定焦点位置、を決定するために使用されてもよい。例えば、機械視覚システムの起動時に、初期位置が決定され得る。一実施例では、起動時に1または複数の焦点合わせパラメータが決定され得て、プロセス402の修正版を使用して、1または複数のレンズ挙動モデルと比較され得る。次いで、例えばプロセス404で、最初の前方焦点位置と最初の後方焦点位置とが決定され得て、その後、プロセス406で、対象物の画像が、結果としての焦点掃引範囲に亘る異なる焦点位置で捕捉され、プロセス408が、それらの画像の所望の1つに対応する初期固定焦点位置を決定する。
【0074】
幾つかの実施例では、従って、調整可能な可変焦点レンズアセンブリを有する機械視覚システムのための機械視覚方法が提供される。調整可能な可変焦点レンズアセンブリの1または複数の現在の動作条件が、特定される。これらの現在の動作条件を達成するために、レンズアセンブリは、最初の動作パラメータ値セットを有している。これらの現在の動作条件をレンズ挙動モデルと比較することによって、例えば、レンズアセンブリへの経年変化を補償するために、補償されたパラメータ値のセットが決定される。当該動作パラメータ値のセットは、固定焦点位置、焦点掃引距離範囲、または、アクチュエータ及び/若しくはレンズアセンブリの制御動作に関連付けられた電圧値若しくは他の値、を含み得る。
【0075】
前述の説明は、添付の図面のブロック図を参照する。当該ブロック図によって表される実施例の代替的な実装は、1または複数の追加的または代替的な要素、プロセス及び/または装置を含む。追加的または代替的に、図中の1または複数の例示的なブロックは、組み合わされ得るし、分割され得るし、再配置され得るし、あるいは、省略され得る。図中のブロックで表されるコンポーネント(構成要素)は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、並びに/または、ハードウェア、ソフトウェア及び/若しくはファームウェアの任意の組み合わせ、によって実装される。幾つかの例では、ブロックによって表されるコンポーネントの少なくとも1つが、論理回路によって実装される。本明細書で使用される場合、「論理回路」という用語は、(例えば、所定の構成(コンフィグレーション)に従う動作を介して、及び/または、記憶された機械可読命令の実行を介して)1または複数の機械を制御するように及び/または1または複数の機械の動作を実行するように構成される少なくとも1つのハードウェアコンポーネント、を含む物理デバイスとして明示的に定義される。論理回路の例は、1または複数のプロセッサ、1または複数のコプロセッサ、1または複数のマイクロプロセッサ、1または複数のコントローラ、1または複数のデジタル信号プロセッサ(DSP)、1または複数のアプリケーション固有の集積回路(ASIC)、1または複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1または複数のマイクロコントローラユニット(MCU)、1または複数のハードウェアアクセラレータ、1または複数の特殊用途(専用)コンピュータチップ、及び、1または複数のシステムオンチップ(SoC)装置、を含む。ASICまたはFPGA等の幾つかの例示的な論理回路は、動作(例えば、本明細書に記載され、存在する場合には本開示のフローチャートによって表される、1または複数の動作)を実行するために特別に構成されたハードウェアである。幾つかの例示的な論理回路は、動作(例えば、本明細書に記載され、存在する場合には本開示のフローチャートによって表される、1または複数の動作)を実行するために機械可読命令を実行するハードウェアである。幾つかの例示的な論理回路は、特別に構成されたハードウェアと、機械可読命令を実行するハードウェアと、の組み合わせを含む。前述の説明は、本明細書で説明される様々な動作、及び、それらの動作の流れを説明するために本明細書に添付され得るフローチャート、に言及している。そのようなフローチャートは、いずれも、本明細書に開示される例示的な方法を表している。幾つかの例では、フローチャートによって表される方法は、ブロック図によって表される装置を実装する。本明細書に開示される例示的な方法の代替的な実装は、追加的または代替的な動作を含み得る。更に、本明細書に開示される方法の代替的な実装の動作は、組み合わされ得るし、分割され得るし、再配置され得るし、あるいは、省略され得る。幾つかの例では、本明細書で説明される動作は、1または複数の論理回路(例えば、プロセッサ)によって実行されるために、媒体(例えば、有形の機械可読媒体)に記憶された機械可読命令(例えば、ソフトウェア及び/またはファームウェア)によって実装される。幾つかの例では、本明細書で説明される動作は、1または複数の特別に設計された論理回路(例えば、ASIC)の1または複数の構成(コンフィグレーション)によって実施される。幾つかの例では、本明細書で説明される動作は、1または複数の論理回路によって実行されるために、特別に設計された1または複数の論理回路と、媒体(例えば、有形の機械可読媒体)に記憶された機械可読命令と、の組み合わせによって実装される。
【0076】
本明細書で使用される場合、「有形の機械可読媒体」、「非一時的な機械可読媒体」、及び「機械可読記憶装置」という用語の各々は、任意の好適な期間だけ(例えば、恒久的、長期間(例えば、機械可読命令に関連するプログラムが実行されている間)、及び/または、短期間(例えば、機械可読命令がキャッシュされている間、及び/または、バッファリングプロセス中))機械可読命令(例えば、ソフトウェア及び/またはファームウェアの形態のプログラムコード)が記憶される記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ(のディスク)、デジタル多用途ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、等)として明示的に定義される。更に、本明細書で使用される場合、「有形の機械可読媒体」、「非一時的な機械可読媒体」及び「機械可読記憶装置」という用語の各々は、伝播信号(の態様)を除外するものとして明示的に定義される。すなわち、特許請求の範囲で使用される場合、「有形の機械可読媒体」、「非一時的な機械可読媒体」及び「機械可読記憶装置」という用語はいずれも、伝搬信号によって実装されるものとは、読まれ得ない。
【0077】
前述の明細書には、特定の実施形態が記載されている。しかしながら、当業者は、特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更がなされ得る、ということを理解する。従って、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で理解されるべきであり、そのような全ての修正が、本教示の範囲内に含まれることが意図されている。更に、説明された実施形態/実施例/実装は、相互に排他的であると解釈されるべきではなく、その代わりに、そのような組み合わせが何らかの方法で許容される場合、潜在的に組み合わせ可能であると理解されるべきである。換言すれば、前述の実施形態/実施例/実装のいずれかに開示された任意の特徴が、他の前述の実施形態/実施例/実装のいずれかに含まれてもよい。
【0078】
利益、利点、問題の解決策、及び、何らかの利益、利点ないし解決策を生じさせ得るかまたはより顕著にし得る任意の要素は、特許請求の範囲の請求項のいずれかまたは全てにおいての、重要な、必要な、または本質的な機能または要素として解釈されるべきではない。特許請求される発明は、本出願の係属中になされる補正、及び、発行される請求項の全ての均等物を含んで、添付される請求項によってのみ定義される。
【0079】
更に、当該文書において、第1及び第2、上及び下、等のような関連語は、1つの実体または動作を他の実体または動作から区別するためにのみ用いられている可能性があり、必ずしもそのような実体または動作間の実際のそのような関係または順序を要求したり含意したりしていない可能性がある。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「含有する(contains)」、「含有している(containing)」、あるいは、それらの他のあらゆる変形語は、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。要素の列挙(リスト)を、備える、有する、含む、または、含有する、というプロセス、方法、物品、または、装置は、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない他の要素や、そのようなプロセス、方法、物品、または、装置に固有の他の要素を含み得る。「を備える(comprises ...a)」、「を有する(has ...)」、「を含む(includes ...a)」、「を含有する(contains ...a)」の後に続く要素は、更なる制約条件が無ければ、当該要素を、備える、有する、含む、または、含有する、というプロセス、方法、物品、または、装置、における付加的な同一要素の存在を排除しない。用語「a」及び「an」は、明示的に他の言及が無い限り、1または複数として定義される。用語「実質的に」、「本質的に」、「およそ」、「約」、あるいは、それらの他のあらゆる変形語は、当業者に理解されるように、近い状態であるものとして定義され、1つの非限定的な実施形態において、当該用語は、10%以内、別の実施形態においては5%以内、別の実施形態においては1%以内、及び、別の実施形態において0.5%以内、として定義される。本明細書で用いられる用語「結合された」は、接続されたものとして定義されるが、必ずしも直接的でなくてもよく、また、必ずしも機械的でなくてもよい。ある方式で「構成された」デバイスまたは構造は、少なくとも当該方式で構成されるが、挙げられていない方式で構成されてもよい。
【0080】
本開示の要約は、読者が当該技術的開示の性質を素早く確認することを許容するために提供される。それは、特許請求の範囲の請求項の範囲または意味を解釈または制限するために用いられないという理解と共に提示される。また、前述の詳細な説明において、当該開示を円滑にする目的で、様々な実施形態において様々な特徴がまとめてグループ化されていることが認められ得る。この開示方法は、特許請求される実施形態が、各請求項で明示的に記載されている特徴よりも多くの特徴を必要とする、という意図を反映するものとして解釈されるべきでない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示された実施形態の全ての特徴よりも少なく存在する。以下の特許請求の範囲は、ここで詳細な説明に組み入れられ、各請求項は、別個に特許請求される主題として、それ自身独立している。