(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】固形医薬製剤、並びにその製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20240425BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240425BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240425BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240425BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20240425BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240425BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20240425BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240425BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240425BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240425BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240425BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240425BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240425BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240425BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240425BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240425BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240425BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240425BHJP
A61P 25/26 20060101ALI20240425BHJP
A61P 25/34 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61K9/28
A61K9/48
A61K9/70
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61P11/00
A61P25/18
A61P25/20
A61P25/22
A61P25/26
A61P25/34
(21)【出願番号】P 2022562168
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(86)【国際出願番号】 CN2021087262
(87)【国際公開番号】W WO2021208976
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】202010304917.6
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011594757.X
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519157967
【氏名又は名称】上海海雁醫藥科技有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】517202157
【氏名又は名称】ヤンツェー リバー ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】1 South Yangtze River Road Taizhou,Jiangsu,225321 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江 濤濤
(72)【発明者】
【氏名】王 吉標
(72)【発明者】
【氏名】楊 ▲ハン▼
(72)【発明者】
【氏名】李 利
(72)【発明者】
【氏名】但 招陵
(72)【発明者】
【氏名】朱 科屹
(72)【発明者】
【氏名】曽 振亜
(72)【発明者】
【氏名】蘇 波
(72)【発明者】
【氏名】陳 曦
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525395(JP,A)
【文献】特表2017-507185(JP,A)
【文献】特表2009-543803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00 -31/80
A61K 9/00 - 9/72
A61K 47/00 -47/69
A61P 1/00 -43/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分を含む固形医薬製剤であって、
前記有効成分が式(I)で示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は両者の混合物であり、
【化1】
ここで、R
aが水素、フッ素、塩素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又はイソプロポキシ基であり、
ZがN又はCR
0であり、
R
0が水素、ハロゲン又はC
1-3アルキル基であり、
nが0、1又は2であり、
且つ前記有効成分の粒子径がD90≦50μmを満たすことを特徴とする、
固形医薬製剤。
【請求項2】
式(I)で示される化合物が式(II)で示される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の固形医薬製剤。
【化2】
【請求項3】
前記有効成分の粒子径がD90≦35μmを満たすことを特徴とする、請求項1に記載の固形医薬製剤。
【請求項4】
前記有効成分の粒子径がD90≦20μmを満たすことを特徴とする、請求項1に記載の固形医薬製剤。
【請求項5】
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記有効成分の含有量は、1%~15%で
あることを特徴とする、請求項1に記載の固形医薬製剤。
【請求項6】
前記固形医薬製剤はさらに結合剤を含み、前記結合剤がヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、カーボポール、ポリビニルアルコールから選択される一種又は複数種であり、前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記結合剤の含有量が0.5%~10%であり、
および/または
前記固形医薬製剤はさらに充填剤を含み、前記充填剤が微結晶性セルロース、ラクトース、セルロースラクトース複合体、アルファー化デンプン、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムから選択される一種又は複数種であり、前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対す
る前記充填剤の含有量が60%~90%であり、および/または
前記固形医薬製剤はさらに崩壊剤を含み、前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース-K4M、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウムから選択される一種又は複数種であり、前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記崩壊剤の含有量が5%~15%であり、および/または
前記固形医薬製剤はさらに滑沢剤を含み、前記滑沢剤がステアリン酸マグネシウム、タルク粉末、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウムから選択される一種又は複数種であり、前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記滑沢剤の含有量が0.1%~1%であることを特徴とする、請求項1に記載の固形医薬製剤。
【請求項7】
前記固形医薬製剤は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、滴丸剤又はフィルム製剤で
あることを特徴とする、請求項1に記載の固形医薬製剤。
【請求項8】
a)有効成分と、b)充填剤と、c)結合剤と、d)崩壊剤と、e)滑沢剤とを含む固形医薬製剤であって、
前記有効成分は((1S,2R,5S)-2-(((5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)メチル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)(5-メチル-2-(ピリミジン-2-イル)フェニル)メタノン若しくはその薬学的に許容される塩、又は両者の混合物であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記有効成分の含有量が1%~15%であり
、
前記充填剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、セルロースラクトース複合体、アルファー化デンプン、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムから選択される一種又は複数種であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記充填剤の含有量が60%~90%であり
、
前記結合剤は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、カーボポール、ポリビニルアルコールから選択される一種又は複数種であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記結合剤の含有量が0.5%~10%であり
、
前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース-K4M、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウムから選択される一種又は複数種であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記崩壊剤の含有量が5%~15%であり、
前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク粉末、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウムから選択される一種又は複数種であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記滑沢剤の含有量が0.1%~1%であり
、
前記有効成分の粒子径は、D90≦35μm、D90≦30μm、D90≦20μm、D90≦10μm、D90=1μm~30μm、D90=1μm~20μm、D90=1μm~10μm、D90=10μm~20μmのうちのいずれか一つを満たすことを特徴とする、請求項1に記載の固形医薬製剤。
【請求項9】
a)有効成分と、b)微結晶性セルロースと、c)ラクトースと、d)ヒプロメロース-E5と、e)クロスカルメロースナトリウム又はヒプロメロース-K4Mと、f)ステアリン酸マグネシウムとを含む固形医薬製剤であって、
前記有効成分は((1S,2R,5S)-2-(((5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)メチル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)(5-メチル-2-(ピリミジン-2-イル)フェニル)メタノン若しくはその薬学的に許容される塩、又は両者の混合物であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記有効成分の含有量が4%~10%であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対して、前記微結晶性セルロースの含有量が24%~27.5%であり、
前記ラクトースの含有量が48.5%~56.5%であり、
前記ヒプロメロース-E5の含有量が1.5%~3%であり、
前記クロスカルメロースナトリウム又はヒプロメロース-K4Mの含有量が5%~15%であり、
前記ステアリン酸マグネシウムの含有量が0.4%~0.5%であり、
前記有効成分の粒子径は、D90≦35μm、D90≦30μm、D90≦20μm、D90≦10μm、D90=1μm~30μm、D90=1μm~20μm、D90=1μm~10μm、D90=10μm~20μmのうちのいずれか一つを満たすことを特徴とする、請求項1に記載の固形医薬製剤。
【請求項10】
a)有効成分と、b)微結晶性セルロースと、c)ラクトースと、d)ヒプロメロース-E5と、e)クロスカルメロースナトリウム又はヒプロメロース-K4Mと、f)ステアリン酸マグネシウムとを含む固形医薬製剤であって、
前記有効成分は((1S,2R,5S)-2-(((5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)メチル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)(5-メチル-2-(ピリミジン-2-イル)フェニル)メタノン若しくはその薬学的に許容される塩、又は両者の混合物であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記有効成分の含有量が9.5%~10%であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対して、前記微結晶性セルロースの含有量が24%~27.5%であり、
前記ラクトースの含有量が48.5%~56.5%であり、
前記ヒプロメロース-E5の含有量が1.5%~3%であり、
前記クロスカルメロースナトリウム又はヒプロメロース-K4Mの含有量が5%~15%であり、
前記ステアリン酸マグネシウムの含有量が0.48%~0.5%であり、
前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~30μm、D90=1μm~20μm、D90=1μm~10μm、D90=10μm~20μmのうちのいずれか一つを満たし、
前記固形医薬製剤が錠剤であることを特徴とする、請求項1に記載の固形医薬製剤。
【請求項11】
有効成分の粒子と、充填剤と、結合剤と、第1の崩壊剤とを混合した後に湿式造粒を行うステップ(a)、
ステップ(a)で得られた生成物を乾燥させるステップ(b)、
ステップ(b)で得られた生成物と、第2の崩壊剤と、滑沢剤とを乾式混合するステップ(c)、及び
ステップ(c)で得られた生成物を錠剤状に圧縮するステップ(d)を含み、
前記有効成分が((1S,2R,5S)-2-(((5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)メチル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)(5-メチル-2-(ピリミジン-2-イル)フェニル)メタノン若しくはその薬学的に許容される塩、又は両者の混合物であり、
前記有効成分の粒子の粒子径は、D90≦50μmを満た
し、
前記充填剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、セルロースラクトース複合体、アルファー化デンプン、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムから選択される一種又は複数種であり、
前記結合剤は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、カーボポール、ポリビニルアルコールから選択される一種又は複数種であり、
前記第1の崩壊剤と前記第2の崩壊剤は、それぞれ独立してクロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース-K4M、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウムから選択される一種又は複数種であり、
前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク粉末、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウムから選択される一種又は複数種である、
錠剤の製造方法。
【請求項12】
ステップ(c)で得られた混合物の総乾燥重量に対する前記有効成分の含有量が4%~10%であることを特徴とする、請求項1
1に記載の製造方法。
【請求項13】
ステップ(c)で得られた混合物の総乾燥重量に対する前記充填剤の含有量が73%~82.5%であ
り、および/または
ステップ(c)で得られた混合物の総乾燥重量に対する前記結合剤の含有量が1.5%~3%であり、および/または
ステップ(c)におけるすべての成分の総乾燥重量に対する前記滑沢剤の含有量が0.1%~1%であることを特徴とする、請求項1
1に記載の製造方法。
【請求項14】
ステップ(a)におけるすべての成分の乾燥重量に対する前記第1の崩壊剤の含有量が2%~10%であり
、
ステップ(c)におけるすべての成分の総乾燥重量に対する前記第2の崩壊剤の含有量が5%~10%であることを特徴とする、請求項1
1に記載の製造方法。
【請求項15】
ステップ(d)で得られた生成物をコーティングするステップ(e)をさらに含むことを特徴とする、請求項1
1に記載の製造方法。
【請求項16】
単位剤形であって、
前記単位剤形の総重量に対して
、10mg
、20mg又
は40mgの有効成分である式(II)で示される化合物と、
【化3】
25mg
~150mgの微結晶性セルロースと、
50mg
~300mgのラクトースと、
1mg
~15mgのヒプロメロースと、
10mg
~50mgのクロスカルメロースナト
リウムと、
0.5mg
~3mgのステアリン酸マグネシウムとを含み、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmを満たすことを特徴とする、
または、
前記単位剤形の総重量に対して、8mg~12mgの有効成分である式(II)で示される化合物、
【化4】
20mg~30mgの微結晶性セルロースと、46mg~56mgのラクトースと、2mg~4mgのヒプロメロースと、5mg~15mgのクロスカルメロースナトリウムと、0.3mg~0.7mgのステアリン酸マグネシウムとを含み、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmを満たすことを特徴とする、または、
前記単位剤形の総重量に対して、18mg~22mgの有効成分である式(II)で示される化合物と、
【化5】
46mg~56mgの微結晶性セルロースと、97mg~107mgのラクトースと、5mg~7mgのヒプロメロースと、15mg~25mgのクロスカルメロースナトリウムと、0.8mg~1.2mgのステアリン酸マグネシウムとを含み、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmを満たすことを特徴とする、または、
前記単位剤形の総重量に対して、38mg~42mgの有効成分である式(II)で示される化合物と、
【化6】
97mg~107mgの微結晶性セルロースと、199mg~209mgのラクトースと、11mg~13mgのヒプロメロースと、35mg~45mgのクロスカルメロースナトリウムと、1.8mg~2.2mgのステアリン酸マグネシウムとを含み、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmを満たすことを特徴とする、単位剤形。
【請求項17】
有効成分としての式(II)で示される化合物が結晶形A又は結晶形Bで存在
し、
前記結晶形AのCu-Kα放射のXRPDパターンは、
【表1】
であり、
前記結晶形BのCu-Kα放射のXRPDパターンは、
【表2】
であることを特徴とする、請求項2に記載の固形医薬製剤又は請求項1
6に記載の単位剤形。
【請求項18】
前記単位剤形が錠剤又はカプセルであることを特徴とする、請求項1
6に記載の単位剤形。
【請求項19】
オレキシン関連疾患を治療する薬物の製造のための、請求項1~1
0のいずれか一項に記載の固形医薬製剤又は請求項1
6に記載の単位剤形の使用。
【請求項20】
前記オレキシン関連疾患は、不眠症、慢性閉塞性肺疾患、閉塞性睡眠時無呼吸症、過眠症、不安症、強迫性障害、パニック障害、ニコチン依存症又は摂食障害を含む、請求項
19に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物製剤分野に属し、具体的には、オレキシン受容体のアンタゴニストである化合物を含む固形医薬製剤、並びにその製造方法及びオレキシン関連疾患を治療する薬物の調製における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オレキシン(ハイポクレチン)は、視床下部にて産生される2種類の神経ペプチド、即ち、オレキシンA(OX-A)(33個のアミノ酸のペプチド)及びオレキシンB(OX-B)(28個のアミノ酸のペプチド)を含む(非特許文献1)。オレキシンはラットにおいて食餌消費を刺激することが判明している。このことから、これらのペプチドが、摂食挙動を制御する中枢フィードバックメカニズムにおいて、メディエーターとしての生理的役割をもつことがわかる(非特許文献1)。オレキシンは睡眠と不眠の状態を制御することができ、特発性過眠症又は不眠症患者を治療する新しい方法に潜在的に道を開くものである(非特許文献2)。オレキシンはまた、覚醒、報い(reward)、学習及び記憶において役割を果たすことが示されている(非特許文献3)。哺乳動物では、既に、オレキシン-1受容体及びオレキシン-2受容体という2種類のオレキシン受容体がクローンされ、キャラクタライズされた。前記2種類のオレキシン受容体は、Gタンパク質共役受容体スーパーファミリーに属しておる(非特許文献1)。オレキシン-1受容体(OX又はOX1R)がOX-Aに対して選択的であり、オレキシン-2受容体(OX2又はOX2R)がOX-A及びOX-Bに結合することができる。オレキシンが関与する生理学的役割は、オレキシン受容体の2つのサブタイプとしてのOX1受容体及びOX2受容体の一方又は両方を介して発現すると考えられる。
【0003】
オレキシン受容体は、温血動物の脳中に見出すことができ、且つ以下の病変に関与している。前記病変は、例えば、うつ病;不安症;依存症;強迫反応性障害;情動性神経症;抑うつ性神経症;不安神経症;気分変調障害;行動障害;気分障害;性的機能不全;精神性欲機能不全;性同一性障害;統合失調症;躁うつ病;せん妄;痴呆;重度精神遅滞及び運動障害、例えば、ハンチントンダンス病及びツゥレット症候群;摂食障害、例えば、拒食症、過食症、悪疫質及び肥満症、耽溺性摂食行動、過食排出型摂食行動;心血管疾患;糖尿病;食欲・味覚障害;嘔吐、吐く事、吐き気;喘息;がん;パーキンソン病;クッシング症候群・疾患;好塩基球腺腫;プロラクチン腫瘍;高プロラクチン血症;脳下垂体腫瘍・腺腫;視床下部障害;炎症性腸疾患;胃機能障害;胃潰瘍;脂肪性器性ジストロフィー;副腎下垂体障害;脳下垂体障害;副腎下垂体機能低下症;副腎下垂体機能亢進症;視床下部の性機能低下症;カルマン症候群(無臭覚症、嗅覚低下);機能的又は精神的無月経;下垂体機能低下症;視床下部性甲状腺機能低下症;視床下部性副腎機能障害;特発性高プロラクチン血症、視床下部障害による成長ホルモン欠乏症;特発性成長ホルモン欠乏症;小人症;巨人症;先端巨大症;概日リズムの乱れ;疾患(例えば、神経障害、神経障害性疼痛及び下肢不安症候群)に関連する睡眠障害;心臓及び肺の疾患;急性及びうっ血性心不全;低血圧;高血圧症;尿うっ滞;骨粗鬆症;狭心症;急性心筋梗塞;虚血性又は出血性脳卒中;くも膜出血;潰瘍;アレルギー;良性前立腺肥大症;慢性腎不全;腎臓疾患;耐糖能障害;片頭痛;痛覚過敏症;疼痛;疼痛閾値の低下、例えば、痛覚過敏症、灼痛及び触覚異痛症(tactile allodynia);急性疼痛;灼熱痛;非定型顔面痛;神経因性疼痛;背痛;複合性局所疼痛症候群I及びII;関節炎疼痛;スポーツ外傷性疼痛;HIVなどの感染に関連する疼痛;化学療法後疼痛;脳卒中後の疼痛;手術後の疼痛;神経痛;嘔吐;嘔;嘔気;内臓痛に関連する疾患(例えば、過敏性腸症候群及び狭心症);片頭痛;膀胱失禁、例えば、切迫性尿失禁;麻酔又は麻酔からの離脱に対する耐性;睡眠障碍;睡眠時無呼吸症;ナルコレプシー;不眠症;錯睡眠;時差ぼけ症候群
;及び疾患分類実体を含む神経変性障害、例えば、脱抑制-痴呆-チャタリング性麻痺-筋萎縮症症候群;てんかん;てんかん発作症及び他の一般的なオレキシンシステムの機能障害に関連する疾患を含む。
【0004】
CN106414439Aは、オレキシン受容体のアンタゴニストとしてのピペリジン誘導体を開示しており、それはOX1及びOX2 GPCR受容体に対して顕著な阻害作用を有する。研究において、それを固形医薬組成物に調製する時、溶出速度及び溶出率が低く、生物学的利用能が低く、及び生体内半減期が長いという欠点が存在する。しかし、不眠症を治療する薬物にとって比較的長い半減期は明らかに不利な影響が存在し、例えば、翌日の残留効果が発生し、それにより患者に悪影響を与える可能性がある。したがって、より広い臨床投与の要求を満たすために、比較的高い溶出速度及び溶出率、及び比較的高い生物学的利用能及び比較的低い半減期を有する固形医薬剤形を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許出願公開第106414439号明細書
【文献】中国特許出願公開第107709318号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】SakuraiT.et al.,Cell,1998,92,573-585
【文献】Chemelli R.M.et al.、Cell,1999,98,437-451
【文献】Harris,et al.、Trends Neurosci.,2006,29(10),571-577
【文献】Remington′s Pharmaceutical Sciences(17 th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985)
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、安定性に優れ、溶出效果に優れ、且つ良好な生物学的利用能を有する固形医薬製剤であって、式Iで示される化合物を含む固形医薬製剤を提供することである。
【0008】
本発明の第1の態様は、有効成分を含む固形医薬製剤であって、当該有効成分が式(I)で示される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は両者の混合物であり、
【0009】
【0010】
ここで、Raが水素、フッ素、塩素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又はイソプロポキシ基であり、
ZがN又はCR0であり、R0が水素、ハロゲン又はC1-3アルキル基であり、
nが0、1又は2であり、
且つ前記有効成分の粒子径がD90≦50μmを満たす固形医薬製剤を提供する。
【0011】
別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90≦35μmを満たす。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90≦30μmを満たす。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90≦20μmを満たす。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90≦10μmを満たす。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~30μmを満たす。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmを満たす。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~10μm又はD90=10μm~20μmを満たす。
【0012】
別の好ましい実施形態では、式(I)で示される化合物が式(II)で示される化合物、((1S,2R,5S)-2-(((5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)メチル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)(5-メチル-2-(ピリミジン-2-イル)フェニル)メタノンである。特許文献1に記載されているように、FLIPRによって細胞内カルシウムシグナルの変化を検出し、化合物のIC50値を指標として、式(II)で示される化合物のOX1及びOX2GPCR受容体に対する阻害作用を評価し、その活性はそれぞれ20nM(hOX1R)及び36nM(hOX2R)である。
【0013】
【0014】
本発明の前記薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される酸付加塩及び薬学的に許容される塩基付加塩が含まれる。ここで、薬学的に許容される酸付加塩とは、遊離塩基の生物学的活性を保持し他の副作用がなく、無機酸又は有機酸と形成された塩である。無機酸塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等が挙げられるが、これらに限定されず、有機酸塩としては、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩及びサリチル酸塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの塩は、当該技術分野で周知の方法により調製することができる。薬学的に許容される塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩等の無機塩基の塩が挙げられるが、これらに限定されない。有機塩基の塩としては、例えば、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、リジン塩、アルギニン塩等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの塩は、当該技術分野で周知の方法により調製することができる。
【0015】
本発明の前記式(I)及び式(II)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩は任意の形態であってもよく、具体的な形態はアモルファス、任意の結晶型、水和物、溶媒和物等を含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、式(II)で示される化合物は、結晶形Aとして存在し、そのCu-Kα放射のXRPDスペクトル解析は以下のとおりであり、その構造は
図6に示すとおりである。
【0016】
【0017】
いくつかの実施形態において、式(II)で示される化合物は、結晶形Bとして存在し、そのCu-Kα放射のXRPDスペクトル解析は以下のとおりであり、その構造は
図7に示すとおりである。
【0018】
【0019】
本発明で言及された結晶形Aと結晶形Bは特許文献2に記載された方法を参照して調製及びキャラクタライズすることができる。いくつかの実施形態において、式(II)で示される化合物は、結晶形で存在し、その単結晶X線回折は、式(II)で示される化合物が
図10に示されるような立体構造ORTEP図を有することを示す。
【0020】
別の好ましい実施形態では、前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記有効成分の含有量が1%~15%であり、より好ましくは4%~10%であり、さらに好ましくは9.5%~10%である。
【0021】
別の好ましい実施形態では、前記固形医薬製剤はさらに結合剤を含み、前記結合剤がヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、カーボポール、ポリビニルアルコールから選択される一種又は複数種であり、前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記結合剤の含有量が0.5%~10%であり、より好ましくは1.5%~3%である。
【0022】
別の好ましい実施形態では、前記結合剤は、ヒプロメロース-E5、ヒプロメロース-K4M、ヒプロメロース-E50、カーボポール、ポリビニルアルコールから選択される
一種又は複数種である。
【0023】
別の好ましい実施形態では、前記結合剤はヒプロメロース-E5から選択される。
【0024】
別の好ましい実施形態では、前記固形医薬製剤はさらに充填剤を含み、前記充填剤が微結晶性セルロース、ラクトース、セルロースラクトース複合体、アルファー化デンプン、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムから選択される一種又は複数種であり、前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記充填剤の含有量が60%~90%であり、より好ましくは73%~85%であり、より好ましくは73%~82.5%である。
【0025】
別の好ましい実施形態では、前記充填剤が微結晶性セルロース及びラクトースである。
【0026】
別の好ましい実施形態では、前記固形医薬製剤はさらに崩壊剤を含み、前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース-K4M、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウムから選択される一種又は複数種であり、前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記崩壊剤の含有量が5%~15%である。
【0027】
別の好ましい実施形態では、前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム及びヒプロメロース-K4Mから選択される。
【0028】
別の好ましい実施形態では、前記固形医薬製剤はさらに滑沢剤を含み、前記滑沢剤がステアリン酸マグネシウム、タルク粉末、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウムから選択される一種又は複数種であり、前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記滑沢剤の含有量が0.1%~1%であり、より好ましくは0.4%~0.5%であり、さらに好ましくは0.48%~0.5%である。
【0029】
別の好ましい実施形態では、前記固形医薬製剤は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、滴丸剤(dripping pills)又はフィルム製剤であり、好ましくは錠剤である。
【0030】
別の好ましい実施形態では、前記固形医薬製剤は、a)有効成分と、b)充填剤と、c)結合剤と、d)崩壊剤と、e)滑沢剤とを含み、
前記有効成分は((1S,2R,5S)-2-(((5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)メチル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)(5-メチル-2-(ピリミジン-2-イル)フェニル)メタノン若しくはその薬学的に許容される塩、又は両者の混合物であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記有効成分の含有量が1%~15%であり、より好ましくは4%~10%であり、さらに好ましくは9.5%~10%であり、
前記充填剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、セルロースラクトース複合体、アルファー化デンプン、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムから選択される一種又は複数種であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記充填剤の含有量が60%~90%であり、より好ましくは73%~85%であり、さらに好ましくは73%~82.5%であり、
前記結合剤は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、カーボポール、ポリビニルアルコールから選択される一種又は複数種であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記結合剤の含有量が0.5%~10%であり、より好ましくは1.5%~3%であり、
前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース-K4M、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウムから選択される一種又は複数種であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記崩壊剤の含有量が5%~15%であり、
前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク粉末、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウムから選択される一種又は複数種であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記滑沢剤の含有量が0.1%~1%であり、より好ましくは0.4%~0.5%であり、さらに好ましくは0.48%~0.5%であり、
前記有効成分の粒子径は、D90≦35μmを満たす。
【0031】
別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90≦30μmを満たす。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90≦20μmを満たす。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90≦10μmを満たす。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~30μmを満たす。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmを満たす。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~10μm又はD90=10μm~20μmを満たす。
【0032】
別の好ましい実施形態では、前記固形医薬製剤が錠剤である。
【0033】
別の好ましい実施形態では、前記有効成分の含有量が5mg~100mgである。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の含有量が10mg~50mgである。別の好ましい実施形態では、前記有効成分の含有量が10mg、20mg又は40mgである。
【0034】
別の好ましい実施形態では、前記結合剤は、ヒプロメロース-E5、ヒプロメロース-K4M、ヒプロメロース-E50、カーボポール、ポリビニルアルコールから選択される一種又は複数種である。
【0035】
別の好ましい実施形態では、前記結合剤はヒプロメロース-E5から選択される。
【0036】
別の好ましい実施形態では、前記充填剤が微結晶性セルロース及びラクトースである。
【0037】
別の好ましい実施形態では、前記崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム及びヒプロメロース-K4Mから選択される。
【0038】
別の好ましい実施形態では、前記固形医薬製剤はa)有効成分と、b)微結晶性セルロースと、c)ラクトースと、d)ヒプロメロース-E5と、e)クロスカルメロースナトリウム又はヒプロメロース-K4Mと、f)ステアリン酸マグネシウムとを含み、
前記有効成分は((1S,2R,5S)-2-(((5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)メチル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)(5-メチル-2-(ピリミジン-2-イル)フェニル)メタノン若しくはその薬学的に許容される塩、又は両者の混合物であり、前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記有効成分の含有量が4%~10%であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対して、前記微結晶性セルロースの含有量が24%~27.5%であり、前記ラクトースの含有量が48.5%~56.5%であり、前記ヒプロメロース-E5の含有量が1.5%~3%であり、前記クロスカルメロースナトリウム又はヒプロメロース-K4Mの含有量が5%~15%であり、前記ステアリン酸マグネシウムの含有量が0.4%~0.5%であり、
前記有効成分の粒子径は、D90≦35μm、D90≦30μm、D90≦20μm、D90≦10μm、D90=1μm~30μm、D90=1μm~20μm、D90=1μm~10μm、D90=10μm~20μmのうちのいずれか一つを満たす。
【0039】
別の好ましい実施形態では、前記固形医薬製剤はa)有効成分と、b)微結晶性セルロースと、c)ラクトースと、d)ヒプロメロース-E5と、e)クロスカルメロースナトリウム又はヒプロメロース-K4Mと、f)ステアリン酸マグネシウムとを含み、
前記有効成分は((1S,2R,5S)-2-(((5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)メチル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)(5-メチル-2-(ピリミジン-2-イル)フェニル)メタノン若しくはその薬学的に許容される塩、又は両者の混合物であり、前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対する前記有効成分の含有量が9.5%~10%であり、
前記固形医薬製剤の総乾燥重量に対して、前記微結晶性セルロースの含有量が24%~27.5%であり、前記ラクトースの含有量が48.5%~56.5%であり、前記ヒプロメロース-E5の含有量が1.5%~3%であり、前記クロスカルメロースナトリウム又はヒプロメロース-K4Mの含有量が5%~15%であり、前記ステアリン酸マグネシウムの含有量が0.48%~0.5%であり、
前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~30μm、D90=1μm~20μm、D90=1μm~10μm、D90=10μm~20μmのうちのいずれか一つを満たし、
前記固形医薬製剤が錠剤である。
【0040】
別の好ましい実施形態では、前記ラクトースが200メッシュ、100メッシュ、50メッシュ等である。より好ましくは、ラクトースが200メッシュである。
【0041】
別の好ましい実施形態では、前記充填剤は微結晶性セルロース及びラクトースであり、微結晶性セルロースとラクトースとの重量比が(24~27.5):(48.5~56.5)である。
【0042】
別の好ましい実施形態では、前記固形医薬製剤は、調製例のいずれかの錠剤を含む。
【0043】
別の態様において、本発明は、単位剤形を提供し、該単位剤形は、該単位剤形の総重量に対して、約10mg、約20mg又は約40mgの有効成分である式(II)で示される化合物と、約25mg~約150mgの微結晶性セルロース(例えば、微結晶性セルロースPH101)と、約50mg~約300mgのラクトース(例えば、Granulac(登録商標) 200)と、約1mg~約15mgのヒプロメロース(例えば、ヒプロメロースE5)と、約10mg~約50mgクロスカルメロースナトリウム(例えば、クロスカルメロースナトリウムSD711)又はヒプロメロース(例えば、HPMC-K4M)と、約0.5mg~約3mgのステアリン酸マグネシウムとを含み、ここで、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmを満たし、いくつかの実施形態において、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~10μm又はD90=10μm~20μmを満たす。
【0044】
別の態様において、本発明は、単位剤形を提供し、該単位剤形は、該単位剤形の総重量に対して、約10mgの有効成分である式(II)で示される化合物と、約25mg~約26mgの微結晶性セルロース(例えば、微結晶性セルロースPH101)と、約51mgのラクトース(例えば、Granulac(登録商標) 200)と、約3mgのヒプロメロース(例えば、ヒプロメロースE5)と、約10mgクロスカルメロースナトリウム(例えば、クロスカルメロースナトリウムSD711)と、約0.5mgのステアリン酸マグネシウムとを含み、ここで、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmを満たし、いくつかの実施形態において、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~10μm又はD90=10μm~20μmを満たす。
【0045】
別の態様において、本発明は、単位剤形を提供し、該単位剤形は、該単位剤形の総重量に対して、約20mgの有効成分である式(II)で示される化合物と、約51mgの微
結晶性セルロース(例えば、微結晶性セルロースPH101)と、約102mgのラクトース(例えば、Granulac(登録商標) 200)と、約6mgのヒプロメロース(例えば、ヒプロメロースE5)と、約20mgクロスカルメロースナトリウム(例えば、クロスカルメロースナトリウムSD711)と、約1mgのステアリン酸マグネシウムとを含み、ここで、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmを満たし、いくつかの実施形態において、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~10μm又はD90=10μm~20μmを満たす。
【0046】
別の態様において、本発明は、単位剤形を提供し、該単位剤形は、該単位剤形の総重量に対して、約40mgの有効成分である式(II)で示される化合物と、約102mgの微結晶性セルロース(例えば、微結晶性セルロースPH101)と、約204mgのラクトース(例えば、Granulac(登録商標) 200)と、約12mgのヒプロメロース(例えば、ヒプロメロースE5)と、約40mgクロスカルメロースナトリウム(例えば、クロスカルメロースナトリウムSD711)と、約2mgのステアリン酸マグネシウムとを含み、ここで、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmであり、いくつかの実施形態において、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~10μm又はD90=10μm~20μmである。
【0047】
別の態様において、本発明は、単位剤形を提供し、該単位剤形は、該単位剤形の総重量に対して、8mg~12mgの有効成分である式(II)で示される化合物と、20mg~30mgの微結晶性セルロース(例えば、微結晶性セルロースPH101)と、46mg~56mgのラクトース(例えば、Granulac(登録商標) 200)と、2mg~4mgのヒプロメロース(例えば、ヒプロメロースE5)と、5mg~15mgクロスカルメロースナトリウム(例えば、クロスカルメロースナトリウムSD711)と、0.3mg~0.7mgのステアリン酸マグネシウムとを含み、ここで、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmであり、いくつかの実施形態において、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~10μm又はD90=10μm~20μmである。
【0048】
別の態様において、本発明は、単位剤形を提供し、該単位剤形は、該単位剤形の総重量に対して、18mg~22mgの有効成分である式(II)で示される化合物と、46mg~56mgの微結晶性セルロース(例えば、微結晶性セルロースPH101)と、97mg~107mgのラクトース(例えば、Granulac(登録商標) 200)と、5mg~7mgのヒプロメロース(例えば、ヒプロメロースE5)と、15mg~25mgクロスカルメロースナトリウム(例えば、クロスカルメロースナトリウムSD711)と、0.8mg~1.2mgのステアリン酸マグネシウムとを含み、ここで、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmであり、いくつかの実施形態において、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~10μm又はD90=10μm~20μmである。
【0049】
別の態様において、本発明は、単位剤形を提供し、該単位剤形は、該単位剤形の総重量に対して、38mg~42mgの有効成分である式(II)で示される化合物と、97mg~107mgの微結晶性セルロース(例えば、微結晶性セルロースPH101)と、199mg~209mgのラクトース(例えば、Granulac(登録商標) 200)と、11mg~13mgのヒプロメロース(例えば、ヒプロメロースE5)と、35mg~45mgクロスカルメロースナトリウム(例えば、クロスカルメロースナトリウムSD711)と、1.8mg~2.2mgのステアリン酸マグネシウムとを含み、ここで、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~20μmであり、いくつかの実施形態において、前記有効成分の粒子径は、D90=1μm~10μm又はD90=10μm~20μmである。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明で提供される前記の単位剤形のいずれかにおいて
、有効成分としての式(II)で示される化合物はアモルファス、任意結晶形、水和物、溶媒和物等を含む任意の形態で存在し得る。いくつかの実施形態において、有効成分としての式(II)で示される化合物は、アモルファス形式、結晶形A又は結晶形Bで存在する。いくつかの実施形態において、有効成分としての式(II)で示される化合物は、結晶形Aで存在する。
【0051】
いくつかの実施形態において、前記単位剤形は、錠剤又はカプセル剤である。いくつかの実施形態において、前記単位剤形は、錠剤である。いくつかの実施形態において、前記単位剤形は、錠剤であり、コーティングをさらに含む。
【0052】
錠剤は、従来のプレス、湿式造粒又は乾式造粒法によって調製することができる。いくつかの実施形態において、本発明の剤形は湿式造粒法により調製された錠剤である。また、錠剤は一種以上の表面コーティング、例えば、透明コーティング及び/又は着色コーティングを含んでいてもよい。非特許文献4に開示されているように、種々のコーティング及びその使用方法が知られている。適切な量のコーティングが存在する場合、錠剤の重量は通常2%~3%増加し、そのため錠剤は通常約50mg~約1000mgの間にあり、いくつかの実施形態において、錠剤の重量が約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg等であり、錠剤の重量が治療に必要な用量に依存する。
【0053】
本発明の前記単位剤形における重量数値の前に使用される「約」は、±10mg、又は±5mg、又は±2mg、又は±1mg、又は±0.5mg、又は±0.2mg、又は±0.1mgの範囲の値を意味する。
【0054】
本発明における有効成分の粒子径D90は、1つのサンプルの累積粒度分布百分率が90%に達したときに対応する粒子径を示す。
【0055】
本発明の製剤に有用なフィルムコーティングは、当分野で周知のものであり、且つ通常、重合体(通常、セルロース系重合体)、着色剤及び可塑剤を含む。糖、矯正剤、油及び滑沢剤などの他の成分をフィルムコーティング配合物に含めて、フィルムコーティングに特定の特性を付与することができる。また、本明細書の組成物と製剤とは、組み合わされて、固形に加工され、次いでカプセル形態、例えば、ゼラチンカプセルに入れられてもよい。
【0056】
本発明の製剤のいくつかの成分は、複数の機能を有し得ることを理解すべきである。例えば、特定の成分は、充填剤及び崩壊剤の両方として機能することができる。いくつかのこのような場合において、特定の成分の性質が多機能性を可能にし得るが、この成分の機能は、単一であるとみなされ得る。
【0057】
本発明において、ラクトースは、Flow100、Granulac(登録商標) 200、Tableffose 100、Spherolac 100等を含む薬学分野に適用する市販のラクトースから選択することができる。微結晶性セルロースは、pH101、pH102、pH301、pH302、KG1000、KG802、UF702、UF711等を含む薬学分野に適用する市販の微結晶性セルロースから選択することができる。アルファー化デンプン(変性デンプンとも呼ばれる)はStarch 1500、PC10等を含む薬学分野に適用する市販のアルファー化デンプンから選択することができる。ヒプロメロースは、HPMC E3、HPMC E5、HPMC K4M、HPMC
E15等を含む薬学分野に適用する市販のヒプロメロースから選択することができる。ポビドンは、ポビドンK30、ポビドンK90を含む薬学分野に適用する市販のポビドンから選択することができる。クロスポビドンは、PVPP XL-10、PVPP VL
-10、PVPP XLを含む薬学分野に適用する市販のクロスポビドンから選択することができる。クロスカルメロースナトリウムは、RC-A591NF、SD-711等を含む薬学分野に適用する市販のクロスカルメロースナトリウムから選択することができる。
【0058】
本発明の第2の態様は錠剤の製造方法を提供し、前記方法は、
有効成分の粒子、充填剤、結合剤及び第1の崩壊剤を混合した後に湿式造粒を行うステップ(a)、
ステップ(a)で得られた生成物を乾燥させるステップ(b)、
ステップ(b)で得られた生成物、第2の崩壊剤及び滑沢剤を乾式混合するステップ(c)、及び
ステップ(c)で得られた生成物を錠剤状に圧縮するステップ(d)、を含み、
ここで、有効成分が((1S,2R,5S)-2-(((5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)メチル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル)(5-メチル-2-(ピリミジン-2-イル)フェニル)メタノン若しくはその薬学的に許容される塩、又は両者の混合物であり、
有効成分の粒子の粒子径は、D90≦50μmを満たす。
【0059】
第1の崩壊剤及び第2の崩壊剤は同様でも相違でもよい。
【0060】
別の好ましい実施形態では、有効成分の粒子の粒子径は、D90≦35μmを満たす。別の好ましい実施形態では、有効成分の粒子の粒子径は、D90≦30μmを満たす。別の好ましい実施形態では、有効成分の粒子の粒子径は、D90≦20μmを満たす。別の好ましい実施形態では、有効成分の粒子の粒子径は、D90≦10μmを満たす。別の好ましい実施形態では、有効成分の粒子の粒子径は、D90=1μm~30μmを満たす。別の好ましい実施形態では、有効成分の粒子の粒子径は、D90=1μm~20μmを満たす。別の好ましい実施形態では、有効成分の粒子の粒子径は、D90=1μm~10μmを満たす。別の好ましい実施形態では、有効成分の粒子の粒子径は、D90=10μm~20μmを満たす。
【0061】
別の好ましい実施形態では、前記充填剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、セルロースラクトース複合体、アルファー化デンプン、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムから選択される一種又は複数種である。
【0062】
別の好ましい実施形態では、前記結合剤は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、カーボポール、ポリビニルアルコールから選択される一種又は複数種である。
【0063】
別の好ましい実施形態では、前記第1の崩壊剤及び第2の崩壊剤は、それぞれ独立して、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース-K4M、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウムから選択される一種又は複数種である。
【0064】
別の好ましい実施形態では、前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク粉末、モノステアリン酸グリセリン、フマル酸ステアリルナトリウムから選択される一種又は複数種である。
【0065】
別の好ましい実施形態では、ステップ(c)で得られた混合物の総乾燥重量に対して、有効成分の含有量が4%~10%である。
【0066】
別の好ましい実施形態では、ステップ(c)で得られた混合物の総乾燥重量に対して、
充填剤の含有量が73%~82.5%である。
【0067】
別の好ましい実施形態では、ステップ(c)で得られた混合物の総乾燥重量に対して、結合剤の含有量が1.5%~3%である。
【0068】
別の好ましい実施形態では、ステップ(a)におけるすべての成分の乾燥重量に対して、第1の崩壊剤の含有量が2%~10%であり、より好ましくは5%~6%であり、ステップ(c)におけるすべての成分の総乾燥重量に対して、第2の崩壊剤の含有量が5%~10%である。
【0069】
別の好ましい実施形態では、ステップ(c)におけるすべての成分の総乾燥重量に対して、滑沢剤の含有量は0.1%~1%であり、より好ましくは0.4%~0.5%であり、より好ましくは0.48%~0.5%である。
【0070】
別の好ましい実施形態では、前記方法は、ステップ(d)の生成物をコーティングするステップ(e)をさらに含む。
【0071】
別の好ましい実施形態では、前記ステップ(e)におけるコーティング材料は胃溶性フィルムコーティングプレミックスであり、コーティング液の濃度が10%~20%である。
【0072】
別の態様において、本発明はまた、本明細書に記載の方法の生成物を提供する。
【0073】
本発明の第3の態様は、オレキシン関連疾患を治療する薬物の製造のための、本発明の第1の態様に記載の固形医薬製剤の使用を提供する。
【0074】
より好ましくは、前記オレキシン関連疾患は、不眠症、慢性閉塞性肺疾患、閉塞性睡眠時無呼吸症、過眠症、不安症、強迫性障害、パニック障害、ニコチン依存症又は摂食障害を含む。
【0075】
本明細書に記載される材料、方法及び実例は、例示的であることが意図され、本発明の範囲を限定することは意図されない。本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、その全体が参考として援用される。
【0076】
本発明の範囲内において、本発明の前記各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説明される各技術的特徴との間はいずれも互いに組み合わせることができ、それにより新たな又は好ましい技術的解決策を構成することを理解すべきである。紙面が限られているため、ここでは一々の説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】
図1は、調製例1-1、1-2、1-3及び1-4の処方の溶出曲線図である。
【
図2】
図2は、調製例2-1、2-2、2-6及び2-7の処方の溶出曲線図である。
【
図3】
図3は、調製例2-1、2-2、2-3、2-4及び2-5の処方の溶出曲線図である。
【
図4】
図4は、調製例3、2-1及び2-4の処方の溶出曲線図である。
【
図5】
図5は、調製例4-1、4-2及び4-3の処方の溶出曲線図である。
【
図6】
図6は、結晶形Aで存在する式(II)で示される化合物のCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図7】
図7は、結晶形Bで存在する式(II)で示される化合物のCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図8】
図8は、溶出媒体としてpH6.8のリン酸塩緩衝液を用いた調製例2-8及び調製例6の処方のインビトロ溶出曲線図である。
【
図9】
図9は、溶出媒体として0.1N HClを用いた調製例2-8及び調製例6の処方のインビトロ溶出曲線図である。
【
図10】
図10は、式IIで示される化合物の単結晶立体構造ORTEP図である。
【0078】
製造方法
本発明の前記の固形医薬製剤は、本分野で周知の方法により調製することができる。例えば、固形医薬製剤が顆粒剤である場合、必要に応じて、式(I)又は式(II)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩、賦形剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤等を混合し、攪拌造粒、押出造粒、転動造粒、噴霧一段造粒等を行うことにより製造することができ、直接的に、乾式造粒を行うことにより製造してもよい。また、ペレットを用いて薬物を投与する方式で調製することもできる。また、必要に応じて、整粒、粉砕してもよい。さらに、前記顆粒剤の中に賦形剤、崩壊剤、結合剤、抗酸化剤、着色剤等を加えて打錠してもよい。
【0079】
さらに説明すると、本発明のコーティングされていない錠剤(素錠)又はコーティング錠剤は処方に応じて、添加量又は対応する成分を変えて以下の調製プロセスを用いて調製することができる。前記調製プロセスは、原薬の粉砕、添加剤のふるい分け、秤量、混合造粒、湿式整粒、乾燥、乾式整粒、最終混合、打錠、コーティング(コーティング錠剤を調製する時に必要である)を含む。
【0080】
原薬の粉砕:合格の原薬(式(I)又は式(II)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、又は両者の混合物)自体の粒子径が120~150μmであり、粉砕装置の異なるパラメータの調整によって原料の粒子径の要求を達成する。(1)粒子径をD90≦10μm、D90≦20μm又はD90≦30μmに制御する:合格の原薬(式(I)又は式(II)で示される化合物、その薬学的に許容される塩、又は両者の混合物)を篩にかけた後に気流粉砕機で粉砕し、供給機の回転数を100~500rpmに制御し、供給圧力を3~7barに調整し、粉砕圧力を2~7barに調整することにより、粉砕後に測定された原薬の粒子径を制御して、レーザー粒度分布計で測定した粒子径分布は粒子径D90≦10μm、D90≦20μm、D90≦30μmを満たすべきである。(2)粒子径をD90≦50μmに制御する:合格の原薬(式(I)又は式(II))を実験室用せん断粉砕機で粉砕し、5minごとに3min粉砕し、一定時間粉砕した後、サンプリングして原薬の粒子径を検出する。レーザー粒度分布計で測定した粒子径分布はD90≦50μmを満たすべきである。
【0081】
添加剤のふるい分け:検査に合格した添加剤ラクトース(Granulac(登録商標) 200メッシュ)を採取する。
【0082】
秤量:原薬(粉砕済み)、微結晶性セルロース(PH101)、ラクトース(Granulac(登録商標) 200メッシュ)(ふるい分けたもの)、ヒプロメロース-E5、クロスカルメロースナトリウム又はヒプロメロース-K4M(内添崩壊剤)を秤量する。
【0083】
混合造粒:スラリーの製造、即ち結合剤の調製:精製水300gを秤量し、撹拌しながらヒプロメロース-E5 30gを加え、溶解するまで連続的に撹拌し、得られた10%ヒプロメロース-E5水溶液を調製し、60メッシュの篩にかける。混合、即ち:原薬(
粉砕済み)、ラクトース(ふるい分けたもの)を順に湿式混合造粒機に加えて撹拌混合を開始し、撹拌速度が300~500rpm(例えば、300rpm又は400rpm)であり、せん断速度が350~400rpm又は400~500rpm(例えば、400rpm)であり、撹拌時間が300秒である。材料鍋の蓋を開け、続いてクロスカルメロースナトリウム又はヒプロメロース-K4M(内添崩壊剤)、微結晶性セルロース(PH101)を順に鍋内に添加する。撹拌混合を開始し、撹拌速度が300~500rpm(例えば、350rpm又は400rpm)であり、せん断速度が400~500rpm(好ましくは400rpm)であり、撹拌時間が600秒間である。軟質材料を製造し、軟質材料の製造全体は二つの段階に分けられる。第1段階:湿式混合造粒機を起動してパラメータを予め設定した後、撹拌速度を350~500rpm(例えば、350rpm)、切断速度を1000~1500rpm(例えば、1000rpm)に設定し、10S運転した後に湿式混合造粒機中に全部の10%(w/w)のヒプロメロース-E5水溶液結合剤をゆっくりと加え、結合剤溶液を加えた後に撹拌パドルと細断刃を継続的に起動して製造された湿潤粒子を均一にさせ、且つ顕著な塊がなく、造粒時間(スラリー添加時間)が≦300秒間(例えば、60s)である。第2段階:撹拌速度を500rpm又は350rpm、切断速度を1500rpm又は1000rpmに設定し、同時に撹拌切断を起動し、60s撹拌切断し続け、適切な湿潤粒子を製造する。
【0084】
湿式整粒:得られた湿潤粒子をスイング整粒機を用いて18メッシュのステンレス篩で整粒、又は20メッシュの篩で手動で湿式整粒する。
【0085】
乾燥:整粒後の湿潤粒子を乾燥皿に均一にスプレッドし、スプレッドした厚さが1.5cm±0.5cmであるべきであり、湿潤粒子をスプレッドした乾燥皿をオーブンに入れて乾燥を開始し、乾燥温度を5.0℃±5.0℃にする。30min乾燥するごとにそれぞれ、乾燥皿をひっくり返し、粒子の水分を検出する。乾燥終点は乾燥後の粒子水分≦2.0%であるべきである。
【0086】
乾式整粒:乾燥後の粒子をスイング整粒機にて20メッシュのステンレス篩で整粒する。
【0087】
最終混合:クロスカルメロースナトリウム又はヒプロメロース-K4M(外添崩壊剤)、乾式整粒した後の粒子、ステアリン酸マグネシウムを同時に混合機中に投入して300秒間混合し、混合桶回転数は16rpmである。総混合後、総粒子水分が≦3.0%であるべきである。
【0088】
打錠:原薬錠の最終混合粒子を取って回転打錠機で打錠する。
【0089】
コーティング:プレスして得られた素錠をコーティングし、目標のコーティング重量増加が2%~3%である。胃溶性フィルムコーティングプレミックスをコーティング材料として選択し、コーティング液の濃度が15%である。具体的な製造方法は以下のとおりである。コーティング粉末30gを秤取し、精製水200gに加え、撹拌して均一に分散させて(重量増加3%の200%に応じて調製する)、そして高効率コーティング機を用いてコーティングする。コーティングは、以下のプロセスパラメータを用いて行うことができる。
【0090】
【発明を実施するための形態】
【0091】
以下では、具体的な実施例を参照して、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を説明するために使用され、本発明の範囲を制限するものではないことを理解すべきである。以下の実施例において具体的な条件が記載されていない実験方法は、一般的に通常の条件に従い、又は製造メーカーが提案した条件に従う。特に断りのない限り、百分率及び部は重量百分率及び重量部である。以下の実施例で使用される実験材料及び試薬は特に説明しない限りいずれも市販のものである。
【0092】
単結晶構造はD8 Venture単結晶X線回折装置を用いて測定される。光源:Cuターゲット、X線:Cu-Kα(=1.54178Å)、検出器:CMOS面検出器、解像度0.8 Å、電流電圧:50kV、1.2mA、露光時間10s、面検出器からサンプルまでの距離40mm、測定温度150(2)Kである。
特に断りのない限り、本明細書に開示される固形医薬製剤の有効成分、充填剤成分、結合剤成分、崩壊剤成分及び滑沢剤成分の重量百分率は、各成分の最終的な固形医薬製剤に対する百分率であり、任意の表面被覆物、例えば、錠剤コーティング(例えば、任意の透明、又は着色コーティング)又はカプセルを含まない。以下の特定の実施例におけるコーティング錠剤はコーティング重量が含まれるが、有効成分、充填剤成分、結合剤成分、崩壊剤成分及び滑沢剤成分の重量百分率の計算はわずかに変化されるが、これは本発明を説明するためのもので範囲を限定するものではない。特に断りのない限り、以下の調製例における特定の処方中の有効成分である式(II)で示される化合物は全て結晶形Aで存在し、微結晶性セルロースは、微結晶性セルロースPH101から選択され、ラクトースは、ラクトースGranulac(登録商標) 200メッシュから選択され、クロスカルメロースナトリウムはクロスカルメロースナトリウムSD711から選択される。
【0093】
調製例1-1 コーティングされていない素錠の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 4%
微結晶性セルロース 26.16%
ラクトース 56.32%
ヒプロメロース-E5 3.04%
クロスカルメロースナトリウム 10%
ステアリン酸マグネシウム 0.48%
【0094】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を6~7 bar、給気圧力を7~8 bar、供給圧力を6~7
bar、供給回転数を100~150rpmに設定し、粉砕が終了した後、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦10μm(D90=7.461μm)を満たす。粒子径D90≦10μm(D90=7.461μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)のヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠して規格が500mgのコーティングされていない素錠錠剤を製造した。
【0095】
調製例1-2 コーティングされていない素錠の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 4%
微結晶性セルロース 26.16%
ラクトース 56.32%
ヒプロメロース-E5 3.04%
クロスカルメロースナトリウム 10%
ステアリン酸マグネシウム 0.48%
【0096】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を4~6bar、給気圧力を6~7bar、供給圧力を5~6bar、供給回転数を200~300rpmに設定し、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦20μm(D90=17.89μm)を満たす。D90≦20μm(D90=17.89μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)ヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠して規格が500mgのコーティングされていない素錠錠剤を製造した。
【0097】
調製例1-3 コーティングされていない素錠の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 4%
微結晶性セルロース 26.16%
ラクトース 56.32%
ヒプロメロース-E5 3.04%
クロスカルメロースナトリウム 10%
ステアリン酸マグネシウム 0.48%
【0098】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を2~4bar、給気圧力を4~5bar、供給圧力を3~4bar、供給回転数を300~400rpmに設定し、粉砕が終了した後、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦35μm(D90=30.7μm)を満たす。D90≦35μm(D90=30.7μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして
湿式混合造粒機に10%(質量百分率)ヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠して規格が500mgのコーティングされていない素錠錠剤を製造した。
【0099】
調製例1-4 コーティングされていない素錠の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 4%
微結晶性セルロース 26.16%
ラクトース 56.32%
ヒプロメロース-E5 3.04%
クロスカルメロースナトリウム 10%
ステアリン酸マグネシウム 0.48%
【0100】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけた後、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦150μm(D90=144.5μm)を満たす。粒子径D90≦150μm(D90=144.5μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)ヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠して規格が500mgのコーティングされていない素錠錠剤を製造した。
【0101】
調製例2-1 コーティング錠剤の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 9.76%
微結晶性セルロース 24.88%
ラクトース 49.76%
ヒプロメロース-E5 2.93%
クロスカルメロースナトリウム 9.76%
ステアリン酸マグネシウム 0.49%
フィルムコーティングプレミックス 2.44%
【0102】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を4~6bar、給気圧力を6~7bar、供給圧力を5~6bar、供給回転数を200~300rpmに設定し、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦20μm(D90=17.89μm)を満たす。粒子径D90≦20μm(D90=17.89μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)のヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠し、胃溶性フィルムコーティングプレミックスでコーティングして規格205mgの錠剤を得た。
【0103】
調製例2-2 コーティング錠剤の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 9.76%
微結晶性セルロース 24.88%
ラクトース 49.76%
ヒプロメロース-E5 2.93%
クロスカルメロースナトリウム 9.76%
ステアリン酸マグネシウム 0.49%
フィルムコーティングプレミックス 2.44%
【0104】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を4~6bar、給気圧力を6~7bar、供給圧力を5~6bar、供給回転数を200~300rpmに設定し、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦20μm(D90=17.89μm)を満たす。D90≦20μm(D90=17.89μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)ヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠し、胃溶性フィルムコーティングプレミックスでコーティングして規格410mgの錠剤を得た。
【0105】
調製例2-3 コーティング錠剤の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 9.76%
微結晶性セルロース 24.88%
ラクトース 49.76%
ヒプロメロース-E5 2.93%
クロスカルメロースナトリウム 9.76%
ステアリン酸マグネシウム 0.49%
フィルムコーティングプレミックス 2.44%
【0106】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を6~7bar、給気圧力を7~8bar、供給圧力を6~7bar、供給回転数を100~150rpmに設定し、粉砕が終了した後、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦10μm(D90=7.461μm)を満たす。粒子径D90≦10μm(D90=7.461μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)のヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠し、胃溶性フィルムコーティングプレミックスでコーティングして規格205mgの錠剤を得た。
【0107】
調製例2-4 コーティング錠剤の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 9.76%
微結晶性セルロース 24.88%
ラクトース 49.76%
ヒプロメロース-E5 2.93%
クロスカルメロースナトリウム 9.76%
ステアリン酸マグネシウム 0.49%
フィルムコーティングプレミックス 2.44%
【0108】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、実験室用せん断粉砕機で粉砕し、5minごとに3min粉砕し、10min粉砕した後レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦50μm(D90=45.71μm)を満たす。粒子径D90≦50μm(D90=45.71μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)のヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠し、胃溶性フィルムコーティングプレミックスでコーティングして規格205mgの錠剤を得た。
【0109】
調製例2-5 コーティング錠剤の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 9.76%
微結晶性セルロース 24.88%
ラクトース 49.76%
ヒプロメロース-E5 2.93%
クロスカルメロースナトリウム 9.76%
ステアリン酸マグネシウム 0.49%
フィルムコーティングプレミックス 2.44%
【0110】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけた後、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦150μm(D90=144.5μm)を満たす。粒子径D90≦150μm(D90=144.5μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)ヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠し、胃溶性フィルムコーティングプレミックスでコーティングして規格205mgの錠剤を得た。
【0111】
調製例2-6 コーティングされていない素錠の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 10%
微結晶性セルロース 25.5%
ラクトース 51%
ヒプロメロース-E5 3%
クロスカルメロースナトリウム 10%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%
【0112】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけた後、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を4~6bar、給気圧力を6~7bar、供給圧力を5~6bar、供給回転数を200~300rpmに設定し、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦20μm(D90=17.89μm)を満たす。粒子径D90≦20μm(D90=17.89μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)ヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠して規格200mgのコーティングされていない錠剤を製造した。
【0113】
調製例2-7 コーティングされていない素錠の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 10%
微結晶性セルロース 25.5%
ラクトース 51%
ヒプロメロース-E5 3%
クロスカルメロースナトリウム 10%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%
【0114】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけた後、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を4~6bar、給気圧力を6~7bar、供給圧力を5~6bar、供給回転数を200~300rpmに設定し、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦20μm(D90=17.89μm)を満たす。粒子径D90≦20μm(D90=17.89μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)ヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠して規格400mgのコーティングされていない錠剤を製造した。
【0115】
調製例2-8 コーティング錠剤の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 9.76%
微結晶性セルロース 24.88%
ラクトース 49.76%
ヒプロメロース-E5 2.93%
クロスカルメロースナトリウム 9.76%
ステアリン酸マグネシウム 0.49%
フィルムコーティングプレミックス 2.44%
【0116】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を6~7bar、給気圧力を7~8bar、供給圧力を6~7bar、供給回転数を100~150rpm粉砕が終了した後、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦10μm
(D90=8.93μm)を満たす。粒子径D90≦10μm(D90=8.93μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)のヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠し、胃溶性フィルムコーティングプレミックスでコーティングして規格205mgの錠剤を得た。
【0117】
調製例3 コーティングされていない素錠の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 4%
微結晶性セルロース 26.2%
ラクトース 56.3%
ヒプロメロース-E5 3%
クロスカルメロースナトリウム 10%
ステアリン酸マグネシウム 0.48%
【0118】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を6~7bar、給気圧力を7~8bar、供給圧力を6~7bar、供給回転数を100~150rpmに設定し、粉砕が終了した後、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦10μm(D90=7.461μm)を満たす。粒子径D90≦10μm(D90=7.461μm)の式(II)で示される化合物、ラクトース、微結晶性セルロースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに10%(質量百分率)ヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であり、そして打錠して規格500mgの錠剤を製造した。
【0119】
調製例4-1 コーティングされていない素錠の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 10%
微結晶性セルロース 24.3%
ラクトース 48.7%
ヒプロメロース-E5 1.5%
ヒプロメロース-K4M 15%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%
【0120】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を4~6bar、給気圧力を6~7bar、供給圧力を5~6bar、供給回転数を200~300rpmに設定し、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦20μm(D90=17.89μm)を満たす。D90≦20μm(D90=17.89μm)の式(II)で示される化合物、ラクトース、微結晶性セルロース、ヒプロメロース-K4Mを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに10%(質量百分率)ヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、ヒプロメロース-K4M及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水
分≦3.0%であり、そして打錠して規格200mgの錠剤を製造した。
【0121】
調製例4-2 コーティングされていない素錠の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 10%
微結晶性セルロース 27.5%
ラクトース 55%
ヒプロメロース-E5 2%
ヒプロメロース-K4M 5%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%
【0122】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を4~6bar、給気圧力を6~7bar、供給圧力を5~6bar、供給回転数を200~300rpmに設定し、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦20μm(D90=17.89μm)を満たす。D90≦20μm(D90=17.89μm)の式(II)で示される化合物、ラクトース、微結晶性セルロース、ヒプロメロース-K4Mを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに10%(質量百分率)ヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、ヒプロメロース-K4M及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であり、そして打錠して規格200mgの錠剤を製造した。
【0123】
調製例4-3 コーティングされていない素錠の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 10%
微結晶性セルロース 25.8%
ラクトース 51.7%
ヒプロメロース-E5 2%
ヒプロメロース-K4M 10%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%
【0124】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を4~6bar、給気圧力を6~7bar、供給圧力を5~6bar、供給回転数を200~300rpmに設定し、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦20μm(D90=17.89μm)を満たす。D90≦20μm(D90=17.89μm)の式(II)で示される化合物、ラクトース、微結晶性セルロース、ヒプロメロース-K4Mを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに10%(質量百分率)ヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、ヒプロメロース-K4M及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であり、そして打錠して規格200mgの錠剤を製造した。
【0125】
調製例5 コーティング錠剤の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 9.8%
微結晶性セルロース 25%
ラクトース 50%
ヒプロメロース-E5 2.94%
クロスカルメロースナトリウム 9.8%
ステアリン酸マグネシウム 0.49%
フィルムコーティングプレミックス 1.96%
【0126】
式(II)で示される化合物を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を4~6bar、給気圧力を6~7bar、供給圧力を5~6bar、供給回転数を200~300rpmに設定し、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦20μm(D90=17.89μm)を満たす。D90≦20μm(D90=17.89μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)ヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠し、胃溶性フィルムコーティングプレミックスでコーティングして規格102mgの錠剤を得た。
【0127】
調製例6 コーティング錠剤の処方
式(II)で示される化合物を含む錠剤の処方(質量百分率):
式(II)で示される化合物 9.76%
微結晶性セルロース 24.88%
ラクトース 49.76%
ヒプロメロース-E5 2.93%
クロスカルメロースナトリウム 9.76%
ステアリン酸マグネシウム 0.49%
フィルムコーティングプレミックス 2.44%
【0128】
式(II)で示される化合物(結晶形Bで存在する)を20メッシュの篩にかけ、篩にかけた後の原薬を気流粉砕機に加え、粉砕圧力を6~7bar、給気圧力を7~8bar、供給圧力を6~7bar、供給回転数を100~150rpmに設定し、サンプリングして検出し、レーザー粒度分布計で粒子径分布を測定したところ、粒子径分布が粒子径D90≦20μm(D90=10.09μm)を満たす。粒子径D90≦20μm(D90=10.09μm)の式(II)で示される化合物、ラクトースを湿式混合造粒機に加えて撹拌混合し、さらに微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウムを加えて撹拌混合し、そして湿式混合造粒機に10%(質量百分率)のヒプロメロース-E5水溶液をゆっくり加えて湿式造粒を行い、湿式整粒し、オーブンで乾燥させ、乾燥後の粒子水分≦2.0%であった。次に乾式整粒を行い、得られた乾式整粒後の粒子、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを混合機で最終混合し、最終混合後の総粒子水分≦3.0%であった。打錠し、胃溶性フィルムコーティングプレミックスでコーティングして規格205mgの錠剤を得た。
【0129】
測定例1 インビトロ溶出測定
【0130】
中国薬局方2015年版四部通則0931第2法に基づき、前記調製例で得られた錠剤の処方に対してインビトロ溶出試験を行い、前記錠剤がpH6.8のリン酸緩衝液における溶出挙動を検出し、ここで、溶出装置がパドル法の装置であり、溶出媒体がpH6.8緩衝液であり、水浴温度が37.0±0.5℃であり、溶出体積が900mlであり、回転数が毎分50回転であり、サンプリング時間が5min、10min、15min、20min、30min、45min、60minであり、サンプリング体積が5mlであ
り、濾過膜がポリエーテルスルホンフィルターであった。試験結果を以下の表1-1~1-5及び
図1~
図5に示す。
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
測定例2 安定性測定
調製したサンプルを高温60℃及び加速(40℃/75%RH)条件で一定時間に入れた後、サンプルについては、中国薬局方2015年版四部通則0512及び0931第2法に基づき、含有量、関連物質及び溶出率を検出し、その安定性を考察した。測定結果を表2-1に示す。
【0138】
【0139】
測定例3 イヌの経口生物学的利用能測定
【0140】
調製したサンプルについて、イヌの経口生物学的利用能の研究を行った。元国家食品薬品監督管理局(CFDA)の薬物非臨床薬物動態研究技術指導原則及び ICH M3(R2)に基づいて設計し、錠剤規格が20mgで、1錠/1匹の犬で、設計された時点に従ってサンプルを収集し、HPLC-MS/MS法でサンプル中の有効成分の濃度を検出し、薬物動態パラメータを算出した。具体的な試験内容は以下のとおりであった。
【0141】
動物及び投与:普通グレード7-14月齢のBeagle犬であり、体重が9.51kg-11.14kgであった。経口投与で、各投与日に一回で投与し、投与時間が8:00~12:00であり、全ての動物は毎回投与前に一晩をおいて絶食し、投与後に2~3時間絶食し続けるが、総絶食時間が24時間を超えなかった。
【0142】
採血:前肢静脈採血で、採血時間は各投与日(即ち1日、5日、8日、12日及び15日)であった。採血時点は、投与前(0h)、投与後5min、15min、30min、1h、2h、4h、6h、8h及び24hであった。約1mLの血液をEDTA二カリウム塩抗凝固真空採血管に収集した。血液を採取した後、血液を抗凝固剤と十分に混合するために軽く振盪した。血液を採取した後に砕氷に置き、かつ採取後の1h以内に遠心分
離した(4℃、2000g、10min)。遠心分離後、約400μLの血漿を褐色プラスチック管に収集して直ちドライアイスを入れた容器に一時的に保存し、続いて超低温冷蔵庫(≦-65℃)に移行し、遮光して保存した。
【0143】
サンプル分析:HPLC-MS/MS法でサンプル中の有効成分の濃度を検出し、Microsoft(登録商標) Excel 2013を用いてデータ処理して計算した。血漿中のサンプルの濃度を測定して分析し、その後、WinNonlin6.3ソフトウェアを用いて濃度-時間曲線を描き、非房室モデルに基づいて薬物動態パラメータを算出した。対応する処方の薬物動態パラメータの結果はそれぞれ以下の表3-1、表3-2及び表3-3に示され、同一表における結果が同一バッチで測定して得られたものであり、異なる表における結果が異なるバッチで測定して得られたものであった。
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
以上の表から、処方中の有効成分の異なる粒子径がBeagle犬の体内の薬物動態パラメータに異なる影響を与え、例えば、半減期を延長し、又は露出量を低減した。
【0148】
本発明に言及された全ての文献は、本発明において参考として援用されており、各文献が単独で参考として援用されているようである。また、本発明の前記説明内容を読んだ後、当業者は本発明に対して様々な変更又は修正を行うことができ、これらの等価形式は本発明の特許請求の範囲に限定された範囲に含まれる。