(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】相互汚染が低減された流体計量デバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20240425BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G01N35/10 E
G01N1/00 101L
(21)【出願番号】P 2022579989
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 US2021039013
(87)【国際公開番号】W WO2021263063
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-03-22
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ディー・ダンフィー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ホープリー・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】コリン・インガーソール
(72)【発明者】
【氏名】ユディス・モレッタ
【審査官】目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/043907(WO,A1)
【文献】特開平06-213907(JP,A)
【文献】特開平10-104240(JP,A)
【文献】特開平06-249762(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0100444(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
1/00- 1/44
G01F 1/00- 1/30
1/34- 1/54
3/00- 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体計量デバイスであって:
第1の流体を受けるための第1の流体供給ポートと;
第1の流体を吐出するための第1の流体吐出ポートと;
第2の流体を受けるための第2の流体供給ポートと;
第2の流体を吐出するための第2の流体吐出ポートと;
第1の流体と第2の流体との混合物を排出するための廃液排出ポートと;
複数の弁を含む弁アセンブリであって、第1の流体を第1の流体供給ポートから第1の流体吐出ポートに導き、第2の流体を第2の流体供給ポートから第2の流体吐出ポートに導き、混合物を廃液排出ポートへ導くために使用され
る弁アセンブリであって、第1の流体供給ポートおよび定量ポンプに連結された第1の弁、第1の流体吐出ポートに連結された第2の弁、第2の弁および廃液排出ポートに連結された第3の弁、ならびに第3の弁、第2の流体供給ポートおよび第2の流体吐出ポートに連結された第4の弁を含む、弁アセンブリと;
各流体の体積を測定するための定量ポンプと;
定量ポンプに連結され、複数の流体チャネルを含み、弁アセンブリと各ポートとの間の連通のために使用されるマニホールドと;
混合物または第1の流体を収容するために第2の弁と第3の弁との間に連結され、第2の流体が第2の弁に達するのを防ぐように構成されている第1のチューブと;
第2の流体を収容するために第3の弁と第4の弁の間に連結され、必要量の第2の流体を収容するように構成された第2のチューブと
を含む、前記流体計量デバイス。
【請求項2】
第1の流体が高圧で供給され、第1の弁は二方弁であり、第2の弁、第3の弁、および第4の弁はすべて三方弁である、請求項1に記載の流体計量デバイス。
【請求項3】
第1の流体供給ポートに連結されたブースタポンプをさらに含む、請求項2に記載の流体計量デバイス。
【請求項4】
第1の弁および第2の弁を収容するチューブ巻き取りケースをさらに含み、ここで、第1のチューブおよび第2のチューブは、チューブ巻き取りケースに別個に巻き付く、請求項1に記載の流体計量デバイス。
【請求項5】
第1のチューブを覆うための第1の円形カバーと;
第2のチューブを覆うための第2の円形カバーと
をさらに含む、請求項4に記載の流体計量デバイス。
【請求項6】
マニホールドの上の連結板をさらに含み、ここで、該連結板は、マニホールドおよびチューブ巻き取りケースに連結され、第1のチューブおよび第2のチューブは、連結板を介してマニホールドに連結されている、請求項4に記載の流体計量デバイス。
【請求項7】
チューブ巻き取りケースをさらに含み、ここで、第1のチューブおよび第2のチューブが第1の弁および第2の弁に巻き付き、チューブ巻き取りケースが第1のチューブおよび第2のチューブを取り囲む、請求項1に記載の流体計量デバイス。
【請求項8】
第2の流体供給ポートに連結された第3のチューブと、廃液排出ポートに連結された第4のチューブと、第1の流体供給ポートに連結された第5のチューブとをさらに含む、請求項1に記載の流体計量デバイス。
【請求項9】
マニホールドの上の連結板をさらに含み、ここで、第1のチューブ、第2のチューブ、第3のチューブ、第4のチューブおよび第5のチューブは、連結板を介してマニホールドに連結される、請求項8に記載の流体計量デバイス。
【請求項10】
連結板は、マニホールド内の複数の流体チャネルと連通する複数のスロットを含み、第1のチューブ、第2のチューブ、第3のチューブ、第4のチューブおよび第5のチューブが複数のスロットに連結される、請求項9に記載の流体計量デバイス。
【請求項11】
複数のスロットは、第3のチューブに連結された第1のスロットと、第2のチューブの一端に連結された第2のスロットと、第5のチューブに連結された第3のスロットと、第1のチューブの一端に連結された第4のスロットと、第2のチューブの他端に連結された第5のスロットと、第4のチューブに連結された第6のスロットと、第1のチューブの他端に連結された第7のスロットとを含む、請求項10に記載の流体計量デバイス。
【請求項12】
第2のチューブの容量は、第2の流体の必要量以上である、請求項1に記載の流体計量デバイス。
【請求項13】
第1の弁、第2の弁、第3の弁および第4の弁はすべて三方弁であり、第1の流体および第2の流体が大気圧で供給される、請求項1に記載の流体計量デバイス。
【請求項14】
第2の流体が高圧で供給されるように、第2の流体供給ポートに連結されたブースタポンプをさらに含み、ここで、弁アセンブリは、第4の弁、第3の弁および廃液排出ポートに連結された第5の弁をさらに含み、第5の弁は三方弁である、請求項1に記載の流体計量デバイス。
【請求項15】
第2の流体が高圧で供給されるように、第2の流体供給ポートに連結されたブースタポンプをさらに含み、ここで、弁アセンブリは、廃液排出ポートおよび第2のチューブに連結された第6の弁をさらに含み、第6の弁は二方弁である、請求項1に記載の流体計量デバイス。
【請求項16】
定量ポンプは容積型ポンプである、請求項1に記載の流体計量デバイス。
【請求項17】
第1の流体は水であり、第2の流体は、塩化カリウム、リン酸カリウム、リン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、アジ化ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、およびポリソルベート20からなる群から選択される洗浄液である、請求項1に記載の流体計量デバイス。
【請求項18】
流体計量デバイスであって:
第1の流体を受けるための第1の流体供給ポートと;
第1の流体を吐出するための第1の流体吐出ポートと;
第2の流体を受けるための第2の流体供給ポートと;
第2の流体を吐出するための第2の流体吐出ポートと;
第1の流体と第2の流体との混合物を排出するための廃液排出ポートと;
ある体積の第1の流体および第2の流体の各々を測定するための定量ポンプと;
第1の流体を第1の流体供給ポートから第1の流体吐出ポートに導き、第2の流体を第2の流体供給ポートから第2の流体吐出ポートに導き、混合物を廃液排出ポートへ導くために使用される弁アセンブリであって、第1の流体供給ポートおよび定量ポンプに連結された第1の弁、第1の流体吐出ポートに連結された第2の弁、第2の弁および廃液排出ポートに連結された第3の弁、ならびに第3の弁、第2の流体供給ポートおよび第2の流体吐出ポートに連結された第4の弁を含む、弁アセンブリと;
混合物または第1の流体を収容するために第2の弁と第3の弁との間に連結され、第2の流体が第2の弁に達するのを防ぐように構成されている第1のチューブと;
第2の流体を収容するために第3の弁と第4の弁の間に連結され、必要量の第2の流体を収容するように構成された第2のチューブと
を含む、前記流体計量デバイス。
【請求項19】
第1の流体が高圧で供給され、第1の弁は二方弁であり、第2の弁、第3の弁、および第4の弁はすべて三方弁である、請求項18に記載の流体計量デバイス。
【請求項20】
第1の弁、第2の弁、第3の弁および第4の弁はすべて三方弁であり、第1の流体および第2の流体が大気圧で供給される、請求項18に記載の流体計量デバイス。
【請求項21】
第2の流体が高圧で供給されるように、第2の流体供給ポートに連結されたブースタポンプをさらに含み、ここで、弁アセンブリは、第4の弁、第3の弁および廃液排出ポートに連結された第5の弁をさらに含み、第5の弁は三方弁である、請求項18に記載の流体計量デバイス。
【請求項22】
第2の流体が高圧で供給されるように、第2の流体供給ポートに連結されたブースタポンプをさらに含み、ここで、弁アセンブリは、廃液排出ポートおよび第2のチューブに連結された第6の弁をさらに含み、第6の弁は二方弁である、請求項18に記載の流体計量デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月26日に出願された「FLUID METERING DEVICE WITH REDUCED CROSS CONTAMINATION」と題する米国特許仮出願第62/705,433号の利益を主張し、この開示はあらゆる目的のために参照によってその全文が組み入れられる。
【0002】
本開示は、流体計量デバイスに関する。より詳細には、本開示は、相互汚染が低減した少なくとも2つの流体を測定するための流体計量デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
イムノアッセイ試験において、少なくとも2つの流体(例えば、洗浄液および水)を分離して測定するために、流体計量デバイスが必要とされる。従来のイムノアッセイ分析器(例えば、Atellica(登録商標)IM analyzer)では、複数の容積型ポンプ、各容積型ポンプ用の独立したポンプマニホールド、および流体(例えば、洗浄液および水)を吐出するための追加の3層式28弁マニホールドを用いて、流体の分離および測定機能を果たすことができる。しかし、この3層式マニホールドは従来から非常に高価である。
【0004】
別の従来の流体計量デバイスは、流体ごとに独立した精密定量ポンプを使用する。しかし、精密定量ポンプは高価な構成要素であるため、システム全体のコストが高い。したがって、コストを大幅に低減することができる新規の流体計量デバイスを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、相互汚染が低減された、少なくとも2つの流体を測定するための流体計量デバイスを提供することによって、上記の短所および欠点のうちの1つまたはそれ以上に対処し、克服する。
【0006】
実施形態は、流体計量デバイスであって:第1の流体を受けるための第1の流体供給ポートと;第1の流体を吐出するための第1の流体吐出ポートと;第2の流体を受けるための第2の流体供給ポートと;第2の流体を吐出するための第2の流体吐出ポートと;第1の流体と第2の流体との混合物を排出するための廃液排出ポートと;複数の弁を含む弁アセンブリであって、第1の流体を第1の流体供給ポートから第1の流体吐出ポートに導き、第2の流体を第2の流体供給ポートから第2の流体吐出ポートに導き、混合物を廃液排出ポートへ導くために使用され、第1の流体供給ポートおよび定量ポンプに連結された第1の弁、第1の流体吐出ポートに連結された第2の弁、第2の弁および廃液排出ポートに連結された第3の弁、ならびに第3の弁、第2の流体供給ポートおよび第2の流体吐出ポートに連結された第4の弁を含む、弁アセンブリと;各流体の体積を測定するための定量ポンプと;定量ポンプに連結され、複数の流体チャネルを含み、弁アセンブリと各ポートとの間の連通のために使用されるマニホールドと;混合物または第1の流体を収容するために第2の弁と第3の弁との間に連結され、第2の流体が第2の弁に達するのを防ぐように構成されている第1のチューブと;第2の流体を収容するために第3の弁と第4の弁の間に連結された第2のチューブとを含む流体計量デバイスを提供する。
【0007】
実施形態は、第1の流体が高圧で供給され、第1の弁は二方弁であり、第2の弁、第3の弁、および第4の弁はすべて三方弁である、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0008】
実施形態は、第1の流体供給ポートに連結されたブースタポンプをさらに含む、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0009】
実施形態は、第1の弁および第2の弁を収容するチューブ巻き取りケースをさらに含み、第1のチューブおよび第2のチューブは、チューブ巻き取りケースに別個に巻き付く、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0010】
実施形態は、第1のチューブを覆うための第1の円形カバーと;第2のチューブを覆うための第2の円形カバーとをさらに含む、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0011】
実施形態は、マニホールドの上の連結板をさらに含み、連結板は、マニホールドおよびチューブ巻き取りケースに連結され、第1のチューブおよび第2のチューブは、連結板を介してマニホールドに連結されている、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0012】
実施形態は、第1のチューブおよび第2のチューブが第1の弁および第2の弁に巻き付き、チューブ巻き取りケースが第1のチューブおよび第2のチューブを取り囲む、チューブ巻き取りケースをさらに含む流体計量デバイスをさらに提供する。
【0013】
実施形態は、第2の流体供給ポートに連結された第3のチューブと、廃液排出ポートに連結された第4のチューブと、第1の流体供給ポートに連結された第5のチューブとをさらに含む、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0014】
実施形態は、マニホールドの上の連結板をさらに含み、第1のチューブ、第2のチューブ、第3のチューブ、第4のチューブおよび第5のチューブは、連結板を介してマニホールドに連結される、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0015】
実施形態は、連結板が、マニホールド内の複数の流体チャネルと連通する複数のスロットを含み、第1のチューブ、第2のチューブ、第3のチューブ、第4のチューブおよび第5のチューブが複数のスロットに連結される、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0016】
実施形態は、複数のスロットが、第3のチューブに連結された第1のスロットと、第2のチューブの一端に連結された第2のスロットと、第5のチューブに連結された第3のスロットと、第1のチューブの一端に連結された第4のスロットと、第2のチューブの他端に連結された第5のスロットと、第4のチューブに連結された第6のスロットと、第1のチューブの他端に連結された第7のスロットとを含む、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0017】
実施形態は、第2のチューブの容量が、第2の流体の必要量以上である、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0018】
実施形態は、第1の弁、第2の弁、第3の弁および第4の弁はすべて三方弁であり、第1の流体および第2の流体が大気圧で供給される、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0019】
実施形態は、第2の流体が高圧で供給されるように、第2の流体供給ポートに連結されたブースタポンプをさらに含み、弁アセンブリは、第4の弁、第3の弁および廃液排出ポートに連結された第5の弁をさらに含み、第5の弁は三方弁である、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0020】
実施形態は、第2の流体が高圧で供給されるように、第2の流体供給ポートに連結されたブースタポンプをさらに含み、弁アセンブリは、廃液排出ポートおよび第2のチューブに連結された第6の弁をさらに含み、第6の弁は二方弁である、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0021】
実施形態は、定量ポンプが容積型ポンプである流体計量デバイスをさらに提供する。
【0022】
実施形態は、第1の流体が水であり、第2の流体が、塩化カリウム、リン酸カリウム、リン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、アジ化ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、およびポリソルベート20からなる群から選択される洗浄液である、流体計量デバイスをさらに提供する。
【0023】
実施形態は、第1の流体を受けるための第1の流体供給ポートと、第1の流体を吐出するための第1の流体吐出ポートと、第2の流体を受けるための第2の流体供給ポートと、第2の流体を吐出するための第2の流体吐出ポートと、第1の流体と第2の流体との混合物を排出するための廃液排出ポートと、ある体積の第1の流体および第2の流体の各々を測定するための定量ポンプと、第1の流体を第1の流体供給ポートから第1の流体吐出ポートに導き、第2の流体を第2の流体供給ポートから第2の流体吐出ポートに導き、混合物を廃液排出ポートへ導くために使用される弁アセンブリであって、第1の流体供給ポートおよび定量ポンプに連結された第1の弁、第1の流体吐出ポートに連結された第2の弁、第2の弁および廃液排出ポートに連結された第3の弁、ならびに第3の弁、第2の流体供給ポートおよび第2の流体吐出ポートに連結された第4の弁を含む、弁アセンブリと、混合物または第1の流体を収容するために第2の弁と第3の弁との間に連結され、第2の流体が第2の弁に達するのを防ぐように構成されている第1のチューブと、第2の流体を収容するために第3の弁と第4の弁の間に連結され、必要量の第2の流体を収容するように構成された第2のチューブとを含む流体計量デバイスを提供する。
【0024】
本発明の追加の構成および利点は、添付図面を参照しながら続く例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0025】
本発明の上記および他の態様は、添付の図面と関連させて読んだとき、以下の詳細な説明から最もよく理解される。本発明を説明する目的で、現在好ましい実施形態が図面に示されているが、本発明は開示された特定の手段に限定されないことが理解されるであろう。図面には以下の図が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本明細書に記載される様々な実施形態による、流体計量デバイス100の動作原理を示すブロック図である。
【
図2】本明細書に記載される様々な実施形態による、流体計量デバイスの構造を示す図である。
【
図3】本明細書に記載される様々な実施形態による、連結板のレイアウトを示す図である。
【
図4】本明細書に記載される様々な実施形態による、チューブ巻き取りケースの展開図を示す図である。
【
図5】本明細書に記載される様々な実施形態による、連結板に連結されたチューブ巻き取りケースの構造を示す図である。
【
図6】2つの円形カバーがない
図5のチューブ巻き取りケースの構造を示す図である。
【
図7】本明細書に記載される様々な実施形態による、流体計量デバイスの別の構造を示す図である。
【
図8】本明細書に記載される様々な実施形態による、流体計量デバイスの動作原理を示す別のブロック図を示す図である。
【
図9】本明細書に記載される様々な実施形態による、流体計量デバイスの動作原理を示す別のブロック図を示す図である。
【
図10】本明細書に記載される様々な実施形態による、流体計量デバイスの動作原理を示す別のブロック図を示す図である。
【
図11A】本明細書に記載される実施形態による、水についての計量誤差を示す図である。
【
図11B】本明細書に記載される実施形態による、水についての精度不良(imprecision)を示す図である。
【
図11C】本明細書に記載される実施形態による、洗浄液についての計量誤差を示す図である。
【
図11D】本明細書に記載される実施形態による、洗浄液についての精度不良を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の開示は、単一の精密定量ポンプ、単一のマニホールドおよび弁アセンブリを利用して、流体間の相互汚染を最小限に抑えながら2つの異なる流体を正確に測定する流体計量デバイスに向けられた実施形態を説明する。本明細書に記載の流体計量デバイスでは、単一の精密定量ポンプおよび単一のマニホールドのみが必要であるため、従来のマルチポンプシステムと比較してコストが著しく削減される。流体計量デバイスは、イムノアッセイ洗浄分離を含むがこれに限定されない、流体分離が必要とされるいかなる状況にも使用される。
【0028】
一実施形態では、流体チャネルを有する単一の機械加工されたマニホールドが、精密定量ポンプと4つの弁を含む弁アセンブリとに連結され、水と洗浄液との間の相互汚染を最小限に抑えながら、水および洗浄液を正確に吐出する。2つのチューブが最小限の相互汚染になるように「ループ」構成でマニホールドの外部で連結されている。さらに、外付けチューブを使用することにより、高価な層状マニホールド(例えば、3層マニホールド)を必要としないため、システム全体のコストをさらに削減する。
【0029】
図1は、本明細書に記載される様々な実施形態による、流体計量デバイス100の動作原理を示すブロック図を示す。
図1に示すように、流体計量デバイス100は、4つの弁(第1の弁104、第2の弁106、第3の弁108および第4の弁110)および定量ポンプ102を備える。一実施形態では、第1の弁104は二方弁であり、第2の弁106、第3の弁108および第4の弁110は三方弁である。別の実施形態では、4つの弁すべてが三方弁であってもよい。あるシナリオでは、第1の弁104が開かれ、第2の弁106が第3の弁108に連結され、第3の弁108が廃液排出ポート124に連結されると、定量ポンプ102は給水ポート126から水を吸引し、第1のチューブ120内の廃液が排出されるように廃液排出ポート124に水を吐出できる。別のシナリオでは、第1の弁104が開かれ、第2の弁106が吐水ポート131に連結されると、定量ポンプ102は、給水ポート126から水を吸引し、水を吐水ポート131に吐出できる。次いで、吐水ポート131は、別のデバイス(
図1では図示せず)の外部に水を吐出できる。
【0030】
さらなるシナリオでは、第1の弁104が閉じられ、第2の弁106が第3の弁108に連結され、第3の弁108が第4の弁110に連結され、第4の弁110が洗浄供給ポート128に連結されると、定量ポンプ102は洗浄液を洗浄供給ポート128から第2のチューブ122内に吸い出すことができる。第2のチューブ122の長さは、洗浄液の必要量に応じて選択され、第2のチューブ122それ自体が必要量の洗浄液をすべて収容することができる。第2のチューブ122の容量は、洗浄液の必要量以上であることができる。一実施形態において、吸引された洗浄液は、吐出される洗浄液の必要量より少し(例えば、数ミリリットル)多いが、これは、一部の洗浄液が水と混合することにより汚染され、廃液排出ポート124から排出されなければならないためである。一実施例では、第2のチューブ122が洗浄液でいっぱいであり、余分な洗浄液が第1のチューブ120に入り、第1のチューブ120内の水と混合される。
【0031】
さらなるシナリオでは、第1の弁104が閉じられ、第2の弁106が第3の弁108に連結され、第3の弁108が第4の弁110に連結され、第4の弁110が洗浄吐出ポート130に連結されると、第2のチューブ122内の洗浄液が洗浄吐出ポート130を通じて別のデバイスの外部に吐出される。第2のチューブ122は吐出するのに必要な洗浄液を収容できるため、第1のチューブ120から液体が吐出されることはない。
【0032】
必要量の洗浄液が吐出された後、第3の弁108を切り替えて廃液排出ポート124に連結することができる。第1の弁104が開かれ、第2の弁106が第3の弁108に連結されている間、定量ポンプ102は、給水ポート126から水を吸引し、水を廃液排出ポート124に吐出することができる。したがって、第1のチューブ120内の廃液(洗浄液と水との混合物)は廃液排出ポート124から排出される。
【0033】
一実施形態では、流体計量デバイス100は、給水ポート126に連結されたブースタポンプ132をさらに備える。ブースタポンプ132は、水の圧力を、例えば、11psi(重量ポンド毎平方インチ)まで上昇させることができる。加圧された水は、大気圧での水と比較して、より多くの水量を流体計量デバイス100に流すことを可能にする。別の実施形態では、水圧は、別のアプローチ、例えば、圧縮空気を用いた、または水位を上昇させた水槽によって上昇される。
【0034】
図2は、本明細書に記載される様々な実施形態による、流体計量デバイス100の構造を示す。流体計量デバイス100は、複数の分離されているアセンブリではなく、コンパクトなアセンブリである。
図2に示すように、流体計量デバイス100は、定量ポンプ102と、4つの弁(すなわち、
図1に示すように、第1の弁104、第2の弁106、第3の弁108、第4の弁110)を含む弁アセンブリ101と、流体チャネルを含むマニホールド202とを含む。流体計量デバイス100は、さらに、複数のチューブ(すなわち、第2の弁106と第3の弁108とを連結するための第1のチューブ120、および第3の弁108と第4の弁110とを連結するための第2のチューブ122、洗浄液供給用の第3のチューブ114、廃液排出用の第4のチューブ116、給水用の第5のチューブ118)、簡易連結用の連結板204、ならびに第1のチューブ120および第2のチューブ122が巻き付くチューブ巻き取りケース206を含む。
【0035】
引き続き
図2を参照すると、2つの流体チューブ(すなわち、第1のチューブ120および第2のチューブ122)は、異なる流体(例えば、洗浄液および水)間の緩衝材として使用される。2つの流体チューブは、従来のシステムのように層状マニホールド内の高価な流体チャネルではなく、低コストのチューブで作成される。弁アセンブリ101は、廃液(すなわち、洗浄液と水との混合物)を廃液排出ポート124(
図1に示す)から排出すること、または2つの流体チューブをつなげることを可能にする。弁アセンブリ101は、2つの流体の各々を、流体チューブのうちの1つを通して、または吐出ポートのうちの1つに導くことができる。一実施形態において、定量ポンプ102は、容積型ポンプである精密定量ポンプである。
【0036】
一実施形態において、マニホールド202は、
図1に示す連結のほとんどを提供するために使用される。例えば、
図1および
図2において、マニホールド202は、給水ポート126と第1の弁104との間、第1の弁104と定量ポンプ102との間、定量ポンプ102と第2の弁106との間、第2の弁106と第1のチューブ120との間、第1のチューブ120と第3の弁108との間、第3の弁108と廃液排出ポート124との間、第3の弁108と第2のチューブ122との間、第2のチューブ122と第4の弁110との間、第4の弁110と洗浄吐出ポート130との間、および第4の弁110と洗浄供給ポート128との間を連結するために使用される。本実施形態では、マニホールド202は、流体(例えば、水、洗浄液、または廃液)用の直線状のチャネルのみを有し、複雑な層状構造ではなく、簡単な機械加工作業で製作することを可能にし、これは、コストを大幅に削減できる。
【0037】
一実施形態において、連結板(「ギャング」板とも呼ばれる)204は、マニホールド202の上に設けられ、マニホールド202およびチューブ巻き取りケース206に連結される。
図3は、本明細書に記載される様々な実施形態による、連結板204のレイアウトを示す。
図1および
図3を参照すると、連結板204は、マニホールド202の流体チャネルとそれぞれ連通する7つのスロットを備える。第1のスロット302は、洗浄液供給用の第3のチューブ114に連結するために使用され;第2のスロット304は、第3の弁108と第4の弁110とを連結するために第2のチューブ122の一端に連結するために使用され;第3のスロット306は、給水用の第5のチューブ118に連結するために使用され;第4のスロット308は、第2の弁106と第3の弁108とを連結するために第1のチューブ120の一端に連結するために使用され;第5のスロット310は、第2のチューブ122の他端に連結するために使用され;第6のスロット312は、排液排出用の第4のチューブ116に連結するために使用され;第7のスロット314は、第1のチューブ120の他端に連結するために使用される。スロット位置は、マニホールド202内の流体チャネルの位置および機能に対応する。マニホールド202内の流体チャネルの位置および/または機能が異なるように設計される場合、スロット位置は異なっていてもよい。複数のチューブ114、116、118、120、122は、連結板204を介してマニホールド202に連結され、容易に連結して、スペースを最小化するために複数のチューブをまとめることができる。
【0038】
図4は、本明細書に記載される様々な実施形態による、チューブ巻き取りケース206の展開図である。
図4に示すように、チューブ巻き取りケース206は、ケース本体402と、第1のチューブ120と、第1のチューブ120を覆うための第1の円形カバー404と、第2のチューブ122と、第2のチューブ122を覆うための第2の円形カバー406とを備える。ケース本体402は、例えば、第1の弁104および第2の弁106の2つの弁を収容する。洗浄液を収容するための第2のチューブ122は、水または廃液を収容するための第1のチューブ120よりもはるかに長い(例えば、4または5倍長い)ため、第2のチューブ122は、第1のチューブ120よりも多くのループを有することができる。第1のチューブ120および第2のチューブ122は、別個にチューブ巻き取りケース206に巻き付いてもよい。第1の円形カバー404および第2の円形カバー406は、それぞれ第1のチューブ120および第2のチューブ122を収容して覆うことができる。
【0039】
図5および
図6は、本明細書に記載される様々な実施形態による、連結板204に連結されたチューブ巻き取りケース206の構造を示す。
図5は、第1の円形カバー404および第2の円形カバー406を含むチューブ巻き取りケース206を示すが、
図6は、第1の円形カバー404および第2の円形カバー406を取り外したチューブ巻き取りケース206を示す。
【0040】
図7は、本明細書に記載される様々な実施形態による、流体計量デバイス700の別の構造を示す。この実施形態と
図2に示す実施形態との違いは、チューブ巻き取りケースがどのように採用されているかということである。
図7に示すように、第1のチューブ120および第2のチューブ122は、2つの弁(例えば、第1の弁104および第2の弁106)の周りに直接巻き付けいている。チューブ巻き取りケース702は、第1のチューブ120および第2のチューブ122を取り囲む。
【0041】
図8は、本明細書に記載される様々な実施形態による、流体計量デバイス800の動作原理を示す別のブロック図を示す。この例の独自の構成は、
図1との対比で最もよく理解される。
図1では、水は加圧源(すなわち、ブースタポンプ132)から供給され、第1の二方弁104を介して流体計量デバイス100に入るが、洗浄液(例えば、塩化カリウム、リン酸カリウム、リン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、アジ化ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ポリソルベート20など)は大気圧で供給されて定量ポンプ102により流体計量デバイス100に引き込まれている。これに対し、
図8に示す実施形態では、第1の弁802は三方弁であり、給水ポート126からの水は、大気圧で供給される。本実施形態ではブースタポンプは設けられておらず、定量ポンプ102は、第1の弁802を介して第2の弁106に水を吐出することができる。
【0042】
図9は、本明細書に記載された様々な実施形態による、流体計量デバイス900の動作原理を示す別のブロック図を示す。
図9に示す実施形態では、第2のブースタポンプ904が設けられて洗浄供給ポート128に連結され、洗浄供給ポート128からの洗浄液も、例えば12psiという高い圧力で提供される。さらに、第5の弁902(三方弁)は、第3の弁108と第2のチューブ122との間に設けられる。あるシナリオでは、第5の弁902および第4の弁110を開いて、高圧(大気圧より高い圧力)の洗浄液を洗浄供給ポート128から廃液排出ポート124に流す。第2のチューブ122に必要量の洗浄液が充填されると、第4の弁110を閉じて洗浄液の供給を停止し、第5の弁902を依然として開いたまま廃液排出ポート124への圧力の放散を可能にする。
【0043】
図10は、本明細書に記載される様々な実施形態による、流体計量デバイス950の動作原理を示す別のブロック図を示す。
図10に示す実施形態では、第2のブースタポンプ904が設けられて洗浄供給ポート128に連結され、洗浄供給ポート128からの洗浄液も、例えば13psiという高い圧力で提供される。さらに、第6の弁906(二方弁)が、チューブ122と廃液排出ポート124との間に設けられる。あるシナリオでは、第6の弁906を開いて、洗浄液を高圧で洗浄供給ポート128から廃液排出ポート124に流す。第2のチューブ122に必要量の洗浄液が充填されると、第4の弁110を閉じて洗浄液の供給を停止し、第6の弁906を依然として開いたまま廃液排出ポート124への圧力の放散を可能にする一方、第3の弁108および定量ポンプ102を用いて第1のチューブ120に圧力を放散させる。
【0044】
流体計量デバイス100は、複数の分離されているアセンブリではなく、コンパクトなアセンブリである。したがって、すべての構成要素が互いに近接して配置され、構成要素間の距離は小さくなる。したがって、構成要素間の流体体積は減少する。ひいては、流体の減少は、流体チャネルの共振周波数が流体チャネルの長さに反比例するため、流体計量デバイス100を、構成要素の周波数を十分に上回る、高い共振周波数を有する剛性流体システムとして設計することができる。したがって、流体計量デバイス100の振動は大幅に低減され、ポンプの動きが停止した後の整定時間を減少させることができる。
【0045】
さらに、流体計量デバイス100を利用するシステム(例えば、イムノアッセイ分析器)における相互汚染は著しく少なくなり、計量精度および正確さも改善される。
図11A~
図11Dは、流体計量デバイス100を利用するイムノアッセイ分析器システムにおける計量精度および正確さの向上を示す。
図11Aおよび
図11Bは、規格要件と比較して、800uL/秒の吐出速度における水についての計量誤差および精度不良を示す。
図11Cおよび
図11Dは、規格要件と比較して、800uL/秒の吐出速度における洗浄液についての計量誤差および精度不良を示す。
【0046】
本明細書および特許請求の範囲は、例示的な実施形態の特定の構成および要素に関して、用語「1つ(a)」、「~のうちの少なくとも1つ」、および「~のうちの1つまたはそれ以上」を活用できる。これらの用語および語句は、特定の例示的な実施形態内に存在する特定の構成または要素のうちの少なくとも1つが存在するが、2つ以上が存在してもよいことを述べることが意図されていることを理解されたい。すなわち、これらの用語/語句は、単一の構成/要素が存在することに本明細書もしくは特許請求の範囲を限定する、または複数のそのような構成/要素が存在することを必要とすることは意図していない。それどころか、これらの用語/語句は、複数のそのような構成/要素が本明細書および特許請求の範囲の範囲内にあり得る、少なくとも単一の構成/要素を要求するだけである。
【0047】
加えて、以下の説明では、例示的な実施形態の例示的な実施をさらに説明し、例示的な実施形態の機構の理解を助けるために、例示的な実施形態の様々な要素について複数の様々な例を使用していることを理解されたい。これらの例は、非限定的であることを意図しており、例示的な実施形態の機構を実施するための様々な可能性を網羅するものではない。当業者には、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で提供される例に追加して、またはその代わりに利用される、これらの様々な要素に対して多くの他の代替的実施態様が存在することは、本説明を踏まえて明らかであろう。
【0048】
図面のシステムおよびプロセスは、排他的なものではない。他のシステム、プロセス、およびメニューは、同じ目的を達成するために、本明細書に記載された実施形態の原理に従って導かれる。本明細書に示され、説明された実施形態および変形例は、説明のためにすぎないことを理解されたい。現在の設計に対する修正は、実施形態の範囲から逸脱することなく、当業者によって実施される。本明細書で説明するように、様々なシステム、サブシステム、エージェント、マネージャ、およびプロセスは、ハードウェアコンポーネント、ソフトウェアコンポーネント、および/またはそれらの組み合わせを用いて実装することができる。本明細書のいかなる請求項要素も、その要素が「~のための手段」という語句を用いて明示的に記載されていない限り、米国特許法第112条(f)項の規定に基づいて解釈されるべきではない。
【0049】
本発明は、例示的実施形態を参照して説明したが、これに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の好ましい実施形態に対して多数の変更および修正を行うことができ、そのような変更および修正は、本発明の真の趣旨から逸脱することなく行うことができることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨および範囲内であるそのような等価な変形例をすべて網羅するように解釈されることが意図される。