IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョウシュウシ レイテック オプトロニクス カンパニーリミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-光学系 図1
  • 特許-光学系 図2
  • 特許-光学系 図3
  • 特許-光学系 図4
  • 特許-光学系 図5
  • 特許-光学系 図6
  • 特許-光学系 図7
  • 特許-光学系 図8
  • 特許-光学系 図9
  • 特許-光学系 図10
  • 特許-光学系 図11
  • 特許-光学系 図12
  • 特許-光学系 図13
  • 特許-光学系 図14
  • 特許-光学系 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】光学系
(51)【国際特許分類】
   G02B 25/00 20060101AFI20240425BHJP
   G02B 17/08 20060101ALI20240425BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G02B25/00
G02B17/08
G02B13/18
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023087351
(22)【出願日】2023-05-28
【審査請求日】2023-05-28
(31)【優先権主張番号】202310075232.2
(32)【優先日】2023-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520357958
【氏名又は名称】ジョウシュウシ エーエーシー レイテック オプトロニクス カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】史 秀▲ティン▼
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第114675419(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114236863(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110764266(CN,A)
【文献】特表2018-511814(JP,A)
【文献】特表2020-510238(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113219666(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系であって、前側から後側へ順に、映像面と、レンズと、絞りとを含み、かつ、前記レンズは、前側から後ろ側へ順に、第3レンズと、第2レンズと、第1レンズとの3枚のみであり、
前記映像面は、その後側に貼り付けられた円偏光子を有し、光線を放射するために用いられ、
前記第3レンズは、光軸に沿って前後に移動して前記光学系の屈折力を変更することができ、かつ前記第3レンズの前側面に部分反射素子が設けられ、
前記第1レンズは、その前側面に複合膜が設けられ、前記複合膜は、偏光反射膜及び四分の一波長板を含み、前記偏光反射膜は、前記第1レンズの前側面に貼り付けられ、前記四分の一波長板は、前記偏光反射膜の前側に貼り付けられ、
前記絞りは、前記光学系の後側に位置し、
前記絞りの直径をVDとし、前記光学系における各レンズの最大有効半径をSDmaxとしたとき、条件式VD≧10.00ミリメートル、SDmax≦22.25ミリメートルを満たすことを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記第1レンズの後側面は、非球面であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記第2レンズの前側面、前記第2レンズの後側面、前記第3レンズの前側面及び前記第3レンズの後側面は、いずれも非球面であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項4】
前記光学系の画角をFOVとしたとき、条件式95.00°≦FOV≦115.00°を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項5】
前記光学系の光学長をTTLとしたとき、条件式TTL≦18.60ミリメートルを満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項6】
前記部分反射素子は、半透過・半反射膜であり、その透過率及び反射率がいずれも50%であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項7】
前記偏光反射膜の反射率は、95%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項8】
前記光学系の光学ディストーションをDISTとしたとき、0D屈折力状態で前記光学ディストーションは、条件式DIST≦30.25%を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項9】
前記光学系の色収差は、185.00μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項10】
前記光学系の光学長をTTLとし、前記光学系の焦点距離をfとしたときに、条件式TTL/f≦0.85を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項11】
前記映像面は、ディスプレイであり、サイズが2.1インチであることを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニアアイディスプレイ(Near-eye display)技術分野に関し、特に光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
インテリジェント頭部装着装置の関連技術が今年に急速に発展することに伴い、光学レンズを備える電子装置の応用がより広くなり、光学レンズに対する要求もより多様化し、仮想現実、拡張現実及び混合現実等の分野への応用が急速に成長し、ユーザ体験から、小体積と優れた結像方式を兼ね備えた光学系の需要が非常に切実である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記問題に対して、本発明は、良好な光学性能を有するとともに、小体積、軽い重量の設計要求を満たす光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記のような技術課題を解決するために、本発明の実施形態は、光学系を提供し、この光学系は、前側から後側まで順に、映像面と、第3レンズと、第2レンズと、第1レンズと、絞りとを含み、
前記映像面は、その後側に貼り付けられた円偏光子を有し、光線を放射するために用いられ、
前記第3レンズは、光軸に沿って前後に移動して前記光学系の屈折力を変更することができ、かつ前記第3レンズの前側面に部分反射素子が設けられ、
前記第1レンズは、その前側面に複合膜が設けられ、前記複合膜は、偏光反射膜及び四分の一波長板を含み、前記偏光反射膜は、前記第1レンズの前側面に貼り付けられ、前記四分の一波長板は、前記偏光反射膜の前側に貼り付けられ、
前記絞りは、前記光学系の後側に位置し、
前記光学系の最大可視直径をVDとし、前記光学系における各レンズの最大有効半径をSDmaxとしたとき、条件式VD≧10.00ミリメートル、SDmax≦22.25ミリメートルを満たす。
【0005】
好ましくは、前記第1レンズの後側面は、非球面である。
【0006】
好ましくは、前記第2レンズの前側面、前記第2レンズの後側面、前記第3レンズの前側面、及び前記第3レンズの後側面は、いずれも非球面である。
【0007】
好ましくは、前記光学系の画角をFOVとしたとき、条件式95.00°≦FOV≦115.00°を満たす。
【0008】
好ましくは、前記光学系の光学長をTTLとしたとき、条件式TTL≦18.60ミリメートルを満たす。
【0009】
好ましくは、前記部分反射素子は、半透過・半反射膜であり、その透過率及び反射率がいずれも50%である。
【0010】
好ましくは、前記偏光反射膜の反射率は、95%以上である。
【0011】
好ましくは、前記光学系の光学ディストーションをDISTとしたとき、0D屈折力状態における前記光学ディストーションは、条件式DIST≦30.25%を満たす。
【0012】
好ましくは、前記光学系の色収差は、185.00μm以下である。
【0013】
好ましくは、前記光学系の光学長をTTLとし、前記光学系の焦点距離をfとしたとき、条件式TTL/f≦0.85を満たす。
【0014】
好ましくは、前記映像面は、ディスプレイであり、サイズが2.1インチである。
【発明の効果】
【0015】
本発明による有益な効果は、以下の通りである。
第3レンズの前側面に部分反射素子が設けられ、第1レンズに偏光反射膜と四分の一波長板とを順に含む複合膜が設けられることにより、3枚のレンズ光路折り畳み構造を実現し、かつレンズの半口径を制御し、光学系の体積を減少させて、設計の自由度を増加させ、より高い性能を得ることができ、それにより結像品質を向上させ、最大可視直径が10.00ミリメートル以上であり、ユーザが煩雑な調整を必要とせずに最適な表示効果を得ることができ、小体積及び高い結像性能を兼ね備える。それとともに、第3レンズが前後に移動可能にすることによって、第3レンズの位置を変更することにより、異なる程度の屈折力(0D~8D)を実現して、異なる近視程度に適応することができる。
【0016】
本発明の実施形態における技術案をより明確に説明するために、以下に実施形態の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明する図面は単に本発明のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的労働をしない前提で、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る光学系の構成を示す模式図である。
図2図1に示す光学系のスポットダイアグラムである。
図3図1に示す光学系の倍率色収差模式図である。
図4図1に示す光学系の像面湾曲及びディストーション模式図である。
図5図1に示す光学系の膜層構造を含む模式図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る光学系の一部の構成を示す模式図である。
図7図6に示す撮像光学レンズのスポットダイアグラムである。
図8図6に示す撮像光学レンズの倍率色収差模式図である。
図9図6に示す撮像光学レンズの像面湾曲及びディストーション模式図である。
図10図6に示す光学系の膜層構造を含む模式図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る光学系の一部の構成を示す模式図である。
図12図11に示す撮像光学レンズのスポットダイアグラムである。
図13図11に示す撮像光学レンズの倍率色収差模式図である。
図14図11に示す撮像光学レンズの像面湾曲及びディストーション模式図である。
図15図11に示す光学系の膜層構造を含む模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の目的、解決手段及びメリットがより明瞭になるように、本発明の各実施形態について図面を参照しながら以下に詳細に説明する。本発明の各実施形態において本発明をより良好に理解するために多くの技術的詳細を述べることは、当業者に理解され得る。しかし、本発明の各実施形態において、本発明が良く理解されるように多くの技術的詳細が与えられているが、それらの技術的詳細および以下の各実施形態に基づく各種の変化及び修正が存在しなくとも、本発明の保護しようとするものを実現可能であることは、当業者に理解されるべきである。
【0019】
(第1実施形態)
図1及び図5を参照して、光学系10を提供し、この光学系10は、前側から後側へ順に、映像面11と、円偏光子12と、部分反射素子13と、第3レンズ14と、第2レンズ15と、四分の一波長板16と、偏光反射膜17と、第1レンズ18と、絞り19とを含む。
【0020】
映像面11は、光線を放射し、映像面11は、その後側に貼り付けられた円偏光子12を有し、本実施形態では、映像面11は、ディスプレイであり、サイズが2.1インチであり、ディスプレイから発光した光線は、円偏光子12を介した後、左回り円偏光LCPを形成する。
【0021】
第3レンズ14は、光軸に沿って前後に移動して前記光学系10の屈折力を変更することができる。光軸に沿って第3レンズ14を前後に移動することにより第3レンズ14の光軸上における位置を変更することができ、それにより光学系10に異なる程度の屈折力を実現させて、異なる近視程度に適応することができる。
【0022】
第3レンズ14の前側面141には、部分反射素子13が設けられ、一部の光線が反射され、一部の光線が第3レンズ14に入射し、この時に、光線は、左回り円偏光LCPとなる。
【0023】
第3レンズ14に入射した左回り円偏光LCPは、第3レンズ14を介して屈折された後に第2レンズ15に出射され、かつ第2レンズ15を介して屈折された後に前記第1レンズ18に出射される。
【0024】
第1レンズ18の前側面181には、複合膜が設けられ、前記複合膜は、偏光反射膜17と、四分の一波長板16とを含み、前記偏光反射膜17は、前記第1レンズ18の前側面181に貼り付けられ、前記四分の一波長板16は、前記偏光反射膜17の前側に貼り付けられ、左回り円偏光LCPは、一回目に四分の一波長板16を通過した後に直線偏光S光に変換され、その後に偏光反射膜17でさらに四分の一波長板16によって反射され、この時の反射光線は、依然として直線偏光S光であり、二回目に四分の一波長板16を通過した後に左回り円偏光LCPに変換されて二回目に第2レンズ15に入射し、かつ順に第2レンズ15と前記第3レンズ14とで屈折された後に部分反射素子13に入射し、部分反射素子13で部分的に反射され、反射された光線は、右回り円偏光RCPに変換されて三回目に第3レンズ14に入射し、かつ順に前記第3レンズ14と第2レンズ15とで屈折された後に四分の一波長板16に入射し、四分の一波長板16を介して直線偏光P光に変換されて偏光反射膜17に入射し、偏光反射膜17は、直線偏光S光を反射し且つ直線偏光P光を透過する特性を有するため、直線偏光P光は、第1レンズ18に入射し、第1レンズ18で屈折された後に絞り19に入る。
【0025】
絞り19の位置は、人目の面をシミュレーションする位置であり、前記絞り19の直径は、10.00mmであり、光学系10の最大可視直径は、VDとして定義され、VDは、10ミリメートルであり、条件式VD≧10ミリメートルを満たし、すなわち、人目は、直径が少なくとも10mmの範囲内に移動するときに明瞭な画像を見ることができ、それによりユーザは、煩雑な調整を必要とせずに最適な位置で最も好ましい表示効果を見ることができ、FOVを増大させ、FOVが90°以上に達することができる。
【0026】
本実施形態では、光学系10の屈折力は、0Dである。なお、光線が一つの物体から別の光学濃度の異なる物質に入射する時に、その光線の伝播方向が屈折し、このような現象は、屈折現象と呼ばれ、このような屈折現象寸法(屈折力)の単位は、屈折力(「D」と略称する)であることを示す。1屈折力又は1Dは、一般的な100近視度数に等しい。
【0027】
第1レンズ18の有効半径は、22.25mmであり、第2レンズ15の有効半径は、22.25mmであり、第3レンズ14の有効半径は、22.25mmであり、光学系10における各レンズの最大有効半径は、SDmaxとして定義され、条件式SDmax≦22.25ミリメートルを満たし、光学系の体積を小さくすることに寄与する。
【0028】
本実施形態では、第1レンズ18の後側面183は、非球面であり、少なくとも一つの非球面を設けることは、光学長を縮小することに寄与する。他の好ましい実施形態において、自由曲面を使用してもよい。
【0029】
本実施形態では、前記第2レンズ15の前側面151、前記第2レンズ15の後側面153、前記第3レンズ14の前側面141及び前記第3レンズ14の後側面143は、いずれも非球面であり、非球面の応用は、光学系の収差を補正することに寄与する。他の好ましい実施形態において、自由曲面を使用してもよい。
【0030】
本実施形態では、第1レンズ18の前側面181は、平面であり、第1レンズ18の後側面183は、凸面であり、前記第2レンズ15の前側面151は、凹面であり、前記第2レンズ15の後側面153は、凸面であり、第3レンズ14の前側面141は、凸面であり、第3レンズ14の後側面143は、凸面である。
【0031】
本実施形態では、光学系10の画角は、FOVとして定義され、FOVは、96.65°であり、条件式95.00°≦FOV≦115.00°を満たし、広い画角は、より良好なユーザ体験をもたらす。
【0032】
光学系の光学長(映像面11から第1レンズ18の後側面183までの軸上距離)は、TTLとして定義され、本実施形態では、TTLは、18.534ミリメートルであり、条件式TTL≦18.60ミリメートルを満たし、光学系の体積を減少することに寄与する。
【0033】
本実施形態では、部分反射素子は、半透過・半反射膜であり、その透過率及び反射率は、いずれも50%であり、他の好ましい実施形態において、部分反射素子の反射透過率は、具体的な設計要求に応じて調整することができ、55:45、60:40などであってもよい。
【0034】
本実施形態では、偏光反射膜17の反射率は、95%以上であり、より高い反射率は、光学系10の光線性能を向上させ、表示輝度を増加させる。
【0035】
本実施形態では、第3レンズ14は、光軸上において0D屈折力の位置にある。この状態で、RMS radius≦30.00μmを実現することができる。ここで、RMS radius(二乗平均平方根半径)が小さいほど、システムの結像品質が高いことを示す。
【0036】
光学系の光学ディストーションは、DISTとして定義され、本実施形態では、0D屈折力状態における光学ディストーションDISTは、条件式DIST≦30.25%を満たし、ディストーションが小さくされることによって、ユーザによりリアルなVR環境を提供することができる。
【0037】
本実施形態では、前記光学系10の色収差は、185.00μm以下である。
【0038】
光学系10の焦点距離は、fとして定義され、本実施形態では、fは、25.343ミリメートルであり、TTL/fは、0.731であり、条件式TTL/f≦0.85を満たし、光学系の体積を減少することに寄与する。好ましくは、条件式TTL/f≦0.82を満たす。
【0039】
本実施形態では、第1レンズ18の後側面183、第2レンズ15の前側面151、第2レンズ15の後側面153及び第3レンズ14の後側面143には、いずれも反射防止膜が設けられ、それにより光学系10の光線性能を向上させ、輝度を向上させることができる。
【0040】
次に、本発明の光学系10について、実施例を用いて説明する。各実施例に記載された符号は、以下の通りである。焦点距離、軸上距離、中心曲率半径、軸上厚み、変曲点位置及び停留点位置の単位は、mmである。
【0041】
表1及び表2には、本発明の第1実施形態に係る光学系10の設計データを示す。
【0042】
【表1】
ここで、各符号の意味は、以下の通りである。
R:光学面の中心での曲率半径
R1:第1レンズ18の後側面の中心曲率半径
R2:第1レンズ18の前側面の中心曲率半径
R3:第2レンズ15の後側面の中心曲率半径
R4:第2レンズ15の前側面の中心曲率半径
R5:第3レンズ14の後側面の中心曲率半径
R6:第3レンズ14の前側面の中心曲率半径
d:レンズの軸上厚み、レンズの間の軸上距離(光路を理解しやすくするために、光線の後側から前側への伝播を正の値とし、光線の前側から後側への伝播を負の値とする)
d0:絞り19から第1レンズ18の後側面183までの軸上距離
d1:第1レンズ18の軸上厚み
d2:第1レンズ18の前側面181から第2レンズ15の後側面153までの軸上距離
d3:第2レンズ15の軸上厚み
d4:第2レンズ15の前側面151から第3レンズ14の後側面143までの軸上距離
d5:第3レンズ14の軸上厚み
d6:第3レンズ14の軸上厚みの負の値
d7:第2レンズ15の前側面151から第3レンズ14の後側面143までの軸上距離の負の値
d8:第2レンズ15の軸上厚みの負の値
d9:第1レンズ18の前側面181から第2レンズ15の後側面153までの軸上距離の負の値
d10:第3レンズ14の前側面141から映像面11までの軸上距離
nd:d線の屈折率(d線は、波長が540nmの緑色光である)
nd1:第1レンズ18のd線の屈折率
nd2:第2レンズ15のd線の屈折率
nd3:第3レンズ14のd線の屈折率
vd:アッベ数
v1:第1レンズ18のアッベ数
v2:第2レンズ15のアッベ数
ν2:第3レンズ14のアッベ数
【0043】
表2には、本発明の第1実施形態に係る光学系10における各レンズの非球面データを示す。
【0044】
【表2】
【0045】
各レンズ面の非球面は、便宜上、下記の式(1)で表される非球面を使用している。しかしながら、本発明は、この式(1)で表される非球面多項式に限定されるものではない。
z=(cr)/{1+[1-(k+1)(c)]1/2}+A4r+A6r+A8r+A10r10+A12r12+A14r14+A16r16+A18r18+A20r20+A22r22+A24r24+A26r26+A28r28+A30r30 (1)
ここで、kは、円錐係数であり、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16、A18、A20、A22、A24、A26、A28、A30は、非球面係数であり、cは、光学面の中心での曲率であり、rは、非球面曲線上の点と光軸との垂直距離であり、zは、非球面深さ(非球面での光軸までの距離がrである点と、非球面光軸上の頂点に接する切断面との両者間の垂直距離)である。
【0046】
図2及び図3はそれぞれ、波長が470nm、540nm、630nmの光が第1実施形態の光学系10を通過した後のスポットダイアグラム及び倍率色収差模式図を示している。図4は、波長が540nmの光が第1実施形態の光学系10を通過した後の像面湾曲及びディストーション模式図を示し、図4の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、タンジェンシャル方向の像面湾曲である。
【0047】
本実施形態では、前記光学系10の入射瞳径ENPDは、10.000mmであり、全視野像高IHは、19.152mmであり、対角線方向の画角FOVは、96.65°であり、光学系10は、小体積、最大可視直径が10.00mm以上の設計要求を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、かつ優れた光学特性を有する。
【0048】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係る光学系20を示す。第2実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、符号の意味も第1実施形態と同じであるため、相違点のみを以下に示す。
【0049】
本実施形態では、第3レンズ14は、光軸上において4D屈折力の位置にある。この状態で、RMS radius≦30.00μmを実現することができる。
【0050】
本実施形態では、光学系20の4D屈折力状態における光学ディストーションDISTは、条件式DIST≦36.62%を満たし、ディストーションが小さくされることによって、よりリアルなVR環境をユーザに提供することができる。
【0051】
本実施形態では、光学系20で形成された虚像距離は、250mmであり、それは4D(近視400度)の人々がメガネを着用しない状況で画像を見ることに適する。
【0052】
表3及び表4には、本発明の第2実施形態に係る光学系20の設計データを示す。
【0053】
【表3】
【0054】
表4には、本発明の第2実施形態に係る光学系20における各レンズの非球面データを示す。
【0055】
【表4】
【0056】
図7及び図8はそれぞれ、波長が470nm、540nm、630nmの光が第2実施形態の光学系20を通過した後のスポットダイアグラム及び倍率色収差模式図を示している。図9は、波長が540nmの光が第2実施形態の光学系20を通過した後の像面湾曲及びディストーション模式図を示す。図9の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、タンジェンシャル方向の像面湾曲である。
【0057】
本実施形態では、前記光学系10の入射瞳径ENPDは、10.000mmであり、TTLは、18.387mmであり、焦点距離fは、23.909mmであり、TTL/fは、0.769であり、全視野像高IHは、19.152mmであり、対角線方向の画角FOVは、103.75°であり、光学系20は、小体積、最大可視直径が10.00mm以上の設計要求を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、かつ優れた光学特性を有する。
【0058】
(第3実施形態)
図11は、本発明の第3実施形態に係る光学系30を示す。第3実施形態は、第1実施形態と基本的に同じであり、符号の意味も第1実施形態と同じであり、異なる点のみを以下に示す。
【0059】
本実施形態では、第3レンズ14は、光軸上において8D屈折力の位置にある。この状態で、RMS radius≦80.00μmを実現することができる。
【0060】
本実施形態では、光学系30の8D屈折力状態における光学ディストーションDISTは、条件式DIST≦42.37%を満たし、ディストーションが小さくされることによって、よりリアルなVR環境をユーザに提供することができる。
【0061】
本実施形態では、光学系30で形成された虚像距離は、125mmであり、それは8D(近視800度)の人々がメガネを着用しない状況で画像を見ることに適する。
【0062】
表5及び表6には、本発明の第3実施形態に係る光学系30の設計データを示す。
【0063】
【表5】
【0064】
表6には、本発明の第3実施形態に係る光学系30における各レンズの非球面データを示す。
【0065】
【表6】
【0066】
図12及び図13はそれぞれ、波長が470nm、540nm、630nmの光が第3実施形態の光学系30を通過した後のスポットダイアグラム及び倍率色収差模式図を示している。図14は、波長が540nmの光が第3実施形態の光学系20を通過した後の像面湾曲及びディストーション模式図を示す。図14の像面湾曲Sは、サジタル方向の像面湾曲であり、Tは、タンジェンシャル方向の像面湾曲である。
【0067】
本実施形態では、前記光学系10の入射瞳径ENPDは、10.000mmであり、TTLは、18.409mmであり、焦点距離fは、22.636mmであり、TTL/fは、0.813であり、全視野像高IHは、19.152mmであり、対角線方向の画角FOVは、112.39°であり、光学系30は、小体積、最大可視直径が10.00mm以上の設計要求を満たし、その軸上、軸外色収差が十分に補正され、かつ優れた光学特性を有する。
【0068】
当業者であれば理解されるように、上記各実施形態が本発明を実現するための具体的な実施形態であり、実際の応用において、本発明の要旨と範囲から逸脱しない限り、形式及び詳細に対する各種の変更は可能である。
【要約】
【課題】本発明は、光学レンズ分野に関し、光学系を開示する。
【解決手段】光学系は、前側から後側へ順に、その後側に貼り付けられた円偏光子を有し、光線を放射するために用いられる映像面と、光軸に沿って前後に移動して前記光学系の屈折力を変更することができ、かつ前側面に部分反射素子が設けられる第3レンズと、第2レンズと、その前側面に複合膜が設けられ、前記複合膜が偏光反射膜及び四分の一波長板を含み、前記偏光反射膜が前記前側面に貼り付けられ、前記四分の一波長板が前記偏光反射膜の前側に貼り付けられる第1レンズと、前記光学系の後側に位置する絞りとを含む。前記光学系の最大可視直径をVDとし、前記光学系における各レンズの最大有効半径をSDmaxとしたとき、条件式VD≧10.00ミリメートル、SDmax≦22.25ミリメートルを満たす。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15