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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】押圧検知用センサ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/52 20060101AFI20240425BHJP
   H01H 13/16 20060101ALI20240425BHJP
   H01H 13/20 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
H01H13/52 B
H01H13/16 Z
H01H13/20 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023165676
(22)【出願日】2023-09-27
【審査請求日】2023-11-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000242633
【氏名又は名称】北陸電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦山 正範
(72)【発明者】
【氏名】小原 進
(72)【発明者】
【氏名】前田 誠司
(72)【発明者】
【氏名】山崎 盛勝
(72)【発明者】
【氏名】谷 伊織
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-216329(JP,A)
【文献】特開2011-146297(JP,A)
【文献】特開2004-200002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 ー 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に開口部を備えたセンサ収納部を有する電気絶縁材料により形成されたケース本体と、
前記センサ収納部の前記開口部を塞ぐように前記センサ収納部に対して移動可能に嵌合された被操作部と、
前記被操作部と前記センサ収納部との間に配置されて、前記被操作部に前記ケース本体に向かう方向の押圧力が印加されると蓄勢され、前記押圧力が解除されると、前記被操作部を原点位置に戻すように放勢する弾性部材と、
前記開口部と対向する前記センサ収納部の底壁部に固定された第1の固定接点部及び第2の固定接点部と、
前記センサ収納部内に配置され、前記被操作部に押圧力が加えられているときに前記第1の固定接点部と接触する第1の接触接点部及び前記第2の固定接点部と常時接触する第2の接触接点部を一体に備えた接点プレートとを具備し、
前記接点プレートは、前記被操作部に前記押圧力が加えられると、前記被操作部に設けられた押圧部分によって押されて変形し且つ前記被操作部への前記押圧力の印加が解除されると元の形状に戻る板ばね部に前記第1の接触接点部を備えており、
前記板ばね部の形状と、前記第1の接触接点部と前記第1の固定接点部の位置関係は、前記被操作部に押圧力が加えられているときにのみ前記第1の接触接点部が第1の固定接点部と接触し、前記被操作部への前記押圧力の印加が解除されると前記第1の接触接点部が第1の固定接点部と非接触状態になるように定められており、
前記第1の接触接点部は、前記押圧部分によって押される前記板ばね部の被押圧部分と前記板ばね部の基部の間の位置に配置されている押圧検知用センサ。
【請求項2】
前記押圧部分は、前記センサ収納部の前記底壁部と対向する前記被操作部の裏面の中央部に設けられており、
前記底壁部には、前記押圧部分によって押されて変形する前記板ばね部の前記被押圧部分が入る凹部が形成されている請求項1に記載の押圧検知用センサ。
【請求項3】
前記第1の固定接点部は前記凹部の開口部の外側近傍に設けられている請求項2に記載の押圧検知用センサ。
【請求項4】
前記第1の固定接点部は、前記凹部の前記開口部の縁に沿って並ぶ2つの固定接点からなり、
前記第1の接触接点部は、前記2つの固定接点と対向する2つの接触接点からなる請求項3に記載の押圧検知用センサ。
【請求項5】
前記ケース本体は、樹脂成形品であり、
前記第1の固定接点部及び前記第2の固定接点部は、インサートとして前記ケース本体の前記底壁部にインサート成形されている請求項1に記載の押圧検知用センサ。
【請求項6】
前記接点プレートは、環状本体と、該環状本体の内周側に一体に設けられ且つ前記環状本体の中心に向かって延びる前記板ばね部と、前記板ばね部から前記環状本体の周方向に間隔を開けて前記環状本体の内周側に一体に設けられ且つ前記中心に向かって延びて前記第1の接触接点部を備えた舌状部とを有する接点プレートからなり、
前記センサ収納部の前記底壁部には、前記接点プレートを位置決めするための複数の凸部が一体に設けられている請求項5に記載の押圧検知用センサ。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記接点プレートの前記環状本体と当接するコイルスプリングからなり、
前記板ばね部の前記基部及び前記舌状部の基部が、前記コイルスプリングと当接している請求項6に記載の押圧検知用センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧力が加わったか否かを検知する押圧検知用センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
押圧検知用センサの代表的なものとしては、乗り物の助手席または後部座席に人が座っているか否かを検知するいわゆる着座センサがある。着座センサは、助手席または後部座席のシートの内部に配置されて、助手席または後部座席に人が座ったときにシートに加わる押圧力を検知する。
【0003】
中国実用新案登録第CN213734901号公報(特許文献1)の図1乃至図5には、従来の押圧検知用センサの一例の分解斜視図が開示されている。以下の背景技術の説明では、特許文献1の図1乃至図5に示された符号を利用して説明する。この特許文献1の図1乃至図5に示された従来の押圧検知用センサは、一面に開口部を有する電気絶縁材料により形成されたケース本体1と、ケース本体1の開口部を塞ぐようにケース本体に対して摺動可能に嵌合された被操作部2と、被操作部2とケース本体1との間に配置されて、被操作部2にケース本体1に向かう方向の押圧力が印加されると蓄勢され、押圧力が解除されると、被操作部2を原点位置に戻すように放勢する弾性部材4と、開口部と対向するケース本体1の底壁部に固定された第1の固定接点部及び第2の固定接点部(8)と、ケース本体1内に配置され、被操作部2に押圧力が加えられているときに第1の固定接点部(8)と接触する第1の接触接点部及び第2の固定接点部(8)と常時接触する第2の接触接点部を一体に備えた接点プレート3を具備している。接点プレート3は、被操作部2に押圧力が加えられると、被操作部2に設けられた押圧部分9(図3図5)によって押されて変形し且つ被操作部2への押圧力の印加が解除されると元の形状に戻る板ばね部10に第1の接触接点部を備えている。第1の接触接点部は、押圧部分9によって押される板ばね部10の被押圧部分または被押圧部分の近傍に配置されている。
【0004】
またEP3526806号公報(特許文献2)には、被操作部の復帰に皿状バネを利用し、第1の接触接点部を、被操作部に設けた押圧部分によって押される板ばね部の被押圧部分に配置した従来の押圧検知用センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国実用新案登録第CN213734901号公報
【文献】EP3526806B号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の押圧検知用センサでは、第1の接触接点部が、被操作部2の押圧部分9によって押される板ばね部10の被押圧部分または被押圧部分の近傍に配置されており、被操作部2の押圧部分9からの直接的な押圧力を衝撃と共に、第1の接触接点部が受けるために、第1の接触接点部の摩耗と変形が発生し易い。そのため接点部の接触不良が発生し易く、また寿命が短くなる問題が発生する。
【0007】
また特許文献2の押圧検知用センサでも、特許文献1の押圧検知用センサと同様の問題が発生する。
【0008】
本発明の目的は、長期間に亘って接触不良や検知ミスが発生し難く且つ寿命が長い圧力検知センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の押圧検知用センサは、一面に開口部1aを有するセンサ収納部1Aを有する電気絶縁材料により形成されたケース本体1と、ケース本体1の開口部1aを塞ぐようにケース本体1に対して移動可能に嵌合された被操作部2と、被操作部2とセンサ収納部1Aとの間に配置されて、被操作部2にケース本体に向かう方向の押圧力が印加されると蓄勢され、押圧力が解除されると、被操作部2を原点位置に戻すように放勢する弾性部材(3)と、開口部1aと対向するセンサ収納部1Aの底壁部1bに固定された第1の固定接点部4及び第2の固定接点部5と、センサ収納部1A内に配置され、被操作部2に押圧力が加えられているときに第1の固定接点部4と接触する第1の接触接点部9及び第2の固定接点部5と常時接触する第2の接触接点部10を一体に備えた接点プレート8とを具備する。接点プレート8は、被操作部2に押圧力が加えられると、被操作部2に設けられた押圧部分2Aによって押されて変形し且つ被操作部2への押圧力の印加が解除されると元の形状に戻る板ばね部8Bに第1の接触接点部9を備えている。板ばね部8Bの形状と、第1の接触接点部9と第1の固定接点部4の位置関係は、被操作部2に押圧力が加えられているときにのみ第1の接触接点部9が第1の固定接点部4と接触し、被操作部2への押圧力の印加が解除されると第1の接触接点部9が第1の固定接点部4と非接触状態になるように定められている。そして本発明においては、第1の接触接点部9は、押圧部分2Aによって押される板ばね部8Bの被押圧部分8cと板ばね部8Bの基部8Dとの間に配置されている。
【0010】
本発明によれば、被操作部に加わる押圧力が直接に第1の接触接点部9に加わることがなく、板ばね部8Bの変形による緩衝を介して第1の接触接点部9と第1の固定接点部4に押圧力の分力が加わるため、第1の接触接点部9の摩耗や変形が少なく、長寿命化を実現できる。
【0011】
被操作部2の押圧部分2Aは、ケース本体1の底壁部1bと対向する被操作部2の裏面の中央部に設けられているのが好ましく、またケース本体1の底壁部1bには、押圧部分2Aによって押されて変形する板ばね部8Bの被押圧部分8cが入る凹部1cが形成されているのが好ましい。このようにすると、被操作部2に加わる押圧力を偏りなく板ばね部8Bに伝えて、板ばね部8Bの変形をより大きくすることにより、板ばね部8Bの緩衝性を高めることができる。
【0012】
第1の固定接点部4は凹部1cの開口部の外側近傍に設けられているのが好ましい。このようにすると、凹部1c内で変形した板ばね部8Bからの力を最大限第1の固定接点部4に加えることができる。
【0013】
第1の固定接点部4は、凹部1cの開口部の縁に沿って並ぶ2つの固定接点4aからなり、第1の接触接点部9は、2つの固定接点4aと対向する2つの接触接点9aからなるのが好ましい。このようにすると接触抵抗を小さくすることができる。
【0014】
ケース本体1は、樹脂成形品であり、第1の固定接点部4及び第2の固定接点部5は、インサートとしてケース本体1の底壁部1bにインサート成形されていてもよい。このような構造にすると固定接点部の固定が容易である。
【0015】
さらに接点プレート8は、環状本体8Aと、該環状本体の内周側に一体に設けられ且つ環状本体8Aの中心に向かって延びる板ばね部8Bと、板ばね部8Bから環状本体8Aの周方向に間隔を開けて環状本体の内周側に一体に設けられ且つ前記中心に向かって延びて第2の接触接点部10を備えた舌状部8Cとを有する金属プレートから構成することができる。またセンサ収納部1Aの底壁部1bには、接点プレート8を位置決めするための複数の凸部1e,1fが一体に設けられており、複数の凸部の少なくとも1つの凸部1fが加熱変形された状態で、接点プレート8が底壁部1bに対して固定されていてもよい。このような構成を採用すると、外部からの振動に対して接点プレートがセンサ収納部内で動くことがなく、接点プレートの振動による誤検知の発生を防止できる。
【0016】
弾性部材(3)は、接点プレート8の環状本体8Aと当接するコイルスプリングからなり、板ばね部8Bの基部8D及び舌状部8Cの基部が、コイルスプリング3と当接しているのが好ましい。このようにするとコイルスプリングが外部振動によって、板ばね部8B及び舌状部8Cが必要以上に振動することを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、長期間に亘って接触不良や検知ミスが発生し難く且つ寿命が長い圧力検知センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の押圧検知用センサの一実施形態の平面図である。
図2】押圧力が印加されていない状態における押圧検知用センサの内部機構を示す図1のII-II線断面図である。
図3】押圧力が印加された状態における押圧検知用センサの内部機構を示す図1のII-II線断面図である。
図4図2の一部を拡大した拡大図である。
図5】接点プレートが入ったセンサ収納部の内部を開口部側から見た平面図である。
図6】接点プレートが入っていないセンサ収納部の内部を開口部側から見た平面図である。
図7】一実施形態に係る接点プレートの詳細及び押圧検知用センサの接点の動作状態を説明するために用いる図である。
図8】接触接点と固定接点が1つの場合に発生する状況を説明するために用いる図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の押圧検知用センサの一実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
<全体>
図1は、本発明の一実施形態に係る押圧検知用センサの平面図であり、図2は押圧力が印加されていない状態における押圧検知用センサの内部機構を示す図1のII-II線断面図であり、図3は、押圧力が印加された状態における押圧検知用センサの内部機構を示す図1のII-II線断面図である。なお不鮮明になることを防ぐために、図2及び図3には、断面を示すハッチングは省略してある。図1乃至図3に示すように本実施形態の押圧検知用センサは、ケース本体1と、被操作部2と、弾性部材としてのコイルスプリング3と、一端に第1の固定接点部4及び第2の固定接点部5を有し且つ他端に外部端子6を有して、ケース本体1にインサート成形された接点端子部材7と、接点プレート8を具備する。
【0021】
<ケース本体>
ケース本体1は、押圧用検知センサの主要部を収納するセンサ収納部1Aと、センサ収納部1Aと一体に形成されて外部端子6を収納する細長い端子収納部1Bが一体に形成された構成を有している。センサ収納部1Aは、一面に開口する開口部1aと、開口部1aと対向する底壁部1bと、底壁部1bの中央部に形成された凹部1cと、底壁部1bから起立する環状の周壁部1dとを有している。ケース本体1は、電気絶縁材料により一体成形されている。具体的に、ケース本体1は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂により一体成形品として成形したものであるが、他の樹脂材料により形成してもよいのは勿論である。凹部1cは、後述する接点プレート8の板ばね部8Bの被押圧部分8cが入るための空間である。このような凹部1cを設けると、センサ収納部1Aの厚み寸法を小さくすることができる。
【0022】
また本実施形態では、図5及び図6に示すようにセンサ収納部1Aの周壁部1dによって囲まれる開口部1aの平面形状が実質的に円形形状を有している。しかしながらケース本体1の開口部1aは、例えば多角形形状等の他の形状としてもよい。底壁部1bには、接点端子部材7を構成する第1の接点端子部材半部7Aと第2の接点端子部材半部7Bの先端部7a及び7bがインサート成形されている。第1の接点端子部材半部7Aと第2の接点端子部材半部7Bは、ケース本体1を形成する絶縁樹脂材料によって、相互に電気的に絶縁されている。先端部7a及び7bは、底壁部1bから露出した状態で配置されている。図6に示すように、第1の接点端子部材半部7Aの先端部7aには、第1の固定接点部4を構成する2つの固定接点4aが一体成形されている。また先端部7aには、底壁部1bに設けた凹部1cの輪郭と相似形をなす矩形状の貫通孔7cが形成されている。2つの固定接点4aは凹部1c及び貫通孔7cの1つの短辺に沿って並んで配置されている。第2の接点端子部材半部7Bの先端部7bには、第2の固定接点部5を構成する1つの固定接点5aが一体成形されている。固定接点5aは、貫通孔7cの1つの長辺に対応する位置に配置されている。なお第2の固定接点部5も、2つの固定接点5aから構成されてもよい。
【0023】
図4乃至図6に示すように、底壁部1bの凹部1cの周囲には、第1の接点端子部材半部7Aと第2の接点端子部材半部7Bの先端部7a及び7bを囲むように段差部1hが形成されている。この段差部1hが存在することにより、接点プレート8の板ばね部8B及び舌状部8Cが上下方向に変形可能になる。板ばね部8Bに関しては、図2及び図4に示す非押圧状態において、2つの固定接点4aと板ばね部8Bに一体に設けた第1の接触接点部9が非接触状態になることを可能にする。また舌状部8Cに関しては、図4に示されるように、1つの固定接点5aと舌状部8Cに一体に設けた第2の接触接点部10が常時接触状態になることを可能にする。
【0024】
また図5及び図6に示すように、センサ収納部1Aの底壁部1bには、接点プレート8を位置決めするための4つの凸部1eが等しい間隔(90度間隔)を開けて一体に設けられている。また底壁部1bには、接点プレート8の配向を決定する1つの凸部1fが設けられている。凸部1fが4つの凸部1eの配置間隔とは異なる間隔で設けられているため、凸部1fが接点プレート8の配向(配置方向)を決定することになる。また図4及び図5に示すように、センサ収納部1Aの周壁部1dと底壁部1bに跨がって、周方向に間隔を開けて8個の突起部1gが一体に設けられている。これらの突起部1gは、接点プレート8の位置決めのために設けられている。
【0025】
<被操作部2>
被操作部2は、押圧部分2Aを備え、ケース本体1の開口部1aを塞ぐようにセンサ収納部1Aの周壁部1dに対して移動可能またはスライド可能に嵌合されている。本実施形態の被操作部2は、ケース本体1との間の摩耗を少なくするために、POM(ポリアセタール)樹脂により一体成形されている。そして本実施形態では被操作部2が、押圧検知用センサのケースの一部を構成している。本実施形態の被操作部2は、円形状の平板部2Bと、外周壁部2Cと、内周壁部2Dとをさらに備えている。外周壁部2Cは、円形状の平板部2Bの外周に沿って立設されて略円筒形状を有している。内周壁部2Dは、円形状の平板部2Bの、外周壁部2Cよりも径方向内側に設けられており、略円筒形状を有している。本実施形態の押圧部分2Aは、ケース本体1の底壁部1bと対向する被操作部2の裏面の中央部から底壁部1bに向かって延びる柱状部2Eの先端に設けられている。柱状部2Eの中心には、有底の角柱状の孔部2Fが形成されている。この孔部2Fの存在により、柱状部2Eの変形が防止できる。押圧部分2Aは、円形状の平板部2Bが操作者により操作されて被操作部2に押圧力がかかると、接点プレート8の板ばね部8Bの被押圧部分8cを変形させる。押圧部分2Aは、半円球形状を有しているので、被操作部2を押す力の角度が異なっても、確実に被押圧部分8cを押すことができる。なお本実施形態では、被操作部2の外周壁部2Cと内周壁部2Dとの間にケース本体1の円周壁部1dを挿入することで、被操作部2をケース本体1に取り付けているので、被操作部2をスムーズに移させることができる。
【0026】
<コイルスプリング>
コイルスプリング3は、被操作部2の平板部2Bの裏面から延びる柱状部2Eに緩く嵌合されて、平板部2Bとセンサ収納部1Aの底壁部1bとの間に挟み込まれている。本実施形態では、コイルスプリングが、金属製のスプリングにより構成されている。
【0027】
コイルスプリング3は、操作者の操作により被操作部2の円形状の平板部2Bに、ケース本体1に向かう方向の押圧力が印加されて平板部2Bが底壁部1b側に変位すると蓄勢され、底壁部1bに向かう方向の押圧力が解除されると、被操作部2を変位前の位置、即ち原点位置に戻すように放勢される。
【0028】
特に本実施形態では、コイルスプリング3が、接点プレート8の後述する環状本体8Aと当接している。具体的には、本実施形態では、コイルスプリング3は、接点プレート8が備える板ばね部8Bの基部8D及び接点プレート8の舌状部8Cの基部と当接している。
【0029】
<接点プレート>
接点プレート8は、第1の接触接点部9と第2の接触接点部10を一体に備えた金属プレートから構成されている。接点プレート8は、環状本体8Aと、板ばね部8Bと舌状部8Cを備えている。環状本体8Aの外周部には、センサ収納部1Aの底壁部1bに設けられた5つの凸部1e及び1fが嵌合される凹部8dが形成されている。板ばね部8Bは環状本体8Aからその内側中心部に向かい且つ内側中心部を越える位置まで延びている。舌状部8Cは、板ばね部8Bから周方向に90度離れた位置から内側中心部に向かい且つ内側中心部に到達する手前の位置まで延びている。
【0030】
板ばね部8Bは、図4に示すように、接点プレート8が、底壁部1b上に装着された状態で、第1の接触接点部9が固定接点部4に接触しないようその角度が定められている。第1の接触接点部9を構成する接触接点9aを構成する2つの突出片が、押圧部分2Aによって押される板ばね部8Bの被押圧部分8cと板ばね部8Bの基部8Dとの間の位置に配置されている(図5参照)。板ばね部8Bは、操作者の操作により被操作部2の円形状の平板部2Bに、センサ収納部1Aに向かう方向の押圧力が加えられると、被操作部2に設けられた押圧部分2Aによって押されて変形する。そして板ばね部8Bは、被操作部2への押圧力の印加が解除されると、元の形状に戻る。
【0031】
本実施形態では、板ばね部8Bの形状、及び、第1の接触接点部9と第1の固定接点部4との位置関係は、被操作部2に押圧力が加えられているときには第1の接触接点部9が第1の固定接点部4と接触するものの、被操作部2への押圧力の印加が解除されると第1の接触接点部9は第1の固定接点部4と非接触状態になるように定められている。具体的には、接触接点9aを構成する2つの突出片の位置は、板ばね部8の被押圧部分8cが押圧されて板ばね部8が変形したときに、接触接点9aが第1の固定接点部4の固定接点4aと接触する位置にある。図に示すように、2つの固定接点4aが間隔を開けて配置されていると、仮に一方の固定接点4aと一方の接触接点9aの間にゴミdが入っても、他方の固定接点4aと他方の接触接点9aが接触できるので、検知ミスの発生を防止できる。ちなみに図8に示すように、1つの固定接点4aと1つの接触接点9aの間にゴミdが入ると、ゴミの存在により、接点間の導通が阻止されて、検知ミスが発生する。舌状部8Cは、接点プレート8が、底壁部1b上に装着された状態で、第1の接触接点部9(9a)が第1の固定接点部4に常時接触するようにその角度が定められている。
【0032】
上記実施形態においては、第1の固定接点部4の2つの固定接点4aが底壁部1bに設けた凹部1cの開口部の縁に沿って設けられているので、凹部1c内で変形した板ばね部8Bからの力が最大限第1の固定接点部4に加えられる。そして板ばね部8に設けた第1の接触接点部9は、2つの固定接点4aと対向する2つの接触接点9aから構成されている。そのため、被操作部2に加わる押圧力が直接に第1の接触接点部9に加わることがなく、板ばね部8Bの変形による緩衝を介して第1の接触接点部9と第1の固定接点部4に押圧力の分力が加わるため、第1の接触接点部9の摩耗や変形が少なく、長寿命化を実現できている。
【0033】
また上記実施形態では、被操作部2の押圧部分2Aは、センサ収納部1Aの底壁部1bと対向する被操作部2の裏面の中央部に設けられており、またケース本体1の底壁部1bには、押圧部分2Aによって押されて変形する板ばね部8Bの被押圧部分8cが入る凹部1cが形成されているため、被操作部2に加わる押圧力を偏りなく板ばね部8Bに伝えて、板ばね部8Bの変形をより大きくすることにより、板ばね部8Bの緩衝性が高められている。
【0034】
また上記実施形態では、弾性部材は、接点プレート8の環状本体8Aと当接するコイルスプリング3からなり、板ばね部8Bの基部8D及び舌状部8Cの基部が、コイルスプリングと当接している。そのため、コイルスプリングによっても、接点プレート8が外部振動によって、必要以上に振動することが抑制されている。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、長期間に亘って接触不良や検知ミスが発生し難く且つ寿命が長い圧力検知センサが提供される。
【符号の説明】
【0036】
1 ケース本体
1A センサ収納部
1a 開口部
1b 底壁部
1c 凹部
1d 円周壁部
1e 凸部
1f 凸部
1h 段差部
1g 突起部
2 被操作部
2A 押圧部分
2B 平板部
2C 外周壁部
2D 内周壁部
3 コイルスプリング(弾性部材)
4 第1の固定接点部
4a 固定接点
5 第2の固定接点部
6 外部端子
7 接点端子部材
7A 第1の接点端子部材半部
7B 第2の接点端子部材半部
8 接点プレート
8A 環状本体
8B 板ばね部
8C 舌状部
8c 被押圧部分
9 第1の接触接点部
10 第2の接触接点部
【要約】
【課題】長期間に亘って接触不良や検知ミスが発生し難く且つ寿命が長い圧力検知センサを提供する。
【解決手段】板ばね部8Bの形状と、第1の接触接点部9と第1の固定接点部4の位置関係を、被操作部2に押圧力が加えられているときにのみ第1の接触接点部9が第1の固定接点部4と接触し、被操作部2への押圧力の印加が解除されると第1の接触接点部9が第1の固定接点部4と非接触状態になるように定める。第1の接触接点部9を、押圧部分2Aによって押される板ばね部8Bの被押圧部分8cと板ばね部8Bの基部8Dとの間に配置する。
【選択図】 図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8